説明

表示パネル駆動装置

【課題】低消費電力で、かつ表示画面の焼き付きを防止する半導体回路装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、画面表示回数をカウントする表示カウンタ回路と走査線のオンオフを制御するカウンタ回路を設け、記憶回路に記憶された表示データを切り替えるタイミングで、表示走査線のオンする走査線数を増加、減少させることで記憶回路に記憶された表示データを変更することなく、表示画面の焼き付きを防止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリクス型の表示パネルの駆動に使用される表示パネル駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の表示パネル駆動装置は図3に示すように構成されている。
1はマトリクス型の表示パネル、2は表示パネル1を駆動するための電源回路、3は表示データを出力するための表示データ出力回路、4は走査信号を出力するための走査信号出力回路、5は表示データを保存する表示データ記憶回路、6は制御回路である。7はインターフェイス回路である。
【0003】
制御回路6は、表示データ記憶回路5と表示データ出力回路3と走査信号出力回路4を制御して、図4に示すように表示データ17と走査信号18を表示パネル1に供給して表示している。
【0004】
表示データ17は、表示データ出力回路3から表示内容に応じて表示パネル1の列入力X1〜Xnに信号が供給される。
走査線信号18は、表示パネル1の行入力Y1〜Ynに順次オン信号が供給され、順次シフトして最終段(Yn)まで走査すると再び初段(Y1)にもどり本動作が繰り返される。LPは表示クロックを示している。
【0005】
走査線信号18は表示クロックLPのタイミングで順次シフトして、表示データがオンで走査線信号がオンの時、表示パネル1のその画素がオンし表示される。
【0006】
なお、制御信号6Aは、走査信号出力回路4からの走査線信号18を制御する信号であり、走査線信号18はY1から順番に出力信号がオンして行き、制御信号6Aが入力されたときに走査線信号18の出力をオフする。
【0007】
図5は図4に示したタイミングにおける表示結果を示し、黒丸は表示オン状態の画素、白丸は表示オフ状態の画素を示している(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−286647号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の表示パネル駆動装置では、時間が経過しても表示データ17が切り替わらない静止画面などの表示時には、常にオンしている画素が固定するため、表示パネル1の表示画面が焼き付く問題がある。
【0010】
これを解決するためには、表示データ17を保存している表示データ記憶回路5を常に書き換えて表示を切り替えながら目的の静止画面などを表示させる事が考えられるが、表示データ記憶回路5の書き換えを実行すると、表示データ出力回路3、走査信号出力回路4、表示データ記憶回路5、制御回路6、インターフェイス回路7などで構成されている半導体回路装置の消費電力が増加する問題がある。半導体回路装置の消費電力が増加した場合には、携帯端末装置などの低消費電力を要望される表示パネル駆動装置には適さない。
【0011】
本発明はこの課題を解決するもので、低消費電力で、かつ表示画面の焼き付きを防止できる表示パネル駆動装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示パネル駆動装置は、駆動すべきマトリクス型の表示パネルの列信号線に表示データ記憶回路から表示データを供給し、行信号線に走査信号出力回路から走査信号を供給して前記表示パネルに表示データの内容を表示させる表示パネル駆動装置であって、走査信号が一巡するフレーム毎に表示オン領域と表示オフ領域とを増減させるように走査信号出力回路の出力を制御する制御信号を制御するように構成したことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、表示データ記憶回路に記憶された表示データを変更することなく、表示画面領域を増減あるいは加減することが可能なため、画面の焼き付きが防止できかつ低消費電力の表示パネル駆動装置を得ることが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1と図2に基づいて説明する。
本発明の表示パネル駆動装置の全体の構成は図3と同じであるが、走査信号出力回路4の出力をオン状態とオフ状態とに切り換える制御信号6Aを発生している前記制御回路6の構成が、図1に示すように構成されている点だけが従来とは異なっている。
【0015】
この構成によると、図2に示すように表示を順次に増加あるいは減少するような表示を実現して焼き付きを防止している。この図2では1フレーム毎に表示状態が矢印100方向に進行しており、表示データ17の内容はタイミングTのように“A8”を表示するデータである。各フレームの101が表示オン領域、102が表示オフ領域である。
【0016】
制御回路6のうちの制御信号6Aに関する部分については、図1に示すようにレジスタ回路8とフレームカウンタ回路9と走査線カウンタ回路10と比較回路11および論理積回路15とで次のように構成されている。
【0017】
レジスタ回路8には、1フレーム毎に表示領域を変化させる増減時間:t(図2のt)のカウント値が設定される。
フレームカウンタ回路9はレジスタ回路8の出力である増減時間tのカウント値をプリセット値として、フレーム信号12から1フレームの完了を検出するたびに増減時間tづつ増加した時間信号(t,2t,3t,・・・・,(n・t),t,2t,・・・・)のカウント値を出力する。
【0018】
走査線カウンタ回路10は、各フレームの表示開始からの表示クロックLPの数を計数した信号を出力する。
比較回路11は、走査線カウンタ回路10の出力がフレームカウンタ回路9の出力に達するまでは表示オン領域101であると判定して出力を“H”レベルとし、走査線カウンタ回路10の出力がフレームカウンタ回路9の出力を越えてからそのフレームを終了するまでは表示オフ領域102であると判定して出力を“L”レベルに反転させる。
【0019】
論理積回路15は、比較回路11の出力と走査制御信号14とを入力して、各フレームの表示オン領域101だけに限って走査制御信号14を前記制御信号6Aとして走査信号出力回路4に出力している。
【0020】
よって、1画面を表示するフレーム回数が多くなると、表示パネル1における出力領域は図2に示すように、表示パネル1の下側から上側に向かって、前記レジスタ8にセットされた値に応じた分づつ表示オン領域101が増加して、タイミングTにおいて全体が表示オン領域101になり、その後は、タイミングT1で全体が表示オフ領域102になってから、表示パネル1の上側から下側に向かって、前記レジスタ8にセットされた値に応じた分づつ表示オン領域101が増加して、順次に増加あるいは減少するような表示を実現でき、表示データ記憶回路5の内容を同じ表示データに繰り返し書き換えるような処理を実行しなくても、焼き付くことなく同じ表示内容を維持できる。
【0021】
続いて図2の下段のように表示を得るために、フレームカウンタ9は、レジスタ回路8の出力である増減時間:tのカウント値をリセット値として、フレーム信号12から1フレームの完了を検出するたびに増減時間:tづつ減少した時間のカウント値を出力する。
【0022】
上記の実施の形態では、表示オン領域が表示パネルの下から上に増加し、全消去後に上から下に表示オン領域が増加したが、レジスタ回路8の設定およびフレームカウンタ回路9の動作のさせ方によって、下記の何れも同様に実施できる。
・ 表示オン領域が表示パネルの下から上に増加し、全消去後に下から上に表示オン領域が増加する繰り返し動作も可能である。
・ 表示オン領域が表示パネルの上から下に増加し、全消去後に下から上に表示オン領域が増加する繰り返し動作も可能である。
・ 表示オン領域が表示パネルの上から下に増加し、全消去後に下から上に表示オン領域が増加する繰り返し動作も可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明の表示パネル駆動装置は、記憶装置に保存されている画像表示データ内容を書き換えることなく表示画面の状態を変化させることができ、低消費電力でありながら表示パネルの焼き付きを防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の表示パネル駆動装置の要部構成図
【図2】同実施の形態の表示パネルの表示状態の時系列変化の説明図
【図3】従来の液晶表示パネルと表示パネル駆動装置の構成図
【図4】従来の表示データと走査信号のタイムチャート
【図5】図4のタイムチャート時の表示パネルの表示状態の説明図
【符号の説明】
1 表示パネル
3 表示データ出力回路
4 走査信号出力回路
5 表示データ記憶回路
6 制御回路
6A 制御信号
7 インターフェイス回路
8 レジスタ回路
9 フレームカウンタ回路
10 走査線カウンタ回路
11 比較回路
12 フレーム信号
14 走査制御信号
15 論理積回路
17 表示データ
18 走査信号
101 表示オン領域
102 表示オフ領域
X1〜Xn 列信号線
Y1〜Yn 行信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動すべきマトリクス型の表示パネルの列信号線に表示データ記憶回路から表示データを供給し、行信号線に走査信号出力回路から走査信号を供給して前記表示パネルに表示データの内容を表示させる表示パネル駆動装置であって、
走査信号が一巡するフレーム毎に表示オン領域と表示オフ領域とを増減させるように走査信号出力回路の出力を制御する制御信号を制御するように構成した
表示パネル駆動装置。
【請求項2】
走査信号出力回路の出力を制御する制御信号の制御回路は、
フレーム信号から1フレームの完了を検出するたびに出力カウント値をプリセット値づつ変更するフレームカウンタ回路と、
表示クロックを計数してフレーム表示の開始から前記フレームカウンタ回路の出力に達するまでの期間とフレームカウンタ回路の出力を越えてからそのフレームを終了するまでの期間とで出力のレベルを反転させる比較回路と、
前記比較回路の出力と走査制御信号とを入力して走査信号出力回路を制御する制御信号を出力する論理積回路と
を有している請求項1記載の表示パネル駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2004−317893(P2004−317893A)
【公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−113525(P2003−113525)
【出願日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】