説明

薬剤用包装材、薬剤包装体、RFID読み取り装置および薬剤管理システム

【課題】薬剤用包装材、薬剤包装体、RFID読み取り装置および薬剤管理システムに関し、薬の服用量の誤検知をなくすことを目的とする。
【解決手段】薬剤用包装材11は、薬剤14を収納する複数の収納部12と、複数の収納部12それぞれを破断する破断部13と、破断部13それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグ20とを備え、回路部は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部と、このタグ回路部に電気的に接続され無線信号を受信するタグアンテナ部とを有している。これにより、収納部12を破断するとRFIDタグ20の回路部も破壊される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤用包装材、薬剤包装体、RFID読み取り装置および薬剤管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬剤の服用において患者を支援するための薬剤管理システムが提案されている。この薬剤管理システムには、RFID(Radio Frequency IDentification)タグが用いられている。薬剤管理システムは、RFIDタグとRFIDタグからの情報を読み取るリーダライタとを備えている。RFIDタグは、格子状に配置された複数のセルを有する薬剤用パッケージに1つ実装されていた。各セルは、破断可能壁およびこの破断可能壁に設けられた切断可能導線によって密閉されている。RFIDタグは、切断可能導線の断線を検知してセルに穴があいたことを検知し、このことから各セルに入っている薬がどのくらい使用されたかを監視していた。薬剤管理システムには、RFIDタグが監視して得た監視情報をリーダライタで読み取り、薬の服用管理をしていた(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特表2005−539300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の薬剤管理システムに用いられる薬剤用パッケージは、各セルに切断可能導線を配置し、1つのRFIDタグにその切断可能導線をすべて接続する必要があった。そこで、セルの数に応じて切断可能導線の配線を行ってRFIDタグに接続するようにしていた。しかしながら、セルごとパッケージの基材から切り離されるとセルに配線された線も断線される。このため、穴があいていない未服用のセルであっても、服用したと検知され、薬の服用量を誤検知するといった課題があった。そこで、本発明は、薬剤を収納した収納部をパッケージの基材から切り離す場合であっても、薬の服用量を誤検知しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために本発明の薬剤用包装材は、薬剤を収納する複数の収納部と、複数の収納部それぞれを破断する破断部と、破断部それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグとを備え、回路部は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部と、このタグ回路部に電気的に接続され無線信号を受信するタグアンテナ部とを有していることを特徴とする。この構成により、初期の目的を達成するものである。
【0005】
また、本発明の薬剤用包装材は、基材に形成されるとともに薬剤を収納する破断可能な複数の収納部と、複数の収納部それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグとを備え、回路部は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部と、このタグ回路部に電気的に接続され無線信号を受信するタグアンテナ部とを有していることを特徴とする。この構成により、初期の目的を達成するものである。
【0006】
また、本発明の薬剤包装体は、上記した薬剤用包装材の収納部に薬剤を収納したことを特徴とする。この構成により、初期の目的を達成するものである。
【0007】
また、本発明のRFID読み取り装置は、上記した薬剤用包装材に備えられた複数のRFIDタグを読み取るリーダライタと、リーダライタにより読み取り可能なRFIDタグの数と服用前の薬剤の数とに基づいて薬剤の服用量を監視する制御部とを備えていることを特徴とする。この構成により、初期の目的を達成するものである。
【0008】
また、本発明の薬剤管理システムは、上記したRFID読み取り装置と、RFID読み取り装置と回線を介して接続された管理装置とを備え、RFID読み取り装置は薬剤を服用した数の差が大きい場合に管理装置に異常を通知することを特徴とする。この構成により、初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の薬剤用包装材は、薬剤を収納する複数の収納部と、複数の収納部それぞれを破断する破断部と、破断部それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグとを備えているので、各収納部が破断部により破断されると各RFIDタグの回路部も破壊され、RFIDタグが応答しなくなるので薬剤が使用されたことを検知できる。これにより、薬剤を収納している収納部ごとに薬剤の服用量を検知することが可能となるので、薬剤の服用量の誤検知をなくすことができる。
【0010】
また、本発明の薬剤用包装材は、基材に形成されるとともに薬剤を収納する破断可能な複数の収納部と、複数の収納部それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグとを備えているので、各収納部が破断されると各RFIDタグの回路部も破壊され、RFIDタグが応答しなくなるので薬剤が使用されたことを検知できる。これにより、薬剤を収納している収納部ごとに薬剤の服用量を検知することが可能となるので、薬剤の服用量の誤検知をなくすことができる。
【0011】
また、本発明の薬剤包装体は、上記した薬剤用包装材の収納部に薬剤を収納したので、各収納部が破断されると各RFIDタグの回路部も破壊され、RFIDタグが応答しなくなるので薬剤が使用されたことを検知できる。
【0012】
また、本発明のRFID読み取り装置は、上記した薬剤用包装材に備えられた複数のRFIDタグを読み取るリーダライタと、リーダライタにより読み取り可能なRFIDタグの数と服用前の薬剤の数とに基づいて薬剤の服用量を監視する制御部とを備えているので、薬剤の服用量を検知することができる。これにより、RFID読み取り装置は、薬剤の服用量に異常があれば患者に警告するなどして、患者に服用の誤りを知らせることもできる。
【0013】
また、本発明の薬剤管理システムは、上記したRFID読み取り装置と、RFID読み取り装置と回線を介して接続された管理装置とを備え、RFID読み取り装置は薬剤を服用した数の差が大きい場合に管理装置に異常を通知するので、職員などが患者の病室にいなくても、薬剤の服用量の異常を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
まず、図1〜図7を参照しながら、本発明の実施の形態1における薬剤管理システムついて説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態1における薬剤管理システム1の概略構成図、図2は本発明の実施の形態1におけるRFID読み取り装置4の構成図、図3は本発明の実施の形態1における薬剤用包装材11の構成を示すものであり、(a)は薬剤用包装材11の正面図、(b)は薬剤用包装材11の背面図、図4は薬剤用包装材11の部分拡大背面図、図5は図4のA−A線による断面図、図6は図4のA−A線による他の例を示す分離断面図、図7は本発明の実施の形態1における薬剤管理システム1の構成を示すブロック図である。
【0017】
ここでは、図1に示すように、病院において病室2で患者6が薬袋5に入っている薬の服用量を管理する場合の例について説明する。
【0018】
薬剤管理システム1は、薬袋5に入っている粉薬や錠剤などの薬剤の服用量を検知するためのRFIDタグを読み取るRFID読み取り装置4と、RFID読み取り装置4と回線9を介して電気的に接続されている管理装置7とを備えている。
【0019】
RFID読み取り装置4は、例えば、病室2の寝台10の横に設置されている。患者6は、所定の時間間隔で薬を服用した後、残りの薬剤を薬袋5に戻してRFID読み取り装置4の薬剤台の上に置いておく。なお、薬剤は薬剤用包装材の中に入っているので、薬剤用包装材をそのまま薬剤台に置いてもよい。
【0020】
管理装置7は、例えば、ナースステーション3に設置されている。看護士や薬剤師などの職員8は、管理装置7により、患者6が服用した薬剤の量を監視することができる。
【0021】
管理装置7には、患者6に処方された薬剤に関する情報があらかじめ登録されている。例えば、薬剤の種類や数量などである。また、管理装置7にはこの薬剤情報とあらかじめ患者6に付与した識別情報(以下「ID情報」ともいう)とがデータベース(図示せず)に登録されている。また、患者6に処方した薬の処方箋に従って飲むべき時間情報も登録されている。管理装置7に登録された登録情報(患者6のID情報、種類情報、数量情報、時間情報)は、回線9を介してRFID読み取り装置4に設定される。
【0022】
次に、図2を参照しながら、本実施の形態のRFID読み取り装置4の構成について説明する。
【0023】
図2に示すように、RFID読み取り装置4は、薬袋5や薬剤用包装材11などを置くための薬剤台4aと、薬袋5や薬剤用包装材11などが落下しないようにするための落下防止部4bと、薬剤台4aの内側に設置されているアンテナ31と、アンテナ31を介してRFIDタグ20を読み取るリーダライタ30と、液晶表示装置などで構成される表示部37と、スイッチで構成される入力部38と、スピーカで構成される報知部39とを備えている。
【0024】
RFID読み取り装置4は、薬剤台4aの上に置かれている薬剤用包装材11を所定の間隔で監視する。例えば、10分ごとにリーダライタ30がアンテナ31を介してRFIDタグ20を読み取る。薬を収納している薬剤用包装材11には、RFIDタグ20が装着されている。
【0025】
リーダライタ30は、回線9を介して管理装置7から取得した登録情報に基づいて、患者6が服用すべき薬の服用量を制御部34により管理する。リーダライタ30は、内部に備えている時刻管理部に従って、患者6が服用すべき薬剤の服用量と薬剤台4aの上に置かれている薬剤用包装材11に残っている薬剤の残量とを比較する。そして、リーダライタ30は、服用すべき薬剤の服用量が指定されている処方箋と異なる服用がなされている場合(服用量が少ないまたは多い場合)には、報知部39からアラームなどの音により警告を行う。また、同時に、不足または過多な薬剤の種類や数量などの警告内容を表示部37で表示する。患者6は、警告の理由を確認した後、入力部38のスイッチを操作して、警告音などを止める。
【0026】
また、リーダライタ30は、警告動作が発生したときには、回線9を介して管理装置7に警告した内容を通知する。これにより、管理装置7は警告した内容を表示部で表示するなどして職員8に警告内容を伝える。このように、看護士などの職員8はナースステーション3にいながら、病室2で服用されている薬剤が適切に飲まれているか否かを監視することができる。
【0027】
このように、職員8は患者6と異なる場所で薬剤の服用を監視できるため、RFID読み取り装置4で服用すべき薬剤の服用量をも正確に検知することができる。
【0028】
従来の薬剤用パッケージは、薬剤が収納されるセルのすべてに切断可能導線を配置し、1つのRFIDタグにその切断可能導線をすべて接続していた。これにより、薬剤の服用量を1個単位で正確に検知するようにしていた。しかしながら、セルごとパッケージの基材から切り離された場合、セルに配線された導線が断線される。このため、まだ穴があいていない未服用のセルであっても、服用したものと検知され、薬の服用量を誤検知するといった問題があった。
【0029】
そこで本実施の形態では、薬剤用包装材11は薬剤を収納する複数の収納部と、複数の収納部それぞれを破断する破断部と、破断部それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグとを備えるようにした。
【0030】
これにより、各収納部が破断されると各RFIDタグも破壊され、RFIDタグが応答しなくなるので薬剤が使用されたことを検知することができる。このように、薬剤を収納している収納部を破断部で破断して薬剤を服用するようにしたため、破断されず未服用の収納部も検知することができ、誤検知をなくすことができる。
【0031】
次に、図3〜図5を参照しながら、本実施の形態における薬剤用包装材11の構成について説明する。
【0032】
図3(a)および図3(b)に示すように、薬剤用包装材11は、薬剤14を収納する複数の収納部12を有し、収納部12は、正面側の基材11aと背面側の基材11bと一体化された空間部に形成されている。また、基材11a、11bには、各収納部12を破断するための破断部13がそれぞれ設けられている。また、基材11a、11bには、服用すべき順番を示すマーク22が印刷されている。患者6は、このマーク22の順番に従って薬剤14を服用する。これによって、薬剤14の服用量をわかりやすくし、患者6が服用量を誤りにくくしている。そして、図3(b)に示すように、背面側の基材11bの各破断部13に印刷で回路部を形成したRFIDタグ20が装着されている。このような構造により、患者6は、マーク22の順番に従って破断部13を破断し、収納部12を破断させることにより薬剤14を取り出すことができる。
【0033】
図4に示すように、RFIDタグ20の回路部21は印刷領域17に印刷されている。回路部21は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部15とこのタグ回路部15に電気的に接続され無線信号を受信するタグアンテナ部16とを有している。
【0034】
また、破断部13は、少なくともタグ回路部15を破断するように形成されている。破断部13は、回路部21の印刷領域17を横断する所定の間隔の孔部列を有し、この孔部列に沿って破断できるようにしている。これにより、薬剤用包装材11の収納部12が破断されたときに、RFIDタグ20の処理機能をすべて破壊し、応答しないようにすることができる。
【0035】
回路部21は、図5に示すように、基材11bの印刷面17aに印刷により形成されている。また、収納部12は、基材11aと基材11bとを接着剤などで貼り合わせることにより構成される空間部に形成されている。この収納部12に薬剤14を収納する。薬剤14としては、錠剤でも粉薬でも収納部12に収納することができる。基材11aと基材11bは紙や薄いフィルムなどで形成されている。なお、薬剤14が湿気などの影響を受けないように、基材11a、11bの表面に樹脂などの保護層を設けてもよい。
【0036】
回路部21を、例えば公知の有機高分子で形成する。この場合、回路部21の製造方法として、塗布製膜による薄膜層を作成すればよいことから、インクジェットや輪転機などの印刷プロセスを利用することができる。このような印刷プロセスでタグ回路部15の有機薄膜トランジスタなどの回路を形成することができ、基材11bの印刷面17aに回路部21を印刷することができる。また、タグアンテナ部16は、導電インクにより形成する。
【0037】
このようにRFIDタグ20は安価に製造することができることから、各破断部13に設けるようにしてもコストは高くならない。また、基材11bに薬の名前などのラベルを印刷するときに、一緒に回路部21を形成することも可能となる。
【0038】
なお、変形例として、図6に示すように、破断しやすいように薄く、四角形状をした破断可能な印刷基材18の印刷面18aに回路部21を印刷によって形成してもよい。この場合には、印刷基材18の印刷面18aを破断部13に接着する。これらのように構成することにより、回路部21を破断可能にするとともに印刷基材18により回路部21を保護することができる。印刷基材18は、例えば、紙で形成されている。また、印刷基材18を基材11aの破断部13に接着するようにしてもよい。これによっても、同様の効果を奏する。
【0039】
次に、図1および図7を参照しながら、薬剤管理システム1の構成および動作について説明する。
【0040】
図1および図7に示すように、職員8は、患者6に対して薬剤14を渡す際に、管理装置7に患者6に渡す薬剤14を登録する。この登録では、薬剤14を収納している薬剤用包装材11に装着されているRFIDタグ20を読み取り、薬剤の種類や数量を取得する。そして、管理装置7に取得した薬剤情報を表示部7dで確認するとともに、入力部7eにより、あらかじめ患者6に付与したID情報とともにデータベース7fに登録する。また、患者6に処方した薬剤の処方箋に従って飲むべき時間情報を入力部7eから登録する。このように管理装置7に登録された登録情報(患者6のID情報、種類情報、数量情報、時間情報)は、制御部7b、通信部7a、回線9を介してRFID読み取り装置4に送信される。
【0041】
RFID読み取り装置4は、薬剤用包装材11に備えられた複数のRFIDタグ20のタグ情報をアンテナ31を介してリーダライタ30で読み取る。アンテナ31は、パッチ型アンテナやダイポール型アンテナを使用し、薬剤用包装材11に向けられている。
【0042】
リーダライタ30は、アンテナ31を介してRFIDタグ20との交信信号(質問信号、応答信号)を送受信する無線部32と、入力部38の操作情報を入力するとともに無線部32を制御する制御部34と、タグ情報、管理装置7の登録情報などを記憶するメモリ部33と、管理装置7と回線9を介して通信するための通信部35と、時間情報を出力する時刻管理部36とを備えている。
【0043】
RFID読み取り装置4は、管理装置7から薬剤14に係る登録情報を取得し、メモリ部33に記憶する。そして、RFID読み取り装置4は、制御部34により、メモリ部33に記憶した登録情報と時刻管理部36の時刻情報とに基づいて、薬剤14の監視を行う。監視間隔は、例えば、薬剤14の危険度が高ければ10分、危険度が低ければ60分の時間間隔に設定される。
【0044】
RFID読み取り装置4は、時刻管理部36からの時刻情報に基づいて制御部34により、無線部32、アンテナ31を介して、RFIDタグ20に、例えば、「識別番号を返答せよ」という質問信号を送信する。これにより、RFIDタグ20は、「識別番号」を応答信号として返信する。例えば、図3(a)において、服用前であれば、RFIDタグ20aは「1番の識別番号」を返信する。同様に、RFIDタグ20bは「2番の識別番号」、RFIDタグ20cは「3番の識別番号」、RFIDタグ20dは「4番の識別番号」を返信する。
【0045】
無線部32は、アンテナ31を介して、RFIDタグ20からの応答信号をアンテナ31を介して受信し、復調してタグ情報を取得する。そして、無線部32は、この取得したタグ情報を制御部34に出力する。
【0046】
制御部34は、RFIDタグ20から取得した複数のタグ情報をメモリ部33に一時記憶する。そして、制御部34は、メモリ部33から取得できたタグ情報(識別番号などの固有の識別情報、薬剤の種類、製造日など)をすべて読み出し、異なる識別番号の数をカウントする。これにより、薬剤14の服用量を検知することができる。すなわち、患者6が薬剤14を服用するときに、収納部12を破断部13により破断する。このときに、RFIDタグ20の回路部21も破壊されるため、破断された破断部13にあるRFIDタグ20が応答しなくなる。制御部34は、登録情報にある服用前の薬剤14の数と、服用後にRFIDタグ20の応答により得た固有の識別情報の数との差を算出することにより、薬剤14の服用量を得ることができる。例えば、図3(a)のRFIDタグ20から「3番の識別番号」と「4番の識別番号」とが取得されたとすると、固有の識別情報の数は「2」となる。もし、登録情報にある服用前の薬剤14の数が「4」であれば、服用量は「2」となる。
【0047】
制御部34は、登録情報と検知して得た薬剤14の服用量とに基づいて、異常があれば表示部37または報知部39を介して患者6に警告を発する。制御部34は、例えば、服用量の差が「2」以上の場合は異常と判断する。これにより、患者6は薬剤14の服用に誤りがあることを知ることができる。そして、RFID読み取り装置4は、通信部35、回線9を介して管理装置7に警報内容を通知するので、職員8が病室2にいなくても、薬剤14の服用量の異常を監視することができる。
【0048】
以上のように実施の形態1の薬剤管理システム1によれば、薬剤用包装材11に備えられた複数のRFIDタグ20を読み取るリーダライタ30と、リーダライタ30により読み取り可能なRFIDタグ20の数を検知して薬剤の服用量を監視する制御部34とを有しているRFID読み取り装置4を備えているので、各収納部12が破断部13により切り離されると各RFIDタグ20の回路部21も破壊され、RFIDタグ20が応答しなくなるので薬剤14が使用されたことを検知することができる。これにより、収納部12ごとに薬剤14の服用量を検知することができる。RFID読み取り装置4は、薬剤14の服用量に異常があれば表示部37または報知部39を介して患者6に警告を発する。これにより、患者6は薬剤14の服用に誤りがあることを知ることができる。そして、RFID読み取り装置4は、管理装置7に警報内容を通知するので、職員8が病室2にいなくても、薬剤14の服用量の異常を監視することができる。
【0049】
また、本実施の形態の薬剤用包装材11は、薬剤14を収納する複数の収納部12と、収納部12それぞれを破断するための破断部13と、破断部13それぞれに印刷で回路部21を形成したRFIDタグ20とを備えているので、各収納部12が破断部13により破断されると各RFIDタグ20の回路部21も破壊され、RFIDタグ20が応答しなくなるので薬剤14が使用されたことを検知することができる。これにより、薬剤14を収納している収納部12ごとに薬剤14の服用量を検知することが可能となるので、薬剤の服用量の検知誤りをなくすことができる。また、未服用の収納部12も検知することができる。
【0050】
また、本実施の形態の薬剤包装体は、薬剤用包装材11の収納部12に薬剤14を収納しているので、各収納部12が破断部13により破断されると各RFIDタグ20の回路部21も破壊され、RFIDタグ20が応答しなくなるので薬剤14が使用されたことを検知することができる。これにより、薬剤14を収納している収納部12ごとに薬剤14の服用量を検知することが可能となるので、薬剤14の服用量の誤検知を少なくして提供することができるようになる。また、未服用の収納部12も検知することができる。
【0051】
なお、管理装置7が、図7に示す制御部7bにより、時刻管理部7cから出力される時刻情報と、データベース7fに登録されている登録情報と基づいて、薬剤14の管理を直接に行うようにしてもよい。すなわち、管理装置7が回線9を介してRFID読み取り装置4でRFIDタグ20の読み取りを実行させ、薬剤14の監視を行うようにしてもよい。
【0052】
(実施の形態2)
次に、図8〜図11を参照しながら、本発明の実施の形態2について説明する。
【0053】
図8は本発明の実施の形態2における薬剤用包装材40の正面図、図9は薬剤用包装材40の部分拡大背面図、図10は図9のB−B線による断面図、図11は図9のB−B線による他の例の分離断面図である。なお、実施の形態1の構成と同構成の箇所には同一符号を付するのみとし、その詳細な説明は省略する。
【0054】
実施の形態1では、薬剤用包装材11の破断部13に印刷で回路部21を形成したRFIDタグ20を設けた。
【0055】
本実施の形態では、図8に示すように、正面側の基材40aと背面側の基材40bとから構成される薬剤用包装材40に破断可能な複数の収納部19を形成し、薬剤14を収納する。そして、複数の収納部19それぞれに印刷で回路部21を形成したRFIDタグ20を備えるようにした点で異なる。
【0056】
薬剤14は、破断部13a、13bにより、薬剤用包装材40から収納部19ごと切り離すことができる。患者6は、薬剤用包装材40から収納部19を破断部13aまたは破断部13bにより切り離した後で、収納部19を破断して薬剤14を取り出す。
【0057】
また、図9に示すように、背面側の基材40bにある回路部21の印刷領域40cの大きさを収納部19の大きさより大きくしている。これにより、患者6が薬剤14を取り出すために収納部19を破断すると、RFIDタグ20も破断される。
【0058】
図10に示すように、回路部21は、背面側の基材40bの印刷領域40cに印刷により形成されている。また、収納部19は、正面側の基材40aと背面側の基材40bとを接着剤などで貼り合わせることにより構成される空間部に形成されている。この収納部19に薬剤14を収納する。薬剤14は、錠剤でも粉でも収納部19に収納することができる。また、回路部21を、印刷領域40cに対応する正面側の基材40aに印刷により形成してもよい。これによっても、同様の効果を奏する。
【0059】
なお、変形例として、図11に示すように、薄く、四角形状をした破断可能な印刷基材18の印刷面18aに回路部21を印刷によって形成し、この印刷基材18の印刷面18aを収納部19のある位置に配置するとともに背面側の基材40bに接着剤などにより接着するようにしてもよい。また、印刷基材18を正面側の基材40aに接着するようにしてもよい。これによっても、同様の効果を奏する。印刷基材18は、例えば、紙で形成されている。
【0060】
以上のように実施の形態2によれば、薬剤用包装材40は、基材40aと基材40bとにより構成されるとともに薬剤14を収納する破断可能な複数の収納部19と、複数の収納部19それぞれに印刷で回路部21を形成したRFIDタグ20とを備えているので、各収納部19が破断されると各RFIDタグ20の回路部21も破壊され、RFIDタグ20が応答しなくなるので薬剤14が使用されたことを検知できる。これにより、薬剤14を収納している収納部19ごとに薬剤14の服用量を検知することが可能となるので、薬剤14の服用量の検知誤りをなくすことができる。
【0061】
また、回路部21の印刷領域40cの大きさを、収納部19の大きさより大きくしている。これにより、患者6が薬剤14を取り出すために収納部19を破断すると、確実にRFIDタグ20も破断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように本発明によれば、薬剤が収納されている収納部ごとに薬剤の服用量を検知することが可能となるので、薬剤の服用量の検知誤りをなくすことが可能な薬剤用包装材、薬剤包装体、薬剤管理システム、RFID読み取り装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1における薬剤管理システムの概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1におけるRFID読み取り装置の構成図
【図3】(a)は本発明の実施の形態1における薬剤用包装材の正面図、(b)は同薬剤用包装材の背面図
【図4】同薬剤用包装材の部分拡大背面図
【図5】図4のA−A線による断面図
【図6】図4のA−A線による他の例を示す分離断面図
【図7】本発明の実施の形態1における薬剤管理システムの構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態2における薬剤用包装材の正面図
【図9】同薬剤用包装材の部分拡大背面図
【図10】図9のB−B線による断面図
【図11】図9のB−B線による他の例の分離断面図
【符号の説明】
【0064】
1 薬剤管理システム
2 病室
3 ナースステーション
4 RFID読み取り装置
4a 薬剤台
4b 落下防止部
5 薬袋
6 患者
7 管理装置
7a,35 通信部
7b,34 制御部
7c,36 時刻管理部
7d,37 表示部
7e,38 入力部
7f データベース
8 職員
9 回線
10 寝台
11,40 薬剤用包装材
11a,11b,40a,40b 基材
12,19 収納部
13,13a,13b 破断部
14 薬剤
15 タグ回路部
16 タグアンテナ部
17,40c 印刷領域
18 印刷基材
17a,18a 印刷面
20,20a,20b,20c,20d RFIDタグ
21 回路部
22 マーク
30 リーダライタ
31 アンテナ
32 無線部
33 メモリ部
39 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収納する複数の収納部と、
前記複数の収納部それぞれを破断する破断部と、
前記破断部それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグとを備え、
前記回路部は、
タグ情報を記憶保持するタグ回路部と、
このタグ回路部に電気的に接続され無線信号を受信するタグアンテナ部とを有していることを特徴とする薬剤用包装材。
【請求項2】
前記回路部は、有機高分子で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤用包装材。
【請求項3】
前記回路部は、破断可能な印刷基材に印刷され、前記印刷基材の印刷面が前記破断部に接着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薬剤用包装材。
【請求項4】
前記破断部は、少なくとも前記タグ回路部を破断するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薬剤用包装材。
【請求項5】
前記破断部は、
前記回路部の印刷領域に所定の間隔で孔部列を有し、この孔部列に沿って破断できることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薬剤用包装材。
【請求項6】
基材に形成されるとともに薬剤を収納する破断可能な複数の収納部と、
前記複数の収納部それぞれに印刷で回路部を形成したRFIDタグとを備え、
前記回路部は、
タグ情報を記憶保持するタグ回路部と、
このタグ回路部に電気的に接続され無線信号を受信するタグアンテナ部とを有していることを特徴とする薬剤用包装材。
【請求項7】
前記回路部の印刷領域が、前記収納部より大きいことを特徴とする請求項6に記載の薬剤用包装材。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の薬剤用包装材の前記収納部に薬剤を収納したことを特徴とする薬剤包装体。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の薬剤用包装材に備えられた複数の前記RFIDタグを読み取るリーダライタと、
前記リーダライタにより読み取り可能な前記RFIDタグの数と服用前の薬剤の数とに基づいて薬剤の服用量を監視する制御部とを備えていることを特徴とするRFID読み取り装置。
【請求項10】
請求項9に記載のRFID読み取り装置と、
前記RFID読み取り装置と回線を介して接続された管理装置とを備え、前記RFID読み取り装置は前記薬剤を服用した数の差が大きい場合に前記管理装置に異常を通知することを特徴とする薬剤管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−35789(P2010−35789A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201535(P2008−201535)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】