説明

表示パネル駆動回路、表示装置、及び電子機器

【課題】表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる表示パネル駆動回路を提供する。
【解決手段】表示パネル(液晶パネル21)を駆動する表示パネル駆動回路1は、各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替えるソース線駆動回路22と、アクティブ素子のゲート線に対してアクティブ素子をオン/オフさせるゲート電圧を印加するゲート線駆動回路23と、電源オフの指令が入力された場合、駆動電圧と表示パネル(液晶パネル21)の共通電極25の電位とを基準電位に制御するとともに、各々のソース線に対して駆動電圧を印加し、且つ各々のゲート線に対してアクティブ素子をオンさせる制御をした後、全てのソース線に対して一斉に駆動電圧の印加を停止する制御をしてから電源オフする制御部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル駆動回路、表示装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各画素の表示階調が各画素の電極間の蓄積電荷によって決まることにより映像が表示される表示パネルには、各画素に蓄積された電荷を保持するための保持容量が必要である。しかし、表示パネルにおいて、画素に直流電圧が印加され続けた場合、保持容量に直流電圧成分の電荷が保持されたままとなり、残像や焼き付きといった現象が生じる。このため、表示パネルに映像を表示する場合、表示パネルを駆動する表示パネル駆動回路が画素に対して印加する電圧を交流駆動することにより、画素に直流電圧が印加され続けることを防止している。
【0003】
ところで、電源の停止時等の過渡的な状態において、表示パネル駆動回路が正常に交流駆動されない場合、画素に直流電圧が印加されてしまうことや保持容量に蓄積された電荷が放電されずに残ったままになることにより、画素に直流電圧が印加され続けた場合と同様の状態になる。これにより、表示パネルにおいて、残像や焼き付きといった現象が生じる。このため、電源の停止直前の一定期間において、各画素の電極間の蓄積電荷が零となるような所定の電圧を映像信号として印加することで、画素に直流電圧が印加されることを防止するとともに、保持容量の蓄積電荷を放電させる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−173172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表示パネルの共通電極(対向電極)電位は、上述のように映像信号として印加される所定の電圧と必ずしも同電位とは限らず、その電位差によりわずかな直流電圧が画素に印加されてしまうことや保持容量の放電が十分にできないことにより、表示パネルの画素に電荷が残ってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる表示パネル駆動回路、表示装置、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明に記載の表示パネル駆動回路は、各画素の表示階調が前記各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる表示パネルを駆動する表示パネル駆動回路であって、前記各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替えるソース線駆動回路と、前記アクティブ素子のゲート線に対して前記アクティブ素子をオン/オフさせるゲート電圧を印加するゲート線駆動回路と、電源オフの指令が入力された場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御するとともに、各々の前記ソース線に対して前記駆動電圧を印加し、且つ各々の前記ゲート線に対して前記アクティブ素子をオンさせる制御をした後、全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧の印加を停止する制御をしてから電源オフする制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によると、電源オフの指令が入力された場合、制御部は、ソース線駆動回路により表示パネルの各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に印加される駆動電圧と、表示パネルの共通電極とを基準電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。また、その後、制御部は、ソース線駆動回路により全ての画素の各ソース線に対して駆動電圧を印加させないように制御してから電源をオフする。そのため、電力供給が停止される過渡的な状態において当該駆動電圧及び共通電極に電圧変動が発生した場合でも、各画素の電極間に変動した電圧が印加されず、各画素の電極間の電荷が放電された状態が維持される。よって、本発明の表示パネル駆動回路は、表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる。また、制御部は、全ての画素の各ソース線に対して一斉に駆動電圧を印加させないように制御するため、表示パネルに映像信号を表示させる際に各ソース線を順次制御して1画面分を制御する場合に比較して、電源オフの指令が入力された場合、短い時間で放電制御処理を終了して電源をオフすることができる。
【0009】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路は、各画素の表示階調が前記各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる表示パネルを駆動する表示パネル駆動回路であって、前記各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替えるソース線駆動回路と、前記アクティブ素子のゲート線に対して前記アクティブ素子をオン/オフさせるゲート電圧を印加するゲート線駆動回路と、電源オフの指令が入力された場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御するとともに、各々の前記ソース線に対して前記駆動電圧を印加し、且つ各々の前記ゲート線に対して前記アクティブ素子をオンさせる制御をした後、全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をしてから電源オフする制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によると、電源オフの指令が入力された場合、制御部は、ソース線駆動回路により表示パネルの各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に印加される駆動電圧と、表示パネルの共通電極とを基準電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。また、その後、制御部は、ゲート線駆動回路により全ての画素のアクティブ素子をオフさせる制御をしてから電源をオフする。そのため、電力供給が停止される過渡的な状態において当該駆動電圧及び共通電極に電圧変動が発生した場合でも、各画素の電極間に変動した電圧が印加されず、各画素の電極間の電荷が放電された状態が維持される。よって、本発明の表示パネル駆動回路は、表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる。また、制御部は、全ての画素の各ゲート線に対して一斉に全ての画素のアクティブ素子をオフさせる制御をするため、表示パネルに映像信号を表示させる際に各ゲート線を順次制御して1画面分を制御する場合に比較して、電源オフの指令が入力された場合、短い時間で放電制御処理を終了して電源をオフすることができる。
【0011】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路において、前記制御部は、電源オフの指令が入力された場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御するとともに、全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧を印加し、且つ全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオンさせる制御をした後、全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧の印加を停止する制御、または全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をしてから電源オフすることを特徴とする。
【0012】
この発明によると、制御部は、ソース線駆動回路により表示パネルの各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に印加される駆動電圧と、表示パネルの共通電極とを基準電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。また、全ての画素の各ソース線に対して一斉に前記駆動電圧を印加するとともに、全ての画素の各ゲート線に対して一斉にアクティブ素子をオンさせる制御をするため、表示パネルに映像信号を表示させる際に各ソース線及び各ゲート線を順次制御して1画面分を制御する場合に比較して、電源オフの指令が入力された場合、短い時間で各画素のそれぞれの電極を基準電位にして電極間の蓄積電荷を放電することができる。
【0013】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路は、外部電源から供給される電圧を検出する電圧検出部を備え、前記制御部は、前記電圧検出部により検出される電圧が所定の閾値以下の場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御することを特徴とする。
この発明によると、表示パネル駆動回路は、外部電源から供給される電力が遮断された場合であっても、表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0014】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路は、前記駆動電圧または前記基準電位の何れかを前記ソース線駆動回路に出力する第1の切替部と、所定の電位または基準電位の何れかを前記表示パネルの共通電極に出力する第2の切替部とを備え、前記制御部は、電源オフの指令が入力された場合、前記第1の切替部及び前記第2の切替部を制御してそれぞれ前記基準電位を出力させることを特徴とする。
この発明によると、制御部は、少なくとも1つの制御信号のみで第1の切替部及び第2の切替部を切替えることにより、ソース線駆動回路により表示パネルの各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に印加される駆動電圧と、表示パネルの共通電極とを共通電位に制御することができる。
【0015】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路において、前記基準電位は、接地電位であることを特徴とする。
この発明によると、制御部は、ソース線駆動回路により表示パネルの各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に印加される駆動電圧と、表示パネルの共通電極とを接地電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。よって、本発明の表示パネル駆動回路は、表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0016】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路において、前記ソース線駆動回路は、複数の出力端子を備えているシフトレジスターと、前記シフトレジスターの複数の出力端子にそれぞれ接続されている複数のソース出力制御部とを備え、複数の前記ソース出力制御部は、それぞれ、第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子にプリチャージ制御信号が入力され、第3の入力端子にソース線イネーブル信号が入力され、前記ソース出力制御部の出力端子が前記アクティブ素子の前記ソース線に接続されており、前記制御部は、電源オフの指令が入力された場合、前記プリチャージ制御信号を制御して全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧を印加させる制御、または、前記プリチャージ制御信号及び前記ソース線イネーブル信号を制御して全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧の印加を停止させる制御をすることを特徴とする。
この発明によると、表示パネル駆動回路は、表示パネルを駆動するために必要な制御信号を放電制御処理の制御信号としているため、新たに別の制御信号を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0017】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路において、複数の前記ソース出力制御部は、それぞれ、第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子に前記ソース線イネーブル信号が入力されるAND回路と、第1の入力端子が前記AND回路の出力端子に接続され、第2の入力端子に前記プリチャージ制御信号が入力されるOR回路と、ゲート端子が前記OR回路の出力端子に接続され、ソース端子に前記駆動電圧が印加され、ドレイン端子が前記アクティブ素子の前記ソース線に接続されているスイッチング素子との組みを備え、前記制御部は、電源オフの指令が入力された場合、前記プリチャージ制御信号をアサートレベルに制御して全ての前記スイッチング素子を一斉にオンさせる制御、または、前記プリチャージ制御信号及び前記ソース線イネーブル信号をネゲートレベルに制御して全ての前記スイッチング素子を一斉にオフさせる制御をすることを特徴とする。
この発明によると、表示パネル駆動回路は、表示パネルを駆動するために必要な制御信号および表示パネルに必要な駆動回路を放電制御処理の制御信号及び駆動回路としているため、新たな別の制御信号、及び表示パネルにおける駆動回路を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0018】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路において、前記ゲート線駆動回路は、複数の出力端子を備えているシフトレジスターと、前記シフトレジスターの複数の出力端子にそれぞれ接続されている複数のゲート出力制御部とを備え、複数の前記ゲート出力制御部は、それぞれ、第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子にゲート線プリセット信号が入力され、第3の入力端子にゲート線イネーブル信号が入力され、前記ゲート出力制御部の出力端子が前記アクティブ素子の前記ゲート線に接続されており、前記制御部は、電源オフの指令が入力された場合、前記ゲート線プリセット信号を制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオンさせる制御、または、前記ゲート線プリセット信号及び前記ゲート線イネーブル信号を制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をすることを特徴とする。
この発明によると、表示パネル駆動回路は、表示パネルを駆動するために必要な制御信号を放電制御処理の制御信号としているため、新たに別の制御信号を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0019】
また、本発明に記載の表示パネル駆動回路において、複数の前記ゲート出力制御部は、それぞれ、第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子に前記ゲート線イネーブル信号が入力されるAND回路と、第1の入力端子が前記AND回路の出力端子に接続され、第2の入力端子に前記ゲート線プリセット信号が入力され、出力端子が前記アクティブ素子の前記ゲート線に接続されているOR回路との組みを備え、前記制御部は、電源オフの指令が入力された場合、前記ゲート線プリセット信号をアサートレベルに制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオンさせる制御、または、前記ゲート線プリセット信号及び前記ゲート線イネーブル信号をネゲートレベルに制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をすることを特徴とする。
この発明によると、表示パネル駆動回路は、表示パネルを駆動するために必要な制御信号および表示パネルに必要な駆動回路を放電制御処理の制御信号及び駆動回路としているため、新たな別の制御信号、及び表示パネルにおける駆動回路を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0020】
また、本発明に記載の表示装置は、各画素の表示階調が前記各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる前記表示パネルと、本発明における表示パネル駆動回路とを備えることを特徴とする。
この発明によると、表示装置は、上述の表示パネル駆動回路を備えるため、表示装置の備えている表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0021】
また、本発明に記載の電子機器は、本発明における表示装置を備えることを特徴とする。
この発明によると、電子機器は、上述の表示装置を備えるため、電子機器の備えている表示パネルの画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態における表示装置10の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】第1実施形態における表示部20の構成を示す概略等価回路図である。
【図3】第1実施形態における放電制御処理を示すタイミングチャートである。
【図4】第2実施形態における表示部20の構成を示す概略等価回路図である。
【図5】第2実施形態における放電制御処理を示すタイミングチャートである。
【図6】第3実施形態における表示装置10の構成を示す概略ブロック図である。
【図7】第4実施形態のプロジェクター100の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態による表示パネル駆動回路1により液晶パネル21(表示パネル)が駆動される表示装置10の構成を示す概略ブロック図である。表示装置10は、表示部20、制御部3、映像信号処理部4、D/A変換部5a,5b、極性変換部6、増幅部8a,8b、切替部9a(第1の切替部)、切替部9b(第2の切替部)、コンデンサーC1、操作部11、及び電源部12を備えている。
【0025】
表示部20は、液晶パネル21、ソース線駆動回路22、及びゲート線駆動回路23を備えている。液晶パネル21は、各画素の表示階調が各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる表示パネルである。例えば、液晶パネル21は、ガラス基板などの透明基板が2枚貼りあわされ、その間に液晶が封入された構成となっており、マトリクス状に配列された各画素に蓄積される電荷により液晶が駆動されて各画素の表示階調が決まる。また、液晶パネル21は、反射板を備え、外部からの入射光を反射して映像を表示する反射型の液晶パネル21である。ソース線駆動回路22及びゲート線駆動回路23は、制御部3の制御により、液晶パネル21においてマトリクス状に配列された各画素に電荷を蓄積させる駆動をする。表示部20の詳細な構成については、図2を用いて後述する。
なお、液晶パネル21は、反射型に限定されるものではなく、バックライトの光を透過して映像を表示する透過型や、反射型と透過型との両方の特性を有する半透過型としてもよい。
【0026】
映像信号処理部4は、制御部3の制御により、入力されるデジタル映像信号に対して信号処理を実行し、D/A変換部5aに出力する。ここで、映像信号処理部4が実行する信号処理は、例えば、コントラスト補正処理、階調補正処理、または色補正処理等である。D/A変換部5aは、制御部3の制御により、映像信号処理部4から入力される映像信号をデジタル信号からアナログ信号に変換して極性変換部6に出力する。
【0027】
極性変換部6は、液晶パネル21に対して直流電圧が印加され続けないように映像信号を直流信号から交流信号に変換する。極性変換部6は、制御部3の制御により、D/A変換部5aから入力される映像信号を、例えば1水平期間毎に極性変換して増幅部8aに出力する。増幅部8aは、極性変換部6から入力される極性変換された映像信号を、切替部9a(第1の切替部)に出力する。切替部9a(第1の切替部)は、制御部3の制御により、増幅部8aから入力される映像信号、または接地電位の何れかを選択して、表示部20のソース線駆動回路22に出力する。ここで、切替部9a(第1の切替部)は、液晶パネル21に映像が表示される通常の駆動状態においては、制御部3の制御により、増幅部8aから入力される映像信号を選択して表示部20のソース線駆動回路22に出力する。
【0028】
また、D/A変換部5bは、制御部3から共通電極25に印加するための所定の電位が入力され、入力された所定の電位をデジタル信号からアナログ信号に変換して増幅部8bに出力する。増幅部8bは、D/A変換部5bから入力された所定の電位を増幅して切替部9b(第2の切替部)に出力する。切替部9b(第2の切替部)は、制御部3の制御により、増幅部8bから入力される共通電極25に印加するための所定の電位、または接地電位の何れかを選択して、表示部20の共通電極25に出力する。また、増幅部8bの出力端子には、一端が接地されているコンデンサーC1の他端が接続されている。このコンデンサーC1は、共通電極25に対して共通電極25の電位を安定して供給するための容量を有している。ここで、切替部9b(第2の切替部)は、液晶パネル21に映像が表示される通常の駆動状態においては、制御部3の制御により、増幅部8bから入力される共通電極25に印加するための所定の電位を選択して表示部20の共通電極25に出力する。
【0029】
操作部11は、操作スイッチを備えており、ユーザーに操作されることに応じて操作信号を制御部3または電源部12に出力する。操作部11は、電源オン/オフ操作スイッチを備えており、ユーザーに操作されることに応じて、電源オンまたは電源オフの指令を示す電源オン/オフ信号を制御部3及び電源部12に出力する。例えば、操作部11において、電源オンの操作がされた場合、電源オン/オフ信号はHighレベルの状態になる。また、操作部11において、電源オフの操作がされた場合、電源オン/オフ信号はLowレベルの状態になる。
【0030】
電源部12は、操作部11において電源オンの操作がされることに基づいて、表示装置10が備えている各部に電力を供給する電源(電源A及び電源B)を備えている。電源Aの電力は、制御系回路を駆動する直流電力であり、制御部3、映像信号処理部4、及びD/A変換部5a,5bに供給される。また、電源Bの電力は、液晶パネル21を駆動する直流電力であり、極性変換部6、増幅部8a,8b、及び表示部20に供給される。ここで、電源Aの電圧と電源Bの電圧との関係は、例えば「電源Aの電圧」<「電源Bの電圧」の関係であって、一例として、電源Aの電圧は5V、電源Bの電圧は15Vである。また、操作部11において電源オフの操作がされることに基づいて、電源部12は、制御部3の制御により電源(電源A及び電源B)をオフして電力の供給を停止する。
【0031】
制御部3は、表示制御部31、及び電源制御部32を備えている。表示制御部31は、液晶パネル21に入力する映像信号を生成するために、映像信号処理部4、D/A変換部5a、及び極性変換部6に制御信号を出力する。また、表示制御部31は、共通電極25に出力する電位が液晶パネル21の特性によって決まる所定の電位に設定される様に、D/A変換部5bに制御信号を出力する。また、表示制御部31は、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)に切替制御信号(Sel)を出力する。例えば、表示制御部31が切替制御信号(Sel)をHighレベルに制御した場合、切替部9a(第1の切替部)において映像信号が選択され、また、切替部9b(第2の切替部)において共通電極25に印加するための所定の電位が選択される。一方、表示制御部31が切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御した場合、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)において接地電位が選択される。
【0032】
また、制御部3の表示制御部31は、表示部20のソース線駆動回路22及びゲート線駆動回路23に、液晶パネル21を駆動するための制御信号を出力する。例えば、表示制御部31は、水平スタート信号(H−Start)、水平クロック信号(H−Clock)、ソース線イネーブル信号(H−Enable)、プリチャージ制御信号(PreCharge)を表示部20のソース線駆動回路22に出力する。また、表示制御部31は、垂直スタート信号(V−Start)、垂直クロック信号(V−Clock)、ゲート線イネーブル信号(V−Enable)、及びゲート線プリセット信号(V−Preset)を表示部20のゲート線駆動回路23に出力する。
【0033】
制御部3の電源制御部32は、操作部11において電源オンの操作がされた場合、電源部12から電力が供給されて起動する。そして、電源制御部32は、起動した後、所定のタイミングにより表示制御部31のリセットを解除して動作を開始させる。また、電源制御部32は、操作部11において電源オフの操作がされた場合、所定のタイミングにより表示制御部31をリセットして表示制御部31から出力される制御信号をLowレベルに制御した後、所定のタイミングにより電源部12に電源(電源A及び電源B)をオフする制御をして電力の供給を停止させる。
【0034】
ここで、例えば、電源制御部32は、表示制御部31のリセットを解除する場合、電源制御部32から表示制御部31へ入力するリセット信号(Reset)をHighレベルに制御する。また、電源制御部32は、表示制御部31をリセットする場合、電源制御部32から表示制御部31へ入力するリセット信号(Reset)をLowレベルに制御する。
【0035】
図2は、本第1実施形態における表示部20の構成を示す概略等価回路図である。表示部20は、液晶パネル21、ソース線駆動回路22、及びゲート線駆動回路23を備えている。液晶パネル21は、各画素の表示階調が各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる表示パネルである。また、液晶パネル21においてマトリクス状に配列された各画素には、アクティブ素子41として薄膜トランジスター(TFT)が備えられている。ソース線駆動回路22は、各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替える。また、ゲート線駆動回路23は、アクティブ素子41のゲート線46に対してアクティブ素子41をオン/オフさせるゲート電圧を印加する。
【0036】
図2に示す液晶パネル21は、水平(X)方向にn列のソース線45と垂直(Y)方向にm行のゲート線46とを備えている。また、液晶パネル21は、n列のソース線45とm行のゲート線46との交差に対応して、水平n列×垂直m行のマトリクス状に配列された複数の画素P11〜Pmnを備えている。
【0037】
液晶パネル21において、水平n列×垂直m行の複数の画素P11〜Pmnは、それぞれ同様の構成であり、画素P11の構成について説明する。画素P11は、アクティブ素子41、液晶42、画素電極42a、対向電極42b、及び保持容量43を備えている。
アクティブ素子41のソース端子はソース線45に接続され、ゲート端子はゲート線46に接続されている。また、アクティブ素子41のドレイン端子は、画素電極42aに接続されている。液晶42は、画素電極42aと、画素電極42aに対向して配置されている対向電極42bとの間に挟持されている。保持容量43の一端は画素電極42aに、他端は対向電極42bに接続されている。また、対向電極42bは共通電極25に接続されている。
【0038】
水平n列のうちのそれぞれ同じ1列に配列されている画素、例えば画素P11〜Pm1におけるそれぞれのアクティブ素子41のソース端子は、n列のソース線45のうち同じ1列のソース線45にそれぞれ接続されている。また、垂直m行のうちのそれぞれ同じ1行に配列されている画素、例えば画素P11〜P1nにおけるそれぞれのアクティブ素子41のゲート端子は、m行のゲート線46のうち同じ1行のゲート線46にそれぞれ接続されている。
【0039】
ソース線駆動回路22は、複数の出力端子を備えているシフトレジスター50aと、シフトレジスター50aの複数の出力端子にそれぞれ接続されているn個のソース出力制御部51とを備えている。ソース線駆動回路22のシフトレジスター50aのデータ端子(D)は、水平スタート信号(H−Start)が入力される端子に接続されている。また、シフトレジスター50aのクロック端子(CLK)は、水平クロック信号(H−Clock)が入力される端子に接続されている。そして、シフトレジスター50aの出力端子QX1〜QXnは、n個のソース出力制御部51の入力端子にそれぞれ接続されている。
【0040】
n個のソース出力制御部51は、それぞれ、AND回路52、OR回路53、及びスイッチング素子54を備えている。n個のソース出力制御部51はそれぞれ同様の構成であり、シフトレジスター50aの出力端子QX1に接続されている1つのソース出力制御部51についての構成について説明する。AND回路52の第1の入力端子はシフトレジスター50aの出力端子QX1に接続され、第2の入力端子はソース線イネーブル信号(H−Enable)が入力される端子に接続されている。OR回路53の第1の入力端子はAND回路52の出力端子に接続され、第2の入力端子はプリチャージ制御信号(PreCharge)が入力される端子に接続されている。スイッチング素子54のゲート端子はOR回路53の出力端子X1に接続され、ソース端子は映像信号が入力される端子(表示階調に対応した駆動電圧が印加される端子)、ドレイン端子はアクティブ素子41のソース線45が接続されている。本実施形態においては、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)のアサートレベルをHighレベルとし、ネゲートレベルをLowレベルとする。
【0041】
ゲート線駆動回路23は、シフトレジスター50bを備えている。ゲート線駆動回路23のシフトレジスター50bのデータ端子(D)は、垂直スタート信号(V−Start)が入力される端子に接続されている。また、シフトレジスター50bのクロック端子(CLK)は、垂直クロック信号(V−Clock)が入力される端子に接続されている。そして、シフトレジスター50bの出力端子QY1〜QYmは、液晶パネル21のm行のゲート線46にそれぞれ接続されている。
【0042】
上述した表示部20において、ソース線駆動回路22、及びゲート線駆動回路23の駆動により、入力される映像信号に基づく表示階調に対応した駆動電圧が液晶パネル21のアクティブ素子41を介して画素電極42aに印加される。また、対向電極42bには、共通電極25の電位が供給される。これにより、各画素の画素電極42aと対向電極42b(共通電極25)との電極間にある液晶42及び保持容量43に電荷が蓄積され、この蓄積された電荷に基づいて液晶42が駆動されて、液晶パネル21に映像が表示される。
【0043】
以上、説明した第1実施形態の表示装置10の構成において、操作部11から電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)を制御することにより、映像信号(表示階調に対応した駆動電圧)と液晶パネル21(表示パネル)の共通電極25の電位とを接地電位に制御する。更に、制御部3は、液晶パネル21の各々のソース線45に対して接地電位に制御した駆動電圧を印加し、且つ各々のゲート線46に対してアクティブ素子41を順次オンさせる制御をすることで、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位を接地電位にする。これにより、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位と対向電極42b(共通電極25)の電位とが同一の接地電位に制御されて、画素P11〜Pmnの全ての電極間に蓄積されている電荷が放電される。その後、制御部3は、全てのソース出力制御部51のスイッチング素子54をオフさせることにより全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止する制御をしてから、電源をオフする。
【0044】
上述の制御をより詳しく説明する。ソース出力制御部51は、制御部3から入力されるプリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)に基づいて、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41のソース線45に対して一斉に駆動電圧を印加するか否かを切替える。
電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御することにより、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)において駆動電圧と共通電極25の電位とを接地電位に制御する。また、制御部3は、プリチャージ制御信号(PreCharge)をHighレベルすなわちアサートレベルに制御することにより、OR回路53の出力端子X1〜Xnの全てをHighレベルにさせて全てのスイッチング素子54をオンさせる。これにより、制御部3は、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41のソース線45に対して一斉に接地電位に制御した駆動電圧を印加する。
【0045】
次に、制御部3は、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)をLowレベルすなわちネゲートレベルに制御することにより、OR回路53の出力端子X1〜Xnの全てをLowレベルにさせて全てのスイッチング素子54をオフさせる。これにより、制御部3は、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41のソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止する。その後、制御部3は、電源部12に電源をオフする制御をして電力の供給を停止させる。
【0046】
次に、本第1実施形態における、動作について説明する。
図3は、本第1実施形態における電源オフ時の放電制御処理を示すタイミングチャートである。図3は、表示パネル駆動回路1が液晶パネル21に画像を表示させている状態から、操作部11において電源オフの操作がされて電源の供給を停止するまでの各部の信号を示している。図3に示す時刻t1から時刻t10の期間において、表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21に画像を表示させている状態にある。また、図3に示す時刻t10において電源オフの操作がされ、時刻t16において、制御部3は電源部12に電源をオフする制御をして電力の供給を停止させている。
【0047】
まず、時刻t1から時刻t10の期間において、表示パネル駆動回路1が液晶パネル21に画像を表示させている場合について説明する。操作部11において電源オンされた場合、電源オン/オフ信号はHighレベルの状態になり、制御部3の電源制御部32は、電源部12から電力が供給されて起動する。そして、電源制御部32は、制御部3の表示制御部31へ入力するリセット信号(Reset)をHighレベルに制御して表示制御部31のリセットを解除する。次に、表示制御部31は、切替制御信号(Sel)をHighレベルに制御する。これにより、切替部9a(第1の切替部)において映像信号が選択され、また切替部9b(第2の切替部)において共通電極25に印加するための所定の電位が選択されて、表示制御部31は、選択された映像信号と共通電極25に印加するための所定の電位とを表示部20にそれぞれ出力する。
【0048】
また、制御部3の制御によりソース線駆動回路22及びゲート線駆動回路23は、入力される映像信号に基づいた映像を液晶パネル21に表示させる。
ソース線駆動回路22のシフトレジスター50aは、制御部3から水平スタート信号(H−Start)及び水平クロック信号(H−Clock)が入力され、水平スタート信号(H−Start)のパルスを、水平クロック信号(H−Clock)のパルスのタイミングに従ってシフトレジスター50aの出力端子QX1〜QXnに順次出力する。シフトレジスター50aの出力端子QX1〜QXnから順次出力されるパルスは、ソース出力制御部51のAND回路52においてソース線イネーブル信号(H−Enable)のパルス幅に制限され、OR回路53の一方の入力端子に入力される。映像表示期間においては、OR回路53の他方の入力端子に入力されているプリチャージ制御信号(PreCharge)が制御部3によりLowレベルに制御される。そのため、上述のパルス幅が制限されたパルスがn個のソース出力制御部51のOR回路53の出力端子X1〜Xnに順次出力されることによりスイッチング素子54が順次オンになり、映像信号が、1〜n列のソース線45の列毎に順次印加される。
【0049】
ゲート線駆動回路23のシフトレジスター50bは、制御部3から垂直スタート信号(V−Start)及び垂直クロック信号(V−Clock)が入力され、垂直スタート信号(V−Start)のパルスを、垂直クロック信号(V−Clock)のパルスのタイミングに従ってシフトレジスター50bの出力端子QY1〜QYmに順次出力する。ゲート線駆動回路23のシフトレジスター50bの出力端子QY1〜QYmから順次出力されるパルスが1〜m行のゲート線46に順次印加されることにより、1〜m行のゲート線46に接続されているアクティブ素子41は、行毎に順次オンになる。このように、制御部3の制御により、ソース線駆動回路22及びゲート線駆動回路23は、画素P11〜Pmnのそれぞれのアクティブ素子41を水平方向及び垂直方向に順次駆動して、画素P11〜Pmnのそれぞれの画素電極42aに映像信号(表示階調に対応した駆動電圧)を印加する。これにより、液晶パネル21には、画素P11〜Pmnのそれぞれの画素電極42aと対向電極42b(共通電極25)との間に蓄積された電荷に対応した映像が表示される。
【0050】
なお、制御部3は、1水平期間毎にプリチャージ制御信号(PreCharge)を、1水平期間のうち映像表示期間以外の所定の期間においてHighレベルに制御する。これにより、制御部3は、全てのOR回路53の出力端子X1〜Xnを一斉にHighレベルにすることでスイッチング素子54が全てオンになり、液晶パネル21にプリチャージするための電荷をソース線45の全てに印加する。1水平期間毎にソース線45の全てに印加されたプリチャージするための電荷は、ゲート線駆動回路23により垂直方向に順次アクティブ素子41がオンされるのに従って、順次1〜m行の各行の画素に印加される。
【0051】
次に、図3に示す時刻t10において、電源オフの操作がされた後の動作について説明する。時刻t10において電源オフされたため、操作部11から制御部3及び電源部12に出力される電源オン/オフ信号は、Highレベルの状態からLowレベルになる。制御部3は、電源オン/オフ信号がLowレベルになることに応じて、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)に出力する切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御する。これにより、制御部3は、映像信号と液晶パネル21の共通電極25の電位とを接地電位に制御する。
【0052】
また、制御部3は、プリチャージ制御信号(PreCharge)及び垂直スタート信号(V−Start)を、Highレベルに制御する。制御部3によりプリチャージ制御信号(PreCharge)がHighレベルに制御されたため、ソース線駆動回路22のOR回路53の出力端子X1〜Xnは、Highレベルになる。よって、ソース線駆動回路22の全てのスイッチング素子54がオンされて、1〜n列の全てのソース線45に接地電位が印加される。また、制御部3により垂直スタート信号(V−Start)がHighレベルに制御されたため、ゲート線駆動回路23のシフトレジスター50bの出力端子QY1〜QYmは、垂直クロック信号(V−Clock)のパルスのタイミングに従って順次Highレベルになる。そして、1垂直期間後に全ての出力端子QY1〜QYmがHighレベルになるため、1〜m行のゲート線46が全てHighレベルになりアクティブ素子41が全てオンされる。
【0053】
このようにして、制御部3は、映像信号と共通電極25の電位とを接地電位に制御するとともに、垂直クロック信号(V−Clock)のパルスのタイミングに従ってアクティブ素子41を順次オンさせることにより、時刻t10から少なくとも1垂直期間後において、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位と対向電極42b(共通電極25)の電位とを同一の接地電位にさせて、電極間に蓄積されている電荷を放電させる。
ここで、図3の時刻t10において電源がオフされてから時刻t15までの電極間に蓄積されている電荷を放電させる期間は、予め制御部3に設定されている所定の期間である。図3においては、時刻t10から時刻t15までの期間は、一例として50msecに設定されている。これは、時刻t10において、制御部3が切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御してから、共通電極25の電位が実際に接地電位になるまでにタイムラグがあり、時刻t12において共通電極25の電位が接地電位になった後に、時刻t15までの期間において1垂直期間以上確保できるように設定されている。
【0054】
次に、制御部3は、時刻t10から時刻t15までの期間において画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aに接地電位を印加していた状態から、時刻t15から時刻t16の期間において、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aに電圧が印加されない状態に制御してから、時刻t16において電源部12に電力の供給を停止させる。これにより、電力の供給が停止される際の過渡的な状態において、映像信号または共通電極25に意図しない電位が生じても、画素P11〜Pmnに再度電荷が蓄積されることを防止する。
【0055】
時刻t15から時刻t16までの期間において、制御部3の電源制御部32は、表示制御部31へ入力するリセット信号(Reset)をLowレベルにして表示制御部31をリセット状態にしている。これにより、表示制御部31の出力信号はLowレベルになる。制御部3からソース線駆動回路22に入力されるプリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)がLowレベルになることにより、OR回路53の出力端子X1〜Xnの全てがLowレベルになり全てのスイッチング素子54が一斉にオフされる。これにより、制御部3は、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41のソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止して、全ての画素電極42aに電圧が印加されない状態に制御する。
【0056】
ここで、図3の時刻t15から時刻t16までの期間は、予め制御部3に設定されている所定の期間である。図3においては、時刻t15から時刻t16までの期間は、一例として5msecに設定されている。これは、時刻t15において制御部3の表示制御部31がリセットされてから、全てのスイッチング素子54がオフされるまでに必要な期間として設定されている。
【0057】
時刻t16において、制御部3の電源制御部32は、電源部12に電力の供給を停止させる制御をする。これにより、電源部12は、電源をオフして電力の供給を停止する。時刻t16から時刻t18の期間において、映像信号及び共通電極25に意図しない電位が生じているが、全てのスイッチング素子54がオフされているため、画素P11〜Pmnに電荷は蓄積されない。
【0058】
以上のように、本第1実施形態における表示装置10は、操作部11から電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)を制御することにより、映像信号(表示階調に対応した駆動電圧)と液晶パネル21(表示パネル)の共通電極25の電位とを接地電位に制御する。更に、制御部3は、液晶パネル21の各々のソース線45に対して接地電位に制御した駆動電圧を印加し、且つ各々のゲート線46に対してアクティブ素子41を順次オンさせる制御をすることで、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位を接地電位にする。これにより、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位と対向電極42b(共通電極25)の電位とが同一の接地電位に制御されて、画素P11〜Pmnの全ての電極間に蓄積されている電荷が放電される。その後、制御部3は、全てのソース出力制御部51のスイッチング素子54をオフさせることにより全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止する制御をしてから、電源をオフする。
【0059】
これにより、本第1実施形態における表示装置10は、液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。また、表示装置10は、画素の電極間に蓄積されている電荷を放電させた後、全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止する制御をするため、水平クロック信号(H−Clock)のパルスのタイミングに従って順次ソース線45に対して駆動電圧の印加を停止する場合に比較して、短い時間で放電制御処理を終了して電源をオフすることができる。
【0060】
なお、図3の時刻t15から時刻t16までの期間において、制御部3の電源制御部32は、表示制御部31をリセット状態にすることで、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)をLowレベルに制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、表示制御部31がプリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)をLowレベルに制御してから、図3の時刻t16において制御部3の電源制御部32は、表示制御部31をリセット状態にするとともに、電源部12に電力の供給を停止させる制御をしてもよい。
【0061】
<第2実施形態>
以下、本第2実施形態における表示装置10について説明する。第1実施形態における図3の時刻t10から時刻t15の期間において、制御部3は、アクティブ素子41をオンさせるゲート電圧を、m行のゲート線46に順次印加させる制御をしたが、本第2実施形態においては、m行のゲート線46の全てに一斉に印加させる制御をする。
【0062】
本第2実施形態による表示パネル駆動回路1により液晶パネル21が駆動される表示装置10の構成は、図1に示す構成と同様であり、その説明を省略する。
図4は、本第2実施形態における表示部20の構成を示す概略等価回路図である。同図において図2の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
表示部20は、液晶パネル21、ソース線駆動回路22、及びゲート線駆動回路23を備えており、図4の液晶パネル21、及びソース線駆動回路22は、図2の液晶パネル21、及びソース線駆動回路22にそれぞれ対応している。
【0063】
図4のゲート線駆動回路23は、複数の出力端子を備えているシフトレジスター50bとシフトレジスター50bの複数の出力端子にそれぞれ接続されているn個のゲート出力制御部61とを備えている。ゲート線駆動回路23のシフトレジスター50bのデータ端子(D)は、垂直スタート信号(V−Start)が入力される端子に接続されている。また、シフトレジスター50bのクロック端子(CLK)は、垂直クロック信号(V−Clock)が入力される端子に接続されている。そして、シフトレジスター50bの出力端子QY1〜QYmは、n個のゲート出力制御部61の入力端子にそれぞれ接続されている。
【0064】
n個のゲート出力制御部61は、それぞれ、AND回路62、及びOR回路63を備えている。n個のゲート出力制御部61はそれぞれ同様の構成であり、シフトレジスター50bの出力端子QY1に接続されている1つのゲート出力制御部61についての構成について説明する。AND回路62の第1の入力端子はシフトレジスター50bの出力端子QY1に接続され、第2の入力端子はゲート線イネーブル信号(V−Enable)が入力される端子に接続されている。OR回路63の第1の入力端子はAND回路62の出力端子に接続され、第2の入力端子はゲート線プリセット信号(V−Preset)が入力される端子に接続されている。OR回路63の出力端子Y1は、液晶パネル21の1行目のゲート線46に接続されている。本実施形態においては、ゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)のアサートレベルをHighレベルとし、ネゲートレベルをLowレベルとする。
【0065】
本第2実施形態の表示装置10の構成において、操作部11から電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)を制御することにより、映像信号(表示階調に対応した駆動電圧)と液晶パネル21(表示パネル)の共通電極25の電位とを接地電位に制御する。更に、制御部3は、液晶パネル21の全てのソース線45に対して一斉に接地電位に制御した駆動電圧を印加し、且つ全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオンさせる制御をすることで、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位を一斉に接地電位にする。これにより、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位と対向電極42b(共通電極25)の電位とが一斉に同一の接地電位に制御されて、画素P11〜Pmnの全ての電極間に蓄積されている電荷が放電される。その後、制御部3は、全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオフさせる制御をしてから、電源をオフする。
【0066】
上述の制御をより詳しく説明する。ソース出力制御部51は、制御部3から入力されるプリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)に基づいて、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41のソース線45に対して一斉に駆動電圧を印加するか否かを切替える。また、ゲート出力制御部61は、制御部3から入力されるゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)に基づいて、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41のゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオン/オフさせるゲート電圧を印加する。
【0067】
電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御することにより、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)において駆動電圧と共通電極25の電位とを接地電位に制御する。また、制御部3は、プリチャージ制御信号(PreCharge)をHighレベルに制御することにより、OR回路53の出力端子X1〜Xnの全てをHighレベルにさせて全てのスイッチング素子54をオンさせる。これにより、制御部3は、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41のソース線45に対して一斉に接地電位に制御した駆動電圧を印加させる。更に、制御部3は、ゲート線プリセット信号(V−Preset)をHighレベルすなわちアサートレベルに制御することにより、OR回路63の出力端子Y1〜Ymの全てをHighレベルにさせて全てのゲート線46を一斉にHighレベルに制御する。これにより、制御部3は、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41を一斉にオンさせる。
よって、制御部3は、切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御するとともに、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びゲート線プリセット信号(V−Preset)の両方の信号をHighレベルに制御することにより、全てのアクティブ素子41の画素電極42aに対して一斉に接地電位に制御した駆動電圧を印加する制御をする。
【0068】
次に、制御部3は、ゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)を制御して全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオフさせる制御をする。この場合、制御部3は、ゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)をLowレベルすなわちネゲートレベルに制御することにより、OR回路63の出力端子Y1〜Ymの全てをLowレベルにさせて全てのゲート線46を一斉にLowレベルに制御する。これにより、制御部3は、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41を一斉にオフさせる。その後、制御部3は、電源部12に電源をオフする制御をして電力の供給を停止させる。
【0069】
次に、本第2実施形態における、動作について説明する。
図5は、本第2実施形態における電源オフ時の放電制御処理を示すタイミングチャートである。図5は、表示パネル駆動回路1が液晶パネル21に画像を表示させている状態から、操作部11において電源オフの操作がされて電源の供給を停止するまでの各部の信号を示している。同図において図3の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0070】
図5の時刻t1から時刻t10の期間における表示パネル駆動回路1が液晶パネル21に画像を表示させている期間は、図3の時刻t1から時刻t10の期間に対応しており、表示パネル駆動回路1は、図3に示す動作と同様の動作を実行している。図5に示す、制御部3から出力されるゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)は、ゲート線駆動回路23に入力されて液晶パネル21のゲート線46に対して垂直方向の駆動を制御する制御信号である。この時刻t1から時刻t10の期間において、制御部3は、ゲート線プリセット信号(V−Preset)をLowレベルに制御し、且つゲート線イネーブル信号(V−Enable)をHighレベルに制御する。この制御により、ゲート線駆動回路23のシフトレジスター50bの出力端子QY1〜QYmから出力されるパルスがゲート出力制御部61のOR回路63の出力端子Y1〜Ymにスルーされて出力されるため、図3におけるゲート線駆動回路23による動作と同様の動作が実行される。
【0071】
次に、図5に示す時刻t10において、電源オフの操作がされた後の動作について説明する。時刻t10において電源オフされたため、操作部11から制御部3及び電源部12に出力される電源オン/オフ信号は、Highレベルの状態からLowレベルになる。制御部3は、電源オン/オフ信号がLowレベルになることに応じて、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)に出力する切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御する。これにより、制御部3は、映像信号と液晶パネル21の共通電極25の電位とを接地電位に制御する。
【0072】
また、制御部3は、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びゲート線プリセット信号(V−Preset)を、Highレベルに制御する。制御部3によりプリチャージ制御信号(PreCharge)がHighレベルに制御されたため、ソース線駆動回路22のOR回路53の出力端子X1〜Xnは、Highレベルになる。よって、ソース線駆動回路22の全てのスイッチング素子54が一斉にオンされて、1〜n列の全てのソース線45に接地電位が印加される。また、制御部3によりゲート線プリセット信号(V−Preset)がHighレベルに制御されたため、ゲート線駆動回路23のOR回路63の出力端子Y1〜Ymは、Highレベルになる。よって、液晶パネル21の1〜m行の全てのゲート線46が一斉にHighレベルになりアクティブ素子41が全てオンされる。
【0073】
このようにして、制御部3は、映像信号と共通電極25の電位とを接地電位にさせるとともに、全てのソース線45に接地電位を一斉に印加し、且つ全てのアクティブ素子41を一斉にオンさせることにより、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位と対向電極42b(共通電極25)の電位とを一斉に同一の接地電位にさせて、電極間に蓄積されている電荷を放電させる。
ここで、図5の時刻t10において電源がオフされてから時刻t15までの電極間に蓄積されている電荷を放電させる期間は、予め制御部3に設定されている所定の期間である。図5においては、時刻t10から時刻t15までの期間は、一例として20msecに設定されている。これは、時刻t10において、制御部3が切替制御信号(Sel)をLowレベルに制御してから、共通電極25の電位が実際に接地電位になるまでにタイムラグがあり、時刻t12において共通電極25の電位が接地電位になった後、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位と対向電極42b(共通電極25)の電位とが接地電位になるまでの期間が確保できるように設定されている。
【0074】
次に、図5の時刻t15から時刻t16の期間において図3の時刻t15から時刻t16の期間と同様に、制御部3は、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aに電圧が印加されない状態に制御してから、時刻t16において電源部12に電力の供給を停止させる。図5の時刻t15から時刻t16までの期間において、制御部3の電源制御部32は、表示制御部31へ入力するリセット信号(Reset)をLowレベルにして表示制御部31をリセット状態にしている。これにより、表示制御部31の出力信号はLowレベルになる。よって、制御部3からソース線駆動回路22に入力されるゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)がLowレベルになることにより、OR回路63の出力端子Y1〜Ymの全てがLowレベルになり全てのゲート線46が一斉にLowレベルになる。これにより、制御部3は、全ての画素P11〜Pmnのアクティブ素子41を一斉にオフさせて、全ての画素電極42aに電圧が印加されない状態に制御する。ここで、図5の時刻t15から時刻t16までの期間は、図3の時刻t15から時刻t16までの期間と同様であって、予め制御部3に設定されている所定の期間である。
【0075】
図5の時刻t16において図3の時刻t16と同様に、制御部3の電源制御部32は、電源部12に電力の供給を停止させる制御をする。これにより、電源部12は、電源オフして電力の供給を停止する。時刻t16から時刻t18の期間において、映像信号及び共通電極25に意図しない電位が生じているが、全てのスイッチング素子54がオフされているため、画素P11〜Pmnに電荷は蓄積されない。
【0076】
以上のように、本第2実施形態における表示装置10は、操作部11から電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、切替部9a(第1の切替部)、及び切替部9b(第2の切替部)を制御することにより、映像信号(表示階調に対応した駆動電圧)と液晶パネル21(表示パネル)の共通電極25の電位とを接地電位に制御する。更に、制御部3は、液晶パネル21の全てのソース線45に対して一斉に接地電位に制御した駆動電圧を印加し、且つ全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオンさせる制御をすることで、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位を一斉に接地電位にする。これにより、画素P11〜Pmnの全ての画素電極42aの電位と対向電極42b(共通電極25)の電位とが一斉に同一の接地電位に制御されて、画素P11〜Pmnの全ての電極間に蓄積されている電荷が放電される。その後、制御部3は、全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオフさせる制御をしてから、電源をオフする。
【0077】
これにより、本第2実施形態における表示装置10は、液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。また、表示装置10は、画素の電極間に蓄積されている電荷を放電させる際、全てのゲート線46を一斉に制御してアクティブ素子41をオンすることで、全ての画素電極42aの電位を一斉に接地電位にする制御をする。そのため、本第2実施形態における表示装置10は、第1実施形態における表示装置10が垂直クロック信号(V−Clock)のパルスのタイミングに従って順次ゲート線46を制御してアクティブ素子41をオンする場合に比較して、更に短い時間で放電制御処理を終了して電源をオフすることができる。
【0078】
なお、図5の時刻t15から時刻t16までの期間において、制御部3の電源制御部32は、表示制御部31をリセット状態にすることで、ゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)をLowレベルに制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、表示制御部31がゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)をLowレベルに制御してから、図5の時刻t16において制御部3の電源制御部32は、表示制御部31をリセット状態にするとともに、電源部12に電源の供給を停止させる制御をしてもよい。また、図5の時刻t15から時刻t16までの期間においては、第1実施形態における図3の時刻t15から時刻t16までの期間と同様に、制御部3は、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)をLowレベルに制御してもよい。
【0079】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態による表示パネル駆動回路1により液晶パネル21が駆動される表示装置10の構成を示す概略ブロック図である。図6に示す表示パネル駆動回路1は、外部電源から供給される電圧を検出する電圧検出部13を備えている。同図において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0080】
電圧検出部13は、電源部12にACプラグを介して外部から供給される商用交流電源の電圧を検出し、検出した電圧が所定の閾値以下であるか否かの検出信号を制御部3に出力する。ここで、電圧検出部13により検出された電圧が所定の閾値以下になる場合とは、例えば、電源部12に外部から供給される商用交流電源の接続が遮断されることにより、電源部12に外部から電力が供給されなくなる場合である。例えば、電圧検出部13は、検出した電圧が所定の閾値より高い場合、制御部3に出力する検出信号をHighレベルの状態にし、検出した電圧が所定の閾値以下の場合、制御部3に出力する検出信号をLowレベルの状態にする。
【0081】
制御部3は、電圧検出部13からLowレベルの検出信号が入力された場合、操作部11から電源オフの指令が入力された場合と同様に、第1実施形態または第2実施形態における放電制御処理を実行してから電源をオフする。この場合、電源部12は不図示の補助電源を備えており、外部から供給される電源が遮断されてから電源がオフされるまでの期間、表示装置10は補助電源から供給される電力により動作を実行する。
これにより、本第3実施形態の表示装置10は、電源部12に外部から供給される電源が遮断された場合でも、液晶パネル21の全ての画素P11〜Pmnの残留電荷を適切に放電させることができる。
【0082】
ここで、電源部12に備えられている補助電源は、例えば、電源部12に外部電源から供給される電力により電荷が蓄積されるスーパーキャパシター(大容量コンデンサー)である。外部電源から供給される電力が遮断された場合、電源部12は、スーパーキャパシターを補助電源として、スーパーキャパシターに蓄積された電荷に基づいて所定の期間のみ電力を供給する。また、電源部12がスーパーキャパシターから電力を供給する所定の期間は、電源部12が外部電源から供給される電力が遮断されてから制御部3が放電制御処理動作を実行して電源オフするまでの期間が必要である。そのため、電源部12は、制御部3が放電制御処理動作を実行してから電源をオフするまでの期間に対して電力を供給することが可能な容量のスーパーキャパシターを備えている。
【0083】
以上のように、本第3実施形態における表示装置10は、電源部12に外部電源から供給される電力が遮断された場合、制御部3が電源オフの指令が入力された場合と同様に放電制御処理を実行してから電源をオフする。これにより、本第3実施形態における表示装置10は、電源部12に外部電源から供給される電力が遮断された場合であっても、液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0084】
また、本第3実施形態の表示装置10において、電源部12に外部から供給される電源が遮断された場合、制御部3は、液晶パネル21の全てのソース線45、または全てのゲート線46に対して一斉に制御を実行するため、ソース線45またはゲート線46に対して順次制御を実行する場合に比較して、短い時間で放電制御処理を実行することができる。これにより、本第3実施形態の表示装置10においては、電源部12が備えるスーパーキャパシターの容量を小さくすることが可能であって、回路部品面積の削減及びコスト低減が可能である。
【0085】
なお、電圧検出部13は、電源部12に外部から供給される商用交流電源の電圧を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電源部12に商用交流電源から直流電源に変換された電源が電源部12に外部から供給される場合において、電圧検出部13は、電源部12に外部から供給される直流電源の電圧を検出してもよい。また、電圧検出部13は、電源部12から表示装置10の各部に供給される電源電圧を検出することにより、電源部12に外部電源から供給される電力が遮断されたか否かを検出してもよい。
【0086】
<第4実施形態>
図7は、本発明における表示装置10を備えている電子機器の一例であり、液晶パネル21を液晶ライトバルブ122〜124として用いた、プロジェクター100の構成を示す概略ブロック図である。
図7に示すように、プロジェクター100は、表示装置10、照明装置110、色分離光学系121、クロスダイクロイックプリズム125、及び投射光学系126を備えており、外部から入力される画像を、スクリーン127に投射する。また、表示装置10は、液晶パネル21として、液晶ライトバルブ122〜124を備えている。
【0087】
照明装置110は、光源装置101と、第1レンズアレイ111及び第2レンズアレイ112とを備えている。また、第1レンズアレイ111及び第2レンズアレイ112は、それぞれ複数のレンズ111a及びレンズ112aを備えている。そして、光源装置101から射出された光は、第1レンズアレイ111及び第2レンズアレイ112を介すことにより、被照明領域である液晶ライトバルブ122〜124において、照度分布が均一化されるようになっている。
【0088】
色分離光学系121は、ダイクロイックミラー113、114と、反射ミラー115〜117と、レンズ118〜120とを備えており、照明装置110から入射された光を、赤色光LR、緑色光LG、及び青色光LBに分離して、液晶ライトバルブ122〜124にそれぞれ入射する。ダイクロイックミラー113、114は、所定の波長領域の光を選択的に反射して、それ以外の波長領域の光を透過させるミラーであり、例えば透明基板上に誘電体多層膜が積層されたミラーである。ダイクロイックミラー113は、照明装置110からの光のうち赤色光LRを透過させ、緑色光LG、及び青色光LBを反射する。ダイクロイックミラー114は、反射された緑色光LG、及び青色光LBのうち、青色光LBを透過させ、緑色光LGを反射する。
【0089】
これにより、照明装置110からの光のうち、赤色光LRは、ダイクロイックミラー113を透過した後、反射ミラー117で反射され、赤色光用の液晶ライトバルブ122に入射される。緑色光LGは、ダイクロイックミラー113で反射された後、ダイクロイックミラー114で反射され、緑色光用の液晶ライトバルブ123に入射される。青色光LBは、ダイクロイックミラー113で反射され、ダイクロイックミラー114を透過した後、レンズ118、反射ミラー115、レンズ119、反射ミラー116、及びレンズ120を介して、青色光用の液晶ライトバルブ124に入射される。
【0090】
液晶ライトバルブ122〜124は、外部から入力される映像信号に基づいて、入射された赤色光LR、緑色光LG、及び青色光LBを変調して赤色の画像光、緑色の画像光、及び青色の画像光を生成し、それぞれクロスダイクロイックプリズム125に入射する。
【0091】
クロスダイクロイックプリズム125は、入射された赤色の画像光、緑色の画像光、及び青色の画像光を合成してカラー画像光を生成する。クロスダイクロイックプリズム125は、直角プリズムが貼り合わされた構造となっており、その内面に赤色の画像光を反射するミラー面と青色の画像光を反射するミラー面とが十字状に形成されている。これにより、入射された赤色の画像光、緑色の画像光、及び青色の画像光が、このミラー面を介して合成され、カラー画像光が生成される。生成されたカラー画像光は、投射光学系126を介して、スクリーン127に拡大投射される。
【0092】
本発明の電子機器の一例であるプロジェクター100によれば、本実施形態における表示装置10を備えているので、液晶ライトバルブ122〜124(液晶パネル21)の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0093】
なお、電子機器の一例として、表示装置10を備えるプロジェクター100とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。表示装置10を備える電子機器は、例えば、携帯電話、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、フォトフレーム、テレビ、カーナビゲーション装置、電子手帳、及びワードプロセッサー等の電子機器としてもよい。
【0094】
以上、第1実施形態から第4実施形態において説明してきたように、本実施形態における表示パネル駆動回路1、表示装置10、及びプロジェクター100(電子機器)は、液晶パネル21(表示パネル)の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。また、本実施形態における表示パネル駆動回路1、表示装置10、及びプロジェクター100(電子機器)は、液晶パネル21(表示パネル)において、画素の残留電荷を適切に放電させることにより、残留電荷による焼き付き現象及び液晶パネル21の劣化を防止することができる。
【0095】
なお、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1は、各画素の表示階調が各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる液晶パネル21を駆動する表示パネル駆動回路1であって、各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替えるソース線駆動回路22と、アクティブ素子41のゲート線46に対してアクティブ素子41をオン/オフさせるゲート電圧を印加するゲート線駆動回路23と、電源オフの指令が入力された場合、駆動電圧と液晶パネル21の共通電極25の電位とを基準電位に制御するとともに、各々のソース線45に対して駆動電圧を印加し、且つ各々のゲート線46に対してアクティブ素子41をオンさせる制御をした後、全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止する制御をしてから電源オフする制御部3とを備えている。
【0096】
これにより、電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、ソース線駆動回路22により液晶パネル21の各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に印加される駆動電圧と、液晶パネル21の共通電極25とを基準電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。また、その後、制御部3は、ソース線駆動回路22により全ての画素のソース線45に駆動電圧を印加させないように制御してから電源をオフする。そのため、電力供給が停止される過渡的な状態において当該駆動電圧及び共通電極25に電圧変動が発生した場合でも、各画素の電極間に変動した電圧が印加されず、各画素の電極間の電荷が放電された状態が維持される。よって、本発明の表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。また、制御部3は、全ての画素の各ソース線45に対して一斉に駆動電圧を印加させないように制御するため、液晶パネル21に映像信号を表示させる際に各ソース線45を順次制御して1画面分を制御する場合に比較して、電源オフの指令が入力された場合、短い時間で放電制御処理を終了して電源をオフすることができる。
【0097】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1は、各画素の表示階調が各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる液晶パネル21を駆動する表示パネル駆動回路1であって、各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替えるソース線駆動回路22と、アクティブ素子41のゲート線46に対してアクティブ素子41をオン/オフさせるゲート電圧を印加するゲート線駆動回路23と、電源オフの指令が入力された場合、駆動電圧と液晶パネル21の共通電極25の電位とを基準電位に制御するとともに、各々のソース線45に対して駆動電圧を印加し、且つ各々のゲート線46に対してアクティブ素子41をオンさせる制御をした後、全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオフさせる制御をしてから電源オフする制御部3とを備えている。
【0098】
これにより、電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、ソース線駆動回路22により液晶パネル21の各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に印加される駆動電圧と、液晶パネル21の共通電極25とを基準電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。また、その後、制御部3は、ゲート線駆動回路23により全ての画素のアクティブ素子41をオフさせる制御をしてから電源をオフする。そのため、電力供給が停止される過渡的な状態において当該駆動電圧及び共通電極25に電圧変動が発生した場合でも、各画素の電極間に変動した電圧が印加されず、各画素の電極間の電荷が放電された状態が維持される。よって、本発明の表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。また、制御部3は、全ての画素の各ゲート線46に対して一斉に全ての画素のアクティブ素子41をオフさせる制御をするため、液晶パネル21に映像信号を表示させる際に各ゲート線46を順次制御して1画面分を制御する場合に比較して、電源オフの指令が入力された場合、短い時間で放電制御処理を終了して電源をオフすることができる。
【0099】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1において、制御部3は、電源オフの指令が入力された場合、駆動電圧と液晶パネル21の共通電極25の電位とを基準電位に制御するとともに、全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧を印加し、且つ全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオンさせる制御をした後、全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止する制御、または全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオフさせる制御をしてから電源オフする。
【0100】
これにより、制御部3は、ソース線駆動回路22により液晶パネル21の各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に印加される駆動電圧と、液晶パネル21の共通電極25とを基準電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。また、全ての画素の各ソース線45に対して一斉に駆動電圧を印加するとともに、全ての画素の各ゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオンさせる制御をするため、液晶パネル21に映像信号を表示させる際に各ソース線45及び各ゲート線46を順次制御して1画面分を制御する場合に比較して、電源オフの指令が入力された場合、短い時間で各画素のそれぞれの電極を基準電位にして電極間の蓄積電荷を放電することができる。
【0101】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1は、外部電源から供給される電圧を検出する電圧検出部13を備え、制御部3は、電圧検出部13により検出される電圧が所定の閾値以下の場合、駆動電圧と液晶パネル21の共通電極25の電位とを基準電位に制御する。これにより、表示パネル駆動回路1は、外部から供給される電源が遮断された場合であっても、液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0102】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1は、駆動電圧または基準電位の何れかをソース線駆動回路22に出力する第1の切替部9aと、所定の電位または基準電位の何れかを液晶パネル21の共通電極25に出力する第2の切替部9bとを備え、制御部3は、電源オフの指令が入力された場合、第1の切替部9a及び第2の切替部9bを制御してそれぞれ基準電位を出力させる。
これにより、制御部3は、少なくとも1つの制御信号のみで第1の切替部9a及び第2の切替部9bを切替えることにより、ソース線駆動回路22により液晶パネル21の各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に印加される駆動電圧と、液晶パネル21の共通電極25とを接地電位に制御することができる。
【0103】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1において、基準電位は、接地電位である。これにより、制御部3は、ソース線駆動回路22により液晶パネル21の各画素を駆動するアクティブ素子41のソース線45に印加される駆動電圧と、液晶パネル21の共通電極25とを接地電位に制御するため、各画素の電極間の蓄積電荷が放電される。よって、本発明の表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0104】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1において、ソース線駆動回路22は、複数の出力端子を備えているシフトレジスター50aと、シフトレジスター50aの複数の出力端子にそれぞれ接続されている複数のソース出力制御部51とを備え、複数のソース出力制御部51は、それぞれ、第1の入力端子がシフトレジスター50aの出力端子に接続され、第2の入力端子にプリチャージ制御信号(PreCharge)が入力され、第3の入力端子にソース線イネーブル信号(H−Enable)が入力され、ソース出力制御部51の出力端子がアクティブ素子41のソース線45に接続されており、制御部3は、電源オフの指令が入力された場合、プリチャージ制御信号(PreCharge)を制御して全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧を印加させる制御、または、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)を制御して全てのソース線45に対して一斉に駆動電圧の印加を停止させる制御をする。
これにより、表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21を駆動するために必要な制御信号を放電制御処理の制御信号としているため、新たに別の制御信号を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0105】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1において、複数のソース出力制御部51は、それぞれ、第1の入力端子がシフトレジスター50aの出力端子に接続され、第2の入力端子にソース線イネーブル信号(H−Enable)が入力されるAND回路52と、第1の入力端子がAND回路52の出力端子に接続され、第2の入力端子にプリチャージ制御信号(PreCharge)が入力されるOR回路53と、ゲート端子がOR回路53の出力端子に接続され、ソース端子に駆動電圧が印加され、ドレイン端子がアクティブ素子41のソース線45に接続されているスイッチング素子54との組みを備え、制御部3は、電源オフの指令が入力された場合、プリチャージ制御信号(PreCharge)をHighレベルに制御して全てのスイッチング素子54を一斉にオンさせる制御、または、プリチャージ制御信号(PreCharge)及びソース線イネーブル信号(H−Enable)をLowレベルに制御して全てのスイッチング素子54を一斉にオフさせる制御をする。
これにより、表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21を駆動するために必要な制御信号および液晶パネル21に必要な駆動回路を放電制御処理の制御信号及び駆動回路としているため、新たな別の制御信号、及び液晶パネル21における駆動回路を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0106】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1において、ゲート線駆動回路23は、複数の出力端子を備えているシフトレジスター50bと、シフトレジスター50bの複数の出力端子にそれぞれ接続されている複数のゲート出力制御部61とを備え、複数のゲート出力制御部61は、それぞれ、第1の入力端子がシフトレジスター50bの出力端子に接続され、第2の入力端子にゲート線プリセット信号(V−Preset)が入力され、第3の入力端子にゲート線イネーブル信号(V−Enable)が入力され、ゲート出力制御部61の出力端子がアクティブ素子41のゲート線46に接続されており、制御部3は、電源オフの指令が入力された場合、ゲート線プリセット信号(V−Preset)を制御して全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオンさせる制御、または、ゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)を制御して全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオフさせる制御をする。
これにより、表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21を駆動するために必要な制御信号を放電制御処理の制御信号としているため、新たに別の制御信号を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0107】
また、本発明の実施形態に記載の表示パネル駆動回路1において、複数のゲート出力制御部61は、それぞれ、第1の入力端子がシフトレジスター50bの出力端子に接続され、第2の入力端子にゲート線イネーブル信号(V−Enable)が入力されるAND回路62と、第1の入力端子がAND回路62の出力端子に接続され、第2の入力端子にゲート線プリセット信号(V−Preset)が入力され、出力端子がアクティブ素子41のゲート線46に接続されているOR回路63との組みを備え、制御部3は、電源オフの指令が入力された場合、ゲート線プリセット信号(V−Preset)をHighレベルに制御して全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオンさせる制御、または、ゲート線プリセット信号(V−Preset)及びゲート線イネーブル信号(V−Enable)をLowレベルに制御して全てのゲート線46に対して一斉にアクティブ素子41をオフさせる制御をする。
これにより、表示パネル駆動回路1は、液晶パネル21を駆動するために必要な制御信号および液晶パネル21に必要な駆動回路を放電制御処理の制御信号及び駆動回路としているため、新たな別の制御信号、及び液晶パネル21における駆動回路を追加することなく、放電制御処理を実行することができる。
【0108】
また、本発明の実施形態に記載の表示装置10は、各画素の表示階調が各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる液晶パネル21と、本実施形態における表示パネル駆動回路1とを備えている。これにより、表示装置10は、上述の表示パネル駆動回路1を備えるため、表示装置10の備えている液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0109】
また、本発明の実施形態に記載のプロジェクター100(電子機器)は、本実施形態における表示装置10を備えている。これにより、プロジェクター100(電子機器)は、上述の表示装置10を備えるため、プロジェクター100(電子機器)の備えている液晶パネル21の画素の残留電荷を適切に放電させることができる。
【0110】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、表示パネルとして、薄膜トランジスター(TFT)により駆動される液晶パネル21を例としたが、これに限定されるものではない。表示パネルとして、画素がアクティブ素子41により駆動され、各画素の電極間に蓄積された電荷によって表示階調が決まる液晶パネル21以外の表示パネルとしてもよい。
また、上述した実施形態においては、アサートレベルをHighレベルとし、ネゲートレベルをLowレベルとする態様を例示したが、論理回路の構成に応じて、アサートレベルをLowレベルに、ネゲートレベルをHighレベルに、それぞれ入れ替えてもよい。
【0111】
なお、電源部12に外部電源から供給される電源は、商用交流電源、または商用交流電源から直流電圧に変換された電源に限定されるものではない。例えば、外部電源から供給される電源は、表示装置10または電子機器が有している1次電池または2次電池から供給される電源であってもよい。
また、電源オフの指令が入力された場合、制御部3は、映像信号と共通電極25の電位とを接地電位に制御するのに代えて、映像信号と共通電極25の電位とを所定の基準電位に制御してもよい。
【0112】
なお、本実施形態における制御部3における表示制御部31及び電源制御部32は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリー及びCPU(Central Processing Unit)により構成され、上述の制御部3の各部の機能を実現するためのプログラムをメモリーにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0113】
また、上述の制御部3における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することにより制御部3の各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0114】
また、「コンピューターシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0115】
1…表示パネル駆動回路、3…制御部、9a,9b…切替部、10…表示装置、11…操作部、12…電源部、13…電圧検出部、20…表示部、21…液晶パネル、22…ソース線駆動回路、23…ゲート線駆動回路、25…共通電極、31…表示制御部、32…電源制御部、41…アクティブ素子、42…液晶、42a…画素電極、42b…対向電極、43…保持容量、45…ソース線、46…ゲート線、50a,50b…シフトレジスター、51…ソース出力制御部、52,62…AND回路、53,63…OR回路、54…スイッチング素子、61…ゲート出力制御部、100…プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素の表示階調が前記各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる表示パネルを駆動する表示パネル駆動回路であって、
前記各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替えるソース線駆動回路と、
前記アクティブ素子のゲート線に対して前記アクティブ素子をオン/オフさせるゲート電圧を印加するゲート線駆動回路と、
電源オフの指令が入力された場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御するとともに、
各々の前記ソース線に対して前記駆動電圧を印加し、且つ各々の前記ゲート線に対して前記アクティブ素子をオンさせる制御をした後、全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧の印加を停止する制御をしてから電源オフする制御部と、
を備えることを特徴とする表示パネル駆動回路。
【請求項2】
各画素の表示階調が前記各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる表示パネルを駆動する表示パネル駆動回路であって、
前記各画素を駆動するアクティブ素子のソース線に対して表示階調に対応した駆動電圧を印加するか否かを切替えるソース線駆動回路と、
前記アクティブ素子のゲート線に対して前記アクティブ素子をオン/オフさせるゲート電圧を印加するゲート線駆動回路と、
電源オフの指令が入力された場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御するとともに、
各々の前記ソース線に対して前記駆動電圧を印加し、且つ各々の前記ゲート線に対して前記アクティブ素子をオンさせる制御をした後、全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をしてから電源オフする制御部と、
を備えることを特徴とする表示パネル駆動回路。
【請求項3】
前記制御部は、
電源オフの指令が入力された場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御するとともに、
全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧を印加し、且つ全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオンさせる制御をした後、全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧の印加を停止する制御、または全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をしてから電源オフする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項4】
外部電源から供給される電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記制御部は、
前記電圧検出部により検出される電圧が所定の閾値以下の場合、前記駆動電圧と前記表示パネルの共通電極の電位とを基準電位に制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項5】
前記駆動電圧または前記基準電位の何れかを前記ソース線駆動回路に出力する第1の切替部と、
所定の電位または基準電位の何れかを前記表示パネルの共通電極に出力する第2の切替部と、
を備え、
前記制御部は、電源オフの指令が入力された場合、前記第1の切替部及び前記第2の切替部を制御してそれぞれ前記基準電位を出力させることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項6】
前記基準電位は、接地電位であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項7】
前記ソース線駆動回路は、
複数の出力端子を備えているシフトレジスターと、
前記シフトレジスターの複数の出力端子にそれぞれ接続されている複数のソース出力制御部と、
を備え、
複数の前記ソース出力制御部は、それぞれ、
第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子にプリチャージ制御信号が入力され、第3の入力端子にソース線イネーブル信号が入力され、前記ソース出力制御部の出力端子が前記アクティブ素子の前記ソース線に接続されており、
前記制御部は、
電源オフの指令が入力された場合、前記プリチャージ制御信号を制御して全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧を印加させる制御、または、前記プリチャージ制御信号及び前記ソース線イネーブル信号を制御して全ての前記ソース線に対して一斉に前記駆動電圧の印加を停止させる制御をする
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項8】
複数の前記ソース出力制御部は、それぞれ、
第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子に前記ソース線イネーブル信号が入力されるAND回路と、
第1の入力端子が前記AND回路の出力端子に接続され、第2の入力端子に前記プリチャージ制御信号が入力されるOR回路と、
ゲート端子が前記OR回路の出力端子に接続され、ソース端子に前記駆動電圧が印加され、ドレイン端子が前記アクティブ素子の前記ソース線に接続されているスイッチング素子と、
の組みを備え、
前記制御部は、
電源オフの指令が入力された場合、前記プリチャージ制御信号をアサートレベルに制御して全ての前記スイッチング素子を一斉にオンさせる制御、または、前記プリチャージ制御信号及び前記ソース線イネーブル信号をネゲートレベルに制御して全ての前記スイッチング素子を一斉にオフさせる制御をする
ことを特徴とする請求項7に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項9】
前記ゲート線駆動回路は、
複数の出力端子を備えているシフトレジスターと、
前記シフトレジスターの複数の出力端子にそれぞれ接続されている複数のゲート出力制御部と、
を備え、
複数の前記ゲート出力制御部は、それぞれ、
第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子にゲート線プリセット信号が入力され、第3の入力端子にゲート線イネーブル信号が入力され、前記ゲート出力制御部の出力端子が前記アクティブ素子の前記ゲート線に接続されており、
前記制御部は、
電源オフの指令が入力された場合、前記ゲート線プリセット信号を制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオンさせる制御、または、前記ゲート線プリセット信号及び前記ゲート線イネーブル信号を制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をする
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項10】
複数の前記ゲート出力制御部は、それぞれ、
第1の入力端子が前記シフトレジスターの出力端子に接続され、第2の入力端子に前記ゲート線イネーブル信号が入力されるAND回路と、
第1の入力端子が前記AND回路の出力端子に接続され、第2の入力端子に前記ゲート線プリセット信号が入力され、出力端子が前記アクティブ素子の前記ゲート線に接続されているOR回路と、
の組みを備え、
前記制御部は、
電源オフの指令が入力された場合、前記ゲート線プリセット信号をアサートレベルに制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオンさせる制御、または、前記ゲート線プリセット信号及び前記ゲート線イネーブル信号をネゲートレベルに制御して全ての前記ゲート線に対して一斉に前記アクティブ素子をオフさせる制御をする
ことを特徴とする請求項9に記載の表示パネル駆動回路。
【請求項11】
各画素の表示階調が前記各画素の電極間の蓄積電荷によって決まる前記表示パネルと、
請求項1から請求項10の何れか1項に記載の表示パネル駆動回路と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−78582(P2012−78582A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224090(P2010−224090)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】