説明

蛍光分析を用いて有機染料の光触媒分解を測定する方法

【課題】本発明は、蛍光分析によって光触媒活性の表面における有機染料の光触媒分解を定量化する方法に関する。
【解決手段】本発明の目的を達成するために、検査される光触媒及び光触媒非活性参照物は、有機染料によってコーティングされる。そして、このサンプルは、強度及びスペクトル分布既知の紫外線又は可視光線に照射される。蛍光強度は、照射の前後及び機械の構成によって照射中にも、蛍光スキャナ、チップリーダー又は蛍光顕微鏡によって検出される。染料にもコーティングされ、光触媒非活性参照物(例えば、石英)に比べて、染料にコーティングされた光触媒のその後の蛍光減少が、検査されているサンプルの光触媒効率の量的な測定値としてみなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光分析を用いて光触媒活性の表面における有機染料の光触媒分解を定量化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、親水性及び光触媒活性面を有する物の使用は、ますます重要になっている。従って、現在では、光触媒活性のコーティングシステムは、鉄鋼、ガラス、セラミック及びプラスチックの表面を自動清浄したり、細菌、原藻、及び真菌を殺菌したり、空気を清浄させるか、またはガラス面及び鏡面のくもりを減少するのにますます使用されている。ここで、粉末、膠質または薄層が主にコーティング剤として使用されている。近代的な光触媒の開発の目的は、光触媒性効率を増強するために前記システムの物質特性を改良するか、または内部適用(例えば、自動車または室内)に使用できるように可視光線(λ > 380 nm)によって照射される際にも、前記システムの作動を可能にすることである。
【0003】
この目的に応じて、簡単な方法によって光触媒性分解反応を量的な方法で検出するのを可能にする適当なプロセスを開発する必要がある。光誘発の親水性を検出するために、様々な露点または接触角測定法が既に確立されているのに対して、光触媒効率を検出におおよそ適した解析法がわずかしかない。また、今までは、検出光触媒活性の一般的な有効な基準が全くなかった。多層的微生物学的検出法、ガスクロマトグラフィー、例えばメタノール試験法、及び分光検出法、例えば消光測定法が有機物質の分解に使用される。これらのほんのわずかは、染料の分解を用いる方法を記載している。そして、染料の分解を用いる方法であっても、ほとんどは水溶液の分解反応に基づいている。
【0004】
特許文献1及び2は、紫外線照射で、チタニウム酸化物粉末が加えられた液分散物における詳細に述べられなかった有機材料の光触媒分解を検出する方法を記載している。何れも流状媒体の光触媒清浄効果を検出する定性的方法である。従って、金属板、タイルまたはガラスなどの固体を検査することはできない。また、有機材料の光触媒分解を定量的測定または局所解析測定が不可能である。
【0005】
特許文献3は、比較吸収測定によって、紫外線照射で基材担体(バイオチップ)におけるタンパク質濃度の分解を検出する方法を記載している。ここで、タンパク質鎖と結合された染料は照射され、消光係数の時間に依存する減少は、線形回帰によって吸収スペクトルから測定される。このプロセスにおいて、染料またはタンパク質の分解は、光分解即ち放射損傷によって決定される。従って、光触媒性分解反応を検出できない。また、この方法は簡単なタンパク質反応に制限される。
【0006】
特許文献4は、光触媒コーティングされた表面及び更にこの表面に適用された染料または顔料層を含む脱臭の活性炭システムを記載している。前記染料層は、色を変化することにより、光触媒性活性炭層の水和効果の指示計として機能する。また、前記染料層は、定性検出媒体として使用される。しかし、その使用は、活性炭フィルタとの組み合わせの適用に制限されている。
【0007】
特許文献5は、組織プレパラートにおいて、生物的活性物の活性を測定及び図解する方法を記載している。このプロセスにおいて、生物的活性物の活性を測定するために、比較蛍光分析が行われる。前記比較蛍光分析では、その生物的活性物が適当な染料により変質される。
【0008】
特許文献6は、物質の光合成抑制効果を検出する方法を記載している。光合成の阻害を検出するために、例えば比較ルミネセンス測定が、生物物質の粘着性媒体において行われた。
【0009】
特許文献7は、染料を老化させる方法を記載している。前記方法において、光触媒としての二酸化チタン及び光照射のお陰で前記染料膜の光触媒分解が加速されたペースで行われた。しかしながら、前記方法は、比較蛍光分析を用いてその分解を定量的追跡することが行われなかった。
【0010】
従って、上記既知の先行技術の方法のいずれも光触媒活性の定量分析の可能性を記載していない。さらに、すべての方法が紫外線の使用に制限されている。その結果、可視光線で励起された大抵の光触媒のかなり弱い光触媒分解の検出は可能ではない。また、ほとんどの方法は、任意の表面やまたは素材に適用できなく、または異質の光触媒の光触媒活性の局所解析測定(例えば、勾配層の場合)の可能性についても述べられてない。
【特許文献1】US 5,163,626
【特許文献2】US 6,508,941
【特許文献3】US 5,245,551
【特許文献4】US 6,673,738
【特許文献5】DE 199 19 539 C1
【特許文献6】DE 101 33 273 A1
【特許文献7】JP 09119893 A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、可視光線で励起する場合でさえ測定が可能であって及び任意の所望の表面にも適用可能である有機染料の光触媒分解を定量化する簡単且つ費用的有利な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を達成するために、検査される光触媒及び光触媒非活性参照物は、有機染料または有機染料を含む物質によってコーティングされる。そして、このサンプルは、強度及びスペクトル分布既知の紫外線又は可視光線に照射される。蛍光強度は、照射の前後及び機械の構成によって照射中にも、蛍光スキャナ、チップリーダー又は蛍光顕微鏡によって検出される。染料にもコーティングされ、光触媒非活性参照物(例えば、石英)に比べて、染料にコーティングされた光触媒のその後の蛍光減少が、検査されているサンプルの光触媒効率の量的な測定値としてみなされる。
【0013】
本発明の目的は請求項1の特徴を有する方法によって達成される。追加従属請求項は有利な改良を示している。
【0014】
本発明によれば、蛍光分析に基づき、流状媒体の使用が完全に施行され得る有機染料の光触媒分解を定量化する乾式方法が提供される。従って、この方法は、一定の大気湿度、例えば、50%の相対湿度で正常な実験室条件で局所解析測定をすることができ、よって素材を急速及び効果的なスクリーニングをすることが可能であるゼログラフィの方法である。
【0015】
本発明に係る方法は、以下のステップに基づいている:
a)少なくとも一つの光触媒及び光触媒非活性参照物のそれぞれが、少なくとも一つの有機染料及び/又は少なくとも一つの有機染料を含む物質によって直接にコーティングされること、
b)前記光触媒及び前記参照物は、放射線源に照射され、前記光触媒の蛍光強度ΔIP及び前記参照物の蛍光強度ΔIRの減少が測定されること、
c)最後に、前記光触媒の光触媒効率QPHは、前記蛍光強度の減少によって決定されること。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る前記蛍光法は、上記先行技術の問題点をなくし、低活性を有する光触媒又は可視光領域及び局所解析方法で励起された光触媒でさえ定量化することができる唯一の方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実際には、光線を吸収するすべての固体物、流体またはガスは、放射(ルミネセンス)の形で吸収エネルギーの一部分を再放出する性質を有する(Kroger, F. A., Luminescence of Solids, Elsevir Publishing Company Inc., 1948を参照)。有機染料、特にルモゲン(Lumogen)及び蛍光染料は、最大95%以上の量子収率を有する明確なルミネセンスを示す。これらの染料は、熱、光触媒的にまたは放射によって変えられるかまたは破壊されると、変えられたルミネセンスまたは蛍光によって検出できる。
【0018】
ここに記載された方法において、すべて種類の有機顔料及び染料、即ち、陰イオン性、陽イオン性及び非イオン性のものだけではなく、十分良い蛍光性及び光線安定性を有する、例えば原藻または細菌などの有機染料含有物質も使用することはできる。しかし、特定のルモゲン(Lumogen)及び蛍光染料(例えば、ドイツBASF会社Lumogen F染料)、ローダミン、ヨーシン及びメチレンブルーは、特に有効であることが証明されている。
【0019】
前記染料は、好ましくは、温熱蒸着、スプレー、ナイフコーティングまたはブラシのみならず、スパッタリングまたは浸積によって、好ましくは最大100 nmの層の厚さ、好ましくは1〜20 nmの層の厚さの領域で及び特に好ましくは単一層としてサンプルに適用することができる。特に、温熱蒸着は、1つまたはいくつかの原子層を含む超均質薄膜の適用を制御することができる。このように適用された均質の染料コーティングが、励起領域(約300〜420 nm)において実際に吸収なし(A300-420<0.01 Abs)であって、吸収と蛍光の線型性は維持される(Schmidt, W., “Optische Spektroskopie” (“光学分光学”), VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim 1994, pp. 205以降を参照)。最適の比較可能性を保証するために、検査される光触媒及び対照サンプルが同時にコーティングされる。
【0020】
好ましくは、粉剤、膠質または薄層が光触媒として使用される。
【0021】
好ましくは、特に酸化チタン、酸化ニオブ、酸化バナジウム又は酸化亜鉛である金属酸化物;または特に酸化チタンまたはいくつかの他の金属酸化物例えば任意割合の遷移金属を有する酸化ニオブ、酸化バナジウム又は酸化亜鉛を含有する金属複合体;又はドープ剤としての炭素、フッ素、窒素または硫黄によりドープされたドープ金属酸化物からなる光触媒コーティングが使用される。
【0022】
前記光触媒コーティングは均質又は異質の形で提供することができる。特に前記異質のコーティングは、横又は垂直な層厚、または物質的な勾配(例えば、外来のドープ含有量を増加する又は減少する)を有することができる。
【0023】
好ましくは、ガラス、メタル、ポリマー、セラミック、及び/または木材からなる材料が、前記基材として用いられる。無機または有機繊維、例えば人工シルクを前記基材として使用することもできる。石英ガラス又はホウケイ酸ガラスは特に好ましい。前記基材は低い蛍光性であることが好ましい。しかしながら、これらの好適実施例の如何にかかわらず、他のすべての既知の基材を使用することができる。
【0024】
2つの別体の基材が用いられて、一方は光触媒及び前記有機染料でコーティングされ、他方は前記有機染料のみでコーティングされる。また、単一基材の使用も可能である。その一部分は光触媒にコーティングされ、コーティングの施していない領域が光触媒非活性参照物として機能する。
【0025】
サンプルのその後の照射は、好ましくは、単色光源(例えば、ブラックライトランプ;366 nm)、決められた直線のスペクトルを有する光源(例えば、水銀燈)または広帯域のスペクトル励起(例えば、ハロゲンランプ)によって行われる。しかしながら、レーザダイオードの使用も可能である。光源のスペクトル分布及び光源の光度は公知である。または、照射強度を常に規制するのは有利である。従って、一定の照射強度(1×10-3〜1×10-1 W/cm2)を有する二種類の単色及び広帯域光源(紫外線A及びVIS)は、本発明に係る方法に首尾よく用いられた。しかしながら、各々の場合において、確実に同じ種類の光源を使う必要がある。特に可視領域における励起の場合において、光源のスペクトル分布は太陽のスペクトル(即ち、AM 1.5)のコースと類似である。放射源の経時変化の結果、一定の間隔を置いて光源を取り替える必要がある。
【0026】
検査されるサンプルの照射強度と光触媒活性によって、測定データの収集は、好ましくは、一定の大気湿度及び決められた時間間隔を置いて行われなければならない。従って、大気湿度と一連の最適な測定時間間隔が予備試験で決定されるか、またはそれらが測定の間に常に調整されるかが推奨される。照射下の分解が最初に非常に強く起こり、その後徐々に減少するので、ここで対数型時間スケールの選択は有利である。例えば、10、20、30、45、60、120、180、300、600、900、1200、1500及び1800秒後の一連の照射測定は(5 nm Lumogen Orangeに対し1 mW/cm2の恒常照射で測定した)、多くの場合においてかなり許容できる結果が得られる。
【0027】
同様に、照射の前後または測定のために選択された一定の時間の間に、その測定も可能である。
【0028】
データ収集に使われ、一般に感度がいいCCDアレイを備えている蛍光スキャナ、チップリーダーまたは蛍光顕微鏡が、使用される着色剤に適合させる異なる励起と検出フィルタを有することは必要である。好ましくは、従来のFITCフィルタ(Ex494;Em518)、Cy3フィルタ(Ex550;Em570)、及びCy5フィルタ(Ex649;Em670)は、最も一般的な蛍光染料の励起と検出波長領域をカバーしているので、それらを使用することはできる。測定自体は、検査されるサンプルの蛍光の局所解析記録によって行われる。ここで、一連の測定をそれぞれ行う前に、既知強度の蛍光基準(例えば、FluorIS, CLONDIAG chip technologies, GmbH)を用いて前記装置を校正する必要がある。染料が蒸気で蒸着されているサンプルの蛍光強度は、それぞれの照射間隔の後に検出され、強度−時間のグラフに記録される。このように得られた曲線の定義によって、測定値が、下記の式に基づいた一次または二次オーダーの指数フィットを用いて、適合されなければならない。そして、初期値y及び最終値y0が決定される。しかしながら、この一次または二次オーダーの指数フィットのほかに、より高次オーダーの他のフィット及び一般的にこの曲線パターンを表している他のアルゴリズムも測定適応と評定に使用することができる。



または


【0029】
この様に、下記の式によって決定された照射前後の前記強度の差分ΔIと前記初期強度yとの商Qは、サンプルに適用された染料分子の分解の測定値を表す。
Q=ΔI/yとΔI= y−y0
【0030】
光触媒非活性参照物Rの強度が主に光分解、即ち光による分解に影響され、及び光触媒Pの染料分解が光分解と光触媒作用の総合効果に基づいていることが仮定できるので、前記サンプルと参照物が同じ方法によって処理される場合に、光触媒効率QPHに対して、下記の式が適用される。
QPH =QP −QR
【0031】
染料量、染料密度及び分子中の結合ペア数が既知である各々の光触媒物質に対して、光触媒のバンドエッジと照射の投与量とそれぞれの励起領域におけるその吸収度を使用して、光触媒活性の度合い比(入射された光触媒活性の光量と関連する光触媒作用による滅ぼされた結合ペアの比率)を、QPHから決定することができる。
【0032】
適当な誤差を考慮に取り入れて、蛍光測定法は最大±2%の精確さ(分光吸光測定の場合において0.0004 Absの解像度に相当する)で、光触媒効率を測定することができる。従って、例えば可視光領域に励起された実質的に非活性サンプル(実施例2を参照)における光触媒活性の最も小さい差分であっても、適切な検出もできる。
【0033】
以下、実施例を用いて本発明に係る蛍光測定法を、これらの具体的な実施例に限らず、さらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
紫外線Aによる励起されたガラス上のTiO2の光触媒効率の決定
【0035】
以下のパラメータは本実施例に使用された:
基材:石英ガラス(Corning 7940)
参照物:石英ガラス(Corning 7940)
コーティングシステム:400 nm TiO2、スパッタ法
染料:温熱蒸着により適用された5 nm Lumogen F Orange 240(BASF)
照射:336 nm紫外線ハンドランプ(Roth469.1)、1.3 mW/cm2
照射時間:30分
蛍光光度計:Biodetect(R) 645/4(Fraunhofer IPM)
フィルタ:FITC(λex = 490 ± 5 nm;λem = 530 ± 15 nm)
【0036】
所定の境界条件において、図1は、30分間における単色紫外線の照射で、非活性の石英ガラス参照物と比較する光触媒性酸化チタンの分解曲線を示す。
【0037】
二次オーダーの指数フィットによって、曲線フィットはテーブル1で表された以下の値を与える:
【表1】



【0038】
従って、時刻x = 0に対する決定された曲線相関を考慮すると、下記値は得られる:
yP = 56623 ± 455及びyR = 52910 ± 637
また、x→∞
Y0P = 35850 ± 288及びy0R = 49798 ± 599
そして、
QP = 0.3669 ± 0.011[36.7 ± 1%]及びQR = 0.0588 ± 0.022[5.9 ± 2%]
従って、強度1.3 mW/cm2の紫外線に照射されたサンプルは、計算された改良された光触媒効率がQPH = 30.8 ± 2%。
【実施例2】
【0039】
可視光領域(>420nm)による励起されたガラス上のTiO2の光触媒効率の決定
【0040】
以下のパラメータは本実施例に使用された:
基材:石英ガラス(Corning 7940)
参照物:石英ガラス(Corning 7940)
コーティングシステム:400 nm TiO2、スパッタ法
染料:温熱蒸着により適用された5 nm Lumogen F Orange 240(BASF)
照射:キセノン高圧ランプ(Osram XBO 75)、7.5 mW/cm2
バンドエッジフィルタ:Schott GG420
照射時間:30分
蛍光光度計:Biodetect(R) 645/4(Fraunhofer IPM)
フィルタ:FITC(λex = 490 ± 5 nm;λem = 530 ± 15 nm)
【0041】
所定の境界条件において、図2は、30分間における可視光の照射で、非活性の石英ガラス参照物と比較する光触媒性酸化チタンの分解曲線を示す。
【0042】
二次オーダーの指数フィットによって、曲線フィットはテーブル2で表された以下の値を与える:
【表2】



【0043】
従って、時刻x = 0に対する決定された曲線相関を考慮すると、下記値は得られる:
yP = 52701 ± 363及びyR = 54545 ± 992
また、x→∞
Y0P = 45972 ± 317及びy0R = 49412 ± 898
そして、
QP = 0.1277 ± 0.012[12.8 ± 1%]及びQR = 0.0941 ± 0.032[9.4 ± 3%]
従って、強度7.5 mW/cm2の可視光に照射されたサンプルは、光触媒非活性参照物に比べて計算された改良された光触媒効率がQPH = 3.4 ± 2%。従って、可視光に照射されたときに、検査されたサンプルはごくわずかな光触媒活性だけを示している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光分析を用いて有機染料の光触媒分解を定量化する方法であって、
a)少なくとも一つの光触媒及び光触媒非活性参照物のそれぞれが、少なくとも一つの有機染料及び/又は少なくとも一つの有機染料を含む物質によって直接にコーティングされ、
b)前記光触媒及び前記参照物は、放射線源に照射され、前記光触媒の蛍光強度ΔIP及び前記参照物の蛍光強度ΔIRの減少が測定され、
c)前記光触媒の光触媒効率QPHは、前記蛍光強度の減少によって決定される
蛍光分析を用いて有機染料の光触媒分解を定量化する方法。
【請求項2】
前記有機染料は、陰イオン性、陽イオン性及び/又は非イオン性の染料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機染料は、ルモゲン染料及び/又は蛍光性染料、特にフルオレセインであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つの有機染料を含む前記物質は、藻類又は細菌であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機染料及び/又は有機染料を含む前記物質は、蒸着、スプレー法、スパッタ法、浸漬法、ナイフコーティング又はブラシによって適用されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機染料は1〜100nm、特に1〜20nmの層厚さで適用されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機染料は単一層として適用されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
ガラス、金属、ポリマー、セラミック、有機または無機繊維及び/又は木材、特に石英ガラス又はホウケイ酸ガラスからなる基材が、前記参照物として用いられることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材は低い蛍光性を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
二つの別体の基材が用いられて、一方は光触媒及び前記有機染料でコーティングされ、他方は前記参照物として前記有機染料のみでコーティングされることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
単一の基材が用いられて、該基材の一部の区域は光触媒でコーティングされ、コーティングされない区域は光触媒非活性参照物となることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
光触媒コーティング剤が、特に酸化チタン、酸化ニオブ、酸化バナジウム又は酸化亜鉛である金属酸化物、金属酸化物特に任意割合の遷移金属を有する酸化チタン、酸化ニオブ、酸化バナジウム又は酸化亜鉛を含有する金属複合体、又はドープ剤としてのC、F、N又はSによりドープされたドープ金属酸化物を備えることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記光触媒コーティング剤は均質又は異質であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
単色源、特にブラックライトランプは、前記放射線源として用いられることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
限定された線スペクトルを有する放射線源、特に水銀ランプは、前記放射線源として用いられることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
広帯域スペクトル源、特にハロゲンランプは、前記放射線源として用いられることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
レーザーダイオードが、前記放射線源として用いられることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
レーザーダイオードが、前記放射線源として用いられることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線源は10-4〜1 W/cm2、特に10-3〜10-1 W/cm2の照射強度を有することを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ステップb)の蛍光測定は、一定の大気湿度において行われることを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ステップb)の蛍光測定は、対数又は一定の時間間隔で行われることを特徴とする請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップb)の蛍光測定は、蛍光スキャナ、チップリーダー又は蛍光顕微鏡を用いて行われることを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記蛍光測定は、局所解析法を用いて行われることを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップb)の照射は、紫外線領域、即ち200〜400 nm、又は可視光線領域、即ち400〜700 nmにおいて行われることを特徴とする請求項1〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
初期強度y及び最終強度y0は、下記の一次及び二次オーダーの指数関数によって決定され、







決定された数値により、強度差分ΔI(ΔI = y −y0)も決定され、
よって、前記強度差分ΔIと前記初期強度yとの商Qは決定され、
よって、光触媒効率QPHは下記の式より
QPH =QP −QR
得られることを特徴とする請求項1〜23の何れか1項に記載の方法。


【公表番号】特表2008−501937(P2008−501937A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513857(P2007−513857)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005957
【国際公開番号】WO2005/119220
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(504174917)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト・ツァー・フォデラング・デル・アンゲワンテン・フォーシュング・エー.ファウ. (26)
【Fターム(参考)】