説明

薬剤散布制御装置

【課題】走行しながらノズルより薬剤を散布する薬剤散布装置のコントローラでは、薬剤の散布量を制御するプログラムが対応していないノズルを使用する際には、コントローラをサービスセンタ等に送ってプログラムを書き換える必要があった。
【解決手段】コントローラ33においては、3段階の吐出圧におけるノズルの吐出流量を入力すると、以下の演算式の定数a、b、cを求める。y=(VL/200)2+b(VL/200)+c。ここで、yが吐出圧で、Vが走行速度で、Lが単位面積当たりの散布量である。式は、走行速度Vに対して吐出圧yを求める演算式である。この演算式は、走行速度の変動に対する吐出圧の変更を制御し、走行速度が変動しても単位面積当たりの散布量Lが一定となる制御に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行する薬剤散布装置における薬剤の単位面積当たりの散布量を制御するための薬剤散布制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農地に薬剤を散布する薬剤散布装置として、例えば、ブームスプレーヤが知られている。ブームスプレーヤは、例えばトラクタに薬剤タンクと、左右に水平に配置された棒状の支持体であるブームと、薬剤タンクからブームに薬剤(液体)を送出するポンプとを備えたものであり、ブームには、等間隔に薬剤を吐出する複数のノズルを備えたノズルパイプが支持されている。
そして、各ノズルは、ポンプにより送出される薬剤の吐出圧に応じた吐出量で薬剤を吐出することで、薬剤が農地に散布される。
【0003】
また、トラクタを用いた薬剤散布装置は、走行しならが薬剤を散布するが、予め単位面積当たりの薬剤の散布量を設定し、前記散布量となるように各ノズルからの薬剤の吐出流量を調整するようになっている。
なお、単位面積をノズルパイプの幅に対応する薬剤が吐出される左右の範囲の長さで除算することで単位面積内に薬剤を散布する薬剤散布装置が単位面積に薬剤を散布する際の走行距離が求められることになる。
そして、前記走行距離を薬剤散布装置の走行速度を一定として走行速度で除算することにより、単位面積当たりの薬剤散布時間が求められ、上述の単位面積当たりの散布量を時間とノズル数で除算することにより、各ノズル毎の単位時間当たりの吐出流量を求めることができる。
また、各ノズルにおいては、上述のようにポンプにより薬剤が送出されることで吐出圧が生じることになる。そして、吐出圧に基づいてノズルにおける単位時間当たりの薬剤の吐出量が決まる。
【0004】
よって、薬剤散布装置では、例えば、ポンプの作動と調圧弁の調整によって吐出圧を制御することで、単位面積当たりの散布量を制御することになる。
この際に、予め、ノズルの種類に応じた吐出圧と吐出流量との関係や、単位面積当たりの散布量を設定された散布量とするのに必要な各ノズルの単位時間当たりの薬剤の吐出流量等から薬剤散布装置の走行速度と、吐出圧との関係を示す演算式を求めておき、この演算式に基づいて、走行速度の変化に応じして吐出圧を調整することで、走行速度が変動しても単位面積当たりの散布量が設定された散布量でほぼ一定となるように制御している(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
また、この際には、例えば、組み込み型MPUを備えたコントローラ(薬剤散布制御装置)に、予め記憶された前記演算式での処理を行う制御プログラム(制御データを含む)を実行させることで、入力された走行速度に対して、必要となる吐出圧を算出するようになっている。
そして、算出された吐出圧となるように調圧弁を調整するように制御することになる。
なお、前記制御プログラムは、前記MPUに搭載された不揮発性メモリでかつ書き換え可能な例えばEEPROM(フラッシュメモリ)に記憶されている。
【0006】
また、薬剤散布装置においては、ノズルを異なる種類のノズルに交換したり、単位面積当たりの散布量を異なる散布量にする場合があるので、ノズルや散布量に対応して、前記走行速度と前記吐出圧との関係を定めた複数の演算式に対応した制御プログラムもしくはそれぞれ異なる演算式に対応した複数の制御プログラムが前記EEPROMに記憶されている。
【0007】
【特許文献1】特許第3756063号公報
【特許文献2】特開平9−47204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ノズルには、上述のように異なる種類があり、例えば、ノズル当たりの吐出流量や、散布範囲や、薬剤の吐出速度等を変更するために、薬剤散布装置においてノズルを交換する場合がある。この場合に、交換されるノズルの種類に対応する演算式を有する制御プログラムがEEPROMに記憶されていれば、例えば、前記コントローラのディスプレイ上で使用するノズルの種類を変更することで対応することができる。
【0009】
しかし、上述のEEPROMは、コスト等を考慮して現状使用可能なノズルの全てに対応した演算式を含む制御データおよび制御プログラムが記憶可能な記憶容量とはなっておらず、一部のノズルの演算式を含む制御データおよび制御プログラムが記憶されている。例えば、コントローラを含む薬剤散布装置を購入する際や、コントローラを購入する際に使用しそうなノズルを選択し、選択されたノズルに対応する制御プログラムがEEPROMに書き込まれたり、予め使用する確率が高いノズルの制御プログラムが書き込まれたEEPROMを有するコントローラを購入したりすることになる。
【0010】
この場合に、コントローラのEEPROMに対応する制御プログラム(演算式)が記憶されていないノズルを使用する場合には、前記ノズルに対応する制御プログラム(演算式)を有するとともに、EEPROMの書き換え装置を有するサービスセンタ等にコントローラを送り、サービスセンタでEEPROMの前記制御プログラムを書き換えてもらうか、前記制御プログラムを追記してもらう必要がある。また、コントローラの販売時に未だ対応する制御プログラム(演算式)が無い新製品となるノズルについては、制御プログラム(演算式)が作成されてからEEPROMに追記する必要がある。
【0011】
よって、EEPROMに対応する制御プログラムが記憶されていないノズルを使用する場合には、コントローラをサービスセンタ等のEEPROMの書き換えを行う施設に送らなければならず手間がかかっていた。
すなわち、コントローラにおいては、予め選択されたノズル等の固定的データ(前記演算式を含む)に基づいた制御データと制御プログラムを固定的に用いているので、例えば、新たなノズル等に柔軟に対応することができなかった。
【0012】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、簡単なデータの入力により、新たなノズルにも容易に対応可能な薬剤散布制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の薬剤散布制御装置は、
薬剤を散布する場所を移動可能とする走行手段(5)と、
該走行手段(5)に搭載されて薬剤を貯留する薬剤タンク(3)と、
該薬剤タンク(3)に貯留された薬剤に吐出圧をかけて複数のノズル(9)から吐出する吐出手段と、
該吐出手段における前記吐出圧を調整する吐出圧調整手段(61)と、
前記走行手段(5)による走行における走行速度を示す情報を検出する速度検出手段(91)と、
を備え、かつ、前記走行手段(5)により走行しながら前記吐出手段から薬剤を吐出して散布する薬剤散布装置(30)に設けられ、
前記薬剤の単位面積当たりの散布量と前記ノズル(9)の種類とに対応して前記吐出手段で薬剤を吐出する吐出圧を示す情報と前記速度検出手段(91)で検出される走行速度を示す情報との関係を定めた演算式を用い、
前記速度検出手段(91)で検出される走行速度を示す情報に基づき前記演算式により前記吐出手段で吐出される薬剤の吐出圧を示す情報を算出し、算出された吐出圧を示す情報に基づき前記吐出圧調整手段(61)を制御して前記吐出圧を調整させる薬剤散布制御装置(33)であって、
単位面積当たりの散布量と、使用されるノズル(9)の種類に対応した複数段階の所定の吐出圧それぞれにおける単位時間当たりの吐出流量とを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された前記散布量および前記吐出流量に基づいて、前記ノズル(9)の種類と前記散布量とに対応した前記吐出圧と前記走行速度との関係を定めた前記演算式を求める演算式算出手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の薬剤散布制御装置は、請求項1に記載の発明において、前記入力手段は、前記ノズル(9)の種類に対応した複数段階の所定の吐出圧それぞれにおける単位時間当たりの吐出流量の情報を記憶するとともに着脱可能な外部記憶手段から前記吐出流量の情報を入力可能となっていることを特徴とする。
【0015】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の薬剤散布制御装置によれば、単位面積当たりの散布量と、使用されるノズルの種類に対応した複数段階の所定の吐出圧それぞれにおける単位時間当たりの吐出流量とを入力することにより、入力された前記散布量および前記吐出流量に基づいて、前記ノズルの種類と前記散布量とに対応した前記吐出圧と前記走行速度との関係を定めた前記演算式を求めることができる。
【0017】
したがって、使用するノズルに対応する演算式にしたがって処理するプログラムがEEPROMに記憶されていなくとも、算出された演算式に基づいて走行速度に対応すると吐出圧を求めることができる。
すなわち、データとして使用されるノズルの種類に対応した複数段階の所定の吐出圧さえわかっていれば、異なる種類のノズルに柔軟に対応できる。
【0018】
以上のことから、新たなノズルに交換するような場合でも、EEPROMに記憶されたプログラムの書き換えを必要としないので、例えば、薬剤散布制御装置をサービスセンタに送るような手間がかからない。
また、前記吐出圧のデータがあればどのようなノズルにも対応できるので、例えば、従来のように使用するノズルの種類が異なることにより、薬剤散布制御装置に記憶される制御プログラムを異なるものとする必要がなく、薬剤散布制御装置において、ハードウエアとメインソフトウエア(制御プログラム)とを共通化することができる。
【0019】
例えば、メインソフトウエアでは、前記吐出圧を入力することで全てのノズルに対応可能となるので、個別のノズルに対応するプログラムを必要としないので、共通化が可能となる。また、メインソフトウエアが共通化されるので、薬剤散布制御装置のハードウエアも共通化することができる。そして、これらの共通化によりコストダウンを図ることができる。
【0020】
また、入力する前記吐出圧のデータにより演算式が変わるので、使用環境や薬剤散布装置の経年変化等により、ノズルにおける吐出圧と吐出流量との関係や、走行速度と散布量との関係にずれが生じているような場合に、入力される前記吐出圧のデータを変更することにより、演算式を変更し、現状に即した演算式を含むプログラムを作成することができる。
【0021】
また、請求項2に記載の薬剤散布制御装置によれば、外部メモリを接続することで、前記吐出流量のデータを入力可能なので、より容易に異なる種類のノズルに対応することができる。また、電子機器や薬剤散布装置の構造に詳しくないユーザでも容易に吐出流量のデータを入力できる。また、外部メモリには、組み込み式のMPUのように記憶容量に制限があるわけではないので、記憶容量の大きな外部メモリを使うことで、記憶容量に規制されることなく、多くのノズルに対応するデータを保持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態であるブームスプレーヤ30の平面構成図を図1に示す。
【0023】
図1において、本発明の薬剤散布制御装置としてのコントローラ33が設けられる薬剤散布装置としてのブームスプレーヤ30は、座席1後部に薬剤タンク3が搭載され、走行手段であるトラクタ5の前端にはブーム7が水平に張り出し可能なようになっている。ブーム7にはノズル9を等間隔に備えたノズルパイプ11が並設されている。
また、ハンドル31の右前方にはコントローラ33が配設されている。また、座席1の右側部に位置する薬剤タンク3前部には凹部4が形成され、この凹部4には後述する分水器47、電動調圧弁61等が取り付けられている。
【0024】
図2にブームスプレーヤ30の配管系統図を示す。図2において、薬剤タンク3上部の投入口34には水濾し網35が配設され、かつ底部には攪拌用の噴流ノズル37が配設されている。
【0025】
なお、噴流ノズル37に代えて、機械式のプロペラ式攪拌機が配設されてもよい。また、噴流ノズル37は図2では2つ配設されているが、これは薬剤タンク3の大きさと形状及び噴流ノズル37の能力により定められるもので1つでも良い。
【0026】
薬剤タンク3に貯留された薬剤は、ポンプ39により吸引されるようになっている。そして、このポンプ39と薬剤タンク3の間には、吸水コック41と薬剤を濾過するためのストレーナ43が設けられている。
【0027】
ポンプ39の出口には、ポンプ39の脈動を吸収するためのチャンバ45が設けられ、その先には分水器47が設けられている。
【0028】
分水器47とノズル9の間には、吐出ストレーナ49、流量センサ51、分水器53が設けられ、分水器53にはノズル9の圧力を感知する圧力センサ55、各ノズル9の開閉をするための散布コック57が設けられている。
【0029】
ノズル9は、右ノズル群59A、中ノズル群59B、左ノズル群59Cの三群に分割されている。但し、かかるノズル群の分割方法は、作業の形態によって使い易いように右ノズル群59A、左ノズル群59Cを更に分割して5分割等としてもよいし、更にはスライドブームのように各ノズル9に散布コックを設けてもよい。
【0030】
また、分水器47には、ノズル9の圧力を調整するための電動調圧弁61が設けられている。そして、この電動調圧弁61は、ノズル9の設定圧力が設定値を超えようとした場合は弁が押し上げられ余水が管路63を通り薬剤タンク3に戻るように設定されている。
【0031】
電動調圧弁61は、調圧弁の弁棒65がモータ67により上下し、弁棒65が最も下がった状態(図の左側)で圧力が最も高くなるように構成されている。一方、弁棒65が最も上昇(図の右側)した状態では圧力が最も低い状態(ここでは0MPa)となる様に設定されている。
【0032】
更に、電動調圧弁61には、圧力の上限を検出するためのリミットスイッチ69、圧力の下限を検出するためのリミットスイッチ71が設けられており、これら上限値及び下限値を越えてモータ67が動かない様に設定されている。
【0033】
分水器47にはコック73が接続され、その先にはジェットポンプ75が配設されている。このジェットポンプ75は、水源から薬剤タンク3に清水を補給するために使用される。
【0034】
また、トラクタ5に搭載されたエンジン77の動力は、クラッチ79、無断変速機81(以下、HSTという)、サブミッション83を介して車輪85に伝えられるようになっている。一方、エンジン77の動力は、PTO用ミッション87、PTOシャフト89を介してポンプ39を駆動するようになっている。
【0035】
HST81とサブミッション83の間には、速度検出センサ91が設けられ、エンジン速度が検出されるようになっている。しかしながら、速度検出センサ91の配設位置は、車軸93の回転速度を検出出来ればどこでも良く、その検出値から実際の速度を算出するプログラムをコントローラ33内部のCPUに入れて演算すれば良い。
以上のようなブームスプレーヤ30は、薬剤を散布する場所を移動可能とする走行手段(トラクタ5)と、該トラクタ5に搭載されて薬剤を貯留する薬剤タンク3と、該薬剤タンク3に貯留された薬剤に吐出圧をかけて複数のノズル9から吐出する吐出手段と、該吐出手段における前記吐出圧を調整する吐出圧調整手段(電動調圧弁61)と、トラクタによる走行における走行速度を示す情報を検出する速度検出手段(速度検出センサ91)とを備え、かつ、トラクタ5により走行しながら前記吐出手段のノズル9から薬剤を吐出して散布する薬剤散布装置である。
【0036】
コントローラ33の表示部95の構成例を図3に示す。表示部95の中央部には、圧力(吐出圧)、瞬間流量、合計流量、速度、プログラム設定等のデータ情報がモード毎に切り換え表示されるディスプレイ97が配設されている。なお、通常、ディスプレイ97には、トラクタ5の走行速度と、薬剤散布時における合計流量(積算流量)が表示されるようになっている。
モードはモード切り替えスイッチ101により切り替えられるようになっている。リセットスイッチ103は、合計流量や後述の設定値が初期値(合計流量は0)に戻されるようになっている。そして、この設定値は、増スイッチ105a、減スイッチ105bにより修正可能なようになっている。
【0037】
起動スイッチは106は、ポンプ39の駆動開始し、薬剤の散布を開始可能とするものである。
自動スイッチ107は、走行速度に連動してノズル9より薬剤を散布可能な自動モードと、走行速度に連動されない手動モードを切り替え可能なようになっている。
また、この例において、モード切り替えスイッチ101と増スイッチ105a、減スイッチ105bとを用いて後述の設定値の入力を可能としているが、設定値の入力用に、図示しないUSB端子が設けられており、例えば、USBメモリ等のUSB接続される外部記憶手段内に所定のフォーマットで記憶されている設定値のデータを入力可能となっている。なお、USB端子に代えて、各種メモリカードのうちの少なくとも1つのメモリカードのリード・ライトを可能とするメモリカードスロットを設けるものとしてもよい。
【0038】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
まず、動作開始に際し、薬剤タンク3に10〜20L程度の呼び水を入れる。次に、ジェットポンプ75の吸水部76を水源に投入し、反対側を薬剤タンク3の水濾し網35にセットし、かつ加圧ホース74をコック73に接続する。更に、トラクタ5のエンジン77を始動し、図示しないPTOクラッチを入れポンプ39を駆動する。
【0039】
次に、コントローラ33の電源スイッチを押して電源をONにする。このとき、コントローラ33の運転は手動モードに初期設定された状態で起動する。また、初期設定圧力(吐出圧)は1MPaになっている。
【0040】
なお、ここでは、初期設定の圧力(吐出圧)をこの散布装置で最も良く使用する1MPaに設定しているが、初期設定値はその散布装置で最も多く使われる値に設定しておけば良い。
【0041】
続いてコック73を開くと、ポンプ39の圧力水が加圧ホース74を通り、ジェットポンプ75に入る。そして、このとき生ずる負圧により水源から清水が汲み上げられ、水濾し網35で濾過されて薬剤タンク3に補給される。必要量の清水が薬剤タンク3に溜まったら、コック73を閉止し、ジェットポンプ75を水源から引き上げ接続口72から加圧ホース74を外し格納する。
なお、補給水源が圃場(田圃)にある場合は、ジェットポンプ75での補給はせずに、直接圃場に設置してある水源から水濾し網35に清水を補給してもよい。
【0042】
次に、所要量の薬剤を希釈し、水濾し網35を通して薬剤タンク3に投入する。この状態で数分間攪拌運転を行う。薬剤タンク3から吸われた薬液(薬剤)は吸水コック41、ストレーナ43を通りポンプ39により加圧され、分水器47に入る。
【0043】
そして、一部は管路50を通り噴流ノズル37から薬剤タンク3内に噴出され攪拌される。また、一部の加圧水は電動調圧弁61を通って余水となり、管路63を通り薬剤タンク3に戻され、攪拌の補助となる。数分後、攪拌が完了したら、散布場所に移動する。
【0044】
そして、散布場所において、トラクタを走行させながら、ポンプ39を作動させ、ノズル9から薬剤を吐出して散布場所に薬剤を散布することになる。
薬剤の散布を開始する前に、コントローラ33の表示部95でプログラム設定の設定作業を行うことになる。なお、この設定作業により設定された値は、書き換え可能な不揮発性メモリとして例えばEEPROMや、揮発性メモリだが低電力で記憶を保持するSRAM等に保存されるので、前に行った薬剤散布と同じ設定で薬剤散布が可能な場合は、プログラム設定の設定作業を省略することができる。
【0045】
また、同じ設定で作業が可能な場合とは、使用するノズル9が同じ種類で、かつ、単位面積当たりの散布量が同じ場合である。したがって、単位面積当たりの散布量を前回の薬剤散布のときと変更する場合と、使用ノズル9を切り換えたり、交換したりした場合意外は、プログラム設定を行う必要はない。
なお、この例における単位面積とは、10a(10アール)で略1反に対応し、単位面積当たりを反当りということができる。
【0046】
図3を参照してプログラム設定の設定作業を説明する。
例えば、モード切り換えスイッチ101を操作することにより表示画面を設定モードとし、増スイッチ105a、減スイッチ105bにより設定項目の画面を選択することになる。
設定項目は、
1.10a当たり散布量
2.使用ノズル(ノズルの種類)
3.ノズルの設定
4.最低圧力制限値
5.最高圧力制限値、
6.速度信号パラメータ
7.流量センサパラメータ
である。
【0047】
設定項目1では、単位面積として、10a当たり散布量を設定することになる。
なお、散布量は、25L単位で設定するようになっており、25L〜400Lまで、25L刻みで設定可能となっている。設定には、増スイッチ105a、減スイッチ105bを用い、増スイッチ105aを押すたびに、設定値が25Lずつ増加し、減スイッチ105bを押すたびに、設定値が25Lずつ低下する。
【0048】
設定項目2では、使用ノズルの種類を選択することになる。
ここで、設定項目3におけるノズルの設定が行われたノズル(種類)がある場合には、そのノズルのノズル名(種類名)を選択することで、ノズルの設定を終了することができる。
一方、ノズルの設定が行われていない新たなノズルを追加する場合には、新規ノズルを選択し、設定項目3で後述の設定値を設定することになる。
【0049】
また、上述のコントローラ33に設けられた図示しないUSB端子もしくはメモリカードスロットに外部記憶手段(USBフラッシュメモリ、メモリカード)が接続され、外部記憶手段にノズル名に対応して、後述の設定項目3で設定される設定値が所定のフォーマットで記憶されている場合に、この設定項目2の画面に表示されるようになっており、外部記憶手段に記憶されたノズル名毎の設定値を選択すると、その設定値がコントローラ33に入力され、後述の設定項目3の設定を行ったのと同じ状態となる。
【0050】
なお、外部記憶手段内部では、所定のファイル名、例えば、nozuru1,nozuru2,nozuru3
等のファイル名(もしくは所定の拡張子名)で、ノズルの種類を示すノズル名(例えば、ノズルの商品名)と後述の設定項目3の設定値が所定のフォーマットでファイルとして記憶されている。
そして、コントローラ33において、設定項目2がユーザにより選択された場合に、USBメモリもしくはメモリカードを読みにいき、所定のファイル名のファイルのデータを入力してディスプレイ97に表示するようになっている。
【0051】
設定項目3では、設定項目2において新規ノズルが選択された場合に、新規ノズルの種類を示すノズル名と、後述の演算式もしくはこの演算式をコントローラ33で算出可能なノズルの複数段階の所定吐出圧における吐出流量を入力するようになっている。
演算式は、設定項目1で設定される10a当たりの薬剤の散布量と、トラクタ5の走行速度とから、前記散布量となる薬剤をノズル9から突出する場合の吐出圧を求めるもので、速度の変動に対してノズル9の吐出圧を制御することで、薬剤の単位面積当たりの散布量が変動しないように制御するためのものである。この演算式は、たとえば、ノズルやコントローラのメーカー等からユーザに提供される。提供方法は、例えば、ファックスや郵送による紙に印刷されたものや、オンラインによるデータのダウンロードや、上述のUSBフラッシュメモリやメモリカードの頒布などである。また、オンラインによるデータは、上述のUSBフラッシュやメモリカードに記憶して使用することができる。なお、演算式の詳細は後述する。
【0052】
また、設定値としてのノズル9の吐出流量は、例えば、複数段階の所定吐出圧として、1.0MPa、1.5MPa、2.0MPaの三段階の吐出圧におけるもので、ここでは、単位時間として一分当たりの吐出流量が入力される。すなわち、ノズル9にそれぞれ1.0MPa、1.5MPa、2.0MPaの吐出圧となるように液体(薬液)として例えば水をポンプで供給した場合に、1分間にノズル9から吐出される流量を測定した際の値である。なお、この値は、上述の演算式と同様にメーカー等から提供されるが、ユーザが実験的に求めた値や、メーカーから提供された値を補正した値を用いてもよい。
この3段階の吐出圧におけるノズル9の吐出流量を用いて、後述のように上述の演算式を求めることができる。
【0053】
以上のことから、コントローラ33の表示部95および外部記憶手段を接続するUSB端子もしくはメモリカードスロットが単位面積当たりの散布量と、使用されるノズル9の種類に対応した複数段階の所定の吐出圧それぞれにおける単位時間当たりの吐出流量とを入力する入力手段として機能する。
そして、入力手段は、ノズル9の種類に対応した複数段階の所定の吐出圧それぞれにおける単位時間当たりの吐出流量の情報を記憶するとともに着脱可能な外部記憶手段から前記吐出流量の情報を入力可能となっていることになる。
【0054】
設定項目4は、最低圧力制限値を設定するためのもので、最低圧力制限値はデフォルトで、例えば、0.7MPaとなっており、これを増スイッチ105a、減スイッチ105bにより変更可能となっている。なお、この最低圧力制限値の値が、電動調圧弁61の圧力の下限を検出するためのリミットスイッチ71の設定値となる。
【0055】
設定項目5は、最高圧力制限値を設定するためのもので、最高圧力制限値はデフォルトで、例えば、2.5MPaとなっており、これを増スイッチ105a、減スイッチ105bにより変更可能となっている。なお、この最高圧力制限値の値が、電動調圧弁61の圧力の上限を検出するためのリミットスイッチ69の設定値となる。
【0056】
設定項目6は、速度検出センサ91から送られる車軸の回転速度に対応するパルス信号をkm/hで表される時速に変換するための速度信号パラメータであり、ここではパルスの周波数が10Hzのときに1km/hとなるように設定されている。すなわち、入力されるパルスの周波数を10Hzで除算することにより、時速に変換される。この速度信号パラメータを修正することで、測定される走行速度を補正することが可能となる。
【0057】
設定項目7は、流量センサ51から送られる薬剤の吐出流量に対応するパルス信号を流量に変換するための流量センサパラメータであり、ここでは1パルスが1mlとなるように設定されている。この流量センサパラメータを修正することで、測定される流量を補正することが可能となる。なお、単位時間当たりのパルス数から単位時間当たりの薬剤の散布量が求められ、パルスの積算値から積算散布量が求められる。
【0058】
ここで、述の三段階の吐出圧におけるノズルの吐出流量から演算式を求める方法を説明する。
まず、上述のようにノズル9に1.0MPa、1.5MPa、2.0MPaの各吐出圧となるように薬剤を供給した場合に吐出流量を求める。
ここでは、
吐出圧1.0MPaのときの吐出流量をx10とし、
吐出圧1.5MPaのときの吐出流量をx15とし、
吐出圧2.0MPaのときの吐出流量をx20とする。
【0059】
また、ノズルにおいて、流量xで薬剤を吐出させる際に必要とされる吐出圧yを求める際の近似式(実験式)は、以下の2次式(式1)となる。
y=ax2+bx+c…(1)
また、上述のように設定される10a当たりの薬剤の散布量Lと、上述のように速度検出センサ91からのパルス信号から求められる走行速度Vとから速度検出センサ91により検出される走行速度Vの時に前記散布量Lとなるに必要なノズル9の1個当たりの必要流量Nlを求めると以下の式2となる。
Nl=V/2*L/100
=VL/200…………(2)
【0060】
そして、式2より求める検出された速度Vのときに必要なノズル9の1個あたりの流量を式1の流量の項に代入すると以下の式3となる。
y=a(Nl)2+b(Nl)+c
=a(VL/200)2+b(VL/200)+c…(3)
この式3は、10a当たりの薬剤の散布量Lを一定とすると、一定となる散布量Lにおける速度と吐出圧との関係を定めた演算式となる。
【0061】
そして、実際に速度から吐出圧を求めるには、定数a、b、cを求める必要がある。
ここで、上述のノズル9の1.0MPa、1.5MPa、2.0MPaの各吐出圧における吐出流量であるx10、x15、x20と式1とから定数a、b、cを求める。
この際には、
D=x152−x102
E=x15−x10
F=x202−x102
G=x20−x10
とすると、
b=(1−0.5F/D)/(G―EF/D)
a=(0.5−Eb)/D
c=1−ax102−bx10
となる。すなわち、三段階の吐出圧の値(y)におけるノズル9のそれぞれの吐出流量(x)の値を1式にそれぞれ代入して、定数a、b、cを求めるための3つの連立方程式を作成し、それを解いたものが、上述の各a、b、cの式となる。
【0062】
そして、x10、x15、x20に上述の設定項目3で設定された数値を代入することで、式3の定数a、b、cの実際に値を求めることができる。
なお、コントローラ33のメインソフトウエアとしての制御プログラムには、上述のx10、x15、x20からD,E,F,Gを求める式と、これらx10、x15、x20とD,E,F,Gからa、b、cを求める式が含まれており、ノズル9の1.0MPa、1.5MPa、2.0MPaの各吐出圧における吐出流量であるx10、x15、x20が入力されると、a、b、cの値を算出し、求められたa、b、cの値を式3に代入するようになっている。また、設定値として10a当たりの散布量が入力されると、前記散布量Lに散布量として入力した値を設定し、これら定数a、b、cと散布量Lを式3に代入して、走行速度Vに対する吐出圧yを求める演算式を作成することになる。
【0063】
すなわち、コントローラ33においては、ノズル9の1.0MPa、1.5MPa、2.0MPaの各吐出圧における吐出流量をx10、x15、x20を上述のように設定することで、式3の定数a、b、cが確定した演算式を求めることができ、入力手段としてのモード切り換えスイッチ101、増スイッチ105a、減スイッチ105b、表示部95や、もしくはこれらと外部記憶手段とにより入力された前記散布量および前記吐出流量に基づいて、ノズル9の種類と前記散布量とに対応した前記吐出圧と前記走行速度との関係を定めた前記演算式を求める演算式算出手段として機能することになる。
【0064】
なお、この例においては、設定項目3において、定数a、b、cが確定した演算式を入力するものとしてもよい。
そして、上述のように求められた演算式は、設定値を記憶するEEPROMに記憶されるので、設定項目2におけるノズルの種類から選択されて使用することが可能となる。
【0065】
プログラム設定を終了した後に、モード切り替えスイッチ101を操作し(設定モードの次に表示されるのが速度モードでその次は圧力に戻る)圧力モードに戻す。PTOクラッチを入れ、トラクタ5の図示しないスロットルを操作し、エンジン77を定格回転にする。このとき、ディスプレイ97には1.0が表示され圧力が1.0MPaに初期設定される。
【0066】
散布コック57を開き、図示しないHSTレバーを操作し、発進する。そして、散布作業を開始する。数秒散布走行し、速度が安定した所で自動スイッチ107を一回押して自動モードに変更する。この際、車軸93の回転速度に呼応した速度検出センサ91の入力パルスから上述のように時速が算出される。そして、ディスプレイ97の流量モードでは、ディスプレイ97に流量と速度とが表示される。
【0067】
また、自動モードでは、求められた時速が、速度Vとして式3により、吐出圧yが短い所定間隔毎に求められることになる。
そして、検出されて算出された速度Vに対応した電動調圧弁61の設定圧力が吐出圧yになるように、圧力センサ55の信号に対応して電動調圧弁61が動作して調整される。
すなわち、電動調圧弁61は演算式に求められた吐出圧となるまで圧力センサ55の信号をもとに圧力を上昇、下降させる。
【0068】
なお、ポンプ39の吐出圧力と、ポンプ39の回転数の関係を予めテーブル化し、コントローラ33に保存しておく。そして、数1で得られた圧力y(MPa)からテーブルよりポンプ39の回転数を算出し、ポンプ39の回転数を制御するようにしてもよい。
【0069】
以上のことから、HSTレバーの設定位置、エンジン77のスロットル位置にて車軸93の回転速度が変わると、検出される走行速度Vも変わるのでその速度に合わせた散布圧力(吐出圧)になるようにコントローラ33で制御される。この操作を繰り返して散布作業を行う。
【0070】
なお、トラクタ5で薬剤散布を行わない場合に、薬剤タンク3及びこの薬剤タンク3と一体構成されたポンプ39、電動調圧弁61等をトラクタ5から取り外す。電動調圧弁61を取り外す際には、リミットスイッチ69、71も同時に取り外される。
この際、接続部121でリミットスイッチ69、71の配線が外される。なお、コントローラ33、速度検出センサ91、分水器53、圧力センサ55、流量センサ51等は取り外さず付けた状態のままとなっている。
接続部121でリミットスイッチ69、71の配線が外される際には、コントローラ33の圧力上限・下限の両信号が同時に切断され、回路が開かれた状態になる。
【0071】
すなわち、リミットスイッチ69、71にはb接点端子を利用しているので、配線を外すと同時に、リミットスイッチ69、71の両方の接点が同時に導通された状態から開放された状態になる。この両接点の開放された状態は、防除作業を行わない状態であるので、コントローラ33は速度モードのみを表示するように設定されている。
【0072】
なお、本発明の実施形態であるブームスプレーヤ30の薬剤散布制御装置(コントローラ33)は電動調圧弁61により、ノズル9の圧力を制御しているが、調圧弁を固定し安全弁として使い、調圧弁とノズル9の間にサーボモータ等を利用したバルブを設けて余水を薬剤タンク3に戻すようにコントローラ33で制御してもよい。
【0073】
また、この薬剤散布制御装置では、右ノズル群59A、中ノズル群59B、左ノズル群59Cのいずれかの散布コック57を操作して停止し、散布幅を変えた場合には、トラクタ5の走行距離当たりの散布量が減少するが、走行距離当たりの散布面積も減少するので、単位面積当たりの散布量は変わらない。
【0074】
以上のような薬剤散布制御装置としてのコントローラ33によれば、従来のように予めノズル種類と単位面積当たりの散布量が固定された条件における演算式を用いたプログラムではないので、ノズル9の3段階(求められる定数が3個なので、3段階以上必要)の所定圧における吐出流量のデータがあれば、どのようなノズル9にも対応することが可能となる。
【0075】
したがって、従来、コントローラ33に登録されていないノズル種類を用いる場合に、コントローラ33に組み込まれているMPUに接続されたフラッシュメモリもしくはEEPROMに記憶されたプログラムを書き換えるために、サービスセンタ等のフラッシュメモリ等の書き換え施設がある場所にコントローラを送る必要があったが、本発明では、上述のノズル9の吐出流量のデータをユーザが入力すれば、コントローラ33に登録されていないノズル9を簡単に使用可能とすることができる。すなわち、登録されていないノズル9を使用するために、コントローラ33を送る必要がなく、ユーザやサポート側の手間を省くことができる。
【0076】
また、この例においては、上述のノズルの吐出流量のデータから演算式を算出することができるので、例えば、コントローラ33の販売時に、従来のように主に使用されるノズルの違い等からコントローラ33によって記憶されるプログラムを異ならせる必要がなく、少なくともメインソフトウエアとなるプログラムは、全てのコントローラ33で共通とすることができる。また、これによってコントローラ33のハードウエアも共通化可能であり、コントローラ33のコストダウンを図ることができる。
【0077】
また、コントローラ33に入力される上述のノズルの吐出流量のデータを変更することで演算式の定数が変更されることから、ユーザが実際の散布状況に応じて、吐出流量のデータを補正して入力することで、実際の散布状況に応じた演算式を有するプログラムとすることができる。
ここで、ノズルを交換するなどの場合に、ユーザが上述の吐出流量のデータを入力しなければならず、ユーザによっては、設定作業が煩雑だと思われる場合があるが、この例では、コントローラ33に外部記憶手段としてUSBフラッシュメモリもしくはメモリカードを接続して使用することにより、これらメモリ内のデータをディスプレイ97で選択するだけで設定を行える。よって、コントローラ33の取り扱いに慣れていないユーザでも本発明のコントローラ33を容易に使用することができる。
また、外部記憶手段を接続してデータを入力可能なので、実質的には無限といえるデータを使用することが可能となり、現在使用可能な全てのノズルのデータをいつでも入力可能とすることができる。
【0078】
なお、本発明の薬剤散布制御装置は、上述の実施の形態の薬剤散布装置以外の薬剤散布装置にも装備可能であり、基本的に自走可能でかつ薬剤の散布時の圧力(吐出圧)を調整可能となっていれば、どのような薬剤散布装置にも装備可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態の薬剤散布制御装置(コントローラ)が設けられる薬剤散布装置(ブームスプレーヤ)を示す平面図である。
【図2】前記薬剤散布装置の配管系統図である。
【図3】前記薬剤散布制御装置を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0080】
3 薬剤タンク
5 トラクタ(走行手段)
9 ノズル(吐出手段)
11 ノズルパイプ(吐出手段)
30 ブームスプレーヤ(薬剤散布装置)
33 コントローラ(薬剤散布制御装置、演算式算出手段)
39 ポンプ(吐出手段)
61 電動調圧弁(吐出圧調整手段)
91 速度検出センサ(速度検出手段)
95 表示部(入力手段)
101 モード切り替えスイッチ(入力手段)
105a 増スイッチ(入力手段)
105b 減スイッチ(入力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を散布する場所を移動可能とする走行手段(5)と、
該走行手段(5)に搭載されて薬剤を貯留する薬剤タンク(3)と、
該薬剤タンク(3)に貯留された薬剤に吐出圧をかけて複数のノズル(9)から吐出する吐出手段と、
該吐出手段における前記吐出圧を調整する吐出圧調整手段(61)と、
前記走行手段(5)による走行における走行速度を示す情報を検出する速度検出手段(91)と、
を備え、かつ、前記走行手段(5)により走行しながら前記吐出手段から薬剤を吐出して散布する薬剤散布装置(30)に設けられ、
前記薬剤の単位面積当たりの散布量と前記ノズル(9)の種類とに対応して前記吐出手段で薬剤を吐出する吐出圧を示す情報と前記速度検出手段(91)で検出される走行速度を示す情報との関係を定めた演算式を用い、
前記速度検出手段(91)で検出される走行速度を示す情報に基づき前記演算式により前記吐出手段で吐出される薬剤の吐出圧を示す情報を算出し、算出された吐出圧を示す情報に基づき前記吐出圧調整手段(61)を制御して前記吐出圧を調整させる薬剤散布制御装置(33)であって、
単位面積当たりの散布量と、使用されるノズル(9)の種類に対応した複数段階の所定の吐出圧それぞれにおける単位時間当たりの吐出流量とを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された前記散布量および前記吐出流量に基づいて、前記ノズル(9)の種類と前記散布量とに対応した前記吐出圧と前記走行速度との関係を定めた前記演算式を求める演算式算出手段とを備えることを特徴とする薬剤散布制御装置(33)。
【請求項2】
前記入力手段は、前記ノズル(9)の種類に対応した複数段階の所定の吐出圧それぞれにおける単位時間当たりの吐出流量の情報を記憶するとともに着脱可能な外部記憶手段から前記吐出流量の情報を入力可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤散布制御装置(33)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−178819(P2008−178819A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15129(P2007−15129)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】