説明

血液製剤、尿、および他の液体中の迅速かつ高感度な細菌の検出

【要約書】
本発明は、輸血用の血液、血小板、および他の血液製剤、ならびに尿を含む、液体中の細菌を検出する方法を提供する。本方法は、細菌を溶解させてATPを放出し、そのATPを検出することに基づくものである。真核細胞が大量のATPを含むことから、真核細胞の汚染が解決すべき問題である。したがって、本方法の一部は、細菌細胞を溶解させてATPを放出する前に、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞(例えば血小板)を分離、そのATPを、反応を触媒するATP消費酵素と接触させて、酵素触媒反応をモニタリングすることを伴う。一般に、この酵素はルシフェリンであり、反応はルシフェリンが発する検出光によってモニタリングする。本発明の他の方法では、液体試料を、細菌細胞を結合する担持表面と接触させ、細菌細胞を溶解させてATPを放出させ、ATPをATP消費酵素と接触させて、酵素触媒反応をモニタリングするステップ、ことを伴う。また、本方法を実行するための装置も開示する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国では、毎年900万以上の血小板ユニットが輸血されている。これらの血小板は機能の損失を避けるために室温で保管されるが、室温においては汚染菌であるあらゆる細菌が急速に増殖するため、細菌による汚染を被りやすい。血小板は、血小板減少とそれによる貧血、および化学療法に起因する出血のリスクの治療のため、化学療法を受けている癌患者にしばしば投与される。これらの患者はまた免疫無防備状態であり、したがって血小板の細菌汚染の危険に著しくさらされている。汚染された血小板による疾病および死亡の件数は、最近になってやっと集計されてきている。
【0002】
細菌汚染は、過去3年間において輸血に関連する死亡の第一原因である(1)。102〜103CFU/mlという低い細菌汚染レベルは、発熱や血液培養陽性を伴っていた。Johns HopkinsおよびDana−Farberによる研究が明らかにしたところによれば、血小板輸血後の敗血症の確率は、その局部およびその血小板が無作為のドナー由来か、単独のドナーによるアフェレーシスかにより、0.005%〜0.14%である。記録された33,829件の輸血のうち、全部で9件の敗血症が確認された(2、3)。血小板純度の調査では、敗血症の確率は細菌汚染の確率よりも低いようであった。血小板輸血による敗血症の確率は、さまざまな臨床的および規制的理由により、実際よりも低く示されてきたということが広く示唆されてきた。
【0003】
敗血症のリスクのため、FDAは5日間以上保管された血小板の廃棄を命じた。短期間(1984〜1986)においてFDAは血小板の7日間の保管を許可したが、細菌の増殖に関するデータが問題であると証明されるとこの規則を覆した(4)。
【0004】
血小板中の細菌の試験を行う利用可能な手段は時間がかかり過ぎるか、感度が十分でないか、もしくは非常に面倒である。血小板から微生物を培養するという方法がある。BACT/ALERTシステムはこのアプローチを用いる。しかし、これには1日から3日の培養期間が必要となる(5)。ほかに、濃厚血小板の試料をグラム染色し、細菌を視覚的に識別するという方法がある。しかし、これには多大な労力が必要となり、1mlあたりたった106コロニー形成単位(CFU)にしか反応しなかった(5)。アクリジン・オレンジ染色および蛍光顕微鏡検査法により、感度は104〜105CFU/mlに改善された(5)。血小板の目視観測による血小板の回転やpH分析、グルコース濃度の変化も使用されてきたが、しかしこれらは十分には高感度でなく、また確実でもない(5)。
【0005】
腸炎エルシニアの検出にはPCR法が用いられた。この方法は非常に高感度であったが、6時間かかり、ひとつの種のみに対して特異的であった(5)。
【0006】
蛍光抗体もまた、フローサイトメトリーによって細菌の検出に用いられた(5)。これは、高感度となる可能性はあるが、費用がかかり、かなりの時間を必要とし、また抗体が認識する種しか検出しない。
【0007】
細菌を検出するその他の方法は、ハイブリッド化して細菌rRNAとなる標識オリゴヌクレオチドの検出を伴った(6)。しかし、このプロセスには4時間を要した。
【0008】
細菌は細菌ATPのルミネセンス検出によって検出されてきた(7、米国特許番号3,933,592)。細菌は溶解されてそのATPを放出し、ATPはルシフェラーゼおよびルシフェリンとの反応によって検出され、光を発生する。しかし、真核細胞は細菌細胞よりもずっと多くのATPを持つため、真核細胞のわずかな汚染であっても信頼性の低い結果となる。ひとつの方法において、血液細胞はTRITON X−100によって溶解され、破片は細菌から密度勾配遠心によって分離され、勾配の細菌細胞層は抽出・処理されてすべての細菌を溶解し、ルシフェリン−ルシフェラーゼ測定によってATPの測定が行われた(8)。
【特許文献1】米国特許番号3,933,592
【非特許文献1】Epstein JS, Williams AE, Biswas R, Vostal J. FDA Update at the AABB Annual Meeting 10/15/2001 2001.
【非特許文献2】Morrow JF, Braine HG, Kickler TS, Ness PM, Dick JD, Fuller AK. Septic reactions to platelet transfusions. A persistent problem. JAMA. 1991;266(4):555−558.
【非特許文献3】Barrett BB, Andersen JW, Anderson KC. Strategies for the avoidance of bacterial contamination of blood components. Transfusion. Mar 1993;33(3):228−233.
【非特許文献4】Dumont L. Bacterial Contamination of Platelet Components. Lakewood: COBE BCT Inc.; 1996.
【非特許文献5】Mitchell K−M T, Brecher ME. 1999. Transfusion Medicine Reviews 13:132−144.
【非特許文献6】Chaney R., et al. 1999. Transfusion Medicine 9:177−188.
【非特許文献7】Hanna BA. 1986. Methods in Enzymology 133:22−27.
【非特許文献8】Nilsson LE et al. 1989. J. Bioluminescence and Chemiluminescence 3:101−104.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
血小板中の細菌を検出する新しい方法が必要である。その方法は費用がかからず、迅速で、臨床的に有意なすべての細菌種を検出し、高感度、すなわちごくわずかな数の細菌も検出できることが望ましい。その他の液体中における細菌を検出する新しい方法もまた必要である。これらの液体には、輸血用の全血、敗血症の診断のために患者から採取された全血、骨髄移植用の骨髄幹細胞、血清、血漿および尿が含まれる。人間の医学および獣医学の双方において、診断を目的とする、迅速な尿中における細菌の検出が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、濃厚血小板、他の輸血用血液製剤、診断を目的として分析される、患者から採取された血液、尿およびその他の液体中において、細菌を検出する方法を提供する。本方法を実行するための装置もあわせて提供される。本方法は、液体中の細菌の検出および定量化を5分未満で行うため、ベッドサイドおよび通院時における血中および尿中の細菌の検出を可能にし、血小板中または他の血液製剤における細菌検出を、患者に輸血する直前に行うことを可能にするものである。本方法はまた非常に高感度であり、一部の例では体液試料1mlあたり100未満の細菌細胞の検出を可能とする。本方法は種特異的ではなく、あらゆる細菌の定量化に用いることができる。
【0011】
ATP検出による液体中の細菌検出における主要な問題のひとつに、ほとんどの液体にもやはり体細胞または他の真核細胞(血小板を含む)が含有しており、これらは大量のATPを持つため、それよりも少量の、細菌中にて発見されるATPを遮蔽してしまうというものがある。本発明のいくつかの方法は、細菌を溶解させるに先立って細菌から無傷の真核細胞(血小板を含む)を分離し、真核細胞からのATP汚染の問題を解決することを含む。これは、細菌細胞が通過できるフィルターによる真核細胞のろ過によって、または細菌細胞を選択的に結合し、真核細胞を結合しない表面に細菌細胞を結合させることによって行われる。この結合表面はまた細菌細胞を濃縮する働きも備え、その検出の感度を向上させる。あるいは、無傷の真核細胞の除去にろ過ステップが用いられた場合、細菌細胞は細菌を捕捉するフィルターを用いた第二のろ過ステップによって濃縮されることができる。
【0012】
本発明の他の方法は、細菌を含有することが疑われる液体試料を細菌を結合する担持表面に接触させることを含むが、この接触ステップは必ずしも無傷の真核細胞から細菌を分離するために用いられるものではない。例えば、真核細胞はまず選択的に試料中に溶解され、つぎにこの試料は細菌結合表面に接触されて細菌を濃縮し、および/または破片および非細菌ATPからこれを除去する。
【0013】
よって、本発明のひとつの実施形態は、細菌を含有することが疑われる液体試料中の細菌を検出する方法であって、(a)無傷の真核細胞を、液体試料に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から分離すること、(b)細菌細胞を溶解させて細菌ATPを液体中に放出し、細菌溶解液を生成すること、(c)細菌溶解液中の細菌ATPをATP消費酵素に接触させて、酵素が反応を触媒するATP測定液を生成すること、および(d)ATP測定液中において酵素触媒反応をモニタリングすることを含む方法を提供する。
【0014】
本発明のその他の実施形態は、細菌を含有することが疑われる液体試料中の細菌を検出する方法であって、(a)細菌細胞を結合する担持表面に液体試料を接触させて細菌細胞を濃縮し、および/または細菌細胞を液体試料中の他の成分から分離すること、(b)細菌細胞を溶解させて細菌ATPを液体中に放出し、細菌溶解液を生成すること、(c)細菌溶解液中の細菌ATPをATP消費酵素に接触させて、酵素が反応を触媒するATP測定液を生成すること、および(d)ATP測定液中において酵素触媒反応をモニタリングすることを含む方法を提供する。
【0015】
本発明のその他の実施形態は、(a)液体試料中の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具を受ける保持手段、(b)液体試料中の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具から流体を受けるように構成される測定容器を形成する流体密封材料、および(c)測定容器に機能的に接続して測定容器内において放出された光を検出する光検出器を含む、液体試料中の細菌を検出するシステムを提供する。
【0016】
本発明のその他の実施形態は、(a)液体試料中の無傷の細菌細胞を結合する担持表面を受ける保持手段、(b)液体試料中の無傷の細菌細胞を結合するための担持表面から流体を受けるように構成される測定容器を形成する流体密封材料、および(c)測定容器に機能的に接続して測定容器内において放出された光を検出する光検出器を含む、液体試料中の細菌を検出するシステムを提供する。
【0017】
本発明のその他の実施形態は、細菌の含有が疑われる液体試料を細菌の検出のために調整するプロセスを提供するもので、このプロセスは、液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離し、その後の細菌検出試料中における細菌の検出のために実質上真核細胞を含まない細菌検出試料を生成し、細菌検出試料中における細菌の検出は、細菌の溶解および溶解された細菌から放出されたATPのモニタリングを含む。
【0018】
本発明のその他の実施形態は、液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離し、細菌細胞の検査を行う検査サンプルを生成するように構成される器具を提供する。前記器具は、(a)(b)に連結する液体容器、(b)細菌分離部であって(i)真核細胞を阻止し、細菌細胞を通過させる、1ミクロン未満の大きさの細孔によって無傷の細菌細胞を阻止する第二のフィルターと連結する第一のフィルターおよび、(ii)細菌細胞を結合し、真核細胞を結合しない担持表面から選択される細菌分離部を含んで構成される。前記器具を使用すると、液体試料は細菌分離部を通過して液体容器から流れ出て、液体試料中に存在した可能性のある細菌細胞を含む検査サンプルを生成し、この検査サンプルは実質上真核細胞を含まない。
【0019】
本発明のその他の実施形態は、(a)細菌細胞を含むことが疑われる試料を保持する容器を受けるように構成されるポートで、この容器は(i)液体通過可能フィルターおよび細菌細胞を結合する担持表面、または(ii)1ミクロン未満の大きさの細孔を有し、無傷の細菌細胞が通過不可能である液体通過可能フィルターを備える容器である、ポートを含む装置を提供する。本装置はまた、(b)ポートと流体連通し、および(c)測定容器と流体連通する通路を含む。本装置はまた、(d)測定容器中に放出される光を検出する、機能的に測定容器に接続する光検出器、および(e)機能的に通路および測定容器に接続し、通路を通じて測定容器に液体を送り込むように構成されるポンプを含む。本装置は、(I)容器をポート上で受けたときに、通路からの溶解液をポートおよび容器の液体通過可能フィルターを通じて送り込み、容器内おいて細菌を溶解し、これによって容器内において細菌ATPを含有する細菌溶解物を生成し、(II)容器の液体通過可能フィルターを通じて容器から細菌溶解物を通路内に送り出し、(III)細菌溶解物内の細菌ATPをルシフェラーゼおよびルシフェリンに接触させてATP測定液を形成し、および(IV)測定容器内におけるATP測定液からの発光をモニタリングする、ように構成される。
【0020】
本発明のその他の実施形態は、細菌の含有が疑われる試料中における細菌の有無を判定する装置を提供する。本装置は、(a)細菌細胞の含有が疑われる試料を受け取るための、(b)に連結される容器手段、(b)細菌細胞を溶解させて細菌ATPを液体中に放出させ、細菌溶解液を生成する、(c)に連結される手段、(c)細菌溶解液中の細菌ATPをATP消費発光酵素に接触させ、酵素が発光反応を触媒するATP測定液を生成する、(d)に連結される手段、(d)ATP測定液中の酵素から発生する光を検出する光検出器手段、を含む。
【0021】
本発明のその他の実施形態は、細菌細胞の含有が疑われる試料を受けるように構成され、
(a)細菌細胞を溶解させて細菌ATPを液体中に放出し、細菌溶解液を生成し、(b)細菌溶解液中の細菌ATPをATP消費酵素と接触させて、酵素が反応を触媒するATP測定液を生成し、(c)ATP測定液における酵素触媒反応をモニタリングするステップで構成されるステップを実行する装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
定義
本明細書において使用される「真核細胞」という用語は、液体中に含有されることが疑われる有核細胞および、自然発生的な膜に囲まれた真核細胞由来の、例えば血小板などのような、核を持たないATP含有体を含むものとする。
【0023】
本明細書において使用される「フィルター」という用語は、大きさによって粒子や分子の区別された通過を可能にする薄膜または器具を意味する。一般的に、これは特定の公称寸法をもつフィルターに細孔を有することによって達成される。例えば、本発明において特に関連のあるフィルターは、細菌を通過させるには十分に大きく、しかし血小板や関連する液体試料中に存在するその他の真核細胞は通過できないほどに小さい細孔を有している。細菌は一般的には直径が1ミクロンより小さく、血小板は直径約3ミクロンであり、核のある真核細胞は一般的に直径10〜200ミクロンである。
【0024】
本明細書において使用される「濃厚血小板」という用語は、哺乳動物に血小板を輸注する目的で、その哺乳動物に輸血するために使用される、血漿中において濃縮された血液分画を指す。
【0025】
「細菌を結合する」担持表面とは、接触の状況下において、その担持表面が液体中に存在する細菌の十分な分画を結合し、細菌の検出を可能にすることを意味する。一般的には、これはその液体中に存在する細菌の少なくとも50%または少なくとも90%の細菌である。
【0026】
「真核細胞を結合しない」担持表面とは、使用される接触の状況下において、液体中に存在することが疑われる真核細胞の結合が、表面に結合する細菌の検出を妨げないほど十分に低く、細胞が十分に除去されたものを意味する。一般的には、接触の状況下において、この担持表面は液体中の真核細胞の10%未満を、さらに好ましくは1%未満を、さらに好ましくは0.1%を結合し、また、検出不能な数の真核細胞を結合することがもっとも好ましい。
【0027】
「ATPを結合しない」担持表面とは、使用される接触の状況下において、細菌を溶解するのに先立って液体中に存在するATPの結合が、結合したATPの量が表面に結合した細菌の検出を妨げないほど十分に低いことを意味する。一般的には、接触の状況下において、この担持表面は液体中に存在するATPの10%未満を、さらに好ましくは1%未満を、さらに好ましくは0.1%を結合し、また、検出不能な量のATPを結合することがもっとも好ましい。
【0028】
説明
本発明の実施形態の一部は、細菌細胞を溶解してATPを放出するのに先立って無傷の真核細胞(例えば血小板)を無傷の細菌細胞から分離し、反応を触媒するATP消費酵素にATPを接触させ、および酵素触媒反応をモニタリングすることを含む。
【0029】
細菌は溶解されて細菌ATPを液体中に放出し、細菌溶解液を生成し、細菌溶解液中の細菌ATPをATP消費酵素に接触させて、酵素が反応を触媒するATP測定液を生成する。いくつかの実施形態においては、この酵素は存在し、細菌が放出される液体中において役割を果たすことができるため、細菌溶解液およびATP測定液は同一の液体である。いくつかの実施形態においては、例えばルシフェリンなどのその他の必要な補因子が細菌溶解液に加えられて酵素反応を進めさせ、ATP測定液を形成する。いくつかの実施形態においては、細菌溶解液は固定ATP消費酵素に接触し、ATP測定液を形成する。いくつかの実施形態においては、細菌溶解液はATP消費酵素を含有する分離された液体と混合され、ATP測定液を形成する。
【0030】
いくつかの実施形態においては、無傷の真核細胞は血小板を含む。
【0031】
いくつかの実施形態においては、細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、真核細胞を阻止し、細菌細胞を通過させるフィルターを用いて真核細胞をろ過し、細菌細胞を含有するろ過された液体試料を生成することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態においては、細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、細菌細胞は結合するが、真核細胞は結合しない担持表面に液体試料を接触させることを含む。
【0033】
担持表面は一般的に、すべてのまたはほとんどすべての型の細菌を結合する。いくつかの実施形態においては、担持表面はほとんどの種の細菌を結合する。いくつかの実施形態においては、担持表面は少なくとも5つの属の細菌を結合する。いくつかの実施形態においては、担持表面は以下のすべての細菌種を結合する。セレウス菌、枯草菌,ウェルシュ菌、コリネバクテリア種、大腸菌、エンテロバクタークロアカ、クレブシエラオキシトカ、座瘡プロピオンバクテリウム、緑膿菌、豚コレラ菌、セラチアマルセッセンス、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、化膿連鎖球菌および緑色連鎖球菌。
【0034】
血小板または他の真核細胞を結合することなしに細菌を結合する担持表面には、ポリカチオン(例:ポリエチレンイミンまたはポリリシン)から成るかまたは含有する表面を含む。ポリカチオンは非特異的に外面すなわち、すべてのまたはほとんどすべての細菌種の外膜または細胞壁を結合する。血小板を含む真核細胞を結合することなしに細菌を結合するビードは、GenPoint(ノルウェー、オスロ)から市販されている。GenPoint BUG TRAP C−versionは特に、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、バシラス属、ボルデテラ属、ボレリア属、クラミジア属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、大腸菌(E.coli)、エンテロバクター属、ヘモフィルス属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、リステリア菌、ミクロコッカス、マイコバクテリウム属、ナイセリア、プロピオン酸菌属、プロテウス属、シュードモナス属、サルモネラ菌、セラシア属、連鎖球菌、ブドウ球菌、およびエルシニア属と結合することが報告されている。
【0035】
細菌の濃縮に使用できるがさらに血小板または他の真核細胞を結合する結合表面には、ガラス、ポリアクリル酸、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、Arg−Gly−Aspオリゴペプチド、またはPhe−His−Arg−Arg−Ile−Lys−Ala(SEQ ID NO.1)オリゴペプチドを含む。これらのすべての表面はまた、非特異的に外面、すなわちすべてのまたはほとんどすべての細菌属の外膜または細胞壁に結合する。
【0036】
ひとつの実施形態において、担持表面は抗体を含有しない。
【0037】
ひとつの実施形態において、担持表面は複数個の細菌の属を認識する複数個の抗体を備える。ひとつの実施形態において、担持表面はセレウス菌、枯草菌,ウェルシュ菌、コリネバクテリア種、大腸菌、エンテロバクタークロアカ、クレブシエラオキシトカ、プロピオン酸菌属、緑膿菌、豚コレラ菌、セラチアマルセッセンス、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、および緑色連鎖球菌を集合的に認識する複数個の抗体を備える。
【0038】
本発明の方法のうちのひとつの実施形態において、この方法は、真核細胞をろ過するステップのあとに、細菌を結合する担持表面にろ過された液体試料を接触させることを含む。一部の実施形態において、担持表面は真核細胞を結合しない。これは真核細胞のろ過の予備となる、追加の精製ステップを提供する。しかし、真核細胞はこれらの実施形態における液体からすでにろ過されているため、一部の例においては、真核細胞はろ過された液体試料中に存在することが予期されないため、担持表面は細菌細胞に加えて、害することなく真核細胞を結合することもある。
【0039】
細菌を結合する担持表面を含む本発明の実施形態の一部において、この担持表面はATPを結合しない。
【0040】
ひとつの実施形態において、液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、細菌を結合する担持表面に液体試料を接触させるステップの前に、真核細胞を阻止し、細菌細胞を通過させるフィルターを使用して液体試料から真核細胞をろ過することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、細菌細胞は細菌ATPを液体中に放出し、細菌溶解液を生成するために担持表面に結合している間に溶解される。他の実施形態において、細菌細胞を溶解してATPを放出し、細菌溶解液を生成する前に、細菌細胞はまず溶離液を用いて担持表面から溶離される。溶離後、細菌細胞はただちに溶解されてもよいが、または濃縮するためにろ過されるか、またはその他の結合表面に結合され、細胞を溶解する前に濃縮される。
【0042】
特定の実施形態において、ATP測定液の量は液体試料よりも少ない。つまり、細菌細胞は溶解前に濃縮されている。この方法は次に、細菌細胞を溶解するステップに先立つ細菌細胞の濃縮を含む。これは、測定の感度を向上させ、液体試料中における低い濃度の細菌細胞を検出することを可能にする。特定の実施形態において、ATP測定液の量は、液体試料の量の少なくとも10分の1かまたは少なくとも100分の1である。
【0043】
細菌細胞は、さまざまな方法によって溶解することができる。これには、熱、(例:100°Cまでまたはそれ以上)または洗浄剤との接触、またはこれら二つの組み合わせが含まれる。他の方法は、酸または塩基との接触を含む。トリクロロ酢酸および過塩素酸ならびにおそらく他の酸は、細菌性アピラーゼを変性させる利点を有し、さもなければ放出されたATPを加水分解する(9、10)。細菌細胞はまた、高周波音、粒子との接触(例:ガラス玉)、凍結融解、有機溶媒(例:クロロホルム、フェノール、またはn−ブタノール)、酵素(例:リゾチーム)、またはフレンチプレスによっても溶解することができる。上記の溶解方法または溶解剤の二つまたはそれ以上の組み合わせが用いられることがある。
【0044】
細菌細胞の溶解に酸または塩基が用いられる場合、溶解ステップの後、酵素を働かせるために測定において使用されるルシフェラーゼまたはその他のATP消費酵素を加える前か、または加えると同時にpHが調整される必要があろう。ルシフェラーゼはまた、補因子としてMg2+を必要とするので、これもまた加える必要があろう。O2への暴露もまた必要である。ルシフェラーゼ反応を、Eはルシフェラーゼ、LH2はルシフェリンとして下記に示す。
E+LH2+ATP+Mg2+→E−LH2−AMP+Mg2++PPi
E−LH2−AMP+O2→E+CO2+AMP+oxyluciferin+photon
【0045】
光はATP濃度の指標として検出される。過剰なルシフェリンおよびルシフェラーゼが出現した場合、反応速度はATP濃度に比例する。全面的な正反応が強く望まれるため、有意な阻害因子がない場合は、反応速度に加え、生成された光の合計もATP濃度に比例する。光強度とATP濃度の間の相関関係は、ATP濃度の1000倍の範囲で示されている。全体の反応は、500ミリ秒未満という反応時間で非常に急速に起こる可能性があることが証明されている。(16)
【0046】
オキシルシフェリンは強力な非競争のルシフェラーゼ反応の阻害剤である。半飽和定数0.23μMの場合、ATP濃度が非常に低くてもオキシルシフェリンの蓄積はルミネセンスの急速な減少をもたらす可能性がある(17)。
【0047】
トリクロロ酢酸を含む一部の溶解剤は、ルシフェラーゼ反応からの光信号をいくぶん減少させることがある。阻害の量は測定によって確定することができ、例えば溶解に続く酸の中和であるTCAなどの一部の例では逆となる可能性もある。
【0048】
特定の実施形態において、酵素触媒反応をモニタリングするステップは、その反応によって発生する生成物をモニタリングするステップを含む。
【0049】
好適な実施形態では、その生成物は光である。
【0050】
光が生成物としてモニタリングされる好適な実施形態では、酵素がルシフェラーゼであり、その方法はルシフェラーゼとルシフェリンに細菌ATPを接触させることを含むものである。
【0051】
特定の実施形態において、液体試料は、哺乳動物の体液、例えば、血液、髄液、尿、または濃縮血小板等の血液製剤である。
【0052】
特定の実施形態において、血液製剤は、全血、血清、血漿、濃縮骨髄幹細胞、または濃縮赤血球である。
【0053】
1つの実施形態において、体液は尿である。また別の実施形態では体液は髄液である。
【0054】
特定の実施形態において、体液は哺乳動物への輸血用である。
【0055】
本発明の有利な点の一つは、細菌を検出する良好な感度を提供することである。特定の実施形態において、その方法は少なくとも三属の細菌を、液体試料1mlあたり10,000、1、000、または100細菌コロニー形成単位(CFU)のレベルで検出する。
【0056】
特定の実施形態において、次に示す種の細菌をそれぞれ1mlあたり10,000CFU検出する:セレウス菌、枯草菌、ウェルシュ菌、コリネバクテリウム属、大腸菌、エンテロバクタークロアカ、クレブシエラオキシトカ、座瘡プロピオン酸菌、緑膿菌、豚コレラ菌、セラチアマルセッセンス、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、 化膿連鎖球菌および緑色連鎖球菌。他の特定の実施形態の方法は、それら各種を1mlあたり1,000CFUまたは、それら各種を1mlあたり100CFUで検出する。
【0057】
真核細胞を阻止し細菌細胞を通過させるフィルターの特定の実施形態において、フィルターの細孔の大きさは1〜10ミクロン、2〜10ミクロン、または4〜10ミクロンである。他の特定な実施形態におけるフィルターの細孔の大きさは、約1ミクロン、約2ミクロン、1〜3ミクロン、1〜5ミクロン、約5ミクロン、または約10ミクロンである。
【0058】
本発明の一つの実施形態は、細菌を含有する疑いのある液体試料内の細菌の検出方法を提供し、その方法は(a)液体試料を、細菌細胞を結合させて細菌細胞を濃縮し、および/または液体試料内の他の成分から細菌細胞を分離させる担持表面と接触させ、(b)細菌細胞を溶解し細菌ATPを放出し、(c)反応を触媒するATP消費酵素と細菌ATPを接触させ、(d)酵素触媒反応をモニタリングすることを含む。
該方法の特定の実施形態は、細菌細胞を結合する担持表面と液体試料を接触させるステップの前に、液体試料に存在する可能性のある細菌細胞を実質的に溶解することなく、液体試料に存在する可能性のある真核細胞を選択的に溶解することを含む。例えば、室温、中性pH、および適度な濃度のTRITON−X−100は、細菌を溶解することなく血小板と他の体細胞を溶解する。
【0059】
真核細胞を選択的に溶解した後に細菌細胞を結合する担持表面と液体を接触させることによって、細菌ATPの測定を妨害する真核細胞酵素と破片から細菌細胞を分離することができるが、これには関連する真核細胞酵素と破片が細菌結合表面に結合しないことが条件である。特に、細菌結合表面がATPに結合しなければ効果的であり、これはバックグラウンドのATPが細菌細胞の溶解で放出されたATPの測定を妨害することがあるためである。また、アピラーゼは放出された時に細菌ATPを加水分解するので、溶解された真核細胞から放出されたアピラーゼを、細菌結合表面に結合させないことも効果的である。
【0060】
細菌を結合する担持表面と液体試料を接触させる方法の特定の実施形態において、その方法は担持表面に接触するステップに先立ち、真核細胞を阻止し細菌細胞を通過させるフィルターを用いて、液体試料に存在する可能性のある無傷の真核細胞を液体試料からろ過することを含む。
【0061】
特定の実施形態における担持表面は、細菌細胞に結合し真核細胞には結合しない。他の実施形態では、細菌と真核細胞の両方に結合する。
【0062】
細菌を検出する方法の特定の実施形態において、細菌を含有する疑いのある測定液体試料は5ml以下である。
【0063】
特定の実施形態においては、(i)細菌細胞を溶解し細菌ATPを液体に放出させ細菌溶解液を生成し、(ii)ATP消費酵素と細菌溶解液中の細菌ATPを接触させ、酵素が反応を触媒するATP測定液を生成し、(iii)ATP測定液における酵素触媒反応をモニタリングするステップが自動化されている。他の実施形態では、液体試料に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップも自動化されている。
【0064】
特定の実施形態において、前節に参照された溶解、接触およびモニタリングの自動化されたステップは、5分以内または2分以内に終了される。無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップも自動化されている特定の実施形態では、該ステップと溶解、接触およびモニタリングのステップの全てが5分以内または2分以内に終了される。
【0065】
本発明のもう一つの実施形態は、細菌を含有する疑いのある液体試料を細菌検出用に準備するプロセスを提供し、このプロセスは液体試料に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離して、その後の細菌検出試料からの細菌検出用に真核細胞を実質的に含まない細菌検出試料を生成し、またこの細菌検出試料からの細菌の検出は、細菌の溶解および溶解された細菌から放出されたATPのモニタリングとで構成される。
【0066】
特定の実施形態において、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、真核細胞を阻止し細菌細胞を通過させるフィルターを用いて真核細胞をろ過することを含む。
【0067】
より具体的な実施形態において、真核細胞をろ過した後のプロセスは、液体試料中の無傷の細菌細胞を濃縮することを含む。
【0068】
もう一つの実施形態において、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、細菌細胞に結合し真核細胞に結合しない担持表面と液体試料を接触させることを含む。
【0069】
本発明の一つの実施形態は、液体試料中の細菌を検出するシステムを提供し、そのシステムは(a)液体試料中の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具を受ける保持手段、(b)液体試料中の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具からの流量を受けるように構成された測定容器を形成する流体密封材料、および(c)測定容器に機能的に接続され、測定容器内で発光する光を検出する光検出器を含む。
【0070】
このシステムの実施形態は図1で表現される。システム1は、二つの連動部分11および13の間に設置されたフィルター12を有するろ過器10を含み、これを用いて無傷の真核細胞をフィルターで除去し、無傷の細菌細胞を通過させる。フィルターはチューブ部分20および21の末端に付着し、チューブ部分を設置するクリップ41で固定される。注射器51は、液体試料をシステム内に発射し、チューブ部分20、ろ過器10、チューブ部分21を強行させ測定容器22に送る。無傷の細菌細胞を溶解した後、測定容器のATPをルシフェリンとルシフェラーゼで反応させ光を発生させる。この光は光検出器30で検出される。光検出器は、光電子増倍管またはフォトダイオード等、光の検出に適した装置であればどれを用いても良い。
【0071】
無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具を保持する他の手段10は、器具を直接設置するクリップまたは容器の様な物を含むことができる。
【0072】
ろ過器10の代わりに、細菌に結合し真核細胞には結合しない担持表面を有す器具15をシステムに含むことができる。図2はこの様な器具15を表し、ビーズ16は細菌結合担持表面を有し、ポート17は図1のチューブ部分20と21の末端に接合するように構成される。液体試料が器具を通過する時に、無傷の細菌細胞は結合し、無傷の真核細胞は通過し、そして分離される。
【0073】
幾つかの実施形態におけるシステムは、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具を、器具の保持手段の中に含む。
【0074】
システムの実施形態の幾つかにおいて、システムは(d)無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具と流体連通する液体試料貯蔵器を受ける保持手段、および(e)液体試料貯蔵器、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具(分離器具)、および測定容器に機能的に連結され、液体試料貯蔵器から分離器具に、および分離器具から測定容器に液体を送り込むポンプを含む。図3はこのようなシステムを表す。受容器61に保持された試料貯蔵器62と保持された液体試料63が、試料貯蔵器から分離器具10に液体を送り込むポンプ71と測定容器22と共に示されている。
【0075】
幾つかの実施形態では、測定容器がルシフェラーゼを含む。例えば、ルシフェラーゼを測定容器の壁、または測定容器のビーズに固定化させることができる。もしくはルシフェラーゼを測定容器に溶液として添加することもできる。
【0076】
図4は、発明のシステムの実施形態の幾つかに含まれるさまざまな特徴を示す。システムは、細菌測定される液体試料63を含有し、保持手段61に保持される液体試料貯蔵器62を含む。また、図4のシステムは、洗浄液83を含有し、保持手段81に保持される洗浄液受容器82を含む。また、ルシフェラーゼ溶液93を含有し、保持手段91に保持されるルシフェラーゼ溶液受容器92も示されている。受容器に保持される溶液は、ポンプ71によってポンピングされた適切な溶液を通路20または110に出すマルチポート選択弁75に接続される。まず最初に、液体試料が通路20を通して真核細胞をろ過するろ過器10に送り込まれ、次に細菌を結合する担持表面を有す器具15へと送られる。液体試料中の細菌は担持表面に結合する。そして、洗浄液83が通路20および21を通して細菌結合器具15に送り込まれる。洗浄液が溶解剤を含有する場合は、洗浄液が器具15に結合した細菌を溶解し、通路23に送られる細菌溶解液にATPを放出する。
【0077】
ルシフェラーゼ溶液93は、マルチポート選択弁とポンプで通路110に送り込むことができる。マルチポート選択弁75およびポンプ71は、プロセッサ72によって制御することができる。Yジャンクション111では、ルシフェラーゼ溶液と細菌溶解液を混合してATP測定液を生成し、図4に流水式室として示される測定容器22に輸送する。測定容器内で発光された光は光検出器30で検出される。
【0078】
未加工または処理済データを光検出器から表示するために、表示部74を光検出器30に機能的に接続してもよい。ある実施形態のシステムは、検出器からのデータを処理する検出器に接続されたプロセッサ73を含む。
【0079】
図5に示すように、マルチポート選択器から出る通路が一つしかないシステムも可能である。ここで、幾つかの実施形態において、溶解剤を含有する洗浄液とルシフェラーゼ溶液が用いられる場合は、混合用積層区域および連続注入分析(SIA)(11〜15)による分析のように、通路を通してこれらの溶液をポンピングすることができる。121および122等の積層流動区域は、図6に示されるような口径の細いチューブで形成される。細菌ATPともう一つのルシフェラーゼを一つの区域が含有してもよい。この区域を隣接する未混合区域として測定容器22に輸送することができる。フリット等の障壁を越えた双方向または一方向の急速流で区域を混合することができる。任意的に、積層流動区域を気泡で分けることもできる。
【0080】
混合されると、ルシフェラーゼ触媒反応によって光が生成され、これが検出器によって検出される。SIAは測定容器内および検出器の前面でATPに接触するルシフェラーゼのためのメカニズムであり、ATPとルシフェラーゼの混合から検出器へ測定液を流す間に遅延の無いようにする。光を発生するルシフェラーゼ反応は急速に衰退するため、ATPとルシフェラーゼの混合から反応を検出する間に遅延の無いように、測定容器の中でルシフェラーゼとATPを混合することが効果的である。これによって、方法の感度が向上する。ATPとルシフェラーゼの初期接触を、測定容器の中または直前で作成する他の手段も可能である。ルシフェラーゼ溶液と細菌溶解液の流動を、図4に示すように測定容器の直前のYコネクション111で接続することによって、ルシフェラーゼ溶液をATP含有細菌溶解液で混合することができる。ルシフェラーゼは測定容器、例えば、測定容器の壁に固定することができ、これによって細菌溶解液のATPが測定容器中のルシフェラーゼに初期接触する。または、ルシフェラーゼ溶液とATP含有細菌溶解液を、図1に示すタイプの測定容器に別々に添加し、測定容器の中で混合してATP測定液を生成することもできる。
【0081】
しかし、ルシフェラーゼ反応の衰退時間は、溶解した細菌のATPにルシフェラーゼが接触して発光が検出されるまでの時間よりも5分または約10分以上も長いことが判明されている。しかし、遅延が少ないほど、細菌を検出する感度も高くなる。
【0082】
細いチューブを使った連続注入分析は、細菌および細菌ATPの測定で消費される液体の量を最小化する利点を有す。消費される試料液の量とルシフェラーゼ等の他の試薬の量を共に最小化することができる。
【0083】
本発明のシステムの幾つかの実施形態は、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具と測定容器との間の流体連通において無傷の細菌細胞を濃縮する器具を含む。無傷の細菌細胞を濃縮する器具は、例えば、細菌細胞を結合する担持表面、または細菌細胞の通過を阻止するフィルターを含む。器具15が細菌結合の担持表面を有す、上記の実施形態を図4に示す。
【0084】
本発明のシステムの幾つかの実施形態は、(d)無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具との流体連通における液体試料貯蔵器を受ける保持手段、(e)液体試料貯蔵器、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具(分離器具)、および測定容器に機能的に連結され、液体試料貯蔵器から分離器具、および分離器具から測定容器に液体を送り込むポンプ、(f)洗浄液受容器を受ける保持手段、および(g)無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具、測定容器、液体試料貯蔵器、および洗浄液受容器との流体連通におけるマルチポート選択弁であり、このマルチポート選択弁はある位置で液体試料貯蔵器から液体を送り、もう一つの位置で洗浄液受容器から液体を送るように構成されている。
【0085】
幾つかの実施形態では、プロセッサがポンプとマルチポート選択弁に作動可能に連結され、所定の量の液体を液体試料貯蔵器から分離器具、分離器具から測定容器、そして洗浄液受容器から測定容器に送達するようにプログラムされている。
【0086】
本発明の一つの実施形態は、液体試料中の細菌を検出するシステムを提供し、そのシステムは(a)液体試料中の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する器具を受ける保持手段、(b)液体試料中の無傷の細菌細胞を結合する担持表面からの流体を受けるように構成された測定容器を形成する流体密封材料、および(c)測定容器に機能的に接続され、測定容器内で発光する光を検出する光検出器を含む。
【0087】
特定の実施形態では、システムは保持手段(a)無傷の細菌細胞を結合する担持表面を含む。
【0088】
特定の実施形態では、担持表面はATPを結合しない。これには、細菌が溶解する前に存在するATP(つまり非細菌性の可能性があるATP)が、無傷の細菌から分離され、それにより細菌が溶解されるときに放出される細菌ATPから分離されるという利点がある。
【0089】
別の特定の実施形態では、担持表面は、液体試料に存在する可能性がある無傷の真核細胞を結合しない。
【0090】
別の実施形態では、担持表面は、無傷の真核細胞を結合する。これらの実施形態における真核ATPの汚染は、液体試料が担持表面に接触する前または後に真核細胞を選択的に溶解することによって、あるいは液体試料が担持表面に接触する前または後にろ過などにより真核細胞を除去することによって避けることができる。
【0091】
本発明の別の実施形態は、細菌細胞を含有する疑いのある試料を受けるように構成された装置を備え、以下を含むステップを実行する。(a)細菌細胞を溶解して液体中に細菌ATPを放出し、細菌溶解液を生成するステップと、(b)細菌溶解液中の細菌ATPをATP消費酵素と接触させて、酵素が反応を触媒するATP測定液を生成するステップと、(c)ATP測定液中の酵素触媒反応をモニタリングするステップ。
【0092】
特定の実施形態では、細菌細胞を含有する疑いのある試料は液体試料であり、また装置は、液体試料に存在する可能性がある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するさらなるステップを、細菌細胞を溶解するステップの前に実行する。
【0093】
特定の実施形態では、細菌溶解液およびATP測定液は、それぞれ1ml未満である。
【0094】
特定の実施形態では、装置はステップ(a)、(b)、および(c)を2分未満で実行する。
【0095】
本発明の別の実施形態の例が図7に示される。図7は、液体試料に存在する可能性がある無傷の細菌細胞から真核細胞を分離し、細菌細胞を検査するための検査試料を生成する器具141を示す。器具141は、本例では注射器である液体容器51を含む。注射器51は、無傷の細菌細胞を阻止する細孔サイズが1ミクロン未満の第2のフィルター143に連結する、真核細胞を阻止して細菌細胞を通過させる第1のフィルター145を含む細菌分離部146と連結する。図7におけるフィルター145および143は、フィルター器具144および142に保持される。フィルター器具は、器具をかみ合わせる雌雄のルアーロック端を含む。注射器51は、ルアーロックを第1のフィルター器具144に固定させるルアーロック取付具も含む。このように注射器は、一つの実施形態では細孔サイズが5ミクロンである第1のフィルター145を通して液体試料をポンピングするために使用される。これは血小板を含む真核細胞を阻止するが、細菌を通過させる。第2のフィルター143は、細菌を阻止し、細菌をこの第2のフィルターの外面上で濃縮させる細孔サイズを有する。このように、器具は、液体試料に存在している可能性のある細菌細胞を含有する検査試料を生成するが、検査試料は実質上真核細胞を含まない。
【0096】
無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離して検査試料を生成する器具の別の実施形態では、細菌分離成分は、無傷の細菌細胞を阻止する細孔サイズが1ミクロン未満の第2のフィルターに連結する、真核細胞を阻止して細菌細胞を通過させる第1のフィルターである。特定の実施形態では、第1のフィルターは、1〜10ミクロンの細孔サイズを有する。
【0097】
別の実施形態では、細菌分離部は、真核細胞を阻止する第1のフィルターと細菌細胞を阻止する第2のフィルターの組み合わせであり、器具は細菌細胞を結合する担持表面を有するビーズを含み、ビーズは第1と第2のフィルターの間に保持される。別の実施形態で、細菌を結合するビーズが、器具の2つのフィルター間に保持される場合、第2のフィルターは、それ自体は細菌を阻止しないが、細菌を結合するビーズを維持できるように、大きい細孔サイズを有する。この実施形態の第2のフィルターは、第1のフィルターと同種のフィルターとすることができる。
【0098】
器具の別の実施形態では、細菌分離部は、細菌細胞を結合して真核細胞を結合しない担持表面である。例えば細菌分離部は、細菌細胞を結合して真核細胞を結合しない面を有するビーズとすることができる。ビーズは2つのフィルター間に保持することができる。少なくとも第1のフィルターは、細菌を通すのに十分な大きさの細孔サイズを有さなければならない。フィルターは、真核細胞も通すのに十分な大きさであるが、ビーズを阻止するのに十分な小ささの細孔サイズを有するフィルターであってもよい。例えばフィルターは、ビーズの通過を阻止するのに十分な小ささの細孔を備える金網から成ることができる。
【0099】
本発明の別の実施形態は、図8に図解される装置を備える。この例の装置161は、細菌細胞を含有する疑いのある試料を保持する容器142を受けるよう構成されるポート131を含む。図8に示される例における容器142は、細孔サイズが1ミクロン未満であり、無傷の細菌細胞にとって通過が不可能である液体通過可能フィルター143を備えるフィルター器具である。フィルター器具は、図8の器具161の上部に示されるように液体試料をろ過し、実質上真核細胞を含まない検査試料を生成するために使用することができる。
【0100】
装置161は、ポートと流体連通し、また測定容器22と流体連通する通路20も有する。光検出器30は、測定容器に機能的に連結され、測定容器内に放射される光を検出する。
【0101】
装置は、通路および測定容器に機能的に接続され、通路を通して測定容器に液体を送り込むよう構成されるポンプ71も有する。
【0102】
装置161は、容器142がポート131上で受けたときに、通路からの溶解液93を、ポートおよび容器の液体通過可能フィルターを通してポンピングし、容器中の細菌を溶解することによって、容器142中に細菌ATPを含有する細菌溶解物を生成するよう構成される。図8では、溶解液93は、ルシフェラーゼおよびルシフェリンも含有する。この溶液中の溶解剤は洗浄剤とすることができ、そのためpHは中性に近く、ルシフェラーゼおよびルシフェリンと混合可能である。別々の溶解液およびルシフェラーゼ/ルシフェリン溶液も使用できる。図8では、溶解液93はマルチポート選択弁75を通して、通路20およびポート131に、そしてフィルター143上方に送り込まれ、フィルターの外側に存在する細菌を溶解し、容器142中に細菌溶解液を生成する。この例でのポンプは双方向ポンプなので、細菌溶解させるのに適切な時間のあと方向を逆転させ、この例ではルシフェラーゼおよびルシフェリンを含有することからATP測定液でもある細菌溶解液を通路20およびマルチポート選択弁75に逆の方向に通し、光検出器30の測定容器22にポンピングする。光検出器は、測定容器22中のATP測定液からの光の放射をモニタリングする。上記のように、装置161は、容器の液体通過可能フィルターを通して、細菌溶解物を容器から通路内へと送り込み、細菌溶解物中の細菌ATPをルシフェラーゼおよびルシフェリンに接触させてATP測定液を形成し、測定容器内のATP測定液からの光の放射をモニタリングする。
【0103】
いくつかの実施形態では、装置は廃液容器151も含み、液体は器具から廃液容器151にポンピングされる。
【0104】
このように、特定の実施形態では、(a)細菌細胞を含有する疑いのある試料を保持する容器を受けるように構成されたポートと、(b)ポートと流体連通し、(c)と流体連通する通路と、(c)(d)に機能的に接続される測定容器と、(d)測定容器内で放射された光を検出する光検出器と、(e)通路および測定容器に機能的に接続し、通路を通して測定容器に液体を送り込むように構成されたポンプとを備える装置は、ポート上で受ける容器をさらに備える。
【0105】
別の実施形態では、装置は、(f)通路および溶解容器と流体連通するマルチポート選択弁と、(g)マルチポート選択弁と流体連通する溶解液容器を受けるための保持手段と、(h)マルチポート選択弁と流体連通する廃液用容器を受けるための保持手段とをさらに備える。
【0106】
液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から真核細胞を分離し、細菌細胞を検査するための検査試料を生成する器具は、公開された、以下のステップを実行するシステムおよび装置に含まれてもよい。細菌細胞を溶解して細菌ATPを液体中に放出し、細菌溶解液を生成するステップと、細菌溶解液中の細菌ATPをATP消費酵素と接触させ、酵素が発光反応を触媒するATP測定液を生成するステップと、ATP測定液中の酵素が触媒する反応をモニタリングするステップ。この方法では、完全に自動化されたシステムおよび装置は、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離し、細菌細胞を溶解させて細菌ATPを放出させ、細菌ATPをATP消費酵素に接触させて酵素が反応を触媒するATP測定液体を生成し、ATP測定液中の酵素が触媒する反応をモニタリングする。利用者は細菌検査のための液体試料を提供するだけで、システムまたは装置が液体試料を処理し、試料中の細菌の有無を示す結果を提供し、また細菌が存在する場合、任意で試料中の細菌数を提供する。
【0107】
発明の他の実施形態は、細菌を含有する疑いのあるサンプル中での細菌の有無を決定する装置を提供する。装置に含まれるものは、(a)(b)に接続される、細菌細胞を含有する疑いのあるサンプルを受ける受容手段、(b)(c)に接続される、細菌溶解液を生成する液体に細菌ATPを放出する細菌細胞を溶解する手段、(c)(d)に接続される、酵素が発光反応を触媒するATP測定液を生成するATP消費発光酵素に細菌溶解液中の細菌ATPを接触させる手段、(d)ATP測定液中の酵素によって生産される光を検出する光検出手段である。
【0108】
細菌細胞を溶解する手段は、例えば、超音波処理器具またはビーズミルが可能である。しかし、最も好ましくは、本明細書で記述される細菌の疑いのあるサンプルへ溶解液を送達するポンプ、通路および液体貯蔵器のシステム、あるいはその同等物である。
【0109】
ATP消費発光酵素に細菌溶解液中の細菌ATPを接触させる手段は、細菌細胞を溶解する手段と同じ手段、または重複する手段でよい。好ましくは、ATP消費発光酵素を含有する液体を送達するポンプ、通路および液体貯蔵器のシステムである。溶解剤、ルシフェラーゼおよびルシフェリンを含有する単独の溶液が、無傷の細菌細胞に接触して、細胞を溶解し、同時に細菌ATPをルシフェラーゼに接触させる場合、両手段は同じであり、細菌溶解液およびATP測定液は同じである。
【0110】
本装置のいくつかの実施形態において、装置は、さらに、実質上真核細胞を含まない検査サンプルを生成するために、液体試料中に存在する無傷の真核細胞を液体試料中に存在する無傷の細菌細胞から分離する細胞分離手段から成り、その細胞分離手段は受容手段に接続される。
【0111】
発明は、以下の限定されない実施例によって説明される。
【実施例】
【0112】
実施例1
細菌結合ビーズを使用した細菌汚染に関する濃厚血小板の測定
【0113】
使用した測定方法は、以下の通り。
【0114】
1. 1.0mlの濃厚血小板サンプルは、GenPoint BUG TRAP C−versionのビーズ(GenPoint、オスロ、ノルウェー)の40マイクロリットルの充填ビーズカラムで、60秒間、双方向でポンピングした。
【0115】
2. カラムは、ハンクス液(0.185g/lのCaCl2、0.2g/lのMgSO4、0.4g/lのKCl、0.06g/lのKH2PO4、8g/lのNaCl、0.048g/lのNa2HPO4、1.5g/lの無水デキストロース、15.7g/lの一水和デキストロ−ス、4.77g/lのHEPES、1.365g/lの NaH2PO4)である洗浄バッファー、250マイクロリットルで洗い流した。
【0116】
3. 摂氏60度に加熱した水中の40マイクロリットルの0.1%トリクロロ酢酸は、双方向で10秒間カラム上を通過させ、細菌溶解液を作成した。
【0117】
4. ルシフェリン・ルシフェラーゼ溶液(10マイクロリットル、pH7.5の50mMのリン酸ナトリウム中に0.2μgのルシフェラーゼ、2μgのルシフェリンを含有)は、系列インジェクション分析および液体ゾーン(Global FIA、フォックス島、ワシントン州)の混合によって細菌溶解液と混合し、一斉に飛び込んでくる光を検出する発光検出器(光子計数器、Electon Tubes、英国)の前を通過したATP測定液を形成した。
【0118】
1つの濃厚血小板バッグは4つのサンプルに分け、それぞれPL732バッグに入れた。各バッグには、10CFU/mlの大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、またはセラチアマルセッセンスを植菌した。4つの対照バッグには細菌を植菌しなかった。室温で36時間後、各バッグから5mlを自動培養システム細菌ロード検出用のBACT/ALERT培養瓶へ移動した。BACT/ALERTを使用して、各サンプルの5mlは、標準好気性、標準嫌気性、活性炭好気性および嫌気性瓶に植菌した。
【0119】
各バッグの1.0mlのサンプルは、上記のように細菌ATPの試験も行った。
【0120】
結果を表1に示す。
【0121】
【表1】

【0122】
実施例2
真核細胞を細菌から分離し細菌を濃縮する器具
【0123】
5mlの注射器は、直径25mm、細孔サイズ5ミクロンのACRODISC SUPOR薄膜フィルター、直径15mm、細孔サイズ0.2ミクロンのACRODISC SUPOR薄膜フィルターへと順番に接続した。注射器およびフィルターは、ルアーロックコネクタを使用して、注射器〜5ミクロンフィルター〜0.2ミクロンフィルターの順番で接続した。濃厚血小板は、器具との処理に関して検査した。濃厚血小板(3ml)は、注射器に装着し、その後、2つのフィルターを通過させた。1番目のフィルターは血小板および他の真核細胞を除去し、2番目のフィルターは細菌を停止させ、濃縮すると予想される。細孔サイズ5ミクロンのフィルターである1番目のフィルターからのろ液は、血小板および他の真核細胞に関して、粒度測定および顕微鏡検査を行った。1番目のフィルターを通過した血小板や他の真核細胞は見られなかった。これは、1番目のフィルターの微細孔サイズは5ミクロンであり、血小板の直径は約3ミクロンであるため、少々意外であった。
【0124】
実施例3
コンピュータ制御細菌検出器具
【0125】
図8に示される器具が、基本的に作製された。C25Zモデルのマルチポート選択弁(Valco Instruments Co. Inc.、ヒューストン、テキサス州、www.vici.com)は、細穴チューブによって、洗浄液受容器(70%イソプロピルアルコール)およびリーシス/ルシフェラーゼ/ルシフェリン溶液貯蔵器(BACTITER−GLO試薬、Promega、マディソン、ウィスコンシン州、www.promega.com)に接続した。マルチポート弁も、MILIGATポンプ(Global FIA Inc.、サグ・ハーバー、ワシントン州、www.globalfia.com)に接続した。光検出器は、Electon Tubes,Inc.(ロッカウェー、ニュージャージー州、www.electrontubes.com)の光電子増倍管P25232モデルを使用した。弁、ポンプ、および光電子増倍管は、WINDOWS(登録商標) XPソフトウェア搭載のTPC−60SタッチパネルPCによって制御された。光電子増倍管の結果も、PCディスプレイに表示された。
【0126】
器具は、図8に示されるようにポート131も含み、それには、外面に細菌を含有する0.2ミクロンのフィルターを取り付けることができた。
【0127】
1つの実施例において、器具は、150μlのリーシス/ルシフェリン/ルシフェラーゼ溶液がサンプルポートを通過して、細菌を溶解するフィルターの上へポンピングするようプログラムされた。溶液は、30秒間フィルターの上に残した。その後、ポンプの送り込み方向を逆にして、フィルターから光電子増倍管の測定容器へ150μlの液体を送り込んだ。測定は、20秒間行われた。その後、溶液は廃棄物容器へと送り込まれた。そしてプログラムは、ラインを洗浄するため、2.5mlのイソプロピルアルコール溶液がラインを通してポンピングされるよう指示した。
【0128】
実施例4
実施例3の器具を使用した細菌汚染の測定
【0129】
血漿のサンプルは、特定の細菌の種類でスパイクした。その後、3mlの血漿は、60μlのGenPoint BUG TRAP C−versionのビーズ(GenPoint、オスロ、ノルウェー)で5分間培養した。その後、サンプルを細孔サイズ5ミクロンのACRODISC SUPOR薄膜でろ過し、ビーズを捕らえ、濃縮した。ビーズが付着したフィルターは、実施例3で記述した器具のポート上に装着した。実施例3で記述したプログラムを、ビーズ上の細菌を溶解し、溶液から発光を定量化するよう実行した。結果を下記の表2に示す。
【0130】
【表2】

【0131】
2つの連鎖球菌種のみが背景と同様な発光を生じさせたため、本発光検出法では検出されなかった。発明者は、これは細胞が十分に溶解されなかったためであり、本プロトコルで使用した30分よりも長い時間、同溶解試薬で培養することによって連鎖球菌が検出されるであろうと推測する。
【0132】
次に、濃厚血小板のバッグは、10cfu/mlの大腸菌でスパイクし、摂氏37度で培養した。サンプルは1時間ごとに採取し、本実施例の上記の方法によって細菌を測定して相対発光量を得るか、またはcfu/mlを決定するために定量的にめっきした。結果を図9に示す。本器具で決定した相対発光量の結果は、めっきによるコロニー形成単位の判定に近似した。
【0133】
これらの結果、グラム陽性、グラム陰性および嫌気性細菌を含む様々な細菌は、1000cfu/ml未満の感度、および通常は100cfu/ml未満で本方法によって検出可能であることが示された。
【0134】
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【0135】
特許、特許文献、およびその他の引用文献はすべて、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】液体中の細菌を検出する本発明のシステムを示す。
【図2】細菌細胞を結合する担持表面の手段を用いて無傷の真核細胞を無傷の細菌細胞から分離する器具を示す。
【図3】液体中の細菌を検出する本発明のその他のシステムを示す。
【図4】液体中の細菌を検出する本発明のその他のシステムを示す。
【図5】液体中の細菌を検出する本発明のその他のシステムを示す。
【図6】二つの積層地帯を有する管類を示す。
【図7】液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離し、細菌細胞の試験を行う検査サンプルを生成する器具を示す。
【図8】試料中の細菌を検出する装置を示す。
【図9】細菌数の尺度としての相対光ユニットを産出する本発明の方法によって確定される濃厚血小板中の細菌の増殖曲線と、濃厚血小板を平板培養して細菌コロニー形成単位を測定することで確定される成長曲線との比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌を含有する疑いのある液体試料中の細菌を検出する方法であって、
(a)前記液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップと、
(b)前記細菌細胞を溶解して液体中に細菌ATPを放出し、細菌溶解液を生成するステップと、
(c)前記細菌溶解液中の前記細菌ATPをATP消費酵素と接触させて、前記酵素が反応を触媒するATP測定液を生成するステップと、
(d)前記ATP測定液中の酵素触媒反応をモニタリングするステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記無傷の真核細胞は、血小板を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、前記真核細胞を阻止して細菌細胞が通過できるようにするフィルターを使用して、前記真核細胞をろ過し、前記細菌細胞を含むろ過された液体試料を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルターは、1〜10ミクロンの細孔サイズである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルターは、2〜10ミクロンの細孔サイズである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルターは、4〜10ミクロンの細孔サイズである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記真核細胞をろ過する前記ステップの後に、
前記ろ過した液体試料を、前記細菌を結合する担持表面と接触させるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記担持表面は、ガラス、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、Arg−Gly−Aspオリゴペプチド、またはPhe−His−Arg−Arg−Ile−Lys−Ala(SEQ ID No.1)オリゴペプチドを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記担持表面は、真核細胞を結合しない、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記細菌細胞は、前記担持表面に結合しながら溶解され、液体中に細菌ATPを放出して細菌溶解液を生成する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記細菌細胞を溶解させるステップの前に、前記担持表面からの前記細胞を溶出液に溶出させるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記真核細胞をろ過するステップの後に、1ミクロン未満の細孔サイズのフィルターを通して前記ろ過した液体試料をろ過するステップを含むプロセスによって、前記ろ過した液体試料中の前記細菌細胞を濃縮するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、
前記液体試料を、前記細菌細胞を結合して前記真核細胞を結合しない担持表面と接触させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記担持表面は、大部分の細菌種を結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記担持表面は、ポリカチオンを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、前記液体試料を、前記細菌を結合する担持表面と接触させるステップの前に、
前記真核細胞を阻止して前記細菌細胞が通過できるようにするフィルターを使用して、前記液体試料から前記真核細胞をろ過するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記細菌細胞は、前記担持表面に結合しながら溶解され、液体中に細菌ATPを放出して細菌溶解液を生成する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記細菌細胞を溶解させるステップの前に、前記担持表面から前記細菌細胞を溶出液に溶出させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記細菌細胞を溶解させるステップの前に、前記細菌細胞を濃縮するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ATP測定液の容量は、前記液体試料の容量の少なくとも10分の1である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記細菌細胞は、熱または洗浄剤、あるいはその両方によって溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記細菌細胞は、酸または塩基によって溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記細菌細胞は、音響エネルギーまたは粒子との接触、あるいはその両方によって溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記細菌細胞は、有機溶媒によって溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記細菌細胞は、酵素、凍結融解、フレンチプレスまたはその組み合わせによって溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記酵素触媒反応をモニタリングするステップは、前記反応によって生成される生成物をモニタリングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記生成物は、光である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記酵素はルシフェラーゼであり、前記方法は、前記細菌ATPおよびルシフェラーゼをルシフェリンと接触させるステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記液体試料は、哺乳類の体液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記体液は、血液製剤である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記血液製剤は、濃厚血小板である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記血液製剤は、全血、血清、血漿、濃厚骨髄幹細胞、または濃厚赤血球である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記血液製剤は、哺乳類への輸血用である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記体液は、尿である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記体液は、髄液である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記方法は、前記液体試料1mlにつき10,000の細菌コロニー形成単位レベルにおいて、少なくとも3つの細菌属を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は、前記液体試料1mlにつき1000の細菌コロニー形成単位レベルにおいて、少なくとも3つの細菌属を検出する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は、前記液体試料1mlにつき100の細菌コロニー形成単位レベルにおいて、少なくとも3つの細菌属を検出する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記方法は、セレウス菌、枯草菌、ウェルシュ菌、コリネバクテリウム種、大腸菌、エンテロバクタークロアカ、クレブシエラオキシトカ、挫瘡プロピオンバクテリウム、緑膿菌、豚コレラ菌、セラチアマルセッセンス、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、化膿レンサ球菌、および緑色連鎖球菌の細菌種1mlにつき10,000またはそれ以下の細菌コロニー形成単位を検出する、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記液状試料は、5ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(b)、(c)、および(d)は、自動化される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(b)および(c)は、前記細菌細胞を、溶解剤、ルシフェラーゼ、およびルシフェリンを含有する混合物と接触させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記自動化ステップは、2分未満で完了する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
細菌を含有する疑いのある液体試料中の細菌を検出する方法であって、
前記液体試料を、前記細菌細胞を結合する担持表面と接触させて、前記細菌細胞を濃縮する、および/または前記液体試料中の他の成分から前記細菌細胞を分離するステップと、
前記細菌細胞を溶解して液体中に細菌ATPを放出し、細菌溶解液を生成するステップと、
前記細菌溶解液中の前記細菌ATPをATP消費酵素と接触させて、前記酵素が反応を触媒するATP測定液を生成するステップと、
前記ATP測定液中の酵素触媒反応をモニタリングするステップと、を含む方法。
【請求項45】
前記液体試料を、細菌細胞を結合する担持表面と接触させるステップの前に、
前記液体試料中に存在する可能性のある細菌細胞を実質上溶解せずに、前記液体試料中に存在する可能性のある真核細胞を選択的に溶解するステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記液体試料を、細菌細胞を結合する担持表面と接触させるステップの前に、
前記真核細胞を阻止して前記細菌細胞が通過できるようにするフィルターを使用して、前記液体試料から、前記液体試料中に存在する可能性のある無傷の真核細胞をろ過するステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記担持表面は、細菌細胞を結合して真核細胞を結合しない、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
液状試料中の細菌を検出するためのシステムであって、
(a)液体試料中の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具を受けるための保持手段と、
(b)液体試料中の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための前記器具からの流体を受けるように構成された測定容器を形成する流体密封材料と、
(c)前記測定容器に機能的に接続して前記測定容器内に放射される光を検出する光検出器と、を備えるシステム。
【請求項49】
保持手段(a)内の無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具をさらに備える、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具は、細菌を結合して真核細胞を結合しない担持表面を備える、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具は、真核細胞を阻止して細菌細胞が通過できるようにするフィルターを備える、請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
前記測定容器内にルシフェラーゼをさらに備える、請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
(d)無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための前記器具と流体連通する液体試料貯蔵器を受けるための保持手段と、
(e)前記液体試料貯蔵器と、無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための前記器具(分離器具)と、前記測定容器とに機能的に連結して、液体を前記液体試料貯蔵器から前記分離器具に、および前記分離器具から前記測定容器に送り込むポンプとをさらに備える、請求項48に記載のシステム。
【請求項54】
洗浄液受容器を受けるための保持手段と、
前記無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具と、前記測定容器と、前記液体試料貯蔵器と、前記洗浄液受容器と流体連通するマルチポート選択弁であって、ある位置にある前記液体試料貯蔵器から、および別の位置にある前記洗浄液受容器から、液体を透過させるために構成される前記マルチポート選択弁とをさらに備える、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記ポンプおよび前記マルチポート選択弁に操作可能に連結し、前記液体試料貯蔵器から前記分離器具に、前記分離器具から前記測定容器に、および前記洗浄液受容器から前記測定容器に、所定の量の液体を供給するようにプログラムしたプロセッサをさらに備える、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記光検出器からの処理済または未加工のデータを表示するための、前記光検出器に機能的に連結するディスプレイをさらに備える、請求項48に記載のシステム。
【請求項57】
前記光検出器によって得られた光検出データを、関連する光ユニットに、または前記ディスプレイ上に表示される細菌細胞数に変換するようにプログラムしたプロセッサをさらに備える、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するための器具と前記測定容器との間を流体連通する、無傷の細菌細胞を濃縮するための前記器具をさらに備える、請求項49に記載のシステム。
【請求項59】
無傷の細菌細胞を濃縮するための前記器具は、細菌細胞の通過を阻止するフィルターを備える、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
無傷の細菌細胞を濃縮するための前記器具は、細菌細胞を結合する担持表面を備える、請求項58に記載のシステム。
【請求項61】
前記測定容器は、フロースルー細胞である、請求項48に記載のシステム。
【請求項62】
液状試料中の細菌を検出するためのシステムであって、
(a)液体試料中の無傷の細菌細胞を結合する担持表面を受けるための保持手段と、
(b)液体試料中の無傷の細菌細胞を結合する前記担持表面からの流体を受けるように構成された測定容器を形成する流体密封材料と、
(c)前記測定容器に機能的に接続して前記測定容器内に放射される光を検出する光検出器と、を備えるシステム。
【請求項63】
保持手段(a)内の無傷の細菌細胞を結合する前記担持表面をさらに備える、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記担持表面は、ATPを結合しない、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記担持表面は、前記液体試料中に存在する可能性のある無傷の真核細胞を結合しない、請求項63に記載のシステム。
【請求項66】
細菌を検出するための、前記細菌を含有する疑いのある液体試料を調製するためのプロセスであって、
前記液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離し、その後の細菌検出試料中の細菌の検出のために、実質上真核細胞を含まない、前記細菌検出試料を生成するステップを含み、
前記細菌検出試料中の細菌の検出は、前記細菌を溶解するステップと、前記溶解細菌から放出されるATPをモニタリングするステップとを含むプロセス。
【請求項67】
無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、前記真核細胞を阻止して前記細菌細胞が通過できるようにするフィルターを使用して、前記真核細胞をろ過するステップを含む、請求項66に記載のプロセス。
【請求項68】
前記真核細胞をろ過するステップの後に、前記液体試料中の前記無傷の細菌細胞を濃縮するステップをさらに含む、請求項67に記載のプロセス。
【請求項69】
無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離するステップは、前記液体試料を、前記細菌細胞を結合して前記真核細胞を結合しない担持表面と接触させるステップを含む、請求項66に記載のプロセス。
【請求項70】
細菌細胞を含有する疑いのある試料を受けるように構成された装置であって、
(a)前記細菌細胞を溶解して液体中に細菌ATPを放出し、細菌溶解液を生成するステップと、
(b)前記細菌溶解液中の前記細菌ATPをATP消費酵素と接触させて、前記酵素が反応を触媒するATP測定液を生成するステップと、
(c)前記ATP測定液中の酵素触媒反応をモニタリングするステップと、を含むステップを実行するように構成された装置。
【請求項71】
細菌細胞を含有する疑いのある前記試料は液体試料であり、前記装置は、前記細菌細胞を溶解するステップの前に、前記液体試料内に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から無傷の真核細胞を分離する更なるステップを実行する、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記細菌溶解液および前記ATP測定液は、それぞれ1ml未満である、請求項70に記載の装置。
【請求項73】
前記装置は、ステップ(a)、(b)、および(c)を2分未満で実行する、請求項70に記載の装置。
【請求項74】
前記装置は、前記ステップを2分未満で実行する、請求項71に記載の装置。
【請求項75】
(a)細菌細胞を含有する疑いのある試料を保持する容器を受けるように構成されたポートであって、前記容器は、(i)液体通過可能フィルターおよび細菌細胞を結合する担持表面、または(ii)細孔サイズが1ミクロン未満であり、無傷の細菌細胞への通過が不可能である液体通過可能フィルターを備える容器である、ポートと、
(b)前記ポートと流体連通し、(c)と流体連通する通路と、
(c)測定容器と、
(d)前記測定容器に機能的に接続して、前記測定容器内で放射された光を検出する光検出器と、
(e)前記通路および測定容器に機能的に接続し、液体を、前記通路を通して前記測定容器にポンピングするように構成されたポンプと、を備える装置であって、
(I)前記容器を前記ポート上で受けたときに、前記通路からの溶解液を、前記ポートおよび前記容器の前記液体通過可能フィルターを通して送り込み、前記容器中の細菌を溶解することによって、前記容器中に細菌ATPを含有する細菌溶解物を生成し、(II)前記容器からの前記細菌溶解物を、前記容器の前記液体通過可能フィルターを通して前記通路に送り込み、(III)前記細菌溶解物中の前記細菌ATPを、ルシフェラーゼおよびルシフェリンと接触させて、ATP測定液を形成し、(IV)前記測定容器中の前記ATP測定液からの光の放射をモニタリングするように構成された装置。
【請求項76】
前記装置は、前記ポート上で受ける前記容器をさらに備える、請求項75に記載の装置。
【請求項77】
前記通路および前記測定容器と流体連通するマルチポート選択弁と、
前記マルチポート選択弁と流体連通する溶解液容器を受けるための保持手段と、
前記マルチポート選択弁と流体連通する廃液用容器を受けるための保持手段とをさら備える、請求項75に記載の装置。
【請求項78】
液体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞から真核細胞を分離して、細菌細胞を検査するための検査試料を生成するように構成された器具であって、
(a)(b)に連結する液体容器と、
(b)細菌分離部であって、(i)細孔サイズが1ミクロン未満であり、無傷の細菌細胞を阻止する第2のフィルターに連結する、真核細胞を阻止して前記細菌細胞が通過できるようにする第1のフィルター、および(ii)前記細菌細胞を結合するが前記真核細胞を結合しない担持表面から選択される細菌分離部とを備え、
使用時に、前記液体試料は、前記液体容器から細菌分離部を通って流れ、前記液体試料中に存在した可能性のある細菌細胞を含有する検査試料を生成し、前記検査試料は、実質上真核細胞を含まない器具。
【請求項79】
前記細菌分離部は(i)であり、前記第1のフィルターは1〜10ミクロンの細孔サイズであり、前記第2のフィルターは1ミクロン未満の細孔サイズである、請求項78に記載の器具。
【請求項80】
前記細菌分離部は(i)であり、細菌細胞を結合する担持表面を有するビードが、前記第1および第2のフィルター間に保持される、請求項78に記載の器具。
【請求項81】
細菌を含有する疑いのある試料中の細菌の有無を決定するための装置であって、
(a)(b)に接続される、細菌細胞を含有する疑いのある試料を受けるための受容手段と、
(b)(c)に接続される、前記細菌細胞を溶解して細菌ATPを液体に放出し、細菌溶解液を生成するための手段と、
(c)(d)に接続される、前記細菌溶解液中の前記細菌ATPをATP消費発光酵素と接触させて、前記酵素が発光反応を触媒するATP測定液を生成するための手段と、
(d)前記ATP測定液中の前記酵素によって生じる光を検出するための光検出手段と、を備える装置。
【請求項82】
液体試料中の無傷の細菌細胞から前記液体試料中の無傷の真核細胞を分離して、実質上真核細胞を含まない検査試料を生成するための細菌分離手段であって、前記細菌分離手段は、前記受容手段に連結する細菌分離手段をさらに備える、請求項81に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−516632(P2008−516632A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537980(P2007−537980)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037449
【国際公開番号】WO2006/044895
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(507130048)メディカル イノヴェーションズ インターナショナル インコーポレテイッド (1)
【Fターム(参考)】