説明

薬液散布作業機

【課題】静電ノズル形態の散布作業機において、導電部への通電を制御して必要以上の通電を行わせないようにし、電気的トラブルを未然に防ぐ。
【解決手段】センタブーム(12)の噴霧ノズル(16)の近傍、及び左右サイドブーム(13)の噴霧ノズル(18)の近傍に導電部(50)を配設し、前記導電部(50)へ高電圧を供給する高電圧電源装置(51)を設けた薬液散布作業機において、機体(1)の走行速度を検出する走行速度検出手段(S)を設け、この走行速度検出手段による検出走行速度(v)が予め設定した低速側所定値(v1)以下の時には前記導電部(50)への高電圧供給を切り、該検出走行速度(v)が低速側所定値(v1)を超えると前記導電部(50)への高電圧供給を入りに切り替える給電切替手段(K)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬液散布作業機に関し、特に静電噴霧装置を備えた防除作業機に関する。
【背景技術】
【0002】

従来、走行機体の後部に薬液タンクを搭載し、該機体の前方に下向きに薬液を噴出する噴霧ノズルを備えたセンターブームとこのセンターブームに対して左右に延長状態に装着されるサイドブームによって圃場の作物に薬液散布する形態が公知であり(引用文献1)、また、複数の噴霧ノズルに渡って条状の導電部を配置し、噴霧ノズルからの薬液を帯電させて効率的に被散布対象の作物等に付着させる構成が公知である(特許文献2)。
【0003】
また、自走しながら薬液散布する自走型散布作業機の車速に連動して散布圧力及び流量を自動制御する制御装置を備えた構成が公知である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−51274号公報
【特許文献2】特開2008−194673号公報
【特許文献3】特開2002−23104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】

ところで、前記特許文献2において、2本の導電部は、支持杆の長手方向に沿って配され、且つ、支持杆の長手方向に並設されている複数の噴霧ノズルから噴霧される液体の拡散範囲を介在して、互いに略平行に離隔配置されているが、この導電部への電圧供給、つまり通電の入り切りは接続する電源装置に設けるスイッチの切り替えによる。すなわち手動スイッチの切り替えによるもので、一旦スイッチをオンすると薬液散布の状況、つまり散布状態であるか非散布状態であるかを問わず常時通電状態にある。しかしながら、散布作業開始から終了に至る間には散布中断の状況も多く、このような場合にも導電部を通電状態としておくことは、却って漏電やショート等電気的不具合の機会を生じ易く改善の余地がある。
【0006】
この発明は、上記に鑑み、導電部への通電を制御して必要以上の通電を行わせないようにし上記した欠点を解消しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は前記課題に鑑み、次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1の発明では、薬液タンク(30)を搭載した機体(1)に、昇降リンク機構(10)の基部を枢支し、該昇降リンク機構(10)にブーム支持枠(14)を設け、このブーム支持枠(14)に、夫々薬液を噴出する複数の噴霧ノズル(16,18)を備えたセンタブーム(12)を固定して設けると共に左右のサイドブーム(13L,13R)を機体側方に延出する状態と機体側面に収納する状態に開閉回動可能に設け、センタブーム(12)の噴霧ノズル(16,16…)の近傍に第1導電部(50C)を配設し、左右サイドブーム(13L,13R)の噴霧ノズル(18,18…)の近傍に第2,第3導電部(50SL,50SR)を夫々配設し、前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)へ高電圧を供給する高電圧電源装置(51C,51SL,51SR)を設けた薬液散布作業機において、
機体(1)の走行速度を検出する走行速度検出手段(S)を設け、この走行速度検出手段による検出走行速度(v)が予め設定した低速側所定値(v1)以下の時には前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を切り、該検出走行速度(v)が低速側所定値(v1)を超えると前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を入りに切り替える給電切替手段(K)を設けたことを特徴とする薬液散布作業機の構成とする。
請求項1に記載の発明によると、給電切替手段(K)は、検出走行速度(v)が所定値(v1)以下、例えば「0」の時、第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を切り、該検出走行速度(v)が所定値(v1)を超えると前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を入りに切り替える。よって、機体の速度が低速側所定値(v1)以下、例えば機体停止等非作業状態を想定されるときには高電圧供給が遮断され、機体の速度が低速側所定値(v1)を超える作業走行状態を想定されるときは高電圧供給が行われる。
請求項2に記載の発明は、走行速度検出手段(S)の検出走行速度(v)の検出結果に基づき、予め設定した高速側所定値(v2)を超えると前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を切る構成とした請求項1に記載の薬液散布作業機の構成とする。したがって、路上走行状態が想定される高速側所定値(v2)を超える速度状態を検出するときは、高電圧供給を遮断する。
請求項3に記載の発明は、走行用変速装置(M)が所定高速域に変速された時、前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を切る構成とした請求項1に記載の薬液散布作業機の構成とする。したがって、路上走行状態が想定される高速側変速域を検出するときは、高電圧供給を遮断する。
【0008】
請求項4に記載の発明は、走行速度検出手段の検出走行速度(v)の検出結果に基づき噴霧ノズル(16,18)からの噴霧量を大小に変更制御する構成とした請求項1、請求項2又は請求項3に記載の薬液散布作業機の構成とする。したがって、検出走行速度(v)の高低速検出結果に基づき、噴霧ノズル(16,18)からの噴霧量を大小に変更制御される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、前記の如く構成したので、以下の効果を奏する。
【0010】
即ち、請求項1に記載の発明によると、給電切替手段(K)によって、機体の速度が低速側所定値(v1)以下、例えば機体停止等非作業状態を想定されるときには高電圧供給が遮断され、非作業中の不測の漏電事故やショートによる破損等を生じないため安全である。また、機体の速度が低速側所定値(v1)を超える作業走行状態を想定されるときは高電圧供給に切り替わるため、いちいち導電部への給電を手動操作する必要がなく、操作性が向上する。
【0011】
また、請求項2及び請求項3に記載の発明によると、請求項1による効果に加え、速度状態が路上走行が想定される状態のときは、高電圧供給を遮断するため、不測の漏電事故やショートによる破損等を生じさせない。
【0012】
請求項4に記載の発明によると、請求項1又は請求項2による効果に加え、検出走行速度(v)の高低速検出結果に基づき、噴霧ノズル(16,18)からの噴霧量を大小に変更制御でき、効率的な薬液消費を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】乗用管理機の全体側面図である。
【図2】乗用管理機の平面図である。
【図3】乗用管理機の正面図である。
【図4】システム構成図である。
【図5】散布制御装置の平面図である。
【図6】要部の斜視図である。
【図7】サイドブームとスライドブームの断面図である。
【図8】作用を示す平面図である。
【図9】(A)サイドブームとスライドブームの要部の拡大正面図、(B)その一部の斜視図である。
【図10】(A)導電部支持構成の断面図、(B)その分解斜視図、(C)一部の断面図、(D)クリップの拡大正面図である。
【図11】別例を示す導電部支持構成の分解斜視図、(B)その断面図、(C)導電部の拡大断面図である。
【図12】(A)収納状態のサイドブーム及びスライドブームの一部側面図、(B)その断面図、(C)先端部の背面図である。
【図13】サイドブームとスライドブームの作用説明正面図である。
【図14】制御ブロック図である。
【図15】ブロック図である。
【図16】フローチャート図である。
【図17】フローチャート図である。
【図18】ノズル部拡大正面図である。
【図19】ノズル部近傍の改良構成を示す側面図である。
【図20】(A)ノズル部近傍の改良構成を示す側面図、(B)その正面図である。
【図21】異なる栽培形態を示す正面図である。
【図22】異なる噴霧ノズルの装着例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。まず、構成から説明すると、1は主として畑や水田の中でカルチ作業や防除作業を行う乗用管理機の機体である。この乗用管理機は同径の前輪2と後輪3を備え、機体1の前部にエンジン4を搭載している。エンジン4およびマフラー(図示省略)はボンネット5で覆われ、ボンネット5の左右両側部にはマスト7,7が立設され、このマスト7,7には上部リンク8と下部リンク9とからなる昇降リンク機構10が構成されている。上部リンク8と下部リンク9とは前後長さが略等しく、従って、昇降リンク機構10は側面から見ると平行四辺形を構成する。昇降リンク機構10はボンネット5の外側方に設けた左右一対の昇降シリンダ11,11により昇降される。この昇降シリンダ11,11は電動シリンダによって構成されるが、油圧で構成しても良い。
また、前記昇降リンク10の前部には後述するセンターブーム12、サイドブーム13,13を取付けるための支持枠14が連結される。この支持枠14は正面から見ると矩形状をなし、支持枠14の下部中央には前後方向に沿う揺動軸15が設けられている。
揺動軸15には、前後一対のブーム枠12F,12Rを有する前記センターブーム12が前後軸芯回りに上下回動自在に枢支され、前側のセンターブーム枠12Fに複数個の下向きに薬液を噴出しうるノズル16,16…が取り付けられている。
左右サイドブーム13L,13Rは後側のセンターブーム枠12Rの左右両端部に上下方向の支点ピン17,17にて回動自在に枢支され、このサイドブーム13L,13Rの下端面にも適当間隔をあけて複数個の噴霧ノズル18,18…が設けられている。従って、サイドブーム13L,13Rを広げた状態でセンターブーム12とサイドブーム13L,13Rとは一体で前記揺動軸15廻りに上下揺動調整又は上下揺動制御することができる。
また、前記支持枠14側と後側センターブーム枠12R側との間にはアクチュエータとしての油圧シリンダ機構20が垂直姿勢で設けられている。20aは油圧シリンダ機構20のピストンロッドである。
センターブーム12の適宜位置には水平制御用の制御弁(図示せず)が設けられ、油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダ機構20へ供給し又は排出させることによりセンターブーム12及びサイドブーム13L,13Rを上下揺動すべく構成している。従って、油圧シリンダ機構20のピストンロッド20aが伸縮するとブームが揺動軸14の廻りに揺動する。前記支持枠14の左右方向中央部には上下方向に沿わせてプレート21が設けられ、このプレート21には揺動角センサ22が取り付けられて、乗用管理機1の機体適所に設ける水平センサ23との連携によって前記油圧シリンダ機構20を伸縮制御し、センターブーム12及びサイドブーム13L,13Rを水平制御する構成である。
また、図1において、前記支持枠14の頂部とサイドブーム13L,13Rの基部との間にはサイドブーム13L,13Rを夫々独立的に上下回動させる上下動シリンダ25L,25Rを備え、一方前記支持枠14と、サイドブーム13L,13Rの基部に一体でセンターブーム枠12Rに対し前記支点ピン17,17回りに回動しうる連結プレート26との間にはサイドブーム13L,13Rを開閉させる開閉シリンダ27L,27Rを備えている。
【0015】
なお、サイドブーム13L,13Rには夫々延長用のスライドブーム28L,28Rを接続構成する。すなわち、固定側となるサイドブーム13L,13Rにはノズル18及び薬液配管部13pを保持する直線状の固定フレーム13mを備え(図3)、この固定フレーム13mに跨設して長手方向にスライド自在に摺動フレーム28sを設け、この摺動フレーム28sにスライド側となるスライドブーム28L,28Rを一体的に装着している。スライドブーム28L,28Rにも夫々配管部28pを備え噴霧ノズル29,29…を配設している。
【0016】
乗用管理機1の機体後部には薬液タンク30を搭載し、前記のセンターブーム12、サイドブーム13L,13R、及びスライドブーム28L,28Rの各噴霧ノズルに薬液を供給する構成としている。すなわち、図4において、薬液タンク30に貯留する薬液は防除ポンプ31の駆動によって元配管32を圧送され、センターブーム12及び左右のサイドブーム13L,13R側の3方に分岐した分岐配管33C,33S,33Sを介してセンターブーム12の噴霧ノズル16、サイドブーム13L,13R及びスライドブーム28L,28Rの各噴霧ノズル18,29に供給される。元配管32部には流量制御弁34を介在し、流量を制御できる構成としている。
【0017】
乗用管理機1の運転席35の前方には操縦ハンドル36等の走行操作部を備えると共に、該運転席35の右側方には散布用操作盤37を設けている。該操作盤37には、前記分岐配管33C,33S,33S毎に対応する開閉コック38C,38S,38S、防除ポンプ31駆動スイッチ39,液晶表示部40を備えた制御コントローラ41、前記昇降リンク機構10を昇降する昇降シリンダ11を伸縮作動させるブームスイッチ42、前記左右の開閉シリンダ27L,27Rを伸縮作動させる一対の左右スイッチ43L,43R、左右のサイドブーム13L,13Rを夫々単独に上・下動させる上下動シリンダ25L,25R伸縮用、及びスライドブーム28L,28Rを夫々スライド作動させるスライド用モータ44L,44Rを正・逆転させる十字レバー形態のスイッチ45L,45R等を装着し、運転席35に座ったままで操作できる構成としている。なお、本実施例における散布用操作盤37は運転席35から前方のセンターブーム12、サイドブーム13L,13R、及びスライドブーム28L,28Rからの噴霧状態を目視で確認しながら操作でき、後方にこれらブームを装着する形態に比較して身体の後ろ向きの姿勢をとらなくとも良く便利である。
【0018】
更に前記制御コントローラ41に関連する構成として、液晶表示部40の周囲に操作スイッチ類を配設し、薬液散布を散布設定スイッチ46及び増・減スイッチ47による単位面積当り散布量の設定と機体1の走行速度に基づき自動的に前記流量制御弁34をコントロールして噴霧ノズルからの薬液散布量を大小に自動制御する自動モードを行わせる場合にオンする自動スイッチ48を備える。なお、この自動スイッチ48をオンしないで散布作業を行なうときには、前記増・減スイッチ47の設定に基づく散布量を常時一定に散布する手動モードが実行される。
【0019】
なお、前記個々の静電スイッチ58のほか、主静電スイッチ53を設けて静電散布を行わない通常散布形態か、静電防除形態かを選択できる形態でもよい。59は静電散布状態を表わす表示ランプである。
【0020】
前記センターブーム12の噴霧ノズル16,16…、サイドブーム13L,13Rの噴霧ノズル18,18…、及びスライドブーム28L,28Rの噴霧ノズル29,29…の夫々には各ブームの長手方向に沿い所定間隔の噴霧ノズル夫々からの薬液の拡散範囲に介在して互いに平行な2本の線状の導電部50を配設し、もって静電噴霧装置を構成している。導電部50は、銅線、鋼管等を絶縁体と樹脂外層で被覆して所謂棒電極を構成し、センターブーム12の噴霧ノズル16,16…に対応して配設される第1導電部50C、サイドブーム13L,13Rにそれぞれ配設される第2、第3導電部50SL,50SR、及びスライドブーム28L,28Rにそれぞれ配設される第4、第5導電部50LL,50LRを各対応させて設けている。これら第1〜第5の各導電部50には高電圧電源装置として機能するインバータ51をそれぞれ接続し、導電部50に高電圧が供給されて噴霧ノズル16,18,29から噴霧される薬液に負の電荷が与えられる。植物の葉の近傍に負電荷が存在すると、葉は表面及び裏面が正、内部が負に分極し、このため、負に帯電している薬液が農作物の表面に引き付けられ、葉の表面にも裏面にも万遍なく付着する。なお、インバータ51には前記第1〜第5導電部と共通の符号を用いて対応関係を表わしている。なお、負の電荷を薬液粒子に帯電させる場合において、地表面近くに正の電極96,96…を予め埋め込む栽培形態とすると、正の電極に薬液がひきつけられて、その結果地表面の葉まで薬液散布が行き渡り、散布ムラを低減できる。
【0021】
なお前記静電噴霧装置の電源回路52に静電スイッチ53を介在し、バッテリ54からの給電をオン/オフ切替できるよう構成している。
【0022】
前記制御コントローラ41には走行速度検出手段Sを構成している。即ち、乗用管理機1には走行変速装置Mを備え、該走行変速装置内の伝動機構のうち、左右後車輪を伝導する車軸部分に車軸回転を検出出力するピックアップ手段69(例えば、後車軸を連動する回転ギヤ歯部のピックアップ信号)を構成し、該ピックアップ手段69からの速度データを入力する制御コントローラ41は、この速度データから機体1の走行速度vを演算する構成である。
【0023】
以下静電噴霧装置について具体的に説明する。センターブーム12の静電噴霧装置について、前記センターブーム12の噴霧ノズル16,16…装着側である前側ブーム枠12Fに、二脚状のサポート部材55,55を噴霧ノズル16,16…配設の間に位置して吊下支持し、このサポート部材55,55に2本の第1導電部50C,50Cを着脱自在に支持している。また、上記前側ブーム枠12Fの上面に、鞍型のブラケット56を介して第1インバータ51Cを装着している。
【0024】
また同様に、サイドブーム13L,13Rには、第2、第3インバータ51SL,51SR、及び第2,第3導電部50SL,50SR、スライドブーム28L,28Rには第4、第5インバータ51LL,51LR、及び第4,第5導電部50LL,50LRを装着するものである。前記のように、固定側となるサイドブーム13L,13Rにはノズル18及び薬液配管部13pを保持する直線状の固定フレーム13mを備え、この固定フレーム13mに跨設して長手方向にスライド自在に摺動フレーム28sを設け、この摺動フレーム28sにスライド側となるスライドブーム28L,28Rを一体的に装着する。そして固定フレーム13mに対する摺動フレーム28sとの関係はスライドブーム28L,28Rにも夫々配管部28pを備え噴霧ノズル29,29…を配設している。このように構成したサイドブーム13L,13Rとスライドブーム28L,28Rとは、スライドブーム28L,28Rが前側となるよう前後に配置される関係にある。固定フレーム13mの基端側においてブラケット57を介して該ブラケット57の後面に第2,第3インバータ51SL,51SRを着脱自在に取り付け、一方摺動フレーム28sにはその前面に直接的に第4,第5インバータ51LL,51LRをその基端側に取り付けている。
【0025】
つまり、サイドブーム13L,13Rの固定フレーム13mと摺動フレーム28sとは前後に配置し、第2、第3インバータ51SL,51SRを摺動フレーム28s存在側とは反対側の面に装着し、第4、第5高電圧電源装置51LL,51SRを固定フレーム13mの存在側とは反対側の面に装着するもので、固定フレーム13mと摺動フレーム28sとの間にインバータ51SL,51SRを設けないため、両フレーム13m,28sの組付けに影響を及ぼさず、静電装置を備えない機種に対し容易に導電部50とインバータ51とを組合せて静電噴霧構成とすることができる。
【0026】
そして、センターブーム12と同様に、固定フレーム13mには二脚状のサポート部材55,55…を所定間隔毎に配設し、サイドブーム13L,13R用の第2、第3導電部50LL,50LRを取り付け、摺動フレーム28s側のサポート部材55,55…にスライドフレーム28L,28R用の第4、第5導電部50LL,50LRを取り付けている。
【0027】
給電は、バッテリ54から電源回路52を経由して電源ラインから行われ、各インバータ51に通電する。各インバータ51では高電圧に変換され、各導電部50にこの高電圧が印加される構成である。前記構成では、センターブーム12、左右のサイドブーム13L,13R及び左右のスライドブーム28L,28Rの夫々に高電圧電源装置として機能するインバータ51を対応配置したから、昇降動作、折り畳み開閉動作、及びスライド動作を各単独に行うこととなるが、これらの動きに円滑に対応できる。すなわち、インバータ51単位で導電部50との組合せを構成し、個別のブームに組み合わせることより、関節的な動きを生ずる部分に高圧の導電部50を接続構成する必要がない。つまり分割構成されたブームの導電部50に共通のインバータ51を設置するときは、関節的な動きの部分に導電部50を配置するため繰返し屈曲動作で折損の恐れがあるが、前記のように導電部とインバータとを個別組合せとするときは関節的動きの部分を導電部で接続する必要がないために折損がなく漏電の恐れも少なく安全であり、かつ取扱い性が容易である。
【0028】
また、各インバータ51毎に第1〜第5入切スイッチ58を設けることにより、噴霧作業に必要な個所のインバータ51のみONにすることができ、噴霧作業を行わない個所の電源を切ることによって省電力の効果、無駄な危険を回避できる効果がある。符号は前記導電部50及びインバータ51に対応関係を明確にすべく同一の符号を用いている。なお、入切スイッチ58の構成としては、静電スイッチ53のほかに電源回路52中に各インバータ51に給電する回路を構成し夫々に第1〜第5入切スイッチ58を設ける。また、各インバータ51を収容するボックスに入切スイッチを設けておくことで、任意に電源を切り操作することができる。
【0029】
図示の例では左右に平行する導電部50は夫々独立して接続関係にないが、これらを接続してU状に折り曲げて平行状態を構成してもよい。
【0030】
図9はサイドブーム13L,13Rとスライドブーム28L,28Rの拡大正面図である。前記のように固定フレーム13mの基部には第2,第3インバータ51SL,51SRを着脱自在に取り付けるものであるが、その近傍にはマスト60を立設し、この固定フレーム13mの先端側のマスト61との間にワイヤ62を掛け渡し、このワイヤ62にコイルホース63を保持している。高圧の薬液が前記分岐配管33SからT型継手64に作用すべく両者を接続する。T型継手64の一方にはサイドブーム13L又は13Rに接続するための接続管65を備え、他方はコイルホース63に接続される。そしてコイルホース63の終端はスライドブーム28L又は28Rに接続された接続管66に繋ぐ構成である。従って、スライド用モータ44L又は44Rの駆動によってスライドブーム28L又は28Rがスライド移動するに際し、コイルホース63によって伸出しまたは短縮化して当該移動に追従しながら薬液を供給できる構成としている。本実施例では、コイルホース63に一体的に電源回路52から延設された配線部67を分岐して一方をサイドブーム13L又は13Rの第2、第3インバータ51SL,51SRに接続し、他方をコイルホース63に止着した延長配線部68としその終端をスライドブーム28L又は28Rの第4,第5インバータ51LL又は51LRに接続している。このように構成すると、コイルホース63のコイル復元力を利用して中間の延長配線部68を収容でき別に延出し収納構成を必要とせずコストダウンが図れる。
【0031】
次いで、図10に基づき、サポート部材55等による導電部50の支持構成及び着脱構成について詳述する。サイドブーム13L,13Rの固定フレーム13mに所定間隔毎に配設された二脚状のサポート部材55,55…は固定フレーム13mから長さの長いサポート吊具70を、スライドブーム28L,28Rの摺動フレーム28sに同じく所定間隔毎に配設された二脚状のサポート部材55,55…は摺動フレーム28sから長さの短いサポート吊具71を介して支持している。このサポート吊具70,71の長さを異ならせた理由は、固定フレーム13mに装着された噴霧ノズル16,16…位置と、摺動フレーム28s側に装着された噴霧ノズル18,18…の上下位置が異なるためこれらノズル16,18に対する相対位置を共通にするためである。このように、長さの異なるサポート吊具70,71を準備することにより、二脚状サポート部材55,55…を前後入れ替えるなどによって噴霧ノズル16,18に対する水平方向の距離も設定しながら当該二脚状サポート部材55,55…の共通化が図れてコストダウンに寄与する。なお、長さを異ならせたサポート吊具70,71は対称形状の一対の対向するコ型部材の上部に切欠き部を形成して固定フレーム13mや摺動フレーム28sに挟持状態で係止できる構成とし、その下部はサポート部材55をボルト等で締付固定する。
【0032】
樹脂製の前記二脚状サポート部材55について、二又状の下端部には夫々開口部55a,55aを有する係止凹部55b,55bを形成している。この係止凹部55b,55bには前記導電部50を係止支持するものである。即ち、係止凹部55b,55bの内周面に嵌合しうるゴムパッキン72で位置決めし、内径を自在に拡縮調整し得て導電部50の外周に固定できるクリップ部材73Lを係止凹部を形成するサポート部材55の端面に接当させることにより導電部50の移動を規制する。隣接のサポート部材55には反対側端面に同形態のクリップ部材73Rを接当させることにより、導電部50はその長手方向の移動を規制されることとなる。なお、クリップ部材73L,73Rを同一のサポート部材55(係止凹部55b)の左右側に設けて位置決めさせる形態でもよい。
【0033】
係止凹部55b,55bの向きは互いに反対の方向、つまり導電部50を着脱する際、サポート部材55から離れる方向に離反させる方向に開口55a,55aするものであるから、長い導電部50を装着したり、交換などのため切り離しするときにも他物との干渉を少なくし作業を効率的に行うことができる。図11は導電部50を継ぎ足し接続する場合について改良する構成である。導電部50の所定長さを確保するため繋ぎ合わせる場合がある。この図11(C)は断面を示し、芯にある銅線などの電線50aを左右電線とは圧着スリーブ50b,50bで接続するものである。このため、接続電線は一部が露出するため危険であるから、この場合には、図11(A)(B)のように、隣接する左右一対のサポート部材55,55間に保護パイプ75を挟んで構成することによって導電部50の長さを任意に変更できる。50cは被覆材である。
図12に示すように機体の後部には収納したサイドブーム13L,13Rを保持するためのブーム受け支柱76L,76Rが左右に立設されており、上部には収納受部77が形成されている。この受部77はU字状の金具で形成されており、スライドブーム28L,28Rをスライドさせてサイドブーム13L,13Rに重ねた状態のブームを保持する。
サイドブーム13L,13Rの途中部分であって噴霧ノズル18,18…を避けた位置に受部77が位置すべく設けられるが、特に静電噴霧装置を構成するため、以下の構成としている。即ち、導電部50の部分がサイドブーム13L,13R、及びスライドブーム28L,28Rに夫々構成されるため直接この導電部50を支持することができないため、この部分で中心の前記銅線、鋼管に代替して撚線状で可撓状態の高圧電線79とし、この高圧電線79を絶縁体及び可撓外装で覆い、前記固定フレーム13mに沿わせて受部77と干渉しないよう構成している。このように構成することにより、導電部50を分断することなく全範囲に渡って静電噴霧を行うことができ、然もサイドブーム13L,13R収納の際導電部50の損傷も来たさない。
なお、図12(B)の断面で示すように、固定フレーム13mの下面にはゴム状弾性体を敷き、緩衝効果を高め、高圧電線は固定フレーム13mの側面にホルダで保持して受部77との緩衝を防いでいる。
また、近傍の噴霧ノズル18,18との間隔部に受部77を構成するが、硬質外装被膜の終端を噴霧ノズル18を越えてやや上向く位置Yまでとすることにより静電効果を低下させることなく構成できる。
前記摺動フレーム28sの先端には電動部50の先端よりもやや先側においてトライアングル状の保護ガイドを設ける。この保護ガイドは導電部50の先端を保護すると共にスライドブーム28L,28Rの先端が地面に衝接するようなことがあっても下方に突出する底部で容易に衝撃を回避させる。
なお、前記ブーム受け支柱76L,76Rには夫々受部77に収容状態のサイドブーム13L,13R及び/又はスライドブーム28L,28Rの途中底部に接し得るアクチュエータ82aを備えたブーム検出スイッチ82L,82Rを構成している。
左右のブーム検出スイッチ82L,82Rがサイドブーム13L,13Rの収容を検出すると、第2、第3導電部50SL,50SR、及び第4、第5導電部50LL,50LRへの通電を切りとする構成である。このようにサイドブーム13L,13R、及びスライドブーム28L,28Rの非作業状態を判定し、この非作業時には自動的に第2、第3導電部50SL,50SR、及び第4、第5導電部50LL又は50LRが切りになって便利である。なお、作業の再開等でサイドブーム13L,13R及びスライドブーム28L,28Rを受部77から離れる動作を付与する場合、自動的に第2、第3導電部50SL,50SR、及び第4、第5導電部50LL又は50LRが入りする構成としてもよく、安全を確保するため自動的な入り動作を牽制して静電スイッチ58の操作を行うことを再開の条件としてもよい。
前記のように、サイドブーム13L,13Rに対してスライドブーム28L,28Rが摺動し左右幅を任意に拡縮できるようになっており、サイドブーム13L,13Rの噴霧ノズル18,18…には夫々切替コック83,83…を備えてノズル噴射を行う連通側とこれを遮断する遮断側とに切替え連動する構成とし、該切替コック83,83…の外部には切替レバー83a,83a…を夫々設けてなり、スライドブーム28L,28R先端に摺動動作においてこれら切替レバー83a,83a…に係合すべく係合部84を設け、該係合部84が各切替レバー83a,83aを往復する時であって、スライドブーム28L,28Rが延出する往行程時には切替レバー83a,83a…を係合して約90°回転させて順次切替コック83開に連動し、短縮化する復行程時には切替レバー83a,83a…を逆に復帰動して切替コック83閉に連動するようになっている。
符号85L,85Rはスライドブーム28L,28Rの元部に夫々配設したスライドブーム収納状態検出スイッチで、収納側にスライドしてサイドブーム13L,13Rの基部側適宜に配設した接当部へ該スイッチ85L,85Rが衝突することでスライド収納を検出しうる。
サイドブーム13L,13Rとスライドブーム28L,28Rとが重なっている状態では、サイドブーム13L,13Rの噴霧ノズル18,18…からの噴霧は行われないため、スライドブーム収納状態検出スイッチ85L,85Rが作動してスライドブーム28L,28Rのスライド収納状態の検出時には前記第2、第3静電スイッチ58SL,58SRを切に連動するようになっている。サイドブーム13L,13R側の第2、第3導電部50SL,50SRに対する第2、第3インバータ51SL,51SRへの通電を遮断することによって、無駄な電力消耗を少なくできる。
前記の実施例ではスライドブーム収納状態検出スイッチ85をスライドブーム28L,28R側に設けたが、サイドブーム13L,13R側に設けてもよく、さらに他の方法によってスライドフレーム23L,23Rが収納状態を検出できる構成であればよい。
【0034】
前記制御コントローラ41には、給電切替手段Kが組み込まれている。すなわち、図15に示すように、各主静電スイッチ53には自動接点87を直列接続している。自動接点87は、前記走行速度検出手段Sによる検出走行速度vが、予め設定した低速側設定値v1(例えばv1=0)以下であるか否かを判定し、その結果、低速側設定値v1以下であるときにはオン信号を出力せず自動接点87はオフを継続する。したがってこの低速側設定値v1以下のときには例え静電スイッチ53がオンであっても制御コントローラ41には静電スイッチ信号は入力されない。つまり、機体1の走行速度vが「0」の機体停止状態のとき、各インバータ51に給電されず、各導電部50は帯電されない。走行速度vが低速側所定値v1を超えると、つまり所定に前進しているときには、自動接点87は作動信号を受けて接点をオンする。したがって、主静電スイッチ58を予めオンに設定しておくことにより、機体1が前進するに伴ない自動的に主静電スイッチ53信号が出力されることになり、導電部50が自動的にオンされる。このため散布作業中、旋回時や作業中断の時、都度静電スイッチ56を操作する必要なく自動的にオフするから、不測の漏電やショート(短絡)による事故を少なくできる。
【0035】
また、走行速度検出手段Sによる検出走行速度vが予め設定した高速側所定値v2を超えると自動接点87がオフする構成としている。高速側所定値v2を通常散布作業が行われる走行速度よりもやや高い速度に設定しておくことにより、この高速側所定値v2を超える状態、つまり非散布作業で路上走行や圃場間移動による走行状態と推定され、このような場合には、導電部50をオフして機体停止時と同様、前記不測の漏電やショート(短絡)による事故を少なくできる。
【0036】
図16のフローチャートに従ってその作用を説明する。
【0037】
図外キースイッチをオンしてエンジン1を起動し、制御コントローラ41に通電する(ステップ101)。ついで自動スイッチ48のオンの有無による自動モードか否かが判定される(ステップ102)。自動モードと判定された後、散布量設定を行い、防除ポンプ駆動スイッチ39、ブームスイッチ42、主静電スイッチ53、各静電スイッチ58、後述ブロアスイッチ92を夫々オンし、開閉コックを開き(ステップ103〜109)、散布準備を行う。走行レバーを操作することによって機体1を前進させると(ステップ110)、走行速度検出手段Sの検出データを入力し(ステップ111)、予め設定した低速側所定値v1(実施例ではv1=0)、および予め設定した高速側所定値v2との対比を行う(ステップ112、114)。v>v1のときは防除ポンプ用自動接点88オン出力する(ステップ113)。
なお、この防除ポンプ自動接点88は、前記防除ポンプ駆動スイッチ39と直列に設けられ駆動スイッチ39がオン条件の下で自動接点88のオン出力とが揃うと制御コントローラ41において防除ポンプ駆動出力がなされる構成である。
【0038】
更に前記ステップ114でv<v2の作業適正範囲にあるときは、静電スイッチ自動接点87がオン出力し、前記ステップ107の主静電スイッチ53のオン操作と相俟って制御コントローラ41に静電スイッチオン情報が入力される(ステップ115)。このように、ステップ113、115の条件が整うと、検出走行速度vに比例して流量Qを制御しながら散布作業が行われる(ステップ116)。なお、流量Qの制御は、走行速度vと設定散布量qとから算出された流量Qとなるように、前記流量制御弁34をコントロールする構成である(ステップ118)。また、ステップ113、115の条件が整わないときは、静電スイッチ自動接点87をオフ継続する(ステップ117)。
【0039】
その後キースイッチオフ操作があるまで作業を継続し、該キースイッチがオフ操作されると防除ポンプ用自動接点88、静電スイッチ用自動接点89共にオフとなる(ステップ120、121)。
【0040】
前記の例では、走行速度vが、低速側及び高速側所定値v1,v2の範囲であるときは、所定に自動モードでの散布作業および散布量制御がなされ、これら範囲を超えると散布作業は牽制されるが、特に高速側での牽制について、走行速度vの管理に基づくものでなく、走行用操作レバーやペダル等、例えばHST無段変速装置用のHSTレバーやHSTペダルの操作量を検出できる構成とし、この検出結果に基づき、機体が所定速度以上で走行することが予測される場合には、防除ポンプ用自動接点88、静電スイッチ用自動接点89共にオフとして散布作業を牽制することができる。
図17は、噴霧ノズル種類設定による給電圧制御に関するフローチャートである。図18に示すように、噴霧ノズル16,18,29はいずれもブーム本体等の固定側に対し水平軸P回りに回動可能に設けた回動部Xに放射状に3種類のノズル部N1,N2,N3を備えている。ここで、例えばN1は慣行ノズル部で100リットル散布、N2は除草剤用ノズル部で150リットル散布、N3は少量散布用ノズル部で25リットル散布に供されるものである。このように、散布量が異なるがその相違はノズル径によって設定している。ところで、このように散布量が異なるノズルN1,N2,N3の組合せを取る場合、前記導電部50の電圧も対照的に相違させておくのがのぞましい。例えば、N1の慣行ノズル部では7千V、N2の除草剤用ノズル部では1万V、N3の少量散布用ノズル部では5千Vの如きである。このため、前記高電圧電源装置としてのインバータ51に可変ダイヤル90によって電圧変更可能に設けるとともに、選択信号に基づいて予め設定した電圧を選択できるよう構成しておき、制御コントローラ41の記憶部に設定記憶させておく。
一方上記の固定側Lとノズル部N1,N2,N3付き回動部Xとの間に、いずれのノズル部が下向くセット位置にあるかを判別する設定ノズル部検出手段Rを構成し、この検出結果を前記制御コントローラ41が入力できるよう構成する。したがって、制御コントローラ41は、設定ノズル部検出手段Rの検出結果によるノズル部N1,N2又はN3を判別し、この判別に基づき、予め設定してある電圧が出力されるべき信号を導電部50に出力する構成である。
なお図17に示すフローチャートでは、標準供給電圧に対する+α、−βで表現しているが趣旨は前記のとおりである。
また、上記の実施例では、ノズル種類の変更に基づいて供給電圧を大小に変更する構成としたが、前記流量制御弁34への変更制御出力に基づいて、供給電圧を共に変更制御する構成としてもよい。このように構成することによってきめ細かい静電散布制御を行うことができる。
【0041】
図19,20はノズル部周辺の改良構成を示す。導電部50に水滴が付着すると漏電の恐れがあるため、この構成では、機体後部のブロア91から前側にダクト92を設け、その先端開口部を噴霧ノズル16,18,29の斜め前上方からエアを吹きつける得るように配設している(図19)。このように構成することによって予め水滴を除去し得て帯電性の悪化を防止できる。なお、ブロア91を駆動するブロアスイッチ93は手動スイッチでもよいが、自動接点構成とし、前記走行速度検出による散布開始と共にブロア91のクラッチがオンする構成としてもよい。
【0042】
図20に示す構成は、ダクト92の先端開口部の向きを前方とし、噴霧ノズル16,18,29の前方にエアを吹き付けるようエアノズル94を構成する。このように構成することによって、大豆など葉の繁茂した作物の葉をエア噴射により噴霧前に掻き分け反転させながら薬液噴霧することで葉の奥や葉裏への静電装置による薬液付着率を向上する。
【0043】
図21は静電噴霧装置の導電部50を備えた噴霧装置に、所謂吊下げノズル95形態と組み合わせることによって作物の全体に薬液を行き渡らせることができる。特に葉が繁茂し葉同士が重なりあう葉裏への薬液付着の向上が図れる。なお、静電用ノズル16,18,29の配設に対し、吊下げノズル95の配設を交互に存在する関係に設けることにより、薬液噴霧を効果的に行わせる。また、吊下げノズル95形態に加え、又は吊下げノズル形態とは別に、サイドブーム13L,13Rを延長する鉄砲型噴霧ノズル96を設けた構成として側方への飛散を良好に行う構成を付加してもよい(図22)。
【符号の説明】
【0044】
1 機体
10 昇降リンク機構
12 ブーム支持枠
13L サイドブーム
13R サイドブーム
13m 固定フレーム
14 ブーム支持枠
16 噴霧ノズル
18 噴霧ノズル
28L スライドブーム
28R スライドブーム
28s 摺動フレーム
29 噴霧ノズル
30 薬液タンク
41 制御コントローラ
50C 第1導電部(導電部)
50SL 第2導電部(導電部)
50SR 第3導電部(導電部)
50LL 第4導電部(導電部)
50LR 第5導電部(導電部)
51C 第1インバータ(高電圧電源装置)
51SL 第2インバータ(高電圧電源装置)
51SR 第3インバータ(高電圧電源装置)
51LL 第4インバータ(高電圧電源装置)
51LR 第5インバータ(高電圧電源装置)
58C 第1静電スイッチ(静電スイッチ)
58SL 第2静電スイッチ(静電スイッチ)
58SR 第3静電スイッチ(静電スイッチ)
58LL 第4静電スイッチ(静電スイッチ)
58LR 第5静電スイッチ(静電スイッチ)
82L ブーム検出スイッチ
82R ブーム検出スイッチ
S 走行速度検出手段
K 給電切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液タンク(30)を搭載した機体(1)に、昇降リンク機構(10)の基部を枢支し、該昇降リンク機構(10)にブーム支持枠(14)を設け、このブーム支持枠(14)に、夫々薬液を噴出する複数の噴霧ノズル(16,18)を備えたセンタブーム(12)を固定して設けると共に左右のサイドブーム(13L,13R)を機体側方に延出する状態と機体側面に収納する状態に開閉回動可能に設け、センタブーム(12)の噴霧ノズル(16,16…)の近傍に第1導電部(50C)を配設し、左右サイドブーム(13L,13R)の噴霧ノズル(18,18…)の近傍に第2,第3導電部(50SL,50SR)を夫々配設し、前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)へ高電圧を供給する高電圧電源装置(51C,51SL,51SR)を設けた薬液散布作業機において、機体(1)の走行速度を検出する走行速度検出手段(S)を設け、この走行速度検出手段による検出走行速度(v)が予め設定した低速側所定値(v1)以下の時には前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を切り、該検出走行速度(v)が低速側所定値(v1)を超えると前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を入りに切り替える給電切替手段(K)を設けたことを特徴とする薬液散布作業機。
【請求項2】
走行速度検出手段(S)の検出走行速度(v)の検出結果に基づき、予め設定した高速側所定値(v2)を超えると前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を切る構成とした請求項1に記載の薬液散布作業機。
【請求項3】
走行用変速装置(M)が所定高速域に変速された時、前記第1導電部〜第3導電部(50C,50SL,50SR)への高電圧供給を切る構成とした請求項1に記載の薬液散布作業機。
【請求項4】
走行速度検出手段の検出走行速度(v)の検出結果に基づき噴霧ノズル(16,18)からの噴霧量を大小に変更制御する構成とした請求項1、請求項2又は請求項3に記載の薬液散布作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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