説明

薬学的に活性の化合物及びその利用法

【課題】グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の両方に対するものを含め、著しい抗菌活性を呈する新規な置換テトラサイクリン型化合物、及び、このような化合物を利用する治療法の提供。
【解決手段】例えば下式に示した化合物。


(式中、Rはアルキル、アルケニル、アルコキシなどであり、R2はアルカノイル、アロイル、炭素環アリールなどであり、Zは水素、アルキル、アルケニル、炭素環アリール、ヘテロ脂環式又はヘテロ芳香族の基などである)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の両方に対するものを含め、著しい抗菌活性を呈する新規な置換テトラサイクリン型化合物に関する。
【拝啓技術】
【0002】
テトラサイクリンという抗生物質の開発は、殺菌及び/又は静菌作用のある組成を産生することのできる微生物の証拠を求めて、世界の多くの地域から採集した土壌標本を系統分析した直接の結果である。これらの新規な化合物で最初のものはクロロテトラサイクリンの名の下に1948年に紹介された。その2年後、オキシテトラサイクリンが入手可能になった。これらの物質の化学構造が詳細に解明された結果、それらの類似性が確認され、また、このグループの三番目の仲間、テトラサイクリンが1952年に製造される分析上の基礎が築かれた。1957年までには、先の組成には存在する、環に付いたCH基が存在しないことを化学的特徴とする、テトラサイクリン組成の新しい仲間が調製され、1967年には一般に市販され、またミノサイクリンが1972年までに使用されるようになった。明確化のために、理解を簡単にするために、そして比較のために、これらの個々のテトラサイクリン型物質を、下記の構造式を参照しながら下の表1で構造上の比較を行うこととする。

【0003】
【表1】

【0004】
「テトラサイクリン」又は「テトラサイクリン型」化合物という術語には、上記のクロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、等々や、今現在公知である又は今後発見あるいは開発されるに関係なく、上記の一般的な縮合環構造を有するその他のテトラサイクリン化合物など、テトラサイクリン及びその他のテトラサイクリンの仲間が含まれる。加えて、ここで言及されたような、番号を付けられたテトラサイクリン環位置は、上記の構造式で示されたものと同じである。
【0005】
より最新の研究努力では、様々な治療条件下及び投与経路で効果のある新しいテトラサイクリン抗生物質組成の開発、そして1948年に始まった、最初に紹介されたテトラサイクリン・ファミリーと同等の、又は、これより効果的であることが立証されるかも知れない新しいテトラサイクリン類似体の開発に、焦点が絞られてきた。このような開発の例には、米国特許第3,957,980号、第3,674,859号、第2,980,584号、第2,990,331号、第3,062,717号、第3,557,280号、第4,018,889号、第4,024,272号、第4,126,680号、第3,454,697号、及び、第3,165,531号が含まれる。これらの発行済特許は、薬理学的に活性のテトラサイクリン及びテトラサイクリン類似体の組成を探す幅広い研究のうちのごく代表的なものであることは理解されよう。
【0006】
歴史的には、特定の配合又は化学構造に関係なく、テトラサイクリンは、それらの最初の開発及び紹介から間もなく、リケッチア、数多くのグラム陽性及びグラム陰性細菌、及び性病性リンパ肉芽腫、封入体性結膜炎、及びオウム病の原因である物質に対して、薬理学的効果が高いことが判明した。従って、テトラサイクリンは「広域」抗生物質として知られるようになった。それらの試験管内での抗菌活性、実験的感染での効果、及び薬理学的性質がその後確定されたことで、ある一つのクラスとしてのテトラサイクリン類は治療目的のために幅広く利用されるようになった。しかしながら、主要な及び主要でない疾患及び疾病の療法にテトラサイクリンが幅広く使われたことが直接の原因で、例えば肺炎球菌及びサルモネラ菌など、共生及び病原性の両方の細菌種に対して感受性の高いこれらの抗生物質にさえ耐性が生じてしまった。テトラサイクリン耐性生物が出現した結果、抗生物質の選択肢としてテトラサイクリン及びテトラサイクリン類似体の利用が大きく減少することとなった。
【0007】
テトラサイクリン耐性はテトラサイクリンにより調節、即ち誘導される場合が多い。活性テトラサイクリン外向きフラックス系、及び、活性外向きフラックスの機序の詳細の研究結果はよく文献化されており、その中には以下の公開文献があるが、それぞれを参考文献としてここに編入することをここに明記しておく。Chopra, et al., J. Antimictobiol. Chemotherapy 8:5-21 (1981); Levy and McMurry, Biochem. Biophys. Res. Comm. 56:1060-1068 (1974); Levy and McMurry, Nature, 275:90-92 (1978); McMurry and Levy, Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 114:201-209 (1978); McMurry et al., Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 77:3974-3977 (1980); Ball, et al., Biochem. Biophys. Pes. Comm. 93:74-81 (1980); Curiale and Levy, J. Bact., 151:209-2115 (1982); Mendez, et al., Plasmid, 3:99-108 (1980); Curiale, et al., J. Bact, 157:211-217 (1984); and Levy, S.B., Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 24:1-3 (1989)。
【0008】
加えて、細胞のテトラサイクリン耐性の第二の機序が知られており、影響を与えている。この耐性機序には、テトラサイクリンの阻止作用から細胞内リボソームを防御する細胞質たんぱく質が関与している。この形のテトラサイクリン耐性はBurdett, V., J. Bact, 165:564-569 (1986); and Levy, S.B., J. Antimicrob. Chem., 24:1-3 (1989)に説かれている。
【0009】
発明の概要 本発明は、新規な置換テトラサイクリン型化合物、それらの製造方法、このような化合物を利用する治療法、及び、このような化合物を含む薬剤組成に関するものである。これらの化合物は、例えば細菌、カビ、リケッチア、等々、テトラサイクリン感受性微生物及び耐性微生物の両方に対する処置に有用である。また本発明の化合物が、グラム陽性だけでなく、いくつかのグラム陰性のテトラサイクリン感受性及びテトラサイクリン耐性細菌にも高い活性を有することも判明している。
【0010】
第一の実施例では、5−及び9−環位置のヒドロキシ及び水素以外で置換されたテトラサイクリン型化合物を提供する。これらの化合物を、ここではまとめて5,9−置換テトラサイクリン又は5,9−置換化合物と呼ぶこととする。適した5−位置の置換基には、飽和及び不飽和の脂肪族及び芳香族エーテル及びエステルが含まれる。適した9−位置の置換基にはアルキル、アルケニル、及びアルキニル基や、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、及びヘテロアルキニル基、及び炭素環アリール及びヘテロ芳香族の基が含まれる。
【0011】
好適な5,9−置換テトラサイクリンには、以下の式I:

が含まれるが、ただしこの式においてR(9−位置の置換基)は、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキル、好ましくは2から約20個の炭素原子、より好ましくは2から約12個の炭素原子を有するアルケニル、好ましくは2から約20個の炭素原子、より好ましくは2から約12個の炭素原子を有するアルキニル、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルコキシ、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキルチオ、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキルアミノ、又はベンジルなどのアリアルキルであり、
【0012】
(5−位置の置換基)は、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルカノイル、アロイル、アルカロイル、炭素環アリール、ヘテロ芳香族、又は上記Rについて定義した一個の基であり、
【0013】
Zは、水素、上記Rについて定義した一個の基、炭素環アリール、ヘテロ脂環式又は基である。
【0014】
別の態様では、本発明の化合物は、9−及び13−位置の水素以外で置換されたテトラサイクリン型化合物を含み、ここではまとめて9,13−置換テトラサイクリン、又は単に9,13−置換化合物と呼ばれる。適した9−及び13−位置の置換基には、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル基や、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、及びヘテロアルキニル基、及び炭素環アリール及びヘテロ芳香族の基が含まれる。さらに、13−位置の適した置換基には、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル及びアミノが含まれる。広く好適な9−及び13−位置の置換基にはアルキルがある。
【0015】
好適な9,13−置換テトラサイクリンには、以下の式II:

の化合物が含まれるが、ただしこのときR(9−位置の置換基)は式Iで上に定義したのと同じであり、
【0016】
は水素、ヒドロキシ、又は上の式IでRについて定義した通りの基であり、
【0017】
X及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、又は上の式IでRについて定義した通りの基であり、(R、X及びYは一緒に13−位置の置換基を構成し)、
【0018】
Zは上の式Iで定義したのと同じであり、及び薬学的に容認可能なその塩である。
【0019】
さらに別の態様では、本発明の化合物には、5−位置のヒドロキシ以外、及び5−及び9−位置の水素以外の位置で置換されたテトラサイクリン型化合物が含まれる。これらの化合物を、ここではまとめて5,9,13−置換テトラサイクリン、又は単に5,9,13−置換化合物と呼ぶこととする。適した5−位置の置換基には、飽和及び不飽和脂肪族及び芳香族エーテル及びエステルが含まれる。適した9−及び13−位置の置換基には、9,13置換化合物について上に明示したものが含まれるが、アルキルが一般には好ましい。
【0020】
好適な5,9,13−置換テトラサイクリンには、以下の式III:

が含まれるが、ただしこのときR、R、R、X、Y及びAは、それぞれ上の式I及びIIで定義したのと同じであり、及び薬学的に容認可能なその塩(Rは9−位置の置換基であり、R、X及びYは一緒に13−位置であり、そしてRは5−位置の置換基である)である。
【0021】
本発明はさらに、9−位置の水素以外の位置で置換されたテトラサイクリン型化合物を提供するものでもある。これらの化合物を、ここではまとめて9−置換テトラサイクリン、又は単に9−置換化合物と呼ぶこととする。好適な9−位置置換基には、好ましくは1から20個の炭素、より好ましくは1から約12個の炭素を有するアルキル、及び、ハロゲン、酸素、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルで置換されたようなアルキル基が含まれる。
【0022】
好適な9−置換テトラサイクリンには、以下の式IV:

の化合物が含まれるが、ただしこのときRは、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキル、好ましくは2から約20個の炭素原子、より好ましくは2から約12個の炭素原子を有するアルケニル、好ましくは2から約20個の炭素原子、より好ましくは2から約12個の炭素原子を有するアルキニル、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルコキシ、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキルチオ、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、又はベンジルなどのアルキアリールであり、Zは上の式Iで定義したのと同じであり、及び薬学的に容認可能なこれらの塩である。
【0023】
本発明の化合物は、テトラサイクリン感受性細菌や、テトラサイクリン耐性細菌を含め、感受性のある微生物に対して活性である。本発明の特に適した化合物は、例えばE.コリD31m4(pHCM1)、S.アウレウスRN4250及びE.フェカーリスpMV158など、テトラサイクリン耐性のE.コリ、S.アウレウス及びE.フェカーリス株に対して、約10μg/ml以下、より好ましくは約1μg/ml以下の24時間最小阻止濃度を呈する。本発明に基づく好適な化合物には、さらに、例えばE.コリD31m4、S.アウレウスRN450及びE.フェカーリスATCC9790など、テトラサイクリン感受性E.コリ、S.アウレウス及びE.フェカーリス株に対してこのようなMIC値を呈するものが含まれる。
【0024】
このように、本発明は、例えば細菌、カビ、リケッチア、寄生生物、等々といった感受性微生物に対する処置、及び、このような微生物に関連した疾患を治療する方法を提供するものである。これらの治療法は、大まかには、本発明による一つ又はそれ以上の化合物を治療上有効量、細菌、カビ、リケッチア等々などの感受性微生物の感染に苦しむ又は感受性のある生体被験体に投与するステップを含む。治療に適した被験体には、動物、特にヒトなどのほ乳類、又は植物が含まれる。
【0025】
ある一つの態様では、テトラサイクリン耐性細胞を治療的に処置するためや、ある一つの細胞をテトラサイクリン耐性状態からテトラサイクリン感受性状態に変化させるための治療法及び組成を提供する。好適な実施例の一つでは、これらの方法は以下のステップを含む。即ち、1)細胞に対し、本発明の化合物である遮断薬であって、テトラサイクリンの阻止活性からその細胞中のリボソームを防御することのできる少なくとも一つのテトラサイクリン耐性決定因子の産物に相互作用する(例えば結合する)ことのできる遮断薬を投与するステップと、2)と同時に、前記細胞に対し、ステップ1で用いた遮断薬とは異なるテトラサイクリン化合物を所定量、投与するステップと、を含む。こうしてこの細胞は遮断薬と優先的に反応することとなる。
【0026】
さらに別の態様では、本発明の化合物を、例えば細菌、カビ、リケッチア、等々といった感受性微生物の感染の治療で使用するために提供する。さらに別の態様では、本発明の化合物を、例えば細菌、カビ、リケッチア、等々といった感受性微生物の感染の治療用薬剤の製造において提供する。
【0027】
さらに本発明は、一つ又はそれ以上の本発明の化合物と、適した担体とを含む薬剤組成を提供するものである。本発明のその他の態様を以下に開示する。
【0028】
発明の詳細な説明 下記の定義を参照しながら、本発明の実例をより十二分に挙げることとする。
【0029】
「テトラサイクリン」とは、テトラサイクリン、及び、例えばクロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン等々、その他のテトラサイクリン・ファミリーの仲間や、上記本発明の背景で述べた特徴的な縮合環構造を有するその他のテトラサイクリン化合物を包含するものとして意図されている。
【0030】
「脂肪族の基」という術語は、典型的には1から22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖を特徴とする有機化合物を包含するものとして意図されている。脂肪族の基には、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が含まれる。複雑な構造に置いては、当該鎖は分岐していても架橋していてもよい。アルキル基には、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基を含め、一つ又はそれ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素が含まれる。このような炭化水素成分は、一つ又はそれ以上の炭素上で、例えば一個のハロゲン、一個のヒドロキシル、一個のチオール、一個のアミノ、一個のアルコキシ、一個のアルキルカルボキシ、一個のアルキルチオ、又は一個のニトロ基で置換されていてもよい。炭素数に関しては特にそうでないと言及する場合を除き、ここで用いられる「低級脂肪族の」とは、上に定義したような(例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)一個の脂肪族の基であって、1から6個の炭素原子を有するものを意味する。このような低級脂肪族の基、例えば低級アルキル基など、の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−アミノブチル、イソブチル、t−ブチル、3−チオペンチル、等々である。ここで用いられる場合の「アミノ」という術語は−NHを意味し、「ニトロ」という術語は−NOを意味し、「ハロゲン」という術語は−F、−Cl、−Br又は−Iを指し、「チオール」という術語はSHを意味し、「ヒドロキシル」という術語は−OHを意味する。従って、ここで用いられる「アルキルアミノ」という術語は、上に定義したように、好ましくは1から約3又は4個のアミノ基が付いたアルキル基を言う。適したアルキルアミノ基には、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基が含まれる。「アルキルチオ」という術語は、上に定義したように、好ましくは1から約5又は6個のスルフヒドリル基が付いたアルキル基を言う。適したアルキルチオ基には、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基が含まれる。ここで用いられる「アルキルカルボキシル」という術語は、上に定義したように、一個のカルボキシル基が付いたアルキル基を意味する。ここで用いられる「アルコキシ」という術語は、上に定義したように、一個の酸素原子、好ましくは1から5個が付いたアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基には、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、等々が含まれる。「アルケニル」及び「アルキニル」という術語は、アルキルに似た不飽和脂肪族の基であるが、それぞれ少なくとも一つの二重又は三重結合を含むものを言う。適したアルケニル及びアルキニル基は、好ましくは、1から約3又は4個の二重又は三重結合を有し、また2から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基を含むものである。
【0031】
「脂環式の基」という術語は、三つ又はそれ以上の炭素原子から成る閉環構造を含むものとして意図されている。脂環式の基には、飽和の環状炭化水素であるシクロパラフィン又はナフテン、二つ又はそれ以上の二重結合を持って不飽和となったシクロオレフィン、及び一個の三重結合を有するシクロアセチレンが含まれる。これらは芳香族の基を含まない。シクロパラフィンの例には、シクロプロパン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンが含まれる。シクロオレフィンの例にはシクロペンタジエン及びシクロオクタテトラエンが含まれる。脂環式の基には、さらに、縮合環構造や、例えばアルキル置換された脂環式の基などの置換された脂環式の基が含まれる。脂環の場合、このような置換基には、さらに、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CN、等々を含めることができる。
【0032】
「ヘテロ環式の基」という術語は、環の中の一つ又はそれ以上の原子が、例えば窒素、硫黄、又は酸素など、炭素以外の元素であるような閉環構造を含むものとして意図されている。ヘテロ環式の基は飽和又は不飽和でもよく、またピロール及びフランなどのヘテロ環式の基は芳香族の特性を有していてもよい。それらには、キノリン及びイソキノリンなどの縮合環構造が含まれる。ヘテロ環の基のその他の例にはピリジン及びプリンがある。さらにヘテロ環式の基は、一つ又はそれ以上の構成原子の位置で、例えば一個のハロゲン、一個の低級アルキル、一個の低級アルケニル、一個の低級アルコキシ、一個の低級アルキルチオ、一個の低級アルキルアミノ、一個の低級アルキルカルボキシル、一個のニトロ、一個のヒドロキシル、−CF、−CN、等々で置換されていてもよい。適したヘテロ芳香族及びヘテロ脂環式の基は、一般的に言って、それぞれの環が一つ又はそれ以上のN、O又はS原子を持つ3から約8員環となった、1から3個の別々の又は縮合した環を有するもの、例えばクマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ及びピロリジニルである。
【0033】
「芳香族の基」という術語は、一つ又はそれ以上の環を含む不飽和の環状炭化水素を包含するものとして意図されている。芳香族の基には、5−及び6−員環の単一環の基が含まれるが、この単一環の基には、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン、等々、ゼロから4個のヘテロ原子が含まれていてもよい。芳香族の環は、一つ又はそれ以上の環位置で、例えば一個のハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CN、等々に置換されていてもよい。
【0034】
「アルキル」という術語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含めた、飽和脂肪族の基を言う。好適な実施例では、直鎖又は分岐鎖アルキルは20以下の炭素原子をその主鎖に有する(例えば直鎖の場合はC−C20に、分岐鎖の場合はC−C20に)が、より好ましくは12以下であるとよい。同様に、好適なシクロアルキルは4個から10個の炭素原子をそれらの環構造に有するが、より好ましくは4個から7個の炭素原子をその環構造に有するとよい。「低級アルキル」という術語は1個から6個の炭素を鎖に有するアルキル基と、3個から6個の炭素を環構造に有するシクロアルキルとを言う。
【0035】
さらに、本明細書及び請求の範囲を通じて用いられている「アルキル(「低級アルキル」を含む)」という術語は、「置換されていないアルキル」及び「置換されたアルキル」の両方を包含するものとして意図されているが、この後者は、炭化水素の主鎖の一つ又はそれ以上の炭素についた水素が置換基に置換されたアルキル成分を言う。このような置換基には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキル、又は芳香族又はヘテロ芳香族の成分を含めることができる。当業者であれば、炭化水素鎖上で置換された成分はそれ自体が適宜置換されてもよいことは理解されよう。さらにシクロアルキルは、例えば上述したような置換基など、で置換されてもよい。「アラルキル」成分は、アリールで置換されたアルキル、例えば1個から3個の別々の又は縮合した環と、6個から約18個の炭素環原子とを有するもの(例えばフェニルメチル(ベンジル))である。
【0036】
「アルコキシ」という術語は、ここで用いられる場合、アルキル成分が上述したものであるような構造−O−アルキルを有する成分を言う。
【0037】
「アラルコキシ」という術語は、ここで用いられる場合、アラルキル成分が上述したものであるような構造−O−アラルキルを有する成分を言う。適したアラルコキシ基は1個から3個の別々の又は縮合した環と、6個から18個の炭素環原子とを有するものであるが、O−ベンジルが好ましい基である。
【0038】
ここで用いられる「アリール」という術語は、5−及び6−員環の単一環の芳香族の基を含むが、この基には、例えば置換されていない又は置換されたベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン、等々など、ゼロから4個のヘテロ原子が含まれていてもよい。さらにアリール基には、例えばナフチル、キノリル、インドリル、等々といった多環式の縮合芳香族基が含まれる。芳香族の環は、一つ又はそれ以上の環位置で、例えばアルキル基について上述したようなものなどの置換基で置換されていてもよい。好適なアリール基には、未置換及び置換フェニール基が含まれる。
【0039】
ここで用いられる「アリールオキシ」という術語は、アリール成分が上述したようなものである構造−O−アリールを有する基を言う。
【0040】
ここで用いられる「アミノ」という術語は、式−NRの置換されていない又は置換された成分を言うが、ただしこのときR及びRはそれぞれ個別に水素、アルキル、アリール、又はヘテロシクリルであるか、又はR及びRを、これらが付いた窒素原子と一緒に捉えると、環内に3個から8個の原子を有する環状成分を形成するものである。このように、「アミノ」という術語は、特にそうでないと明示する場合を除き、ピペリジニル又はピロリジニルなどの環状のアミノ成分を包含するものとして意図されている。「アミノ置換アミノ基」とは、R及びRの少なくとも一方がアミノ基でさらに置換されているようなアミノ基を言う。
【0041】
アルキルスルフィニル基は、一つ又はそれ以上のスルフィニル(SO)結合、典型的には1個から約5又は6個のスルフィニル結合を有するものである。適したアルキルスルフィニル基には1個から約12個の炭素原子、好ましくは1個から約6個の炭素原子を有する基が含まれる。
【0042】
アルキルスルホニル基は、一つ又はそれ以上のスルホニル(SO)結合、典型的には1個から約5又は6個のスルホニル結合を有するものである。適したアルキルスルホニル基には、1個から約12個の炭素原子、好ましくは1個から約6個の炭素原子を有する基が含まれる。
【0043】
適したアルカノイル基には、1個から約4又は5個のカルボニル基を有する基が含まれる。適したアロイル基には、一つ又はそれ以上のカルボニル基を、フェニール又はその他の炭素環アリールなどのアリール基の置換基として有する基が含まれる。適したアルカロイル基は、一つ又はそれ以上のアルキルカルボニル基を、フェニルアセチル等々といったアリール基の置換基として有するものである。適した炭素環アリール基は、例えばフェニール、ナフチル、等々、6個又はそれ以上の炭素を有するものである。適したアリールオイル基は、一つ又はそれ以上のカルボニル基、典型的には1個又は2個のカルボニル基で置換された炭素環アリール基である。
【0044】
本発明の化合物を用いると、微生物、特にグラム陽性細菌やいくつかのグラム陰性細菌に対して処置を行うことができる。好適な化合物には式I、II、III及びIV




のものが含まれるが、ただしこのときR、R、R、X、Y、R及びAは上に定義したとおりであり、及び薬学的に容認可能なそれらの化合物の塩である。
【0045】
本発明の化合物には、5-プロピオネート-9-t-ブチルドキシサイクリン; 9-クロロ-t-ブチル-5-プロピオネートドキシサイクリン; 9-ピペリジノエチル-5-プロピオネートドキシサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ- テトラサイクリン; 9-t-ブチル-5-オキシテトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-アセトキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-フェニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-ベンジルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-ジメチルアミノカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-シクロペンチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘプチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-(クロロ-t-ブチル)-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン; 9-(アミノ)-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン; 9-[(ピペリジノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジエチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジプロピルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-アセトキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-フェニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ベンジルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ジメチルアミノカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロペンチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘプチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 9-t-ブチルテトラサイクリン; 9-t-ブチルアンヒドロテトラサイクリン; 9-t-ブチルミノサイクリン; 5-プロピオネート-13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチルオキシテトラサイクリン; 5-プロピオネート-13-シクロペンチルチオ-9-ピペリジノエチルオキシテトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-メチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-エチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-プロピルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-イソプロピルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-ブチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-イソブチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-ペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-イソペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-シクロブチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシテトラサイクリン; 13-シクロヘキシルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-フェニルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-(3,4-ジクロロフェニル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-ベンジルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-(4-クロロベンジル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-(3,4-ジクロロベンジル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-(4-メトキシベンジル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-(2,3-ジヒドロキシプロピル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン; 13-メチルチオ-9-t-ブチル-5-アセトキシ-テトラサイクリン; 13-エチルチオ-9-t-ブチル-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-プロピルチオ-9-t-ブチル-5-ブタニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-イソプロピルチオ-9-t-ブチル-5-シクロペンチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-ブチルチオ-9-t-ブチル-5-シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-イソブチルチオ-9-t-ブチル-5-シクロヘプチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-ペンチルチオ-9-t-ブチル-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン; 13-イソペンチルチオ-9-t-ブチル-5-アセトキシ-テトラサイクリン; 13-シクロブチルチオ-9-t-ブチル-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-シクロペンタニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロヘキシルチオ-9-t-ブチル-5-シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-フェニルチオ-9-t-ブチル-5-フェニルアセチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-アセトキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-フェニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ベンジルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ジメチルアミノ-カルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロペンチル-カルボニルオキシ- テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロブチル-カルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘキシル-カルボニルオキシ-テトラサイクリン; 13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘプチル-カルボニルオキシ-テトラサイクリン; 及び薬学的に容認可能なこれらの塩が含まれる。
【0046】
特に好適な本発明の化合物には、5-プロピオネート-9-t-ブチルドキシサイクリン; [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(ター-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(ター-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-プロピオニルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(ター-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-アセチルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-アセチルカルボニルオキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(ター-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-シクロブチルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-シアノ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-シアノ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ニトロ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ニトロ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン); 9-t-ブチル テトラサイクリン; 9-t-ブチルアンヒドロテトラサイクリン; 9-t-ブチルミノサイクリン; 及び薬学的に容認可能なこれらの塩が含まれる。
【0047】
本発明の化合物は、以下のスキームI及びIIに大まかに示したように調製することができる。これらスキームを説明するにあたって、様々な置換基は式I及びについて上に定義したのと同じである。さらに、例示の目的のためのみであるが、ドキシサイクリンを「基剤」のテトラサイクリン化合物として示しているが、幅広いテトラサイクリン化合物を同じ態様で利用できることは理解されたい。例えば、5−及び/又は9−位置で置換される基剤テトラサイクリン化合物は、適宜オキシテトラサイクリン; クロロテトラサイクリン; デメクロサイクリン; ドキシサイクリン; ケロカルディン; ミノサイクリン; ロリテトラサイクリン; リメサイクリン; サンサイクリン; メタサイクリン; アピサイクリン; クロモサイクリン; グアメサイクリン;メグルサイクリン;メピサイクリン;ペニメサイクリン;ピパサイクリン; エタモサイクリン; ペニモサイクリン等々であってもよい。
【0048】
スキームI

【0049】
スキームII

【0050】
上のスキームIに示すように、テトラサイクリン基剤化合物(即ちドキシサイクリン 又はアルファ-6-デオキシ-5-オキシテトラサイクリンで示されるもの)はまず、5位置で、例えば図示の5−ヒドロキシ基の官能化などにより、適宜置換して、化合物1を化合物RCOHに、酸、例えば無水HF、トリフルオロメタンスルホン酸及びメタンスルホン酸など、の存在下で、 20℃から100℃の間の適切な温度で反応させることにより、5−位置のエステルを形成させる。例示した反応について以下に挙げた例を参照されたい。さらにCエステルの調製法の議論については米国特許題5,589,470号を参照されたい。5−位置のエーテルは、化合物を、例えばアルキルハリドなどのアルキル化剤か、又はその他の反応試薬に反応させることにより、適宜形成することができる。
【0051】
5−置換テトラサイクリン化合物を、例えばt-ブタノール又は1-クロロ-2-メチルプロペンなどの陽イオン形成種に、メタンスルオン酸などの強酸中で20℃から100℃の温度で適宜フリーデル・クラフツ反応させることにより、スキームIで示されたような化合物及びや、スキームIIでの化合物などの本発明の5,9-置換化合物を提供することができる。化合物及びは、さらに、式X−(R1又は2の化合物などの適した求核性試薬に反応させることにより9−位置で官能化させることができ、このときのXはN、O又はSなどのヘテロ原子であり、各Rは個別に、例えばC1−12アルキル、アリール、特にフェニルなどの炭素環アリールなど、である。
【0052】
上述したように、本発明は、微生物感染及び関連する疾患に対する治療法を提供するものであるが、同方法は大まかに言って、治療上有効量の一つ又はそれ以上の本発明の化合物を被験体に投与するステップを含むこととなり、またこの被験体は動物又は植物でもよいが、典型的にはほ乳類、好ましくはヒトなどの霊長類であるとよい。
【0053】
さらに上述したように、本発明は、公知のテトラサイクリンに対する、その種類が未だに増え続ける細胞及び微生物の耐性を克服する方法を提供するものでもある。本方法は、概略的には、1)細胞に対し、本発明の化合物である遮断薬であって、テトラサイクリンの阻止活性からその細胞中のリボソームを防御することのできる少なくとも一つのテトラサイクリン耐性決定因子の産物に相互作用する(例えば結合する)ことのできる遮断薬を投与するステップと、2)と同時に(即ち同時又は逐次)前記細胞に対し、ステップ1で用いた遮断薬とは異なるテトラサイクリン化合物を所定量、投与するステップと、を含む。こうしてこの細胞の耐性機構を遮断薬(即ち、本発明の化合物)と優先的に反応させることにより、第二の投与された組成(即ち、当該遮断薬とは異なるテトラサイクリン化合物)との優先的反応を防ぐ。
【0054】
この方法は、プラスミド及びトランスポゾンに多くの場合見られると共に、テトラサイクリン耐性決定因子のためのたんぱく質を特定する特異的DNA配列の存在を考慮に入れ、これに働きかけるものである。これらの決定因子のうちのいくつかは、細胞内テトラサイクリン濃度を、例えば米国特許第4,806,529号及び第5,589,470号に説かれたような、微生物内のたんぱく質を阻害することのできるようなレベルより下に維持する活性外向きフラックス系を通じて作用する。その他の決定因子は、リボソームを、例えばテトラサイクリンに結合することなどにより、テトラサイクリンの阻止活性から、防御することができる。本方法は、本発明の化合物を、テトラサイクリンの阻止活性から細胞を防御することにより作用する少なくとも一つのテトラサイクリン耐性決定因子の産物と相互作用する遮断薬として利用するものである。当該決定因子は、リボソームと相互作用することでそれらをテトラサイクリン耐性にするような細胞質たんぱく質か、又はテトラサイクリンを細胞の中に入れないようにする膜たんぱくなどの、産物を産生することができるものである。
【0055】
この方法は、テトラサイクリン耐性の原因となる遺伝子決定因子の産物を含む又は持つテトラサイクリン耐性細胞又は微生物、そして特にリボソームをテトラサイクリンの阻止活性から防御することによるものに利用するのに特に適している。Levy, S.B., Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 24:1-3 (1989)に開示されているように、12種を越える別々の識別可能なテトラサイクリン耐性決定因子が発見されてきた。さらにLevy, S.B., "Resistance to the Tetracyclines," in Antimicrobial Drug Resistance, (Bryan, L.E., editor), Academic Press, Orlando, Florida, 1984, pages 191-204; 及びLevy, S.B., ASM News, 54:418-421 (1988)も参照されたい。これらのテトラサイクリン耐性細胞のこれらの遺伝子決定因子が解明されたために、同じ又は大変よく似た遺伝子が、数多くの異なる好気性及び嫌気性微生物の耐性に関与していることは、広く受け入れられるようになった。
【0056】
従って、本発明の方法は、これに限らないが少なくとも以下の属に利用するのに適していると考えられる。即ち、グラム陰性属、特に、クラスA−Eのテトラサイクリン耐性決定因子を持つエンテロバクテリアセエ、クラスK及びLのテトラサイクリン耐性決定因子を持つストレプトコッカス、スタフィロコッカス、及びバチルス種や、ストレプトコッカス−アガラクティエ、バクテロイド、エンテロコッカス、ガードネレラ及びナイセリア種、マイコプラズマ及びウレアプラズマに代表される、クラスM、O、又はQ決定因子を持つ好気性及び嫌気性微生物、そしてクラスPのテトラサイクリン耐性決定因子を持つ、クロストリジウム、クロストリジウム−パーフリンジェンス、である。
【0057】
テトラサイクリン耐性決定因子の産物の例は、細胞質たんぱくの産物についてはTet M、Tet O及びTet Qたんぱくであり、膜の産物についてはTet A, Tet B, Tet K 及びTet Lである。
【0058】
上に挙げた生物はそれら自体、本発明の方法を用いて治療的に処置することが可能であろう細胞種、細菌種、カビ、寄生生物、及びリケッチア疾患物質の範囲、種類、及び多様性の代表であり、また例示したに過ぎないものであることは認識かつ理解されよう。特定の綱、属、種、又はファミリーの細胞、微生物、又は寄生生物が、本発明の方法による処置から除外される訳ではない。実際のところ、テトラサイクリン耐性に関与する決定因子が将来研究されるにつれ、より多数の異なる細胞が、本発明を用いた効果ある処置に適していると認識されることであろう。加えて、新生物の治療にテトラサイクリンが昨今使用されていることを鑑みると、本方法はこのような治療にも有用であろうと考えられる(van der Bozert et al., Cancer Res., 48:6686-6690 (1988))。
【0059】
上に議論したように、この方法においては、テトラサイクリン耐性細胞には二つの異なる組成が併用的、逐次又は同時に投与される。さらにこの方法は、投与された遮断薬にin situでの優先的結合及び反応が起きることを必要とし、またこれに依拠するものであり、その結果、投与されるもう一方のテトラサイクリン化合物への誘因又は優先性が大きく欠如することを示す。本方法の作用、実用性及び効験は、このように、両クラスの組成を同時に、即ち併用的、逐次又は同時に耐性細胞に導入したときに、テトラサイクリン耐性細胞が一方のクラスの組成を他方に比べて優先するという経験的に実証可能な事実に基づくものである。
【0060】
当該遮断薬と一緒に投与される二番目のテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン自体も含め、現在公知のいかなる「テトラサイクリン型」化合物や、又は投与される遮断薬とは異なるいかなるテトラサイクリン・ファミリーの仲間でもよい。適した化合物は、例えば、Levyの米国特許第5,589,470号など、この特許のコラム8−9に提示された式IIIの化合物を含めて開示されているが、より具体的には、適した化合物には、 テトラサイクリン, オキシテトラサイクリン; クロロテトラサイクリン; デメクロサイクリン; ドキシサイクリン; ケロカルディン; ミノサイクリン; ロリテトラサイクリン; アイムサイクリン(原語:Iymecycline); サンサイクリン, メタサイクリン; アピサイクリン; クロモサイクリン; グアメサイクリン; メグルサイクリン; メピサイクリン;ペニメピサイクリン;ピパサイクリン; エタモサイクリン; 及びペニモサイクリンが含まれる。その他の適した薬剤は Essentials of Medicinal Chemistry, John Wiley and Sons, Inc., 1976, pages 512-517に説かれている。
【0061】
本発明に基づく一つ又はそれ以上の化合物を単独で被験体に投与してもよいが、より典型的には、本発明の一化合物は、従来の賦形剤、即ち非経口投与、経口又はその他の好ましい投与に適した薬学的に容認可能な有機又は無機の担体物質であって、当該有効化合物と有害な反応をせず、かつそのレシピエントにとって有害でないようなものとの混合液中の薬剤組成の一部として投与されることとなる。適した薬学的に容認可能な担体には、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペトロエスラル(原語:petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、等々が含まれる。本薬剤製剤を滅菌してもよく、また必要に応じて、例えば潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳剤、浸透圧に影響を与える塩類、緩衝剤、着色剤、着香料及び/又は芳香剤等々、有効化合物と有害な反応をしないような補助剤と混合してもよい。
【0062】
少なくとも、本発明の化合物の多くは、適宜、例えば薬学的に容認可能な有機又は無機酸、例えば塩酸、硫酸、ヘミ硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、メシレートなど、の塩として、プロトン付加した形及び水溶性形で被験体に投与してもよい。さらに、適切な酸性基が本発明の化合物上に存在する場合、有機又は無機の塩基の薬学的に容認可能な塩を、例えばアンモニウム塩、又は有機アミンの塩、あるいはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩、例えばカリウム、カルシウム又はナトリウム塩など、として、利用することもできる。
【0063】
治療化合物は被験体に対し、様々な経路で本発明に基づいて投与してもよい。局所(経皮、バッカル又は舌下を含む)、及び非経口(腹腔内、皮下、静脈内、皮内又は筋肉内注射を含む)が一般的には好ましい。
【0064】
非経口投与にとって特に適しているのは、溶液、好ましくは油性又は水性の溶液や、懸濁液、乳濁液、又は、座薬を含むインプラントである。治療化合物は、無菌形で、注射剤と一緒に通常用いられる無菌の生理食塩水又は5%のデキストロース食塩水などの流体の担体中に分散させるなどして、複数又は単一の用量形で調合されることとなろう。
【0065】
腸内投与に特に適しているのは、タルク及び/又は炭水化物の担体結着剤等々を有する錠剤、糖衣剤又はカプセルであるが、この担体は好ましくはラクトース及び/又はコーン・スターチ及び/又はいもでんぷんであるとよい。甘味を付けた伝播体を用いる場合にはシロップ、エリキシル等々を利用することができる。有効組成が示差的に分解可能なコーティング、例えばマイクロ封入法、多層コーティングなど、で保護されたようなものを含め、持続放出組成を調合してもよい。
【0066】
局所投与の場合には、本化合物を生理学的に不活性の局所用担体、例えばゲル、軟膏、ローション又はクリームなどに、適宜混合することができる。このような局所用担体には、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、又は鉱油が含まれる。その他で局所用担体に考えられるのは、白色鉱油、イソプロピルパルミテート、ポリエチレングリコール、エタノール95%、ポリオキシエチレンラウリエートの5%水溶液、ラウリル硫酸ナトリウムの5%水溶液、等々である。加えて、抗酸化剤、湿潤剤、粘性安定化剤等々などの材料も、必要に応じて加えてもよい。
【0067】
ヒトの治療に加え、本発明の方法は有意な獣医向け用途、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、等々の家畜類、ニワトリ、アヒル、カモ、七面鳥、等々の家禽類、ウマ、及びイヌ及びネコなどのペットの治療など、を有することであろう。
【0068】
ある治療に置いて用いられる有効化合物の実際の好適な量は、使用しようとする特定の化合物、調合された特定の組成、投与の形態、投与の特定の部位、等々に応じて様々であろうことは理解されよう。ある投与プロトコルにとって最適な投与速度は、前述のガイドラインに関して行われる従来の用量決定テストを用いれば、当業者であれば容易に確認することができる。
【0069】
概略的には、処置のための本発明の化合物は、被験体に対し、従来のテトラサイクリン治療で用いられてきた用量で投与することができる。例えば、Physicians' Desk Referenceを参照されたい。例えば、本発明の一つ又はそれ以上の化合物の適した効果的な用量は、一日当たり、レシピエントの体重1キログラム当たり0.01から100ミリグラムまでの範囲、好ましくは一日当たり、レシピエントの体重1キログラム当たり0.1から50ミリグラムまでの範囲、より好ましくは一日当たり、レシピエントの体重1キログラム当たり1から20ミリグラムまでの範囲内であるであろう。必要な用量は、適宜、毎日一回投与されるが、又は、例えば2から5の小分けした用量など、複数の用量を、一日かけて適当な間隔で投与するか、又はその他の適したスケジュールで投与する。
【0070】
本発明の化合物を遮断薬として用い、別のテトラサイクリン化合物と関連させて投与するような本発明の特定の方法に置いては、遮断薬(即ち本発明の化合物)の、他方のテトラサイクリン化合物に対する大体のモル比は、約0.01:100、そして好ましくは0.05:2.0が適切であろう。遮断薬は、約1,000μg/mlのMICレベルを超える濃度で投与し、他方の、即ち二番目のテトラサイクリン化合物は、ヒト又はその他の動物の感染又は疾患の効果的な治療的処置に用いられる従来の慣例に従って投与することが好ましい。例えばPhysicians' Desk Referenceを参照されたい。
【0071】
さらに、テトラサイクリンの投与に関して、通常の使用環境下でのそれらの効験を確実に得るためには通常の従来公知の注意が払われることは理解されよう。ヒト及び動物の生体内における治療的処置に利用する場合には、特に、開業医は従来公知の矛盾及び有毒作用を避けるよう、可能な限りあらゆる注意を払わねばならない。このように、従来認識されてきた、胃腸管の問題及び炎症、腎毒性、過敏症、血液における変化、及びアルミニウム、カルシウム、及びマンガンイオンを通じた吸収障害の副作用を、従来の態様で正しく考慮しなくてはならない。
【0072】
以下の例により本発明の実例をさらに挙げることとする。これらの例は、本発明の理解の一助として提供されるものであり、その限定であると見なされてはならない。
【0073】
例 1
6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン
ドキシサイクリンの5-エステルを公知の手法に基づき調製した。このように、ドキシサイクリン(500mg、1mモル)を低温の無水HF(25mL)に0℃で溶解させた。これにプロピオン酸(4mL、3.97g、54mモル)を加えた。その結果できた混合液を一晩、室温で放置した。HFを、定常流の窒素下において蒸発させ、残渣をメタノールに溶解させた。溶液を真空内で乾燥させて黄色の粗固体を生成した。この固体を活性炭(2g)で処置し、濾過し、C18逆相カラムクロマトグラフィにかけた。本化合物を含有する画分の分離液をプールし、ブタノール層をブリンで一回、及び蒸留水で二回洗浄して、本化合物を黄色の生成物として得た。
MS(FAB: m/z 501).
【0074】
例 2
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン
ドキシサイクリンを1mLのt-ブタノール及び2mLのメタンスルホン酸に溶解させた。この溶液を一晩、室温で攪拌した。この反応混合液を氷水(50mL)に注ぎ込み、pHを希釈NaOHで5.5にし、沈殿物を濾過により採集した。粗固体をCHClに抽出し、NaSOで処置し、濾過し、溶媒を真空内で除去した。C18逆相調整用カラムクロマトグラフィ、引き続いてブタノールへの抽出を行って黄色の固体を得た。ブタノール層をブリンで一回、及び蒸留水で二回洗浄した。真空内での濃縮の結果、9-t-ブチルドキシサイクリンを黄色の固体として得た。本化合物を、飽和するまでメタノール及び気泡気体のHCl中に溶解させてHCl塩を生成した。溶媒を除去すると黄色の結晶が生じた。
MS(FAB:m/z 501)
【0075】
例 3
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン
上記例1の生成物(100mg、2mモル)を1mlのt-ブタノール及び2mLのメタンスルホン酸中に溶解させた。この溶液を一晩、室温で攪拌した。この反応混合液を氷水(50mL)に注ぎ込み、pHを希釈NaOHで5.5にし、沈殿物を濾過により採集した。この固体を上記の例2と同様に精製すると、HCl塩は黄色の固体を生じた。
MS(FAB:m/z 557).
【0076】
例 4
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-シクロブタニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン
(シクロブタン酸をカルボン酸として用いて)例1と同様に生成した生成物(100mg、2mモル)を1mlのt-ブタノール及び2mLのメタンスルホン酸に溶解させた。この溶液を一晩、室温で攪拌した。この反応混合液を氷水(50mL)に注ぎ込み、pHを希釈NaOHで5.5にし、沈殿物を濾過により採集した。この固体を上記の例2と同様に精製すると、HCl塩は黄色の固体を生じた。 MS(FAB:m/z 582)
【0077】
例 5
9-(クロロ-t-ブチル)-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン
ドキシサイクリン(400mg、9mモル)を3mLの1-クロロ-2-メチル-2-プロパノール又は2-メチル-1-クロロプロペン及び4mLのメタンスルホン酸に溶解させた。この溶液を45℃まで窒素雰囲気下で30時間、加熱した。この反応混合液を氷水(50mL)に注ぎ込み、pHを希釈NaOHで5.5にし、沈殿物を濾過により採集した。粗固体をCHClに抽出し、NaSOで処置し、濾過し、溶媒を真空内で除去した。C18逆相調整用カラムクロマトグラフィ、引き続いてブタノールへの抽出を行って黄色の固体を得た。ブタノール層をブリンで一回、及び蒸留水で二回洗浄した。 真空内で濃縮して、9-(クロロ-t-ブチル) ドキシサイクリンを黄色の固体として生成した。
MS(FAB:m/z M+H 535, M+2, 537)
【0078】
例 6
9-[(ピペリジノ)t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン
上記の例5の生成物(100mg、0.2mモル)を1-メチル-2ピロリジノン及び2等量のピペリジン(14.8μl)に溶解させ、窒素下で30分間、攪拌した。溶媒を真空内で除去し、残渣をメタノールに溶解させた。この残渣をジエチルエーテルで沈殿させ、濾過し、固体を採集した。当該化合物を黄色のガラスのようにC18逆相カラムクロマトグラフィにより得た。 MS(FAB:m/z M+H 584)
【0079】
例 7
9-[(ジメチルアミン)t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン
上記の例5の生成物(100mg、0.2mモル)を1 -メチル-2ピロリジノン及び2等量のジメチルアミン(14.8μl)に溶解させ、窒素下で30分間、攪拌した。溶媒を真空内で除去し、残渣をメタノールに溶解させた。この残渣をジエチルエーテルで沈殿させ、濾過し、固体を採集した。当該化合物を黄色のガラスのようにC18逆相カラムクロマトグラフィにより得た。
MS(FAB:m/z M+H 544)
【0080】
例 8
9-(クロロ)t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン
上記の例1の生成物(100mg、0.2mモル)を2mLの2 -メチル-1クロロプロペン及び2mLのメタンスルホン酸に溶解させた。この溶液を45℃まで窒素雰囲気下で10時間、加熱した。この反応混合液を氷水(10mL)に注ぎ込み、pHを希釈NaOHで5.5にし、沈殿物を濾過により採集した。粗固体をCHClに抽出し、NaSOで処置し、濾過し、溶媒を真空内で除去した。C18逆相調整用カラムクロマトグラフィ、引き続いてブタノールへの抽出を行って黄色の固体を得た。ブタノール層をブリンで一回、及び蒸留水で二回洗浄した。 真空内で濃縮して9-(クロロ)-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ−テトラサイクリンを黄色の固体として生成した。
【0081】
例 9
9-(ピペリジノ)t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン
上記の例7の生成物(100mg、0.2mモル)を1-メチル-2ピロリジノン及び2等量のピペリジン(14.8μl)に溶解させ、窒素下で30分間、攪拌した。溶媒を真空内で除去し、残渣をメタノールに溶解させた。この残渣をジエチルエーテルで沈殿させ、濾過し、固体を採集した。当該化合物を黄色のガラスのようにC18逆相カラムクロマトグラフィにより得た。
【0082】
例 10
本発明の化合物の阻止作用を、ドキシサイクリンに関して、テトラサイクリン感受性及びテトラサイクリン耐性のE.コリ、S.アウレウス及びE.フェカーリス株を用いて、以下の表に示すように調べた。これらの実験を行うための概略的プロトコルは以下の通りである。培養液をLブロス中で、一晩の培養後の午前中に成長させた。4から6時間の成長後、各細菌培養液を、株に応じてA530で0.2から0.5になるまで希釈した(E.コリ、0.5;S.アウレウス、0.4;E.フェカーリス、0.2)。1mlのLブロス、及び異なる濃度のテスト化合物を容れた個々の試験管に異なる細菌培養液を接種した後、37℃でインキュベートした。17から18時間のインキュベーション後、白濁の見られないテスト化合物の濃度を最小阻止濃度(MIC)と呼んだ。得られた結果を下の表2及び3に示すが、MIC値はμg/mlで表され、テスト化合物の下のコラムに提示されている。
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
本発明に基づく更なる化合物を以下のように作製し、評価した。
【0086】
例 11
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-t-ブチル-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
0.100gの塩酸ドキシサイクリンを2mlのメタンスルホン酸に溶かした室温の溶液に、1mlのtブチルアルコールを加える。この反応液を18時間、周囲雰囲気下で攪拌する。次にこの混合液を40mlの氷水に注ぎ込み、その結果得られた固体をクロロホルムで抽出して乾燥させ、80mgの所望の生成物を黄色のガラスのように得る。
MS(FAB): m/z 501 (M+H).
1H NMR (CD3OD): δ 7.50(d,1H,J=8.07Hz,H-8); 6.86(d,1H,J=8.07Hz,H-7); 4.44(bs,1H,H-4); 3.62(dd,1H, J=11.42 ; 8.35 Hz,H-5); 2.95(bs,6H, NMe2); 2.81(d,1H,J=11.45Hz, H-4a); 2.71(dq, 1H, J=12.41; 6.5 Hz, H-6); 2.53(dd,1H, J=12.23;8.20 Hz, H-5a); 1.51(d, 3H, J=6.78 Hz, CH3); 1.41(bs, 9H, CMe3).
【0087】
例 12
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-プロピオニル-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-t-ブチル-6-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシテトラサイクリン)
0.1gのドキシサイクリンを容れたポリプロピレン製試験管に1mlのプロピオン酸を過剰に加える。この溶液を攪拌し、ドライアイスで10分間冷却した後、2mlの無水フッ化水素酸を注意深く加えた。90分後、この酸を蒸発させてエステルを黄色のガラスのように生成させる。このエステルを更なる精製なしに用いて、例11の手法に基づき、標題の化合物を調製する。このように、0.1gのエステルを2mlのメタンスルホン酸に溶解させ、1mlのtブチルアルコールを加える。この反応液を室温及び周囲雰囲気下で18時間攪拌した後、氷の上に注いでクロロホルムで抽出する。この抽出液を乾燥させて所望の生成物を黄色のガラスのように生成させる。
MS(FAB): m/z 557 (M+H)
1H NMR (CD3OD): d 7.54(d,1H,J=8.08Hz,H-8); 6.88(d,1H,J=8.08Hz,H-7); 5.16(dd, J=10.44;7.94 Hz, H-5); 4.44(bs,1H,H-4); 3.74(d, 1H, J=2.07 Hz, H-4); 3.04(bs,6H, NMe2); 2.90(dd,1H,J=7.94;2.07 Hz, H-4a); 2.72(dq, 1H, J=12.31; 6.56 Hz, H-6); 2.61(dd,1H, J=12.31;10.44 Hz, H-5a); 2.54(q, 2H, J=7.48 Hz, CH2-C); 1.44(bs, 9H, CMe3); 1.29(d, 3H, J=6.56 Hz, CH3); 1.20(t, 3H, J=7.48 Hz, C-CH3).
【0088】
例 13
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-アセチルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-t-ブチル-6-デオキシ-5-アセチルカルボニルオキシテトラサイクリン)
0.2gのドキシサイクリンを容れたポリプロピレン製試験管に2mlの氷酢酸を過剰に加える。この溶液を攪拌し、ドライアイスで10時間冷却した後、5mlの無水フッ化水素酸を注意深く加える。24分後、この酸を窒素の緩流下において蒸発させて5-エステルを黄色のガラスのように生成させる。このエステルを更なる精製なしに用いて、例11の手法に基づき、標題の化合物を調製する。このように、0.1gのエステルを2mlのメタンスルホン酸に溶解させ、1mlのtブチルアルコールを加える。この反応液を室温及び周囲雰囲気下で18時間攪拌した後、氷の上に注いでクロロホルムで抽出する。この抽出液を乾燥させ、残渣を調整用HPLCにかけて所望の生成物を黄色のガラスのように得る。
MS(FAB): m/z 543 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.55(d,1H,J=8.08Hz,H-8); 6.86(d,1H,J=8.08Hz,H-7); 5.13(dd, J=10.44;7.94 Hz, H-5); 4.41(bs,1H,H-4); 3.72(d, 1H, J=2.07 Hz, H-4); 3.04(bs,6H, NCH3); 2.90(dd,1H,J=7.94;2.07 Hz, H-4a); 2.70(dq, 1H, J=12.31; 6.56 Hz, H-6); 2.61(dd,1H, J=12.31;10.44 Hz, H-5a); 2.2(m, 6H, J=7.48 Hz, アセチル); 1.44(bs, 9H, C(CH3)3); 1.29(d, 3H, J=6.56 Hz, CH3); 1.20(t, 3H, J=7.48 Hz, C-CH3).
【0089】
例 14
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-シクロブチルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-t-ブチル-6-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシテトラサイクリン)
0.1gのドキシサイクリンを容れたポリプロピレン製試験管に2mlのシクロブタンカルボン酸を過剰に加える。この溶液を攪拌し、ドライアイスで10分間冷却した後、15mlの無水フッ化水素酸を注意深く加える。24時間後、この酸を窒素の緩流下において蒸発させて5-エステルを黄色のガラスのように生成させる。このエステルを更なる精製なしに用いて、例11の手法に基づき、標題の化合物を調製する。このように、0.1gのエステルを2mlのメタンスルホン酸に溶解させ、1mlのtブチルアルコールを加える。この反応液を室温及び周囲雰囲気下で18時間攪拌した後、氷の上に注いでクロロホルムで抽出する。この抽出液を乾燥させ、残渣を調整用HPLCにかけて所望の生成物を黄色のガラスのように得る。
MS(FAB): m/z 583 (M+H)
1H NMR (CD3OD): d 7.43 (d,1H,J=8.08Hz,H-8); 6.84(d,1H,J=8.08Hz,H-7); 5.09(dd, J=10.44; 7.94 Hz, H-5); 4.39(bs,1H,H-4); 3.80(d, 1H, J=2.07 Hz, H-4); 2.98 (bs,6H, NCH3); 2.91(dd,1H,J=7.94;2.07 Hz, H-4a); 2.70(dq, 1H, J=12.31; 6.56 Hz, H-6); 2.60(dd,1H, J=12.31;10.44 Hz, H-5a); 2.6-2.7(m, 6H, J=7.48 Hz, CH2-C); 1.44(bs, 9H, C(CH3)3); 1.29(d, 3H, J=6.56 Hz, CH3); 1.20(t, 3H, J=7.48 Hz, C-CH3).
【0090】
例 15
9-アルキル置換ドキシサイクリン誘導体の調製のための概略的手法: 0.1gの塩酸ドキシサイクリンを1mlのメタンスルホン酸及び10滴のヘキサメタリン酸(HMPA)に溶かした溶液に過剰な対応する第三級アルコールを加えた。この反応混合液を一晩、室温で攪拌した後、氷水を加えた。この混合液を希釈HaOH溶液で滴定してこの溶液のpHを4から5に調節し、酢酸エチルで抽出した。この有機抽出液を、調整用HPLCで分離して所望の生成物を黄色の固体として得た。[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
MS(FAB): m/z 541 (M+H)
1H NMR (CD3OD): d 7.55(d, 1H, J=8.16Hz, H-8); 6.93(d, 1H, J=8.16Hz, H-7); 4.45(bs, 1H, H-4); 3.58(dd, 1H, J=11.42; 8.35Hz, H-5); 2.99, 2.97(それぞれs, それぞれ3H, NMe2); 2.83(d, 1H, J=11.61Hz, H-4a); 2.75(m, 1H, H-6); 2.60(m, 1H, H-5a); 2.38, 2.06(それぞれ t, それぞれ 2H, J=8.10Hz, CH2-2' 及び(CH2-6'); 1.55(d, 3H, J=6.51Hz, CH3-C6); 1.70-1.51(m, 6H, CH2-3', CH2-4', 及びCH2-5'); 1.49(s, 3H, CH3-C1').
【0091】
例 16
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
MS(FAB): m/z 527 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.44(d, 1H, J=7.67Hz, H-8); 6.83(d, 1H, J=7.67Hz, H-7); 4.46(bs, 1H, H-4); 3.54(dd, 1H, J=11.42; 8.35Hz, H-5); 2.99, 2.91(それぞれ s, それぞれ3H, NMe2); 2.80(d, 1H, J=11.31Hz, H-4a); 2.66(m, 1H, H-6); 2.56(dd, 1H, J=11.42, 8.25Hz, H-5a); 1.94(m, 4H, CH2-2' 及び CH2-5'); 1.74(m, 4H, CH2-3' 及び CH2-4'); 1.50(d, 3H, J=6.51Hz, CH3-C6); 1.29(bs, 3H, CH3-C1').
【0092】
例 17
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
メチレンシクロブタンを用い、反応時間を5時間に減らした。
MS(FAB): m/z 513 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.23(d, 1H, J=7.71Hz, H-8); 6.87(d, 1H, J=7.71Hz, H-7); 4.46(bs, 1H, H-4); 3.54(dd, 1H, J=11.42; 8.35Hz, H-5); 2.98, 2.92(それぞれ s, それぞれ 3H, NMe2); 2.81(d, 1H, J=11.13Hz, H-4a); 2.72(m, 1H, H-6); 2.59(dd, 1H, J=11.42, 8.25Hz, H-5a); 2.40(m, 2H, CH2-3'); 2.13(m, 4H, CH2-2' 及び CH2-4'); 1.53(bs, 3H, CH3-C1'); 1.51(d, 3H, J=6.51Hz, CH3-C6).
【0093】
例 18
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
反応をHMPAなしで行わせた。
MS(FAB): m/z 529 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.41(d, 1H, J=8.11Hz, H-8); 6.85(d, 1H, J=8.11Hz, H-7); 3.96(bs, 1H, H-4); 3.64(dd, 1H, J=11.42; 8.35Hz, H-5); 2.78(bs, 6H, NMe2); 2.73(d, 1H, J=11.45Hz, H-4a); 2.51(m, 2H, H-6 及びH-5a); 1.86(t, 2H, J=8.22Hz, CH2-3'); 1.51(d, 3H, J=6.78 Hz, CH3-C6); 1.38(m, 2H, CH2-4'); 1.36, 1.28(それぞれ s, それぞれ 3H, CH3-1' 及び CH3-C2'); 0.82(t, 3H, J=7.17Hz, CH3-5').
【0094】
例 19
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
反応をHMPAあり及びなしで行わせた。
MS(FAB): m/z 607 (M+H) 及び 609 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.42(d, 1H, J=8.00Hz, H-8); 6.87(d, 1H, J=8.00Hz, H-7); 3.98(bs, 1H, H-4); 3.67(dd, 1H, J=11.42; 8.35Hz, H-5); 3.54(t, 2H, J=7.20Hz, CH2-1'); 2.79(bs, 6H, NMe2); 2.74(d, 1H, J=11.45Hz, H-4a); 2.50(m, 2H, H-6 and H-5a); 2.03(m, 2H, CH2-2'); 1.51(d, 3H, J=6.71 Hz, CH3-C6); 1.41(m, 2H, CH2-3'); 1.38(s, 6H, CH3-5' 及び CH3-C4').
【0095】
例 20
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
例10の生成物50mgを1mlの1-メチル-2-ピロリジノンに溶かした溶液に、3等量のジメチルアミン(2.0Mのメタノール溶液)を加えた。この混合液を3時間、室温でN下で攪拌した後、これを50mlのジエチルエーテルに滴下した。その結果生じた黄色の固体を採集し、調整用HPLCで精製して所望の生成物を黄色の固体として得た。MS(FAB): m/z 572 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.51(d, 1H, J=7.95Hz, H-8); 6.92(d, 1H, J=7.95Hz, H-7); 4.41(bs, 1H, H-4); 3.65(m, 1H, H-5); 3.72(t, 2H, J=6.62Hz, CH2-1'); 2.94(bs, 6H, NMe2-4); 2.78(bs, 6H, NMe2-1'); 1.53(d, 3H, J=6.71 Hz, CH3-C6); 1.38(s, 6H, CH3-5'及びCH3-C4').
【0096】
例 21
[4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
例10の生成物50mgを1mlの1-メチル-2-ピロリジノンに溶かした溶液に、3等量のピロリジンを加えた。この混合液を3時間、室温でN下で攪拌した後、これを50mlの低温のジエチルエーテルに滴下した。その結果生じた黄色の固体を採集し、調整用HPLCで精製して所望の生成物を黄色の固体として得た。
MS(FAB): m/z 598 (M+H).
【0097】
例 22
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-シアノ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[4'-(1'-シアノ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
例10の生成物50mgを1mlのDMSOに溶かした溶液に、3等量のシアン化ナトリウムを加えた。この混合液を3時間、室温でN下で攪拌した後、5mlのメタノールを加え、調整用HPLCで精製して所望の生成物を茶色がかった黄色の固体として得た。
MS(FAB): m/z 554 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.47(d, 1H, J=8.14Hz, H-8); 6.90(d, 1H, J=8.14Hz, H-7); 4.43(bs, 1H, H-4); 3.54(m, 1H, H-5); 2.98, 2.91(それぞれ s, それぞれ 3H, NMe2); 2.82(d, 1H, J=11.45Hz, H-4a); 2.69(dq, 1H, J=12.23, 6.70Hz, H-6); 2.55(dd, 1H, J=12.23, 8.20Hz, H-5a); 2.31(t, 2H, J=6.95Hz, CH2-1'); 2.05(m, 2H, CH2-2'); 1.53(d, 3H, J=6.70 Hz, CH3-C6); 1.50(m, 2H, CH2-3'); 1.41(s, 6H, CH3-5' 及び CH3-C4').
【0098】
例 23
[4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ニトロ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ニトロ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
例10の生成物50mgを1mlのDMSOに溶かした溶液に、3等量の亜硝酸ナトリウムを加えた。この混合液を3時間、室温でN下で攪拌した後、5mlのメタノールを加え、調整用HPLCで精製して所望の生成物を茶色がかった黄色の固体として得た。
MS(FAB): m/z 574 (M+H).
1H NMR (CD3OD): d 7.50(d, 1H, J=7.19Hz, H-8); 6.92(d, 1H, J=7.19Hz, H-7); 4.46(bs, 1H, H-4); 4.36(t, 2H, J=6.95Hz, CH2-1'); 3.61(m, 1H, H-5); 2.98(bs, 6H, NMe2); 2.85-2.77(m, 2H, H-4a 及びH-6); 2.62(m, 1H, H-5a); 2.00(m, 2H, CH2-2'); 1.56(d, 3H, J=6.70 Hz, CH3-C6); 1.49(m, 2H, CH2-3'); 1.43(s, 6H, CH3-5' 及びCH3-C4').
【0099】
例 24
[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
例10の生成物50mgを1mlのHMPAに溶かした溶液に、3等量の酢酸ナトリウムを加えた。この混合液を3時間、室温でN下で攪拌した後、5mlのメタノールを加え、調整用HPLCで精製して所望の生成物を茶色がかった黄色の固体として得た。
1H NMR (CD3OD): d 7.46(d, 1H, J=8.04 Hz, H-8); 6.89(d, 1H, J=8.04 Hz, H-7); 4.43(bs, 1H, H-4); 3.63(m, 1H, H-5); 3.45 (t, 2H, J=6.72Hz, CH2-1'); 2.98, 2.91(それぞれ s, それぞれ 3H, NMe2); 2.78(d, 1H, J=11.45Hz, H-4a); 2.72(dq, 1H, J=12.41, 6.79Hz, H-6); 2.58(dd, 1H, J=12.41, 8.20Hz, H-5a); 2.05(m, 2H, CH2-2'); 1.52(d, 3H, J=6.79 Hz, CH3-C6); 1.42(m, 2H, CH2-3'); 1.40(s, 6H, CH3-5' 及びCH3-C4')
【0100】
生物活性
試験管内評価の方法
(表4)
最小阻止濃度、つまり、細菌成長を、それらの適切な温度で18時間目の時点で阻害する薬剤の最低濃度、をミュラー−ヒントン培地を用いたブロス希釈液で判定する。このミュラー−ヒントンブロスを適宜陽イオン調節し、Waitz, J.A., National Commision for Clinical Laboratory Standards Document M7-A2, vol.10, no. 8, pp.13-20, 2nd edition, Villanova, PA (1990)に説かれたようにすべての細菌学的方法を行った。テストを行った生物は、テトラサイクリンに感受性であるか、又は、テトラサイクリンを排出できる能力のために、又はリボソーム防御機構による耐性を得たことでテトラサイクリン耐性となった、グラム陽性細菌種及びグラム陰性細菌種の代表である。用いた臨床株は、テトラサイクリンに感受性であるか、又は薬剤外向きフラックス又はリボソーム防御によりそれらに耐性である。
化合物の説明
化合物 名称
ドキシサイクリン [4S-(4アルファ,12aアルファ)]- 4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a- ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
A [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
B [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(tert-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-プロピオニルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシテトラサイクリン)
C [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(tert-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-アセチルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-アセチルカルボニルオキシテトラサイクリン)
D [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-シクロブチルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-t-ブチル-6-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシテトラサイクリン)
E [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
F [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
G [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
H [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
I [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
J [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
K [4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
L [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-シアノ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[4'-(1'-シアノ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
M [4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ニトロ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[4'-(1'-ニトロ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)
N [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド
(9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン)

【0101】
等価物
当業者であれば、ごく通常の実験を利用すれば、ここに説明した特定の手法の等価物を数多く認識し、又は確認できることであろう。このような等価物は本発明の範囲内にあるとみなされ、また以下の請求の範囲の包含するところである。本出願を通じて引用された全参考文献、発行済特許、及び公開済特許出願の内容は、参考としてここに編入されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5,9-置換テトラサイクリン。
【請求項2】
以下の式I:

の化合物であって、ただしこのとき
Rはアルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
は アルカノイル; アロイル; アルカロイル; 炭素環アリール, ヘテロ芳香族, アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
Zは水素, アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; アリアルキル, 炭素環 アリール, ヘテロ脂環式又はヘテロ芳香族の基、及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、
化合物。
【請求項3】
5-プロピオネート-9-t-ブチル ドキシサイクリン;
9-クロロ-t-ブチル-5-プロピオネート ドキシサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-5-オキシテトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5 -ホルミルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-アセトキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5 -フェニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5 -ベンジルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5 -ジメチルアミノカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-シクロペンチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5 -シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5 -シクロヘプチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-(クロロ-t-ブチル)-6-アルファ-デオキシ-5 -オキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン;
9-(アミノ)-t-ブチル-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン;
9-[(ピペリジノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジエチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジプロピルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-オキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5 -アセトキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-フェニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル] -6-アルファ-デオキシ-5-ベンジルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5 -ジメチルアミノカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロペンチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン; 又は
9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘプチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン、及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rが1から約20個の炭素原子を有するアルキル;2から約20個の炭素原子を有するアルケニル、2から約20個の炭素原子を有するアルキニル、1から約20個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルアミノ、又はアリアルキルであり、
が1から約20個の炭素原子を有するアルキル;2から約20個の炭素原子を有するアルケニル、2から約20個の炭素原子を有するアルキニル、1から約20個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルアミノ、又はアリアルキル;1から約20個の炭素原子を有するアルカノイル、アロイル、アルカロイル、炭素環アリール、ヘテロ芳香族、であり、
Zは、水素、1から約20個の炭素原子を有するアルキル;2から約20個の炭素原子を有するアルケニル、2から約20個の炭素原子を有するアルキニル、1から約20個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルアミノ、アリアルキル、炭素環アリール、又は一個のヘテロ脂環式の基である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Rが1から約12個の炭素原子を有するアルキル;2から約12個の炭素原子を有するアルケニル、2から約12個の炭素原子を有するアルキニル、1から約12個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約12個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約12個の炭素原子を有するアルキルアミノ、又はベンジルであり、
が1から約12個の炭素原子を有するアルキル;2から約12個の炭素原子を有するアルケニル、2から約12個の炭素原子を有するアルキニル、1から約12個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約12個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約12個の炭素原子を有するアルキルアミノ、ベンジル、アロイル、アルカロイル、炭素環アリール、ヘテロ芳香族、であり、そしてZが水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
R及び/又はRがt-ブチル; クロロ-t-ブチル; (ジメチルアミノ)-t-ブチル; プロピオネート; ピペリジノエチル; ホルミルオキシ; アセトキシ; プロピオニルオキシ; フェニルカルボニルオキシ; ベンジルカルボニルオキシ; ピペリジノ; アミノ; ジエチルアミノ; ジプロピルアミノ; アセチルカルボニルオキシ; プロピオニルカルボニルオキシ; フェニルカルボニルオキシ; ベンジルカルボニルオキシ; ジメチルアミノカルボニルオキシ; シクロペンチルカルボニルオキシ; シクロブチルカルボニルオキシ; シクロヘキシルカルボニルオキシ; シクロヘプチルカルボニルオキシのうちのいずれかから選択され、Zが水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が5-プロピオネート-9-t-ブチルドキシサイクリン; 9-t-ブチル-6-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシテトラサイクリン, 9-t-ブチル-6-デオキシ-5-アセチルカルボニルオキシテトラサイクリン、9-t-ブチル-6-デオキシ-5-シクロブチルカルボニルオキシテトラサイクリン, 及び薬学的に容認可能なこれらの塩のうちのいずれかから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
9,13-置換テトラサイクリン化合物。
【請求項9】
以下、式II:

の化合物であって、
Rがアルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
が水素, ヒドロキシ, アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
X及びYはそれぞれ個別に水素; ハロゲン; ヒドロキシル; シアノ, スルフヒドリル; アミノ; アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
Zは水素、アルキル、アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; アリアルキル, 炭素環 アリール, ヘテロ脂環式又はヘテロ芳香族の基であり、及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-メチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-エチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-プロピルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-イソプロピルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-ブチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-イソブチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-ペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-イソペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-シクロブチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-シクロヘキシルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-フェニルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-(3,4-ジクロロフェニル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-ベンジルチオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-(4-クロロベンジル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-(3,4-ジクロロベンジル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-(4-メトキシベンジル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン;
13-(2,3-ジヒドロキシプロピル)チオ-9-t-ブチル-5-オキシ-テトラサイクリン; 及び
5-プロピオネート- 13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル オキシテトラサイクリン;
5-プロピオネート- 13-シクロペンチルチオ-9-ピペリジノエチル オキシテトラサイクリン;
及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
5,9,13-置換テトラサイクリン。
【請求項12】
以下、式III:

化合物であって、
Rがアルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
がアルカノイル; アロイル;アルカロイル; 炭素環 アリール, ヘテロ芳香族, アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又はベンジルなどの一個のアリアルキルであり、
X及びYはそれぞれ個別に水素; ハロゲン; ヒドロキシル; シアノ, スルフヒドリル; アミノ; アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
Zは水素、アルキル、アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; アリアルキル, 炭素環 アリール, ヘテロ脂環式又はヘテロ芳香族の基であり、及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン;
13-メチルチオ-9-t-ブチル-5-アセトキシ-テトラサイクリン;
13-エチルチオ-9-t-ブチル-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-プロピルチオ-9-t-ブチル-5-ブタニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-イソプロピルチオ-9-t-ブチル-5-シクロペンチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-ブチルチオ-9-t-ブチル-5-シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-イソブチルチオ-9-t-ブチル-5-シクロヘプチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-ペンチルチオ-9-t-ブチル-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン;
13-イソペンチルチオ-9-t-ブチル-5-アセトキシ-テトラサイクリン;
13-シクロブチルチオ-9-t-ブチル-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-t-ブチル-5-シクロペンタニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロヘキシルチオ-9-t-ブチル-5-シクロヘキシルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-フェニルチオ-9-t-ブチル-5-フェニルアセチルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ホルミルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-アセトキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-プロピオニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-フェニルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5 -ベンジルカルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-ジメチルアミノ カルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロペンチル
カルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロブチル
カルボニルオキシ-テトラサイクリン;
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-S-シクロヘキシル カルボニルオキシ-テトラサイクリン; 又は
13-シクロペンチルチオ-9-[(ジメチルアミノ)-t-ブチル]-6-アルファ-デオキシ-5-シクロヘプチル カルボニルオキシ-テトラサイクリン; 及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
以下、式IV:

の化合物であって、
が、アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; 又は一個のアリアルキルであり、
Zが水素, アルキル; アルケニル; アルキニル; アルコキシ; アルキルチオ; アルキルスルフィニル; アルキルスルフォニル; アルキルアミノ; アリアルキル, 炭素環 アリール, ヘテロ脂環式 又はヘテロ芳香族の基であり、及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、化合物。
【請求項15】
9-t-ブチル テトラサイクリン;
9-t-ブチル アンヒドロテトラサイクリン;
9-t-ブチル ミノサイクリン; 及び薬学的に容認可能なこれらの塩である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が1から約20個の炭素原子を有するアルキル;2から約20個の炭素原子を有するアルケニル、2から約20個の炭素原子を有するアルキニル、1から約20個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルアミノ、又はアリアルキルであり、
Zが、水素、1から約20個の炭素原子を有するアルキル;2から約20個の炭素原子を有するアルケニル、2から約20個の炭素原子を有するアルキニル、1から約20個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約20個の炭素原子を有するアルキルアミノ、アリアルキル、炭素環アリール、又は一個のヘテロ脂環式の基である、
請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
が1から約12個の炭素原子を有するアルキル;2から約12個の炭素原子を有するアルケニル、2から約12個の炭素原子を有するアルキニル、1から約12個の炭素原子を有するアルコキシ、1から約12個の炭素原子を有するアルキルチオ、1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、1から約12個の炭素原子を有するアルキルスルホニル、1から約12個の炭素原子を有するアルキルアミノ、又はベンジルであり、そしてZが水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
がt-ブチル; クロロ-t-ブチル; (ジメチルアミノ)-t-ブチル; メチルシクロヘキシル; メチルシクロブチル; メチルペンチル; ブロモメチルペンチル; ニトロメチルペンチル; 及び アセトキシメチルペンチルのうちのいずれかから選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が、[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド (9-t-ブチル-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン,[4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-(t-ブチル)-4-(ジメチルアミノ)-5-プロピオニルカルボニルオキシ-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド( [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[1'-(1'-メチル)シクロヘキシル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[1'-(1'-メチル)シクロペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[1'-(1'-メチル)シクロブチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[2'-(2'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ブロモ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ジメチルアミノ-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ピロリジニル-4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-シアノ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-シアノ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12a-アルファ)]-9-[4'-(1'-ニトロ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-ニトロ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン, [4S-(4アルファ,12aアルファ)]-9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-4-(ジメチルアミノ)-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-3,5,10,12,12a-ペンタヒドロキシ-6-メチル-1,11-ジオキソ-2-ナフタセンカルボキサミド(9-[4'-(1'-アセトキシ -4'-メチル)ペンチル]-6-デオキシ-5-ヒドロキシテトラサイクリン); 9-t-ブチル テトラサイクリン; 9-t-ブチル アンヒドロテトラサイクリン; 9-t-ブチル ミノサイクリン; 及び薬学的に容認可能なこれらの塩、のうちのいずれかから選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1乃至19のうちのいずれかの化合物を微生物に投与するステップを含む、標的の微生物に対して処置をする方法。
【請求項21】
請求項1乃至19のうちのいずれかの化合物を細菌に投与するステップを含む、細菌に対して処置をする方法。
【請求項22】
請求項1乃至19のうちのいずれかの化合物を、微生物感染、又はそれに関連する疾患に苦しむ又は感受性のあるほ乳類に投与するステップを含む、前記ほ乳類に対して処置を行う方法。
【請求項23】
請求項1乃至19のうちのいずれかの化合物を、細菌感染した又は細菌感染に感受性のあるほ乳類に投与するステップを含む、前記ほ乳類に対して処置を行う方法。
【請求項24】
前記ほ乳類がヒトである、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記微生物又は細菌がテトラサイクリン感受性である、請求項20乃至22のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記微生物又は細菌がテトラサイクリン耐性である、請求項20乃至22のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記細菌がE.コリ、S.アウレウス又はE.フェカーリスである、請求項20乃至26のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項28】
テトラサイクリン耐性細菌をテトラサイクリン耐性細菌に変換する方法であって、
a)耐性細菌を、所定量の、請求項1乃至11のうちのいずれかに記載の化合物に接触させるステップと、
b)と同時に、細菌に対し、ステップa)の化合物とは異なるテトラサイクリン型化合物を所定量、投与するステップと
を含む方法。
【請求項29】
請求項1乃至19のうちのいずれかに記載の薬剤組成。



【公開番号】特開2009−292828(P2009−292828A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180386(P2009−180386)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願2000−528288(P2000−528288)の分割
【原出願日】平成11年1月22日(1999.1.22)
【出願人】(500155268)トルスティーズ オブ トゥフツ カレッジ (3)
【Fターム(参考)】