説明

螺旋溝式揺動運動機

【課題】 円柱体13を回転させて乗台3を往復動させることで、乗台が円滑に動くことを可能にする。
【解決手段】 基台(2)に乗台(3)を移動可能に載設した揺動運動機(36)において、無端の螺旋の溝(12)を彫った円柱体(13)と、乗台(3)に突設され、前記溝(12)に嵌って従動するカム(11)と、円柱体(13)を回動させるモータ(14)とが設けられ、前記円柱体(13)を回転させて乗台(3)を往復動させることを特徴とする螺旋溝式揺動運動機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランス機能を回復・増強しようとする人、痩身運動をする人及び糖尿病改善のための運動をする人(=以下患者という)に対して、患者が乗る乗面を他動的に移動させ、揺動運動、バランス訓練その他の運動を行なう螺旋溝式揺動運動機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として挙げた特許文献に、回転軸、内枠部材、外枠部材、固定部材、ジンバル機構、伸縮手段、面駆動手段、荷重を検出する手段、床反力計の検出手段、制御手段、外枠部材を往復動させるネジ軸、ネジ軸を回動させるモータ14等からなる動的平衡機能訓練装置が開示されている。
【0003】
前記従来技術は、上板に対して傾斜や移動等の複合運動を行なわせることができる。しかし、モータ14の正逆転により外枠部材を往復動させるので、モータ14等の駆動部4の慣性等により外枠部材の動きが円滑でないという難点がある。
【特許文献1】特許第2772484号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、乗台の前後方向の動きが円滑でないので該乗台の動きを円滑にすることにあり、本発明の目的は、乗台の動きが円滑な螺旋溝式揺動運動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基台(2)に乗台(3)を移動可能に載設した揺動運動機(36)において、無端の螺旋の溝(12)を彫った円柱体(13)と、乗台(3)に突設され、前記溝(12)に嵌って従動するカム(11)と、円柱体(13)を回動させるモータ(14)とが設けられ、前記円柱体(13)を回転させて乗台(3)を往復動させることを特徴とする螺旋溝式揺動運動機である。
又、乗台(3)を、基台(2)に並設される左・右乗台(3a)・(3b)とし、カム(11)を、左・右乗台(3a)・(3b)のそれぞれに突設される左・右カム(11c)・(11d)とし、左・右カム(11c)・(11d)を回動する円柱体(13)の左右側面の溝(12)に嵌め、前記円柱体(13)を回転させて左・右乗台(3a)・(3b)を交互に往復動させる。
更に、乗台(3)を、円板でなる円乗台(27)とし、円乗台(27)の面の略中心位置(28)を基台(2)に突設された中央軸(29)で支持し、前記円乗台(27)を基台(2)に回動自在に設け、円乗台(27)の中心位置(28)から離間した離間位置(30)に、円柱体(13)の溝(12)に嵌るカム(11)を突設し、前記円柱体(13)を回転させて円乗台(27)を往復回動させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、無端の螺旋の溝12を彫った円柱体13と、乗台3に突設され、前記溝12に嵌って従動するカム11と、円柱体13を回動させるモータ14とが設けられ、前記円柱体13を回転させて乗台3を往復動させるものであるから、円柱体13の一回転で乗台3を一往復又は複数往復させることができ、従来のネジ軸を正転、逆転させて往復させるネジ軸式に比して、本発明は、乗台3を高速に円滑に往復させることができ、速度調節上有利であり、好都合である。
【0007】
又、モータ14は一方向回転でよく、制御が簡単であり、設計上有利であり、好都合である。
更に、カム11は軸先にローラーベアリング11bが取着されているので、摩耗が殆どなく、ガタが増えず、耐久性がよく、好都合である。
更に、モータ14のモータ軸40に円柱体13を直接取り付けでき、カップリング部材が不要であり、製作上、経済的であり、好都合である。
更に又、溝12を適宜な形状にでき、該形状次第で、乗台3の一往復中の移動の速さを、一定としたり変化させたりでき、乗台3の移動の自由度が向上し、有益であり、好都合である。
【0008】
本発明は、乗台3を、基台2に並設される左・右乗台3a・3bとし、カム11を、左・右乗台3a・3bのそれぞれに突設される左・右カム11c・11dとし、左・右カム11c・11dを回動する円柱体13の左右側面の溝12に嵌め、前記円柱体13を回転させて左・右乗台3a・3bを交互に往復動させるものであるから、一つの円柱体13で、並列に置いた二つの乗台3a、3bを交互に動かすことができ、この交互移動を簡素な構成で行なうことができ、好都合である。
【0009】
本発明は、乗台3を円板でなる円乗台27とし、円乗台27の面の略中心位置28を基台2に突設された中央軸29で支持し、前記円乗台27を基台2に回動自在に設け、円乗台27の中心位置28から離間した離間位置30に、円柱体13の溝12に嵌るカム11を突設し、前記円柱体13を回転させて円乗台27を往復回動させるものであるから、往復回動する円乗台27を使用して、患者に対して回動態様の揺動運動を付与でき、この回動を簡素な構成で実施でき、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
患者が乗る乗台3の動きが円滑な螺旋溝式揺動運動機1を、無端の螺旋の溝12を彫った円柱体13と、乗台3に突設され前記溝12に嵌って従動するカム11と、円柱体13を回動させるモータ14とから構成し、前記円柱体13を回転させて乗台3を往復動させることにより、実現した。
【実施例1】
【0011】
図1、2、3、4に本発明の実施例1の螺旋溝式揺動運動機1を示している。
実施例1は、基台2に乗台3を移動可能に載設した揺動運動機36に、乗台3を水平の前後方向に往復させ揺動させる駆動部4と、駆動部4を制御する電気構成部37と、基台2上に設けられ患者が掴む手摺りとを設けて構成される。
【0012】
基台2は枠部材でなり、基台2の左右部における、前後方向に基台溝8が設けられる。基台2の中央部に乗台3が載設される。
基台2の上面左部の前後方向、基台2の上面前部の左右方向及び上面右部の前後方向に、手摺り5が一連に平面視門形状を成して、適宜高さに設けられる。
基台2の前部には駆動部4が設置され、駆動部4にはカバー9が被される。
【0013】
前記乗台3は、前後方向に移動可能である。乗台3は、患者が立位で乗る平板であり、乗台3の左右側壁の前後部にはそれぞれローラー10(合計四個)が設けられ、該ローラー10は前記基台溝8上に転動可能に置かれる。
前記乗台3の下面の適宜位置と基台2の上面の適宜位置との間にバネ38が掛け渡される。該バネ38は乗台3を後方向へ付勢し乗台3の往復動を円滑にするものである。
【0014】
乗台3の前部にはカム11が上方向きに突設される。カム11は、垂直位置の棒部材11aと、棒部材11aの上端に取着されたローラーベアリング11bとからなる。
【0015】
駆動部4は、無端の螺旋の一条の溝12を彫った円柱体13と、円柱体13を回動させるモータ14とからなる。円柱体13はモータ14のモータ軸40に連結される。
前記溝12に、乗台3に突設されたカム11が嵌められる。円柱体13が回転すると溝12も移動し、該溝12の縁部分に押されてカム11は従動し、往復動する。カム11と共に乗台3も往復動する。前記カム11でモータ14の回転を前後方向の往復動に変換している。
【0016】
前記溝12は適宜な形状にでき、該形状次第で、円柱体13の一回転に対する乗台3の往復数を一又は複数にしたり、乗台3の一往復中の移動の速さを、一定としたり又は変化させたりできる。
【0017】
平面視門形状の手摺り5は、乗台3の左右後部に立設される左右支柱16a、16b、及び前部中央に立設される前支柱16cに支持される。手摺り5の前辺5cに制御箱17が取り付けられる。
【0018】
前記制御箱17に電気構成部37が収納され、該電気構成部37は、モータ14と、緊急停止スイッチ7と、制御部6と、設定器群18と、表示器郡19とからなる。
前記制御部6は、モータ14に電力を供給し該モータ14の回転数、起動・停止及び駆動時間等を制御するものである。
【0019】
制御箱17は、前記前辺5cに取り付けられたボックスであり、制御箱17の正面に、緊急停止スイッチ7、設定器群18及び表示器群19が配設される。
【0020】
制御箱17の正面に取り付けられた緊急停止スイッチ7は、訓練中に危険が生じた場合、患者又は操作者が押し、駆動部4を緊急停止させるものである。
又、緊急停止スイッチ7の取着に係る他の例では、制御箱17に設けると共に手摺り5へも追加取着する場合がある。
【0021】
設定器群18は、モータ14を駆動させる開始スイッチ20、前記駆動を停止させる停止スイッチ21、乗台3の反復の周期を設定する周期設定器22、運動時間を設定する時間設定器23等からなる。
開始スイッチ20の出力は周期設定器22へ入力され、緊急停止スイッチ7、停止スイッチ21、周期設定器22及び時間設定器23の各出力は制御部6へ入力される。
【0022】
前記表示器群19は、乗台3の反復の周期を表示する反復周期表示器15と、運動時間を表示する時間表示器24と、モータ14が駆動していることを表示する駆動ランプ25と、商用電源が加電されていることを表示する電源ランプ26とからなる。
【0023】
実施例1を、足、腰の筋肉を鍛えバランス機能を回復させる揺動運動、痩身運動、糖尿病回復運動、その他の目的の運動に使用する。
【0024】
実施例1を使用する時は、駆動部4を作動させ、基台2に揺動可能に支持された乗台3を水平方向に往復動させる。患者は、手摺り5を持って、乗台3に乗り、立つ。バランス訓練その他各種運動中の患者は手摺り5に掴まり転倒を防ぐ。
【0025】
運動の開始に際し、開始スイッチ20を押し、モータ14を回動させる。溝12が動き、カム11が従動する。カム11は、乗台3に固定されておりその動きは前後方向のみ可能に規制されているため、カム及び乗台3は前後方向に往復動する。
【0026】
円柱体13が一回転する時、溝12の連続形状が、山形状を一つとしたものでは乗台3は一往復する。他の円柱体13の例として、溝12の連続形状に係る山形状を複数個としたものでは、円柱体13が一回転する時乗台3は山形状の数だけ往復する。
【0027】
患者は、往復動している乗台3に立つと、足、腰の筋肉の鍛錬、バランス機能を回復及び増進、或いは、痩身運動や糖尿病快復運動が行なえる。
時間設定器23で設定した時間が経過すると乗台3の往復動が停止し、患者は乗台3から床面に降り、訓練又は運動を終了する。
訓練中に、訓練を中止する場合は、操作者又は患者が停止スイッチ21を押し、駆動部4の駆動を停止させる。
【0028】
前記周期設定器22は、その出力信号で駆動部4の回転数を制御し、乗台3の前後方向への往復動の周期を変更調節し設定する。
具体的一例では、1Hz(=1秒間に1回往復)を選択し設定する。
周期設定器22で、往復動の周期の値を大きく設定すると、乗台3が急速に往復動し、往復動の周期の値を小さく設定すると乗台3が緩慢に往復動する。
【0029】
患者は、実施例1の前方向に向かって乗台3上に立つ。或いは、実施例1の左側方向又は右側方向に向かって乗台3に立つ。
制御箱17の表面に配設される表示器群19は、乗台3の周期、運動開始からの経過時間等を表示する。
【0030】
尚、座位で、上半身のみのバランス訓練その他の各種運動を行なう場合は、椅子(図示省略)を乗台3上に取着し、該椅子に患者が座し、腰掛け姿勢でその姿勢を保持する訓練その他の各種の運動を行なう。
【実施例2】
【0031】
図5に示す実施例2は、実施例1のカム11を、回動する円柱体13の左右側面の溝12に嵌る左・右カム11c、11dに代え、乗台3を、左・右乗台3a・3bに代えたものである。
【0032】
実施例2は、前記左・右カム11c・11dを、基台2に並設された左・右乗台3a・3bに突設しており、前記円柱体13が回転すると、左・右乗台3a・3bは交互に往復動する。
患者は、左足を左乗台3aに乗せ、右足を右乗台3bに乗せて運動をする。又、別の乗り方では、左乗台3a又は右乗台3bのどちらか一方に両足を乗せて運動することも可能である。
【実施例3】
【0033】
図6に示す実施例3は、実施例1の乗台3を、円板でなる円乗台27に代え、実施例1の駆動部4を、円乗台27の下方へ位置変更したものである。
【0034】
実施例3に係る円乗台27はその面の略中心位置28を、基台2に突設された中央軸29で支持され、基台2に回動自在に設けられる。
円乗台27における円乗台27の中心位置28から離間した離間位置30に、下方に向けてカム11を突設する。該カムは、円柱体13の溝12に嵌められており、当該円柱体13を回転させて、円乗台27を所定の小角度の回転角度に往復回動させる。
【実施例4】
【0035】
図7に示す実施例4は、実施例1の前後方向に往復する乗台3を、上下方向に移動する乗台3に代えたものである。
実施例4は、円柱体軸32を縦方向回とした円柱体13を、乗台3の四角にそれぞれ一個(合計四個)配置し、基台2に回動自在に設ける。
【0036】
円柱体13の円柱体軸32の上端には傘歯車31が設けられており、四個の円柱体13は全て、モータ14に繋がる駆動側傘歯車33に噛み合っており、四個の円柱体13は同期回転する。
【0037】
乗台3の左右側部の前後箇所(合計四箇所)に、それぞれカム11を設け、各カム11を四個の円柱体13の溝12に嵌める。四個の円柱体13を同期回転させると乗台3は水平を保って上下方向に往復動する。
乗台3及び乗台3上の患者の重量は、四個のカム11及び四個の円柱体13で支持される。
図7中、13a・13bは左・右後円柱体、39は左右の駆動側傘歯車33を連結する連結軸である。
【実施例5】
【0038】
図8に示す実施例5は、実施例1の円柱体13の円柱体軸32は横方向であるが、これを縦方向のものに代えている。又、実施例1の乗台3の前後方向に往復動する作用を、シーソー状に繰り返し傾斜する作用に代えている。
【0039】
実施例5は、基台2の前部に円柱体13を縦方向に設け、乗台3の前部にカム11を前方向に突設し、該カム11を前記円柱体13の溝12に嵌めている。乗台3の左右における前後方向の中央部34は、基台2に立設した中間支持片35で軸支される。
円柱体13を回転させると、カム11は上下方向に往復動し、乗台3は該乗台
3の中央部34を支点にして前傾、後傾を交互に繰り返す。
【産業上の利用可能性】
【0040】
基台2と、基台2に移動可能に載設された乗台3と、無端の螺旋の溝12を彫った円柱体13と、乗台3に突設され、前記溝12に嵌って従動するカム11と、円柱体13を回動させるモータ14とが設けられ、前記円柱体13を回転させて乗台3を円滑に往復動させる装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1の右側面図である。
【図2】本発明の実施例1の平面図である。
【図3】本発明の実施例1の背面図である。
【図4】本発明の実施例1の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2の平面図である。
【図6】本発明の実施例3の平面図である。
【図7】本発明の実施例4の背面図である。
【図8】本発明の実施例5の右側面図である。
【符号の説明】
【0042】
2 基台
3 乗台
3a左乗台
3b右乗台
11 カム
11c左カム
11d右カム
12 溝
13 円柱体
14 モータ
27 円乗台
28 中心位置
29 中央軸
30 離間位置
36 揺動運動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台(2)に乗台(3)を移動可能に載設した揺動運動機(36)において、無端の螺旋の溝(12)を彫った円柱体(13)と、乗台(3)に突設され、前記溝(12)に嵌って従動するカム(11)と、円柱体(13)を回動させるモータ(14)とが設けられ、
前記円柱体(13)を回転させて乗台(3)を往復動させることを特徴とする螺旋溝式揺動運動機。
【請求項2】
乗台(3)を、基台(2)に並設される左・右乗台(3a)・(3b)とし、カム(11)を、左・右乗台(3a)・(3b)のそれぞれに突設される左・右カム(11c)・(11d)とし、
左・右カム(11c)・(11d)を回動する円柱体(13)の左右側面の溝(12)に嵌め、
前記円柱体(13)を回転させて左・右乗台(3a)・(3b)を交互に往復動させる螺旋溝式揺動運動機。
【請求項3】
乗台(3)を、円板でなる円乗台(27)とし、円乗台(27)の面の略中心位置(28)を基台(2)に突設された中央軸(29)で支持し、前記円乗台(27)を基台(2)に回動自在に設け、
円乗台(27)の中心位置(28)から離間した離間位置(30)に、円柱体(13)の溝(12)に嵌るカム(11)を突設し、
前記円柱体(13)を回転させて円乗台(27)を往復回動させる螺旋溝式揺動運動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−212124(P2006−212124A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26195(P2005−26195)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】