説明

薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー

【課題】薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーを提供する。
【解決手段】蒸着用基板に蒸着しようとする素材を蒸着するためのものであって、開口部が形成され、開口部を取り囲む複数のフレームが互いに連結されたマスクフレーム;マスクフレーム上に結合されるマスク;を備えるが、マスクの少なくとも一領域には変形防止部が形成されたものであって、マスクの蒸着用パターン部の周辺部に変形防止部が形成されることで、マスクの垂直方向の変形を低減させることができる。これにより、基板へのマスクの密着不良を最小化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーに係り、さらに詳細には、マスクの変形を防止するための薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
通例的に、薄膜トランジスタ(Thin film transistor、TFT)を備える有機発光ディスプレイ装置(Organic Light Emitting Display Device、OLED)は、デジタルカメラや、ビデオカメラや、カムコーダや、携帯情報端末機や、スマートホンや、タブレットパソコンや、超スリムノート型パソコンなどのモバイル機器用ディスプレイ装置や、超薄型テレビなどの電子電気製品に適用できて、脚光を浴びている。
【0003】
OLEDは、アノードとカソードとに注入される正孔と電子とが有機発光層で再結合して発光する原理で色相を具現できるものであって、アノードとカソードとの間に有機発光層を挿入した積層型ディスプレイ装置である。
【0004】
しかし、前記の構造では高効率発光を得難いため、それぞれの電極と有機発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層などの中間層を選択的にさらに挿入して使用している。
【0005】
前記OLEDの電極と有機発光層を含む中間層とは、フォトリソグラフィ法や蒸着法などによって形成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、マスクの変形を低減させて基板に対するマスクの密着不良を最小化させた薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面による薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーは、開口部が形成され、前記開口部を取り囲むマスクフレーム;前記マスクフレーム上に結合されるマスク;を備えるが、前記マスクの少なくとも一領域には変形防止部が形成される。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記マスクには、長手方向に沿って蒸着用パターン部が離隔して形成され、隣接する蒸着用パターン部の間には、これらを互いに連結させるリブが形成され、前記変形防止部は、前記リブに形成される第1ダミーパターン部である。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記マスクには、前記蒸着用パターン部の幅方向の両エッジに第2ダミーパターン部がさらに形成される。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記蒸着用パターン部、第1ダミーパターン部、及び第2ダミーパターン部は、ドット型のスリットパターンであるか、またはストリップ型のスリットパターンである。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記マスクには、前記蒸着用パターン部の幅方向の両エッジにハーフエッチング部がさらに形成される。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記ハーフエッチング部は、基板と対向するマスクの第1面と反対の第2面から、前記マスクの厚さを他の部分より薄く形成する。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記第1面は、パターニングしようとする蒸着用基板への接触面である。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記マスクには、長手方向に沿って蒸着用パターン部が離隔して形成され、隣接する蒸着用パターン部の間には、これらを互いに連結させるリブが形成され、前記変形防止部は、前記リブに形成される第1ハーフエッチング部である。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記第1ハーフエッチング部は、前記リブの両側から前記マスクのエッジに延びる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記マスクの両端は、引張力が印加された状態で対向して配されたフレームに溶接される。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記マスクフレームは、一方向に互いに対向して配された複数の第1フレームと、他方向に互いに対向して配された複数の第2フレームとを備え、前記複数の第1フレームと複数の第2フレームとは互いに連結されて、開口部を取り囲むように形成される。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記マスクは、複数の第1フレームと平行な方向に固設され、複数の第2フレームに連続的に配列される。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記マスクは、前記マスクフレームの開口部を横切って一方向に配された少なくとも一つの分割マスクを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーは、次のような効果を得ることができる。
【0021】
第1に、マスクの蒸着用パターン部の周辺部に変形防止部が形成されることで、マスクの垂直方向の変形を低減させることができる。これにより、基板へのマスクの密着不良を最小化する。
【0022】
第2に、基板に対するマスクの密着性を向上させることができるので、蒸着品質が向上する。これにより、画質不良を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーを示す斜視図である。
【図2】図1の分割マスクを示す平面図である。
【図3】図2の分割マスクの一変形例を部分的に示す平面図である。
【図4】図2の分割マスクの他の変形例を部分的に示す平面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による分割マスクを一部切開して示す斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線の断面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に他の分割マスクを一部切開して示す斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線の断面図である。
【図9】図7のIX−IX線の断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態による分割マスクを部分的に示す平面図である。
【図11】本発明のマスクフレームアセンブリーを利用して蒸着する状態を示す構成図である。
【図12】本発明のマスクフレームアセンブリーを利用して蒸着形成されたOLEDの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、多様な変換を加えることができ、色々な実施形態を持つことができるところ、特定実施形態を図面に例示して詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。本発明を説明するに当たって、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0025】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようという意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で“含む”または“持つ”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせた物の存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されねばならない。
【0026】
以下、本発明による薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリーの実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素は同じ図面番号を付け、これについての重なる説明は省略する。
【0027】
通例的なOLEDに適用されるフォトリソグラフィ法は、基板上の一部領域にフォトレジストを塗布することでウェットエッチングする方法である。しかし、フォトリソグラフィ法は、フォトレジストを剥離する過程で水分が有機発光層などに流れ込む恐れがある。これにより、完成されたOLEDの性能及び寿命特性を顕著に劣化させる恐れがある。
【0028】
前記問題点を解決するための方法のうち一つが蒸着法である。蒸着法は、基板上に形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(Fine Metal Mask、FMM)を整列し、薄膜の原材料を蒸着して所望のパターンの薄膜を形成する。
【0029】
蒸着用マスクとしては、マスクフレームに結合された1枚のマスク中に、基板の全面に対応する薄膜パターンが形成された大型マスクが使われる。しかし、FMMが大面積化すれば、パターン形成のためのエッチング誤差も大きくなる。これにより、画質不良が発生する。
【0030】
最近は、マスクを複数のスティック形状に分割して製造した後、これをマスクフレームに貼り付けて使用する分割マスクが使われている。分割マスクをマスクフレームに貼り付ける時には、マスクを長手方向に引っ張った状態でマスクフレームに溶接する。
【0031】
しかし、分割マスクを使用する場合にも、蒸着用パターン部の周辺部で蒸着不良による画質不良が発生する。これらの主要原因としては、基板に対するマスクの密着不良を挙げることができる。
【0032】
すなわち、分割マスクを引っ張る時、複数の蒸着用パターン部が下方に下がりつつ、蒸着用パターン部の周辺部、特に隣接する蒸着用パターン部間の領域であるリブが相対的に突出するので、基板に対するマスクの密着が円滑になされない。したがって、マスクの変形を最小化させる必要がある。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態によるマスクフレームアセンブリー100を示したものであり、図2は、図1の分割マスク120を示したものである。
【0034】
図1及び図2を参照すれば、前記マスクフレームアセンブリー100は、マスクフレーム110、及び複数の分割マスク120を持つマスク130を備える。
【0035】
前記マスクフレーム110には開口部115が形成され、前記開口部115を取り囲むように複数のフレーム111ないし114が互いに連結されて形成される。
【0036】
前記フレーム111ないし114は、X方向に沿って互いに対向し、Y方向に沿って平行に配された第1フレーム111及び第2フレーム112と、Y方向に沿って互いに対向し、かつX方向に沿って平行に配された第3フレーム113及び第4フレーム114とを備える。前記第1フレーム111、第2フレーム112、第3フレーム113、及び第4フレーム114は、互いに連結されて四角枠を形成する。
【0037】
一方、前記マスクフレーム110は、マスク120の溶接時に変形の少ない素材、例えば、剛性の大きい金属からなることが望ましい。
【0038】
前記マスクフレーム110上にはマスク130が結合されている。前記マスク130を利用して高精密度のパターニングを行うためには、マスク130と、前記マスク130の上部に位置する基板140との密着性を高めてシャドー現象を低減させねばならない。したがって、前記マスク130は、薄板で形成されることが望ましい。前記マスク130の素材としては、ステンレススチール、インバー(Invar)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ニッケル合金、ニッケル−コバルト合金などが使われる。
【0039】
前記マスク130は、自重によって下がる現象を防止するために、Y方向に分離された複数の分割マスク120を利用できる。本実施形態では、ストライプ形状の分割マスク120を中心として説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記マスク130の幅が引張方向である長手方向より小さな形状のマスクのうちいずれか一つの形状であるが、構造に限定されるものではない。
【0040】
前記分割マスク120は、引張方向であるX方向に対して垂直方向であるY方向に沿って複数に分離されている。すなわち、それぞれの分割マスク120の両端部は、第1フレーム111及び第2フレーム112にそれぞれ固定され、それぞれの分割マスク120は、Y方向に連続的に配列されて前記開口部115をカバーしている。
【0041】
ここで、前記分割マスク120の少なくとも一領域には、蒸着用基板140に対する分割マスク120の接触変形を防止する変形防止部が形成されている。
さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0042】
図面を参照すれば、前記分割マスク120は、ストライプ形状の金属プレートである。前記分割マスク120には、長手方向に沿って離隔して複数の蒸着用パターン部121がパターン化した蒸着領域125が形成されている。前記蒸着用パターン部121には、複数のストリップ形状のスリットがパターン化している。前記蒸着用パターン部121に形成されたパターン形状は、ストリップ形状のスリットパターン以外にもドット形状のスリットパターンなどいずれか一つに限定されるものではない。
【0043】
前記蒸着用パターン部121は、電鋳法で形成することで微細なパターニング及び表面平滑性を得ることができる。代案としては、前記蒸着用パターン部121は、エッチング法やレーザー加工などによって製造できる。エッチング法によって製造される場合、前記蒸着用パターン部121は、フォトレジストを利用して前記蒸着用パターン部121と同じパターンを持つレジスト層を薄板に形成するか、またはパターンを持っているフィルムを薄板に付着した後、薄板をエッチングすることで形成することができる。
【0044】
隣接する蒸着用パターン部121の間にはリブ122が形成されて、複数の蒸着領域125を互いに連結させている。前記リブ122は、前記分割マスク120が引っ張られる方向であるX方向に沿って前記蒸着領域125の間に形成された領域である。前記分割マスク120の幅方向の両エッジには枠部123が形成されている。前記分割マスク120の両端部には溶接部124が形成されている。
【0045】
前記分割マスク120は、前記開口部115を横切ってX方向に配される。前記分割マスク120は、X方向に所定の引張力が印加された状態で、第1フレーム111及び第2フレーム112に対して溶接部124が溶接される。これにより、前記マスク130は、前記マスクフレーム110に対して固定される。
【0046】
この時、前記リブ122には変形防止部が形成されている。前記変形防止部は、前記リブ122に形成されるダミーパターン部210に該当する。前記ダミーパターン部210の長手方向(すなわち、Y方向)への間隔G1は、前記蒸着用パターン部121の長手方向への間隔G2より狭く形成される。前記ダミーパターン部210の間隔G1がさらに狭いのは、相対的に前記蒸着用パターン部121が形成された蒸着領域125を増大させて、所望サイズのディスプレイ領域を確保するためである。
【0047】
前記ダミーパターン部210の形状は、前記蒸着用パターン部121の形状と同一に形成することが、マスク130の製造工程上有利である。これにより、前記ダミーパターン部210はストリップ型のスリットパターンであるか、またはドット型のスリットパターンでありうる。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、前記ダミーパターン部210に多様な形状のパターンが適用できるということはいうまでもない。
【0048】
一方、前記ダミーパターン部210に対応する蒸着用基板140へのパターンの蒸着を所望しない場合、蒸着時に前記ダミーパターン部210を遮蔽マスクなどによって遮断できる。
【0049】
本出願人の実験によれば、従来のようにダミーパターン部が形成されていないマスクフレームアセンブリーを利用する場合、分割マスクに所定の引張力が印加された状態でマスクフレームに固定させる時、蒸着用パターン部が形成された蒸着領域が下方に下がる現象によって、蒸着領域に対してリブが10μmほど蒸着用基板に向かって相対的に突出する変形が発生する。
【0050】
これに対して、本実施形態のように、前記分割マスク120を持つマスク130を適用する場合、前記蒸着用パターン部121が形成された蒸着領域125と、前記リブ122に形成されたダミーパターン部210が形成された領域とで同一に変形が発生するので、前記蒸着領域125に対してダミーパターン部210が形成されたリブ122が、蒸着用基板140に向かって相対的に突出せずに、前記蒸着用パターン部121と同じ高さを維持する。
【0051】
したがって、前記分割マスク120の平坦性を向上させることができるので、蒸着用基板140に対してマスク130の接触不良を解消できる。これにより、パターンの位置精密度を向上させることができ、蒸着品質を高めることができる。
図3は、図2の分割マスク120の一変形例を示したものである。
【0052】
図面を参照すれば、分割マスク310には、長手方向に沿って複数の蒸着用パターン部311がパターン化した蒸着領域315が形成されている。前記蒸着用パターン部311には、複数のストリップ形状のスリットがパターン化している。
【0053】
隣接する蒸着用パターン部311の間にはリブ312が形成されて、複数の蒸着領域315を互いに連結させている。前記リブ312は、分割マスク310が引っ張られる方向に沿って前記蒸着領域315の間に形成された領域である。前記分割マスク310の幅方向の両エッジには枠部313が形成されている。
【0054】
この時、前記蒸着用パターン部311が形成された蒸着領域315の周辺部には変形防止部が形成されている。前記変形防止部は、前記リブ312に形成される第1ダミーパターン部314と、前記枠部313に形成される第2ダミーパターン部316とを備える。
【0055】
前記第1ダミーパターン部314の長さは、図2のダミーパターン部122と同様に前記蒸着用パターン部311より短い長さを持ち、前記第1ダミーパターン部314の形状は、前記蒸着用パターン部311の形状と実質的に同一である。
【0056】
前記第2ダミーパターン部316は、前記枠部313に形成されるストリップ型のスリットパターンであるか、またはドット形状のスリットパターンでありうる。
【0057】
前記第2ダミーパターン部316は、前記分割マスク310の両エッジに沿って延びて形成されるか、または前記蒸着領域315の両エッジのみに形成され、前記リブ312から幅方向に延びる前記分割マスク310の両エッジ部分317には形成されていない。これは、前記リブ312から前記分割マスク310の両エッジに延びる領域317には、支持台などの他の部材が設けられる場合に溶接するためである。
図4は、図2の分割マスクの他の変形例を示したものである。
【0058】
図面を参照すれば、分割マスク410には、長手方向に沿って複数の蒸着用パターン部411がパターン化した蒸着領域415が形成されている。隣接する蒸着用パターン部411の間にはリブ412が形成されて、隣接する蒸着領域415を互いに連結させている。前記分割マスク410の幅方向の両エッジには枠部413が形成されている。
【0059】
この時、前記蒸着用パターン部411が形成された蒸着領域415の周辺部には変形防止部が形成されている。前記変形防止部は、前記リブ412に形成されたダミーパターン部414と、前記枠部413に形成されたハーフエッチング部416と、を備える。
【0060】
前記ダミーパターン部414の長さは、前述したように蒸着用パターン部411より短く、前記ダミーパターン部414の形状は、前記蒸着用パターン部411の形状と実質的に同一である。
【0061】
前記ハーフエッチング部416は前記枠部413に形成されるものであって、前記ハーフエッチング部416が形成された部分の厚さを分割マスク410の他の部分の厚さより薄く形成することで形成される。前記ハーフエッチング部416のエッチング面は、パターニングしようとする蒸着用基板(図1の140)の接触面と反対の面である。前記ハーフエッチング部416についての内容は、後述する実施形態で詳細に説明する。
【0062】
以上の構造を持つ分割マスク410を採用する場合、前記蒸着用パターン部411が形成された蒸着領域415に対して、前記リブ412に形成されたダミーパターン部414が蒸着用基板140に向かって相対的に突出する変形を低減させて平坦性を維持すると同時に、前記枠部413に形成されたハーフエッチング部416によって追加的な変形を防止できる。
【0063】
図5は、本発明の他の実施形態による分割マスク510を示したものであり、図6は、図5のVI−VI線に沿って切開して示したものである。
【0064】
図5及び図6を参照すれば、前記分割マスク510には、長手方向に沿って離隔して複数の蒸着用パターン部511がパターン化した蒸着領域515が形成されている。前記蒸着用パターン部511には、複数のストリップ形状のスリットがパターン化している。
【0065】
隣接する蒸着領域515の間にはリブ512が形成されて、複数の蒸着領域515を互いに連結させている。前記リブ512は、前記分割マスク510が引っ張られる方向に前記蒸着領域515の間に形成された領域である。前記分割マスク510の幅方向の両エッジには枠部513が形成されている。前記分割マスク510の端部には溶接部518が形成されている。
【0066】
この時、前記蒸着領域515の周辺部には変形防止部が形成されている。前記変形防止部は、前記リブ512に形成されるハーフエッチング部514に該当する。前記ハーフエッチング部514は、蒸着用基板140が載置される第1面501と反対の第2面502から、前記リブ512が形成された領域をハーフエッチングすることで形成される。前記ハーフエッチング部514の厚さt1は、前記分割マスク510の他の部分の厚さt2の1/2ほどの厚さを持つ。
【0067】
本出願人の実験によれば、従来のようにダミーパターン部が形成されていないマスクフレームアセンブリーを利用する場合、分割マスクに所定の引張力が印加された状態でマスクフレームへの固定時、蒸着用パターン部が形成された蒸着領域が下方に下がる現象によって、蒸着領域に対してリブが10μmほど蒸着用基板に向かって相対的に突出する変形が発生する。
【0068】
これに対して、本実施形態のように分割マスク510を適用する場合、前記蒸着用パターン部511が形成された蒸着領域515に比べて、前記リブ512に形成されたハーフエッチング部514が形成された領域がかえって下方に3μmさらに下がる。
【0069】
このように、前記蒸着領域515では基板140が密着されることで、前記基板140に対する蒸着領域515の面接触ができるので、蒸着品質を向上させることができる。一方、蒸着が要求されていないリブ512では、基板140とは間隔が発生するが、実質的な蒸着がなされない部分であるため、蒸着品質には影響を及ぼさなくなる。
【0070】
図7は、本発明のさらに他の実施形態による分割マスク710を示したものであって、図8は、図7のVIII−VIII線に沿って切開して示したものであり、図9は、図7のIX−IX線に沿って切開して示したものである。
【0071】
図7ないし図9を参照すれば、前記分割マスク710には、長手方向に沿って複数の蒸着用パターン部711がパターン化した蒸着領域715が形成されている。前記蒸着用パターン部711には複数のストリップ形状のスリットがパターン化している。
【0072】
隣接する蒸着領域715の間にはリブ712が形成されて、複数の蒸着領域715を互いに連結させている。前記分割マスク710の幅方向の両エッジには枠部713が形成されている。
【0073】
この時、前記蒸着領域715の周辺部には変形防止部が形成されている。前記変形防止部は、前記リブ712に形成される第1ハーフエッチング部714と、前記枠部713に形成される第2ハーフエッチング部716とを備える。
【0074】
前記第1ハーフエッチング部714は、図5のハーフエッチング部514と同様に、蒸着用基板140が載置される第1面701と反対の第2面702から、前記リブ712が形成された領域をハーフエッチングすることで形成される。前記第1ハーフエッチング部714の厚さt1は、前記分割マスク710のハーフエッチングされていない部分の厚さt2の1/2ほどの厚さを持つ。
【0075】
前記第2ハーフエッチング部716は、前記蒸着領域715の両エッジに該当する部分に形成される。前記第2ハーフエッチング部716も、第1ハーフエッチング部714と同様に、前記第2面702から前記枠部713をハーフエッチングすることで形成される。前記第2ハーフエッチング部716の厚さt3は、前記分割マスク710のハーフエッチングされていない部分の厚さt1の1/2ほどの厚さを持つ。
【0076】
一方、前記第1ハーフエッチング部714が形成されたリブ712から前記分割マスク710の両エッジに延びる領域717には、ハーフエッチングされていない。これは、支持台などの他の部材と設けられる場合の溶接などの工程のためである。
【0077】
本出願人の実験によれば、従来のようにダミーパターン部が形成されていないマスクフレームアセンブリーを利用する場合には、マスクに所定の引張力が印加された状態でマスクフレームへの固定時、蒸着用パターン部が形成された蒸着領域が下方に下がる現象によって、蒸着領域に対してリブが10μmほど蒸着用基板に向かって相対的に突出する変形が発生する。
【0078】
これに対して、本実施形態のように分割マスク710を適用する場合、前記蒸着用パターン部711が形成された蒸着領域715に比べて、前記リブ712に形成された第1ハーフエッチング部714が形成された領域と、枠部713に形成された第2ハーフに恥部716が形成された領域とは、かえって下方に1.5μmさらに下がる。
【0079】
したがって、前記蒸着領域715への蒸着用基板140の密着力が向上するにつれて、蒸着品質を向上させることができる。
図10は、図7の分割マスク710の変形例を示したものである。
【0080】
図面を参照すれば、分割マスク1000には、長手方向に沿って複数の蒸着用パターン部1011がパターン化した蒸着領域1015が形成されている。隣接する蒸着用パターン部1011の間にはリブ1012が形成され、分割マスク1000の幅方向の両エッジには枠部1013が形成されている。
【0081】
この時、前記蒸着用パターン部1011が形成された蒸着領域1015の周辺部には変形防止部が形成されている。前記変形防止部は、前記リブ1012に形成された第1ハーフエッチング部1014と、前記蒸着領域1015の両エッジに形成された第2ハーフエッチング部1016と、前記リブ1012から前記分割マスク1000の両エッジまで延びる部分に形成された第3ハーフエッチング部1017と、を備える。
【0082】
図7の分割マスク710とは異なって、本実施形態では、前記リブ1012から分割マスク1000の両エッジに延びる部分にもハーフエッチングされる。これにより、前記蒸着用パターン部1011が形成された蒸着領域1015の周囲にはハーフエッチングされた部分が包んでいる構造になる。
【0083】
図11は、本発明の一実施形態によるマスクフレームアセンブリー100を利用して蒸着する態様を示すものである。
【0084】
図面を参照すれば、前記マスクアセンブリー100を利用してOLEDの有機発光層や電極を蒸着するためには、真空チャンバ1100が設けられる。
【0085】
前記真空チャンバ1100の下部には蒸着源1110が位置し、前記蒸着源1110の上部にはマスクフレームアセンブリー100が設けられる。前記マスク130の上部には蒸着用基板140が位置している。前記マスクフレームアセンブリー100のエッジには、これらを固定するための別途の支持部材1120がさらに備えられる。
【0086】
前記基板140の所望する位置に蒸着物質が蒸着される過程を簡略に説明すれば、次の通りである。
【0087】
まず、前記マスクフレームアセンブリー100を支持部材1120に固定し、前記マスク130の上部に蒸着用基板140を位置させる。
【0088】
次いで、前記真空チャンバ1100の下部に位置する蒸着源1110から、蒸着物質を前記マスクフレームアセンブリー100に向かって噴射すれば、前記マスク130に形成された蒸着用パターン部(図2の121)によって、前記蒸着用基板140の一面には所望のパターンを持つように蒸着物質が蒸着される。
【0089】
この時、前記マスク130に備えられた各分割マスク120には、蒸着用パターン部121が形成された蒸着領域125の間の領域であるリブ122に変形防止部であるダミーエッチング部210が形成されているので、前記蒸着用基板140に対する前記蒸着領域125の密着が完全になされて、蒸着品質を向上させる。
【0090】
図12は、本発明の一実施形態によるマスクフレームアセンブリー100を利用して蒸着形成されたOLED 1200の副画素の一例を示したものである。
【0091】
ここで、副画素は、少なくとも一つのTFTとOLEDとを持つ。前記TFTは必ずしも図12の構造のみで可能なものではなく、その数及び構造は多様に変形できる。
【0092】
図面を参照すれば、基板1201上にはバッファ層1202が形成されている。前記基板1201は、ガラスやプラスチックからなる。前記バッファ層1202上には、所定パターンの半導体活性層1203が形成されている。前記半導体活性層1203の上部にはゲート絶縁膜1204が形成されており、前記ゲート絶縁膜1204の上部の所定領域にはゲート電極1205が形成されている。
【0093】
前記ゲート電極1205は、TFTのオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。前記ゲート電極1205の上部には層間絶縁膜1206が形成されており、コンタクトホールを通じてソース電極1207及びドレイン電極1208が、それぞれ半導体活性層1203のソース領域1209及びドレイン領域1210に接するように形成されている。
【0094】
前記ソース電極1207及びドレイン電極1208の上部には、SiO、SiNxなどからなるパッシベーション膜1211が形成されている。前記パッシベーション膜1211の上部には、アクリル、ポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)などの有機物質からなる平坦化膜1212が形成されている。
【0095】
前記平坦化膜1212の上部には、有機発光素子のアノードとなる画素電極1213が形成され、これを覆うように有機物からなる画素定義膜(Pixel Define Layer、PDL)1216が形成されている。前記画素定義膜1216には、所定の開口を形成した後で画素定義膜1216の上部及び開口が形成されて外部に露出された画素電極1213の上部に有機膜1214が形成されている。前記有機膜1214は発光層を含む。本発明は必ずしもこのような構造に限定されるものではなく、多様な有機発光装置の構造がそのまま適用できるということはいうまでもない。
【0096】
有機発光素子は、電流のフローによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、TFTのソース電極1207に連結されて、これからプラス電源を供給される第1電極である画素電極1213と、全体画素を覆うように備えられてマイナス電源を供給する第2電極である対向電極1215と、これら画素電極1213と対向電極1215との間に配されて発光する有機膜1214とを備える。
【0097】
前記画素電極1213と対向電極1215とは、有機膜1214によって互いに絶縁されており、有機膜1214に相異なる極性の電圧を加えて有機膜1214で発光を行わせる。
【0098】
前記画素電極1213はアノードの機能を行い、対向電極1215はカソードの機能を行う。もちろん、これら画素電極1213と対向電極1215との極性は逆になってもよい。
前記画素電極1213は、透明電極または反射型電極として備えられる。
【0099】
透明電極として使われる場合、ITO、IZO、ZnO、またはInからなり、反射型電極として使われる場合、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びこれらの化合物などで反射膜を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInを形成できる。
前記対向電極1215も、透明電極または反射型電極として備えられる。
【0100】
透明電極として使われる場合、前記対向電極1215がカソードとして使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物が有機膜1214の方向に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInなどの透明電極形成用物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。反射型電極として使われる場合、前記のLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。
【0101】
一方、前記画素電極1213は、前記透明電極または反射型電極として形成する時、各副画素の開口形態に対応する形態で形成できる。また、前記対向電極1215は、前記透明電極または反射型電極をディスプレイ領域全体に全面蒸着して形成できる。しかし、前記対向電極1215は必ずしも全面蒸着される必要はなく、多様なパターンで形成できるということはいうまでもない。前記画素電極1213と対向電極1215とは、互いに位置が逆に積層されてもよい。
前記有機膜1214は、低分子または高分子有機膜が使われる。
【0102】
低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成される。また、利用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc:copper phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N、N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス(8−ヒドロキシ−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は真空蒸着の方法で形成される。
【0103】
高分子有機膜を使用する場合、大体ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)を含む。ホール輸送層としてはPEDOTを使用し、発光層としてはPPV(Poly−Phenylenevinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法などで形成できる。
【0104】
このような有機膜は必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な実施形態が適用できるということはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0106】
110 マスクフレーム
111 第1フレーム
112 第2フレーム
113 第3フレーム
114 第4フレーム
115 開口部
120 分割マスク
130 マスク
140 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成され、前記開口部を取り囲むマスクフレームと、
前記マスクフレーム上に結合されるマスクと
を備え、
前記マスクの少なくとも一領域には変形防止部が形成された薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項2】
前記マスクには、長手方向に沿って蒸着用パターン部が離隔して形成され、隣接する蒸着用パターン部の間には、これらを互いに連結させるリブが形成され、
前記変形防止部は、前記リブに形成される第1ダミーパターン部である請求項1に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項3】
前記マスクには、前記蒸着用パターン部の幅方向の両エッジに第2ダミーパターン部がさらに形成された請求項2に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項4】
前記蒸着用パターン部、第1ダミーパターン部、及び第2ダミーパターン部は、ドット型のスリットパターンであるか、またはストリップ型のスリットパターンである請求項3に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項5】
前記マスクには、前記蒸着用パターン部の幅方向の両エッジにハーフエッチング部がさらに形成された請求項2に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項6】
前記ハーフエッチング部は、基板と対向するマスクの第1面と反対の第2面から、前記マスクの厚さを他の部分より薄く形成した請求項5に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項7】
前記第1面は、パターニングしようとする蒸着用基板への接触面である請求項6に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項8】
前記マスクには、長手方向に沿って蒸着用パターン部が離隔して形成され、隣接する蒸着用パターン部の間には、これらを互いに連結させるリブが形成され、
前記変形防止部は、前記リブに形成される第1ハーフエッチング部である請求項1に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項9】
前記第1ハーフエッチング部は、前記リブの両側から前記マスクのエッジに延びた請求項8に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項10】
前記第1ハーフエッチング部は、基板と対向するマスクの第1面と反対の第2面から、前記マスクの厚さを他の部分より薄く形成した請求項9に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項11】
前記マスクには、前記蒸着用パターン部の幅方向の両エッジに第2ハーフエッチング部がさらに形成された請求項8に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項12】
前記第1ハーフエッチング部と、第2ハーフエッチング部とは、基板と対向するマスクの第1面と反対の第2面から、前記マスクの厚さを他の部分より薄く形成した請求項11に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項13】
前記第1面は、パターニングしようとする蒸着用基板への接触面である請求項12に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項14】
前記マスクの両端は、引張力が印加された状態で対向して配されたフレームに溶接された請求項1に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項15】
前記マスクフレームは、一方向に互いに対向して配された複数の第1フレームと、他方向に互いに対向して配された複数の第2フレームとを備え、
前記複数の第1フレームと複数の第2フレームとは互いに連結されて、開口部を取り囲むように形成された請求項1に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項16】
前記マスクは、複数の第1フレームと平行な方向に固設され、複数の第2フレームに連続的に配列された請求項14に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。
【請求項17】
前記マスクは、前記マスクフレームの開口部を横切って一方向に配された少なくとも一つの分割マスクを備える請求項1に記載の薄膜蒸着用のマスクフレームアセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−229484(P2012−229484A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252565(P2011−252565)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】