薬剤供給装置
【課題】包装紙等に薬剤を放出するノズル内における薬剤詰まりを効果的に解消できる薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズル24と、このノズル24内に回動自在に設けられ、当該ノズル24内の薬剤落下通路34を開閉するシャッター37と、ノズル24内の薬剤落下通路34に臨んで回動自在に設けられたローラ9とを備える。ローラ9はシャッター37に対向する高さの位置に設けられ、当該シャッター37の開閉に連動して回動する。
【解決手段】薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズル24と、このノズル24内に回動自在に設けられ、当該ノズル24内の薬剤落下通路34を開閉するシャッター37と、ノズル24内の薬剤落下通路34に臨んで回動自在に設けられたローラ9とを備える。ローラ9はシャッター37に対向する高さの位置に設けられ、当該シャッター37の開閉に連動して回動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は病院や調剤薬局などにおいて、タブレットケースに収納された薬剤を包装紙や瓶等に供給するための薬剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より病院や調剤薬局においては、薬剤供給装置を用いて、医師により処方された薬剤を患者に提供している。係る方法では処方箋に記載された数量の薬剤(錠剤、カプセル剤など)をタブレットケース内の排出ドラムから1個ずつ排出し、ホッパーにより集め、その後、ノズルを介して半折りされた包装紙の間に放出し、一包毎に包装するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−103402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、半折りされた包装紙の間に薬剤を放出し、投入するためのノズル内には、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉して薬剤の投入を制御するためのシャッターが設けられる。一方で、ノズル内の薬剤落下通路は深さ(幅)の浅い包装紙内にでも薬剤を投入可能とするために出口が狭くなるように構成される場合がある。係る場合に、寸法の長いカプセルなどの薬剤を排出すると、ノズル内に薬剤が詰まってしまうことがあると云う問題があった。
【0004】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、包装紙等に薬剤を放出するノズル内における薬剤詰まりを効果的に解消できる薬剤供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターと、ノズル内の薬剤落下通路に臨んで回動自在に設けられたローラとを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明の薬剤供給装置は、上記においてローラはシャッターに対向する高さの位置に設けられ、当該シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明の薬剤供給装置は、請求項1においてノズル内の薬剤落下通路は出口側が狭められていると共に、ローラは当該薬剤落下通路が狭くなる位置に設けられ、シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明の薬剤供給装置は、上記各発明においてローラ表面の摩擦係数を大きくしたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、当該開放状態において下端側に行くほど対向するノズルの壁面より離間することを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から下端部が斜め下方に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、上端部は当該シャッターが開放される回動によって薬剤を下方に付勢する形状を呈していることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、対向するノズルの壁面には、シャッター側に向かう突出部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターと、ノズル内の薬剤落下通路に臨んで回動自在に設けられたローラとを備えているので、ローラに当接した状態でノズル内に薬剤が詰まった場合には、ローラの回動によって薬剤の姿勢を変えることができる。これにより、ノズル内における薬剤の詰まりを効果的に解消して円滑に落下させることが可能となる。
【0013】
特に、請求項2の発明の如くローラをシャッターに対向する高さの位置に設け、当該シャッターの開閉に連動して回動させるようにすれば、シャッターとローラとの間にブリッジされたかたちで薬剤が停止した場合、シャッターの開放に伴ってローラが回動することで、当該薬剤の姿勢は変えられ、ブリッジは解消される。これにより、開放されたノズル内の薬剤落下通路を薬剤は支障無く落下することになる。
【0014】
また、ノズル内の薬剤落下通路の出口側が狭められている場合には、請求項3の発明の如くローラを当該薬剤落下通路が狭くなる位置に設け、シャッターの開閉に連動して回動させることで、シャッターが開放されて落下した薬剤がノズル内の薬剤落下通路が狭くなる部分で詰まった場合に、シャッターが閉じる動作に連動してローラが回動することにより、当該薬剤の姿勢が変えることになる。これにより、ノズルの出口から薬剤は支障無く落下することになる。
【0015】
そして、請求項4の発明の如くローラ表面の摩擦係数を大きくすれば、ローラの回動によって当該ローラに当接した薬剤の姿勢を確実に変えることができるようになり、ノズル内の薬剤詰まりを一層確実に解消することが可能となるものである。
【0016】
請求項5の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、当該開放状態において下端側に行くほど対向するノズルの壁面より離間するので、シャッターが開放された場合に、当該シャッターとそれに対向するノズルの壁面との間の薬剤落下通路は下方に行くほど広くなることになる。
【0017】
これにより、シャッターが開放されて薬剤落下通路を落下する薬剤が、開放された状態のシャッターと対向するノズルの壁面間に詰まり難くなるものである。
【0018】
請求項6の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から下端部が斜め下方に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、上端部は当該シャッターが開放される回動によって薬剤を下方に付勢する形状を呈しているので、シャッターが閉じた状態でその上端部とノズルの壁面間にブリッジされたかたちで薬剤が停止した場合、シャッターの開放に伴ってその上端部により薬剤は下方に付勢され、当該薬剤の姿勢は変えられてブリッジは解消される。これにより、開放されたシャッターを経てノズル内の薬剤落下通路を薬剤は支障無く落下することになり、ノズル内における薬剤詰まりは解消される。
【0019】
請求項7の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、対向するノズルの壁面には、シャッター側に向かう突出部が形成されているので、シャッターが閉じた状態で、突出部上とシャッター間にブリッジされたかたちで薬剤が停止した場合、シャッターの開放に伴って薬剤はシャッター側から下方に落下するようになる。これにより、薬剤の姿勢は変えられ、開放されたシャッターを経てノズル内の薬剤落下通路を支障無く落下することになり、ノズル内における薬剤詰まりは解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明の一実施例の薬剤供給装置1の斜視図、図2は下パネル4を開放した状態の薬剤供給装置1の斜視図、図3は薬剤供給装置1の包装機13の斜視図である。
【0022】
この実施例の薬剤供給装置1は、病院や調剤薬局などに設置されるものであり、縦長矩形状の本体7と後述する制御用のパソコン等から構成される。本体7は、例えば相互に分離可能な上部構造体7Aと下部構造体7Bとから構成されており、下部構造体7B上に上部構造体7Aが積層されて連結された構造とされている。そして、この上部構造体7A内には薬剤が収納された図示しないタブレットケースを収納するために前方並びに下方が開放したケース収納部が構成されている。
【0023】
また、下部構造体7Bは前面及び上面が開放しており、上面において上部構造体7Aと連通する。そして、この下部構造体7B内には後述する充填装置として包装機13等が収納設置されると共に、前面の開口は観音開き式の下パネル4、4によって開閉自在に閉塞されている。
【0024】
前記上部構造体7A内のケース収納部には、左右4列、上下4段(合わせて16個)の棚2・・・が架設されている。各棚2の前端には扉パネル6がそれぞれ取り付けられており、全ての棚2・・・がケース収納部内に収納された状態で各扉パネル6・・・が上部構造体7Aの前面開口を閉塞する。棚2の中央には上下に開放した通路が前後に渡って形成されており、この通路の左右両側に前記タブレットケースが前後方向に複数並設して取り付けられている。
【0025】
尚、図示しないタブレットケースは棚2に設けられた駆動ベースとその上に連結される着脱自在の収納容器とから構成される。このタブレットケースの駆動ベース内にはドラムモータと光学式の薬剤検出センサが取り付けられ、また、排出シュートが形成されている。そして、この排出シュートは棚2の通路内に連通開口している。また、図1において3はコントロールパネルである。
【0026】
図示しないタブレットケースの収納容器は上面を開口しており、この開口は開閉自在の蓋にて閉塞されている。また、収納容器内底部には前記排出ドラムが取り付けられており、この排出ドラムの側面周囲には複数の縦溝が所定の間隔で形成されている。この排出ドラムが前記ドラムモータで回転され、薬剤が1個ずつ排出シュートから棚2の通路に排出される。この薬剤の排出は前記薬剤検出センサで検出され、カウントされることになる。
【0027】
また、各棚2・・・が上部構造体7Aのケース収納部内に収納された状態で、上下に位置する各棚2・・・の通路は相互に対応し、それによって上下に連通した一連のシュートを構成する。従って、実施例では上下に渡る左右4列のシュートが上部構造体7A内に構成されることになる。
【0028】
一方、本体7の下部構造体7B内には、前述した如く包装機13(充填装置)が収納されている。この包装機13の構造については後に詳述するが、包装機13は図2下に示す如く底部左右に取り付けられた引出レール8により、下パネル4、4を開放した状態で、下部構造体7B内から前方に引出自在とされている。
【0029】
この下部構造体7B内の上部には図示しない二つの一次シャッターが左右に並設されている。各シャッターはその上方の上部構造体7A内の前記各シュートの下方に対応している。そして、各シュートから後述するシャッター下方の図示しないホッパーに落下する薬剤を一時受け止める役割を果たす。そして、各シャッターの下方に対応して前記ホッパーが下部構造体7B内に設けられている。このホッパーは、上面が広く開口し、下端に向けて窄まった矩形漏斗状を呈しており、前記各シュートから落下してシャッターを通過した薬剤を受け止め、下端開口から排出するものである。
【0030】
次に、図3を用いて前記包装機13の構成について説明する。21は熱溶着可能な包装紙22(容器を構成する)を巻回したロールであり、23はプリンタ、24は前記ホッパーの下端開口に取り付けられたノズル、26はシリコンゴムから成る熱シールヘッド、27はロール21から引き出された包装紙22を搬送するローラ、29は包装紙22を切断するカッター、31は分包化されて切断された包装紙22を下パネル4に設けられた取出口32(図1)まで搬送するコンベアであり、包装紙22の搬送経路に沿って順次設けられている。
【0031】
ロール21に巻回された包装紙22は上面が開き、下端で折られた(半折り)断面略V字状を呈しており、ローラ27等によってロール21から一旦右斜め上方に引き出され、更に、そこから向かって右斜め下方に引き出された後、プリンタ23により後述する如くその表面に印字が成される。次に、ノズル24から放出された薬剤が包装紙22内に投入され、熱シールヘッド26による熱溶着で、包装紙22は一包毎に区画される。区画されて分包化された包装紙22は次にカッター29で切断され、コンベア31で向かって左上方の取出口32に搬送されるものである。
【0032】
次に、前記ノズル24について図4乃至図9を参照して説明する。図4はノズル24周辺の部品の斜視図、図5はその分解斜視図である。ノズル24は前記ホッパーの下側に位置して略垂直に設けられている。このノズル24は上下が開口した矩形筒状を呈しており、その先端(下端)の出口部分は奥側の壁を階段状に手前側に寄せて前後の幅が上端の入口側より狭い狭幅部33とされ、この狭幅部33の下端がノズル24内に構成される薬剤落下通路34の出口34Aとして開口している。
【0033】
尚、実施例のノズル24内上部の薬剤落下通路34の奥行き内寸は例えば30mm、狭幅部33の奥行き寸法は例えば21mmとされている。また、包装紙22の深さ(幅)寸法は通常74mmと43mmのものが使用されるが、この浅い方の包装紙22でもノズル24を挿入できるように狭幅部33が構成されている。
【0034】
そして、この狭幅部33には包装紙ガイド36が設けられている。この包装紙ガイド36は先細りの断面略V字状を呈しており、包装紙22の進行方向(左上から右下方への略45度傾斜方向)に対して直交する向きとされ、且つ、包装紙22の進行方向における上流側(向かって左上側)に位置している(図3)。
【0035】
そして、係るノズル24の上端開口は前記ホッパーの下端開口に対向し、ノズル24は包装紙ガイド36の下端から包装紙22内に挿入される。この場合、包装紙ガイド36は断面V字状を呈しているので、前述の如く半折りされた包装紙22の上面開口側から挿入し易い。また、ノズル24が包装紙22内に挿入されることで、その前後方向の寸法分、包装紙22は進行方向左右に膨らむかたちとなるが、先細りの包装紙ガイド36が設けられて包装紙22内に挿入されるので、包装紙22に生じる皺や弛みは防止若しくは最小限に抑えられる。
【0036】
このようにノズル24が包装紙22内に挿入されることで、ホッパーにて受け止められた薬剤はノズル24内に入った後、内部に構成される薬剤落下通路34を経て出口34Aから放出され、包装紙22内に投入されることになる。このとき、包装紙22の底部は包装紙ガイド36によって膨らむことになるので、多量の薬剤を投入しても弛みや皺が生じる不都合が防止若しくは抑制される。
【0037】
更に、係るノズル24内には当該ノズル24内の薬剤落下通路34を開閉するための二次シャッター37が設けられている。このシャッター37は、ノズル24内の狭幅部33上側に位置しており、ノズル24内の奥側における狭幅部33上方に位置した左右方向(包装紙22の進行方向)の駆動軸(シャッター37開閉の駆動軸)38を中心として回動自在とされている。シャッター37は図5に示す如くノズル24内の薬剤落下通路34の左右方向の内寸より動作用のクリアランス分小さい幅を有した板材であり、その中央部背面から上方に向かう腕部39の透孔39Aに前記駆動軸38が挿入固定される。
【0038】
また、図6の如く駆動軸38より下側の部分が垂下する状態とされたときに駆動軸38より上側となる部分は同図に示すように所定曲率で湾曲しながら後退した後、更に小さい曲率で湾曲しながら斜め上方に前進するように連続して屈曲されており、それにより駆動軸38より上のシャッター37上端部には、図6の垂下状態で上方に行くに従い滑らかに湾曲しながら後退した後、斜め前方に延在する形状の抑え部37Aが構成されている。尚、駆動軸38より下側の部分は略平板状に降下する形状を呈している。
【0039】
係るシャッター37は、図7中破線で示す如く駆動軸38側からそれに対向するノズル24の手前側の壁24A(狭幅部33の手前側の壁)の内面に向かってその先端部(下端部)が斜め下方に延在した状態で(このときシャッター37の先端部は壁24Aの内面に当接するか近接する)、ノズル24内の薬剤落下通路34を閉鎖する(閉鎖状態)。このとき、抑え部37Aの先端は略上方に向いた状態となっている。そして、駆動軸38を中心として図7中反時計回りに回動され、同図に実線で示すように略垂下した状態となったときにシャッター37は薬剤落下通路34を開放する(開放状態)。このとき、抑え部37Aの先端は斜め上前方に指向する状態となる。
【0040】
尚、この開放状態(図7に実線で示す状態)で、シャッター37の先端部(下端部)は狭幅部33の奥側の壁の内面に当接する状態まで回動される。この状態では、駆動軸38より下側となる部分は、垂下状態よりも所定の角度Xだけ後方に斜めに延在する。これにより、シャッター37は先端側(下端側)に行くほど対向する壁24Aの内面より離間し、薬剤落下通路34は下方に行くほど広くなることになる。
【0041】
更に、ノズル24の壁24A側にはローラ9が取り付けられている。このローラ9はノズル24内の薬剤落下通路34の左右方向の内寸より動作用のクリアランス分小さい幅を有した円柱体であり、例えばゴム等の表面摩擦係数の大なる材料にて構成され、その円柱の軸を貫く左右方向の回動軸44を中心としてノズル24に回動自在に取り付けられている。尚、ローラ9の表面には軸方向に渡って幅及び深さ0.5mm〜1mm程の溝が複数形成されており、それによって、その表面摩擦係数は更に大きくされている。
【0042】
このとき、ローラ9はシャッター37に対向する高さの位置に配置されており、ノズル24の手前側の壁24Aから少許内側に突出し、薬剤落下通路34内に臨んでいる(図7)。また、このローラ9の回動軸44は、シャッター37の駆動軸38より所定寸法Yだけ上側にずれた位置とされていると共に(図9)、図8に示すように回動軸44は開放状態において最も壁24A側となるシャッター37の部分と同じ高さとされ、それらの間隔は実施例では21mm程とされている。また、ローラ9の回動軸44の向かって右側はノズル24から出てクランク状とされている。
【0043】
図4、図5において41は上記シャッター37及びローラ9を駆動するためのソレノイドであり、ベース51に取り付けられている。シャッター37の駆動軸38はこのソレノイド41のプランジャー41Aに取り付けられたアーム42に回動自在に取り付けられたリンク部材43に取り付けられ、ローラ9の回動軸44はアーム42の先端に回動自在に係合されている。また、ベース51に取り付けたポール52とリンク部材43間にはコイルバネ53が掛け渡されており、常時プランジャー41Aを突出させる方向に付勢している。そして、ソレノイド41が通電され、コイルバネ53に抗してプランジャー41Aが引き込まれると、駆動軸38を介してシャッター37は図7中反時計回りに回動され(前述した開放状態)、ローラ9は図7中時計回りに所定角度回動される。また、ソレノイド41が非通電となってコイルバネ53によりプランジャー41Aが突出すると、シャッター37は図7中時計回りに回動され(前述した閉鎖状態)、ローラ9は図7中反時計回りに所定角度回動されることになる。
【0044】
尚、図4乃至図9において46はローラ9の上側においてノズル24に着脱可能に取り付けられ、壁24Aの一部を構成する壁部材であり、ローラ9を取り付けた後にノズル24に取り付けられる。ローラ9はこの壁部材46とその下方の壁24Aの間からその一部が薬剤落下通路34内に臨むことになる。また、47はノズル24の上端に取り付けられた漏斗状の枠部材である。また、48はソレノイド41の動作を検出して動作状態を確認するためのセンサである。
【0045】
以上の構成で本発明の薬剤供給装置1の動作を説明する。尚、電源投入状態において前記各シャッターは閉じているものとする。また、上部構造体7Aのケース収納部内には、それぞれ所定の薬剤(実施例では散剤(粉剤)以外の全ての錠剤)が収納された前記タブレットケースが取り付けられた棚2・・・が前述の如く取り付けられているものとする。
【0046】
作業者が医師の処方箋に基づき、前記パソコンから処方データを入力すると、薬剤供給装置1の制御装置は、当該処方データに基づいて指定された薬剤が収納されたタブレットケースを特定し、そのドラムモータを駆動して前記排出ドラムを回転させ、薬剤を1個ずつ排出する。このとき排出された薬剤(図7〜図9にDで示す。)は、前記薬剤検出センサにて検出され、カウントされる。そして、所定量(実施例では1個)が排出された段階でドラムモータを停止する。排出された薬剤Dはタブレットケースの排出シュートから前記通路によって構成されるシュート内に入り、前記一次シャッターに一時受け止められる。
【0047】
そして、制御装置は一次シャッターを開放し、薬剤Dを前記ホッパー内に落下させる。ホッパーに落下した薬剤は下端開口から出てノズル24内に入り、図7〜図9中破線で示す如く閉じている二次シャッター37上に受け止められる。次に制御装置はソレノイド41に通電してプランジャー41Aを引き込み、前述した如くシャッター37を図7〜図9中反時計回りに回動させて開放状態とする。このとき、ローラ9は図8に矢印で示すように時計回りに所定角度回動する。
【0048】
このシャッター37の開放によって薬剤Dは薬剤落下通路34内を下方に落下し、出口34Aから放出されて包装紙22内に投入される。そして、前述の如く包装機13にて包装した後、取出口32より外部に送出するものである。このとき、前記一次シャッターからホッパーに薬剤Dが落下した時点で次の薬剤の排出を実行することにより、制御装置は包装に要する時間を短縮する。また、包装する薬剤に関する印字は、薬剤を投入する以前にプリンタ23により行っておくものとする。
【0049】
ここで、薬剤Dは大きいものでは22mm程の長さを有しているが、直径は差ほど大きくなく、最大でも10mm程である。従って、ホッパーからノズル24に落下してきた薬剤Dの状態が、その長手方向が上下に向いた縦姿勢であれば、薬剤Dは図7に破線で示す斜め下方に向いた状態(閉鎖状態)のシャッター37上に沿ったかたちで受け止められることになる。係る状態であればシャッター37が同図に実線で示すように略垂下した開放状態に回動されることで、薬剤Dは支障無くそのままシャッター37の回動に沿って縦姿勢となり、そのまま落下して狭幅部33(奥行き21mm)を通過し、包装紙22内に落下できる。
【0050】
しかしながら、ホッパーからノズル24に落下したときの状態が、図9中破線で示すようにその長手方向が水平方向に向いた横姿勢であった場合、図7に示すように薬剤Dが閉鎖状態のシャッター37とローラ9との間にブリッジされた状態になる場合がある。係る場合、もしローラ9が無ければシャッター37が開放状態に回動されたとしても、シャッター37と壁24A間に薬剤Dがブリッジされているため、薬剤Dは落下できず、薬剤落下通路34内に詰まってしまう。
【0051】
しかしながら、本発明ではシャッター37に対向してローラ9が設けられ、シャッター37の開放に連動して図7中時計回り(薬剤落下通路34に面している部分が下方の出口34A側に向かう方向)に所定角度回動されるので、ローラ9に当接した状態で図7に示すようにノズル24内に薬剤Dが詰まった場合に、ローラ9の回動によって図9に実線で示すように薬剤Dは下方に移動され、更に縦姿勢に姿勢が変えられて落下するようになる。これにより、薬剤Dのブリッジは解消され、薬剤Dは支障無くノズル24内の薬剤落下通路34を落下するので、係るノズル24内における薬剤の詰まりを効果的に解消して円滑に落下させることが可能となる。
【0052】
特に、ローラ9の回動軸44とシャッター37の駆動軸38の中心位置は前述した如く寸法Yだけ上下にずれているので、薬剤Dが図9に実線で示す状態で横姿勢となった場合にもローラ9とシャッター37がロックして動かなくなってしまうことが防止される。
【0053】
また、シャッター37は前述の如く開放状態において下端側に行くほど対向するノズル24の壁面24Aより離間しているので、シャッター37が開放された場合に、当該シャッター37とそれに対向するノズル24の壁面24Aとの間の薬剤落下通路34は下方に行くほど広くなっている。従って、シャッター37が開放されて薬剤落下通路34を落下する薬剤Dが、開放された状態のシャッター37と対向するノズル24の壁面24A間に詰まりに難くなる。即ち、薬剤Dの長さが例えばローラ9とシャッター37間の間隔である前述した17mmであった場合に、係る薬剤Dが横姿勢で狭幅部33に進入したときにも、シャッター37の下端は17mmよりも薬剤落下通路34を広げるように後退しているので、薬剤Dは狭幅部33内を支障無く通過でき、この部分における詰まりも生じに難くなる。
【0054】
ここで、薬剤Dは最も大型のものでは22mm〜23mm程の長さを有している。そのため、係る大型の薬剤Dが横姿勢でホッパーからノズル24に落下してきた場合、図8に破線で示すようにシャッター37上端部の抑え部37Aとそれに対向するノズル24の壁24A内面若しくはローラ9間にブリッジされたかたちとなる場合がある。
【0055】
この状態で図8中の破線の如く閉鎖状態のシャッター37が駆動軸38を中心として反時計回りに回動されると、シャッター37の開放に伴って前述の如く湾曲した形状の抑え部37Aは、薬剤Dのシャッター37側の端部(図8の向かって右端)に上から被さるように移動し、薬剤Dを下方に付勢するようになる。これにより、係る場合にシャッター37が回動されても薬剤Dのシャッター37が跳ね上がらなくなり、薬剤Dは円滑に縦姿勢に姿勢を変えられて落下していくようになる。尚、このとき、薬剤Dの図中向かって左端がローラ9に当接していれば、前述同様のローラ9の回動によって向かって左端が下方に移動されるので、横姿勢の薬剤Dは円滑に縦姿勢に変えられて落下していくことになる。
【0056】
以上のようにノズル24内の薬剤落下通路34に臨んで回動自在に設けられたローラ9を備えることにより、ローラ9に当接した状態でノズル24内に薬剤Dが詰まった場合には、ローラ9の回動によって薬剤Dの姿勢を変えることができる。これにより、ノズル24内における薬剤Dの詰まりを効果的に解消して円滑に落下させることが可能となる。
【0057】
特に、ローラ9は表面摩擦係数を大きくされているので、ローラ9の回動によって当該ローラ9に当接した薬剤Dの姿勢を確実に変えることができるようになり、ノズル24内の薬剤詰まりを一層確実に解消することが可能となる。尚、ソレノイド41は通電から所定時間後に非通電とされ、コイルバネ53によりプランジャー41Aは引き出されてシャッター37は閉じられることになる。
【実施例2】
【0058】
次に、図10は本発明の他の実施例のノズル24の断面を示している。この場合、ローラ9はノズル24の奥側の壁24Bの狭幅部33が始まる位置、即ち、薬剤落下通路34が狭くなる位置に取り付けられ、薬剤落下通路34内に一部が臨んでいる。そして、シャッター37がソレノイド41によって駆動軸38を中心として図10中反時計回りに回動されると(開放)、ローラ9は同図中反時計回りに所定角度回動され、シャッター37が時計回りに回動されると(閉鎖)、ローラ9は同図中に矢印で示すように時計回りに所定角度回動される。
【0059】
そして、シャッター37が開放されて薬剤Dが横姿勢のまま落下し、図10に示すようにノズル24の壁24Aとローラ9間にブリッジされた状態で詰まった場合、シャッター37が閉じられる動作に連動してローラ9は矢印で示すように時計回りに回動するので、薬剤Dのローラ9側(向かって右端)はローラ9によって持ち上げられ、縦姿勢に姿勢が変えられることになる。これにより、係る狭幅部33が形成されたノズルであっても、狭幅部33内に薬剤Dは縦姿勢で進入できるようになるので、薬剤Dは支障無く出口34Aから放出されて包装紙22内に投入されるようになる。
【実施例3】
【0060】
次に、図11はもう一つの本発明の薬剤供給装置1のノズル24の断面を示している。この場合、ローラ9は設けられておらず、代わりにシャッター37の上部(略駆動軸38と同等の高さ)に対向するノズル24の壁面24Aに、シャッター37側に向かう突出部24Cが形成されている。この突出部24Cの上面はシャッター37方向(奥側)に向けてなだらかに低く傾斜している。
【0061】
係る構成によれば、図11に破線で示す如くシャッター37が閉じた状態で、大型の薬剤Dが突出部24C上とシャッター37間にブリッジされたかたちで停止した場合、シャッター37が開放されると、薬剤Dの壁24A側は突出部24Cに支えられているので、薬剤Dはそれに伴ってシャッター37側から下方に落下するようになる。これにより、薬剤Dの姿勢は縦姿勢に変えられ、開放されたシャッター37を経てノズル24内の薬剤落下通路34を支障無く落下することになり、ノズル24内で詰まる不都合は解消される。
【0062】
尚、上記各実施例では包装紙に薬剤を包装する包装機を備えた薬剤供給装置に本発明を適用したが、それに限らず、ノズルから瓶等の容器に薬剤を投入する薬剤供給装置にも本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例の薬剤供給装置の斜視図である。
【図2】下パネルを開放した状態の図1の薬剤供給装置の斜視図である。
【図3】図1の薬剤供給装置の包装機の斜視図である。
【図4】図1の薬剤供給装置のノズル周辺の部品の斜視図である(実施例1)。
【図5】図4の各部品の分解斜視図である。
【図6】図1の薬剤供給装置のシャッター(二次シャッター)の側面図である。
【図7】図1の薬剤供給装置のノズルの縦断側面図である。
【図8】図7のノズルのもう一つの縦断側面図である(実施例1)。
【図9】図7のノズルの更にもう一つ縦断側面図である。
【図10】本発明の薬剤供給装置の他の実施例のノズルの縦断側面図である(実施例2)。
【図11】もう一つの本発明の薬剤供給装置のノズルの縦断側面図である(実施例3)。
【符号の説明】
【0064】
1 薬剤供給装置
9 ローラ
13 包装機
22 包装紙
24 ノズル
24C 突出部
33 狭幅部
34 薬剤落下通路
37 シャッター
37A 抑え部
38 駆動軸
41 ソレノイド
44 回動軸
【技術分野】
【0001】
本発明は病院や調剤薬局などにおいて、タブレットケースに収納された薬剤を包装紙や瓶等に供給するための薬剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より病院や調剤薬局においては、薬剤供給装置を用いて、医師により処方された薬剤を患者に提供している。係る方法では処方箋に記載された数量の薬剤(錠剤、カプセル剤など)をタブレットケース内の排出ドラムから1個ずつ排出し、ホッパーにより集め、その後、ノズルを介して半折りされた包装紙の間に放出し、一包毎に包装するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−103402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、半折りされた包装紙の間に薬剤を放出し、投入するためのノズル内には、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉して薬剤の投入を制御するためのシャッターが設けられる。一方で、ノズル内の薬剤落下通路は深さ(幅)の浅い包装紙内にでも薬剤を投入可能とするために出口が狭くなるように構成される場合がある。係る場合に、寸法の長いカプセルなどの薬剤を排出すると、ノズル内に薬剤が詰まってしまうことがあると云う問題があった。
【0004】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、包装紙等に薬剤を放出するノズル内における薬剤詰まりを効果的に解消できる薬剤供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターと、ノズル内の薬剤落下通路に臨んで回動自在に設けられたローラとを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明の薬剤供給装置は、上記においてローラはシャッターに対向する高さの位置に設けられ、当該シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明の薬剤供給装置は、請求項1においてノズル内の薬剤落下通路は出口側が狭められていると共に、ローラは当該薬剤落下通路が狭くなる位置に設けられ、シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明の薬剤供給装置は、上記各発明においてローラ表面の摩擦係数を大きくしたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、当該開放状態において下端側に行くほど対向するノズルの壁面より離間することを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から下端部が斜め下方に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、上端部は当該シャッターが開放される回動によって薬剤を下方に付勢する形状を呈していることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明の薬剤供給装置は、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給するものであって、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、対向するノズルの壁面には、シャッター側に向かう突出部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターと、ノズル内の薬剤落下通路に臨んで回動自在に設けられたローラとを備えているので、ローラに当接した状態でノズル内に薬剤が詰まった場合には、ローラの回動によって薬剤の姿勢を変えることができる。これにより、ノズル内における薬剤の詰まりを効果的に解消して円滑に落下させることが可能となる。
【0013】
特に、請求項2の発明の如くローラをシャッターに対向する高さの位置に設け、当該シャッターの開閉に連動して回動させるようにすれば、シャッターとローラとの間にブリッジされたかたちで薬剤が停止した場合、シャッターの開放に伴ってローラが回動することで、当該薬剤の姿勢は変えられ、ブリッジは解消される。これにより、開放されたノズル内の薬剤落下通路を薬剤は支障無く落下することになる。
【0014】
また、ノズル内の薬剤落下通路の出口側が狭められている場合には、請求項3の発明の如くローラを当該薬剤落下通路が狭くなる位置に設け、シャッターの開閉に連動して回動させることで、シャッターが開放されて落下した薬剤がノズル内の薬剤落下通路が狭くなる部分で詰まった場合に、シャッターが閉じる動作に連動してローラが回動することにより、当該薬剤の姿勢が変えることになる。これにより、ノズルの出口から薬剤は支障無く落下することになる。
【0015】
そして、請求項4の発明の如くローラ表面の摩擦係数を大きくすれば、ローラの回動によって当該ローラに当接した薬剤の姿勢を確実に変えることができるようになり、ノズル内の薬剤詰まりを一層確実に解消することが可能となるものである。
【0016】
請求項5の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、当該開放状態において下端側に行くほど対向するノズルの壁面より離間するので、シャッターが開放された場合に、当該シャッターとそれに対向するノズルの壁面との間の薬剤落下通路は下方に行くほど広くなることになる。
【0017】
これにより、シャッターが開放されて薬剤落下通路を落下する薬剤が、開放された状態のシャッターと対向するノズルの壁面間に詰まり難くなるものである。
【0018】
請求項6の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から下端部が斜め下方に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、上端部は当該シャッターが開放される回動によって薬剤を下方に付勢する形状を呈しているので、シャッターが閉じた状態でその上端部とノズルの壁面間にブリッジされたかたちで薬剤が停止した場合、シャッターの開放に伴ってその上端部により薬剤は下方に付勢され、当該薬剤の姿勢は変えられてブリッジは解消される。これにより、開放されたシャッターを経てノズル内の薬剤落下通路を薬剤は支障無く落下することになり、ノズル内における薬剤詰まりは解消される。
【0019】
請求項7の発明では、薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、このノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、このシャッターは、駆動軸側から対向するノズルの壁面に延在してノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて薬剤落下通路を開放すると共に、対向するノズルの壁面には、シャッター側に向かう突出部が形成されているので、シャッターが閉じた状態で、突出部上とシャッター間にブリッジされたかたちで薬剤が停止した場合、シャッターの開放に伴って薬剤はシャッター側から下方に落下するようになる。これにより、薬剤の姿勢は変えられ、開放されたシャッターを経てノズル内の薬剤落下通路を支障無く落下することになり、ノズル内における薬剤詰まりは解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明の一実施例の薬剤供給装置1の斜視図、図2は下パネル4を開放した状態の薬剤供給装置1の斜視図、図3は薬剤供給装置1の包装機13の斜視図である。
【0022】
この実施例の薬剤供給装置1は、病院や調剤薬局などに設置されるものであり、縦長矩形状の本体7と後述する制御用のパソコン等から構成される。本体7は、例えば相互に分離可能な上部構造体7Aと下部構造体7Bとから構成されており、下部構造体7B上に上部構造体7Aが積層されて連結された構造とされている。そして、この上部構造体7A内には薬剤が収納された図示しないタブレットケースを収納するために前方並びに下方が開放したケース収納部が構成されている。
【0023】
また、下部構造体7Bは前面及び上面が開放しており、上面において上部構造体7Aと連通する。そして、この下部構造体7B内には後述する充填装置として包装機13等が収納設置されると共に、前面の開口は観音開き式の下パネル4、4によって開閉自在に閉塞されている。
【0024】
前記上部構造体7A内のケース収納部には、左右4列、上下4段(合わせて16個)の棚2・・・が架設されている。各棚2の前端には扉パネル6がそれぞれ取り付けられており、全ての棚2・・・がケース収納部内に収納された状態で各扉パネル6・・・が上部構造体7Aの前面開口を閉塞する。棚2の中央には上下に開放した通路が前後に渡って形成されており、この通路の左右両側に前記タブレットケースが前後方向に複数並設して取り付けられている。
【0025】
尚、図示しないタブレットケースは棚2に設けられた駆動ベースとその上に連結される着脱自在の収納容器とから構成される。このタブレットケースの駆動ベース内にはドラムモータと光学式の薬剤検出センサが取り付けられ、また、排出シュートが形成されている。そして、この排出シュートは棚2の通路内に連通開口している。また、図1において3はコントロールパネルである。
【0026】
図示しないタブレットケースの収納容器は上面を開口しており、この開口は開閉自在の蓋にて閉塞されている。また、収納容器内底部には前記排出ドラムが取り付けられており、この排出ドラムの側面周囲には複数の縦溝が所定の間隔で形成されている。この排出ドラムが前記ドラムモータで回転され、薬剤が1個ずつ排出シュートから棚2の通路に排出される。この薬剤の排出は前記薬剤検出センサで検出され、カウントされることになる。
【0027】
また、各棚2・・・が上部構造体7Aのケース収納部内に収納された状態で、上下に位置する各棚2・・・の通路は相互に対応し、それによって上下に連通した一連のシュートを構成する。従って、実施例では上下に渡る左右4列のシュートが上部構造体7A内に構成されることになる。
【0028】
一方、本体7の下部構造体7B内には、前述した如く包装機13(充填装置)が収納されている。この包装機13の構造については後に詳述するが、包装機13は図2下に示す如く底部左右に取り付けられた引出レール8により、下パネル4、4を開放した状態で、下部構造体7B内から前方に引出自在とされている。
【0029】
この下部構造体7B内の上部には図示しない二つの一次シャッターが左右に並設されている。各シャッターはその上方の上部構造体7A内の前記各シュートの下方に対応している。そして、各シュートから後述するシャッター下方の図示しないホッパーに落下する薬剤を一時受け止める役割を果たす。そして、各シャッターの下方に対応して前記ホッパーが下部構造体7B内に設けられている。このホッパーは、上面が広く開口し、下端に向けて窄まった矩形漏斗状を呈しており、前記各シュートから落下してシャッターを通過した薬剤を受け止め、下端開口から排出するものである。
【0030】
次に、図3を用いて前記包装機13の構成について説明する。21は熱溶着可能な包装紙22(容器を構成する)を巻回したロールであり、23はプリンタ、24は前記ホッパーの下端開口に取り付けられたノズル、26はシリコンゴムから成る熱シールヘッド、27はロール21から引き出された包装紙22を搬送するローラ、29は包装紙22を切断するカッター、31は分包化されて切断された包装紙22を下パネル4に設けられた取出口32(図1)まで搬送するコンベアであり、包装紙22の搬送経路に沿って順次設けられている。
【0031】
ロール21に巻回された包装紙22は上面が開き、下端で折られた(半折り)断面略V字状を呈しており、ローラ27等によってロール21から一旦右斜め上方に引き出され、更に、そこから向かって右斜め下方に引き出された後、プリンタ23により後述する如くその表面に印字が成される。次に、ノズル24から放出された薬剤が包装紙22内に投入され、熱シールヘッド26による熱溶着で、包装紙22は一包毎に区画される。区画されて分包化された包装紙22は次にカッター29で切断され、コンベア31で向かって左上方の取出口32に搬送されるものである。
【0032】
次に、前記ノズル24について図4乃至図9を参照して説明する。図4はノズル24周辺の部品の斜視図、図5はその分解斜視図である。ノズル24は前記ホッパーの下側に位置して略垂直に設けられている。このノズル24は上下が開口した矩形筒状を呈しており、その先端(下端)の出口部分は奥側の壁を階段状に手前側に寄せて前後の幅が上端の入口側より狭い狭幅部33とされ、この狭幅部33の下端がノズル24内に構成される薬剤落下通路34の出口34Aとして開口している。
【0033】
尚、実施例のノズル24内上部の薬剤落下通路34の奥行き内寸は例えば30mm、狭幅部33の奥行き寸法は例えば21mmとされている。また、包装紙22の深さ(幅)寸法は通常74mmと43mmのものが使用されるが、この浅い方の包装紙22でもノズル24を挿入できるように狭幅部33が構成されている。
【0034】
そして、この狭幅部33には包装紙ガイド36が設けられている。この包装紙ガイド36は先細りの断面略V字状を呈しており、包装紙22の進行方向(左上から右下方への略45度傾斜方向)に対して直交する向きとされ、且つ、包装紙22の進行方向における上流側(向かって左上側)に位置している(図3)。
【0035】
そして、係るノズル24の上端開口は前記ホッパーの下端開口に対向し、ノズル24は包装紙ガイド36の下端から包装紙22内に挿入される。この場合、包装紙ガイド36は断面V字状を呈しているので、前述の如く半折りされた包装紙22の上面開口側から挿入し易い。また、ノズル24が包装紙22内に挿入されることで、その前後方向の寸法分、包装紙22は進行方向左右に膨らむかたちとなるが、先細りの包装紙ガイド36が設けられて包装紙22内に挿入されるので、包装紙22に生じる皺や弛みは防止若しくは最小限に抑えられる。
【0036】
このようにノズル24が包装紙22内に挿入されることで、ホッパーにて受け止められた薬剤はノズル24内に入った後、内部に構成される薬剤落下通路34を経て出口34Aから放出され、包装紙22内に投入されることになる。このとき、包装紙22の底部は包装紙ガイド36によって膨らむことになるので、多量の薬剤を投入しても弛みや皺が生じる不都合が防止若しくは抑制される。
【0037】
更に、係るノズル24内には当該ノズル24内の薬剤落下通路34を開閉するための二次シャッター37が設けられている。このシャッター37は、ノズル24内の狭幅部33上側に位置しており、ノズル24内の奥側における狭幅部33上方に位置した左右方向(包装紙22の進行方向)の駆動軸(シャッター37開閉の駆動軸)38を中心として回動自在とされている。シャッター37は図5に示す如くノズル24内の薬剤落下通路34の左右方向の内寸より動作用のクリアランス分小さい幅を有した板材であり、その中央部背面から上方に向かう腕部39の透孔39Aに前記駆動軸38が挿入固定される。
【0038】
また、図6の如く駆動軸38より下側の部分が垂下する状態とされたときに駆動軸38より上側となる部分は同図に示すように所定曲率で湾曲しながら後退した後、更に小さい曲率で湾曲しながら斜め上方に前進するように連続して屈曲されており、それにより駆動軸38より上のシャッター37上端部には、図6の垂下状態で上方に行くに従い滑らかに湾曲しながら後退した後、斜め前方に延在する形状の抑え部37Aが構成されている。尚、駆動軸38より下側の部分は略平板状に降下する形状を呈している。
【0039】
係るシャッター37は、図7中破線で示す如く駆動軸38側からそれに対向するノズル24の手前側の壁24A(狭幅部33の手前側の壁)の内面に向かってその先端部(下端部)が斜め下方に延在した状態で(このときシャッター37の先端部は壁24Aの内面に当接するか近接する)、ノズル24内の薬剤落下通路34を閉鎖する(閉鎖状態)。このとき、抑え部37Aの先端は略上方に向いた状態となっている。そして、駆動軸38を中心として図7中反時計回りに回動され、同図に実線で示すように略垂下した状態となったときにシャッター37は薬剤落下通路34を開放する(開放状態)。このとき、抑え部37Aの先端は斜め上前方に指向する状態となる。
【0040】
尚、この開放状態(図7に実線で示す状態)で、シャッター37の先端部(下端部)は狭幅部33の奥側の壁の内面に当接する状態まで回動される。この状態では、駆動軸38より下側となる部分は、垂下状態よりも所定の角度Xだけ後方に斜めに延在する。これにより、シャッター37は先端側(下端側)に行くほど対向する壁24Aの内面より離間し、薬剤落下通路34は下方に行くほど広くなることになる。
【0041】
更に、ノズル24の壁24A側にはローラ9が取り付けられている。このローラ9はノズル24内の薬剤落下通路34の左右方向の内寸より動作用のクリアランス分小さい幅を有した円柱体であり、例えばゴム等の表面摩擦係数の大なる材料にて構成され、その円柱の軸を貫く左右方向の回動軸44を中心としてノズル24に回動自在に取り付けられている。尚、ローラ9の表面には軸方向に渡って幅及び深さ0.5mm〜1mm程の溝が複数形成されており、それによって、その表面摩擦係数は更に大きくされている。
【0042】
このとき、ローラ9はシャッター37に対向する高さの位置に配置されており、ノズル24の手前側の壁24Aから少許内側に突出し、薬剤落下通路34内に臨んでいる(図7)。また、このローラ9の回動軸44は、シャッター37の駆動軸38より所定寸法Yだけ上側にずれた位置とされていると共に(図9)、図8に示すように回動軸44は開放状態において最も壁24A側となるシャッター37の部分と同じ高さとされ、それらの間隔は実施例では21mm程とされている。また、ローラ9の回動軸44の向かって右側はノズル24から出てクランク状とされている。
【0043】
図4、図5において41は上記シャッター37及びローラ9を駆動するためのソレノイドであり、ベース51に取り付けられている。シャッター37の駆動軸38はこのソレノイド41のプランジャー41Aに取り付けられたアーム42に回動自在に取り付けられたリンク部材43に取り付けられ、ローラ9の回動軸44はアーム42の先端に回動自在に係合されている。また、ベース51に取り付けたポール52とリンク部材43間にはコイルバネ53が掛け渡されており、常時プランジャー41Aを突出させる方向に付勢している。そして、ソレノイド41が通電され、コイルバネ53に抗してプランジャー41Aが引き込まれると、駆動軸38を介してシャッター37は図7中反時計回りに回動され(前述した開放状態)、ローラ9は図7中時計回りに所定角度回動される。また、ソレノイド41が非通電となってコイルバネ53によりプランジャー41Aが突出すると、シャッター37は図7中時計回りに回動され(前述した閉鎖状態)、ローラ9は図7中反時計回りに所定角度回動されることになる。
【0044】
尚、図4乃至図9において46はローラ9の上側においてノズル24に着脱可能に取り付けられ、壁24Aの一部を構成する壁部材であり、ローラ9を取り付けた後にノズル24に取り付けられる。ローラ9はこの壁部材46とその下方の壁24Aの間からその一部が薬剤落下通路34内に臨むことになる。また、47はノズル24の上端に取り付けられた漏斗状の枠部材である。また、48はソレノイド41の動作を検出して動作状態を確認するためのセンサである。
【0045】
以上の構成で本発明の薬剤供給装置1の動作を説明する。尚、電源投入状態において前記各シャッターは閉じているものとする。また、上部構造体7Aのケース収納部内には、それぞれ所定の薬剤(実施例では散剤(粉剤)以外の全ての錠剤)が収納された前記タブレットケースが取り付けられた棚2・・・が前述の如く取り付けられているものとする。
【0046】
作業者が医師の処方箋に基づき、前記パソコンから処方データを入力すると、薬剤供給装置1の制御装置は、当該処方データに基づいて指定された薬剤が収納されたタブレットケースを特定し、そのドラムモータを駆動して前記排出ドラムを回転させ、薬剤を1個ずつ排出する。このとき排出された薬剤(図7〜図9にDで示す。)は、前記薬剤検出センサにて検出され、カウントされる。そして、所定量(実施例では1個)が排出された段階でドラムモータを停止する。排出された薬剤Dはタブレットケースの排出シュートから前記通路によって構成されるシュート内に入り、前記一次シャッターに一時受け止められる。
【0047】
そして、制御装置は一次シャッターを開放し、薬剤Dを前記ホッパー内に落下させる。ホッパーに落下した薬剤は下端開口から出てノズル24内に入り、図7〜図9中破線で示す如く閉じている二次シャッター37上に受け止められる。次に制御装置はソレノイド41に通電してプランジャー41Aを引き込み、前述した如くシャッター37を図7〜図9中反時計回りに回動させて開放状態とする。このとき、ローラ9は図8に矢印で示すように時計回りに所定角度回動する。
【0048】
このシャッター37の開放によって薬剤Dは薬剤落下通路34内を下方に落下し、出口34Aから放出されて包装紙22内に投入される。そして、前述の如く包装機13にて包装した後、取出口32より外部に送出するものである。このとき、前記一次シャッターからホッパーに薬剤Dが落下した時点で次の薬剤の排出を実行することにより、制御装置は包装に要する時間を短縮する。また、包装する薬剤に関する印字は、薬剤を投入する以前にプリンタ23により行っておくものとする。
【0049】
ここで、薬剤Dは大きいものでは22mm程の長さを有しているが、直径は差ほど大きくなく、最大でも10mm程である。従って、ホッパーからノズル24に落下してきた薬剤Dの状態が、その長手方向が上下に向いた縦姿勢であれば、薬剤Dは図7に破線で示す斜め下方に向いた状態(閉鎖状態)のシャッター37上に沿ったかたちで受け止められることになる。係る状態であればシャッター37が同図に実線で示すように略垂下した開放状態に回動されることで、薬剤Dは支障無くそのままシャッター37の回動に沿って縦姿勢となり、そのまま落下して狭幅部33(奥行き21mm)を通過し、包装紙22内に落下できる。
【0050】
しかしながら、ホッパーからノズル24に落下したときの状態が、図9中破線で示すようにその長手方向が水平方向に向いた横姿勢であった場合、図7に示すように薬剤Dが閉鎖状態のシャッター37とローラ9との間にブリッジされた状態になる場合がある。係る場合、もしローラ9が無ければシャッター37が開放状態に回動されたとしても、シャッター37と壁24A間に薬剤Dがブリッジされているため、薬剤Dは落下できず、薬剤落下通路34内に詰まってしまう。
【0051】
しかしながら、本発明ではシャッター37に対向してローラ9が設けられ、シャッター37の開放に連動して図7中時計回り(薬剤落下通路34に面している部分が下方の出口34A側に向かう方向)に所定角度回動されるので、ローラ9に当接した状態で図7に示すようにノズル24内に薬剤Dが詰まった場合に、ローラ9の回動によって図9に実線で示すように薬剤Dは下方に移動され、更に縦姿勢に姿勢が変えられて落下するようになる。これにより、薬剤Dのブリッジは解消され、薬剤Dは支障無くノズル24内の薬剤落下通路34を落下するので、係るノズル24内における薬剤の詰まりを効果的に解消して円滑に落下させることが可能となる。
【0052】
特に、ローラ9の回動軸44とシャッター37の駆動軸38の中心位置は前述した如く寸法Yだけ上下にずれているので、薬剤Dが図9に実線で示す状態で横姿勢となった場合にもローラ9とシャッター37がロックして動かなくなってしまうことが防止される。
【0053】
また、シャッター37は前述の如く開放状態において下端側に行くほど対向するノズル24の壁面24Aより離間しているので、シャッター37が開放された場合に、当該シャッター37とそれに対向するノズル24の壁面24Aとの間の薬剤落下通路34は下方に行くほど広くなっている。従って、シャッター37が開放されて薬剤落下通路34を落下する薬剤Dが、開放された状態のシャッター37と対向するノズル24の壁面24A間に詰まりに難くなる。即ち、薬剤Dの長さが例えばローラ9とシャッター37間の間隔である前述した17mmであった場合に、係る薬剤Dが横姿勢で狭幅部33に進入したときにも、シャッター37の下端は17mmよりも薬剤落下通路34を広げるように後退しているので、薬剤Dは狭幅部33内を支障無く通過でき、この部分における詰まりも生じに難くなる。
【0054】
ここで、薬剤Dは最も大型のものでは22mm〜23mm程の長さを有している。そのため、係る大型の薬剤Dが横姿勢でホッパーからノズル24に落下してきた場合、図8に破線で示すようにシャッター37上端部の抑え部37Aとそれに対向するノズル24の壁24A内面若しくはローラ9間にブリッジされたかたちとなる場合がある。
【0055】
この状態で図8中の破線の如く閉鎖状態のシャッター37が駆動軸38を中心として反時計回りに回動されると、シャッター37の開放に伴って前述の如く湾曲した形状の抑え部37Aは、薬剤Dのシャッター37側の端部(図8の向かって右端)に上から被さるように移動し、薬剤Dを下方に付勢するようになる。これにより、係る場合にシャッター37が回動されても薬剤Dのシャッター37が跳ね上がらなくなり、薬剤Dは円滑に縦姿勢に姿勢を変えられて落下していくようになる。尚、このとき、薬剤Dの図中向かって左端がローラ9に当接していれば、前述同様のローラ9の回動によって向かって左端が下方に移動されるので、横姿勢の薬剤Dは円滑に縦姿勢に変えられて落下していくことになる。
【0056】
以上のようにノズル24内の薬剤落下通路34に臨んで回動自在に設けられたローラ9を備えることにより、ローラ9に当接した状態でノズル24内に薬剤Dが詰まった場合には、ローラ9の回動によって薬剤Dの姿勢を変えることができる。これにより、ノズル24内における薬剤Dの詰まりを効果的に解消して円滑に落下させることが可能となる。
【0057】
特に、ローラ9は表面摩擦係数を大きくされているので、ローラ9の回動によって当該ローラ9に当接した薬剤Dの姿勢を確実に変えることができるようになり、ノズル24内の薬剤詰まりを一層確実に解消することが可能となる。尚、ソレノイド41は通電から所定時間後に非通電とされ、コイルバネ53によりプランジャー41Aは引き出されてシャッター37は閉じられることになる。
【実施例2】
【0058】
次に、図10は本発明の他の実施例のノズル24の断面を示している。この場合、ローラ9はノズル24の奥側の壁24Bの狭幅部33が始まる位置、即ち、薬剤落下通路34が狭くなる位置に取り付けられ、薬剤落下通路34内に一部が臨んでいる。そして、シャッター37がソレノイド41によって駆動軸38を中心として図10中反時計回りに回動されると(開放)、ローラ9は同図中反時計回りに所定角度回動され、シャッター37が時計回りに回動されると(閉鎖)、ローラ9は同図中に矢印で示すように時計回りに所定角度回動される。
【0059】
そして、シャッター37が開放されて薬剤Dが横姿勢のまま落下し、図10に示すようにノズル24の壁24Aとローラ9間にブリッジされた状態で詰まった場合、シャッター37が閉じられる動作に連動してローラ9は矢印で示すように時計回りに回動するので、薬剤Dのローラ9側(向かって右端)はローラ9によって持ち上げられ、縦姿勢に姿勢が変えられることになる。これにより、係る狭幅部33が形成されたノズルであっても、狭幅部33内に薬剤Dは縦姿勢で進入できるようになるので、薬剤Dは支障無く出口34Aから放出されて包装紙22内に投入されるようになる。
【実施例3】
【0060】
次に、図11はもう一つの本発明の薬剤供給装置1のノズル24の断面を示している。この場合、ローラ9は設けられておらず、代わりにシャッター37の上部(略駆動軸38と同等の高さ)に対向するノズル24の壁面24Aに、シャッター37側に向かう突出部24Cが形成されている。この突出部24Cの上面はシャッター37方向(奥側)に向けてなだらかに低く傾斜している。
【0061】
係る構成によれば、図11に破線で示す如くシャッター37が閉じた状態で、大型の薬剤Dが突出部24C上とシャッター37間にブリッジされたかたちで停止した場合、シャッター37が開放されると、薬剤Dの壁24A側は突出部24Cに支えられているので、薬剤Dはそれに伴ってシャッター37側から下方に落下するようになる。これにより、薬剤Dの姿勢は縦姿勢に変えられ、開放されたシャッター37を経てノズル24内の薬剤落下通路34を支障無く落下することになり、ノズル24内で詰まる不都合は解消される。
【0062】
尚、上記各実施例では包装紙に薬剤を包装する包装機を備えた薬剤供給装置に本発明を適用したが、それに限らず、ノズルから瓶等の容器に薬剤を投入する薬剤供給装置にも本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例の薬剤供給装置の斜視図である。
【図2】下パネルを開放した状態の図1の薬剤供給装置の斜視図である。
【図3】図1の薬剤供給装置の包装機の斜視図である。
【図4】図1の薬剤供給装置のノズル周辺の部品の斜視図である(実施例1)。
【図5】図4の各部品の分解斜視図である。
【図6】図1の薬剤供給装置のシャッター(二次シャッター)の側面図である。
【図7】図1の薬剤供給装置のノズルの縦断側面図である。
【図8】図7のノズルのもう一つの縦断側面図である(実施例1)。
【図9】図7のノズルの更にもう一つ縦断側面図である。
【図10】本発明の薬剤供給装置の他の実施例のノズルの縦断側面図である(実施例2)。
【図11】もう一つの本発明の薬剤供給装置のノズルの縦断側面図である(実施例3)。
【符号の説明】
【0064】
1 薬剤供給装置
9 ローラ
13 包装機
22 包装紙
24 ノズル
24C 突出部
33 狭幅部
34 薬剤落下通路
37 シャッター
37A 抑え部
38 駆動軸
41 ソレノイド
44 回動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターと、前記ノズル内の薬剤落下通路に臨んで回動自在に設けられたローラとを備えたことを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
前記ローラは前記シャッターに対向する高さの位置に設けられ、当該シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする請求項1の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記ノズル内の薬剤落下通路は出口側が狭められていると共に、前記ローラは当該薬剤落下通路が狭くなる位置に設けられ、前記シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする請求項1の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記ローラ表面の摩擦係数を大きくしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の薬剤供給装置。
【請求項5】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、
該シャッターは駆動軸側から対向する前記ノズルの壁面に延在して前記ノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて前記薬剤落下通路を開放すると共に、当該開放状態において下端側に行くほど前記対向するノズルの壁面より離間することを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項6】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、
該シャッターは、駆動軸側から下端部が斜め下方に延在して前記ノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて前記薬剤落下通路を開放すると共に、上端部は当該シャッターが開放される回動によって薬剤を下方に付勢する形状を呈していることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項7】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、
該シャッターは、駆動軸側から対向する前記ノズルの壁面に延在して前記ノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて前記薬剤落下通路を開放すると共に、前記対向するノズルの壁面には、前記シャッター側に向かう突出部が形成されていることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項1】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターと、前記ノズル内の薬剤落下通路に臨んで回動自在に設けられたローラとを備えたことを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
前記ローラは前記シャッターに対向する高さの位置に設けられ、当該シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする請求項1の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記ノズル内の薬剤落下通路は出口側が狭められていると共に、前記ローラは当該薬剤落下通路が狭くなる位置に設けられ、前記シャッターの開閉に連動して回動することを特徴とする請求項1の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記ローラ表面の摩擦係数を大きくしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の薬剤供給装置。
【請求項5】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、
該シャッターは駆動軸側から対向する前記ノズルの壁面に延在して前記ノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて前記薬剤落下通路を開放すると共に、当該開放状態において下端側に行くほど前記対向するノズルの壁面より離間することを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項6】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、
該シャッターは、駆動軸側から下端部が斜め下方に延在して前記ノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて前記薬剤落下通路を開放すると共に、上端部は当該シャッターが開放される回動によって薬剤を下方に付勢する形状を呈していることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項7】
薬剤を収納するタブレットケースから排出された薬剤を供給する薬剤供給装置において、
前記タブレットケースから排出された薬剤を放出するためのノズルと、該ノズル内に回動自在に設けられ、当該ノズル内の薬剤落下通路を開閉するシャッターとを備え、
該シャッターは、駆動軸側から対向する前記ノズルの壁面に延在して前記ノズル内の薬剤落下通路を閉じ、略垂下する状態に回動されて前記薬剤落下通路を開放すると共に、前記対向するノズルの壁面には、前記シャッター側に向かう突出部が形成されていることを特徴とする薬剤供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−27713(P2006−27713A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212697(P2004−212697)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302010448)三洋電機バイオメディカ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302010448)三洋電機バイオメディカ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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