説明

薬物動力学的モデリングのための、知識に基づく入力関心領域の定義

本発明は、薬物動力学的モデリングにおいて入力関心領域(ROI)を定義するための、該入力関数の形の先験的な知識に基づくシステム、装置および方法を提供する。動力学的パラメータの推定は、トレーサー入力活性の知識を必要とし、本発明は、投与量に基づいた、入力関数の形の先験的な知識を考慮に入れた、入力関数の推定のためにROIを定義する自動的な方法を提供する。既存の撮像解析システムに本発明を適用する結果、必要とされる手動の対話の量が減少し、それにより動的手順の評価においてオペレーター依存性が減る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間および空間にわたって分散された一連のトレーサー活性測定値を含む四次元データセットから動力学的モデル/入力関数のパラメータを推定するための入力関心領域(ROI: region-of-interest)を定義するシステム、装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、投与量(administered dose)に基づいた、入力関数の形についての先験的な知識を考慮に入れた、ROIを定義する自動的な方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
薬物動力学的モデリングは、一連のトレーサー(放射活性で標識された造影剤)活性測定値(たとえば陽電子放出断層撮影による)から動力学的モデルのパラメータを推定する。モデルは生物学的過程を記述するので、そのパラメータは、診断的に価値のある直接的な機能的解釈(たとえば、F-フルオロミソニダゾル[FMISO]についての低酸素症)をもつ。前記測定値は、四次元(4D)データセットの形で時間および空間における活性分布を表す。動力学的パラメータの推定手順は、トレーサー入力活性の知識を要する。この入力活性は、侵襲的に測定されることもできるし、あるいは前処理ステップにおいて当該データから推定されることもできる。
【0003】
推定問題は、モデルおよびその入力が解析的に記述される場合、効率的に解ける。検査対象の患者の機能的/形態的属性を表示するために計算機断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出断層撮影(SPECT)および超音波(US)といった医療撮像装置を使うとき、いくつかの静的スキャンまたは連続した時系列の動的スキャンが記録される。これらの画像にエンコードされている関心のある医療情報を得るためには、ある種の応用では、根底にある化学的、生物学的および生理学的過程の区分的な(compartmental)解析が達成されねばならない。撮像装置が提供できる最大解像度を活用するため、この解析はボクセル毎の基準で(on a per-voxel basis)行う必要がある。
【0004】
典型的には、パラメータで表された関数(しばしば指数項[exponential terms]の和)がROIにわたる平均データにあてはめられ、それにより解析的な入力の表現が得られる。ROIは、たとえば動脈または左心室の血液プールである。適正な入力関数表現を得るためには、入力関数の推定のために使われるデータ中のROIが重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のこのシステム、装置および方法は、投与量に基づいた、入力関数の形についての先験的な知識を考慮に入れることによって、入力関数の推定のために入力関心領域(ROI)を定義する自動的な方法を提供する。これは、動的手順の評価において、手動の対話の量およびオペレーターへの依存性を減らすことにつながる。
【0006】
日常的な臨床使用が目標とされるときは、非侵襲的な入力関数推定が薬物動力学的モデリングの重要な構成要素である。薬物動力学的モデリングは、PETのような撮像技法によって得られる放射標識された造影剤の一連の活性測定から動力学的モデルのパラメータを推定する。動力学的パラメータの推定は、造影剤の入力活性の推定を必要とする。入力関数を推定する一つの方法は、測定データ中の適正に選択された領域、すなわち適正に選択された入力ROIから抽出することである。これは、納得のいく程度のROIがデータ中に存在していることおよびその入念な描出を要求する。すなわち、入力関数推定のために使われるデータ中のROIが、入力関数の精密な表現を得るために重要である。ROIの定義/描出は、時間がかかりかつオペレーターに依存する仕事であり、よって、必要とされる手動の対話が最小限な、本発明のようなROI定義/描出の自動的な技法が好ましい。本発明は、入力関数推定のためのROI定義/描出において先験的データを使うことによって、手動の対話の量およびオペレーター依存性を減らす。
【0007】
現在のところ、いくつかの自動的な技法が用いられている。
【0008】
1.トレーサー特性に起因する強いスピルオーバー効果を被る15-O水灌流画像上でのROI定義問題に対処するために、因子分析(Factor Analysis)が用いられる。たとえば、Ji Young Ahn et al., "Quantification of Regional Myocardial Blood Flow Using Dynamic H215-O PET and Factor Analysis," J Nucl Med, vol. 42, no. 5, pp. 782-787, May 2001を参照。因子分析は、市販の動力学解析パッケージPMODで利用可能である。たとえば、URL http://www.pmod.com/technologies/index.htmlにある"Biomedical Image Quantification and Kinetic Modeling Software"と題するPMOD Technologies LTDのホームページ(2005年8月4日)を参照。このコピーが付録Aに収録されている。
【0009】
しかしながら、因子画像には生理学的な意味がない、因子分析は限られた空間および時間解像度や解析されるべきデータ中のノイズレベルに敏感であるといった欠点が残る。
【0010】
2.ソース分離技法のような独立成分分析(Independent Component Analysis)が上の段落1で述べたROI定義問題に取り組むために用いられる。たとえばJ. S. Lee et. al., "Blind Separation of Cardiac Components and Extraction of Input Function from H215-O Dynamic Myocardial PET Using Independent Component Analysis," J Nucl Med, vol. 42, no. 6, pp. 938-943, June 2001を参照。この手法は、先に論じた因子分析手法の拡張であるが、ノイズ問題に対処する。データは一組の独立成分に変換される。独立成分では、ROI定義は自動的に行われ、元のデータで行うより現実的である。解像度および相互運用性に関する主要な問題が残る。
【0011】
3.クラスター分析(Cluster analysis)は、標準的な(K平均[K means])クラスター化アルゴリズムを使って、データからの、似たような時間活性曲線(TAC: time activity curve)をもつボクセルをグループ化する。M. Liptrot et. al., "Cluster Analysis in Kinetic Modeling of the Brain: A Non-Invasive Alternative to Arterial Sampling," Neuroimage, vol. 21, pp. 483-491, 2004を参照。これは、動脈を使うROIベースの手法が核医学における限られた空間解像度および画像中の動脈の小ささに悩まされる神経学上の問題に適用されてきた。この仕方で得られたROIは、空間的というよりは機能的なものである。
【0012】
4.シード点(手動で定義されるか自動的に選ばれる)に基づく領域成長(Region growing)は、一般的に使われるもう一つの技法である。この場合、プロセスは任意のシード・ピクセルを選び、それを近隣ピクセルと比較することによって開始される(図5参照)。シード・ピクセルのまわりで、似たような近隣ピクセルを追加していくことによって領域のサイズが大きくなり、領域が成長させられる。ある領域の成長が止まると、まだどの領域にも属していない別のシード・ピクセルが選ばれ、成長プロセスが反復される。選択‐成長のプロセスは、すべてのピクセルが何らかの領域に属するまで繰り返される。領域成長の諸方法は、しばしば、観察されるエッジによく対応する非常に良好なセグメンテーションを与える。しかしながら、特定のシード・ピクセルをもって始まり、他のシードを試す前にある領域を完全に成長させるというやり方は、先にセグメンテーションされる領域に有利なようにセグメンテーションを偏らせることになり、いくつかの望ましからぬ結果をもちうる:
・現在の領域が成長プロセスを支配する――隣接領域のエッジのまわりの曖昧さが正しく解像されないことがありうる;
・シードの異なる選択が異なるセグメンテーション結果を与えることがありうる;
・(任意に選ばれる)シード点がエッジ上にあると、問題が起こりうる。
【0013】
上記の問題に対処するため、同時的領域成長(simultaneous region growing)技法が開発されている:
・近隣領域の類似性が成長プロセスにおいて考慮される;
・どの一つの領域もプロセスを完全に支配することは許されない;
・いくつかの領域が同時に成長することが許される。
似たような領域は、徐々に、拡大する領域に融合していく。しかしながら、これらの方法の制御はきわめて複雑となりうる。それでも、効率的な諸方法が開発されてきた。プラス面では、これらは並列計算機上で実装するのが簡単かつ効率的である。
【0014】
上で論じたような自動的または目隠し式(blind)諸方法は、呈示されるシナリオにおいてはある程度機能するが、適正かつ納得のいく解への収束は保証されない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、非侵襲的な入力関数推定のためのROI定義において先験的な知識を使う。本発明は、ピーク・サイズのような入力時間活性曲線(TAC)の形状特性を定義するために先験的な知識を使う。本発明が活用する先験的な知識は、次のものを含む:
・トレーサー特性および投与量;
・患者の体重および血液体積(おそらくは体重から推定される);
・スキャナ特性。
【0016】
先験的知識およびパラメータに基づいて、本発明は「基準TAC」を計算し、計算された「基準TAC」の少なくとも一つの主要パラメータを計算する。「基準TAC」の少なくとも一つの主要パラメータは、ピークのサイズおよび幅を含む。計算された「基準TAC」を使って、クラスタリングまたは領域成長アルゴリズムが選択され、操縦されて、ROIが定義される。クラスター・アルゴリズムおよび「基準TAC」との比較は、TACについての距離測定を必要とする。本発明は、H. Guo et. al., "Clustering huge data sets for parametric pet imaging," Biosystems, vol. 71, no. 1-2, pp. 81-92, 2003によって提供されるような距離測定の集合のうちの任意のものを用いる。ある好ましい実施形態では、これらの距離指標は以下のように定義される。
【0017】
d(x,y)が多変量ベクトルxおよびyの間の不一致の測定値であるとする。たとえば、典型的な選択は、
【0018】
【数1】

という重み付きミンコフスキーpノルムを使うことであろう。これは、ノルムの数学的要件を満たし、すべてのlについてwl=1に選ぶことは、各特徴xlの重要性が等しいことを想定することになる。p=2については、これは重み付けされた平方和、すなわちユークリッド距離であり、p=1についてはこれは重み付けされたマンハッタン・ノルムである。この距離の計算は、要素的に(element-wise)、すなわち所与のクラスター中の全要素について別のクラスター中の全要素と比較して、あるいはクラスター重心(cluster centroid)のようなクラスターの代表的な要素に関してでありうる。階層的重心連結(HCL: hierarchical centroid linkage)は、グループlについての重心μlを代表的なグループ・ベクトルとして使用し、クラスター間の距離は、グループ・ベクトル間の距離DIJ=d(μIJ)によって与えられる。R. R. Sokal et. al., "A Statistical Method for Evaluating Systematic Relationships," Univ. Kansas Sci. Bull. 38, pp. 1409-1438 (1958)を参照。単一の点から単一のクラスターまでの距離はd(μI,yJ)である。Y. Zhou, "Model Fitting with Spatial Constraint for Parametric Imaging in Dynamic PET Studies," Ph.D. thesis, UCLA, Biomedical Physics, (2000)はHALを使う。ここでは、
【0019】
【数2】

で与えられる、それぞれ大きさnIおよびnJのクラスターIとJの間の平均距離が、全要素対に関する平均距離を測るために使われる(前掲Sokal et al.)。
【0020】
PETのためには、機能性PET(functional PET)において使用される増大する時間窓に起因する異なる時間フレームのSNRの差を取り入れるために、重みが含められることは必須である。したがって、l番目の時間窓の幅をtlとして、要素xlはwl=tlで重み付けされる。図2は、健康な個人のFDG-PET画像のスライス16についての5つのクラスターのクラスタリングを、異なる定義の距離について示している。右から左、上から下に、これらは:(a)マンハッタン距離、(b)ユークリッド距離、(c)重み付けされたマンハッタン距離および(d)重み付けされたユークリッド距離。
【0021】
代替的な実施形態では、「基準TAC」は、上記からの自動的に抽出された領域に対する診断的な(後)チェックとして使用される。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、薬物動力学的モデリングにおける入力関数のための定義において、先験的な知識を取り込む。それにより、本発明は:
・先験的知識に基づく追加的な制約を通じて堅牢さを増し、それにより、自動的または目隠し的な技法がもっともらしくない解を生じることを防止でき;
・手動の対話を必要とする問題または障害を検出するために自動的または目隠し的な技法に対する診断チェックとしてはたらく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下の記述が例示の目的のために与えられるものであり、限定するためでないことは当業者は理解するはずである。当業者は、本発明の精神および付属の特許請求の範囲内にある数多くの変形が存在することを理解する。既知の機能および動作の無用な詳細は、本発明をかすませることがないよう、本記載から省かれることがある。
【0024】
本発明に基づく、動力学的モデリングの入力推定ステップに先験的知識を含めることは、堅牢さを増し、より高いレベルの自動化を許容する。これは作業フローをなめらかにし、日常的な臨床使用のために必須である、動力学的モデリングに関する動的手順の解析のための手動での対話の量を減らす。
【0025】
ここで図3を参照すると、ある好ましい実施形態によれば、入力関数推定のためのROI定義に先験的知識を含めることは、以下のステップを実行することによって達成される。
【0026】
1.基準入力TAC計算モジュール301が、上記の先験的知識を反映する「基準入力TAC」の計算を、次のサブステップを実行することによって行う:
a.投与されるトレーサー量およびスキャナ感度を提供し(301.a);
b.提供された量および感度に基づいて推定および入力ピーク・サイズを導出し(301.b);
c.注入(infusion)プロトコルおよび血液体積を提供し(301.c);
d.提供されたプロトコルおよび体積を使ってピーク幅およびテール幅のうちの少なくとも一つを推定し(301.d);
e.推定されたピークおよびテールのうちの少なくとも一つを使って、次のステップからなる群から選択されるステップを実行することによって、「基準入力TAC」を定義する(301.e):
i.「基準入力TAC」をパラメータ的に特徴付ける(301.e.i);
ii.「基準入力TAC」の完全な表現を構築する(301.e.ii)。
【0027】
2.ROI定義モジュール302が、入力データからのボクセルのサブセットを選択することによってROIを定義する。ここで、入力関数のためのROIの定義は、次からなる群から選択される戦略のうちの一つを使う:
a.ボクセル選択要素302.aが、「基準入力TAC」と似たすべてのボクセルを、たとえばずっと粗い所定のROI303内で選択する;
b.ボクセル・クラスター化要素302.bが、ボクセル・クラスター化を行う。ここで、図4を参照すると、クラスターの選択は、「基準入力TAC」に最もよく似ているものとする(302.b.i)およびクラスター化プロセスに「基準入力TAC」との類似性を組み込む(302.b.ii)からなる群から選択される技法に従うものである(たとえば、M. Liptrot et. al., "Cluster Analysis in Kinetic Modeling of the Brain: A Non-Invasive Alternative to Arterial Sampling," Neuroimage, vol. 21, pp.483-91, 2004を参照);
c.ボクセル領域成長要素302.cが、最良一致ボクセル(単数または複数)からの領域成長を行う。
【0028】
画像解析システムは、典型的には、入力として、記録された画像の完全なセット(四次元的な、スキャンの時系列)を有し、この入力から、あらゆる関連する化学的、生物学的および生理学的パラメータのマップを、要求されるボクセル毎の基準で生成する。たとえば、本発明を含むある好ましい実施形態では、これは図1に示されるシステムによって達成される。
【0029】
1.データ取得および前処理:
a.医療撮像装置から本発明に従って修正された300装置への、入力医療画像データ(静的/動的な時系列)の転送101;
b.データ補正(たとえば、部分体積(partial volume)効果など)102;
c.異なるデータ・サブセット(たとえば、異なる時間フレームまたは異なるモダリティーからのデータ)どうしの相互位置合わせ(co-registration)103;
d.入力データ106からの誤差データセット107の、ノイズ・モデル104による、あるいは医療撮像装置のたとえば幾何およびハードウェア仕様といった側面を組み込むシミュレーション105による計算。
【0030】
2.入力データ106および該入力データ106の誤差データ107の可視化108。
【0031】
3.本発明300に基づく、関心領域(ROI)の選択。あらかじめ定義された「粗い」ROI303を任意的に指定。
【0032】
4.数学的解析110:
a.複数の代替を含むリストから区分モデルを選択;
b.モデル・パラメータの指定:開始値、下限および上限、追加的な固定パラメータ;
c.解析方法の選択:ROI内のボクセル毎(最初は低く、その後上がる解像度を用いた1パスまたは複数パス)、あるいは領域的(ROIの平均);
d.最適化方法の選択111(たとえば、Levenberg-Marquard、Gauss-Newton、シンプレックス);
e.区分モデルの根底にある微分方程式を解析的に解き、必要ならモデル・パラメータに関する勾配の解析的計算110;
f.重み付けされた最小二乗あてはめを入力データに使って、関連するパラメータ(aおよびbのもとで指定される)に関する前記解を最適化。
【0033】
5.最適化、パラメータ誤差推定および統計的情報(相関行列のχ2/d.o.f.など)の最終結果を保存;ここで、d.o.f.は自由度(degrees of freedom)である。
【0034】
6.結果の可視化108‐?114:
a.すべての関連するパラメータのパラメータ・マップ113の可視化114;
b.前記マップを追加的な医療画像(たとえば解剖学的なCTスキャン)112と融合する可能性;
c.最適化されたパラメータのセットを使った、結果として得られるモデル曲線(たとえば、動的スキャンについての時間活性曲線)を、入力データに対して重畳して110可視化108。
【0035】
図1のシステムは本発明を含んでおり、たとえば医療撮像装置からのリアルタイムの、あるいは記憶装置からの入力医療画像データ101を転送することから始まる、結果の可視化108および114までの、すべてのステップを実行する。そのような統合されたシステムは、各処理ステップのためにさまざまなフォーマットの間でデータが複数回変換される必要がないという利点を有する。結果として得られるパラメータ・マップの可視化114および追加的な情報109との融合112も、同じシステムを使って実行できる。
【0036】
本発明は、動的取得手順のほか非動的取得手順、たとえば試験後の確認用解析に基づく向上した解析のために、薬物動力学的モデリングを用いる画像解析プロダクトに適用可能である。本発明は、装置、たとえば機能的に専用のICであっても、あるいは画像解析機械にバンドルされるソフトウェア・モジュールであってもよいし、あるいはスタンド・アローン・システムとして販売されてもよい。
【0037】
本発明の好ましい実施形態について例示および説明してきたが、当業者は、ここに記載されるシステム、装置および方法が例示的であり、本発明の真の範囲から外れることなく、さまざまな変更および修正をなしてもよく、その要素に等価物を代替してもよいことは理解するであろう。さらに、本発明の中心的な範囲から外れることなく、本発明の教示を特定の医療撮像構成に適応させるために数多くの修正をなしうる。したがって、本発明が、本発明を実施するために考えられている最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は付属の特許請求の範囲にはいるあらゆる実施形態を含むものであることが意図されている。

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に基づく、ROIを定義するよう修正された画像解析システムを示す図である。
【図2】PET画像に適用されるクラスタリングを示す図である。
【図3】関心領域の知識に基づく定義のための、本発明に基づく装置を示す図である。
【図4】本発明の方法の流れ図を示す図である。
【図5】領域成長の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物動力学的モデリング手順への入力関数の非侵襲的な定義のために先験的データを使う方法であって:
医療画像を受領する段階と;
受領された医療画像の少なくとも一つの属性を記述する先験的データを提供する段階と;
提供された先験的データを用い、受領された医療画像について、少なくとも一つの主要パラメータをもつ基準入力時間活性曲線(TAC: time-of-activity curve)を計算する段階と;
計算された基準入力TACを使って薬物動力学的モデリング手順への入力関数を定義する段階とを有する方法。
【請求項2】
前記定義する段階がさらに:
計算されたTACが計算可能でありかつ正確であるかどうかを、所定の正確性基準を使って判定する段階と;
計算されたTACが計算可能でありかつ正確であると判定される場合は、前記定義する段階は、計算されたTACを薬物動力学的モデリング手順への入力関数として定義し;
そうでない場合は、前記定義する段階は、計算されたTACを関心領域(ROI)を定義するために使って、薬物動力学的モデリング手順への入力関数とする段階とを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記先験的データが、トレーサー特性の組と投与量、患者の体重と血液体積および医療撮像装置の特性の組からなる群から選択される少なくとも一つの項目を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの主要パラメータが、ピークのサイズおよび幅ならびにテールのサイズおよび幅からなる群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記定義する段階がさらに:
計算されたTACに最もよく一致する、受領された医療画像の最良一致ボクセル(best-matching voxels)を同定する段階と;
同定された最良一致ボクセルを使って領域成長を行って、少なくとも一つのROIを自動的に定義する段階とを有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記同定する段階がさらに、ボクセルと計算されたTACとの間の所定の距離測定に基づいて最良一致ボクセルを選択することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記先験的データが、トレーサー特性の組と投与量、患者の体重と血液体積および医療撮像装置の特性の組からなる群から選択される少なくとも一つの項目を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記先験的データがさらに、領域成長を行う前記段階における同定された最良一致ボクセルとして、所定の「粗い」ROIを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
計算されたTACを後診断として使って、前記の定義されたROIをチェックする段階をさらに有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記距離指標が、マンハッタン距離、ユークリッド距離、重み付けされたマンハッタン距離および重み付けされたユークリッド距離からなる群から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項11】
計算されたTACを後診断として使って、前記の定義されたROIをチェックする段階をさらに有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
薬物動力学的モデリング手順への入力関数の非侵襲的な定義のための装置であって:
先験的データを含む受領された医療画像データに基づいて基準入力TACを計算する基準入力TAC計算モジュールと;
計算された基準入力TACを受領し、それに基づいてROIを定義する関心領域(ROI)定義モジュールとを有しており;
入力関数を定義するために請求項9記載の方法を実行する、装置。
【請求項13】
薬物動力学的モデリング手順への入力関数の非侵襲的な定義のための装置であって:
先験的データに基づいて基準入力TACを計算する基準入力TAC計算モジュールと;
計算された基準入力TACを受領し、それに基づいてROIを定義する関心領域(ROI)定義モジュールとを有しており;
入力関数を定義するために請求項11記載の方法を実行する、装置。
【請求項14】
医療画像解析システムであって:
医療画像データを取得し、取得されたデータを補正および相互位置合わせし、それから誤差データセットを計算して処理された入力画像データセットを生成するデータ取得前処理モジュールと;
生成された入力画像データセットから入力関数を非侵襲的に定義する、請求項12記載の装置と;
入力関数を受け容れ、それを用いてデータをモデル化する、薬物動力学的モデリングサブシステムとを有する、システム。
【請求項15】
医療画像解析システムであって:
医療画像データを取得し、取得されたデータを補正および相互位置合わせし、それから誤差データセットを計算して処理された入力画像データセットを生成するデータ取得前処理モジュールと;
生成された入力画像データセットから入力関数を非侵襲的に定義する、請求項13記載の装置と;
入力関数を受け容れ、それを用いてデータをモデル化する、薬物動力学的モデリングサブシステムとを有する、システム。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2009−512913(P2009−512913A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530710(P2008−530710)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053265
【国際公開番号】WO2007/034378
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】