説明

表示デバイス

【課題】 ベイヤー配列などの画素構造における暗く粗い画質を改善することが可能な表示デバイスを提供する。
【解決手段】 表示デバイス1は、色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素2R、緑色画素2Gおよび青色画素2Bを有し、緑色画素2Gを赤色画素2Rまたは青色画素2Bより多く備える表示デバイス1において、赤色画素2Rと緑色画素2Gと青色画素2Bのそれぞれの光の出力領域の一部を均一に覆い、この覆われた出力領域から出力される光を遮光する遮光手段6を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素、緑色画素および青色画素を有し、緑色画素を赤色画素または青色画素より多く備える表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)などの表示デバイスを用いた表示装置が使用されている。このような表示装置におけるスクリーンの画素は、図7に示すストライプ配列や、図8に示すベイヤー(Bayer)配列、デルタ配列など様々な配列方法により配列されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
これらの配列のうち、図7に示すストライプ配列では、色の3原色である赤色、緑色および青色の3つのサブピクセル9(9R,9G,9B)が集まって1つの画素2を構成している。そして、このストライプ配列では、画素2がマトリックス状に配列されている。また、ストライプ配列は線、図形、文字の表示に適している。このストライプ配列を用いて、解像度を上げることにより細部にわたって鮮明に表示する高精細な表示装置を開発する場合に、サブピクセル9R,9G,9Bの大きさを単純に小さくすることは技術的に困難でありコストも要する。そのため、要求される高精細な表示装置を開発する場合には図8に示すベイヤー配列を採用することが知られている。ベイヤー配列では、1つの色のピクセルが1つの画素2を構成しているので、画素構造が単純である。そのため比較的容易に製作することができる。このベイヤー配列では、2つの緑色画素2Gと、各1つずつの赤色画素2Rおよび青色画素2Bとにより1つのユニット3が形成され、このユニット3がマトリックス状に配列されている。そして、ユニット3内では、緑色画素2Gが四角形をなす所定の対角のそれぞれの頂点に配置され、赤色画素2Rが前記四角形の残りの対角の一方の頂点に配置されると共に青色画素2Bが他方の頂点に配置されている。
【0004】
ところで、図7に示すストライプ配列の画素2の大きさが例えば1mm×lmmであるとしたときに、1つのサブピクセル9の大きさは0.33mm×1mmとなる。つまり、1つのサブピクセル9の面積は0.33mm2である。図8に示すベイヤー配列の画素2の面積を図7に示すサブピクセルの面積(0.33mm2)と同一とした場合には、図8に示すベイヤー配列の画素2の大きさは、0.58mm×0.58mmとなる。このため、表示装置の画面サイズが例えば1000mm×1000mmである場合には、図7に示すストライプ配列では1000×1000画素となり、図8に示すベイヤー配列では1724×1724画素となる。この場合、ベイヤー配列の画素数はストライプ配列の画素数の約3倍である。従って、ベイヤー配列は、ストライプ配列よりも解像度を向上させることができるものである。
【特許文献1】特開平7−6703号公報(段落0002〜0005、図5〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベイヤー配列にも以下のような不具合が存在する。RGBの色がハイビジョン規格で一様な白を表示している場合、図7に示すストライプ配列の画素2を構成する各サブピクセル9R,9G,9Bの輝度YR,YG,YBの比は、RGBの割合を1に正規化したとき次式(1)で示される。
R:YG:YB=0.2126:0.7152:0.0722・・・・式(1)
一方、図8に示すベイヤー配列で同じく白(ハイビジョン規格)を形成するときには、緑色画素の数が赤色画素または青色画素の数の2倍になっているためRGBの輝度の比が異なってくる。この場合の画素2R,2G,2Bの輝度YR′,YG′,YB′の比は、次式(2)で示される。
R′:YG′:YB′=0.4252:0.7152:0.1444・・・・式(2)
但し1ユニットでRGBの割合を2に正規化している。前記式(1)および式(2)によれば、YR′がYRの2倍になり、YB′がYBの2倍になっている。上記輝度の比によって、ストライプ配列では1画素の中でサブピクセル9R,9Bがやや暗く見える。一方、ベイヤー配列では、ストライプ配列に比べて赤の輝度の比が上がることにより赤色画素2Rと緑色画素2Gの輝度の比の差が小さくなる。従って、赤色画素2Rがあまり暗くは見えない。また、青色画素2Bの輝度の比は上昇するが、赤色画素2Rの輝度の比との差の方が大きく上昇する。従って、青色画素2Bの輝度の比が他の2色の輝度の比に比べて格段に小さいため、青色画素2Bの暗さが際立つようになる。
【0006】
このため、ベイヤー配列では、画面上に青色画素2Bに起因した黒いポツポツ(障害)が目立ってしまう。そして、ベイヤー配列では、1ユニットの2×2画素の範囲で赤色画素2Rまたは青色画素2Bは1つだけなので、赤(R)または青(B)の解像度が低く、1ユニットを構成する4つの画素のうち1つの画素(青色画素2B)のみの輝度が低いと、画面が粗っぽく見えてしまう。これを防止するために青(B)の輝度を上げて明るくすると、画面は全体に青がかってしまい、画質が劣化してしまう。なお、ストライプ配列では、サブピクセル9R,9Bの輝度が共に低いため、このような画面上の障害は見えにくい。
【0007】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、暗く粗い画質を改善することが可能な表示デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1記載の表示デバイスは、色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素、緑色画素および青色画素を有し、前記緑色画素を前記赤色画素または前記青色画素より多く備える表示デバイスにおいて、前記赤色画素と前記緑色画素と前記青色画素のそれぞれの光の出力領域の一部を均一に覆い、この覆われた出力領域から出力される光を遮光する遮光手段を設ける構成とした。
【0009】
かかる構成によれば、表示デバイスは、遮光手段により赤色画素と緑色画素と青色画素のそれぞれの光の出力領域の一部が均一に覆われる。遮光手段は例えば黒色で複数の線状のフィルタ層であるブラックストライプから構成される。遮光手段は赤色光、緑色光および青色光の一部を均一に遮光するので表示画面上に暗い部分を作る。
【0010】
請求項2記載の表示デバイスは、色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素、緑色画素および青色画素を有し、前記緑色画素を前記赤色画素または前記青色画素より多く備える表示デバイスにおいて、前記赤色画素から出力される光を拡散させる拡散手段を設ける構成とした。
【0011】
かかる構成によれば、表示デバイスは、拡散手段により赤色光を拡散させることができる。拡散手段は例えば磨りガラスなどから構成される。表示デバイスは赤色光の表示領域が拡大するので、赤色画素の輝度が低下する。
【0012】
請求項3記載の表示デバイスは、請求項2に記載の表示デバイスにおいて、前記拡散手段は、赤色画素の光の光路上に設けられた透明部材の凹部であって、前記凹部が曲面の形状であることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、凹部と透明部材との屈折率の相違から、凹部から透明部材に入射する赤色光は、拡散する方向に屈折されるので、表示デバイスは、赤色光を拡散させることができる。そのため、赤色光の表示領域が拡大するので、赤色画素の輝度が低下する。
【0014】
請求項4記載の表示デバイスは、色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素、緑色画素および青色画素を有し、前記緑色画素を前記赤色画素または前記青色画素より多く備える表示デバイスにおいて、前記赤色画素の光の出力領域を前記青色画素の光の出力領域よりも大きく形成すると共に、前記赤色画素の光の出力領域と前記青色画素の光の出力領域との面積比に応じて、前記赤色画素の輝度が相対的に低くなるように、前記赤色画素と前記青色画素のいずれか一方の輝度を変えるように構成した。
【0015】
かかる構成によれば、表示デバイスは、赤色画素の光の出力領域が青色画素の光の出力領域よりも大きく形成されており、赤色画素の光の出力領域の面積が大きい分だけ赤色画素の輝度が低くなるように変えられることにより、赤色画素が暗くなる。あるいは青色画素の光の出力領域の面積が小さい分だけ青色画素の輝度が高くなるように変えられることにより、相対的に赤色画素が暗くなる。赤色画素の表示領域を大きくする方法としては、例えば、矩形の赤色画素、緑色画素および青色画素のうち赤色画素の辺の長さを他の画素より大きくすることとしても良いし、同一の大きさの赤色画素、緑色画素および青色画素のうち青色画素の表示領域の一部を遮光して相対的に赤色画素を大きくすることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、遮光手段より、表示画面上に暗い部分が作れられ、全体的に暗い部分が増加するので、青色画素の暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。従って、表示画像の画質を向上させることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、拡散手段により、赤色光の発光面積は変えずに赤色光の出力領域が拡大するので、赤色画素の輝度が低下し、青色画素の暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、赤色画素の光の光路上に設けられた透明部材の凹部によって赤色光が拡散されて、赤色光の発光面積は変えずに赤色光の出力領域が拡大する。そのため、赤色画素の輝度が低下し、青色画素の暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。また、表示デバイスのガラス基板のような透明部材に凹部を設けることで、赤色光を拡散させるための新たな部材を設けることなく、赤色光を拡散させることができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、赤色画素の表示領域を青色画素の表示領域よりも大きくする分だけ赤色画素の輝度を低下させることにより、赤色画素が暗くなるので、青色画素の暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る表示デバイス1の構成の概略を説明する図である。図1の(a)は表示デバイス1の平面図であり、図1の(b)は(a)のA−A線断面図である。
表示デバイス1は、例えば、表示素子としてLCDを用いた直視型カラー液晶表示パネルである。表示デバイス1は、カラー画像を形成するRGBの3原色の各色の画素2(2R,2G,2B)を有する。赤色画素2Rと青色画素2Bがそれぞれ1個で緑色画素2Gが2個の合計4個の画素によりユニット3が形成されている。このユニット3は、図1の(a)に示すようにマトリックス状に配列されている。このユニット3内では、緑色画素2Gが、四角形をなす所定の対角のそれぞれの頂点に配置され、赤色画素2Rが前記四角形における残りの対角の一方の頂点に配置されると共に青色画素2Bが他方の頂点に配置される。すなわち、表示デバイス1の画素2はベイヤー配列により配列されている。
【0021】
表示デバイス1は、図1の(b)に示すように、細隙を挟んで対向して配置された下部ガラス基板7と上部ガラス基板8(透明部材)とを備える。下部ガラス基板7の下には、図示しないバックライトが配設されている。バックライトには例えば蛍光ランプが使われる。また、下部ガラス基板7の上には、透明電極10、配向膜11、液晶4、配向膜12、透明電極13、カラーフィルタ5、およびブラックストライプ層6がこの順番で積層されている。なお、下部ガラス基板7と上部ガラス基板8の表面には、図示しない偏光板が装着されている。
【0022】
液晶4は例えばネマティック液晶などから成り、配向膜11,12により上下から封止されている。液晶4中には図示しないスペーサが配設され、このスペーサが液晶4の厚みを均一に保持している。
透明電極10は、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム・スズ酸化物)等から形成されており、スイッチング素子としての図示しないTFT(Thin Film Transister;薄膜トランジスタ)と共に下部ガラス基板6の上に配設されている。
透明電極13は、ITO等から形成されており、前記透明電極10と連動して液晶4を駆動するものである。
【0023】
カラーフィルタ5は、光シールド層、RGBからなる着色層、保護膜、共通電極で構成される。カラーフィルタ5は、赤色光のみを透過する赤色フィルタ部5Rと、緑色光のみを透過する緑色フィルタ部5Gと、青色光のみを透過する青色フィルタ部5Bとを備える。これらのうちの何れかの色の色光を透過させるフィルタ部5R,5G,5Bが、透明電極13上に配置されており、それぞれガラス基板7,8と共に、赤色画素2R、緑色画素2Gおよび青色画素2Bを構成している。このように構成された各1個ずつの画素2R,2Bおよび2個の緑色画素2Gが一組となって一個のユニット3を構成している。
【0024】
ブラックストライプ層6(遮光手段)は、カラーフィルタ5の上に塗布され、各フィルタ部5R,5G,5Bの一部に覆い被せられている。ブラックストライプ層6は、図1の(a)に示すように、赤色画素2R、緑色画素2Gおよび青色画素2Bのそれぞれの光の出力領域の一部を均一に遮光する。画素2を遮光する割合は、画素全体の例えば1/5〜1/3が好ましい。ブラックストライプ層6は、図1に示すように横方向(水平方向)に複数本配設されている。
図2は、ブラックストライプ層6の別の配置方法を示す図である。図2に示すように、ブラックストライプ層6は、縦方向(垂直方向)に配設するようにしてもよい。また、ブラックストライプ層6は、1つの画素2に対して1本の太い線で構成されるものに限らず、複数本の細い線で構成されるようにしてもよい。
【0025】
この表示デバイス1では、下部ガラス基板7の下に配置された図示しないバックライトから光が発せられたときに、表示デバイス1の各画素2を構成する赤色画素2Rと、緑色画素2Gと、青色画素2Bとを光が透過する。これにより、表示デバイス1は各画素2R,2G,2Bを透過した色光の組合せによりカラー画像を表示する。
【0026】
この場合、赤色フィルタ部5R、緑色フィルタ部5G、青色フィルタ部5Bのそれぞれの光の出力領域の一部を覆うように、ブラックストライプ層6が複数本配置されて構成されている。ブラックストライプ層6は、赤色フィルタ部5R、緑色フィルタ部5G、青色フィルタ部5Bを透過する光の一部を遮光し、表示画面上において、光が出力されない暗い部分を作る。このように赤色フィルタ部5R、緑色フィルタ部5G、青色フィルタ部5Bの上に暗い部分(ブラックストライプ層6)が散りばめられることにより、青色画素2Bの暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。その結果、表示画面の画質を改善することができる。
なお、ブラックストライプ層6は光を透過させないので、表示画面はブラックストライプ層6が無い場合に比べて暗くなるが、全体を高輝度にすることによりこれを改善することができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態に係る表示デバイスを図面を参照して説明する。図3は、第2の実施形態に係る表示デバイス20の構成の概略を説明する図である。図3の(a)は表示デバイス20の平面図であり、図3の(b)は(a)のC−C線断面図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の参照番号を付与し、説明を省略する。
【0028】
表示デバイス20には、図3の(b)に示すように、下部ガラス基板7と上部ガラス基板8との間に、透明電極10、配向膜11、液晶4、配向膜12、透明電極13およびカラーフィルタ5がこの順番で積層されている。表示デバイス20には、カラーフィルタ5と透明電極13との間に保護層21が積層されている。ただし、カラーフィルタ5のうちの赤色フィルタ部5Rと透明電極13との間には、保護層21の代わりに、図示しないバックライトからの光を拡散させる拡散板22(拡散手段)が配設されている。拡散板22は例えば磨りガラスや不透明フィルムにより構成されている。
【0029】
拡散板22を設けたことにより、赤色光(R)が拡散した分だけ、赤色画素2Rを直進して透過する赤色光(R)が弱められることになる。一方、赤色画素2Rに隣接する緑色画素2Gでは、本来透過する緑色光(G)に加えて、図3の(b)に矢印Y1,Y2で示すように、拡散板22により拡散された赤色光(R)が透過するために、強められた光(G+R)が出力されることになる。同様に、赤色画素2Rに隣接する青色画素2Bでは、本来透過する青色光(B)に加えて、拡散板22により拡散された赤色光(R)が透過するために、強められた光(B+R)が出力されることになる。
【0030】
拡散板22による赤色光(R)の拡散の様子を図4を参照して説明する。図4の(a)は拡散板22が存在しない従来のベイヤー配列ユニット23の平面図であり、図4の(b)は画素2R中に拡散板22が存在する場合(本実施形態の場合)のユニット3の平面図である。図4の(a)に示すユニット23では、赤色光(R)は、2×2画素のうち右上(1行2列)の部分(赤色画素2R)のみから出力される。ここで、赤色画素2Rを透過する光をR0、緑色画素2Gを透過する光をG0、青色画素2Bを透過する光をB0で表す。すなわち、1行1列の画素2Gを透過する光はG0、1行2列の画素2Rを透過する光はR0、2行1列の画素2Bを透過する光はB0、2行2列の画素2Gを透過する光はG0である。このときの光R0,G0,B0の輝度YR0,YG0,YB0の比は次式(3)で示されるものとする。
R0:YG0:YB0=0.4252:0.7152:0.1444・・・・式(3)
【0031】
一方、本実施形態のように、拡散板22を設けた場合、このユニット3の赤色フィルタ部5Rを透過する光は、赤色画素2Rを透過するだけではなく、赤色画素2Rの周囲に拡散する。つまり、赤色フィルタ部5Rを透過する光は、赤色画素2Rに隣接する3つのユニット3も含めて縦、横、斜めに隣接する8箇所の画素2にも分配されることになる(適宜図3の(a)参照)。表示デバイス20を構成する全ての赤色フィルタ部5Rを透過する光が同様に周囲の画素2に分配されることを考慮すれば、赤色フィルタ部5Rを透過する光は、平均して1ユニットの4つの画素2に分配されることとなる。つまり、1行1列の画素2Gに分配される赤色光をR1、1行2列の画素2Rに分配される赤色光をR2、2行1列の画素2Bに分配される赤色光をR3、2行2列の画素2Gに分配される赤色光をR4とすると、赤色光R1乃至R4の輝度YR1,YR2,YR3,YR4の比の総和が赤色フィルタ部5Rを透過した光R0の輝度の比となる。
【0032】
このことは、赤色光が出力される領域の大きさが緑色光および青色光が出力される領域と比較して大きくなることを意味している。赤色フィルタ部5Rを透過する光がユニット3内で単純に均等に分配されていると仮定すると、赤色光が出力される領域の大きさが赤色画素2Rの面積の4倍になるため、赤色光R1,R2,R3,R4の各々の輝度の比は0.1063(0.4252/4)となる。つまり、1行2列の画素2Rから本来出力する光(輝度0.4252)が周囲に拡散することで、1行2列の画素2Rの部分は輝度が下がる(輝度0.1063)ことで、1行2列の画素2Rの部分を暗くしている。従って、表示デバイス20は、画面上で赤色画素2Rの輝度を低下させることにより、青色画素2Bの暗さを目立たなくさせることができる。
【0033】
表示デバイス20のユニット3の各画素2を透過する光は、図4の(b)に示すように、1行1列の画素2Gに対してG0+R1、1行2列の画素2Rに対してR2、2行1列の画素2Bに対してB0+R3、2行2列の画素2Gに対してG0+R4となる。結果として、赤色画素2Rが実際にある部分(1行2列)の輝度が下がる(暗くなる)。また、拡散された赤色光が画素2Bの位置から出力されることにより、表示デバイス20は、赤色光(R)よりも暗い青色光(B)の暗さの割合を小さく抑えることができる。
【0034】
図4の(a)と(b)とを比較すると、図4(a)に示す拡散板22が存在しない従来のユニット23は、光R0,G0,B0の輝度YR0,YG0,YB0の比が前記(3)式で示されるので、青色画素2Bの暗さが目立っていることがわかる。一方、図4(b)に示すユニット3は、赤色画素2R(赤色フィルタ5R)のある部分が暗くなり、且つ、拡散された赤色光が画素2Bの位置から出力されることにより、画面上の暗い部分が散りばめられることになる。従って、本実施形態によれば、青色画素2Bの暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。
【0035】
次に、本発明の第3の実施形態に係る表示デバイスを図面を参照して説明する。図5は、第3の実施形態に係る表示デバイス30の構成の概略を説明する図である。図5の(a)は表示デバイス30の平面図であり、図5の(b)は(a)のD−D線断面図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の参照番号を付与し、説明を省略する。
【0036】
表示デバイス30には、図5の(b)に示すように、下部ガラス基板7と上部ガラス基板8との間に、透明電極10、配向膜11、液晶4、配向膜12、透明電極13およびカラーフィルタ5がこの順番で積層されている。上部ガラス基板8には、赤色フィルタ部5Rの真上にあたる位置に、空気が充填された凹部31が形成されている。凹部31は曲面の形状である。この凹部31は、上部ガラス基板8における下部ガラス基板7に対向する面に、赤色フィルタ部5Rに適合させて、所定のピッチで複数設けられている。凹部31の壁面31aは、凸レンズの表面の曲面を成している(凹部31を形成する空間が凸レンズの半分を成している)。凹部31は、上部ガラス基板8を削りとることにより、または上部ガラス基板8を押圧することにより形成される。
【0037】
上記構成の表示デバイス30では、下部ガラス基板7の下に配置した図示しないバックライトからの光が、赤色フィルタ部5Rを透過した後、凹部31に進入する。そして、凹部31に進入した光は、凹部31の空間に充填された空気の層と上部ガラス基板8との屈折率の差により、凹部31の壁面31aにて拡散する方向に屈折する。これは、ガラス中の凸状形態の空気は、空気中の凹レンズ(ガラス)と同じ拡散作用を及ぼすためである。つまり、凹部31は空気レンズとして機能する。
【0038】
従って、凹部31(空気レンズ)が無ければ本来直進して透過するはずの赤色光(R)が周囲に分散され、赤色画素2Rを透過する赤色光(R)が弱められることになる。一方、赤色画素2Rに隣接する緑色画素2Gでは、本来透過する緑色光(G)に加えて、図5の(b)に矢印Y3,Y4で示すように、空気レンズにより拡散された赤色光(R)が出力されるために、強められた光(G+R)が出力されることになる。同様に、赤色画素2Rに隣接する青色画素2Bでは、本来透過する青色光(B)に加えて、空気レンズにより拡散された赤色光(R)が出力されるために、強められた光(B+R)が出力されることになる。つまり、前記第2の実施形態と同様に、赤色フィルタ部5Rを透過した赤色光(R)は、図4の(b)に示すように、ユニット3内の各画素2に分配されることになる。
【0039】
従って、ユニット3内のすべての画素2から赤色光(R)が出力されることにより、赤色光が出力される領域の大きさが拡大され、赤色画素2Rが実際に存在する部分の輝度が下がる。また、拡散された赤色光(R)が画素2Bの位置から出力されることにより、表示デバイス30は、赤色光(R)よりも暗い青色光(B)の暗さの割合を小さく抑えることができる。これらのことから、この実施形態によれば、青色画素2Bの暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。
ここでは、凹部31に空気が充填されていることとしたが、この凹部31には上部ガラス基板8(透明部材)より屈折率の低いものが充填されていれば良く、例えば窒素ガスのような不活ガスが充填されることとしても良い。更にここでは、上部ガラス基板8が赤色フィルタ部5Rと接する面に凹部31を備えることとしたが、凹部をこの面と対向する面(表示デバイス30の表面)に備えることとしても良い。
【0040】
次に、本発明の第4の実施形態に係る表示デバイスを図面を参照して説明する。図6は、第4の実施形態に係る表示デバイス40の構成の概略を説明する図である。図6の(a)は表示デバイス40の平面図であり、図6の(b)は(a)のE−E線断面図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の参照番号を付与し、説明を省略する。
【0041】
表示デバイス40には、図6の(b)に示すように、下部ガラス基板7と上部ガラス基板8との間に、透明電極10、配向膜11、液晶4、配向膜12、透明電極13、カラーフィルタ5およびブラックストライプ層6aがこの順番で積層されている。表示デバイス40は、ブラックストライプ層6aの配置が異なる点を除いて、第1の実施形態の表示デバイス1と同一の構成である。
【0042】
ブラックストライプ層6aは、カラーフィルタ5の緑色フィルタ部5Gおよび青色フィルタ部5Bの一部を覆うように配設されている。図6の(a)に示すように、ブラックストライプ層6aは、緑色画素2Gおよび青色画素2Bの中央部を除いた周縁部を遮光している。
表示デバイス40は、赤色画素2Rの光の出力領域と青色画素2Bの光の出力領域との面積比に応じて、赤色画素2Rの光の出力領域の方が大きく形成される分だけ、赤色光の輝度が低下させられている。すなわち、表示デバイス40は、図6の(a)に示すようにブラックストライプ層6aが配設され、且つ、出力される光の色を変えないために赤色光の輝度が下げられている。なお、輝度を下げることは、画素2を駆動するときの駆動電圧を調整することで行われる。
また、前記ブラックストライプ層6aの配置は、図6(a)に示されるものに限るものではなく、画素2の中央部を覆うようにしてもよい。要は、ブラックストライプ層6aが緑色フィルタ部5Gおよび青色フィルタ部5Bの領域の一部の上に配置されていればよい。
【0043】
この実施形態によれば、ブラックストライプ層6aを緑色フィルタ部5Gおよび青色フィルタ部5Bの上に配置することにより、緑色フィルタ部5Gおよび青色フィルタ部5Bの見かけ上の面積が赤色フィルタ部5Rよりも小さくなる。言い換えれば、赤色画素2Rの面積を相対的に大きくすることができる。また、赤色画素2Rの面積が相対的に大きくなる分、表示される映像全体の色を変化させることなく、赤色画素2Rの輝度を下げている。その結果、赤色画素2Rが暗くなり、表示デバイス40は、青色画素2Bの暗さが目立たなくなり、青色画素のみが暗いことによって表示される映像が粗く見えることを防ぐことができる。
なお、赤色画素の面積を相対的に大きくする方法としては、例えば、赤色画素2Rの辺の長さを青色画素2Bより大きくすることとしても良い。
【0044】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る表示デバイス1によれば、RGBのカラーフィルタ部5の一部を均一に覆うブラックストライプ層6を構成することにより、暗さを散りばめて表示画像の画質を向上させられる。また、本発明の第2の実施形態に係る表示デバイス20によれば、赤色フィルタ部5Rと透明電極13との間に拡散板22を設ける構成とすることにより、赤色光(R)を拡散させて赤色光の輝度を低下させ、青色画素2Rの暗さを目立たなくさせることができる。また、本発明の第3の実施形態に係る表示デバイス30によれば、赤色フィルタ部5Rの直上の上部ガラス基板8に凹部31を設ける構成とすることにより、赤色光(R)を拡散させて赤色光の輝度を低下させることができる。また、本発明の第4の実施形態に係る表示デバイス40によれば、緑色画素2Gおよび青色画素2Bの一部をブラックストライプ層6aで覆う構成とすることにより相対的に赤色画素2Rの領域を拡大すると共に、赤色画素2Rの輝度を低下させる。
【0045】
なお、本発明の表示デバイスは、第1乃至第4の実施形態での表示デバイス1,20,30,40に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限り、適宜変更して差し支えない。例えば、前記第1乃至第4の実施の形態では、表示素子として液晶素子を用いた液晶ディスプレイに本発明を適用した場合について説明した。しかし、本発明は、例えば、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electronic Luminescence)等の他の表示素子を用いたベイヤー配列等の表示デバイスにも好適に適用できる。
【0046】
なお、以上のベイヤー配列の図で赤色画素2Rと青色画素2Bの位置が反対であっても、動作としては全く同一である。従って、すべての実施形態では、赤色画素2Rと青色画素2Bの位置が反対のものも含む。また、2つの緑色画素2Gと、赤色画素2Rおよび青色画素2Bとの位置が反対であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態に係る表示デバイスの構成の概略を説明する説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】第1の実施形態の変形例の表示デバイスの平面図である。
【図3】第2の実施形態に係る表示デバイスの構成の概略を説明する説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】拡散板の効果を説明するための説明図であり、(a)は拡散板のない場合のユニットの平面図、(b)は拡散板がある場合のユニットの平面図である。
【図5】第3の実施形態に係る表示デバイスの構成の概略を説明する説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る表示デバイスの構成の概略を説明する説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線断面図である。
【図7】ストライプ配列の画素構造を示す図である。
【図8】ベイヤー配列の画素構造を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1,20,30,40 表示デバイス
2(2R,2G,2B) 画素
3 ユニット
4 液晶
5(5R,5G,5B) カラーフィルタ
6,6a ブラックストライプ層(遮光手段)
7 下部ガラス基板
8 上部ガラス基板(透明部材)
9 サブピクセル
10 透明電極
11 配向膜
12 配向膜
13 透明電極
21 保護層
22 拡散板(拡散手段)
23 ユニット
31 凹部(空気レンズ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素、緑色画素および青色画素を有し、前記緑色画素を前記赤色画素または前記青色画素より多く備える表示デバイスにおいて、
前記赤色画素と前記緑色画素と前記青色画素のそれぞれの光の出力領域の一部を均一に覆い、この覆われた出力領域から出力される光を遮光する遮光手段を設けたことを特徴とする表示デバイス。
【請求項2】
色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素、緑色画素および青色画素を有し、前記緑色画素を前記赤色画素または前記青色画素より多く備える表示デバイスにおいて、
前記赤色画素から出力される光を拡散させる拡散手段を設けたことを特徴とする表示デバイス。
【請求項3】
前記拡散手段は、赤色画素の光の光路上に設けられた透明部材の凹部であって、前記凹部が曲面の形状であることを特徴とする請求項2に記載の表示デバイス。
【請求項4】
色の3原色である赤色、緑色および青色の光を出力する赤色画素、緑色画素および青色画素を有し、前記緑色画素を前記赤色画素または前記青色画素より多く備える表示デバイスにおいて、
前記赤色画素の光の出力領域を前記青色画素の光の出力領域よりも大きく形成すると共に、前記赤色画素の光の出力領域と前記青色画素の光の出力領域との面積比に応じて、前記赤色画素の輝度が相対的に低くなるように、前記赤色画素と前記青色画素のいずれか一方の輝度を変えるように構成したことを特徴とする表示デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−18195(P2006−18195A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198489(P2004−198489)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】