説明

衣料用液体洗剤組成物

【課題】デリケート繊維に対する浸透力、風合い感に優れる液体洗浄剤組成物を提供。
【解決手段】式(1)で表される非イオン界面活性剤A、及び、アルキル鎖長の異なる二種のアミドアミンB、Cを含有し(Bのアルキル鎖長7〜21、Cのアルキル鎖長15〜17)、C/Aの質量比が0.01〜0.20であり、C/Bの質量比が0.7〜5.0である衣料用液体洗剤組成物。


(Rは炭素数7〜21の炭化水素基であり、Rは−X−が−O−の場合は水素であり、−X−が−COO−の場合は炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウール、絹及びアクリル等のデリケート繊維に対する浸透力及び洗浄力に優れ、しかも被洗物の乾燥後の風合い感にも優れる液体洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デリケート繊維を含む衣料を家庭用洗濯機で洗浄する際はソフト水流などの設定が推奨される。被洗物に与えるダメージを少なくするためであるが、洗浄力が不十分という課題があった。近年、ウール、絹及びアクリル等のデリケート繊維の普及に伴い、該繊維を家庭用洗濯機で洗浄でき、風合い感を損ねることなく十分な洗浄力を有する洗剤が強く望まれている。
【0003】
特許文献1には、非イオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤/カチオン性界面活性剤等の配合比率を特定した洗浄剤組成物が開示されている。また、特許文献2、3では、ウールなどの素材への浸透力確保のために、特定の構造を持つ非イオン性界面活性剤の2種類併用や、非イオン性界面活性剤中のアルキル鎖長の分岐と直鎖の比率を限定した提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−88187号公報
【特許文献2】特開2008−291111号公報
【特許文献3】特開2008−255257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、デリケート繊維に対する浸透性に優れ、低い機械力下でも十分な洗浄力を有し、且つ、被洗物の乾燥後の風合い感にも優れる洗浄剤組成物を提供することにある。また、別の観点からは、界面活性剤の原料が石油原料から天然油脂原料へのシフトが進んでいるという近年の背景を踏まえて、天然油脂原料を出発物質として製造される界面活性剤を用いての前記洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の非イオン性界面活性剤と、2種類の特定のアミン化合物を含有し、且つ、それぞれの成分の比率範囲を特定することで、前記課題を達成できる衣料用液体洗浄剤組成物を見出し、本発明に至った。
【0007】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、下記構成からなる衣料用液体洗浄剤組成物を提供する。
【0008】
即ち、
(A)下記一般式(1)で表される非イオン界面活性剤 10〜50質量%、
(B)下記一般式(2)で表されるアミドアミン 0.1〜10質量%、
(C)下記一般式(3)で表されるアミドアミン 0.1〜10質量%
3成分を含有し、且つ(C)/(A)の質量比が0.01〜0.20の範囲であり、(C)/(B)の質量比が0.7〜5.0であることを特徴とする衣料用液体洗剤組成物。


【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Rは炭素数7〜21の直鎖炭化水素基であり、−X−は、−O−又は−COO−である。EOはエチレンオキサイドを表し、nは平均付加モル数を表し、nは3〜20の数である。RはXが−O−の場合は水素原子であり、Xが−COO−の場合は炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基である。)

【0011】
【化2】

【0012】
(式中、Rは炭素数15〜17の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R、Rは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。mは2〜4の整数を示す。)

【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Rは炭素数11〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R、Rは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。lは2〜4の整数を示す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、デリケート繊維の洗浄において、マイルドな機械力(例えばソフト水流)で、優れた浸透力及び洗浄力、洗い上がりの繊維の感触が良好な衣料用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】

以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、必須の成分として(A)下記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤を含む。
【0017】
【化1】

【0018】
(式中、Rは炭素数7〜21の直鎖炭化水素基であり、−X−は、−O−又は−COO−である。EOはエチレンオキサイドを表し、nは平均付加モル数を表し、nは3〜20の数である。Rは−X−が−O−の場合は水素原子であり、−X−が−COO−の場合は炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基である。)
式(1)中、Rは、洗浄力の点から、炭素数7〜21、好ましくは9〜19、さらに好ましくは9〜15の直鎖炭化水素基である。炭化水素基としては天然原料由来の直鎖アルキル基が好ましいが、不飽和結合を含んでいても構わない。炭化水素基の原料としては、例えば、一級の高級アルコール、高級脂肪酸又はその誘導体、あるいは高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
は−X−が−O−の場合は水素原子であり、−X−が−COO−の場合は炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基である。
【0019】
nはエチレンオキサイド平均付加モル数3〜20であり、好ましくは5〜18、さらに好ましくは5〜15である。エチレンオキサイドの付加モル数分布は(A)成分の非イオン性界面活性剤を製造する際の反応方法により異なるが、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いてエチレンオキサイドを疎水基原料に付加させて得られる分布の比較的広いものでもよいし、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いてエチレンオキサイドを付加させて得られる分布の狭いものでもよい。nが20を超えると衣類への浸透性が劣り、nが3未満では組成物の経時安定性が劣る。
一般式(1)において、−X−が−O−の場合における具体例としては天然アルコールに12モル相当のエチレンオキサイドを付加したものが挙げられる。
【0020】
また−X−が−COO−の場合、ラウリン酸メチルやミリスチン酸メチルに15モル相当のエチレンオキサイドを付加したものなどが挙げられる。
尚、(A)成分は1種または2種以上を組合せて用いることができる。
【0021】
本発明における(B)成分は、下記一般式(2)で表される化合物の1種又は2種以上である。
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、Rは炭素数15〜17の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R、Rは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。mは2〜4の整数を示す。)
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジエタノールアミン、ステアリン酸アミドプロピルジエタノールアミン、パルミチン酸アミドエチルジメチルアミン、ステアリン酸アミドエチルジメチルアミン等が挙げられ、これらの中でもパルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンが好ましい。
【0024】
これらアミドアミンは、例えば脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体とジアルキルアミノアルキルアミンとを縮合反応させ、その後、未反応のジアルキルアミノアルキルアミンを、減圧又は窒素ブローにて留去することにより得られる。
脂肪酸誘導体としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等の炭素数16〜18を多く含む植物油又は動物油脂肪酸、又はこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライドや、これらの混合物を適宜用いることができるが、これらの中でもパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチルが好適に用いられる。
ジアルキルアミノアルキルアミンとしては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジエタノールアミノプロピルアミンが挙げられ、これらは、各単独(1種)で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、原料入手のし易さの点から、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミンが好ましい。
【0025】
ジアルキルアミノアルキルアミンの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対し、0.9〜2.0倍モルが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5倍モルである。反応温度は、通常、100〜220℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。100℃未満では反応が遅くなる場合があり、220℃を超えると着色が激しくなる場合がある。反応時の圧力は常圧でも減圧でもよく、反応時に窒素等の不活性ガスを吹き込んでもよい。また、脂肪酸を使用する場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒、脂肪酸誘導体を使用する場合は、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒を用いることで、低い反応温度で、より効率的に反応させることができる。長鎖長の化合物の場合、融点が高く、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状又はペレット状に成形してもよく、さらにエタノール等の有機溶媒に希釈した液状にしてもよい。
本発明における(C)成分は、下記一般式(3)で表される化合物の1種又は2種以上である。
【0026】
【化3】

【0027】
(式中、Rは炭素数11〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R、Rは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。lは2〜4の整数を示す。)
上記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ラウリン酸アミドプロピルジエチルアミン、ミリスチン酸アミドプロピルジエチルアミン、ラウリン酸アミドプロピルジエタノールアミン、ミリスチン酸アミドプロピルジエタノールアミン等の脂肪族アミドアルキル三級アミン等が挙げられ、これらの中でもラウリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンが原料供給性からも好ましい。
脂肪酸誘導体としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の炭素数12〜14を多く含む植物油又は動物油脂肪酸、又はこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライドや、これらの混合物を適宜用いることができるが、これらの中でもラウリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチルが好適に用いられる。
ジアルキルアミノアルキルアミンとしては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジエタノールアミノプロピルアミンが挙げられ、これらは、各単独(1種)で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、原料入手のし易さの点から、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミンが好ましい。
【0028】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、必須成分として前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するものであるが、組成物中の(A)成分の含有量は、洗浄力の観点から、洗浄剤組成物全体中10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜45質量%である。この配合量の範囲で充分な洗浄力を確保することが可能となる。
【0029】
また、(B)成分の含有量は、本発明の洗浄剤組成物全体中0.1から10質量%が好ましく、0.5から5質量%がより好ましい。0.1質量%未満では実質的に衣類への柔軟性等の風合い感向上効果が得られず、また10質量%を超えても効果が変わらないため経済的でない。
【0030】
また、(C)成分の含有量は、安定性、洗浄性能、ウールへの浸透性の観点より、本発明の洗浄剤組成物全体中0.1から10質量%が好ましく、0.5から6質量%がより好ましい。0.1質量%未満では実質的に浸透力向上効果が得られず、また10質量%を超えても効果が変わらないため経済的でない。(C)成分を含むことにより、被洗物への浸透性を向上させることが可能となる。
【0031】
更に、洗浄剤組成物中の(A)成分(B)成分(C)成分の質量比率は、浸透性、洗浄力と衣類の風合い感保持のバランスから(C)/(A)=0.01〜0.2、かつ(C)/(B)=0.7〜5.0が好ましく、(C)/(A)=0.03〜0.18、かつ(C)/(B)=0.8〜4.0がより好ましい。
この比率範囲外では、浸透性、洗浄力と衣類の風合い感のバランスが保てなくなる。
【0032】
本発明の液体洗浄剤組成物には、上記(A)〜(C)成分の他に、必要に応じて以下のような成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば、炭化水素部が分岐構造からなる合成アルコールに、エチレンオキサイドを付加した非イオン界面活性剤などが挙げられ、具体的には、ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコールに7モル相当のエチレンオキサイドを付加したもの(BASF社製:商品名LutensolXL70)、炭素数12〜14の第2級アルコールに15モル相当のエチレンオキサイドを付加したもの(日本触媒(株)製、ソフタノール150)等が挙げられる。
【0033】
(B)成分、(C)成分を酸で中和した塩を配合することもできる。中和する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、高分子アクリル酸等が挙げられる。またこれらの酸は1種単独で又は2種以上併用してもよい。
【0034】
また、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリグリコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのアルキルエーテル類等の水混和性有機溶剤を例えば、0.1〜15質量%含むことができる。
【0035】
東レ・ダウコーニング(株)製のCF1188HV、SH3748、SH3749、SH3772M、SH3775M、SF8410、SH8700、BY22−008、BY22−012、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−22−22、信越化学工業(株)製のX−20−8010B、KF352A、KF6008、KF615A、KF6012、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452、TSF4445(以上、商品名)等のポリエーテル変性シリコーンを、例えば0.1〜3質量%含むことができる。
【0036】
パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)、並びに尿素等の減粘剤及び可溶化剤を、例えば0.01〜30質量%含むことができる。
【0037】
マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等の金属イオン疎捕捉剤を、例えば0.1〜20質量%含むことができる。
【0038】
ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を、例えば0.01〜2質量%含むことができる。
【0039】
ローム・アンド・ハウス社製ケーソンCG(商品名)等の防腐剤を、例えば0.001〜1質量%含むことができる。
さらに、洗浄性能向上や安定性向上等を目的として、酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤等を含むことができる。
その他、商品の付加価値向上等を目的として、着色剤や着香剤、乳濁化剤等を含むこともできる。着色剤としては、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料を、例えば0.00005〜0.005質量%程度含むことができる。着香剤は代表的な例として、特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A、B、C、Dを、0.1〜1質量%含むことができる。乳濁剤は、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(サイデン化学社製(商品名)サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%)等を、0.01〜0.5質量%含むことができる。
本発明の組成物では、組成物を長期保存した際における良好な安定性を保つ点から、pH4〜9とするのが好ましく、pH4〜8がより好ましい。pHを9以下に調整するには、pH調整剤を適宜配合すれば良い。pH調整剤としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて随意であるが、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が安定性の面から好ましい。
本発明の組成物は、その調製方法が特に制限されるものではなく、例えば通常の液体洗浄剤組成物の常法に準じて上記必須成分及び必要に応じて上記任意成分、さらに、適宜水を配合、混合することによって調製することができる。
【0040】
本発明の液体洗浄剤組成物の使用方法としては特に限定されず、手洗いでも洗濯機を用いてもよいが、デリケート繊維からなる衣料を洗浄する際に特に好適に用いることができる。本発明においてデリケート繊維とは、綿、ウール、シルク、レーヨン、キュプラ、アセテート、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、及びこれらの混紡を意味する。なかでも、とりわけウールに対する浸透力に優れるため、洗濯機を用いて繊維を洗濯するという消費者の要望に十分に応えられる組成物である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。また、文中でC10と表現する場合には10個の炭素原子を意味し、EO6モル付加物と記載する場合にはエチレンオキサイドの平均6モル付加数を意味するものとする。
以下の成分を使用して、実施例及び比較例の液体洗浄剤組成物を調製した。
(A)成分の調製
A−1:P&G社製の天然アルコール、商品名CO−1214に対して12モル相当のエチレンオキサイドを付加したもの
A−2:P&G社製の天然アルコール、商品名CO−1214に対して15モル相当のエチレンオキサイドを付加したもの
A−3:ラウリン酸メチル/ミリスチン酸メチル=8/2に15モル相当のエチレンオキサイドを付加したもの
(合成品)
(A−3の合成方法)
再表2007/113985号公報に記載の実施例における実施例1に準じて合成した。
すなわち、2.5MgO・Al・mHOなる化学組成の水酸化アルミニウム・マグネシウム(協和化学工業社(株)製、キョーワード300)を800℃で3時間焼成して、マグネシウム−アルミニウム複合金属酸化物触媒粉末を得た。この時点での(反応前の)触媒粒子の平均粒子径は75μmであった。また、比表面積は270m/gであった。
次に、4L容オートクレーブ中にラウリン酸メチル(ライオン(株)製 パステルM−12)を362g(1.69モル)、ミリスチン酸メチル(ライオン(株)製 パステルM−14)を90g(0.37モル)、40質量%水酸化カリウム水溶液(関東化学(株)製をイオン交換水にて調整)を0.23g(KOH純分1.6ミリモル)、前記複合金属酸化物触媒を1.8g、多価アルコールとしてグリセリン(関東化学(株)製)2.25gを仕込み、攪拌混合しながらオートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温して100℃にて、減圧下(1.33kPa以下)で30分間、脱水を行った。次いで、180℃にて、反応圧力上限値を0.3MPaとし、エチレンオキサイド(三菱化学(株)製)1,361g(30.9モル)を330分間かけて導入した。更に熟成反応を行った後、冷却して抜き出し、A−3を得た。
A−4(比較品):アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 ライオン(株)社製 ライポンLS250
(B)成分の調製
B−1:C1735CONH(CHN(CH、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン(合成品)
(合成方法)
還流冷却器を備えた1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸(分子量284)360g仕込み、80℃に加熱してステアリン酸を融解した。窒素置換を2回行った後、150℃に昇温し、ジメチルアミノプロピルアミン(分子量102)123g(ステアリン酸に対するモル比:0.95)を1時間かけて滴下した。
次に、150〜160℃で1時間保持した後、1時間かけて185℃に昇温し、さらにジメチルアミノプロピルアミン45gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、185〜190℃に保持し、7時間熟成して副生の水を系外に留去した。さらに、170〜190℃に保持したまま減圧(4.0kPa)し、1時間放置することにより未反応のジメチルアミノプロピルアミンを留去した。
B−2:C1531CONH(CHN(CH、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン(合成品)
(合成方法)
原料としてステアリン酸の代わりにパルミチン酸を用いる以外はB−1と同様に合成した。
B−3:C16/C18(3/7)アミドアミン 東邦化学工業(株)製 カチナールMPAS
B−4:C16/C18(2/8)アミドアミン(合成品)
(合成方法)
原料としてP&Gケミカル製 HEAVY CUT ESTER CE1875Aを用いる以外はB−1と同様に合成した。
(C)成分の調製
C−1:C1125CONH(CHN(CH、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミン(合成品)
(合成方法)
還流冷却器を備えた1リットル四ツ口フラスコに、ラウリン酸メチル250g(ライオンケミカル社(株)製、パステルM−12、分子量214)を仕込み、50℃にて窒素置換を2回行った後、190℃に昇温し、ジメチルアミノプロピルアミン(分子量102)131g(混合脂肪酸に対するモル比:1.10)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、190〜200℃に保持し、4時間熟成した。
C−2:C1327CONH(CHN(CH、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミン(合成品)
(合成方法)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた1リットル四ツ口フラスコに、ミリスチン酸280g(関東化学(株)製、分子量228、1.23モル)、50℃に加熱しミリスチン酸を融解した。
その後、窒素置換(減圧6.7kPa→常圧・窒素戻し)を2回行った後、185℃に昇温し、ジメチルアミノプロピルアミン157g(東京化成工業(株)製、分子量102、1.54モル)を4時間かけて滴下した。滴下中は、190〜200℃に保持し、その後5時間熟成して副生の水を系外に留去した。さらに、180〜190℃で2.0kPaに減圧し、1時間トッピングを行い、未反応のジメチルアミノプロピルアミンを留去した。
C−3:ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン:アクゾノーベル社製 アーミンAPA C−1
C−4(比較品):C14アミドアミン四級塩(合成品)
(合成方法)
C−2で合成したアミドアミン300g(アミン価176)、エタノール(関東化学(株)製)116g、炭酸水素ナトリウム(旭硝子(株))1.5gを1リットルガラスオートクレーブに仕込み、攪拌しながら加温し溶解させた後、窒素置換(0.2MPa→常圧)を3回行った。65℃到達後、塩化メチル(住友精化(株)製)をアミンに対し1.03倍モル量仕込み、85〜100℃で2時間熟成した。遊離アミンとアミン塩酸塩の合計が1%以下であることを確認して反応を終了し、脱圧し、四級アンモニウム塩を得た。
C−5(比較品):C14ジエステルアンモニウム塩(合成品)
(合成方法)
攪拌器、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコにミリスチン酸メチル779g(ライオン(株)製パステルM−14、分子量242)と、トリエタノールアミン300g(2.0モル)、酸化マグネシウム0.2g、25%水酸化ナトリウム水溶液2.2gを仕込み、窒素置換を行った後窒素を0.5L/minの流量で流しながら、190℃まで昇温し、5時間反応させて副生するメタノールを系外に留去した。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し反応を停止し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると483であった。
得られたアルカノールアミンエステル1000g(2.1モル)を温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた1Lセパラブルフラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、ジメチル硫酸256(2.0モル)を2時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、エタノール(関東化学(株)製)222gを滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製した。最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))を100ppmの濃度になるように添加した。得られた4級アンモニウム塩組成物は、モノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が25/54/21(質量比)で85%含まれていた。
このエタノール溶液中には、4級化されていないモノエステルアミンとジエステルアミンとトリエステルアミンが3質量%含まれており、その比率は1/8/91(質量比)で存在していた。更に副生成物として、両性化合物が1質量%含まれていた。
【0042】

共通成分
なお、実施例における共通成分を表1に示した。
(表1)


【0043】
[実施例1〜6及び比較例1〜6]
表2及び表3に実施例及び比較例を示す。下記評価方法に従って評価した。
<評価方法>
浸透力評価
浸透性の評価をDraves改良法(皆川基編、「洗剤・洗浄百科事典」2003年(朝倉書店)、191ページ参照)を用いて評価した。具体的な操作方法は以下の通りである。
【0044】
500mLメスシリンダーに、25℃に調製した液体洗浄剤組成物水溶液(水道水900mLに対し液体洗浄剤組成物を1.2mLの割合で溶解したもの)500mLを入れた。環状(直径45mm)の針金アンカー部を一端にもつ長さ56cmの針金製器具に、蛇ピンフックをナイロン糸でアンカー部に取りつけた。このフックの先端に65%に調湿された1cm×10cmに裁断したウール(公冠グンゼ(株)製、コーカンはらまき)を引っ掛け、ウールを掛けたアンカー部の方をメスシリンダーの底に沈め、メスシリンダー中でウール布が立っている状態を作り、アンカー部がメスシリンダーの底に着いたときからウールの先端(針金に引っ掛っている方と反対側のウール端)がメスシリンダーの底に沈降するまでに要する時間(秒)を測定した。
<評価基準>
(C)成分なしの場合をブランクとして、その浸透時間に対して
◎:50%以下の時間で浸透する
○:51〜80%以下の時間で浸透する
△:81〜100%の時間で浸透する
×:ブランクより浸透が遅い。
○〜◎を合格範囲とした。
洗浄力評価
顔面の皮脂汚れを擦りつけて20cm角の大きさに裁断したポリエステル布(ポリエステルファイユ布)10枚及び市販のTシャツ(綿100%、B.V.D.社製)4枚を三菱電機(株)製電気洗濯機(CW−C30A1型)に投入した。配合した液体洗浄剤組成物を25℃の水道水約30Lに対し40mLの割合で添加し、ソフトコースで洗浄(10分)、脱水(1分)、ソフトコースでためすすぎ(2回繰り返し/各5分)、脱水(1分)を順次行う洗浄操作を行った。
皮脂汚れを擦りつけたポリエステルファイユ布の反射率について、未汚染布、汚染布(洗浄処理前)、洗浄布(洗浄処理後)について、各々日本電色(株)製の色差計(SE200型)にて測定し、洗浄率(%)を下記式に基づいて算出した。
洗浄処理後のポリエステルファイユ布を洗浄布、洗浄処理前のポリエステルファイユ布を汚染布、皮脂汚れを擦り付けていないポリエステルファイユ布を未汚染布とした。
未汚染布、汚染布、洗浄布の反射率について、分光式色差計(日本電色工業社製、「SE2000」)にて測定し、洗浄率(%)を下記式(1)に基いて算出した。なお、洗浄率は数値が高いほど洗浄力が高いことを示す。
洗浄率(%)=(汚染布のK/S−洗浄布のK/S)/(汚染布のK/S−未汚染布のK/S)×100 ・・・(1)
式(1)中、K/Sは、(1−R/100)/(2R/100)である(ただし、Rは未汚染布、汚染布、洗浄布の反射率(%)を示す。)。
<評価基準>
1点:洗浄率 60%未満
2点:洗浄率 60%以上〜65%未満
3点:洗浄率 65%以上〜70%未満
4点:洗浄率 70%以上〜75%未満
5点:洗浄率 75%以上
風合い感付与の評価
水道水30L、液体洗浄剤組成物40mLを二槽式洗濯機に入れ、弱水流で市販Tシャツ(綿100%、B.V.D社製)7枚、洗浄時間10分洗浄したあと、脱水1分、その後ためすすぎ(各5分)、脱水1分を1工程とした洗濯操作を行った。用いた水道水の温度は25℃になるよう調整をおこなった。前記洗濯操作で処理したTシャツを陰干しして12時間乾燥させた。25℃・65%RHの恒温恒湿室に2日間放置して、これを試験布として風合い感付与効果の評価に用いた。評価対照布として、非イオン性界面活性剤(ラウリルアルコール1モルあたり平均15モルのエチレンオキサイドを付加させたアルコールエトキシレート)の20%水溶液40mLを使用した上記洗濯操作により処理したTシャツを用いた。風合い感付与効果の評価は、対照布に対する1対比較の官能評価により、下記評価基準で行い、専門パネラー5人の平均値を求めた。
<評価基準>
1点:対照布と同等
2点:対照布よりやや柔らかく、手触りがやや良い
3点:対照布より柔らかく、手触りが良い
4点:対照布よりかなり柔らかく、手触りがかなり良い
5点:対照布より非常に柔らかく、手触りが非常に良い
平均点で4.0点以上を合格とした。
【0045】
実施例の結果を表2に示した。
[表2]実施例


【0046】
比較例の結果を表3に示した。
【0047】

[表3]比較例





【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)の3成分を必須成分とし、
(A)下記一般式(1)で表される非イオン界面活性剤 10〜50質量%、
(B)下記一般式(2)で表されるアミドアミン 0.1〜10質量%、
(C)下記一般式(3)で表されるアミドアミン 0.1〜10質量%
且つ(C)/(A)の質量比が0.01〜0.20の範囲であり、(C)/(B)の質量比が0.7〜5.0であることを特徴とする衣料用液体洗剤組成物。
[化1]


(式中、Rは炭素数7〜21の直鎖炭化水素基であり、−X−は、−O−又は−COO−である。EOはエチレンオキサイドを表し、nは平均付加モル数を表し、nは3〜20の数である。Rは−X−が−O−の場合は水素原子であり、−X−が−COO−の場合は炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基である。)
[化2]



(式中、Rは炭素数15〜17の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R、Rは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。mは2〜4の整数を示す。)
[化3]


(式中、Rは炭素数11〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R、Rは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。lは2〜4の整数を示す。)

【公開番号】特開2012−116908(P2012−116908A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266252(P2010−266252)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】