薬液容器
【課題】小さな子供が容易に開封できない薬液容器の提供。
【解決手段】薬液2が収容される中空状の収容部3が板状部4に形成されている。蓋部7は、首部6を介して収容部3に連接されている。摘み部8は、蓋部7に取り囲むように連接されていると共に、左右の下端部がそれぞれ、薄肉部17を介して、板状部4および首部6に破断可能に連接されている。規制部9は、摘み部8を取り囲む逆U字状とされ、摘み部8に薄肉部21を介して破断可能に連接されていると共に、左右の下端部がそれぞれ板状部4の段部10に連接されている。規制部9は、左右方向中央部に形成された薄肉部18に沿って、左右一対の板片19,19に分離可能とされている。各板片19を左右方向へ互いに離隔するように引っ張ることで、薄肉部18に沿って板片19,19が分離されると共に、薄肉部21に沿って摘み部8から各板片19が破断される。
【解決手段】薬液2が収容される中空状の収容部3が板状部4に形成されている。蓋部7は、首部6を介して収容部3に連接されている。摘み部8は、蓋部7に取り囲むように連接されていると共に、左右の下端部がそれぞれ、薄肉部17を介して、板状部4および首部6に破断可能に連接されている。規制部9は、摘み部8を取り囲む逆U字状とされ、摘み部8に薄肉部21を介して破断可能に連接されていると共に、左右の下端部がそれぞれ板状部4の段部10に連接されている。規制部9は、左右方向中央部に形成された薄肉部18に沿って、左右一対の板片19,19に分離可能とされている。各板片19を左右方向へ互いに離隔するように引っ張ることで、薄肉部18に沿って板片19,19が分離されると共に、薄肉部21に沿って摘み部8から各板片19が破断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に薬液が封入される使い捨ての薬液容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は先に、下記特許文献1に開示される薬液容器を提案している。この薬液容器では、容器本体(1)と摘み部(2)とが破断可能に連接されており、容器本体(1)に対して摘み部(2)をねじることで、容器本体(1)から摘み部(2)が切り離されて開封される。ここで、括弧書きの符号は、下記特許文献1中における符号である。
【0003】
容器内に封入された薬液は、使用方法や使用量が決められており、間違った使い方をすると、重大な事故につながるおそれがある。しかしながら、従来のねじって開封する薬液容器は、ねじるだけで開封できるため、小さな子供でも容易に開封できるものであった。そのため、小さな子供が、容器内に封入された薬液を勝手に使用したり、遊び道具にしたりするおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−83115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、小さな子供が容易に開封できない薬液容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、薬液が収容される中空状の収容部が板状部に形成された容器本体部と、前記収容部と連続される首部を介して、前記収容部に連接される蓋部と、この蓋部に連接されると共に前記容器本体部に破断可能に連接され、前記蓋部を前記首部から切り離す際の摘み部と、前記摘み部に破断可能に連接されると共に、前記容器本体部に連接されて、前記摘み部の前記容器本体部からの破断を規制する規制部とを備え、前記規制部を前記摘み部から破断することで、前記摘み部の前記容器本体部からの破断の規制が解除されることを特徴とする薬液容器である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、規制部を摘み部から破断することで、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除されて開封可能となる。これにより、薬液容器は、小さな子供が容易に開封できないものとすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、前記摘み部に対して、左右方向中央部において、左右方向または板面と直交する方向に離脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の薬液容器である。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、摘み部を取り囲む形状の規制部が、摘み部に対して、左右方向中央部において、左右方向または板面と直交する方向に離脱されることで、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除されて開封可能となる。このようにして、簡易な構成で、小さな子供が容易に開封できないものとすることができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、前記摘み部に対して、板面と直交する方向に離脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の薬液容器である。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、摘み部を取り囲む形状の規制部が、摘み部に対して板面と直交する方向に離脱されることで、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除されて開封可能となる。このようにして、簡易な構成で、小さな子供が容易に開封できないものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小さな子供が容易に開封できない薬液容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の薬液容器の実施例1を示す正面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】図1の薬液容器の斜視図であり、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示している。
【図5】図1の薬液容器の斜視図であり、開封された状態を示している。
【図6】本発明の薬液容器の実施例2を示す正面図である。
【図7】図6の薬液容器の斜視図であり、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1から図3は、本発明の薬液容器の実施例1を示す図であり、図1は正面図、図2は図1におけるII−II断面図、図3は図1におけるIII−III断面図である。本実施例の薬液容器1は、薬液2が収容される中空状の収容部3が板状部4に形成された容器本体部5と、収容部3と連続される首部6を介して収容部3に連接される蓋部7と、蓋部7を首部6から切り離す際の摘み部8と、摘み部8の容器本体部5からの破断を規制する規制部9とを備える。本実施例の薬液容器1は、正面視略長方形状とされ、上下長さが約70〜約90mm、左右幅が約11mmに形成されており、透明とされる。
【0016】
本実施例の薬液容器1は、樹脂管(パリソン)がブロー成形により一体的に成形されたものであり、その内部に薬液が充填、密封されている。かかる薬液容器はいわゆるブロー・フィル・シールシステム(BFSシステム)と称される、容器の成形と薬液の充填、密封を同時に行なうシステムにより製造される。かかるBFSシステムでは、パリソンを金型で挟んだ状態で空気を吹き込んで金型壁面に樹脂を密着させることにより容器を成形する手段(本明細書では、かかる手段を「ダイレクトブロー成形」と呼ぶ)、または金型の各所に孔径0.3mm程度の細孔を設け、この細孔を通じて金型とパリソンの間の隙間を吸引して真空若しくは減圧状態にして金型壁面に樹脂を密着させることにより容器を成形する手段(本明細書では、かかる手段を「吸引成形」と呼ぶ)を単独で若しくは組み合わせることにより薬液容器が製造される。一般的には、大型〜中型の薬液容器を製造する場合には、ダイレクトブロー成形が主として用いられ、小型の薬液容器を製造する場合には、吸引成形が主として用いられる。
【0017】
本実施例の薬液容器1は、低密度ポリエチレンからなるパリソンが上述した吸引成形により一体的に成形されたものである。薬液容器1の原料樹脂は、通常の薬液容器に使用される熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、成形の容易性、製造コスト等を考慮すると、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することが好ましい。また、これらの原料樹脂は単層でも多層でも使用することができる。
【0018】
収容部3は、上方へ開口した略楕円形の筒状に形成されている。収容部3の上部は、テーパ状に絞られており、上方へ行くに従って縮径して形成されている。収容部3の底面は、下方へ膨出した緩やかな略球面状に形成されている。なお、収容部3は、薬液2の滴下の便宜を考慮して、薄肉で押圧変形可能に形成されることが好ましい。
【0019】
収容部3内に封入される薬液2は、ネブライザーに用いられる吸入液とされる。なお、収容部3内に封入される薬液2は、特に限定されるものではないが、通常は、点眼用、点鼻用、点耳用および滴下、投与量を一定に維持する必要のある薬液が封入される。
【0020】
このような構成の収容部3は、板状部4の上部に形成されている。具体的には、板状部4内に、板状部4から前方および後方へ膨出して収容部3が形成されている。板状部4は、上下方向が長手方向とされる略長方形の板状に形成されている。板状部4の左右両端部には、下方へ凹んで段部10,10が形成されている。板状部4は、収容部3よりも下部側の領域が、前後方向に厚く形成されている。本実施例では、その下部側の厚板部11は、中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。
【0021】
首部6は、略円筒状とされ、その軸線を上下方向に沿って配置されている。首部6の周側壁の上部は、径方向外側へ断面略三角形状に膨出して形成されている。これにより、首部6の周側壁の上端部は、径方向外側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜部12とされている。首部6は、収容部3の上端部から上方へ突出するように、収容部3と連続している。この際、首部6の内穴は、収容部3の上端部開口を介して、収容部3と連通されている。
【0022】
蓋部7は、下方へ開口した略短円筒状に形成されており、下端部には、径方向内側へ延出して円環状の水平部13が形成されている。蓋部7は、首部6の上端部開口を閉塞するように、首部6に連接されている。具体的には、蓋部7の水平部13の内周縁部と、首部6の傾斜部12の上端部とが連接されており、水平部13と傾斜部12とで断面略V字状の溝14が形成されている。この溝14の最深部は、その他の箇所と比較して十分に薄肉状に形成されている。そのため、溝14を構成する水平部13と傾斜部12とは、容易に切り離すことができる。すなわち、蓋部7と首部6との間は、破断可能に連接されている。
【0023】
摘み部8は、上下方向が長手方向とされる略長方形の板状とされており、上端辺が円弧状に形成され、下端部が左右に二股に分かれて形成されている。摘み部8の上部は、前後方向に厚く形成されており、その厚板部15は、本実施例では中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。図2に示すとおり、厚板部15は、その前面および後面が、上下方向中央部が凹んだ緩やかな縦断面略円弧状に形成されているため、指で摘まみ易い。なお、摘み部8の左右両側の下端部には、その前面および後面に突起物16,16が形成されている。この突起物16は、成形時に後述する薄肉部を形成するために、余剰した樹脂を逃がした結果形成された突起状の肉溜まりである。
【0024】
摘み部8は、上下方向に沿って配置され、蓋部7の外面に取り囲むように連接されている。さらに、摘み部8は、線状の薄肉部17,17を介して、板状部4および首部6に連接されている。具体的には、摘み部8の左側の下端部が、一方の薄肉部17を介して、収容部3の左側の板状部4上端部および首部6の外周面左側部と連接されていると共に、摘み部8の右側の下端部が、他方の薄肉部17を介して、収容部3の右側の板状部4上端部および首部6の外周面右側部と連接されている。そのため、摘み部8は、薄肉部17に沿って破断することができる。
【0025】
規制部9は、正面視逆U字形の板状とされ、左右方向中央部には、線状の薄肉部18が上下方向に沿って形成されている。規制部9は、薄肉部18に沿って、下方へ二股分かれする左右一対の板片19,19に分離可能とされている。各板片19の上端部は、前後方向に厚く形成されており、その各厚板部20は、本実施例では中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。
【0026】
規制部9は、上下方向に沿って配置され、摘み部8を取り囲むようにして、摘み部8に破断可能に連接されている。具体的には、摘み部8の外側縁部に、逆U字形の線状の薄肉部21を介して、規制部9の内側縁部が連接されている。さらに、規制部9は、左側の板片19の下端部が収容部3の左側の板状部4に形成された段部10に連接されていると共に、右側の板片19の下端部が収容部3の右側の板状部4に形成された段部10に連接されている。以上のような構成であるため、摘み部8は、規制部9によって、容器本体部5からの破断が規制されている。
【0027】
次に、本実施例の薬液容器1の開封について説明する。図4および図5は、図1の薬液容器を示す図であり、図4は、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示す斜視図、図5は、開封された状態を示す斜視図である。
【0028】
本実施例の薬液容器1を開封するには、まず、図4に示すように、規制部9を摘み部8から離脱させればよい。具体的には、各板片19の厚板部20を摘まんで、左右方向へ互いに離隔するように引っ張ることで、薄肉部18に沿って板片19,19が分離されると共に、薄肉部21に沿って摘み部8から各板片19が破断される。これにより、摘み部8の容器本体部5からの破断の規制が解除される。この際、各板片19は、下端部が板状部4に連接されており、板状部4から切り離されない。その後、図4の状態から図5に示すように、摘み部8の厚板部15を摘まんで、容器本体部5に対して摘み部8をねじることで、薄肉部17に沿って板状部4および首部6から摘み部8が破断されると共に、首部6から蓋部7が破断されて、薬液容器1が開封される。
【実施例2】
【0029】
図6および図7は、本発明の薬液容器の実施例2を示す図であり、図6は正面図、図7は、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示す斜視図である。本実施例2の薬液容器1も、基本的には前記実施例1と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0030】
本実施例の場合、規制部9は、正面視逆U字形の板状に形成されている。規制部9の上端部は、前後方向に厚く形成されており、その厚板部20は、本実施例では中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。厚板部20は、その前面および後面が、上下方向中央部が凹んだ緩やかな縦断面略円弧状に形成されているため、指で摘まみ易い。
【0031】
規制部9は、上下方向に沿って配置され、摘み部8を取り囲むようにして、摘み部8に破断可能に連接されている。具体的には、摘み部8の外側縁部に、逆U字形の線状の薄肉部21を介して、規制部9の内側縁部が連接されている。さらに、規制部9は、左側の下端部が、収容部3の左側の板状部4に形成された段部10に連接されていると共に、右側の下端部が、収容部3の右側の板状部4に形成された段部10に連接されている。従って、摘み部8は、規制部9によって、容器本体部5からの破断が規制されている。
【0032】
以上のような構成の規制部9は、図7に示すように、摘み部8に対して、板状部4の板面と直交する方向に離脱させることができる。具体的には、規制部9は、その厚板部20を摘まんで前方へ引き倒すことで、薄肉部21に沿って摘み部8から破断される。これにより、摘み部8の容器本体部5からの破断の規制が解除される。この際、規制部9は、下端部が板状部4に連接されており、板状部4から切り離されない。その後、前記実施例1と同様に、容器本体部5に対して摘み部8をねじることで、薬液容器1が開封される。
【0033】
前記各実施例の薬液容器1によれば、規制部9が摘み部8から破断された後、摘み部8が容器本体部5から破断されて開封される。このようにして、容器1の開封が規制されており、その規制の解除後に開封できる構成とされているため、小さな子供が容易に開封することができない。しかも、簡易な構成でそれを実現することができる。
【0034】
本発明の薬液容器は、前記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記各実施例では、規制部9は、逆U字状に形成されたが、下方へ開口したコ字形状に形成してもよい。この場合、長方形状の摘み部8の外側縁部に、下方へ開口したコ字形の線状の薄肉部21を介して、規制部9の内側縁部が連接される。また、前記各実施例では、規制部9は、板状部4から切り離されなかったが、切り離すことができる構成としてもよい。
【0035】
前記実施例1では、規制部9は、摘み部8に対して、左右方向中央部において左右方向に離脱されたが、左右方向中央部において板状部4の板面と直交する方向に離脱してもよい。具体的には、各板片19の厚板部20を摘まんで、前後方向へ互いに離隔するように倒すことで、薄肉部18に沿って板片19,19が分離されると共に、薄肉部21に沿って摘み部8から各板片19が破断される。
【0036】
前記実施例2では、規制部9は、摘み部8から破断する際に前方へ引き倒されたが、後方へ押し倒してもよい。これにより、前方へ引き倒した場合と同様に、薄肉部21に沿って、摘み部8から規制部9が破断される。
【0037】
前記各実施例の薬液容器1は、線状の薄肉部を介して、左右方向に複数連接することができる。このようにすれば、多数の薬液容器1を同時に製造することができ、また携帯にも都合が良い。薬液容器1を複数連接する場合には、それぞれの薬液容器1を同一寸法に形成して、薬液容器1の左右側面に破断可能な薄肉部を設けるようにすると、全体が矩形となり、機能性、デザイン性に優れたものとすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 薬液容器
2 薬液
3 収容部
4 板状部
5 容器本体部
6 首部
7 蓋部
8 摘み部
9 規制部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に薬液が封入される使い捨ての薬液容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は先に、下記特許文献1に開示される薬液容器を提案している。この薬液容器では、容器本体(1)と摘み部(2)とが破断可能に連接されており、容器本体(1)に対して摘み部(2)をねじることで、容器本体(1)から摘み部(2)が切り離されて開封される。ここで、括弧書きの符号は、下記特許文献1中における符号である。
【0003】
容器内に封入された薬液は、使用方法や使用量が決められており、間違った使い方をすると、重大な事故につながるおそれがある。しかしながら、従来のねじって開封する薬液容器は、ねじるだけで開封できるため、小さな子供でも容易に開封できるものであった。そのため、小さな子供が、容器内に封入された薬液を勝手に使用したり、遊び道具にしたりするおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−83115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、小さな子供が容易に開封できない薬液容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、薬液が収容される中空状の収容部が板状部に形成された容器本体部と、前記収容部と連続される首部を介して、前記収容部に連接される蓋部と、この蓋部に連接されると共に前記容器本体部に破断可能に連接され、前記蓋部を前記首部から切り離す際の摘み部と、前記摘み部に破断可能に連接されると共に、前記容器本体部に連接されて、前記摘み部の前記容器本体部からの破断を規制する規制部とを備え、前記規制部を前記摘み部から破断することで、前記摘み部の前記容器本体部からの破断の規制が解除されることを特徴とする薬液容器である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、規制部を摘み部から破断することで、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除されて開封可能となる。これにより、薬液容器は、小さな子供が容易に開封できないものとすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、前記摘み部に対して、左右方向中央部において、左右方向または板面と直交する方向に離脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の薬液容器である。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、摘み部を取り囲む形状の規制部が、摘み部に対して、左右方向中央部において、左右方向または板面と直交する方向に離脱されることで、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除されて開封可能となる。このようにして、簡易な構成で、小さな子供が容易に開封できないものとすることができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、前記摘み部に対して、板面と直交する方向に離脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の薬液容器である。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、摘み部を取り囲む形状の規制部が、摘み部に対して板面と直交する方向に離脱されることで、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除されて開封可能となる。このようにして、簡易な構成で、小さな子供が容易に開封できないものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小さな子供が容易に開封できない薬液容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の薬液容器の実施例1を示す正面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】図1の薬液容器の斜視図であり、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示している。
【図5】図1の薬液容器の斜視図であり、開封された状態を示している。
【図6】本発明の薬液容器の実施例2を示す正面図である。
【図7】図6の薬液容器の斜視図であり、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1から図3は、本発明の薬液容器の実施例1を示す図であり、図1は正面図、図2は図1におけるII−II断面図、図3は図1におけるIII−III断面図である。本実施例の薬液容器1は、薬液2が収容される中空状の収容部3が板状部4に形成された容器本体部5と、収容部3と連続される首部6を介して収容部3に連接される蓋部7と、蓋部7を首部6から切り離す際の摘み部8と、摘み部8の容器本体部5からの破断を規制する規制部9とを備える。本実施例の薬液容器1は、正面視略長方形状とされ、上下長さが約70〜約90mm、左右幅が約11mmに形成されており、透明とされる。
【0016】
本実施例の薬液容器1は、樹脂管(パリソン)がブロー成形により一体的に成形されたものであり、その内部に薬液が充填、密封されている。かかる薬液容器はいわゆるブロー・フィル・シールシステム(BFSシステム)と称される、容器の成形と薬液の充填、密封を同時に行なうシステムにより製造される。かかるBFSシステムでは、パリソンを金型で挟んだ状態で空気を吹き込んで金型壁面に樹脂を密着させることにより容器を成形する手段(本明細書では、かかる手段を「ダイレクトブロー成形」と呼ぶ)、または金型の各所に孔径0.3mm程度の細孔を設け、この細孔を通じて金型とパリソンの間の隙間を吸引して真空若しくは減圧状態にして金型壁面に樹脂を密着させることにより容器を成形する手段(本明細書では、かかる手段を「吸引成形」と呼ぶ)を単独で若しくは組み合わせることにより薬液容器が製造される。一般的には、大型〜中型の薬液容器を製造する場合には、ダイレクトブロー成形が主として用いられ、小型の薬液容器を製造する場合には、吸引成形が主として用いられる。
【0017】
本実施例の薬液容器1は、低密度ポリエチレンからなるパリソンが上述した吸引成形により一体的に成形されたものである。薬液容器1の原料樹脂は、通常の薬液容器に使用される熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、成形の容易性、製造コスト等を考慮すると、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することが好ましい。また、これらの原料樹脂は単層でも多層でも使用することができる。
【0018】
収容部3は、上方へ開口した略楕円形の筒状に形成されている。収容部3の上部は、テーパ状に絞られており、上方へ行くに従って縮径して形成されている。収容部3の底面は、下方へ膨出した緩やかな略球面状に形成されている。なお、収容部3は、薬液2の滴下の便宜を考慮して、薄肉で押圧変形可能に形成されることが好ましい。
【0019】
収容部3内に封入される薬液2は、ネブライザーに用いられる吸入液とされる。なお、収容部3内に封入される薬液2は、特に限定されるものではないが、通常は、点眼用、点鼻用、点耳用および滴下、投与量を一定に維持する必要のある薬液が封入される。
【0020】
このような構成の収容部3は、板状部4の上部に形成されている。具体的には、板状部4内に、板状部4から前方および後方へ膨出して収容部3が形成されている。板状部4は、上下方向が長手方向とされる略長方形の板状に形成されている。板状部4の左右両端部には、下方へ凹んで段部10,10が形成されている。板状部4は、収容部3よりも下部側の領域が、前後方向に厚く形成されている。本実施例では、その下部側の厚板部11は、中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。
【0021】
首部6は、略円筒状とされ、その軸線を上下方向に沿って配置されている。首部6の周側壁の上部は、径方向外側へ断面略三角形状に膨出して形成されている。これにより、首部6の周側壁の上端部は、径方向外側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜部12とされている。首部6は、収容部3の上端部から上方へ突出するように、収容部3と連続している。この際、首部6の内穴は、収容部3の上端部開口を介して、収容部3と連通されている。
【0022】
蓋部7は、下方へ開口した略短円筒状に形成されており、下端部には、径方向内側へ延出して円環状の水平部13が形成されている。蓋部7は、首部6の上端部開口を閉塞するように、首部6に連接されている。具体的には、蓋部7の水平部13の内周縁部と、首部6の傾斜部12の上端部とが連接されており、水平部13と傾斜部12とで断面略V字状の溝14が形成されている。この溝14の最深部は、その他の箇所と比較して十分に薄肉状に形成されている。そのため、溝14を構成する水平部13と傾斜部12とは、容易に切り離すことができる。すなわち、蓋部7と首部6との間は、破断可能に連接されている。
【0023】
摘み部8は、上下方向が長手方向とされる略長方形の板状とされており、上端辺が円弧状に形成され、下端部が左右に二股に分かれて形成されている。摘み部8の上部は、前後方向に厚く形成されており、その厚板部15は、本実施例では中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。図2に示すとおり、厚板部15は、その前面および後面が、上下方向中央部が凹んだ緩やかな縦断面略円弧状に形成されているため、指で摘まみ易い。なお、摘み部8の左右両側の下端部には、その前面および後面に突起物16,16が形成されている。この突起物16は、成形時に後述する薄肉部を形成するために、余剰した樹脂を逃がした結果形成された突起状の肉溜まりである。
【0024】
摘み部8は、上下方向に沿って配置され、蓋部7の外面に取り囲むように連接されている。さらに、摘み部8は、線状の薄肉部17,17を介して、板状部4および首部6に連接されている。具体的には、摘み部8の左側の下端部が、一方の薄肉部17を介して、収容部3の左側の板状部4上端部および首部6の外周面左側部と連接されていると共に、摘み部8の右側の下端部が、他方の薄肉部17を介して、収容部3の右側の板状部4上端部および首部6の外周面右側部と連接されている。そのため、摘み部8は、薄肉部17に沿って破断することができる。
【0025】
規制部9は、正面視逆U字形の板状とされ、左右方向中央部には、線状の薄肉部18が上下方向に沿って形成されている。規制部9は、薄肉部18に沿って、下方へ二股分かれする左右一対の板片19,19に分離可能とされている。各板片19の上端部は、前後方向に厚く形成されており、その各厚板部20は、本実施例では中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。
【0026】
規制部9は、上下方向に沿って配置され、摘み部8を取り囲むようにして、摘み部8に破断可能に連接されている。具体的には、摘み部8の外側縁部に、逆U字形の線状の薄肉部21を介して、規制部9の内側縁部が連接されている。さらに、規制部9は、左側の板片19の下端部が収容部3の左側の板状部4に形成された段部10に連接されていると共に、右側の板片19の下端部が収容部3の右側の板状部4に形成された段部10に連接されている。以上のような構成であるため、摘み部8は、規制部9によって、容器本体部5からの破断が規制されている。
【0027】
次に、本実施例の薬液容器1の開封について説明する。図4および図5は、図1の薬液容器を示す図であり、図4は、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示す斜視図、図5は、開封された状態を示す斜視図である。
【0028】
本実施例の薬液容器1を開封するには、まず、図4に示すように、規制部9を摘み部8から離脱させればよい。具体的には、各板片19の厚板部20を摘まんで、左右方向へ互いに離隔するように引っ張ることで、薄肉部18に沿って板片19,19が分離されると共に、薄肉部21に沿って摘み部8から各板片19が破断される。これにより、摘み部8の容器本体部5からの破断の規制が解除される。この際、各板片19は、下端部が板状部4に連接されており、板状部4から切り離されない。その後、図4の状態から図5に示すように、摘み部8の厚板部15を摘まんで、容器本体部5に対して摘み部8をねじることで、薄肉部17に沿って板状部4および首部6から摘み部8が破断されると共に、首部6から蓋部7が破断されて、薬液容器1が開封される。
【実施例2】
【0029】
図6および図7は、本発明の薬液容器の実施例2を示す図であり、図6は正面図、図7は、摘み部の容器本体部からの破断の規制が解除された状態を示す斜視図である。本実施例2の薬液容器1も、基本的には前記実施例1と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0030】
本実施例の場合、規制部9は、正面視逆U字形の板状に形成されている。規制部9の上端部は、前後方向に厚く形成されており、その厚板部20は、本実施例では中空状に形成されているが、中実状に形成してもよい。厚板部20は、その前面および後面が、上下方向中央部が凹んだ緩やかな縦断面略円弧状に形成されているため、指で摘まみ易い。
【0031】
規制部9は、上下方向に沿って配置され、摘み部8を取り囲むようにして、摘み部8に破断可能に連接されている。具体的には、摘み部8の外側縁部に、逆U字形の線状の薄肉部21を介して、規制部9の内側縁部が連接されている。さらに、規制部9は、左側の下端部が、収容部3の左側の板状部4に形成された段部10に連接されていると共に、右側の下端部が、収容部3の右側の板状部4に形成された段部10に連接されている。従って、摘み部8は、規制部9によって、容器本体部5からの破断が規制されている。
【0032】
以上のような構成の規制部9は、図7に示すように、摘み部8に対して、板状部4の板面と直交する方向に離脱させることができる。具体的には、規制部9は、その厚板部20を摘まんで前方へ引き倒すことで、薄肉部21に沿って摘み部8から破断される。これにより、摘み部8の容器本体部5からの破断の規制が解除される。この際、規制部9は、下端部が板状部4に連接されており、板状部4から切り離されない。その後、前記実施例1と同様に、容器本体部5に対して摘み部8をねじることで、薬液容器1が開封される。
【0033】
前記各実施例の薬液容器1によれば、規制部9が摘み部8から破断された後、摘み部8が容器本体部5から破断されて開封される。このようにして、容器1の開封が規制されており、その規制の解除後に開封できる構成とされているため、小さな子供が容易に開封することができない。しかも、簡易な構成でそれを実現することができる。
【0034】
本発明の薬液容器は、前記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記各実施例では、規制部9は、逆U字状に形成されたが、下方へ開口したコ字形状に形成してもよい。この場合、長方形状の摘み部8の外側縁部に、下方へ開口したコ字形の線状の薄肉部21を介して、規制部9の内側縁部が連接される。また、前記各実施例では、規制部9は、板状部4から切り離されなかったが、切り離すことができる構成としてもよい。
【0035】
前記実施例1では、規制部9は、摘み部8に対して、左右方向中央部において左右方向に離脱されたが、左右方向中央部において板状部4の板面と直交する方向に離脱してもよい。具体的には、各板片19の厚板部20を摘まんで、前後方向へ互いに離隔するように倒すことで、薄肉部18に沿って板片19,19が分離されると共に、薄肉部21に沿って摘み部8から各板片19が破断される。
【0036】
前記実施例2では、規制部9は、摘み部8から破断する際に前方へ引き倒されたが、後方へ押し倒してもよい。これにより、前方へ引き倒した場合と同様に、薄肉部21に沿って、摘み部8から規制部9が破断される。
【0037】
前記各実施例の薬液容器1は、線状の薄肉部を介して、左右方向に複数連接することができる。このようにすれば、多数の薬液容器1を同時に製造することができ、また携帯にも都合が良い。薬液容器1を複数連接する場合には、それぞれの薬液容器1を同一寸法に形成して、薬液容器1の左右側面に破断可能な薄肉部を設けるようにすると、全体が矩形となり、機能性、デザイン性に優れたものとすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 薬液容器
2 薬液
3 収容部
4 板状部
5 容器本体部
6 首部
7 蓋部
8 摘み部
9 規制部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が収容される中空状の収容部が板状部に形成された容器本体部と、
前記収容部と連続される首部を介して、前記収容部に連接される蓋部と、
この蓋部に連接されると共に前記容器本体部に破断可能に連接され、前記蓋部を前記首部から切り離す際の摘み部と、
前記摘み部に破断可能に連接されると共に、前記容器本体部に連接されて、前記摘み部の前記容器本体部からの破断を規制する規制部とを備え、
前記規制部を前記摘み部から破断することで、前記摘み部の前記容器本体部からの破断の規制が解除される
ことを特徴とする薬液容器。
【請求項2】
前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、
前記摘み部に対して、左右方向中央部において、左右方向または板面と直交する方向に離脱可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬液容器。
【請求項3】
前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、
前記摘み部に対して、板面と直交する方向に離脱可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬液容器。
【請求項1】
薬液が収容される中空状の収容部が板状部に形成された容器本体部と、
前記収容部と連続される首部を介して、前記収容部に連接される蓋部と、
この蓋部に連接されると共に前記容器本体部に破断可能に連接され、前記蓋部を前記首部から切り離す際の摘み部と、
前記摘み部に破断可能に連接されると共に、前記容器本体部に連接されて、前記摘み部の前記容器本体部からの破断を規制する規制部とを備え、
前記規制部を前記摘み部から破断することで、前記摘み部の前記容器本体部からの破断の規制が解除される
ことを特徴とする薬液容器。
【請求項2】
前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、
前記摘み部に対して、左右方向中央部において、左右方向または板面と直交する方向に離脱可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬液容器。
【請求項3】
前記規制部は、前記摘み部を取り囲む形状に形成されると共に、下端部が前記容器本体部に連接されており、
前記摘み部に対して、板面と直交する方向に離脱可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬液容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−34939(P2012−34939A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179443(P2010−179443)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(300047426)ファーマパック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(300047426)ファーマパック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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