説明

薬剤包装装置

【課題】分包帯8にて薬剤を分包した後の分包体90に無線タグ91を取り付ける。
【解決手段】分包帯供給機構30と印刷機構40と区分封入機構50と分包帯排出機構60とが分包帯送り経路に配設された薬剤包装装置20に、テープ80にて無線タグ81を供給するタグ供給機構70と、無線タグ81を分包帯8に貼り付けるタグ貼着機構73と、無線タグ81にデータを書き込むタグライタ74とを設けて、薬剤投入済みの分包帯8の区分収納室91に無線タグ81を貼り付け、その無線タグ81に薬剤情報を書き込む。タグ貼着機構73は分包帯排出機構60のところに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠剤や散薬などの各種薬剤を分包するため薬剤分包機に組み込んで又は単独で用いられる薬剤包装装置に関し、詳しくは、薬剤分包に供する長尺の分包帯を間欠送りして区分しながらそれに薬剤を投入して密封する薬剤包装装置に関する。
また、無線タグの利用にも関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグは、RFID(Radio Frequency Identificatoin)タグや,電子タグ,データキャリア,データ記憶体などとも呼ばれており、メモリや制御回路を搭載したICと近距離無線通信を担うアンテナ及び通信回路とを備えている。そして、リーダライタから電波や交番磁界等でコマンド信号が送信されて来るとそれを受信し、そのコマンドに応じてメモリのタグ情報の読み書きやリーダライタへの返信などを行うようになっている。商品管理や物流管理など多方面に利用されており、小形化と低価格化に伴って利用量も応用範囲も広がっている。
【0003】
このような無線タグは調剤機器の分野でも利用されており、例えば、計量容器を兼ねる散薬容器に無線タグを装着しての散薬容器搬送管理や(例えば特許文献1参照)、薬品棚に並べて置いた座体付き薬剤装置瓶の管理(例えば特許文献2参照)、各種の払出薬剤を収容した搬器の管理(例えば特許文献3参照)、薬品類の座具に無線タグを組み込むことによるトレー上の薬品類のセット状況や使用状況の管理(例えば特許文献4参照)、PTPカセットの誤装着の防止(例えば特許文献5参照)などに導入されている。
【0004】
長尺の分包帯を長手方向に順送りして薬剤を分包する薬剤包装装置は、例えば薬剤フィーダや薬剤分配分割機構などから排出された薬剤を収集して落下させる先である下部筐体や背の低い筐体に格納されていることが多いが、分包帯送り経路に沿って上流から下流へ順に配設された分包帯供給機構と印刷機構と区分封入機構とを具備している(例えば特許文献6〜9参照)。分包帯供給機構は、分包帯ロールを解きながら長尺の分包帯を長手方向へ順送りして供給するものであり、印刷機構は、薬剤投入位置に送り込まれる分包帯に分包予定の薬剤情報や患者情報などを印刷するものであり、区分封入機構は、薬剤投入位置に送り込まれた分包帯を区画して区分収納室を形成するとともに、一包分ずつ落下供給された薬剤を区分収納室に投入して封止することで、分包体を作り上げるものである。
【0005】
また、分包帯送り経路に沿って分包帯送り機構が分散しているが、この機構は、分包帯供給機構や印刷機構に付設されたガイドピン等の案内部材や,区分封入機構に組み込まれたローラ等の分包帯牽引機構,その直ぐ下流のカッタの更に下流に設けられたローラやベルト等の分包帯排出機構などからなる。
これらの各機構は大部分が薬剤落下先の基板(ベースプレート)の片面に装着されており、縦型では基板が鉛直に固定されてその前面に各機構が取り付けられ(例えば特許文献6参照)、横型では基板が水平に保持されその上面に各機構が取り付けられ(例えば特許文献7参照)、傾斜型では基板が斜めになっている(例えば特許文献8参照)。
【0006】
いずれの型であれ、従来の薬剤包装装置では、薬剤分包に供する長尺の分包帯を間欠送りして区分しながらそれに薬剤を投入して密封するに際して、分包する薬剤の情報を分包帯に印刷するにとどまり、薬剤情報を電子化して分包帯に持たせるようにはなっていない。すなわち分包帯を順送りしながら次々に無線タグを取り付ける薬剤包装装置は無い。
無線タグの薬剤包装装置への利用は、分包紙の芯材に無線タグを挿着して分包紙をロール単位で管理するにとどまっている(例えば特許文献9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−226086号公報
【特許文献2】特開2004−148036号公報
【特許文献3】特開2009−112391号公報
【特許文献4】特開2009−125320号公報
【特許文献5】特開2009−131560号公報
【特許文献6】特開2000−175990号公報
【特許文献7】特開2005−053538号公報
【特許文献8】特願2008−199280明細書
【特許文献9】特開2005−230242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来の薬剤包装装置では、長尺の分包帯に薬剤を区分封入した分包体に係る情報管理が印刷情報に基づいて行われていた。
しかしながら、目視読取可能な印刷情報は量的制約があるため患者名や,薬品名,用量,用法などを盛り込むのが精一杯であり、バーコードや二次元コード等でコード化した印刷情報は量的制約が緩和される代わりに読取作業が面倒である。また、分包帯への印刷は、分包帯が薬剤収納にて変形する以前でないと行えないため、分包帯への薬剤投入より先に行われるので、印刷後から投入までの間に薬剤不足等が急発生したような場合、そのときの分包体では印刷情報と収容薬剤とが整合しなくなってしまう、という不満もある。
【0009】
そこで、担持情報量も多く読取作業も楽なうえ情報更新も容易な無線タグを分包体に取り付けることが考えられる。そして、その取付の態様としては、上述した従来装置のように、管理対象物の分包体となる分包帯に予め無線タグを付けておくことが思い浮かぶ。
しかしながら、分包体には各包のサイズが一定のものもあればサイズ可変のものもあるうえ、処方単位や調剤単位など適宜な纏まりの間には一繋がりの空包が形成されることもあるため、無線タグを分包帯に予め取り付けておく従来手法は単純には踏襲できない。
そこで、分包帯を順送りしながら薬剤を分包するに際して薬剤投入後の分包体に無線タグを取り付ける薬剤包装装置を実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の薬剤包装装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、長尺の分包帯を長手方向へ順送りして供給する分包帯供給機構と、薬剤投入位置に送り込まれる分包帯に分包予定の薬剤に係る情報を印刷する印刷機構と、薬剤投入位置に送り込まれた分包帯に区分収納室を形成するとともにその区分収納室に薬剤を投入して封止する区分封入機構と、薬剤を区分収納した分包帯を更に送って排出する分包帯排出機構とが分包帯送り経路に沿って上流から下流へ順に配設された薬剤包装装置において、無線タグを並べて仮止めした長尺のテープを長手方向へ順送りして前記分包帯送り経路の中のタグ貼着位置に供給するタグ供給機構と、前記タグ貼着位置に供給された無線タグを前記テープから前記分包帯へ貼り替えるタグ貼着機構と、前記タグ貼着位置の近傍の無線タグにデータを書き込むタグライタとが設けられ、前記分包帯の区分収納室のうち薬剤投入済みのものに前記タグ貼着機構にて無線タグを貼り付けるとともにその無線タグに投入済み薬剤の情報を前記タグライタにて書き込むようになっていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の薬剤包装装置は(解決手段2)、上記解決手段1の薬剤包装装置であって、前記タグ貼着位置が前記分包帯送り経路のうち前記分包帯排出機構の臨設部分かそれより下流のところになっていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の薬剤包装装置は(解決手段3)、上記解決手段1,2の薬剤包装装置であって、前記分包帯に無線タグを貼り付けるに際して、無線タグ書込情報と分包帯印刷情報とが整合しているときには印刷領域を避けて貼り付け、無線タグ書込情報と分包帯印刷情報とが整合していないときには印刷領域に重ねて貼り付けるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段1)、上記のタグ供給機構とタグ貼着機構とを設けたことにより、分包帯を順送りしながら薬剤を分包するに際して分包体に無線タグを取り付けることができるうえ、タグライタも設けて無線タグに薬剤情報を書き込むようにしたことにより、分包帯に薬剤を区分封入した分包体に係る情報管理が無線で行えるので、管理の質や作業性が向上することとなる。しかも、無線タグの貼着は薬剤投入済みの区分収納室に行うとともに、その投入済み薬剤に係る情報を無線タグに書き込むようにもしたことにより、印刷後から薬剤投入までの間に薬剤不足等が急発生した場合でも、その内容を反映した正確な情報が無線タグには書き込まれることとなる。そのうえ、無線タグが導入されても、目視確認に最適な印刷は併用することができる。
【0014】
また、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段2)、分包帯排出機構以降のところにタグ貼着位置を設定したことにより、実装密度が高くて大形部品の追設が困難なうえ消耗品交換のスペースも少ない所が避けられて、タグ貼着機構やタグ供給機構などの追加が容易に行えるうえ、分包帯への無線タグの貼着が自然に薬剤投入済みのものに対して行われることとなる。
【0015】
さらに、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段3)、印刷と無線タグを併用するに際して、両者の担持情報が整合しているときには、無線タグが印刷領域を避けて貼り付けられるので、両情報を自由に使い分けることができる。これに対し、両者の担持情報が整合していないときには、投入薬剤の予定急変等にて印刷内容が誤りになっているところ、無線タグが印刷領域に重ねて貼り付けられて、印刷内容が総て又は部分的に隠されるので、誤っている情報は目視読取ができないか読み取り難くなる。そのため、収容薬剤と印刷情報とが整合しなくなったときの不都合まで無線タグの貼付によって解消されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1について、薬剤包装装置の構造を示し、(a)が前扉を外した薬剤分包機の正面図、(b)が薬剤包装装置を引き出した薬剤分包機の側面図、(c)が薬剤包装装置のA矢視図、(d)及び(e)が主要な機構の斜視図である。
【図2】分包帯にて薬剤を分包して出来た分包体を示し、(a)と(b)が一連の分包体ごとに一つずつ無線タグを貼り付けた例、(c)が各包に一つずつ無線タグを貼り付けた例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
このような本発明の薬剤包装装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜3)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,電動モータ等の駆動源,タイミングベルト等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0018】
本発明の薬剤包装装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が前扉を外した薬剤分包機10の正面図、(b)が薬剤包装装置20を引き出した薬剤分包機10の側面図、(c)が薬剤包装装置20のA矢視図、(d)及び(e)が主要な機構40,50,60,70の斜視図である。また、図2は、分包帯8にて薬剤を分包して出来た分包体90の外観図であり、分包体90の区分収納室91に無線タグ81を貼り付けた例を幾つか示している。
【0019】
薬剤分包機10は(図1(a),(b)参照)、筐体15の天板部11の上面に散薬分割装置12と錠剤手撒き装置13とが設けられ、散薬分割装置12と錠剤手撒き装置13とから排出された薬剤を収集して落下させる薬剤収集機構14が天板部11の下面に設けられ、天板部11が、人手で薬剤を補充したり分配しやすい高さ1m程度かそれ以下のところに位置している。筐体15の内部には、引出機構16によって前方へ引き出し可能に支持された薬剤包装装置20と、分包済み分包帯8すなわち分包帯8にて薬剤を分包して出来た分包体90を収容する受け箱17と、フレキシブルホースやバキュームポンプ等からなる清掃機構18と、図示しないマイクロプロセッサ等からなるコントローラ(電子制御装置)とが、格納されている。
【0020】
薬剤包装装置20は(図1(a)〜(c)参照)、筐体15への取り付け高さの異なる一対の引出機構16によって左右を支持されて30゜〜50゜ほど傾斜している平坦な基板21と、分包帯ロールを解きながら長尺の分包帯8を長手方向へ順送りして供給する分包帯供給機構30と、薬剤投入位置に送り込まれる分包帯8に分包予定の薬剤に係る情報たとえば処方箋由来の薬品名や用法などの情報を印刷する印刷機構40と、薬剤投入位置に送り込まれた分包帯8に縦シールと横シールを行って分包帯8を長手方向において区分するとともにそれで形成された各区分収納室91(各包)に薬剤を投入して封止する区分封入機構50と、薬剤を区分収納した分包帯8である分包体90を更に送って受け箱17に向けて排出する分包帯排出機構60とを具えている。
【0021】
これらの分包帯供給機構30と印刷機構40と区分封入機構50と分包帯排出機構60に加え、取っ手22と幾本かの固定ローラ23が、基板21の平坦な上面に搭載されており、取っ手22以外の各機構30,40,50,60は、分包帯送り経路に沿って上流から下流へ順に平面配置されている。さらに、薬剤包装装置20は、薬剤を分包帯8にて分包して出来た分包体90の区分収納室91に無線タグ81を貼り付けるために分包帯送り経路に臨設されたタグ貼着機構73と、その無線タグ81に投入済み薬剤の情報を書き込むため分包帯送り経路を挟んでタグ貼着機構73と対向するタグライタ74と、両者の対向間隙の中のタグ貼着位置にテープ80を送り込むタグ供給機構70も、具えている。
【0022】
基板21は、筐体15に押し込んだ状態で薬剤収集機構14の下方すなわち薬剤落下先に位置するところに設けられており、その傾斜によって、分包帯供給機構30の設置側が高くなり、受け箱17に近い分包帯8ひいては分包体90の排出側が低くなっている。
分包帯供給機構30は(図1(b),(c)参照)、予め二つ折りした長尺の分包帯8を紙やプラスチックの芯管に捲回した分包帯ロールを分包帯軸支部31にて保持し、その分包帯ロールを軸回転させて解くことにより分包帯8を先端から順に送り出すものであり、電動モータ駆動の自走供給ローラや,暴走防止用ブレーキ,テンション調整ローラ,ダンパーなども付設されている。
【0023】
印刷機構40は(図1(c),(d))、分包帯8に両側から挟むかのように臨むプラテン41とプリントヘッド42を主体にしたものであり、プラテン41にて片面を支えられた分包帯8とそれに他面から印刷を行うプリントヘッド42との間にインクリボンを送るインクリボン送り機構が付設されている。印刷機構40の周辺には分包帯送り経路に沿って幾本かの固定ローラ23が配設されており、それに案内されて、分包帯8が、分包帯供給機構30から印刷機構40を経由して、分包帯送り経路のうち次に述べる薬剤投入ホッパ52の所である薬剤投入位置に、送り込まれるようになっている。
【0024】
区分封入機構50は(図1(c)〜(d)参照)、基板21に対しては斜めに植設されてほぼ鉛直の姿勢をとり一対が分包帯送り経路の両脇に立設されていて分包帯8を両側から挟んで振れ規制を行う押え部材51と、基板21と共に筐体15に押し込まれた動作可能状態で薬剤収集機構14の直下に位置して分包帯8の区分収納室に薬剤を投入する薬剤投入ホッパ52と、加熱融着用の横シール発熱体と縦シール発熱体とが一体化されて例えばΓ字状(図1(d)参照)やT字状(図示せず)になったシール機構53と、分包帯8を挟持して引っ張る牽引ローラ等からなる分包帯牽引機構54と、薬剤投入ホッパ52やシール機構53等を連係動作させる電子カム機構とを具えている。
【0025】
分包帯排出機構60は(図1(c),(e)参照)、薬剤を区分収納した分包帯8すなわち分包体90を更に送ることで薬剤包装装置20から排出して受け箱17に収容するものであり、そのために、分包帯送り経路に沿って上流から下流へ順に配置されたカッター61と排出ローラ62と排出ベルト63を具えている。カッター61は分包体90になった分包帯8を切断したり分包帯8にミシン目を入れたりするものであり、排出ローラ62は、切断されても分包帯送り経路にとどまるよう分包帯8を挟持して保持するものであり、排出ベルト63は分包帯8を挟持して受け箱17の上まで送り込むものである。
【0026】
タグ供給機構70は(図1(c),(e)参照)、無線タグ81を並べて弱い粘着剤などで仮止めした長尺のテープ80を捲回したロールを保持するとともに軸回転してそのロールを解きながら長手方向に送り出すテープ送給部71と、テープ送給部71から順に送り出されて戻ってきたテープ80を芯管に巻き付けて回収するテープ回収部72とを具えていて、タグ貼着機構73のタグライタ74対向面を経由させながらテープ80を長手方向へ順送りすることにより、分包帯送り経路の中のタグ貼着位置へ次々に無線タグ81を供給するようになっている。
【0027】
タグ貼着機構73は、分包帯送り経路に向けて進退する可動部材を具えており、後退時にはテープ80を分包帯8から離しておくが、進行時にはテープ80を押してそこの無線タグ81を分包帯8のうちタグライタ74の前の部分に押しつけるようになっている。また、タグ貼着位置に供給された無線タグ81をテープ80から剥がして分包帯8に貼り付けることが進退動作だけでできるよう、無線タグ81の分包帯8当接面には、薬剤包装装置20との仮止め用の粘着剤より着力の強い粘着剤や接着剤が予め付けられている。
タグライタ74は、タグ貼着位置の近傍の無線タグ81にデータを書き込めれば市販の汎用品で良いが、ここでは、タグ貼着時の受け部材も兼ねている。
【0028】
このタグライタ74による無線タグ81へのデータ書き込みの内容や動作と、印刷機構40による分包帯8への印刷の内容や動作は、処方箋データやそれから派生した調剤指示データに基づき図示しないコントローラによってデータ準備や動作制御がなされるが、印刷は薬剤投入ホッパ52から分包帯8への薬剤投入より先に行われるのに対し、無線タグ81へのデータ書き込みは薬剤投入より後に行われるので、分包帯8に無線タグ81を貼り付けるに際して、無線タグ81への書込情報(無線タグ書込情報)と分包帯8への印刷情報(分包帯印刷情報と)とが整合しているときには無線タグ81が分包帯8には重なっているが印刷領域から外れているタイミングでタグ貼付動作が行われ、無線タグ81への書込情報と分包帯8への印刷情報とが整合していないときには無線タグ81が分包帯8の印刷領域に重なっているタイミングでタグ貼付動作が行われるようになっている
【0029】
この実施例1の薬剤包装装置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が前扉を外した薬剤分包機10の正面図、(b)が薬剤包装装置20を引き出した薬剤分包機10の側面図である。また、図2は、分包帯8にて薬剤を分包して出来た分包体90を示し、(a)と(b)が一連の区分収納室91からなる分包体90ごとに無線タグ81を一つずつ貼り付けた例、(c)が各包毎に即ち区分収納室91毎に無線タグ81を一つずつ貼り付けた例である。
【0030】
散薬を分包する場合は予め計測した定量の散薬を手作業で散薬分割装置12に分配しておき、錠剤を分包する場合は所要数の錠剤を錠剤手撒き装置13に予め手撒きしておき、混合分包する場合はそれらの散薬分配と錠剤手撒きとを済ませておく。これにより(図1(a)参照)、薬剤収集機構14から薬剤包装装置20へ薬剤を一包分ずつ逐次落下させる準備が調う。薬剤包装装置20については、分包帯8やテープ80さらにはインクリボンの状態を確認して、それが無かったり足りないときには補充・交換を行っておく。状態確認は、前扉を開けて或いは前扉の透明な窓を介して目視で行い、分包帯8やテープ80の補充・交換は、前扉を開け薬剤包装装置20を引き出して行う(図1(b)参照)。
【0031】
こうして薬剤包装装置20に分包帯8やテープ80を補充したら、薬剤包装装置20の包装態勢も調うので、基板21を押し戻して薬剤包装装置20を筐体15内に納め、前扉も閉めて、薬剤分包機10に薬剤分包の自動動作を行わせる。
自動分包が始まると、薬剤が一包分ずつ散薬分割装置12や錠剤手撒き装置13から薬剤収集機構14経由で薬剤包装装置20の薬剤投入ホッパ52に引き渡されるとともに、薬剤包装装置20によって薬剤が分包帯8に区分包装される。
【0032】
区分包装の動作を具体的に述べると、薬剤包装装置20では、分包帯8が分包帯ロールから分包帯供給機構30によって繰り出されるとともに、分包帯牽引機構54や固定ローラ23によって分包帯送り経路を順送りされる。その際、分包帯8が区分収納室の長さ単位で長手方向に間欠送りされ、その度に、印刷機構40では分包帯8のうち区分収納予定部分に患者名や用法などの薬剤情報が印字され、区分封入機構50では、分包帯8のうち押え部材51とシール機構53との間の部分に薬剤投入ホッパ52から一包分の薬剤が投入され、それから分包帯8が間欠送りされるとシール機構53によって縦と横に例えば熱融着密封にてシールされて薬剤収納済みの区分収納室91(分包)ができあがる。
【0033】
このような間欠送りと印刷と薬剤投入とシールとがコントローラの制御下で繰り返されて一連の薬剤分包処理が遂行されるが、更に下流の分包帯排出機構60のところでは、カッター61によって、処方単位や調剤単位の同じ一連の区分収納室91同士の間にはミシン目が形成される一方、処方単位や調剤単位の切り替わりでは分包帯8が切り離されて、薬剤投入済み区分収納室91を連ねた分包体90ができあがる(図2参照)。
そして、その分包体90が排出ローラ62や排出ベルト63によって薬剤包装装置20から排出されて受け箱17に収容される。
【0034】
しかも、その際、分包帯排出機構60のところで分包体90に臨むタグ貼着機構73によって分包体90の薬剤投入済み区分収納室91に無線タグ81が貼り付けられるとともに、その無線タグ81に投入済み薬剤の情報がタグライタ74によって書き込まれる。その無線タグ書込情報には、印刷機構40にて分包帯8に先行印刷した分包帯印刷情報からなる基本情報に加えて、患者の薬歴やカルテ情報といった付加情報も含められる。この後書きの無線タグ書込情報も先行の分包帯印刷情報も何れもコントローラが管理しており、印刷から薬剤投入までの間に発生した欠品や落下不良などの不測事態もコントローラが把握しているので、実際の投入薬剤が予定と異なる場合には、それを反映して分包帯印刷情報を一部修正した基本情報が無線タグ81に書き込まれる。
【0035】
そして、薬剤投入前印刷の分包帯印刷情報と薬剤投入後書込の無線タグ書込情報とが整合しているときには、区分収納室91のうち印刷領域から外れたところに無線タグ81が貼り付けられるので、無線タグ書込情報をタグリーダにて無線で読み取るのも、分包帯印刷情報を目視で読み取るのも、不都合なく行うことができる。これに対し、無線タグ書込情報と分包帯印刷情報とが整合していないときには、区分収納室91の印刷領域に重ねて無線タグ81が貼り付けられ、先に印刷されていた分包帯印刷情報の総て又は一部が無線タグ81によって覆い隠されるので、正しい無線タグ書込情報の無線読取は不都合なく行えるが、誤っている可能性の高い分包帯印刷情報の目視読取は難しくなっている。
【0036】
区分収納室91への無線タグ81の貼付は、コントローラの動作モード設定などで、多数の区分収納室91を連ねた分包体90について無線タグ81を一つずつにしても良く(図2(a),(b)参照)、投入薬剤に係る多量の情報を分担する無線タグ81を少数個ずつにしても良く(図示せず)、それぞれの区分収納室91(各包)に一つずつにしても良いが(図2(c)参照)、何れの場合であっても、テープ80の分包帯送り経路(矢付き一点鎖線を参照)と、分包帯送り経路(矢付き二点鎖線を参照)とが平行でなく交差しているので、無線タグ81の送り込み位置を調整することで簡便に貼り付け部位を切り替えることができる。
【0037】
こうして、無線タグ81の付いた分包体90が次々に出来上がる。そして、区分収納室91の印刷情報を目視読取可能な場合はそれを目視で読み取ることにより、また、タグリーダの設置されているところでは、そのアクセス圏内に分包体90を持ち込むだけで、読取のための余分な動作を行うまでもなく、無線タグ81の保持している薬剤情報がタグリーダにて非接触で而も自動で読み取られるので、調剤監査や,薬剤配送管理,投薬管理など、分包後の薬剤の管理が容易かつ的確に行えることとなる。
【0038】
[その他]
なお、上記実施例では、分包帯8にて薬剤を分包して出来た分包体90を薬剤分包機10の筐体15の中の受け箱17に収容するようになっていたが、分包体90は筐体15の排出口などから外部へ排出するようにしても良い。
また、上記実施例では、タグ貼着機構73の可動部材の個数や位置について言及しなかったが、例えば、タグ貼着機構73の可動部材が1個だけであって進退動作に加えて上下動もできるようにすることや、独立駆動可能な2個の可動部材を上下配置して一方は印刷領域に向け他方は印刷領域から外すといったことにより、テープ80に無線タグ81を稠密配置しても不都合なく無線タグ81を分包帯8に貼り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の薬剤包装装置は、上述した薬剤分包機10に限らず、多数の錠剤フィーダを装備した錠剤分包機に組み込んでも良く、いわゆるV升型の散薬分包機に組み込んでも良く、単独のユニットにしても良い。
【符号の説明】
【0040】
8…分包帯(分包紙)、10…薬剤分包機、11…天板部、
12…散薬分割装置、13…錠剤手撒き装置、14…薬剤収集機構、
15…筐体、16…引出機構、17…受け箱、18…清掃機構、
20…薬剤包装装置、
21…基板、22…取っ手、23…固定ローラ、
30…分包帯供給機構、31…分包帯軸支部、
40…印刷機構、41…プラテン、42…プリントヘッド、
50…区分封入機構、51…押え部材、52…薬剤投入ホッパ、
53…シール機構、54…分包帯牽引機構、
60…分包帯排出機構、61…カッター、
62…排出ローラ、63…排出ベルト、
70…タグ供給機構、71…テープ送給部、72…テープ回収部、
73…タグ貼着機構、74…タグライタ、
80…テープ、81…無線タグ、
90…分包体(分包済み分包帯)、91…区分収納室(各包)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の分包帯を長手方向へ順送りして供給する分包帯供給機構と、薬剤投入位置に送り込まれる分包帯に分包予定の薬剤に係る情報を印刷する印刷機構と、薬剤投入位置に送り込まれた分包帯に区分収納室を形成するとともにその区分収納室に薬剤を投入して封止する区分封入機構と、薬剤を区分収納した分包帯を更に送って排出する分包帯排出機構とが分包帯送り経路に沿って上流から下流へ順に配設された薬剤包装装置において、無線タグを並べて仮止めした長尺のテープを長手方向へ順送りして前記分包帯送り経路の中のタグ貼着位置に供給するタグ供給機構と、前記タグ貼着位置に供給された無線タグを前記テープから前記分包帯へ貼り替えるタグ貼着機構と、前記タグ貼着位置の近傍の無線タグにデータを書き込むタグライタとが設けられ、前記分包帯の区分収納室のうち薬剤投入済みのものに前記タグ貼着機構にて無線タグを貼り付けるとともにその無線タグに投入済み薬剤の情報を前記タグライタにて書き込むようになっていることを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
前記タグ貼着位置が前記分包帯送り経路のうち前記分包帯排出機構の臨設部分かそれより下流のところになっていることを特徴とする請求項1記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記分包帯に無線タグを貼り付けるに際して、無線タグ書込情報と分包帯印刷情報とが整合しているときには印刷領域を避けて貼り付け、無線タグ書込情報と分包帯印刷情報とが整合していないときには印刷領域に重ねて貼り付けるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された薬剤包装装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−120847(P2011−120847A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283485(P2009−283485)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】