説明

薬物送達デバイス用の方法及び組立体

カートリッジ(4)をカートリッジホルダ(3)に固定する方法が提供され、本方法は、−カートリッジ(4)をカートリッジホルダ(3)に挿入し、カートリッジホルダ(3)は近位端及び遠位端を有し、−カートリッジ(4)を遠位の初期位置から近位端位置までカートリッジホルダ(3)に対して近位方向において軸方向に変位させ、そして、−カートリッジ(4)をカートリッジホルダ(3)に対して遠位方向における変位に抗して終了位置に固定する、工程を含む。カートリッジ(4)、調整部材(12、25、28、34)及びカートリッジホルダ(3)を含む、薬物送達デバイス(1)用の組立体が提供される。カートリッジホルダ(3)は遠位端と近位端を有する。調整部材(12、25、28、34)はカートリッジホルダ(3)に固定される。調整部材(12、25、28、34)は、カートリッジホルダ(3)の遠位部分に対してある距離を置いてカートリッジ(4)の遠位部分を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジをカートリッジホルダに固定する方法に関する。本開示は更に、薬物送達デバイス用の組立体に関する。
【0002】
薬物送達デバイスでは、しばしば複数の用量の薬物を含むカートリッジ内のピストンは、ピストンロッドによりカートリッジに対して遠位方向に変位される。それにより、薬物の用量はカートリッジから排出され得る。
【背景技術】
【0003】
薬物送達デバイスは特許文献1及び2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1923083A1
【特許文献2】WO2006/063472A1
【0005】
本開示の目的は、改良薬物送達デバイス、例えば高い用量精度を備えたデバイスの提供を容易にすることである。
【0006】
この目的は、独立クレームの主題により達成され得る。更なる特徴は、従属クレームの主題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1つの態様によれば、カートリッジをカートリッジホルダ内に固定する方法が提供される。カートリッジは、カートリッジホルダに挿入され得る。カートリッジホルダは、近位端及び遠位端を有し得る。カートリッジは、遠位の初期位置から近位端位置までカートリッジホルダに対して近位方向において軸方向に変位し得る。カートリッジは端位置で固定され、好ましくはカートリッジホルダに対して遠位方向における変位に抗して固定され得る。
【0008】
別の態様は、薬物送達デバイス用の組立体に関する。組立体はカートリッジを含む。組立体は調整部材を含む。組立体はカートリッジホルダを含む。カートリッジホルダは遠位端及び近位端を有し得る。調整部材はカートリッジホルダに固定され得る。調整部材は、カートリッジホルダの遠位部分に対してある距離を置いてカートリッジの遠位部分を保持し得る。カートリッジホルダの遠位部分は、カートリッジの遠位部分と機械的に協動するように、特に隣接するように適合され得る。該協動は調整部材により防止され得る。
【0009】
別の態様は薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは好ましくは上述のように組立体を含む。カートリッジは薬物を含んでよい。ピストンは好ましくはカートリッジ中に可動に保持され得る。薬物送達デバイスはハウジングを含んでよい。ピストンロッドはハウジング中に保持され得る。ピストンロッドは遠位方向においてハウジングに対して変位するように操作可能であってよい。ピストンロッドは、近位方向においてハウジングに対して変位することを防止するようにされ得る。ピストンロッドは薬物の用量を調剤するためにカートリッジに対して遠位にピストンを変位するように構成され得る。薬物送達デバイスがメーカーから独自に供給された状況にあるときは、ピストンロッドはピストンに隣接し得る。
【0010】
薬物送達デバイスは注射デバイスであってよい。薬物送達デバイスはペン型デバイス、例えばペン型注射器であってよい。カートリッジは複数の用量の薬物を保持し得る。好ましくは、薬物は長時間作用型、短時間作用型インスリン、ヘパリン及び/又は成長ホルモンなどの液状薬物を含む。薬物送達デバイスは、それが異なるサイズのカートリッジに適合するように設計され得る。加えて又は代わりに、薬物送達デバイスはそれが異なる形状のカートリッジに適合するように設計され得る。カートリッジの形状及び/又はサイズの変動は調整部材によって補正され得る。好ましくは、カートリッジはその遠位端に出口を有する。セプタムが出口をシールし得る。カートリッジホルダの遠位端は、カートリッジがカートリッジホルダ内に配置されるとき、カートリッジの出口に最も近接した終端であってよい。
【0011】
薬物送達デバイスの部材(component)が適切に組み立てられているか、例えばピストンとピストンロッドが隣接しているか、をチェックした後に、カートリッジは近位端位置においてカートリッジホルダ中に固定され得る。好ましくは、カートリッジは、カートリッジホルダに固定されている調整部材により近位端位置においてカートリッジホルダ中に固定され得る。
【0012】
それにより、調整部材は、カートリッジが近位端位置にあるとき、カートリッジとカートリッジホルダの間、特にカートリッジの遠位部位とカートリッジホルダの遠位部位の間の距離を保つためのディスタンスピースの機能を果たし得る。このように、カートリッジホルダに対するカートリッジの偶発的遠位変位、そしてその結果として、ピストンロッドに対するピストンの偶発的変位が防止され得る。
【0013】
カートリッジホルダに対してカートリッジを調整し、そしてピストンロッドをピストンと隣接させるカートリッジ使用者操作の工程は、重複し得る。特に、高い用量精度を保証するために、組立許容誤差を除去するように使用者によって行われるいずれのセットアップ工程も回避され得る。それ故に、使用者にとって使いやすく操作が容易な薬物送達デバイスが提供され得る。また、カートリッジが近位端位置に固定されると、例えばデバイスが使用者に供給されるとき、ピストンロッドとピストンの間の遊びが完全に除去され得るので、薬物送達デバイスは高い用量精度をもたらし得る。使用者に対して致命的又は致死的結果を有すると考えられる過少用量をこのように防止し得る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施態様によれば、薬物送達デバイスを組み立てる方法が提供される。このために、カートリッジが提供される。カートリッジは薬物を含んでよい。ピストンはカートリッジ内に保持され得る。また、カートリッジホルダも提供される。更に、ハウジングが提供される。ピストンロッドはハウジング内に保持され得る。ピストンロッドは、カートリッジに対してピストンを変位させるように操作可能であってよい。初めに、ピストンがピストンロッドからある距離を置いて配置されるように、カートリッジホルダがハウジングに固定され得る。後に、カートリッジは、上述の方法に従ってカートリッジホルダ中に固定され得る。カートリッジが初期位置から離れてカートリッジホルダに対して近位方向において軸方向に変位するとき、ピストンはピストンロッドの方へ変位し得る。
【0015】
ピストンはカートリッジを近位でシールし得る。好ましくは、カートリッジは異なる近位端位置でカートリッジホルダに固定可能である。薬物送達デバイスの初期の組立状態では、ピストンロッドとピストンの間にギャップがあってよい。そのギャップのサイズは製作許容誤差のせいで変動し得る。しかしながら、薬物を送達するときは、ピストンが前進しで薬物が排出される前にピストンロッドはギャップを埋める必要があることから、ピストンロッドとピストンの間のギャップは用量精度を減少させ得る。カートリッジの近位端位置に因り、ピストンロッドとピストンの間の異なるサイズのギャップは補正されてよく、そしてそれ故に、高い用量精度が保証され得る。カートリッジを近位端位置に固定した後に、薬物送達デバイスは送達可能状況にあり得る。
【0016】
実施態様によれば、カートリッジホルダに対してカートリッジの軸方向の変位の間、ピストンがピストンロッドに隣接するかが検出される。ピストンがピストンロッド隣接する場合、カートリッジホルダに対するカートリッジの軸方向変位は、ピストンロッドに隣接するピストンによって画成され得る端位置において停止され得る。カートリッジは、カートリッジホルダに対して遠位方向において変位に抗して固定され得る。
【0017】
このように、ピストンロッド及びピストンの恒久的隣接は送達状況で促進され得る。ピストンロッドとピストンの間のギャップを最小にするために、プライミング工程などの使用者操作の工程は重複し得る。それ故に、取り扱いの容易なそして使用者に使いやすいデバイスが達成され得る。
【0018】
実施態様によれば、調整部材は、カートリッジを軸方向に変位するためにカートリッジホルダに対して近位方向に変位される。
【0019】
調整部材を近位に変位させることに因り、カートリッジは近位端位置に向かって変位され得て、そしてそれ故にピストンとピストンロッドの間のギャップは最小化され得る。
【0020】
実施態様によれば、調整部材はカートリッジホルダに不可逆的に固定される。
【0021】
このように、カートリッジは、カートリッジホルダに対して遠位変位に抗して
カートリッジホルダ中に恒久的に固定され得る。その結果として、ピストンロッド及びピストンの恒久的隣接が促進され得る。
【0022】
実施態様によれば、調整部材はカートリッジホルダに可逆的に固定される。
【0023】
これは再使用可能薬物送達デバイスに特に適用し得る。
【0024】
実施態様によれば、調整部材はカートリッジの内側からからカートリッジホルダの外側へ伸びる。カートリッジホルダの外側から接近可能な調整部材の外面が、ニードルユニットを調整部材に取り付けるために供され得る。
【0025】
ニードルユニットを調整部材に取り付けることは、例えば調整部材に近位に向けられた力を加えるのに役立ち、それによりカートリッジホルダに対して近位に調整部材及びカートリッジを変位させ、従ってピストンロッドとピストンの間のギャップを減少させ又は埋めさえもする。用量を設定及び送達するための最初の作動中に、ピストンロッドとピストンの間のギャップを埋める使用者操作のプライミング工程は回避され得る。
【0026】
実施態様によれば、調整部材の外面は、ニードルねじ山(needle thread)を備えている。
【0027】
これは、ニードルユニットを調整部材にねじ込みして取り付けるのを補助し得る。調整部材は、特にニードルハブとして構成され得る。
【0028】
実施態様によれば、調整部材は外側ねじ山を含む。外側ねじ山はカートリッジホルダの内側ねじ山を係合するように適合され得る。
【0029】
このように、調整部材がカートリッジを近位端位置に保持し得るように、調整部材は不可逆的又は可逆的にカートリッジホルダに固定され得る。
【0030】
実施態様によれば、調整部材はカートリッジホルダの遠位部分に配置される。実施態様によれば、カートリッジの遠位部分は外側に向けられたショルダー部分を含む。カートリッジホルダの遠位部分は、内側に向けられたショルダー部分又はフランジ部分を含んでよい。外側に向けられた部分は、内側に向けられた部分に隣接するのに好適な寸法であってよい。調整部材は外側に向けられた部分及び内側に向けられた部分の隣接を防止し得る。
【0031】
カートリッジホルダの遠位部分は、機械的に協動するように、特にカートリッジの遠位部分と隣接するように適合し得る。カートリッジの遠位部分とカートリッジホルダの遠位部分の間の距離は調整部材によって保持され得る。その結果として、カートリッジホルダに対して遠位方向におけるカートリッジの偶発的変位は防止され得る。
【0032】
勿論、上述又は下記の異なる態様又は実施態様に関する特徴は、互いに組み合わされ得る。
【0033】
更なる特徴及び改良は、添付図に関連した代表的実施態様の以下の記述から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】代表的薬物送達デバイスの側断面図を概略的に示す。
【図2】図1の薬物送達デバイスの一部の断面図を概略的に示す。
【図3】第1の実施態様に対して図1の薬物送達デバイスの一部の透視内部断面図を概略的に示す。
【図4】非組立状況における図3の薬物送達デバイスの一部の外部図を概略的に示す。
【図5】組立状況における図3の薬物送達デバイスの一部の外部図を概略的に示す。
【図6】図6Aの断面図及び図6Bの斜位像に基づいて、第2の実施態様に対して図1の薬物送達デバイスの一部の透視内部図を概略的に示す。
【図7】第3の実施態様に対して図1の薬物送達デバイスの一部の外部図を概略的に示す。
【図8】第4の実施態様に対して図1の薬物送達デバイスの一部の内部図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
類似のエレメント、同じ種類のエレメント及び同等に機能するエレメントは、図中で同じ参照番号が与えられている。
【0036】
図1では、薬物送達デバイス1が示されている。薬物送達デバイス1はハウジング2を含む。薬物送達デバイス1はカートリッジ4(図1には明確に示さず、図2参照)を含む。カートリッジ4はカートリッジホルダ3内に保持される。カートリッジホルダ3はカートリッジ4を機械的に安定化する。
【0037】
カートリッジ4は薬物10(図2参照)、好ましくは複数用量の薬物10を含む。薬物10は好ましくは液状薬物であり、例えば短時間作用型又は長時間作用型インスリンのようなインスリン、ヘパリン又は成長ホルモンである。
【0038】
本明細書で使用する用語「薬物」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン3又はエキセンジン4、若しくはエキセンジン3又はエキセンジン4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0039】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0040】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル) ヒトインスリンである。
【0041】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0042】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0043】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0044】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0045】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1−C6アルキル基;場合により置換されるC2−C6アルケニル基;場合により置換されるC6−C10アリール基、又は場合により置換されるC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、‘Remington's Pharmaceutical Sciences'17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0046】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0047】
カートリッジ4は出口38(図1には明確に示さず、図3参照)を含む。薬物10は出口38を通してカートリッジ4から投薬することができる。セプタム9(図3参照)は出口38をシールし得る。セプタム9は弾性的に変形可能な材料から作られてよい。
【0048】
薬物送達デバイス1はピストンロッド6を含む(図2参照)。デバイス1はピストン5を含む(図1には明確に示されず、図2参照)。薬物送達デバイス1はニードルハブ12を含む。ニードルハブ12によりニードルユニット37(図3参照)は薬物送達デバイス1に固定され得る。ニードルユニット37は、例えば針取付け具(needle mount)によりカバーされた針17、及びニードルホルダ18を含む。セプタム9は、出口38を通して伸びている針を経て薬物10の用量を投薬するために針17により穿孔可能であってよい。ニードルハブ12はカートリッジホルダ3中に一体化されてよく、又は独立した部材であってよい。
【0049】
薬物送達デバイス1及びハウジング2は遠位端及び近位端を有する。デバイス1の遠位端は矢印7によって表される。遠位端は、薬物送達デバイス1のその終端、又は薬物送達デバイス1の投薬端に最も近接しているその部材を示す。デバイス1の近位端は矢印8によって表される。近位端は、薬物送達デバイス1のその終端、又は薬物送達デバイス1の投薬端から最も離れているその部材を示す。
【0050】
カートリッジホルダ3はハウジング2に対して固定可能で、好ましくは取り外しできるように固定可能である。好ましくは、カートリッジホルダ3は、ねじ連結40によりハウジング2に取り外し可能に固定される。ねじ連結40は目に見えてよく、及び/又はハウジング2中で開口部39を経て外側から接近可能であってよい。あるいは、カートリッジホルダ3は取り外し不能で、即ちハウジング2に恒久的に固定され得る。カートリッジホルダ3は、ハウジング2にカートリッジホルダ3を恒久的に固定するためにハウジング2に接着し又は溶接され得る。
【0051】
ハウジング2は、薬物送達デバイス1の安全で快適な取り扱いを可能にするように設計され得る。ハウジング2は、薬物送達デバイス1の内部部材、例えばピストンロッド6を収容、固定、保護及び案内するように構成され得る。好ましくは、ハウジング2は、液体、塵埃などの汚染物質に対する内部部材の曝露を制限又は防止する。ハウジング2は単体又はマルチパートコンポーネントであってよい。ハウジング2は図1に示すように管状又は円筒形状を含んでよい。あるいは、ハウジング2は非管状形状を含んでよい。
【0052】
ピストンロッド6は、薬物送達デバイス1のハウジング2を通して作動し得る。ピストンロッド6は、例えば薬物10を送達する目的で薬物送達デバイス1を通して軸方向運動を伝達するように設計され得る。支持部材20(図2参照)はピストンロッド6の遠位端に位置し得る。支持部材20はピストン5及びピストンロッド6の間の相互作用を容易にし得る。支持部材20はピストンロッド6に対して軸方向にロックされ得る。ピストンロッド6は好ましくは支持部材20に対して回転可能であってよい。
【0053】
ピストン5は、薬物送達デバイス1のカートリッジ4内にスライド可能に保持され得る。好ましくは、ピストン5は弾力材を含む。ピストン5はカートリッジ4に対して可動である。ピストン5はカートリッジ4を近位にシールし得る。カートリッジ4に対して遠位方向におけるピストン5の動きは、薬物10が出口38を通してカートリッジ4から投薬されるようにする。
【0054】
薬物送達デバイス1の初期の組立状態では、ピストンロッド6とピストン5の間にギャップ(ギャップ21参照、図2)があってよい。ギャップ21のサイズは製作許容誤差に因り変動し得る。しかしながら、送達状況では、ピストン5が前進しそして薬物10が排出する前に、ピストンロッド6はギャップ21を閉じる必要があることから、ピストンロッド6とピストン5の間でギャップ21は用量精度を減少し得る。
【0055】
薬物送達デバイス1は駆動機構を含んでよい(図1には明確に示さず、図2における駆動機構41参照)。駆動機構はハウジング2内に保持され得る。薬物10の用量を送達するとき、ピストンロッド6は駆動機構の操作に因りハウジング2に対して遠位方向に変位し得る。ピストンロッド6は用量設定操作中に近位方向において変位を防止され得る。用量部材11は駆動部材の一部であってよい。使用者は、薬物10の用量を設定するためにハウジング2に対して近位方向において用量部材11を変位させてよい。その後、使用者は、薬物10の設定用量を送達するためにハウジング2に対して遠位方向において用量部材11を変位させてよい。用量ボタン15は用量部材11と一体的に形成されてよく、又は用量部材11に連結され得る。用量ボタン15は、用量部材11に対して回転運動に抗して固定され得る。使用者は、薬物10の用量を設定するために近位方向において用量ボタン15を引っ張ってよい。
【0056】
薬物送達デバイス1はペン型デバイス、特にペン型注射器であってよい。デバイス1は、例えば使い捨てデバイスであってよい。デバイスは、薬物10の固定用量、即ち使用者変更不可用量(non-user variable dose)、例えば一定用量、又は薬物10の可変の、好ましくは使用者が設定可能な用量を投薬するように構成され得る。特に固定用量デバイスでは、ギャップ21が上述のように特に第1の用量を送達するとき、用量精度を低下させると考えられることから、送達状況においてピストンロッド6とピストン5の間にはギャップ21は無いことが極めて重要である。薬物送達デバイス1は手動で、特に非電気的に駆動するデバイスであってよい。
【0057】
図2は、図1の薬物送達デバイスの一部の断面図を概略的に示す。特に図2は、デバイス1の組立が完了する前に、例えばデバイス1が図1の説明に関連して記述される初期組立状況にある場合のデバイス1を示す。それ故に、ピストンロッド6とピストン5の間には顕著なギャップ21が示される。薬物送達デバイス1の高い用量精度を実現するために、そしてそれ故に、追加のセットアップ工程なしに過少用量を防止するために、該ギャップ21は最小化する必要がある。
【0058】
図3は、第1の実施態様に対する図1の薬物送達デバイス1の一部の内部透視図を示す。特に図3は薬物送達デバイス1の遠位端面を示す。
【0059】
図4は、非組立状況における図3の薬物送達デバイスの一部の外部図を示す。
【0060】
薬物送達デバイス1を組み立てるために、以下の工程が実施され得る:
第1の工程では、薬物10を含むカートリッジ4が提供される。ピストン5はカートリッジ4内に保持される。カートリッジホルダ3が提供される。カートリッジホルダ3は近位端及び遠位端を有し得る。
【0061】
また、ハウジング2が提供される。ピストンロッド6はハウジング2内に適宜保持される。ピストンロッド6は図1の説明と関連して記載されるカートリッジ4に対してピストン5を変位させるのに操作可能であってよい。
【0062】
第2の工程では、カートリッジ4はカートリッジホルダ3へ挿入され得る。カートリッジホルダ3はハウジング2に固定され得る。好ましくは、カートリッジホルダ3は、例えば上述のようにねじ連結40によりハウジング2に取り外しできるように固定される。
【0063】
カートリッジホルダ3は、デバイス1が完成したとき、ピストン5がピストンロッド6からある距離を置いて配置されるように、ハウジング2に固定され得る。それ故、ピストン5とピストンロッド6の間にはギャップ21がある。既述のようにギャップ21のサイズは変動し得る。
【0064】
第3の工程では、カートリッジ4はカートリッジホルダ3中に固定され得る。このために、カートリッジ4の位置はカートリッジホルダ3に対して調整されてよく、例えばカートリッジ4は、遠位の初期位置から離れて近位端位置までカートリッジホルダ3に対して近位方向において軸方向に変位し得る(図4の矢印22参照)。それにより、ピストン5はピストンロッド6の方へ変位してよく、即ちピストン5とピストンロッド6の間のギャップ21は最小化し又は埋められ得る。近位端位置に向かってのカートリッジホルダ3に対するカートリッジ4の近位変位距離は、このようにギャップ21のサイズにより決まってよい。
【0065】
カートリッジホルダ3に対するカートリッジ4の近位の変位の間、ピストン5がピストンロッド6に隣接するかを検出するために更なる工程が行われてよい。当該工程は、カートリッジホルダ3に対して近位でカートリッジ4を変位するのに必要な力又はトルクを検出することを含んでよい。ピストン5とピストンロッド6の間の接触は、例えば力又はトルクが所定の値を超えるかを明らかにすることによって検出し得る。加えて又は代わりに、該工程は、ピストンロッド6に対してピストン5の、そしてそれ故にピストン5とピストンロッド6の位置の間の隣接に好適なカートリッジ4の軸方向位置を算出するために、ピストン5の位置とピストンロッド6の位置の測定を含んでよい。
【0066】
ピストン5がピストンロッド6に隣接するときは、カートリッジホルダ3に対するカートリッジ4の近位変位は停止され得る。ピストン5がピストンロッド6に隣接するときは、カートリッジ4は近位端位置に位置し得る。近位端位置では、ピストン5とピストンロッド6の間のギャップ21は取り除かれ得る。このように、ピストンロッド6とピストン5の間のギャップ21を埋めるために、通常の薬物送達デバイス1に必要と考えられる使用者操作のプライミング工程は重複し得る。このように、高い用量精度は、デバイス1が使用者に供給されるときは尚保証され得る。好ましくは、製作許容誤差を取るためにカートリッジホルダに対する軸方向位置の調整は、一度だけ、即ちデバイス1の製作中、特に組立中になされ得る。これは特に使い捨てデバイスに関係する。
【0067】
最終工程では、カートリッジ4は、カートリッジホルダ3に対して遠位方向における変位に抗して近位端位置において取り外し可能に又は取り外し不能にも固定され得る。このように、ピストンロッド6とピストン5は接触を保ってよい。カートリッジ4に対して複数の異なる軸方向固定位置があってよい。異なる固定位置はピストン5とピストンロッド6の間のギャップ21のサイズで決まってよい。
【0068】
カートリッジ4は、例えばスナップ式エレメントによりカートリッジホルダ3の近位端位置に取り外し可能なように固定され得る。薬物送達デバイス1へ交換カートリッジを導入するために、カートリッジ4はカートリッジホルダ3から容易に固定解除されることから、これは再使用可能な薬物送達デバイス1に特に適用され得る。あるいは、カートリッジ4は、カートリッジホルダ3に恒久的に固定され、例えば接着され得る。カートリッジホルダ3から及び近位端位置から外へのカートリッジ4の固定解除は、このように効果的に防止され得る。これは使い捨て薬物送達デバイス1に特に適用され得る。
【0069】
加えて又は代わりに、調整部材は、カートリッジホルダ3の近位端位置においてカートリッジ4を固定するために使用し得る。
【0070】
調整部材は、例えばニードルハブ12を含んでよい。勿論、ニードルハブ12以外の他の調整部材、例えばニードルインサート(needle insert)が可能であり得る。
【0071】
ニードルハブ12はカートリッジホルダ3の遠位端部分に配置され得る。ニードルハブ12は、少なくとも部分的に、例えばカートリッジホルダ3の内側に配置され得る。ニードルハブ12を少なくとも部分的にカートリッジホルダ3に導入するために、ニードルハブ12は、例えばカートリッジホルダ3の遠位開口部を経て、カートリッジホルダ3の外側からカートリッジホルダ3の内側に案内され得る(図6も参照されたい)。ニードルハブ12は、カートリッジホルダ3の内側からカートリッジホルダ3の外側に伸びてよい。
【0072】
ニードルハブ12針は外面36を含んでよい。外面36はカートリッジホルダ3の外側から接近可能であってよい。外面36は針を薬物送達デバイス1に固定するために好適であると考えられる。外面36はねじ山14を含んでよい。外面36、特にねじ山14は、ニードルユニット37をニードルハブ12に取り付けるために備えられてよい。ニードルユニット37は、ニードルユニット37の外側ねじ山14と内側ねじ山(明確に示さず)の機械的協動により、ニードルハブ12に取り付けられてよい。キャプ19はニードルユニット37の遠位端部分に配置され得る。キャップ19は例えば塵埃への曝露から針17を保護し得る。
【0073】
ニードルハブ12の近位端部分はカートリッジ4の遠位端に隣接し得る。ニードルハブ12をカートリッジホルダ3に取り付けるために、ニードルハブ12はカートリッジホルダ3に対して近位方向に変位し得る。好ましくは、同時にカートリッジ4は図4の矢印22で示されるように近位端位置の方へ軸方向に変位している。
【0074】
あるいは、ニードルハブ12がカートリッジホルダ3の遠位端部分に配置される前に、カートリッジ4は近位端位置に変位されていてよい(図7の実施態様参照)。このとき、近位端位置の方へカートリッジ4を変位させるためにニードルハブ12及びカートリッジ4の共通近位変位は重複し得る。
【0075】
一旦、カートリッジ4が近位端位置にあると、ニードルハブ12は遠位方向でカートリッジホルダ3に対する変位に抗して固定され得る。ニードルハブ12はカートリッジ4と隣接し得る。それ故、カートリッジ4は、ニードルハブ12によりカートリッジホルダ3に対して遠位方向において変位に抗して近位端位置で固定され得る。
【0076】
ニードルハブ12は、例えばカートリッジホルダ3に可逆的に固定され得る。このために、ニードルハブ12は更に外側ねじ山13を含んでよい。ねじ13はニードルハブ12の近位端位置に配置され得る。カートリッジホルダ3は内側ねじ山16を含んでよい。内側ねじ山16はカートリッジホルダ3の遠位端位置に配置され得る。外側ねじ山13及び内側ねじ山16の機械的協動に因り、ニードルハブ12はカートリッジホルダ3に固定され得る。
【0077】
あるいは、ニードルハブ12はカートリッジホルダ3に不可逆的に固定され得る。ニードルハブ12は、例えば恒久的にロックされたねじ山によりカートリッジホルダ3に不可逆的に固定され得る。ニードルハブ12は、例えば、外側ねじ山13の少なくとも一部若しくは内側ねじ山16の一部の変形、又は外側ねじ山13及び内側ねじ山16の少なくとも一部の変形により、カートリッジホルダ3に不可逆的に固定され得る(図5の連結23をも参照されたい)。加えて又は代わりに、ニードルハブ12は、例えば、外側ねじ山13の少なくとも一部若しくは内側ねじ山16の一部への接着剤の適用、又は外側ねじ山13及び内側ねじ山16の少なくとも一部への接着剤の適用により、カートリッジホルダ3に不可逆的に固定され得る。
【0078】
カートリッジホルダ3に固定されると、ニードルハブ12は、カートリッジホルダ3の遠位部分に対してある距離を置いてカートリッジ4の遠位部分を保持し得る。それ故、ニードルハブ12は、カートリッジ4がカートリッジホルダ3に対して近位端位置から偶発的に遠位に変位されていないことを保証し得る。従って、ニードルハブ12は、ピストン5がピストンロッド6と隣接して保持されていることを保証し得る。このように、高い用量精度が保証され、そして過少用量が防止され得る。
【0079】
上述のように、ピストン5がピストンロッド6に隣接するまでピストン5とピストンロッド6の間のギャップ21を縮小することは、薬物送達デバイス1を組み立てる間に自動的に行われてよい。このように、薬物送達デバイス1が組み立てられると、高い用量精度が保証され得る。非使用者操作の工程、例えばプライミング工程はピストン5とピストンロッド6の間の距離を最小化するために必要と考えられる。このように、使用者にとって高い安全性を提供する操作の容易なデバイス1が実現される。
【0080】
上述の方法は、固定用量の薬物送達デバイス1を組み立てるのに特に好適と考えられる。あるいは、本方法は可変用量の薬物送達デバイス1を組み立てるのに適用され得る。
【0081】
図5は、組立状況における図3の薬物送達デバイスの一部の外部図を示す。特に図5は、例えばカートリッジ4が近位端位置に位置し、そして好ましくは固定されているとき、組立体の終端近くの薬物送達デバイスを示す。
【0082】
ピストン5及びピストンロッドを隣接した状態に保つために、即ちカートリッジ4を近位端位置に保つために、ニードルハブ12はカートリッジホルダ3に対して変位に抗して不可逆的に固定され得る。ニードルハブ12は連結領域23によりカートリッジホルダ3に固定され得る。連結領域23は、ニードルハブ12をカートリッジホルダ3に嵌合又はクランプするのに好適と考えられる。加えて、連結領域23は、少なくともねじ山13の一部がニードルハブ12をカートリッジホルダ3に不可逆的に固定するために損なわれ、例えば変形するように、力又は熱をニードルハブ12に、特にねじ山13に加えるのを支援し得る。それ故に連結領域23は恒久的にロックしたねじ山を備えてよい。
【0083】
図6は、図6Aの断面図及び図6Bの斜位像に基づいて、第2の実施態様の図1の薬物送達デバイス1の一部の透視図を示す。
【0084】
調整部材はこのときはニードルインサート25を含んでよい。ニードルインサート25はカートリッジホルダ3の遠位端位置に配置され得る。ニードルインサート25はカートリッジホルダ3の内側に配置され得る。ニードルインサート25は、例えばカートリッジホルダ3において近位開口部を経て、カートリッジホルダ3の外側からカートリッジホルダ3の内側まで案内され得る。ニードルインサート25は外側ねじ山26を含んでよい。
【0085】
ニードルインサート25は、カートリッジホルダ3の外側ねじ山26及び内側ねじ山16の機械的協動によりカートリッジホルダ3に対して遠位変位に抗して固定され得る(図6A参照)。このように、カートリッジ4が近位端位置にあるとき、ニードルインサート25はカートリッジホルダ3の遠位部分に対してある距離を置いてカートリッジ4の遠位部分を保持し得る。その距離はピストン5が既述のようにピストンロッド6に隣接するほどであってよい。
【0086】
ニードルインサート25は、連結領域27によりカートリッジホルダ3に非可逆的又は可逆的に固定され得る(図6B参照)。上述のように連結領域27は、少なくともねじ連結の一部が損なわれるように、力又は熱をニードルインサート25とカートリッジホルダ3の間のねじ連結に、特に外側ねじ山26及び内側ねじ山16に加えるのを支援し得る。加えて又は代わりに、ニードルインサート25はカートリッジホルダ3に接着され得る。
【0087】
カートリッジホルダ3は外側ねじ山24を含んでよい。外側ねじ山24は、ニードルユニット37を例えばカートリッジホルダ3の遠位端部分に取り付けるために供され得る。
【0088】
図7は、第3の実施態様に対して図1の薬物送達デバイスの一部の外部図を示す。
【0089】
特に、図7は、組立中の、例えばカートリッジホルダ3の遠位端部分で調整部材を配置する間の薬物送達デバイスを示す。調整部材はニードルハブ28を含んでよい。ニードルハブ28の外面は、カートリッジホルダ3の外側で完全に配置され得る。ニードルハブ28をカートリッジホルダ3の遠位端部分に配置するために、ニードルハブ28は矢印31で示されるようにカートリッジホルダ3に対して遠位方向において変位し得る。
【0090】
ニードルハブ28は係合手段30のセットを含んでよい。係合手段は、例えば案内つまみを含んでよい。係合手段30はニードルハブ28の近位端部分に配置され得る。係合手段30はニードルハブ28に沿って配置され得る。係合手段30は軸方向に伸びてよい。
【0091】
カートリッジホルダ3は係合手段29のセットを含んでよい。係合手段29はカートリッジホルダ3の外側に沿って配置され得る。係合手段29は軸方向に伸びてよい。係合手段29は例えばノッチを含んでよい。係合手段29はカートリッジホルダ3の遠位端部分に配置され得る。係合手段29の寸法は、ニードルハブ28が、カートリッジホルダ3の遠位端部分に配置可能でそして固定可能なようにすることができる係合手段30の寸法に適合するように、係合手段29が配置され得る。係合手段30、29の機械的協動は、係合手段30がカートリッジホルダ3を係合するとき、カートリッジホルダ3に対してニードルハブ28が回転するのを防止し得る。
【0092】
ニードルハブ28は、例えばレーザ溶接部を形成するためにレーザを用いた係合手段30及び係合手段29の照射により、カートリッジホルダ3に恒久的に固定され得る。ニードルハブ28がカートリッジホルダ3に固定されると、ニードルハブ28はカートリッジホルダ3に対して軸方向変位が防止され得る。カートリッジホルダ3に固定されると、ニードルハブ28は上述のようにカートリッジ4の遠位部分とカートリッジホルダ3の遠位部分の間の距離を保ってよい。
【0093】
カートリッジ4は、ニードルハブ28をカートリッジホルダ3の遠位部分に固定する前には、近位端位置に位置し得る。あるいは、ニードルハブ28はカートリッジホルダ3に対して近位で押されてよく、それによりピストン5がピストンロッド6に隣接するまで近位端位置の方へカートリッジ4を近位に変位させる。
【0094】
ニードルハブ28をカートリッジホルダ3に固定した後、ニードルユニット37はニードルハブ28に取り付けられてよい。
【0095】
図8は、第4の実施態様に対する図1の薬物送達デバイス1の一部の内部図を示す。
【0096】
調整部材はニードルインサート34を含んでよい。カートリッジ4の遠位部分は外側に向けられたショルダー部分32を含んでよい。カートリッジホルダ3の遠位部分は、内側に向けられたフランジ部分33を含んでよい。ショルダー部分32はフランジ部分33に隣接するのに好適な寸法であってよい。ニードルインサート34は、ショルダー部分32及びフランジ部分33の隣接を防止してよく、それによりカートリッジホルダ3の遠位部分に対してある距離を置いてカートリッジ4の遠位部分を保つ。その距離は、ピストン5とピストンロッド6の間の初期組立状態にあるギャップ21に従属し得る。
【0097】
カートリッジ4を近位端位置に向かって、カートリッジホルダ3に対して、近位方向に軸方向に変位させるために、ニードルユニット37(図8には明確に示されず、図3参照)は、カートリッジホルダ3に取り外し可能なように固定され得る。ニードルユニット37は、カートリッジホルダ3の係合手段42によりカートリッジホルダ3に固定可能であってよい。係合手段42は例えばカートリッジホルダ3の外側ねじ山を含んでよい。
【0098】
ニードルユニット37をカートリッジホルダ3に取り外し可能なように固定する間に、近位方向力は矢印35で示されるようにニードルインサート34に加えられる。近位方向力に因り、ニードルインサート34及びそれ故に、カートリッジ4は、ピストン5がピストンロッド6に隣接するまで、例えばカートリッジ4が近位端位置になるまで、カートリッジホルダ3に対して近位方向に変位し得る。
【0099】
後にニードルユニット37及びそれ故に、ニードルインサート34は、端位置にカートリッジ4を保持するために、上述のように例えば力、接着剤又は熱を係合手段42に適用することにより、カートリッジホルダ3に取り外し可能又は不可逆的に固定され得る。
【0100】
薬物送達デバイス1がメーカーからのオリジナルの供給状況にあるとき、ピストンロッド6はピストン5に隣接するので、非使用者操作の工程が薬物送達デバイス1を始動するのに必要となり得る。薬物送達デバイス1の高い用量精度は保証され、そして使用者に対して致命的及び致死的結果を有するかもしれない過少用量は防止され得る。
【0101】
薬物送達デバイス1は、例えば30IU又はそれ以上の用量、例えば50IU又はそれ以上の用量を設定して送達するように構成されてよく、よれにより高い用量精度を提供する。あるいは、薬物送達デバイス1は、優れた用量精度を有する一方で5IU又はそれ以下又はいずれの中間用量を提供し得る。
【0102】
他の実施は以下のクレームの範囲内である。種々の実施の要素が、本明細書に具体的に記載されない実施態様を形成するのに組み合わされ得る。
【0103】
参照番号
1 薬物送達デバイス
2 ハウジング
3 カートリッジホルダ
4 カートリッジ
5 ピストン
6 ピストンロッド
7 遠位端
8 近位端
9 セプタム
10 薬物
11 用量部材
12 ニードルハブ
13 外側ねじ山
14 係合手段
15 用量ボタン
16 内側ねじ山
17 針
18 ニードルホルダ
19 キャップ
20 支持部材
21 ギャップ
22 矢印
23 連結領域
24 係合手段
25 ニードルインサート
26 係合手段
27 連結領域
28 ニードルハブ
29 係合手段
30 係合手段
31 矢印
32 ショルダー部分
33 フランジ部分
34 調整部材
35 矢印
36 外面
37 ニードルユニット
38 出口
39 開口部
40 ねじ連結
41 駆動機構
42 係合手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
−カートリッジ(4)を、近位端及び遠位端を有するカートリッジホルダ(3)内に挿入する工程;
−カートリッジ(4)を、カートリッジホルダ(3)に対して近位方向に遠位初期位置から近位端位置に、軸方向に変位させる工程;
−カートリッジ(4)を、カートリッジホルダ(3)に対して遠位方向への変位に抗してその端位置に固定する工程;
を含んでなる、カートリッジ(4)をカートリッジホルダ(3)に固定する方法。
【請求項2】
−薬物(10)を含有し、ピストン(5)が中に保持されているカートリッジ(4)を備え、
−カートリッジホルダ(3)を備える工程;
−カートリッジ(4)に対してピストン(5)を変位させるように操作可能である、ピストンロッド(6)が中に保持されているハウジング(2)を備える工程;
−ピストン(5)がピストンロッド(6)から距離を置いて配置されるように、カートリッジホルダ(3)をハウジング(2)に固定する工程;
−カートリッジ(4)を請求項1の方法によってカートリッジホルダ(3)に固定する工程であって、カートリッジ(4)が初期位置から離れてカートリッジホルダ(3)に対して近位方向に軸方向に変位するとき、ピストン(5)がピストンロッド(6)に向かって変位する、工程;
を含んでなる、薬物送達デバイス(1)を組み立てる方法。
【請求項3】
カートリッジホルダ(3)に対してカートリッジ(4)の軸方向の変位中、ピストン(5)がピストンロッド(6)に隣接しているかを検出する工程;及びその場合、端位置においてカートリッジホルダ(3)に対してカートリッジ(4)の軸方向変位を停止させる工程;及びカートリッジ(4)をカートリッジホルダ(3)に対して遠位方向の変位に抗して固定する工程;を含んでなる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
調整部材(12、25、28、34)は、カートリッジ(4)をカートリッジホルダ(3)中に固定するために使用され、そしてカートリッジホルダ(3)中のカートリッジ(4)の固定する工程は、カートリッジ(4)が端位置にあるときに調整部材(12、25、28、34)をカートリッジホルダ(3)に対して遠位方向の変位に抗して固定する工程を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
調整部材(12、25、28、34)が、カートリッジ(4)を軸方向に変位させるためにカートリッジホルダ(3)に対して近位方向に変位する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
調整部材(12、25、28、34)が、カートリッジホルダ(3)に不可逆的に固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
調整部材(12、25、28、34)が、カートリッジホルダ(3)に可逆的に固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
調整部材(12、25、28、34)が、カートリッジホルダ(3)の内側からからカートリッジホルダ(3)の外側に伸び、カートリッジホルダ(3)の外側からアクセス可能な調整部材(12、25、28、34)の外面が、ニードルユニット(37)を調整部材(12、25、28、34)に取り付けるために供される、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
調整部材(12、25、28、34)の外面(36)が、ねじ山を付けられている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
調整部材(12、25、28、34)が、カートリッジホルダ(3)の内側ねじ山(16)に係合する外側ねじ山(13)を含んでなり、それにより調整部材(12、25、28、34)をカートリッジホルダ(3)に固定する、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
カートリッジ(4)がその遠位端に出口(38)を有し、セプタム(9)が出口(38)をシールし、そしてピストン(5)がカートリッジ(4)を近位にシールする、請求項2〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
カートリッジ(4)、調整部材(12、25、28、34)、及び遠位端と近位端を有するカートリッジホルダ(3)を含んでなる、薬物送達デバイス(1)の組立体であって、
調整部材(12、25、28、34)は、カートリッジホルダ(3)に固定され、そして調整部材(12、25、28、34)は、カートリッジホルダ(3)の遠位部分に対して距離を置いてカートリッジ(4)の遠位部分を保持する、上記組立体。
【請求項13】
調整部材(12、25、28、34)が、カートリッジホルダ(3)の遠位部分に配置される、請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
カートリッジ(4)の遠位部分は、外側に向けられたショルダー部分(32)を含んでなり、そしてカートリッジホルダ(3)の遠位部分は、内側に向けられたフランジ部分(33)を含んでなり、ショルダー部分(32)がフランジ部分(33)に隣接するのに適した寸法であり、調整部材(12、25、28、34)がショルダー部分(32)及びフランジ部分(33)の隣接を防止する、請求項12又は13に記載の組立体。
【請求項15】
カートリッジ(4)が薬物(10)を含有し、そしてピストン(5)がカートリッジ(4)中に保持されている、請求項12〜14のいずれか1項に記載の組立体を含んでなる薬物送達デバイス(1)であって、薬物送達デバイス(1)は、ピストンロッド(6)が中に保持されているハウジング(2)を含んでなり、ピストンロッド(6)はハウジング(2)に対して軸方向に変位するように操作可能であり、ピストンロッド(6)は薬物(10)の用量を投薬するためにカートリッジ(4)に対して遠位方向にピストン(5)を変位させるように構成されており、薬物送達デバイス(1)がメーカーからのオリジナルの供給状態にあるとき、ピストンロッド(6)はピストン(5)に隣接する、上記薬物送達デバイス(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−506459(P2013−506459A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531391(P2012−531391)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064420
【国際公開番号】WO2011/039227
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】