説明

血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を誘導する組成物及びその製造方法

塩化カルシウム溶液と第1型コラーゲンで血小板豊富血漿を活性化して組織再生を誘導す
る組成物及びその製造方法に関する。
【構成】
全血から血小板豊富血漿(PRP)を分離するステップ、PRPと塩化カルシウム溶液と
を混合するステップ、次に、上記塩化カルシウム溶液が混合されたPRPを第1型コラー
ゲンと混合するステップを含む。本発明は、骨欠損治療時又は傷治癒等、組織再生が要求
される全ての部位に移植できるPRPゲルを作って、病変部位に移植できるようにしたも
のであり、PRPを活性化させてPRPゲルから組織再生に有用な成長因子を誘導するこ
とで、簡便で、かつ速く組織再生をなすことに効果的である。これによって、PRPを病
変に適用する方法の信頼性を大幅向上させて、患者が満足することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化カルシウム溶液と第1型コラーゲンで血小板豊富血漿(PRP)を活性
化して組織再生を誘導する組成物及びその製造方法に関し、より詳しくは、骨欠損治療時
、又は傷治癒(wound healing)等、組織再生が求められる全ての部位に移植できる血小
板豊富血漿(PRP)ゲル(gel)を作って病変部位に移植できるようにしたものである
。この発明は、結果的に血小板豊富血漿(PRP)を活性化させて血小板豊富血漿(PR
P)ゲル(gel)から組織再生に有用な成長因子(growth factor)を誘導することで、簡
便で、かつ速く組織再生をなすことに効果的であるようにしたものであり、これによって
、血小板豊富血漿(PRP)を病変に適用する方法の信頼性を大幅向上させて、患者が満
足することができるようにした非常に有用な発明である。
【背景技術】
【0002】
周知のように、血小板豊富血漿(PRP)は全血から密度勾配遠心分離を通じて分離し
た自家物質であり、少量の血漿に多量の血小板が濃縮されており、白血球が高濃度で含ま
れた非活性物質である。
【0003】
血管内の非活性化された血小板は、丸い形態を維持しながら血管内を循環するが、約1
0日位のライフタイム(life time)を有し、血液の中に2〜4×108/mL位存在する
ことが知られている。
【0004】
血小板豊富血漿(PRP)の内の血小板は、血管内に含まれている物質を通じて活性化
されて、成長因子(growth factor)と多様な活性物質(active substance)を排出する
ようになるが、活性化させる物質には、コラーゲン、トロンビン、アデノシン二リン酸(
adenosine diphosphate:ADP)とエピネフリン(epinephrine)がある。特に、コラー
ゲンとトロンビンは強い作動薬(strong agonist)として知られているが、コラーゲンは
、図1に示すように、特異的なシークエンスが血小板を内皮層に付着させて活性化を誘導
することが知られている。
【0005】
活性因子により血小板が活性化されれば、血小板のアルファ顆粒(alpha granules)の
脱顆粒(degranulation)により成長因子(growth factor)が放出されて初期傷治癒(wo
und healing)に重要な役割をし、この時に、放出される成長因子(growth factor)には
、血小板由来成長因子(platelet derived growth factor:PDGF−AB)、トランス
フォーミング成長因子(transforming growth factor-b1:TGF−b1)、血管内皮成
長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)、 上皮成長因子(epidermal
growth factor:EGF)とインシュリン様成長因子(insulin-like growth factor:I
GF)等がある。また、血小板豊富血漿(PRP)は生体外条件でサイトカインなどを放
出して、繊維芽細胞のDNAを合成し、コラーゲンの生成を増加させて、コラーゲン構造
を組織化するようになる。
【0006】
しかしながら、液状状態の血小板豊富血漿(PRP)の適用の際は、傷内への注入が困
難であり、周辺組織の損失がある。そこで、物理的性質を伴う凝固(clotting)形態のゲ
ル化(gelation)の開発が必要である。このゲル化について、トロンビンを使用する研究
が最近に主に進行した。しかしながら、動物由来蛋白質であるトロンビン(主に、牛由来
)を使用する際に、ループス(lupus)のような免疫反応が観察されたという報告がある
。換言すれば、トロンビンは、抗体と関連して臨床的な問題がある要因であることが知ら
れている。トロンビンは血小板活性体として最も有力な成分である。しかしながら、トロ
ンビンを用いるときは、トロンビン、プロトロンビン、V因子(factor V)、カルジオリ
ピン(cardiolipin)に対する抗体が要求される。また、動物研究を通じて手術後の出血
や、自己免疫性症候群等の臨床の問題点があることが分かった。このような問題点はまれ
にしか起きないとは言え、開発するに当たって看過できない問題点である。トロンビンの
使用は損傷した傷の広がりやゲルの異常な強度などを引き起こすかもしれない。
【0007】
また、トロンビン−活性化ゲルは収縮力が高いので、傷空間を詰める施術時には難しさ
がある。ここに、トロンビンの代替物質の重要性が要求される。
【0008】
コラーゲンは硬い繊維状蛋白質(rigid fibrous protein)で、哺乳類結合組織の主要
蛋白質構成成分であり、全体蛋白質の30%以上を占める。コラーゲンは、組織における
形態、強度及び柔軟性(shape、strength and flexibility)を提供し、組織スキャフォ
ールド(tissue scaffolding)、細胞付着、細胞移動、血管生成、組織形態形成と組織回復
(tissue repair)などの多様な機能をする。コラーゲンは、血小板の強い作動薬(stron
g agonist)で、血小板を活性化させ、血小板を凝集(platelet aggregation)させ、線
維型コラーゲン(fibrillar collagen)は、可溶性コラーゲン(soluble collagen)より
強力に血小板の凝集(platelet aggregation)を誘導し、血小板付着(platelet adhesio
n)を維持(supporting)するようにする。このような差異点の原因が明らかになっては
いないが、線維型コラーゲン(fibrillar collagen)が活性化された血小板の作用を増加
させる分子と結合する可能性があると推測される。
【0009】
第1型コラーゲンは、哺乳類の結合組織で最も多い量を占めて、再生医学と組織工学分
野で天然足場(scaffold)として最も多い研究が進行しているコラーゲンであって、第1
型コラーゲンのこのような長所はトロンビンを代えて血小板を活性化させ、形態を維持す
る役割をするようになる。
【0010】
しかしながら、従来は塩化カルシウム溶液と上記第1型コラーゲンで血小板豊富血漿(
PRP:Platelet rich plasma)を活性化して組織再生を誘導する組成物がなかったので
、多くの問題点を内包していたが、他の代案がないので、動物由来蛋白質であるトロンビ
ン(主に、牛由来)のみを使用していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の諸問題点を解消するために案出したものであって、
血小板豊富血漿(PRP)を動物由来蛋白質であるトロンビン(主に、牛由来)と使用す
ることにより生じる免疫反応及び臨床的な問題点を改善するために第1型コラーゲンを使
用しようとすることを第1目的としたものである。
【0012】
第2目的は、骨欠損治療時又は傷治癒(wound healing)などのために全血を少量採取
した後、血小板豊富血漿(PRP)を分離して第1型コラーゲンと混合して注入すること
によって、自家物質である血小板豊富血漿(PRP)と免疫反応がほとんどないアテロコ
ラーゲンを使用することによって臨床的に拒否反応が無いようにしたものである。

【0013】
第3目的は、施術場所で簡便で、かつ速く血小板豊富血漿(PRP)を分離して塩化カ
ルシウム溶液と第1型コラーゲンと混合して注入することで、急病患者や反復された再手
術患者に効果的な組織再生をなすようにしたものである。
【0014】
第4目的は、本発明により採取された血小板豊富血漿(PRP)を塩化カルシウム溶液
と第1型コラーゲンと混合して組織再生を目的とする部位に適用すれば、第1型コラーゲ
ンが血小板豊富血漿(PRP)を活性化させて血小板豊富血漿(PRP)ゲル(gel)か
ら組織再生に有用な成長因子(growth factor)を誘導することで、簡便で、かつ速く組
織再生をなすことに効果的であるようにしたものである。
【0015】
特に第5目的は、第1型コラーゲンを作動薬にして血小板豊富血漿(PRP)と凝固(
clotting)した時に、トロンビンを作動薬にして血小板豊富血漿(PRP)と凝固(clot
ting)した時より成長因子(growth factor)によって類似な、又はより多い量の成長因
子を放出することによって、より効果的な組織再生を誘導するようにしたものである。
【0016】
また、第6目的は、本発明により分離された血小板豊富血漿(PRP)を塩化カルシウ
ム溶液と第1型コラーゲンと混合して骨欠損治療時、又は傷治癒(wound healing)が要
求される全ての部位に注入することで、効果的な組織再生を可能にしたものである。
最後に本願発明の第7目的は、結果的に血小板豊富血漿(PRP)を病変に適用する方
法の信頼性を大幅に向上させて、患者が満足することができるようにした血小板豊富血漿
(PRP)を活性化して組織再生を誘導する組成物及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的の達成のために、本発明は全血から血小板豊富血漿(PRP)を分離す
るステップ、上記血小板豊富血漿(PRP)と塩化カルシウム溶液とを混合するステップ
、次に、上記塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)を第1型コラー
ゲンと混合するステップが含まれることを特徴とする、血小板豊富血漿(PRP)を活性
化して組織再生を誘導する組成物の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、上記した製造方法により製造された血小板豊富血漿(PRP)を活性
化して組織再生を誘導する組成物を提供する。
【発明の効果】
【0019】
前述したように、本発明は、血小板豊富血漿(PRP)を動物由来蛋白質であるトロン
ビン(主に、牛由来)と使用することにより生じる免疫反応及び臨床的な問題点を改善す
るために第1型コラーゲンを使用したものである。
【0020】
上記した本発明の技術的構成は、骨欠損治療時又は傷治癒(wound healing)などのた
めに全血を少量採取した後、血小板豊富血漿(PRP)を分離して第1型コラーゲンと混
合して注入することによって、自家物質である血小板豊富血漿(PRP)と免疫反応が殆
どないアテロコラーゲンを使用することで、臨床的に拒否反応のないようにしたものであ
る。
【0021】
そして、本発明は施術場所で簡便で、かつ速く血小板豊富血漿(PRP)を分離して塩
化カルシウム溶液と第1型コラーゲンと混合して注入することで、急病患者や反復された
再手術患者に効果的な組織再生をなすようにしたものである。
【0022】
また、本発明により採取された血小板豊富血漿(PRP)を塩化カルシウム溶液と第1
型コラーゲンと混合して組織再生を目的とする部位に適用すれば、第1型コラーゲンが血
小板豊富血漿(PRP)を活性化させて血小板豊富血漿(PRP)ゲル(gel)から組織
再生に有用な成長因子(growth factor)を誘導することで、簡便で、かつ速く組織再生
をなすことに効果的であるようにしたものである。
【0023】
特に本発明は、第1型コラーゲンを作動薬にして血小板豊富血漿(PRP)と凝固(cl
otting)した時に、トロンビンを作動薬にして血小板豊富血漿(PRP)と凝固(clotti
ng)した時より成長因子(growth factor)によって類似な、又はより多い量の成長因子
(growth factor)を放出することによって、より効果的な組織再生を誘導するようにし
たものである。
【0024】
加えて、本発明により分離された血小板豊富血漿(PRP)を塩化カルシウム溶液と第
1型コラーゲンと混合して骨欠損治療時又は傷治癒(wound healing)が要求される全て
の部位に注入することで、効果的な組織再生を可能にしたものである。
【0025】
最後に、本願発明は結果的に、血小板豊富血漿(PRP)を病変に適用する方法の信頼
性を大幅向上させて、患者が満足することができるようにした非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】血小板が内皮下蛋白質(Subendothelial proteins)と相互作用(interaction)し、順次に吸着と活性化が起こり、凝集(aggregation)が進行するモデルの説明図である。
【図2】全血から分離した血小板豊富血漿(PRP)1mLに、塩化カルシウム溶液と第1型コラーゲンとを混合した図面代用光学写真であって、(a)は塩化カルシウム溶液0.25mg/mLが含まれた図面代用光学写真であり、(b)は塩化カルシウム溶液0.3mg/mLが含まれた図面代用光学写真であり、(c)は塩化カルシウム溶液0.5mg/mLが含まれた図面代用光学写真である。
【図3】従来のトロンビン混合物(A)と本発明の第1型コラーゲン混合物(B)との培養物の図面代用光学写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、このような効果達成のための本発明の好ましい実施形態を添付した図面によって
詳細に説明する。
【0028】
本発明に適用された血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を誘導する組成物
及びその製造方法は、図2、図3に図示されたように構成される。
【0029】
以下、本発明を説明するに当たって、関連した公知機能又は構成に対する具体的な説明
が本発明の要旨を却って曖昧にする惧れがあると判断される場合には、その詳細な説明は
省略する。
【0030】
そして、後述する用語は本発明での機能を考慮して設定された用語であって、これは生
産者の意図又は慣例によって変わることがあるので、本明細書の全般に亘る内容に基づい
て定義されるべきである。
【0031】
まず、本発明は全血から血小板豊富血漿(PRP:Platelet rich plasma)を分離する
ステップ、上記血小板豊富血漿(PRP)と塩化カルシウム溶液とを混合するステップ、
次に、上記塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)を第1型コラーゲ
ンと混合するステップを経て血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を誘導する
組成物を製造するようにする。
【0032】
一方、本発明は上記の構成部を適用するに当たって、多様に変形可能であり、多様な形
態を取ることができる。
【0033】
そして、本発明は上記の詳細な説明で言及する特別な形態に限定されるものでなく、む
しろ添付した請求範囲により定義される本発明の精神と範囲内にある全ての変形物と均等
物及び代替物を含むことと理解されるべきである。
【0034】
上記のように構成された本発明の血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を誘
導する組成物の製造方法の作用効果を説明する。
【0035】
まず、本発明は全血から血小板豊富血漿(PRP:Platelet rich plasma)を分離する
ステップを経る。
【0036】
この際、上記全血から血小板豊富血漿(PRP)を分離するステップは、動物又は患者
から10mlの全血を3.2%クエン酸ナトリウム(Sodium citrate)が含まれた真空試
験管で採取した後、1,750〜1,900Gで、3〜5分間、1次遠心分離するステッ
プを経る。
【0037】
次に、上記遠心分離により軟膜(Buffy coat)を含んだ上層液(血漿層)を収集するス
テップを経る。
【0038】
以後、収集された上記軟膜(Buffy coat)を含んだ上層液(血漿層)をブラントニード
ル(Blunt needle)を用いて新たな真空試験管に移した後、4,500〜5,000Gで
、4〜6分間、2次遠心分離するステップを経る。
【0039】
次に、底層(試験管の底から約1mLに該当)の濃縮された血小板豊富血漿(PRP)
をブラントニードル(Blunt needle)を用いて採取するステップを経る。
【0040】
また、本発明は上記血小板豊富血漿(PRP)と塩化カルシウム溶液とを混合するステ
ップを経る。
【0041】
この際、上記血小板豊富血漿(PRP)と塩化カルシウム溶液とを混合するステップは
、全血から血小板豊富血漿(PRP)を分離する工程を通じて採取された約1mLの血小
板豊富血漿(PRP)を三方活栓等の分岐コネクタを用いて0.30〜0.55mg/m
L濃度の塩化カルシウム溶液と1回混合することを特徴とする。
【0042】
また、本発明は上記塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)を第1
型コラーゲンと混合するステップを経て、血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再
生を誘導する組成物を製造するようにする。
【0043】
この際、上記塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)を第1型コラ
ーゲンと混合するステップは、上記第1型コラーゲンを室温に放置するステップを経る。
【0044】
以後、塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)と不透明性状の20
〜50mg/mL濃度の第1型コラーゲンを分岐コネクタで連結して4回混合するステッ
プを経る。
【0045】
次に、注射器に充填した血小板豊富血漿(PRP)と第1型コラーゲン混合物を骨欠損
治療時又は傷治癒(wound healing)等、組織再生が要求される全ての部位に注入するス
テップを経る。
【0046】
そして、上記第1型コラーゲンは20〜50mg/mLの濃度が好ましい。
【0047】
また、上記室温に、15〜30分間放置することが好ましい。
【実施例】
【0048】
上記した本発明の実施形態を以下に説明すれば、次の通りである。
(実施形態1)
まず、血小板豊富血漿(PRP)の分離のための構成キットは、次の通り用意する。
1)3.2%クエン酸ナトリウム(Sodium citrate)が含まれた真空試験管
2)真空試験管ホルダー
3)真空試験管針
4)真空試験管(Plain type)
5)3mL注射器
6)ブラントニードル(Blunt needle)
【0049】
上記のように構成された構成物により血小板豊富血漿(PRP)の分離方法を実施する
。まず、
1)患者から10mLの全血を3.2%クエン酸ナトリウム(Sodium citrate)が含まれ
た真空試験管に採取する。
2)真空試験管に盛られた全血を1,750〜1,900Gで、3〜5分、遠心分離する
。この際、遠心分離機の重力加速度(G)と時間は全血を血球細胞、軟膜(Buffy coat)
と血漿に分離できる最適の条件である。
3)真空試験管の蓋を開けた後、ブラントニードル(Blunt needle)を連結した注射器を
用いて軟膜(Buffy coat)を含んだ上層液(血漿層)を採取して新たな真空試験管(Plai
n type)に移す。
4)新たな真空試験管に移された軟膜(Buffy coat)が含まれた血漿を4,500〜5,
000Gで、4〜6分、遠心分離する。この際、遠心分離機の重力加速度と時間は血漿内
にある血小板豊富血漿(PRP)を濃縮させる最適の条件である。
5)真空試験管の蓋を開けた後、ブラントニードル(Blunt needle)を連結した注射器を
用いて試験管の底層(試験管の底から約1mLに該当)の濃縮された血小板豊富血漿(P
RP)を採取する。
6)全血10mLから分離された血小板1mLの分離効率を確認するために、血小板(Pl
atelet)の特異的な表面マーカー(Surface marker)であるCD41、白血球(Leukocyt
e)の特異的な表面マーカー(Surface marker)であるCD45を反応させてフローサイ
トメトリー(Flow cytometry)を用いて発現細胞数を測定する。
測定結果は、分離された血小板豊富血漿(PRP)の血小板(Platelet)は基準値(Ba
selines)より5.8〜7.6倍高まった。臨床的に要求される推奨条件では、その数は
、全血6mL体積当たり基準値の4.0〜6.0倍(約100万の血小板/mL)である
。よって、血小板豊富血漿(PRP)分離方法は、推奨条件を満足する。また、白血球(
Leukocyte)も基準値(Baselines)より2.8〜4.2倍高まった。よって、血小板豊富
血漿(PRP)を適用する時に、抗ウイルス効果(antiviral effect)を期待することが
できる。
【0050】
そして、下記の表のように、全血を2段階遠心分離(1段階;1,750〜1,900
Gで、3〜5分、2段階;4,500〜5,000Gで、4〜6分)して、血小板豊富血
漿(PRP)1mLを分離した後、血小板(Platelet)の特異的な表面マーカー(Surfac
e marker)であるCD41、白血球(Leukocyte)の特異的な表面マーカー(Surface mar
ker)であるCD45を反応させてフローサイトメトリー(Flow cytometry)を用いて発
現細胞数を測定した。測定結果は、分離された血小板豊富血漿(PRP)の血小板(Plat
elet)は基準値(Baselines)より5.8〜7.6倍、白血球(Leukocyte)も基準値(Ba
selines)より2.8〜4.2倍高まった。
【0051】
【表1】

【0052】
(実施形態2)
血小板豊富血漿(PRP)、塩化カルシウム溶液、及び第1型コラーゲン混合物の移植
のための構成キットは次の通り用意する。
1)1mL、3mL注射器
2)分岐コネクタ(三方活栓Connecta;登録商標)
2)塩化カルシウム溶液
3)20〜50mg/mLの第1型コラーゲン
【0053】
上記のように構成された構成物により血小板豊富血漿(PRP)、塩化カルシウム溶液
、及び第1型コラーゲン混合物と移植方法を実施する。まず、1)1mLの血小板豊富血
漿(PRP)が充填された注射器を0.30〜0.55mg/mL濃度の塩化カルシウム
溶液を充填した注射器と分岐コネクタで連結して1回混合する。
【0054】
即ち、図2は全血から分離した血小板豊富血漿(PRP)1mL、塩化カルシウム溶液
、及び第1型コラーゲンとを混合した写真であって、(a)は塩化カルシウム溶液0.2
5mg/mLが含まれた写真であり、(b)は塩化カルシウム溶液0.3mg/mLが含
まれた写真であり、(c)は塩化カルシウム溶液0.5mg/mLが含まれた写真であっ
て、本発明は塩化カルシウム溶液と第1型コラーゲン混合物の血小板の凝集(Platelet a
ggregation)のための適正な塩化カルシウム濃度は0.30〜0.55mg/mLが好ま
しい。
【0055】
そして、塩化カルシウム溶液の成分であるカルシウムイオン(Ca2+)は血液凝固(Bl
ood coagulation)で可溶性(soluble)から不溶性(insoluble)に転換させる役割をす
る。カルシウムイオン(Ca2+)のこのような特徴は分離された血小板豊富血漿(PRP
)1mLと第1型コラーゲンの混合物の血小板の凝集(platelet aggregation)を誘導す
るようになる。血小板の凝集(platelet aggregation)のための塩化カルシウム溶液の濃
度は0.25mg/mL以下の場合、血小板の凝集(Platelet aggregation)が形成され
ず、最高0.55mg/mL以上の場合、浸透圧作用により細胞が損傷を受けるようにな
る。
【0056】
2)20〜50mg/mL濃度の第1型コラーゲンを室温に15〜30分間静置して可溶
性コラーゲンを線維型コラーゲンに変化させる。この際、第1型コラーゲンを室温に静置
する理由は、第1に、第1型コラーゲンを可溶性コラーゲン(soluble collagen)状態か
ら線維型コラーゲン(fibrillar collagen)化させるために温度を高めたものであり、第
2に、本発明の血小板豊富血漿(PRP)が第1型コラーゲンの線維型コラーゲン(fibr
illar collagen)混合物と可溶性コラーゲン(soluble collagen)混合物の各成長因子(
growth factor)放出量の差が殆どなかったのであり、第3に、一般的に第1型コラーゲ
ンの線維型コラーゲン(fibrillar collagen)が可溶性コラーゲン(soluble collagen)
より血小板の凝集(platelet aggregation)を誘導し、血小板付着(platelet adhesion
)を維持(supporting)するようにする。
【0057】
3)1mLの血小板豊富血漿(PRP)と塩化カルシウム溶液混合物が盛られた注射器を
同量の20〜50mg/mL濃度の線維型第1型コラーゲンと分岐コネクタで連結して4
回混合する。
【0058】
4)注射器に充填された血小板豊富血漿(PRP)、塩化カルシウム溶液、及び第1型コ
ラーゲン混合物を骨欠損治療時又は傷治癒(wound healing)等、組織再生が要求される
全ての部位に注入する。
【0059】
(実施形態3)
1)注射器に充填された血小板豊富血漿(PRP)、塩化カルシウム溶液、及び第1型コ
ラーゲン混合物を底の丸いガラスチューブに込める。
【0060】
2)37℃の培養器で15分間培養して混合物を凝固(clotting)させる。この際、37
℃の培養器で培養させる理由は、この混合物を組織部位に移植して凝固(clotting)され
るものと同一な環境を作るためである。
【0061】
3)凝固(clotting)された混合物は滅菌された24ウェル(well)培養容器に1mLの
DMEMを添加して37℃の培養器で培養する。
【0062】
上記のような方法により患者から10mLの全血を採取して2段階の遠心分離を通じて
濃縮された1mLの血小板豊富血漿(PRP)を1段階において、塩化カルシウム溶液と
混合し、2段階において、第1型コラーゲンと混合して骨欠損治療時又は傷治癒(wound
healing)等、組織再生が要求される全ての部位に移植できるようにしたものであるので
、臨床的には拒否反応がないし、短時間に血小板豊富血漿(PRP)を分離し、第1型コ
ラーゲンと混合して移植することで、効果的で、かつ速く骨欠損治療及び傷治癒(wound
healing)等、組織再生を誘導できるようになる。
【0063】
特に、本発明の図3は、分離された血小板豊富血漿(PRP)を各々トロンビン(Thro
mbin)と第1型コラーゲンで活性化させた後、37℃の、5%CO2培養器で培養培地を
入れて培養した培養物で、従来のトロンビン混合物(A)は15日経過後、大部分が分解
(degradation)されたが、本発明のコラーゲン混合物(B)は15日まで初期と比較し
て大きさの変化が殆どないまま、形態を維持することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を誘導する組成物及びその
製造方法の技術的手段は、実際に同一結果を反復実施可能なものであって、特にこのよう
な本願発明を実施することによって、技術発展を促進して産業発展に貢献することができ
るので、保護する価値が十分にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全血から血小板豊富血漿(PRP:Platelet rich plasma)を分離するステップと、
前記血小板豊富血漿(PRP)と塩化カルシウム溶液とを混合するステップと、
次に、前記塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)を第1型コラーゲ
ンと混合するステップと、
を含むことを特徴とする、血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を誘導する組
成物の製造方法。
【請求項2】
前記全血から血小板豊富血漿(PRP)を分離するステップは、
動物又は患者から10mlの全血を3.2%クエン酸ナトリウム(Sodium citrate)が含
まれた真空試験管で採取した後、1,750〜1,900Gで、3〜5分間、1次遠心分
離するステップと、
前記遠心分離により軟膜(Buffy coat)を含んだ上層液(血漿層)を収集するステップと

以後、収集された前記軟膜(Buffy coat)を含んだ上層液(血漿層)をブラントニードル
(Blunt needle)を用いて新たな真空試験管に移した後、4,500〜5,000Gで、
4〜6分間、2次遠心分離するステップと、
次に、底層(試験管の底から約1mLに該当)の濃縮された血小板豊富血漿(PRP)を
ブラントニードル(Blunt needle)を用いて採取するステップと、
からなることを特徴とする、請求項1に記載の血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組
織再生を誘導する組成物の製造方法。
【請求項3】
前記血小板豊富血漿(PRP)と塩化カルシウム溶液とを混合するステップは、
全血から血小板豊富血漿(PRP)を分離する工程を通じて採取された約1mLの血小板
豊富血漿(PRP)を分岐コネクタを用いて0.30〜0.55mg/mL濃度の塩化カ
ルシウム溶液と1回混合することを特徴とする、請求項1に記載の血小板豊富血漿(PR
P)を活性化して組織再生を誘導する組成物の製造方法。
【請求項4】
前記塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)を第1型コラーゲンと混
合するステップは、
前記第1型コラーゲンを室温に放置するステップと、
以後、塩化カルシウム溶液が混合された血小板豊富血漿(PRP)と不透明性状の20〜
50mg/mL濃度の第1型コラーゲンを分岐コネクタで連結して4回混合するステップ
と、
次に、血小板豊富血漿(PRP)と第1型コラーゲン混合物を骨欠損治療時又は傷治癒(
wound healing)等、組織再生が要求される全ての部位に注入するために注射器に充填す
るステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織
再生を誘導する組成物の製造方法。
【請求項5】
前記第1型コラーゲンは、20〜50mg/mL濃度であることを特徴とする、請求項4
に記載の血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を誘導する組成物の製造方法。
【請求項6】
前記室温に、15〜30分間放置することを特徴とする、請求項4に記載の血小板豊富血
漿(PRP)を活性化して組織再生を誘導する組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1の製造方法により製造された血小板豊富血漿(PRP)を活性化して組織再生を
誘導する組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−508066(P2013−508066A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535101(P2012−535101)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006745
【国際公開番号】WO2011/049263
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(506204243)セウォン セロンテック カンパニー リミテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】SEWON CELLONTECH CO.,LTD.
【Fターム(参考)】