説明

螺旋状コイルの製造方法及びその製造装置

【課題】螺旋状コイルにおける周回するワイヤ間のピッチを比較的容易に変更する。
【解決手段】螺旋状コイル12の製造方法は、ノズル22の前端から前方に繰出されるワイヤ11をノズルの前端面に沿わせるように順次同一方向に折曲げることにより周回する単位周回ワイヤ16をノズルと交差する方向に順次ずらして螺旋状に連続して周回する複数の単位周回ワイヤからなる螺旋状コイルを得る。挿通孔22aに平行であって挿通孔の近傍において交差する第1及び第2平面22b,22cをノズルに形成し、第1及び第2平面にそれぞれ平行であって挿通孔で交差する2枚の仮想平面M1,M2により区切られる4つの空間の内で第1及び第2平面の交線Nが存在する空間の範囲にワイヤ11を折曲げ、ノズルの前端から周回してノズルに戻るワイヤを第1又は第2平面に当接させた後に滑らすことにより単位周回ワイヤ16をノズルと交差する方向に順次ずらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一周する単位周回ワイヤをその周回方向に交差する方向に連続させて螺旋状コイルを得る螺旋状コイルの製造方法及びその製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、方形状を成して一周する単位周回ワイヤをその周回方向に交差する方向に連続させて螺旋状コイルを得る方法として、例えば断面四角形の巻芯治具を用い、その巻芯治具にワイヤを螺旋状に巻回して螺旋状コイルを得、その後その螺旋状コイルから巻芯治具を取外す製造方法があった。しかし、この巻芯治具を用いる製造方法では、ワイヤの径が大きくてその剛性が高い場合、ワイヤを巻芯治具に沿って四角形に巻回することが難しく、螺旋状コイルのコーナー部分の形状にバラツキが生じたり、螺旋状コイルの直線部分が湾曲して、その後この螺旋状コイルにコア等を挿入した場合等における螺旋状コイルとコア間の空隙が大きくなるという問題点があった。
【0003】
この点を解消するために、巻芯治具を用いることなくコイルを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、ワイヤの途中を支持する支持ローラと、この支持ローラに対してワイヤを送る送り機構と、ワイヤを支持ローラの手前で固定支持する固定機構と、支持ローラから延びるワイヤに当接する曲げローラと、この曲げローラをワイヤの折曲げ方向に移動するローラ移動機構とを備えた装置を用いている。そして、このローラ移動機構によって曲げローラがワイヤと共に移動することによりワイヤを支持ローラに沿って折曲げるようになっている。この方法では、このような装置を用いてワイヤの折曲げと送りとを交互に行うことにより、方形状に周回するワイヤを巻芯治具を用いることなく得ることができるとしている。そして、曲げローラを固定機構に対して傾斜させ、それにより方形状に周回するワイヤを順次ずらして螺旋状に周回するワイヤからなる螺旋状コイルを得るとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−264965号公報(特許第3986330号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、近年、このような螺旋状コイルにあっては、その周回するワイヤ間に所定の隙間を設けることが要求される場合がある。このようなことが要求される螺旋状コイルは、特にその螺旋状コイルを後にケースに入れるような場合に多く、そのケースに螺旋状コイルを圧縮状態で収容し、螺旋状コイルの伸長しようとする弾性によりケースとの間にがたつきが生じることを防止しようとするものである。よって、螺旋状コイルの周回するワイヤ間のピッチは収容されるケースにより異なり、この螺旋状コイルの製造にあっては、その周回するワイヤ間のピッチを比較的容易に変更調整し得ることが好ましい。
【0006】
しかし、上記特許文献1における螺旋状コイルの製造方法では、曲げローラを固定機構に対して傾斜させることにより、周回するワイヤを順次ずらしているので、曲げローラの傾斜角度を変更しなければ、螺旋状に周回するワイヤ間のピッチを変更することができない不具合があった。即ち、従来の螺旋状コイルの製造方法では、曲げローラの傾斜角度の変更が困難であることから、螺旋状コイルの製造毎に、又は螺旋状コイルの製造途中で周回するワイヤ間のピッチを変更することができないという未だ解決すべき課題が残存していた。
【0007】
本発明の目的は、周回するワイヤ間のピッチを比較的容易に変更し得る螺旋状コイルの製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の螺旋状コイルの製造方法は、ノズルの軸方向に伸びる挿通孔に挿通されてノズルの前端から前方に繰出されるワイヤをノズルの前端面に沿わせるように順次同一方向に折曲げ、それにより周回する単位周回ワイヤをノズルと交差する方向に順次ずらして螺旋状に連続して周回する複数の単位周回ワイヤからなる螺旋状コイルを得る方法である。
【0009】
その特徴ある点は、挿通孔に平行であって挿通孔の近傍において交差する第1及び第2平面をノズルに形成し、第1及び第2平面にそれぞれ平行であって挿通孔で交差する2枚の仮想平面により区切られる4つの空間の内第1及び第2平面の交線が存在する空間の範囲にノズルの前端から繰出されたワイヤを折曲げ、ノズルの前端から周回してノズルに戻るワイヤを第1又は第2平面に当接させた後に滑らすことにより単位周回ワイヤをノズルと交差する方向に順次ずらすところにある。
【0010】
ノズルの前端から前方に突出したワイヤの折曲げが、ワイヤに側方から接触させた当接移動部材をノズルに交差する方向に移動することにより行われる場合、当接移動部材の移動方向を変更することにより又は挿通孔を中心としてノズルを回転することにより複数の単位周回ワイヤ間のピッチを変更させることが好ましい。そして、ワイヤの折曲げ方向を第1及び第2平面の交線に近づければ、複数の単位周回ワイヤ間のピッチを拡大させることができる。
【0011】
本発明の螺旋状コイルの製造装置は、供給源から延びるワイヤが挿通可能な挿通孔が軸方向に伸びて形成されたノズルと、ノズルの後端側に設けられワイヤをノズルに供給してノズルの前端からワイヤを繰出すワイヤ送り装置と、ノズルの前端から前方に突出したワイヤをノズルの前端面に沿わせるように折曲げるワイヤ加工手段とを備えた螺旋状コイルの製造装置である。
【0012】
その特徴ある構成は、挿通孔に平行であって挿通孔の近傍において交差する第1及び第2平面がノズルに形成され、ワイヤ加工手段が、部材移動機構により移動し、ノズルの前端から前方に突出したワイヤに側方から接触しかつノズルに交差する方向に移動してワイヤをノズルの前端面に沿わせるように折曲げる当接移動部材を有し、ワイヤの折曲げ時にワイヤを収容して折曲げ方向に案内する凹溝が当接移動部材に形成されたところにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の螺旋状コイルの製造方法及びその製造装置では、第1及び第2平面が形成されたノズルから繰出されるワイヤを順次同一方向に折曲げるけれども、その折曲げ方向は、第1及び第2平面の交線が存在する空間の範囲である。このため、ノズルの前端から周回してノズルに戻るワイヤはその第1又は第2平面に当接する。そして、その後そのワイヤを第1又は第2平面に滑らすことにより、そのワイヤはノズルと交差する方向にずれて当初当接した面と異なる第2又は第1平面にまで達することになる。同様に、その後もワイヤの繰出しと折曲げを交互に繰り返すことにより順次形成される周回ワイヤはノズルと交差する方向に順次ずれることになる。これにより、複数の単位周回ワイヤがノズルと交差する方向にずれた螺旋状コイルが得られる。ここで、そのワイヤがノズルと交差する方向にずれる量は、第1又は第2平面を基準としたワイヤの折曲げ方向により異なり、第1又は第2平面と折曲げ方向の成す角度を変更することにより、螺旋状コイルの周回する単位周回ワイヤ間のピッチを比較的容易に変更することができる。
【0014】
ここで、ワイヤの折曲げが、ワイヤに側方から接触させた当接移動部材をノズルに交差する方向に移動することにより行われる場合、当接移動部材の移動方向を変更することにより又は挿通孔を中心としてノズルを回転することにより第1又は第2平面と折曲げ方向の成す角度を変更することができ、複数の単位周回ワイヤ間のピッチを更に容易に変更することができる。そして、ワイヤの折曲げ時にワイヤを収容して折曲げ方向に案内する凹溝を当接移動部材に形成すれば、得られた単位周回ワイヤのずれる方向にかかわらず、ノズルの前端から繰出されたワイヤをその当接移動部材の移動方向に確実に折曲げて、所望の形状の螺旋状コイルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明実施形態の螺旋状コイルの製造方法を示すノズルの前端を示す図である。
【図2】ワイヤ間のピッチが拡大した螺旋状コイルを得るノズルの前端を示す図である。
【図3】途中で屈折する螺旋状コイルを得るノズルの前端図である。
【図4】正方形を成す単位周回ワイヤが形成される手順を示す図である。
【図5】長方形を成す単位周回ワイヤが形成される手順を示す図である。
【図6】6角形を成す単位周回ワイヤが形成される手順を示す図である。
【図7】その螺旋状コイルの製造装置の正面図である。
【図8】その螺旋状コイルの製造装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図7及び図8に、ワイヤ11を折曲げ加工して螺旋状コイル12を自動的に製造する本発明における螺旋状コイルの製造装置20を示す。この製造装置20により得られる螺旋状コイル12は、図4〜図6に示すようにコーナー部13と直線部14とが交互に設けられて一周する単位周回ワイヤ16を、図1〜図3に示すようにその周回方向に交差する方向に連続させたものである。ワイヤ11は、巻芯治具を用いることなく折曲げられるとその形状を維持できるような、その外径がある程度大きい比較的太いものが用いられる。ワイヤ11は、この実施の形態では、表面に絶縁皮膜が形成された断面が円形のいわゆる丸線が用いられるものとする。けれども、このワイヤ11は丸線に限らず、螺旋状コイル12等の仕様或いは製作工程に応じて、断面が方形を成すいわゆる角線を用いても良い。
【0018】
図7及び図8に示すように、ワイヤ11はリール17に巻回され、このリール17がワイヤ11の供給源となる。このリール17は螺旋状コイルの製造装置20と別な場所の例えば装置20の後方の床の上等に置かれる。この実施の形態ではリール17は載置台18を介して設置され、その載置台18には支柱18aを介してリール17の上方にプーリ19が回転可能に設けられる。ワイヤ11はリール17から解き放たれて上方のプーリ19に向かい、そのプーリ19にて転向してワイヤ送り装置23に供給される場合を示す。ここで、製造装置20における図における符号20cは、プーリ19にて転向して供給源であるリール17から繰出されたワイヤ11を真直ぐに伸ばす癖取り装置であり、複数の小ローラ20dによりそのワイヤ11を周囲から順次挟持し、そのワイヤ11を真直ぐに伸ばすように構成される。
【0019】
螺旋状コイルの製造装置20は、主要構成部として、基台21に取付けられ供給源17から延びるワイヤ11が挿通された真直ぐなノズル22と、そのノズル22にワイヤ11を供給してノズル22の前端からそのワイヤ11を繰出すワイヤ送り装置23を備える。ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が水平前後方向、Y軸が水平横方向、Z軸が垂直方向に延びるものとして本発明の螺旋状コイルの製造装置20について説明する。
【0020】
ノズル22はその剛性を確保するために断面が円形を成す円柱状のものが用いられ、図1に詳しく示すように、その中心に供給源から延びるワイヤ11が挿通可能な挿通孔22aが軸方向に伸びて形成される。そして、挿通孔22aに平行であってこの挿通孔22aの近傍において交差する第1及び第2平面22b,22cがこのノズル22に形成される。第1及び第2平面22b,22cの交角αは鈍角であって、100〜170度の範囲、更に好ましくは140〜160の範囲になるように形成され、好適な角度としては150度が望ましい。第1及び第2平面22b,22cの交角αを鈍角とするのは、後述する製造方法において、ノズル22の前端から周回してノズル22に戻るワイヤ11を第1又は第2平面22b,22cに当接させた後に滑らす必要があるからである。
【0021】
図7及び図8に戻って、ノズル22の後部は挿通孔22a(図1)を回転中心としてこのノズル22を回転させるノズル回転用サーボモータ24に取付けられ、このノズル回転用サーボモータ24が取付部材20bの上部に取付けられる。このノズル回転用サーボモータ24には図示しないコントローラの制御出力が接続され、このノズル回転用サーボモータ24を介してノズル22の後部が上部に取付けられた取付部材20bは、その下端が基台21に固定される。この取付部材20bによりノズル22はX軸方向に延びて基台21の上方空間に固定される。
【0022】
ワイヤ送り装置23は、供給源であるリール17から解き放たれ、癖取り装置20cにより真直ぐに伸ばされたワイヤ11をノズル22に供給するものであり、この実施の形態におけるワイヤ送り装置23は、ノズル22の後端近傍に設けられてワイヤ11を固定支持する固定機構26と、その固定機構26の後方に設けられワイヤ11をX軸方向に送る送り機構27とを備える。固定機構26は、ノズル22と送り機構27の間に位置し、図示しないエアシリンダによって上下動してワイヤ11の途中を掴む第1チャック26aと、その第1チャック26aが取付けられた固定台26bを有し、この固定台26bが基台21に取付けられる。
【0023】
一方、送り機構27は、図示しないエアシリンダによって上下動してワイヤ11の途中を掴む第2チャック27aと、その第2チャック27aを支持する移動台27bと、ノズル22の後方にそのノズル22の延長線上に延びて設けられ移動台27bを基台21に対してX軸方向に移動可能に支持するレール27cと、レール27cに設けられ移動台27bに螺合するボールネジ27eと、そのボールネジ27eを回転駆動するサーボモータ27dとを備える。基台21にはX軸方向に伸びる鉛直板28が設けられ、この鉛直板28にレール27cとともにサーボモータ27dが固定される。そして、サーボモータ27dによるボールネジ27eの回転によって移動台27bが移動し、第2チャック27aに掴まれたワイヤ11をX軸方向に移動可能に構成される。なお、図における符号29は、移動台27に第2チャック27aとともに設けられた被覆剥き機29であって、この被覆剥き機29は、ノズル22に供給されるワイヤ11の所定範囲における被覆を除去可能に構成される。
【0024】
固定機構26におけるエアシリンダ、及び送り機構におけるエアシリンダとサーボモータ27d、及び被覆剥き機29には、これらをそれぞれ制御する図示しないコントローラの制御出力に接続される。そして、図示しないコントローラからの指令により、この固定機構26の第1チャック26aを解放して送り機構27のワイヤ11を掴む第2チャック27aを移動台27bとともにX軸方向に移動させることによりノズル22にワイヤ11を供給可能に構成される。これによりノズル22の前端からそのワイヤ11を繰出すことができる。一方、送り機構27の第2チャック27aをワイヤ11を解放した状態でX軸上で後退させる際に固定機構26によりワイヤ11を掴むことにより一旦繰出されたワイヤ11がその第2チャック27aとともに後退することを防止することができる。そして、後退した第2チャック27aによりワイヤ11を再び掴んだ状態で固定機構26の第1チャック26aを解放し、ワイヤ11を掴んだ送り機構27の第2チャック27aを再び前方に移動することにより、供給源17から供給されたワイヤ11をノズル22に順次繰出すことができるようになっている。なお、図1におけるワイヤ送り装置23は例示であって、図示しないが、ワイヤ送り装置23は、ワイヤ11に転接する複数のローラを備え、それら複数のローラを回転させることによりリール17から供給されるワイヤ11をこれらのローラの間からノズル22に供給するようにしても良い。
【0025】
また、本発明の螺旋状コイルの製造装置20は、前記ノズル22の前端から前方に突出したワイヤ11をノズル22の前端面に沿わせるように折曲げるワイヤ加工手段30を備える。この実施の形態における加工手段30は、部材移動機構31により移動し、ノズル22の前端から前方に突出したワイヤ11に側方から接触する当接移動部材32を備える。部材移動機構31は、ノズル22の前方における基台21に設けられてそのノズル22に対して3軸方向に移動する中央移動台35と、回転軸41aがノズル22の挿通孔22aに平行になるようにその中央移動台35に設けられた部材回転用サーボモータ41と、その回転軸41aに取付けられ部材回転用サーボモータ41が駆動することにより回転する回転部材42と、部材回転用サーボモータ41の回転軸41aに対して回転軸43aが直交するように回転部材42に固定された折曲げ用サーボモータ43とを備える。
【0026】
中央移動台35は中央移動装置36を介して基台21に取付けられる。この中央移動装置36は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ37〜39の組み合わせにより構成される。この実施の形態におけるこれらの伸縮アクチュエータ37〜39は、サーボモータ37a〜39aによって回動駆動されるボールネジ37b〜39bと、このボールネジ37b〜39bに螺合して平行移動する従動子37c〜39c等によって構成される。この実施の形態では、中央移動台35をX軸方向に移動可能にX軸方向伸縮アクチュエータ37の従動子37cに取付け、そのX軸方向伸縮アクチュエータ37をZ軸方向に移動可能にZ軸方向伸縮アクチュエータ39の従動子39cに取付け、そのZ軸方向伸縮アクチュエータ39をY軸方向に移動可能にY軸方向伸縮アクチュエータ38の従動子38cに取付け、そのY軸方向伸縮アクチュエータ38が基台21に取付けられる。そして、それらの各伸縮アクチュエータにおけるX軸サーボモータ37a、Y軸サーボモータ38a及びZ軸サーボモータ39aは、これらをそれぞれ制御する図示しないコントローラの制御出力に接続される。そして、中央移動装置36は中央移動台35を基台21に固定されたノズル22に対して3軸方向に任意に移動可能に構成される。
【0027】
部材回転用サーボモータ41の回転軸41aに対して回転軸43aが直交するように回転部材42に固定された折曲げ用サーボモータ43は、図7の拡大図及び図8の拡大図に示すように、その回転軸43aに交差するように揺動片44の一端がその回転軸43aに取付けられ、その揺動片44の他端に当接移動部材32が設けられる。部材回転用サーボモータ41及び折曲げ用サーボモータ43には図示しないコントローラの制御出力がそれぞれ接続され、コントローラの指令により折曲げ用サーボモータ43が駆動して揺動片44が基端を中心に揺動すると、他端に設けられてワイヤ11に側方から接触する当接移動部材32が、図4〜6に示すように、ノズル22に交差する方向に移動してワイヤ11をノズル22の前端面に沿わせて折曲げるように構成される。また、コントローラの指令により部材回転用サーボモータ41が駆動して回転部材42が回転すると、当接移動部材32の移動方向が変化し、ノズル22の前端から繰出されたワイヤ11の当接移動部材32が折曲げる方向を変更可能に構成される。
【0028】
図7の拡大図及び図8の拡大図に戻って、この実施の形態における当接移動部材32は揺動片44の他端に固定された円柱状部材であって、その周囲がワイヤ11に接触可能に揺動片44に固定される。そして、その外周には断面が半円状の凹溝32aが全周に連続して形成され、その凹溝32aの断面はワイヤ11の半径以上の半径を有するように形成される。この当接移動部材32はその中心軸が折曲げ用サーボモータ43の回転軸43aと平行になるように揺動片44に固定され、これによりその外周に接触したワイヤ11は外周の接線方向に折曲げられることになり、その外周に形成された凹溝32aは、ワイヤ11の折曲げ時にそのワイヤ11を収容して折曲げ方向に案内するように構成される。
【0029】
また、鉛直板28の上端にはノズル22の前端から突出したワイヤ11を切断するワイヤ切断機構51が設けられる。この実施の形態におけるワイヤ切断機構51は、鉛直板28の上端にX軸方向に伸びて設けられた第1エアシリンダ52と、その第1エアシリンダ52の第1可動台52aにY軸方向の正面から見てL形のアングル53を介して設けられZ軸方向に伸びて設けられた第2エアシリンダ54と、その第2エアシリンダ54の第2可動台54aにZ軸方向の上面視においてL字状の延長部材56を介して設けられたニッパ装置57とを備える。第1及び第2エアシリンダ52,54及びニッパ装置57には図示しないコントローラの制御出力が接続され、コントローラからの指令に基づいて第1エアシリンダ52がその第1可動台52aを第2エアシリンダ54とともに前方に突出させ、その第2エアシリンダ54が延長部材56とともにニッパ装置57を下降させることにより、そのニッパ装置57はノズル22から前方に突出したワイヤ11に達し、そのニッパ装置57が駆動することによりその切断刃57aがそのワイヤ11を切断可能に構成される。そして第2エアシリンダ54がニッパ装置57を上昇させ、第1エアシリンダ52がその第2エアシリンダ54をニッパ装置57とともに後退させることによりそのニッパ装置57を待機位置に待機させるように構成される。
【0030】
次に、このような螺旋状コイルの製造装置を用いて螺旋状コイルを製造する本発明の螺旋状コイルの製造方法について説明する。
【0031】
図4〜6に示すように、本発明の製造方法は、ノズル22の軸方向に伸びる挿通孔22a(図1〜図3)に挿通されてそのノズル22の前端から前方に繰出されるワイヤ11をそのノズル22の前端面に沿わせるように順次同一方向に折曲げ、それによりコーナー部13と直線部14とが交互に設けられて一周する単位周回ワイヤ16を得る。そして、図1〜図3に示すように、そのように得られる単位周回ワイヤ16をノズル22と交差する方向に順次ずらして螺旋状に周回して連続する複数の単位周回ワイヤ16からなる螺旋状コイル12を得る方法である。
【0032】
即ち、本発明の方法により得ようとする螺旋状コイル12は、図1〜図3に示すように螺旋状に周回して連続する複数の単位周回ワイヤ16から成り、その単位周回ワイヤ16は、図4〜6に示すように、コーナー部13と直線部14とが交互に連続するものである。そして、螺旋状コイル12の直線部14は、真直ぐなノズル22を貫通してそのノズル22の前端から直線状にワイヤ11を繰出すことにより行われ、その繰出されたワイヤ11によりその直線部14を形成する。図7及び図8に示す装置20にあって、このワイヤ11の繰出しはワイヤ送り装置23により行われ、固定機構26の第1チャック26aを解放して送り機構27によりワイヤ11をX軸方向に移動させることにより行われる。
【0033】
一方、単位周回ワイヤ16におけるコーナー部13は、ノズル22の前端から繰出されたワイヤ11をそのノズル22の前端面に沿わせるように折曲げることにより形成する。図7及び図8に示す装置20にあって、この折曲げは、ノズル22の前端から前方に突出したワイヤ11に側方から接触させた当接移動部材32をノズル22に交差する方向に移動することにより行われる。このとき、コントローラは部材回転用サーボモータ41を駆動させ、回転部材42を回転させて、当接移動部材32の接触方向を定めておく。図7及び図8ではワイヤ11に上方から当接移動部材32が接触する場合を示し、部材回転用サーボモータ41は折曲げ用サーボモータ43の回転軸43がY軸方向に位置するように回転部材42を回転させておくことになる。
【0034】
ワイヤ11を折曲げる際に、図示しないコントローラは中央移動装置36を制御して中央移動台35を移動させ、ノズル22の前端から前方に突出したワイヤ11に側方から当接移動部材32を接触させる。図4〜図6に示すように、当接移動部材32の接触位置は、ノズル22の前端縁から当接移動部材32までの距離Sがワイヤ11の直径と略等しくなる位置とされる。当接移動部材32に凹溝32aを形成するこの実施の形態では、図4(b)の拡大図に示すように、ノズル22の前端縁からその凹溝32aまでの距離Sがワイヤ11の直径と略等しくなるようにすることが好ましい。
【0035】
ワイヤ11に側方から当接移動部材32を接触させた後に、コントローラの指令により折曲げ用サーボモータ43が駆動することにより、基端を中心に揺動片44を揺動させる。そして、揺動片44の他端に設けられてワイヤ11に側方、この実施の形態では図4〜図6に示すように、上方から接触する当接移動部材32をノズル22に交差してワイヤ11を横断する下方に移動させる。すると、ノズル22の前端縁から当接移動部材32までの距離Sがワイヤ11の直径と略等しくなる位置であるので、これによりそのワイヤ11はノズル22の前端面に沿わせるように折曲げられることになる。このとき、この当接移動部材32の外周に接触したワイヤ11は外周の接線方向に折曲げられることになるけれども、その外周に形成された凹溝32a(図8)はワイヤ11を収容して折曲げ方向に案内するので、ワイヤ11をその当接移動部材32が移動する方向に比較的正確に折曲げることができる。
【0036】
上記のような直線部14の形成とコーナー部13の形成は交互に行われる。但し、コーナー部13の形成におけるワイヤ11の折曲げ方向は常に同一方向に折曲げられ、これにより単位周回ワイヤ16がノズル22の前端に形成される。また、直線部14の形成にあっては、得ようとする螺旋状コイル12における単位周回ワイヤ16が描く形状において、その繰出す長さが異なる。例えば、単位周回ワイヤ16が正方形を描く螺旋状コイル12を製造するには、図4に示すように、コーナー部13を直角とするとともに、常に同一の長さになるように直線部14の形成が行われる。また、単位周回ワイヤ16が長方形を描く螺旋状コイル12を製造するには、図5に示すように、コーナー部13を直角とするとともに、得ようとする長方形の長辺と短辺に相当する長さの直線部14を交互に形成する。また、単位周回ワイヤ16が多角形、例えば6角形を描く螺旋状コイル12を製造するには、図6に示すように、コーナー部13を120度とするとともに、常に同一の長さになるように直線部14の形成が行われる。このように、コーナー部13の角度と直線部14の長さを異ならせることにより、螺旋状コイル12における単位周回ワイヤ16が描く形状を変化させることができる。このとき、コーナー部13の角度は当接移動部材32の移動量により調整することができる。
【0037】
一方、螺旋状コイル12を得るためには、このようにして得られる単位周回ワイヤ16をノズル22と交差する方向に順次ずらす必要がある。このため、ノズル22の前端から繰出されたワイヤ11の折曲げは、図1に示すように、第1及び第2平面22b,22cにそれぞれ平行であって挿通孔22aで交差する2枚の仮想平面M1,M2により区切られる4つの空間A,B,C,Dの内で、第1及び第2平面22b,22cの交線Nが存在する空間Aの範囲に行われる。即ち、2枚の仮想平面M1,M2に沿う範囲から、第1及び第2平面22b,22cの交線Nが存在するそれらの内側を示す図1のAで示す範囲において、ノズル22の前端から繰出されたワイヤ11を折曲げることが必要である。この範囲の具体的な折曲げとしては、図1に示すように、第1又は第2平面22b,22cに平行にワイヤ11を折曲げるような場合や、図示しないがそれらの内側であって第1及び第2平面22b,22cの交線Nに向けて折曲げる場合や、又は図2に示すように、その交線Nに近づけて折曲げるような場合が例示される。
【0038】
第1平面22bに平行にワイヤ11を折曲げて単位周回ワイヤ16が正方形を描く螺旋状コイル12を製造する場合を説明すると、図4に示すように、ノズル22の前端からの繰出しと同一方向への折曲げが3回繰り返されると、図4(f)に示すように、そのワイヤ11は周回してその先端はノズル22に戻り、第2平面22cに当接する。ここで、第1平面22bと第2平面22cとの交角α(図1)は鈍角であり、第1平面22bと平行にワイヤ11を折曲げるので、ノズル22に戻るワイヤ11の先端はその第2平面22cに傾斜して当接することになる。そして、図4(h)に示すように、4回目の折曲げがされると単位周回ワイヤ16が得られることになり、その4回目の折曲げ時に第2平面22cに傾斜して当接した図1(a)の一点鎖線で示すワイヤ11はその第2平面22cに案内されて破線矢印で示すように滑り、第1平面22bにまでずれることになる。そして、その後のワイヤ11の繰出しと折曲げが繰り返されることにより、ノズル22の前端から周回してノズル22に戻るワイヤ11は順次第1平面22bにまでずれることになり、図1(b)に示すように、複数の単位周回ワイヤ16がノズル22と交差する方向にずれた螺旋状コイル12が得られる。
【0039】
ここで、図1では、第1平面22bに平行にワイヤ11を折曲げるので、周回する単位周回ワイヤ16がノズル22と交差する方向にずれる量Fは、挿通孔22aから第1平面22bまでの肉厚tにワイヤ11の線径dを加えた値となる。この実施の形態では、第1平面22bは挿通孔22aの近傍に設けられるので、その挿通孔22aから第1平面22bまでの肉厚tは比較的小さくなり、その肉厚tがワイヤ11の弾性限度以内であれば、第1平面22bにまでずれた単位周回ワイヤ16はその後に更に単位周回ワイヤ16が得られた段階でその新たに得られた単位周回ワイヤ16に密着し、隣接する単位周回ワイヤ16が互いに密着する螺旋状コイル12を得ることができる。即ち、複数の単位周回ワイヤ16間のピッチPがワイヤ11の線径dに一致する螺旋状コイル12を得ることができる。ここで、周回する単位周回ワイヤ16がノズル22と交差する方向にずれるので、ノズル22から繰出されるワイヤ11を第1平面22bに平行に折曲げることが困難になることも考えられるけれども、そのワイヤ11を実際に折曲げる当接移動部材32の外周に凹溝32a(図8)を形成したので、その凹溝32aはワイヤ11を収容して折曲げ方向に案内するので(図4(b))ワイヤ11を第1平面22bに平行に比較的正確に折曲げることができる。
【0040】
次に、ノズル22の前端から繰出されるワイヤ11を第1及び第2平面22b,22cの交線Nに近づけて折曲げて螺旋状コイル12を製造する場合を説明する。図2(a)の一点鎖線で示すように、第1平面22bに平行にワイヤ11を折曲げた場合に単位周回ワイヤ16がずれる方向はその第1平面22bに直交するので、実線で示すように、ワイヤ11を第1及び第2平面22b,22cの交線Nに近づけて折曲げ、第1平面22bに平行な面から折曲げ方向の成す角度をβとしたとき、周回する単位周回ワイヤ16がノズル22と交差する方向にずれる量Tは、図2(a)の拡大図に示すように、第1平面22bに平行にワイヤ11を折曲げた場合にずれる量Fをcosβで除した量となる。このため、ワイヤ11を交線Nに近づけて折曲げると、第1平面22bに平行にワイヤ11を折曲げる場合に比較して単位周回ワイヤ16がずれる量Tは増大する。即ち、周回する単位周回ワイヤ16がノズル22と交差する方向にずれる量Tは、T=F/(cosβ)で表すことができ、挿通孔22aから第1平面22bまでの肉厚tにワイヤ11の線径dを加えた値を越えるものとなる。このずれる量Tがワイヤ11の弾性限度を越えていれば単位周回ワイヤ16はずれた状態で塑性変形し、図2(b)に示すように、第1平面22bにまでずれた単位周回ワイヤ16はその後に更に単位周回ワイヤ16が得られた段階でその新たに得られた単位周回ワイヤ16と所定の隙間を空けることになる。このため、複数の単位周回ワイヤ16間のピッチPはワイヤ11の線径dを越えることになり、隣接するワイヤ11が互いに所定の隙間を空けた螺旋状コイル12を得ることができる。
【0041】
上述のように、第1平面22bに平行な仮想平面M1から折曲げ方向の成す角度をβとしたとき、周回する単位周回ワイヤ16がノズル22と交差する方向にずれる量Tは、T=F/(cosβ)で表すことができる。このことは、第1平面22bに平行な仮想平面M1から折曲げ方向の成す角度βを変更することにより、螺旋状コイル12の周回する単位周回ワイヤ16間のピッチPが変更されることを意味する。そして、ワイヤ11の折曲げ方向は、コントローラの指令により部材回転用サーボモータ41が駆動して回転部材42が回転すると当接移動部材32の移動方向が変化するので、ノズル22の前端から繰出されたワイヤ11の当接移動部材32が折曲げる方向を比較的容易に変更することができる。よって、本発明では、周回するワイヤ11間のピッチPを比較的容易に変更することが可能になる。
【0042】
ここで、2枚の仮想平面M1,M2により区切られる4つの空間A,B,C,Dの内で、第1及び第2平面22b,22cの交線Nが存在する空間の範囲においてワイヤ11の折曲げが行われるので、その折曲げ方向がその交線Nに近づくほど、ノズル22に戻るワイヤ11の先端がその第1又は第2平面22b,22cに当接する角度は増加する。このため、その第1又は第2平面22b,22cに案内されてワイヤ11が第2又は第1平面22bにまでずれることが困難になることも考えられるけれども、この実施の形態では、ノズル回転用サーボモータ24によりノズル22はその挿通孔22aを回転中心として回転可能に取付けられているので、図3(a)に示すように、最初に第1平面22bと平行にワイヤ11を折曲げてノズル22に戻るワイヤ11の先端を第2平面22cに傾斜して当接させ、その最初の単位周回ワイヤ16を第2平面22cにより確実に第1平面22bにまでずらし、その後、図3(b)に示すように、ノズル22をその挿通孔22aを回転中心として回転させてそのずれる量Tを拡大させることもできる。そして、その後、ワイヤ11の繰出しと折曲げを繰り返すことにより、図3(c)に示すように、隣接するワイヤ11が互いに所定の隙間を空けた螺旋状コイル12を得ることができる。
【0043】
また、挿通孔22aを回転中心としてノズル22を回転させると、当接移動部材32の移動によるワイヤ11の曲げ方向が同じであっても、第1平面22bに平行な面M1からそのワイヤ11が折曲げられる方向の成す角度β(図2)は変更されることになる。よって、本発明では、当接移動部材32の移動方向を変更することにより又は挿通孔22aを中心としてノズル22を回転させることにより第1平面22bに平行な面M1からそのワイヤ11が折曲げられる方向の成す角度βを変更することができ、螺旋状に周回する複数の単位周回ワイヤ16間のピッチPを更に容易に変更することができる。そして、螺旋状コイル12の製造途中であって、ワイヤ11の折曲げ方向を第1及び第2平面22b,22cの交線Nに近づけることにより、螺旋状に周回するワイヤ11間のピッチPを拡大させることが可能になる。
【0044】
また、第1平面22bに平行な面からそのワイヤ11が折曲げられる方向の成す角度βを変更することなく、図3(d)に示すように挿通孔22aを中心としてノズル22を回転させるとともに当接移動部材32の移動方向を変更することにより、図3(e)に示すように屈折した螺旋状コイル12を得ることも可能になる。このため、巻芯治具や金型等を用いることなく単位周回ワイヤ16間に所定の隙間を持たせた螺旋状コイル12を製造することが可能になり、従来必要とされた金型の管理負担を減少させることができる。そして、図示しないコントローラにより繰出されるワイヤ11の量や曲げ角度を変更するようにすれば、形状の異なる複数種類の螺旋状コイル12を得ることが可能になり、螺旋状コイル12の製造における完全な自動化が可能になり、そのコイル12の生産性を著しく高めることが可能になる。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、第1平面22bに平行にワイヤ11を折曲げて第2平面22cにそのワイヤ11を傾斜して当接させて第1平面22bにまでずらす場合を説明したけれども、図示しないが、第2平面22cに平行にワイヤ11を折曲げて第1平面22bに傾斜して当接させたワイヤ11を第2平面22bにまでずらすことにより螺旋状コイル12を得るようにしても良い。この場合の螺旋方向は上述した実施の形態と逆方向になるので、本発明では、ワイヤ11の折曲げる方向を変更することにより得られるコイル12の螺旋方向を容易に変更することも可能となる。
【0046】
また、上述した実施の形態では、揺動片44の他端に固定された円柱状部材からなる当接移動部材32を説明したけれども、この当接移動部材32は揺動片44の他端に回転可能に枢支しても良く、移動してワイヤ11を折曲げ可能である限り、その形状は円柱状に限られず、例えば、角柱状の部材であっても良い。
【符号の説明】
【0047】
11 ワイヤ
12 螺旋状コイル
16 単位周回ワイヤ
17 リール(供給源)
20 螺旋状コイルの製造装置
22 ノズル
22a 挿通孔
22b 第1平面
22c 第2平面
23 ワイヤ送り装置
30 ワイヤ加工手段
31 部材移動機構
32 当接移動部材
32a 凹溝
M1,M2 仮想平面
A,B,C,D 2枚の仮想平面により区切られる空間
N 第1及び第2平面の交線
P 単位周回ワイヤ間のピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル(22)の軸方向に伸びる挿通孔(22a)に挿通されて前記ノズル(22)の前端から前方に繰出されるワイヤ(11)を前記ノズル(22)の前端面に沿わせるように順次同一方向に折曲げることにより周回する単位周回ワイヤ(16)を前記ノズル(22)と交差する方向に順次ずらして螺旋状に連続して周回する複数の単位周回ワイヤ(16)からなる螺旋状コイル(12)を得る方法において、
前記挿通孔(22a)に平行であって前記挿通孔(22a)の近傍において交差する第1及び第2平面(22b,22c)を前記ノズル(22)に形成し、
前記第1及び第2平面(22b,22c)にそれぞれ平行であって前記挿通孔(22a)で交差する2枚の仮想平面(M1,M2)により区切られる4つの空間(A,B,C,D)の内前記第1及び第2平面(22b,22c)の交線(N)が存在する空間の範囲に前記ノズル(22)の前端から繰出された前記ワイヤ(11)を折曲げ、
前記ノズル(22)の前端から周回して前記ノズル(22)に戻る前記ワイヤ(11)を前記第1又は第2平面(22b,22c)に当接させた後に滑らすことにより前記単位周回ワイヤ(16)を前記ノズル(22)と交差する方向に順次ずらす
ことを特徴とする螺旋状コイルの製造方法。
【請求項2】
ノズル(22)の前端から前方に突出したワイヤ(11)の折曲げが、前記ワイヤ(11)に側方から接触させた当接移動部材(32)を前記ノズル(22)に交差する方向に移動することにより行われ、
前記当接移動部材(32)の移動方向を変更することにより又は挿通孔(22a)を中心として前記ノズル(22)を回転することにより複数の単位周回ワイヤ(16)間のピッチ(P)を変更させる請求項1記載の螺旋状コイルの製造方法。
【請求項3】
前記ワイヤ(11)の折曲げ方向を第1及び第2平面(22b,22c)の交線(N)に近づけて複数の単位周回ワイヤ(16)間のピッチ(P)を拡大させる請求項2記載の螺旋状コイルの製造方法。
【請求項4】
供給源(17)から延びるワイヤ(11)が挿通可能な挿通孔(22a)が軸方向に伸びて形成されたノズル(22)と、
前記ノズル(22)の後端側に設けられ前記ワイヤ(11)を前記ノズル(22)に供給して前記ノズル(22)の前端から前記ワイヤ(11)を繰出すワイヤ送り装置(23)と、
前記ノズル(22)の前端から前方に突出した前記ワイヤ(11)を前記ノズル(22)の前端面に沿わせるように折曲げるワイヤ加工手段(30)と
を備えた螺旋状コイルの製造装置であって、
前記挿通孔(22a)に平行であって前記挿通孔(22a)の近傍において交差する第1及び第2平面(22b,22c)が前記ノズル(22)に形成され、
前記ワイヤ加工手段(30)が、部材移動機構(31)により移動し、前記ノズル(22)の前端から前方に突出した前記ワイヤ(11)に側方から接触しかつ前記ノズル(22)に交差する方向に移動して前記ワイヤ(11)を前記ノズル(22)の前端面に沿わせるように折曲げる当接移動部材(32)を有し、
前記ワイヤ(11)の折曲げ時に前記ワイヤ(11)を収容して折曲げ方向に案内する凹溝(32a)が前記当接移動部材(32)に形成された
ことを特徴とする螺旋状コイルの製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−38871(P2012−38871A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176860(P2010−176860)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】