説明

衝撃デバイスを備えた粉体計量装置

測定された用量の粉体を受け容器内へと分配する粉体計量装置(1)は、計量デバイス(4、4a、4b、4c)を操作するように構成される操作アーム(3)を備えた操作および位置決めデバイス(2)を有する。計量デバイスは、排出口(5、6)、および粉体が排出口(5、6)を出る速度を制御する流れ制御要素(34、35、36)を有する計量ヘッド(32、32a、32b、32c)を備えた貯蔵容器(31、31a、31b、31c)を含む。特に、粉体計量装置(1)は、高強度および短い持続期間の上向きの力のパルスを用いて計量デバイス(4、4a、4b、4c)に衝撃を与えるように構成された衝撃デバイス(11、111)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体状のコンシステンシー(consistency)の少用量の物質を正確に分配する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学および医薬の実験室において、特に、連続試験用の粉体の組み合わせからなる試料を調製するために、粉体状の試薬または製品を分配することが、しばしば必要である。試験される粉体状の製品の数が多いために、各用量の粉体を連続して分配および検量することは、関係するスタッフによる相当な時間および注意を必要とする骨の折れる仕事となる。
【0003】
実験室の用途に加えて、同じ充填量の粉体状の物質が、同一の容器に何千回も分配されなければならない工業生産の工程が存在する。
したがって、実験室ならびに生産設備において、測定された用量の粉体の分配を確実かつ効率的に自動化することのできる装置の必要性が大いにある。
【0004】
この発明が関係する種類の計量装置の主要な要素は、分配される粉体用の保持容器と、この保持容器に取り付けられた、排出口を有する計量ヘッドとを備えた計量デバイスである。計量デバイスが、計量装置におけるその作動位置にあるとき、保持容器が上に、計量ヘッドが下にあり、それによって、粉体が、制御された流れで排出口から受け容器へと進む。計量装置の一部であり、受け容器の中に分配された粉体がその目標重量に達したときに段階的に排出口を縮小および閉鎖するように排出口の開口を制御するシャッターデバイスにフィードバック信号を送信する検量デバイスの上に、受け容器は配置され得る。
【0005】
代替として、検量デバイス上に受け容器を置く代わりに、現状技術は、受け容器の充填高さを検出する他の適切な手段、たとえば、受け容器の充填高さが目標の高さに達したときに粉体計量デバイスにフィードバック信号を送信する光学センサを提供する。
【0006】
本発明によって構想される種類の計量デバイスでは、計量される粉体試料のサイズは、典型的に0.5ミリグラムから5グラムまでの範囲にある。小さい試料では特に、必要とされる精度は±0.1mg以下である。
【0007】
ある粉体は、砂時計の砂のように、小さい穴から均一な流れとして容易に流れ出る。この場合では、粉体の流れは、実際に、適切なシャッターデバイスを用いて穴の断面を単に変化させることによって制御できる。しかしながら、多くの粉体状の材料では、粒子は、粘着として知られる、互いにくっつく傾向を有しており、粉体はまた、ある程度の容積圧縮性を有し、それによって、材料が突き固められて、結果として、排出口を詰まらせるか、または容易に流れる細い流れとしてではなく塊になって排出口を出ることがある。典型的な例として、コーンスターチは、非常に高度の粘着性ならびに圧縮性を示し、したがって、粉体計量装置の能力を評価するための試験材料としてしばしば使用される。
【0008】
粉体の粘着性および圧縮性(しばしば単に「付着性」と称される)が粉体計量デバイスにおいて引き起こす問題は長く知られており、以下の例のような多数の解決策が提案されている。
【0009】
粉体材料を排出口へと動かし、排出口から排出するアルキメデスのフィードスクリュー、粉体をばらし、容器および計量ヘッドの壁から、ならびにフィードスクリューから粉体を掻き落とし、保持容器および計量ヘッドの内側の粉体に形成され得る架橋部および空洞部を圧潰するための撹拌および掻き取りデバイス、同様に粉体をばらすように、また、粉体を容器および計量ヘッドの壁に付着させないように働く叩きおよび振動デバイスなどがその例である。
【0010】
現状技術の粉体計量デバイスならびに本発明のデバイスの能力を評価および比較するために、出願者は、粉体の付着性についての等級尺度を開発しており、(前述の砂時計の砂などの)自由に流れる粉体では、等級1が割り当てられ、コーンスターチは7から8の間の等級が割り当てられる。出願者によって行われた試験において、同じコーンスターチが何度も繰り返して使用されたとき、付着性は、材料が空気から湿気を吸収するにつれて、および/または、粉体の粒子が計量装置の供給、撹拌および掻き取り要素によってつぶされたときに、7から8へと段階的に上昇した。
【0011】
GB701,572において開示される粉体分配デバイスは、円錐形の漏斗形状の底部部分を備えた円筒形のホッパを有する。垂直方向に向けられたアルキメデスのフィードスクリューが、漏斗の排出路を介して下方に延在する。撹拌/掻き取りアームが、フィードスクリューのシャフトの周りに、同心方向に、しかし反対向きの回転で動き、それによって保持容器内の粉体を撹拌し、同時に、フィードスクリューおよび漏斗の壁から粉体を掻き落とす。
【0012】
F2607794において開示される別の粉体分配デバイスは、漏斗形状のホッパを有する。ホッパの底部の排出口は、ホッパの上方の作動機構から垂直方向に降りるプランジャシャフトを備えたプランジャ弁を有する。螺旋形状のフィーダスネークが、プランジャシャフトからわずかな隙間を有してプランジャシャフトの周りに同心に回転するように配置される。
【0013】
2つの前述の例において、および一般的にも、粘着性で突き固められる可能性のある粉体に対するアルキメデスのスクリューの使用は、スクリューのらせん状の溝に粉体が固く詰まってしまい、それによって、アルキメデスのスクリューおよびその溝の中の粉体が、中実の円柱として共に回転し、結果として、粉体が排出口から全く出てこないという問題を含み得る。
【0014】
従来技術のさらなる例として、DE19841478 A1において開示される用量分配デバイスは、漏斗形状の底部を備えた円筒形のホッパを有する。排出口は、ホッパの上方の作動機構から垂直方向に降りるプランジャシャフトを備えたプランジャ弁の形態のシャッターを有する。3つのアームを備えた撹拌/掻き取り装置が、プランジャシャフトの周りに同心方向に動き、それによって保持容器内の粉体を撹拌し、同時に、プランジャおよび漏斗の壁から粉体を掻き落とす。前述の例と同様に、ホッパ内、特に漏斗形状の底部部分の粉体が突き固められて、撹拌/掻き取りデバイスと共にホッパの内部で単に回転する粘着した塊となり得るという問題の可能性がやはりある。
【0015】
前述の問題に対する解決策は、本発明の出願者によって米国特許出願第2006/0011653号に既に提案されている。ほぼ10分の1ミリグラムの精度をもって、数ミリグラムから数グラムまで範囲の量の粉体を計量するデバイスは、円錐形に狭くなる底部部分を備えた保持容器と、粉体の流れを調整するシャッター弁を備えた排出口とを有する。このデバイスは、容器を振動させる、および/または叩く手段を含み、さらにその軸の方向に前後に動くことのできる回転式の撹拌デバイスをさらに含み得る。その結果、粉体はアルキメデスのフィードスクリューを使用することなく、それ自体の重力で排出口から落ちる。
【0016】
最後に述べた解決策と同様に、本発明の出願者による米国特許出願第10/476,700号に提案されるデバイスは、容器の円筒の軸に対して直角に向けられたアルキメデスのフィードスクリューを含むキャップを備えた円筒形の保持容器を有する。計量デバイスが、自動化された粉体分配システムにおいてその作動位置にあるとき、保持容器が上に、フィードスクリューを備えたキャップが下にある。保持容器からの粉体は、上から開口部を介して水平方向のフィードスクリューのトンネルに入り、トンネルに沿って排出口へと押され、そこから粉体は受け容器の中へと落ちる。この場合、排出口から排出される粉体の流速は、水平方向のフィードスクリューの速度を変化させることによって制御される。
【0017】
粘着性および突き固められる可能性のあまりない粉体では、撹拌機の振動、叩き、回転式撹拌、および上/下の動きのための少なくとも1つの手段を備えた最後に述べられた粉体計量装置が、ほぼ10分の1ミリグラム以下の精度をもって、数ミリグラムから数グラムまでの範囲の量の粉体を計量する、所望の能力を示す。しかしながら、上述のように、突き固められる可能性および粘着性の非常にある粉体を扱う能力について粉体計量デバイスを評価する試験材料としてしばしば使用されるコーンスターチを用いた試験においては、その性能は依然として不足している。
【0018】
粉体計量デバイスの現状技術の評価において、出願者は、異なる流れ特性を有する粉体、および/または異なる用量、および/または異なる精度条件に対して、異なる構成が使用されることを見出した。これによって、同じ計量デバイスが、1ミリグラム未満から5グラム以上までの用量で、10分の1ミリグラムよりも高い精度をもって、自由に流れる砂からコーンスターチのような粘着性があり詰まりやすい材料、すなわち粉体の付着性についての前述の等級尺度の等級1から等級8までの任意の粉体を分配する能力を有する設計概念に対して、未だ満たされていない必要性があるという、さらなる結論が導かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、自由に流れる(砂時計の砂に相当する)ものから非常に粘着性があり詰まりやすいもの(たとえばコーンスターチ)までのすべての範囲にわたる粉体をおよそ10分の1ミリグラム以下の精度をもって、約0.5ミリグラムから5グラムまでの範囲で、測定された用量の粉体を分配することのできる、さらに改善された粉体計量装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によると、前述の目的は、計量デバイスを操作するように構成された操作機構を含む粉体計量装置によって満たされ、計量デバイスは計量ヘッドを備えた粉体容器を含み、計量ヘッドは、排出口と、粉体が排出口を出る速度を制御する流れ調整デバイスとを含む。特に、本発明による粉体計量装置は、上向きの衝撃、すなわち上方に向けられた高強度および短い持続時間の力のパルスを計量装置に与えるように構成された衝撃デバイスを備える。
【0021】
さらに、計量デバイスが、数ミリメートルの垂直方向の可動度を有して、粉体計量装置に拘束されているか、または案内されていると有利であると分かった。したがって、計量デバイスが、最初に休止位置にある場合、上向きの力のパルスが、計量デバイスの突然の上向きの加速および動きを引き起こし、それが、粉体内に下向きの慣性力を発生させ、それが、計量ヘッド内の粉体を推進し、計量デバイスに対して下向きに動かし、排出口を通過させる。当然ながら、粉体を排出口の方へ押す下向きの慣性力と同じ効果は、計量デバイスが最初下向きに動いており急に停止される突然の減速によっても達成可能である。制御された強度の衝撃、および5mm程度の動きの振幅で、約1〜20サイクル/秒の速度で連続的に掛けられるこのような垂直方向の衝撃が、計量デバイスの排出口からの粉体の自由な流れを促進するのに非常に有効であることが分かった。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、衝撃デバイスは、計量デバイスの底部に突き当たる棒または円柱の形の衝撃質量を有する機械的なハンマーデバイスである。衝撃が一点に集中されるように、棒の突き当て端部は丸みをつけられる。
【0023】
本発明の典型的な実施形態では、ハンマーが計量デバイスに与える垂直方向の運動量m・v(質量×速度)の量は、ハンマーの衝撃方向が垂直から外れた角度の余弦とともに減少するので、機械的なハンマーデバイスは、理想的には垂直方向に一致するか、または好ましくは垂直方向から45°を超えて外れない、その長さ方向の軸の方向に往復して動くように、適切な空圧式または電磁式の作動機構によって駆動可能である。したがって、空圧式または電磁式の作動機構によって衝撃の強度を制御する代わりに、またはそれに加えて、垂直に対しての衝撃の方向の角度を変えることによって、衝撃運動量の垂直成分を変化させることもできる。
【0024】
ハンマーデバイスの衝撃は、計量デバイスの上向きの衝撃加速を引き起こし、それによって、計量デバイスは、揺すぶられて数ミリメートル程度上方に動き、次に、その自重によって、および/または予め張力を掛けられたばねの位置回復力によって、元の位置に戻される。
【0025】
ハンマーデバイスに代わるものとして、衝撃デバイスは、固定された機械的停止要素に対して下向きの方向に計量デバイスを推進する手段を備えることができる。停止要素との衝突は、計量デバイスの突然の減速を引き起こし、粉体を押して計量デバイスに対して下向きに動かし、排出口を通過させる、粉体内の下向きの慣性力を引き起こす。
【0026】
計量デバイスへの衝撃が発生させられるやり方に関係なく、衝撃または力のパルスの周波数ならび振幅(すなわち強さまたは強度)が、粉体の流れ特性および放出の所望の速度に依存して調整可能であれば有利であることが分かった。たとえば、パルスの周波数は、毎秒20回程度の衝撃であり、充填工程が目標の充填量に近づくにつれてゼロに向かって減速する。
【0027】
衝撃によって変位された後に計量デバイスをその休止位置へと押し戻す垂直方向のばね力を計量デバイスに及ぼすばね要素を計量装置内に配置することが、有利であると分かった。
【0028】
計量装置に振動および/または衝撃減衰デバイスを含むことが、さらに有利である。これは、衝撃周波数が計量装置の共振周波数に到達したときに共鳴振動を防ぐのに有用であり、また、最初の衝撃加速がおさまった後の計量デバイスのさらなる動きを減速および停止する働きをすることができる。
【0029】
粉体計量装置は、原則として、粉体材料を排出口へと動かし、排出口から排出する、たとえばアルキメデスのフィードスクリューのような任意の既知の現状技術の要素を含む計量デバイスと、粉体をばらし、容器および計量ヘッドの壁から、ならびにフィードスクリューから粉体を掻き取り、保持容器および計量ヘッドの内側の粉体に形成し得る架橋部および空洞部を圧潰する撹拌および掻き取りデバイスとを使用するように構成可能である。
【0030】
典型的に、計量デバイスの排出口を介する粉体の流れを制御する流れ調整デバイスは、排出口の開口の制御された変化を可能にするシャッター要素である。シャッター要素は、計量ヘッドの底部部分の水平方向の穴に回転可能に着座され、可変サイズの開口通路を形成するように排出口と協働する、実質的に円筒形のシャッター弁要素であってよい。
【0031】
代替の可能性として、流れ調整デバイスは、水平方向のトンネルを介して粉体容器の底部から排出口へと粉体を動かすアルキメデスのフィードスクリューであってよい。排出口からの排出速度は、フィードスクリューの速度を変化させることによって制御される。
【0032】
典型的な実施形態では、衝撃デバイスを備えた本発明の粉体計量装置は、検量デバイスに載っている受け容器の上方に、作動位置にある粉体計量デバイスを保持する。たとえば上述のような機械的なハンマーデバイスとして構成可能である衝撃デバイスは、その衝撃ラム(ram)が、計量デバイスの実質的に水平な底面に対して垂直に、またはこの水平な底面に対する垂直線に鋭角に向けられるように配置される。電子制御器は、検量デバイスからのフィードバック信号に基づいて、計量デバイスの排出口の流れ調整デバイスと、撹拌デバイス、掻き取りデバイスおよび/またはフィーダデバイスの回転速度とを制御することによって、ならびにハンマーデバイスの打撃の周波数および強度を調整することによって、粉体の放出を管理する。
【0033】
代替として、検量デバイスの代わりに、本発明による粉体計量装置は、たとえば、計量デバイスの排出口の開口を縮小し、最終的に最後に閉じることによって、ならびに受け容器の充填高さが目標の高さに近づくにつれてハンマーデバイスの打撃の周波数および/または強度を低減することによって応答可能であるように、たとえば電子制御デバイスにフィードバック信号を送信する光学センサなどの、受け容器の充填高さを検出するその他の任意の適切な手段を用いることができる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照してさらに詳細に以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による粉体計量装置の斜視図である。
【図2】図1の装置の側面からの平面図である。
【図3】代替実施形態の衝撃デバイスを備えた図1の装置の側面からの平面図である。
【図4】図4aは本発明による計量装置において使用されるタイプの計量デバイスの長さ方向の横断面図である。
【0036】
図4bは本発明による計量装置において使用されるタイプの計量デバイスの長さ方向の横断面図である。
図4cは本発明による計量装置において使用されるタイプの計量デバイスの長さ方向の横断面図である。
【図5】中央の長さ方向の軸に沿って約90度回転させた図4cの計量デバイスの拡大した詳細を示す長さ方向の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明による粉体計量装置1が、図1に斜視図で、図2に側面からの図で示される。異なる図面に示される同一の要素は、同じ参照符号を有する。
粉体計量装置1は、計量デバイス4の排出口(図4aの参照符号5または図4bおよび4cの参照符号6)が、検量デバイス8の上に載った受け容器7の上方に配置されるように、計量デバイス4を保持する操作アーム3を備えた操作および位置決めデバイス2を有する。計量デバイス4は、計量デバイス4が数ミリメートル垂直方向に動くことのできる垂直方向の遊びdを有して、操作アーム3の底部ブラケット9と頂部ブラケット10との間に適所に保持される。
【0038】
空圧式または電磁式の衝撃作動装置12および衝撃ラム13を備えた衝撃デバイス11は、衝撃ラム13が計量デバイス4の底部を上向きに叩くように配置される。衝撃ラム13の各ハンマー打撃は、垂直方向の遊びdによって制限される上向きの動きを有する、計量デバイス4の上向きの衝撃加速を引き起こす。次に、計量デバイス4の上向きの加速は、粉体を押して計量デバイスに対して下向きに動かし、排出口を通過させる、下向きの慣性力を計量デバイスの中の粉体に引き起こす。計量デバイス4は、自らの重力のみによるか、または下向きのばね力の助けによるかのどちらかで、底部ブラケット9上のその休止位置に戻る。
【0039】
図3は、図1の装置の側面からの平面図を示し、この衝撃デバイス111の実施形態は、図1および図2の衝撃デバイス11とは異なる。衝撃デバイス111の衝撃ラム113の長さ方向の軸は、垂直方向から45°未満だけ偏向した角度に向けられている。特定の実施形態では、衝撃デバイスは、衝撃ラム113によって計量デバイス4に与えられる角運動量の垂直成分を変更するために、垂直からの前記偏向を変える手段を備える。
【0040】
図4aから4cは、本発明の粉体計量装置1に使用可能である典型的な計量デバイス4a、4b、4cをそれぞれ示す。計量デバイス4a、4b、4cの主な部分は、円筒形の瓶のような形状の貯蔵容器31a、31b、31cと、貯蔵容器のねじ式の瓶キャップとしても働く計量ヘッド32a、32b、32cとである。計量デバイス4a、4b、4cが粉体計量装置1の作動位置にあるとき、(図1および2に関連して上述されたように)排出口の開口部5、6が受け容器7の上方に垂直に配置された状態で、貯蔵容器31a、31b、31cが上に、計量ヘッド32a、32b、32cが下にある。
【0041】
この例ではフィリップスのドライバービットのような形状にされた継手デバイス33が、計量ヘッド32a、32b、32cの粉体流れ制御要素を係合する。図4aの例では、粉体流れ制御要素は、計量ヘッド32aの漏斗形の通路から横方向に離れた排出口5まで粉体を水平方向に動かす、水平方向のフィードスクリュー34である。図4bおよび4cでは、粉体流れ制御要素は、計量ヘッド32b、32cの底部の水平方向の穴に回転可能に着座され、可変サイズの開口通路を形成するように排出口6と協働する、円筒形のシャッター弁要素35、36である。
【0042】
図4cの計量デバイス4cは、たとえば垂直方向のフィードスクリュー38、粉体がフィードスクリューに詰まるのを防ぐ撹拌デバイス39、計量ヘッド32cの内壁から粉体を掻き取る掻き取り要素40、および貯蔵容器31c内の粉体における架橋部および空洞部の形成を防ぐ粉体ばらし要素41といった1つまたは複数の粉体流れ促進要素を備えた回転式の垂直方向のシャフト37を有する。
【0043】
図5に示すように、撹拌デバイス39は、計量デバイスの中央の長さ方向の軸42の周りに回転可能である第1撹拌要素39aおよび第2撹拌要素39bを備える。具体的には、第1撹拌要素39aの動きは、垂直方向のフィードスクリュー38によって排出口6から放出されない粉体が、排出口6から径方向外向きおよび上向きに、垂直方向のフィードスクリュー38に新たに近づくようにこの粉体を戻す循環路R上で、向けられるように、計量ヘッド32c内の粉体に流れのパターンを導入する。第1撹拌要素39aは、長さ方向の軸42に平行に、好ましくは0.5から2mmの間の狭い距離を置いて、本質的に垂直方向のフィードスクリュー38の全長に沿って延在する、細い棒として構成される。第1撹拌要素39aは、中央の長さ方向の軸42の周りのその回転時に、第1撹拌要素39aが、垂直方向のフィードスクリュー38を囲む円筒形の空間をなでるように、中央の長さ方向の軸42の周りに回転する。
【0044】
図2に示すように、本発明による粉体計量装置1は、計量装置の作動要素への信号接続を備えた電子制御器21を含む。図2の例では、検量デバイス8は、連続的にアップデートされた検量信号を電子制御器21に送信する。検量信号に基づいて、制御装置21は、継手デバイス33を経由して粉体流れ制御要素34、35、36(図4aから4cを参照)を駆動する作動装置22を制御する。電子制御器21は、粉体計量デバイス4の底部に対する衝撃ラム13のハンマー打撃の周波数および強度を調整することによって、衝撃デバイス11をさらに制御する。粉体計量デバイス4が、(図4cにあるように)垂直方向のシャフト37に回転式フィーダデバイス、撹拌デバイス、および/または掻き取りデバイスを備える場合、電子制御器はまた、切り離し可能な継手24を介して垂直方向のシャフト37を駆動するモータ23を制御する。
【0045】
衝撃ラム13を備えた衝撃デバイス11の代替として、粉体計量装置1は、計量デバイス4を、固定された機械的停止要素に対して下向きの方向に推進する手段を備えることができる。停止要素との衝突は、計量デバイスの突然の減速を引き起こし、粉体を押して計量デバイスに対して下向きに動かし、排出口を通過させる、下向きの慣性力を粉体に引き起こす。図1および2の粉体計量装置1において、後者の概念は、たとえば以下のやり方で実現可能である。底部ブラケット9上に載せる代わりに、計量デバイス4は、底部ブラケット9と計量デバイス4の底部との間に数ミリメートルの垂直方向の遊びがあるように、頂部ブラケット10に対してばね偏倚される。(そうでなければモータ23を適所に保持する働きをする)リニア作動装置25が、計量デバイス4を下向きに押して底部ブラケット9と衝突させるように使用される。上述のように、衝撃は、計量デバイス内の粉体を計量デバイスに対して下向きに推進させ、排出口(5、6)を通過させる。
【0046】
衝撃周波数が計量装置1の共振周波数に到達したときの共鳴振動を防ぐために、また、最初の衝撃加速がおさまった後で、計量デバイス4を減速し、計量デバイス4のさらなる動きを止めるために、装置1は、たとえば継手24に一体化されたピストンタイプの衝撃吸収器26および/またはブラケット9、10上の軟質ゴム製の衝撃吸収パッド27などの1つまたは複数の現状技術の減衰構成を含むことができる。
【0047】
本発明は特定の実施形態の提示によって説明されてきたが、当業者は、たとえば個々の実施形態の特徴を互いに、もしくは既知の現状技術に属するさらなる特徴と組み合わせる、かつ/または取り替えることによる、変形例および代替実施形態の多くの可能性を認識するであろう。1つの例だけを挙げると、リニア動作作動装置を備えた突き当てデバイスとして示される衝撃要素は、また、旋回動作で計量デバイスに対して揺動するハンマーのようにも構成可能である。したがって、このような変形例および代替実施形態は本発明に含まれるものと考えられ、本発明の範囲は、添付の特許請求項およびその均等物のみによって制限されることが理解されよう。
【符号の説明】
【0048】
1 粉体計量装置
2 操作および位置決めデバイス
3 操作アーム
4、4a、4b、4c 計量デバイス
5、6 排出口
7 受け容器
8 検量デバイス
9 底部ブラケット
10 頂部ブラケット
11 衝撃デバイス
12 衝撃作動装置
13 衝撃ラム
21 電子制御器
22 流れ制御要素の作動装置
23 モータ
24 切り離し可能な継手
25 リニア作動装置
26 衝撃吸収ピストン
27 衝撃吸収パッド
31、31a、31b、31c 貯蔵容器
32、32a、32b、32c 計量ヘッド
33 継手デバイス
34 流れ制御要素、水平方向のフィードスクリュー
35、36 流れ制御要素、円筒形のシャッター弁
37 垂直方向のシャフト
38 垂直方向のフィードスクリュー
39 撹拌デバイス
39a 第1撹拌要素
39b 第2撹拌要素
40 掻き取り要素
41 粉体ばらし要素
42 計量デバイスの中央の長さ方向の軸
d 垂直方向の遊び

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定された用量の粉体を受け容器(7)の中に分配する粉体計量装置(1)であって、計量デバイス(4、4a、4b、4c)を操作するように構成された操作アーム(3)を備えた操作および位置決めデバイス(2)を備え、前記計量デバイスが、計量ヘッド(32、32a、32b、32c)を備えた貯蔵容器(31、31a、31b、31c)を含み、該計量ヘッドが、排出口(5、6)と、粉体が前記排出口(5、6)を出る速度を制御する流れ制御要素(34、35、36)とを含む粉体計量装置(1)において、前記粉体計量装置(1)が、高強度および短い持続期間の上向きの力のパルスを用いて、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に衝撃を与えるように操作可能な衝撃デバイス(11、111)を備えることを特徴とする粉体計量装置(1)。
【請求項2】
前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)が、前記粉体計量装置(1)に底部ブラケット(9)と頂部ブラケット(10)との間に、垂直方向の遊び(d)を有して拘束され、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)が前記垂直方向の遊びの範囲内で線形の垂直方向の動きを行うことができるように案内されることを特徴とする、請求項1に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項3】
前記垂直方向の遊び(d)が、5ミリメートルまでになることを特徴とする、請求項2に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項4】
前記衝撃デバイス(11、111)によって発生されるそれぞれの上向きの力のパルスが、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)の突然の上向きの加速および上向きの動きを生じ、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)内の前記粉体に下向きの慣性力を発生させ、前記粉体を推進して前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に対して下向きに動かし、前記排出口(5、6)を通過させるような高強度のものである、請求項1、2または3に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項5】
前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)の下向きの動きを突然に停止することによって衝突力の形の上向きの力のパルスを発生させ、それによって前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)内の前記粉体に突然の減速および下向きの慣性力を引き起こし、前記粉体を推進して前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に対して下向きに動かし、前記排出口(5、6)を通過させる停止手段を、前記衝撃デバイス(11)が備える、請求項1、2または3に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項6】
前記衝撃デバイス(11、111)が、制御された強度の衝撃および5mm程度の動きの振幅を用いて、実質的に毎秒1サイクルから20サイクルにわたる速度で前記上向きの力のパルスを連続的に発生させるように構成される、請求項4または5に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項7】
前記衝撃デバイス(11、111)が、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)の底部を叩く、棒または円柱の形の衝撃ラム(13、113)を備えた機械的なハンマーデバイスであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項8】
衝撃が一点に集中されるように、前記衝撃ラム(13、113)の突き当て端部が丸みをつけられていることを特徴とする、請求項7に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項9】
前記衝撃ラム(13、113)が、前記衝撃ラム(13、113)の長さ方向の軸の方向に往復動式の線形の動きを行う、空圧式または電磁式の衝撃作動装置(12)によって駆動されることを特徴とする、請求項7に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項10】
前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)の底部が、衝撃点において実質的に水平であり、前記衝撃ラム(13)の長さ方向の軸が、実質的に垂直方向に向けられることを特徴とする、請求項7、8または9に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項11】
前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)の底部が、衝撃点において実質的に水平であり、前記衝撃ラム(113)の長さ方向の軸が、垂直方向から45°未満だけ偏向することを特徴とする、請求項7、8または9に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項12】
前記粉体計量装置(1)が、前記衝撃ラム(113)によって前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に与えられる角運動量の垂直成分を変更するために、垂直線からの前記偏向を変える手段を備えることを特徴とする、請求項11に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項13】
前記衝撃デバイスが、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)を前記底部ブラケット(9)から持ち上げ、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)を推進して前記底部ブラケット(9)に対して衝突させ、それによって、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)内の前記粉体に突然の減速および下向きの慣性力を引き起こし、前記粉体を推進して前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に対して下向きに動かし、前記排出口を通過させる手段を備えることを特徴とする、請求項1、2、3または5のいずれか一項に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項14】
前記衝撃デバイス(11)の動作によって変位された後、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)をその休止位置に押し戻すばね要素をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項15】
共鳴振動を防ぐために、および、最初の衝撃加速がおさまった後で、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)を減速し、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)のさらなる動きを止めるために、少なくとも1つの振動減衰および/または吸収要素(26、27)をさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項16】
受け容器内の粉体の上昇する充填量について、検出装置からの連続信号を受信する電子制御器(21)をさらに備える粉体計量装置において、前記電子制御器(21)が、前記検出装置からの信号に基づいて、かつ前記粉体の流れ特性ならびに粉体放出の所望の量および精度に基づいて、前記衝撃デバイス(11)の力のパルスの周波数および強度を調整することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項17】
前記検出装置が、前記受け容器(7)内の前記粉体の重量を監視する検量デバイスである、請求項16に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項18】
前記検出装置が、前記受け容器(7)内の粉体の充填高さを監視する光学センサである、請求項16に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項19】
計量ヘッド(32c)をさらに備えた粉体計量装置において、中央の長さ方向の軸(42)の周りに回転し、それによって、垂直方向のフィードスクリュー(38)によって前記排出口(6)から放出されない粉体が、前記排出口(6)から径方向外向きおよび上向きに、前記垂直方向のフィードスクリュー(38)に新たに近づくように該粉体を戻す循環路(R)上で、向けられるように、前記計量ヘッド(32c)内の粉体に流れのパターン(R)を導入する撹拌デバイス(39)を、前記粉体計量デバイス(4c)の前記計量ヘッド(32c)が備えることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項20】
前記撹拌デバイス(39)が、前記長さ方向の軸(42)に平行に、狭い距離を置いて、本質的に前記垂直方向のフィードスクリュー(38)の全長に沿って延在する細い棒として構成される少なくとも1つの第1撹拌要素(39a)を備え、前記第1撹拌要素(39a)は、前記中央の長さ方向の軸(42)の周りのその回転時に、前記第1撹拌要素(39a)が、前記垂直方向のフィードスクリュー(38)を囲む円筒形の空間をなでるように、前記中央の長さ方向の軸(42)の周りに回転可能であることを特徴とする、請求項19に記載の粉体計量装置(1)。
【請求項21】
計量デバイス(4、4a、4b、4c)から受け容器(7)の中へ、測定された用量の粉体を分配する方法であって、前記計量デバイスが、計量ヘッド(32、32a、32b、32c)を備えた貯蔵容器(31、31a、31b、31c)を含み、該計量ヘッドが、排出口(5、6)と、粉体が前記排出口(5、6)を出る速度を制御する流れ制御要素(34、35、36)とを有する、方法において、高強度および短い持続期間の上向きの力のパルスを発生する衝撃デバイス(11、111)を用いて前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に衝撃を与えるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)が休止しているときに、前記衝撃デバイス(11、111)が、上向きの力のパルスを発生し、それぞれの力のパルスが、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)の突然の上向きの加速および上向きの動きを生じ、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)内の粉体に下向きの慣性力を発生させ、前記粉体を推進して前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に対して下向きに動かし、前記排出口(5、6)を通過させる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記衝撃デバイス(11、111)が、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)の下向きの動きを突然に停止することによって衝突力の形の上向きの力のパルスを発生させ、それによって、前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)内の粉体に突然の減速および下向きの慣性力を起こし、前記粉体を推進して前記計量デバイス(4、4a、4b、4c)に対して下向きに動かし、前記排出口(5、6)を通過させる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記衝撃デバイス(11、111)が、制御された強度の衝撃および5mm程度の動きの振幅を用いて、実質的に毎秒1サイクルから20サイクルにわたる速度の前記上向きの力のパルスを連続的に発生させる、請求項22または23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−518365(P2010−518365A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547608(P2009−547608)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000807
【国際公開番号】WO2008/092698
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】