説明

蛍光灯用安定器の電気回路

【課題】蛍光灯管の使用寿命を延長可能な蛍光灯用安定器の電気回路を提供する。
【解決手段】蛍光灯用安定器の電気回路は、他励のパワー駆動回路1、共振回路、および予熱回路を備える。他励のパワー駆動回路1は、制御回路10、第1パワースイッチQ1、第2パワースイッチQ2、第3パワースイッチQ3を有する。共振回路は、共振コンデンサーCrと共振インダクタLrとにより構成される。予熱回路は、フィラメント変圧器と高周波交流リップルコンデンサーCaとにより構成される。蛍光灯管20が点灯する前に、フィラメント201、202は、予熱によって発生したホットエレクトロンで囲まれる。これにより、蛍光灯管20が点灯するとき、フィラメント201、202に塗布された電子粉流体の消耗を軽減させ、蛍光灯管20の使用寿命を延長することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯用安定器の電気回路に関し、特に定時定周波数予熱式安定器の電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光灯は、図1に示すように、蛍光灯管100の内部に密閉空間を形成する。密閉空間にアルゴン(argon、Ar)などの不活性ガスと微量の水銀とを充填し、蛍光灯管100の内壁に微粒子状の蛍光体層が塗布されている。蛍光灯管100の両端部にそれぞれタングステン成分のフィラメント101、102が取り付けられている。フィラメント101、102の一端はスタータ(Starter)11に接続され、フィラメント101の他端は安定器14を介して交流電源16に接続され、フィラメント102の他端は切換えスイッチ(Switch)15を介して交流電源16に接続される。スタータ11は、コンデンサー12と小型なネオン灯13とが並列接続して構成され、ネオン灯13の内部にネオンガス(neon、Ne)を充満させ、2つの電極131、132を設け、休止期間において、2つの電極131、132は遮断される。そのうち、電極132は、バイメタル片からなり、受熱により変形し、電極131に接触して短絡状態を形成する。安定器14は、インダクタであり、交流電源16とスタータ11と合わせて、スタータ11と蛍光灯管100に流れる電流の制御を行う。
【0003】
引き続き、図1を参照する。切換えスイッチ15によって導通された後、小型ネオン灯13の2つの電極131、132の間に充填されたネオンガスは放電によって発熱し、バイメタル片の電極132は受熱により曲がり変形し、電極131に接触して導通され、短絡状態を形成する。小型ネオン灯13の電流は、フィラメント101、102に流れ、フィラメント101、102を加熱し、フィラメント101、102は、温度の上昇により発熱し、大量なホットエレクトロンを発生させる。ただし、このときスタータ11は短絡状態にあるため、蛍光灯管100の両端部には電圧を有しない。
【0004】
さらに、2つの電極131、132間の短絡により、その空間に充填されたネオンガスは、電圧を失うことによって放電と放熱とが中止される。バイメタル片の電極132は、温度低下により、電極131から離れ、スタータ11、フィラメント101、102、および安定器14の電流は瞬時に断ち切られる。このとき、安定器14は電流の突然中断によって、コンデンサー12と合わせて高電圧を発振させ、蛍光灯管内部のアルゴンガスをアルゴンイオンおよび自由電子に遊離させる。アルゴンイオンおよび自由電子は、印加された高電圧によって加速し、蛍光灯管内部に散在した液体水銀に衝突し、液体水銀の気化を引き起こす。水銀ガスが高速の電子に衝突されるとき、水銀原子内部の電子エネルギー準位の遷移により紫外光を発生し、紫外線は管壁内面の蛍光粉体に衝突して可視光を発生する。安定器14は、蛍光灯管100が点灯した後に、蛍光灯管100の電流を制限する重要な素子である。これは蛍光灯が発明されて以来もっとも典型的な安定器の電気回路であり、点灯の周波数は商用の交流の周波数である。
【0005】
前述のとおり、蛍光灯用安定器の電気回路は、主に以下のステップに従い、蛍光灯管を点灯させる。
イ、蛍光灯管両端部のフィラメントの予熱を行う。
ロ、高電圧を発生し、蛍光灯管内部のアルゴンガスを遊離させる。
ハ、蛍光灯管が点灯した後、蛍光灯管内部の電流の安定化または制限を行う。
【0006】
しかし、電子時代に入ると、蛍光灯管の点灯に数万ヘルツの周波数を使用し、蛍光灯管の発光効率を有効に向上できることを見出した。近年、次から次へと、各種の蛍光灯管の電子安定器の電子回路が開発され、蛍光灯管と他の灯具に応用されている。従来のケイ素鋼板を主とする電磁式安定器の電気回路は、体積が大きく、重いほか、スタータの寿命が短いなどの欠点があり、電子安定器の電気回路に取って代わられている。
なお、蛍光灯用安定器の電気回路は例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−296443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子安定器の電気回路は、前述の点灯ステップによらなければならないが、フィラメントの予熱方式の違いにより、予熱の過不足が蛍光灯管の寿命に影響を与える。以下は一般的方法とその欠点である。
【0009】
イ、図2に示すように、PTC予熱式電子安定器はハフブリッジLC共振回路を備える。そのうち、正の温度係数を有する抵抗RPTC(Positive Temperature Coefficient Resistor、PTC)は共振コンデンサーCrに並列接続される。PTCの常温における抵抗値は数オーム以内である。しかし、電流が流れて発熱した後、PTCの抵抗値は突然に数メガ(Mega)オームに上昇する。
【0010】
PTCの前述特性を利用し、安定器を起動したとき、大電流が蛍光灯管100両端のフィラメントに流れると、フィラメントとPTCは加熱される。このとき、PTCの抵抗値が突然に数メガオームに上昇すると、回路が遮断される。この過程において、共振インダクタLrと共振コンデンサーCrとにより構成されるLC共振回路は徐々に発振電圧を引き上げ、共振コンデンサーCrにおいてアルゴンガスを遊離させる高電圧を発生させ、蛍光灯管100を点灯させる。
【0011】
しかし、PTCの量産品の特性がまちまちのため、フィラメントは予熱不足の状態で点灯することはしばしばあり、アルゴンガスはフィラメントに衝突する機会が多く、フィラメントにダメージを与えて断線に至る。よって、一般のPTC予熱式電子安定器を用いた場合、蛍光灯管100の点灯寿命は最大5000回ぐらいである。さらに、PTC素子を長期に高温状態(100〜130℃)に曝すことにより、電気エネルギーのロスは0.5〜1ワット以上となり、PTC予熱式安定器全体の効能は低下する。
【0012】
ロ、図3に示すように、インバータ予熱式安定器は、共振コンデンサーCrと共振インダクタLrによって構成されるハフブリッジLC共振回路を備える。掃引駆動回路110によって低くなる掃引信号を発生させ、ハフブリッジLC共振回路を駆動する。この方式のために開発されたICは、多く市販されている。その予熱と始動の原理は、始動し始めるとき、掃引駆動回路110は、共振回路の共振周波数より高い周波数を有する駆動信号を発生させ、共振コンデンサーCrに流れる電子エネルギーによってフィラメントの予熱を行う。このとき、共振コンデンサーCrの電圧は蛍光灯管100の点灯に不足するため、掃引駆動回路110より発生する駆動信号の周波数が共振回路の共振周波数へ次第に接近につれ、共振コンデンサーCrに流れるフィラメントの電流は次第に小さくなり、共振コンデンサーCrの電圧はますます高くなり、ついに蛍光灯管100が点灯する。
【0013】
しかし、このような設計思想には、一つの盲点が存在している。つまり、フィラメントを予熱するとき、フィラメントより発生したホットエレクトロンは、フィラメントの外周部に蓄積されておらず、共振コンデンサーCrの交流電圧が次第に上昇することによって、蛍光灯管100に拡散する。そのため、予熱時、蛍光灯管100が点灯する前に、蛍光灯管100にグロー放電電流(glow current)が測定される。
【0014】
図4を参照する。グロー放電電流は、アルゴンイオンがフィラメントに衝突して形成された電流であり、フィラメントに塗布された電子粉流体を消耗させる。好ましい方法は、たとえば、制御ICを用いて、高周波の滞留時間を長くする。これに対して、ヨーロッパ連合(EC) No 244/2009には、蛍光灯管100は1秒以内に点灯することが規定されている。制御ICによって蛍光灯管100を1秒以内に点灯させることが実現可能か否かは、設計者にとって極めて大きいチャレンジである。
【0015】
以上より、フィラメントを予熱するときに、蛍光灯管を点灯させない電圧を蛍光灯管に加える蛍光灯用安定器の電気回路を提供すること、また、蛍光灯管が点灯する前に、フィラメントは、予熱により発生するホットエレクトロンでしっかり囲まれることと、蛍光灯管が点灯するときに、アルゴンイオンがフィラメントに衝突することを有効に防ぐこととによって、フィラメントに塗布された電子粉流体の消耗を抑止すること、さらに、蛍光灯管の使用寿命を延長することを図ること、という課題がある。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の目的は、蛍光灯管の点灯回数と使用寿命を延長可能な蛍光灯用安定器の電気回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明による蛍光灯用安定器の電気回路は、定時定周波数予熱式安定器回路であり、他励のパワー駆動回路、共振回路、および予熱回路を備える。他励のパワー駆動回路は、制御回路と、第1パワースイッチと、第2パワースイッチと、第3パワースイッチとを有する。共振回路は、共振コンデンサーと、共振インダクタとにより構成される。予熱回路は、フィラメント変圧器と高周波リップルコンデンサーとにより構成される。
【0018】
予熱回路は、蛍光灯管を点灯する前に、蛍光灯管両端部のフィラメントに対して、定時定周波数の予熱を行い、予熱電流を提供し、蛍光灯管に極めて低い(ほとんどない)灯管電圧を印加する。予熱期間において、他励のパワー駆動回路は、共振回路の共振周波数より高い周波数を有する出力信号を発生させ、蛍光灯管の点灯に至る高電圧の発生を避けると共に、フィラメント変圧器と高周波リップルコンデンサーを制御し、出力信号をフィラメントにリップルさせ、フィラメントの予熱を行う。予熱完了後、他励のパワー駆動回路は、予熱回路の予熱プロセスを中止させると共に、出力信号の周波数を共振回路の共振周波数に近い周波数にし、共振回路は高電圧を発振させて蛍光灯管を点灯させる。
【0019】
これにより、フィラメントが予熱され、一定の時間が経った後、蛍光灯用安定器の電気回路は、高電圧を蛍光灯管に提供し、蛍光灯管をすばやく点灯させる。このとき、フィラメントはすでに予熱によって発生された多くのホットエレクトロンに囲まれているため、蛍光灯管が点灯するときに、アルゴンイオンに衝突されるスパッタリング効果を有効に防止し、フィラメントに塗布された電子粉流体の損耗を軽減させ、蛍光灯管が2つのフィラメント付近部において、数万回の点滅を経過しても、黒くならない。これにより、蛍光灯の寿命を延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来技術の蛍光灯安定器の電気回路図である。
【図2】従来技術の予熱式電子スタータの電気回路図である。
【図3】従来技術のインバータ予熱式電子スタータの電気回路図である。
【図4】図3に示す従来技術のインバータ予熱式電子スタータのフィラメント電流、灯管電流と灯管電圧の波形図である。
【図5】本発明の第1実施形態による蛍光灯用安定器の電気回路を示す図である。
【図6】本発明による蛍光灯用安定器の電気回路の共振電圧のピーク値と共振周波数との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態による蛍光灯用安定器の電気回路が予熱時の第1コイルL1と、第2コイルL2とにおける予熱電流、灯管電流、灯管電圧と第3出力信号の波形図である。
【図8】本発明の第1実施形態による蛍光灯用安定器の電気回路が点灯時の第1コイルL1と、第2コイルL2とにおける予熱電流、灯管電流、灯管電圧と第3出力信号の波形図である。
【図9】本発明の第2実施形態による蛍光灯用安定器の電気回路を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態による蛍光灯用安定器の電気回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明による蛍光灯用安定器の電気回路を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図5に示すように、本発明の第1実施形態による蛍光灯用安定器の電気回路は、蛍光灯管20両端部に取り付けられる第1フィラメント201と第2フィラメント202とに接続され、他励のパワー駆動回路1、共振回路、および予熱回路を備える。そのうち、他励のパワー駆動回路1は、制御回路10、第1半導体スイッチQ1、第2半導体スイッチQ2、および第3半導体スイッチQ3より構成される。共振回路は共振コンデンサーCrと共振コンダクタLrより構成され、予熱回路はフィラメント変圧器と高周波リップルコンデンサーCaより構成される。
【0022】
引き続き図5を参照する。制御回路10は少なくとも3つの出力信号を発信させる。第1出力信号と第2出力信号とは、同一周波数の波形が反転する電圧信号であり、第3出力信号は、予熱時間を設定するためのタイミング信号である。第1半導体スイッチQ1は、金属酸化物の半導体電界効果トランジスター(Power Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor、以下Power MOSFETという)である。第1半導体スイッチQ1は、ゲート電極が制御回路10に接続され、第1出力信号を受信し、第1出力信号に基づいてオンオフの切換えを行い、ドレイン電極が電源Vinの正極に接続される。
【0023】
第2半導体スイッチQ2は、Power MOSFETであり、ゲート電極が制御回路10に接続され、第2出力信号を受信し、第2出力信号に基づいてオンオフの切換えを行い、ドレイン電極が第1半導体スイッチQ1のソース電極に接続され、ソース電極は電源Vinの負極に接続される。
【0024】
第3半導体スイッチQ3は、Power MOSFETであり、予熱期間において、ゲート電極は制御回路10に接続され、第3出力信号を受信し、第3出力信号によってオンされ、予熱時間を制御する。第3半導体スイッチQ3のソース電極は電源Vinの負極に接続される。
【0025】
フィラメント変圧器は、3つのコイルL1、L2、L3より構成される。そのうち、第1コイルL1の両端部は、第1フィラメント201の両端部に接続され、第2コイルL2の両端部は、第2フィラメント202の両端部に接続され、第3コイルL3の一端は、第3半導体スイッチQ3のドレイン電極に接続される。
【0026】
共振コンデンサーCrは、それぞれ第1コイルL1と第2コイルL2とに接続される。共振インダクタLrは、第1半導体スイッチQ1および第2半導体スイッチQ2の間と、共振コンデンサーCrとの間に接続される。
【0027】
制御回路10が共振回路の共振周波数より高い周波数を有する第1出力信号と第2出力信号とを発生させたとき、共振回路は共振コンデンサーCrにおいて、蛍光灯管を点灯できない極めて低い電圧が発生する。これに対して、制御回路10が共振回路の共振周波数に近い第1出力信号と第2出力信号とを出力したとき、共振回路は共振コンデンサーCrにおいて、蛍光灯管を直ちに点灯させる高電圧が発生する。高周波リップルコンデンサーCaの一端は、第1半導体スイッチQ1および第2半導体スイッチQ2の間と、共振インダクタLrとの間に接続され、他端は、第3コイルL3の他端に接続される。
【0028】
図5に示すように、蛍光灯用安定器の電気回路が起動されたときに、制御回路10は、第3半導体スイッチQ3に第3出力信号を送信し、第3半導体スイッチQ3は、第3出力信号に基づき、所定の予熱時間においてオンされる。制御回路10は、第1半導体スイッチQ1と第2半導体スイッチQ2とにそれぞれ共振回路の共振周波数より高い周波数を有する第1出力信号と第2出力信号とを送信し、高周波リップルコンデンサーCaは、第1出力信号と第2出力信号との電圧をフィラメント変圧器の第3コイルL3にリップルさせ、第1コイルL1と第2コイルL2とに、第1フィラメント201と第2フィラメント202とを予熱するための電圧を確保する。予熱完了後、制御回路10によって第3半導体スイッチQ3をオフし、フィラメント変圧器を遮断し、予熱電圧は断ち切られ、第1フィラメント201と第2フィラメント202との加熱が中止する。このとき、制御回路10より第1半導体スイッチQ1と第2半導体スイッチQ2とにそれぞれ共振回路の共振周波数に近い第1出力信号と第2出力信号とを送信する。第1半導体スイッチQ1および第2半導体スイッチQ2のオンオフを切換えることによって、共振回路の共振状態を形成させ、共振コンデンサーCrにおいて、蛍光灯管の点灯に十分な高電圧を発振させて蛍光灯管20を点灯させる。
【0029】
図6には、共振電圧と共振周波数との関係を示す。制御回路10より発生する第1出力信号と第2出力信号との周波数は高いほど(たとえば2fr。frは共振回路の共振周波数)、共振コンデンサーCrの電圧ピーク値Vpは低い。よって、予熱期間において、蛍光灯管20が点灯する可能性が低い。さらに、高周波の第1出力信号と第2出力信号とは、高周波リップルコンデンサーCaのリップル作用により、第1コイルL1と第2コイルL2とにリップルされるため、第1コイルL1と第2コイルL2とに、第1フィラメント201と第2フィラメント202との予熱に必要な電圧を確保することができる。これは本発明の原理である。
【0030】
図7に示すのは、予熱期間における第1コイルL1と第2コイルL2との予熱電流、灯管電流、灯管電圧、および第3出力信号の波形である。予熱期間において、制御回路10より第3半導体スイッチQ3のゲート電極に第3出力信号を印加することによって、第3半導体スイッチQ3が導通状態に維持される。このとき、第1コイルL1と第2コイルL2とによりそれぞれ予熱電圧を発生させ、第1フィラメント201と第2フィラメント202との予熱を行う。このときの灯管電流はほぼゼロである。
【0031】
続いて、図8に示すのは、点灯する瞬間の第1コイルL1と第2コイルL2との予熱電流、灯管電流、灯管電圧、および第3出力信号の波形である。蛍光灯用安定器の電気回路は、第1フィラメント201と第2フィラメント202との予熱を完了した後、制御回路10より第3出力信号の発生を中止させ、第3半導体スイッチQ3をオフの状態に維持する。蛍光灯管20が点灯するまで、灯管電圧の波形は段階的に上昇する状態を呈する。そして、蛍光灯管20を点灯すると、灯管電流と灯管電圧は安定状態になる。
【0032】
このように、本実施形態による蛍光灯用安定器の電気回路は、蛍光灯管20のグロー放電電流を軽減させ、起動した瞬間、多くのアルゴンイオンを蛍光灯管20内部に発生させることを防ぐことによって、アルゴンイオンが第1フィラメント201と第2フィラメント202とに塗布された電子粉流体に衝突することを有効に防止し、スパッタリングの発生を避ける。これにより、蛍光灯管20は数万回点灯した後も、第1フィラメント201および第2フィラメント202の端部は新品のように維持され、ヘッド部の黒ずみ現象はほとんどない、本発明は蛍光灯管の点灯回数と使用寿命を延長することができることは確実である。
【0033】
ここで、前述の半導体スイッチは、本発明が前述好ましい実施形態に使用された公知の素子に過ぎない。本発明を実施するとき、これに制限されることなく、必要に応じて、たとえばパワースイッチを他の半導体スイッチに置き換えることができる。さらに、例えば、パワースイッチをリレー、またはトランジスターに置き換えてもよい。パワースイッチは、制御回路10より発生する出力信号を受信可能であり、かつ出力信号に基づいてオンオフの切換えを行うことができれば、本発明のパワースイッチに該当する。
【0034】
(第1実施形態の変形例)
本発明を実施するときには、実務要求により蛍光灯用安定器の電気回路の構造を変更してもよい。たとえば、図5に示した共振回路と第1半導体スイッチQ1との間に、シールドコンデンサーCbを設ける。
【0035】
(第2実施形態)
図9に示すように、共振コンデンサーCrを蛍光灯管20両端部の第1フィラメント201と、第2フィラメント202との左側に並列接続させる。
【0036】
(第3実施形態)
図10に示すように、共振コンデンサーCrを第1コイルL1および第2コイルL2の間に接続させ、共振回路は、第1半導体スイッチQ1および第2半導体スイッチQ2のオンオフの切り替えによって、第1フィラメント201と第2フィラメント202とにおいて、均衡に釣り合ったフィラメント電流を発生させる。
【0037】
ここで、前述したのは本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当該分野の技術に詳しい当業者は本発明の分野において、容易に想到する変更により、たとえば、前述の蛍光灯用安定器の電気回路の基本の回路構造に、他の電気回路または素子を追加すること、また、本発明で開示される機能以外の機能を追加することは、なお本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 ・・・他励のパワー駆動回路
10 ・・・制御回路
20 ・・・蛍光灯管
201 ・・・第1フィラメント
202 ・・・第2フィラメント
Ca ・・・高周波リップルコンデンサー
Cb ・・・シールドコンデンサー
Cr ・・・共振コンデンサー
L1 ・・・第1コイル
L2 ・・・第2コイル
L3 ・・・第3コイル
Lr ・・・共振インダクタ
Q1 ・・・第1半導体スイッチ
Q2 ・・・第2半導体スイッチ
Q3 ・・・第3半導体スイッチ
Vin ・・・電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光灯管両端部の第1フィラメントと第2フィラメントとに接続される蛍光灯用安定器の電気回路であって、
制御回路と、第1パワースイッチと、第2パワースイッチと、第3パワースイッチと、を有する他励のパワー駆動回路と、
共振コンデンサーと、共振インダクタとにより構成される共振回路と、
フィラメント変圧器と高周波リップルコンデンサーとにより構成される予熱回路と、
を備え、
前記制御回路は、少なくとも3つの出力信号を発生させ、第1出力信号と第2出力信号とは、同一周波数の波形が反転する電圧信号であり、第3出力信号は、予熱時間を設定するためのタイミング信号であり、
前記第1パワースイッチは、ゲート電極が前記制御回路に接続され、前記第1出力信号を受信し、前記第1出力信号に基づいてオンオフの切り替えを行い、ドレイン電極が電源の正極に接続され、
前記第2パワースイッチは、ゲート電極が前記制御回路に接続され、前記第2出力信号を受信し、前記第2出力信号に基づいてオンオフの切り替えを行い、ドレイン電極が前記第1パワースイッチのソース電極に接続され、ソース電極が前記電源の負極に接続され、
前記第3パワースイッチは、ゲート電極が前記制御回路に接続され、前記第3出力信号を受信し、前記第3出力信号に基づいて予熱時間を制御し、ソース電極が前記電源の負極に接続され、
前記共振コンデンサーは、前記第1コイルと前記第2コイルとに接続され、
前記共振インダクタは、前記第1パワースイッチおよび前記第2パワースイッチの間と、前記共振コンデンサーとの間に接続され、
前記共振回路は、前記第1パワースイッチおよび前記第2パワースイッチのオンオフの切り替えによって、前記共振コンデンサーに電圧を発振させ、
前記フィラメント変圧器は、第1コイルと、第2コイルと、第3コイルとより構成され、前記第1コイルの両端部は前記第1フィラメントの両端部に接続され、前記第2コイルの両端部は前記第2フィラメントの両端部に接続され、前記第3コイルの一端は前記第3パワースイッチの他端に接続され、
前記高周波リップルコンデンサーは、一端が前記第1パワースイッチおよび前記第2パワースイッチの間と、前記共振インダクタとの間に接続され、他端が前記第3コイルの他端に接続されることを特徴とする蛍光灯用安定器の電気回路。
【請求項2】
前記共振コンデンサーと前記第1パワースイッチとの間に接続されるシールドコンデンサーを備えることを特徴とする請求項1に記載の蛍光灯用安定器の電気回路。
【請求項3】
前記共振コンデンサーは、前記第1コイルと前記第2コイルとの間に接続されることを特徴とする請求項2に記載の蛍光灯用安定器の電気回路。
【請求項4】
前記第1パワースイッチ、前記第2パワースイッチ、および前記第3パワースイッチは、金属酸化物の半導体電界効果トランジスターであり、
前記第1パワースイッチは、ゲート電極が前記第1出力信号を受信し、ドレイン電極が前記電源の正極に接続され、
前記第2パワースイッチは、ゲート電極が前記第2出力信号を受信し、ドレイン電極が前記第1パワースイッチのソース電極に接続され、ソース電極が前記電源の負極に接続され、
前記第3パワースイッチは、前記第3出力信号を受信し、ドレイン電極が前記第3コイルの他端に接続され、ソース電極が電源側の負極に接続されることを特徴とする請求項3に記載の蛍光灯用安定器の電気回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−79670(P2012−79670A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271503(P2010−271503)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(599084131)天網電子股▲分▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】