説明

蛍光増白顔料

本発明は、(a)メラミン−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−尿素重縮合物と、(b)式(1)(式中、2つのR1基がそれぞれ、互いに独立して、1又は2個の−CONH2、−CONHC1〜C4アルキル、−COOH、−SO2NH2、−SO2NHC1〜C4アルキルもしくは−NH2基により置換されているC1〜C6アルキル又はC1〜C4アルキル−O−C1〜C4アルキル残基を表し、2つのR2基がそれぞれ、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル又はC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキルを表すか、R1及びR2が、窒素原子と共にピペラジン環を形成し、2つのX1基のそれぞれが独立して、−OH、−OC1〜C4アルキル、−Oアリール又は−NR34基を表し、ここでR3及びR4は、それぞれ独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル、フェニル、フェニルモノ−もしくはジスルホン酸残基を表すか、R3及びR4は、それらが結合する窒素原子と共に、モルホリノ、ピペリジノ又はピロリジノ環を形成する、あるいは、X1は、アミノ基から水素原子が引き抜かれている、アミノ酸残基を表し、Mは、水素、アルカリもしくはアルカリ土類金属イオン、アンモニウム、一、二、三又は四置換C1〜C4アルキルアンモニウムもしくはC2〜C4ヒドロキシアルキルアンモニウム又はそれらの混合物である)の水溶性蛍光増白剤との反応生成物を含む増白顔料、その顔料を調製する方法ならびに紙を蛍光増白するためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラミン−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−尿素重縮合物と、重合性基を含有する水溶性蛍光増白剤との反応によって得られる新規な増白顔料、その増白顔料の調製方法ならびに特にコーティングにおいて紙を蛍光増白するためのその使用に関する。
【0002】
コーテッド紙及び厚紙の製造には水性コーティング組成物が広く使用されている。増白のために、コーティング組成物は一般に、アニオン性蛍光増白剤を含むが、その作用は使用されるコバイダの量及び性質に大きく依存する。たとえばインクジェット紙のためのカチオン性コーティング組成物におけるこのようなアニオン性蛍光増白剤の使用は、主な効果の損失や不十分な耐光堅ろう性をもたらす。にじみもまた、水溶性増白剤のもつ問題であり、特に食品包装用に使用される紙及び厚紙に使用された場合に生じる問題である。
【0003】
このような問題を解決するための一つの手法が、メラミン−ホルムアルデヒド又はフェノール−ホルムアルデヒド重縮合物と水溶性蛍光増白剤との機械的混合物をコーティング組成物のための増白顔料として使用する、WO01/11140A1に開示されている。しかし、このような混合物は、非常に少量だけの蛍光増白剤が多量の重縮合物に配合されるため、それが計量供給の困難さを招き、コーティング組成物中に多量の重縮合物が存在する、望ましくないともいえる結果をもたらすという欠点を抱えている。
【0004】
驚くことにここに、メラミン−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−尿素重縮合物と、重合性基を含有する水溶性蛍光増白剤との反応から得られる増白顔料を配合することにより、蛍光増白剤が環境の影響から保護されるため、特に耐光堅ろう性に関し、優れた性質を有するコーティング組成物が得られるということがわかった。
【0005】
したがって、本発明は、
(a)メラミン−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−尿素重縮合物と、
(b)式(1):
【0006】
【化2】

【0007】
(式中、
2つのR1基がそれぞれ、互いに独立して、1又は2個の−CONH2、−CONHC1〜C4アルキル、−COOH、−SO2NH2、−SO2NHC1〜C4アルキルもしくは−NH2基により置換されているC1〜C6アルキル又はC1〜C4アルキル−O−C1〜C4アルキル残基を表し、
2つのR2基がそれぞれ、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル又はC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基を表すか、
1及びR2が、窒素原子と共にピペラジン環を形成し、
2つのX1基のそれぞれが、独立して、−OH、−OC1〜C4アルキル、−Oアリール又は−NR34を表し、
ここで、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル、フェニル又はフェニルモノ−もしくはジスルホン酸残基を表すか、
3及びR4は、それらが結合する窒素原子と共に、モルホリノ、ピペリジノ又はピロリジノ環を形成する、あるいは、
1は、アミノ基から水素原子が引き抜かれている、アミノ酸残基を表し、
Mは、水素、アルカリもしくはアルカリ土類金属イオン、アンモニウム、一、二、三又は四置換C1〜C4アルキルアンモニウムもしくはC2〜C4ヒドロキシアルキルアンモニウム又はそれらの混合物である)
の水溶性蛍光増白剤と
の反応生成物を含む増白顔料に関する。
【0008】
好ましい増白顔料はまた、式(1)の水溶性蛍光増白剤の混合物を使用して得ることもできる。
【0009】
本発明の一つの好ましい態様では、成分(a)はメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物である。
【0010】
メラミン−ホルムアルデヒド(MF)樹脂とも呼ばれる、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合物は、アミノプラスチック樹脂である。
【0011】
前記縮合物は、N−メチロール化合物を形成するためのホルムアルデヒド水溶液を用いるメチロール化反応におけるメラミンの酸又は塩基触媒反応によって調製される。反応時間を延ばす、又は温度を高めると、メチロール基がさらなるメラミンと反応して、メチレン架橋又は、メチロール基が互いに反応する場合、メチロールエーテル架橋を形成する。
【0012】
反応は通常、まだ可溶性又は溶融性である予備的な縮合物が存在する段階で、所望により充填剤を添加するために中断させる。さらに、これらの予備的な縮合物の溶解度を改善するため、まだ残留するメチロール基の一部をエーテル化してもよい。
【0013】
また、N−メチロール化合物のエーテル化は、水をアルコール又はグリコールとともに共沸留去したのち、または噴霧乾燥により、実質的に無水のメチロール−メラミンを、酸性又はアルカリ性の触媒の添加とともに、低級アルコール又はグリコールでエーテル化し、エーテル化後に中和し、適切ならば過剰のアルコール又はグリコールを留去することによって実施することができる。
【0014】
もっとも好ましい樹脂は、たとえばメタノール又はメタノール/ジエチレングリコール混合物でエーテル化することができるトリ−又はペンタ−メチロールメラミンである。
【0015】
式(1)の好ましい蛍光増白剤は、式中の2個のR1基のそれぞれ、2個のR2基のそれぞれ、及び2個のX1基のそれぞれが同一であるものである。
【0016】
メラミン−ホルムアルデヒド又は尿素−ホルムアルデヒド樹脂と反応することができる非芳香族置換基R1は、好ましくは、1個の−CONH2もしくは−CONHC1〜C4アルキル基により置換されている、C1〜C4アルキル残基であるか、又は、アミノ酸残基、例えば、リシン残基であってよいが、最も好ましいR1残基は、式−CH2CH2C(=O)NH2のものである。
【0017】
2基は、好ましくは、水素、C1〜C4アルキル又はC2〜C4ヒドロキシアルキルを表し、ヒドロキシエチル又はヒロドキシプロピル残基が最も好ましく、特に2−ヒドロエチルが好ましい。
【0018】
残基X1は、好ましくは、基−NR34を表し、ここで、
3が、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル、フェニル又はフェニルモノ−もしくはジスルホン酸残基を表し、
4が、水素、C1〜C4アルキル又はC2〜C4ヒドロキシアルキルを表すか、
3及びR4が、それらが結合する窒素原子と共に、モルホリノ環を形成し、あるいは、
1は、アミノ基から水素原子が引き抜かれている、アミノ酸残基、特に、グリシン、アラニン、サルコシン、セリン、システイン、フェニルアラニン、チロシン(4−ヒドロキシフェニルアラニン)、ジヨードチロシン、トリプトファン(β−インドリルアラニン)、ヒスチジン(β−イミダゾリルアラニン)、α−アミノ酪酸、メチオニン、バリン(α−アミノイソ吉草酸)、ノルバリン、ロイシン(α−アミノイソカプロン酸)、イソロイシン(α−アミノ−β−メチル吉草酸)、ノルロイシン(α−アミノ−n−カプロン酸)、アルギニン、オルニチン(α,δ−ジアミノ吉草酸)、リシン(α,ε−ジアミノカプロン酸)、アスパラギン酸(アミノコハク酸)、グルタミン酸(α−アミノグルタル酸)、トレオニン、ヒドロキシグルタミン酸、イミノ二酢酸もしくはタウリン又はそれらの混合物もしくは光学異性体から誘導されるアミノ酸残基X1を表し、サルコシン、タウリン、イミノ二酢酸及びアスパラギン酸残基が特に好ましく、アスパラギン酸又はサルコシン残基がもっとも好ましい。とりわけもっとも好ましい残基X1は、X1が、アニリノ、アニリノ−4−スルホン酸、アニリノ−2,5−ジスルホン酸又はモルホリノ残基であるものである。
【0019】
式(1)の化合物中、Mは、好ましくは水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウムを表し、特に水素、ナトリウム又はカリウムを表し、とりわけナトリウムが好ましい。
【0020】
式(1)の化合物の定義の範囲では、C1〜C6アルキル基は、分岐鎖状又は非分岐鎖状であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、メチルブチル、エチルプロピル、n−ヘキシル、メチルペンチル又はエチルブチルであり、それらは非置換であってもよいし、ハロゲン、たとえばフッ素、塩素又は臭素により置換されているか、カルボン酸又はエステル残基により置されていてよい。
【0021】
1〜C4アルコキシ基は、たとえば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ又はn−ブトキシを表し、一方C2〜C4ヒドロキシアルキルは、たとえば、1−もしくは2−ヒドロキシエチル、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル又はヒドロキシブチルであってよい。アリールは好ましくは、非置換であるか、1もしくは2個のC1〜C4アルキル−又はC1〜C4アルコキシ基により、あるいはハロゲンにより置換されているフェニルである。
【0022】
本発明の増白顔料は、式(1)の化合物を、水性媒体中、強鉱酸、たとえば濃塩酸の添加によって生じる酸性条件下、過剰量のメラミン−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−尿素重縮合物に添加することによって調製することができる。そして、この混合物を、好ましくは高温、たとえば50〜90℃、好ましくは65〜75℃で攪拌して反応を完了させ、続いて、反応混合物を、強無機塩基、たとえばアルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムで塩基性化する。得られた水性懸濁液を、コーティング着色剤中にそのまま使用することもできるが、好ましくはろ過し、得られた増白顔料を乾燥させたのち、適当な粒径まで粉砕する。
【0023】
本発明にしたがって使用される増白顔料は、好ましくは、
(a)メラミン−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−尿素重縮合物50〜98重量%、好ましくは70〜97重量%と、
(b)式(1)の水溶性蛍光増白剤2〜50重量%、好ましくは3〜30重量%と
の反応によって得られる。
【0024】
式(1)の水溶性蛍光増白剤は公知の化合物であるか、公知の方法により得ることができる。
【0025】
紙の蛍光増白に用いる微粒子状の白色化した増白顔料は、乾式粉砕したのち、そのまま粉末形態で紙コーティング組成物に配合することができ、その場合、粒径は、0.05〜40μm、好ましくは0.3〜10μm、特に0.5〜5μmである。
【0026】
しかし、大部分の場合、おそらくは、微粒子状の増白顔料を水相に分散させ、得られた水性分散系を紙コーティング組成物に配合することがより好都合であろう。
【0027】
本発明にしたがって紙コーティング組成物に使用される増白顔料の量は、所望の増白効果によって異なる。通常は、コーティング着色剤中に存在する無機顔料100重量部につき、本発明の蛍光顔料0.01〜10重量部、好ましくは、0.05〜5重量部である。
【0028】
紙コーティング組成物は、一般に10〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の固形分を有する。
【0029】
コーティング組成物は、本発明にしたがって使用するための増白顔料に加えて、一般に、無機顔料(たとえば炭酸カルシウム又は粘土)100部につき、
(i)バインダ3〜25重量部、場合によってはその半分までが天然(すなわち非合成)又は合成のコバインダ(たとえばデンプン、カゼイン、ポリビニルアルコール、CMC)、
(ii)レオロジー改良剤0〜1重量部
(iii)湿潤強度増強剤0〜2重量部
を含む。
【0030】
本発明の増白顔料は、織物、塗料、接着剤、プラスチック、木及び紙産業で通例に使用される、場合によっては着色されているコーティング組成物を増白するのにすばらしく適している。このようなコーティング組成物は、バインダ(コバインダ)として、ブタジエンとスチレン、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒド、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシド、アクリロニトリルとブタジエンとスチレン、アクリル酸エステル、エチレンと塩化ビニル、及びエチレンと酢酸ビニルのコポリマー又はホモポリマー、たとえばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールもしくはポリウレタンに基づくプラスチック分散系を含む。
【0031】
コーティング組成物を着色するためには、一般に、ケイ酸アルミニウム、たとえばチャイナクレー又はカオリン及び硫酸バリウム、サテンホワイト、二酸化チタン又はカルシウム化合物が紙のために使用される。これらは、例として、J. P. Casey「Pulp and Paper; Chemistry and Chemical Technology」2nd Ed. Vol. III, p. 1648-1649及びMcGraw-Hill「Pulp and Paper Manufacture」2nd Ed. Vol. II, p. 497ならびにEP−A−0003568に記載されている。コーティング組成物には、さらに、着色シェーディング顔料又は染料、さらにはFWAを添加することができる。
【0032】
本発明の増白顔料は、特に、紙、より具体的にはインクジェット紙及び印画紙、木、箔、織物、不織物及び適切な建築材料のコーティングに使用することができる。特に好ましいものは、紙及び厚紙ならびに印画紙及びインクジェット紙に対する使用である。
【0033】
したがって、本発明のさらなる態様は、上記の増白顔料組成物又はコーティング組成物で処理された紙である。
【0034】
このようにして得られたコーティング又はカバーは、高度な耐光堅ろう性に加えて、優れた白色度を有する。また、本発明にしたがって使用される増白顔料は、紙マトリックス中にさらなるフィラーとして残存し、紙の印刷適性に対して好ましい影響を及ぼすため、均一さ、平滑さ、体積及び印刷適性が改善される。さらには、その優れたにじみ堅ろう性のおかげで、このようなコーティングは、食品包装材における使用に非常に適している。
【0035】
以下の例が本発明を説明するが、限定的であることを意図しない。断りない限り、部及び%値は重量基準である。
【0036】
A.増白顔料の調製
例1
水900ml中に、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)252gと式(101):
【0037】
【化3】

【0038】
の化合物7.5gを加え攪拌した溶液に、37%塩酸水溶液を添加し、pHを3.9に調節した。この溶液を70℃に加熱し、37%塩酸水溶液の添加によってpHを2.0に調節し、この温度で4時間攪拌した。室温まで放冷したのち、32%水酸化ナトリウム水溶液の添加によってpHを9.5〜10に調節し、沈殿した固体をろ過し、水洗し、真空下80℃で乾燥させた。式(101)の蛍光増白剤を8%含有する白色顔料89gを得た。
【0039】
例2
例1に記載したように、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)335gと式(101)の化合物5.0gとを反応させることにより、式(101)の蛍光増白剤を4%含有する白色顔料119gを得た。
【0040】
例3
例1に記載したように、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)76.4gと式(102):
【0041】
【化4】

【0042】
の化合物4.58gとを反応させることにより、式(102)の蛍光増白剤を16%含有する白色顔料27.7gを得た。
【0043】
例4
例1に記載したように、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)100gと式(102)の化合物11.9gとを反応させることにより、式(102)の蛍光増白剤を28%含有する白色顔料40.2gを得た。
【0044】
例5
例1に記載したように、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)168gと式(103):
【0045】
【化5】

【0046】
の化合物7.0gとを反応させることにより、式(103)の蛍光増白剤を11%含有する白色顔料61gを得た。
【0047】
例6
例1に記載したように、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)100gと式(103)の化合物3.0gとを反応させることにより、式(103)の蛍光増白剤を5%含有する白色顔料57gを得た。
【0048】
例7
例1に記載したように、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)268.8gと式(103)の化合物32.0gとを反応させることにより、式(103)の蛍光増白剤を24%含有する白色顔料117gを得た。
【0049】
例8
例1に記載したように、59.7%水性ペンタメチロール−メラミン(LYOFIX(商標)CHN)168gと式(104):
【0050】
【化6】

【0051】
の化合物10.0gとを反応させることにより、式(104)の蛍光増白剤を16%含有する白色顔料63.7gを得た。
【0052】
B.応用例
1)分散系の調製
上記例1〜8に記載の手順で得られた乾燥顔料各々6.0gを、分散剤(Pluronic(商標)F108)2.5gを含む脱イオン水21.5gに加え、直径2mmのガラスビーズ50gを使用して15時間湿式磨砕した。磨砕工程後、分散系を粗目の金網フィルタを通してろ過し、ガラスビーズと分離した。
2)コーティング混合物の調製
固形分60%を有し、炭酸カルシウム60%及び粘土40%の混合物100部からなるコーティング着色剤に、コーティング顔料の総重量に基づいて0.2部のポリビニルアルコール及び9部のSBRバインダを加えたのち、例1〜8に記載の手順で得た4部の増白顔料を、上記Pt1)で記載した手順で分散した後、加えた。15分間攪拌してコーティング着色剤を均質化したのち、蛍光増白剤を含まない原紙に対し、実験用ドローダウンコータを使用して5m/minのコーティング速度でコーティングを施して、約28g/m2の塗布量を得た。
【0053】
乾燥後、Datacolor Elrepho 3000分光光度計を用いてISO蛍光値及びCIE白色度を測定し、その結果を以下の表1にまとめた。
【0054】
【表1】

【0055】
さらなる実験で、本発明の、適切な顔料を充分含有し、その顔料に、無機顔料の総重量に基づいて0.075、0.15及び0.3部の蛍光増白剤を配合したコーティング組成物を調製し、上記のようにコーティングを施した。
【0056】
その結果得られたISO蛍光値及びCIE白色度を以下の表2にまとめた。
【0057】
【表2】

【0058】
上記表1及び2にまとめられた結果は、本発明の蛍光顔料の優れた増白効果とそのビルドアップ(build-up)特性の両方を明らかに実証し、そのため、蛍光増白剤の濃度が増しても、望ましくない緑色化の傾向が見られない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メラミン−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−尿素重縮合物と、
(b)式(1):
【化1】


(式中、
2つのR1基がそれぞれ、互いに独立して、1又は2個の−CONH2、−CONHC1〜C4アルキル、−COOH、−SO2NH2、−SO2NHC1〜C4アルキルもしくは−NH2基により置換されているC1〜C6アルキル又はC1〜C4アルキル−O−C1〜C4アルキル残基を表し、
2つのR2基がそれぞれ、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル又はC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基を表すか、
1及びR2が、窒素原子と共にピペラジン環を形成し、
2つのX1基のそれぞれが独立して、−OH、−OC1〜C4アルキル、−Oアリール又は−NR34を表し、
ここでR3及びR4はそれぞれ独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル、フェニル、フェニルモノ−もしくはジスルホン酸残基を表すか、
3及びR4は、それらが結合する窒素原子と共に、モルホリノ、ピペリジノ又はピロリジノ環を形成する、あるいは、
1は、アミノ基から水素原子が引き抜かれている、アミノ酸残基を表し、
Mは、水素、アルカリもしくはアルカリ土類金属イオン、アンモニウム、一、二、三又は四置換C1〜C4アルキルアンモニウムもしくはC2〜C4ヒドロキシアルキルアンモニウム又はそれらの混合物である)
の水溶性蛍光増白剤と
の反応生成物を含む増白顔料。
【請求項2】
成分(a)がメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物である、請求項1記載の増白顔料。
【請求項3】
式(1)の化合物中、2個のR1基のそれぞれ、2個のR2基のそれぞれ、及び2個のX1基のそれぞれが同一である、請求項1又は2記載の増白顔料。
【請求項4】
式(1)の化合物中、R1が、1個の−CONH2又は−CONHC1〜C4アルキル基で置換されているC1〜C4アルキル残基を表す、請求項1〜3のいずれか1項記載の増白顔料。
【請求項5】
式(1)の化合物中、R2が、水素、C1〜C4アルキル又はC2〜C4ヒドロキシアルキルを表す、請求項1〜4のいずれか1項記載の増白顔料。
【請求項6】
式(1)の化合物中、X1が、−NR34を表し、ここでR3が、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル、フェニル又はフェニルモノ−もしくはジスルホン酸残基を表し、R4が、水素、C1〜C4アルキル又はC2〜C4ヒドロキシアルキルを表すか、
3及びR4が、それらが結合する窒素原子と共に、モルホリノ環を形成する、あるいは、
1が、アミノ基から水素原子が引き抜かれている、アミノ酸残基を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の増白顔料。
【請求項7】
式(1)の化合物中、Mが、水素、ナトリウム又はカリウムを表す、請求項1〜6のいずれか1項記載の増白顔料。
【請求項8】
請求項1記載の増白顔料を調製する方法であって、メラミン−ホルムアルデヒド又はメラミン−尿素重縮合物を、水性媒体中、鉱酸の存在下、式(1)の蛍光増白剤と反応させ、続いて塩基で処理することによる方法。
【請求項9】
紙を蛍光増白するための、請求項1〜7のいずれか1項記載の増白顔料組成物の使用。
【請求項10】
無機顔料100部につき、請求項1記載の増白顔料0.01〜10重量部に加えて、
(i)バインダ及びコバインダ3〜25重量部、
(ii)レオロジー改良剤0〜1重量部、及び
(iii)湿潤強度増強剤0〜2重量部
を含む紙コーティング組成物。
【請求項11】
紙を蛍光増白するための、請求項10記載のコーティング組成物の使用。
【請求項12】
請求項9記載の増白顔料組成物又は請求項10記載のコーティング組成物で処理された紙。

【公表番号】特表2007−514014(P2007−514014A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540433(P2006−540433)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052869
【国際公開番号】WO2005/049682
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】