説明

薬物送達システム

医薬組成物は第1の活性(例えば、抗菌性)薬剤および第2の(例えば、抗真菌性)活性薬剤より構成され、外陰膣表面に対して生体接着するよう適合された成分を含む。前記組成物は、第1の活性薬剤の放出特性と比較して、第2の活性薬剤が実質的に遅延した放出特性、持続した放出特性および/または反転した放出特性を示す、かかる表面での活性薬剤の差時的放出を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの活性薬剤の併用膣送達に適切な医薬組成物に関する。さらに本発明は、活性薬剤のかかる併用が示される外陰膣系の症状を有する女性の、かかる組成物の治療方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
女性患者の下部尿生殖路または外陰膣系に影響を与える多数の症状(障害、疾患および症候群を含む)において、2つまたは複数の活性薬剤を伴う併用療法が示される。ある場合において、そのような症状は、異なる作用様式を有する活性薬剤が1つより多い潜在的原因に対処可能な多元的病因を有する。別の場合において、症状は単一の潜在的原因を有しうるが、病徴を軽減する1つの活性薬剤および潜在的原因に対処する別の活性薬剤により治療可能である。さらに別の場合において、病因においては互いに多かれ少なかれ独立しているが、互いが重なって起こる場合に、いずれかの単独の症状よりも患者の健康により深刻な障害を生じうる2つまたは複数の症状を、患者は示す。なおさらに別の場合において、第1の症状の存在が第2の症状に対する患者の感受性を増加させ、併用療法は第2の症状のリスクを防止または減少させながら第1の症状を治療することが示される。2つまたは複数の薬剤の併用が示されるさらにその他の場合は、当業者により容易に想像されるであろう。
【0003】
併用療法に応答性の、例示的でありその上一般的な症状は、伝染性膣炎である。伝染性膣炎は、膣の微生物感染に関連する範囲の症状、およびそれに付随する時には外陰部まで及ぶ炎症を包含する。伝染性膣炎は、米国において年間推定1500万件の診療所訪問を占めており、特にカンジダ感染のための市販薬が入手可能であるので、多くの付加的な症例が医師の診断なしに薬で治療される。
【0004】
膣炎に関わる感染因子は、
(a)真菌、より具体的には酵母、特に1つまたは複数のカンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス(C.dubliniensis)、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・ケフィール(C.kefyr)、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニエ(C.lusitaniae)、カンジダ・ネオフォルマンス、カンジダ・パラシロープシス(C.parasilopsis)およびカンジダ・トロピカリス(その中で最も一般的なものはカンジダ・アルビカンス)を含むカンジダ属の種と;
(b)細菌、一般的には1つまたは複数のバクテロイデス属の種、膣ガードネレラ、モビルンカス属(Mobiluncus)の種、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)およびペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)の種(一般には膣ガードネレラが最も優勢)を含む多様な種と;および
(c)原虫類(特に膣トリコモナス)と、を含む。
【0005】
本明細書において総称として外陰膣カンジダ症(VVC)と呼ばれるカンジダ感染は、膣炎の最もよく知られている原因であり、女性の約75%が生涯の間に少なくとも一度は罹患すると考えられている。一般にVVCは性感染しない。細菌性膣症(BV)(細菌感染によって引き起こされる膣症状または外陰膣症状に対して本明細書において使用される総称)は、他の伝播様式でも起こりうるが、一般に性感染症と考えられている。VVCおよびBVの症状は、炎症(例えば、発赤、灼熱感および/またはそう痒として現われる)、性交疼痛および異常分泌物を含み、BVの場合には分泌物が魚臭を有する傾向がある。他の診断基準は、VVCでは膣のpHが約4.7より低いまたはBVでは約4.7より高いこと、およびBVでは「クルー細胞」(顆粒状外観を有する上皮細胞)の存在を含む。
【0006】
VVCは、典型的には厄介で、患者をしばしば非常に悩ますものであるが、めったに深刻な症状または生命を脅かす症状の発症には比較的関係しない。一方、BVは治療しない場合、子宮頚管炎、骨盤内炎症性疾患、子宮頸部形成異常、尿路感染、術後感染、HIVおよびHSV−2を含むウィルス感染に対する感受性の増加、ならびに妊婦における早産、予定日前の膜破裂、羊水内感染、予定日前分娩ならびに分娩後子宮内膜炎のような重篤症状をもたらす可能性がある。
【0007】
細菌感染およびカンジダ感染は共存しうる。細菌およびカンジダの混合(本明細書において「BV/VVC」)感染症は、膣炎症例中では最大約5分の1生じる。例えば、反復症状をともなう35人の患者における症候性膣炎の132回の症状発現においては、15%はBV/VVC混合感染を伴っていることが、非特許文献1により報告された。
【0008】
他の研究(非特許文献2)では、VVCを治療するところであった95人の女性のうちで、34%はVVC単独への感染、19%はBV単独への感染、および19%はBV/VVCへの混合感染が確認されたことが報告された。
【0009】
そのような混合感染が診断されないということ、ならびにあたかも真菌感染単独または細菌感染単独に対するかのように、大衆薬治療または処方薬物治療が行なわれることは、重要な問題である。カンジダ・アルビカンスのような真菌および膣ガードネレラのような細菌は両方とも日和見病原体であり、したがって混合感染の場合には、一方の除去により他方の急速な集団増加がもたらされる可能性がある。したがって、例えば、ブトコナゾールのような抗真菌剤でのみ局所治療されたBV/VVC混合感染は、急速に深刻なBV感染になり得、次に、さらなる局所適用または全身的な(例えば経口抗生物質)治療のどちらかでの、フォローアップ抗菌性治療を必要とする。そのような誤診が含む意味は、特に治療しない場合のBVが導く重篤症状を考慮すると重要である。
【0010】
したがって、BVおよびBV/VVC混合感染を便利に効果的に治療する医薬品およびその使用方法のための必要性が、当技術分野において存在する。より広くには、併用の実効性および/または安全性特性を最大限にするように各薬剤の送達の時期を差時的に決めるやり方で、外陰膣症状の治療のための2つまたは複数の併用活性薬剤を送達する都合のよい方法に対する必要性が存在する。そのような差時的なタイミングは、必要性、例えば、別の原因因子の前に1つの原因因子に対処するもの、または急性症状および慢性症状に同時に対処するもの、または最初に症状の病徴それから次に潜在的原因に対処するもの、またはBV/VVC混合感染の場合には、優勢の細菌(例えば、膣ガードネレラ)集団を制御し、細菌性病原体の除去に反応して続いて起こる真菌(例えば、カンジダ性)集団の爆発的増加を防止するものを反映する。差時的なタイミングは、2つまたは複数の活性薬剤に対する組織の同時大量暴露を回避することによって、併用療法の有害な副作用を低減する手段をも提供することができる。薬剤送達の差時的なタイミングを提供する併用療法は、典型的に活性薬剤の連続投与、例えば上述したような抗真菌剤の局所投与に続く抗菌剤の局所投与または全身投与を含む。
【0011】
異なる活性薬剤の複数の連続投与を含む医療処方計画(しばしば異なる経路による)は複雑になる可能性があり、患者にとっては厳守するのが困難になりうる。より便利な処方計画(特に単一投与により十分な効果が得られるもの)は患者による計画の遵守を促し、その結果として臨床結果成功の可能性を増すであろう。
【0012】
Rileyその他による特許文献1は、非リポイド内相およびリポイド性連続外相を有する単位セルにより構成される、膣薬剤送達のための制御放出システムを提案する。活性薬剤は少なくとも内相中に存在する。
【0013】
Rileyによる特許文献2は、活性薬剤としてメトロニダゾールにより例示される抗真菌性イミダゾールを有する、かかる膣送達システムを提案する。
【0014】
非特許文献3は、その中でVagiSiteシステムとして公知の生体接着性局所用薬物送達系を、膣腔における活性薬物実体の投与のための送達プラットフォームを提供する高内相比率油中水滴型エマルジョン系として記載する。そこでは、硝酸ブトコナゾールを2重量%含むジャイナゾール(Gynazole)−1(登録商標)抗真菌剤膣クリーム中へのVagiSiteシステムの組み入れが開示される。
【0015】
Kirschnerその他による特許文献3は、水溶性内相および水不溶性外相を有する本質的には中性pHのエマルジョンより構成され、内相が薬剤(例示的には抗真菌剤または抗菌剤でありうる)で構成される酸性緩衝相を含む、膣薬剤送達に適切な組成物を開示する。その中の実施例Iは、0.75重量%の量の抗菌剤メトロニダゾールを含むそのような組成物を提供する。その中の実施例IIは、2.8重量%の量の抗菌剤リン酸クリンダマイシンにより構成されるそのような組成物を提供する。
【0016】
Rileyによる特許文献4は、活性薬剤を保有できる油中水滴型エマルジョンにより構成される、固形組成物(例えば座剤)を記載する。この組成物が、身体開口部中への挿入に適切であること、ならびに制御放出特性および生体接着特性を有するクリームを形成するために体温で融解することが述べられる。
【0017】
Ronその他による特許文献5は、膣腔または直腸腔への薬剤の送達のためにとりわけ有用であると考えられる、生体接着特性または粘膜接着特性を有する可逆的にゲル化するポリマー組成物を記載する。
【0018】
Saettoneその他による特許文献6は、膣内投与のための継続放出性抗真菌性製剤として有用であると考えられる、イミダゾールまたはトリアゾールの活性薬剤をともなうポリカルボフィルの粘膜接着複合体を記載する。
【0019】
特許文献7は、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、殺トリコモナス剤または寄生虫駆除剤の膣内の送達に有用であると考えられる、親油性担体もしくは親水性担体、ならびに粘膜接着剤を含む組成物についてとりわけ言及する。
【0020】
特許文献8は、膣粘膜接着性であり、細菌性膣症の治療、および乳酸桿菌の生理的な細菌叢の回復のために有用であると考えられる、乳酸およびキトサンにより構成される組成物に関する。
【0021】
非特許文献4は、殺菌剤のための膣送達システムとしてポリマーゲル製剤を検討した。
【0022】
非特許文献5は、抗菌薬アクリフラビンの制御放出のためのキトサン系粘膜接着性膣送達システムを提案した。
【0023】
非特許文献6は、生体接着性コーティングとしてカルボキシメチルセルロースを使用した、マイクロカプセル化形式で抗真菌薬ケトコナゾールを含む発泡性腟錠製剤を記載した。
【0024】
Ahmadその他による特許文献9は、膣腔用の抗真菌剤または抗菌剤の送達に有用であると考えられる、軟膏に関する。軟膏は、粘膜に対する接着性の促進を補助するために生体接着性薬剤を有することが可能である。
【0025】
Paulettiその他による特許文献10は、その中で薬剤の膣経粘膜送達に有用であると述べられる医薬組成物に部分的に関し、適切な粘膜接着剤と共に薬剤を可溶化することが粘膜表面との薬剤の長期間の接触を可能にし、薬剤送達の効率をさらに良くすると考えられることに言及する。膣送達のための多相液体製剤または半固形製剤形式での生体接着性ミクロ粒子について言及される。
【0026】
Paulettiその他による特許文献11は、膣粘膜への薬剤の送達にとりわけ適したポリマー発泡体またはポリマーフィルムの組成物を記載する。この組成物は、薬剤の制御放出を任意で提供し、粘膜接着剤を含むことができる。
【0027】
Auzerieによる特許文献12は、ポロキサマーのような熱可逆ゲル化共重合体、カルボマーのような生体接着性薬剤、および溶解または懸濁された少なくとも1つの活性薬剤により構成される、膣粘膜適用のためのゲル状組成物を提案する。
【0028】
Levineその他による特許文献13は、治療薬剤(子宮収縮抑制薬テルブタリンが例示される)、および生体接着性であり架橋され水膨潤可能であるが水不溶性のポリカルボフィルのようなポリカルボン酸より構成され、膣粘膜を介した薬剤の制御された持続放出を与えるように設計された、膣内投与のための組成物を提案する。組成物の投与は有害な血中濃度を伴わずに局所組織濃度を達成することが述べられる。
【0029】
Florasその他による特許文献14では、膣炎の治療のために、抗生物質および抗真菌剤を含む1つまたは複数の薬剤と併用して界面活性剤脂質を投与できることが述べられる。適切であると記載されている抗生物質の例は、アンピシリン、セフトリアキソン、クリンダマイシン、メトロニダゾールおよびテトラサイクリンを含む。適切であると記載されている抗真菌剤の例は、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾールおよびテルコナゾールを含む。
【0030】
非特許文献7は、カンジダ感染、細菌感染、トリコモナス感染および混合腟感染において、メトロニダゾール500mgおよび硝酸ミコナゾール100mgを含むペッサリーの有効性を評価した。ペッサリーは、7〜14日にわたって膣内に毎日2回適用された。
【0031】
特許文献15はとりわけ、複数の薬剤の制御放出を提供する膣内薬物送達装置を提案する。装置は長期間にわたって実質的に一定比率の薬剤を放出することが述べられる。
【特許文献1】米国特許第4,551,148号
【特許文献2】米国特許第5,266,329号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0180366号
【特許文献4】米国特許第5,055,303号
【特許文献5】米国特許第6,316,011号
【特許文献6】米国特許第6,423,307号
【特許文献7】国際特許公開第WO02/03896号
【特許文献8】国際特許公開第WO03/000224号
【特許文献9】米国特許出願公開第2003/0091540号
【特許文献10】米国特許出願公開第2003/0219472号
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0151774号
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/0091642号
【特許文献13】米国特許出願公開第2004/0234606号
【特許文献14】米国特許出願公開第2003/0225034号
【特許文献15】国際特許公開第WO2004/096151号
【特許文献16】国際特許公開第WO2005/087270号
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0095245号
【非特許文献1】Redondo-Lopez et al (1990), Sex. Transm. Pis. 17(l):51-53
【非特許文献2】Ferris et al (2002), Obstet. Gynecol. 99(3) :419-425
【非特許文献3】Thompson & Levinson (2002), Drug Delivery Systems & Sciences 2(1), 17- 19
【非特許文献4】Wang & Lee (2002), Contraception 66:281-287
【非特許文献5】Gavini et al. (2002), AAPS PharmSci 2002, 3(3) article 20, 7 pp. (http ://www.aapspharmsci .org)
【非特許文献6】Karasulu et al. (2002), J. Microencapsulation 19(3):357-362
【非特許文献7】Ozyurt et al. (2001) Int. J. Gynecol. Obstet. 74:35-43
【非特許文献8】Merabet et al. (2005), Expert Opin. Drug Deliv. 2(4):769-777
【非特許文献9】Weinstein et al. (1994), Clin. Ther. 16(6):930-934
【非特許文献10】Amsel et al. (1983), Am, J. Med. 74:14-22
【非特許文献11】Nugent et al. (1991), J. Clin. Microbiol. 29:297-301
【非特許文献12】Fredricks et al (2005), N. Engl. J. Med. 353:1899-1911
【発明の開示】
【0032】
ここで、第1の活性薬剤および第2の活性薬剤により構成される医薬組成物であって、(i)外陰膣表面(例えば膣粘膜表面)に対して生体接着するよう構成された成分により構成され、および(ii)第2の活性薬剤が、第1の活性薬剤の放出特性と比較して、実質的に遅延した放出特性および/または持続した放出特性を示す、かかる表面で活性薬剤の差時的放出を提供する組成物が提供される。
【0033】
一実施形態において、第1の活性薬剤は抗菌剤であり、第2の活性薬剤は抗真菌剤である。
【0034】
組成物は、例示的に少なくとも1つの非リポイド内相、および外陰膣表面に対して生体接着性の少なくとも1つのリポイド外相を有する。そのような組成物は典型的には、油中水滴型エマルジョンであり、製薬技術においてクリームと表現される半固形形式で例示的に提供することができる。
【0035】
膣粘膜表面に対する投与を容易にするためにかかるクリームおよびアプリケータにより構成される、膣薬物送達システムがさらに提供される。
【0036】
第1の活性薬剤(例えば抗菌剤)および第2の活性薬剤(例えば抗真菌剤)の併用が示される、外陰膣系(例えばBVまたはBV/VVC混合感染)の症状を治療する方法であって、外陰膣表面(例えば膣粘膜表面)に対して本明細書記載の医薬組成物を投与することにより構成される方法がなおさらに提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
これらおよび他の実施形態は、以下の発明の詳細な説明においてより十分に説明される。
【0038】
本明細書における用語「外陰膣系」は、女性被験者の下部尿生殖路、特に膣腔および膣腔壁、ならびに外陰部と共に頚部および尿管の周囲組織を意味する。本明細書において「外陰膣表面」は、膣腔中の粘膜表面、ならびに外陰部および近接している皮膚の周辺領域の非粘膜の表面を含む女性生殖器の任意の外部表面または内部表面を意味する。いくつかの実施形態において、本明細書記載の組成物は、膣粘膜表面に対して適用するようより特異的に構成されており、そのような表面に対して生体接着性、すなわち粘膜接着性である。
【0039】
外陰膣表面への生体接着性を示し、活性薬剤を外陰膣表面へ送達することができるいかなる公知の製剤システムも、本明細書において有用となりうる。そのようなシステムは、特許文献16において記載される様々な製剤を含み、参照により本明細書に組み入れられるが、本発明に対する先行技術であるとは認められない。
【0040】
そのようなシステムは、例えば、上記特許文献5の中に全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをさらに含む。
【0041】
そのようなシステムは、上記特許文献6の中に全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0042】
そのようなシステムは、上記特許文献7の中に全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0043】
そのようなシステムは、上記特許文献8の中に全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0044】
そのようなシステムは、非特許文献4により全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0045】
そのようなシステムは、非特許文献5により全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0046】
そのようなシステムは、非特許文献6により全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0047】
そのようなシステムは、上記特許文献9の中に全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0048】
そのようなシステムは、上記特許文献10の中に全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0049】
そのようなシステムは、上記特許文献11中に全体的に記載される特定の組成物において具体化されるものをなおさらに含む。
【0050】
例えば膣粘膜表面に対する生体接着は、本発明の組成物の重要な特性である。理論により拘束されずにいえば、生体接着は、少なくとも第2の活性薬剤の長期にわたる徐放制御送達を可能にすると考えられている。生体接着をあまりまたは全く示さない従来の膣送達システムに対する長所は、
(a)適用部位からの組成物の漏出の最小化と;
(b)就寝時に限定せず、日中の任意の時間での適用に対する適合性と;
(c)治療過程中の活性薬剤暴露、特に全身暴露の減少と;
(d)満足な臨床効果を与える活性薬剤総量の削減と;
(e)長期間の連続的な活性薬剤放出と;
(f)より迅速な症状の緩和と;および
(g)単一投与の治療を可能にすること
の1つまたは複数を含む。
【0051】
少なくとも前記組成物の成分は、生体接着特性を示す。一実施形態において、前記組成物は、第1の活性薬剤の送達のための非生体接着性成分、および第2の活性薬剤の送達のための生体接着性成分を含む。例えば、ボーラス投与として第1の活性薬剤を送達するが、第2の活性薬剤の送達を長期間にわたって可能にすることが所望される場合には、この実施形態は有用になりうる。しかしながらより典型的には、生体接着性は全体として前記組成物の特性である。
【0052】
生体接着性は、独立して、天然もしくは合成;アニオン性、カチオン性もしくは非イオン性;ならびに水溶性もしくは水不溶性になりうる生体接着性(またはより特定的には粘膜接着性)薬剤の1つもしくは組合せの組成物中の含有により、促進することができる。一実施形態において、組成物は、水素結合形成可能であり水不溶性であるが水膨潤可能なポリマーを含む。典型的にはそのようなポリマーは架橋され、約500〜約3000kDa、例えば約1000〜約2000kDaの分子量を有する。特定の実施例は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリメトキシエチルメタクリル酸およびポリメトキシエトキシエチルメタクリル酸、ならびにその塩およびエステルを含む誘導体のようなポリカルボン酸系ポリマーを含むが、これらに限定されない。例えばユードラジット(登録商標)ブランドの下で入手可能なものとして、そのようなポリマーは、例示的に第四級アンモニウム官能基を備えたアクリレート/メタクリレート共重合体および天然のエステル基を備えたアクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体を含む。別の実施例は、ジビニルグリコールにより架橋されたポリアクリル酸であるポリカルボフィルである。他の生体接着性薬剤は、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体ならびにそのエステル、エーテルおよび塩と;アカシアゴム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガカントゴム、カラヤゴム、ガッティガム(ghatti gum)、チョヤゴム(cholla gum)、オオバコ種子ゴムおよびアラビアゴムのようなゴムと;モンモリロナイトおよびアタパルジャイトのような粘土と;デキストラン、ペクチン、アミロペクチン、アガー、カラギナン、マンナン、スクレログルカン、ポリガラクトン酸、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルデンプンおよびカルボキシメチルデンプン)のような糖類と;オーラベース(Orabase)(登録商標)のような糖類を含む親油性製剤と;硫酸基、リン酸基、スルホン酸基またはホスホン酸基のような基により多置換された炭水化物、例えば、八硫酸蔗糖(sucrose octasulfate)と;カゼイン接着剤、グルテン接着剤、ゼラチン接着剤、フィブリン接着剤のようなポリペプチドと;塩化キトサン、乳酸キトサン、グルタミン酸キトサンを含むキトサンまたはその塩もしくは誘導体と;カルボキシメチルキチンと;ヒアルロン酸といったグリコサミノグリカンと;アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸マグネシウムを含むアルギン酸またはその塩と;酸化ビスマスまたは酸化アルミニウムを含む接着剤と;アテロコラーゲンと;ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリカルボキシル化ビニルポリマーといったポリビニルポリマーと;ポリシロキサンと;ポリエーテルと;ポリアルキルエン(例えばポリエチレン)オキサイドおよびポリアルキルエングリコールと;ポリアルコキシポリマーおよびポリアクリルアミドポリマーならびにその誘導体および塩と;ポリグリコール酸ホモポリマーおよびポリ乳酸ホモポリマーならびにポリグリコール酸共重合体およびポリ乳酸共重合体と;グリコリド/ラクチド共重合体、例えばポリL−(ラクチドコグリコリド)と;モノオレイン酸グリセリンと、を含む。本明細書において有用であろうこれらおよび他の生体接着性薬剤についてのさらに詳しい情報は、上記特許文献16において見出すことができる。最小限の炎症をもたらし正常膣細菌叢に影響を与えない薬剤としてその中で言及された特定の薬剤は、ポリアクリル酸ハイドロゲル、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガムおよびキトサンを含む。
【0053】
生体接着性は、例えば上記特許文献12の中に記載されるように、生体接着性薬剤と組み合わせた熱可逆ゲル化共重合体のような、in situゲル化ポリマー系を使用しても提供することができる。
【0054】
本明細書における有用な組成物の具体的な形式は、例えばクリーム、ゲル、泡、腟錠、ペッサリーまたは座剤、タンポン、リングなどのようなインプラントになりうるが、これらに限定されない。
【0055】
しかしながら、本明細書において特に重要となるのは、上記特許文献1、特許文献4、特許文献2もしくは特許文献3のいずれにも一般に記載されているような、または本明細書においてさらに記載されるような、油中水滴型エマルジョン形式の組成物である。そのような油中水滴型エマルジョンは、固体形態で例えば膣坐剤として、または半固形形式で例えば膣クリームとして提供することができ、生体接着特性を有する。
【0056】
一実施形態において、本発明の組成物は、リポイド外相および非リポイド内相を有しており、例えば非特許文献3によって記載されるような生体接着性膣送達システム、または実質的にそれと同等の膣送達システムを提供することができる。理論により拘束されずにいえば、そのような組成物の生体接着特性は、少なくとも部分的には、外相のリポイド性の性質(水分をはじいて、その結果として正常膣分泌物による希釈および除去に対する耐性を持つ)にあると考えられる。重ねて理論により拘束されずにいえば、リポイド外相が内部非リポイド相を隔離する役目をするとさらに考えられ;メトロニダゾール、抗真菌剤またはその両方が内相中に部分的にまたは全体的に存在する実施形態において、活性薬剤の積載(ペイロード)は同様に隔離され、徐々に長期にわたり測定される活性薬剤の放出を可能にする。
【0057】
本明細書において有用なサイト・リリース(Site Release)(登録商標)(SR)システムとして公知の膣送達システムを具体化する組成物の生体接着性および制御放出または徐放特性は、非特許文献8にまとめられた研究において実証され、参照により本明細書に組み入れられるが、本発明に対する先行技術であると認められない。
【0058】
本明細書において「従来の」膣クリームは、連続的水性すなわち非リポイド相、および不連続すなわち分散非水性すなわちリポイド相を有する半固形エマルジョン、すなわち活性薬剤を連続相で可溶化または分散することを特徴とする水中油滴型エマルジョンを指す。そのようなクリーム(全体的な構造においては「従来」のものであるが)は、生体接着特性を有しており、本明細書において必要とされるような異なる放出特性を示すように製剤化された少なくとも2つの活性薬剤を含むならば、それにもかかわらず本発明の実施形態を表わすことができる。
【0059】
しかしながら、水中油滴型エマルジョンの連続的非リポイド相中の活性薬剤の可溶化または分散は、組成物が適用される外陰膣表面との活性薬剤の迅速な接触を可能にするが、外陰膣表面からの組成物の希釈、洗い流しおよび漏出をも可能にし、表面との、および活性薬剤が抗感染薬剤である場合には標的とされた病原体との接触時間を減少させる。例えば抗菌剤および/または抗真菌剤により構成される水中油滴型エマルジョンは、したがって一般に臨床的に満足な効果を提供するために、繰り返し、例えば1週間当たり約3〜7回投与されなくてはならない。そのような反復適用は、活性薬剤の全身への送達の可能性を増加させ、その結果として有害な副作用の可能性を増加させ、組織の炎症の可能性も増加させる。これらの理由で、SRシステムのような油中水滴型エマルジョン製剤は、本明細書において概ね好ましい。
【0060】
非特許文献9は、2%の硝酸ブトコナゾールを含む膣クリームの持続時間を研究した。合計16人の健康な女性に、従来の膣クリームまたは生体接着性SRクリームを膣内投与し、婦人科用スワブによって膣腔内に検出される残存クリーム量について7日間にわたり毎日モニターした。持続時間の中央値は、SRクリームについては4.2日、比較された標準的なクリームについては約2.5日と報告された。
【0061】
非特許文献3は、28人の健康な女性に、同一の抗真菌剤を含む従来の抗真菌性の膣クリームまたは生体接着性SRクリームを、いずれの場合においても単一投与として、膣内投与した研究を報告した。膣腔からの製品漏出を評価するために、女性に48時間小型パッドを装着してもらった。報告によれば検討された各時点(投与後3、6、24および48時間)で、製品漏出は、SRクリームよりも従来のクリームでより大きかった。全体として、漏出はSRクリームで50%以上減少した。
【0062】
従来の膣クリームは、患者が数時間仰臥位になり有利なことから、一般的に就寝時での適用を必要とし、それにより膣腔内部のクリームの保持を補助することができる。本発明の膣クリームの生体接着特性および結果的に促進された膣保持力により、日中の任意の都合のよい時間での適用が可能になる。
【0063】
非特許文献3は、膣液を模倣するように設計されたpH4.3酢酸緩衝液を使用して、従来の膣クリーム、およびSRシステムを具体化するクリームの硝酸ブトコナゾール放出特性のインビトロ分析も報告した。従来のクリームは、急速に分解して活性薬剤を直ちに放出し始め、実質的に活性薬剤積載のすべてを1〜4時間以内に放出することが報告された。これとは対照的に、SRクリームは約7日にわたり活性薬剤を継続的に放出することが報告された。
【0064】
本発明の例示的な油中水滴型膣クリーム(例えば、SRクリーム)の生体接着特性および徐放特性により、比較的少ない用量の活性薬剤で、従来のクリーム形式で投与されるはるかに多い用量の活性薬剤によってもたらされる効果に少なくとも実質的に等しい、臨床的に満足な効果の提供が可能になる。特にSRクリームの単一投与は、1回以上、例えば1週間に約3〜約7回繰り返して投与される従来のクリームによって提供される効果に少なくとも実質的に等しい、臨床的に満足な効果の提供を可能にする。この点に関して、一般に医薬品副作用は、用量が増加するにつれて、新しい有害事象の出現または既存の副作用の悪化が起こる、用量相関性であることが注目される。したがってSR組成物は、改善された安全性特性を提供する可能性を有する。このことは、全身性送達に起因する副作用に関して特に当てはまる。全身性送達を減少させる傾向がある好ましい組成物によって可能にされた徐放性特性の薬剤節約効果は、さらに、投与位置での治療上効果的な送達を提供する。
【0065】
本発明の一実施形態の組成物は、典型的には単位セルの多重性より構成され、それは送達システムの基本的な反復単位であり、少なくとも本明細書において有用な特性のうちのいくつかを失わずには分割可能ではない。各単位セルは、上で言及された組成物の内相および外相に対応する、内相および外相を有する。そのような多相の構造を有する組成物は、例えばエマルジョン、エマルジョン/分散物、ダブルエマルジョン、エマルジョン内の懸濁物、坐剤、泡、クリーム、胚珠(ovules)、挿入剤などとして従来の分類を使用して説明することができる。本発明の好ましい組成物は、容量で(内相が占める総容量の割合として示される)、例えば約60%より大きい、約70%より大きい、または約75%より大きい高内相比率の媒質を有する油中水滴型エマルジョンの形式である。
【0066】
本発明において有用な組成物は、約5,000〜約1,000,000センチポアズ、例えば約100,000〜約800,000センチポアズの粘性を有する液体または半固形物を含む。特定の実施形態において、組成物は約5,000〜約750,000センチポアズ、例えば約350,000〜約550,000センチポアズの粘性を有する膣クリームである。膣クリームは一般に半固形の油中水滴型エマルジョンであり、乳化剤を含む。理論により拘束されずにいえば、外陰膣表面(例えば膣粘膜表面)に対する組成物の生体接着は、かかる表面に対して適用された場合に構造完全性を保持するために、組成物が十分な粘性を有することを必要とすると考えられている。他の特性の中でも、粘性を増加することができる任意の成分は、微結晶ワックス、コロイド状二酸化ケイ素、ならびに糖類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのようなセルロース系ポリマー、ポリエチレングリコール、アクリレート重合体および同種のものを含む様々な薬学的に許容されるポリマーを含む。
【0067】
上述されるような生体接着性クリームを実質的に形成するために、油中水滴型エマルジョンにより構成される固形組成物は、典型的には体温で融解する。
【0068】
好ましい組成物において、内相は典型的には不連続で、上で示されるように非リポイド性である。内相の非リポイド性の性質により、内相を水と混和性にする。例示的に内相は、水、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはそれらの2つまたは複数の組み合わせを含む。一般に内相は高浸透圧である。内相は、例えば、溶液、懸濁物、エマルジョンまたはその組み合わせの形式をとって、それ自体で単相、二相または多相でありうる。内相は、任意で1つまたは複数の懸濁固体、乳化剤および/または分散剤、浸透圧促進剤、増量剤、希釈剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、香料、着色料または他の材料を含む。
【0069】
任意で内相は、約2.0〜約6.0、例えば約2.5〜約5.5または約3.5〜約5.0の内部pHへと酸により緩衝される。一実施形態において、内相は、膣環境に対して実質的に最適な内部pH、すなわち実質的な炎症、そう痒もしくは他の不快感を引き起こさない、および/または膣環境を真菌性病原体および細菌性病原体を含む一般的な病原体が生息できないようにするpHへと酸により緩衝される。典型的にはそのようなpHは、約4.0〜約5.0、例えばおよそ4.5である。
【0070】
好ましい組成物の外相は典型的には連続的で(かかるシステムにおいて近接する単位セルは共通の外相を有する)、上で示されるようにリポイド性である。本明細書において、用語「リポイド性」は、水に不溶性;アルコール、エーテル、クロロホルムまたは他の脂肪溶媒に可溶性;および脂っぽい感触の特性を有する、中性脂肪、脂肪酸、ワックス、リン脂質、ワセリン、一塩基アルコールの脂肪酸エステル、鉱油などを含む有機化合物群のいずれかに関連する。適切な油脂の例は、約5.6〜約68.7センチストーク、例えば約25〜約65センチストークの粘性を有する鉱油、ならびにココナッツオイル、パーム核油、ココアバター、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、ヒマワリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、紅花油、菜種油(キャノーラ油)および大豆油のような植物油、ならびに天然に由来する短鎖脂肪酸の分画された液体トリグリセリドである。
【0071】
用語「リポイド」は、例えば天然リン脂質および合成リン脂質を含む、両親媒性化合物にも関連しうる。適切なリン脂質は、例えばジオレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)およびジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)のようなホスファチジルコリンエステル;ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンおよびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)のようなホスファチジルエタノールアミンエステル;フォスファチジルセリン;フォスファチジルグリセロール;ホスファチジルイノシトール;などを含みうる。
【0072】
一実施形態において、外相はリン脂質成分、例えばレシチン成分、より詳細には精製レシチン成分を含む。理論により拘束されずにいえば、精製レシチンまたは他のリン脂質材料は油中水滴型エマルジョンの油水界面で存在することができ、特に、乳化を不安定にする傾向がある界面活性物質特性を有する活性薬剤が存在している場合には、エマルジョンにより良い安定性を与えることができると考えられている。好ましいレシチンは、最低でも約70%、例えば最低でも約80%のホスファチジルコリンを含む。レシチンのホスファチジルコリン含量は約96%か、またはさらに高くなりうる。食品用レシチンが、具体的な処方において許容されるかどうかは明らかではない。一般に適切な精製レシチンの例は、アメリカンレシチン社(American Lecithin Co.)から入手可能なホスフォリポン(Phospholipon)90(商標)である。
【0073】
リン脂質以外の両親媒性化合物は、本発明の組成物中の乳化剤としても、任意でリン脂質と共に作用することができる。中鎖モノグリセリドおよび長鎖モノグリセリド、ならびにモノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸グリセリンおよびモノパルミチン酸グリセリンのようなジグリセリド、オレイン酸ポリグリセリル−3のような脂肪酸のポリグルセリルエステル、ならびにPEG−30ジポリヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸のポリエチレングリコールエステルおよびポリエチレングリコールジエステルに限定されないがこれらを含む、任意の薬学的に許容される乳化剤またはその組み合わせを使用することができる。そのような薬剤は、組成物中の皮膚軟化剤としてもまた機能することができる。一般に外相における可溶性乳化剤は好ましい。一実施形態において、モノグリセリドおよびジグリセリドの混合物は、単独でまたはステアリン酸アルミニウムのような金属セッケンの添加と共に使用される。
【0074】
本発明の油中水滴型エマルジョン組成物は、生理的温度(およそ37℃)にて典型的には変形可能であるが、従来のクリームとは異なり、膣粘膜表面に対する適用に際して構造完全性を急速に失わない。したがって、一般にそれらは投与後に不快な感覚、またはそうでなければ膣腔からの好ましくない漏出をもたらさない。そのような組成物の物理的崩壊が長期間にわたり起こるにつれて、非水性成分は吸収されるか、または通常知覚されない程度の率で膣腔から放出され、膣分泌物には正常な率を超える実質的な増加を生じさせない。
【0075】
第1の活性薬剤もしくは第2の活性薬剤またはその両方は、本発明の油中水滴型エマルジョン組成物の内相および外相の一方または両方のいずれかの中に存在しうる。しかしながら、2つの実施形態が特に重要となる。
【0076】
これらの2つの実施形態のうちの1つにおいて、第1の活性薬剤は、外相中に大部分〜実質的に含まれており、第2の活性薬剤は内相中に大部分〜実質的に含まれている。本文脈における用語「大部分含まれる」は、薬剤の約50重量%より多く、例えば約75重量%より多くが、当該相中にあることを意味する。本文脈における用語「実質的に含まれる」は、当該相中ではなく他の部分に存在するいかなる量の薬剤も、組成物の全体的な送達ダイナミクスに無視できるほどにしか実際に寄与しないことを意味する。拡散のような通常の物理的な過程を介して、組成物の1つの相中に「実質的に含まれる」薬剤のある部分が、他の相へ移動すると予想できることは理解されるであろう。しかしながら、そのような移動は通常は重要でない。典型的に本実施形態において、第1の活性薬剤の少なくとも約85%、例えば少なくとも約90%もしくは少なくとも約95%、ならびに場合によっては少なくとも約98%もしくはさらに少なくとも約99%は外相中に存在し、第2の活性薬剤の少なくとも約85%、例えば少なくとも約90%もしくは少なくとも約95%、ならびに場合によっては少なくとも約98%もしくはさらに少なくとも約99%は内相中に存在する。
【0077】
この実施形態において、理論により拘束されずにいえば、外相中における第1の活性薬剤の局在は、典型的には組成物が投与される膣粘膜または他の組織中への第1の活性薬剤の実質的に即時の送達を可能にすると考えられている。迅速な治療効果が、例えば病徴の緩和において所望される場合、これは有用となる。一方、内相中における第2の活性薬剤の局在は、第2の活性薬剤の送達を、第1の活性薬剤の送達と比較して、典型的には遅延または減速(およびしたがって継続または持続)することを可能にする。
【0078】
別の実施形態において両方の薬剤は、組成物の内相中に少なくとも部分的に存在し、分散形式で、例えばその中に溶解または懸濁して、または非分散形式でありうる。任意で、第1の活性薬剤および/または第2の活性薬剤は、大部分〜実質的に内相中に含まれる。第1の活性薬剤は、比較的短期間にわたり放出するよう構成された形式で存在し、第2の活性薬剤は遅延放出および/または比較的長期間にわたり放出するよう構成された形式で存在する。
【0079】
この実施形態の組成物中の活性薬剤の差時的放出は、第1の活性薬剤の放出特性と比較して、実質的に遅延した放出特性および/または持続した放出特性を提供するのに効果的な1つまたは複数の放出制御手段を第2の活性薬剤に与えることによって確実にすることができる。そのような手段は、(a)固体粒子の形式で第2の活性薬剤を製剤化するが、第1の活性薬剤を可溶化することと;(b)固体粒子の形式で両方の薬剤を製剤化するが、第2の活性薬剤の粒子サイズを規定することと;(c)放出を遅延および/または減速させるバリヤ層中に第2の活性薬剤を少なくとも部分的に封入することと;(d)第1の活性薬剤の周囲の媒質が第2の活性薬剤の周囲の媒質よりも迅速な放出を促進するように、異なる内相中に第1の活性薬剤および第2の活性薬剤を少なくとも部分的に分離することと;(e)例えば上記特許文献16において全体的に記載されるような、固形脂質ナノ粒子に少なくとも第2の活性薬剤を製剤化することと;ならびに(f)これらのうちのいずれかと実質的に同等の手段と、を含むが、これらに限定されない。
【0080】
一方または両方の薬剤の可溶化は、例えば共溶媒および/または界面活性剤の使用によって達成することができる。いくつかの薬剤、例えば抗菌剤メトロニダゾールは、水に易溶性であるか、容易に可溶化され、またはそのような薬剤は、内相中の少なくとも実質的部分に溶解して典型的に存在する。しかしながら一般的には、一方または両方の薬剤は、少なくとも部分的に微粒子形式で、例えば微粉化形式、またはナノ粒子形式で存在でき、内相および/または外相中に微粒子懸濁物として分散することができる。様々な実施形態において、第1の活性薬剤もしくは第2の活性薬剤またはその両方は、内相および/または外相内の凝集体またはリポソームに存在する。
【0081】
固体粒子形式で一方または両方の活性薬剤を有する組成物において、任意の適切な粒子サイズを使用することができ、上で示されるように、各薬剤に対して異なる範囲の粒子サイズを選択することができる(典型的には第2の活性薬剤はより大きな粒子サイズで製剤化される)。しかしながら典型的には、いずれかの薬剤の粒子の実質的な部分が直径で約250μmよりも大きいときには、高い物理安定度を達成するのが困難かもしれない。したがって、約250μm以下のD90粒子サイズ(粒子の90重量%が規定のサイズよりも小さい)が、両方の薬剤について一般に望ましい。好ましくは、少なくとも粒子の99重量%は、直径で約250μm以下である。
【0082】
約5μmよりも小さな粒子サイズは有用でありうるが、粒子サイズ減少に対する費用は、かかる粒子サイズでの安定性または有効性におけるいかなる改善にも見合わない可能性がある。それにもかかわらず、所望されるならば、0.4μm(400nm)または50nmという小さい粒子サイズを使用することができる。
【0083】
本発明の組成物からの活性薬剤の放出は、1つまたは複数のメカニズムで行われることが可能であり、それらのいずれも本発明を限定しない。かかるメカニズムは、膣粘膜中への拡散(例えば内相から外相を通して);単位セルの破裂;固体粒子の溶解;などを含みうる。放出ダイナミクスは線形または非線形でありうる。
【0084】
各活性薬剤の放出速度に影響を与える組成因子は、内相および外相中に存在する活性薬剤の相対量;内相の比率;内相の浸透圧;内相のpH;外相中の各活性薬剤の拡散率に影響を及ぼす外相の両親媒性化合物を含む、リポイド化合物の選択および相対量;活性薬剤が固体粒子の形式である場合には、粒子サイズ;組成物の粘性;などを含みうる。これらの因子の各々は、具体的な状況における放出速度を最適化するために、本明細書の開示に基づいて当業者によって慣例的に変更することができる。内相中に少なくとも第2の活性薬剤を有し、比較的小さな内相比率を有する組成物において、外相は、第2の活性薬剤が放出される際に通過しなければならない比較的厚い膜を形成する傾向があり、したがって放出速度はそのような組成物において有意に遅延する。単位セルが強固である(すなわち、少なくとも実質的な生体接着期間中に破裂に対して耐性である)組成物は、拡散律速の放出速度論を示す傾向があるが、放出が拡散および単位セルの破裂の両方で起こる組成物は、より複雑な放出速度論を示す傾向がある。
【0085】
各活性薬剤の放出速度に影響を与える生理的な因子は、体液および酵素の量および化学的性質、pH、化学的なバランス、温度、および身体運動から生じる剪断力のような、物理的崩壊率または組成物の構造完全性の消失に影響を与える因子を含む。剪断力は、従来の膣クリームの場合ほど、水中油滴型組成物の構造完全性に急速にまたは著しく影響しないと考えられる。
【0086】
組成物は、外陰膣表面(例えば膣粘膜表面)に対する適用に際して、約3時間〜約10日の期間にわたり第1の活性薬剤、第2の活性薬剤またはその両方を放出するよう典型的に構成されている。参照により本明細書に組み入れられる文書の開示を含む、本明細書における開示、特に上記特許文献1および特許文献2ならびに特許文献3号に加えて、特許文献17(これらは参照により本明細書に組み入れられるが、本発明に対する先行技術であると認められない)に基づいて、約3時間〜約10日の放出期間を達成するために、当業者は不必要な実験をせずに組成物からの各活性薬剤の放出速度を調整することができる。様々な実施形態において、少なくとも1つの活性薬剤の放出期間は、約12時間〜約10日、約1〜約10日、約2〜約10日または約3〜約7日のうちの1つである。
【0087】
本明細書において「放出期間」または同様の語句は、活性薬剤が、吸収および薬理学的(例えば、抗菌または抗真菌)効果(吸収の部位でまたは近くで、例えば膣腔で典型的に起こるそのような効果)に対して利用可能になる期間を指す。したがって「放出期間」は、放出が実質的に開始される(例えば、投与直後から約1時間後、または遅延放出用に製剤化される第2の活性薬剤の場合にはそれより遅れて)ときに開始し、活性薬剤が実質的に放出のためにそれ以上利用可能でないときに終了する(例えば、放出期間の開始後約3時間〜約10日)。
【0088】
一実施形態において、第2の活性薬剤は、第1の活性薬剤の放出期間の少なくとも終末部分と重複する放出期間を示す。そのような場合において、第2の活性薬剤の放出特性は、遅延放出特性(すなわち、第2の活性薬剤の放出期間の開始は、第1の活性薬剤の放出期間の開始よりも実質的に遅い)、持続放出特性(すなわち、第2の活性薬剤の放出期間は、第1の活性薬剤の放出期間よりも持続期間において実質的に長い)、またはその両方になりうる。
【0089】
別の実施形態において、第2の活性薬剤は、第1の活性薬剤の放出がピークに達した後に開始する放出期間を示す。この場合には、第2の活性薬剤は遅延放出を示し、さらに持続放出を示してもよいし、そうでなくてもよい。場合によっては、第1の活性薬剤および第2の活性薬剤の放出期間において実質的に重複が起こらないように、第1の活性薬剤の放出が実質的に完了する後まで、第2の活性薬剤の放出を遅延させることができる。
【0090】
差時的放出パターンの4つの非限定的な例示的実施形態は、図1〜4において図によって示される。他の差時的放出パターンは当業者により検討することができ、これらは本発明の範囲内である。
【0091】
図1において、第1の活性薬剤は実質的に即時放出を示し、第2の活性薬剤は遅延放出を示す。どちらの活性薬剤も、持続放出の実質的特性を示さない。第1の薬剤の放出がピークに達した後に第2の薬剤の放出が開始される、図1において示されるような差時的放出特性は、「タンデム放出」と呼ぶことができる。
【0092】
図2において、第1の活性薬剤は実質的に即時放出を示す。第2の活性薬剤は、第1の活性薬剤についての開始時とおよそ同時に開始するが(すなわち、これは遅延放出特性ではない)、実質的により長い持続放出期間が続くことを示す。
【0093】
図3において、第1の活性薬剤は実質的に即時放出を示す。第2の活性薬剤は、遅延放出(放出期間のより遅い開始)および持続放出(放出期間のより長い持続)特性の両方を示す。
【0094】
図4において、第1の活性薬剤は、放出期間初期での高速度放出およびその後の放出速度の低下により特徴づけられる放出特性を示す。一方、第2の活性薬剤は、第1の活性薬剤の放出特性に対して実質的に反転した放出特性、すなわち、放出期間において放出速度を初めは遅く、後に最大まで増加する特性を示す。図4において示されたような差時的放出特性は、「反転放出」と呼ぶことができる。
【0095】
したがって広範囲にわたる放出特性が、各活性薬剤について可能となる。一実施形態において、活性薬剤の少なくとも1つは、投与後1日目までに、約2〜約25%の放出;投与後2日目までに、約15〜約50%の放出;投与後3日目までに、約25〜約75%の放出;および投与後4日目までに、約45〜100%の放出を示す。
【0096】
放出速度は、インビボ検査または任意の適切なインビトロ方法によって決定することができる。例示的なインビトロ方法は、適切な厚さ(例えば70μm)のポリスルホン、酢酸セルロース/硝酸セルロース混合エステルまたはポリテトラフルオロエチレンのような適切な不活性合成膜で通常取り付けられた、フランツ(Franz)セルシステムのようなオープンチャンバー拡散セルシステムを利用する。レセプタ媒質は、対象となる活性薬剤が可溶性の媒質、例えば水/エタノール媒質であるべきである。検査組成物を、膜上に均一に置き(例示的に、約300mgのクリームのような半固形組成物が、25mm直径の膜上での配置のために適量である)、溶媒の蒸発および組成の変化を防止するために閉塞状態を維持する。これは無限投与状態に対応する。レセプタ液のアリコートは、適切な間隔で分析のために取り出され、膜が放出研究の期間を通じてレセプタ液に接触したままにするように、新しいレセプタ液のアリコートと置換される。上で概説されたような放出速度の研究は、典型的には繰り返され、比較のための公知の放出特性を有する標準的な組成物を使用して行なうことができる。
【0097】
第1の活性薬剤および第2の活性薬剤の選択は限定されないが、それらは例示的に、抗感染薬、抗炎症薬、鎮痛剤、筋弛緩剤、麻酔薬、ホルモン、免疫調整薬(サイトカイン阻害剤および抗ヒスタミン剤を含む)ならびに抗腫瘍薬から独立して選択することができ、薬物を1つより多いそのようなカテゴリーの活性薬剤にしばしば分類されうると認識される。2つより多い活性薬剤が任意で存在することができる。
【0098】
一実施形態において、第1の活性薬剤および第2の活性薬剤は、(a)鎮痛剤、筋弛緩剤または麻酔薬ならびに(b)免疫調整薬を含む。一般に、第1の活性薬剤として鎮痛剤、筋弛緩剤または麻酔薬、ならびに第2の活性薬剤として免疫調整薬を提供することが好ましいことがわかるが、所望によってはこれらを逆にしてもよい。
【0099】
この実施形態によれば、鎮痛剤、筋弛緩剤または麻酔薬は、例えば、オピオイド鎮痛薬、非オピオイド鎮痛薬(例えば、非ステロイド系抗炎症薬またはNSAID)、筋弛緩剤または局所麻酔薬を含みうる。
【0100】
オピオイド鎮痛薬の非限定例は、ブトルファノール、コデイン、ジヒドロコデイン、フェンタニール、ヒドロコドン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナロキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、薬学的に許容されるその塩およびエステルならびにその組合せを含む。例示的にフェンタニールは、約0.25〜約10重量%、例えば約0.5〜約5重量%、または約1〜約3重量%の量で、本発明の組成物中に含むことができる。
【0101】
非オピオイド鎮痛薬の非限定例は、カプサイシン、ジクロフェナク、サルサレート、トラマドール、薬学的に許容されるその塩およびエステル、ならびにその組合せを含む。例示的にカプサイシンは、約0.01〜約10重量%、例えば約0.1〜約10重量%、約0.5〜約5重量%、または約1〜約3重量%の量で、本発明の組成物中に含むことができる。例示的にジクロフェナクまたはトラマドールは、約0.25〜約10重量%、例えば約0.5〜約5重量%、または約1〜約3重量%の量で本発明の組成物中に含むことができる。
【0102】
筋弛緩剤の非限定例は、カリソプロドール、メトカルバモール、オルフェナドリン、薬学的に許容されるその塩およびエステル、ならびにその組合せを含む。
【0103】
局所麻酔薬の非限定例は、ベンゾカイン、ブピバカイン、ブタンベン、クロロプロカイン、コカイン、ジブカイン、ディクロニン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、テトラカイン、薬学的に許容されるその塩およびエステル、ならびにその組合せを含む。例示的に、ベンゾカイン、リドカインまたはテトラカインは、約0.25〜約10重量%、例えば、約0.5〜約5重量%、または約1〜約3重量%の量で本発明の組成物中に含むことができる。
【0104】
本実施形態によれば、免疫調整薬は例えば、H受容体拮抗薬、H受容体拮抗薬またはH受容体拮抗薬を含むことができる。
【0105】
受容体拮抗薬の非限定例は、アクリバスチン、アゼラスチン、セチリジン、クロルフェニラミン、シプロヘプタジン、デスロラタジン、ジフェンヒドラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、レボカバスチン、ロラタジン、ミゾラスチン、プロメタジン、薬学的に許容されるその塩およびエステル、ならびにその組合せを含む。例示的に、ジフェンヒドラミンは、約0.01〜約10重量%、例えば約0.1〜約10重量%、約0.5〜約5重量%、または約1〜約3重量%の量で本発明の組成物に含むことができる。
【0106】
受容体拮抗薬の非限定例は、ブリマミド、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、薬学的に許容されるその塩およびエステル、ならびにその組合せを含む。
【0107】
受容体拮抗薬の非限定例はベタヒスチン、シプロキシファン、GT−2331、ヨードプロキシファン、チオペラミド、薬学的に許容されるその塩およびエステル、ならびにその組合せを含む。
【0108】
さらなる実施形態において、第1の活性薬剤および第2の活性薬剤は抗感染薬であり、任意で別の抗感染薬または別のクラスの薬剤(例えば抗炎症剤またはエストロゲンのようなホルモン)になりうる少なくとも第3の活性薬剤と組み合わせられる。抗感染薬は、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗原虫剤を含み、いくつかの薬剤は、微生物タイプに合致する活性スペクトルを有することが認識される。第1の活性薬剤および第2の活性薬剤は両方とも1つのクラスの抗感染薬(例えば両方が抗菌剤で、例えば相補的な活性スペクトルを有する)に属することができる。あるいは、第1の活性薬剤および第2の活性薬剤は、異なるクラスの抗感染薬(例えば抗菌剤および抗真菌剤)に属することができる。
【0109】
組成物が活性薬剤として抗菌剤および抗真菌剤を含む場合には、どちらか一つは本明細書において第1の薬剤でありえ、他方は本明細書において第2の薬剤でありうる。状況に応じて、抗菌剤を抗真菌剤よりも早期にまたはより速く放出すること、またはその逆は有利になりうる。例えば、真菌(例えばカンジダ・アルビカンス)感染を発症するリスクのある患者におけるBV治療のために、第1の活性薬剤として抗菌剤および第2の活性薬剤として抗真菌剤を有する組成物は有用になりうる。一方、細菌(例えば膣ガードネレラ)感染症を発症するリスクのある患者におけるVVC治療のために、第1の活性薬剤として抗真菌剤および第2の活性薬剤として抗菌剤を有する組成物は有用になりうる。本実施形態は、第1の活性薬剤として抗菌剤および第2の活性薬剤として抗真菌剤を有する組成物に関連して、本明細書においてより特定的に示されるが、所望によっては、これらを逆にしうることは自明であろう。
【0110】
本明細書において第1の活性薬剤または第2の活性薬剤として有用な抗菌剤(しかし特定の実施形態においては第1の活性薬剤)は、外陰膣系の細菌感染の治療に有用な、当技術分野において公知の任意の抗菌性を含むことができる。抗菌性は、特定のカテゴリーの病原細菌、例えば好気性細菌、嫌気性細菌、グラム陰性菌、グラム陽性菌などを主に標的とする抗菌性でありうる。有用になりうる抗菌性物質の例示的な例は、アクリフラビン、アンピシリン、セフトリアキソン、クロラムフェニコール、クロルキナルドール、クリンダマイシン、ヨードキノール、メトロニダゾール、ニモラゾール、オルニダゾール、ピバンピシリン、セクニダゾール、スピラマイシン、テトラサイクリン、チニダゾール、薬学的に許容されるその塩およびエステル、その組合せならびに同種のものを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、第1の活性薬剤は、クリンダマイシンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステル、例えば塩酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシンを含むかまたは本質的にそれらから成る。特定の実施形態において、第1の活性薬剤は、リン酸クリンダマイシンを含むかまたは本質的にそれから成る。別の実施形態において、第1の活性薬剤は、メトロニダゾールまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを含むかまたは本質的にそれらからなる。ブトコナゾールまたはメトロニダゾールのような抗菌剤は、組成物中に抗菌効果を有する量にて存在する。
【0111】
文脈が他を意図しない限り、クリンダマイシンまたはその塩もしくはエステルの量は、クリンダマイシン(遊離塩基)同等量として本明細書において示される。抗菌性に効果的な任意の量のクリンダマイシンまたはその塩もしくはエステルを使用できるが、典型的には膣クリーム調製において、約0.5〜約6重量%、例えば約1〜約3重量%のクリンダマイシン同等量が有益だと分かるであろう。
【0112】
抗菌性に効果的な任意の量のメトロニダゾールを使用することができるが、典型的には膣クリーム調製において、約0.1〜約4重量%、例えば約0.5〜約1.5重量%のメトロニダゾール量が有用だと分かるであろう。
【0113】
本明細書において第1の活性薬剤または第2の活性薬剤として有用な抗真菌剤(しかし特定の実施形態においては第2の活性薬剤)は、外陰膣系の真菌(特にカンジダ性)感染の治療に有用な、当技術分野において公知の任意の抗真菌剤を含むことができる。例示的な抗真菌剤は、アトバクオン、グリセオフルビン、ナイスタチン、ポリミキシンB、テルビナフィン、ならびにブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、ラブコナゾール、サペルコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾールおよびボリコナゾール、薬学的に許容されるその塩およびエステル、その組合せおよび同種のものを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、第2の活性薬剤は、ブトコナゾールまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを含むかまたは本質的にそれらから成る。特定の実施形態において、第2の活性薬剤は、硝酸ブトコナゾールを含むかまたは本質的にそれから成る。ブトコナゾールのような抗真菌剤は、抗真菌効果を有する量にて組成物中に存在する。
【0114】
文脈が他を意図しない限り、ブトコナゾールまたはその塩もしくはエステルの量は、硝酸ブトコナゾール同等量として本明細書において示される。抗真菌性に効果的な任意の量のブトコナゾールまたはその塩もしくはエステルを使用できるが、典型的には膣クリーム調製において、約0.5〜約6重量%、例えば約1〜約3重量%の硝酸ブトコナゾール同等量が有益だと分かるであろう。
【0115】
本明細書において活性薬剤に適用される、用語「抗菌性」または「抗真菌性」は、必ずしも互いに排他的ではないことが当業者によって認識されるであろう。特定の薬剤は、ある程度まで、抗真菌および抗菌活性の両方を示すことが可能である。本明細書において、いくつかの薬剤(例えばメトロニダゾールを含む特定のイミダゾール)は主にその抗菌活性が利用されるだけでなく、有益な抗真菌性(抗カンジダ性を含む)、および場合によっては、抗原虫(抗トリコモナス性を含む)活性を有する。そのような薬剤が抗菌剤として本発明の組成物において含まれている場合には、したがっていくつかの付加的な利点は、カンジダ・アルビカンスのような真菌性病原体に対する抗真菌剤(例えばブトコナゾール)の活性を追加することで可能となる。
【0116】
本発明の膣クリーム組成物の特定の例は、少なくとも1つの非リポイド内相、および膣粘膜表面に対して生体接着性の少なくとも1つのリポイド外相を有する。前記組成物は、約2重量%のクリンダマイシン同等量のリン酸クリンダマイシンおよび約2重量%の量の硝酸ブトコナゾールを含み、硝酸ブトコナゾールは、リン酸クリンダマイシンの放出特性と比較して、実質的に遅延した放出特性、持続した放出特性、または反転した放出特性を示す。
【0117】
本発明の膣クリーム組成物の別の特定例は、少なくとも1つの非リポイド内相、および膣粘膜表面に対して生体接着性の少なくとも1つのリポイド外相を有する。前記組成物は、約0.75重量%の量のメトロニダゾールおよび約2重量%の量の硝酸ブトコナゾールを含み、硝酸ブトコナゾールは、メトロニダゾールの放出特性と比較して、実質的に遅延した放出特性、持続した放出特性、または反転した放出特性を示す。
【0118】
一実施形態において、抗菌剤または第1の活性薬剤、例示的にメトロニダゾールは、内相において大部分〜実質的に含まれており実質的にその中に可溶化され、抗真菌剤または第2の活性薬剤、例示的に硝酸ブトコナゾールは、同様に内相中に大部分〜実質的に含まれており、しかし実質的には微粒子形式でその中に懸濁される。理論により拘束されずにいえば、この様式において第2の活性薬剤の可溶化ではなく第1の活性薬剤の可溶化は、組成物の差時的放出特性のための少なくとも部分的な原因になりうると考えられている。
【0119】
例示的に、本発明の膣クリーム組成物中の賦形剤成分は、水、ソルビトール(例えば、ソルビトール溶液の形式で)、レシチン、少なくとも1つの長鎖モノグリセリド(例えばモノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸グリセリンまたはモノパルミチン酸グリセリン)、少なくとも1つのポリグリセリン脂肪酸エステルまたはポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えばオレイン酸ポリグルセリル−3またはPEG−30ジポリヒドロキシステアリン酸)、キレート剤(例えばエデト酸2ナトリウム)、少なくとも1つの抗菌性保存剤(例えばメチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)、鉱油ならびに微結晶ワックスを含みうる。
【0120】
本明細書において記載されるように、本発明の組成物の単位投薬量は、外陰膣表面(例えば膣粘膜表面)に対する単一投与のために適切な量である。患者のために最も便利なように、組成物は単位用量アリコートで、通常個別にパッケージにされて提供されるが、これは本発明の必要条件ではない。所望されるならば、多量または少量、例えば少量では約0.1gまたは多量では約25gを使用することができるが、膣クリームの都合のよい単位用量アリコートは約1〜約10gの量である。特に適切な単位投薬量の膣クリームは約3〜約6g、例えば約5gである。単位投薬量がより少ない場合には、組成物中の活性薬剤濃度を増加すること、およびその逆も望ましいであろう。
【0121】
便利なように、本発明の膣クリームの単位投薬量は、あらかじめ充填された容器またはアプリケータ、例えばミズーリ州セントルイスのKVファーマシューティカル社(KV Pharmaceutical Co.)のジャイナゾール−1(登録商標)膣クリームのために使用されるものと同じようなアプリケータに入れて提供することができる。
【0122】
本発明の膣クリーム組成物を構成する少なくとも2つの活性薬剤についての送達システム、例えば使い捨てのアプリケータ、より具体的には組成物の単位投薬量をあらかじめ充填された使い捨てのアプリケータは、本発明の一実施形態である。
【0123】
膣クリーム形式での本発明の組成物を、製薬クリームの調製のための公知のバッチ操作または連続操作によって調製することができる。従来のエマルジョン調製におけるように、ミキサー、ホモジナイザー、ミル、衝突面、超音波、振盪または振動の使用によって、剪断力を成分に対して適用する。しかしながら従来のエマルジョンとは異なり、本発明の油中水滴型エマルジョンは、過剰エネルギーによるエマルジョン破壊を防止するために、比較的低レベルでの混合剪断を使用して通常は調製されるべきである。
【0124】
例示的に、内相および外相はまず別々に調製される。典型的なバッチ操作において、遊星型または他の適切なミキサー中で混合しながら、安定したエマルジョンが形成されるまで、内相は外相に加えられる。添加率および混合速度は、エマルジョンの形成および粘性を最適化するために調整することができる。典型的な連続操作では、混合チャンバー中の最も低い羽根車のレベルに達するまで、外相は複数の羽根車を含む連続ミキサーへと導入される。次に成分への剪断力を適用するため羽根車が回転するように、二つの相を適切な比率でミキサーの底を通して同時に導入する。完成したエマルジョンは、ミキサーの上部を通過して出て来る。混合チャンバーを通過する流速および混合速度は、エマルジョンの形成および粘性を最適化するために調整することができる。
【0125】
本発明の組成物は、外陰部の外部表面に対しておよび/または周辺の皮膚領域に対して局所投与することができる。さらにまたはあるいは、組成物は膣内に投与することができる。一実施形態において、組成物は膣クリームであり、膣粘膜表面に対して上で定義されるような単位投薬量で膣内投与される。
【0126】
本発明の膣クリームは、例えば任意で単一単位投薬量のクリームによりあらかじめ満たされたアプリケータを使って膣腔中の粘膜表面と接触するように投与することができる。仰臥位の患者では、アプリケータの先端は穏やかに膣中に深く、例えば後膣円蓋中に挿入することができ、クリームはアプリケータのプランジャで押し出すことによって先端を通して放出することができる。
【0127】
本発明は、第1の活性薬剤および第2の活性薬剤の組合せが提示される、外陰膣系の症状を治療する方法を提供する。前記方法は、外陰膣表面(例えば膣粘膜表面)への本明細書記載の医薬組成物の投与を含む。
【0128】
1つの実例として、知覚不全外陰部痛および外陰部膣前庭炎症候群を含む外陰部痛を治療する本発明の方法は、外陰膣表面に対して、例えば、外陰部の外部表面に対して局所的におよび/もしくは周辺の皮膚領域に対して、または膣内に、本明細書記載の医薬組成物を投与することを含み、前記組成物は、第1の活性薬剤および第2の活性薬剤として、(a)鎮痛剤、筋弛緩剤または麻酔薬、例えばリドカイン、および(b)免疫調整薬、例えばジフェンヒドラミンを有する。典型的には、第1の薬剤は鎮痛剤、筋弛緩剤または麻酔薬を含み、第2の薬剤は免疫調整薬を含む。
【0129】
さらなる実例として、BVまたはBV/VVC混合感染を治療する本発明の方法は、外陰膣表面(例えば膣粘膜表面)に対して本明細書記載の医薬組成物(例えば膣クリーム組成物)を投与することを含み、前記組成物は、第1の活性薬剤としてクリンダマイシン、メトロニダゾールまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルのような抗菌剤、ならびに第2の活性薬剤として、ブトコナゾールまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルのような抗真菌剤を有する。そのような方法は、かかる感染から生じる二次的症状の治療のために使用することもできる。
【0130】
理論により拘束されずにいえば、この方法の治療上の実効性は、抗菌剤および抗真菌剤の差時的放出に少なくとも部分的に由来すると考えられる。抗菌剤(例示的にはリン酸クリンダマイシンまたはメトロニダゾール)は、細菌(例えば、膣ガードネレラ)感染症の効果的な制御を提供する抗真菌剤よりも、より速いおよび/または早期の放出を示す。抗真菌剤(例示的に硝酸ブトコナゾール)の放出は、いくらか遅れて最大にされ、真菌(例えばカンジダ・アルビカンス)集団の効果的な制御を提供し、そうしなければ細菌感染の除去に際して起こりうる真菌集団の爆発的増加を制限する。そのような爆発的増加が、既存の細菌/真菌混合感染症から、または外陰膣領域にある小さな真菌コロニーから、または新たな真菌感染症として、細菌競合の消失後に生じる場合がある。
【0131】
臨床的に満足な効果が得られるまで、そのような方法は組成物の単位投薬量の反復投与を含みうる。しかしながら、臨床的に満足な効果がしばしば単一投与により得られることは、生体接着性および徐放特性を有する本発明の少なくともそれらの組成物の長所である。単位投薬量の単一投与が臨床的に満足な効果を提供する方法は、「治癒のための一投与」による治療としてしばしば公知であるが、本文脈における用語「治癒」が、感染の完全除去もしくは恒久的除去、またはすべての症状の完全緩和または恒久的緩和を必ずしも意味しないことは認識されるであろう。
【0132】
本明細書における臨床的に満足な効果または「治癒」は、例示的に1つまたは複数の以下の結果によって明示することができる:
(a)4つの臨床的な「Amsel基準」すべての解消、すなわち非特許文献10に記載されたように、正常膣帯下、膣pH<4.7、ウェットマウントでのクルー細胞が<20%、および「臭気」検査が陰性;
(b)非特許文献11のグラム染色解釈法により、「Nugentスコア」が<4;および
(c)「あなたの見解では、患者は、BV/VVCについて追加投与を現時点で必要とするか?」という質問に対する医師の否定的な回答。
【0133】
一実施形態において、本発明の油中水滴型生体接着性組成物を使用する治療法は、単一投与によって、本発明の組成物と同一の濃度で同一抗菌剤および抗真菌剤を含む従来の膣クリーム組成物の1週間に約3〜約7回の適用により提供される「治癒」率に少なくとも実質的に等しい、「治癒」率を提供する。
【0134】
第1の活性薬剤および第2の活性薬剤がそれぞれ抗菌剤および抗真菌剤である本発明の方法は、外陰膣系に現れる、細菌感染および真菌感染の任意の組み合わせ(以下のものに関する感染を含むがこれらに限定されない)の治療のために使用することができる:
(a)真菌、より具体的には酵母、特に1つまたは複数のカンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニエ、カンジダ・ネオフォルマンス、カンジダ・パラシロープシスおよびカンジダ・トロピカリス(その中で最も一般的なものはカンジダ・アルビカンス)を含むカンジダ属の種と;および
(b)細菌、一般的には1つまたは複数のバクテロイデス属の種、膣ガードネレラ、モビルンカス属の種、マイコプラズマ・ホミニスおよびペプトストレプトコッカス属の種(最も一般的には膣ガードネレラが優勢)を含む多様な種。
【0135】
女性においてBVと同定される細菌種のさらなるリストは、非特許文献12によって報告され、参照により本明細書に組み入れられるが、本発明に対する先行技術であると認められない。
【0136】
本明細書において引用された特許および公報はすべて、全体として本出願中への参照により組み入れられる。
【0137】
単語「含む」、「含む(三人称単数)」および「構成される」は、排他的であるというよりはむしろ包括的として解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態の組成物における第1の活性薬剤および第2の活性薬剤の相対的な放出特性の図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態の組成物における第1の活性薬剤および第2の活性薬剤の相対的な放出特性の図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態の組成物における第1の活性薬剤および第2の活性薬剤の相対的な放出特性の図である。
【図4】図4は、本発明の第4の実施形態の組成物における第1の活性薬剤および第2の活性薬剤の相対的な放出特性の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の活性薬剤および第2の活性薬剤により構成される医薬組成物であって、(i)外陰膣表面に対して生体接着するよう適合された成分を含み、(ii)前記表面での活性薬剤の差時的放出を提供し、前記第2の活性薬剤が、前記第1の活性薬剤の放出特性と比較して、実質的に遅延した放出特性、持続した放出特性または反転した放出特性を示す組成物。
【請求項2】
前記組成物が生体接着するよう適合される前記外陰膣表面が、膣粘膜表面である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性薬剤の前記差時的放出が、実質的に図1に示されるようなものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記活性薬剤の前記差時的放出が、実質的に図2に示されるようなものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性薬剤の前記差時的放出が、実質的に図3に示されるようなものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記活性薬剤の前記差時的放出が、実質的に図4に示されるようなものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの非リポイド内相、および外陰膣表面に対して生体接着性の少なくとも1つのリポイド外相を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
膣クリーム形式である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1の活性薬剤が、前記外相中に大部分〜実質的に含まれ、前記第2の活性薬剤が、前記内相中に大部分〜実質的に含まれる、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1の活性薬剤および前記第2の活性薬剤が、前記内相中に大部分〜実質的に含まれる組成物であって、前記第1の活性薬剤が、比較的短い期間にわたり放出するよう適合された形式で存在し、前記第2の活性薬剤が、遅延放出および/または比較的長い期間にわたり放出するよう適合された形式で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
膣粘膜表面に対する適用に際して、前記第1の活性薬剤が、実質的に直ちに開始し、約3時間〜約5日続く放出期間を有し、前記第2の活性薬剤が、適用後実質的に直ちに〜約5日後に開始し、前記第1の活性薬剤の前記放出期間の終了後約1〜約7日まで続く放出期間を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも前記第2の活性薬剤が、前記第1の活性薬剤よりも実質的に大きな粒子サイズを有する微粒子の形式である、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1の活性薬剤が、前記内相中に実質的に可溶化し、前記第2の活性薬剤が、前記内相中に実質的に懸濁される微粒子の形式である、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2の活性薬剤が、前記第2の活性薬剤の放出速度を遅延および/または減速するバリヤ層中に少なくとも部分的に封入される、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1の活性薬剤および前記第2の活性薬剤が、抗感染薬、抗炎症薬、鎮痛剤、筋弛緩剤、麻酔薬、ホルモン、免疫調整薬および抗腫瘍薬からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記第1の活性薬剤が、抗菌剤および/または抗原虫剤であり、前記第2の活性薬剤が、抗真菌剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗菌剤および/または抗原虫剤が、アクリフラビン、アンピシリン、セフトリアキソン、クロラムフェニコール、クロルキナルドール、クリンダマイシン、ヨードキノール、メトロニダゾール、ニモラゾール、オルニダゾール、ピバンピシリン、セクニダゾール、スピラマイシン、テトラサイクリン、チニダゾール、ならびに薬学的に許容されるその塩およびエステルからなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記抗真菌剤が、アトバクオン、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、グリセオフルビン、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、オキシコナゾール、ポリミキシンB、ラブコナゾール、サペルコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、ボリコナゾールならびに薬学的に許容されるその塩およびエステルからなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
請求項8に記載の組成物およびアプリケータを含む、膣薬物送達システム。
【請求項20】
前記アプリケータが使い捨てである、請求項19に記載の送達システム。
【請求項21】
前記アプリケータが、前記組成物の単位投与量にてあらかじめ充填される、請求項19に記載の送達システム。
【請求項22】
前記組成物の前記単位投与量が、約1〜約10gである、請求項21に記載の送達システム。
【請求項23】
前記組成物の前記単位投与量が、約3〜約6gである、請求項21に記載の送達システム。
【請求項24】
細菌性膣症または細菌性膣症および外陰膣カンジダ症の混合感染を治療する、外陰膣表面に対する投与のための医薬品製剤における、抗菌剤および抗真菌剤により構成される、医薬組成物の使用であって;前記組成物が、前記表面に対して生体接着性の成分を含み、前記抗真菌剤が、前記抗菌剤の放出特性と比較して、実質的に遅延した放出特性および/または実質的に持続した放出特性を示す、医薬組成物の使用。
【請求項25】
前記組成物の投与される前記外陰膣表面が、膣粘膜表面である、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記組成物が、少なくとも1つの非リポイド内相、および前記膣粘膜表面に対して生体接着性の少なくとも1つのリポイド外相を含む膣クリームである、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記組成物が、満足な臨床効果を提供するのに効果的な単一投薬量で適用される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記単一投薬量が約1〜約10gである、請求項28に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−522362(P2009−522362A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549528(P2008−549528)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/062660
【国際公開番号】WO2007/079391
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(504267079)ドラッグテック コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】