説明

血栓症に対処するための医薬組成物、ならびにその調製方法および使用

本発明は、医薬組成物、その調製方法及び/又はその使用に関する。当該医薬組成物は、チモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIを主に含んでなり、そして場合により医薬として許容される賦形剤を含んでなり、チモサポニンAIIIの量がチモサポニンBIIの量以上であることを特徴とする。本発明はまた、血栓症を予防または処置するための医薬または生成物を製造するための、チモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血栓症に対処するための医薬組成物、それを調製する方法、およびその使用に関し、特にチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIを含んでなる医薬組成物、それを調製する方法、および血栓症の予防または処置のための医薬を製造するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血小板の接着、凝集および放出反応は血栓形成につながる。血栓形成は、例えば心筋梗塞、脳出血などのヒトの多くの脳血管疾患の主な病因であると共に、例えば糖尿病や血管炎などのいくつかの重要病害の悪化因子である。抗血栓療法がこれらの疾患の主要な治療法の1つである。血小板凝集の抑制、抗凝固作用、および血栓溶解が血栓症の処置の3つの主要なテーマであり、そして抗血小板凝集は際立った治療的効果を有する最も好まれている治療法であるので、関連薬物の研究や開発が最も盛んである。最も古いシクロオキシゲナーゼ阻害剤としてのアスピリンからADPレセプターアンタゴニストとしてのチクロピジン(ticlopidine)まで、血小板GPIIb/IIIaレセプターアンタゴニストとしてのチロフィバン(tirofiban)までの多くの薬物、ならびに例えばPGE1、PGI2などの一連のプロスタグランジンは、心疾患および脳血管疾患の臨床的処置のために広く使用される。
【0003】
漢方薬である知母(チモ)は、ユリ科(Liliaceae)知母属の多年草の知母(Anemarrhena asphodeloides Bge.)の根茎であり、その主な活性成分はステロイド性サポニンである。これまでに、知母から分離され、そして同定された数十種類のステロイド性サポニン、サポゲニン、フラボン、オリゴ糖、多糖、脂肪酸などが文献に報告された。
【0004】
Jianying ZHANGらは、例えばチモサポニンIa、BI、BII、BIIIおよびAIIIなどの単一化合物がヒト血小板凝集および血液凝固時間の延長に対して顕著な活性を有することを報告した(Jianying ZHANG, et al, Clinica Chimica Acta, 1999; 289: 79-88)。
【0005】
チモサポニンAIII、BおよびBIIは以下の構造を有する:
【0006】
【化1】

【0007】
馬百平らは、単一化合物のチモサポニンBIIが大脳虚血を伴うラットの神経症状を有意に改善し、脳梗塞範囲を狭め、かつ、脳水腫を緩和することができた;血液流動を有意に改善し、大脳虚血によって引き起こされた炎症性傷害を緩和することができた;そして脳出血(cerebral apoplexy)(脳卒中(stroke))の予防に使用できたと報告した(中国特許出願番号:第200410037347.X号)。
【0008】
陣万生らは、脳出血の予防および処置向けの医薬を調製するための総チモサポニンの使用を報告した(中国特許出願公開番号第CN1451384A号、出願番号第03116824.8号)。この出願では、開示された総チモサポニンが、チモサポニンBII、E、B、AIII含有量の合計が50%以上であることを特徴としていた。
【0009】
陣万生らは、知母の抽出物(チモサポニンBII、E1およびBを含有、その比率は78〜92:7〜12:0〜6である)の注射が、ラットにおける虚血再潅流障害によって引き起こされた行動症状を有意に改善し、脳梗塞範囲を狭め、大脳虚血ラットにおける脳水腫を緩和するので、虚血性脳血管疾患の処置に使用できるとさらに報告した(中国特許出願公開番号第CN1628790A号、出願番号第200410054146.0号)。
【0010】
これまで、チモサポニンAIIIを主成分として含んでなり、チモサポニンBIIと組み合わせた抗血栓薬は見つかっていなかった。したがって、主成分としてチモサポニンAIIIを含んでなり、チモサポニンBIIと組み合わせた抗血栓薬を提供することは臨床上の必要性を満たす。
【発明の概要】
【0011】
本発明の説明
本発明の1つの目的は、血栓症の予防または処置のためにチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIを主に含んでなる医薬組成物を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、本発明の医薬組成物を調製する方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、血栓症の予防または処置のための医薬を製造するための本発明の医薬組成物の使用を提供することである。
【0014】
数年間集中的に調査した後、本発明の発明者らは、チモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIの組み合わせ物が(チモサポニンAIIIの量がチモサポニンBIIの量以上である限り)血栓症に対処するために使用され、そしてかかる組み合わせ物は満足できる抗血栓効果を生じさせるだけではなく、抗血栓薬の使用で通常起こる出血または出血傾向もまた緩和することを最初に見つけ、そして確認した。この知見に基づいて、本発明者らは本発明を完成させた。
【0015】
1つの態様において、本発明は、血栓症の予防または処置のための医薬組成物であって、有効量のチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBII、ならびに場合により1または2以上の医薬として許容される賦形剤を含んでなり、チモサポニンAIIIの量がチモサポニンBIIの量以上であることを特徴とする前記医薬組成物を提供する。
【0016】
1つの実施形態において、チモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIの両方が、チモサポニン抽出物の形態で本発明の医薬組成物中に使用される。この実施形態において、医薬組成物は、有効量の、チモサポニンAIIIを含んでなる抽出物およびチモサポニンBIIを含んでなる抽出物だけを含むことができ、かつ、医薬として許容される賦形剤を含まない。
【0017】
もう1つの実施形態において、チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比は、本発明の医薬組成物中で1:1〜10:1である。
【0018】
もう1つの実施形態において、チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比は、本発明の医薬組成物中で2:1〜5:1である。
【0019】
もう1つの実施形態において、チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比は、本発明の医薬組成物中で3:1である。
【0020】
もう1つの態様において、本発明は、所望の量のチモサポニンAIIIを含む抽出物と、所望の量のチモサポニンBIIを含む抽出物とを混合し、そして必要に応じて場合により1または2以上の医薬として許容される賦形剤を加え、その後その混合物を適切な方法によって所望の調製物へと製剤化するステップを含む、本発明の医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0021】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物を調製する方法は、1または2以上の医薬として許容される賦形剤と一緒に、所望の量のチモサポニンAIII化合物とチモサポニンBII化合物とを混合し、その後その混合物を適切な方法によって所望の調製物へと製剤化するステップを含む。
【0022】
もう1つの実施形態において、本発明の医薬組成物を調製する方法は、以下のステップを含む:
知母の煎薬片、新鮮な根茎、ひげ根などを好適な抽出法を使用することによって抽出し、得られた抽出溶液を濾過し、濾液を回収し、その後濾液をマクロ多孔質の吸着性樹脂カラムに注入し、好適な溶剤で溶出し、対応する成分を回収し、そしてそれを分離して、チモサポニンBIIを主に含んでなる知母の一次総サポニンを得;
自然発酵、酵素的変換、緩衝塩の変更、酸性加水分解またはその組み合わせを使用することによって、十分な期間をかけて成分を変換して、知母の二次総サポニンを得;そして
知母の一次総サポニンと二次総サポニンを特定の比率で混合して、本発明の医薬組成物を得る。
【0023】
1つの具体的な実施形態において、本発明の医薬組成物を調製する方法は以下のステップを含む:
知母の煎薬片、新鮮な根茎またはひげ根を40〜70%のC1−C4アルコールまたは40〜70%のアセトンで抽出し、得られた抽出溶液を濾過し、濾液を回収および遠心分離し、その後その上清をマクロ多孔質の吸着性樹脂カラムに注入し、水、20〜90%のC1−C4アルコールおよび10〜80%のアセトンから成る群から選択される溶媒でグラジエントをかけて溶出し、そして50〜90%のC1−C4アルコール成分または35〜80%のアセトン成分を回収して、知母の一次総サポニンを得;
β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、エムルシンおよびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)または微生物から成る群から選択される酵素を用いて、十分な期間をかけて成分を変換し、変換された液体を遠心分離して、知母の二次総サポニンを得;
知母の一次総サポニンと二次総サポニンを特定の比率で混合して、本発明の医薬組成物を得る。
【0024】
1つの具体的な実施形態において、本発明の医薬組成物を調製する方法は以下のステップを含む:
知母の煎薬片、新鮮な根茎またはひげ根を40〜70%のエタノールで抽出し、得られた抽出溶液を濾過し、そして濾液を回収し、減圧下で濃縮し、その後90〜100%のエタノールを加え、遠心分離し、その後上清をマクロ多孔質の吸着性樹脂カラムに注入し、20〜95%のエタノールでグラジエントをかけて溶出し、50〜90%のエタノール成分を回収して、知母の一次総サポニンを得;
β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、エムルシンおよびアスペルギルス・ニガーまたは微生物から成る群から選択される1または2以上の酵素を用いて、少なくとも1時間かけて成分を変換し、変換された液体を遠心分離して、知母の二次総サポニンを得;そして
知母の一次総サポニンと二次総サポニンを特定の比率で混合して、本発明の医薬組成物を得る。
【0025】
もう1つの態様において、本発明は、血栓症の予防または処置のための医薬の製造におけるチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIの使用であって、製造された医薬中のチモサポニンAIIIの量がチモサポニンBIIの量以上である、前記使用を提供する。
【0026】
1つの実施形態において、チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比は、製造した医薬中で1:1〜10:1である。
【0027】
もう1つの実施形態において、チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比は、製造した医薬中で2:1〜5:1である。
【0028】
もう1つの実施形態において、チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比は、製造した医薬中で3:1である。
【0029】
もう1つの実施形態において、血栓症または血栓関連疾患には、例えば冠動脈性心疾患、狭心症、心筋梗塞、脳出血、脳血栓症、肺塞栓症、糖尿病および血管炎が挙げられる。
【0030】
本明細書中で使用される「有効量」という用語は、血栓症の臨床上の予防または処置を達成できる、組み合わせた状態でのチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIの量を指す。
【0031】
当業者に関しては、本発明の医薬組成物を、様々な種類の剤形、例えば経口調製物など、例えば錠剤、カプセル剤、溶液、懸濁液および顆粒剤など;非経口投与のための剤形、例えば注射用製剤、軟膏剤、パッチ剤へと、当該技術分野の様々な従来の方法によって容易に製剤化できる。本発明の医薬組成物は、様々な投与経路を介して使用できる。
【0032】
医薬組成物またはその調製物は、経口投与または非経口投与によってそれを必要としている患者に提供されることができる。成人について、1人分のその経口日用量は、150mg〜450mg、例えば約300mgである。
【0033】
チモサポニンAIIIが、インビトロにおいて血小板凝集を有意に抑制し、PGE1の抗血小板凝集作用を増強し、生体内投与で有意な抗血栓活性を有することができ;その一方で、チモサポニンBIIはインビトロにおいて血小板凝集を抑制できないが、血管を拡張し、生体内の血液流動を改善し、そして血管内皮細胞上への白血球の付着を低減することができたことを、本研究を通じて明らかとした。したがって、本発明において、異なった機構の作用と標的を有するチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIが特定の比率で組み合わせられ、そのため生体内におけるより少ない出血傾向で、より強力な抗血栓効果を得ることができる。
【0034】
したがって、本発明の医薬組成物は、血栓症の予防または処置を達成できるだけではなく、患者の出血または出血傾向を緩和することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】様々なマウス群におけるコラーゲンの尾静脈注射による致死時間の散布図である。
【図2】様々なマウス群における尾静脈の出血時間の散布図である。
【実施例】
【0036】
具体的実施方式
以下の実施例は、本発明をさらに例示するために使用され、いかなる形であっても本発明を限定するものではない。
【0037】
具体的に別段の指示がない限り、本文中のパーセンテージまたは割合は、重量パーセントまたは割合を指し、組成物中の成分の内容量の合計は100%に相当する。
【0038】
実施例1
マウスにおけるコラーゲンの尾静脈注射による尾静脈の出血時間および致死時間に対する、本医薬組成物の効果
I.被験物質と方法
1.被験物質
チモサポニンAIIIおよびBIIの単一化合物を、既知の方法(Acta Pharmaceutica Sinica, 1996; 31(4): 271-277;Chem Pharm Bull, 1963, 11: 1221)に従って調製した。これらの2種類の化合物は共に98.5%超の純度を有していた;ウィスター(Wistar)ラット、雄、体重280〜320g、クンミン(昆明)マウス、雄、体重22〜24gは、軍事医学科学院の動物飼育センターによって提供された。アドレナリンをBeijing Yongkang Pharmaceutical Co., Ltd.から購入した。コラーゲンは自作したラット尾部コラーゲンであった。PBSをTianwei shidai Companyから購入した。ヘパリンをSigma Companyから購入した。生理的食塩水をShandong Linzi Pharmaceutical Factoryから購入した。アスピリンはShijiazhuang Pharmaceutical group OUYI pharma Co.,Ltd.製であった。
【0039】
2.動物の群分け
ウィスターラットを、7つの群:対照群、アスピリン群(ASP、40mg/kg)、AIII群(40mg/kg)、BII群(40mg/kg)、1:1群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)、1:3群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)、3:1群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)に無作為に分けた。連続胃内投与を1日1回、7日間実施し、そして、実験を7日目の投与の1時間後に実施した。対照群には同じ体積の生理的食塩水を投与した。
【0040】
3.実験法
3.1 血小板の最大凝集率の検出
7日目の投与の1時間後に、ウィスターラットをペントバルビタールナトリウム(40〜60mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、血液サンプルを心臓から採取し、3.8%のクエン酸ナトリウム(体積比:1:9)で抗凝固処理した。遠心分離を800rpmかつ室温にて10分間実施して、多血小板血漿(PRP)を分離し、その後遠心分離を3000rpmかつ室温にて20分間、再び実施して、乏血小板血漿(PPP)を分離した。F−820血球計数器を使用して集計を実施し、そしてPRPをPPPで調整して、3.0×1011/Lの濃度にした。
【0041】
Chronolog社製血小板凝集分析装置による試験:血小板懸濁液を血漿で調整して、3.0×1011/Lの濃度にし、血小板凝集分析装置を起動し、30分間予熱し、そしてPPPをブランク対照として使用して、100%になるように透過率を調整した。450μLの血小板懸濁液を、取り出し、撹拌子を用いて撹拌し、37℃にて3分間予熱し、そして誘発剤(50μL)であるADP作用物質(終濃度:20μM)と別々に加え、その後5分間、ダイアグラムを記録し、そして1分、3分および5分における凝集率、ならびに最大凝集率を読み取った。
【0042】
3.2 動脈−静脈バイパス血栓形成の実験
ラットを、2%のペントバルビタールナトリウム液(30〜40mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、仰臥位で固定し、右総頚動脈と左外頚静脈を切り離し、3片のポリエチレン管を接続し、その一端を右総頚動脈内に挿入し、そしてそのもう一端を左外頚静脈内に挿入し、その2つの端部のポリエチレン管を25u/mLのヘパリン(生理的食塩水で新たに調製)で満たし、そして真ん中の一片には10cmの長さがあるが、生理的食塩水で満たしたその管内に、動脈−静脈バイパスを構築するように(計量した)長さ8cmの7#縫合糸を置く(注意:気泡は入れない)。15分後に管を取り外し、血栓を取り出し、湿式濾紙上で転がして、残った血液を取り除き、パーチメント紙上に置き、そして計量してその湿重量を得た。その後、それを、乾燥器内に入れ、そして恒量に達するように60℃にて1時間乾燥させ、冷まし、そして計量して、血栓の乾燥重量を得た。
【0043】
3.3 マウスにおける尾静脈出血時間の試験
マウスを、無作為に7つの群:対照群、アスピリン群(ASP、40mg/kg)、BII群(40mg/kg)、AIII群(40mg/kg)、1:1群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)、1:3群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)、3:1群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)に分けた。連続胃内投与を1日2回、5日間実施し、そして、実験を6日目の投与の1時間後に実施した。対照群には同じ体積の生理的食塩水を投与した。すべての薬物比はAIII対BIIであった。
【0044】
マウスを、ペントバルビタールナトリウム(40〜60mg/kg)で麻酔し、暖かく快適なパッド上に載せ、尾の先をマウスの尾が直径2.25〜2.5mmになっている位置で切断し、そしてすぐにPBS(37℃)の中に入れ、計測を開始した。止血時間と10分以内の再出血時間を観察し、そしてマウスの出血量をヘモグロビン量によって推定した。出血が10分以内に止まらない場合には、止血を圧迫によって実施し、そして止血時間を600秒と記録した。
【0045】
3.4 コラーゲンの尾静脈注射下でのマウスにおける致死時間の試験
マウスを、無作為に7つの群:対照群、アスピリン群(ASP、40mg/kg)、BII群(40mg/kg)、AIII群(40mg/kg)、1:1群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)、1:3群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)、3:1群(AIII対BIIの重量比、40mg/kg)に分けた。連続胃内投与を1日2回、5日間実施し、そして実験を6日目の投与の1時間後に実施した。対照群には同じ体積の生理的食塩水を投与した。
【0046】
マウスを、マウス固定フレーム上に固定し、コラーゲン(0.5mg/kg)およびアドレナリン(60μg/kg)から成る血栓形成作用物質(100μg/マウス)を尾静脈注射によって投与した。症状、症状発生時期、およびマウスの致死時間を10分の間、観察し、そして10分以降に死んだマウスを生存とみなした。
【0047】
II.実験結果
1.マウスにおける血小板凝集率に対する胃内投与によるチモサポニンの効果の評価
血液サンプルを、チモサポニンの最後の胃内投与の1時間後に麻酔したマウスの心臓から採取し、投与後にADP(20μM)によって誘発された血小板凝集の速度を測定するために分析した。結果は、対照群との比較において、AIII群、3:1群および1:1群の最大凝集率は有意に低下し、そこではAIII群および3:1群の血小板凝集抑制効果が、アスピリン群のものと同等であったことを示した。このことは、チモサポニンAIIIの血小板凝集抑制作用はBIIのそれより優れているが、3:1群には血小板凝集に対処するための顕著な活性がまだあったことを示している。
【0048】
【表1】

【0049】
2.動脈−静脈バイパス血栓形成の試験
正常対照との比較において、すべての投与群の血栓湿重量および乾燥重量は減少傾向を示し、そこではAIII群と3:1群の血栓湿重量が対照群のそれより有意に異なっており、1:1群では相違があったが、BII群と1:3群は対照群との比較において統計的な相違は示さなかった。実験結果から、AIIIが抗血栓的側面において主要な役割を担っていることがわかった。AIII群の血栓湿重量が陽性対照薬であるアスピリンのそれより少なく、抗血栓的側面においてAIIIがアスピリンより良好であることを示している。具体的な実験結果を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
3.3 マウスにおけるコラーゲンの尾静脈注射による致死時間の試験
血栓形成作用物質の尾静脈注射後に、マウスは、例えば速い呼吸、落ち着きがない、回転運動および眼球突出などの症状が現れ、その後すぐに死亡した。対照群の平均致死時間は129.3±26.9秒であったが、BIIやAIIIを単独で投与した動物の致死時間は有意に延長され、それぞれ259.1±169.9秒と237.9±125.1秒であり、それは対照群のそれと有意に異なっていた。2種類の薬物の組み合わせ物を投与した動物の致死時間もまた、3:1群を除いて、対照群と比較してある程度延長されたが、それらの効果は単一の薬物を投与した群の効果を下回っていた。3:1群の致死時間と生存率は、単一の薬物を投与した群のものと同様であり、それはAIIIが合剤の中で主要な役割を担っていることを示した。群の具体的な生存率と致死時間を表3と図1に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
3. マウスにおける尾静脈出血時間の試験
対照群の平均止血時間は88.9±45.9秒であり、投与群の出血時間は対照群と比較して有意に延長され、陽性対照としてのアスピリン群は277.4±188.5秒の平均止血時間を持ち、それは正常対照群と有意に異なっていた。BII及びAIIIを単独で投与した場合に、平均止血時間は陽性対照のものより長く、それは単一のチモサポニンBIIまたはAIIIの投与が有意な出血傾向を有することを示した。対照群との比較において、合剤の出血時間もまたある程度延長したが、出血量は単一の薬物を投与した群やアスピリン群のそれより有意に少ないものであった。このことは、チモサポニンBIIおよびAIIIには強力な抗血栓効果があったが、それらはまた、顕著な出血傾向も有することを示した。;それらの妥当な組み合わせ(3:1群)は抗血栓活性、ならびに顕著にわずかな出血時間および総出血量であった。具体的な結果を表4と図2に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
III.考察
インビトロでの活性スクリーニングにおいて、チモサポニンAIIIには有意な血小板凝集抑制効果があり、その一方でチモサポニンBIIには血管を拡張する有意な効果があることがわかった。動物の生体内実験の結果では、チモサポニンAIIIにはラットにおける生体内での血小板凝集を抑制し、かつ、動脈−静脈バイパス血栓形成に対抗する最も強い活性があり、BIIにはより弱い活性があり、そしてチモサポニンの様々な組み合わせ、特にチモサポニンAIIIとBIIの3:1組み合わせにも、抗血小板凝集作用及び/又は抗血栓形成作用があった。
【0056】
コラーゲンの尾静脈注射に伴う致死実験では、血小板凝集に対抗する機能を有するチモサポニンAIIIと血管を拡張する機能を有するチモサポニンBIIの両方が、モデルマウスの生存期間を有意に延長し、そしてモデルマウスの生存率を高めることができたが、マウスの尾を切断する実験は、これらの2種類の化合物を単独でマウスに投与したとき、尾静脈出血時間が延長され、そして出血量が増加することを示した。その一方で、チモサポニンAIIIとBIIの3:1の組み合わせが単独でそれらを投与したものと同等の抗血栓形成作用を有するが、尾静脈出血時間を延長して、出血量を有意に減少させること;しかし、チモサポニンの他の組み合わせでは尾静脈出血時間および出血量を減縮し、またそれらの抗血栓活性も有意に低下することがわかった。上記実験は、比較的強く血小板凝集を抑制すること、および適当な血管拡張が、生体内において最も良好な抗血栓効果を引き起こすことができることを示した。
【0057】
したがって、本実験の重要な発見の1つは、主成分としてAIIIを持つチモサポニンの組み合わせが、生体内において最も良好な抗血栓作用を引き起こすことができ、そして比較的に低い出血副作用しか持たないということである。したがって、様々な剤形の医薬が開発され、種々の脳血管疾患の処置のために使用され得、そして安全性かつ高効率性を達成し得る。
【0058】
実施例2:本医薬組成物が生体外で血小板凝集作用を抑制することに関する研究
I.材料および方法
1.実験材料
ウィスターラット、雄、体重280〜320g、ビッグイヤーラビット(大耳白兎)、雌、体重2〜2.5kg、マカク属サル、雄、体重5〜7kgのすべてが軍事医学科学院の動物飼育センターによって提供された。ヒト血小板は北京血液センターによって提供された。本医薬組成物は、実施例15で挙げた方法に従って調製した白色の粉末であった。アデノシン二リン酸(ADP)、アラキドン酸(AA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)はSigma Companyの製品であり;リストセチン(Ristocetin)およびアドレナリンはBiopool Companyから購入した。
【0059】
2.実験法
2.1 採血
雄のウィスターラットを2%のペントバルビタールナトリウム(30〜40mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、そして血液サンプルを心臓から採取した;血液サンプルを、安静状態で雌のビッグイヤーラビットの耳動脈から採取し、その後すぐに3.8%のクエン酸ナトリウム(体積比:1:9)で抗凝固処理した。
【0060】
2.2 血小板の調製
採取した血液サンプルを800rpmかつ室温にて10分間遠心分離し、上部層の多血小板血漿(PPP)を取り出し、3000rpmかつ室温にて20分間遠心分離し、上部層の乏血小板血漿(PRP)を取り出した。F−820血球計数器を使用して集計を実施し、そしてPRPをPPPで調整して、3.0×1011/Lの濃度にした。
【0061】
2.3 最大血小板凝集率の測定
Chronolog社製血小板凝集分析装置による試験:血小板懸濁液を血漿で調整して、3.0×1011/Lの濃度にし、血小板凝集分析装置を起動し、そしてPPPをブランク対照として使用して、100%になるように透過率を調整した。450μLの血小板懸濁液を、取り出し、撹拌子を用いて撹拌し、37℃にて3分間予熱し、そして様々な種類の誘発剤(50μL):ADP作用物質(終濃度:20μM)、AA(終濃度:80μM)、リストセチン(終濃度:1.2mg/mL)、アドレナリン(終濃度:10μM)を別々に加え、その後5分間、ダイアグラムを記録し、そして1分、3分および5分における凝集率、ならびに最大凝集率を読み取った。
【0062】
II.実験結果
1.ラットにおいてADPによって誘発された血小板凝集のインビトロでの抑制に対する本医薬組成物の効果
ラットの血小板サンプルに、様々な濃度にて本医薬組成物をあらかじめ加え、2分間インキュベートし、凝集誘発剤としてADPを加え、そして血小板凝集率を様々な時間において検出した。結果を表5に示し、そこでは、10μg/mLの本医薬組成物がラット血小板の凝集を有意に抑制することができ、かつ、その抑制効果が本医薬組成物の用量の増加に伴って有意に増大し、そして約50μg/mLレベルの本医薬組成物がラット血小板の凝集を完全に抑制できる。ラット血小板凝集の抑制に関する本医薬組成物のIC50値が26.92±4.75μg/mLであることを、統計的処置によって計算した。
【0063】
【表5】

【0064】
2.ウサギにおけるインビトロでの血小板凝集に対する本医薬組成物の抑制効果
ウサギは抗血栓薬の研究において常用される動物の1つである。実験では、ウサギの血小板凝集に対する様々な用量の本医薬組成物の抑制効果を観察した。結果を表6に示す。10μg/mLの本医薬組成物が最大ADP誘発ウサギ血小板凝集率を23%抑制することができ、その抑制効果は本医薬組成物の用量の増加と共に有意に増大し、そして60μg/mLレベルの本医薬組成物が最大ウサギ血小板凝集率を80%抑制することができた。ウサギ血小板凝集抑制に関する本医薬組成物のIC50値は、統計的処置によって16.1±2.1μg/mLであると計算された。
【0065】
【表6】

【0066】
3.インビトロにおけるマカク属サルの血小板凝集に対する本医薬組成物の抑制効果
マカク属サルはヒトに最も近い遺伝的背景を有する。マカク血小板凝集に対する本医薬組成物の抑制効果を観察した。実験では、50μg/mLにて本医薬組成物が最大ADP誘発マカク血小板凝集率を13%抑制することができ、その抑制効果は本医薬組成物の用量の増加と共に増大し、そして150μg/mLにて本医薬組成物は、マカク属サルにおいて最大血小板凝集率を90%抑制することができることがわかった。マカク属サルの血小板凝集抑制に関する本医薬組成物のIC50値は79.16±5.31μg/mLであると、統計的処置によって計算された。マカク属サルの血小板凝集抑制に関する本医薬組成物のIC50値がウサギやラットの値と比べて顕著に高いことを見出すことができた。
【0067】
【表7】

【0068】
4.様々な誘発剤によって誘発したインビトロでのヒト血小板凝集に対する本医薬組成物の抑制効果の比較
健康なヒトからの新鮮な血小板に様々な濃度の本医薬組成物を加え、その後血小板凝集を様々な種類の誘発剤で誘発し、得られた結果を表8〜11に示す。ADP(20μM)、アラキドン酸(80μM)、リストセチン(1.2mg/mL)およびアドレナリン(10μM)すべてがヒト血小板凝集を誘発し、凝集率がどれも50%以上であることが実験でわかった。20〜25μg/mLにて本医薬組成物は上記のあらゆる誘発剤によって誘発された血小板凝集を抑制でき、抑制効果は本医薬組成物の用量の増加と共に増大し、そして150〜300μg/mLの本医薬組成物は上記誘発剤によって誘発したヒト血小板凝集を完全に抑制できた。様々な誘発剤によって誘発したヒト血小板凝集の抑制に関する本医薬組成物のIC50値を表12に示した。
【0069】
先の実験は、由来の異なる血小板は本医薬組成物に対する感度に違いがあったが、多量の本医薬組成物がADP、アラキドン酸、リストセチンおよびアドレナリンによって誘発したヒト血小板凝集を完全に抑制できることを示した。本医薬組成物に潜在的臨床適用価値があることを示唆している。
【0070】
【表8】

【0071】
【表9】

【0072】
【表10】

【0073】
【表11】

【0074】
【表12】

【0075】
実施例3:血栓形成に対する本医薬組成物の生体内投与の抑制効果に関する研究
I.材料および方法
1.実験材料
ウィスターラット、雄、体重280〜320gは、軍事医学科学院の動物飼育センターによって提供された。チモサポニンのBIIおよびAIIIの組成物を、実施例5で挙げた製造法によって得た。ヘパリンをSigma Companyから購入した。生理的食塩水をBeijing Shuanghe Pharmaceutical Group Ltdから購入した。アスピリンはShijiazhuang Pharmaceutical group OUYI pharma Co.,Ltd.製であった。出血時間および凝固時間(PT、TTおよびAPTT)に関するキットはShanghai Taiyang Biotechnology Companyから購入した。
【0076】
2.実験法
2.1 動物の群分け
ウィスターラットを、5つの群、すなわちブランク対照群、アスピリン40mg/kg群、本医薬組成物10mg/kg、20mg/kgおよび40mg/kg群に無作為に分け、上記群の動物に連続胃内投与を1日1回、7日間与え、1回分の量は10mL/kgであり、7日目に投与1時間後に手術を実施し、そして、ブランク対照には同じ体積の蒸留水を投与した。
【0077】
2.2 ラットにおける動脈−静脈バイパス血栓形成の実験
参考文献の方法をわずかに改変した。ラットを、2%のペントバルビタールナトリウム液(30〜40mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、仰臥位で固定し、右総頚動脈と左外頚静脈を切り離し、3片のポリエチレン管を接続し、その一端を右総頚動脈内に挿入し、そしてそのもう一端を左外頚静脈内に挿入し、その2つの端部のポリエチレン管を25u/mLのヘパリン(生理的食塩水で新たに調製)で満たし、そして真ん中の一片には10cmの長さがあるが、生理的食塩水で満たしたその管内に、動脈−静脈バイパスを構築するように(計量した)長さ8cmの7#縫合糸を置く(注意:気泡は入れない)。20分後に管を取り外し、血栓を取り出し、湿式濾紙上で転がして、残った血液を取り除き、パーチメント紙上に置き、そして計量して湿重量を得た。その後、それを、乾燥器内に入れ、そして恒量に達するように60℃にて1時間乾燥させ、冷まし、そして計量して、血栓の乾燥重量を得た。
【0078】
2.3 PRPとPPPの調製
7日目の投与の1時間後に、ウィスターラットの雄をペントバルビタールナトリウム(30〜40mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、心臓から血液サンプルを採取し、3.8%のクエン酸ナトリウム(体積比:1:9)で抗凝固処理した。遠心分離を、800rpmかつ室温にて10分間実施し、多血小板血漿(PRP)である上部層を得、遠心分離を3000rpmかつ室温にて20分間実施し、乏血小板血漿(PPP)である上部層を得た。F−820血球計数器を使用して集計を実施し、そしてPRPをPPPで調整して、3.0×1011/Lの濃度にした。
【0079】
2.4 最大血小板凝集率の測定
Chronolog社製血小板凝集分析装置による試験:血小板懸濁液を血漿で調整して、3.0×1011/Lの濃度にし、血小板凝集分析装置を起動し、そしてPPPをブランク対照として使用して、100%になるように透過率を調整した。450μLの血小板懸濁液を、取り出し、撹拌子を用いて撹拌し、37℃にて3分間予熱し、そして誘発剤(50μL)であるADP作用物質(終濃度:20μM)と別々に加え、その後5分間、ダイアグラムを記録し、そして1分、3分および5分の凝集率、ならびに最大凝集率を読み取った。
【0080】
2.5 出血時間と凝固時間の測定
採血し、血漿を分離し、その後キットの仕様書に従って作業を実施した。
【0081】
II.実験結果
1.ラット動脈−静脈バイパス血栓形成に対する本医薬組成物の胃内投与の効果
本医薬組成物を胃内投与に使用し、投与用量は、1日1回、それぞれ40、20および10mg/kgであり、アスピリン40mg/kgが陽性対照であり、動脈−静脈バイパス血栓形成実験を投与後7日目に実施した。結果は、本医薬組成物の大用量群および中程度の用量群が対照群と比較して有意に低下した血栓乾燥重量および湿重量をもたらし、そこでは、大用量群の低下が最も有意であり、そして小用量群は対照群のものに比べて血栓重量の減少をもたらしたが、有意差はなかった。アスピリン陽性対照群は、大用量群のものよりわずかに高い血栓乾燥重量および湿重量をもたらし、かつ、対照群とは有意差があった。これらの結果は、本医薬組成物には生体内における血栓形成を抑制する効果があったことを示唆している。
【0082】
【表13】

【0083】
2.ラットにおける血小板凝集率および出血/凝固時間に対する胃内投与による本医薬組成物の効果
本医薬組成物の投与方法および群分け方法は第3部のものと同じであり、血液サンプルを投与後7日目にラットの心臓から採取し、そして同じバッチのADP誘発血小板凝集と出血/凝固時間(PT、TT、およびAPTT)を測定した。結果は、本医薬組成物の3種類の用量群すべてが対照群のものより低い血小板凝集率をもたらし、そして特定の用量効果を有することを示した。アスピリン群は、対照群のものに比べて低い血小板凝集率をもたらしたが、有意差はなかった。本医薬組成物で処理した群は、PT、TT、およびAPTTの面において対照群との比較において統計的な違いがなく;アスピリン群は、対照群との比較において有意に延長されたAPTTをもたらしたが、他の2種類の指標では対照群との比較において有意差はなかった。上記の結果は、本医薬組成物の生体内投与が血小板凝集を抑制し、血栓形成を妨げることができることを示したが、血液凝固時間に影響を及ぼさなかった。
【0084】
【表14】

【0085】
【表15】

【0086】
実施例4:大脳虚血ラットの運動および感覚機能に対する本医薬組成物の効果
虚血性脳血管疾患(脳血栓症を主に指す)の最も良好な治療的な時間窓は、発症後6時間以内であり、有益な治療法は傷害を最小限まで軽減し得る。しかしながら、大部分の大脳虚血患者は、睡眠状態などの安静状態の時に襲われるので、搬送と画像診断は処置の遅延、そして片麻痺や失語症などの後遺症を招くことが多い。したがって、脳の亜急性期および初期回復相中の処置と治療介入は特に重要である。実験では、中脳動脈塞栓(middle cerebral artery occlusion)(MCAO)モデルを大脳虚血性損傷ラットの運動機能に対する本医薬組成物の効果を研究するために使用し、臨床における本医薬組成物の合理的な適用のために、実験的根拠を提供した。
【0087】
I.材料および方法
1.実験動物
SDラット、雄、体重280〜300gをBeijing Weitonglihua Experimental Animals Technology Co., Ltd.、認証番号:SCXK (京) 2002-2003によって提供された。
【0088】
2.試験薬物
本医薬組成物を実施例6の方法に従って調製した。
3.実験方法
3.1 ラット中脳動脈塞栓再潅流モデルの調製
ラットを、10%の抱水クロラールの腹腔内注射によって麻酔し、仰臥位で固定し、皮膚を慣習的に殺菌処理し、前頚部を切開し、右総頚動脈、内頚動脈および外頚動脈を晒すように剥離し、予備使用のため縫合糸を巻き付け、外頚動脈と総頚動脈を結紮し、内頚動脈の遠位末端を動脈クリップでクリップし、外部頚動脈と内頚動脈の分岐に切り込みを入れ、そして球状に研磨した末端を持つ平滑なナイロン縫合糸(直径0.25mm、末端直径0.27mm、末端から18mmの位置に目印を付ける)を切り込みに挿入し、そして抵抗を感じたところで止め、虚血時間を記録し、中大脳動脈咬合によって誘発される大脳虚血を達成するためには、挿入深度は約18mmであった。その後切り込みを結紮し、ナイロン縫合糸を固定し、筋および皮膚を層ごとに抱合し、そして消毒した。2時間後に、ナイロン縫合糸をその末端が切り込み近くにくるまで引き出して、再潅流を実現させた。擬似群のラットは右総頚動脈の露出と剥離にかけただけであった。脳虚血および再潅流中の室温は23℃に保ち、そしてラットは従来の方法によってケージ内で飼育した。
【0089】
3.2 モデルの成功の判定
ジーア・ロンガ(Zea Longa)の5段階採点法(その参考文献を示してください)に従って、ラットが完全に覚醒した後に採点するが、その採点基準は以下のとおりであった:いずれの神経症状も見られない、採点0;左前足を完全に伸ばすことがでない、採点1;左側に回転する、採点2;歩行中、左側に転倒する、採点3;単独で歩くことができない、採点4。1〜3と採点されたラットを、続く試験のために選択した。
【0090】
3.3 群分けと投与
神経症状が1〜3と採点されたラットを5群:モデル群;本医薬組成物15mg/kg(少量)、30mg/kg(中程度)、60mg/kg(大量)投与群に分けた。安宮牛黄丸(Angong Niuhuang Wan)(その製造業者とバッチ番号を示してください)400mg/kgを陽性対照として使用した。擬似群およびモデル群には、0.5%のCMC溶液と等量を投与した。手術後3日目〜14日目、ラットに1日1回、胃内に投与した。
【0091】
3.4 四肢運動と感覚機能の検出
3.4.1 平均台(横木)歩行試験
平均台歩行試験[Feeney DM et al, Science, 1982, 217: 855-857]を運動の協調と統合欠陥を評価するために使用した。2.0cmの幅、120cmの長さおよび1cmの厚さの平均台を、地面から80cm上空中に水平に吊り下げ、平均台の一端を暗箱(長さ25cm、幅22cm、高さ18cm)につなげ、そして平均台を通り抜け、そして暗箱に入るようにラットを騒音で刺激した。採点基準:ラットは平均台上に留まることができない、採点0;ラットは平均台上に留まることができるが、動くことができない、採点1;ラットは通り抜けようとするが、平均台から落ちる、採点2;ラットは平均台上を歩くが、傷害した後肢の踏み外し回数が50%を超える、採点3;上記回数が2回以上であるが、50%未満である、採点4;1回だけの踏み外し、採点5;スムーズに通り抜ける、採点6。ラットを、虚血前に2日間訓練して、スムーズに平均台を通り抜ける方法を教えた。ラットを、それぞれ虚血後3日目、7日目、10日目および14日目に試験した。
【0092】
3.4.2 触覚刺激試験
体性感覚および細かい運動遂行機能を評価した(当該方法の参考文献を示してください)。同じ面積(0.7cm×0.7cm)の医療用テープを、前肢の腕の腹側にそれぞれ貼り付け、そして触覚刺激とみなしてテープをはがし取るまでの潜伏期間を記録する。ラットが20秒以内にテープをはがし取る動作を完了できるように、手術前に、1日1回、2日間ラットを訓練した。試験を虚血後3日目、7日目、10日目および14日目に実施した。
【0093】
3.5 試料の採取
試験後に、ラットを、10%の抱水クロラール(0.35g/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、左心室カニューレを挿入し、37℃の生理的食塩水そして予冷した4%のリン酸パラホルムアルデヒド緩衝溶液(pH7.2)を潅流し、ラットが固くなった後、それらを断頭し、そしてそれらの脳を摘出し、4%のパラホルムアルデヒド液中に浸漬し、そして24時間固定し、従来の方法によって脱水し、パラフィン蝋内に包埋し、2.2mm〜1.7mmの前部大泉門の組織ブロックを得、そして連続スライシングをその冠状断部位において実施した。脳薄片は3μmの厚さであった。
【0094】
3.6 組織病理学的染色および免疫組織化学的染色
HE染色および免疫組織化学的染色(Spツーステップ法)を各群の5つのケースについて実施した。200倍の光学顕微鏡下で、それぞれ薄片の梗塞領域周辺で3つの固定視野を選択し、写真撮影し、そしてその画像を、ソフトウェア、Image-Pro(v.5.1、Silver Spring、Maryland, USA)を使用することで分析して、皮質の運動および感覚野の神経細胞の形態学的構造を観察し、ならびに200倍視野(HP)内の神経細胞をカウントした、すなわちn/200HP;梗塞領域周辺の脳組織の中のVEGF陽性細胞(茶色の粒子に見える細胞質)の積分吸光度(IOD)と微小血管密度(MVD)を、Weidnerら[Weidner N. et al, N Engl J Med, 1991, 324: 1-8.]に従って計測した。あらゆる茶色に染色されている内皮細胞または内皮細胞クラスタを1つの微小血管とみなした。出現する血管腔を唯一の計算基準とはしなかった。1m2単位の領域内の微小血管数を計算し、3つの領域の平均を検査結果とみなした。
【0095】
3.7 統計的方法
Windows(登録商標)に好適なSPSS 13.0統計ソフトウェアを、データ統計および分析に使用し、そこではデータを(xの上にバー)±sで表し、そして群内の比較を一因子分散分析によって実施した。
【0096】
II.試験結果
1.大脳虚血再潅流ラットにおける運動および感覚機能に対する本医薬組成物の効果
1.1 大脳虚血再潅流ラットの平均台歩行能力に対する本医薬組成物の効果
擬似手術群のラットの平均台歩行能力に変化がなかったが、虚血群のラットの平均台歩行能力は有意に低下し、そして観察の期間中に正常レベルに回復しなかったことが、表16からわかる。
【0097】
30mg/kg、60mg/kgで本医薬組成物を投与した群、および安宮牛黄丸(Angong Niuhuang Wan)を投与した群は、ラット歩行能力の改善された回復をもたらし、そして手術後14日目に、モデル群との比較においてP<0.05、P<0.01であった。
【0098】
【表16】

【0099】
1.3 大脳虚血再潅流ラットにおける触覚刺激応答に対する本医薬組成物の効果
虚血群のラットの虚血性の反対側前肢の触覚感度および細かい運動遂行能力は有意に弱まった。それらは観察期間中、徐々に回復されるが、それでもそれらは14日後の正常群のものに比べて有意に低いままであった。モデル群との比較において、30mg/kg、60mg/kgの本医薬組成物を投与した群において、ラットがテープをはがすまでの潜伏期間は有意に短縮された。P<0.05。
【0100】
【表17】

【0101】
2.大脳虚血再潅流ラットにおける皮質の運動および感覚野のニューロンの傷害に対する本発明の組成物の効果
モデル群のラットの皮質の運動および感覚野、ならびに新線条体において、多くの神経細胞が変性し、死滅しており、並びが乱れており、そして細胞膜と核の不明瞭な輪郭特性、核凝縮、細胞体の縮小、ニューロン密度の減少、明らかなニューロンの消失、ふるい型のストロマの縮小をもたらしていた。モデル群との比較において、30mg/kg、60mg/kgの本医薬組成物を投与した群、および安宮牛黄丸(Angong Niuhuang Wan)群は、ニューロン数の有意な増加、より小さい変性および壊死組織領域、および軽い程度を示した。
【0102】
【表18】

【0103】
3.大脳虚血再潅流ラットの血管新生およびVEGF発現に対する本発明の組成物の効果
擬似手術群のラットでは、少量の茶色の微小血管、ならびにVEGF陽性ニューロンおよび内皮細胞をそれらの皮質および線条体で見ることができた;大脳虚血群のラットでは、多くのニューロンを皮質周囲および線条体梗塞の領域で見ることができ、膠細胞と内皮細胞の両方がVEGF陽性であり、点在または分散CD34陽性細胞およびそれによって形成された微小血管が梗塞周辺の領域に分布し、そして梗塞中心に向かって広がっていた。モデル群との比較において、30mg/kg、60mg/kgの本医薬組成物を投与した群、および安宮牛黄丸(Angong Niuhuang Wan)群は、有意に増強されたVEGF発現、有意に増強された微小血管数を示した;P<0.05、P<0.01。
【0104】
【表19】

【0105】
【表20】

【0106】
III.考察
ラットにおける病巣の脳組織虚血再潅流後に、結果的な傷害が、皮質の運動および感覚野ならびに新線条体の大量の神経細胞の変性および壊死、四肢の運動および知覚機能不全、運動協調およびバランス能力の有意な低下につながり、そのため、虚血組織への血液供給を確立することが、神経機能の回復のための重大なステップである。この研究では、本発明の組成物(30mg/kg、60mg/kg)を虚血後の亜急性期(3日目〜14日目)に投与し、その結果、ラットの運動および感覚機能を有意に改善した。モデル群との比較において、ラットの平均台歩行能力は改善し、テープをはがし取るまでの潜伏期間は短縮され、皮質の運動および感覚野におけるニューロンの傷害は緩和され、そして梗塞周辺領域のVEGF発現および微小血管数は増加した、P<0.05、P<0.01。要するに、本発明の組成物は、大脳虚血ラットにおいて運動および感覚機能の回復を促進し、そしてその推定される作用機序は脳のVEGF発現と微小血管の新生を促すことである。
【0107】
実施例5:本医薬組成物の調製
3kgの知母の新鮮な根茎を薄切片に切り、8Lの70%エタノールを加え、そして1時間浸し、還流下で抽出し、濾過し、残渣に70%のエタノール6Lを加え、二度還流下で抽出した。得られた抽出溶液を合わせ、エタノールを除き、そして減圧下で10Lまで濃縮した。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP825(日本のMitsubishi Company)をカラム(4L)に注入し、水で平衡化し、濃縮溶液を濾過した。濾液をクロマトグラフィーカラムに注入し、4BV(カラム体積の4倍)の水および4BVの20%のエタノールで溶出して、不純物を取り除き、その後、4BVの70%エタノールと3BVの95%エタノールで溶出し、溶出液の70%の部分からエタノールを除き、1000mLまで濃縮し、凍結乾燥して、81gの一次総サポニンを得た。9kgの知母の新鮮な根茎を、薄切片に切り、24Lの水を加え、そして自然発酵のために37℃の水浴で72時間暖めた。濾過し、濾液を捨て、残渣を、還流下、18Lのメタノールで1時間抽出した。ろ過し、残渣を再度、還流下、18Lのメタノールで二度抽出した。すべてのメタノール抽出溶液を合わせ、一部の溶剤を除いて、沈殿を得、その沈殿を乾燥させ、そして計量して、212gの粗精製のAIIIサンプルを得た。HPLC−ELSD法の計測は、一次総サポニン中のチモサポニンBII含有量が58.7%であり、そして粗精製のAIIIサンプル中のチモサポニンAIII含有量が55.4%であることを示した。80gの一次総サポニンおよび20gの粗精製AIIIを、均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法を使用して別々に計測したチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、40.9%および16.1%であり、そして紫外分光光度法によって計測された総チモサポニンは82.7%であった。
【0108】
実施例6:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの水を加え、1時間浸し、加熱し、1時間煎じ、そして濾過した;残渣に、36Lの水を加え、二度煎じ、濾過した。濾液を合わせ、減圧下で30Lまで濃縮し、遠心分離して上清を得、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP700(日本のMitsubishi Company)をカラム(18L)に注入し、水で平衡化した。あらかじめ調製された上清を、平衡化したSP700樹脂カラムに注入し、水で平衡化した。濃縮した抽出溶液を濾過し、濾液を注入し、水で洗浄して不純物を取り除き、その後4BVの25%エタノール、4BVの90%エタノールの順で溶出した。溶出液の90%の部分のエタノールを除き、5000mLまで濃縮した。その1000mLを取り出し、そして凍結乾燥して78gの一次総サポニンを得た。残った4000mLに、水を加えることによって15000mLに希釈し、その後20mLのβ−グルコシダーゼを加え、均一に混合し、その後50℃の水浴中において保温しながら24時間かけて変換した。変換後の溶液を遠心分離して、上清と沈殿を得、沈殿を80℃にて10時間乾燥器に入れて乾燥させて213gの二次総サポニンを得たが、それを粉状形態になるように粉砕した。一次総サポニンおよび二次総サポニン中のチモサポニンBIIおよびAIIIの含有量が52.6%および66.3%であることをHPLC−ELSD法によって別々に計測した。75gの一次総サポニンと180gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。別々にHPLC−ELSD外部標準二点法を使用して計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、47.1%および15.6%であり、紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンは88.5%であった。
【0109】
実施例7:本医薬組成物の調製
8kgの知母のひげ根を切り、48Lの65%エタノールを加え、1時間浸し、還流下で1時間抽出し、そして濾過した;残渣に、48Lの60%エタノールを加え、還流下で二度抽出し、濾過した。濾液を合わせ、減圧して20Lまでエタノールを除き、30%の濃度に達するまでエタノールを加え、静置して必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP700(日本のMitsubishi Company)をカラム(10L)に注入し、30%エタノールで平衡化した。あらかじめ調製された抽出溶液を、遠心分離し、得られた上清を、平衡化した樹脂カラムで注入し、4BVの30%エタノール、4BVの90%エタノールの順で溶出した。90%エタノール部分を回収し、エタノールを除き、4000mLまで濃縮した。その2000mLを取り出し、そして凍結乾燥して、165gの一次総サポニンを得た。残った2000mLを、水を加えることによって3200mLに希釈し、その後30mLのペクチナーゼ(NCB−PE40)を加え、均一に混合し、そして50℃の水浴中にて12時間かけて変換をおこなった。変換した溶液を、遠心分離して上清と沈殿を得、沈殿を80℃にて6時間乾燥器に入れて乾燥させて、119gの二次総サポニンを得た。一次総サポニン中のチモサポニンBIIおよびAIIIの含有量が19.2%および32.6%であることがHPLC−ELSD法によって計測され、そして二次総サポニンのチモサポニンAIIIの量は61.3%であった。100gの一次総サポニンと100gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、47.2%および9.7%であり、紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンは79.4%であった。
【0110】
実施例8:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの30%エタノールを加え、1時間浸し、還流下で1時間抽出し、そして濾過した;残渣に36Lの30%エタノールを加え、そして同様に還流下で二度抽出した。エタノール抽出溶液を合わせて、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP825(日本のMitsubishi Company)をカラム(18L)に注入し、30%エタノールで平衡化した。あらかじめ調製された上清を、平衡化したSP825樹脂カラムで注入し、4BVの30%エタノールで洗浄して不純物を取り除き、その後4BVの50%エタノールそして3BVの80%エタノールの順で溶出し、そして3BVの95%エタノールを使用してカラムを再生した。50%および80%エタノール溶出液を回収し、別々にエタノールを除き、減圧濃縮した。50%エタノール濃縮物を凍結乾燥して、113gの粗精製BIIを得、そして80%エタノール濃縮物を乾燥させて、221gの粗精製AIIIを得た。HPLC−ELSD法によって計測したときの粗精製BIIおよび粗精製AIII中のチモサポニンBIIおよびAIIIの含有量は、61.2%および55.9%であった。110gの粗精製BIIと180gの粗精製AIIIを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、32.4%および26.2%であり、紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンは83.3%であった。
【0111】
実施例9:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの水を加え、1時間浸し、加熱し、1時間煎じ、そして濾過した;残渣に、36Lの水を加え、同様に二度煎じた。抽出溶液を合わせ、そして減圧下で30Lまで濃縮し、エタノールを加えて30%の濃度にし、均一に振盪し、そして一晩静置し、遠心分離して上清を得、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂HP20(日本のMitsubishi Company)をカラム(18L)に注入し、30%エタノールで平衡化した。あらかじめ調製された上清を、平衡化したHP20樹脂カラムに注入し、4BVの30%エタノールで洗浄して不純物を取り除き、その後4BVの50%エタノールそして4BVの80%エタノールの順で溶出した。そして最終的にカラムを3BVの95%エタノールを使用して再生した。50%および80%エタノール溶出液を回収した。80%エタノール濃縮物を乾燥させて、125gの粗精製AIIIを得た。50%エタノール部分を、エタノールを除き、4000mLまで濃縮した。1500mLの50%エタノール濃縮物を取り出し、そして凍結乾燥して、153gの粗精製BIIを得た。溶液の残った2500mLを、水を加えることによって7000mLに希釈し、その後40mLの複合ぺクチナーゼ(NCB−PE200)を加え、均一に混合し、そして変換のために120rpm未満の50℃の振盪機に36時間入れた。変換した溶液を、遠心分離して沈殿を得、沈殿を80℃にて6時間乾燥器に入れて乾燥させて、183gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法を使用した計測により、粗精製BII中のチモサポニンBIIの量は53.2%であり、粗精製AIIIおよび二次総サポニン中のチモサポニンAIIIの含有量は、57.1%および64.3%であった。50gの粗精製BII、120gの粗精製AIII、および180gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、52.7%および7.8%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが85.8%であった。
【0112】
実施例10:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの50%エタノールを加え、1時間浸し、還流下で1時間抽出し、そして濾過した;残渣に36Lの50%エタノールを加え、そして同様に還流下で二度抽出した。抽出溶液を合わせ、減圧下で6Lまで濃縮し、3回の抽出のために水飽和n−ブタノールを加え、そしてすべてのn−ブタノール層を合わせ、濃縮して、551gの一次総サポニンを得た。500gの一次総サポニンを10000mLの水中に溶解し、110mLのセルラーゼ(AE80)を加え、均一に混合し、そして120rpm未満の50℃の振盪機に36時間入れて変換を行った。変換した溶液を、遠心分離して沈殿を得、その沈殿を80℃にて6時間乾燥器に入れて乾燥させて、283gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法を使用した計測によって、粗精製BII中のチモサポニンBIIの量は44.1%であり、二次総サポニン中のチモサポニンAIIIの量は62.3%であった。50gの一次総サポニンと280gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、53.7%および6.9%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが86.1%であった。
【0113】
実施例11:本医薬組成物の調製
6kgの知母の新鮮な根茎を、薄切片に切り、8Lの70%エタノールを加え、2時間浸し、加熱および還流下で1時間抽出し、そして濾過した。残渣に6Lの70%エタノールを加え、同様に還流中で二度抽出した。抽出溶液を合わせ、エタノールを除き、そして減圧下で10Lまで濃縮した。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP700(日本のMitsubishi Company)をカラム(6L)に注入し、20%エタノールで平衡化し、濃縮溶液にエタノールを20%になるように加え、濾過し、濾液をクロマトグラフィーカラムで注入し、4BVの20%エタノール、4BVの80%エタノール、そして3BVの95%エタノールの順で溶出し、80%エタノールのエタノールを除き、2000mLの小容積まで濃縮した。その500mLを取り出し、そして凍結乾燥して、56gの一次総サポニンを得た。残った1500mLを7000mLに希釈し、200mLのエムルシン溶液を加え、均一に混合し、そして変換のために120rpm未満の37℃の振盪機に24時間入れた。変換した溶液を遠心分離して上清と沈殿を得、沈殿を80℃の乾燥器に入れて乾燥させて、105gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法での計測によって、一次総サポニン中のチモサポニンBIIの量は43.3%であり、そして二次総サポニン中のチモサポニンAIIIの量は55.6%であった。50gの一次総サポニンと100gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、37.5%および14.7%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが73.5%であった。
【0114】
実施例12:本医薬組成物の調製
6kgの知母の新鮮な根茎を、薄切片に切り、8Lの60%エタノールを加え、2時間浸し、超音波発振器を使用して超音波下で0.5時間抽出し、そして濾過した。残渣に、6Lの60%エタノールを加え、同様に超音波下で二度抽出し、そして濾過した。抽出溶液を合わせ、そして減圧下で10Lまで濃縮し、アセトンを加えて20%として、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂AB−8(Tianjin Nankai Chemical Factory)をカラム(6L)に注入し、20%アセトンで平衡化し、あらかじめ調製された20%アセトン溶液をカラムに注入し、4BVの20%アセトン、4BVの80%アセトンの順で溶出し、80%アセトン部分を回収し、アセトンを除き、2000mLまで濃縮した。その500mLを凍結乾燥して、43gの一次総サポニンを得た。その残った1500mLを7000mLに希釈し、200mLのエムルシン溶液を加え、均一に混合し、そして37℃の水浴中にて保温しながら24時間かけて変換を行った。変換した溶液を、遠心分離して上清と沈殿を得、沈殿を、80℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させて、94gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法での計測によって、一次総サポニンおよび二次総サポニン中のチモサポニンBIIおよびAIIIの含有量は、それぞれ54.1%および62.3%であった。43gの一次総サポニンと90gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。チモサポニンAIIIおよびBIIの含有量、ならびに総チモサポニンを、HPLC−ELSD外部標準二点法および紫外分光光度法を使用して別々に計測したが、そこでのBIIは17.3%であり、AIIIは42.7%であり、そして総サポニンは83.4%であった。
【0115】
実施例13:本医薬組成物の調製
9kgの知母の新鮮な根茎を、薄切片に切り、24Lの40%アセトンを加え、2時間浸し、超音波発振器にて超音波下をかけて0.5時間抽出し、ろ過した。残渣に、18Lの40%アセトンを加え、同様に超音波下で二度抽出した。抽出溶液を合わせ、アセトンを除き、そして減圧下で10Lまで濃縮した。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂D−101(Tianjin Insecticide Factory)をカラム(12L)に注入し、水で平衡化した。濃縮した抽出溶液を、カラムに注入し、4BVの水、4BVの15%アセトン、4BVの70%アセトンの順で溶出し、70%アセトン部分を回収し、溶媒を除き、3000mLまで濃縮した。その500mLを凍結乾燥して、46gの一次総サポニンを得た。その残った2500mLを、11000mLに希釈し、54mLのβ−グルカナーゼ(NCB−10)を加え、均一に混合し、そして50℃の水浴中にて保温しながら20時間かけて変換を行った。変換した溶液を遠心分離して、上清と沈殿を得、沈殿を80℃の乾燥器に入れて乾燥させて、163gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法での計測によって、一次総サポニン中のチモサポニンBIIの量は56.2%であり、そして二次総サポニン中のチモサポニンAIIIの量は63.5%であった。40gの一次総サポニンと160gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、51.3%および11.2%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが87.5%であった。
【0116】
実施例14:本医薬組成物の調製
12kgの知母のひげ根を切り、48Lの水を加え、1時間浸し、超音波発振器にて超音波下を使用して0.5時間抽出し、濾過した;残渣に36Lの水を加え、同様に超音波下で二度抽出し、濾過した。濾液を合わせ、そして減圧下で20Lまで濃縮し、エタノールを加えて30%の濃度にし、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂D−101(Tianjin Insecticide Factory)をカラム(8L)に注入し、30%エタノールで平衡化した。あらかじめ調製された抽出溶液を、遠心分離し、得られた上清を、平衡化したカラムに注入し、4BVの30%エタノール、3BVの80%エタノール、そして3BVの95%エタノールの順で溶出し、80%エタノール部分を回収し、2000mLまで濃縮した。その400mLを凍結乾燥して、21gの一次総サポニンを得た。その残った1600mLに2000mLのアスペルギルス・ニガー培養液を加え、均一に混合し、そして37℃の水浴中にて保温しながら20時間かけて変換を行った。変換した溶液を遠心分離して、上清と沈殿を得、その沈殿を80℃の乾燥器に入れて乾燥させて、63gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法での計測によって、一次総サポニン中のチモサポニンBIIの量は44.3%であり、そして二次総サポニン中のチモサポニンAIIIの量は52.3%であった。20gの一次総サポニンと60gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、39.5%および11.2%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが71.8%であった。
【0117】
実施例15:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの水を加え、1時間浸し、加熱し、1時間煎じて、そして濾過した;残渣に水を加え、そして同様に二度煎じた。抽出溶液を合わせ、そして減圧下で30Lまで濃縮し、エタノールを加えて35%の濃度にし、均一に混合し、一晩静置し、遠心分離して上清を得、必要に備えた。沈殿を乾燥させ、保存した。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂HP20(日本のMitsubishi Company)をカラム(18L)に注入し、35%エタノールで平衡化した。あらかじめ調製された上清を、平衡化したHP20樹脂カラムに注入し、4BVの35%エタノールで洗浄して不純物を取り除き、その後4BVの85%エタノールで溶出し、最終的に3BVの95%エタノールを使用してカラムを再生した。85%エタノール溶出液を回収し、エタノールを除き、3000mLまで濃縮した。600mLの濃縮溶液を凍結乾燥して、52gの一次総サポニンを得た。溶液の残った2400mLを、1000mLの酢酸緩衝溶液(pH=4)を加えることによって希釈し、均一に混合し、そして変換のために120rpm未満の37℃の振盪機に24時間入れた。変換した溶液を遠心分離して、上清と沈殿を得、沈殿を80℃の乾燥器に入れて乾燥させて、166gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法を使用した計測によって、一次総サポニン中のチモサポニンBIIの量は50.2%であり、そして二次総サポニン中のチモサポニンAIIIの量は57.1%であった。40gの一次総サポニンと165gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、46.1%および10.4%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが81.5%であった。
【0118】
実施例16:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの水を加え、1時間浸し、加熱し、1時間煎じ、そして濾過した;残渣に水を加え、同様に二度煎じた。抽出溶液を合わせ、そして減圧下で30Lまで濃縮し、アセトンを加えて15%の濃度にし、均一に混合し、そして一晩静置し、遠心分離して上清を得、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP825(日本のMitsubishi Company)をカラム(18L)に注入し、15%アセトンで平衡化した。あらかじめ調製した上清を、平衡化したSP825樹脂カラムに注入し、4BVの15%アセトンで洗浄して不純物を取り除き、その後4BVの70%アセトンで溶出した。70%アセトン溶出液を回収し、溶媒を除き、5000mLまで濃縮した。1500mLの濃縮溶液を凍結乾燥して、87gの粗精製BIIを得た。溶液の残った3500mLに、硫酸を加えて2〜3のpHに調整し、均一に混合し、加水分解し、そして2時間変換した。変換した溶液を遠心分離して、上清と沈殿を得、沈殿を80℃の乾燥器に入れて乾燥させて、113gの二次総サポニンを得た。HPLC−ELSD法を使用した計測によって、一次総サポニン中のチモサポニンBIIの量は55.6%であり、そして二次総サポニン中のチモサポニンAIIIの量は46.3%であった。一次総サポニンと二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、26.7%および24.3%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが73.7%であった。
【0119】
実施例17:本医薬組成物の調製
2kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、16Lの50%エタノールを加え、1時間浸し、還流下で1時間抽出し、そして濾過した;残渣に、12Lの50%エタノールを加え、そして同様に二度抽出した。エタノール抽出溶液を合わせ、エタノールを除き、そして減圧下で10Lまで濃縮して上清を得、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP700(日本のMitsubishi Company)をカラム(8L)に注入し、水で平衡化した。あらかじめ調製された上清を、平衡化したSP700樹脂カラムに注入し、4BVの水、次いで4BVの30%エタノールで洗浄して不純物を取り除き、その後3BVの50%エタノールで溶出した。50%エタノール溶出液を回収し、エタノールを除き、減圧下で1500mLまで濃縮した。濃縮溶液を、C18カラムクロマトグラフィーに繰り返し通し、一定の割合の55%メタノールで溶出し、最終的に32gのBIIを得た(面積百分率法の含有量は95%超である)。24kgの知母の新鮮な根茎を、薄切片に切り、48Lの水を加え、37℃の水浴中にて保温しながら72時間かけて自然発酵させた。濾過後に、濾液を捨て、残渣を、還流下で1時間48Lのメタノールで抽出し、濾過し、その残渣を、同様に還流下、48Lのメタノールでさらに二度抽出した。メタノール抽出溶液を合わせ、一部の溶剤を除いて沈殿を得、その沈殿を、メタノールで繰り返し再結晶化して181gのAIIIの純粋な生成物を得た(面積百分率法の含有量は95%超である)(または上記メタノール抽出溶液をシリカカラムに注入し、クロロホルム−メタノール−水系で溶出して、AIIIの純粋な生成物を得た)。20gのBIIと180gのAIIIを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測される本医薬組成物中のチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、83.7%および9.2%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが99.4%であった。
【0120】
実施例18:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの40%エタノールを加え、1時間浸し、1時間加熱および還流して、そして濾過した;残渣に、36Lの40%エタノールを加え、同様に二度還流した。抽出溶液を合わせ、減圧下でエタノールを除いて6Lにし、その後エタノールを追加して20%にし、均一に混合し、そして一晩静置し、遠心分離して上清を得、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP700(日本のMitsubishi Company)をカラム(8L)に注入し、20%エタノールで平衡化した。あらかじめ調製された上清を、平衡化したSP700樹脂カラムに注入し、4BVの20%エタノールで洗浄して不純物を取り除き、その後3BVの90%エタノールで溶出した。90%エタノール溶出液を回収し、エタノールを除き、そして減圧下で1500mLまで濃縮し、凍結乾燥して、498gのサンプルを得た。それが本医薬組成物であった。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときのその中のチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、25.3%および12.5%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが56.4%であった。
【0121】
実施例19:本医薬組成物の調製
6kgの漢方薬知母の煎薬片を、しっかり粉砕し、48Lの40%エタノールを加え、1時間浸し、1時間加熱および還流し、そして濾過した;残渣に、36Lの40%エタノールを加え、同様に二度還流した。抽出溶液を合わせ、減圧下でエタノールを除いて6Lにし、その後エタノールを追加して25%にし、振盪によって均一に混合し、そして一晩静置し、遠心分離して上清を得、必要に備えた。前処理したマクロ多孔質の吸着性樹脂SP700(日本のMitsubishi Company)をカラム(8L)に注入し、20%エタノールで平衡化した。あらかじめ調製された上清を、平衡化したSP700樹脂カラムに注入し、4BVの25%エタノールで洗浄して不純物を取り除き、その後3BVの50%エタノールと85%エタノールで溶出した。50%および85%エタノール溶出液を回収し、エタノールを除き、減圧下で濃縮し、そして別々に凍結乾燥して、153gの一次総サポニンおよび316gの二次総サポニンを得た。150gの一次総サポニンと300gの二次総サポニンを均一に混合して、本医薬組成物を得た。HPLC−ELSD外部標準二点法で計測したときの本発明の医薬組成物中のチモサポニンAIIIおよびBIIの含有量は、27.6%および13.5%であり、そして紫外分光光度法によって計測したときの総チモサポニンが60.3%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓症の予防または処置のための医薬組成物であって、有効量のチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBII:
【化1】

並びに1または2以上の医薬として許容される賦形剤を含んでなり、チモサポニンAIIIの量がチモサポニンBIIの量以上であることを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
血栓症の予防または処置のための医薬組成物であって、有効量のチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIを含んでなり、ここでチモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIがチモサポニンの抽出物として前記医薬組成物中で使用され、チモサポニンAIIIの量がチモサポニンBIIの量以上であることを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項3】
チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比が、1:1〜10:1である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比が、2:1〜5:1である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比が3:1である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
カプセル剤、錠剤、顆粒剤または注射剤の形態で製剤化される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
血栓症および血栓関連疾患の予防または処置のための医薬の製造における、チモサポニンAIIIおよびチモサポニンBIIの使用であって、製造された医薬中のチモサポニンAIIIの量がチモサポニンBIIの量以上であることを特徴とする、前記使用。
【請求項8】
チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比が、1:1〜10:1である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比が、2:1〜5:1である、請求項6に記載の使用。
【請求項10】
チモサポニンAIIIとチモサポニンBIIとの重量比が3:1である、請求項6に記載の使用。
【請求項11】
前記血栓症が、冠動脈性心疾患、狭心症、心筋梗塞、脳出血、脳血栓症、脳梗塞症、肺塞栓症、糖尿病および血管炎から成る群から選択される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
以下のステップ:
知母の煎薬片、新鮮な根茎またはひげ根を、40〜70%のC1−C4アルコールまたは40〜70%のアセトンで抽出し、得られた抽出溶液を濾過し、濾液を回収し、遠心分離し、その後その上清をマクロ多孔質の吸着性樹脂カラムに注入し、水、20〜90%のC1−C4アルコールおよび10〜80%のアセトンから選択される溶媒を用いてグラジエントをかけて溶出し、そして50〜90%のC1−C4アルコール成分または35〜80%のアセトン成分を回収して、知母の一次総サポニンを得;
β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、エムルシンおよびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)または微生物から成る群から選択される、1または2以上の酵素を用いて、十分な期間をかけて成分を変換し、そして変換された溶液を遠心分離して、知母の二次総サポニンを得;そして
知母の一次総サポニンおよび二次総サポニンを特定の比率で混合して、本医薬組成物を得ること
を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項13】
以下のステップ:
知母の煎薬片、新鮮な根茎またはひげ根を40〜70%エタノールで抽出し、得られた抽出溶液を濾過し、そして濾液を回収し、減圧下で濃縮し、その後90〜100%のエタノールを加え、遠心分離し、その後上清をマクロ多孔質の吸着性樹脂カラムに注入し、20〜95%のエタノールでグラジエントをかけて溶出し、そして50〜90%のエタノール成分を回収して、知母の一次総サポニンを得;
β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、エムルシンおよびアスペルギルス・ニガーまたは微生物から成る群から選択される、1または2以上の酵素を用いて少なくとも1時間かけて成分を変換し、そして変換された溶液を遠心分離して、知母の二次総サポニンを得;そして
知母の一次総サポニンおよび二次総サポニンを特定の比率で混合して、本医薬組成物を得ること
を含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503821(P2013−503821A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527172(P2012−527172)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001009
【国際公開番号】WO2011/026259
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(509168807)インスティテュート オブ ラジエーション メディシン,アカデミー オブ ミリタリー メディカル サイエンシズ,ピーエルエー (4)
【氏名又は名称原語表記】Institute of Radiation Medicine,Academy of Military Medical Sciences,PLA
【住所又は居所原語表記】No.27,Taiping Road,Beijing,China
【Fターム(参考)】