説明

衛星搭載中継器、通信衛星、および衛星通信方法

【課題】 ジャミングを受けた通信衛星と通信する受信端末側で通信周波数の切換を行うことなく、ジャミングによる妨害を回避することのできる衛星通信サービスを提供する。
【解決手段】 地上局から通信衛星に対し複数の周波数チャンネルにて送信されるアップリンク信号に対し、いずれかの周波数チャンネルに対応したジャミング信号が混入した場合に、ジャミング信号の混入した周波数チャンネルを他の周波数チャンネルに切換えてアップリンク信号を送信し、切換った周波数チャンネルをジャミング信号の混入した周波数チャンネルの対応するダウンリンク信号に周波数変換して、通信衛星からユーザ受信端末にダウンリンクする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地上局から通信衛星にアップリンクされる信号を中継して、地上端末にダウンリンクするための衛星搭載中継器、通信衛星、および衛星通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信衛星において、ある特定の放送サービスのPRC(パラレルプライムレートチャンネル)搬送波を他の周波数に再位置決めして、特定の搬送波位置決めにおいて故意(ジャミング)または偶然の干渉を回避する方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特表2001−505009号公報(例えば、第35〜36頁参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ジャミングによる通信衛星の通信不良を回避するために、通信衛星と地上局(ユーザ送信局もしくは放送局)間で通信中の周波数チャンネルを別のチャンネルに変更した場合、通信衛星の中継により衛星通信サービスの提供を受けているユーザの受信端末(ユーザ受信局)についても、同様にして他の周波数チャンネルに周波数変換を行う必要がある。
したがって、ジャミングが発生した場合は、上記衛星通信サービスの提供を受けているユーザの受信端末に対して、ジャミングを受けた衛星以外の他の衛星との通信や携帯電話通信などの他の通信手段を通じて他の周波数チャンネルへの切換えを指示する必要がある。
このような、他の通信手段を用いて周波数切換え指示を行うサービス形態は不便であり、他の通信手段を用いることのない、より利便性の良い通信切換え方法が望まれていた。
【0005】
この発明は係る課題を解決するために成されたものであって、ジャミングを受けた衛星からダウンリンク信号を受信するユーザの受信端末側で、通信周波数の切換を行うことなく、ジャミングによる妨害を回避することのできる衛星通信サービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による衛星搭載中継器は、入力した受信信号を並列に接続された2系統の経路に分配する分配器と、上記分配器で一方の経路に分配された信号を周波数変換する第1のダウンコバータと、上記第1のダウンコバータで周波数変換された信号を、互いに周波数の異なる複数チャンネルに分波する分波器と、上記分配器で他方の経路に分配された信号を、上記分波器で分波されるいずれかの特定チャンネルのダウンリンク周波数に対応させて周波数変換する第2のダウンコバータと、上記第1のダウンコンバータからの特定チャンネルの信号を非選択とし、上記第2のダウンコンバータからの上記特定チャンネルに対応したダウンリンク周波数の信号を選択して出力するスイッチと、を備えたものである。
【0007】
また、入力した受信信号を並列に接続された2系統の経路に分配する分配器と、上記分配器で一方の経路に分配された信号を、互いに周波数の異なる複数チャンネルに分配する分波器と、上記分波器で分波された信号をそれぞれ周波数変換する第1のダウンコバータと、上記分配器で他方の経路に分配された信号を、上記分波器で分波されるいずれかの特定チャンネルのダウンリンク周波数に対応させて周波数変換する第2のダウンコバータと、上記第1のダウンコンバータからの特定チャンネルの信号を非選択とし、上記第2のダウンコンバータからの上記特定チャンネルに対応したダウンリンク周波数の信号を選択して出力するスイッチとを備えたものであっても良い。
【0008】
また、受信信号を増幅する増幅器と、増幅器の増幅信号を2分配する分配器と、上記分配器で分配された一方の信号を、周波数の固定された所定の周波数の信号に周波数変換する第1のダウンコンバータと、上記第1のダウンコンバータで周波数変換された信号を、互いに周波数の異なる複数チャンネルの信号に分波し、各チャンネルの対応するチャンネルポートに出力する第1の分波器と、上記分配器で分配された他方の信号を、互いに周波数が異なり上記各チャンネルと周波数の異なる他の複数チャンネルの信号に分波する第2の分波器と、上記第2の分波器で分波された信号を、上記第1の分波器で分波されるいずれかの特定チャンネルの周波数に対応させて、それぞれ周波数変換する第2のダウンコバータと、上記第2のダウンコンバータで周波数変換されたそれぞれの信号を、上記第1の分波器における上記特定チャンネルの対応するチャンネルポートに出力するスイッチマトリクスと、上記第1の分波器から出力される特定チャンネルに対応したチャンネルポートの出力信号かもしくは上記スイッチマトリクスから出力される特定チャンネルに対応したチャンネルポートの出力信号のいずれか一方を選択して出力するとともに、上記第1の分波器から出力される特定チャンネル以外のチャンネルポートの出力信号を選択して出力するスイッチと、上記スイッチの各出力信号を増幅する高出力増幅器と、上記高出力増幅器で増幅された各出力信号を合波する合波器と、を備えたものであっても良い。
【0009】
また、この発明による衛星通信方法は、地上局から衛星に対し複数の周波数チャンネルを有して送信されるアップリンク信号に対し、いずれかの周波数チャンネルに対応したジャミング信号が混入した場合に、ジャミング信号の混入した周波数チャンネルを他の周波数チャンネルに切換てアップリンク信号を送信するチャンネル切換ステップと、
チャンネル切換ステップにて切換った周波数チャンネルを、ジャミング信号の混入した周波数チャンネルの対応するダウンリンク信号に周波数変換し、周波数変換した信号を衛星から地上端末にダウンリンクする周波数変換ステップとを備えたものであっても良い。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、地上ユーザの受信端末に対する周波数切換え指示を行うことなく、ハイジャックあるいはジャミングによる衛星と地上ユーザの受信端末との通信妨害を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による通信衛星と地上局のシステム構成を示す図である。
図において、通信衛星搭載中継器1は通信衛星2に搭載される。通信衛星搭載中継器1は地上局(ユーザ送信局またはユーザ放送局)3からのアップリンク信号を受信し、受信信号を中継して、一般ユーザの所持する地上受信端末局(ユーザ受信局)4や、地上モニタ端末局5にダウンリンクする。
これによって、通信衛星2と地上局3、および通信衛星2と地上受信端末局4との衛星通信が行われ、地上局3から、地上受信端末局4および地上モニタ端末局5に対して通信情報を放送することができる。地上局3は、周波数の異なる複数の信号を合波して成る複数チャンネルの送信信号を、通信衛星搭載中継器1にアップリンクする。地上局3は衛星放送のコンテンツを配信する放送ユーザや、テレビ会議などを利用する一般企業ユーザが利用する。
なお、各チャンネルの信号は互いに周波数が重ならないように所定の周波数間隔を有して周波数分離されている。
【0012】
地上受信端末局4は、通信衛星搭載中継器1からダウンリンクされる周波数の異なる複数の周波数の信号を合波して成る複数チャンネルの送信信号を受信する。地上受信端末局4は、ダウンリンク信号の中から、所定周波数にて対応するチャンネルの信号のみを受信する。
【0013】
通信衛星2と管制局7の間では、通信アンテナ8を介して、通信衛星2の動作状態を監視するためのテレメトリ情報(S2)や、通信衛星2の動作を制御するためのコマンド情報(S1)などが授受される。管制局7は、通信衛星2から受信するテレメトリ情報に基づいて、コマンド情報を生成し、生成したコマンド情報を通信衛星2に送信したり、地上局3の通信周波数の制御やチャンネル切換えを行うなどの通信管制や衛星管制などを行う。
【0014】
ジャミングモニタ部6は、通信衛星2からダウンリンクされ地上モニタ端末局5で受信した受信情報に基づいて、通信衛星2からダウンリンクされる送信情報をモニタする。ジャミングモニタ部6はこの受信情報のモニタ結果に基づいて、通信衛星2から送信されるアップリンク信号中に、ジャミングやハイジャックが生じているか否かを判断する。
この際、通信衛星2からのダウンリンクの受信情報を監視員がモニタすることによって、ジャミングやハイジャックの発生を判断する。
勿論、地上受信端末局4を利用して、通信衛星2のダウンリンク信号を受信した一般ユーザから苦情を受けることによって、ジャミングやハイジャックの発生を認知しても良い。
【0015】
いずれにせよ、ジャミングモニタ部6は、モニタ結果に基づいてジャミングやハイジャックの発生を検知すると、管制局7に対してジャミングやハイジャックの発生を通報する。同時に、ジャミングやハイジャックの発生した異常発生チャンネルの情報や周波数情報などのジャミングチャンネル情報(S3)を、管制局7に対して通報する。
なお、地上局3がアップリンクする各チャンネルとその周波数帯との対応関係は、予め管制局7のチャンネル情報テーブル(図示せず)にテーブル化されている。
【0016】
管制局7は、通報を受けたジャミングチャンネル情報をチャンネル情報テーブルに記憶する。また、異常発生チャンネルのチャンネル数を、チャンネル情報テーブルに記憶して常に把握しておく。
同様にして、地上局3がアップリンクし、通信衛星搭載中継器1で中継されて、地上受信端末局4に配信されるダウンリンク信号についても、各チャンネルとその周波数帯との対応関係は、予めチャンネル情報テーブル(図示せず)にテーブル化されている。
特に、アップリンクとダウンリンクは対になっているので、アップリンクのチャンネルとダウンリンクのチャンネルは対応付けられて、チャンネル情報テーブルに格納されている。
【0017】
管制局7は、ジャミングやハイジャックが発生したことを示す通報を受信すると、同時に受信したジャミングチャンネル情報に基づいて、地上局3に対して、アップリンクとして送信する周波数の切換処理を行わせる切換え指令(S4)を送る。この切換処理では、異常発生チャンネルのみを、予めチャンネル情報テーブルに設定された他の周波数のチャンネルに切換えることにより行われる。
同時に管制局7は、通信衛星2に対して、異常発生チャンネルのみを予め設定された他の周波数チャンネルに切換るためのチャンネル切換コマンドを、コマンド情報(S1)に含めて送信する。チャンネル切換コマンドは、切換えを行う異常発生チャンネルを特定チャンネルとし、特定チャンネルを他の周波数の変更チャンネルに変更する指令を与えるものである。
【0018】
なお、チャンネル切換コマンドにおける各変更チャンネルとその周波数帯との対応関係は、事前にチャンネル情報テーブルにテーブル化されており、また変更チャンネルの最大チャンネル数が事前に決まっている。
管制局7は、新規に異常発生チャンネルが発生した場合に、異常発生チャンネルのチャネル数と変更チャンネルの最大チャンネル数に基づいて、新たな変更チャンネルのチャンネル割当数を求める。求めた変更チャンネルのチャンネル割当数が最大チャンネル数を超えない場合は、変更チャンネルのテーブル情報を用いて、新たにチャンネルを割当てる未使用の変更チャンネルの割当先とその周波数情報とを決定し、変更チャンネルのチャンネル割当数の更新値と割当て先の変更チャンネルをチャンネル情報テーブルに記憶する。
【0019】
例えば、チャンネル情報テーブルを参照して、現在の異常発生チャンネルのチャンネル数が2チャンネル、変更チャンネルのチャンネル割当数が2チャンネル、その割当てたチャンネル番号がCH1、CH2(未使用がCH3、CH4)、変更チャンネルの最大チャンネル数が4チャンネルであることが判明したと仮定する。ここで新規に異常発生チャンネルが発生した場合、管制局7は、変更チャンネルのチャンネル数が新たに3となりその最大チャンネル数を超えないことを確認すると、変更チャンネルとして新規に未使用のCH3を割当てる。管制局7は、チャンネル情報テーブルに対し、変更チャンネルの割当数が3、割当て先の変更チャンネルがCH1、CH2、CH3であることを新たに記憶させる。
【0020】
図2は、通信衛星搭載中継器1の構成を示す図である。
図において、通信衛星搭載中継器1は、受信アンテナ11と、低雑音増幅器(LNA)12と、二分配器(H)13と、第1のダウンコンバータであるダウンコンバータ(D/C)14と、周波数固定発振器15と、第1の分波器である分波器16と、第2の分波器である分波器17と、周波数シンセサイザ18と、第2のダウンコンバータであるダウンコンバータ19と、スイッチマトリクス(SW)20と、スイッチ21と、高出力増幅器(TWTA;traveling wave tube amplifier)22と、合波器(マルチプレクサ)23と、送信アンテナ24、制御部25とを備えて構成される。制御部25は、地球局3からのコマンド情報に含まれるチャンネル切換コマンドに基づいて、周波数シンセサイザ18、スイッチマトリクス20、スイッチ21を制御する。
この構成では、通常系28を通過する通常経路と並列に、チャンネル切換を行うための拡張系29を有する迂回経路を接続したことを特徴としている。
【0021】
受信アンテナ11は、地上局3から送信された、例えば1GHz〜20GHzの高周波帯域内における所定帯域(例えばCバンドと称される6GHz帯、Kuバンドと称される14GHz帯など)のRF信号(高周波信号)を受信する。
低雑音増幅器12は、受信アンテナ11の受信信号を低雑音増幅する。二分配器13は、通常系28と拡張系29の2系統に受信信号を電力分配する。
一方の通常系28は所定の多チャンネル(通常チャネル)の通信情報を中継処理する。他方の拡張系29は上記通常チャンネルの周波数領域とは重ならない、異なる周波数領域から成る拡張チャンネルの通信情報を中継処理する。通常チャネルは、例えば10〜20チャンネル、拡張チャネルは例えば2〜5チャンネルのチャンネル数を有し、拡張チャネルは通常チャネルよりもチャンネル数が少ない。
ただし、拡張チャネルのチャンネル数は、想定される同時ジャミング数やシステム構成に依存して適宜設定すれば良く、勿論1チャンネルでも良いことは言うまでもない。
【0022】
二分配器13で通常系28に分配された受信信号は、ダウンコンバータ14で周波数変換されダウンリンク周波数にダウンコンバートされる。ダウンコンバータ14は、周波数固定発振器15で生成される固定周波数の局発信号と、分配された受信信号とを、周波数混合することによって周波数変換を行う。
【0023】
分波器16はダウンコンバータ14で周波数変換された信号を、複数の通常チャンネルにそれぞれ分波するフィルタ回路を備えている。分波器16は、例えば周波数の異なる10〜20チャンネルの信号にそれぞれ分波し、分波された各信号を、対応する通常系28の各出力ポートに分配する。
【0024】
二分配器13で拡張系29に分配された受信信号は分波器17に入力される。分波器17は入力した受信信号を、複数の拡張チャンネルにそれぞれ分波する。分波器17は、例えば周波数が異なる2〜5チャンネルの信号にそれぞれ分波し、分波された各信号を対応する出力ポートに分配する。
【0025】
分波器17で分波されて各チャネル毎に分波された信号は、ダウンコンバータ19に入力される。ダウンコンバータ19は、各チャネル毎に分波された信号を、それぞれ個別に周波数変換して、ダウンリンク周波数にダウンコンバートする。ダウンコンバータ19は、周波数シンセサイザ18で生成される各拡張チャンネル毎の局発信号と、分波器17で分配された各受信信号とを周波数混合することによって、各チャンネル毎に周波数変換を行う。
【0026】
周波数シンセサイザ18は、各拡張チャンネル毎の分波器17の周波数に基づいて、各拡張チャンネル毎の局発信号の発振周波数を制御する。制御部25は、チャンネル切換コマンドに含まれる変更チャンネルと所望のダウンリンク周波数に対応して周波数シンセサイザ18の発振周波数を設定する。所望のダウンリンク周波数は、チャンネル切換を行った特定チャンネルを、通常使用しているダウンリンク周波数に一致させるように適宜設定される。
【0027】
スイッチマトリクス20は、複数の入力ポートと複数の出力ポートを有し、任意の入力ポートを任意の出力ポートに1対1で接続する。図3はスイッチマトリクス20の構成例を示す図である。図において、スイッチマトリクス20は、複数の入力ポートにそれぞれ接続された分配器51と、複数の出力ポートにそれぞれ接続されたスイッチ52で構成される。分配器51は入力ポート数分配置され、スイッチ52は出力ポート数分配置される。各分配器51の出力ポート数と各スイッチ52の入力ポート数は一致している。
【0028】
各分配器51は、入力信号を出力ポート数分の出力信号に分配し、分配した信号をそれぞれのスイッチ52に入力する。図3(b)に示す例では、分配器51は入力信号を14分配する。分配器51の出力信号は14個のスイッチの各入力ポートにそれぞれ接続される。
【0029】
各スイッチ52は、各分配器51から入力ポートに入力される全ての信号の中から、いずれか一つを選択して出力ポートに出力する。図3(c)に示すように、各スイッチ52はダブルポールスイッチ(DPST)などの2点スイッチを、1つの出力ポートを起点としてトーナメント式に複数接続し、トーナメントの枝の末端が入力ポートを成している。スイッチ52の入力ポートには、各分配器51の出力ポートのいずれか一つが接続される。各分配器51の分配信号は、それぞれ異なるスイッチ52のいずれか一つの入力ポートに入力される。すなわち、スイッチ52は、各分配器51への入力信号を、全スイッチ52の出力ポート中のいずれか一つのポートに対して、互いに重複なしで出力するように、入力ポートと出力ポート間の接続切換を行う。
【0030】
制御部25はチャンネル切換コマンドに基づいてスイッチマトリクス20に対して接続切換制御指令を送る。スイッチマトリクス20は、制御部25からの接続切換制御指令に基づいて接続の切換が制御される。ここでは、変更チャンネルに対応した各入力ポートと、特定チャンネルに対応した各出力ポートをそれぞれ選択する。
【0031】
図3(a)の例では、分配器51とスイッチ52を介在して、入力ポートA1を出力ポートB1と出力ポートB14に接続した配線例を示しており、出力ポートB2〜13への配線の図示は省略している。また、分配器51とスイッチ52を介在して、入力ポートA4を出力ポートB1と出力ポートB14に接続した配線例を示しており、出力ポートB2〜13への配線の図示は省略している。入力ポートA2、A3についても配線例を省略している。スイッチマトリクス20は、4ポートある入力ポートを、14ポートある出力ポートの中の互いに異なるポートに接続するように、4個の分配器51と、14個のスイッチ52を備えている。
【0032】
ここで、例えばスイッチマトリクス20が制御部25からの接続切換制御指令を受けて、入力ポートA1、2、3、4を、それぞれ出力ポートB1、5、10、14に接続する場合について説明する。
この場合、入力ポートA1に対応した分配器51の分配信号D1を、スイッチ52の入力ポートE1に入力する。スイッチ52では、入力ポートE1を出力ポートB1に接続するように各2点スイッチの接続を切換える。こうして入力ポートA1が出力ポートB1に接続される。
また、入力ポートA4に対応した分配器51の分配信号D14を、スイッチ52の入力ポートE14に入力する。スイッチ52では、入力ポートE1を出力ポートB14に接続するように各2点スイッチの接続を切換える。こうして入力ポートA4が出力ポートB14に接続される。
同様にして、入力ポートA2を出力ポートB5に接続し、入力ポートA3を出力ポートB10に接続して、各入力ポートがいずれかの拡張系28の出力ポートに接続されるように、各スイッチ52の切換が行われる。
【0033】
次に、図2において、スイッチマトリクス20の各出力ポートはスイッチ21に接続される。また、分波器16から各分波された信号を出力する出力ポートは、スイッチ21に接続される。スイッチ21は、ダブルポールスイッチなどの2状態を切換えるスイッチを用いる。スイッチ21は、制御部25からのチャンネル切換コマンドに基づいて、通常系28の各出力ポートと拡張系29の各出力ポートとのいずれか一方を選択して、選択した出力ポートを各高出力増幅器22に接続する。
【0034】
出力増幅器22は、スイッチ21の出力信号を所定の送信電力に増幅処理する。各高出力増幅器22は合波器23に接続される。合波器23は各高出力増幅器22の出力信号を周波数混合して合波し、合波した信号を送信アンテナ24に出力する。送信アンテナ24は、地上における所定の通信領域に向けて、合波器23で合波された信号を空間に放射する。
【0035】
図4は、スイッチマトリクス20と分波器16とスイッチ21の接続関係を示す図である。図中の図2と同一符号のものは説明を省く。また、説明の都合上、その他構成は記載を略している。図のスイッチマトリクス20は2入力ポート、4出力ポートの例を示し、分波器16は4チャンネルに分波する例を示している。なお、スイッチマトリクス20の出力ポート数と分波器16の分配数とを一致させておくことは言うまでもない。
図において、スイッチマトリクス20の各出力ポート31からの信号は、各スイッチ21を介して合波器23にそれぞれ入力される。分波器16の各出力ポート32からの信号は、各スイッチ21を介して合波器23にそれぞれ入力される。合波器23はスイッチ21の各出力信号を合波する。
【0036】
スイッチ21は、出力ポート(チャンネルポート)31からの信号と出力ポート(チャンネルポート)32からの信号のいずれか一方を選択して、合波器23に出力する。この出力ポート31と出力ポート32の出力信号の選択は、チャンネル切換コマンドに基づいて、制御部25によって行われる。
ここでは、スイッチ21はチャンネル切換コマンドに基づいて、次のように、接続を切換える。
ジャミングなどの発生した特定チャンネルに対応した出力ポート32を選択せずに、このポートが接続される変更チャンネルに対応した出力ポート31を選択する。また、スイッチ21は、特定チャンネル以外が対応する出力ポート32を全て選択し、このポートが接続される出力ポート31は選択しない。ジャミングなどが発生せず変換チャネルがない場合は、全ての出力ポート32が選択される。
端的に言えば、スイッチ21は迂回経路からチャンネル変換を行うべき変更チャンネルを選択し、通常経路からはチャンネル変換を要しない通常チャンネルを選択するように経路選択を行う。
【0037】
図を用いて更に例示する。例えばジャミングの発生した特定チャンネルの出力信号は分波器16の出力ポートC1に出力され、出力ポートC2〜C4に接続される他のチャンネルはジャミングを受けず、正常である場合を想定する。
この場合、スイッチ21は出力ポートB1を選択し出力ポートC1を非選択として、出力ポートB1を合波器23に接続する。また、スイッチ21は出力ポートB2〜B4を非選択とし、出力ポートC2〜C4を選択として、出力ポートC2〜C4を合波器23に接続する。
【0038】
また別の例として、ジャミングの発生した特定チャンネルの出力信号が、分波器16の出力ポートC2、C3に出力され、出力ポートC1、C4に接続される他のチャンネルは正常である場合を想定する。
この場合、スイッチ21は出力ポートB2、B3を選択し出力ポートC2、C3を非選択として、出力ポートB2、B3を合波器23に接続する。また、スイッチ21は出力ポートB1、B4を非選択とし、出力ポートC1、C4を選択として、出力ポートC1、C4を合波器23に接続する。
【0039】
次に、この実施の形態1の特徴を成すチャンネル切換え動作について説明する。
図5はチャンネル切換え動作の一例を示す図である。図中の1B、2B、3B、1E、3E、5E、1b、2b、3bは、それぞれ通信チャンネルの周波数帯を模式的に示している。各周波数帯は互いに異なっており、また、通常チャンネルの1B、2B、3Bと、拡張チャンネルの1E、3E、5Eは、互いに周波数帯域が離れている。
ここでは、通常状態で、地上局3がアップリンク用のチャンネル2Bを利用して通信衛星2と通信を行い、地上受信端末局4がダウンリンク用のチャンネル2bを利用して通信衛星2と通信を行っている場合を想定する。管制局7は、利用中のチャンネルのアップリンクがチャンネル2B、ダウンリンクがチャンネル2bであることを、チャンネル情報テーブルにて一対の情報として把握している。
【0040】
図において、通信衛星搭載中継器1がジャミングを受けた場合、次のようにチャンネル切換を実行する。
(1)チャンネル2Bがジャミング信号(またはハイジャック信号)を受けると、管制局7はジャミング信号を受けたチャンネル2Bを特定チャンネルに設定する。
ここでは、ジャミング電力が通信衛星搭載中継器1の低雑音増幅器12、およびダウンコンバータ14を飽和させるほど大きくなく、1波のジャミング信号によりそのチャンネルの通信が不可能となって、チャンネルがハイジャックされた場合を想定している。
(2)地上局3は管制局7の指示によって、地上局3からのアップリンクの特定チャンネル2Bを変更チャンネル3Eに切り替える処理を行う。
また、管制局7は通信衛星2の通信衛星搭載中継器1に対して、アップリンクの特定チャンネル2Bを変更チャンネル3Eに切り替えるとともに、変更チャンネル3Eに対応したダウンリンクのチャンネルを、チャンネル2bにする指示を行う。すなわち、管制局7は通信衛星搭載中継器1に対して、アップリンクがチャンネル3E、ダウンリンクがチャンネル2bとなるように指示する。管制局7は、通信衛星搭載中継器1のアップリンクが変更チャンネル3E、ダウンリンクがチャンネル2bであることを、チャンネル情報テーブルに記憶しておく。
(3)地上局3は通信衛星搭載中継器1に対して変更チャンネル3Eでアップリンクを送信し、通信衛星搭載中継器1は変更チャンネル3Eの受信信号を中継して、地上受信端末局4に対してチャンネル2bでダウンリンクを送信する。
以上説明したように、ジャミングを受けたときは、地上局3から通信衛星搭載中継器1へのアップリンクをいずれかの拡張チャンネルに切換えるとともに、通信衛星搭載中継器1の通信チャンネルのアップリンク周波数とダウンリンク周波数を同時に制御する。これによって、通信衛星搭載中継器1から地上受信端末局4へのダウンリンク周波数をそのまま利用して、地上局3から地上受信端末局4への通信中継ができるので、一般ユーザは地上受信端末局4の受信チャンネルを切換える必要がない。
【0041】
チャンネル切換において、通信衛星搭載中継器1は次のように動作する。ここでは、アップリンクがチャンネル3E、ダウンリンクがチャンネル2bとなるように、アップリンク信号(チャンネル3E)を所望のダウンリンク信号(チャンネル2b)に周波数変換する。
(1)通常系28では、ダウンコンバータ14にてチャンネル2Bのアップリンク信号と固定周波数発振器の発振信号とを周波数混合し、チャンネル2bのダウンリンク信号(周波数f2b)に周波数変換する。しかし、チャンネル2Bはジャミングを受けているので、スイッチ21の切換によって、チャンネル2Bに対応した通常系28のダウンリンク信号の出力は遮断される。
(2)拡張系29では、チャンネル2Bの切換先の変更チャンネル3Eに対応したアップリンク信号が分波器17に入力される。分波器17は変更チャンネル3Eのアップリンク信号(周波数f3E)をダウンコンバータ19に入力する。
(3)制御部25は、変更チャンネル3Eと所望のダウンリンクチャンネル2bに対応して、周波数シンセサイザ18が発振する設定周波数をf3E−f2bに設定する。
ダウンコンバータ19は、変更チャンネル3Eのアップリンク信号と、周波数シンセサイザ18の発振信号とを周波数混合して、周波数f2bのダウンリンク信号に周波数変換する。
周波数変換されたダウンリンク信号は、その周波数がチャンネル2bに対応している。スイッチマトリクス20およびスイッチ21の切換によって経路選択が行われ、変更チャンネル3Eに対応した拡張系29のダウンリンク信号(チャンネル2bに対応)が、高出力増幅器22および合波器23を介して送信アンテナ24に出力される。
送信アンテナ24は、変更チャンネル3Eを周波数変換したチャンネル2bに対応するダウンリンク信号を、地上端末局5に送信する。
【0042】
上記説明では、1波のハイジャック信号を想定したが、複数波のハイジャック信号(またはジャミング信号)が発生した場合についても、拡張チャンネルの全チャンネル数に相当する分だけ変更チャンネルを生成することによって、同様にしてハイジャック信号を受けた通常チャンネルのチャンネル切換を行うことができる。
【0043】
この実施の形態によれば、ジャミングやハイジャックなどによって、アップリンクに通信異常のチャンネルが発生しても、通信衛星搭載中継器1に迂回経路を設けて、アップリンクの異常発生チャンネルを別のチャンネルに切換え、切換先のチャンネルに対応するダウンリンクを異常発生前のチャンネルに対応させるように中継することにより、一般ユーザの所持する地上受信端末に対して周波数切換え指示を行うことなく、通信衛星と一般ユーザの地上受信端末との通信妨害を防止することができるという効果がある。
【0044】
実施の形態2.
図6は実施の形態2による通信衛星搭載中継器1の構成を示す図である。図において、通信衛星搭載中継器1は通常系28に複数のダウンコンバータ30を備え、各ダウンコンバータ30の前段に分波器16を備えた構成を特徴としている。また、固定周波数発振器15の発振信号は各ダウンコンバータ30に共通に供給される。なお、図中の実施の形態1と同一符号のものは同一相当のものを示し、その他の構成については実施の形態1と同じである。
【0045】
図において、低雑音増幅器12で低雑音増幅された信号は、二分配器13によって通常系28と拡張系29に分配される。通常系28では、二分配器13で分配された信号を、分波器16によって複数チャンネルにそれぞれ分波する。各ダウンコンバータ30は、固定周波数発振器15の発振信号との周波数混合によって、分波器16にて分波された各チャンネル毎の信号をそれぞれダウンリンク周波数に周波数変換する。スイッチ21の選択処理によって、各ダウンコンバータ30で周波数変換された信号の中から、ジャミングを受けていない所望チャンネルの信号が高出力増幅器22に出力される。なお、拡張系29の動作など、その他の動作については実施の形態1と同様である。
【0046】
図7は図2で説明した通信衛星搭載中継器1に対して過大なジャミング電力が入力された場合の、通常系28の機能停止の問題を説明するための図である。図7(a)はダウンコンバータ14が飽和せず1チャンネルがジャミングを受けた場合を示す図であり、図7(b)はダウンコンバータ14が飽和して全チャンネルがジャミングを受けた場合を示す図である。図において、拡張系29は図示を省略している。
【0047】
図7(a)は、ジャミング電力がダウンコンバータ14を飽和させるほど大きくなく、1波のジャミング信号によってそのチャンネルの通信が不可能となった例を示している。この場合は、拡張系29にてジャミングを受けたチャンネルを別の拡張チャンネルに変更することによって、ジャミングによる通信異常を回避することができる。
【0048】
しかし、図7(b)に示すように、ジャミング電力がダウンコンバータ14を飽和させるほど大きい場合、1波のジャミング信号によって全チャンネルの通信が不可能となる。この場合は、拡張系29のチャンネル数に限りがあるので、ジャミングを受けた通常系28のチャンネルを全て別の拡張チャンネルに変更することができず、ジャミングによる通信異常を回避することができない。
【0049】
この実施の形態では、図6に示すように、通常系28の各ダウンコンバータ30の前段に分波器16を備えることによって、ダウンコンバータの飽和の問題を解消することを特徴とする。すなわち、この実施の形態による通信衛星搭載中継器1の通常系28は、分波器16にて通常系28に分配されたアップリンク信号を複数チャンネルに分波した後、ダウンコンバータ30にて分波された各信号の周波数変換を行う。
この場合、大電力の1波のジャミングを受けると、ジャミングを受けた周波数帯に対応した特定チャンネルについては、対応するダウンコンバータ30が飽和する。
しかし、ジャミングを受けない周波数帯に対応する他のチャンネルについては、対応するダウンコンバータ30が飽和することがない。
【0050】
以上により、この実施の形態によれば、通常系28のダウンコンバータ30の前段に分波器16を備えることによって、ジャミングを受けない通常チャンネルについては周波数を変更せず、ジャミングを受けた特定チャンネルについてのみ周波数を拡張チャンネルに変更することによって、大電力のジャミングに伴なったダウンコンバータ30の飽和による通信異常を回避することができる。
【0051】
実施の形態3.
図8は実施の形態2による通信衛星搭載中継器1の構成を示す図である。
この実施の形態では、図1で説明した実施の形態1の通信衛星搭載中継器1において、分波器16とスイッチ21との間に検波器40を設け、分波器16で分波された各チャンネルの電力をモニタすることを特徴とする。なお、図中の実施の形態1と同一符号のものは同一相当のものを示し、その他の構成については実施の形態1と同じである。
【0052】
検波器40は、分波器16で分波された各チャンネルの信号レベル(電力レベル)を検波し、検波した信号レベルをモニタ情報として制御部25に出力する。制御部25は、検波器40で検波されたモニタ情報を、通信アンテナ8を介して管制局7にテレメトリとして送信する。管制局7は、受信したテレメトリを解析して検波された信号レベルを検出する。
これによって、信号レベルが所定の閾値よりも大きくなったり、信号レベルのプロファイル(時間変化特性)が計画していた正規のアップリンクチャンネルのプロファイルと異なることを検知することによって、ジャミングやハイジャックの発生を検出することができる。
【0053】
また、管制局7は、通信衛星搭載中継器1に対して一旦ジャミングやハイジャックが発生した後に、ジャミング信号が無くなった状態を検知することができる。管制局7は、拡張チャンネルに変更された特定チャンネルの信号レベルを検波器40でモニタし、そのモニタ情報に基づいて特定チャンネルの信号レベルが所定の閾値よりも小さくなったことを検出する。これによって、管制局7はジャミング信号が無くなった状態を検知する。すなわち、地上局3はジャミングの発生した特定チャンネルに対してアップリンクを送信しておらず、特定チャンネルにはジャミング信号のみがアップリンクされているので、特定チャンネルの信号レベルの低下を観測することによって、ジャミング信号が無くなった状態を即座に検知することができる。
【0054】
この実施の形態によれば、実施の形態1で説明したジャミングモニタ部6に加えて、通信衛星搭載中継器1において送信電力をモニタする検波器22を備えているので、次のような効果がある。
(1)ジャミングモニタ部6によって、ジャミングの有無を判別することができる。
(2)検波器22からのモニタ情報に基づいて、ジャミングの発生した特定チャンネルの信号レベルを観測することにより、ジャミングやハイジャックが無くなった状態を検知することができる。
これによって、ジャミングやハイジャックの消滅後、即座に通常の通信チャンネルに復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の実施の形態1による通信衛星と地上局のシステム構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1による通信衛星搭載中継器の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるスイッチマトリクスの構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1による通常系と拡張系の接続構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるチャンネル切換動作を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態2による通信衛星搭載中継器の構成を示す図である。
【図7】通信衛星搭載中継器の通常系におけるジャミングの課題を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態3による通信衛星搭載中継器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 通信衛星搭載中継器、2 通信衛星、3 地上局、4 地上受信端末局、13 二分配器、14 ダウンコンバータ(第1のダウンコンバータ)、15 周波数固定発振器、16 分波器(第1の分波器)、17 分波器(第2の分波器)、18 周波数シンセサイザ、19 ダウンコンバータ(第2のダウンコンバータ)、20 スイッチマトリクス、21 スイッチ、22 高出力増幅器、23 合波器、25 制御部、28 通常系、29 拡張系、30 ダウンコンバータ、40 検波器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した受信信号を並列に接続された2系統の経路に分配する分配器と、
上記分配器で一方の経路に分配された信号を周波数変換する第1のダウンコバータと、
上記第1のダウンコバータで周波数変換された信号を、互いに周波数の異なる複数チャンネルに分波する分波器と、
上記分配器で他方の経路に分配された信号を、上記分波器で分波されるいずれかの特定チャンネルのダウンリンク周波数に対応させて周波数変換する第2のダウンコバータと、
上記第1のダウンコンバータからの特定チャンネルの信号を非選択とし、上記第2のダウンコンバータからの上記特定チャンネルに対応したダウンリンク周波数の信号を選択して出力するスイッチと、
を備えた衛星搭載中継器。
【請求項2】
入力した受信信号を並列に接続された2系統の経路に分配する分配器と、
上記分配器で一方の経路に分配された信号を、互いに周波数の異なる複数チャンネルに分配する分波器と、
上記分波器で分波された信号をそれぞれ周波数変換する第1のダウンコバータと、
上記分配器で他方の経路に分配された信号を、上記分波器で分波されるいずれかの特定チャンネルのダウンリンク周波数に対応させて周波数変換する第2のダウンコバータと、
上記第1のダウンコンバータからの特定チャンネルの信号を非選択とし、上記第2のダウンコンバータからの上記特定チャンネルに対応したダウンリンク周波数の信号を選択して出力するスイッチと、
を備えた衛星搭載中継器。
【請求項3】
受信信号を増幅する増幅器と、
増幅器の増幅信号を2分配する分配器と、
上記分配器で分配された一方の信号を、周波数の固定された所定の周波数の信号に周波数変換する第1のダウンコンバータと、
上記第1のダウンコンバータで周波数変換された信号を、互いに周波数の異なる複数チャンネルの信号に分波し、各チャンネルの対応するチャンネルポートに出力する第1の分波器と、
上記分配器で分配された他方の信号を、互いに周波数が異なり上記各チャンネルと周波数の異なる他の複数チャンネルの信号に分波する第2の分波器と、
上記第2の分波器で分波された信号を、上記第1の分波器で分波されるいずれかの特定チャンネルの周波数に対応させて、それぞれ周波数変換する第2のダウンコバータと、
上記第2のダウンコンバータで周波数変換されたそれぞれの信号を、上記第1の分波器における上記特定チャンネルの対応するチャンネルポートに出力するスイッチマトリクスと、
上記第1の分波器から出力される特定チャンネルに対応したチャンネルポートの出力信号かもしくは上記スイッチマトリクスから出力される特定チャンネルに対応したチャンネルポートの出力信号のいずれか一方を選択して出力するとともに、上記第1の分波器から出力される特定チャンネル以外のチャンネルポートの出力信号を選択して出力するスイッチと、
上記スイッチの各出力信号を増幅する高出力増幅器と、
上記高出力増幅器で増幅された各出力信号を合波する合波器と、
を備えた衛星搭載中継器。
【請求項4】
受信信号を増幅する増幅器と、
上記増幅器の増幅信号を2分配する分配器と、
上記分配器で分配された一方の信号を、互いに周波数の異なる複数チャンネルの信号に分波する第1の分波器と、
上記第1の分波器で分波された各信号を、各チャンネル毎に周波数の固定された所定の周波数の信号に周波数変換し、各チャンネル毎に対応するチャンネルポートに出力する複数の第1のダウンコンバータと、
上記分配器で分波された他方の信号を、互いに周波数が異なり上記チャンネルと周波数の異なる他の複数チャンネルの信号に分波する第2の分波器と、
上記第2の分波器で分波された信号を、第1の分波器で分波されるいずれかの特定チャンネルの周波数に対応させて、それぞれ周波数変換する第2のダウンコバータと、
上記第2のダウンコンバータで周波数変換されたそれぞれの信号を、第1の分波器における上記特定チャンネルの対応するチャンネルポートに出力するスイッチマトリクスと、
上記特定チャンネルに対応した第1のダウンコバータからチャンネルポートに出力される出力信号かもしくは上記スイッチマトリクスから出力される特定チャンネルに対応したチャンネルポートの出力信号の、いずれか一方を選択して出力するとともに、上記特定チャンネルに以外に対応して上記第1のダウンコバータからチャンネルポートに出力される信号を選択して出力するスイッチと、
上記スイッチの各出力信号を増幅する高出力増幅器と、
上記高出力増幅器で増幅された各出力信号を合波する合波器と、
を備えた衛星搭載中継器。
【請求項5】
上記分波器と上記スイッチとの間に、信号レベルをモニタする検波器を設けたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の衛星搭載中継器。
【請求項6】
上記請求項1から請求項5のいずれかに記載の衛星搭載中継器を備えた通信衛星。
【請求項7】
地上局から衛星に対し複数の周波数チャンネルを有して送信されるアップリンク信号に対し、いずれかの周波数チャンネルに対応したジャミング信号が混入した場合に、ジャミング信号の混入した周波数チャンネルを他の周波数チャンネルに切換えてアップリンク信号を送信するチャンネル切換ステップと、
上記チャンネル切換ステップにて切換った周波数チャンネルを、上記ジャミング信号の混入した周波数チャンネルの対応するダウンリンク信号に周波数変換し、周波数変換した信号を衛星から地上端末にダウンリンクする周波数変換ステップと、
を備えた衛星通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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