説明

血圧降下剤組成物

【課題】高血圧患者に対して効果的で、副作用の無い、長期間服用に適した安全な血圧降下剤組成物、それら組成物を含んでなる健康食品、健康補助食品等の食品類、あるいはそれらを含んでなる飲料の提供。これら血圧降下剤組成物と、他の血圧降下のための医療用医薬品又は一般用医薬品とを組み合わせてなる医薬、あるいは他の血圧降下用健康食品等とを組み合わせてなる血圧降下剤組成物の提供。更には、γ−アミノ酪酸及びテアニンの薬理作用を増強する方法の提供。
【解決手段】 γ−アミノ酪酸及びテアニンを重量比で5.5:4.5乃至3:7の範囲で含有してなる血圧降下剤組成物。それら血圧降下剤組成物と他の血圧降下剤との組合せからなる医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低毒性で、優れた降圧作用を有し、高血圧の予防や治療に有効に使用し得るテアニンとγ−アミノ酪酸を特定割合で配合してなる高血圧の治療及び予防に有用な血圧降下剤組成物、それら組成物を含んでなる健康食品、健康補助食品等の食品類、あるいはそれらを含んでなる飲料に関する。また、本発明は、これら血圧降下剤組成物と、他の血圧降下のための医療用医薬品又は一般用医薬品とを組み合わせてなる医薬、あるいは他の血圧降下用健康食品等とを組み合わせてなる血圧降下剤組成物に関し、更には、テアニンを配合することを特徴とするγ−アミノ酪酸の薬理作用増強方法、γ−アミノ酪酸を配合することを特徴とするテアニンの薬理作用増強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1.高血圧症とは;
高血圧とは、病的に高い動脈内圧が持続することにより、心臓血管系に高血圧性の臓器障害を起こす疾患である。
我が国には高血圧患者が2000万人から3000万人いるといわれている。また、高血圧症の病因には未だ不明な部分が多く、高血圧の90%は、原因が不明な本態性高血圧である。
従来、血圧降下の予防及び治療方法としては、一般療法と薬物療法が用いられている。
一般療法は減量、節酒、好気的運動等の運動療法、減塩等の食事療法を行うことにより治療する方法であって、本態性高血圧症の治療の基本である。一般療法は、薬物を使用しないため、副作用の懸念あるいは経済的負担という点では利点があるものの、個人の意欲と周囲の協力態勢に依存し、必ずしも一定の高血圧改善効果を得られない等の問題点がある。
【0003】
一方、薬物療法は、食事療法や運動療法の効果が不充分な場合等、一般療法で血圧が正常化しない場合や、症状が重い高血圧に対し用いる療法であり、確実な降圧が期待できる。
薬物療法において使用される薬物は、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬、交感神経抑制薬等多岐にわたる。しかしこれらの血圧降下剤として用いられる薬物は、長期的な服用を必要とするため、一般的に消化器症状、起立性低血圧、代謝機能の変化等の副作用を伴う。また、一度服薬を開始した場合には継続する必要があり、患者の判断によって途中で服薬を中止したり量を変えたりすることができない為、経済的及び精神的な負担も多くなる。
その為、副作用の恐れがなく、経済的精神的負担も軽く、安全でかつ効果的な療法が望まれてきた。
【0004】
2.テアニンとγ−アミノ酪酸;
そこで、上記課題を解決するために注目したものが、血圧降下剤による薬物療法と一般療法の中間に位置するともいえる食品による治療又は予防方法である。このような食品は、健康食品、機能性食品、健康補助食品と呼ばれることもある。
血圧降下作用を有する食品成分の1例としては、テアニンやγ−アミノ酪酸が知られている。
これらテアニンやγ−アミノ酪酸は、いずれも茶葉等をはじめとする各種植物中、あるいは動物の体内中にその存在が認められている。また、これら成分が、血圧降下作用等の様々な有益な薬理作用を有することも知られている。
【0005】
3.テアニン;
テアニンは、別名グルタミン酸エチルアミドともいい、アミノ酸の一種でうま味の成分である。茶葉中にあっては、グルタミン酸から合成され、茶葉中100gあたり0.6〜2g、煎汁180ml中に約25mg含まれていることが知られている。このように、テアニンは煎茶(緑茶)の主要アミノ酸として長年の食経験があり、食品添加物公定書にも記載されている安全性の高いアミノ酸である。その代表的な作用は、精神リラックス(抗ストレス作用)、抗癌剤の作用増強、アルツハイマー病の予防等であり、ラットを用いた経口投与試験によって、記憶学習能力との関連が示唆されるドーパミンが顕著に増加し、投与量にしたがって最大血圧、最小血圧、平均血圧ともに低下傾向を示し、副交感神経の活動が高まることが確認されている。
その他、テアニンには自律神経失調症、月経前症候群、不眠症にも有効である旨の報告もなされている。
また、特開平5−229938号公報は、茶葉を水、熱水又はエタノールで抽出し、或いは化学合成、微生物発酵、又は植物組織培養等し、或いはその他の方法によって製造したテアニン乃至テアニン含有物を含有させてなる血圧降下剤について報告している。(特許文献1)。
しかし、テアニンの血圧降下作用を立証した同特許文献の方法では、テアニン1500mg/Kg以上の投与量を必要としており、製剤化やコストの面からしてその実用化は容易なことではない。
【0006】
4.γ−アミノ酪酸;
一方、γ−アミノ酪酸(GABA)は、生体内、特に哺乳類の脳や脊髄に広く存在する神経伝達物質として作用する非蛋白構成アミノ酸として知られており、グルタミン酸脱炭酸酵素によってグルタミン酸から生合成される。
γ−アミノ酪酸の生理効果については、脳の血流を活発にさせ、酸素供給量を増大させて脳の代謝機能を亢進するほか、中枢及び末梢の血管運動中枢に作用して血圧を降下させ、抗利尿ホルモンであるバソプレッシンの分泌を抑制して血管を拡張して血圧を下げ、TCAサイクルの導入部に必要なヘキソキナーゼ活性を高め、糖代謝を促進させることに関与することなどが報告されており、脳代謝賦活を目的に医薬品としても利用されている。(例えば、非特許文献1参照)。
γ−アミノ酪酸に血圧降下作用があることや高血圧症において血圧調節に有効であることは既に動物実験結果から広く知られている。このγ−アミノ酪酸の血圧降下作用には一定の制限があり、必要量以上を投与しても正常血圧以下になることはないことから、安全性の点でも非常に優れた機能性成分と考えられる。従って、γ−アミノ酪酸は血圧降下作用と言うよりも、血圧上昇抑制作用と呼ぶべき生理機能を有するアミノ酸であるといえる。
γ−アミノ酪酸は、この他、脳細胞の代謝機能の促進、脂質代謝の促進、糖尿病などの予防、睡眠障害、自律神経の失調、うつ、更年期の抑うつや初老期の不眠といった症状の改善効果についても報告されている。また、γ−アミノ酪酸は、動物界のほか植物界にも豊富に存在し、例えば、茶葉中100gあたり0.1g〜0.2g含まれている。その他、きのこ類、果実類、漬物、玄米など多くの食品に含まれており、食品用途としても使用されている。例えば、コメ胚芽を嫌気処理してγ−アミノ酪酸含量を高めたγ−アミノ酪酸富化コメ胚芽や、茶葉を嫌気処理してγ−アミノ酪酸量を高めたギャバロン茶が知られている。通常、茶100g中に0.15g以上のγ−アミノ酪酸を含んでいる茶飲料をギャバロン茶と名付けている。
γ−アミノ酪酸については、概ね上記のとおりであるが、その他にも下記のとおり、様々な報告がなされている。
例えば、特開2002−241305号公報は、γ−アミノ酪酸及びアンジオテンシン阻害物質を有効成分とする高血圧症予防・治療剤について報告している。(特許文献2参照)。
特開2001−213773号公報は、ハラタケ科 Agaricus属担子菌の生産するγ−アミノ酪酸を主成分としてなることを特徴とする高血圧および糖尿病改善剤について報告している。(特許文献3参照)。
ところで、経口投与によるγ−アミノ酪酸の血圧降下作用には一定量以上の摂取が必要とされており、そのために、高濃度でγ−アミノ酪酸を含む食品の研究・開発や、あるいはγ−アミノ酪酸の効率的な製造方法の研究が行われており、それに関して下記のような報告がなされている。
即ち、特開2000−201651号公報は、γ−アミノ酪酸の血圧上昇抑制作用を幅広い食品に応用するための、大量のγ−アミノ酪酸を高濃度、安全、安価、簡便に製造する方法について以下のように報告している。(特許文献4参照)。
米胚芽,胚芽を含む米糠若しくは胚芽米の少なくとも1種に、グルタミン酸若しくはグルタミン酸の塩を含む溶液を添加して反応させ、該添加溶液中のグルタミン酸と前記米胚芽,胚芽を含む米糠若しくは胚芽米中のグルタミン酸とを、前記米胚芽,胚芽を含む米糠若しくは胚芽米中のグルタミン酸脱炭酸酵素の酵素作用によりγ−アミノ酪酸とする方法。
特開2001−213773号公報は、ハラタケ科 Agaricus属担子菌の生産するγ−アミノ酪酸を主成分としてなることを特徴とする高血圧および糖尿病改善剤とその製造方法について報告している。(特許文献3参照)。
特開2005−124500号公報は、茶抽出物に含まれるテアニンにグルタミナーゼを作用させてグルタミン酸を生成することを特徴とするグルタミン酸含有食品素材の製造方法について報告している。(特許文献5参照)。
特開平10−215812号公報は、果実、好ましくは柑橘系果実、更に好ましくは柑橘系果実の中果皮及び/又はじょうのう膜から極性溶媒を用いてγ−アミノ酪酸を分離、回収すること、を特徴とする高濃度γ−アミノ酪酸含有食品素材を製造する方法について報告している。(特許文献6参照)。
特開平11−127781号公報は、茶葉を嫌気処理したのち好気処理する操作を交互に繰り返した後、嫌気処理を行うことを特徴とするγ−アミノ酪酸含量の高い茶の製造法について報告している。(特許文献7参照)。
特開平7−213252号公報は、米胚芽,胚芽を含む米糠,胚芽米,小麦胚芽及び小麦胚芽を含む麸の中の少なくとも1種をpH2.5〜7.5かつ50℃以下の条件で水に浸漬して得たγ−アミノ酪酸を富化した食品素材について報告している。(特許文献8参照)。
ところで、一般的に、高血圧治療における薬物療法、特に医療用医薬品を用いた薬物療法は、長期服用が必要であり、そのため何らかの副作用の恐れが否定しきれなかった。また、食品による治療・予防においても、テアニン等を用いた場合には、1日当たり20gから30gの投与が必要であるとも言われており、投薬量や製剤化、コストの観点からして問題があり、また、γ−アミノ酪酸も味覚上の問題が残り、実用化するためには多くの解決すべき課題が残っている。
また、高血圧者の大多数を占める本態性高血圧症においては、原因が様々であるから、これら薬物療法あるいはγ−アミノ酪酸等の単独投与では、その効果には個人差が生じてしまう可能性もあった。このため、幅広い層に対して高血圧の予防・治療効果が高く、副作用がなく、長期間の服用に適した薬剤が求められている。
【特許文献1】特開平5−229938号公報
【特許文献2】特開2002−241305号公報
【特許文献3】特開2001−213773号公報
【特許文献4】特開2000−201651号公報
【特許文献5】特開2005−124500号公報
【特許文献6】特開平10−215812号公報
【特許文献7】特開平11−127781号公報
【特許文献8】特開平7−213252号公報
【非特許文献1】新編脳代謝賦活剤、大友英一編、医薬ジャーナル社(1987)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、我が国に2000万人から3000万人いるといわれている高血圧患者、特に、その90%を占めるといわれている本態性高血圧患者に対して効果的で、副作用の無い、長期間服用に適した安全な血圧降下剤組成物、それら組成物を含んでなる健康食品、健康補助食品等の食品類、あるいはそれらを含んでなる飲料を提供することである。また、本発明は、これら血圧降下剤組成物と、他の血圧降下のための医療用医薬品又は一般用医薬品とを組み合わせてなる医薬、あるいは他の血圧降下用健康食品等とを組み合わせてなる血圧降下剤組成物を提供することであり、更には、γ−アミノ酪酸及びテアニンの薬理作用を増強する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに到った。より詳しくは、本発明者らは、上記のように、それぞれ単独で血圧降下作用が認められているテアニンおよびγ−アミノ酪酸を特定の比率で併用乃至配合することにより、テアニンはγ−アミノ酪酸の薬理活性を増強し、またγ−アミノ酪酸はテアニンの薬理活性を増強して、それぞれを単独で投与した場合よりも遥かに優れた相乗的な血圧降下作用が得られ、より少量でより高い効果を得られることを見出して本発明を完成するに到った。
即ち、本発明はテアニンおよびγ−アミノ酪酸を特定の比率で併用乃至配合することを特徴とするものであり、具体的には以下のとおりである。
【0009】
1.γ−アミノ酪酸とテアニンを含み、γ−アミノ酪酸とテアニンの重量比が5.5:4.5乃至3:7であることを特徴とする血圧降下剤組成物。
2.重量比が5:5乃至4:6である請求項1に記載の血圧降下剤組成物。
3.組成物が飲料組成物である上記1又は上記2に記載の血圧降下剤組成物。
4.組成物が食品組成物である上記1又は上記2に記載の血圧降下剤組成物。
5.更に他の血圧降下用機能性食品又は健康補助食品を含んでなる上記1乃至4のいずれかに記載の血圧降下剤組成物。
6.上記1乃至4のいずれかに記載の血圧降下剤組成物と他の血圧降下剤との組合せからなる医薬。
7.他の血圧降下剤が、利尿薬、交感神経抑制薬、カルシウム拮抗薬、血管拡張薬、ACE阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬である上記6に記載の医薬。
8.γ−アミノ酪酸とテアニンの重量比が5.5:4.5乃至3:7となるようにテアニンを配合することを特徴とするγ−アミノ酪酸の薬理作用増強方法。
9.重量比が5:5乃至4:6である上記8に記載のγ−アミノ酪酸の薬理作用増強方法。
10.薬理作用が血圧降下作用である上記8又は上記9に記載のγ−アミノ酪酸の薬理作用増強方法。
11.テアニンとγ−アミノ酪酸の重量比が3.5:6.5乃至8:2となるようにγ−アミノ酪酸を配合することを特徴とするテアニンの薬理作用増強方法。
12.重量比が4:6乃至7.4:2.6である上記11に記載のテアニンの薬理作用増強方法。
13.薬理作用が血圧降下作用である上記11又は上記12に記載のテアニンの薬理作用増強方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定の配合比でテアニンとγ−アミノ酪酸を併用するので、それらを単独で使用する場合に比べて、より少量の配合量で、単独使用の場合に比べてそれと同等以上の効果を発揮できるので、下記のごとき効果が期待できる。
(1)従来のγ−アミノ酪酸を単独成分として含む製剤乃至組成物、あるいはギャバロン茶等に比較して、より少量の投与・服用で圧倒的に優れた血圧降下作用を実現できる。
(2)従来のテアニン単独製剤乃至組成物では、十分な血圧降下作用を実現するための投与量が現実的ではなく、実用化が難しかったが、本発明によればγ−アミノ酪酸と組み合わせることによってこれが可能となった。
(3)γ−アミノ酪酸単独製剤乃至組成物又はテアニン単独製剤乃至組成物に比べて、より少ない原体で、より効果的な血圧降下作用が具現できる。
(4)γ−アミノ酪酸単独製剤乃至組成物に比べて、テアニンの有する固有の作用効果、例えば、精神リラックス、抗癌剤の作用増強、アルツハイマー病予防、記憶学習能力の向上、自律神経失調症、月経前症候群、不眠症に対する効果が期待できる。また、テアニンを有効成分の1つとすることによって、自然発症高血圧に対しては血圧を効果的に下げ得るが、正常血圧は下げない効果が期待できる。
(5)テアニン単独製剤乃至組成物に比べて、γ−アミノ酪酸の有する固有の作用効果、例えば、脳細胞の代謝機能の促進、脂質代謝の促進、糖尿病などの予防、睡眠障害、自律神経の失調、うつ、更年期の抑うつや初老期の不眠といった症状の改善効果も期待することができる。
(6)テアニンを特定割合で配合することによって、γ−アミノ酪酸の薬理作用、特に血圧降下作用を増強することができる。
(7)γ−アミノ酪酸を特定割合で配合することによって、テアニンの薬理作用、特に血圧降下作用を増強することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の態様について説明する。
本明細書において使用する用語の意味は以下のとおりである。
【0012】
「テアニン」とは、天然物由来あるいは人口合成品のいずれであってもよく、例えば、化学合成、微生物発酵、又は植物組織培養等、或いはその他の方法によって製造された粗テアニンあるいは精製テアニンを意味する。最適には、茶葉を水、熱水又はエタノールで抽出して得られるテアニンである。ピログルタミン酸に、アルカリ条件下でサイクロデキストリンを添加してエチルアミン塩酸塩溶液を反応させて人工的に合成されたテアニン(例えば、特許第2792645号公報参照)であってもよい。また、所望量のテアニンを含む飲食品であってもよい。
【0013】
「γ−アミノ酪酸」とは、その製造方法・由来には特に制限されず、化学合成やγ−アミノ酪酸を含む天然物等からの抽出、精製、あるいは酵素法などいずれの方法で得られたものであっても使用することができる。例えば、酵素法としては、グルタミン酸をグルタミン酸デカルボキシラーゼ処理してγ−アミノ酪酸を調製する方法が挙げられる。酵素法によりγ−アミノ酪酸を調製する場合には、出発原料としてグルタミン酸を含む食品原料、例えば、乳、畜肉、野菜等や、グルタミン酸を添加した食品原料などを用いてもよく、また、該酵素処理は、酵母、クロレラ、乳酸菌等の微生物発酵法を用いて行ってもよい。その他、上記特開平11−127781号公報、特開2000−201651号公報等に記載された製造方法によって製造されたγ−アミノ酪酸であってもよい。また、特開平7−213252号公報に記載されるようなγ−アミノ酪酸を富化した食品素材であっても、あるいはγ−アミノ酪酸を高含量で含む天然物であっても、結果的に最終製品中のγ−アミノ酪酸とテアニン比が本発明の比率の範囲に納まればよい。
γ−アミノ酪酸を含む天然物乃至食品としては、例えば、米胚芽、茶葉、カボチャ、キノコ類等が挙げられ、これらを熱水、水・アルコール等により抽出した抽出物としてγ−アミノ酪酸を用いることも可能である。
得られたγ−アミノ酪酸あるいはγ−アミノ酪酸を含む組成物は、これらをそのまま用いてもよく、常法により適宜濃縮、精製等の加工手段を施して用いることもできる。
【0014】
「テアニンとγ−アミノ酪酸の重量比」については、以下のとおりである。
本発明の特徴は、テアニン及びγ−アミノ酪酸を特定の割合で併用・配合することにより、テアニンやγ−アミノ酪酸が本来的に有する薬理作用、例えば血圧降下作用が相乗的に増強した点にある。
上記のような相乗的な効果を発揮するための効果的な配合比は、後述の図1から明らかなとおり、(γ−アミノ酪酸:テアニン)の重量比で(5.5:4.5)〜(3:7)、好ましくは、(5:5)〜(4:6)である。この範囲、この比率において、テアニンおよびγ−アミノ酪酸の併用による相乗効果を得ることが可能となる。
また、同じく図1から明らかなとおり、γ−アミノ酪酸とテアニンの重量比が5.5:4.5乃至3:7、好ましくは5:5乃至4:6となるようにテアニンを配合することによって、γ−アミノ酪酸本来の薬理作用を相乗的に増強することができる。
テアニンの配合量が4.5重量以下、または7以上では、γ−アミノ酪酸単品の場合と同様であるか、あるいはかえってその効果を弱体化してしまう。
また、同じく図1から明らかなとおり、テアニンとγ−アミノ酪酸の重量比が3.5:6.5乃至8:2、好ましくは4:6乃至7.4:2.6となるようにγ−アミノ酪酸を配合することによって、テアニン本来の薬理作用を増強することができる。γ−アミノ酪酸の配合量が2以下、または6.5以上では、十分な相乗効果が見られない。
なお、ここで相乗効果とは、その血圧減少AUC値が、それぞれの単独投与による血圧減少AUC値の下方にあることを意味する。
ところで、γ−アミノ酪酸の摂取量に関しては、γ−アミノ酪酸単独で明確な血圧降下作用を得るためには平均大人1日あたり約10mg乃至4000mgを服用する必要があると言われている。飲食等からのγ−アミノ酪酸等の摂取を考慮すれば、医薬品や加工食品によって摂取すべき最低必要量(服用量、摂取量)は10mg/日/人で十分であり、逆に、吸収されることなく体外へ排出される可能性を考慮するならその最高必要量(服用量、摂取量)は50mg/日/人である。故に、血圧降下剤製剤としてのγ−アミノ酪酸の1日あたりの投与量(服用量、摂取量)は、10mg乃至50mg/日/人、好適には10mg乃至30mg/日/人であるといえる。
ところで、後述の図1から明らかなとおり、本発明組成物乃至医薬10mg中にテアニンを4.5mg乃至7mg、好ましくは5mg乃至6mg、γ−アミノ酪酸を5.5mg乃至3mg、好ましくは5mg乃至4mg配合することによって、γ−アミノ酪酸10mgに相当する以上の血圧降下作用を達成し得る。
このように、本発明組成物乃至医薬は、従来のγ−アミノ酪酸単独投与量(服用量、摂取量)に比べてその3/10乃至5.5/10の量、好ましくは4/10乃至5/10の量で、それに同等あるいはそれ以上の作用効果をもたらすことができる。
したがって、1日あたりのγ−アミノ酪酸の単独投与量(服用量、摂取量)を、10mg乃至50mg/日/人とするなら、本発明の組成物乃至医薬におけるγ−アミノ酪酸量はその3/10乃至5.5/10の量、好ましくは4/10乃至5/10量で十分である故、本発明の組成物乃至医薬におけるγ−アミノ酪酸の1日あたりの投与量(服用量、摂取量)は3mg(10mg/日/人とした場合の最低量。この場合テアニンは7mg)乃至27.5mg(50mg/日/人とした場合の最高量。この場合テアニンは22.5mg)、好適には4mg(テアニンは6mg)乃至25mg(テアニンは25mg)である。
また、1日あたりのγ−アミノ酪酸の単独投与量(服用量、摂取量)を、10mg乃至30mg/日/人とするなら、本発明の組成物乃至医薬におけるγ−アミノ酪酸量はその3/10乃至5.5/10の量、好ましくは4/10乃至5/10量で十分である故、発明の組成物乃至医薬におけるγ−アミノ酪酸の1日あたりの投与量(服用量、摂取量)は3mg(10mg/日/人とした場合の最低量。この場合テアニンは7mg)乃至16.5mg(30mg/日/人とした場合の最高量。この場合テアニンは13.5mg)、好適には4mg乃至15mgである。
このように、本発明によれば、組成物中のγ−アミノ酪酸の含量は、単独投与の場合よりも少量で十分な作用効果を奏することが可能である。γ−アミノ酪酸は単独での精製が容易でないこと、また必ずしも呈味性が良くないという欠点があるから、投与量の低減は実用化に極めて有益なことである。
本発明組成物を構成する両成分とも食品としてその安全性が確認されていることから、また過剰摂取した場合にも何ら問題のないことから特に投与量(服用量、摂取量)の上限はないものの、好ましくはγ−アミノ酪酸とテアニン総量で、大人1人当たり、1日10mg乃至50mg、好適には10mg乃至30mgである。
【0015】
「血圧降下剤組成物」とは、各種高血圧症に対する血圧の降下作用をもたらす組成物を意味するものであって、特に限定されるものではなく、また、治療目的とするものだけでなく、予防目的とするものも含むものである。また、ここで高血圧症とは、特に限定されるものではないが、本態性高血圧、ストレスに起因する高血圧、緊張に起因する高血圧等を意味し、特に効果が期待されるのは本態性高血圧である。
また、「組成物」とは混ぜ物を意味するものであって、その形態は固体状であっても液体状であってもよい。形態的には、飲料や食品に添加するための配合用原体としての固体組成物(粉末、錠剤等)、これら固体組成物を飲料用原液に加えてなる飲料等の液体組成物、あるいはこれら固体組成物をガムや飴等の食品に加えてなるガムや飴等の固形組成物として存在し得る。用途面から見た場合、該組成物は、医薬組成物;医薬部外品組成物;薬理効果を備えたいわゆる健康食品、健康補助食品、栄養機能食品、特定保健用食品、機能性食品等の食品組成物;飲料や食品に添加するための配合用組成物(食品添加物);該配合用組成物を添加して飲料とした飲料組成物等に区分することができる。;なお、前記食品組成物は前記配合用組成物を添加してなるヨーグルト、発酵乳等の所謂食品であってもよい。
医薬組成物、医薬部外品組成物、薬理効果を備えたいわゆる健康食品、健康補助食品等の食品組成物とする場合は、結合剤等の配合剤を適宜加えることによって、定法に従って、タブレット、カプセル、顆粒等の形態とすることにより、より一層摂取し易くすることができる。
配合用組成物として使用する場合は、粉末状の原体のままでもよいし、これを定法に従ってタブレット、カプセル、顆粒等の形態に加工して用いてもよい。
【0016】
より詳しくは、本発明の組成物を高血圧症予防・治療のための医薬組成物として用いる場合には、常法に従って薬学的に許容される担体とともに種々の剤型の医薬組成物とすることができる。例えば、経口用固形製剤を調製する場合には、上記組成物に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものを用いればよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、硅酸等を;結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等を;崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等を;滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等を;矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等を例示できる。
【0017】
経口用液体製剤を調製する場合は、本発明の組成物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味剤としては上記に挙げられたもので良く、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0018】
また、本発明の組成物は、健康食品、健康補助食品等の食品組成物あるいは飲料組成物として用いることも可能である。ここで好ましい食品組成物、飲料組成物としては、発酵乳、茶飲料、果汁加工飲料、栄養ドリンク、クッキー、キャンディー、タブレット等が例示することができ、特に種々の生理効果を有し、健康に寄与する食品として長く親しまれてきた発酵乳や茶飲料とするならば、風味がよく降圧効果も高いため好ましい。なお飲食品には動物の飼料も含まれる。
【0019】
これら飲食品組成物の製造方法は常法に従えばよく、上記のテアニン及びγ−アミノ酪酸を含む組成物を添加することにより、あるいはこれら成分を個別に添加することによって調製すればよい。また、製造時に発酵を伴う飲食品等であれば、微生物あるいは微生物の産生する酵素の作用を用いて、γ−アミノ酪酸或いはペプチド等を生成させてもよい。
【0020】
また、飲食品組成物の製造に際しては、その他の食品素材、すなわち各種糖質や乳化剤、増粘剤、甘味料、酸味料、果汁等を適宜添加することができる。具体的には、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロース等の高甘味度甘味料、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビーンガム等の増粘(安定)剤、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料、レモン果汁、オレンジ果汁、ベリー系果汁等の果汁類等が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類やカルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類等を添加することが可能である。
【0021】
「他の血圧降下剤」とは、血圧降下作用を有する医療用医薬品又は一般用医薬品を意味する。医療用医薬品としては、サイアザイド、カリウム保存性利尿薬等の利尿薬;メチルドパ、クロニジン、レセルピン、βブロッカー、αブロッカー等の交感神経抑制薬;ヒドララジン、カルシウム拮抗薬等の血管拡張薬;ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬等を挙げることができる。
【0022】
「他の血圧降下用機能性食品、健康補助食品」とは、血圧を効果させる目的で使用されるサプリメント等の食品を意味し、機能性食品や健康補助食品等の食品類を意味する。食品それ自体も包含される。これら食品類としては、AHCC・アマチャズル・アロエ・βグルカン・ビール酵母・田七人参・
DHA・ドクダミ・EPA・ガジュツ・玄米・ハブ茶・ハチの子・ひじき・ フラボノイド・冬虫夏草・カキの葉・カテキン・ケフィア・ケール・ キトサン・米胚芽・高麗人参・クコ・黒酢・桑の葉・まいたけ・
松葉エキス・免疫ミルク・モロヘイヤ・根コンブ・日本山人参・ プロポリス・霊芝・リコピン・スギナ・ウコン・ヨモギ・大麦若葉エキス・ 羅布麻茶・杜仲茶・リンゴ酢・ノニ・シモン・ルイボス・月見草油・パッションフラワー・フィーバーフユー等を挙げることができる。好適には、これら食品を原料として得られる機能性食品や健康補助食品等である。
【0023】
また、「γ−アミノ酪酸の薬理作用」とは、γ−アミノ酪酸が有する固有の薬理作用、例えば、血圧上昇抑制作用、血圧降下作用、脳細胞の代謝機能の促進作用、脂質代謝の促進作用、糖尿病などの予防、睡眠障害、自律神経の失調、うつ、更年期の抑うつや初老期の不眠といった症状の改善作用を意味し、好適には血圧降下作用を意味する。
【0024】
「テアニンの薬理作用」とは、テアニンが有する固有の薬理作用、例えば、精神リラックス作用(抗ストレス作用)、抗癌剤の作用増強、アルツハイマー病の予防、ドーパミン増加作用、血圧降下作用、副交感神経刺激作用、自律神経失調症改善作用、月経前症候群改善作用、抗不眠症作用を意味し、好適には血圧降下作用を意味する。
【0025】
「増強」とは、γ−アミノ酪酸又はテアニンが単独で有する固有の薬理作用・薬理効果を増強することを意味し、具体的には、より少量の投与量(服用量、摂取量)でγ−アミノ酪酸又はテアニンを単独で使用した場合と同等若しくはそれ以上の効果を発揮することを意味する。
【0026】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
1.単回投与試験
[試験方法] 雄性自然発症高血圧ラットSHR/Hos(株式会社星野試験動物飼育所)(n=5)を9週齢で購入し、恒温恒湿(23±3℃、50±10%)の飼育室で2週間順化検疫した後、試験に供した。テアニン(東京化成工業株式会社社製)及びγ−アミノ酪酸(和光純薬工業株式会社社製)を、下記表1の濃度で蒸留水に溶解し経口投与(500mg/Kg)した。
【0028】
【表1】

【0029】
血圧は非観血式自動血圧測定装置(株式会社ソフトロン製)を用いて、自然発症高血圧ラットの収縮期血圧を測定した。血圧の変化は、被験物質投与前を基準にして、投与24時間後までの血圧変化を測定した。血圧変化は、投与後24時間の降圧反応と投与24時間後までの血圧変化量の時間軸による積分値を、mmHg×hrを単位とするAUC値として算出し、血圧降下作用を比較した。
【0030】
[試験結果]
結果を図1に示した。なお、図1の括弧内に示す値は、テアニン0%(γ−アミノ酪酸100%)のAUCである−225.83mmHg×hrを、以下に記す試験データから算出した数式に代入して算出した。
y=-6E-05x4 + 0.014x3 - 0.9878x2
+ 20.934x - 225.83
テアニン50%とγ−アミノ酪酸50%の比率で混合投与した場合に最も強い血圧降下作用が確認された。テアニン20%とγ−アミノ酪酸80%の比率で混合投与した場合には、γ−アミノ酪酸100%投与(テアニンの比率が0%)とほぼ同等の血圧降下作用が確認された。テアニン80%とγ−アミノ酪酸20%の比率で混合投与した場合には、γ−アミノ酪酸100%投与とほぼ同等の血圧降下作用が確認された。
一方、被験物質を投与していない自然発症高血圧ラット(Control)では−104mmHg×hrで、テアニン80%とγ−アミノ酪酸20%の比率で混合投与した場合、あるいはテアニン100%投与と同程度であった。
【0031】
以上の結果から、テアニン単独では弱い血圧降下作用しか示さないが、γ−アミノ酪酸を混合することで血圧降下作用が増強されたことが確認された。同時に、特定量のテアニン(45重量%乃至70重量%)を配合することによって、γ−アミノ酪酸単独では達成しえない優れた血圧降下作用が確認された。また、その比率はテアニン:γ−アミノ酪酸=1:1が最も強く、テアニン単独の2.7倍、γ−アミノ酪酸単独の1.3倍の効果であった。続いてテアニン:γ−アミノ酪酸=4:1の比率が強く、γ−アミノ酪酸単独とほぼ同程度であった。一方、テアニン:γ−アミノ酪酸=1:4の比率はテアニン単独あるいはControlとほぼ同程度であった。よって、テアニンとγ−アミノ酪酸との混合による血圧降下に関しては比率が重要であり、その範囲はテアニンの含量が50%を中心として45%〜70%(γ−アミノ酪酸単独投与による血圧降下作用を上回る効果を示している範囲)が適当であると考える。
【実施例2】
【0032】
2.長期摂取試験
[試験方法]
雄性自然発症高血圧ラットSHR/Hos(株式会社星野試験動物飼育所)(n=4あるいは6)を9週齢で購入し、恒温恒湿(23±3℃、50±10%)の飼育室で2週間順化検疫した後、試験に供した。飲料水にテアニン(東京化成工業株式会社社製)及びγ−アミノ酪酸(和光純薬工業株式会社社製)を、それぞれ0.083%溶解して4週間自由摂取させた。
血圧は非観血式自動血圧測定装置(株式会社ソフトロン製)を用いて、自然発症高血圧ラットの収縮期血圧を測定した。テアニンとγ−アミノ酪酸混合飲料摂取群と水を摂取した群(Control)の収縮期血圧を以下の式に従って計算し、比較した。
摂取後の各測定値−摂取前の測定値=変化値(ΔmmHg)
また、飲水量からテアニン及びγ−アミノ酪酸の摂取量を算出した。
【0033】
[試験結果]
図2に示すように、摂取開始1、3、4週間後にControlと比較して血圧上昇抑制効果が確認された。
摂取期間中のテアニン及びγ−アミノ酪酸の1日平均摂取量は46.43mg以上であった。
以上の結果から、テアニンとγ−アミノ酪酸をそれぞれ46.43mg以上混合した飲料水を4週間摂取した場合に、血圧上昇抑制が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、安全性の確認されているテアニン又はテアニン含有物及びγ−アミノ酪酸又はγ−アミノ酪酸含有物を有効成分とするため、副作用の心配はなく、長期に亘って服用可能であり、高血圧の改善が期待できる血圧降下剤組成物を提供することができる。また、γ−アミノ酪酸及びテアニンをそれぞれ単独使用した場合、γ−アミノ酪酸は固有の味覚上の問題を有し、テアニンは大量投与が必要であって製剤上、コスト上の問題があったが、本発明によれば、それぞれの用量を低減できるので、これら問題は解消される。したがって、本発明の組成物は副作用が無く、安全であり、長期間服用に適した血圧降下剤組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】単回投与試験において、テアニンおよびγ−アミノ酪酸の混合比率と血圧降下作用との関係を示すグラフである。(実施例1)
【図2】長期投与試験における本発明品の血圧降下作用を示すグラフである。(実施例2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ−アミノ酪酸とテアニンを含み、γ−アミノ酪酸とテアニンの重量比が5.5:4.5乃至3:7であることを特徴とする血圧降下剤組成物。
【請求項2】
重量比が5:5乃至4:6である請求項1に記載の血圧降下剤組成物。
【請求項3】
組成物が飲料組成物である請求項1又は請求項2に記載の血圧降下剤組成物。
【請求項4】
組成物が食品組成物である請求項1又は請求項2に記載の血圧降下剤組成物。
【請求項5】
更に他の血圧降下用機能性食品又は健康補助食品を含んでなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の血圧降下剤組成物。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の血圧降下剤組成物と他の血圧降下剤との組合せからなる医薬。
【請求項7】
他の血圧降下剤が、利尿薬、交感神経抑制薬、カルシウム拮抗薬、血管拡張薬、ACE阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬である請求項6に記載の医薬。
【請求項8】
γ−アミノ酪酸とテアニンの重量比が5.5:4.5乃至3:7となるようにテアニンを配合することを特徴とするγ−アミノ酪酸の薬理作用増強方法。
【請求項9】
重量比が5:5乃至4:6である請求項8に記載のγ−アミノ酪酸の薬理作用増強方法。
【請求項10】
薬理作用が血圧降下作用である請求項8又は請求項9に記載のγ−アミノ酪酸の薬理作用増強方法。
【請求項11】
テアニンとγ−アミノ酪酸の重量比が3.5:6.5乃至8:2となるようにγ−アミノ酪酸を配合することを特徴とするテアニンの薬理作用増強方法。
【請求項12】
重量比が4:6乃至7.4:2.6である請求項11に記載のテアニンの薬理作用増強方法。
【請求項13】
薬理作用が血圧降下作用である請求項11又は請求項12に記載のテアニンの薬理作用増強方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−8866(P2007−8866A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191961(P2005−191961)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】