説明

衣料用シート

【課題】 大量のマイナスイオンを簡易に発生させることができ、しかも、衣料の各所に容易に装着可能な衣料用シートを提供する。
【解決手段】 衣料用シートは、吸水性が低い織布やウレタンフォーム板等の衣料用シートであって、この衣料用シート素材の表面には、マイナスイオンセラミックパウダーを厚膜印刷用のシリコンインクに混入されたマイナスイオン発生膜2を表面から0.1mmから0.3mmの膜厚で隆起するように固着させている。マイナスイオン発生膜2からは、2000個/cc以上のマイナスイオンを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイナスイオン発生膜を有する衣料用シートに関し、肌着等に装着することにより、身体に向けて2000個/cc以上のマイナスイオンを放射する衣料用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
健康維持に対する関心が高まるにつれてマイナスイオンによる効果が注目され、衣料品、ヘアドライヤー、或いはエアコン等の各方面でマイナスイオンを発生させ、個々に実績を出している。
【0003】
このような背景の中で、本出願人は特開2006−265784号公報(特許文献1)により、マイナスイオンを発生させると共に遠赤外線を発生させる肌着を提案し、実用に供されている。
【0004】
上記特許文献1に示された肌着は、繊維からなる肌着の所定個所には、多数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成した遠赤外線発生膜と、マイナスイオンを発生する主成分がシリコンからなるマイナスイオン発生体を複数個配列したマイナスイオン発生群を肌着の内面に設けている。遠赤外線発生膜からは遠赤外線と同時にマイナスイオンが放射され、身体を適度に暖めることにより保温性を高め、身体の皮膚から放出した汗は、遠赤外線発生膜を構成する小片膜の間から放出される。また、マイナスイオン発生群は、突起部によって人体のつぼを刺激すると共につぼに対してマイナスイオンを発生させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−265784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に示されたマイナスイオン発生素材は、主成分がシリコンから50個/cc程度のマイナスイオンを発生させている。この程度の発生量であっても、人体に有益であるとされる森林浴に匹敵する量であり、多少なりとも体内の主として血液のイオンに作用して血液等をマイナスイオン化させて活性化する等の効果があるとされている。しかしながら、その後の追跡研究の結果、身体の不調個所を改善する効果を高めるためには不十分であることがわかってきた。また、マイナスイオンの発生量が少ないために、マイナスイオン発生体を身体の肌に接触させていることから、使用者の一部の人は、ムレによって痒みが生じることがあり、さらに場合によってはかぶれの症状が現れることがあった。
本発明が解決しようとする課題は、大量のマイナスイオンを簡易に発生させることができ、しかも、衣料の各所に容易に装着可能な衣料用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の請求項1に関わる衣料用シートは、吸水性が低い織布やウレタンフォーム板等の衣料用シートであって、この衣料用シート素材の表面には、マイナスイオンセラミックパウダーを厚膜印刷用のシリコンインクに混入されたマイナスイオン発生膜を表面から0.1mmから0.3mmの膜厚で隆起するように固着させている。
【0008】
また、請求項2に関わる衣料用シートは、請求項1において、マイナスイオン発生膜を複数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成している。
【0009】
また、本発明の請求項3に関わる衣料用シートは、請求項1および2において、衣料用シートは、肌着等の身体の肌に面して形成されたポケットに内装され、マイナスイオン発生膜と上記身体の肌との間に肌着等の布地を介在させている。
【0010】
さらにまた、本発明の請求項4に関わる衣料用シートは、請求項1および2において、マイナスイオン発生膜は、2000個/cc以上のマイナスイオンを発生するようにしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吸水性が低い衣料用シート素材を用い、その表面にマイナスイオン発生膜を表面から0.1mmから0.3mmの膜厚で隆起するように固着させることによって、マイナスイオン発生膜の体積を大きくすることができることから、マイナスイオンセラミックパウダーから発生するマイナスイオン発生量を大幅に増加させることが可能となる。さらに、マイナスイオン発生膜を衣料用シート素材の表面から隆起させているので、マイナスイオン発生膜の側面からもマイナスイオンを放出させることができ、マイナスイオン発生量を一層増加させることができる。
【0012】
また、マイナスイオン発生膜を複数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列することにより、小片膜の間からは、皮膚から放出される水蒸気を通過させることができ、ムレが抑制されるため、痒みの発生やかぶれの発生を予防することが可能となる。さらに、小片膜の面積や隣接する小片膜の間隔を適宜の大きさに設定して配列することにより、マイナスイオン発生量を任意に調整することが可能となる。
【0013】
さらに、衣料用シートは、肌着等の身体の肌に面して形成されたポケットに内装して、マイナスイオン発生膜と身体の肌との間に肌着等の布地を介在させることにより、マイナスイオン発生膜が直接肌に接触しないので、痒みの発生やかぶれの発生、或いは、摺れることによる肌等の損傷を未然に防止することが可能となる。
【0014】
さらにまた、衣料用シートに、0.1mmから0.3mmの膜厚のマイナスイオン発生膜を隆起させて固着形成することにより、2000個/cc以上のマイナスイオンを発生することができる。因みに、マイナスイオンを受けることによりリラクゼーション効果を導き、種々の治癒効果があるとされる森林浴の場合、約200個/ccと公表されているが、本発明によるマイナスイオン発生膜からは、約10倍に相当するマイナスイオンが発生し、人体にマイナス電位効果を与えるので、身体の不調個所の改善に対して効果を発揮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
衣料用シートは、吸水性が低い織布やウレタンフォーム板等の素材が使用される。この衣料用シート素材の表面には、マイナスイオンセラミックパウダーを厚膜印刷用のシリコンインクに混入されたマイナスイオン発生膜を表面から0.1mmから0.3mmの膜厚で隆起するように固着させている。そして、マイナスイオン発生膜は、複数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列するように構成することが望ましい。また、衣料用シートは、マイナスイオン発生膜が衣料用シート素材の表面から隆起していることから、身体の肌との摩擦を防止するためにも、肌着等の身体の肌に面して形成されたポケットに内装し、マイナスイオン発生膜と肌との間に肌着等の布地を介在させることが望ましい。さらに、衣料用シートのマイナスイオン発生膜の膜厚を0.1mmから0.3mmに形成することにより2000個/cc以上のマイナスイオンを発生させることが可能となる。
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。図1及び図2は、本発明に関わる衣料用シートの第1の実施例として、図5に示すブラジャーの内側に装着するパット1に適用した例を示している。衣料用シートとしてのパット1は、吸水性が低い織布やウレタンフォーム板等の素材が使用される。ボリューム感と弾力感を出すためには、ウレタンフォーム板が望ましい。なお、ウレタンフォーム板を肌触りが良い布で包囲しても良い。なお、パット1の形状は、周知のパットと同様に、半球状のカップ、または、変形した楕円形の布団のような形状に形成されている。
【0017】
このようなパット1の一方側のほぼ全表面には、マイナスイオン発生膜2が形成されている。なお、カップ形状のパットの場合は、凹面となった内面がほぼ全表面となる。マイナスイオン発生膜2は、マイナスイオンセラミックパウダーが厚膜印刷用のシリコンインクに混入されていて、図3に示すように、パット1の表面から0.1mmから0.3mmの膜厚tで隆起するように固着させている。ここで、吸水性が低い素材とは、上記マイナスイオン発生膜2が素材の一方表面付近に浸漬する程度であり、内方に深く浸漬しない素材をいう。
【0018】
マイナスイオン発生膜2は、多数個の六角形状に形成した小片膜2aを互いに離間した状態で所定の範囲に配列することにより構成されている。これらの小片膜2aの寸法は、対向する辺の長さを約3mm乃至15mmに設定している。また、小片膜2aを離間させる寸法は、約0.5mm乃至10mmに設定している。小片膜2aの寸法が3mm以下のときは、マイナスイオンの放射量が小さくなり、所定の効果が得られず、15mm以上のときは、放射量が大きくなるものの小片膜2aによって表面が覆われるために肌触りが悪化すると共に、小片膜2aに汗が付着して放出されなくなる恐れがある。一方、小片膜2aの離間寸法が0.5mm以下のときは、汗を放出する面積が小さくなり放出効率が悪化し、10mm以上のときは、この部分に小片膜2aが存在しないことから、身体に対するマイナスイオンの放射量が小さくなる。
【0019】
次に、マイナスイオン発生膜2の形成方法について説明する。まず、厚膜印刷用のシリコンインク(タナカケミカル株式会社製)にマイナスイオンセラミックパウダー(エコホリラック社製)を均一に分散するように混入して撹拌し、ゲル状のスクリーン印刷用インク3を作成する。厚膜印刷用のシリコンインクとマイナスイオンセラミックパウダーの比率は、各々約50%が望ましい。なお、スクリーン印刷用インク3内には、必要に応じて着色顔料を混入しても良く、また、その他不可避的な素材が混入される。そして、スクリーン印刷用インク3は、図4に示すように、スクリーン印刷法によってパット1の一方側に対して印刷塗布される。すなわち、スクリーン4には、多数配列された上記小片膜2aと同じ形状の開口部4aと、これらの開口部4aに隣接させたマスク部4bが形成されている。また、スクリーン4の板厚は、マイナスイオン発生膜2とほぼ同じ0.1mmから0.3mmに設定されている。なお、固化した後の収縮を考慮する場合は、スクリーン4の板厚は、マイナスイオン発生膜2よりやや大きくすることが望ましい。
【0020】
そして、パット1の表面にスクリーン4を載せた後に、スキージ5を移動することによってスクリーン印刷用インク3が開口部4aを通してパット1に移行して塗布される。この結果、スクリーン印刷用インク3は、図3に示すように、パット1の表面に小片膜2aが形成される。このとき、パット1の素材の吸水性が低いことから、小片膜2aは、表面に付着することにより接着される。その後、スクリーン印刷用インク3を約摂氏80度の環境にて固化させることによって0.1mmから0.3mmのマイナスイオン発生膜2が形成される。
【0021】
このように形成されたマイナスイオン発生膜2からは、マイナスイオンが放射される。このマイナスイオンの量は、温度が摂氏20度、湿度30%乃至50%の環境において測定したところ、少なくとも2000NS/cc以上が発生している。実測したところ、5061NS/ccに達したものもあった。このように、マイナスイオンが2000NS/cc以上発生する理由としては、マイナスイオンセラミックパウダー自体がマイナスイオンを発生する他、スクリーン印刷用インク3に使用した厚膜印刷用のシリコンインクからもマイナスイオンするためであり、さらに、マイナスイオン発生膜2の膜厚を0.1mmから0.3mmに設定したことにより、マイナスイオン発生膜2の体積が大きくなり、しかも、パット1の表面から隆起させたことによりマイナスイオン発生膜2から直接放射されることが考えられる。マイナスイオン発生量の測定機器は、エコホリラック社製のION TESTERを使用した。
【0022】
図5は、上述したパット1を肌着としてのブラジャー6に装着した例を示している。このブラジャー6の構成は周知であり、本発明に関係する構成のみを説明し、その他の構成については省略する。図5に示すブラジャー6において、土台部6aに設けられた一対のカップ部6bの内面側には、パッド収納用のポケット6cが設けられている。ポケット6cは、伸縮自在なメリヤス生地や経編生地等の伸縮性生地で構成されている。また、ポケット6cの上方には、開口部6dが形成されている。
【0023】
そして、上述したパット1をブラジャー6のポケット6cに装着する。このとき、パット1に形成したマイナスイオン発生膜2は、図6に示すように、ポケット6cの生地側に面している。従って、マイナスイオン発生膜2は人体の肌に対向している。このとき、パット1から隆起したマイナスイオン発生膜2は、ポケット6cの生地によって覆われるので、マイナスイオン発生膜2が肌に直接接触することがない。このように、マイナスイオン発生膜2の表面にポケット6cの生地が介在しても、ポケット6cの生地の外面側に放射されるマイナスイオン発生量は少なくとも2000NS/cc以上となっている。
【0024】
図7は、本発明の他の実施例を示し、衣料用シートとして、Tシャツ等の肌着7の内面にマイナスイオン発生膜を直接形成したものである。この例においては、肌着7の胸部に対応する個所と腹部に対応する個所の2個所にマイナスイオン発生膜を形成している。まず、肌着7の胸部に対応する左右に形成したマイナスイオン発生膜21は、三重円に形成している。また、腹部の形成したマイナスイオン発生膜22は、上述したパット1と同様に、多数個の六角形状に形成した小片膜22aを互いに離間した状態で所定の範囲に配列することにより構成されている。いずれのマイナスイオン発生膜21、22も、前述したパット1に形成したマイナスイオン発生膜2と同様に、スクリーン印刷用インク3をスクリーン印刷法によって印刷した後、約摂氏80度の環境にて固化させることによって0.1mmから0.3mmの膜厚のマイナスイオン発生膜を形成している。この実施例の場合も、マイナスイオン発生量は少なくとも2000NS/cc以上となっている。
【0025】
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。前述した実施例においては、肌着としてブラジャーおよびTシャツを例示して説明したが、これらの形状や構成は適宜に変更可能である。また、マイナスイオン発生膜を設ける位置や大きさについても適宜に変更可能である。さらに、肌着としては、その他、ズボン下、靴下、ショーツ、等々に適用可能であり、この場合、マイナスイオン発生膜は適宜の位置や大きさに設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ブラジャーやTシャツ或いはパンツ等の肌着に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に関わる実施例として衣料用シートとしてのパットに適用した例を示す平面図である。
【図2】図1に示したパットの断面図である。
【図3】図1に示したパットの拡大断面図である。
【図4】衣料用シートの表面にマイナスイオン発生膜をスクリーン印刷法によって印刷する状態を示す説明図である。
【図5】図1に示したパットをブラジャーに装着した状態を示す正面図である。
【図6】図5に示すブラジャーにパットを装着した状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明に関わる他の実施例として衣料用シートとしてのTシャツにマイナスイオン発生膜を形成した例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 パット(衣料用シート)
2 マイナスイオン発生膜
2a 小片膜
6 ブラジャー
7 肌着

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性が低い織布やウレタンフォーム板等の衣料用シートであって、この衣料用シート素材の表面には、マイナスイオンセラミックパウダーを厚膜印刷用のシリコンインクに混入されたマイナスイオン発生膜を0.1mmから0.3mmの膜厚で隆起するように固着させたことを特徴とする衣料用シート。
【請求項2】
マイナスイオン発生膜は、複数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成した請求項1に記載の衣料用シート。
【請求項3】
衣料用シートは、肌着等の身体の肌に面して形成されたポケットに内装され、マイナスイオン発生膜と上記身体の肌との間に肌着等の布地を介在させた請求項1および2のいずれかに記載の衣料用シート。
【請求項4】
マイナスイオン発生膜は、2000個/cc以上のマイナスイオンを発生する請求項1および2のいずれかに記載の衣料用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−43388(P2010−43388A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209389(P2008−209389)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【出願人】(396013525)
【Fターム(参考)】