血管閉鎖コイル供給システム
送出ワイヤアセンブリは、近位の管状部分と、遠位のコイル部分と、当該アセンブリを少なくとも部分的に貫通して延びるルーメンとを含み、第1導電路を形成する送出ワイヤが、ルーメンを介して、送出ワイヤアセンブリの近位端から遠位のコイル部分よりも遠位の位置まで延びる。遠位の延長部は、犠牲分離領域を含む。送出ワイヤアセンブリはさらに、近位の管状部分と遠位のコイル部分によって形成される第2導電路を備える。送出ワイヤアダプタは遠位端を有し、この遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える。送出ワイヤアダプタの近位端は、送出ワイヤの遠位端に固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、一般に、人間または獣医学の患者の血管中の塞栓または血管閉塞を達成するための血管閉鎖デバイスを移植するためのシステムおよび供給デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管閉鎖デバイスまたはインプラントは、血管内の動脈瘤の治療を含む様々な理由により使用されている。一般的な血管閉鎖デバイスは、白金(または白金合金)ワイヤストランドを第1マンドレルの周りに巻き付けることにより形成される柔軟な螺旋状の巻きコイルの形式を採る。コイルの相対的な剛性は、特に、その組成、ワイヤストランドの直径、第1マンドレルの直径および第1マンドレルのピッチに依存することとなる。その後、コイルはより大きな第2マンドレルの周りに巻き付けられて、第2形状を与えるために熱処理される。例えば、Ritchart等に発行された米国特許第4,994,069号は、送出カテーテルのルーメンを介した配置のために引き延ばされたときに、直線的で螺旋状の第1形状をなし、送出カテーテルから放出されて脈管構造内に配置されたときに、折り曲げて屈曲した第2形状をなす、血管閉鎖コイルを開示している。
【0003】
脈管構造内の所望部位、例えば、動脈瘤に、血管閉鎖デバイスを運ぶために、先ず、操作可能なガイドワイヤを使用して、小さな外形の送出カテーテルまたはマイクロカテーテルをその部位に配置することが良く知られている。典型的には、マイクロカテーテルの遠位端は、担当医または製造業者の何れかにより、患者の具体的な生体構造に応じて、選択された予め成形された曲げ、例えば、45°、90°、“J字状”、“S字状”またはその他の曲げ形状とされて、その結果、ガイドワイヤが引き抜かれると、1またはそれ以上の血管閉鎖コイルを動脈瘤内で解放するために、所望位置に留まることとなる。その後、供給または“押込み”ワイヤは、その遠位端に連結された血管閉鎖コイルがマイクロカテーテルの遠位端開口部から動脈瘤内に延びるまで、マイクロカテーテルを通って進む。その後、血管閉鎖デバイスは、端部押込みワイヤから解放または“分離”され、押込みワイヤはカテーテルを介して引き戻される。その後、患者の具体的な必要性に応じて、カテーテルを介して別の閉鎖デバイスを押し込んで、同じ部位で解放することができる。
【0004】
押込みワイヤの端部から血管閉鎖コイルを解放する既知の方法の一つは、押込みワイヤの遠位端部に沿って位置する小さな露出区間または分離領域である電気分解で分離可能な結合部を使用することによるものである。分離領域は、典型的には、ステンレス鋼により形成されて、血管閉鎖デバイスの直近位に配置される。電気分解で分離可能な結合部は、電気分解し易く、血液またはその他の体液のようなイオン溶液の存在下で押込みワイヤに電荷が加えられたときに、分解する。このため、分離領域がカテーテルの遠位端から出て、患者の血管の血液プールに曝されると、導電性の押込みワイヤに加えられた電流が、患者の皮膚に取り付けられた電極または離れた部位で皮膚を通って挿入された導電性針との間で回路を形成し、分離領域が電気分解により崩壊する。
【0005】
電流閉塞分離スキームに関する分かってる問題点は、送出ワイヤと閉塞部材(例えば、コイル)との間の結合部が相対的に長くて硬いものとなり得ることである。例えば、送出ワイヤの遠位端と閉鎖コイルとの間の様々な中間コイルおよびPET結合部は、全体構造に剛性を付加する。送出ワイヤと閉鎖部材との間の硬い接合は、所望の位置に供給システムを正確に配置するのを困難にする。例えば、送出ワイヤまたは送出ワイヤ/コイル結合部の硬い部分は、コイルの解放時に、予め成形されたマイクロカテーテルに動脈瘤からの跳ね返りまたは反跳を引き起こす可能性がある。
【0006】
ある電流閉塞分離デバイスに関する分かってる別の問題点は、外部電源装置と電気分解によって分離可能なコイルとの間の電気回路を完成するために、別個のリターンまたは接地電極が使用されることである。この別個のリターンまたは接地電極は、患者の体の上に置かれるパッチ、または患者の鼠径部に挿入される針とすることができる。しかしながら、別個のリターンまたは接地電極の使用は、閉鎖コイルの分離時間のバラツキを引き起こす。このバラツキは、閉鎖デバイスとリターン電極との間に存在する異なる組織の種類および密度によりもたらされる。また、患者の鼠径部に配置される接地針により、不快または痛みを感じる患者もいる。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、閉鎖コイル供給システムは、複数の巻線を有する閉鎖コイルを含み、この閉鎖コイルが、近位端および遠位端を備え、この閉鎖コイルの近位端が複数の間隔の開いた巻線部(open pitched windings)を含む。このシステムはさらに、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを含み、このアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部(fingers)を備える。このシステムはさらに、送出ワイヤアダプタの近位端に固定された送出ワイヤを含み、この送出ワイヤが、その一部に、犠牲分離領域(sacrificial detachment region)を備える。犠牲分離領域は、電気エネルギ(例えば、電解分離領域)または熱エネルギ(例えば、熱分離領域)に応答して、壊れるか、さもなければ分解することができる。
【0008】
さらに別の実施形態によれば、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを使用して送出ワイヤを閉鎖コイルに固定するための方法であって、送出ワイヤアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える方法が開示される。この方法は、閉鎖コイルの近位端に間隔の開いた巻線部を形成するステップと、複数の指状部の周りに閉鎖コイルおよび送出ワイヤアダプタの少なくとも一方を回転させて、閉鎖コイルと送出ワイヤアダプタとの間の結合部分を形成するステップとを含む。閉鎖コイルと送出ワイヤアダプタとの間の結合部分は、エポキシのような接着剤の使用により固定されるものであってもよい。その後、送出ワイヤは、送出ワイヤアダプタの近位端に固定される。
【0009】
別の実施形態によれば、閉鎖コイル供給デバイスは、複数の巻線を有する閉鎖コイルを含み、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を有する。また、供給デバイスは、近位の管状部分および遠位のコイル部分と、少なくとも部分的にこれを貫通して延びるルーメンとを有する送出ワイヤアセンブリを含む。第1導電路を形成する送出ワイヤは、ルーメンを通って、送出ワイヤアセンブリの近位端から、遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる。遠位の延長部は、電解分離領域を含む。送出ワイヤアセンブリはさらに、近位の管状部分と遠位のコイル部分によって形成された第2導電路を含む。供給デバイスはさらに、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを含み、このアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える。送出ワイヤアダプタの近位端は、送出ワイヤの遠位部分に固定される。
【0010】
さらに別の実施形態では、閉鎖コイルを供給するためのシステムが、近位端および遠位端と、近位端と遠位端との間に延びるルーメンとを有する送出カテーテルを含む。送出カテーテルは、例えば、マイクロカテーテルを含むようにしてもよい。このシステムは、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアセンブリを含み、この送出ワイヤアセンブリが、近位の管状部分と遠位のコイル部分とを含む。送出ワイヤアセンブリの一部として構成された送出ワイヤは、第1導電路を形成して、送出ワイヤアセンブリの近位端から、遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延び、この遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる部分が、電解分離領域を有する。送出ワイヤアセンブリはさらに、近位の管状部分と遠位のコイル部分によって形成された第2導電路を含む。この第2導電路は、第1導電路から電気的に絶縁されている。
【0011】
一実施例では、このシステムは、複数の巻線を有する閉鎖コイルを含み、この閉鎖コイルが、近位端および遠位端を備え、この閉鎖コイルの近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む。このシステムはさらに、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを含み、この送出ワイヤアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える。送出ワイヤアダプタの近位端は、送出ワイヤの遠位部分に取り付けるように構成されている。このシステムは、第1導電路と第2導電路とを電気的に接続するように構成された電源装置を含む。電源装置は、送出ワイヤと、それに含まれる電解犠牲リンクとに電流を供給し、犠牲リンクは、体液(または洗浄溶液)の存在下で電解で溶解する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、一実施形態に係る閉鎖コイル供給システムを示している。
【図2】図2は、一実施形態に係る送出ワイヤアダプタの平面図である。
【図3】図3は、図2に示したタイプの送出ワイヤアダプタの遠位端に固定された送出ワイヤを示している。送出ワイヤアダプタの遠位端は、閉鎖コイルの近位端に固定されている。
【図4】図4は、代替的な実施形態を示している。図4に示すように、送出ワイヤは、図2に示したタイプの送出ワイヤアダプタの近位端に固定されている。送出ワイヤアダプタの遠位端は、閉鎖コイルの近位端に固定されている。この実施形態では。外側保持スリーブが閉鎖コイルの一部の外周の周囲に配置されている。
【図5】図5は、一実施形態に係る送出ワイヤアセンブリの断面図を示している。
【図6】図6Aは、一実施形態に係る送出ワイヤアセンブリの遠位端と閉鎖コイルとの間の結合部分の断面図を示している。図6Bは、送出ワイヤアセンブリの遠位端と閉鎖コイルとの間の結合部分の(図6Aに対して)垂直な断面図を示している。
【図7】図7Aは、図6AのA−A線に沿った閉鎖コイルの断面図を示している。図7Bは、図6Bに示される領域Bの詳細図を示している。図7Cは、図6Aに示される領域Cの詳細図を示している。
【図8】図8は、例示的な第2構成の一例が示された自然状態モードにある閉鎖コイルを示している。
【図9】図9Aは、単一の基板に形成される複数の送出ワイヤアダプタを示している。図9Bは、一実施形態に係る送出ワイヤアダプタを示している。
【図10】図10は、一実施形態に係る、送出ワイヤアセンブリから動脈瘤内への閉鎖コイルの分離を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、一実施形態に係る閉鎖コイル供給システム10を示している。このシステム10は、数多くのサブコンポーネントまたはサブシステムを含む。これらは、送出カテーテル100、送出ワイヤアセンブリ200、閉鎖コイル300および電源装置400を含む。送出カテーテル100は、近位端102と、遠位端104と、近位端102および遠位端104間に延びるルーメン106とを含む。送出カテーテル100のルーメン106は、送出ワイヤアセンブリ200の軸方向の移動を提供するためにサイズ設定されている。また、ルーメン106は、ガイドワイヤ(図示省略)の通路に合わせてサイズ設定されている。ガイドワイヤは、選択的には、適当な供給部位に送出カテーテル100を適切に案内するために使用することができる。送出カテーテル100は、高分子塗膜によりカプセル化または包囲されたステンレス鋼の平角線の編組シャフト構成を含むことができる。例えば、HYDROLENE(登録商標)は、送出カテーテル100の外側部分を被覆するために使用できる例示的な高分子塗膜の一つである。当然のことながら、このシステム10は特定の構造または種類の送出カテーテル100に限定されるものではなく、当業者に知られているその他の構造を送出カテーテル100に使用することもできる。
【0014】
内側ルーメン106は、当該ルーメン106内で軸方向に移動されるデバイスと送出カテーテル100との間の摩擦力を低減するために、PTFEのような潤滑塗膜で覆うことが望ましい。送出カテーテル100は、X線不透過材料から形成された1またはそれ以上の任意のマーカーバンド108を含むようにしてもよく、これは、画像技術(例えば、X線透視画像)を使用して患者の血管系内で送出カテーテル100の位置を特定するために使用することができる。送出カテーテル100の長さは、具体的な用途に応じて変化させることができるが、一般的には長さ約150cmである。当然のことながら、その他の長さの送出カテーテル100を本明細書に記載のシステム10とともに使用することもできる。
【0015】
送出カテーテル100は、図1で示すように、真っ直ぐな遠位端104を含むことができる。代替的には、遠位端106を、特定の幾何学的形状または姿勢に予め成形することもできる。例えば、遠位端104を、“C字”形状、“S字”形状、“J字”形状、45°の曲げ形状、90°の曲げ形状に成形することができる。ルーメン106の寸法は、送出ワイヤアセンブリ200および閉鎖コイル300の寸法に応じて変化させることができるが、一般的には、送出カテーテル100の直径ルーメン106(送出カテーテル100のI.D.(内径))は約0.02インチ未満である。幾つかの実施形態では、送出カテーテル100は、マイクロカテーテルとして当業者に知られている。図1には示されていないが、送出カテーテル100は、患者の血管内の適切な位置に送出カテーテル100を案内する助けとなる別個のガイドカテーテル(図示省略)とともに利用することができる。
【0016】
さらに図1を参照すると、システム10は、送出カテーテル100のルーメン106内の軸方向移動用に構成された送出ワイヤアセンブリ200を備えている。送出ワイヤアセンブリ200は、一般に、近位端202および遠位端204を含む。一実施形態では、送出ワイヤアセンブリ200は、近位の管状部分206と、遠位のコイル部分208とを含む。近位の管状部分206は、例えば、ステンレス鋼製のハイポチューブ(hypotube)から形成することができる。本明細書でより詳細に説明するように、遠位のコイル部分208は、両端を接した配置で近位の管状部分206に接合することができる。送出ワイヤアセンブリ200はさらに、送出ワイヤ210を含み、この送出ワイヤは、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202から、送出ワイヤアセンブリ200の遠位端204よりも遠位の位置まで、延びている。送出ワイヤ210は、送出ワイヤアセンブリ200の内側部分内に延在するルーメン212内に配置されている。
【0017】
送出ワイヤ210は、ステンレス鋼線材のような導電性材料から形成されている。送出ワイヤ210の近位端214(透視した状態で示される)は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202に位置する電気接点216に電気的に接続されている。電気接点216は、電源装置400の対応する電気接点(図示省略)と結合するように構成された金属ハンダ(例えば、金)から形成することができる。送出ワイヤ210の一部は、絶縁コーティング218で覆うことが望ましい。絶縁コーティング218にはポリイミドを含むことができる。一実施形態においては、送出ワイヤ210は、送出ワイヤアセンブリ200の遠位端204よりも遠位に延びる送出ワイヤ210の部分に位置する小領域220を除いて、その全長に亘り絶縁コーティング218に被覆されている。送出ワイヤ210のこの“露出”部分は、電源装置400からの電流の印加で溶解する電解分離領域220を形成する。
【0018】
代替的な実施形態では、電解分離領域220の代わりに、熱エネルギに応答して破壊または溶解するように、犠牲部分を構成することができる。例えば、分離領域220は、外部から加えられる熱エネルギまたは熱に応答して融解または溶解するポリマリンク(例えば、繊維)から形成することができる。ポリマリンクは、高抗張力および適当な融解温度を有する熱可塑性プラスチック材料(例えば、ポリエチレン)から形成することができる。熱に反応する犠牲部分は、分離領域220に適用するように構成される電気抵抗加熱コイルに反応するものであってもよい。そのような加熱コイルは、印加された電流に応答して熱を発生することにより作動する。代替的には、犠牲部分を破壊または溶解するために、電磁気またはRFエネルギを使用することができる。米国特許第7,198,613号は、様々な熱作動分離様式に関する更なる詳細を開示している。
【0019】
図1をさらに参照すると、送出ワイヤ210の遠位端222がフックまたは“J字”形状で終わっている。閉鎖コイル300は、送出ワイヤアダプタ230を介して送出ワイヤ210の遠位端222に固定されている状態で、図1に示されている。送出ワイヤアダプタ230は近位端232および遠位端234を含む。送出ワイヤアダプタ230の近位端232は、送出ワイヤ210の遠位端222を受け入れるために寸法調整された開口部236(図2で見られる)を含む。その際に、送出ワイヤアダプタ230の近位端232に送出ワイヤ210を固定するために、送出ワイヤ210のフック部が開口部236を通り抜けている。送出ワイヤアダプタ230の中間部と遠位端234は、複数の指状部または突起238を含む(図2で最も良く見られる)。送出ワイヤアダプタ230に設けられた指状部238は、閉鎖コイル300と結合するように構成されている。
【0020】
特に、閉鎖コイル300は、近位端302と、遠位端304と、それら端部間に延びるルーメン306とを含む。閉鎖コイル300は、一般に、白金または白金合金(例えば、白金タングステン合金)のような生体適合性金属から形成されている。閉鎖コイル300は、当該閉鎖コイル300が送出カテーテル100内に装着されるときに、一般に直線的な構成(図1に示すように)を含む。閉鎖コイル300は、解放すると、一般に、図8に示すような二次元構成または三次元構成を含む第2の形状をとる。当然のことながら、本明細書に記載のシステム10は、様々な構成を有する閉鎖コイル300とともに使用することができ、特定のサイズおよび構成を有する特定の閉鎖コイル300に限られるものではない。
【0021】
閉鎖コイル300は、複数のコイル巻線308を含む。コイル巻線308は、一般に、閉鎖コイル300のルーメン306に沿って配置された中心軸まわりの螺旋形となっている。図1で見られるように、閉鎖コイル300の近位端302は、間隔の開いた構成を有するコイル巻線308を備えている。例えば、幾つかの近位のコイル巻線308は、間隔の開いた構成(図1において矢印Aで図示)で間隔が広げられている。閉鎖コイル300の残りの遠位の部分は、図1で示されるような間隔の閉じた(クローズドピッチ)構成を有するようにしてもよい。当然のことながら、閉鎖コイル300の遠位の部分は、1またはそれ以上の間隔の開いたセグメントまたは領域を含むことができる(あるいは、閉鎖コイル300全体を間隔の開いた構成とすることもできる)。間隔の開いた近位のコイル巻線308は、送出ワイヤアダプタ230の対応する指状部238が取り付けられる結合部分にネジ式のような凹部を提供する。
【0022】
送出ワイヤアダプタ230の指状部238は、送出ワイヤアダプタ230に閉鎖コイル300を固定しているが、送出ワイヤアダプタ230と閉鎖コイル300の近位のコイル巻線308との間の結合部分に接着剤240を塗布することが望ましい。また、接着剤240は、送出ワイヤ210の遠位端222と送出ワイヤアダプタ230の近位端232との間で形成される接合部を被覆することもできる。接着剤240には、加熱またはUV放射を通じて固化または硬化されるエポキシ材料を含むことができる。例えば、接着剤240は、マサチューセッツ州ビルリカのフォーチュンドライブ14所在のエポキシテクノロジー社より入手可能なEPO−TEK(登録商標)353ND−4のような熱硬化性の2部エポキシを含むことができる。接着剤240は、送出ワイヤアダプタ230を封入して閉鎖コイル300とほぼ同心円状に配置するとともに、閉鎖コイル300の軸方向の引張荷重により引き起こされる接線運動を防止する。
【0023】
接着剤240を使用する代わりに、指状部238の何れかの側部において隣接するコイル巻線308を、レーザタック、スポット溶接または連続溶接で結合させることもできる。代替的には、コイル巻線308上の指状部238のレーザ溶融を、送出ワイヤアダプタ230を閉鎖コイル300に機械的に結合させるために使用することができる。
【0024】
引き続き図1を参照すると、近位の管状部分206および遠位のコイル部分208が供給システム10のリターン電極を形成する。その際に、送出ワイヤ210は、電気接点216と電解分離領域220との間の第1導電路242を形成する。この第1導電路242は、送出ワイヤアセンブリ200が電源装置400に動作可能に接続されるときに、電解回路のアノード(+)を構成することができる。第2導電路244は、送出ワイヤアセンブリ200の近位の管状部分206と遠位のコイル部分208とにより形成されている。第2導電路244は、第1導電路242から電気的に絶縁されている。第2導電路244は、電気回路のカソード(−)または接地電極を構成することができる。第2導電路244の電気接点246は、管状部分206の近位端に配置することができる。一実施形態では、管状部分206が第2導電路244の一部となるため、電気接点246が管状部分206の単に露出した部分となる。例えば、電気接点216に隣接する管状部分206の近位部分は、図5に示すように、ポリイミドのような絶縁コーティング207で覆うようにしてもよい。絶縁コーティングを有さない管状部分206の露出領域は、電気接点246を形成することができる。代替的には、電気接点246は、管状部分206の外部に形成されるリング型電極またはその他の接点とすることができる。
【0025】
電気接点246は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202が電源装置400内に挿入されるときに、電源装置400内の対応する電気接点(図示省略)と結合するように構成されている。第2導電路244の電気接点246は、当然のことながら、第1導電路242の電気接点216に対して電気的に絶縁される。
【0026】
さらに図1を参照すると、システム10は、電解分離領域220を含む送出ワイヤ210に直流を供給するための電源装置400を含む。導電性の流体(血液のような生理液または生理食塩水のような洗浄溶液を含む)の存在下では、電源装置400が作動すると、第1導電路242および第2導電路244内の回路に電流が流れる。数秒(一般的には約10秒未満)後、犠牲電解分離領域220が溶解し、閉鎖コイル300が送出ワイヤ210から分離する。
【0027】
電源装置400は、駆動回路402とともに、バッテリ(例えば、2本の単4電池)のような内蔵エネルギ源を含むこととなる。駆動回路402は、駆動電流を出力するように構成された1またはそれ以上のマイクロコントローラまたはプロセッサを含むことができる。図1に示す電源装置400は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202を受け入れて結合するように構成されたレセプタクル404を含む。レセプタクル404に近位端202を挿入すると、送出ワイヤアセンブリ200に設けられた電気接点216,246が、電源装置400に位置する対応接点(図示省略)と電気的に接続される。可視的表示器406(例えば、LED光)は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202が電源装置400内に適切に挿入されたときを示すことができる。バッテリを交換する必要がある場合に、別の可視的表示器407を作動させることもできる。電源装置400は、典型的には、犠牲電解分離領域220に電流を印加するためにユーザによって押下される作動トリガまたはボタン408を含む。典型的には、作動トリガ408が作動されると、分離が生じるまで、駆動回路402が自動的に電流を供給する。駆動回路402は、典型的には、ほぼ一定の電流(例えば、約1.5mA)を加えることにより作動する。
【0028】
電源装置400は、閉鎖コイル300が送出ワイヤ210から分離したときを検知するように構成された任意の検出回路410を含むことができる。検出回路410は、測定インピーダンス値に基づいて分離を識別することができる。可視的表示器412は、電源装置400が犠牲電解分離領域220に電流を供給しているときを示すことができる。別の可視的表示器414は、閉鎖コイル300が送出ワイヤ210から分離したときを示すことができる。分離の際に、可視的表示器414の代わりに、音響信号(例えば、ビープ音)または触知性信号(例えば、振動またはブザー)を発生させることができる。検出回路410は、閉鎖コイル300の分離を検知したときに、駆動回路402を無効にするように構成することができる。
【0029】
電源装置400は、旧来の非両極性の送出ワイヤアセンブリが電源装置400に挿入されたときをオペレータに示す別の可視的表示器416を含むこともできる。背景技術で述べたように、従来のデバイスは、別個のリターン電極を使用しており、それが典型的には、患者の鼠径部内に挿入される針の形態をしていた。電源装置400は、より古い非両極性の送出ワイヤアセンブリの何れかが挿入されたことを検知するように構成されている。そのような状況下において、可視的表示器416(例えば、LED)が点灯されて、ユーザは、別個のリターン電極(図1には示されていない)を電源装置400配置されたポート418内に挿入するよう、通知を受ける。
【0030】
図2は、一実施形態に係る送出ワイヤアダプタ230の拡大側面図を示している。図2は、送出ワイヤアダプタ230の近位端232に位置する開口部236を示している。図2は、送出ワイヤアダプタ230の遠位端234に形成された任意の開口部250も示している。任意の開口部250は、後でより詳細に示すように、伸張抵抗部材(stretch resistant member)に送出ワイヤアダプタ230の遠位端234を固定するために使用することができる。当然のことながら、開口部250は、完全に任意であり、実施形態によっては省略することができる。開口部236,250は、接着剤小滴を塗布することにより滑らかにすることができる。代替的には、開口部236,250の内面は、放電加工機(EDM)によって面取りすることができる。
【0031】
さらに、図2は、送出ワイヤアダプタ230に設けられた4本の別個の指状部238a,238b,238cおよび238dを示しており、このうち、2本の指状部238a,238bが送出ワイヤアダプタ230の一方の側に配置され、その他の2本の指状部238c,238dが他方の側に配置されている。その他の実施形態では、送出ワイヤアダプタ230の第1側に少なくとも1の指状部238を設けて、送出ワイヤアダプタ230の反対側の第2側に少なくとも1の別の指状部238を設ける限りは、異なる数量の指状部238を送出ワイヤアダプタ230に含むことができる。例えば、代替的な一実施形態では、第1側に2本の指状部238a,238bを有し、反対の第2側に1本の指状部(238cまたは238dの何れか)のみを有する送出ワイヤアダプタ230が使用される。この送出ワイヤアダプタ230の構成は、例えば、図9B(余分な材料が切り取られる前)に示される。
【0032】
送出ワイヤアダプタ230は、硬化ステンレス鋼304合金のような生体適合性の金属材料から形成することができる。当然のことながら、その他の金属材料も使用することができる。図9Aおよび図9Bに関してより詳細に説明するように、多数の送出ワイヤアダプタ230を単一のシートまたは基板から形成することができる。
【0033】
図2に示すような完成した送出ワイヤアダプタ230は、0.03インチ未満の長さを有することができる。例えば、一実施形態では、送出ワイヤアダプタ230は、約0.02インチから約0.03インチの範囲の長さを有することができる。送出ワイヤアダプタ230の厚さは、それが作られるシートまたは基板の厚さの関数となるが、一般的には、0.003インチ未満となる。当然のことながら、先に明示的に言及した寸法以外の寸法も本発明の範囲内に含まれることが予期される。
【0034】
図3は、送出ワイヤアダプタ230と閉鎖コイル300の近位端302との間に形成される結合部分を示している。図3に見られるように、送出ワイヤアダプタ230の指状部238a,238b,238c,238dが、間隔の開いた領域Aの隣接するコイル巻線308間に配置されている。送出ワイヤアダプタ230を閉鎖コイル300の近位端302に装着するために、近位端302の何本かのコイル巻線308(例えば、2−3本の巻線)が軸方向に引っ張られて、図3に示す間隔の開いた構成となるように開かれる。送出ワイヤアダプタ230と閉鎖コイルの一方または両方は、送出ワイヤアダプタ230が図3に示す装着された構成に進展するまで、指状部238a,238b,238c,238dの周りで回転される。その際に、指状部238a,238b,238c,238dは、隣接する間隔の開いた巻線部208間で結び合わされる。接着剤240を、指状部238a,238b,238c,238dとコイル巻線308との間の結合部分の上に塗布して、2構成要素間に堅くて固定的な結合を形成するようにしてもよい。図3は、送出ワイヤ210の遠位端222および送出ワイヤアダプタ230の近位端232を被覆する接着剤240のビーズを示している。粘着性のビーズ240は、コイル巻線308上に塗布された接着剤240から離すようにしても、あるいは代替的には、図1に示すように、2つを1の接合部に組合わせるようにしてもよい。
【0035】
図4は、間隔が開いた領域Aのコイル巻線308の外周のまわりに任意の外部スリーブ252が配置された、代替的な実施形態を示している。外部スリーブ252は、送出ワイヤアダプタ230からの閉鎖コイル300の移動を防ぐための閉込めスリーブとして機能する。スリーブ252は、金属材料、または十分な強度があればポリマから形成することもできる。スリーブ252は、接合部が軸方向に装着されるときに、コイル巻線308の半径方向の変位を防止する。
【0036】
図5は、一実施形態に係る送出ワイヤアセンブリ200の断面図を示している。この実施形態の同様の構成要素は、図1乃至図4に関して上述した符号と同じ符号で特定されている。送出ワイヤアセンブリ200は、近位端202および遠位端204を含み、約183cmと約187cmの間の長さ寸法を有する。送出ワイヤアセンブリ200は、近位の管状部分206および遠位のコイル部分208を含む。近位の管状部分206は、0.0125インチのOD(外径)と、0.00825インチのID(内径)とを有する304ステンレス鋼製のハイポチューブから形成するようにしてもよい。ハイポチューブ部分の長さは、約140cmと約150cmの間とすることができるが、その他の長さを使用することもできる。
【0037】
図5で見られるように、遠位のコイル部分208は、近位の管状部分206の遠位面に、端と端を接した形で接合されている。接合は、溶接またはその他の接合を使用して達成することができる。遠位のコイル部分208は、約39cmから約41cmの長さを有することができる。遠位のコイル部分208は、0.0025インチ×0.006インチのコイルを含むことができる。この寸法は、一般に、コイルワイヤを巻き付けて複数のコイル巻線を形成するのに使用される内側マンドレルを指し、そのコイルの公称IDである。遠位のコイル部分208の1またはそれ以上のコイル310は、X線不透過材料(遠位のコイル部分208の固体コイル310として図示)から形成することができる。例えば、遠位のコイル部分208は、ステンレス鋼コイルの部分(例えば、長さ3mm)を含み、その後に、白金コイルの部分(X線不透過性で、同様に長さ3mm)、その後に、ステンレス鋼コイルの部分(例えば、長さ3mm)などが続くものであってもよい。
【0038】
送出ワイヤ210は、第1導電路242を形成し、一端において電気接点216で終わり、且つ送出ワイヤアセンブリ200の遠位のコイル部分208よりも遠位に延びる。送出ワイヤ210は、電解分離領域220と、電気接点216に連結される近位部分とを除いて、ポリイミドのような絶縁コーティング218で覆われている。送出ワイヤ210は、約0.0125インチのOD(外径)を有することができる。中心コイル260は、遠位のコイル部分208内の定位置で送出ワイヤ210に取り付けられている。中心コイル260は、送出ワイヤ210を送出ワイヤアセンブリ200内の適切な位置に配置させるようにする。中心コイル260は、本明細書に記載の接着剤のような接着剤240を使用して、送出ワイヤ210に直接接合することができる。そのために、送出ワイヤ210および中心コイル260を遠位のコイル部分208に固定すべく、接着剤240が塗布される。接着剤240には、先により詳細に述べたEPO−TEK(登録商標)353ND−4が含まれる。
【0039】
引き続き図5を参照すると、外側スリーブ262またはジャケットが、近位の管状部分206の一部と遠位のコイル部分208を囲んでいる。外側スリーブ262は、近位の管状部分206と遠位のコイル部分208との間で形成される結合部分またはジョイントを被覆する。外側スリーブ262の長さは約50cmから約54cmの範囲とすることができる。外側スリーブ262は、ポリエーテルブロックアミド・プラスチック材料(例えば、PEBAX7233ラミネーション)から形成することができる。外側スリーブ262は、PEBAXとHYDROLENE(登録商標)の積層体を含むことができる。外側スリーブ262の外径(OD)は、0.02インチ未満とすることができ、0.015インチ未満がより望ましい。
【0040】
図5で見られるように、遠位のコイル部分208の小部分209は、外側スリーブ262を越えて遠位に露出される。使用中、この小部分209は、導電性流体に曝されて、回路の第2導電路244(例えば、リターンまたは接地パス)のための接点として機能する。この遠位に突出する部分は、約0.03インチよりも長くするようにしてもよい。電解分離領域220は、遠位のコイル部分208から約2ミリメートル(ある実施形態では、それ未満)遠位に配置されている。
【0041】
図6Aおよび図6Bは、一実施形態に係る閉鎖コイル300の垂直な断面図を示している。この実施形態では、伸張抵抗部材270は、一端が送出ワイヤアダプタ230に、他端が閉鎖コイル300の遠位端304にそれぞれ固定されている。伸張抵抗部材270は、図7Bで最も良く見られるように、遠位のキャップまたは端部272を含む。伸張抵抗部材270は、フィラメント等の形態を採るつなぎ部274をさらに含む。例えば、つなぎ部274は、縫合フィラメント材料のようなポリマ材料から形成することができる。閉鎖コイル300の組立中、伸張抵抗部材270は、遠位のキャップ271から延びる単なる単一のつなぎ部274として、当初は存在する。このつなぎ部274の自由端は、送出ワイヤアダプタ230の遠位端234に位置する開口部250から与えられる。その後、つなぎ部274の自由端は閉鎖コイル300の遠位端304に向けて引き戻され、そこで、遠位のキャップ272に接合されて、図6A、図6Bおよび図7Bに示すような完全な構造体が形成される。熱接合は、つなぎ部274の自由端を遠位のキャップ272に結合あるいは固定するために使用することができる。当然のことながら、その他の接合技術を、伸張抵抗部材270に使用される材料の性質に応じて使用することもできる。それらには、例えば、溶接、接着結合などが含まれる。しかしながら、伸張抵抗部材270の使用は完全に任意である。その他の実施形態では、伸張抵抗部材270を含まない閉鎖コイル300を利用することができる。
【0042】
図7Aは、図6Aの線分A−Aに沿った閉鎖コイル300の断面図を示している。伸張抵抗部材270の2つつなぎ部274は、閉鎖コイル300のルーメン306内に描かれている。図7Bは、図6Bの細部Bの拡大詳細図である。伸張抵抗部材270の遠位のキャップ272は、閉鎖コイル300の遠位端304に描かれている。図7Cは、図6Aの細部Cの拡大詳細図である。送出ワイヤアダプタ230は、閉鎖コイル300および送出ワイヤ210を連結するものとして示されている。
【0043】
図8は、自然な状態の閉鎖コイル300の例示的な一構成を示している。自然な状態において、閉鎖コイル300は、例えば、図6Aおよび図6Bに示す直線的な構成から、第2形状に変形する。第2形状には、様々な二次元形状および三次元形状を含むことができる。図8は、閉鎖コイル300の第2形状の単なる一例であり、その他の形状および構成も本発明の範囲内に含まれることが予期される。また、閉鎖コイル300は、従来より知られているように、閉鎖コイル300のすべてまたは一部の上に合成繊維を組み込むことができる。これら繊維は、コイル巻線308に直接取り付けるようにしても、あるいは織り構成または編組構成を使用して、閉鎖コイル300内に一体化するようにしてもよい。
【0044】
送出ワイヤアダプタ230は、以前の塞栓性コイル供給システムと比較して数多くの利点を提供する。先ず、送出ワイヤアダプタ230は、送出ワイヤ210と閉鎖コイル300との間の相対的に短いが、耐久性のある結合部分である。供給アセンブリには、反発(kick-back)を引き起こし易い、長くて堅い部分はもはや存在しなくなる。このため、送出ワイヤアダプタ230は、送出ワイヤアセンブリ200の反発または跳ね返りを低減または除去する。また、送出ワイヤアダプタ230は、親血管内への閉鎖コイル300の脱出のリスクを軽減する。さらに、送出ワイヤアダプタ230は、様々なサイズの閉鎖コイル300とともに使用することができる。様々な寸法の閉鎖コイル300を提供するために、送出ワイヤアダプタ230の寸法の比較的容易な調節を行うことができる。
【0045】
小さな寸法の送出ワイヤアダプタ230は、動脈瘤内にコイルのより大きなフレキシビリティを提供し、よって閉鎖コイル300の十分な展開に必要な送達力を低減する。最後に、送出ワイヤアダプタ230は、送出ワイヤ210と閉鎖コイル300間の強い接合を提供する。例えば、強い軸方向力(例えば、閉鎖コイル300が固定されるときに、送出ワイヤアセンブリ200および閉鎖コイル300を近位方向に引く力)は、送出ワイヤ210と閉鎖コイル300との間の接合部に不具合を引き起こすことはないであろう。むしろ、小さいコイルワイヤ直径のための閉鎖コイル300、または大きいコイルワイヤ直径のための送出ワイヤ/アダプタ接合部においてあらゆる故障モードが生じるように、送出ワイヤアダプタ230は十分に強くなっている。
【0046】
本明細書に記載のシステム10の別の利点は、実際の送出ワイヤアセンブリ200において導電路242,244のバイポーラ構成(bipolar arrangement)を利用するということである。患者の鼠径部領域内に挿入される別個の針電極を使用する必要性はもはや存在しなくなる。その代わりに、リターンまたは接地電極が送出ワイヤアセンブリ200と一体化される。これは、針電極の必要性だけではなく、電流が通過しなければならない大量の組織がもはや存在しなくなるため、より再現性のある分離時間をもたらす。
【0047】
送出ワイヤアダプタ230は、複数の送出ワイヤアダプタが形成されるシートまたは基板280を使用して製造することができる。図9Aは、単一の基板280に複数の送出ワイヤアダプタ230が形成されていることを示している。シートまたは基板280は、硬化ステンレス鋼304合金のようなステンレス鋼を含むことができる。その厚さは、送出ワイヤアダプタ230の望ましい厚さに応じて変化させることができるが、一般的には、0.003インチ未満である。送出ワイヤアダプタ230は、光化学エッチングによって基板280に形成することができる。当然のことながら、様々な送出ワイヤアダプタ230を、レーザ切断、EDM加工、電気メッキまたはその他のプロセスを通じて、基板280に形成することができる。図9Aおよび図9Bで見られるように、送出ワイヤアダプタ230には、当初は、送出ワイヤアダプタ230の片側に余分の材料282が設けられる。余分な材料282は、切れ目284に沿って切り取られ、それにより最終的な送出ワイヤアダプタ230が製造される。余分な材料を切り取るために、クリッパなどを使用するようにしてもよい。送出ワイヤアダプタ230に形成される鋭い縁部は、グリットブラスチング、タンブリングまたは電解研磨によって低減することができる。
【0048】
図10は、閉鎖コイル300が送出ワイヤアセンブリ200の送出ワイヤ210から離れているところを示している。具体的には、送出ワイヤアセンブリ200は、血管502内に位置する送出カテーテル100内に配置されている。送出カテーテル100は、典型的には、医師による透視下で進められて、定位置に配置される。定位置に配置したら、送出ワイヤアセンブリ200は、送出カテーテル100のルーメン106を介して遠位に進めることができる。送出ワイヤアセンブリ200が進められて動脈瘤500内に閉鎖コイル300が配置されたら、医師は、トリガ408を押下することにより電源装置400を起動させて、送出ワイヤ210に沿った電流の流れを引き起こすことができる。数秒後、導電性溶液(生理溶液または生理食塩水洗浄液)に曝された電解分離領域220は溶け去る。電源装置400は、電解分離領域220の破壊を検知して、電流の供給を停止することとなる。図10は、送出ワイヤアセンブリ200からの閉鎖コイル300の分離を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、一般に、人間または獣医学の患者の血管中の塞栓または血管閉塞を達成するための血管閉鎖デバイスを移植するためのシステムおよび供給デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管閉鎖デバイスまたはインプラントは、血管内の動脈瘤の治療を含む様々な理由により使用されている。一般的な血管閉鎖デバイスは、白金(または白金合金)ワイヤストランドを第1マンドレルの周りに巻き付けることにより形成される柔軟な螺旋状の巻きコイルの形式を採る。コイルの相対的な剛性は、特に、その組成、ワイヤストランドの直径、第1マンドレルの直径および第1マンドレルのピッチに依存することとなる。その後、コイルはより大きな第2マンドレルの周りに巻き付けられて、第2形状を与えるために熱処理される。例えば、Ritchart等に発行された米国特許第4,994,069号は、送出カテーテルのルーメンを介した配置のために引き延ばされたときに、直線的で螺旋状の第1形状をなし、送出カテーテルから放出されて脈管構造内に配置されたときに、折り曲げて屈曲した第2形状をなす、血管閉鎖コイルを開示している。
【0003】
脈管構造内の所望部位、例えば、動脈瘤に、血管閉鎖デバイスを運ぶために、先ず、操作可能なガイドワイヤを使用して、小さな外形の送出カテーテルまたはマイクロカテーテルをその部位に配置することが良く知られている。典型的には、マイクロカテーテルの遠位端は、担当医または製造業者の何れかにより、患者の具体的な生体構造に応じて、選択された予め成形された曲げ、例えば、45°、90°、“J字状”、“S字状”またはその他の曲げ形状とされて、その結果、ガイドワイヤが引き抜かれると、1またはそれ以上の血管閉鎖コイルを動脈瘤内で解放するために、所望位置に留まることとなる。その後、供給または“押込み”ワイヤは、その遠位端に連結された血管閉鎖コイルがマイクロカテーテルの遠位端開口部から動脈瘤内に延びるまで、マイクロカテーテルを通って進む。その後、血管閉鎖デバイスは、端部押込みワイヤから解放または“分離”され、押込みワイヤはカテーテルを介して引き戻される。その後、患者の具体的な必要性に応じて、カテーテルを介して別の閉鎖デバイスを押し込んで、同じ部位で解放することができる。
【0004】
押込みワイヤの端部から血管閉鎖コイルを解放する既知の方法の一つは、押込みワイヤの遠位端部に沿って位置する小さな露出区間または分離領域である電気分解で分離可能な結合部を使用することによるものである。分離領域は、典型的には、ステンレス鋼により形成されて、血管閉鎖デバイスの直近位に配置される。電気分解で分離可能な結合部は、電気分解し易く、血液またはその他の体液のようなイオン溶液の存在下で押込みワイヤに電荷が加えられたときに、分解する。このため、分離領域がカテーテルの遠位端から出て、患者の血管の血液プールに曝されると、導電性の押込みワイヤに加えられた電流が、患者の皮膚に取り付けられた電極または離れた部位で皮膚を通って挿入された導電性針との間で回路を形成し、分離領域が電気分解により崩壊する。
【0005】
電流閉塞分離スキームに関する分かってる問題点は、送出ワイヤと閉塞部材(例えば、コイル)との間の結合部が相対的に長くて硬いものとなり得ることである。例えば、送出ワイヤの遠位端と閉鎖コイルとの間の様々な中間コイルおよびPET結合部は、全体構造に剛性を付加する。送出ワイヤと閉鎖部材との間の硬い接合は、所望の位置に供給システムを正確に配置するのを困難にする。例えば、送出ワイヤまたは送出ワイヤ/コイル結合部の硬い部分は、コイルの解放時に、予め成形されたマイクロカテーテルに動脈瘤からの跳ね返りまたは反跳を引き起こす可能性がある。
【0006】
ある電流閉塞分離デバイスに関する分かってる別の問題点は、外部電源装置と電気分解によって分離可能なコイルとの間の電気回路を完成するために、別個のリターンまたは接地電極が使用されることである。この別個のリターンまたは接地電極は、患者の体の上に置かれるパッチ、または患者の鼠径部に挿入される針とすることができる。しかしながら、別個のリターンまたは接地電極の使用は、閉鎖コイルの分離時間のバラツキを引き起こす。このバラツキは、閉鎖デバイスとリターン電極との間に存在する異なる組織の種類および密度によりもたらされる。また、患者の鼠径部に配置される接地針により、不快または痛みを感じる患者もいる。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、閉鎖コイル供給システムは、複数の巻線を有する閉鎖コイルを含み、この閉鎖コイルが、近位端および遠位端を備え、この閉鎖コイルの近位端が複数の間隔の開いた巻線部(open pitched windings)を含む。このシステムはさらに、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを含み、このアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部(fingers)を備える。このシステムはさらに、送出ワイヤアダプタの近位端に固定された送出ワイヤを含み、この送出ワイヤが、その一部に、犠牲分離領域(sacrificial detachment region)を備える。犠牲分離領域は、電気エネルギ(例えば、電解分離領域)または熱エネルギ(例えば、熱分離領域)に応答して、壊れるか、さもなければ分解することができる。
【0008】
さらに別の実施形態によれば、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを使用して送出ワイヤを閉鎖コイルに固定するための方法であって、送出ワイヤアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える方法が開示される。この方法は、閉鎖コイルの近位端に間隔の開いた巻線部を形成するステップと、複数の指状部の周りに閉鎖コイルおよび送出ワイヤアダプタの少なくとも一方を回転させて、閉鎖コイルと送出ワイヤアダプタとの間の結合部分を形成するステップとを含む。閉鎖コイルと送出ワイヤアダプタとの間の結合部分は、エポキシのような接着剤の使用により固定されるものであってもよい。その後、送出ワイヤは、送出ワイヤアダプタの近位端に固定される。
【0009】
別の実施形態によれば、閉鎖コイル供給デバイスは、複数の巻線を有する閉鎖コイルを含み、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を有する。また、供給デバイスは、近位の管状部分および遠位のコイル部分と、少なくとも部分的にこれを貫通して延びるルーメンとを有する送出ワイヤアセンブリを含む。第1導電路を形成する送出ワイヤは、ルーメンを通って、送出ワイヤアセンブリの近位端から、遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる。遠位の延長部は、電解分離領域を含む。送出ワイヤアセンブリはさらに、近位の管状部分と遠位のコイル部分によって形成された第2導電路を含む。供給デバイスはさらに、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを含み、このアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える。送出ワイヤアダプタの近位端は、送出ワイヤの遠位部分に固定される。
【0010】
さらに別の実施形態では、閉鎖コイルを供給するためのシステムが、近位端および遠位端と、近位端と遠位端との間に延びるルーメンとを有する送出カテーテルを含む。送出カテーテルは、例えば、マイクロカテーテルを含むようにしてもよい。このシステムは、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアセンブリを含み、この送出ワイヤアセンブリが、近位の管状部分と遠位のコイル部分とを含む。送出ワイヤアセンブリの一部として構成された送出ワイヤは、第1導電路を形成して、送出ワイヤアセンブリの近位端から、遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延び、この遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる部分が、電解分離領域を有する。送出ワイヤアセンブリはさらに、近位の管状部分と遠位のコイル部分によって形成された第2導電路を含む。この第2導電路は、第1導電路から電気的に絶縁されている。
【0011】
一実施例では、このシステムは、複数の巻線を有する閉鎖コイルを含み、この閉鎖コイルが、近位端および遠位端を備え、この閉鎖コイルの近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む。このシステムはさらに、近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを含み、この送出ワイヤアダプタの遠位端が、閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える。送出ワイヤアダプタの近位端は、送出ワイヤの遠位部分に取り付けるように構成されている。このシステムは、第1導電路と第2導電路とを電気的に接続するように構成された電源装置を含む。電源装置は、送出ワイヤと、それに含まれる電解犠牲リンクとに電流を供給し、犠牲リンクは、体液(または洗浄溶液)の存在下で電解で溶解する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、一実施形態に係る閉鎖コイル供給システムを示している。
【図2】図2は、一実施形態に係る送出ワイヤアダプタの平面図である。
【図3】図3は、図2に示したタイプの送出ワイヤアダプタの遠位端に固定された送出ワイヤを示している。送出ワイヤアダプタの遠位端は、閉鎖コイルの近位端に固定されている。
【図4】図4は、代替的な実施形態を示している。図4に示すように、送出ワイヤは、図2に示したタイプの送出ワイヤアダプタの近位端に固定されている。送出ワイヤアダプタの遠位端は、閉鎖コイルの近位端に固定されている。この実施形態では。外側保持スリーブが閉鎖コイルの一部の外周の周囲に配置されている。
【図5】図5は、一実施形態に係る送出ワイヤアセンブリの断面図を示している。
【図6】図6Aは、一実施形態に係る送出ワイヤアセンブリの遠位端と閉鎖コイルとの間の結合部分の断面図を示している。図6Bは、送出ワイヤアセンブリの遠位端と閉鎖コイルとの間の結合部分の(図6Aに対して)垂直な断面図を示している。
【図7】図7Aは、図6AのA−A線に沿った閉鎖コイルの断面図を示している。図7Bは、図6Bに示される領域Bの詳細図を示している。図7Cは、図6Aに示される領域Cの詳細図を示している。
【図8】図8は、例示的な第2構成の一例が示された自然状態モードにある閉鎖コイルを示している。
【図9】図9Aは、単一の基板に形成される複数の送出ワイヤアダプタを示している。図9Bは、一実施形態に係る送出ワイヤアダプタを示している。
【図10】図10は、一実施形態に係る、送出ワイヤアセンブリから動脈瘤内への閉鎖コイルの分離を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、一実施形態に係る閉鎖コイル供給システム10を示している。このシステム10は、数多くのサブコンポーネントまたはサブシステムを含む。これらは、送出カテーテル100、送出ワイヤアセンブリ200、閉鎖コイル300および電源装置400を含む。送出カテーテル100は、近位端102と、遠位端104と、近位端102および遠位端104間に延びるルーメン106とを含む。送出カテーテル100のルーメン106は、送出ワイヤアセンブリ200の軸方向の移動を提供するためにサイズ設定されている。また、ルーメン106は、ガイドワイヤ(図示省略)の通路に合わせてサイズ設定されている。ガイドワイヤは、選択的には、適当な供給部位に送出カテーテル100を適切に案内するために使用することができる。送出カテーテル100は、高分子塗膜によりカプセル化または包囲されたステンレス鋼の平角線の編組シャフト構成を含むことができる。例えば、HYDROLENE(登録商標)は、送出カテーテル100の外側部分を被覆するために使用できる例示的な高分子塗膜の一つである。当然のことながら、このシステム10は特定の構造または種類の送出カテーテル100に限定されるものではなく、当業者に知られているその他の構造を送出カテーテル100に使用することもできる。
【0014】
内側ルーメン106は、当該ルーメン106内で軸方向に移動されるデバイスと送出カテーテル100との間の摩擦力を低減するために、PTFEのような潤滑塗膜で覆うことが望ましい。送出カテーテル100は、X線不透過材料から形成された1またはそれ以上の任意のマーカーバンド108を含むようにしてもよく、これは、画像技術(例えば、X線透視画像)を使用して患者の血管系内で送出カテーテル100の位置を特定するために使用することができる。送出カテーテル100の長さは、具体的な用途に応じて変化させることができるが、一般的には長さ約150cmである。当然のことながら、その他の長さの送出カテーテル100を本明細書に記載のシステム10とともに使用することもできる。
【0015】
送出カテーテル100は、図1で示すように、真っ直ぐな遠位端104を含むことができる。代替的には、遠位端106を、特定の幾何学的形状または姿勢に予め成形することもできる。例えば、遠位端104を、“C字”形状、“S字”形状、“J字”形状、45°の曲げ形状、90°の曲げ形状に成形することができる。ルーメン106の寸法は、送出ワイヤアセンブリ200および閉鎖コイル300の寸法に応じて変化させることができるが、一般的には、送出カテーテル100の直径ルーメン106(送出カテーテル100のI.D.(内径))は約0.02インチ未満である。幾つかの実施形態では、送出カテーテル100は、マイクロカテーテルとして当業者に知られている。図1には示されていないが、送出カテーテル100は、患者の血管内の適切な位置に送出カテーテル100を案内する助けとなる別個のガイドカテーテル(図示省略)とともに利用することができる。
【0016】
さらに図1を参照すると、システム10は、送出カテーテル100のルーメン106内の軸方向移動用に構成された送出ワイヤアセンブリ200を備えている。送出ワイヤアセンブリ200は、一般に、近位端202および遠位端204を含む。一実施形態では、送出ワイヤアセンブリ200は、近位の管状部分206と、遠位のコイル部分208とを含む。近位の管状部分206は、例えば、ステンレス鋼製のハイポチューブ(hypotube)から形成することができる。本明細書でより詳細に説明するように、遠位のコイル部分208は、両端を接した配置で近位の管状部分206に接合することができる。送出ワイヤアセンブリ200はさらに、送出ワイヤ210を含み、この送出ワイヤは、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202から、送出ワイヤアセンブリ200の遠位端204よりも遠位の位置まで、延びている。送出ワイヤ210は、送出ワイヤアセンブリ200の内側部分内に延在するルーメン212内に配置されている。
【0017】
送出ワイヤ210は、ステンレス鋼線材のような導電性材料から形成されている。送出ワイヤ210の近位端214(透視した状態で示される)は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202に位置する電気接点216に電気的に接続されている。電気接点216は、電源装置400の対応する電気接点(図示省略)と結合するように構成された金属ハンダ(例えば、金)から形成することができる。送出ワイヤ210の一部は、絶縁コーティング218で覆うことが望ましい。絶縁コーティング218にはポリイミドを含むことができる。一実施形態においては、送出ワイヤ210は、送出ワイヤアセンブリ200の遠位端204よりも遠位に延びる送出ワイヤ210の部分に位置する小領域220を除いて、その全長に亘り絶縁コーティング218に被覆されている。送出ワイヤ210のこの“露出”部分は、電源装置400からの電流の印加で溶解する電解分離領域220を形成する。
【0018】
代替的な実施形態では、電解分離領域220の代わりに、熱エネルギに応答して破壊または溶解するように、犠牲部分を構成することができる。例えば、分離領域220は、外部から加えられる熱エネルギまたは熱に応答して融解または溶解するポリマリンク(例えば、繊維)から形成することができる。ポリマリンクは、高抗張力および適当な融解温度を有する熱可塑性プラスチック材料(例えば、ポリエチレン)から形成することができる。熱に反応する犠牲部分は、分離領域220に適用するように構成される電気抵抗加熱コイルに反応するものであってもよい。そのような加熱コイルは、印加された電流に応答して熱を発生することにより作動する。代替的には、犠牲部分を破壊または溶解するために、電磁気またはRFエネルギを使用することができる。米国特許第7,198,613号は、様々な熱作動分離様式に関する更なる詳細を開示している。
【0019】
図1をさらに参照すると、送出ワイヤ210の遠位端222がフックまたは“J字”形状で終わっている。閉鎖コイル300は、送出ワイヤアダプタ230を介して送出ワイヤ210の遠位端222に固定されている状態で、図1に示されている。送出ワイヤアダプタ230は近位端232および遠位端234を含む。送出ワイヤアダプタ230の近位端232は、送出ワイヤ210の遠位端222を受け入れるために寸法調整された開口部236(図2で見られる)を含む。その際に、送出ワイヤアダプタ230の近位端232に送出ワイヤ210を固定するために、送出ワイヤ210のフック部が開口部236を通り抜けている。送出ワイヤアダプタ230の中間部と遠位端234は、複数の指状部または突起238を含む(図2で最も良く見られる)。送出ワイヤアダプタ230に設けられた指状部238は、閉鎖コイル300と結合するように構成されている。
【0020】
特に、閉鎖コイル300は、近位端302と、遠位端304と、それら端部間に延びるルーメン306とを含む。閉鎖コイル300は、一般に、白金または白金合金(例えば、白金タングステン合金)のような生体適合性金属から形成されている。閉鎖コイル300は、当該閉鎖コイル300が送出カテーテル100内に装着されるときに、一般に直線的な構成(図1に示すように)を含む。閉鎖コイル300は、解放すると、一般に、図8に示すような二次元構成または三次元構成を含む第2の形状をとる。当然のことながら、本明細書に記載のシステム10は、様々な構成を有する閉鎖コイル300とともに使用することができ、特定のサイズおよび構成を有する特定の閉鎖コイル300に限られるものではない。
【0021】
閉鎖コイル300は、複数のコイル巻線308を含む。コイル巻線308は、一般に、閉鎖コイル300のルーメン306に沿って配置された中心軸まわりの螺旋形となっている。図1で見られるように、閉鎖コイル300の近位端302は、間隔の開いた構成を有するコイル巻線308を備えている。例えば、幾つかの近位のコイル巻線308は、間隔の開いた構成(図1において矢印Aで図示)で間隔が広げられている。閉鎖コイル300の残りの遠位の部分は、図1で示されるような間隔の閉じた(クローズドピッチ)構成を有するようにしてもよい。当然のことながら、閉鎖コイル300の遠位の部分は、1またはそれ以上の間隔の開いたセグメントまたは領域を含むことができる(あるいは、閉鎖コイル300全体を間隔の開いた構成とすることもできる)。間隔の開いた近位のコイル巻線308は、送出ワイヤアダプタ230の対応する指状部238が取り付けられる結合部分にネジ式のような凹部を提供する。
【0022】
送出ワイヤアダプタ230の指状部238は、送出ワイヤアダプタ230に閉鎖コイル300を固定しているが、送出ワイヤアダプタ230と閉鎖コイル300の近位のコイル巻線308との間の結合部分に接着剤240を塗布することが望ましい。また、接着剤240は、送出ワイヤ210の遠位端222と送出ワイヤアダプタ230の近位端232との間で形成される接合部を被覆することもできる。接着剤240には、加熱またはUV放射を通じて固化または硬化されるエポキシ材料を含むことができる。例えば、接着剤240は、マサチューセッツ州ビルリカのフォーチュンドライブ14所在のエポキシテクノロジー社より入手可能なEPO−TEK(登録商標)353ND−4のような熱硬化性の2部エポキシを含むことができる。接着剤240は、送出ワイヤアダプタ230を封入して閉鎖コイル300とほぼ同心円状に配置するとともに、閉鎖コイル300の軸方向の引張荷重により引き起こされる接線運動を防止する。
【0023】
接着剤240を使用する代わりに、指状部238の何れかの側部において隣接するコイル巻線308を、レーザタック、スポット溶接または連続溶接で結合させることもできる。代替的には、コイル巻線308上の指状部238のレーザ溶融を、送出ワイヤアダプタ230を閉鎖コイル300に機械的に結合させるために使用することができる。
【0024】
引き続き図1を参照すると、近位の管状部分206および遠位のコイル部分208が供給システム10のリターン電極を形成する。その際に、送出ワイヤ210は、電気接点216と電解分離領域220との間の第1導電路242を形成する。この第1導電路242は、送出ワイヤアセンブリ200が電源装置400に動作可能に接続されるときに、電解回路のアノード(+)を構成することができる。第2導電路244は、送出ワイヤアセンブリ200の近位の管状部分206と遠位のコイル部分208とにより形成されている。第2導電路244は、第1導電路242から電気的に絶縁されている。第2導電路244は、電気回路のカソード(−)または接地電極を構成することができる。第2導電路244の電気接点246は、管状部分206の近位端に配置することができる。一実施形態では、管状部分206が第2導電路244の一部となるため、電気接点246が管状部分206の単に露出した部分となる。例えば、電気接点216に隣接する管状部分206の近位部分は、図5に示すように、ポリイミドのような絶縁コーティング207で覆うようにしてもよい。絶縁コーティングを有さない管状部分206の露出領域は、電気接点246を形成することができる。代替的には、電気接点246は、管状部分206の外部に形成されるリング型電極またはその他の接点とすることができる。
【0025】
電気接点246は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202が電源装置400内に挿入されるときに、電源装置400内の対応する電気接点(図示省略)と結合するように構成されている。第2導電路244の電気接点246は、当然のことながら、第1導電路242の電気接点216に対して電気的に絶縁される。
【0026】
さらに図1を参照すると、システム10は、電解分離領域220を含む送出ワイヤ210に直流を供給するための電源装置400を含む。導電性の流体(血液のような生理液または生理食塩水のような洗浄溶液を含む)の存在下では、電源装置400が作動すると、第1導電路242および第2導電路244内の回路に電流が流れる。数秒(一般的には約10秒未満)後、犠牲電解分離領域220が溶解し、閉鎖コイル300が送出ワイヤ210から分離する。
【0027】
電源装置400は、駆動回路402とともに、バッテリ(例えば、2本の単4電池)のような内蔵エネルギ源を含むこととなる。駆動回路402は、駆動電流を出力するように構成された1またはそれ以上のマイクロコントローラまたはプロセッサを含むことができる。図1に示す電源装置400は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202を受け入れて結合するように構成されたレセプタクル404を含む。レセプタクル404に近位端202を挿入すると、送出ワイヤアセンブリ200に設けられた電気接点216,246が、電源装置400に位置する対応接点(図示省略)と電気的に接続される。可視的表示器406(例えば、LED光)は、送出ワイヤアセンブリ200の近位端202が電源装置400内に適切に挿入されたときを示すことができる。バッテリを交換する必要がある場合に、別の可視的表示器407を作動させることもできる。電源装置400は、典型的には、犠牲電解分離領域220に電流を印加するためにユーザによって押下される作動トリガまたはボタン408を含む。典型的には、作動トリガ408が作動されると、分離が生じるまで、駆動回路402が自動的に電流を供給する。駆動回路402は、典型的には、ほぼ一定の電流(例えば、約1.5mA)を加えることにより作動する。
【0028】
電源装置400は、閉鎖コイル300が送出ワイヤ210から分離したときを検知するように構成された任意の検出回路410を含むことができる。検出回路410は、測定インピーダンス値に基づいて分離を識別することができる。可視的表示器412は、電源装置400が犠牲電解分離領域220に電流を供給しているときを示すことができる。別の可視的表示器414は、閉鎖コイル300が送出ワイヤ210から分離したときを示すことができる。分離の際に、可視的表示器414の代わりに、音響信号(例えば、ビープ音)または触知性信号(例えば、振動またはブザー)を発生させることができる。検出回路410は、閉鎖コイル300の分離を検知したときに、駆動回路402を無効にするように構成することができる。
【0029】
電源装置400は、旧来の非両極性の送出ワイヤアセンブリが電源装置400に挿入されたときをオペレータに示す別の可視的表示器416を含むこともできる。背景技術で述べたように、従来のデバイスは、別個のリターン電極を使用しており、それが典型的には、患者の鼠径部内に挿入される針の形態をしていた。電源装置400は、より古い非両極性の送出ワイヤアセンブリの何れかが挿入されたことを検知するように構成されている。そのような状況下において、可視的表示器416(例えば、LED)が点灯されて、ユーザは、別個のリターン電極(図1には示されていない)を電源装置400配置されたポート418内に挿入するよう、通知を受ける。
【0030】
図2は、一実施形態に係る送出ワイヤアダプタ230の拡大側面図を示している。図2は、送出ワイヤアダプタ230の近位端232に位置する開口部236を示している。図2は、送出ワイヤアダプタ230の遠位端234に形成された任意の開口部250も示している。任意の開口部250は、後でより詳細に示すように、伸張抵抗部材(stretch resistant member)に送出ワイヤアダプタ230の遠位端234を固定するために使用することができる。当然のことながら、開口部250は、完全に任意であり、実施形態によっては省略することができる。開口部236,250は、接着剤小滴を塗布することにより滑らかにすることができる。代替的には、開口部236,250の内面は、放電加工機(EDM)によって面取りすることができる。
【0031】
さらに、図2は、送出ワイヤアダプタ230に設けられた4本の別個の指状部238a,238b,238cおよび238dを示しており、このうち、2本の指状部238a,238bが送出ワイヤアダプタ230の一方の側に配置され、その他の2本の指状部238c,238dが他方の側に配置されている。その他の実施形態では、送出ワイヤアダプタ230の第1側に少なくとも1の指状部238を設けて、送出ワイヤアダプタ230の反対側の第2側に少なくとも1の別の指状部238を設ける限りは、異なる数量の指状部238を送出ワイヤアダプタ230に含むことができる。例えば、代替的な一実施形態では、第1側に2本の指状部238a,238bを有し、反対の第2側に1本の指状部(238cまたは238dの何れか)のみを有する送出ワイヤアダプタ230が使用される。この送出ワイヤアダプタ230の構成は、例えば、図9B(余分な材料が切り取られる前)に示される。
【0032】
送出ワイヤアダプタ230は、硬化ステンレス鋼304合金のような生体適合性の金属材料から形成することができる。当然のことながら、その他の金属材料も使用することができる。図9Aおよび図9Bに関してより詳細に説明するように、多数の送出ワイヤアダプタ230を単一のシートまたは基板から形成することができる。
【0033】
図2に示すような完成した送出ワイヤアダプタ230は、0.03インチ未満の長さを有することができる。例えば、一実施形態では、送出ワイヤアダプタ230は、約0.02インチから約0.03インチの範囲の長さを有することができる。送出ワイヤアダプタ230の厚さは、それが作られるシートまたは基板の厚さの関数となるが、一般的には、0.003インチ未満となる。当然のことながら、先に明示的に言及した寸法以外の寸法も本発明の範囲内に含まれることが予期される。
【0034】
図3は、送出ワイヤアダプタ230と閉鎖コイル300の近位端302との間に形成される結合部分を示している。図3に見られるように、送出ワイヤアダプタ230の指状部238a,238b,238c,238dが、間隔の開いた領域Aの隣接するコイル巻線308間に配置されている。送出ワイヤアダプタ230を閉鎖コイル300の近位端302に装着するために、近位端302の何本かのコイル巻線308(例えば、2−3本の巻線)が軸方向に引っ張られて、図3に示す間隔の開いた構成となるように開かれる。送出ワイヤアダプタ230と閉鎖コイルの一方または両方は、送出ワイヤアダプタ230が図3に示す装着された構成に進展するまで、指状部238a,238b,238c,238dの周りで回転される。その際に、指状部238a,238b,238c,238dは、隣接する間隔の開いた巻線部208間で結び合わされる。接着剤240を、指状部238a,238b,238c,238dとコイル巻線308との間の結合部分の上に塗布して、2構成要素間に堅くて固定的な結合を形成するようにしてもよい。図3は、送出ワイヤ210の遠位端222および送出ワイヤアダプタ230の近位端232を被覆する接着剤240のビーズを示している。粘着性のビーズ240は、コイル巻線308上に塗布された接着剤240から離すようにしても、あるいは代替的には、図1に示すように、2つを1の接合部に組合わせるようにしてもよい。
【0035】
図4は、間隔が開いた領域Aのコイル巻線308の外周のまわりに任意の外部スリーブ252が配置された、代替的な実施形態を示している。外部スリーブ252は、送出ワイヤアダプタ230からの閉鎖コイル300の移動を防ぐための閉込めスリーブとして機能する。スリーブ252は、金属材料、または十分な強度があればポリマから形成することもできる。スリーブ252は、接合部が軸方向に装着されるときに、コイル巻線308の半径方向の変位を防止する。
【0036】
図5は、一実施形態に係る送出ワイヤアセンブリ200の断面図を示している。この実施形態の同様の構成要素は、図1乃至図4に関して上述した符号と同じ符号で特定されている。送出ワイヤアセンブリ200は、近位端202および遠位端204を含み、約183cmと約187cmの間の長さ寸法を有する。送出ワイヤアセンブリ200は、近位の管状部分206および遠位のコイル部分208を含む。近位の管状部分206は、0.0125インチのOD(外径)と、0.00825インチのID(内径)とを有する304ステンレス鋼製のハイポチューブから形成するようにしてもよい。ハイポチューブ部分の長さは、約140cmと約150cmの間とすることができるが、その他の長さを使用することもできる。
【0037】
図5で見られるように、遠位のコイル部分208は、近位の管状部分206の遠位面に、端と端を接した形で接合されている。接合は、溶接またはその他の接合を使用して達成することができる。遠位のコイル部分208は、約39cmから約41cmの長さを有することができる。遠位のコイル部分208は、0.0025インチ×0.006インチのコイルを含むことができる。この寸法は、一般に、コイルワイヤを巻き付けて複数のコイル巻線を形成するのに使用される内側マンドレルを指し、そのコイルの公称IDである。遠位のコイル部分208の1またはそれ以上のコイル310は、X線不透過材料(遠位のコイル部分208の固体コイル310として図示)から形成することができる。例えば、遠位のコイル部分208は、ステンレス鋼コイルの部分(例えば、長さ3mm)を含み、その後に、白金コイルの部分(X線不透過性で、同様に長さ3mm)、その後に、ステンレス鋼コイルの部分(例えば、長さ3mm)などが続くものであってもよい。
【0038】
送出ワイヤ210は、第1導電路242を形成し、一端において電気接点216で終わり、且つ送出ワイヤアセンブリ200の遠位のコイル部分208よりも遠位に延びる。送出ワイヤ210は、電解分離領域220と、電気接点216に連結される近位部分とを除いて、ポリイミドのような絶縁コーティング218で覆われている。送出ワイヤ210は、約0.0125インチのOD(外径)を有することができる。中心コイル260は、遠位のコイル部分208内の定位置で送出ワイヤ210に取り付けられている。中心コイル260は、送出ワイヤ210を送出ワイヤアセンブリ200内の適切な位置に配置させるようにする。中心コイル260は、本明細書に記載の接着剤のような接着剤240を使用して、送出ワイヤ210に直接接合することができる。そのために、送出ワイヤ210および中心コイル260を遠位のコイル部分208に固定すべく、接着剤240が塗布される。接着剤240には、先により詳細に述べたEPO−TEK(登録商標)353ND−4が含まれる。
【0039】
引き続き図5を参照すると、外側スリーブ262またはジャケットが、近位の管状部分206の一部と遠位のコイル部分208を囲んでいる。外側スリーブ262は、近位の管状部分206と遠位のコイル部分208との間で形成される結合部分またはジョイントを被覆する。外側スリーブ262の長さは約50cmから約54cmの範囲とすることができる。外側スリーブ262は、ポリエーテルブロックアミド・プラスチック材料(例えば、PEBAX7233ラミネーション)から形成することができる。外側スリーブ262は、PEBAXとHYDROLENE(登録商標)の積層体を含むことができる。外側スリーブ262の外径(OD)は、0.02インチ未満とすることができ、0.015インチ未満がより望ましい。
【0040】
図5で見られるように、遠位のコイル部分208の小部分209は、外側スリーブ262を越えて遠位に露出される。使用中、この小部分209は、導電性流体に曝されて、回路の第2導電路244(例えば、リターンまたは接地パス)のための接点として機能する。この遠位に突出する部分は、約0.03インチよりも長くするようにしてもよい。電解分離領域220は、遠位のコイル部分208から約2ミリメートル(ある実施形態では、それ未満)遠位に配置されている。
【0041】
図6Aおよび図6Bは、一実施形態に係る閉鎖コイル300の垂直な断面図を示している。この実施形態では、伸張抵抗部材270は、一端が送出ワイヤアダプタ230に、他端が閉鎖コイル300の遠位端304にそれぞれ固定されている。伸張抵抗部材270は、図7Bで最も良く見られるように、遠位のキャップまたは端部272を含む。伸張抵抗部材270は、フィラメント等の形態を採るつなぎ部274をさらに含む。例えば、つなぎ部274は、縫合フィラメント材料のようなポリマ材料から形成することができる。閉鎖コイル300の組立中、伸張抵抗部材270は、遠位のキャップ271から延びる単なる単一のつなぎ部274として、当初は存在する。このつなぎ部274の自由端は、送出ワイヤアダプタ230の遠位端234に位置する開口部250から与えられる。その後、つなぎ部274の自由端は閉鎖コイル300の遠位端304に向けて引き戻され、そこで、遠位のキャップ272に接合されて、図6A、図6Bおよび図7Bに示すような完全な構造体が形成される。熱接合は、つなぎ部274の自由端を遠位のキャップ272に結合あるいは固定するために使用することができる。当然のことながら、その他の接合技術を、伸張抵抗部材270に使用される材料の性質に応じて使用することもできる。それらには、例えば、溶接、接着結合などが含まれる。しかしながら、伸張抵抗部材270の使用は完全に任意である。その他の実施形態では、伸張抵抗部材270を含まない閉鎖コイル300を利用することができる。
【0042】
図7Aは、図6Aの線分A−Aに沿った閉鎖コイル300の断面図を示している。伸張抵抗部材270の2つつなぎ部274は、閉鎖コイル300のルーメン306内に描かれている。図7Bは、図6Bの細部Bの拡大詳細図である。伸張抵抗部材270の遠位のキャップ272は、閉鎖コイル300の遠位端304に描かれている。図7Cは、図6Aの細部Cの拡大詳細図である。送出ワイヤアダプタ230は、閉鎖コイル300および送出ワイヤ210を連結するものとして示されている。
【0043】
図8は、自然な状態の閉鎖コイル300の例示的な一構成を示している。自然な状態において、閉鎖コイル300は、例えば、図6Aおよび図6Bに示す直線的な構成から、第2形状に変形する。第2形状には、様々な二次元形状および三次元形状を含むことができる。図8は、閉鎖コイル300の第2形状の単なる一例であり、その他の形状および構成も本発明の範囲内に含まれることが予期される。また、閉鎖コイル300は、従来より知られているように、閉鎖コイル300のすべてまたは一部の上に合成繊維を組み込むことができる。これら繊維は、コイル巻線308に直接取り付けるようにしても、あるいは織り構成または編組構成を使用して、閉鎖コイル300内に一体化するようにしてもよい。
【0044】
送出ワイヤアダプタ230は、以前の塞栓性コイル供給システムと比較して数多くの利点を提供する。先ず、送出ワイヤアダプタ230は、送出ワイヤ210と閉鎖コイル300との間の相対的に短いが、耐久性のある結合部分である。供給アセンブリには、反発(kick-back)を引き起こし易い、長くて堅い部分はもはや存在しなくなる。このため、送出ワイヤアダプタ230は、送出ワイヤアセンブリ200の反発または跳ね返りを低減または除去する。また、送出ワイヤアダプタ230は、親血管内への閉鎖コイル300の脱出のリスクを軽減する。さらに、送出ワイヤアダプタ230は、様々なサイズの閉鎖コイル300とともに使用することができる。様々な寸法の閉鎖コイル300を提供するために、送出ワイヤアダプタ230の寸法の比較的容易な調節を行うことができる。
【0045】
小さな寸法の送出ワイヤアダプタ230は、動脈瘤内にコイルのより大きなフレキシビリティを提供し、よって閉鎖コイル300の十分な展開に必要な送達力を低減する。最後に、送出ワイヤアダプタ230は、送出ワイヤ210と閉鎖コイル300間の強い接合を提供する。例えば、強い軸方向力(例えば、閉鎖コイル300が固定されるときに、送出ワイヤアセンブリ200および閉鎖コイル300を近位方向に引く力)は、送出ワイヤ210と閉鎖コイル300との間の接合部に不具合を引き起こすことはないであろう。むしろ、小さいコイルワイヤ直径のための閉鎖コイル300、または大きいコイルワイヤ直径のための送出ワイヤ/アダプタ接合部においてあらゆる故障モードが生じるように、送出ワイヤアダプタ230は十分に強くなっている。
【0046】
本明細書に記載のシステム10の別の利点は、実際の送出ワイヤアセンブリ200において導電路242,244のバイポーラ構成(bipolar arrangement)を利用するということである。患者の鼠径部領域内に挿入される別個の針電極を使用する必要性はもはや存在しなくなる。その代わりに、リターンまたは接地電極が送出ワイヤアセンブリ200と一体化される。これは、針電極の必要性だけではなく、電流が通過しなければならない大量の組織がもはや存在しなくなるため、より再現性のある分離時間をもたらす。
【0047】
送出ワイヤアダプタ230は、複数の送出ワイヤアダプタが形成されるシートまたは基板280を使用して製造することができる。図9Aは、単一の基板280に複数の送出ワイヤアダプタ230が形成されていることを示している。シートまたは基板280は、硬化ステンレス鋼304合金のようなステンレス鋼を含むことができる。その厚さは、送出ワイヤアダプタ230の望ましい厚さに応じて変化させることができるが、一般的には、0.003インチ未満である。送出ワイヤアダプタ230は、光化学エッチングによって基板280に形成することができる。当然のことながら、様々な送出ワイヤアダプタ230を、レーザ切断、EDM加工、電気メッキまたはその他のプロセスを通じて、基板280に形成することができる。図9Aおよび図9Bで見られるように、送出ワイヤアダプタ230には、当初は、送出ワイヤアダプタ230の片側に余分の材料282が設けられる。余分な材料282は、切れ目284に沿って切り取られ、それにより最終的な送出ワイヤアダプタ230が製造される。余分な材料を切り取るために、クリッパなどを使用するようにしてもよい。送出ワイヤアダプタ230に形成される鋭い縁部は、グリットブラスチング、タンブリングまたは電解研磨によって低減することができる。
【0048】
図10は、閉鎖コイル300が送出ワイヤアセンブリ200の送出ワイヤ210から離れているところを示している。具体的には、送出ワイヤアセンブリ200は、血管502内に位置する送出カテーテル100内に配置されている。送出カテーテル100は、典型的には、医師による透視下で進められて、定位置に配置される。定位置に配置したら、送出ワイヤアセンブリ200は、送出カテーテル100のルーメン106を介して遠位に進めることができる。送出ワイヤアセンブリ200が進められて動脈瘤500内に閉鎖コイル300が配置されたら、医師は、トリガ408を押下することにより電源装置400を起動させて、送出ワイヤ210に沿った電流の流れを引き起こすことができる。数秒後、導電性溶液(生理溶液または生理食塩水洗浄液)に曝された電解分離領域220は溶け去る。電源装置400は、電解分離領域220の破壊を検知して、電流の供給を停止することとなる。図10は、送出ワイヤアセンブリ200からの閉鎖コイル300の分離を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖コイル供給システムであって、
複数の巻線を有する閉鎖コイルであって、近位端および遠位端を備え、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む閉鎖コイルと、
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタであって、その遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える送出ワイヤアダプタと、
前記送出ワイヤアダプタの近位端に固定された送出ワイヤであって、その一部に、犠牲分離領域(sacrificial detachment region)を有する送出ワイヤとを備えることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分を受け入れるようにサイズ調節された開口部を備え、前記送出ワイヤの遠位部分がフックを備えることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
間隔の開いた巻線部を有する前記閉鎖コイルの近位端の一部の上に配置されるスリーブをさらに備えることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項4】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの遠位端が伸張抵抗部材の第1端部に固定され、伸張抵抗部材の第2端部が前記閉鎖コイルの遠位端に固定されており、
前記送出ワイヤアダプタの遠位端が開口部を有し、前記伸張抵抗部材の第1端部が、前記開口部を介して前記送出ワイヤアダプタの遠位端に固定されていることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項5】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
前記複数の指状部が、前記送出ワイヤアダプタの第1側に配置された少なくとも1の指状部と、前記送出ワイヤアダプタの反対側の第2側に配置された別の指状部とを含み、
少なくとも2の指状部が、前記送出ワイヤアダプタの第1側に配置され、少なくとも1の指状部が、前記送出ワイヤアダプタの反対側の第2側に配置されていることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項6】
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを使用して送出ワイヤを閉鎖コイルに固定するための方法であって、前記送出ワイヤアダプタの遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える方法において、
前記閉鎖コイルの近位端に間隔の開いた巻線部を形成するステップと、
前記複数の指状部の周りに前記閉鎖コイルと前記送出ワイヤアダプタの少なくとも一方を回転させて、前記閉鎖コイルと前記送出ワイヤアダプタとの間の結合部分を形成するステップと、
前記送出ワイヤを前記送出ワイヤアダプタの近位端に固定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記送出ワイヤアダプタに設けられた結合部分において前記閉鎖コイルの近位端上に接着剤を置くステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分を受け入れるように寸法調整された開口部を備え、この開口部を前記送出ワイヤが通り、
当該方法が、前記送出ワイヤアダプタの近位端と前記送出ワイヤの上に接着剤を置くステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、
間隔の開いた巻線部を有する前記閉鎖コイルの近位端の一部の上に配置されるスリーブを置くステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法において、
前記送出ワイヤアダプタが、その遠位端に固定された伸張抵抗部材を備え、
当該方法が、前記閉鎖コイルの遠位領域に前記伸張抵抗部材の反対側の端部を固定するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
閉鎖コイル供給デバイスであって、
複数の巻線を有する閉鎖コイルであって、近位端および遠位端を備え、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む閉鎖コイルと、
近位の管状部分および遠位のコイル部分と、少なくとも部分的に貫通して延びるルーメンとを含む送出ワイヤアセンブリであって、少なくとも部分的に前記ルーメン内で当該送出ワイヤアセンブリの近位端から遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる、第1導電路を形成する送出ワイヤを備え、前記遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる部分が電解分離領域を含み、さらに、前記近位の管状部分と前記遠位のコイル部分によって形成される第2導電路を備える送出ワイヤアセンブリと、
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタであって、その遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備え、前記近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分に固定される送出ワイヤアダプタとを備えることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分を受け入れるようにサイズ調節された開口部を備え、前記送出ワイヤが、前記送出ワイヤアダプタの近位端に接着剤で少なくとも部分的に固定されていることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記近位の管状部分の少なくとも一部と遠位のコイル部分を包み込む外側スリーブをさらに備えることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記送出ワイヤアセンブリの近位領域に配置された第1および第2電気接点をさらに備え、前記第1および第2電気接点が前記第1および第2導電路にそれぞれ電気的に接続されており、前記第2電気接点が、前記近位の管状部分の露出した領域を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項15】
閉鎖コイルを供給するためのシステムであって、
近位端および遠位端と、これら近位端と遠位端との間に延びるルーメンとを含む送出カテーテルと、
近位端および遠位端を有し、近位の管状部分および遠位のコイル部分を有する送出ワイヤアセンブリであって、その近位端から前記遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる、第1導電路を形成する送出ワイヤを備え、前記遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる部分が電解分離領域を含み、さらに、前記近位の管状部分と前記遠位のコイル部分によって形成される第2導電路を備える送出ワイヤアセンブリと、
複数の巻線を有する閉鎖コイルであって、近位端および遠位端を備え、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む閉鎖コイルと、
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタであって、その遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備え、当該送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分に取り付けられるように構成される送出ワイヤアダプタと、
前記第1導電路および前記第2導電路を電気的に接続するように構成された電源装置とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分が、1またはそれ以上の一体化されたX線不透過性コイルを備えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記第1導電路および前記第2導電路が、前記送出ワイヤアセンブリの近位端に配置されたそれぞれの電気接点で終わり、それぞれの電気接点が、前記電源装置に配置された対応する電気接点と係合するように構成されており、前記第2導電路の電気接点が、前記近位の管状部分の露出した領域を含むことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分が、前記近位の管状部分の遠位端に接合されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分の少なくとも一部と前記送出ワイヤとの間の接着接合部をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分と前記近位の管状部分との間に形成された結合部分の上に配置された外側スリーブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位端を受け入れるように寸法調整された開口部を備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記送出ワイヤが、前記送出ワイヤアダプタの近位端に接着剤で少なくとも部分的に固定されていることを特徴とするシステム。
【請求項1】
閉鎖コイル供給システムであって、
複数の巻線を有する閉鎖コイルであって、近位端および遠位端を備え、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む閉鎖コイルと、
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタであって、その遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える送出ワイヤアダプタと、
前記送出ワイヤアダプタの近位端に固定された送出ワイヤであって、その一部に、犠牲分離領域(sacrificial detachment region)を有する送出ワイヤとを備えることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分を受け入れるようにサイズ調節された開口部を備え、前記送出ワイヤの遠位部分がフックを備えることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
間隔の開いた巻線部を有する前記閉鎖コイルの近位端の一部の上に配置されるスリーブをさらに備えることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項4】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの遠位端が伸張抵抗部材の第1端部に固定され、伸張抵抗部材の第2端部が前記閉鎖コイルの遠位端に固定されており、
前記送出ワイヤアダプタの遠位端が開口部を有し、前記伸張抵抗部材の第1端部が、前記開口部を介して前記送出ワイヤアダプタの遠位端に固定されていることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項5】
請求項1に記載の閉鎖コイル供給システムにおいて、
前記複数の指状部が、前記送出ワイヤアダプタの第1側に配置された少なくとも1の指状部と、前記送出ワイヤアダプタの反対側の第2側に配置された別の指状部とを含み、
少なくとも2の指状部が、前記送出ワイヤアダプタの第1側に配置され、少なくとも1の指状部が、前記送出ワイヤアダプタの反対側の第2側に配置されていることを特徴とする閉鎖コイル供給システム。
【請求項6】
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタを使用して送出ワイヤを閉鎖コイルに固定するための方法であって、前記送出ワイヤアダプタの遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備える方法において、
前記閉鎖コイルの近位端に間隔の開いた巻線部を形成するステップと、
前記複数の指状部の周りに前記閉鎖コイルと前記送出ワイヤアダプタの少なくとも一方を回転させて、前記閉鎖コイルと前記送出ワイヤアダプタとの間の結合部分を形成するステップと、
前記送出ワイヤを前記送出ワイヤアダプタの近位端に固定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記送出ワイヤアダプタに設けられた結合部分において前記閉鎖コイルの近位端上に接着剤を置くステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分を受け入れるように寸法調整された開口部を備え、この開口部を前記送出ワイヤが通り、
当該方法が、前記送出ワイヤアダプタの近位端と前記送出ワイヤの上に接着剤を置くステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、
間隔の開いた巻線部を有する前記閉鎖コイルの近位端の一部の上に配置されるスリーブを置くステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法において、
前記送出ワイヤアダプタが、その遠位端に固定された伸張抵抗部材を備え、
当該方法が、前記閉鎖コイルの遠位領域に前記伸張抵抗部材の反対側の端部を固定するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
閉鎖コイル供給デバイスであって、
複数の巻線を有する閉鎖コイルであって、近位端および遠位端を備え、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む閉鎖コイルと、
近位の管状部分および遠位のコイル部分と、少なくとも部分的に貫通して延びるルーメンとを含む送出ワイヤアセンブリであって、少なくとも部分的に前記ルーメン内で当該送出ワイヤアセンブリの近位端から遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる、第1導電路を形成する送出ワイヤを備え、前記遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる部分が電解分離領域を含み、さらに、前記近位の管状部分と前記遠位のコイル部分によって形成される第2導電路を備える送出ワイヤアセンブリと、
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタであって、その遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備え、前記近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分に固定される送出ワイヤアダプタとを備えることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分を受け入れるようにサイズ調節された開口部を備え、前記送出ワイヤが、前記送出ワイヤアダプタの近位端に接着剤で少なくとも部分的に固定されていることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記近位の管状部分の少なくとも一部と遠位のコイル部分を包み込む外側スリーブをさらに備えることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記送出ワイヤアセンブリの近位領域に配置された第1および第2電気接点をさらに備え、前記第1および第2電気接点が前記第1および第2導電路にそれぞれ電気的に接続されており、前記第2電気接点が、前記近位の管状部分の露出した領域を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項15】
閉鎖コイルを供給するためのシステムであって、
近位端および遠位端と、これら近位端と遠位端との間に延びるルーメンとを含む送出カテーテルと、
近位端および遠位端を有し、近位の管状部分および遠位のコイル部分を有する送出ワイヤアセンブリであって、その近位端から前記遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる、第1導電路を形成する送出ワイヤを備え、前記遠位のコイル部分よりも遠位の位置に延びる部分が電解分離領域を含み、さらに、前記近位の管状部分と前記遠位のコイル部分によって形成される第2導電路を備える送出ワイヤアセンブリと、
複数の巻線を有する閉鎖コイルであって、近位端および遠位端を備え、その近位端が複数の間隔の開いた巻線部を含む閉鎖コイルと、
近位端と遠位端を有する送出ワイヤアダプタであって、その遠位端が、前記閉鎖コイルの近位端の隣接する間隔の開いた巻線部間で結合するように構成された複数の指状部を備え、当該送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位部分に取り付けられるように構成される送出ワイヤアダプタと、
前記第1導電路および前記第2導電路を電気的に接続するように構成された電源装置とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分が、1またはそれ以上の一体化されたX線不透過性コイルを備えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記第1導電路および前記第2導電路が、前記送出ワイヤアセンブリの近位端に配置されたそれぞれの電気接点で終わり、それぞれの電気接点が、前記電源装置に配置された対応する電気接点と係合するように構成されており、前記第2導電路の電気接点が、前記近位の管状部分の露出した領域を含むことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分が、前記近位の管状部分の遠位端に接合されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分の少なくとも一部と前記送出ワイヤとの間の接着接合部をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記遠位のコイル部分と前記近位の管状部分との間に形成された結合部分の上に配置された外側スリーブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記送出ワイヤアダプタの近位端が、前記送出ワイヤの遠位端を受け入れるように寸法調整された開口部を備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記送出ワイヤが、前記送出ワイヤアダプタの近位端に接着剤で少なくとも部分的に固定されていることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公表番号】特表2012−505040(P2012−505040A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531135(P2011−531135)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059797
【国際公開番号】WO2010/045079
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(595148888)ストライカー コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【出願人】(511087006)ストライカー エヌヴイ オペレイションズ リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER NV OPERATIONS LTD.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059797
【国際公開番号】WO2010/045079
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(595148888)ストライカー コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【出願人】(511087006)ストライカー エヌヴイ オペレイションズ リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER NV OPERATIONS LTD.
【Fターム(参考)】
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