説明

衛生用紙入りカートン

【課題】カートンに変形が生じさせないで生産性の向上を図ることが可能であり、且つ、使用により箱の中のティシュペーパーが少なくなっても箱の中にティシュペーパーが落下し難くポップアップ方式で継続して取り出すことが容易な、衛生用紙入りカートンを提供すること。
【解決手段】衛生用紙入りカートンにおいて、取出口を形成する切取部13を挟んで箱の短手方向の両側には、箱の長手方向に沿って切取部13側に張り出した横長の一対の第1湾曲張出部17が形成される。又、切取部13を挟んで箱の長手方向の両側には、箱の短手方向に沿って切取部13側に張り出した一対の第2湾曲張出部19が形成される。更に、一対の第1湾曲張出部17に、及び/又は、その一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側には、箱の長手方向に沿った線状のガイド罫16(押し罫)が、切込線11から離隔して、一対又は複数の対となって形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー等の衛生用紙を収納したカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパーを収納したカートンは、一般に、概ね直方体の収納箱の一面(通常は箱の上面)に、ティシュペーパーを取り出すための取出口を設けた構造を有するものである。使用者は、箱のその一面に設けられている所定形状のミシン目状切込線に沿って切取片を切り離し、細長い取出口(開口部)を形成し、そこからティシュペーパーを取り出す。そして、通常、その取出口の内面には、取出口を被覆するポリエチレンフィルム等のフィルムが貼着され、フィルムの中央部には直線状のスリットが設けられており(例えば、特許文献1参照。)、内容物であるティシュペーパーは、上記フィルムのスリットを通して外部へ引き出される。
【0003】
ティシュペーパーは、多くの場合2枚1組とされ、その1組が継続してカートン内部から取出せるように交互に折り重ねられて収納され、スリットからティシュペーパー1組が引き出されたときに、次のティシュペーパー1組が箱の内部からスリットに保持される位置まで引き出されるように、所謂ポップアップ方式で折り畳まれている。箱の内面に貼着した上記フィルムは、外部の塵や異物に対して内容物を保護するとともに、ティシュペーパーを外部に取り出す際に、フィルムのスリット間での摩擦により、所謂ポップアップしたティシュペーパーが箱の内部に落ち込むことを防ぎ、ティシュペーパーを所定位置に保持する役割を果たしている。
【0004】
これに対し、ポリエチレン等のプラスチックフィルムの材料コスト及び同フィルムを箱に貼りつける工程を省く目的で、取出口内面にフィルムを貼着しない構造の、所謂フィルムレスカートンが提案されている(例えば、特許文献2〜5、非特許文献1参照)。容器包装の廃棄物について、消費者の分別排出、自治体の分別収集、事業者のリサイクル責任を明確にした「容器リサイクル法」が1997年から本格施行され、循環型経済社会の構築に向けた動きが加速していることに鑑みれば、ティシュペーパー、キッチンペーパー等の衛生用紙の使用済みカートンを廃棄するとき、取出口に貼着したプラスチックフィルムをカートン本体からひき剥がし、分別して廃棄しなければならないことは、廃棄時の手間となり、問題である。上記フィルムレスカートンは、この問題を解決するものといえる。
【0005】
【特許文献1】実公昭41−6464号公報
【特許文献2】実開昭57−167080号公報
【特許文献3】特開2004−59150号公報
【特許文献4】特開2004−315084号公報
【特許文献5】特開2004−352336号公報
【非特許文献1】王子製紙広報誌「森の響」、王子製紙広報室、2003年6月20日発行、夏号、P25−26
【非特許文献2】紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行
【非特許文献3】包装産業の周知・慣用技術集第281頁、昭和53年12月20日特許庁発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献2のフィルムレスカートンは、取出口の両端の形状が直線状であるため、ティシュペーパーを外部に取り出す際に、ティシュペーパーが取出口に引っ掛かり易く、取り出すときに破れたり、ティシュペーパーが1組ずつポップアップ方式により継続してスムーズに取り出すことが出来ない、という問題があった。
【0007】
一方、非特許文献1によるフィルムレスカートン(本出願人によるフィルムレスボックス)は、取出口を形成する切取部の左右の両端のフォルムを円弧状の曲線により構成することで、箱内のティシュペーパーを外に引き出す際に、切取部の角等に引っ掛かって破れるのを防ぐことが出来るものである。しかし、フラップ部分を折り曲げて使用していると、使用により箱の中のティシュペーパーが少なくなった際に、箱の中にティシュペーパーが落下するおそれがあり、ティシュペーパーを1組ずつポップアップ方式で継続してスムーズに取出を出来るようにするという点で、改善の余地があった。
【0008】
又、生産性向上の観点から、カートン(用紙)の強度向上という改善すべき課題を有していた。即ち、本出願人の非特許文献1によるフィルムレスカートンは、カートン用紙(多層構造を有する厚紙)を所要の展開形状に打ち抜き、折れ線や切込線を入れて、カートンブランクを形成し、そのカートンブランクを、折れ線に沿って折って直方体形状に組み立てる、という工程を経て製造され、その工程の中で、別途、折り畳んだティシュペーパーを、組み立てたカートンの中へ収めることにより、衛生用紙入りカートンが得られるが、ティシュペーパーを収める前の組み立てたあるいは組み立てようとするカートンの強度が不十分であることから、生産速度を上げると、カートンを組み立てる際にあるいはティシュペーパーを収める際に、カートンに坐屈や凹み等の変形が生じ、不良品が発生し易く、生産性の向上に限界が生じていたのである。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、本発明が目的とするところは、生産速度を上げてもカートンに変形が生じ難く生産性の向上を図ることが可能であり、且つ、使用により箱の中のティシュペーパーが少なくなっても箱の中にティシュペーパーが落下し難くティシュペーパーを1組ずつポップアップ方式で継続してスムーズに取り出すことが容易な、衛生用紙入りカートンを提供することにある。研究が重ねられた結果、以下に示す手段によって、上記目的が達成出来ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明によれば、箱の上下の少なくとも一方の面に、その箱の中に収納した衛生用紙の取出口を形成するために、その取出口の形状に沿って切込線が形成されているカートンであって、取出口を形成する切取部は、長手方向の両端に配設される一対の端部切取部と、その一対の端部切取部の間に配設される帯状切取部と、からなり、帯状切取部は、その両端部分が中央部分よりも広がった形状に形成され、端部切取部は、帯状切取部と一体に形成されながら、帯状切取部よりも広幅に形成され、取出口を形成する切取部を挟んで箱の短手方向の両側に、箱の長手方向に沿って切取部側に張り出した、折れ曲がらずフラップ部として機能しない、横長の一対の第1湾曲張出部が形成されるとともに、取出口を形成する切取部を挟んで箱の長手方向の両側に、箱の短手方向に沿って切取部側に張り出して一対の端部切取部のそれぞれに接する、舌片状を呈する一対の第2湾曲張出部が形成され、更に、一対の第1湾曲張出部に、及び/又は、その一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側に、箱の長手方向に沿った線状のガイド罫(押し罫)が、上記切込線から離隔して、一対又は複数の対となって形成されている衛生用紙入りカートンが提供される。
【0011】
本発明の衛生用紙入りカートンは、箱の上下の少なくとも一方の面に、その箱の中に収納した衛生用紙の取出口を形成するために、その取出口の形状に沿って切込線が形成され、且つ、取出口を有する面の内側に、取出口を被覆するフィルムが配置されていないカートンであることが好ましい。この好ましい態様は、所謂フィルムレスカートンであることを意味する。
【0012】
尚、本明細書において、カートンは、木材パルプ、古紙等を原料とする厚紙等の紙材料を主体に製造した収納箱であり、主にティシュペーパー、ペーパータオル、等の衛生用紙を収納した収納箱である。又、本明細書において、衛生用紙とは、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙を総称する概念である(非特許文献2を参照)。
【0013】
本発明の衛生用紙入りカートンは、箱の長手方向に沿った線状のガイド罫(押し罫)が、切込線から離隔して、即ち、他の折線等から独立して、箱の取出口が形成される面の一対の第1湾曲張出部のみに形成されていてもよく、一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側のみに形成されていてもよく、一対の第1湾曲張出部及びその一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側の両方に形成されていてもよい。
【0014】
本発明の衛生用紙入りカートンにおいて、取出口の形状に沿って形成される切込線の仕様は特に限定されるものではない。例えば、切込線のうち、帯状切取部を形成するための切込線は、2本又は2組の切込線で構成することが可能である。又、端部切取部の外縁を構成する切込線は、波形状をした滑らかな切込線を採用出来る。
【0015】
本発明の衛生用紙入りカートンにおいては、上記線状のガイド罫(押し罫)の長さは、切取部の長手方向の長さに対し、25〜100%の比率の長さであることが好ましい。より好ましくは、上記線状のガイド罫(押し罫)の長さは、切取部の長手方向の長さに対し、50〜80%の比率の長さである。この比率が25%より小さくなると、カートンにおける第1湾曲張出部及びそれから箱の短手方向の外側の強度が低下し、使用時又は製造時に、その部分に変形が生じ易くなるので好ましくない。尚、この線状のガイド罫(押し罫)に曲線部が含まれる場合には、その長さは、長手方向の両端の距離(直線距離)を指す。
【0016】
更に、本発明の衛生用紙入りカートンは、端部切取部を挟んで箱の短手方向の両側に、一対のサイド罫(押し罫)が形成されていることが好ましい。
【0017】
そして、曲線部を有する一対のサイド罫(押し罫)が形成されている場合には、その一対のサイド罫(押し罫)が、曲線部を有し、山型状又は釣針型状を呈することが好ましい。
【0018】
尚更に、本発明の衛生用紙入りカートンは、上記第2湾曲張出部より箱の長手方向の外側に、箱の短手方向に沿った曲線状のガイド罫(押し罫)が形成されていることが好ましい。
【0019】
加えて、本発明の衛生用紙入りカートンは、上記帯状切取部と端部切取部は、リード罫により区分されていることが好ましい。本明細書において、リード罫とは、カートン用紙の両面から深さの異なる押し罫が形成されることによって得られる罫線をいう。尚、本発明の衛生用紙入りカートンにおいて、ガイド罫、サイド罫、及びリード罫は、全て押し罫(罫線)であり、又、その加工方法を限定するものではない。
【0020】
本発明の衛生用紙入りカートンにおいて、帯状切取部は、中央部ほど幅の狭い形状であることが好ましい。
【0021】
又、端部切取部の外縁を構成する切込線が、波形状をした滑らかな切込線として形成され、その波形状をした切込線により、端部切取部には双丘形の摘み部が形成されることが好ましい。尚、上記切込線により表される波形状は、その切込線(曲線)の態様(曲率等)によっては、繭形(繭を半分にした形状)あるいはマウスの耳形、と表現し得る形状である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の衛生用紙入りカートンは、一対の第1湾曲張出部に、及び/又は、その一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側に、箱の長手方向に沿った線状のガイド罫(押し罫)が、切込線から離隔して、一対又は複数の対となって形成されている。この線状のガイド罫(押し罫)の形成により、通常5層程度の多層構造を有するカートン用紙が部分的に圧縮され、カートン用紙の強度が向上する。そして、構成部材であるカートン用紙の強度が向上することによって、ティシュペーパーを収める前の組み立てたカートンにも、十分な構造強度が付与される。そのため、カートン用紙からカートンブランクを形成し、そのカートンブランクを直方体形状に組み立て、折り畳んだティシュペーパーを、組み立てたカートンの中へ収める、という製造工程において、生産速度を上げても、カートンを組み立てる際に、カートンに坐屈や凹み等の変形が生じ難く、歩留まりを低下させることなく、生産性の向上が図れる。即ち、ガイド罫を上記所定の位置に施すことにより、カートンの取出口を形成する面が平面として形態を維持する効果を発現し、組み立てたカートンの中へティシュペーパーを収めるという製造工程において、生産速度を上げても、カートンを組み立てる際に、カートンに坐屈や凹み等の変形が生じ難くなり、歩留まりを低下させることなく生産性の向上が図れるのである。
【0023】
カートン用紙の強度とは、箱(カートン)の取出口を形成した面が平面を維持しようとする強さを意味する。即ち、カートン用紙の強度を向上させる線状のガイド罫(押し罫)は、取出口の周りをガードする意図で引かれる罫線である。取出口を形成する面においては、開封前は取出口の形状に沿って切込線が形成されており、製造過程(印刷時、組立時(特にティシュペーパー充填時))において又は開封時に、引っ張りや圧縮の力がかかり、傷付き易く、壊れ易い部分である。本発明の衛生用紙入りカートンは、線状のガイド罫(押し罫)の形成により、引っ張りや圧縮の力に対抗する強さを取出口を形成する面に付与し得る。尚、この線状のガイド罫(押し罫)を、切込線から離隔させて、一対の第1湾曲張出部に、及び/又は、その一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側に、形成する理由は、本出願人の研究により、フィルムレスカートンにおいては、この部分において、最もカートン(用紙)の変形が生じ易いことが突き止められたからである。
【0024】
本発明の衛生用紙入りカートンは、取出口を形成する切取部を挟んで箱の短手方向の両側に、箱の長手方向に沿って切取部側に張り出した横長の一対の第1湾曲張出部が形成されるとともに、取出口を形成する切取部を挟んで箱の長手方向の両側に、箱の短手方向に沿って切取部側に張り出して一対の端部切取部のそれぞれに接する舌片状を呈する一対の第2湾曲張出部が形成されるものである。これは、換言すれば、切取部を切り取って得られる取出口のフォルムが、一対の第1湾曲張出部と一対の第2湾曲張出部を含む曲線によって形成されていることを意味する。従って、非特許文献1によるフィルムレスカートンと同様に、箱内のティシュペーパーを外に引き出す際に、切取部の角等に引っ掛かって破れるという問題は生じ難い。
【0025】
本発明の衛生用紙入りカートンにおける上記第1湾曲張出部と第2湾曲張出部は、特許文献2や非特許文献1に示されるフィルムレスカートンのように折り曲げて使用するフラップ部として機能するものではなく、ティシュペーパーが第1湾曲張出部と第2湾曲張出部とによって、しっかりと挟まれながら取り出されるので、使用により箱の中のティシュペーパーが少なくなっても、取り出し途中のペーパーが箱の中に落下する問題は生じ難く、ティシュペーパーは、1組ずつポップアップ方式で継続してスムーズに取出をすることが可能であり、重なって必要以上に取り出される問題も起こり難い。加えて、上記したように、本発明の衛生用紙入りカートンは、一対の第1湾曲張出部に、及び/又は、その一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側に、箱の長手方向に沿った線状のガイド罫(押し罫)が、切込線から離隔して、一対又は複数の対となって形成されていることから、第1湾曲張出部における強度が高められ、箱の取出口が形成された面が使用中に変形するという問題が生じ難い上に、使用を重ねるに連れて第1湾曲張出部がパタパタしてフラップ部のように機能してしまうという問題も起き難い。尚、ガイド罫は、第1湾曲張出部と第2湾曲張出部の折り曲げ線となり得ないものであり、従って、第1湾曲張出部と第2湾曲張出部のそれぞれの両端縁を結ぶ線上に位置して形成されない。
【0026】
本発明の衛生用紙入りカートンは、取出口を形成する切取部の端部切取部が広幅になっていて、取出口を開封する際に、端部切取部が摘み易く、開封が容易である。又、開封後に、取出口のうち端部切取部を切り取って得られるところから指を容易に差し入れることが出来、確実に最初の一枚を摘み上げられる。更に、好ましい態様として、取出口を左右及び前後に対称な形状に形成することにより、平面置き、立て置き等のいろいろな置き方に対応し、使用者の利き手に左右されずに、誰にでも使い易いものとなる。
【0027】
本発明の衛生用紙入りカートンは、限定されるものではないが、その好ましい態様は、フィルムレスカートンであり、取出口の内側にフィルムを配置しなくてもよい。従って、廃棄時に紙製カートンとフィルムの分別作業が必要なくなり、環境にやさしい製品である。又、フィルムをなくすことにより、材料費の節約に留まらず、製造工程が短縮出来、省エネルギ、省資源を達成することが可能である。
【0028】
本発明の衛生用紙入りカートンは、衛生用紙の取出口を形成する切取部を、中間の帯状切取部と長手方向の両端の端部切取部とに区分し、帯状切取部においては、両端部分は中央部分よりも広がった形状に形成され、端部切取部においては、帯状切取部と一体に形成されながら、その帯状切取部よりも幅広に形成することにより、衛生用紙の取出口を形成する切取部の形状が、見た目に優美でやわらかな印象となり、美観に優れる。
【0029】
本発明の衛生用紙入りカートンは、その好ましい態様により、端部切取部を挟んで箱の短手方向の両側に、一対のサイド罫(押し罫)が形成されている。このサイド罫線(押し罫)は、取出口の周りを補強する意図で引かれる罫線である。取出口を形成する面においては、開封前は取出口の形状に沿って切込線が形成されており、そのうち長手方向の両端には端部切取部を形成する切込線が形成される。切込線が形成される部分は、多層構造を有するカートン用紙の断面にあたるため、特に開封時に摘まれる端部切取部を形成する切込線の近傍は、開封時に層間剥離を生じ易い部分になる。そのため、開封時において、切取部を切り取る際に、箱の取出口を形成した面(切取部以外)に切れや破れが発生し難い。即ち、切取部の切り取りは、通常、端部切取部を押して端部切取部にかかる切込線を破断し、端部切取部を摘んで帯状切取部の方向に引っ張ることによって行われ、このときに、端部切取部を挟んで箱の短手方向の両側に切れや破れを招く力がかかる場合があるが、本発明の衛生用紙入りカートンは、上記一対のサイド罫(押し罫)の形成により、通常5層程度の多層構造を有するカートン用紙を部分的に圧縮し、層間剥離の発生(切れや破れの発生)を抑制する。
【0030】
本発明の衛生用紙入りカートンは、その好ましい態様により、第2湾曲張出部より箱の長手方向の外側に、箱の短手方向に沿った曲線状のガイド罫(押し罫)が形成されているので、開封のために端部切取部を押して端部切取部にかかる切込線を破断する際に、箱の取出口を形成した面(切取部以外)に潰れや坐屈が発生し難い。これは、曲線状のガイド罫(押し罫)の形成により、第2湾曲張出部より箱の長手方向の外側部分の強度が向上し、端部切取部を押すときの力に対抗出来るからである。端部切取部の周辺において潰れや坐屈の発生が防止されるので切込線の破断も容易である。
【0031】
本発明の衛生用紙入りカートンは、その好ましい態様により、帯状切取部と端部切取部とは、リード罫により区分されているので、その帯状切取部と端部切取部を容易に切り離すことが出来るとともに、端部切取部を帯状切取部側へ折り込むことも簡単である。従って、上記した取出口を形成する切取部の端部切取部が広幅になっていることと相まって、取出口を開封する際に、端部切取部が摘み易く、又、取出口のうち端部切取部を切り取って得られるところから指を容易に差し入れることが出来、開封が容易である。
【0032】
本発明の衛生用紙入りカートンは、その好ましい態様により、取出口の端部切取部は、波形状をした滑らかな切込線として形成されているため、ティシュペーパー等の取り出しに際して、ティシュペーパーが取出口の端部切取部に引っ掛かって破れるという問題が生じ難い。特に、箱入りのティシュペーパーの場合、インターフォルダという折り構造で交互に折り畳んで積層収納されているため、ティシュペーパーの取り出される方向が交互に変化するものであるが、ティシュペーパーの折り畳み方向の変化に対応して振り分けがなされて、ティシュペーパーの取り出し方向の移動がスムーズに行われることになり、紙の破れや引っ掛かりの防止に優れている。又、こうした作用によりティシュペーパー取り出しの際に箱とティシュペーパー間の摩擦が軽減され、ティシュペーパーの取り出しの音は発生し難く、静かに取り出すことが可能である。
【0033】
本発明の衛生用紙入りカートンは、その好ましい態様により、帯状切取部は、中央部ほど幅の狭い形状である。従って、帯状切取部を切り取って得られる取出口における中央部の幅も狭くなり、ペーパーを取り出さないときには、塵や異物が侵入し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0035】
図1、図2、図8、図9、及び図10は、本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す図である。図8は、衛生用紙入りカートンの使用状態を示す斜視図であり、図9は、図8に示される衛生用紙入りカートンの切断線108における断面図である。図10は、衛生用紙入りカートンを開封する様子を示す斜視図である。図1は、図8及び図9に示される衛生用紙入りカートン100を組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図であり、図2は、図1における丸囲いしたA部分の拡大図である。尚、図9においては、下面板2に設けた底上げ部材23を内側に折り曲げて使用している状態が示されている。
【0036】
図1、図2、図8及び図9に示される衛生用紙入りカートン100は、上面板1、下面板2、左右の側面板3,4、及び組み合わせで1つの端面を構成する端面板6,7で形成される箱である。衛生用紙入りカートン100は、箱の中に収納したティシュペーパー107(衛生用紙)の取出口10を形成するために、その箱の上面板1に、取出口10の形状に沿って、切込線11と、その切込線11を連結する波形状の滑らかな切込線12と、が形成され、且つ、取出口10を有する面の内側には、取出口10を被覆するフィルムが配置されていないフィルムレスカートンである。
【0037】
切込線11は、直線状の切れ目(スリット)で形成されていても、部分的につながりを有するミシン目状のものでもよく、包装業界でジッパーと呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(非特許文献3を参照)や、2重線のミシン目でもよい。切込線12は、ミシン目状切込線、上記ジッパーでもよく、切断面を滑らかにするために、連続した切れ目や、切れ目の寸法より短いつなぎ部(接続部)を有する不連続の切れ目としてもよい。
【0038】
衛生用紙入りカートン100において、取出口10を形成する切取部13は、長手方向の両端に配設される一対の端部切取部14と、その一対の端部切取部14の間に配設される帯状切取部24と、からなる。帯状切取部24は、その両端部分が中央部分よりも広がった形状に形成され、中央部ほど幅の狭い形状である。又、端部切取部14は、帯状切取部24と一体に形成されながら、帯状切取部24よりも広幅に形成されている。端部切取部14の外縁を構成する切込線12は、波形状をした滑らかなものであり、その波形状をした切込線12により、端部切取部14は双丘形の摘み部として構成される。更に、帯状切取部24と2つの端部切取部14とは、リード罫15により区分されており、容易に折ったり切り離ししたりすることが可能である。開封の際には、帯状切取部24と端部切取部14(摘み部)とは、箱上面から一体として切り取られるように構成され、端部切取部14は、摘み上げ易いように広幅で双丘形に形成されていることから、切取部13全体の摘み部として使われる。
【0039】
衛生用紙入りカートン100の取出口10は、中央がくびれており、箱の長手方向の両端に向かって広がった「犬の骨」に似た形状を呈している。取出口10の短手方向の長さは、狭すぎると取出口10を得るための切取部13の切り取りが難しくなり、広すぎると塵や異物がカートンの中に入り易くなり、好ましくない。取出口10(切取部13)の中央の最も狭い部分において、その長さは5〜15mmであることが好ましい。取出口10(切取部13)の両端の最も広い部分においては、その長さは20〜50mm程度であることが好ましく、より好ましくは、端部切取部14が少なくとも指2本分程度の幅になるように、取出口10(切取部13)の形状を決定することが好ましい。
【0040】
衛生用紙入りカートン100では、取出口10を形成する切取部13(帯状切取部24)を挟んで箱の短手方向の両側には、箱の長手方向に沿って切取部13側に張り出した横長の一対の第1湾曲張出部17が形成され、加えて、取出口10を形成する切取部13(端部切取部14及び帯状切取部24)を挟んで箱の長手方向の両側に、箱の短手方向に沿って切取部13側に張り出して一対の端部切取部14のそれぞれに接する舌片状を呈する一対の第2湾曲張出部19が形成されている。第1湾曲張出部17の長手方向の寸法は、収納されている衛生用紙入りカートン(箱)の長辺の寸法(概ね衛生用紙の寸法に相当する)に対する比率で表した場合、65〜100%程度であることが好ましく、75〜95%であれば、より好ましい。尚、取出口10(切取部13)の長手方向の寸法(中央の最小となる寸法)は、収納されている衛生用紙入りカートンの長辺の寸法に対する比率で表した場合、50〜95%程度であることが好ましく、65〜85%であれば、より好ましい。
【0041】
尚、本明細書において、箱の短手方向とは、図1及び図8に示される矢印Sで示される方向であり、箱の長手方向とは、図1及び図8に示される矢印Lで示される方向である。又、第1湾曲張出部17及び第2湾曲張出部19の領域は、それぞれ湾曲状に張り出した部分であり、第1湾曲張出部17の領域は、張り出した部分の両端を結ぶ直線と切込線11とで囲われた部分として特定され、第2湾曲張出部19の領域は、張り出した部分の両端を結ぶ直線と切込線12とで囲われた部分として特定される。
【0042】
衛生用紙入りカートン100には、一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った直線部で構成される一対のガイド罫16が形成されている。このガイド罫16は、カートンブランクを組み立てる際に折られる折れ線90からも離隔しており、取出口10が形成される面に独立して存在する罫線である。ガイド罫16は、1本の罫線で構成され直線部のみからなるものであり、その長さは、衛生用紙入りカートン100では、切取部13の長手方向の長さに対し、約55%の比率の長さである。尚、切取部13の長手方向の長さは、切取部13の短手方向の中心の両端のX,Y点間の距離(図1参照)で示される(以下、短手方向の中心間の距離という)。一対の第1湾曲張出部17とそれより箱の短手方向の外側は、衛生用紙入りカートン100の上面板1において最も平面の面積が広い部分であるため、この部分の強度が不足し、使用時に又はカートンブランク(図1参照)を折れ線90に沿って組み立てる際に、この部分で坐屈や凹み等の変形が生じ易いが、ガイド罫16の形成により、カートン用紙自体の強度が向上するとともに、組み立てたカートンにも十分な構造強度が付与される。これは、多層構造(通常5層程度)を有するカートン用紙においてそのガイド罫16の部分だけが圧縮され、圧縮された部分の形成によってカートン用紙自体の強度が高められるからである。
【0043】
又、衛生用紙入りカートン100には、端部切取部14を挟んで箱の短手方向の両側に、一対のサイド罫20が形成されている(図1及び図2参照)。端部切取部14は2つ存在するから、サイド罫20は4つ(2対)存在する。このサイド罫20は、2本の罫線で構成され、曲線部を有し、山型状を呈するものである。サイド罫20の形成によって、上記ガイド罫16の形成と同様の原理・作用により、カートン用紙がその部分において層間剥離を生じ難くなる。従って、端部切取部14を摘んで帯状切取部24の方向に引っ張って切取部13全体を切り取る際に、衛生用紙入りカートン100の上面板1における端部切取部14周辺に、切れや破れ等が生じ難い。
【0044】
更に、衛生用紙入りカートン100には、第2湾曲張出部19より箱の長手方向の外側に、箱の短手方向に沿った円弧状(曲線状の)ガイド罫18が形成されており、その第2湾曲張出部19より箱の長手方向の外側部分の強度が向上しているので、開封の際に端部切取部14を押圧しても、端部切取部14の周辺において潰れや坐屈が発生し難い。
【0045】
尚、衛生用紙入りカートン100において、取出口10から衛生用紙を取り出すときには、先ず、何れか一方の端部切取部14を指で押圧し、これを箱の内側に押し込み、箱の上面板1から波形状の双丘形の端部切取部14(摘み部)を破断する。そして、図10に示されるように、端部切取部14を摘み上げて、一体に形成された帯状切取部24(合わせて切取部13)を切り取って開封する。開封した後は、端部切取部14に相当する取出口10の幅の広いところから指を入れ、最上部の1枚目の衛生用紙を摘んで上方に引き出せばよい。1枚目の衛生用紙を引き出すと、箱内に積層した衛生用紙は1組ずつ互い違いに折り込まれているため、これに連れて、これに続く次の衛生用紙が引き出される。第1湾曲張出部17と取出口10の両端に突き出した舌片状の第2湾曲張出部19は、衛生用紙を挟み込んで保持する。又、衛生用紙が取り出される際、取出口10に張り出した第2湾曲張出部19は、衛生用紙の引き出し方向が交互に変わるのを振り分ける作用を発現し、衛生用紙をスムーズにガイドする。
【0046】
又、衛生用紙入りカートン100は、箱の中のティシュペーパーの残量が少なくなったときには、図9に示されるように、下面板2に設けた一対の底上げ部材23を箱の内側に折り曲げて使用することが出来る。即ち、下面板2の切込線21を破断し、折れ線22をヒンジ部として、底上げ部材23をカートンの内側に概ね90度折り曲げると、折り曲げられた底上げ部材23により、内部のティシュペーパーが上面側に押し上げられる。これにより、上面の取出口10からティシュペーパーの最後の一枚まで、安定してポップアップさせることが可能である。
【0047】
次に、図3〜図7及び図11〜図15に基づいて、本発明の衛生用紙入りカートンの他の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態においては、切込線から離隔して一対の第1湾曲張出部に及び/又はその一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側に形成されるガイド罫と、端部切取部を挟んで箱の短手方向の両側に形成されるサイド罫の仕様が主に異なり、特に記載がない部分の仕様は、既述の衛生用紙入りカートン100と同じ態様である。
【0048】
図3は、衛生用紙入りカートン300を組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図であり、図4は、図3における丸囲いしたB部分の拡大図である。図3及び図4に示される衛生用紙入りカートン300は、既述の衛生用紙入りカートン100と同様に、上面板1、下面板2、左右の側面板3,4、及び組み合わせで1つの端面を構成する端面板6,7で形成される箱であり、取出口を有する面の内側には、取出口を被覆するフィルムが配置されていないフィルムレスカートンである。
【0049】
衛生用紙入りカートン300では、一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った直線部で構成される一対のガイド罫316aが形成され、加えて、一対の第1湾曲張出部17に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った直線部で構成される一対のガイド罫316bが形成されている。ガイド罫316aの長さは、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約58%の比率の長さであり、ガイド罫316bの長さは、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約36%の比率の長さである。衛生用紙入りカートン100のガイド罫16と同様に、ガイド罫316a,316bの形成により、カートン用紙自体の強度が向上するとともに、組み立てたカートンにも十分な構造強度が付与される。
【0050】
又、衛生用紙入りカートン300では、端部切取部14を挟んで箱の短手方向の両側に、一対のサイド罫320が形成されている(図3及び図4参照)。端部切取部14は2つ存在するから、サイド罫320は4つ(2対)存在する。このサイド罫320は、曲線部を有する釣針型状を呈するものであり、その胴部(直線部)において2本、その腰部及び返し部(合わせて曲線部)において1本の罫線で構成されている。衛生用紙入りカートン100のサイド罫20と同様に、サイド罫320の形成によって、その部分においてカートン用紙の層間剥離が生じ難くなる。
【0051】
図5、図6、図7、図11、図12、図13、図14、及び図15は、衛生用紙入りカートンの上面図である。図5、図6、図7、図11、図12、図13、図14、及び図15に上面板1が示される衛生用紙入りカートン500,600,700,800,900,200,400,1000は、図示されないが、既述の衛生用紙入りカートン100と同様に、上面板、下面板、側面板、及び端面板で形成される箱であり、取出口を有する面の内側には、取出口を被覆するフィルムが配置されていないフィルムレスカートンである。
【0052】
衛生用紙入りカートン500(図5を参照)では、一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った直線部を有する一対のガイド罫516が形成されている。ガイド罫516は、その直線部が2本の罫線で構成されるとともに、その両端に箱の内側に向いた曲線部を有し、その曲線部は、直線部より細い3本の罫線で構成されている。曲線部を含めたガイド罫516の長さは、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約60%の比率の長さである。
【0053】
又、衛生用紙入りカートン500では、端部切取部14を挟んで箱の短手方向の両側に、一対のサイド罫520が形成されている。端部切取部14は2つ存在するから、サイド罫520は4つ(2対)存在する。このサイド罫520は、衛生用紙入りカートン100のサイド罫20(の1本の太さ)より太い1本の直線状の罫線で構成されている。
【0054】
衛生用紙入りカートン600(図6を参照)では、一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った直線部を有する一対のガイド罫616が形成されている。ガイド罫616は、上記ガイド罫516と同様に、その直線部が2本の罫線で構成され、更に、その両端に箱の内側に向いた曲線部を有し、その曲線部は、直線部より細い3本の罫線で構成されているが、図6に示されるように、曲線部の態様が、ガイド罫516とは異なる。曲線部を含めたガイド罫616の長さは、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約64%の比率の長さである。
【0055】
又、衛生用紙入りカートン600では、端部切取部14を挟んで箱の短手方向の両側に、一対のサイド罫620が形成されている。端部切取部14は2つ存在するから、サイド 罫620は4つ(2対)存在する。このサイド罫620は、衛生用紙入りカートン100のサイド罫20(の1本の太さ)より太い1本の罫線で構成され、曲線部を有し、山型状を呈するものである。
【0056】
衛生用紙入りカートン700(図7を参照)では、一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った直線部を有する一対のガイド罫716aが形成され、加えて、一対の第1湾曲張出部17に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った直線部を有する一対のガイド罫716bが形成されている。ガイド罫716a,716bは、その直線部が1本の罫線で構成され、更に、その両端に箱の内側に向いた曲線部を有し、その曲線部は、直線部と同じ太さの1本の罫線で構成され、その末端には、図7に示されるように、極細い罫線が箱の長手方向に形成されている。曲線部を含めたガイド罫716aの長さは、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約58%の比率の長さであり、曲線部を含めたガイド罫716bの長さは、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約38%の比率の長さである。又、衛生用紙入りカートン700では、端部切取部14を挟んで箱の短手方向の両側に、衛生用紙入りカートン600と同様の、一対のサイド罫620が形成されている。
【0057】
衛生用紙入りカートン800(図11を参照)では、一対の第1湾曲張出部817のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線811から離隔して、箱の長手方向に沿った一対のガイド罫816が形成されている。ガイド罫816は、切込線811が描く曲線に概ね平行な主に曲線部で構成される罫線であり、その末端には、図11に示されるように、曲線部と同じ太さの罫線が概ね箱の長手方向に形成されている。曲線状のガイド罫816の長さ(長手方向(図中の上下方向)の距離)は、切取部813の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約84%の比率の長さである。
【0058】
衛生用紙入りカートン800では、帯状切取部824の外縁を構成する切込線811は、衛生用紙入りカートン100の切込線11と概ね同態様であるが、帯状切取部824が、衛生用紙入りカートン100の帯状切取部24より、中央部の幅が僅かに広い形状である。そのため、第1湾曲張出部817は、衛生用紙入りカートン100の第1湾曲張出部17と比較して、切取部813側へ僅かに小さく張り出している。又、端部切取部814の外縁を構成する切込線812は、衛生用紙入りカートン100の切込線12とは異なる態様のものであり、第2湾曲張出部819が、衛生用紙入りカートン100の第2湾曲張出部19と比較して、切取部813側に、より大きく張り出している。更に、帯状切取部824の長手方向の両端には、一対の指先押込部27が、円弧状の切込線25によって分離可能なように設けられている。そして、端部切取部814を挟んで箱の短手方向の両側には、衛生用紙入りカートン600と同様の、一対のサイド罫620が形成されている。尚更に、衛生用紙入りカートン800には、第2湾曲張出部819より箱の長手方向の外側に、ガイド罫818が形成されている。ガイド罫818は、箱の短手方向に沿った円弧状(曲線状)のものであるが、衛生用紙入りカートン100のガイド罫18とは異なる態様の罫線である。
【0059】
衛生用紙入りカートン900(図12を参照)では、一対の第1湾曲張出部817から一対の第1湾曲張出部817のそれぞれより箱の短手方向の外側にわたって、切込線811から離隔して、箱の長手方向に沿った一対のガイド罫916が形成されている。ガイド罫916は、衛生用紙入りカートン800のガイド罫816と同様に、切込線811が描く曲線に概ね平行な曲線状の罫線であり、その末端には、図12に示されるように、曲線部と同じ太さの罫線が概ね箱の長手方向に形成されている。曲線状のガイド罫916の長さ(長手方向(図中の上下方向)の距離)は、切取部813の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約48%の比率の長さである。
【0060】
衛生用紙入りカートン900では、切込線811、切込線812、切取部813、端部切取部814、帯状切取部824、第1湾曲張出部817、第2湾曲張出部819、切込線25、指先押込部27、サイド罫620の態様は、衛生用紙入りカートン800と同様なものである。一方、衛生用紙入りカートン900には、第2湾曲張出部819より箱の長手方向の外側に、ガイド罫918が形成されている。このガイド罫918は、箱の短手方向に沿った円弧状(曲線状)のものであるが、衛生用紙入りカートン100のガイド罫18及び衛生用紙入りカートン800のガイド罫818とは異なる態様の罫線である。
【0061】
衛生用紙入りカートン200,400,1000(図13、図14及び図15を参照)は、切込線11、切込線12、切取部13、端部切取部14、帯状切取部24、第1湾曲張出部17、第2湾曲張出部19の態様は、衛生用紙入りカートン100と同様なものである。又、衛生用紙入りカートン200,400,1000では、端部切取部14を挟んで箱の短手方向の両側に、衛生用紙入りカートン600と同様の、一対のサイド罫620が形成されている。
【0062】
衛生用紙入りカートン200(図13を参照)では、一対の第1湾曲張出部17から一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側にわたって、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った一対のガイド罫216が形成されている。ガイド罫216は、切込線11が描く曲線より曲率の大きな曲線部で構成される罫線であり、その末端には、図13に示されるように、曲線部と同じ太さの罫線が箱の長手方向に形成されている。曲線状のガイド罫216の長さ(長手方向(図中の上下方向)の距離)は、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約60%の比率の長さである。又、衛生用紙入りカートン200には、第2湾曲張出部19より箱の長手方向の外側に、ガイド罫218が形成されている。ガイド罫218は、箱の短手方向に沿った円弧状(曲線状)のものであるが、衛生用紙入りカートン100のガイド罫18とは異なる態様の罫線である。
【0063】
衛生用紙入りカートン400(図14を参照)では、一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った一対のガイド罫416aが形成され、加えて、一対の第1湾曲張出部17に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った一対のガイド罫416bが形成されている。ガイド罫416a,416bは、切込線11が描く曲線に概ね平行な曲線部で構成される罫線であり、その末端には、図14に示されるように、曲線部より稍細い罫線が、曲線部に対して概ね垂直方向に形成されている。曲線状のガイド罫416aの長さ(長手方向(図中の上下方向)の距離)は、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約67%の比率の長さであり、曲線状のガイド罫416bの長さ(長手方向(図中の上下方向)の距離)は、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約45%の比率の長さである。又、衛生用紙入りカートン400には、第2湾曲張出部19より箱の長手方向の外側に、衛生用紙入りカートン200と同様の、箱の短手方向に沿った円弧状(曲線状)のガイド罫218が形成されている。
【0064】
衛生用紙入りカートン1000(図15を参照)では、一対の第1湾曲張出部17のそれぞれより箱の短手方向の外側に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った一対のガイド罫1016aが形成され、加えて、一対の第1湾曲張出部17に、切込線11から離隔して、箱の長手方向に沿った一対のガイド罫1016bが形成されている。ガイド罫1016a,1016bは、概ね直線状であるが僅かに曲がった罫線であり、その末端には、図15に示されるように、曲線部より稍細い罫線が形成されている。ガイド罫1016aの長さ(長手方向(図中の上下方向)の距離)は、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約78%の比率の長さであり、曲線状のガイド罫1016bの長さ(長手方向(図中の上下方向)の距離)は、切取部13の長手方向の長さ(短手方向の中心間の距離)に対し、約52%の比率の長さである。又、衛生用紙入りカートン1000には、第2湾曲張出部19より箱の長手方向の外側に、衛生用紙入りカートン200と同様の、箱の短手方向に沿った円弧状(曲線状)のガイド罫218が形成されている。
【0065】
衛生用紙入りカートン500,600,700,800,900,200,400,1000においては、衛生用紙入りカートン100のガイド罫16と同様に、ガイド罫516,616,716a,716b,816,916,216,416a,416b,1016a,1016bの形成により、カートン用紙自体の強度が向上するとともに、組み立てたカートンにも十分な構造強度が付与される。又、衛生用紙入りカートン100のガイド罫18と同様に、同じガイド罫18又は異なる態様のガイド罫818,918,218の形成により、開封の際に端部切取部を押圧しても、端部切取部の周辺において潰れや坐屈が発生し難くなる。更に、衛生用紙入りカートン100のサイド罫20と同様に、サイド罫520,620の形成によって、その部分のカートン用紙の層間剥離が抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の衛生用紙入りカートンは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等のカートンとして、好適に利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す図であり、衛生用紙入りカートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図2】図1における丸囲いしたA部分の拡大図である。
【図3】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す図であり、衛生用紙入りカートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図4】図3における丸囲いしたB部分の拡大図である。
【図5】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【図6】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【図7】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【図8】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す図であり、使用状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示される衛生用紙入りカートンの所定の切断線における断面図である。
【図10】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す図であり、開封する様子を示す斜視図である。
【図11】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【図12】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【図13】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【図14】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【図15】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す上面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 上面板
2 下面板
3,4 側面板
6,7 端面板
10 取出口
11,811 切込線
12,812 切込線
13,813 切取部
14,814 端部切取部
15 リード罫
16,216,316a,316b,416a,416b,516,616,716a,716b,816,916,1016a,1016b (箱の長手方向に沿った線状の)ガイド罫
17,817 第1湾曲張出部
18,218,818,918 (箱の短手方向に沿った曲線状の)ガイド罫
19,819 第2湾曲張出部
20,320,520,620 サイド罫
21 切込線
22 折れ線
23 底上げ部材
24,824 帯状切取部
25 切込線
27 指先押込部
100,200,300,400,500,600,700,800,900,1000 衛生用紙入りカートン
107 ティシュペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱の上下の少なくとも一方の面に、その箱の中に収納した衛生用紙の取出口を形成するために、その取出口の形状に沿って切込線が形成されているカートンであって、
前記取出口を形成する切取部は、長手方向の両端に配設される一対の端部切取部と、その一対の端部切取部の間に配設される帯状切取部と、からなり、
前記帯状切取部は、その両端部分が中央部分よりも広がった形状に形成され、前記端部切取部は、前記帯状切取部と一体に形成されながら、前記帯状切取部よりも広幅に形成され、
前記取出口を形成する切取部を挟んで箱の短手方向の両側に、箱の長手方向に沿って切取部側に張り出した、折れ曲がらずフラップ部として機能しない、横長の一対の第1湾曲張出部が形成されるとともに、
前記取出口を形成する切取部を挟んで箱の長手方向の両側に、箱の短手方向に沿って切取部側に張り出して前記一対の端部切取部のそれぞれに接する、舌片状を呈する一対の第2湾曲張出部が形成され、
更に、前記一対の第1湾曲張出部に、及び/又は、その一対の第1湾曲張出部のそれぞれより箱の短手方向の外側に、箱の長手方向に沿った線状のガイド罫(押し罫)が、前記切込線から離隔して、一対又は複数の対となって形成されている衛生用紙入りカートン。
【請求項2】
前記取出口を有する面の内側に、前記取出口を被覆するフィルムが配置されていない請求項1に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項3】
前記線状のガイド罫(押し罫)の長さは、前記切取部の長手方向の長さに対し、25〜100%の比率の長さである請求項1又は2に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項4】
前記端部切取部を挟んで箱の短手方向の両側に、一対のサイド罫(押し罫)が形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項5】
前記一対のサイド罫(押し罫)が、曲線部を有し、山型状又は釣針型状を呈する請求項4に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項6】
前記第2湾曲張出部より箱の長手方向の外側に、箱の短手方向に沿った曲線状のガイド罫(押し罫)が形成されている請求項1〜5の何れか一項に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項7】
前記帯状切取部と端部切取部は、リード罫により区分されている請求項1〜6の何れか一項に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項8】
前記帯状切取部は、中央部ほど幅の狭い形状である請求項1〜7の何れか一項に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項9】
前記端部切取部の外縁を構成する切込線が、波形状をした滑らかな切込線として形成され、その波形状をした切込線により、端部切取部には双丘形の摘み部が形成される請求項1〜8の何れか一項に記載の衛生用紙入りカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−62751(P2007−62751A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248418(P2005−248418)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】