説明

蛍光性磁性粉及びその製造方法、並びに、磁性インク組成物、磁性重合体粒子、磁気潜像用液体現像剤、カートリッジ及び画像形成装置

【課題】蛍光による隠蔽性が高く、かつ適用媒体の自由度が大きく、カラー表示材料や印刷材料に好適に利用可能な蛍光性磁性粉及びその製造方法、並びに、良好なカラー画像やカラー表示が得られるカラートナー、カラーディスプレー等に好適に利用できる磁性インク組成物、磁性重合体粒子、磁性潜像用液体現像剤、カートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【解決手段】磁性粉の表面に蛍光染料が固定化されている蛍光性磁性粉である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光性磁性粉及びその製造方法、並びに、磁性インク組成物、磁性重合体粒子、磁気潜像用液体現像剤、カートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一回の潜像形成で必要部数の印刷が可能な磁気印写装置が知られている。この磁気印写装置では、磁気記録媒体(磁気潜像保持体)に磁気的に形成された磁気潜像を保持させ、現像領域でその磁気記録媒体に磁性トナーを供給して磁気潜像をトナー像として顕像化し、転写領域で紙などの記録媒体を磁気記録媒体へ押し当て、顕像化されたトナー像を記録媒体へ転写し、更に転写後の記録媒体を定着領域に搬送して定着処理することにより印写を完成させる。この方式は、一般にマグネトグラフィと呼ばれている。
【0003】
上記においては、磁気記録媒体における磁化状態は半永久的に保たれるから、1回潜像形成すると、現像・転写のプロセスを繰り返すだけできわめて多数のコピーが得られる。また、マルチコピーを得るのに潜像を記録し直す必要がないので、高速化への対応が可能である。さらに、磁気は静電気と比べると環境変化(特に、湿度変化)に対して安定である。
一方、磁気潜像は容易に磁気的に形成および消去可能であり、刷版が不要なため、コストの低減が可能である。
【0004】
前記マグネトグラフィの具体的なプロセスとしては、例えば磁性トナーは磁気記録媒体に対して離間位置に配置された供給ローラによって供給される。供給ローラは磁性トナー層をその周面上に保持し、磁性トナー層を磁気記録媒体へ接触させて、磁気記録媒体の磁気潜像へ磁性トナーを供給し、付着させる。
上記プロセスを用いた画像形成装置として、粉体の磁性トナーを利用したいわゆる乾式の画像形成装置があるが、磁性トナーを液体中に分散させた液体現像剤を用いた画像形成装置(いわゆる「液体マグネトグラフィ」)も検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
これらの前記磁性トナーに関しては、トナーを構成するバインダー樹脂中に蛍光顔料を分散させて、その蛍光で磁性粉の光吸収を補償する技術が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
また、磁性粉の表面に蛍光顔料を合成樹脂と共にコーティングする技術が開示されている(例えば、特許文献5〜7参照)。
【特許文献1】特公平5−87834号公報
【特許文献2】特開平5−188827号公報
【特許文献3】特開2001−56580号公報
【特許文献4】特開2005−107528号公報
【特許文献5】特開2000−87103号公報
【特許文献6】特開2000−160050号公報
【特許文献7】特開2000−178553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、蛍光による隠蔽性が高く、カラー表示材料や印刷材料に好適に利用可能な蛍光性磁性粉及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、蛍光による隠蔽性が高く、良好なカラー画像やカラー表示が得られるカラートナー、カラーディスプレー等に好適に利用できる磁性インク組成物、磁性重合体粒子、さらにはそれを用いた磁気潜像用液体現像剤、カートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題は、以下の本発明によって達成される。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、磁性粉の表面に蛍光染料が固定化されている蛍光性磁性粉である。
【0008】
請求項2に係る発明は、磁性粉の表面に官能基を有する樹脂層が設けられ、前記蛍光染料が該官能基と反応して樹脂層と連結されている請求項1に記載の蛍光性磁性粉である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記樹脂層及び蛍光染料を含む磁性粉以外の成分が、全体の5.0質量%以上50質量%以下である請求項2に記載の蛍光性磁性粉である。
【0010】
請求項4に係る発明は、少なくとも磁性粉の表面に蛍光染料が固定化された蛍光性磁性粉を含み、該蛍光性磁性粉が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光性磁性粉である磁性インク組成物である。
【0011】
請求項5に係る発明は、少なくとも磁性粉の表面に蛍光染料が固定化された蛍光性磁性粉を含み、該蛍光性磁性粉が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光性磁性粉である磁性重合体粒子である。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の磁性重合体粒子と、水性媒体と、を含む磁気潜像用液体現像剤である。
【0013】
請求項7に係る発明は、液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記液体現像剤を外部に供給する現像剤供給手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項6に記載の磁気潜像用液体現像剤であるカートリッジである。
【0014】
請求項8に係る発明は、磁気潜像保持体と、
前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、
磁性トナー及び水性媒体を含む液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記磁気潜像をトナー像として顕像化するために前記液体現像剤を磁気潜像が形成された磁気潜像保持体に供給する現像剤供給手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項6に記載の磁気潜像用液体現像剤である画像形成装置である。
【0015】
請求項9に係る発明は、磁性粉の表面をカップリング剤で処理して疎水化処理する疎水化処理工程と、
該疎水化処理された磁性粉表面に官能基を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層の官能基及び蛍光染料を反応させ固定化する固定化工程と、を有する蛍光性磁性粉の製造方法である。
【0016】
請求項10に係る発明は、前記カップリング剤が、下記構造式(1)で示される重合性基含有シランカップリング剤である請求項9に記載の蛍光性磁性粉の製造方法である。
【0017】
【化1】

【0018】
上記構造式(1)中、nは1乃至18の整数を、Rは水素またはメチル基を、X,Y及びZはハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基のうちのいずれかを各々表す。
【0019】
請求項11に係る発明は、前記樹脂層が、下記構造式(2)で示される化合物及び構造式(3)で示される化合物の少なくとも一方を単量体として重合した樹脂を含む請求項9または10に記載の蛍光性磁性粉の製造方法である。
【0020】
【化2】

【0021】
上記構造式(2)、(3)中、R、Rは水素またはメチル基を、nは1乃至18の整数を各々表す。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合、例えば、トナーを構成するバインダー樹脂中にのみ蛍光顔料を分散させた場合と比べて、蛍光による隠蔽性が高く、かつ適用媒体の自由度が大きく、カラー表示材料や印刷材料に好適に利用可能な蛍光性磁性粉が提供される。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合と比較して、蛍光染料を磁性粉表面により安定して固定化することができる。
請求項3に係る発明によれば、本発明の数値範囲に入らないものと比較して、色差がさらに小さい蛍光性磁性粉が提供される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比較して、蛍光による隠蔽性が高く、画像等の明度、彩度の低下が抑制された磁性インク組成物が得られる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比較して、蛍光による隠蔽性が高く、画像等の明度、彩度の低下が抑制され、カラー表示材料や印刷材料に好適に利用可能な磁性重合体粒子が提供される。
請求項6に係る発明によれば、液体マグネトグラフィ方式においても明度、彩度の低下が抑制されたカラー画像に有効な磁気潜像用液体現像剤が提供される。
請求項7に係る発明によれば、明度、彩度の低下が抑制されたカラー表示特性に優れた磁気潜像用液体現像剤の取り扱いを容易にし、液体マグネトグラフィ方式を採用した種々の画像形成装置への適応性を高めることができる。
請求項8に係る発明によれば、液体マグネトグラフィ方式でも明度、彩度の低下が抑制されたカラー画像が安定的に形成される。
請求項9に係る発明によれば、蛍光染料の磁性粉表面への固定化や隠蔽性に優れた蛍光性磁性粉が簡易にかつ良好な収率で製造される。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、蛍光染料の磁性粉表面への固定化をより確実なものとできる。
請求項11に係る発明によれば、本構成を有さない場合、例えば、磁性粉の表面に蛍光顔料を合成樹脂と共にコーティングした場合と比べて、適用溶媒の自由度を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
<蛍光性磁性粉及びその製造方法>
本実施形態の蛍光磁性粉は、磁性粉の表面に蛍光染料が固定化されていることを特徴とする。
前記のように、種々の用途に用いられて磁性特性を発揮し、かつ磁性粉としての色合いを抑制してカラー画像やカラー表示の良好な着色特性を得るために、蛍光顔料等により磁性粉の表面を覆うことは蛍光による隠蔽率が高く有効である。しかし、当該磁性粉は単独で用いられるわけではなく各種媒体と混合して用いられるので、蛍光顔料等が磁性粉表面から離脱し、結果として十分な蛍光による補償が得られない。
【0024】
このため本発明者等は、磁性粉の表面に蛍光染料等を強固に固着させ、磁性粉そのものを蛍光性を有する顔料のようにすることができないかを検討した。その結果、後述するように、磁性粉表面を溶剤等で溶け出さない強固な樹脂層で被覆し、この樹脂層と蛍光染料とを化学的に結合させることにより、磁性粉表面の蛍光による隠蔽率が高く、しかも広範な用途に用いられても蛍光染料が磁性粉表面に安定して固定化された蛍光性磁性粉が得られることが見出された。
【0025】
ここで、上記「固定化」とは、溶剤としてイオン交換水およびアセトンを用い、ソックスレーにより6時間抽出を行った場合に、蛍光染料および樹脂層の質量変化(もとの質量を100とした減量分の比率)が20質量%以下であることを意味する。
【0026】
すなわち、本実施形態の蛍光性磁性粉では、磁性粉と蛍光色素とが化学的に結合しており、油性媒体に溶解することなく、かつ親水性媒体にも溶解することなしに容易に分散されるので、適用媒体の選択の自由度が大きくなる。また、本実施形態の蛍光性磁性粉では、明度、彩度の低下が抑制されるので、カラーの表示材料、印刷材料に好適に利用される。この場合、例えば後述する磁性重合体粒子として、トナーのみでなく、蛍光印刷インキ、蛍光塗料、探傷用の蛍光磁粉、抄紙添加剤、分析材料として、広用途で利用される。
【0027】
以下、本実施形態の蛍光性磁性粉の構成を、その製造方法と共に説明する。
本実施形態の蛍光性磁性粉においては、表面に蛍光染料が固定化されていれば特にその構成は制限されないが、まず磁性粉表面に官能基を有する樹脂層を形成し、この官能基と蛍光染料とを反応させて連結させることが望ましい。この場合、前記磁性粉表面に形成される樹脂層は強固なものであり、溶剤等により溶解、剥離等してしまうものでないことは勿論である。また、樹脂層は磁性粉表面と化学的に結合していても結合していなくても良い。
【0028】
上記構成の蛍光性磁性粉は、具体的には、磁性粉の表面をカップリング剤で処理して疎水化処理する疎水化処理工程と、該疎水化処理された磁性粉表面に官能基を有する樹脂層を形成する樹脂層形成と、前記樹脂層の官能基及び蛍光染料を反応させ固定化する固定化工程とを含む製造方法により好適に得ることができる。
以下、各工程に沿って説明する。
【0029】
(疎水化処理工程)
まず、前記疎水化処理工程は磁性粉表面をカップリング剤により処理して、表面を疎水化する工程である。磁性粉の表面を疎水化することにより、形成される樹脂層との接着力を向上させ、溶剤の接触に対してや長期放置における樹脂層の剥離を抑制することができる。
本実施形態において、磁性粉としては、例えば、純鉄やカルボニル鉄などの鉄材料、マグネタイト、四酸化三鉄(Fe34)、γ酸化鉄(Fe23)、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Li系フェライト、Cu−Zn系フェライトの如き鉄系酸化物を挙げることができる。これらの中では、特にシアンもしくは青用の磁性粒子に適するという点で、カルボニル鉄、純鉄を用いることが望ましい。
【0030】
なお、前記鉄を構成成分とする鉄粉の製造方法としては、下記の5種類が挙げられる。
(1)ミルスケール還元鉄粉法:鋼材の圧延の際に発生するミルスケールをコークスで還元(2)鉱石還元鉄粉法:鉄鉱石を原料とし、同上処理
(3)噴霧鉄粉法:溶融鉄を細孔より流出させ、高圧水や高圧ガスで粉末化
(4)電解鉄粉法:鉄を含む硫酸鉄、塩化鉄などの水溶液から鉄を電解析出
(5)カルボニル鉄粉法:カルボニル鉄Fe(CO)に水蒸気を加え熱分解し粉末化
これらのうち、前記カルボニル鉄粉は(5)の方法により得られた鉄粉をいう。
【0031】
また、他の金属酸化物として、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb等の金属を単独あるいは複数用いた非磁性の金属酸化物および上記磁性を示す金属酸化物を使用できる。例えば非磁性の金属酸化物として、Al、SiO、CaO、TiO、V、CrO、MnO、Fe、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y、ZrO系等を使用することができる。
これらの中では、黄、緑、マゼンタもしくは赤用の磁性カラー粒子に適するという点でイットリウム・鉄・ガーネット(YFe12、YIG)を用いることが望ましい。
【0032】
後述する疎水化処理前の磁性粉の平均一次粒子径は、0.02μm以上2.0μm以下の範囲であることが望ましい。磁性粉の平均一次粒子径が上記範囲にあると、磁性粉が凝集し難く、重合性単量体中への均一な分散が容易となる。またここで、分散に関する「均一」とは、系内に磁性粉の1次粒子が十数個集まった程度の大きさの凝集体が存在しないことをいう。以下も同様である。
【0033】
前記のように、疎水化処理はカップリング剤による処理で行われる必要がある。該カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好適に用いられるのはシランカップリング剤であり、例えば下記一般式(1)で示される構造のシラン化合物が用いられる。
一般式(1): RmSiYn
(上記式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【0034】
具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0035】
これらの中では、C2p+1−Si−(OC2q+1(式中、pは2〜20の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤、C−C2r−Si−(OC2s+1(式中、rは2〜20の整数を示し、sは1〜3の整数を示す。)で示されるアラルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して磁性粉を疎水化処理するのが好ましい。なお、ここで使用される“アラルキル” は、芳香族構造および脂肪族構造の両方を有する炭化水素基を意味する。即ち、アルキル基の水素原子の代わりに置換または未置換のアリール基が置換されている。そのアラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−メシチル基等が挙げられる。
【0036】
また本実施形態では、前記シランカップリング剤として、特に下記構造式(1)で示される重合性基含有シランカップリング剤を用いることが望ましい。
【0037】
【化3】

【0038】
なお、上記構造式(1)中、nは1乃至18の整数を、Rは水素またはメチル基を、X,Y及びZはハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基のうちのいずれかを各々表す。また、前記ハロゲン原子としては塩素、アルキル基としてはメチル基、エチル基、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が望ましい。
構造式(1)に示すシランカップリング剤を用いることにより、処理後の磁性粉表面にビニル基が存在するため、後述する樹脂層形成の際に該樹脂層形成のための単量体と重合反応的に反応することができるため、樹脂層形成とともに層が磁性粉表面と化学的に結合することとなる。
【0039】
磁性粉の疎水化処理は、例えばシランカップリング剤を用いる場合は、磁性粉体を撹拌によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は、磁性粉体を溶媒中に分散させシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法、あるいは、磁性粉体を溶媒中に分散させシランカップリング剤を混合した後ロータリーエバポレータのごとき蒸留装置で溶媒を蒸発させ、シランカップリング剤が付着した磁性粉体を熱処理する方法等の一般に知られた方法で処理することができる。また、前記の疎水化処理も併用可能である。
【0040】
前記疎水化処理での磁性粉に対するカップリング剤の処理量は、磁性粉100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下の範囲が望ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲とするのがより好適である。
【0041】
(樹脂層形成工程)
次に、疎水化処理を行った磁性粉表面に樹脂層を形成する。樹脂層を構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、セルロース、酢酸セルロース、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、樹脂ビニル樹脂、ケイ素樹脂等や、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合体または共重合体などが挙げられる。
【0042】
また、本実施形態の蛍光性磁性粉では、形成された樹脂層表面に蛍光染料と反応するための官能基を有することが望ましい。このため、樹脂層を構成する樹脂は当該官能基を有する単量体の重合体であることが望ましい。
なお、上記官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、カルボン酸無水物基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、イソシアネート基、エポキシ基等のほか、イオン性基も有効である。
【0043】
樹脂層の形成方法としては、特に制限はなく、例えば樹脂を溶剤中に溶解・分散させた樹脂層形成用溶液を用い、磁性粉を被覆層形成用溶液に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を磁性粒子の表面に噴霧するスプレー法、磁性粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液と混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、等により樹脂層を直接形成することができる。
【0044】
しかし、本実施形態では前記官能基を有する単量体等を含む重合性成分中に前記疎水化処理を行った磁性粉を入れ、さらに重合開始剤等を加えて重合反応を行って磁性粉表面に樹脂層を形成することが望ましい。
上記方法により樹脂層を形成する方が、磁性粉ごとにばらつきなく均一な樹脂層を形成することができ、形成後の磁性粉同士の凝集等も回避される。
【0045】
前記単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシブチルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシブチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルマレート、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマー又はオリゴマー、アルキルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のモノマーまたはオリゴマー;アルキルメタクリレート、スチレン、ジアリルフタレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等のモノマーまたはオリゴマー等を用いることができる。
また、前記重合開始剤としては、アセチルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化化合物、または、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が好適に使用できる。
【0046】
特に本実施形態においては、樹脂層に含まれる樹脂用の単量体として、下記構造式(2)で示される化合物及び構造式(3)で示される化合物の少なくとも一方を用いることが望ましい。
【0047】
【化4】

【0048】
なお、上記構造式(2)、(3)中、R、Rは水素またはメチル基を、nは1乃至18の整数を各々表す。
上記構造の単量体を重合した樹脂は、理由は明らかでないが非常に硬質であり、また単独で有機溶剤に溶けにくい。したがって、この樹脂を含む樹脂層を磁性粉表面に形成することは本実施形態において好適である。
【0049】
前記単量体を用いて重合を行い樹脂層を形成する場合、含まれる樹脂の重量平均分子量は1000以上1000000以下とすることが望ましく、10000以上500000以下とすることがより好適である。
重量平均分子量が1000に満たないと、強固な樹脂層とすることができず溶剤の接触等で層が溶解してしまう場合がある。1000000を超えると、蛍光染料との反応が遅くなる場合がある。
また、樹脂層の厚さは10nm以上1000nm以下とすることが望ましい。
【0050】
樹脂層が形成された磁性粉は、その表面に官能基を有するが、官能基がカルボキシル基の場合、カルボキシル基量は0.1mmol以上3.0mmol以下であることが望ましく、0.5mmol以上1.0mmol以下であることがより好適である。
【0051】
前記カルボキシル基量は以下のようにして測定することができる。
まず樹脂層を形成した磁性粉を秤量してキャップ付き試験管に入れ、DMF5mlを加え、超音波スターラーを用いて1時間分散した。分散液全量をコニカルビーカーに集め、指示薬としてフェノールフタレイン(和光純薬(株)製)を用いて、0.1Mのエタノール性水酸化カリウム溶液(和光純薬(株)製)で滴定した。
【0052】
磁性粉を用いないブランク実験も行い、その差分から下式(1)に従ってカルボキシル基量(mmol/g)を算出した。
カルボキシル基量=((F−E)×0.1×f)/W ・・・ 式(1)
上記式(1)中、Eはブランク実験での滴下量(ml)、Fはサンプルの滴下量(ml)、fは水酸化カリウム溶液のファクター、Wは磁性粉中の樹脂層の重量(g)である。なお、樹脂層の重量Wは樹脂層を形成した磁性粉の熱重量分析(TGA)を行い、鉄粉の場合は式(2)、YIGの場合式(3)により求められる。
W=Z×(X−Y/1.43)/X ・・・ 式(2)
W=Z×(X−Y)/X ・・・ 式(3)
上記式(2)中、Zは前記カルボキシル基量の測定に用いた磁性粉量(g)、Xは熱重量測定に用いた磁性粉量(g)、Yは600℃までの熱重量測定後の残渣量(g)である。「1.43」は磁性粉が鉄の場合、熱天秤の中で鉄が酸化され酸化鉄になって質量が増加するのでその分を補正するための数値である。熱重量測定は、後述の蛍光染料固定化後の熱重量測定の方法に準ずる。
【0053】
(固定化工程)
次に、樹脂層表面に存在する官能基に対して蛍光染料を反応させ、該蛍光染料を樹脂層に固定化する。
前記蛍光染料としては、ナフタルイミド類;カチオン 性又は非カチオン 性クマリン類(coumarins);キサンテノジキノリジン類(例えばスルホローダミン類);アザキサンテン類;ナフトラクタム類;アズラクトン類;オキサジン類;チアジン類;ジオキサジン類;アゾ、アゾメチン又はメチン型のモノカチオン性又はポリカチオン性蛍光染料の単独物又は混合物、好ましくは、ナフタルイド類;カチオン性又は非カチオン性クマリン類;アザキサンテン類;ナフトラクタム類;アズラクトン類;オキサジン類;チアジン類;ジオキサジン類;アゾ、アゾメチン又はメチン型のモノカチオン性又はポリカチオン性蛍光染料の単独物又は混合物に属する蛍光染料を挙げることができる。
【0054】
具体的には、C.I.Fluorescent Brightening Agent14、同24、同30、同32、同52、同54、同69、同79、同84、同85、同86、同87、同90、同104、同112、同113、同114、同119、同121、同134、同135、同152、同166、同167、同168、同169、同191、同192、同201、同204、同214、同216、同217、同218、同223、同226、同229、同234、同236、同239、同240、同242、同257、同260、同271、同290、同310、同311、同312、同313、同314、同315;C.I.Basic Red1、同2、同9、同12、同13、同14、同17;C.I.Basic Violet1、同3、同7、同10、同11、同14;C.I.Basic Yellow2、同9、同35、同40、同44、同95;C.I.Solvent Yellow160:1、同98;C.I.Disperse Orange47;C.I.Basic Violet11:1;C.I.Basic Blue7、同45;C.I.Acid Red51、同52、同92、同94;C.I.Acid Blue9、C.I.Acid Yellow7、同23;C.I.No.59075、同45170、同45160、同48070;C.I.Acid Red52、同87、同92;C.I.Acid Black2;などが挙げられる。
【0055】
これらの中では、後述する磁性インク組成物や磁性重合体粒子による表示色がイエロー色の場合、Basic Yellow2、Basic Yellow40などを、表示色がマゼンタから赤系色の場合、Basic Red 1、Basic Violet 10などを用いることが望ましい。
【0056】
前記樹脂層の官能基と蛍光染料との反応としては、特に制限されず、塩交換反応、酸塩基反応、付加反応などを、条件等に応じて選択し用いることができる。
例えば前記塩交換反応の場合には、まず樹脂層表面の官能基であるカルボキシル基をNaOH等の塩基と中和反応させ、塩(中和塩)構造とし、次いでカチオン性の蛍光染料と塩交換反応を行って樹脂層と蛍光染料とを結合させる。
また、酸塩基反応の場合には、例えば前記構造式(2)や構造式(3)に示される単量体を重合させた樹脂を樹脂層とし、アミノ基を有する蛍光染料と酸塩基反応を行って樹脂層と蛍光染料とを結合させる。
さらに、付加反応の場合には、樹脂層表面の官能基であるイソシアネート基、ブロックイソシアネート基あるいはグリシジル基と、蛍光染料分子に存在するアミノ基、水酸基あるいはカルボキシル基との反応により樹脂層と蛍光染料とを結合させる。
【0057】
上記いずれの反応を利用する場合にも、樹脂層表面の全官能基のうちの%以上に蛍光染料を結合させることが望ましく、10%以上とすることがより好適である(以下、これを固定化率という場合がある)。
固定化率が1%に満たないと、磁性粉表面の蛍光染料が不足し、十分な蛍光による隠蔽性が得られない場合がある。なお、上記固定化率は、例えば蛍光染料を反応させたのちの蛍光性磁性粉について、前記カルボキシル基量を測定し、反応前の当該官能基量と比較することにより求めることができる。
【0058】
以上説明した工程にしたがって、本実施形態の蛍光性磁性粉は好適に得られる。
前述のように、本実施形態における「固定化」とは、イオン交換水およびアセトンを溶剤としたソックスレー抽出において、質量変化が20質量%以下であることを意味するが、この質量変化は10質量%以下であることがより望ましい。
【0059】
また得られた本実施形態の蛍光性磁性粉において、樹脂層及び蛍光染料を含む磁性粉以外の成分量(固定化成分量)は、全体の5.0質量%以上50質量%以下であることが望ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより望ましい。
前記成分量が5.0質量%に満たないと、蛍光染料の固定化が十分でなかったり蛍光による隠蔽性が不足する場合がある。50質量%を超えると、磁性粉の粒径が大きくなり、磁性インクとして利用した場合に画質が悪くなる場合がある。
【0060】
なお、上記磁性粉以外の成分量は、作製した蛍光性磁性粉について、室温(20℃)から600℃までの熱重量分析(TGA)を行い、重量減少分を測定し、該重量減少分を初期の測定試料の重量で除することにより、比率(%)として求めることができる。磁性粉が鉄粉の場合、TGA測定中で鉄が酸化され酸化鉄に変換されるので前述の式(2)で示した補正が必要である。
別の測定法として、蛍光性磁性粉を試料振動型磁力計(VSM)で測定し、得られた磁気特性と処理前の磁性粉の磁気特性から蛍光性磁性粉中の磁性粉の質量を算出し、磁性粉以外の成分量を算出することもできる。
【0061】
<磁性インク組成物>
本実施形態の磁性インク組成物は、少なくとも前述の本実施形態の蛍光性磁性粉を含んで構成される。
本実施形態の磁性インク組成物は、例えば前記蛍光性磁性粉、色素、油、樹脂及び分散溶媒等を組み合わせたビヒクル、並びに、その他の添加剤から構成される組成として得られる。
【0062】
この場合、前記色素の具体例としては、ファストイエローG、ハンザブリリアントイエロー5GX、ジスアゾイエローAAA、ナフトールレッドHFG、レーキレッドC、ベンズイミダゾロンカーミンHF3C、ジオキサジンバイオレット、フタロシアニンブルー、インダコトロンブルー、フタロシアニングリーン、ベンズイミダゾロンブラウンHFR、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン、タートラジンレーキ、ローダミン6Gレーキ、メチルバイオレットレーキ、ベーシック6Gレーキ、ブリリアントグリーンレーキ、ニグロシンなどが挙げられる。
なお、
【0063】
また、ビヒクルは、油、樹脂、分散溶媒等からなり、油の具体例としては、あまに油、しなきり油、大豆油、ひまし油、脱水ひまし油、リソワニス、マレイン化油、ビニル化油、ウレタン化油、マシン油、スピンドル油などが挙げられる。なお、樹脂としては、ロジン、セラック、コーパル、ダンマル、ギルソナイト、ゼイン、石灰ロジン、エステルガム、フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、クマロン/インデン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、塩素化ポリプロピレン、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、セルロース誘導体などが挙げられる。
【0064】
また、分散溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、カルビトール、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0065】
なお、前記添加剤としては、ワックス、ドライヤ、湿潤剤、架橋剤、安定剤、ゲル化剤、あわ消し剤、光重合開始剤などが挙げられる。さらに、カラーインキ、塗料等とする場合には、粘度を上げるために増粘剤、粘性を下げるための流動化剤、粒子同志の分散のために分散剤などの成分を含ませることができる。
【0066】
本実施形態の磁性インク組成物中の蛍光性磁性粉の含有量は、全体中の質量比で1.0質量%以上50.0質量%以下とすることが望ましく、3.0質量%以上40.0質量%以下とすることがより望ましい。
含有量が1.0質量%に満たないと、インクとしてまたは塗膜として必要な磁気特性が得られない場合がある。50.0質量%を超えると、カラー表示を行う場合に、所望の明度、彩度が得られない場合がある。
【0067】
このようにして得られた磁性インク組成物は、カラー表示の印刷用、インクジェットプリンタ用、熱転写用、ホットメルトプリンタ用、筆記具、ディスプレー用だけでなく、蛍光印刷インキ、蛍光塗料などに好適に用いることができる。しかも、含有された蛍光磁性粉により、磁気信号を付加することができ、磁気ヘッドによる読み出しが可能であり、証明書、切符等の磁気カードの印字、紙幣の印字、秘密文書などの情報付加あるいは情報の保守に利用することもできる。
その際の印字は、磁性粉を加えても色合い調整が容易なため明度、彩度に優れたカラー表示が可能である。
【0068】
<磁性重合体粒子>
本実施形態の磁性重合体粒子は、少なくとも前記本実施形態の蛍光性磁性粉を含むものである。
具体的には、前記磁性重合体粒子は、例えば結着樹脂としての高分子化合物、前記蛍光性磁性粉、カラー画像用に必要な色材、その他必要な成分を含んで構成されるが、後述するように液体マグネトグラフィ用の現像剤に好適に用いられる粒子状の磁性重合体粒子である。したがって、一定以上の磁力を保持しつつ、水などの水性媒体中にばらつきを抑制して(均一に)分散可能とすることが望ましい。
なお、上記「磁性重合体粒子」とは、磁性粉が重合体中に分散されてなる磁性粉分散粒子で構成されるものである。
【0069】
−高分子化合物−
前記高分子化合物としては、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;などの単独重合体又は共重合体を例示することができる。
【0070】
上記の中で好適な重合体としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィン、ワックス類を挙げることができる。
【0071】
本実施形態において、特に好適に用いられる構成する高分子化合物は、(メタ)アクリレートモノマー及びスチレン系モノマーのうちの少なくとも1つを重合した重合体である。以下、この重合体について詳細に説明する。
なお、ここで上記(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを表す表現であり、また、「(メタ)アクリレート」とは、常用されるように「(メタ)アクリル酸エステル」を意味し、スチレン系モノマーとは、スチレン及びスチレン誘導体を意味する。以下においてもこれに準ずる。
【0072】
(メタ)アクリレートモノマーにおいては、(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基のアルキル基が、炭素数1乃至18の置換・無置換のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられ、その他にベンジル基、ヒドロキシエチル基、水酸基をジヒドロピラン等の疎水性保護基で保護したヒドロキシエチル基、ポリオキシエチレン基等であってもよい。重合体粒子の水への分散性を考慮すると、前記高分子化合物としてはヒドロキシエチルメタアクリレートを含む重合体を用いたり、前記(メタ)アクリレートの重合体にさらに(ポリ)エチレングリコールで修飾させたりすることが望ましい。
【0073】
前記スチレン系モノマーとしては、炭素数6乃至12の置換・無置換のアリール基を有するビニル基含有モノマーが望ましく、該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、p−n−オクチルオキシフェニル基等が挙げられるが、フェニルが望ましい。
【0074】
なお、前記(メタ)アクリレートモノマーのアルキル基、スチレン系モノマーのアリール基における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられる。
前記アルキル基としては、前述のアルキル基で例示したものに準じて挙げることができる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらの中ではメトキシ基、エトキシ基が好ましい。また、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子が好ましい。前記アリール基としては、前述のアリール基で例示したものに準じて挙げることができる。
【0075】
モノマーとして(メタ)アクリレートモノマー及びスチレン系モノマーの双方を用いる場合には、混合物中の(メタ)アクリレートとスチレン系モノマーとの含有量の比は、モル比((メタ)アクリレートモノマー/スチレン系モノマー)で95/10乃至5/95が望ましく、90/10乃至10/90がさらに好適である。
また、本実施形態の磁性重合体粒子には、前記単量体の重合体成分の他に、他の単量体をさらに共重合させてもよい。
【0076】
本実施形態における高分子化合物は、必要に応じて架橋性を有する単量体(架橋剤)をさらに共重合させたものであってもかまわない。具体的には、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(メタ)アクリレート等の架橋ポリマーであり、重合の際に架橋構造とするか、重合によるポリマー粒子化した後に架橋させてもよい。
また、モノマー混合物中の架橋剤の含有量は、(メタ)アクリレートモノマー及び/またはスチレン系モノマー合計量100質量部に対して0.05質量部以上20質量部以下が望ましく、0.5質量部以上10質量部以下がより好適である。
【0077】
また、本実施形態における高分子化合物が非架橋重合体を含む場合、該非架橋重合体の分子量(数平均分子量)は、5000以上1000000以下が望ましく、10000以上500000以下がより好適である。
なお、上記数平均分子量は、前記THFを用いて溶解分として分離した成分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。
【0078】
−その他の成分−
本実施形態の磁性重合体粒子には、更にポリマーの着色を目的として、染料、顔料、カーボンブラックなどの色材を含有させることができる。その場合には、前記蛍光性磁性粉が分散された単量体等の混合物に前記色材を含ませることもできるし、蛍光性磁性粉および前記単量体等とともにあらかじめ混合し、蛍光性磁性粉の分散処理と前記色材の分散処理とを併せて行うこともできる。
【0079】
前記色材としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料;ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料;などが挙げられる。
【0080】
本実施形態の磁性重合体粒子は、前述のようにカラー表示用に好適に用いられるため、マゼンタ、イエロー、シアンなどの着色用の顔料等が好適に用いられる。
より具体的には、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー93、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種又は2種以上を併せて使用することができる。
【0081】
本実施形態の磁性重合体粒子において、前記色材の含有量としては、高分子化合物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された色材を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記色材の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー等を得ることができる。
【0082】
またこの場合、色材の色に応じて前記蛍光性磁性粉が添加されるが、該蛍光性磁性粉の含有量は磁性重合体粒子全体に対して1.0質量%以上50質量%以下であることが望ましく、3.0質量%以上30質量%以下であることがより好適である。
含有量が1.0質量%に満たないと、所望の磁気特性が得られない場合がある。50質量%を超えると、特にカラー表示用に用いられるときに表示色の明度や彩度が劣る場合がある。
【0083】
特に、蛍光性磁性粉として磁性粉が鉄を構成成分とするものを用いる場合には、前記蛍光性磁性粉の含有量を1.0質量%以上5質量%以下とすることが望ましく、2.0質量%以上4.0質量%以下とすることがより好適である。
含有量が1.0質量%に満たないと、所望の磁気特性が得られない場合がある。5質量%を超えると、特にシアン色の表示用に用いられるときに表示色の明度や彩度が劣る場合がある。
【0084】
また、蛍光性磁性粉として磁性粉がイットリウム・鉄・ガーネット(YFe12、YIG)を構成成分とするものを用いる場合には、前記蛍光性磁性粉の含有量を1.0質量%以上25質量%以下とすることが望ましく、3.0質量%以上10質量%以下とすることがより好適である。
含有量が1.0質量%に満たないと、所望の磁気特性が得られない場合がある。25質量%を超えると、特にイエロー色の表示用に用いられるときに表示色の明度や彩度が劣る場合がある。
【0085】
さらに、本実施形態の磁性重合体粒子では、前記色材を用いる場合には、色材と蛍光性磁性粉との質量比(色材/蛍光性磁性粉)を10/1乃至1/10とすることが望ましい。
【0086】
本実施形態の磁性重合体粒子には、更にその他の樹脂成分を含有させることもできる。
前記樹脂成分としては、例えば塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体( ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系単量体とのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂が好ましく、スチレンと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体、(メタ)アクリル酸n−ブチル、ビスフェノールA・フマル酸共重合体、スチレンとオレフィンとの共重合体が特に好ましい。
【0087】
本実施形態の磁性重合体粒子には、更に目的に応じて、離型剤、無機粒体、滑剤、研磨材などの成分を含有させてもよい。ここで用いる離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類; 加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖脂肪族アルコール類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。
【0088】
次に、本実施形態の磁性重合体粒子の好適な製造方法について説明する。
本実施形態の磁性重合体粒子を得るには、公知の方法が利用でき、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、シード重合法等が好適に用いられる。さらに、膜乳化法として知られる乳化方法を使って懸濁重合することもできる。
【0089】
具体的に、例えば前記懸濁重合法により磁性重合体粒子を作製する場合には、まず前記高分子化合物を構成する所望量のモノマー、磁性成分としての本実施形態の蛍光性磁性粉に、さらに架橋剤、重合開始剤等を加えた混合物を調製する。
架橋剤としては、公知の架橋剤を選択して用いることができ、好適なものとしては、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。これらの中でも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより望ましく、更には、ジビニルベンゼンが特に好適である。また、重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤等が好適なものとして挙げられるが、中でも油溶性開始剤が望ましい。
【0090】
また、前記混合物には、更にポリマーの着色を目的とした前記色材など、さらには磁性成分としての他の磁性粉等を含有させることができる。
上記他の磁性粉としては、磁性を示すMO・FeまたはM・Feの一般式で表されるマグネタイト、フェライト等を好適に用いることができる。
【0091】
以上の各単量体等を含む混合物の作製方法としては、例えば、まず前記モノマー、重合開始剤及びその他の必要な成分とを混合して単量体等の混合液を作製する。混合の方法は特に制限されない。
次いで、これに磁性成分である蛍光性磁性粉を分散させる。上記混合液への磁性成分の分散には公知の方法が適用できる。すなわち、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の分散機が使用できる。なお、あらかじめ単量体成分を別途重合し、得られた重合体に磁性成分を分散させる場合には、ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサー、エクストルーダー等の混練機が使用できる。
【0092】
なお、混合物の作製方法としては、上記に限られず、例えば前記混合液作製の際に磁性成分としての蛍光性磁性粉を混合したものを用いて、この段階で磁性成分を含有させてもよいし、前記単量体、磁性成分等を一度に混合して混合物としてもよい。
【0093】
次に、前記モノマー等を含む混合物の水性媒体への懸濁を行う。懸濁は、例えば以下のようにして行うことができる。
すなわち、無機塩類などの塩を溶解し且つ分散安定剤を存在させた水性媒体中に、前記混合物を投入し、懸濁させる。懸濁の方法としては、公知の懸濁方法が利用できる。例えば、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ水性媒体中に単量体等を懸濁させる方法、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で懸濁する方法、超音波によって懸濁する方法等の機械的な懸濁方法が挙げられる。
【0094】
前記分散安定剤としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の無機分散安定剤、硫酸エステルスルホン酸塩系、燐酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;以外に、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、及び種々のグラフトポリマー等を挙げることができるが、特に制限されるものではない。
【0095】
次いで、前記懸濁させた単量体及び磁性成分等を含む粒子を懸濁重合させることにより磁性重合体粒子を得る。重合反応は、大気下だけでなく、加圧下においても行うことができるが、これらその他の反応条件は、必要に応じて適用されるもので、特に限定されるものではない。
【0096】
反応条件としては、例えば、大気圧下で、前記懸濁粒子が分散した懸濁液を攪拌しながら、40℃乃至100℃の反応温度で1時間乃至24時間反応させることが、80%程度以上の収率で重合体粒子を得る等の観点から好適である。
【0097】
また、乳化重合法で磁性重合体粒子を作製する場合は、少量の不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸等を保護コロイド層を形成することができ、ソープフリー重合が可能になるので特に好ましい。
【0098】
なお、本実施形態で使用する重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤等が好適なものとして挙げられるが、中でも水溶性開始剤が望ましい。
水溶性アゾ開始剤としては、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
水溶性過酸化物系開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などが挙げられる。
【0099】
上記重合開始剤の添加量は特に制限されないが、全単量体成分100質量部に対して0.05質量部以上10質量部以下の範囲であることが望ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好適である。
【0100】
このようにして得られた磁性重合体粒子は、個数平均粒径が0.5μm以上20.0μm以下であることが望ましく、1.0μm以上8.0μm以下であることがより好適である。個数平均粒径が上記範囲にあると、粒子の製造や取り扱いがしやすくなるとともに、蛍光性磁性粉を粒子内部に有効に取り込むことができる。
【0101】
なお、上記個数平均粒径は、乾燥粒子を光学顕微鏡または電子顕微鏡にて写真撮影し、その中から無作為に選んだ100個から200個の粒子の粒子径を各々測定し、それらの合計を個数で除した値である。
【0102】
本実施形態においては、前記高分子化合物が、水酸基、カルボキシル基及びそのアルキルエステル基から選択される少なくとも1種を有することが望ましい。これにより、磁性重合体粒子の水分散性が大幅に改善される。高分子化合物が前記官能基を有するためには、前記高分子化合物を構成するモノマーを選択することにより行うことができる。
なお、上記各官能基の存在は、磁性重合体粒子について赤外吸収スペクトルを測定することにより確認することもできるが、磁性成分等の影響を受けるため、下記の方法により行うことが望ましい。
【0103】
すなわち、前記磁性重合体粒子における水酸基、カルボキシル基は、磁性成分によって異なるので、高分子化合物の水酸基等は、磁性成分を除いた重合体成分の水酸基量、カルボキシ基量として求めることにより確認することが望ましい。
この場合、前記高分子化合物が水酸基のみを有するときは、水酸基量は0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下であることが望ましい。水酸基量がこの範囲あれば、重合体粒子が膨潤することなく良好な水性媒体への分散性を得ることができる。
水酸基量は、0.2mmol/g以上4.0mmol/g以下であることが望ましく、0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下であることがより好適である。
【0104】
一方、高分子化合物がカルボキシル基を有する場合には、カルボキシル基量が0.005mmol/g以上0.5mmol/g以下であることが望ましい。カルボキシル基量が前記範囲にあると、水酸基に比べて少ない官能基数であっても良好な水性媒体への分散性、膨潤抑制効果が得られ、他の官能基が存在する場合の変動に対してもこれらの特性を維持できる。
カルボキシル基量は、0.008mmol/g以上0.3mmol/g以下がより望ましく、0.01mmol/g以上0.1mmol/g以下であることがさらに好適である。なおこの場合、水酸基も有するときは、水酸基量は、0.2mmol/g以上4.0mmol/g以下であることがより望ましく、0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下であることがさらに好適である。
【0105】
上記水酸基量、カルボキシル基量は、前述の方法に準じて測定することができる。この場合、例えば、上記高分子化合物に無水酢酸のピリジン溶液等の試薬を加え、加熱して、水を加えて加水分解し、遠心分離機により粒子と上澄みとに分け、該上澄みをフェノールフタレイン等の指示薬を用いて、エタノール性水酸化カリウム溶液等で滴定することにより、その水酸基量を求めることができる。一方、カルボキシル基量の場合は、例えば、上記高分子化合物に水酸化カリウムのエタノール溶液等の試薬を加えて中和反応を行い、遠心分離機により粒子と上澄みとに分け、過剰の水酸化カリウムが含まれる該上澄みを自動滴定装置を用いて、イソプロパノール塩酸溶液等で滴定することにより、そのカルボキシル基量を求めることができる。
【0106】
また、カルボキシル基が後述する塩構造(−COO:ここでYはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン、もしくはアンモニウムなどの有機カチオンを示す)を形成している場合は、塩酸等の酸で塩をカルボン酸に変換した後、上述の滴定を行いカルボキシル基量を求めることができる。
すなわち、本実施形態におけるカルボキシル基量とは、カルボキシル基が塩構造を形成している場合には、該塩構造に寄与しているカルボキシル基を含めたカルボキシル基量をいう。
【0107】
<磁気潜像用液体現像剤>
本実施形態の磁気潜像用液体現像剤(以下、単に「液体現像剤」という場合がある)は、前記本実施形態の磁性重合体粒子をトナーとして水などの水性媒体中に分散させた粒子分散液である。
水性媒体としては、水、若しくは水にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を加えたものが好適に用いられる。この中でも水単独が特に好ましい。水溶性有機溶媒を添加する場合の添加量は、分散させる磁性重合体粒子の性状にもよるが、全溶媒に対し30質量%以下が望ましく、10質量%以下がより好適である。
【0108】
液体現像剤の製造に当たっては、通常の水系の粒子分散体に使用することのできる各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を併用してもよい。
具体的に、上記界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等、いずれの公知の界面活性剤も使用可能である。また、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント;等も挙げられる。
【0109】
前記分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体であれば有効に用いることができる。例えば、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられ、これら共重合体は、ランダム、ブロックおよびグラフト共重合体等いずれの構造でもあってもよい。
【0110】
また、本実施形態において、蒸発性制御や界面特性制御の目的で、水溶性有機溶媒の使用が可能である。水溶性有機溶媒としては、水に添加したときに2相に分離しない有機溶剤であって、例えば一価もしくは多価のアルコール類、含窒素溶媒、含硫黄溶媒、その他その誘導体等が挙げられる。
さらに、水性媒体に導電率、pHの調整等を目的として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等の添加が可能である。
【0111】
また、その他に、必要に応じて、防カビ、防腐、防錆等を目的として安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸等を添加してもよい。また、酸化防止剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、キレート化剤等も添加してもよい。
【0112】
本実施形態において、液体現像剤における磁性重合体粒子の分散粒子径は、体積平均粒子径で0.5μm以上20μm以下とすることが望ましく、1μm以上8μm以下の範囲とすることが望ましい。なお、上記磁性重合体粒子の分散平均粒子径は、コールターカウンター マルチサイザー3(ベックマン−コールター社製)により求めた体積平均粒径である。
【0113】
前記磁気潜像用液体現像剤の製造は、以下の手順により行うことができるが、これに限られるものではない。
まず、主溶媒の水と前記各添加剤とを含む分散媒をマグネチックスターラー等を用いて調製し、これに前記磁性重合体粒子を分散させる。分散には公知の方法が適用できる。すなわち、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の分散機が使用できる。また、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ分散させる方法、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散する方法、超音波によって分散する方法等が挙げられる。
【0114】
液中で磁性重合体粒子同士が単独の分散状態になったことを分取した分散液の顕微鏡観察等により確認し、その後、防腐剤等の添加物を加えて溶解していることを確認した後、得られた分散液を、例えば孔径100μmの膜フィルターを用いて濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去することにより画像形成用記録液としての液体現像剤が得られる。
【0115】
本実施形態における液体現像剤の粘度は、用いる画像形成システムにもよるが、1mPa・s以上500mPa・s以下が好ましい。液体現像剤の粘度が1mPa・s未満の場合、磁性重合体粒子の量や添加剤の量が十分でないことから十分な画像の濃度が得られない場合がある。また、液体現像剤の粘度が500mPa・sより大きいと、粘度が高すぎるためハンドリングが難しくなったり、現像性が低下したりする場合がある。
【0116】
<カートリッジ、画像形成装置>
次に、本実施形態の磁性重合体粒子を含む磁気潜像用液体現像剤が用いられるプロセスについて説明する。
本実施形態の液体現像剤が適用される画像形成プロセスは、いわゆる電子写真プロセスや、誘電体上にイオンなどで静電潜像を形成するプロセス(イオノグラフィ)、帯電した誘電体にサーマルヘッドの熱により画像情報に応じて静電潜像を形成するプロセスなど、静電潜像を利用するものではなく、像保持体上に磁気潜像を形成してトナー像を形成するプロセス(液体マグネトグラフィ)であり、その構成は、現像剤として水性媒体を含む液体現像剤を用いる以外特に制限されない。
下記において、前述の本実施形態における磁気潜像用液体現像剤を用いた磁気現像プロセスによる画像形成装置を簡単に説明する。
【0117】
図1は、前記液体マグネトグラフィ方式を採用した本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
画像形成装置100は、磁気ドラム(磁気潜像保持体)10、磁気ヘッド(磁気潜像形成手段)12、現像装置(現像剤貯留手段及び現像剤供給手段)14、中間転写体(転写手段)16、クリーナ18、消磁装置(消磁手段)20、転写定着ローラ(転写手段)28を含んで構成される。磁気ドラム10は円柱形状を有し、該磁気ドラム10の外周に磁気ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、クリーナ18及び消磁装置20が順次に設けられている。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
【0118】
まず、磁気ヘッド12が、例えば図示しない情報機器と接続され、該情報機器から送られた2値化された画像データを受ける。磁気ヘッド12は、磁気ドラム10の側面上を走査しながら磁力線を放出することによって、磁気ドラム10に磁気潜像22を形成する。なお、図1では磁気潜像22は磁気ドラム10における斜線を付した部分で示される。
【0119】
現像装置14は、現像ローラ(現像剤供給手段)14aと現像剤貯蔵容器(現像剤貯留手段)14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤貯蔵容器14bに貯蔵される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。
なお、現像ローラ(現像剤供給手段)14aと現像剤貯蔵容器(現像剤貯留手段)14bとを備えた現像装置14は、本実施形態のカートリッジの一例である。
【0120】
液体現像剤24は、水性媒体とトナー粒子とを含んで構成される。トナー粒子は磁性体を含んで構成される磁性トナー(磁性重合体粒子)である。水性媒体やトナー粒子の詳細については、前述の通りである。
液体現像剤24中では、トナー粒子は均一に分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤貯蔵容器14b内に設けられる撹拌部材によって所定の回転速度で撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子の濃度の位置ばらつきは低減される。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子の濃度バラツキが低減された液体現像剤24が供給される。
【0121】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、後述する規制部材によって一定の供給量に制限された状態で磁気ドラム10に搬送され、現像ローラ14aと磁気ドラム10とが近接(あるいは接触)する位置で磁気潜像22に供給される。これによって磁気潜像22は顕像化されてトナー像26となる。
【0122】
上記現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する磁気ドラム10に搬送され用紙(記録媒体)30に転写されるが、この画像形成装置では、用紙30に転写する前に、磁気ドラム10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する。
中間転写体16への転写は、トナー粒子が電荷をほとんど有していないため、シアリング転写(非電界転写)により行うことが好適である。具体的には、矢印B方向に回転する磁気ドラム10と矢印C方向に回転する中間転写体16とを一定のニップ(移動方向の接触幅を有する接触面)を持って接触させ、トナー像26に対して磁気ドラム10との磁気力以上の吸着力により中間転写体上にトナー像26を移行させる。このとき、磁気ドラム10及び中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
【0123】
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写され、同時に定着される。
転写定着ローラ28は、中間転写体16とによって用紙30を挟み、中間転写体16上のトナー像を用紙30に密着させる。これによって用紙30にトナー像を転写し、同時に用紙上にトナー像を定着させることができる。トナー像の定着は、現像剤として本実施形態の磁気潜像用液体現像剤を用いているため、非加熱で加圧によってのみ行うことができる。この場合、転写定着ローラ28による中間転写体16への押圧力は0.05MPa以上10MPa以下とすることが望ましい。なお、本実施形態とは異なり、別途定着装置を設ける場合にも、例えば定着ローラ間の押圧力は上記と同程度とすることが望ましい。
【0124】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した磁気ドラム10では、転写残トナーがクリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。クリーニング後、磁気潜像22を保持したまま磁気ドラム10は消磁位置まで回転移動する。
消磁装置20は、磁気ドラム10に形成された磁気潜像22を消去する。前記クリーナ18と消磁装置20とによって磁気ドラム10は画像形成前の磁性層の帯磁状態にばらつきがない状態に戻される。以上の動作を繰返すことによって、前記情報機器から次々に送られてくる画像を連続的に短時間で形成する。なお、上記画像形成装置100に備えられる磁気ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、クリーナ18及び消磁装置20は、すべて磁気ドラム10の回転速度と同期をとって動作されている。
【0125】
上記画像形成装置においては、磁気潜像保持体として、撥水性を有する磁気ドラム10を用いことが望ましい。ここで撥水性とは水をはじく性質のことを意味し、具体的には純水との接触角が70度以上であることをいう。
なお、上記磁気ドラム10表面の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製:CA−X)を用い、25℃、50%RHの環境下で、純水を磁気ドラムの表面に3.1μl滴下し、15秒後の接触角を求めたものである。
【実施例】
【0126】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中に示した「部」及び「%」は、特に断りのない限りそれぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0127】
<蛍光性磁性粉の製造>
(蛍光性磁性粉1)
−磁性粉表面の疎水化処理−
酢酸でpHを4.5乃至5.5に調整したエタノール95%水溶液100に、シランカップリング 剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)2部を添加しよく撹拌する。これに、酸化鉄表面を有する鉄粉(JFE社製、超微粒鉄粉、平均一次粒径:0.8μm)100部を加え、超音波分散機(印加条件:10kHz、200W)にて5分間分散し、30分間静止後、濾過して溶剤を除去し、乾燥した。
【0128】
−樹脂層の形成−
窒素雰囲気下、下記組成の各成分を混合し単量体混合溶液を作製した。
・重合開始剤(和光純薬、V−601):1.5部
・スチレン(和光純薬(株)製品):4.5部
・メタクリル酸ブチル(和光純薬(株)製品):18.5部
・フタル酸モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチル(三菱レイヨン(株)製、アクリエステルPA):72.0部
・トルエン(和光純薬(株)製品):500部
【0129】
上記単量体混合溶液に、前記疎水化処理した鉄粉を100部投入し、65℃で20時間反応させた。反応終了後、反応液を遠心分離し、トルエン、THFで洗浄した後、真空乾燥した。酸性基量を測定したところ、2.4mmol/gであった。
【0130】
−蛍光染料の固定化−
イオン交換水400部に水酸化ナトリウム1.0部を加え溶解させた後、前記樹脂層を形成した磁性粉100部を混合し、ボールミルにて24時間粉砕しながら樹脂層表面のカルボキシル基を中和した。反応終了後、反応液を遠心分離し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。
【0131】
上記中和処理した磁性粉を再度400部のイオン交換水に分散した後、これにキサンテン系蛍光染料であるローダミンB(和光純薬(株)製品)1.2部を加え、1時間攪拌して、塩交換反応により前記蛍光染料を磁性粉表面に固定した。次いで遠心分離で固形分を分離した後、イオン交換水で繰り返し洗浄し蛍光性磁性粉1を得た。
【0132】
−蛍光性磁性粉の特性−
・固定化の確認
得られた蛍光性磁性粉1に対して、溶剤としてイオン交換水を用いて6時間のソックスレー抽出を行った。その結果、初期に対する抽出後の質量変化は0.5質量%であった。同様に、溶剤としてアセトンを用いて6時間のソックスレー抽出を行った。その結果、初期に対する抽出後の質量変化は3.5質量%であった。
【0133】
・固定化成分量
前述の熱重量分析法により、蛍光性磁性粉1の磁性粉以外の成分量(固定化成分量)を測定した。具体的には、熱重量測定装置(島津製作所製、TGA−50)の試料受け皿に試料を置き、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで室温(20℃)から600℃まで熱した。その後、試料を再び秤量し、加熱による減少率を測定した。その結果、固定化成分量は15質量%であった。
【0134】
(蛍光性磁性粉2)
蛍光性磁性粉1の製造の疎水化処理において、磁性粉として鉄粉の代わりにYIG粉(高純度化学社製、平均一次粒径:0.6μm)を用い、蛍光染料の固定化において、蛍光染料としてローダミンBの代わりにC.I.Basic Yellow40を用いた以外は、蛍光性磁性粉1の作製に準じて蛍光性磁性粉2を得た。
【0135】
また蛍光性磁性粉2について、前記に準じて固定化の確認、固定化成分量の測定を行ったところ、ソックスレー抽出後の質量変化はイオン交換水で0.8質量%、アセトンで3.0質量%であり、TGAによる固定化成分量は20質量%であった。
【0136】
(蛍光性磁性粉3)
蛍光性磁性粉1の製造の樹脂層の形成において、スチレン(和光純薬(株)製品):0.45部・メタクリル酸ブチル(和光純薬(株)製品):1.85部・フタル酸モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチル(三菱レイヨン(株)製、アクリエステルPA):7.2部とした以外は、蛍光性磁性粉1の製造に準じて蛍光性磁性粉3を得た。
【0137】
この蛍光性磁性粉3について、前記に準じて固定化の確認、固定化成分量の測定を行ったところ、ソックスレー抽出後の質量変化はイオン交換水で0.1質量%、アセトンで0.8質量%であり、TGAによる固定化成分量は1.5質量%であった。
【0138】
(蛍光性磁性粉4)
蛍光性磁性粉1の製造の樹脂層の形成において、スチレン(和光純薬(株)製品):45部・メタクリル酸ブチル(和光純薬(株)製品):185部・フタル酸モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチル(三菱レイヨン(株)製、アクリエステルPA):720部とした以外は、蛍光性磁性粉1の製造に準じて蛍光性磁性粉4を得た。
【0139】
この蛍光性磁性粉4について、前記に準じて固定化の確認、固定化成分量の測定を行ったところ、ソックスレー抽出後の質量変化はイオン交換水で1.2質量%、アセトンで5.0質量%であり、TGAによる固定化成分量は55質量%であった。
【0140】
<実施例A−1>
(カラー磁性インク組成物の調製)
蛍光性磁性粉1:5部と、カーミン6B:10部とを混合し、印刷インキ用ワニス(ロジン変性フェノール樹脂系ワニス、不揮発分70%)67部に混合し、3本ロールにて3回練肉しベースインキを得た。このベースインキに、さらに印刷インキ用ワニス19部、7号ソルベント(日本石油社製石油系溶剤)6部、コンパウンド(インキ調整助剤)10部を加えてカラー磁性インク組成物1を作製した。
【0141】
(カラー磁性インク組成物の評価)
このカラー磁性インク組成物を、ブレードコーターにより白紙上に塗布した。一方、前記蛍光性磁性粉1を含まない以外は同組成のカラーインク組成物を作製し、前記に準じてブレードコーターにより白紙上に塗布した。塗布した紙はいずれも明るい赤色であった。
【0142】
塗布後の双方の紙の色域を、色再現性測定値(L、a、b)、目視によりそれぞれ評価した。なお、上記L、a、bの各数値は、分光計(938 Spectrodentitometer、X−Rite社)で測定した。そして、測定結果からΔE(色差)を求めたところ、9.0であった。
なお、上記ΔE(色差)は、{(L−L+(a−a+(b−b1/2で求められ、L、a、bは磁性粉を含まないカラーインク組成物のサンプル測定値、L、a、bは磁性粉を含むカラー磁性インク組成物のサンプル測定値を示す。
【0143】
<実施例A−2>
(カラー磁性インク組成物の調製)
蛍光性磁性粉2:15部と、C.I.ピグメントイエロー185(BASF社製):10部とを混合し、印刷インキ用ワニス(ロジン変性フェノール樹脂系ワニス、不揮発分70%)67部に混合し、3本ロールにて3回練肉しベースインキを得た。このベースインキに、さらに印刷インキ用ワニス19部、7号ソルベント(日本石油社製石油系溶剤)6部、コンパウンド(インキ調整助剤)10部を加えてカラー磁性インク組成物2を作製した。
【0144】
(カラー磁性インク組成物の評価)
上記カラー磁性インク組成物2及び蛍光性磁性粉2を含まないカラーインク組成物を用いて、白紙上に塗布を行った。塗布した紙はいずれも明るい黄色であった。
また、実施例A−1に準じて評価を行った。その結果、ΔE(色差)は5.5であった。
【0145】
<比較例A−1>
前記蛍光性磁性粉1の作製において、樹脂層形成までを行った比較磁性粉1を用意した。
実施例A−1において、蛍光性磁性粉1の代わりに比較磁性粉1を用いた以外は、実施例A−1に準じてカラー磁性インク組成物を調製し、評価を行った。
その結果、塗布後の紙の色合いはくすんだ暗い赤であり、ΔE(色差)は15であった。
【0146】
<比較例A−2>
前記蛍光性磁性粉2の作製において、樹脂層形成までを行った比較磁性粉2を用意した。
実施例A−2において、蛍光性磁性粉2の代わりに比較磁性粉2を用いた以外は、実施例A−2に準じてカラー磁性インク組成物を調製し、評価を行った。
その結果、塗布後の紙の色合いはくすんだ暗い黄色であり、ΔE(色差)は11であった。
【0147】
<実施例B−1>
(磁性重合体粒子の製造)
n−ブチルメタクリレート(和光純薬(株)製)36部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)38部及びスチレン−アクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)製)11部を混合した後、これに前記蛍光性磁性粉1:5部及び赤顔料カーミン6B:10部を加え、ボールミルで24時間分散した。この磁性成分を含む混合液90部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)5部を加えて、単量体及び蛍光性磁性粉を含む混合物を作製した。
【0148】
一方、塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)28部をイオン交換水160部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)30部と、カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製、セロゲン)3.5部とを加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。
この分散媒体200部に前記混合物を投入して、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)にて8000rpmで3分間乳化し、懸濁液を得た。
【0149】
撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに、窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記懸濁液を入れ、65℃で3時間反応させ、更に70℃で10時間加熱し、その後冷却した。反応液は良好な分散液となっており、目視では重合中に凝集塊は確認できなかった。
反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で3回繰り返して洗浄を行った後、磁力の異なるマグネチックセパレータで磁性粉の入っていない粒子と、磁性粉の入りすぎている粒子を除去した。得られた粒子を40℃で真空乾燥した後、風力分級機(エルボージェット)で粗粉と微粉とをカットし、個数平均粒子径が5.0μmの磁性重合体粒子1を得た。VSM磁化特性測定機にて粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、4.5質量%であった。
【0150】
(磁気潜像用液体現像剤の作製)
ポリビニルアルコール(PVA、クラレ(株)製、クラレポバール217、重合度:1700、けん化度:88モル%)5部を冷却したイオン交換水95部に加え、マグネチックスターラーで攪拌しながら分散した後、さらにウォーターバスで70℃に加熱ながら3時間攪拌溶解して、PVA水溶液(5%溶液)を調製した。
【0151】
・磁性重合体粒子1:5部
・PVA水溶液:10部
・ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(和光純薬(株)製):0.5部
・イオン交換水:84.5部
上記各成分を混合し、ボールミルで3時間分散して、磁気潜像用液体現像剤1を得た。なお、この液体現像剤作製において、粒子が水面に浮いたり容器壁面に堆積したりすることなく、粒子全体が良好に水中に再分散し、分散性は良好であった。
【0152】
(実機特性の評価)
図1に示した構成で、市販の磁気プリンター(MG−8100型プリンター、岩崎通信機(株)製)の磁気ドラムを用いた画像形成装置100を用意し、現像剤として前記磁気潜像用液体現像剤1を用いて、画像評価を行った。
なお、磁気ヘッド12としては、Mn−Znフェライトで構成される600dpi相当の画素を形成できる4チャネルのフルライン型磁気ヘッドを用意した。
【0153】
現像装置14としては、現像ローラ14aとしてアルミニウム製の非磁性スリーブ中に円筒状の永久磁石が同心円状に配置されたマグネットロールを備え、現像剤貯蔵容器14bに内部で液体現像剤を攪拌する攪拌羽とを設けた現像装置14を用いた。この現像剤貯蔵容器14bに前記磁気潜像用液体現像剤1を投入し、非磁性スリーブ表面と磁気ドラム10表面とのギャップが50μmとなるように現像装置14を配置した。
【0154】
中間転写体16としては、表面に厚さが7.5mmのシリコーンゴム層を有し、磁気ドラム10と同一周速で回転するアルミニウム製の中間転写ドラムを用いた。また、転写定着ローラ28としては、ステンレス製の芯材の外周にシリコーンゴム層、フッ素ゴム層をこの順に被覆してなる弾性ロールを用いた。
【0155】
以上の構成の画像形成装置100により印字条件を下記のように設定した。
・磁気ドラム線速:100mm/秒。
・現像ローラ周速/磁気ドラム周速比:1.2。
・転写条件(中間転写):中間転写体の磁気ドラムへの押圧力を0.147MPa(1.5kgf/cm)に設定。
・転写定着条件:中間転写体に対する転写定着ローラの押圧力を0.245MPa(2.5kgf/cm)、表面温度を140℃に設定。
【0156】
上記条件により、磁気ヘッド12により磁気ドラム10上に20mm×50mmのベタ画像相当の磁気潜像を形成し、これに前記現像ローラにより液体現像剤を接触させて現像、転写定着を行った。一方、前記蛍光性磁性粉1を含まない以外は同組成の液体現像剤を作製し、前記に準じて画像形成装置100により画像形成を行った。転写定着後の画像はいずれも明るい赤色であった。
【0157】
また、定着後の双方の画像の色域を、色再現性測定値(L、a、b)、目視によりそれぞれ評価した。なお、上記L、a、bの各数値は、分光計(938 Spectrodentitometer、X−Rite社)で測定した。そして、測定結果からΔE(色差)を求めたところ、8.5であった。
なお、上記ΔE(色差)は、{(L−L+(a−a+(b−b1/2で求められ、L、a、bは磁性粉を含まない液体現像剤のサンプル測定値、L、a、bは磁性粉を含む液体現像剤のサンプル測定値を示す。
【0158】
<実施例B−2>
(磁性重合体粒子の製造)
スチレンアクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)製)65部に、蛍光性磁性粉2:25部及び黄色顔料C.I.ピグメントイエロー185(BASF社製)10部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕した後ジェットミル粉砕した。これを、一旦イオン交換水に分散し、磁力の異なるマグネチックセパレータで磁性粉の入っていない粒子と、磁性粉の入りすぎている粒子を除去した。得られた磁性重合体粒子を実施例B−1に準じて乾燥後、風力分級機(エルボージェット)で粗粉と微粉をカットして、個数平均粒子径が5.0μmの磁性重合体粒子2を得た。VSM磁化特性測定機で粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、22質量%であった。
【0159】
(実機特性の評価)
上記磁性重合体粒子2及び蛍光性磁性粉2を含まない磁性重合体粒子を用いて、実施例B−1に準じて各液体現像剤を作製し、画像形成装置100により画像形成を行った。転写定着後の画像はいずれも明るい黄色であった。
また、実施例B−1に準じて色合いの評価を行った。その結果、ΔE(色差)は6.5であった。
【0160】
<実施例B−3>
実施例B−1の磁性重合体粒子の製造において、蛍光性磁性粉1の代わりに蛍光性磁性粉3を用いた以外は、実施例B−1に準じて個数平均粒径が5μmの磁性重合体粒子3を得た。VSM磁化特性測定機で粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、4.5質量%であった。
【0161】
上記磁性重合体粒子3、及び、鉄粉とローダミンBを含まない磁性重合体粒子を用いて、実施例B−1に準じて各液体現像剤を作製し、画像形成装置100により画像形成を行った。転写定着後の画像は、鉄粉を含まない磁性重合体粒子の液体現像剤のサンプルは明るい赤色であったが、磁性重合体粒子3の液体現像剤のサンプルはやや暗い赤色であった。
また、実施例B−1に準じて色合いの評価を行った。その結果、ΔE(色差)は10であった。
【0162】
<実施例B−4>
実施例B−1の磁性重合体粒子の製造において、蛍光性磁性粉1の代わりに蛍光性磁性粉4を用いた以外は、実施例B−1に準じて個数平均粒径が5μmの磁性重合体粒子4を得た。VSM磁化特性測定機で粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、4.5質量%であった。
【0163】
上記磁性重合体粒子4、及び、鉄粉とローダミンBを含まない磁性重合体粒子を用いて、実施例B−1に準じて各液体現像剤を作製し、画像形成装置100により画像形成を行った。転写定着後の画像は、鉄粉を含まない磁性重合体粒子の液体現像剤のサンプルは明るい赤色であったが、磁性重合体粒子4の液体現像剤のサンプルは明るい紅色であった。
また、実施例B−1に準じて色合いの評価を行った。その結果、ΔE(色差)は9.5であった。
【0164】
<比較例B−1>
実施例B−1の磁性重合体粒子の製造において、蛍光性磁性粉1の代わりに、鉄粉(JFE社製、超微粒子鉄粉)5部及びローダミンB:10部を加えて重合を行った以外は、実施例B−1に準じて個数平均粒径が5μmの磁性重合体粒子5を得た。VSM磁化特性測定機で粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、4.5質量%であった。
【0165】
上記磁性重合体粒子5、及び、鉄粉とローダミンBを含まない磁性重合体粒子を用いて、実施例B−1に準じて各液体現像剤を作製し、画像形成装置100により画像形成を行った。転写定着後の画像は、鉄粉を含まない磁性重合体粒子の液体現像剤のサンプルは明るい赤色であったが、磁性重合体粒子5の液体現像剤のサンプルは暗い赤色であった。
また、実施例B−1に準じて色合いの評価を行った。その結果、ΔE(色差)は15であった。
【0166】
<比較例B−2>
実施例B−2の磁性重合体粒子の製造において、蛍光性磁性粉2の代わりに、YIG粉(高純度化学社製)25部及びC.I.Basic Yellow40:10部を加えて混練粉砕を行った以外は、実施例B−2に準じて個数平均粒径が5μmの磁性重合体粒子6を得た。VSM磁化特性測定機で粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、22質量%であった。
【0167】
上記磁性重合体粒子6、及び、YIG粉とC.I.Basic Yellow40を含まない磁性重合体粒子を用いて、実施例B−1に準じて各液体現像剤を作製し、画像形成装置100により画像形成を行った。転写定着後の画像は、YIG粉を含まない磁性重合体粒子の液体現像剤のサンプルは明るい黄色であったが、磁性重合体粒子6の液体現像剤のサンプルは暗い黄色であった。
また、実施例B−1に準じて色合いの評価を行った。その結果、ΔE(色差)は18であった。
【0168】
以上のように、前記実施例では、蛍光染料が表面に固定化された蛍光性磁性粉を用いているため、インク組成物や磁性重合体粒子としても蛍光による隠蔽効果が大きく、明度、彩度の低下がない表示、画像が得られた。これに対し、蛍光染料を固定化していないインク組成物、磁性重合体粒子を用いた比較例では、色合い等に何らかの問題が発生した。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0170】
10 磁気ドラム(磁気潜像保持体)
12 磁気ヘッド(磁気潜像形成手段)
13 規制部材
14 現像装置(現像剤供給手段)
15 攪拌部材
16 中間転写体
18 クリーナ
20 消磁装置
22 磁気潜像
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写定着ローラ
29 定着像
30 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粉の表面に蛍光染料が固定化されていることを特徴とする蛍光性磁性粉。
【請求項2】
磁性粉の表面に官能基を有する樹脂層が設けられ、前記蛍光染料が該官能基と反応して樹脂層と連結されていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光性磁性粉。
【請求項3】
前記樹脂層及び蛍光染料を含む磁性粉以外の成分が、全体の5.0質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の蛍光性磁性粉。
【請求項4】
少なくとも磁性粉の表面に蛍光染料が固定化された蛍光性磁性粉を含み、該蛍光性磁性粉が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光性磁性粉であることを特徴とする磁性インク組成物。
【請求項5】
少なくとも磁性粉の表面に蛍光染料が固定化された蛍光性磁性粉を含み、該蛍光性磁性粉が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光性磁性粉であることを特徴とする磁性重合体粒子。
【請求項6】
請求項5に記載の磁性重合体粒子と、水性媒体と、を含むことを特徴とする磁気潜像用液体現像剤。
【請求項7】
液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記液体現像剤を外部に供給する現像剤供給手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項6に記載の磁気潜像用液体現像剤であることを特徴とするカートリッジ。
【請求項8】
磁気潜像保持体と、
前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、
磁性トナー及び水性媒体を含む液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記磁気潜像をトナー像として顕像化するために前記液体現像剤を磁気潜像が形成された磁気潜像保持体に供給する現像剤供給手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項6に記載の磁気潜像用液体現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
磁性粉の表面をカップリング剤で処理して疎水化処理する疎水化処理工程と、
該疎水化処理された磁性粉表面に官能基を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層の官能基及び蛍光染料を反応させ固定化する固定化工程と、を有することを特徴とする蛍光性磁性粉の製造方法。
【請求項10】
前記カップリング剤が、下記構造式(1)で示される重合性基含有シランカップリング剤であることを特徴とする請求項9記載の蛍光性磁性粉の製造方法。
【化1】


(上記構造式(1)中、nは1乃至18の整数を、Rは水素またはメチル基を、X,Y及びZはハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基のうちのいずれかを各々表す。)
【請求項11】
前記樹脂層が、下記構造式(2)で示される化合物及び構造式(3)で示される化合物の少なくとも一方を単量体として重合した樹脂を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の蛍光性磁性粉の製造方法。
【化2】


(上記構造式(2)、(3)中、R、Rは水素またはメチル基を、nは1乃至18の整数を各々表す。)

【図1】
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【公開番号】特開2009−227761(P2009−227761A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73206(P2008−73206)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】