説明

衛星通信システム

【課題】無駄な通信回線監視を改善することのできる衛星通信システムを提案する。
【解決手段】親局が、地球局毎の通信統計情報を持ち、回線開放通知が受信できない場合に、親局が、使用通信回線を割当ててから、発呼地球局についての前記通信統計情報に基づいて決定した待機時間後に、使用通信回線の通信状態の監視を開始し、この監視を開始してから所定時間内に、前記使用通信回線で通信が行なわれていない場合には、使用通信回線を開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1つの親局と複数の子局を含む複数の地球局が通信衛星を介して共通線信号回線で接続されたネットワークを有する衛星通信システムの関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の衛星通信システムは、すべての地球局を親局にて管理し、複数の地球局の中の任意の発呼地球局と相手地球局との間の通信回線割当要求時に、親局が、共通線信号回線を通じて発呼地球局からの回線割当要求信号を受信すると、親局が空き通信回線を検索し、発呼地球局と相手地球局とに共通線信号回線を通じて、使用通信回線を割当て、この使用通信回線を通じて発呼地球局と相手地球局とが通信を行ない、その通信の終了後に発呼地球局または相手地球局からの回線解放通知に基づき、親局が使用通信回線を開放するように構成される。
【0003】
先行技術である特開平5−206912号公報には、この種の衛星通信システムにおいて、回線開放通知が検出できなかった場合でも、親局が定期的に地球局間の通信状態を監視して、通信回線を開放し、通信回線の利用効率を高めるものが開示されている。この先行技術に開示された衛星通信システムでは、地球局間の通信をモニタするモニタ回路を親局に設け、親局内で、このモニタ回路へ定期的に地球局の通信状態の問合わせを行ない、その結果、通信が終了していると判断すると、通信回線を開放するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−206912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、先行技術に開示されたように、親局内で、定期的に地球局の通信状態を問合せするものでは、地球局間の通信開始直後の、通信が継続していることが多い場合にも、モニタ回路が通信状態をモニタする無駄が生じ、また、モニタ回路が通信状態をモニタする間の期間では、通信終了を検知できない問題も発生する。加えて、1つの通信回線のモニタを一定期間連続してモニタすると、他の通信回線をモニタするには、複数の無線機(復調器)が必要になる問題がある。
【0006】
この発明は、このような無駄な通信回線の監視を改善することのできる衛星通信システムを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による衛星通信システムは、1つの親局と複数の子局とを含む複数の地球局が通信衛星を介して共通線信号回線で接続されたネットワークを有し、すべての前記地球局を前記親局にて管理し、前記複数の地球局の中の任意の発呼地球局と相手地球局との間の通信回線割当要求時に、前記親局が、前記共通線信号回線を通じて前記発呼地球局からの回線割当要求信号を受信すると、前記親局が、空き通信回線を検索し、前記発呼地球局と相手地球局とに前記共通線信号回線を通じて、使用通信回線を割当て、この使用通信回線を通じて前記発呼地球局と相手地球局とが通信を行ない、その通信の終了後に前記発呼地球局または相手地球局からの回線開放通知に基づき、前記親局が前記使用通信回線を開放するように構成された要求時回線割当方式の衛星通信システムであって、前記親局は、前記地球局毎の通信統計情報を持ち、前記回線開放通知が受信できない場合には、前記親局が、前記使用通信回線を割当ててから、前記発呼地球局に対応する前記通信統計情報に基づいて決定した待機時間後に、前記使用通信回線の通信状態の監視を開始し、この監視を開始した後において、所定時間内に前記使用通信回線で通信が行なわれていない場合には、前記親局が前記使用通信回線を開放することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明による衛星通信システムでは、親局は、地球局毎の通信統計情報を持ち、回線開放通知が受信できない場合には、親局が、使用通信回線を割当ててから、発呼地球局に対応する前記通信統計情報に基づいて決定した待機時間後に、前記使用通信回線の通信状態の監視を開始し、この監視を開始した後において、所定時間内に使用通信回線で通信が行なわれていない場合には、親局が前記使用通信回線を開放するので、無駄な通信回線の監視を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下この発明のいくつかの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明による衛星通信システムの実施の形態1を示すシステム構成図、図2は、実施の形態1における親局の構成を示すブロック図である。
【0011】
まず、図1に示す実施の形態1の衛星通信システムは、少なくとも1つの通信ネットワークNWを含んでいる。この通信ネットワークNWは、要求時回線割当方式(DAMA方式)のネットワークであり、1つの通信衛星CSと、この通信衛星CSに対応する地球局群ESGを含み、地球局群ESGは、1つの親局(HUB局)1と、子局群2を含む。子局群2は、n個の子局(VSAT局)2a、2b、・・・、2nを含む。親局1および子局2a、2b、・・・、2nは、それぞれ地球局ESを構成し、地球上の互いに離れた位置に設置される。
【0012】
親局1は、親局1と、n個の子局2a、2b、・・・、2nを含むすべて地球局群EGSを管理するように構成される。親局1と、n個の各子局2a、2b、・・・、2nとは、通信衛星CSを介して共通線信号回線CSCで結合される。この共通線信号回線CSCは、下りの共通線信号回線3と、上りの共通線信号回線4を含む。通信衛星CSと親局1との間には、通信衛星CSから親局1に向かう上りの共通線信号回線4と、親局1から通信衛星CSに向かう下りの共通線信号回線3が形成される。通信衛星CSとn個の各子局2a、2b、・・・、2nの間には、各子局2a、2b、・・・、2nから通信衛星CSに向かう上りの共通線信号回線4と、通信衛星CSから各子局2a、2b、・・・、2nに向かう下りの共通線信号回線3とが形成される。
【0013】
図2において、親局1は、回線接続制御装置10と、共通線信号変復調部(CSC変復調部)14と、通信回線監視用復調部15と、送受信装置16と、送受信アンテナ17を有する。回線接続制御装置10は、要求時回線割当制御部(DAMA制御部)11と、制御表示部12と、通信回線監視制御部13を有する。DAMA制御部11は、回線接続制御装置10の内部で、制御表示部12および通信回線制御部13に接続される。DAMA制御部11は、CSC変復調部14に接続され、通信回線監視制御部13は、通信回線監視用復調部15に接続され、これらのCSC変復調部14と通信回線監視用復調部15は、それぞれ送受信装置16を通じて送受信アンテナ17に接続される。なお、制御表示部12は、DAMA制御部11および通信回線監視制御部13の制御状態を表示する。
【0014】
親局1と子局2a、2b、・・・、2nを含む各地球局ESGの中の任意の1つの発呼地球局ES1が、任意の他の相手地球局ES2との間で通信を行なうときには、発呼地球局ES1は、相手地球局ES2を指定して、親局1に通信回線割当要求RCを送信する。この通信回線割当要求RCは、無線信号であり、上りの共通線信号回線4を通じて、発呼地球局ES1から親局1に送信される。
【0015】
通信回線割当要求RCは、親局1の送受信アンテナ17で受信され、送受信装置16を通じて、CSC変復調部14で中間周波信号に変換され、DAMA制御部11に送られる。親局1のDAMA制御部11は、その通信回線割当要求RCに基づき、空き通信回線を検索し、発呼地球局ES1と相手地球局ES2に、使用通信回線5の割当てを行なう。この使用通信回線5の割当ては、DAMA制御部11からCSC変復調部14に送られ、このCSC変復調部14で無線信号に変換されて、送受信装置16から送受信アンテナ17に送られ、下りの共通線信号回線3を通じて、親局1から発呼地球局ES1と相手地球局ES2に送信される。使用通信回線5の割当ては、使用通信回線5の周波数帯域幅を指定して行なわれる。使用通信回線5の周波数帯域幅に応じて決定される通信速度により、発呼地球局ES1と相手地球局ES2は通信を開始する。
【0016】
図1には、子局2aが発呼地球局ES1、子局2bが相手地球局ES2となり、これらの子局2a、2b間に使用通信回線5が割当てられた状態を例示しているが、親局1を含む任意の地球局ESが発呼地球局ES1、任意の他の地球局ESが相手地球局ES2となることができる。発呼地球局ES1と相手地球局ES2との間では、使用通信回線5を通じて、通信衛星CSを介して、音声情報、データ、FAX情報、映像情報などの情報がやり取りされる。地球局ES1、ES2は、使用通信回線5を通じて通信を行なうときに、所定周期tで繰返し通信確認信号CCを送信するように構成される。この通信確認信号CCは、使用通信回線5を通じて送信される。
【0017】
発呼地球局ES1と相手地球局ES2は、通信を終了するときには、上り共通線信号回線4を通じて回線開放通知NRを親局1へ送信する。この回線開放通知NRは、親局1の送受信アンテナ17で受信され、送受信装置16を通じて、CSC変復調部14で中間周波信号に変換され、DAMA制御部11に送られる。DAMA制御部11は、この回線開放通知NRに基づき、使用通信回線5を開放する。
【0018】
親局1の通信回線監視制御部13は、回線開放通知NRが正常に受信できない場合に備えて、発呼地球局ES1と相手地球局ES2との通信を監視する。この通信の監視を行なうために、DAMA制御部11は、通信回線監視制御部13と接続され、発呼地球局ES1と相手地球局ES2に、使用通信回線5を割当てたときに、使用通信回線5と、この使用通信回線5を使用する地球局ES1、ES2の情報を、通信回線監視制御部13へ通知する。通信回線監視制御部13は、この使用通信回線5と、それを使用する地球局ES1、ES2の情報に基づいて、地球局ES1、ES2の間の通信を監視する。
【0019】
通信回線監視制御部13は、使用通信回線5の情報に基づき、通信回線監視用復調部15を使用通信回線5の周波数帯域幅に設定し、親局1と地球局ES1、ES2との間に、同じ使用通信回線5を形成する。通信回線監視復調部15は、この使用通信回線5を通じて、地球局ES1、ES2の通信を監視する。
【0020】
通信回線監視制御部13は、待機時間設定部13aを有する。待機時間設定部13aは、親局1が地球局ES1、ES2の間に、使用通信回線5を割当した時点Tsから待機時間Twの後に、通信回線監視制御部13が、使用通信回線5の監視を開始するように通信回線監視制御部13を制御する。通信回線監視制御部13は、使用通信回線5の監視中に、地球局ES1、ES2から所定周期tで繰返し送信される通信確認信号CCを監視し、この通信確認信号CCが受信されない状態が所定時間T(2t>T>t)以上継続したときに、通信回線監視制御部13は、使用通信回線5を開放する回線開放指示IRをDAMA制御部11に送る。
【0021】
DAMA制御部11は、この通信回線監視制御部13からの回線開放指示IRにより、使用通信回線5を開放する。なお、待機時間Twおよび通信回線監視制御部13による使用通信回線5の監視中に、地球局ES1、ES2からの回線開放通知NRが受信された場合には、DAMA制御部11は、使用通信回線5を直ちに開放し、この使用通信回線5の開放を通信回線監視制御部13に通知し、通信回線監視制御部13は、この通知により、待機時間Twにおいても、監視期間中においても、使用通信回線5の監視を終了する。
【0022】
待機時間設定部13aは、各地球局ES毎に分類された通信統計情報STを含む。この通信統計情報STは、各地球局ESの平均通信時間情報Taveを含む。この平均通信時間情報Taveは、それぞれの地球局ESが、発呼地球局ES1および相手地球局ES2となった過去の通信実績について、その平均通信時間を算出した情報である。
【0023】
待機時間設定部13aは、DAMA制御部11が、発呼地球局ES1と相手地球局ES2との間に、使用通信回線5を割当てたときに、その発呼地球局ES1に対応した通信統計情報STに含まれる平均通信時間情報Taveにより、待機時間Twを決定する。通信回線監視制御部13は、DAMA制御部11が、地球局ES1、ES2の使用通信回線5を割当てた時点Tsから待機時間Twの後に、通信回線監視用復調部15に、使用通信回線5と同じ周波数帯域幅を設定し、地球局ES1、ES2の間における通信の監視を開始する。
【0024】
図3は、実施の形態1による使用通信回線の制御シーケンス図である。図3の上部には、CSC変復調部14、DAMA制御部11、通信回線監視制御部13、および通信回線監視用復調部15が並んで図示され、その下部に、使用通信回線5の制御状態が図示される。最初に、CSC変復調部14からDAMA制御部11へ、地球局ES1からの通信回線割当要求RCが通知され、DAMA制御部11が時点Tsで使用通信回線5を割当てる。このDAMA制御部11により割当てられた使用通信回線5の周波数帯域幅は、CSC変復調部14から、地球局ES1、ES2に通知され、同時に通信回線監視制御部13へ、使用する地球局ES1、ES2の情報とともに通知される。
【0025】
通信回線監視制御部13は、DAMA制御部11からの使用通信回線5の周波数帯域幅と、使用地球局ES1、ES2の情報に基づき、発呼地球局ES1の通信統計情報TSを用いて、待機時間Twを決定し、使用通信回線5の割当時点Tsから待機時間Twの後に、通信回線監視制御部13が、通信回線監視用復調部15に使用通信回線5と同じ周波数帯域を設定し、通信回線監視用復調部15が使用通信回線5の監視を開始する。この監視の開始後において、所定時間T内に使用通信回線5からの通信確認信号CCが受信されないときには、通信回線監視制御部13は、通信が終了したものとして、使用通信回線5に対する開放指示信号IRをDAMA制御部11へ送り、DAMA制御部11が使用通信回線5の開放を行なう。
【0026】
実施の形態1では、発呼地球局ES1についての通信統計情報TS、具体的には、発呼地球局ES1についての平均通信時間情報Taveにより、待機時間Twを決定するので、通信回線監視制御部13による使用通信回線5の監視は、地球局ES1、ES2の通信の終期またはその終了時点の近傍から開始されることになり、地球局ES1、ES2の通信が実行される可能性の高い使用通信回線5の割当て直後に、無駄に使用通信回線5の監視を行なうことを改善することができる。
【0027】
また、通信回線監視制御部13は、所定の監視時間Tに通信確認信号CCが受信されないときには、使用通信回線5の開放を行なうので、監視時間Tを充分に短縮することができる。監視時間Tは、2t>T>tの範囲に設定される。また、待機時間Twおよび監視時間Tでも、CSC変復調器14で地球局ES1、ES2からの回線開放通知NRを受信することができ、この回線開放通知NRに基づき、DAMA制御部11により、使用通信回線5の開放を行なうことができる。
【0028】
実施の形態2.
この実施の形態2は、実施の形態1において、前記地球局毎の通信統計情報TSを、さらに、前記使用通信回線の周波数帯域幅毎に分類し、DAMA制御部11が地球局ES1、ES2の間における使用通信回線5の周波数帯域幅を指定したときに、待機時間設定部13aが、発呼地球局ES1に対応し、また指定された周波数帯域幅に対応する通信統計情報TSの平均通信時間情報Taveに基づいて、待機時間Twを決定するように構成したものである。その他は、実施の形態1と同じに構成される。
【0029】
この実施の形態2では、親局1が、発呼地球局ES1と相手地球局ES2との間に、使用通信回線5の周波数帯域幅を指定して使用通信回線を割当ててから、発呼地球局ES1の使用通信回線の帯域幅に対応する通信統計情報TSの平均通信時間情報Taveに基づいて決定した待機時間Twの後に、使用通信回線5の通信状態の監視を開始し、この監視を開始した後において、所定時間内に、使用通信回線5で通信が行なわれていない場合には、親局1が使用通信回線5を開放する。
【0030】
この実施の形態2によれば、地球局毎の通信統計情報TSが、使用通信回線5の周波数帯域幅に対応してさらに細かく分類されるので、待機時間Twを的確に決定することができ、実施の形態1に比べて、無駄な使用通信回線5の監視をさらに改善することができる。
【0031】
実施の形態3.
この実施の形態3は、実施の形態1において、地球局毎の通信統計情報TS、すなわち、地球局毎に平均通信時間情報Taveを、それぞれの地球局について記録したすべての通信の平均通信時間、前記記録したすべての通信の中で指定された期間の平均通信時間、および前記記録したすべての通信の中で指定された通信件数の平均通信時間のいずれかから選択可能とし、これらに基づいて待機時間Twを決定するようにしたものである。
【0032】
この実施の形態3では、地球局毎の通信統計情報TS、すなわち平均通信時間情報Taveが、それぞれの地球局について記録したすべての通信の平均通信時間、前記記録したすべての通信の中で指定された期間の平均通信時間、および前記記録したすべての通信の中で指定された通信件数の平均通信時間のいずれかから選択可能とされる結果、待機時間Twを的確に決定することができ、従来に比べて、無駄な使用通信回線5の監視をさらに改善することができる。
【0033】
実施の形態4.
この実施の形態4は、実施の形態2において、地球局毎の通信統計情報TS、すなわち、地球局毎に通信速度毎に分類された平均通信時間情報Taveを、それぞれの地球局について記録したすべての通信の平均通信時間、前記記録したすべての通信の中で指定された期間の平均通信時間、および前記記録したすべての通信の中で指定された通信件数の平均通信時間のいずれかから選択可能とし、これらに基づいて待機時間Twを決定するようにしたものである。
【0034】
この実施の形態4では、地球局毎に通信速度毎に分類された平均通信時間情報Taveが、それぞれの地球局について記録したすべての通信の平均通信時間、前記記録したすべての通信の中で指定された期間の平均通信時間、および前記記録したすべての通信の中で指定された通信件数の平均通信時間のいずれかから選択可能とされる結果、待機時間Twを的確に決定することができ、従来に比べて、無駄な使用通信回線5の監視をさらに改善することができる。
【0035】
実施の形態5.
この実施の形態5は、実施の形態1において、地球局毎の通信統計情報TSを、それぞれの地球局毎の平均通信時間情報Tave、最小通信時間情報Tmin、および最大通信時間情報Tmaxの中から、選択可能とし、これらに基づいて待機時間Twを決定するようにしたものである。
【0036】
最小通信時間情報Tminは、それぞれの地球局ESが、発呼地球局ES1および相手地球局ES2となった過去の通信実績について、その最小通信時間を算出した情報である。最大通信時間情報Tmaxは、それぞれの地球局ESが、発呼地球局ES1および相手地球局ES2となった過去の通信実績について、その最小通信時間を算出した情報である。
【0037】
地球局毎の通信統計時間情報TSとして、最小通信時間情報Tminを選択したときには、通信回線監視制御部13による使用通信回線5の開始までに、発呼地球局ES1または相手地球局ES2から回線開放通知NRが受信される可能性が少なくなり、また、最大通信時間情報Tmaxを選択したときには、通信回線監視制御部13による使用通信回線5の開始までに、発呼地球局ES1または相手地球局ES2から回線開放通知NRが受信される可能性が大きくなるが、いずれの場合にも、従来に比べて、無駄な使用通信回線5の監視を改善することができる。
【0038】
実施の形態6.
この実施の形態6は、実施の形態2において、地球局毎に通信速度毎に分類された通信統計情報TSを、それぞれの地球局毎の平均通信時間情報Tave、最小通信時間情報Tmin、および最大通信時間情報Tmaxの中から、選択可能とし、これらに基づいて待機時間Twを決定するようにしたものである。
【0039】
地球局毎の通信統計時間情報TSとして、最小通信時間情報Tminを選択した場合にも、また、最大通信時間情報Tmaxを選択した場合にも、従来に比べて、無駄な使用通信回線5の監視を改善することができる。
【0040】
実施の形態7.
この実施の形態7は、実施の形態1において、親局1が、使用通信回線5の通信状態の監視を開始した後に、最初に前記発呼地球局ES1または相手地球局ES2からの通信確認信号CCを受信すると、親局1が、その通信確認信号CCに基づいて、次の監視タイミングを予測し、その監視タイミングで時分割に監視を行なうようにしたものである。その他は、実施の形態1と同じに構成される
【0041】
図4は、この実施の形態7による使用通信回線の制御シーケンス図である。図4の上部には、CSC変復調部14、DAMA制御部11、通信回線監視制御部13、および通信回線監視用復調部15が並んで図示され、その下部に、実施の形態7による使用通信回線5の制御状態が図示される。
【0042】
通信回線監視制御部13による使用通信回線5の監視を開始した後、時点T1において、最初に発呼地球局ES1または相手地球局ES2から通信確認信号CCが受信され、地球局ES1、ES2間の通信が確認されたとする。通信回線監視制御部13は、この最初の通信確認信号CCの受信後に、使用通信回線5に監視を中断し、この最初の通信確認信号CCに基づいて、次に監視を行なう監視タイミングを予測する。発呼地球局ES1と相手地球局ES2の間の通信が続いていると仮定すると、次の通信確認信号CCは、時点T1から周期tの後に受信される。通信回線監視制御部13は、時点T1から(t−α)の後に次の監視を開始し、時点T1から(t+α)の後にこの監視を再び中断する。言い換えると、通信監視制御部13は、時点T1の後に、(t−α)と(t+α)の間の期間2αに次の監視を行なう。αは、周期tに比べて充分小さく設定される。
【0043】
この期間2αに次の通信確認信号CCが受信されず、時点T1から所定時間T内に使用通信回線5からの通信確認信号CCが受信されないときには、通信回線監視制御部13は、使用通信回線5に対する開放指示信号IRをDAMA制御部11へ送り、DAMA制御部11が使用通信回線5の開放を行なう。
【0044】
この実施の形態7では、通信回線監視制御部13は、時点T1の後に、期間2αにおいて次の監視を行なう期間を除き、地球局ES1、ES2との間の通信の監視を行なわないので、この期間に他の地球局間の使用通信回線5の監視を行なうことができ、少ない台数の通信回線監視用復調部15を用いて、多くの地球局間の使用通信回線5の監視を行なうことができる。
【0045】
実施の形態8.
この実施の形態8は、実施の形態2において、実施の形態7と同様に、親局1が、使用通信回線5の通信状態の監視を開始した後に、最初に前記発呼地球局ES1または相手地球局ES2からの通信確認信号CCを受信すると、親局1が、その通信確認信号CCに基づいて、次の監視タイミングを予測し、その監視タイミングで時分割に監視を行なうようにしたものである。その他は、実施の形態2と同じに構成される
【0046】
この実施の形態8では、実施の形態2と同様に、地球局ES1、ES2の使用通信回線5の周波数帯域幅を指定し、待機時間設定部13aが、発呼地球局ES1に対応し、またその使用通信回線5の周波数帯域幅幅に対応する平均通信時間情報Taveの基づいて、待機時間Twを決定するものにおいて、通信回線制御部13は、時点T1の後に、期間2αで次の監視を行なう期間を除き、地球局ES1、ES2との間の通信の監視を行なわないので、この期間に他の地球局間の使用通信回線5の監視を行なうことができ、少ない台数の通信回線監視用復調部15を用いて、多くの地球局間の使用通信回線5の監視を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明による衛星通信システムは、通信衛星を用いて、地球局間の通信を行なう衛星通信システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明による衛星通信システムの実施の形態1を示すシステム構成図。
【図2】実施の形態1における親局の構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態1による使用通信回線の制御シーケンス図。
【図4】この発明の衛星通信システムの実施の形態7による使用通信回線の制御シーケンス図。
【符号の説明】
【0049】
NW:ネットワーク、CS:通信衛星、ESG:地球局群、1:親局、2:子局群、
2a、2b、・・・、2n:子局、3:下り共通線信号回線、
4:上り共通線信号回線、5:使用通信回線、
11:要求時回線割当制御部(DAMA制御部)、
13:通信回線監視制御部、13a:待機時間設定部、
14:共通線信号回線変復調部(CSC変復調部)、15:通信回線監視用復調部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの親局と複数の子局とを含む複数の地球局が通信衛星を介して共通線信号回線で接続されたネットワークを有し、すべての前記地球局を前記親局にて管理し、前記複数の地球局の中の任意の発呼地球局と相手地球局との間の通信回線割当要求時に、前記親局が、前記共通線信号回線を通じて前記発呼地球局からの回線割当要求信号を受信すると、前記親局が、空き通信回線を検索し、前記発呼地球局と相手地球局とに前記共通線信号回線を通じて、使用通信回線を割当て、この使用通信回線を通じて前記発呼地球局と相手地球局とが通信を行ない、その通信の終了後に前記発呼地球局または相手地球局からの回線開放通知に基づき、前記親局が前記使用通信回線を開放するように構成された要求時回線割当方式の衛星通信システムであって、
前記親局は、前記地球局毎の通信統計情報を持ち、前記回線開放通知が受信できない場合には、前記親局が、前記使用通信回線を割当ててから、前記発呼地球局に対応する前記通信統計情報に基づいて決定した待機時間後に、前記使用通信回線の通信状態の監視を開始し、この監視を開始した後において、所定時間内に前記使用通信回線で通信が行なわれていない場合には、前記親局が前記使用通信回線を開放することを特徴とする衛星通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の衛星通信システムであって、前記親局が、前記発呼地球局と相手地球局との通信について、周波数帯域幅を指定して前記使用通信回線を割当てるように構成され、また、前記地球局毎の通信統計情報が前記帯域幅毎に分類され、前記回線開放通知が受信できない場合には、前記親局が、前記使用通信回線を割当ててから、前記発呼地球局の前記使用通信回線の帯域幅に対応する前記通信統計情報に基づいて決定した待機時間後に、前記使用通信回線の通信状態の監視を開始し、この監視を開始した後において、所定時間内に前記使用通信回線で通信が行なわれていない場合には、前記親局が前記使用通信回線を開放することを特徴とする衛星通信システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の衛星通信システムであって、前記地球局毎の通信統計情報が、それぞれの地球局の平均通信時間情報とされたことを特徴とする衛星通信システム。
【請求項4】
請求項3記載の衛星通信システムであって、前記平均通信時間情報が、前記発呼地球局毎に、またはその発呼地球局の前記使用通信回線の帯域幅毎に記録したすべての通信の平均通信時間、前記記録したすべての通信の中で指定された期間の平均通信時間、および前記記録したすべての通信の中で指定された通信件数の平均通信時間のいずれかから選択可能とされたことを特徴とする衛星通信システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の衛星通信システムであって、前記通信統計情報が、前記発呼地球局毎に、またはその発呼地球局の前記使用通信回線の帯域幅毎の最小通信時間、平均通信時間、および最大通信時間のいずれかから選択可能とされたことを特徴とする衛星通信システム。
【請求項6】
請求項1または2記載の衛星通信システムであって、前記発呼地球局または相手地球局は、前記使用通信回線での通信中に周期的に通信確認信号を発信するように構成され、前記親局が、前記使用通信回線の通信状態の監視を開始した後に、最初に前記通信確認信号を受信すると、前記親局が、その通信確認信号に基づいて、次の監視タイミングを予測し、その予測された監視タイミングで時分割に監視を行なうことを特徴とする衛星通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−208630(P2007−208630A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24615(P2006−24615)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】