説明

薬剤払出装置及び薬剤払出方法

【課題】ブリスター包装体の収容量を多くし、迅速な払出を実現しつつ、端数であっても適切に払い出すことのできる薬剤払出装置及び薬剤払出方法を提供する。
【解決手段】装置本体1と、薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体を重ねた状態で収容し、ブリスター包装体の重なり方向が水平方向となるように、装置本体1に取り付けられる収容容器2と、装置本体1に移動可能に設けられ、収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材3と、払出部材3によって払い出されたブリスター包装体を把持して搬送する把持部材と、把持部材に把持されて搬送されてきたブリスター包装体から端数分を切断する切断部材とを備えた構成とする。開閉扉の開放位置によってブリスター包装体の1枚全体の払出と、端数の払出とを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤払出装置及び薬剤払出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブリスター包装体を払い出すための薬剤払出装置として、グリップユニットによりブリスター包装体を搬送し、カッター機構により切断して必要量の包装シートを取り出すことができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ブリスター包装体を払い出すための他の薬剤払出装置として、薬剤カセット内に収容されたブリスター包装体を、吸着部材により吸着して取り出すことができるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された薬剤払出装置では、ブリスター包装体の端数のみならず、1枚全体を取り出す場合であっても、グリップユニットを使用しており、取出効率が悪いという問題がある。また、ブリスター包装体が上下方向に積層されるので、高さ方向の占有スペースが増大し、収容する量及び種類が制約されるという問題もある。
【0005】
特許文献2に記載された薬剤払出装置では、ブリスター包装体の端数を払い出すことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2818759号公報
【特許文献2】特開2006−109859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、ブリスター包装体の収容量を多くし、迅速な払出を実現しつつ、端数であっても適切に払い出すことのできる薬剤払出装置及び薬剤払出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
薬剤払出装置を、
装置本体と、
薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体を重ねた状態で収容し、前記ブリスター包装体の重なり方向が水平又は略水平方向となるように、前記装置本体に取り付けられる収容容器と、
前記装置本体に移動可能に設けられ、前記収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材と、
前記払出部材によって払い出されたブリスター包装体を把持して搬送する把持部材と、
前記把持部材に把持されて搬送されてきたブリスター包装体から端数分を切断する切断部材と、を備えた構成とし、
前記収容容器は、一端側底面に形成される、ブリスター包装体を取り出すための取出口と、収容したブリスター包装体を一端側に向かって付勢する付勢手段と、一端面に配置される開閉扉と、を備え、
前記開閉扉は、収容容器の取出口から排出されるブリスター包装体を保持する保持部を備え、払出部材によるブリスター包装体の払出動作を阻止する閉鎖位置と、払出部材によるブリスター包装体の払出動作を許容する第1開放位置と、払出部材によるブリスター包装体の払出動作を許容して、払い出したブリスター包装体を保持部に保持可能とする第2開放位置とに位置決め可能であり、
前記把持部材は、第2開放位置で開閉扉の保持部に保持されたブリスター包装体を把持して切断部材へと搬送可能であり、切断部材で端数分を切断された後のブリスター包装体の残余を搬送して開閉扉の保持部に保持させるようにしたものである。
【0009】
この構成により、ブリスター包装体の1枚全体を払い出す場合、開閉扉を第1開放位置に位置決めすることにより、払出部材によりブリスター包装体を押し下げて取出口から排出することができる。したがって、迅速な払出動作が可能となる。また、ブリスター包装体の端数を払い出す場合には、開閉扉を第2開放位置に位置決めすることにより、取出口から排出したブリスター包装体を開閉扉の保持部に保持する。そして、把持部材によって切断部材へと搬送して切断することにより、所望の端数分を払い出すことができる。
【0010】
前記把持部材によって把持されたブリスター包装体と、前記切断部材との相対的な位置関係を調整して、ブリスター包装体の切断位置を変更する位置調整部材を備えるのが好ましい。
【0011】
前記払出部材は、収容容器の一端側に位置するブリスター包装体を押下する押下部を備え、
前記収容容器は、一端面に前記押下部の移動を許容する連通部を形成され、
前記開閉扉は、閉鎖位置で連通部での押下部の移動を阻止するのが好ましい。
【0012】
前記収容容器の取出口は、スプリングによって閉鎖位置に付勢した閉鎖片で少なくとも一部を覆うようにすればよい。
【0013】
前記収容容器の取出口は、収容容器に固定した閉鎖片で一部を閉鎖することにより、一端側に位置する1枚のブリスター包装体のみが通過可能な隙間を形成するようにしてもよい。
【0014】
前記閉鎖片は、取出口に突出する先端部分に上方に向かって湾曲する湾曲部を備えるのが好ましい。
【0015】
この構成により、先頭のブリスター包装体が閉鎖片の湾曲部に至ることにより、この先頭のブリスター包装体のみが湾曲部に沿って上方に移動し、隣接する次のブリスター包装体との位置がずれることになる。これにより、先頭のブリスター包装体のみを確実に取出口へと排出することが可能となる。
【0016】
前記収容容器は、装置本体から引き出して薬品払出位置に位置決めすることにより、開閉扉を開放可能とするのが好ましい。
【0017】
この構成により、装置本体に収容容器を高密度(例えば、上下左右に隙間のない状態)で配置することが可能となる。
【0018】
前記ブリスター包装体は、複数の薬剤が2列に収容されるものであり、
薬品払出命令に含まれる端数オーダに基づいて、前記切断部材により前記ブリスター包装体を切断させる際、一方の列を、切断後の残余数が1つとならない範囲で優先的に切断させた後、他方の列を切断させる制御手段を備えるのが好ましい。
【0019】
この構成により、単一の切断部材により薬品の残余数が1とならないように切断することができ、薬品が包装されたままの状態で誤飲されるといった不具合の発生を未然に防止することが可能となる。
【0020】
前記制御手段は、一方の列の残余数が他方の列の残余数よりも少なく、かつ、他方の列の残余数が端数オーダ数以下である場合、他方の列を優先的に切断させるのが好ましい。
【0021】
この構成により、ブリスター包装体を各列でバランス良く切断することができる。
【0022】
前記制御手段は、前記端数オーダで指定された端数オーダ数がブリスター包装体の一方の列の残余数よりも大きい場合、前記端数オーダ数を分割し、得られた分割数で、一方の列を切断させた後、他方の列を切断させるのが好ましい。
【0023】
この構成により、ブリスター包装体を各列でバランス良く切断することができる。
【0024】
前記収容容器は、底面に、収容されたブリスター包装体の付勢方向に沿ってガイドプレートを配置され、
前記ガイドプレートは、取出口側に向かって徐々に上方側に高くなる第1ガイド面と、前記第1突出部に連続し、取出口側に向かって徐々に下方側に低くなる第2ガイド面と、を有するのが好ましい。
【0025】
この構成により、先頭のブリスター包装体が第1ガイド面を通過する際、隣接する次のブリスター包装体との位置がずれる。そして、先頭のブリスター包装体が湾曲している場合、第2ガイド面に至ることにより、その形状が平坦となるように力が付与される。したがって、ブリスター包装体をスムーズに1枚ずつ払い出すことができる。
【0026】
前記収容容器は、取出口側の内端面から内側に突出し、ブリスター包装体のシート面に当接可能な平坦面と、湾曲したブリスター包装体の膨らみ部分の逃がしを形成する湾曲面と、を有する曲面受部を備えるのが好ましい。
【0027】
この構成により、たとえブリスター包装体が湾曲していたとしても、その湾曲によって膨らんだ部分を湾曲面を形成する凹部に位置させることができ、押下部によって押し下げることが可能となる。
【0028】
前記押下部は、平坦なブリスター包装体のシート部の側縁部を押し下げ可能な第1受部と、湾曲したブリスター包装体のシート面に当接して押し下げ可能な第2受部と、を備えるのが好ましい。
【0029】
この構成により、ブリスター包装体が平坦なままか、あるいは、あまり湾曲していない場合には第1受部により押し下げることができ、大きく湾曲している場合には第2受部により押し下げることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、開閉扉の開放位置の違いにより、端数を払い出すことができるだけでなく、ブリスター包装体の1枚全体を迅速に払い出すことが可能である。また、収容容器には、重なり方向が水平又は略水平方向となるようにブリスター包装体が収容されている。このため、装置本体に複数の収容容器を装着する場合であっても、上下方向の占有スペースを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る薬剤払出装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1から外装パネルを除去した状態を示す斜視図である。
【図3】図2のカセット装着部に装着されるカセットの斜視図である。
【図4】図3から開閉扉を90度開放位置に回動させ、駆動機構のケーシングを除去した状態を示す異なる角度から見た部分斜視図である。
【図5】図3から開閉扉を180度開放位置に回動させ、さらに異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
【図6】図1の払出部材を示す斜視図である。
【図7】図6を異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
【図8】カセットからのブリスター包装体の取出状態を示す概略側面図である。
【図9】(a)は他の実施形態に係るカセットを示す概略部分平面図、(b)はその側面図である。
【図10】第4の実施形態に係るカセットの斜視図である。
【図11】図10から開閉扉を開放位置に回動させた状態を示す斜視図である。
【図12】図11の開閉扉周辺の拡大図である。
【図13】図12の扉本体を示す斜視図である。
【図14】第5の実施形態に係る第1払出部材の斜視図である。
【図15】図14を異なる角度から見た状態を示す部分拡大斜視図である。
【図16】本実施形態に係る薬剤払出装置を複数台並設し、その両側にトレイ供給ユニットとトレイ積上ユニットを配置した状態を示す概略正面図である。
【図17】図16のトレイ積上ユニットに設けたジャーナルプリンタで印刷した指示箋の内容を示す図である。
【図18】第6の実施形態に係る薬剤払出装置に実装されるカセットにブリスター包装体を充填するための充填台を示す概略説明図である。
【図19】第7の実施形態に係るブリスター包装体の正面図である。
【図20】第7の実施形態に係るカセットの斜視図である。
【図21】第7の実施形態に係る端数切り離し処理の内容を示すフローチャートである。
【図22】第7の実施形態に係る端数切り離し処理の内容を示すフローチャートである。
【図23】第7の実施形態に係る端数切り離し処理の内容を示すフローチャートである。
【図24】第7の実施形態に係るカセットの概略側面図である。
【図25】第8の実施形態に係るカセットの一部を示す側面断面図である。
【図26】図25の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。但し、以下の説明では、構成要素の種類、組合せ、形状、相対配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の技術的範囲をそれのみに限定するものではない。また、適宜、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「一端」、「他端」等)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0033】
(構成)
図1は、本実施形態に係る薬剤払出装置の概略を示す。この薬剤払出装置は、装置本体1に、収容容器である複数のカセット2を格子状に隙間なく装着し、払出部材3により各カセット2から複数の薬剤が包装されたブリスター包装体4を順次払い出すように構成されている。そして、一連のブリスター包装体4の払出処理は、図示しないホストコンピュータ等から入力される処方データに基づいて制御部にて実行される。
【0034】
装置本体1は、枠体5の周囲に外装パネル6を取り付けて略直方体形状としたもので、下方領域には、図示しないトレイを搬送するための搬送装置7が設けられ、背面側半部の上方領域はカセット装着部8となっている。ここでは、搬送装置7として、ローラコンベアが使用されているが、ベルトコンベア、プッシャー等、種々の搬送手段を使用することができる。カセット装着部8は、左右方向に所定間隔で配置した支持パネルの対向面にガイド溝(図示せず)を形成したもので、このガイド溝にカセット2を挿入して装着できるように構成されている。
【0035】
カセット2は、図3から図5に示すように、上面が開口する略直方体形状のカセット本体9と、このカセット本体9の前面に配置される開閉扉10とを備える。
【0036】
カセット本体9の底面には、膨出した側壁とは反対側の側壁に沿って前面側から背面側にガイド溝11が形成されている。ガイド溝11には、往復移動可能に押出部材12が配置されている。押出部材12は、ガイド溝11を摺動する摺動部13と、そこからカセット本体9内を横切るように延びる押圧片14とで構成されている。摺動部13には、図示しない定加重バネ(コンストン)が収容され、摺動部13の位置に拘わらず押出部材12を開閉扉側へと一定荷重で付勢する。
【0037】
また、カセット本体9の底面前端部には、先頭のブリスター包装体4を取出可能とする取出口15が形成されている。取出口15は、底面前端部の中央の切欠部15aに回動可能に設けた閉鎖片16によって一部閉鎖され、先頭のブリスター包装体4の落下が防止されている。閉鎖片16は、スプリング17によって閉鎖方向に付勢されている。
【0038】
カセット本体9の前面は、中央部が切り欠かれることにより連通部18が形成されている。連通部18は、後述するように、先頭のブリスター包装体4を取り出す際に押下片を移動可能とするための逃がしである。
【0039】
カセット本体9の背面には、段部19が形成され、そこに形成された開口部には係止片20が取り付けられている。係止片20は、カセット2を装置本体1のカセット装着部8に装着した際、図示しない係止受部に取外可能に係止される。
【0040】
カセット本体9には、ブリスター包装体4(PTP(Press Through Package)シート)が複数枚積層されて横向きに収容されている。ブリスター包装体4は、詳細については図示しないが、薬剤を収容する複数のポケット部を備え、このポケット部を塞ぐようにカバーフィルムを貼着した構成である。ブリスター包装体4の積層方向は、カバーフィルム側がカセット本体9の前方側に向かう方向としている。
【0041】
開閉扉10は、カセット本体9の前面下端に設けた支軸10aを中心として回動可能に設けられている。開閉扉10は、支軸10aから延びる前面部21と、この前面部21の前端縁から断面略U字形に折り曲げられたガイド部22とからなる。ガイド部22は、ブリスター包装体4の端数(残余)を保持するためのものである。このため、少なくとも弾性を有してブリスター包装体4を保持可能な構成(弾性支持部)を備えているのが好ましい。弾性支持部としては、例えば、ガイド部22を構成する対向面の一方にゴム等を設けたものが挙げられる。前面部21の一方の側縁中央部には切欠部23が形成されている。この切欠部23を利用して、後述する把持部によりブリスター包装体4の端数を把持することが可能となっている。
【0042】
開閉扉10は、カセット本体9の一方の側壁前方部に設けた駆動機構24によって回動する。駆動機構24は、ケーシング24aの前端面から突出する押込バー25を押し込むことにより、ケーシング内に設けた第1ギア26を介して、第1ギア26に噛合した第2ギア27を回転させ、そこに一体化した支軸10aを回転させることにより開閉扉10を回動させる。開閉扉10は、押込バー25の押込量を変更することにより、閉鎖位置(図3参照)、90度開放位置(図4参照)、180度開放位置(図5参照)に位置決め可能である。第1ギア26は、ピンに取り付けられた定加重バネ26aによって押込バー25を突出させるような回転方向に付勢されている。さらに、定加重バネ26aの付勢力により、開閉扉10は閉鎖位置に保持されている。また、第1ギア26には、係止ギア28が噛合可能となっている。係止ギア28は、ケーシング24aの側面に突出した操作部29を回転操作することにより、手動で第1ギア26に係脱可能である。係止ギア28は、開閉扉10を90度開放位置、180度開放位置にそれぞれ位置決めする場合や、カセット装着部8からカセット2を取り外す際に開閉扉10が開放しないようにする場合に、手動により第1ギア26に噛合させて使用する。
【0043】
また、ケーシング24a内には、前端面側に磁性部30が配置されている。この磁性部30は、カセット装着部8からカセット2を引き出す際、電磁石部42に吸引される。さらに、ケーシング24aの前端面には発光部31が設けられ、装置本体側に設けたLED(図示せず)からの光が照射されるようになっている。LEDにより発光部31を照射するのは、例えば、薬品の欠品や異常を報知する場合である。これによれば、カセット2側には電気部品や配線を不要とすることができ、構成を簡略化して安価に製作することが可能となる。
【0044】
払出部材3は、図6及び図7に示すように、基台32に、第1払出部材33、第2払出部材34、把持部材35、切断部材36、及び、回収部材37を設けたものである。基台32は、装置本体1の前面左右に配置した垂直レール38に対して昇降可能な水平レール39に往復移動可能に設けられている。
【0045】
第1払出部材33は、モータの回転軸に設けたギアにラック40を噛合させ、このラック40に一体化した押下部41を、モータを正逆回転駆動することにより昇降させるようにしたものである。押下部41の下端部が、カセット2の先頭に位置するブリスター包装体4を押し下げ、カセット2の底面前端部に形成した取出口15を介して排出する。
【0046】
第2払出部材34は、電磁石部42及び押込部43を備える。この電磁石部42は、移動片44に固定され、通電により励磁して磁性体を吸引可能となる。移動片44の上端部はスクリュー45に螺合している。スクリュー45は、前板46及び後板47に回転可能に支持されており、モータ45aの駆動により図示しないギアを介して回転し、移動片44を介して電磁石部42が前後に往復移動する。電磁石部42は、前進位置で、カセット2の磁性部30を吸引し、後退することによりカセット装着部8からカセット2を薬品取出位置に引き出す。押込部43は、図示しないモータの駆動により前後(水平方向)に往復移動可能となっており、カセット2の押込バー25を押し込む。そして、押込部43で押込バー25を押し込む位置を2段階で変更することにより、閉鎖位置にある開閉扉10を、90度開放位置、180度開放位置にそれぞれ位置決め可能となっている。
【0047】
把持部材35は、図示しないモータの駆動により開閉する一対の把持片35aを備え、基台32の前方部に形成された水平溝に往復移動可能に設けられている。そして、一対の把持片35aで、ブリスター包装体4を把持する。
【0048】
切断部材36は、支持台48に、固定刃49と、水平方向に往復移動して、固定刃49に対して接離する可動刃50とを取り付けたものである。支持台48は、一端面を位置調整部材である扇状の回動プレート51に固定されている。回動プレート51は、外周縁にギアが形成されている。ギアには、モータ51aの回転軸に設けたギアが噛合している。そして、モータ51aを駆動することにより、ギアを介して回動プレート51が正逆回転する。これにより、固定刃49と移動刃が回動プレート51と共に回動し、把持部材35によって把持されたブリスター包装体4に対する切断位置を変更する。ここでは、切断部材36を水平位置と垂直位置の2箇所に位置決めして使用している。また、切断部材36は図示しない昇降機構を備えており、固定刃49及び可動刃50による切断位置を調整することができるようになっている。これにより、複数列あるブリスター包装体4を最小1錠単位の端数で切断することが可能である。なお、可動刃50による切断前にブリスター包装体4を押える板バネ部材を設け、切断時の衝撃によるブリスター包装体4の位置ずれ(飛び跳ね等)を防止するのが好ましい。
【0049】
回収部材37は、案内通路52と回収容器53とを備える。案内通路52は、直線部52aと傾斜部52bとから構成され、直線部52aにはカセット2の取出口15から落下するブリスター包装体4が通過し、傾斜部52bには切断部材36によって切断された端数のブリスター包装体4が通過して直線部に合流する。回収容器53は3つの貯留部(図示せず)を有し、案内通路52を介して供給されたブリスター包装体4を、搬送装置7によって搬送される図示しないトレイ内の仕切られた各区画内へと移送する。
【0050】
(動作)
次に、前記構成からなる薬剤払出装置の動作について説明する。
【0051】
図示しないホストコンピュータ等から処方データが入力されれば、入力された処方データに基づいて、払出部材3を該当する薬剤のブリスター包装体4が収容されたカセット2へと移動させる。
【0052】
ブリスター包装体4を1シート全体で払い出す場合、モータを駆動して押込部43を前進させ、電磁石部42を励磁する。これにより、カセット2の磁性部30が吸引されるので、押込部43を後退させ、図8に示すように、カセット2を薬品払出位置に位置決めする。この状態で、カセット2の押込バー25を押し込む。この場合の押込量は、開閉扉10が90度開放位置まで回動する量である。これにより、カセット本体9の前端面の連通部18が露出し、払出部材3の押下部41により先頭に位置するブリスター包装体4を押し下げ可能な状態となる。そこで、モータを駆動してギア及びラック40を介して押下部41を下方に移動させると、先頭に位置するブリスター包装体4が、スプリング17の付勢力に抗して閉鎖板を回動させ、取出口15を介してカセット2から排出される。排出されたブリスター包装体4は、案内通路52を介して回収容器53へと回収される。ブリスター包装体4が回収容器53に回収されれば、電磁石部42を前進させてカセット2をカセット装着部8内に収容する。そして、電磁石部42を消磁して磁性部30の吸引を解除した後、回収容器53(払出部材3)を図示しないトレイへと移動させる。なお、ブリスター包装体4を複数枚払い出す場合、押下部41を降下させる押下動作と、上昇させる復帰動作を繰り返す。
【0053】
ブリスター包装体4を端数で払い出す場合、押込バー25の押込量は、開閉扉10が180度開放位置まで回動する量とする。この状態で、前記同様にして押下部41により先頭に位置するブリスター包装体4を押し下げると、このブリスター包装体4は、取出口15を介して排出され、開閉扉10のガイド部22に保持される。そこで、把持部材35を駆動してガイド部22に形成された切欠部23を介してブリスター包装体4を把持する。そして、把持部材35を水平移動することにより、把持したブリスター包装体4を切断部材36へと移動させる。切断部材36では、ブリスター包装体4の端数に応じて回動位置を変更する。
【0054】
ブリスター包装体4のポケット部が偶数列(2列あるいは4列)である場合、端数が偶数であれば、切断部材36を90度回動した垂直位置とし、把持部材35の位置を調整することにより切り離される部分が所望数量となるように位置決めする。これにより、切断部材36でブリスター包装体4を切断すると、希望する端数分だけ案内通路52を介して回収容器53へと回収される。
【0055】
また、端数が奇数であれば、前述のようにしてブリスター包装体4を切断した後、残余のブリスター包装体4から残る1つ分を切断する。この場合、残余のブリスター包装体4を幅方向に縁から半分だけ切断した後、回動プレート51を90度回転させて水平位置とし、さらに半分だけを切断するようにすればよい。
【0056】
さらに、ブリスター包装体4のポケット部が奇数列(3列)である場合、端数が偶数の場合と奇数の場合とで、前述とは逆の処理を行うようにすればよい。
【0057】
このようにして端数を切断された残りのブリスター包装体4は、把持部材35を移動させて開閉扉10のガイド部22へと搬送し、把持部材35による把持状態を解除することにより、残余のブリスター包装体4をガイド部22に設けた弾性支持部で支持しておく。この場合、弾性支持部による支持位置を座標データとして残余の数量(ポケット部の数)と共に記憶しておき、次回の払出の際、このデータに基づいて把持部材35を移動させ、残余のブリスター包装体4を払い出すようにすればよい。なお、ガイド部22に保持している残余のブリスター包装体4がなくなれば、前記同様にして、新たなブリスター包装体4をカセット2からガイド部22へと排出し、切断するようにすればよい。
【0058】
(他の実施形態)
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内に於いて種々の変更等が可能である。
【0059】
(第2の実施形態)
例えば、前記カセット2の取出口15には閉鎖片16を設けてブリスター包装体4の落下を防止するようにしたが、この閉鎖片16は図9に示すような構成とすることも可能である。図9では、閉鎖片16は、カセット本体9の底面に固定されている。そして、先端縁が位置するブリスター包装体4のポケット部の形状に合わせて凹凸形状とされている。これにより、カセット2内に収容されたブリスター包装体4は、先頭に位置するもののみが、閉鎖片16の先端側に形成される隙間を介して下方に落下可能となる。但し、カセット2内に収容されたブリスター包装体4は、定加重バネによって付勢されているので、前記隙間からは落下することがない。押下片で強制的に先頭のブリスター包装体4を押し下げた場合、先頭に位置するブリスター包装体4のみが取出口15から排出され、2つめ移行のブリスター包装体4は、閉鎖片16によって移動を阻止される。また、閉鎖片16の先端縁は上面側から下面側に向かって断面円弧状に形成されており、ブリスター包装体4を排出する際に詰まりにくい構造となっている。
【0060】
(第3の実施形態)
また、前記実施形態では、回動プレート51を回動させることにより把持部材35に把持したブリスター包装体4に対する切断部材36の位置を変更するようにしたが、把持部材35を回動させたり、切断部材36と把持部材35の双方を回動させたりすることにより、切断部材36に対する把持部材35に把持したブリスター包装体4の位置を変更するようにしてもよい。
【0061】
(第4の実施形態)
さらに、前記実施形態では、カセット本体9の一方の側壁前方部に設けた駆動機構24により開閉扉10を開閉するようにしたが、図10〜図14に示すように、第1払出部材33にその機能を付加した構成とするようにしてもよい。
【0062】
すなわち、図10〜図12に示すカセット100は、カセット本体101と、その前面に配置される開閉扉102とだけで構成されている。
【0063】
カセット本体101は上面が開口する箱状に形成され、内部に定加重バネ103(コンストン)を有する押出部材103が設けられ、図9に示す状態と同様に、カセット100内に重ねて収容されたブリスター包装体4を開閉扉102へと一定荷重で付勢する。また、カセット本体101の前面側両側面には、上下に開閉扉102の扉本体107を取り付けるための貫通孔104がそれぞれ形成されている。また、両貫通孔104の間の位置には、ガイド孔105が形成され、上方側の貫通孔104の近傍には係合孔106が形成されている。
【0064】
カセット本体101の前面側側面の上縁同士は天板101aによって連結されている。これによれば、後述するように、開閉扉102を閉鎖位置に位置させた状態で、その上面を天板101aで覆うことができるので、ユーザがカセット本体101を手動で引き出す際、誤って開閉扉102が開放されてしまうといった不具合の発生を防止することが可能となる。なお、天版101aには凹所が形成され、ブリスター包装体4の名称、錠数等を印刷したラベルが貼着されるようになっている。
【0065】
開閉扉102は、扉本体107と、開閉部材108と、押え板109とで構成されている。
【0066】
扉本体107は、図13に示すように、平面視矩形状の板材で、両側部上下にカセット本体101に形成した貫通孔104を介してネジを螺合するためのネジ孔110がそれぞれ形成されている。そして、扉本体107をカセット本体101に取り付けた状態で、扉本体107とカセット本体101の底面前端との間に、ブリスター包装体4を通過可能とする連通口(図示せず)が形成されている。また、ネジ孔110の間には、前記ガイド孔105に対応する位置に、中心に向かって徐々に深くなる円錐面を備えたガイド凹部112が形成されている。扉本体107の背面側中央部には逃がし溝113が形成され、先頭のブリスター包装体4を取り出す際に押下片41(図14及び図15参照)を移動可能となっている。
【0067】
また、扉本体107の下端両側部には扉本体軸受部115がそれぞれ形成されている。この扉本体軸受部115には、図12に示すように、支軸120が保持され、この支軸120に開閉部材108が回動可能に取り付けられている。図13に戻って、各扉本体軸受部115の背面側には保持凹部111がそれぞれ形成され、そこにはボールプランジャ(図示せず)がそれぞれ取り付けられている。ボールプランジャは、扉本体107に押し付けられたブリスター包装体4の下縁に当接し、連通口からの落下を防止する。また、図示しないが、カセット本体101の底面前端面の2箇所からピン(図示せず)が前面側へと突出している。これらピンは、押下片114により扉本体107に押し付けられたブリスター包装体4が押し下げられて連通口を通過する際、次に位置するブリスター包装体4が一緒に移動するのを防止する。
【0068】
さらに、扉本体107の前面中央部には、図12に示すように、幅方向に所定間隔で突条部116が形成されている。これら突条部116の下端部には挿通孔が形成されている。各挿通孔には、後述するスプリング159の両端の脚部159cがそれぞれ挿通されている。
【0069】
開閉部材108は、図12に示すように、開閉支持部117と、開閉板118とで構成され、カセット本体101の前面に位置する閉鎖位置(図10)と、閉鎖位置から90度回動した、ブリスター包装体4をそのまま払い出すための第1開放位置と、鉛直下方に回動したブリスター包装体4から端数を切り取って排出するための第2開放位置(図11)との間で回動可能となっている。
【0070】
開閉支持部117は磁性材料からなり、開閉板118が取り付けられ、両端部から直角に折り曲げられた腕部119が延びている。腕部119の先端は、支軸120を中心として扉本体107に回動可能に連結されている。一方の腕部119は取付プレート135と略同一幅となるように広げられ、そこには操作孔121が形成されている。
【0071】
開閉板118は、開閉扉102の背面及び底面を構成する第1平坦部122と第2平坦部123とからなる断面略L字形をしている。第1平坦部122には、図10に示すように、閉鎖位置で前面側に位置する面に凹所124が形成されている。凹所124には、適宜、カセット100内に収容するブリスター包装体4の名称、錠数等を印刷したラベルが貼着される。凹所124の近傍には取付プレート135の一部を露出させるための開口部125が形成されている。これにより、第1払出部材133に設けた、前進及び後退移動可能な電磁石部42(図14参照)によって開口部125に露出した取付プレート135の一部を吸引し、棚からカセット100を引っ張り出すことができるようになっている。なお、電磁石部42によってカセット100を引っ張り出すことができたか否かは、その近傍に設けた検出センサ(図示せず)によって検出される。また、第1平坦部122の側部には切欠部126が形成されている。この切欠部126は、端数を切り取ったブリスター包装体4の残りを、把持部材35で把持するために利用する。一方、第2平坦部123は、先端縁部が軸状に形成され、その両端部には係合突部127(ボールキャッチ)が形成されている。係合突部127は、カセット本体101の前面側両側面にそれぞれ形成した係合孔106に係脱し、係合状態で、カセット本体101に対して開閉部材108を閉鎖位置に位置決めする。
【0072】
押え板109は、図12に示すように、扉本体軸受部115の間で露出する支軸120に、所定間隔で設けた押え板軸受部128を回動可能に支持されている。押え板109はスプリング159によって付勢され、開閉板118の第1平坦部122との間に端数を切り取られた残りのブリスター包装体4を挟持する。
【0073】
スプリング159は、押え板109に圧接する略U字状部159aと、その両端側に連続し、押え板軸受部128の間で露出する支軸120に外装されるコイル状部159bと、さらにその端部に連続し、扉本体107の突条部116の挿通孔に挿通される脚部159cとで構成されている。このようなスプリング159を使用しているため、押え板109によるブリスター包装体4の挟持状態が開閉部材108の回動位置に応じて変化する。すなわち、開閉部材108が閉鎖位置に位置するとき、最も挟持状態が強固なものとなる。このため、端数を切り離した残りのブリスター包装体4を使用しない状態での挟持状態を安定させることができる。また、開閉部材108が開放位置に位置するとき、最も挟持する力が弱くなる(但し、挟持したブリスター包装体4の下方側には開閉板118の第2平坦部123が位置し、落下することはない。)。これにより、把持部材35でブリスター包装体4を把持して簡単に移動させることが可能となる。
【0074】
(第5の実施形態)
図14に示す第1払出部材133は、前記実施形態の構成に加え、開閉扉102を回動させるための駆動機構134を備える。以下の説明では、主に、この駆動機能134について言及し、他の構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
駆動機構134は、図15に示すように、取付プレート135に設けたモータ136の駆動力をギアを介して回動ピン140に伝達するように構成され、カセット100のサイズに応じて幅方向にスライド移動可能となっている。ここでは、サイズの異なる3種類のカセット100に対応して3箇所のガイド位置と、1箇所の退避位置とに位置決めすることができるようになっている。
【0076】
駆動機能134の詳細は次の通りである。すなわち、モータ136の回転軸には駆動ギア137が設けられ、この駆動ギア137には中間ギア138が噛合し、この中間ギア138には従動ギア139が噛合している。従動ギア139の端面には回動ピン140を有する従動プレート141が一体化されている。回動ピン140は、その先端部分を開閉部材108の開閉支持部117(一方の腕部119)に形成した操作孔121内位置させる。また、取付プレート135には、カセット本体101のガイド孔105、及び、扉本体107のガイド凹部112に位置決めされるガイドピン135aが一体化されている。ガイドピン135aの先端は円錐状に形成され、ガイド孔105への侵入を容易とし、ガイド凹部112の円錐受面に当接する。ガイドピン135aをガイド孔105及びガイド凹部112内に位置させ、回動ピン140を操作孔121内に位置させた状態で、モータ136を正逆回転駆動すると、ギアを介して従動プレート141すなわち回動ピン140が回動する。これにより、開閉部材108はガイドピン135aによって位置決めされた状態で、支軸120を中心として、閉鎖位置と開放位置との間で回動する。なお、モータ136から従動プレート141に至るまでの動力伝達経路のいずれかに(例えば、従動ギア139の回転軸)にトルクリミッター等を設けるようにするのが好ましい。これにより、駆動機構134により開閉扉102を閉鎖位置に回動させる際、カセット本体101側に必要以上の負荷が作用せず、損傷することを防止することができる。
【0077】
前記構成の薬剤払出装置は、単独で使用してもよいし、図16に示すように、複数並設して設けることもできる。また、両側には、トレイ供給ユニット142とトレイ積上ユニット143をそれぞれ配置することも可能である。この場合、下方側に搬送ライン144(ベルトコンベア等)を設けるようにすればよい。
【0078】
トレイ供給ユニット142では、空のトレイ148が複数積上げられた状態でセットされている。そして、最下部に位置するトレイ148から順に搬送ライン144へと供給される。搬送ライン144に供給されたトレイ148は、薬剤払出装置149へと搬送され、そこで、処方データに基づいて該当する薬剤が払い出される。薬剤を払い出されたトレイ148は、さらにトレイ積上ユニット143へと搬送され、そこでジャーナルプリンタ145から、図17に示す払出薬剤の一覧表(処方データ)を印字された用紙(指示箋146)が供給される。そして、トレイ積上ユニット143の上方側へと搬送される。トレイ148が上方側に搬送されて位置決めされると、その位置のLED147が点灯し、トレイ148への薬剤の払出が完了したことが報知される。なお、LED147に代えて、液晶パネル等で構成し、患者名等を表示するようにしてもよい。
【0079】
ところで、欠品等により処方データに含まれる全ての薬剤の払出が完了していなければ、トレイ積上ユニット143では、異なる色のLED147を点灯させたり、「手」等の文字を表示させたりする等により、ユーザが手作業で補給する必要のある不足薬剤がある旨を報知する。また、ジャーナルプリンタ145で印刷して各トレイ148に払い出す指示箋146には、薬剤払出装置で払い出すことができなかった薬剤について、他と識別可能(例えば、赤字)に印刷する(他の部分は黒字)。すなわち、カセット100内のブリスター包装体4が欠品している場合と、手払出薬剤(薬剤払出装置149にセットできない、人手を介して払い出す必要がある薬剤)が含まれている場合には、ユーザ(薬剤師)がこの薬剤を補給する必要があるため、その旨をLED147及び指示箋146で報知する。
【0080】
これにより、薬剤師がトレイ148内に薬剤を補給する際、LED147が点灯したトレイ148を取り出せばよい。そして、指示箋146の赤字で印刷された薬剤を手作業により補給すればよく、処方し忘れることを確実に防止することができる。また、その指示箋146にはバーコードが印刷されている。このバーコードをバーコードリーダーで読み取ることにより、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)内の記憶部にそのことを記憶させることができる。また、サーバ等と通信し、PDAの画面に処方データ内の不足薬剤を表示させることもできる。トレイ148に薬剤を補給する場合、指示箋146のバーコードと、補給する薬剤が収容された薬剤箱のバーコードとをバーコードリーダーでそれぞれ読み取ることにより、補給する薬剤に間違いがないようにチェックすればよい。これにより、人手を介して薬剤をトレイ148に補給した場合であっても、その内容を記録しておくことができ、薬剤払出装置149との払出記録と共に、全ての薬品払出記録(トレーサビリティー)を管理することが可能となる。
【0081】
(第6の実施形態)
欠品が発生した薬剤の補給は、図18に示すように、専用の充填台150で行うようにするのが好ましい。充填台150は傾斜面151を備え、この傾斜面151にカセット100を前面側が下方側に位置するように載置する。傾斜面151の右半部の上方側には表示パネル152が設けられている。補給する薬剤が収容された薬剤箱のバーコードをバーコードリーダー153で読み込むことにより、表示パネル152の上方欄に薬剤名が表示される。さらに、バーコードリーダー153で、製薬会社からの薬瓶に貼着したラベルの薬種を識別ためのバーコードを読み込むことにより、表示パネル152の下方欄に充填すべき薬剤名が表示される。ユーザは薬剤名を比較し、合致していれば、「手動入力」ボタン154又は「自動カウント」ボタン155を操作する。但し、薬剤名が一致しているか否かは自動判定することも可能である。そして、一致している場合と不一致の場合とで識別可能に表示するようにすればよい。
【0082】
「手動入力」ボタン154を操作した場合、テンキー156で補充するブリスター包装体4のシート枚数を入力する。これにより、表示パネル152にシート枚数が表示される。ユーザは表示されたシート枚数分のブリスター包装体4をカセット100内に充填すれば、「送信」ボタン157を操作することによりサーバ等にそのデータを送信して記憶させる。「自動カウント」ボタン155を操作した場合、ユーザによってブリスター包装体4をカセット100内に充填すれば、傾斜面151上部に設けた測長センサ158によってカセット100内のシート枚数が自動的にカウントされる(この場合、カセット100の後端壁には、定加重バネによって邪魔されることなく最後端側のブリスター包装体4を検出可能な開口部が必要となる。)。そして、ブリスター包装体4の充填が完了すれば、前記同様、「送信」ボタン157を操作し、サーバ等にそのデータを送信して記憶させる。
【0083】
このように、充填台150を利用してカセット100内にブリスター包装体4を充填する場合、カセット100を傾斜面151に載置した状態で行うことができるので、充填作業を簡単で効率よく行うことができる。また、充填するブリスター包装体4のシート枚数は、手動又は自動でサーバ等に送信して記憶させておくことができるので、カセット100内のブリスター包装体4のシート枚数を正確に把握しておくことが可能となる。
【0084】
(第7の実施形態)
ブリスター包装体200として、図19に示すように、一端側に把持領域201を備え、この把持領域201から2列で延び、各列には複数の薬品が1つずつ所定間隔で包装されたものを使用している。このブリスター包装体200には、各列で隣接する2つ1組となって、各組の間には切り離し可能なミシン目が形成されている(つまり、ここでは2つの錠剤が手で切り離し可能な最小単位となっている。)。そして、端数を払い出す場合、前述の切断部材36により、図19中、2点鎖線で示す位置で切断する。
【0085】
前記ブリスター包装体200は、図20に示す構成のカセット210に収容される。カセット210は、前記第4の実施形態に係るカセット100とほぼ同様な構成、すなわちカセット本体211と開閉扉212とを備え、次のような特徴を有する。
【0086】
すなわち、カセット本体211内に配置される、定加重バネ(コンストン)を有する押出部材213は、略直方体形状で、上面には肉盗みとなる凹部213aが形成され、下面にはカセット本体211の底面に形成された2本の突条部211aの間を摺動する突起(図示せず)が形成されている。また、押出部材213の前面側には、幅方向にはみ出した鍔部213bと、上端中央部から下方側に向かう傾斜面を備えた窪み213cとが形成されている。窪み213cは、カセット本体211内に残留する最終のブリスター包装体200を払い出す際、たとえ押下部41と押出部材213が互いに干渉したとしても、押下部41を押し戻し可能なスペースを提供するためのものである。なお、カセット本体211の前面側内壁にも同様な窪み217が形成され、押下部41の押下位置が多少ずれたとしても、干渉することを回避あるいは軽減することができるようになっている。
【0087】
カセット本体211の底面前端部には、2箇所のピンに代えて2枚のガイドプレート214が前後方向に位置を調整可能に取り付けられている。ガイドプレート214の位置を調整することにより、ブリスター包装体200が押し下げられて連通口215を通過する際、次に位置するブリスター包装体200が一緒に移動するのを防止する。ガイドプレート214は、先端部分(連通口215側に突出する部分)が上方に向かって湾曲する湾曲部214aで構成されるのが好ましい。この湾曲部214aは、カセット本体211から排出される直前の先頭のブリスター包装体200を持ち上げ、次のブリスター包装体200との位置をずらせる役割を果たす。一般に、ブリスター包装体200は、箱に収容されて納品される関係上、図24に示すように、例えば、錠剤が収容された突出側が窪むように湾曲した形状となっている。このため、先頭のブリスター包装体200のみを連通口215からスムーズに排出できないことがある。しかしながら、前述のようにガイドプレート214に湾曲部214aを設けて、先頭のブリスター包装体200と、次のブリスター包装体200との位置をずらせ、先頭のブリスター包装体200のみを、湾曲部214aを乗り越えさせることによって確実に排出することが可能となる。
【0088】
また、カセット本体211の前端内面には、並設されたブリスター包装体200の上端縁部を押さえる押さえ片216が幅方向の2箇所に形成されている。押さえ片216は、ブリスター包装体200のサイズに合わせて上下方向に位置を調整可能に設けられている。そして、押さえ片216は、最前列のブリスター包装体200が連通口215を通過した後、押下部41が上昇する際、押下部41に接触する次のブリスター包装体200と、さらにその次の包装体200とが浮き上がるのを防止する。
【0089】
ブリスター包装体200から端数を切り離す場合、各構成部品を次のように駆動制御している(端数切り離し処理)。
【0090】
すなわち、図21〜図23のフローチャートに示すように、まず、受信あるいは入力された薬品の払出命令中に端数オーダが含まれていないか否か(薬品の払出命令に端数を含むデータがないか(S=0)否か)を判断する(ステップS1)。端数オーダがあれば、開閉扉212に端数用ブリスター包装体200(ブリスター包装体200から端数の薬品を切断した残り)が保持されているか否かを判断する(ステップS2)。保持されていなければ、前記第4の実施形態と同様にして、開閉扉212を開放し、カセット200から開閉扉212にブリスター包装体200を排出する(ステップS3)。
【0091】
そして、端数オーダ数Sが在庫薬品数A(開閉扉212に保持されている端数用ブリスター包装体20の薬品数)よりも大きいか否かを判断する(ステップS4)。端数オーダ数Sが在庫薬品数Aよりも大きければ、端数用ブリスター包装体200を一端側から所定寸法切断することにより、把持領域201を残して上下各列に分離する。そして、端数用ブリスター包装体200を把持領域201側で切断することにより、把持領域201から全ての薬品を切り離す(ステップS5)。つまり、端数用ブリスター包装体200の薬品を全て払い出す。そして、在庫薬品数Aを更新して「0」とした後(ステップS6)、ステップS1に戻って同様の処理を繰り返す。
【0092】
端数オーダ数Sが在庫薬品数A以下であれば、端数オーダ数Sが端数用ブリスター包装体200の上方列の錠剤数Aupと同じであるか否かを判断する(ステップS7)。端数オーダ数Sが端数用ブリスター包装体200の一方の列(ここでは、上方列)の錠剤数Aupと同じであれば、端数用ブリスター包装体200の上方列の薬品を全て切り離す(ステップS8)。そして、在庫薬品数Aを(A−S)に更新し(ステップS11)、端数切り離し処理を終了する。端数オーダ数Sが端数用ブリスター包装体200の上方列の錠剤数Aupと同じでなければ、他方の列(ここでは、下方列)の上方列からはみ出した部分の薬品数(Adw−Aup)が端数オーダ数S以上であるか否かを判断する(ステップS9)。
【0093】
はみ出した部分の薬品数(Adw−Aup)が端数オーダ数S以上であれば、下方列を端数オーダ数Sだけ切断する(ステップS10)。そして、前記同様、在庫薬品数Aを更新(A→A−S)し(ステップS11)、端数切り離し処理を終了する。
【0094】
はみ出した部分の薬品数が端数オーダ数S以下であれば、上方列の薬品数Aupが端数オーダ数Sよりも大きいか否かを判断する(ステップS12)。上方列の薬品数Aupが端数オーダ数Sよりも大きければ、切断後に残る上方列の薬品数が2以上となるか否か(Aup−S>1)を判断する(ステップS13)。これは、次に切断するときに1つだけで払い出されることのないように、残る薬品数が1つとなることを防止するためである。
【0095】
切断後に残る上方列の薬品数Aupが2以上となる場合、ブリスター包装体200を一端側から所定寸法切断(横カット)し、上下2列に分離する(ステップS14)。そして、ブリスター包装体200を90度旋回させて、上方列を端数オーダ数Sで切断(縦カット)し(ステップS15)、在庫薬品数Aを更新(A→A−S)すると共に、端数オーダ数Sを更新(S→0)する(ステップS16)。
【0096】
切断後に残る上方列の薬品数Aupが1つとなる場合、端数オーダ数Sが3以下であるか否かを判断する(ステップS17)。端数オーダ数Sが3以下である場合、上方列の残りが4以下ということになるので、希望するような切断方法では切断できないと判断し、上方列で端数オーダ数Sだけ切断する(ステップS18)。そして、在庫薬品数Aを更新(A→A−S)すると共に、端数オーダ数Sを更新(S→0)する(ステップS19)。一方、端数オーダ数Sが4を超えていれば、端数オーダ数Sに1を加算した後、2で除算した値Bで上方列の薬品を切断する(ステップS20)。そして、在庫薬品数Aを更新(A→A−B)すると共に、端数オーダ数Sを更新(S→S−B)した後(ステップS21)、前記ステップS1に戻って同様の処理を繰り返す。
【0097】
上方列の薬品数Aupが端数オーダ数S以下であれば(ステップS12:NO)、前記同様、次に切断した後に残る上方列の薬品数が2以上となるか否か(S−Aup>1?)を判断する(ステップS22)。切断後に残る上方列の薬品数が2以上となる場合、ブリスター包装体200を一端側から所定寸法切断(横カット)し、上下2列に分離する(ステップS23)。そして、ブリスター包装体200を90度旋回させて、端数オーダ数Sに従って上方列を切断し(ステップS24)、在庫薬品数Aを更新(A→A−S)すると共に、端数オーダ数Sを更新(S→0)した後(ステップS26)、前記ステップS1に戻って同様の処理を繰り返す。
【0098】
切断後に残る上方列の薬品数が1であれば(ステップS22:NO)、端数オーダ数Sが3以下であるか否かを判断する(ステップS26)。端数オーダ数Sが3以下であれば、上方列を切断し(ステップS27)、ブリスター包装体200の残りの薬品数Aを更新(A→A−S)すると共に、端数オーダ数Sを更新(S→0)する(ステップS28)。端数オーダ数Sが3を超えていれば、下方列の薬品数が上方列の薬品数よりも多いか否かを判断する(ステップS29)。下方列の薬品数が上方列の薬品数よりも多ければ、端数オーダ数Sの半分を上方列から切断し(ステップS30)、ブリスター包装体200の残りの薬品数Aを更新(A→A−B)すると共に、端数オーダ数Sを更新(S→S−B)する(ステップS31)。また、下方列の薬品数が上方列の薬品数以下であれば、端数オーダ数Sに1を加算して2で除算した値の整数部に相当する薬品を上方列から切断し(ステップS32)、ステップS31に移行する。その後、ステップS1に戻って前記処理を繰り返した結果、端数オーダ数Sが「0」となれば(ステップS1:YES)、前記一連の処理を終了する。
【0099】
このように、前記実施形態によれば、端数オーダに従ってブリスター包装体200を切断する際、切断された薬品ができるだけ1つとならないようにすることができる。つまり、切断された薬品が1つとなった場合、患者が誤って包装部分から薬品を取り出すことなくそのまま服用する恐れがあるが、そのような事故の発生を未然に防止できるようになっている。また、そのための切断方法として、ブリスター包装体200を上下2列の薬品群で捉え、90度旋回させることにより、1つの切断部材36であっても、適切に切断できるようにしている。
【0100】
なお、前記第7の実施形態では、まず、ブリスター包装体200を横向き、すなわち薬品群が上下2列で配置されるようにして切断した後、縦向きとして切断するようにしたが、切断する際のブリスター包装体200の方向は切断部材36の構成に応じて自由に変更すればよい。
【0101】
また、前記第7の実施形態では、横カットは、把持領域201を残して上下列の薬品を完全に2分割してもよいし、その都度必要な薬品数だけ切断してもよい。また、把持領域201側の最終1薬品分(上下列で2薬品分)を残して2分割してもよい。この場合、最終上下列の2薬品をまとめて切断することができるので、1薬品分のみが払い出される頻度を抑えることが可能となる。
【0102】
また、前記第7の実施形態では、ブリスター包装体200として2列に薬剤を包装したものを示したが、3列以上のものであっても、端数を前述のようにして切断することにより、同様の効果を得ることが可能である。具体的には、図21のフローチャートで、ステップS7以降の処理を、列数に応じて追加するようにすればよい。
【0103】
また、前記実施形態では、カセット本体9、101、211の取出口15の一部を、スプリング17によって付勢された閉鎖片16や、固定した閉鎖片16によって閉鎖したり、取出口15の一部に、ピンやガイドプレート214を突出させたりしてブリスター包装体4、200を1枚だけ通過可能としたが、固定した閉鎖片16と弾性を有するガイドプレート214とで構成したり、スプリング17によって付勢された閉鎖片16と剛性を有するガイドプレート214で構成したりする等の組み合わせが可能である。
【0104】
(第8の実施形態)
図25及び図26に示すカセット300では、端板に向かってブリスター包装体301のシート側(錠剤が収容されて膨らんだ方とは反対側)を押し付けるようにしている。ブリスター包装体301は、構造上、図25に示すように、短手方向に湾曲しやすい。したがって、カセット300の内面が平坦状に形成されていたのでは、ブリスター包装体301が当接する際、両縁部が内側に突出し、取出口309からうまく排出できない恐れがある。このため、第8の実施形態では、次のような構成を備えている。
【0105】
すなわち、カセット本体302の一端側に位置する端板303の内面側2箇所に、幅方向に所定間隔で曲面受部304がそれぞれ装着されている。曲面受部304の外面部は全体として断面略T字形となる取付部305であり、この取付部305は端板303に形成した取付溝303aに取外可能に装着される。曲面受部304は、カセット本体302内に位置する内面に湾曲面304aを有する。湾曲面304aは、上下方向の略中央部(収容されるブリスター包装体301の幅方向の中央部分に対応する部位であるのが好ましい。)で最も窪んだ形状である。したがって、曲面受部304の内面は、上下の平坦面304bから略中央部に近付くに従って徐々に窪むような形状となっている。なお、湾曲面304aの最大窪み寸法は、ブリスター包装体301の厚み以下に設定されている。また、曲面受部304は端板303に対して着脱可能となっており、ブリスター包装体301のシート部301aの幅寸法や、形状の違いに応じて適切なものに変更することが可能となっている。
【0106】
また、カセット本体302の底面前端部には、幅方向の2箇所にガイドプレート306がそれぞれ設けられている。ガイドプレート306は、前記第7の実施形態に記載のものと同様に、前記端板303に向かって徐々に上方側に突出する第1湾曲面307を備えている。また、第1湾曲部307から先端部分には凸状に形成された第2湾曲面308(案内面)が設けられている。第2湾曲面308は、そこを摺接するブリスター包装体301を取出口309に導くと共に、このブリスター包装体301が短手方向に湾曲していれば、真っ直ぐとなるような方向に力を作用させる。ガイドプレート306は、幅方向(図26中、上下方向)に位置を調整可能になっている。これにより、ガイドプレート306をブリスター包装体301の錠剤の間に位置決めすることができる。また、ガイドプレート306は、端板303との間にシート部301aが1枚だけ通過可能な僅かな隙間を設けて取り付けられている。これにより、取出口309の近傍に位置するブリスター包装体301の下縁部を確実に支持でき、ブリスター包装体301が重なって払い出されたり、詰りが発生したりすることが防止される。また、前記実施形態で記載した閉鎖片16等も不要となる。
【0107】
さらに、カセット本体302からブリスター包装体301を排出するための押下部310は、板状体の下端部分がガイド部311で構成されている。ガイド部311に続く上方側の部分には第1受部312が形成されている。第1受部312は、ガイド部311から鋭角に突出する第1受け面312aを備え、この第1受け面312aでブリスター包装体301のシート部301aの縁を押し下げることが可能となっている。また、第1受部312に続く上方側の部分には第2受部313が形成されている。第2受部313は、第1受部312から延びる平面312bから鈍角に突出する第2受け面313aを備える。この第2受け面313aは、第1受部312で押し下げられることができないほど湾曲したブリスター包装体301のシート面301bに接触する。また、第1受部312から延びる平面312bには摩擦形成部314が設けられている。摩擦形成部314は、クロロプレンゴム(CR:Chloroprene Rubber、ネオプレンゴム)等の摩擦係数の高い材料を貼着したものである。第2受け面313a及び摩擦形成部314の働きにより、湾曲したブリスター包装体301であっても押し下げることが可能となっている。なお、押下部310は、第2受部313がガイドプレート306を通過する位置まで降下するように構成され、湾曲量の大きいブリスター包装体301であっても排出することが可能である。
【0108】
前記第8の実施形態では、カセット300からのブリスター包装体301の払出は次のようになる。
【0109】
すなわち、カセット300内のブリスター包装体301は、ガイドプレート306の第1湾曲面307によって一端側に向かうに従って徐々に上方へと位置を移動させる。そして、ブリスター包装体301が第2湾曲面308に至ると、湾曲しているものは平坦状となるような力を付与されながら移動し、取出口309の上方(排出位置)に至る。
【0110】
排出位置では、ブリスター包装体301はシート面301bを曲面受部304に当接させる。すなわち、平坦なブリスター包装体301であれば、その上下縁部を曲面受部304の平坦面304bに当接させる。また、短手方向に湾曲したブリスター包装体301であれば、曲面受部304の湾曲面304aによってシート面301bの当接位置が変更される。すなわち、当接位置は、シート面301bの湾曲して最も突出した中央部の位置ではなく、その上下にずれた位置となり、湾曲して突出する部分は湾曲面304aが形成される窪み部分に位置することになる。このため、ブリスター包装体301の上下縁部の(曲面受部304からの)突出寸法を抑制することができる。
【0111】
この状態で、押下部310を降下させると、ガイド部311が曲面受部304によって端板303と先頭のブリスター包装体301との間に形成された隙間へと侵入する。
【0112】
そして、ブリスター包装体301が湾曲していないか、湾曲していても、その量が少ない場合、第1受部312の第1受け面312aがブリスター包装体301のシート部301aの側縁部に当接する。第1受け面312aは、鋭角に形成されており、ブリスター包装体301が若干湾曲している場合、当接した上方側の側縁部をガイド部311側へと導く。一方、ブリスター包装体301の下方側の側縁部は、ガイドプレート306の第2湾曲面308によって取出口309側へと力を付与される。これにより、ブリスター包装体301はスムーズに取出口309から払い出される。
【0113】
また、ブリスター包装体301が大きく湾曲し、曲面受部304の湾曲面304aによっても側縁部の突出量を吸収できない場合、押下部310の第2受部313の第2受け面313aと摩擦形成部314とがブリスター包装体301のシート面301bの上方側に当接する。また、ブリスター包装体301の下方側の側縁部は、前記同様、ガイドプレート306の第2湾曲面308に当接して力を付与される。これにより、ブリスター包装体301は、大きく湾曲していたとしても、取出口309へと排出されることになる。
【0114】
なお、ブリスター包装体301をカセット300に充填する際、1枚目が取出口309から落下しないようにするため、第2湾曲面308の先端部分に、取出口309を塞ぐ回動式シャッターを設けるようにしてもよい。
【0115】
また、前記第8の実施形態では、ガイドプレート306に、ガイド面として、第1湾曲面307及び第2湾曲面308を設けるようにしたが、これらは湾曲面に限らず、傾斜面等の他のガイド面で構成してもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…装置本体
2…カセット(収容容器)
3…払出部材
4…ブリスター包装体
5…枠体
6…外装パネル
7…搬送装置
8…カセット装着部
9…カセット本体
10…開閉扉
11…ガイド溝
12…押出部材
13…摺動部
14…押圧片
15…取出口
16…閉鎖片
17…スプリング
18…連通部
19…段部
20…係止片
21…前面部
22…ガイド部
23…切欠部
24…駆動機構
25…押込バー
26…第1ギア
27…第2ギア
28…係止ギア
29…操作部
30…磁性部
31…発光部
32…基台
33…第1払出部材
34…第2払出部材
35…把持部材
36…切断部材
37…回収部材
38…垂直レール
39…水平レール
40…ラック
41…押下部
42…電磁石部
43…押込部
44…移動片
45…スクリュー
46…前板
47…後板
48…支持台
49…固定刃
50…可動刃
51…回動プレート
52…案内通路
53…回収容器
100…カセット
101…カセット本体
102…開閉扉
103…定加重バネ
104…貫通孔
105…ガイド孔
106…係合孔
107…扉本体
108…開閉部材
109…押え板
110…ネジ孔
111…保持凹部
112…ガイド凹部
113…逃がし溝
114…押下片
115…扉本体軸受部
116…突条部
117…開閉支持部
118…開閉板
119…腕部
120…支軸
121…操作孔
122…第1平坦部
123…第2平坦部
124…凹所
125…開口部
126…切欠部
127…係合突部
128…押え板軸受部
133…第1払出部材
134…駆動機構
135…取付プレート
136…モータ
137…駆動ギア
138…中間ギア
139…従動ギア
140…回動ピン
141…従動プレート
142…トレイ供給ユニット
143…トレイ積上ユニット
144…搬送ライン
145…ジャーナルプリンタ
146…指示箋
147…LED
148…トレイ
149…薬剤払出装置
150…充填台
151…傾斜面
152…表示パネル
153…バーコードリーダー
154…「手動入力」ボタン
155…「自動カウント」ボタン
156…テンキー
157…「送信」ボタン
158…測長センサ
159…スプリング
200…ブリスター包装体
201…把持領域
210…カセット
211…カセット本体
211a…突条部
212…開閉扉
213…押出部材
213a…凹部
213b…鍔部
213c…窪み
214…ガイドプレート
215…連通口
216…押さえ片
300…カセット
301…ブリスター包装体
301a…シート部
301b…シート面
302…カセット本体
303…端板
303a…取付溝
304…曲面受部
304a…湾曲面
304b…平坦面
305…取付部
306…ガイドプレート
307…第1湾曲面
308…第2湾曲面
309…取出口
310…押下部
311…ガイド部
312…第1受部
312a…第1受け面
312b…平面
313…第2受部
313a…第2受け面
314…摩擦形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体を重ねた状態で収容し、前記ブリスター包装体の重なり方向が水平又は略水平方向となるように、前記装置本体に取り付けられる収容容器と、
前記装置本体に移動可能に設けられ、前記収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材と、
前記払出部材によって払い出されたブリスター包装体を把持して搬送する把持部材と、
前記把持部材に把持されて搬送されてきたブリスター包装体から端数分を切断する切断部材と、を備え、
前記収容容器は、一端側底面に形成される、ブリスター包装体を取り出すための取出口と、収容したブリスター包装体を一端側に向かって付勢する付勢手段と、一端面に配置される開閉扉と、を備え、
前記開閉扉は、収容容器の取出口から排出されるブリスター包装体を保持する保持部を備え、払出部材によるブリスター包装体の払出動作を阻止する閉鎖位置と、払出部材によるブリスター包装体の払出動作を許容する第1開放位置と、払出部材によるブリスター包装体の払出動作を許容して、払い出したブリスター包装体を保持部に保持可能とする第2開放位置とに位置決め可能であり、
前記把持部材は、第2開放位置で開閉扉の保持部に保持されたブリスター包装体を把持して切断部材へと搬送可能であり、切断部材で端数分を切断された後のブリスター包装体の残余を搬送して開閉扉の保持部に保持させることを特徴とする薬剤払出装置。
【請求項2】
前記把持部材によって把持されたブリスター包装体と、前記切断部材との相対的な位置関係を調整して、ブリスター包装体の切断位置を変更する位置調整部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。
【請求項3】
前記払出部材は、収容容器の一端側に位置するブリスター包装体を押下する押下部を備え、
前記収容容器は、一端面に前記押下部の移動を許容する連通部を形成され、
前記開閉扉は、閉鎖位置で連通部での押下部の移動を阻止することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤払出装置。
【請求項4】
前記収容容器の取出口は、スプリングによって閉鎖位置に付勢した閉鎖片で少なくとも一部を覆ったことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項5】
前記収容容器の取出口は、収容容器に固定した閉鎖片で一部を閉鎖することにより、一端側に位置する1枚のブリスター包装体のみが通過可能な隙間を形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項6】
前記閉鎖片は、取出口に突出する先端部分に上方に向かって湾曲する湾曲部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の薬剤払出装置。
【請求項7】
前記収容容器は、装置本体から引き出して薬品払出位置に位置決めすることにより、開閉扉を開放可能としたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項8】
前記ブリスター包装体は、複数の薬剤が2列に収容されるものであり、
薬品払出命令に含まれる端数オーダに基づいて、前記切断部材により前記ブリスター包装体を切断させる際、一方の列を、切断後の残余数が1つとならない範囲で優先的に切断させた後、他方の列を切断させる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項9】
前記制御手段は、一方の列の残余数が他方の列の残余数よりも少なく、かつ、他方の列の残余数が端数オーダ数以下である場合、他方の列を優先的に切断させることを特徴とする請求項8に記載の薬剤払出装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記端数オーダで指定された端数オーダ数がブリスター包装体の一方の列の残余数よりも大きい場合、前記端数オーダ数を分割し、得られた分割数で、一方の列を切断させた後、他方の列を切断させることを特徴とする請求項8に記載の薬剤払出装置。
【請求項11】
前記収容容器は、底面に、収容されたブリスター包装体の付勢方向に沿ってガイドプレートを配置され、
前記ガイドプレートは、取出口側に向かって徐々に上方側に高くなる第1ガイド面と、前記第1突出部に連続し、取出口側に向かって徐々に下方側に低くなる第2ガイド面と、を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項12】
前記収容容器は、取出口側の内端面から内側に突出し、ブリスター包装体のシート面に当接可能な平坦面と、湾曲したブリスター包装体の膨らみ部分の逃がしを形成する湾曲面と、を有する曲面受部を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項13】
前記押下部は、平坦なブリスター包装体のシート部の側縁部を押し下げ可能な第1受部と、湾曲したブリスター包装体のシート面に当接して押し下げ可能な第2受部と、を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項14】
薬品払出命令に含まれる端数オーダに基づいて、複数の薬剤が2列に収容されるブリスター包装体を切断することにより端数の薬品を払い出す薬剤払出方法であって、
一方の列を、切断後の残余数が1つとならない範囲で優先的に切断させる第1切断工程と、
他方の列を切断させる第2切断工程と、を実行することを特徴とする薬剤払出方法。
【請求項15】
一方の列の残余数が他方の列の残余数よりも少なく、かつ、他方の列の残余数が端数オーダ数以下である場合、前記第1切断工程の前に他方の列を優先的に切断させる第3切断工程を実行することを特徴とする請求項14に記載の薬剤払出方法。

【図8】
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【図9】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−41789(P2011−41789A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214317(P2009−214317)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】