説明

表示パネルユニット、表示パネルモジュールおよび表示装置

【課題】フレキシブル基板に無理な力がかかることを回避することを目的とする。
【解決手段】表示パネルユニット150は、画像信号を供給する端子を周辺部に有し画像を表示する表示パネル20と、表示パネル20の端子を有する辺に沿って配置される回路基板40と、表示パネル20の端子および回路基板40を接続し回路基板40から表示パネル20に画像信号を伝送するフレキシブル基板50と、回路基板40および表示パネル20を保持する筐体60とを備え、回路基板40は、表示パネル20の下側の辺に沿って配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルユニット及び表示パネルユニットを備える表示パネルモジュールおよび表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の液晶パネルは、液晶パネルの裏面側に配置される樹脂製の枠形フレームと表示面側に配置される縁枠とで挟まれて保持されている。また、枠形フレームには一辺に細長の中継基板が固定されている。その中継基板と液晶パネルの電極とはフレキシブル基板(COF:Chip On Film)によって接続されている。
【0003】
しかし、液晶表示装置の組立て後に枠形フレームが温度変化により伸縮したとき、枠形フレームと液晶パネルの横方向と縦方向とで位置ずれが起こる場合がある。このため、液晶パネルの端面が枠形フレームの基準面に重ねあわされている場合、枠形フレームに固定されている中継基板と液晶パネルとの間に位置ずれが生じる。この位置ずれにより両者の間に亘って配置されているフレキシブル基板やその結合箇所に無理な力が加わる。このため、フレキシブル基板に断線が発生するおそれがある。また、結合箇所の剥離が発生するおそれがある。
【0004】
このため、液晶パネルの1つのコーナ部を枠形フレームの基準位置である突出片に位置決めする。そして、枠形フレームに縁枠を取り付けて液晶パネルを固定した後、L形部材に設けられた押当て片が枠形フレームの突出片を押して撓ませる。このことにより液晶パネルの端面から突出片が逃がされる。これにより枠形フレームの温度伸縮による影響が液晶パネルに及ばなくなる。そして、フレキシブル基板の断線や結合箇所の剥離が回避される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−063647号公報(段落0002、0007、0026、図2から図6)
【特許文献2】特開2008−299112号公報(段落0056、0057、図7)
【特許文献3】特開2004−212514号公報(段落0015、0031、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液晶パネルが小さい場合は問題ないが、液晶パネルが大きくなるとフレキシブル基板への無理な力を回避することができない場合がある。なぜなら、基準位置を持たずに液晶パネルを枠形フレームと縁枠とで挟んで固定した場合、液晶パネルのどの位置を基準として温度変化による伸縮が発生しているかが規定されないからである。
【0007】
例えば、46型の液晶パネルの幅は約1050mm、高さは約600mmであり、ガラス製の液晶パネルの線膨張係数を5×10−6、樹脂製の枠形フレームの線膨張係数を29×10−6、中継基板の線膨張係数を13×10−6の場合を検討する。使用時の温度上昇が45Kとして、幅方向の寸法は1050mmとする。ガラス製液晶パネルは約0.24mm伸び、樹脂製の枠形フレームは約1.37mm伸び、中継基板は約0.61mm伸びる。この場合、液晶パネルが枠形フレームに固定された位置が液晶パネルの端部とすると、その反対側の端部では液晶パネルと枠形フレームとで約1.13mmの位置ずれが生じる。基準位置と反対側の端部で中継基板が枠形フレームに固定されていると、液晶パネルと中継基板の位置ずれは約1.13mmとなり、フレキシブル基板への無理な力を回避することができないことがわかる。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。液晶パネルユニットの構成部材である、液晶パネル、回路基板および樹脂筐体などの線膨張係数の差によって生じる各部品のたわみや位置ずれに対して、フレキシブル基板に与えるストレスを最小限に抑える。これにより、配線の断線などの品質不良を低減した液晶パネルユニット及び液晶表示装置を提供することを目的とする。なお、回路基板は中継基板である。樹脂筐体は樹脂製の枠形フレームである。フレキシブル基板は液晶パネルと回路基板を電気的に接続している。
【0009】
なお、液晶パネル以外においても、プラズマパネル(特許文献2)、有機ELパネル(特許文献3)等の各種フラットパネル型表示装置においても同様に、表示用パネルと回路基板をフレキシブル基板で接続する構成をとっている。このため、以下に示す実施の形態は、液晶パネルユニットを例として示しているが、本発明は、液晶パネルユニットに限られず、その他のフラットパネルユニットにも適用できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る表示パネルユニットは、画像信号を供給する端子を周辺部に有し画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの前記端子を有する辺に沿って配置される回路基板と、前記表示パネルの端子および前記回路基板を接続し前記回路基板から前記表示パネルに画像信号を伝送するフレキシブル基板と、前記回路基板および前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記回路基板は、前記表示パネルの下側の辺に沿って配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表示パネルユニットは、表示装置内の温度上昇によって発生するフレキシブル基板のストレスを低減し、フレキシブル基板の配線の断線を低減するという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1における液晶パネルモジュールの構成を示す分解斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1における液晶パネルモジュールの構成を示す要部詳細図である。
【図3】この発明の実施の形態1における液晶パネルモジュールの構成を示す要部詳細図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるフレキシブル基板の構成を示す要部詳細図である。
【図5】この発明の実施の形態1における液晶パネルモジュールの構成を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1における液晶パネルモジュールの構成を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1における液晶表示装置の構成を示す斜視分解図である。
【図8】この発明の実施の形態2における液晶パネルモジュールの構成を示す要部断面図である。
【図9】この発明の実施の形態2における液晶パネルモジュールの構成を示す要部平面図である。
【図10】この発明の実施の形態2における液晶パネルモジュールの構成を示す要部断面図である。
【図11】この発明の実施の形態2における液晶パネルモジュールの構成を示す要部平面図である。
【図12】この発明の実施の形態2における液晶パネルモジュールの構成を示す要部断面図である。
【図13】この発明の実施の形態2における液晶パネルモジュールの構成を示す要部平面図である。
【図14】この発明の実施の形態2における液晶パネルモジュールの構成を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の液晶パネルモジュール10を示す分解斜視図である。図2、図3は液晶パネル20下端部周辺を示す要部詳細図である。図4はフレキシブル基板50の構成を示す構成図である。図5、図6はそれぞれ図3のE1−E1線、E2−E2線で切る部分断面図である。また、各図において、液晶表示装置の上方向を+Z方向とし、その下方向を−Z方向とする。液晶パネルモジュール10の水平方向の表示面から見て右側を+X方向し、その左側を−X方向とする。液晶パネルモジュール10の奥行き方向の表示面から裏面側の方向を+Y方向し、その裏面面から表示側の方向を−Y方向とする。
【0014】
表示パネルである液晶パネル20はX方向である水平方向に長い長方形の2枚のガラスと液晶層(図示せず)を備えている。液晶層は2枚のガラス間に配置されている。図4に示すように、フレキシブル基板50はICチップ51とフィルム部52から構成されている。ICチップ51はフィルム部51の面上に半田等により通電可能に取り付けられている。フィルム部52の一方の端部54は液晶パネル20の表示面の端子部に半田や異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)等で通電可能に接続されている。他方の端部53は回路基板40の端子部に半田や異方性導電フィルム等で通電可能に接続されている。
【0015】
バックライトユニット200は、複数のランプ210、バックフレーム220および光学シート群230を備えている。ランプ210は光源である。バックフレーム220は、背面の筐体となる。そしてバックフレーム220は、開放面221を有した箱形状をしている。光学シート群230は、複数の光学シートから構成されている。これらの光学シートは、透明な面材であり、拡散効果やレンズ効果を有する。
【0016】
箱形状のバックフレーム220は、その内部に例えば冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)等からなる複数のランプ210をZ方向に所定の等間隔で配置している。光学シート群230は、液晶パネル20と同様にX方向である水平方向に長い長方形をしている。光学シート群230は、バックフレーム220の−Y方向側である開放面221の側に積層されている。光学シート群230は、バックフレーム220とシャーシ60によって挟まれて保持される。
【0017】
箱形状のバックフレーム220の内面は、反射面となっている。ランプ210から+Y方向に発せられる照射光は反射して、開放面221から−Y方向に照射される。
【0018】
回路基板40はX方向に長い長方形をしたガラスエポキシ基板である。回路基板40は2つの回路基板40a,40bから構成されている。2つの回路基板40a,40bは、表示パネルモジュールである液晶パネルモジュール10の−Z方向である下側に配置されている。回路基板40a,40bは、それらの長辺を液晶パネル20の端子を有する辺に沿うように配置されている。「表示パネルの端子を有する辺に沿って配置される」とは、回路基板40の辺が液晶パネル20の辺に沿う場合である。この場合は、表示パネル20の面と回路基板40の面とが同一面上または平行面上にある場合である。また、表示パネル20の面と回路基板40の面とが、ある角度をもって配置されている場合も含む。また、「表示パネルの端子を有する辺に沿って配置される」とは、回路基板40の面が液晶パネル20の辺に沿う場合も含む。つまり、表示パネル20と回路基板40とがT字形状に配置されている場合である。ただし、表示パネル20と回路基板40とのなす角は直角と限らない。
【0019】
回路基板40a,40bは、回路基板40a,40bの短辺どうしを隣接するように配置されている。回路基板40a,40bは、それぞれ液晶パネル20の中央側の端をねじ95,96でシャーシ60に固定されている。回路基板40a,40bには各々4個ずつ合計8個のフレキシブル基板50が接続されている。なお、本実施の形態では回路基板40を2つで構成している。しかし、回路基板40は1つの基板で構成しても構わず、また、2つ以上の基板で構成しても構わない。また、フレキシブル基板50は回路基板40a,40bに8個ずつ配されているが、液晶パネル20の画面サイズや、画素数に応じた個数を配置しても構わない。
【0020】
図2において、4箇所の凸形状の受面60a,60b,60c,60dはシャーシ60に形成されている。そして、受面60a,60b,60c,60dは液晶パネル20の下端部20aを受ける部分である。受面60a,60b,60c,60dは等しい幅W、高さBの寸法で形成されている。受面60bと60cとの間に形成された中央部60eには幅W、高さAの略直方体形状の弾性部材61がシャーシ60に両面テープ等で貼り付けられている。この弾性部材61は、例えばゴム、スポンジ等が採用される。弾性部材61は、第1の弾性部材である。
【0021】
受面60aのX軸方向の中心と受面60bのX軸方向の中心との距離はLである。同様に受面60bのX軸方向の中心と弾性部材61のX軸方向の中心との距離もLである。弾性部材61のX軸方向の中心と受面60cのX軸方向の中心との距離もLである。受面60caのX軸方向の中心と受面60dのX軸方向の中心との距離もLである。
【0022】
図3は液晶パネル20が受面60a,60b,60c,60dおよび弾性部材61上に設置された状態を示している。図3において弾性部材61は高さAからBに圧縮された状態となる。例えば、弾性部材61の弾性率がK(N/mm)とすると発生する反力Reは、次に示す式(1)で表される。
Re=(A−B)×K[N] ・・・(1)
【0023】
液晶パネル20の下端部20aの受面60a,60b,60c,60dと接する4箇所が受ける反力を各々Ra,Rb,Rc,Rdとする。Z方向である垂直方向の力のつりあいの式は、次に示す式(2)で表される。なお、液晶パネル20の重心位置は、液晶パネル20のX方向の中心位置と一致することとする。
M×g=Ra+Rb+Rc+Rd+Re[N] ・・・(2)
【0024】
また、反力Reの位置と考える弾性部材61のX軸方向の中心位置を回転支点Oとすると点O回りのモーメントのつりあいは、次に示す式(3)で表される。
Ra×2L+Rb×L=Rc×2L+Rd×L[N・mm] ・・(3)
式(3)をより次に示す式(4)が求められる。
(Ra−Rd)×2L+(Rb−Rc)×L=0[N・mm] ・・(4)
回転支点Oを中心として反力Ra,Rb,Rc,Rdが対称にあることから次に示す式(5)、式(6)が求められる。
Ra=Rd[N] ・・・(5)
Rb=Rc[N] ・・・(6)
【0025】
一方、温度上昇によりシャーシ60がX軸方向に伸びた場合に、シャーシ60の受面60a,60b,60c,60dから液晶パネル20が受ける摩擦力は、受面60a,60b,60c,60dと液晶パネル20との間の摩擦係数をμとすると次に示す式(7)で表される。これらの摩擦力は液晶パネル20が下側の辺に沿った方向に受ける外力である。
μ×(Ra+Rb−Rc−Rd)=0[N] ・・・(7)
【0026】
このため、シャーシ60は液晶パネル20のX方向の中心位置である弾性部材61のX軸方向の中心位置を基準に、受面60a,60bは−X方向に伸び、受面60c,60dは+X方向に伸びる。
【0027】
しかしながら、液晶パネル20が受面60a,60b,60c,60dの全てで受けられることは実際には考えにくい。4つの受面の内の2つの受面で受けているのが通常である。つまり、受面60aと受面60cであり、受面60aと受面60dであり、受面60bと受面60cであり、受面60bと受面60dである。なお、受面60aと受面60bの場合および受面60cと受面60dの場合は、式(3)より実際は弾性部材61のみで受けていることになる。
【0028】
これら内、受面60aと受面60dで受けた場合および受面60bと受面60cで受けた場合、液晶パネル20が受ける摩擦力は、X方向でつりあう。このため、シャーシ60は弾性部材61のX軸方向の中心位置を基準に、受面60aまたは60bは−X方向に伸びる。また、受面60cまたは60dは+X方向に伸びる。弾性部材61のX軸方向の中心位置は、液晶パネル20のX方向の中心位置である。
【0029】
しかしながら、受面60aと受面60cで受けた場合および受面60bと受面60dで受けた場合、液晶パネル20が受ける摩擦力は、X方向でつりあわない。このため、弾性部材61の液晶パネル20に対する摩擦力が一定以上大きくないとシャーシ60は液晶パネル20のX方向の中心位置を基準に伸びない。例えば、受面60aと受面60cとで液晶パネル20を受けている場合のシャーシ60から液晶パネル20が受ける摩擦力の関係を次に示す式(8)で示す。なお、弾性部材61と液晶パネル20との間の摩擦係数をμとする。
μ×Ra+μ×Re−μ×Rc=0[N] ・・・(8)
【0030】
ここで、反力Raは次に示す式(9)で表される。
M×g=Ra+Rc+Re
Ra×2L=Rc×L
Ra=(M×g−Re)/3[N] ・・・(9)
【0031】
一方、Rcは次に示す式(10)で表される。
Rc=2×(M×g−Re)/3[N] ・・・(10)
式(9)と式(10)を式(8)に代入すると、次に示す式(11)が求められる。
μ×(Rc−Ra)=μ×(M×g−Re)/3[N] ・・・(11)
【0032】
このため、弾性部材61の液晶パネル20に対する摩擦力がμ×(Rc−Ra)より大きい場合、シャーシ60は液晶パネル20のX方向の中心位置を基準に伸びる。この条件を満足するReは次に示す式(12)で表される。
μ×Re≧μ×(Rc−Ra)=μ×(M×g−Re)/3
μ×Re≧μ×(M×g−Re)/3
Re≧μ×M×g/(3μ+μ)[N] ・・・(12)
【0033】
このように、液晶パネル20のX方向の中心位置を基準として、シャーシ60の−X方向と+X方向とから液晶パネル20が受ける摩擦力が等しくない場合がある。しかし、シャーシ60の−X方向と+X方向とから液晶パネル20が受ける摩擦力の差より弾性部材61から液晶パネル20の受ける摩擦力が大きい。このことにより、液晶パネル20のX方向の中心である弾性部材61を基準位置としてシャーシ60はX方向に伸びる。
【0034】
なお、式(3)の条件として液晶パネル20の重心位置は、液晶パネル20のX方向の中心位置と一致することとしている。液晶パネル20の重量は、液晶層を挟む2枚のガラスの重量が大部分を占める。このため、その他の部品が非対称に取り付けられたとしても、ほぼ重心は液晶パネル20の中心位置となる。液晶パネル20の重心位置とX方向の中心位置が一致していない場合でも、その距離は大きなものではない。このため、液晶パネル20の重心位置と液晶パネル20の中心位置との両方を含むように弾性部材61で受ける構成にすれば同様の検討結果を得ることができる。中心部とはこの液晶パネル20の重心位置と液晶パネル20の中心位置との両方を含む範囲である。
【0035】
回路基板40a,40bはシャーシ60に対して、液晶パネル20のX方向の中心位置に近い位置で、相互に位置がずれることのないようにねじ止め固定されている。このため、回路基板40a,40bはこのねじ止め部分を基準位置としてX方向に伸びる。弾性部材61は液晶パネル20のX方向の中心位置に配置されている。
【0036】
例えば、46型の液晶パネルモジュール10で温度上昇を45Kとする。回路基板40a,40bは、液晶パネル20のX方向のほぼ中央でねじ止め固定されている。このため、液晶パネル20のX方向の中心を基準位置として伸びる。回路基板40a,40bの長さを仮に液晶パネル20の水平方向の寸法である1050mmの半分の525mmとする。この場合、液晶パネル20のX方向の両端部では約0.31mm伸びる。一方、液晶パネル20は約0.12mm伸びる。このため、液晶パネル20と回路基板40a,40bとの間での最大の位置ずれ量は0.19mmとなる。
【0037】
これにより、従来例で考えられるフレキシブル基板50の両方の端子部のX方向の最大のずれ量1.13mmに対して、約6分の1の0.19mmに抑えることができる。このため、回路基板40a,40bと液晶パネルとの位置ずれを抑えることができる。そして、ストレスによるフレキシブル基板の配線の断線を低減することができる。
【0038】
なお、上述した実施の形態では、液晶パネル20とシャーシ60との間のX方向の位置決めは、弾性部材61と液晶パネル20の下端部21との間の摩擦力による。しかし、例えば弾性部材61の+Z方向の面である上面に両面テープを貼り、弾性部材61と液晶パネル20を接着して固定することも可能である。こちらの方がより確実に位置決めすることが可能である。しかし、この方法は液晶パネル20の取り外し等の作業性が低下するという欠点がある。
【0039】
また、液晶パネル20をシャーシ60に取り付ける際、液晶パネル20とシャーシ60X方向の位置決めを行う必要がある。これは、シャーシ60に対する液晶パネル20の位置決めを行う治具を使用することで組み立てることができる。
【0040】
ここで回路基板40a,40bをシャーシ60に対して、液晶パネル20のX方向の中心位置に近い位置ではなく、液晶パネル20のX方向の両端部付近でねじ止め固定した場合を考える。この場合、回路基板40a,40bのX方向の両端部の位置は、樹脂で作製されているシャーシの線膨張係数に基づいて変化する。上述のようにシャーシ60の線膨張係数は29×10−6、回路基板40a,40bの線膨張係数を13×10−6である。シャーシ60は樹脂製の枠形フレームの筐体である。回路基板40a,40bは中継基板である。
【0041】
回路基板40a,40bの長さを液晶パネル20の幅である約1050mmの半分の525mmとする。そして、温度上昇を45Kとする。その場合、回路基板40a,40bをシャーシ60のX方向の両端でねじ止め固定した場合の回路基板40a,40bの最大の移動量は525mm×29×10−6×45=0.69mmとなる。そして、液晶パネル20のX方向の中心位置に近い位置でねじ止め固定した場合の約0.31mmの約2.2倍となる。
【0042】
これにより、回路基板40a,40bを液晶パネル20のX方向の中心位置に近い位置でねじ止め固定することは、回路基板40a,40bと液晶パネルとの位置ずれを抑えることになる。そして、回路基板40a,40bを液晶パネル20のX方向の中心位置に近い位置でねじ止め固定することは、ストレスによるフレキシブル基板の配線の断線を低減するために重要であることがわかる。
【0043】
次に図5と図6について説明する。図5は図3のE1−E1線での断面図である。液晶パネル20の下端部20aはシャーシ60の受面60aで受けられている。フレキシブル基板50の端部54は液晶パネル20の下端に設けられた端子と通電可能に接続されている。一方、フレキシブル基板50の端部53は回路基板40の端子と通電可能に接続されている。フレキシブル基板50のフィルム部52は、端部54から−Z方向に略垂直に延び、その後+Y方向に略90度曲がり、+Y方向に延びて端部53は回路基板40に接続している。
【0044】
回路基板40は、液晶パネル20の中心側の端部をねじ96でシャーシ60に固定されている。しかし、液晶パネル20の両端部側では弾性部材であるクッション7bを用いてシャーシ60の下面に回路基板40の上面を押付けて保持している。このため、シャーシ60と回路基板40の間で温度変化による位置ずれが発生しても、シャーシ60および回路基板40は互いにX方向に伸縮することができる。下面とは−Z方向の面である。上面とは+Z方向の面である。
【0045】
図6は図3のE2−E2線での断面図である。液晶パネル20の下端部20aは弾性部材61で受けている、一方、液晶パネル20の表示面側にはフレーム30との間にクッション7aが設けられている。表示面側とは液晶パネル20の−Y方向である。フレーム30は枠体である。そして、液晶パネル20はフレーム30とシャーシ60とにクッション7aを介して挟まれて保持されている。このため、フレーム30、シャーシ60および液晶パネル20の間で温度変化による位置ずれが発生しても、フレーム30、シャーシ60および液晶パネル20は、各々X方向に伸縮することができる。
【0046】
ただし、クッション7aと液晶パネル20との間の摩擦係数μと液晶パネル20の裏面とシャーシ60の受面63との間の摩擦係数μとは、摩擦係数μ,μに比べて非常に小さい。つまり、上述の摩擦力の関係を示した式(7)、式(8)に影響を及ぼさない程度とする。摩擦係数μが上述の摩擦力の関係を示した式(7)、式(8)に影響を及ぼす程度である場合は、弾性部材61を中心として+X方向のクッション7aから液晶パネル20が受ける摩擦力の和と−X方向のクッション7aから液晶パネル20が受ける摩擦力の和との差を求め、式(12)の右辺に加える必要がある。
【0047】
次に、フレキシブル基板50を液晶パネル20の下側に配置することに関して説明する。下側とは−Z方向側である。例えば、フレキシブル基板50を液晶パネル20の上側に配置した場合を考える。上側とは+Z方向側である。液晶パネルモジュール10が温度上昇した場合、液晶パネル20とシャーシ60とは、シャーシ60の受面60a,60b,60c,60dを基準として膨張する。
【0048】
46型の液晶パネルの高さは約600mmで考えた場合、液晶パネル20の+Z方向である上端での変位量は、600mm×5×10−6×45=0.14mmとなる。一方、回路基板40a,40bが固定されている樹脂製のシャーシ60は、600mm×29×10−6×45=0.78mmとなる。そして、その変位量の差は約0.65mmと非常に大きな値となる。このため、液晶パネル20側の端部54の位置に対してフレキシブル基板50は回路基板40a,40b側の端部53の位置が、Z方向で約0.65mm伸びることになる。
【0049】
これに対して、図1に示すようにフレキシブル基板50を液晶パネル20の下側に配置した場合を検討する。下側とは−Z方向側である。液晶パネル20の−Z方向の端部である下端部20aはシャーシ60の下端部にある受面60a,60b,60c,60dで位置決めされている。このためフレキシブル基板50の端部54の位置に対してフレキシブル基板50の端部53の位置はほとんど変化しない。端部54は、液晶パネルモジュール10の下端部に接続されているフレキシブル基板50の端部である。端部53は、シャーシ60の下端部に固定されている回路基板40a,40bに接続されているフレキシブル基板50の端部である。
【0050】
このため、回路基板40a,40bをシャーシ60の下側に固定する。下側とは−Z方向側である。そして、フレキシブル基板50で液晶パネル20の下端部20aに設けた端子と、回路基板40a,40bに設けた端子を接続する。これにより、液晶パネルモジュール10の温度変化によるフレキシブル基板50の一方の端部53に対する他方の端部54の位置ずれを抑えることができる。つまり、回路基板40a,40bと液晶パネルとの位置ずれを抑えることができる。そして、ストレスによるフレキシブル基板の配線の断線を低減することができる。
【0051】
図7は、本実施の形態1に係る液晶パネルモジュール10を搭載した液晶表示装置100を示す分解斜視図である。画面の周囲を覆う枠状の前面筐体80と背面筐体81の内部に、液晶パネルモジュール10、信号処理基板90および電源基板91が保持されている。液晶表示装置100は、前面筐体80、液晶パネルモジュール10、信号処理基板90、電源基板91および背面筐体81を有している。このとき、液晶パネルモジュール10、信号処理基板90および電源基板91は、それぞれケーブルまたはコネクタ等によって、相互に電気的に接続されている。
【0052】
信号処理基板90は、外部から得られた映像信号を液晶パネルモジュール20に表示させるために信号処理を行う基板である。そして、信号処理基板90は、テレビ映像信号を受信するための図示しないチューナや図示しない外部信号を入力するためのコネクタ等を備えている。電源基板90は、液晶パネルモジュール20、ランプ210および信号処理基板90等に電源を供給するための基板である。ランプ210は、前述したCCFL等からなるバックライトユニット200に内装された光源である。
【0053】
実施の形態2.
実施の形態1では、シャーシ60の下端部に設けられた受面60a,60b,60c,60dとX方向の中央部に設けられた弾性部材61とにより、液晶パネル20の下端部20aを受けている。実施の形態2では、液晶パネル20の上端部および下端部に沿って配置されたクッション71が、液晶パネル20を−Y方向に押付ける構成を示す。クッション71は第2の弾性部材である。−Y方向は表示面と直交する方向である。
【0054】
図8は液晶パネル20の下端部20a周辺の断面図である。図9は液晶パネルモジュール10の下端部周辺を示す要部詳細図である。図10は図9のE3−E3線で切る部分断面図である。なお、実施の形態1と同一構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0055】
図8において、シャーシ60の下端部に設けられた受面62は、液晶パネル20の下端部20aを受けている。弾性部材であるクッション71は、液晶パネル20と対向する位置で、フレーム30の内面に両面テープ等で貼り付けられている。図8(A)はフレーム30をシャーシ60に組み付ける前の状態である。クッション71は圧縮されていない初期の高さH1となっている。図8(B)はフレーム30をシャーシ60に組み付けた後の状態である。クッション71はフレーム30と液晶パネル20とに圧縮されて高さH2となっている。液晶パネルユニット150は、液晶パネル20、フレーム30およびシャーシ60で構成されている。
【0056】
図9において弾性部材であるクッション71a,71b,71c,71d,71eは、液晶パネル20と対向する位置で、フレーム30の内側に両面テープ等で貼り付けられている。クッション71a,71b,71c,71dのX方向の長さWa,Wb,Wc,Wdはいずれも等しい。一方、クッション71eのX方向の長さはクッション71a,71b,71c,71dよりも長いWeである。クッション71a,71b,71c,71d,71eは、等しいピッチQでX方向に配置されている。
【0057】
高さH1から高さH2に圧縮されて、クッション71a,71b,71c,71dが液晶パネル20を押付ける力は、押付け力Pa,Pb,Pc,Pdとなる。クッション71a,71b,71c,71dと液晶パネル20との摩擦係数をμcとする。この場合、クッション71a,71b,71c,71dと液晶パネル20との摩擦力は、各々μc×Pa,μc×Pb,μc×Pc,μc×Pdとなる。
【0058】
クッション71a,71b,71c,71dの押付け力Pa,Pb,Pc,Pdは、クッションの圧縮量と押付け面積で決まる。クッション71a,71b,71c,71dの圧縮量は(H1−H2)となって等しい。このため、単位面積当たりの押付け力が等しくなる。
【0059】
また、クッション71の液晶パネル20に対する接触面積Sは、接触面積S=幅D×長さWの関係式から求められる。なお、幅Dはクッション71のZ方向の長さである。長さWはクッション71のX方向の長さである。クッション71a,71b,71c,71dの幅はDで等しい。また、長さWa,Wb,Wc,Wdは各々等しい。このため、接触面積Sa,Sb,Sc,Sdは等しい値になる。このため、押付け力Pa,Pb,Pc,Pdは等しい値となる。そして、摩擦力μc×Pa,μc×Pb,μc×Pc,μc×Pdも等しい値となる。
【0060】
この場合、実施の形態1で説明したように、液晶パネルモジュール10は温度上昇に伴って液晶パネル20およびフレーム30に寸法変化を生じる。液晶パネル20がクッション71a,71b,71c,71dから受ける摩擦力は、クッション71a,71bが+X方向で、クッション71c,71dが−X方向となることから互いに打ち消し合いゼロとなる。このため、フレーム30に対する液晶パネル20のX方向の位置ずれの基準位置は、液晶パネル20のX方向の中央部分となる。
【0061】
しかしながら、実際にはクッション71のバネ定数にはばらつきがある。また、摩擦係数μcにもばらつきがある。このため、クッション71a,71b,71c,71dから液晶パネル20が受ける摩擦力は互いに打ち消し合いゼロとなることはない。
【0062】
このため、例えばクッション71a,71bの摩擦力はばらつき範囲内の最大であるとする。そして、例えばクッション71c,71dの摩擦力はばらつき範囲内の最小であるとする。しかし、その摩擦力の差分よりクッション71eの摩擦力が大きければ、クッション71eを基準位置としてフレーム30はX方向に伸びることになる。クッション71eは液晶パネル20のX方向の中心に配置されている。
【0063】
フレーム30はシャーシ60に取り付けられている。このため、フレーム30が液晶パネル20のX方向の中心を基準としてX方向に伸びた場合は、シャーシ60もほぼ液晶パネル20のX方向の中心を基準としてX方向に伸びる。シャーシ60には回路基板40が取り付けられている。最適には、液晶パネル20のX方向の中心に相当するフレーム30の位置でシャーシ60と位置決めする。この場合、より確実に液晶パネル20のX方向の中心を基準としてシャーシ60が伸びることになる。
【0064】
なお、シャーシ60から液晶パネル20が受ける摩擦力は、非常に小さいものと考える。シャーシ60から液晶パネル20が受ける摩擦力は、液晶パネル20の下端部20aとシャーシ60の受面62との間の摩擦力と、受面63と液晶パネル20の裏面との間の摩擦力である。受面63は液晶パネル20の裏面側を受けている面である。
【0065】
シャーシ60から液晶パネル20が受ける摩擦力が無視できない場合は、液晶パネル20の中心に対して+X方向のシャーシ60から液晶パネル20が受ける摩擦力の和と−X方向のシャーシ60から液晶パネル20が受ける摩擦力の和との差を求める。この値を上述のクッション71から液晶パネル20の受ける摩擦力に加算してクッション71eから液晶パネル20が受ける摩擦力の大きさを決める必要がある。
【0066】
なお、実施の形態2では、クッション71の長さWの寸法を変更して押付け力Pの値を変えている。しかし、クッション71の接触面積Sを変えることで押付け力Pを変えられる。このことから、クッション71の幅Dを変更しても構わない。
【0067】
また、クッション71の初期の高さHを変えることで押付け力Pを変えることができる。また、クッション71を取り付けるフレーム30の内面に凹凸を設けることでクッション71の圧縮量を変えることで押付け力Pを変えることができる。また、クッション71の弾性係数が異なるものを用いることなどで押付け力Pを変えることができる。
【0068】
例えば、図11、図12はクッション72の高さを変えたことでクッション72が液晶パネル20を押付ける力を変えた例である。図12は図11中のE4−E4線で切る部分断面図である。クッション72の長さWと幅D、弾性率は同じであるが、クッション72a,72b,72c,72dの高さがH2であるのに対して、クッション72eの高さはH1である。高さH1は高さH2より大きな値に設定されている。クッション72a,72b,72c,72d,72eは高さH3に圧縮される。これにより、クッション72の圧縮量に差を設けてクッション72eが他のクッション72a,72b,72c,72dよりも大きな押し付け力を持つようにしている。
【0069】
また、図13、図14はクッション73を取り付けるフレーム31の取り付け部分を液晶パネル20の側に突出する凸形状とする例である。図14は図13中のE5−E5線で切る部分断面図である。クッション73の長さWと幅D、高さH1、弾性率は同じである。しかしながら、液晶パネル20のX方向の中心位置のクッション73eを取り付ける凸部32eの凸量Teが他のクッション73a,73b,73c,73dを取り付ける凸部32a,32b,32c,32dの凸量Ta,Tb,Tc,Tdより大きく設定されている。これにより、クッション73eの圧縮量が(H1−H4)であるのに対して、クッション72a,72b,72c,72dの圧縮量は(H1−H3)である。クッション72の圧縮量に差を設けてクッション72eが他のクッション72a,72b,72c,72dよりも大きな押し付け力を持つようにしている。
【0070】
なお、上述の各実施の形態においては、「平行」や「垂直」などの部品間の位置関係もしくは部品の形状を示す用語を用いている場合がある。また、略直方体形状、略90度および略平行など「略」または「ほぼ」などの用語をつけた表現を用いている場合がある。これらは、製造上の公差や組立て上のばらつきなどを考慮した範囲を含むことを表している。このため、請求の範囲に例え「略」を記載しない場合であっても製造上の公差や組立て上のばらつきなどを考慮した範囲を含むものである。また、請求の範囲に「略」を記載した場合は製造上の公差や組立て上のばらつきなどを考慮した範囲を含むことを示している。
【符号の説明】
【0071】
10 液晶パネルモジュール、 20 液晶パネル、 20a 下端部、 30,31 フレーム、 40 回路基板、 50 フレキシブル基板、 60 シャーシ、 60a,60b,60c,60d 受面、 61 弾性部材、 71,72,73 クッション、 100 液晶表示装置、 150 液晶パネルユニット、 200 バックライトユニット。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を供給する端子を周辺部に有し画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの前記端子を有する辺に沿って配置される回路基板と、
前記表示パネルの端子および前記回路基板を接続し前記回路基板から前記表示パネルに画像信号を伝送するフレキシブル基板と、
前記回路基板および前記表示パネルを保持する筐体と
を備え、
前記回路基板は、前記表示パネルの下側の辺に沿って配置される表示パネルユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルユニットと、
前記表示パネルユニットを照明するバックライトユニットと
を備える表示パネルモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の表示パネルユニットを備える表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の表示パネルモジュールを備える表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−238004(P2012−238004A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146496(P2012−146496)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【分割の表示】特願2011−545987(P2011−545987)の分割
【原出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】