説明

衛星信号受信装置および衛星信号受信装置の制御方法

【課題】ソーラーセルを利用して屋内外を精度良く判断でき、受信処理を効率よく行うことができる衛星信号受信装置を提供すること。
【解決手段】ソーラーセル22と、二次電池24と、ソーラーセル22から二次電池24への充電経路を断続する充電制御スイッチ43と、充電制御スイッチ43が接続された状態で充電状態を検出する充電状態検出回路50と、充電制御スイッチ43が切断された状態で発電状態を検出する発電状態検出回路60と、制御回路40とを備える。制御回路40は、充電状態検出回路50を間欠的に作動し、ソーラーセル22から二次電池24に充電していることを検出した場合、発電状態検出回路60を間欠的に作動し、発電状態検出回路60で検出された検出値が予め設定された閾値以上の場合のみ、GPS受信回路30を作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばGPS衛星等の位置情報衛星からの信号に基づいて測位や時刻修正を行う衛星信号受信装置および衛星信号受信装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)衛星からの衛星信号を受信して測位や時刻修正を行う電子機器が知られている(例えば、特許文献1)。
このような電子機器として、例えば、腕時計のように、使用者と共に移動する機器を想定した場合、電子機器が屋内や地下街などの衛星信号を受信できない環境に移動していることが考えられる。
【0003】
このような衛星信号を受信できない環境で受信処理を行うと、電力を無駄に消費してしまう。特に。腕時計のように電池駆動の電子機器では、持続時間確保や、電池サイズの小型化のために、消費電流を低減する必要があり、無駄な受信処理を避ける必要があった。
【0004】
このため、特許文献1では、電子機器にソーラーパネルを設け、その発電量を屋内外を判断する閾値と比較して電子機器が屋外に配置されているかを判断し、屋外と判断された場合に受信処理を行うようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−39565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ソーラーパネルの発電量は、そのソーラーパネルに照射している光の照度に対応していると考えられ、電子機器が日中の屋外にある場合の照度と、屋内にある場合の照度とに対応する発電量を求め、これらの発電量を区別できるように前記閾値を設定することで屋内外を判断できるものと考えられていた。
しかしながら、実際には、光の照度に対するソーラーパネルの発電量にバラツキがあり、ソーラーパネルの発電量によって、光の照度を正確に検出することが難しいという問題があった。
このため、衛星信号を受信する装置(電子機器)において、屋内外の判断を誤ってしまい、実際には屋外に配置されているのに屋内と誤認識して受信処理を実行しなかったり、逆に、実際には屋内に配置されているのに屋外と誤認識して受信処理を実行してしまうなどの不都合が生じるおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、ソーラーセルを利用して屋内外を精度良く判断でき、受信処理を効率よく行うことができる衛星信号受信装置および衛星信号受信装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信回路を有する衛星信号受信装置において、光エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーセルと、前記ソーラーセルで変換された電気エネルギーを蓄積する二次電池と、前記ソーラーセルから二次電池への電気エネルギーの供給経路を断続する充電制御スイッチと、前記充電制御スイッチが接続された状態で、前記ソーラーセルから二次電池への充電状態を検出する充電状態検出回路と、前記充電制御スイッチが切断された状態で、前記ソーラーセルの発電状態を検出する発電状態検出回路と、前記受信回路、充電制御スイッチ、充電状態検出回路、発電状態検出回路を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記充電状態検出回路を間欠的に作動し、前記充電状態検出回路においてソーラーセルから二次電池に充電していることを検出した場合、前記発電状態検出回路を間欠的に作動し、前記発電状態検出回路で検出された検出値が予め設定された閾値以上の場合のみ、前記受信回路を作動することを特徴とする。
【0009】
本発明においては、充電状態検出回路とは別に発電状態検出回路を設けている。この発電状態検出回路は、充電制御スイッチを切断し、ソーラーセルが二次電池に電気的に接続されていない状態で、ソーラーセルの発電状態を検出している。このため、発電状態検出回路は、二次電池の影響を受けることなく、ソーラーセルの発電状態を高精度に検出できる。
すなわち、ソーラーセルの発電状態は、ソーラーセルに電圧検出回路または電流検出回路を接続し、電圧値や電流値を測定することで検出される。この際、ソーラーセルに二次電池が接続されていると、電圧、電流のいずれを検出する場合でも、二次電池の充電状態が影響する。このため、検出した電圧値や電流値が同じ値でも、二次電池の状態によって、実際にソーラーセルに照射している光の照度が異なり、この光の照度に基づいて屋内外を判断する際に、誤って判断してしまう可能性がある。
これに対し、本発明では、発電状態検出回路で発電状態を検出する場合、充電制御スイッチを切断しているので、二次電池の影響を受けることなく、ソーラーセルの発電状態つまりソーラーセルにおける照度をより高精度に検出することができる。このため、ソーラーセルを利用した屋内外判定をより高精度に行うことができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、前記発電状態検出回路で前記閾値以上の検出値を検出することで、衛星信号受信装置が屋外に配置されていることを高い精度で検出できる。そして、衛星信号受信装置が屋外に配置されていると検出された場合のみ受信が行われるため、衛星信号の受信に短時間で成功する確率を高めることができ、受信処理を効率的に行うことができる。従って、衛星信号受信装置が屋内に配置されて、衛星信号を受信できない環境で受信処理が行われることを未然に防止でき、無駄な電力消費を防止できる。
【0011】
また、制御回路は、充電状態検出回路で充電状態が検出されている場合のみ、発電状態検出回路を作動しているので、充電が行われていない状態つまり光がソーラーセルに照射していない状態で発電状態検出回路が作動されることがなく、無駄な電力消費を防止できる。
さらに、発電状態検出回路は間欠的に作動されるので、充電制御スイッチも間欠的に切断すればよい。このため、発電状態を検出している間も充電が途切れる時間(充電停止時間)を最小限に抑えることができる。すなわち、充電状態検出回路の作動時と、いずれの検出回路も作動されていない間は、充電制御スイッチを接続しておくことができ、発電状態検出回路の作動時のみ前記スイッチを切断すればよいので、ソーラーセルから二次電池への充電効率の低下も抑えることができる。
従って、発電状態検出処理のための充電停止時間を短くして効率よく充電することができるとともに、発電状態検出回路の作動を、充電状態検出時のみに制限しているので、発電状態検出処理による消費電流を低減することができる。
また、充電状態検出回路は、充電制御スイッチを接続した状態で作動するため、充電を継続したまま実行でき、充電効率の低下を防止できる。その上、非充電状態の継続時間も検出できるので、非充電状態が所定時間(例えば72時間)以上継続している場合に、装置全体をスリープ状態にして消費電力をさらに低減することもできる。例えば、本発明の衛星信号受信装置を時計に適用した場合であれば、スリープ状態になった際に指針等の時刻表示手段の駆動を停止することで消費電力を低減することができる。
【0012】
本発明の衛星信号受信装置において、前記受信回路によって受信に成功した時点からの経過時間を計時する経過時間計時手段を備え、前記制御回路は、前記経過時間計時手段によって計時された前記経過時間が予め設定した設定時間以上であり、かつ、前記発電状態検出回路で前記閾値以上の検出値を検出した場合のみ、前記受信回路を作動させることが好ましい。
【0013】
例えば、前記設定時間が1日(24時間)に設定されている場合、前回受信に成功した時点からの経過時間が1日以上であり、かつ、充電状態検出回路で充電状態を検出して発電状態検出回路が作動されて閾値以上の検出値を検出した場合に、前記受信回路を作動させて受信処理を実行すればよい。
本発明によれば、前回受信に成功してから設定時間経過するまでは、前記発電状態検出回路で前記閾値以上の検出値を検出しても、受信回路を作動させないため、短い間隔で受信処理を繰り返すことを未然に防止できる。このため、受信処理の実行回数を必要最小限に抑えることができ、この点でも消費電力を低減できる。
なお、前記設定時間は、衛星信号受信装置の用途に応じて設定すればよい。例えば、衛星信号受信装置を時計に適用し、受信した衛星信号から時刻データを取得して内部時計を更新する場合、内部時計の精度を考慮すると、1日に1回受信処理を行えば十分であり、1日に2回以上受信する必要は無い。この場合、前記設定時間は、1日(24時間)に設定し、1日に2回以上受信することがないように設定すればよい。
【0014】
この際、前記制御回路は、前記充電状態検出回路でソーラーセルから二次電池に充電していることを検出しており、かつ、前記経過時間計時手段によって計時された前記経過時間が予め設定した設定時間以上の場合のみ、前記発電状態検出回路を作動させることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、前回受信成功時から設定時間経過するまでは、発電状態検出回路を作動させないため、その間は充電停止時間を無くすことができて充電効率を向上できるとともに、発電状態検出回路を作動させないために消費電力を低減できる。
【0016】
本発明の衛星信号受信装置において、前記制御回路は、前記充電状態検出回路を第1周期で作動させ、前記発電状態検出回路を前記第1周期よりも短い第2周期で作動させることが好ましい。
【0017】
なお、第2周期は第1周期よりも短ければよいが、例えば、第1周期を10秒、第2周期を5秒等に設定し、第1周期を第2周期の2倍以上の長さに設定すればよい。
充電状態検出回路の作動間隔を、第2周期よりも長い第1周期に設定しているので、第2周期で作動させた場合に比べると消費電力を低減できる。一方、発電状態検出回路の作動周期(第2周期)は充電状態検出回路の作動周期(第1周期)よりも短く設定されているので、第1周期で作動させた場合に比べると発電状態をより細かく検出できる。このため、衛星信号受信装置を所持した利用者が移動して建物に出入りしている場合でも、屋内にいるのか屋外にいるのかをほぼリアルタイムに検出することができ、受信に適した状態を精度良く検出できる。
【0018】
本発明の衛星信号受信装置において、時刻を計時する内部時計を備えており、前記制御回路は、前記内部時計の計時時刻で昼間または夜間のいずれであるかを判断し、前記発電状態検出回路が昼間に作動される場合の作動間隔に対して、夜間に作動される場合の作動間隔を長く設定することが好ましい。
【0019】
なお、昼間および夜間の判断は、例えば、計時時刻が午前6時から午後6時までを昼間とし、それ以外の時間帯を夜間と判断すればよい。また、内部時計が、時間だけでなく、月日などのカレンダー情報も計時している場合には、そのカレンダー情報に基づいて、昼間および夜間を判定する時刻を変更してもよい。
本発明によれば、夜間はソーラーセルの発電量も低下するため、発電状態検出回路が作動されても、その検出値が予め設定された閾値以上となって受信処理が行われる可能性はない。従って、発電状態検出回路が作動される周期を昼間に比べて長くすることで、無駄な作動を防止でき、消費電流も低減できる。
なお、夜間と判断された場合は発電状態検出回路を作動させないという制御も可能であるが、内部時計が誤っている可能性もあるため、夜間と判断された場合であっても所定間隔で発電状態検出回路を作動させることが望ましい。
【0020】
本発明の衛星信号受信装置は、前記二次電池の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された二次電池の電圧が作動設定値以上の場合のみ、前記発電状態検出回路を作動することが好ましい。
【0021】
発電状態検出回路は、受信回路を作動させるか否かを判断するために用いられる。ここで、受信動作は消費電流が大きいため、二次電池の電圧がある程度高いレベルでないと受信回路を作動できない。従って、二次電池の電圧が受電回路を作動できないレベルであれば、発電状態検出回路を作動して屋外であると判定されても受信回路を作動させることができず、発電状態検出回路を無駄に作動させることになる。
本発明のように、充電状態であることが検出されても、二次電池の電圧が作動設定値以上の場合のみ、発電状態検出回路を作動するようにすれば、発電状態検出回路を無駄に作動させることを防止できる。
【0022】
本発明の衛星信号受信装置において、前記二次電池の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された二次電池の電圧が過充電判定設定値以上となった場合には、前記充電制御スイッチを切断し、前記二次電池の電圧が通常状態判定設定値未満に低下するまで二次電池の充電を停止し、前記通常状態判定設定値は前記過充電判定設定値以下に設定されていることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、二次電池の電圧が過充電判定設定値以上となった場合には、充電制御スイッチを切断して充電を停止できるので、過充電状態となることを防止できる。
また、充電制御スイッチは、発電状態検出回路で発電状態を検出する際に切断されるスイッチを利用しているので、別々にスイッチを設ける場合に比べて部品点数を削減できる。
なお、前記通常状態判定設定値は、前記過充電判定設定値以下に設定されていればよい。すなわち、通常状態判定設定値を過充電判定設定値と同じ値にした場合には、二次電池の電圧が過充電状態から低下した直後に、二次電池の充電を再開することができる。
一方、通常状態判定設定値を過充電判定設定値よりも所定値だけ低く設定した場合には、二次電池の充電を再開した際に即座に過充電判定値以上となってしまうことがなく、充電制御スイッチが短時間で断続することを防止できる。
【0024】
本発明の衛星信号受信装置において、前記充電状態検出回路および発電状態検出回路は、1つの電圧検出回路で兼用されており、前記電圧検出回路は、ソーラーセルの出力端子に接続され、かつ、分圧抵抗値比を変更可能な分圧抵抗器と、前記分圧抵抗器で分圧された電圧と、基準電圧とを比較するコンパレーターと、前記基準電圧を出力する基準電圧源とを備えて構成され、充電状態検出回路として用いる場合と、発電状態検出回路として用いる場合とで、前記分圧抵抗値比を変更することが好ましい。
【0025】
本発明によれば、充電状態検出回路および発電状態検出回路を、1つの電圧検出回路で兼用しているので、各検出回路用に別々の回路を設ける場合に比べて部品点数を少なくできる。さらに、分圧抵抗器を備えており、充電状態検出回路として用いる場合と発電状態検出回路として用いる場合とで前記分圧抵抗値比を変更しているので、基準電圧と比較される検出電圧つまり分圧された電圧を、充電状態および発電状態の各検出に適した電圧値に調整でき、各状態を精度良く検出できる。
【0026】
本発明の衛星信号受信装置の制御方法は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信回路と、光エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーセルと、前記ソーラーセルで変換された電気エネルギーを蓄積する二次電池と、前記ソーラーセルから二次電池への電気エネルギーの供給経路を断続する充電制御スイッチと、前記充電制御スイッチが接続された状態で、前記ソーラーセルから二次電池への充電状態を検出する充電状態検出回路と、前記充電制御スイッチが切断された状態で、前記ソーラーセルの発電状態を検出する発電状態検出回路とを有する衛星信号受信装置の制御方法であって、前記充電状態検出回路を間欠的に作動し、前記充電状態検出回路においてソーラーセルから二次電池に充電していることを検出した場合、前記発電状態検出回路を間欠的に作動し、前記発電状態検出回路で検出された検出値が予め設定された閾値以上の場合のみ、前記受信回路を作動することを特徴とする。
本発明においても、前記衛星信号受信装置と同じ作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態のGPS付き腕時計の概略平面図である。
【図2】第1実施形態のGPS付き腕時計の概略断面図である。
【図3】第1実施形態のGPS付き腕時計の回路構成を示すブロック図である。
【図4】充電状態検出回路の一例を示す回路図である。
【図5】充電状態検出回路の他の例を示す回路図である。
【図6】GPS付き腕時計の回路構成の他の例を示すブロック図である。
【図7】発電状態検出回路の一例を示す回路図である。
【図8】発電状態検出回路の他の例を示す回路図である。
【図9】第1実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図10】充電状態検出、発電状態検出、受信処理の作動タイミングを説明する図である。
【図11】ソーラーセルに当たる光の照度と発電電圧の関係を示すグラフである。
【図12】ソーラーセルに当たる光の照度と発電電流の関係を示すグラフである。
【図13】第2実施形態のGPS付き腕時計の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0029】
[第1実施形態]
図1及び図2は、第1実施形態の衛星信号受信装置であるGPS付き腕時計3の構造を説明する図である。図1はGPS付き腕時計3の概略平面図であり、図2は図1のGPS付き腕時計3の概略断面図である。
【0030】
[GPS付き腕時計の構造]
図1に示すように、GPS付き腕時計3は、文字板11及び指針12を備えている。指針12は、秒針、分針、時針等により構成されており、歯車を介してステップモーターで駆動される。
【0031】
GPS付き腕時計3は、リューズ14やボタン15、ボタン16を手動操作することにより、受信モードの設定や、受信処理および受信結果表示処理を行うことができるように構成されている。
【0032】
例えば、本実施形態では、ボタン16を押すことで、受信モード(測時モードまたは測位モード)を設定している。すなわち、ボタン16を押す毎に、測時モードおよび測位モードが交互に切り替えられる。この際、測時モードに設定された場合は、秒針が「Time」の位置(5秒位置)に移動し、測位モードに設定された場合は、秒針が「Fix」の位置(10秒位置)に移動するため、利用者は設定された受信モードを容易に確認できるようにされている。
【0033】
また、ボタン15が数秒(例えば3秒)以上押されると、GPS付き腕時計3は受信処理を行う。
さらに、ボタン15が短い時間押されると、GPS付き腕時計3は文字板11及び指針12により直前の受信モードにおける受信結果を表示する。例えば、測時モードで受信成功の場合には、秒針が「Time」の位置(5秒位置)に移動し、測位モードで受信成功の場合には、秒針が「Fix」の位置(10秒位置)に移動する。また、受信失敗の場合には秒針が「N」の位置(20秒位置)に移動する。
なお、これらの秒針による指示は受信中も行われる。すなわち、測時モードで受信中は秒針が「Time」の位置(5秒位置)に移動し、測位モードで受信中は秒針が「Fix」の位置(10秒位置)に移動する。また、GPS衛星が捕捉できない場合は秒針が「N」の位置(20秒位置)に移動する。
【0034】
図2に示すように、GPS付き腕時計3は、ステンレス鋼(SUS)、チタン等の金属で構成された外装ケース17を備えている。
外装ケース17は、略円筒状に形成され、表面側の開口にはベゼル18を介して表面ガラス19が取り付けられている。ベゼル18は、衛星信号の受信性能を向上させるためにセラミック等の非金属材料で構成される。外装ケース17の裏面側の開口には裏蓋26が取り付けられている。
【0035】
外装ケース17の内部には、ムーブメント13、ソーラーセル22、GPSアンテナ27、二次電池24等が配置されている。
【0036】
ムーブメント13は、ステップモーターや輪列21を含んで構成されている。ステップモーターは、モーターコイル20、ステーター、ローター等で構成されており、輪列21を介して指針12を駆動する。
ムーブメント13の裏蓋側には回路基板25が配置され、回路基板25は、コネクター32を介してアンテナ基板23及び二次電池24と接続されている。
【0037】
回路基板25には、GPSアンテナ27で受信した衛星信号を処理する受信回路を含むGPS受信回路30、ステップモーターの駆動制御等を行う制御回路40等が取り付けられている。GPS受信回路30や制御回路40は、シールド板33に覆われており、二次電池24から供給される電力で駆動される。
【0038】
二次電池24はリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池であり、ソーラーセル22が発電した電力を蓄えられるようになっている。すなわち、ソーラーセル22の電極と二次電池24の電極の間を電気的に接続することにより、ソーラーセル22が光発電を行い、二次電池24が充電される。なお、本実施形態では、二次電池24としてリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等の二次電池を用いているが、二次電池24は蓄電体であればよく、例えば、コンデンサ等であってもよい。
【0039】
ソーラーセル22は、文字板11の一部と対向するように配置され、表面ガラス19および文字板11を通過した光を受光して光発電を行う。
【0040】
文字板11は、外部から視認できるため、できるだけ光を透過させつつ見栄えをよくすることが望ましい。そのため、文字板11は、光を透過させるプラスチックやガラス等の非金属の材料で構成されている。
【0041】
アンテナ基板23に実装されたGPSアンテナ27は、複数のGPS衛星からの衛星信号を受信するアンテナであり、パッチアンテナ、ヘリカルアンテナ、チップアンテナ、逆Fアンテナ等により実現される。
【0042】
本実施形態では、GPS付き腕時計3の装飾性や装着性を向上させるために、GPSアンテナ27は文字板11の裏面に配置される。そのため、文字板11は、1.5GHz帯のマイクロ波を通す材料、例えば導電率及び透磁率の低い材料であるプラスチックやガラス等の非金属で構成されているのが好ましい。
【0043】
GPSアンテナ27は、上面や側面を含む表面全体からマイクロ波(衛星信号)を受信する。そのため、ソーラーセル22内の金属性部材がマイクロ波をシールドしないように、本実施形態では、文字板11とGPSアンテナ27の間には、ソーラーセル22が配置されていない。
また、GPSアンテナ27とソーラーセル22の距離が近いほどGPSアンテナ27とソーラーセル22内の金属性部材が電気的に結合してロスが発生する。さらに、GPSアンテナ27とソーラーセル22の距離が近いほどGPSアンテナ27の放射パターンがソーラーセル22に遮られてGPSアンテナ27の放射パターンが小さくなってしまう。そのため、受信性能が劣化しないように、本実施形態では、GPSアンテナ27とソーラーセル22との距離が所定値以上になるように配置されている。
【0044】
また、GPSアンテナ27は、ソーラーセル22以外の金属部材との距離も所定値以上になるように配置されている。例えば、外装ケース17やムーブメント13が金属部材で構成されている場合、GPSアンテナ27は、外装ケース17との距離及びムーブメント13との距離がともに所定値以上になるように配置される。
【0045】
次に、GPS付き腕時計3の回路構成について詳述する。図3は、第1実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成を示すブロック図である。
GPS付き腕時計3は、GPSアンテナ27、GPS受信回路30、制御回路40、過充電検出回路41、タイミング信号発生回路42、充電制御スイッチ43、逆流防止ダイオード44、充電状態検出回路50、発電状態検出回路60を備えている。
【0046】
[GPSアンテナ]
GPSアンテナ27は、複数のGPS衛星からの衛星信号を受信するアンテナであり、前述したように、パッチアンテナなどで構成される。このGPSアンテナ27の出力は、GPS受信回路30に接続されている。
【0047】
[GPS受信回路]
GPS受信回路30は、図示を略すが、主にRF(Radio Frequency:無線周波数)部と、GPS信号処理部を含んで構成される。そして、GPS受信回路30は、1.5GHz帯の衛星信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。なお、本実施形態のGPS受信回路30は、8個の衛星信号を同時に捕捉、受信できるように8チャンネルの受信回路を備えている。
なお、RF部やGPS信号処理部は、従来から用いられているGPS受信回路と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0048】
[制御回路]
制御回路40は、衛星信号受信装置であるGPS付き腕時計3を制御するためのCPUで構成されている。
この制御回路40は、後述するように、GPS受信回路30を制御して受信処理を実行する。また、制御回路40は、タイミング信号発生回路42を制御して過充電検出回路41の動作を制御するとともに、充電状態検出回路50、発電状態検出回路60の動作を制御する。
【0049】
[過充電検出回路]
過充電検出回路41は、二次電池24の電圧を検出し、所定の電圧(過充電判定設定値)を越えたか否かを判定する。この過充電検出回路41は、タイミング信号発生回路42から出力されるタイミング信号に応じて作動される。このため、過充電検出回路41は所定間隔で駆動、つまりサンプリング駆動される。なお、この過充電検出回路41による過充電の検出間隔は、実施にあたって適宜設定できるが、後述する充電状態検出回路50による充電状態の検出間隔よりも短い周期(例えば2秒間隔)で行うことが、過充電状態をほぼリアルタイムで検出できる点で好ましい。
そして、過充電検出回路41は、複数回(例えば3回)の検出結果が前記過充電判定設定値を超えた場合、二次電池24の電圧が高くなって過充電状態になったと判定する。1回の検出結果のみで判断しないのは、ノイズが原因で誤判定となる可能性があるためである。
【0050】
過充電検出回路41は、二次電池24が過充電状態であると判定すると、充電制御スイッチ43を切断(オフ)に制御し、ソーラーセル22からの充電が行われないようにしている。
なお、過充電状態であると判定されて切断に制御された充電制御スイッチ43は、過充電検出回路41で検出する二次電池24の電圧が所定電圧(通常状態判定電圧)以下に低下して過充電状態ではなく、通常状態であると判定した際に、接続(オン)に制御すればよい。
ここで、通常状態判定電圧は、前記過充電状態判定電圧と同じ電圧値でもよいが、通常は、過充電状態判定電圧よりも低い電圧に設定することが好ましい。通常状態判定電圧と過充電状態判定電圧とを同じ電圧値にすると、充電制御スイッチ43を切断して電圧値が通常判定電圧以下に低下した際に直ちに充電制御スイッチ43を接続するため、再度、過充電状態と判定されて充電制御スイッチ43を切断しなければならず、充電制御スイッチ43をオン・オフが短時間で繰り返されてしまうためである。
【0051】
このような過充電検出回路41を備えていれば、リチウムイオン電池のように、過充電を防止する保護回路が必要な二次電池を用いることができる。
【0052】
[タイミング信号発生回路]
タイミング信号発生回路42は、前述の通り、過充電検出回路41の検出タイミングを発生させる回路である。すなわち、本実施形態では、過充電検出回路41の作動による消費電流を下げるためにサンプリング駆動を行うが、タイミング信号発生回路42はそのサンプリングのタイミングを作成するものである。
【0053】
[充電制御スイッチ]
充電制御スイッチ43は、電界効果トランジスターで構成され、過充電検出回路41または発電状態検出回路60から入力される制御信号によって、オン・オフされるものである。この充電制御スイッチ43は、ソーラーセル22から二次電池24に充電される電流が流れる経路に設けられており、オフ状態とされた場合には、ソーラーセル22から二次電池24への電流を遮断する。
【0054】
[逆流防止ダイオード]
逆流防止ダイオード44もソーラーセル22から二次電池24に充電される電流が流れる経路に設けられている。通常、二次電池24を充電する場合は、二次電池24よりもソーラーセル22の電圧が高くなる。ソーラーセル22から二次電池24に向かって順方向電流が流れる際に、順方向電圧が生じるためである。
そこで、前記経路に逆流防止ダイオード44を配置すれば、充電時つまりソーラーセル22の電圧が二次電池24よりも高くなった時にはソーラーセル22から二次電池24に電流が流れる。一方、ソーラーセル22の電圧が二次電池24よりも低くなった時には、二次電池24からソーラーセル22に電流が流れることは、逆流防止ダイオード44によって防止される。
なお、二次電池24からソーラーセル22への電流の逆流を防止する素子としては、逆流防止ダイオード44ではなく、電界効果トランジスター(FET)で構成してもよい。
【0055】
[充電状態検出回路]
充電状態検出回路50は、ソーラーセル22から二次電池24への充電状態を検出する回路である。すなわち、充電中は、逆流防止ダイオード44の順方向降下電圧Vfにより電池電圧(VCC)よりもソーラーセル22の電圧(PVIN)が高くなる。従って、これらの電圧を比較することで、充電状態であるか否かを検出する。
この充電状態検出回路50による充電状態の検出は、充電制御スイッチ43を接続状態に維持したまま実行される。また、充電状態の検出は、連続して行う必要は無く、定期的に実行される。本実施形態の充電状態検出回路50は、例えば、10秒毎に1秒間作動されて充電状態を検出している。つまり、充電状態検出回路50の作動周期(第1周期)は10秒であり、作動周期毎の作動時間は1秒間である。
【0056】
この充電状態検出回路50の具体的な回路例を図4に示す。図4に示す充電状態検出回路50は、ソーラーセル22側の端子PVINの電圧と、二次電池24側の端子VCCの電圧とを、電圧比較器(コンパレーター)51で比較することで充電状態を検出するものである。
そして、制御回路40からのオン/オフ信号によって、充電状態検出回路50、具体的には電圧比較器51の作動が制御され、電池電圧(VCC)よりもソーラーセル22の電圧(PVIN)が高い場合には、充電中であると判断し、出力(OUT)から制御回路40にHレベル信号を出力する。
一方、電圧比較器51は、電池電圧(VCC)よりもソーラーセル22の電圧(PVIN)が低い場合には、非充電中であると判断し、出力(OUT)から制御回路40にLレベル信号を出力する。
【0057】
なお、充電状態検出回路としては、図5に示す充電状態検出回路50Aのように、電流を検出して充電状態を検出するものでもよい。この場合、図6に示すように、充電状態検出回路50Aは、ソーラーセル22から二次電池24への充電経路に配置される。
この充電状態検出回路50Aは、センス抵抗52や、コンパレーター53を備えるものである。この充電状態検出回路50Aの端子A、Bを、逆流防止ダイオード44および充電制御スイッチ43間に接続している。このため、PVINからVCCに流れる電流量に応じて、コンパレーター53の出力OUTが変化する。ソーラーセル22に照射される光の照度が大きいほど、前記PVINからVCCに流れる電流量も増加し、コンパレーター53の出力OUTも大きくなる。従って、コンパレーター53の出力OUTによって充電中または非充電中であることを検出できる。
【0058】
[発電状態検出回路]
発電状態検出回路60は、ソーラーセル22の発電状態を検出する回路である。
この発電状態検出回路60の具体的な回路例を図7,8に示す。図7に示す発電状態検出回路60は、充電制御スイッチ43をオフにした状態で、ソーラーセル22の開放電圧を測定して発電状態を検出するものである。また、発電状態の検出も、連続して行う必要は無く、定期的に実行される。本実施形態の発電状態検出回路60は、例えば、10秒毎に1秒間作動されて発電状態を検出している。つまり、発電状態検出回路60の作動周期(第2周期)は10秒であり、作動周期毎の作動時間は1秒間である。
なお、発電状態検出回路60の作動間隔(サンプリング周期、第2周期)は、充電状態検出回路50の作動間隔(第1周期)以下であることが好ましい。後述するように、発電状態検出回路60で発電状態が検出されると、GPS受信回路30を作動させて受信処理が行われる。このため、GPS付き腕時計3の状態を短い時間間隔でチェックできるように、前記発電状態検出回路60の作動間隔は充電状態検出回路50の作動間隔以下と短いほうが好ましい。
この発電状態検出回路60は、分圧抵抗器61、基準電圧源としてのレギュレーター62、コンパレーター63を備えて構成されている。分圧抵抗器61はソーラーセル22の開放電圧を測定できるような、高抵抗値に設定される。
【0059】
発電状態検出回路60は、充電制御スイッチ43をオフにし、さらに、検出したい電圧に応じて分圧抵抗器61の分圧抵抗値比を変える。そして、分圧抵抗器61で分圧された電圧と、レギュレーター62の電圧をコンパレーター63で比較し、その比較結果を出力OUTから制御回路40に出力する。
そして、制御回路40からのオン/オフ信号によって、発電状態検出回路60、具体的にはコンパレーター63の作動が制御され、発電状態検出回路60は第2周期(例えば5〜10秒間隔)で作動される。さらに、制御回路40からのオン/オフ信号がオンの時にソーラーセル22と分圧抵抗器61が接続され、オフの時には切断される。
なお、発電状態検出回路60は、図4に示す充電状態検出回路50に比べて、分圧抵抗器61およびレギュレーター62を備えて部品点数が多いため、消費電流が増加する。
【0060】
図8に示す発電状態検出回路60Aは、ソーラーセル22の短絡電流を測定して発電状態を検出するものである。すなわち、発電状態検出回路60Aは、抵抗64,65や、増幅器66を備えるものである。抵抗65はソーラーセル22の短絡電流を測定できるような、低抵抗値に設定される。
この発電状態検出回路60Aは、充電制御スイッチ43をオフにし、抵抗65で端子PVINおよびGNDを短絡し、抵抗65を流れる電流に応じて増幅器66の出力OUTが変化する。ソーラーセル22に照射される光の照度が大きいほど、前記抵抗65に流れる電流量も増加し、増幅器66の出力OUTも大きくなる。従って、増幅器66の出力OUTによって発電状態を検出できる。制御回路40からのオン/オフ信号によって、発電状態検出回路60A、具体的には増幅器66の作動が制御され、発電状態検出回路60は第2周期(例えば5〜10秒間隔)で作動される。さらに、制御回路40からのオン/オフ信号がオンの時にソーラーセル22と抵抗65と抵抗64が接続され、オフの時には切断される。
なお、発電状態検出回路60Aは、図5に示す充電状態検出回路50Aのコンパレーター53に対して増幅器66が必要となるため、消費電流が増加する。
【0061】
[制御回路の動作]
このようなGPS付き腕時計3における制御回路40の動作について、図9のフローチャートに基づき説明する。
制御回路40は、一定周期で充電状態検出回路50を作動する(S1)。本実施形態では、図10に示すように、制御回路40は、10秒間隔でパルス幅1秒の駆動信号を出力し、充電状態検出回路50を作動している。駆動信号が入力されると、充電状態検出回路50は、充電状態であるか否かを示す信号を制御回路40に出力する。このため、制御回路40は、充電中であるか否かを判定する(S2)。なお、前記充電制御スイッチ43は、後述するように、発電状態検出回路60が作動されるタイミングのみオフに切り替えられる。
【0062】
[非充電状態での制御]
図10に示すように、GPS付き腕時計3に当たる光が暗く、ソーラーセル22で発電が行われていない場合、充電状態検出回路50からはLレベル信号が出力される。このため、制御回路40は充電中ではない(S2:No)と判定する。この場合、制御回路40は、さらに非充電状態が72時間以上継続しているかを判定する(S3)。
そして、制御回路40は、非充電状態が72時間以上継続していれば(S3:Yes)、GPS付き腕時計3をスリープモードで制御する(S4)。スリープモードとは、時刻の計時は継続するが、指針等の時刻表示手段の駆動(運針)を停止し、消費エネルギーを抑えるモードである。なお、このスリープモードは、図示を略すが、S2でYesと判定された場合、つまり充電中であることを検出した時点で解除される。
【0063】
S3で「No」と判定された場合と、S4のスリープモード処理を行った場合には、いずれの場合も、S2で充電中ではないと判定されている。このため、制御回路40は、GPS受信回路30を作動して受信中であれば、受信を停止する(S5)。
【0064】
[充電状態での制御]
一方、制御回路40は、S2で充電状態であると判定した場合、前回の受信成功時から24時間(1日)経過しているかを判定する(S6)。これは、GPS信号の受信処理を1日に1回のみに制限するためである。
制御回路40は、前回の受信成功時から24時間経過していない場合(S6:No)は、受信処理を行わずに終了する。
【0065】
一方、前回の受信処理から24時間以上経過している場合(S6:Yes)は、制御回路40は、発電状態検出回路60を作動する(S7)。この際、前述の通り、充電制御スイッチ43は、発電状態検出回路60によってオフ状態に切り替えられる。すなわち、制御回路40は、充電状態検出回路50で充電中であることを検出すると、10秒間隔でパルス幅1秒の駆動信号を出力し、発電状態検出回路60を作動する。この際、充電制御スイッチ43は、発電状態検出回路60からの信号によってオフ状態に制御される。
なお、充電制御スイッチ43がオフ状態では充電状態検出回路50によって充電状態を検出できない。このため、制御回路40は、充電状態検出回路50に対する作動信号の出力タイミングと、発電状態検出回路60に対する作動信号の出力タイミングとが一致しないように、各信号の出力タイミングをずらしている。
【0066】
制御回路40は、発電状態検出回路60から出力される検出結果信号により、設定電圧以上の発電電圧(開放電圧)が検出されたか否かを判定する(S8)。すなわち、発電状態検出回路60が動作している際には、充電制御スイッチ43がオフとされるので、ソーラーセル22および発電状態検出回路60は、二次電池24とは切り離される。このため、発電状態検出回路60は、二次電池24の充電電圧の影響を受けることなく、ソーラーセル22での発電電圧(開放電圧)を検出できる。従って、発電状態検出回路60は、検出した発電電圧に基づいてソーラーセル22に当たる光の照度を高精度に検出できる。
【0067】
このソーラーセル22の開放電圧を検出することで照度を高精度に検出できる理由について、図11のグラフを参照して説明する。
図11のグラフは、ソーラーセル22での照度と、ソーラーセル22の出力端子(図3のPVIN)での電圧との関係を示すものである。
図11において、実線67は、充電制御スイッチ43をオンにした状態での照度および電圧の関係を示すグラフである。なお、この際、二次電池24の電圧は点線68で示す値である。
一方、一点鎖線69は、充電制御スイッチ43をオフにした状態での照度および電圧の関係を示すグラフである。
【0068】
実線67に示すように、充電制御スイッチ43がオン状態であると、ソーラーセル22の電圧は、照度が1000ルクス以上では殆ど一定になる。これは、ソーラーセル22の抵抗成分と比較して二次電池24の内部抵抗が数Ωと低いため、照度に関わらずソーラーセル22の出力電圧(PVIN)は二次電池24の電圧に近くなるためである。このため、ソーラーセル22の電圧を検出しても、その際の照度を特定することはできない。
一方、一点鎖線69に示すように、充電制御スイッチ43がオフ状態の場合、照度が高くなれば、ソーラーセル22の電圧(開放電圧)も比例して高くなる。このため、ソーラーセル22の開放電圧を検出すれば、その際の照度を特定することができる。
【0069】
なお、このことは、図8に示す電流検出による発電状態検出回路60Aにおいても同様である。すなわち、図12の実線71は、充電制御スイッチ43がオン状態でかつ二次電池24の電圧が4.0Vの場合の照度とソーラーセル22の充電電流との関係を示すグラフである。同様に、点線72は、充電制御スイッチ43がオン状態でかつ二次電池24の電圧が3.7Vの場合の照度とソーラーセル22の充電電流との関係を示すグラフである。これらのグラフから分かるように、充電制御スイッチ43がオン状態の場合には、充電電流の値が同じであっても、二次電池24の電圧が異なると、対応する照度の値も異なる。このため、充電電流値を検出しても、照度を正しく求めることができない。
一方、図12の一点鎖線73は、充電制御スイッチ43がオフ状態の場合の照度とソーラーセル22の短絡電流との関係を示すグラフである。充電制御スイッチ43がオフ状態であれば、二次電池24の影響を受けないので、ソーラーセル22の短絡電流を検出すれば、その際の照度も特定できる。
【0070】
以上のように、充電制御スイッチ43をオフにした状態で、ソーラーセル22の開放電圧や短絡電流を検出すれば、その際の照度を求めることができる。従って、制御回路40は、GPS付き腕時計3が屋外に配置されているか否かを、前記照度を開放電圧や短絡電流によって間接的に検出することで判定できる。
本実施形態では、GPS付き腕時計3が屋外に配置されているか否かを、照度が3000ルクス以上であるか否かで判定する。このため、照度3000ルクスに相当する閾値を設定し、開放電圧や短絡電流がこの閾値以上であるか否かを判定している。本実施形態では、発電状態検出回路60によって開放電圧を測定しているので、閾値(設定電圧)として例えば5.4V(図11の一点鎖線69の特性を有している場合に照度3000ルクスに相当)を設定し、検出した開放電圧が閾値5.4V以上であるかを判定する(S8)。
【0071】
S8でNoと判定された場合、制御回路40は、GPS付き腕時計3が屋外に配置されておらず、GPS信号の受信に適した場所に配置されていない可能性が高いと判断する。この際、既にGPS受信中であれば、受信を停止する(S5)。
【0072】
S8でYesと判定された場合、制御回路40は、10秒間隔での発電状態検出において2回連続で発電電圧(開放電圧)が設定電圧以上であったかを判定する(S9)。
S9でNoと判定された場合、制御回路40は、GPS付き腕時計3がGPS信号の受信に適した状態になっていない可能性が高いと判断する。この際、既にGPS受信中であれば、受信を停止する(S5)。
すなわち、GPS付き腕時計3が屋外に配置され、かつ、昼間であれば、ソーラーセル22には、3000ルクス以上の光が10秒以上継続して照射されるはずである。従って、10秒間隔で開放電圧を検出した場合、2回以上連続して設定電圧以上の電圧を検出する。
一方、2回以上連続して設定電圧以上の電圧を検出できない場合には、例えば、GPS付き腕時計3を装着した利用者が屋外から屋内に移動したり、屋内に配置されたGPS付き腕時計3に、建物の窓から瞬間的に直射日光がソーラーセル22に当たった場合などが想定される。このような条件では、GPS衛星信号を感度良く受信することが難しい。
従って、本実施形態では、S8およびS9において、2回連続して検出電圧が設定電圧以上であるかを判断している。なお、屋外判定としては、2回連続して検出電圧が設定電圧以上であるかを判断するものに限定されない。例えば、3回以上連続して検出電圧が設定電圧以上であることを条件としてもよいし、あるいは、検出電圧が設定電圧以上であることを1回検出したことを条件としてもよい。
【0073】
S9でYesと判定されると、前述の通り、GPS衛星信号の受信に適した状態になっていると予測できるので、制御回路40は、GPS受信回路30を作動してGPS衛星の受信を開始する(S10)。
なお、S10で開始される受信処理は、所定の条件に該当した際に自動的に行われる自動受信処理である。この自動受信処理では、測時モードでの受信処理が行われる。すなわち、測位モードでは、位置を検出するために3個以上のGPS衛星から信号を受信しなければならず、受信処理時間も長くなる。このため、信号受信が終了するまでGPS付き腕時計3を屋外に配置しておくことが好ましいが、自動受信処理では利用者が受信中であることに気がつかず、受信中であっても屋内に移動してしまうおそれもある。このため、測位モードでの受信は、利用者が意図して受信操作を行った場合のみ、つまり強制受信処理時のみ行うことが好ましい。
一方、測時モードでは、1つのGPS衛星からの信号受信でも時刻情報を取得でき、受信処理時間も短くできる。従って、利用者が意図しなくても、受信処理を実行することができ、自動受信処理に適している。
【0074】
また、受信処理中は、GPSアンテナ27の上面に指針12があると受信感度に影響するため、GPSアンテナ27の上面に指針12が重ならないようにモーターを制御することが好ましい。
【0075】
制御回路40は、以上のS1〜S10の処理を10秒間隔(第1周期)で繰り返す。このため、図10に示すように、受信処理が行われている際に、ソーラーセル22に照射する光が暗くなって充電中でなくなった場合は、発電状態検出回路60の作動も停止され、GPS受信処理も停止される。
また、充電中であっても、発電状態検出回路60で設定電圧以上の電圧が検出されなくなれば、GPS受信処理も停止される。
なお、当然ながら、充電が継続し、かつ、発電状態検出回路60で設定電圧以上の電圧検出が継続していても、時刻修正に必要な情報を取得できれば、GPS受信処理も停止される。
【0076】
このような第1実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
発電状態検出回路60は、充電制御スイッチ43を切断した状態でソーラーセル22の発電状態を検出している。このため、発電状態検出回路60は、二次電池24の影響を受けることなく、ソーラーセル22の発電状態を高精度に検出できる。このため、ソーラーセル22の発電状態つまりソーラーセル22における照度をより高精度に検出でき、ソーラーセル22を利用した屋内外判定を、二次電池24の電圧や充電状態で判定する場合に比べて高精度に行うことができる。
【0077】
そして、発電状態検出回路60でGPS付き腕時計3が屋外に配置されていると検出された場合のみ受信が行われるため、衛星信号の受信に短時間で成功する確率を高めることができ、受信処理を効率的に行うことができる。従って、GPS付き腕時計3が屋内に配置されて、衛星信号を受信できない環境で受信処理が行われることを未然に防止でき、無駄な電力消費を防止できる。
【0078】
また、制御回路40は、充電状態検出回路50で充電状態が検出されている場合のみ、発電状態検出回路60を作動しているので、充電が行われていない状態つまり光がソーラーセル22に照射していない状態で発電状態検出回路60が作動されることがなく、無駄な電力消費を防止できる。
【0079】
充電状態検出回路50による充電状態の検出処理を第1周期(10秒間隔)で行い、発電状態検出回路60による発電状態の検出処理は充電状態検出回路50によって充電中であると判定された場合のみ実行されるので、発電状態検出回路60の作動時間つまりは充電制御スイッチ43がオフされる時間を最小限に抑えることができる。このため、ソーラーセル22による充電効率の低下も抑えることができる。
例えば、二次電池24の容量が10mAHであり、ソーラーセル22からの充電電流が1.0mAであったとする。なお、図12の一点鎖線73で示すように、約1.0mAの充電電流が生じるのは、約1万ルクスの光が当たった場合である。この場合、二次電池24を充電する時間は、10mAH/1.0mA=10時間である。
一方、発電状態検出回路60が10秒間毎に1秒間作動されている場合、その1秒間は充電制御スイッチ43がオフされるため、充電が行われるのは10秒間のなかでは9秒間である。この場合、二次電池24を充電する時間は、10mAH/(1.0mA×9秒/10秒)=約11時間である。
これら2つの計算から明らかなように、発電状態検出回路60が作動されていると、発電状態検出回路60が作動されていない場合に比べて、二次電池24を充電する時間が長くなり、充電効率は低下する。
従って、二次電池24の充電時間を短縮するには、発電状態検出回路60の作動時間を最小限に抑えることが有効である。本実施形態では、発電状態検出回路60を常時作動させるのではなく、充電状態検出回路50で充電中であると判定された場合のみ作動しているので、発電状態検出回路60の作動時間を短くでき、充電時間も短縮できる。
【0080】
また、電圧で比較するタイプである発電状態検出回路60は、図7に示すように、充電状態検出回路50(図4)に比べて部品点数が多く、消費電流も多い。同様に電流で比較するタイプである発電状態検出回路60Aは、図8に示すように、充電状態検出回路50A(図5)のコンパレーター53に対して増幅器66が必要となるため、消費電流も多い。電圧で比較するタイプでも電流で比較するタイプでも出来るだけ発電状態検出回路の作動回数を少なくする事で、電池の持続時間を長くする事ができる。つまり、充電状態検出回路で充電状態が検出されている場合のみ、発電状態検出回路を作動させる事で、充電が行われていない状態つまり光がソーラーセルに照射していない状態で発電状態検出回路が作動されることがなく、無駄な電力消費を防止できるので、電池の持続時間を長くする事が出来る。
例えば、充電状態検出回路50において、充電状態検出のサンプリング周期が10秒の場合の平均消費電流は、2.0uA×1秒/10秒=0.2uAである。一方、発電状態検出回路60において、発電状態検出のサンプリング周期が10秒の場合の平均消費電流は、4.0uA×1秒/10秒=0.4uAである。
2次電池の容量を10mAHとして、時計を動作させるための消費電流を0.5uAとした場合の持続時間は、以下の通りである。
すなわち、光が当たっていない状態で充電状態検出と発電状態検出を常時行った場合の持続時間は、10mAH(電池容量)/(0.5uA(時計動作)+0.2uA(充電状態検出)+0.4uA(発電状態検出))/24時間=378日である。
一方、光が当たっていない状態で充電状態検出のみを行い、発電状態検出は行わなかった場合の持続時間は、10mAH(電池容量)/(0.5uA(時計動作)+0.2uA(充電状態検出)+0uA(発電状態検出))/24時間=595日である。
従って、消費電流が大きな発電状態検出処理を、充電状態検出で充電中と判断された時のみ行うことで、持続時間を延ばすことができる。
【0081】
本実施形態では、S6で前回受信に成功してから24時間以上経過するまでは、発電状態検出回路60の作動(S7)を行わないため、発電状態検出回路60の作動による消費電力を抑えることができる。
さらに、S6で前回受信に成功してから24時間以上経過するまでは、GPS受信回路30の作動(S10)も行わないため、短い間隔で受信処理を繰り返すことを未然に防止できる。このため、受信処理の実行回数を必要最小限に抑えることができ、この点でも消費電力を低減できる。
【0082】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について、図13を参照して説明する。
第2実施形態のGPS付き腕時計3Aは、充電状態検出回路50を備えていない点が第1実施形態のGPS付き腕時計3と相違する。なお、同一の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0083】
GPS付き腕時計3Aでは、充電状態検出回路50が設けられていないため、発電状態検出回路60が充電状態の検出と、発電状態の検出とを行う。すなわち、発電状態検出回路60は、充電制御スイッチ43をオンに制御しておき、一定周期で充電状態を検出する場合にPVINの電圧を検出する。また、発電状態検出回路60は、充電状態検出で充電中である場合は、充電制御スイッチ43を周期的にオフに制御し、一定周期で発電状態を検出する。
なお、発電状態検出回路60は、図7に示すように、分圧抵抗器61において分圧抵抗比を変えて、充電状態を検出する場合と発電状態を検出する場合とで、検出する電圧(閾値、設定電圧)を変えている。例えば、充電状態検出時には、発電状態検出回路60は、PVINの電圧が3.7V以上であれば、分圧抵抗器61で分圧された電圧がレギュレーター62の電圧値以上となるように分圧抵抗値比を調整している。また、発電状態検出時には、発電状態検出回路60は、PVINの電圧が5.4V以上であれば、分圧抵抗器61で分圧された電圧がレギュレーター62の電圧値以上となるように分圧抵抗値比を調整している。このように、発電状態検出回路60は、同一電圧を出力するレギュレーター62を基準電圧源として用いるとともに、対比する検出電圧(分圧抵抗器61で分圧された電圧)を分圧抵抗器61の分圧抵抗値比を変更している。これにより、発電状態検出回路60は、充電状態検出時にはPVINの電圧が設定電圧3.7V以上であるか否かで充電状態であるか否かを判定し、発電状態検出時にはPVINの電圧が設定電圧5.4V以上であるか否かで発電状態であるか否かを判定する。
【0084】
このような第2実施形態においても前記第1実施形態と同じ作用効果が得られる。
さらに、充電状態検出回路を、発電状態検出回路60で兼用しているので、第1実施形態に比べて部品点数を減少できる。
ただし、発電状態検出回路60で充電状態を検出する場合、分圧抵抗方式のため、第1実施形態の充電状態検出回路50に比べて消費電流が多くなる。なお、充電制御スイッチ43をオフにする時間は第1、2実施形態で同一のため(10秒周期の中で1秒間)、充電効率は第1実施形態と同じである。
【0085】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、前記実施形態では、充電状態の検出を10秒間隔で行っていたが、この間隔に限定されない。一般的には、10秒未満に設定する必要は無いため、10秒以上に設定すればよく、例えば、1分間隔程度に設定してもよい。
【0086】
また、前回実施形態では、受信成功時から24時間経過するまでは、発電状態を検出していなかったが、この経過時間による判断を無くし、充電状態の検出および発電状態の検出を常時行うようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、充電状態の検出間隔は一定であったが、例えば、受信成功時からの経過時間で充電状態の検出間隔を変更しても良い。すなわち、前記実施形態では、受信成功時から24時間経過するまでは、スリープモードへの移行のみを判定すればよいため、検出間隔もある程度長くできる。つまり、発電状態を検出する前提条件を確認するための充電状態検出時(前回受信成功時から24時間以上経過している時)には、充電状態の検出は10秒〜1分程度の間隔で行い、スリープモードへの移行を制御するために充電状態のみを検出する場合(前回受信成功時から24時間以内)には、より長い間隔、例えば、1分〜1時間程度に設定すればよい。
【0087】
前記実施形態では、充電状態検出回路50の作動周期(第1周期)と、発電状態検出回路60の作動周期(第2周期)とは、同じ10秒であったが、これらの各周期を異ならせてもよい。この場合、第2周期は第1周期よりも短く設定し、例えば、第1周期を第2周期の2倍以上に設定することが好ましい。
【0088】
さらに、発電状態検出回路60の作動周期は、内部時計の計時時刻が昼間の場合を、夜間の場合に比べて短く設定してもよい。夜間は発電状態検出回路60を作動させても設定電圧以上の発電電圧となる可能性が低いためである。
【0089】
また、二次電池24の電圧検出回路を設け、二次電池24の電圧が設定値以上の場合のみ、発電状態検出回路60を作動させても良い。二次電池24の電圧が高くないと、GPS受信回路30を作動できないためである。
【0090】
前記実施形態では、過充電検出回路41を設けていたが、二次電池24の種類などによっては、過充電検出回路41は必ずしも設けなくてもよい。
また、二次電池24の電圧を低下させるために、放電回路を設けてもよい。この放電回路を設けた場合には、放電によって二次電池24の電圧が必要以上に低下するおそれがあるため、過放電検出回路を設け、放電を停止できるように設定することが好ましい。
【0091】
前記実施形態では、屋外判定による自動受信処理のために、前記充電状態検出回路50、発電状態検出回路60を用いていたが、ボタン操作などによる強制受信処理や、予め決められた時刻に実施する定時受信処理の際に、充電状態検出回路50および発電状態検出回路60による屋外判定を実行し、屋外であると判定された場合に受信処理を行うようにしてもよい。
すなわち、利用者が屋内において誤って強制受信処理を行う場合や、定時受信時にGPS付き腕時計3を屋内に配置している場合も考えられ、このような場合に受信処理を実行しても、衛星信号を受信できる可能性が低い。従って、これらの処理においても、受信処理を実行する前に、充電状態検出回路50、発電状態検出回路60で、充電状態および発電状態を検出して屋外であると判定してから受信処理を実行してもよい。
ただし、屋外の判定をソーラーセル22の発電状態で判定しているため、夜間は屋外判定ができない。このため、強制受信処理時には、利用者が屋外に移動して受信している可能性が高いと判断し、ソーラーセル22の発電状態による屋外判定を行わずに受信処理を実行してもよい。また、定時受信処理時にも、受信時刻が夜間であると判定できる場合には、ソーラーセル22の発電状態による屋外判定を行わずに受信処理を実行してもよい。
【0092】
また、受信モードによって、GPS受信回路30を作動させる条件を変更しても良い。
すなわち、測時モードの時には、充電状態検出回路50で充電状態が検出された時に、GPS受信回路30を作動して受信を行い、測位モードの時には、発電状態検出回路60で発電状態が検出された時に、GPS受信回路30を作動して受信すればよい。
測時モードの時は、1衛星のみ捕捉すればよく、信号の受信確率が高い。このため、完全な屋外でなくとも受信できる可能性がある。例えば、屋内であっても窓の近くであれば1衛星を捕捉して衛星信号を受信できる可能性がある。従って、屋内にGPS付き腕時計3が配置されている場合のように、わずかな照度でも受信するようにするため、充電状態検出の判定のみで受信を行えばよい。
一方、測位モードの時は複数の衛星を捕捉するために屋外で受信する必要がある。このため、GPS付き腕時計3が屋外に配置されていることを確実に検出できるように、所定以上の照度を検出する必要である。そのため、測位モード時は、発電状態検出の判定で受信させればよい。
【0093】
さらに、受信モードに応じて、判定のための照度レベルを変えてもよい。前述の通り、測時モードは完全な屋外でなくても受信できる可能性があるのに対し、測位モードは屋外で受信する必要がある。このため、判定のための照度レベルを、測時モードよりも測位モードの方を高くすればよい。
【0094】
本発明の衛星信号受信装置は、GPS付き腕時計3,3Aに限定されず、例えば、携帯電話、登山などに用いられる携帯型のGPS受信機等、二次電池で駆動されて位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する装置に広く利用できる。
さらに、本発明では、ソーラーセル22、二次電池24、充電制御スイッチ43、充電状態検出回路50、発電状態検出回路60を備えることで、ソーラーセル22に照射された光の照度を高精度に検出することができる。これらの構成による照度の検出機構は、衛星信号受信装置のみに利用されるものではなく、他の機器にも適用できる。特に、照度の検出によって、何らかの装置を起動する機器に適している。例えば、照度に応じて、照明をオン・オフしたり、照明の光量を変化させる機器や、照度に応じて受信を開始する長波の電波修正時計などに応用できる。
【符号の説明】
【0095】
3,3A…GPS付き腕時計、27…GPSアンテナ、30…GPS受信回路、40…制御回路、41…過充電検出回路、42…タイミング信号発生回路、43…充電制御スイッチ、44…逆流防止ダイオード、50,50A…充電状態検出回路、60,60A…発電状態検出回路、61…分圧抵抗器、62…レギュレーター、63…コンパレーター、66…増幅器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信回路を有する衛星信号受信装置において、
光エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーセルと、
前記ソーラーセルで変換された電気エネルギーを蓄積する二次電池と、
前記ソーラーセルから二次電池への電気エネルギーの供給経路を断続する充電制御スイッチと、
前記充電制御スイッチが接続された状態で、前記ソーラーセルから二次電池への充電状態を検出する充電状態検出回路と、
前記充電制御スイッチが切断された状態で、前記ソーラーセルの発電状態を検出する発電状態検出回路と、
前記受信回路、充電制御スイッチ、充電状態検出回路、発電状態検出回路を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記充電状態検出回路を間欠的に作動し、
前記充電状態検出回路においてソーラーセルから二次電池に充電していることを検出した場合、前記発電状態検出回路を間欠的に作動し、
前記発電状態検出回路で検出された検出値が予め設定された閾値以上の場合のみ、前記受信回路を作動する
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衛星信号受信装置において、
前記受信回路によって受信に成功した時点からの経過時間を計時する経過時間計時手段を備え、
前記制御回路は、
前記経過時間計時手段によって計時された前記経過時間が予め設定した設定時間以上であり、かつ、前記発電状態検出回路で前記閾値以上の検出値を検出した場合のみ、前記受信回路を作動させる
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の衛星信号受信装置において、
前記制御回路は、
前記充電状態検出回路でソーラーセルから二次電池に充電していることを検出しており、かつ、前記経過時間計時手段によって計時された前記経過時間が予め設定した設定時間以上の場合のみ、前記発電状態検出回路を作動させる
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記制御回路は、
前記充電状態検出回路を第1周期で作動させ、
前記発電状態検出回路を前記第1周期よりも短い第2周期で作動させる
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
時刻を計時する内部時計を備えており、
前記制御回路は、前記内部時計の計時時刻で昼間または夜間のいずれであるかを判断し、前記発電状態検出回路が昼間に作動される場合の作動間隔に対して、夜間に作動される場合の作動間隔を長く設定する
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記二次電池の電圧を検出する電圧検出回路を備え、
前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された二次電池の電圧が作動設定値以上の場合のみ、前記発電状態検出回路を作動する
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記二次電池の電圧を検出する電圧検出回路を備え、
前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された二次電池の電圧が過充電判定設定値以上となった場合には、前記充電制御スイッチを切断し、前記二次電池の電圧が通常状態判定設定値未満に低下するまで二次電池の充電を停止し、
前記通常状態判定設定値は前記過充電判定設定値以下に設定されている
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記充電状態検出回路および発電状態検出回路は、1つの電圧検出回路で兼用されており、
前記電圧検出回路は、
ソーラーセルの出力端子に接続され、かつ、分圧抵抗値比を変更可能な分圧抵抗器と、
前記分圧抵抗器で分圧された電圧と、基準電圧とを比較するコンパレーターと、
前記基準電圧を出力する基準電圧源とを備えて構成され、
充電状態検出回路として用いる場合と、発電状態検出回路として用いる場合とで、前記分圧抵抗値比を変更する
ことを特徴とする衛星信号受信装置。
【請求項9】
位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信回路と、
光エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーセルと、
前記ソーラーセルで変換された電気エネルギーを蓄積する二次電池と、
前記ソーラーセルから二次電池への電気エネルギーの供給経路を断続する充電制御スイッチと、
前記充電制御スイッチが接続された状態で、前記ソーラーセルから二次電池への充電状態を検出する充電状態検出回路と、
前記充電制御スイッチが切断された状態で、前記ソーラーセルの発電状態を検出する発電状態検出回路とを有する衛星信号受信装置の制御方法であって、
前記充電状態検出回路を間欠的に作動し、
前記充電状態検出回路においてソーラーセルから二次電池に充電していることを検出した場合、前記発電状態検出回路を間欠的に作動し、
前記発電状態検出回路で検出された検出値が予め設定された閾値以上の場合のみ、前記受信回路を作動する
ことを特徴とする衛星信号受信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−180050(P2011−180050A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46084(P2010−46084)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】