説明

蛍光ランプ用包装容器

【課題】 包装作業性が良好でかつ高い緩衝性を有する片口金蛍光ランプを収容するための蛍光ランプ用包装容器を提供する。
【解決手段】 蛍光ランプ用包装容器10は、ブリッジ接合した複数の発光管Vを有する片口金蛍光ランプを収容するための直方体形状を有し、蛍光ランプ収納時に前記発光管先端部に対向する面に配置される蓋部材50が、その面を覆うための蓋フラップ18aと、複数の発光管先端部Aの間に差し込むための差し込み片20を有する内側フラップ18b、18b’とを備える。内側フラップ18b、18b’は、向い合って設けられ、その差し込み片20、20’は互いに並列的に発光管先端部Aの間に差し込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光ランプ用包装容器に係り、特にブリッジ接合した複数の発光管を有する片口金蛍光ランプを収容するための蛍光ランプ用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、片口金蛍光ランプを収容するための包装容器としては、直方体形状の蛍光ランプ用包装容器が用いられている。片口金蛍光ランプは、ブリッジ接合した複数の発光管とそれらのための口金部とを備える。ブリッジ接合した発光管は、例えばU字曲げ部もしくは接合部を有する発光管であり、例えばいわゆるコンパクト形蛍光ランプに用いられる。この種の蛍光ランプ用包装容器は、容器内の蛍光ランプが外部からの衝撃により破損しないように、その内部に蛍光ランプの周りを取り囲む緩衝材を別部材として付帯させている。
【0003】
ところで、電球包装用ケースとしては、特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、電球の包装において、電球の口金部分も含めてしっかり保護し、ケースのサイズをできるだけ小さくしてケースの素材を節約しコストダウンできる電球包装用ケースを提供しようとするものである。
【特許文献1】特開2006−008143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、片口金蛍光ランプを収容するための包装容器としては、依然として容器内で蛍光ランプを取り囲む緩衝材が用いられている。緩衝材を用いる場合、別部材としての緩衝材を蛍光ランプとともに包装容器に収容しなければならず包装作業性が悪いという問題がある。また、緩衝材を包装容器毎に別途用意しなければならずコスト的に不利という問題もある。
【0005】
従って本発明の目的は、従来のような別部材としての緩衝材を有することなく、包装作業性が良好でかつ高い緩衝性を有する片口金蛍光ランプを収容するための蛍光ランプ用包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、ブリッジ接合した複数の発光管を有する片口金蛍光ランプを収容するための直方体形状の蛍光ランプ用包装容器であって、前記蛍光ランプ収納時に前記発光管先端部に対向する面に配置される蓋部材が、前記面を覆うための蓋フラップと、前記複数の発光管先端部の間に差し込むための差し込み片と連結された内側フラップとを備えた蛍光ランプ用包装容器により、達成される。
【0007】
ここで、前記差し込み片と連結された内側フラップを2つ備え、前記2つの内側フラップが向い合って設けられるようにすることができる。前記差し込み片の縦方向長さは、5mm〜15mmの範囲であることが好ましい。また、前記差し込み片の横方向端部の一方が、前記蛍光ランプ収容時に前記発光管の一つに接するように前記差し込み片の横幅が設定されることが好ましい。さらに、前記蓋フラップおよび内側フラップは、互いに重なり合うリーク確認窓を有することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来のような別部材としての緩衝材を用いることなく、包装作業性が良好でかつ高い緩衝性を有する片口金蛍光ランプを収容するための蛍光ランプ用包装容器を得ることができる。これにより、蛍光ランプは、包装容器内に緩衝材がないにもかかわらず、安定性良く収容することができ、また外部からの衝撃に対して十分な緩衝作用を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の実施例について図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の一実施例を示す展開図であり、図2は本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の一実施例を示す斜視図である。
蛍光ランプ用包装容器10は、図2に示すように、ブリッジ接合した複数の発光管Vと、発光管Vの片方に設けられた口金Dとを有する片口金蛍光ランプAを収容するもので、ほぼ直方体形状を有している。図示の発光管VはいわゆるU字曲げ部を有するものであるが、これに限定されず、接合部を有する発光管の場合も同様に適用することができる。ここで、蛍光ランプ収納時に発光管先端部Aに対向する面に配置される蓋部材50は、差し込み片18を有する前記面を覆うための蓋フラップ18aと、複数の発光管先端部Aの間に差し込むための差し込み片20と連結された内側フラップ18bとを備える。以下、蛍光ランプ用包装容器10の構造を詳述する。
【0010】
蛍光ランプ用包装容器10は、図1の展開図に示すように、その側面が第1片11〜第4片14を連結して形成される。第1片11の側部の一方は折り畳み線sを介して糊代片15に連結され、第1片11の側部の他方は折り畳み線sを介して第2片12の側部の一方に連結され、第2片12の側部の他方は折り畳み線sを介して第3片13の側部の一方に連結され、第3片13の側部の他方は折り畳み線sを介して第4片14の側部の一方に連結され、第4片14の側部の他方は第1片11の側部の一方に連結された糊代片15に張り合わされる。
【0011】
第1片11は、その上部にフック形成片21が2つの折り畳み線pを介して連結されており、2つの折り畳み線pを挟んだ両側にはフック用穴22がそれぞれ設けられている。図2に示すように、フック形成片21を2つの折り畳み線pにそって第1片側に折り曲げることによりフック部が補強され、また2つのフック用穴22が重なり合う。このフック用穴22は商品陳列用のフックに掛けるのに都合のよい大きさに設定される。
第2片12は、その上部に内側フラップ18bが折り畳み線pを介して連結されている。内側フラップ18bは蓋部材50の構成部材の一つであり、複数の発光管先端部Aの間に差し込むための差し込み片20が折り畳み線rを介して連結されている。また、第2片12は、その下部に内側フラップ16bが折り畳み線oを介して連結されている。内側フラップ16bは底部材51の構成部材の一つである。
【0012】
第3片13は、その上部に蓋フラップ18aが連結されている。蓋フラップ18aは蓋部材50の構成部材の一つであり、蓋フラップ18aで前記面を開閉可能とするための差し込み片19が折り畳み線tを介して連結されている。また、第3片13は、その下部に底閉塞フラップ16aが折り畳み線oを介して連結されている。底閉塞フラップ16aは底部材51の構成部材の一つであり、底閉塞フラップ16aで前記底を開閉可能とするための差し込み片17が折り畳み線tを介して連結されている。
第4片14は、第2片12と同様に、その上部に内側フラップ18b’が折り畳み線pを介して連結されている。内側フラップ18b’は蓋部材50の構成部材の一つであり、複数の発光管先端部Aの間に差し込むための差し込み片20’が折り畳み線rを介して連結されている。また、第4片14は、その下部に内側フラップ16b’が連結されている。内側フラップ16b’は底部材51の構成部材の一つである。
【0013】
また、蓋フラップ18aおよび内側フラップ18b’には、互いに重なり合うリーク確認窓23が開けられている。この確認窓23は、蛍光ランプが正常か異常かを包装容器の外から専用のテスターにより検査するために設けられる。このテスターを作動させた場合、リーク確認窓23から、蛍光ランプがリークなしのときは蛍光ランプは正常のため点灯し光が見えるが、リークありのときは蛍光ランプは異常のため点灯せず光が見えない。
【0014】
内側フラップ18b、18b’は、それぞれ向い合って設けられており、折り畳み線pで直角に折り畳んだとき互いにほぼ接触するようにその縦方向長さHが設定され、また、蓋フラップ18aの差し込み片19と干渉しないようにそれぞれ段差Eが形成されている。内側フラップ18b、18b’の差し込み片20、20’の縦方向長さGおよび横幅Mの値は、差し込み片による発光管先端部の固定の確実性および差し込み作業の容易性を勘案してそれぞれ適宜選択される。差し込み片20、20’は折り畳み線rで直角に折り畳まれ、互いに並列的に発光管先端部Aの間に差し込まれる。
このように本発明は、包装容器に収納する片口金蛍光ランプの形状を利用して、包装容器の部材を用いて片口金蛍光ランプを動き難くして、外部からの衝撃に対して十分な緩衝作用を得ようとするものである。
【0015】
(実施例2)
図3は本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す展開図であり、図4は本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す側面断面図である。
本実施例が実施例1と異なる点は、第4片14の内側フラップ18b’が複数の発光管先端部Aの間に差し込まれるべき差し込み片を連結していないところにある。すなわち本実施例では、第2片12の差し込み片20だけが、複数の発光管先端部Aの間に差し込まれる。図4に示すように、差し込み片20は、複数のU字曲げ部を有する発光管先端部Aの近傍間に設けられた補強材Wに突き当たるまで差し込むことができる。このように、第2片12の差し込み片20だけでも、片口金蛍光ランプを動き難くして、外部からの衝撃に対して十分な緩衝作用を持たせることができる。本実施例は実施例1よりも簡易な構造の蛍光ランプ用包装容器を得ることができる。
【0016】
(実施例3)
図5は本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。
本実施例が実施例1、2と異なる点は、内側フラップ18b(および18b’)の差し込み片20(および20’)の縦方向長さGを特に好適な値に設定したところにある。すなわち、本実施例では、差し込み片20(および20’)の縦方向長さGが、5mm〜15mmの範囲で選択される。これは、縦方向長さGが5mmより短いと発光管先端部Aの隙間部への差し込み深さが足りなくなり発光管先端部の固定を十分に行うことができず、また15mmより長いと実際に差し込み作業を行う場合に差し込みがやりにくくなるからである。本実施例では、差し込み片20(および20’)の縦方向長さGは、複数のU字曲げ部を有する発光管先端部近傍間に設けられた補強材Wに接触する位置まで伸びているが、本発明はこれに限定されず、これよりも短くてもよい。
【0017】
(実施例4)
図6は本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
本実施例が実施例1、2と異なる点は、内側フラップ18b(および18b’)の差し込み片20(および20’)の横幅Mを特に好適な値に設定したところにある。すなわち、本実施例では、差し込み片20(および20’)の横幅Mは、差し込み片20(および20’)の横方向端部の一方が、蛍光ランプ収容時に発光管の一つに、図6に示す地点Xで接するように設定される。これにより、本実施例では、当該発光管先端部の動きが制限され蛍光ランプ全体への耐振動性を向上することができる。
【0018】
以上の実施例では、蛍光ランプとしてU字曲げ部を有する発光管について説明したが、複数の直線状の発光管を接合した蛍光ランプにも同様に適用することができる。すなわち、本発明に係る蛍光ランプ用包装容器は、電球形蛍光ランプやFHTランプ等のU字曲げ部もしくは接合部を有する片口金コンパクト形蛍光用包装容器に好適に用いることができる。また、蛍光ランプ用包装容器の材質は各種ダンボールを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は蛍光ランプ用包装容器に係り、特にブリッジ接合した複数の発光管を有する片口金蛍光ランプを収容するための蛍光ランプ用包装容器に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の一実施例を示す展開図である。
【図2】本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の一実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す展開図である。
【図4】本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す側面断面図である。
【図5】本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図6】本発明に係る蛍光ランプ用包装容器の他の実施例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10 蛍光ランプ用包装容器
11 第1片
12 第2片
13 第3片
14 第4片
15 糊代片
16a 底閉塞フラップ
16b、16b’ 内側フラップ
17 差し込み片
18a 蓋フラップ
18b、18b’ 内側フラップ
19 差し込み片
20、20’ 差し込み片
21 フック形成片
22 フック用穴
23 リーク確認窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジ接合した複数の発光管を有する片口金蛍光ランプを収容するための直方体形状の蛍光ランプ用包装容器であって、前記蛍光ランプ収納時に前記発光管先端部に対向する面に配置される蓋部材が、前記面を覆うための蓋フラップと、前記複数の発光管先端部の間に差し込むための差し込み片と連結された内側フラップとを備えたことを特徴とする蛍光ランプ用包装容器。
【請求項2】
前記差し込み片と連結された内側フラップを2つ備え、前記2つの内側フラップが向い合って設けられることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ用包装容器。
【請求項3】
前記差し込み片の縦方向長さが、5mm〜15mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光ランプ用包装容器。
【請求項4】
前記差し込み片の横方向端部の一方が、前記蛍光ランプ収容時に前記発光管の一つに接するように前記差し込み片の横幅が設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光ランプ用包装容器。
【請求項5】
前記蓋フラップおよび内側フラップが、互いに重なり合うリーク確認窓を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光ランプ用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261657(P2007−261657A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91674(P2006−91674)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】