説明

表示モジュールの再利用方法及び再利用装置

【課題】基板へ悪影響を及ぼすことなく、簡単な作業で効果的にACFの残渣等を除去する。
【解決手段】表示部31aと端子部31bとを有する第1基板31と、前記端子部31bにACF6を介して固着される電子部品4,5と、を備える表示モジュール2の再利用方法である。前記第1基板31から、前記電子部品4,5を取り外す第1ステップと、前記第1基板31から、前記電子部品4,5が固着されていた接着領域に残るACF6を除去する第2ステップとを含む。前記第2ステップは、前記接着領域を加熱する第1処理と、剥離液を用いずに加熱された状態のACF6を擦り取る第2処理とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶モジュールなどの表示モジュールの再利用方法及び再利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表示モジュールでは、実装されているICチップやFPC(Flexible Printed Circuits;フレキシブルプリント基板)等の電子部品が原因で不良品として扱われるものがある。
【0003】
そのような不良品の場合、表示パネルなど、不具合の認められた電子部品以外の部分は正常である。そのため、電子部品を交換して表示モジュールを再利用することが行われる。一般に、このような電子部品は、ACF(anisotropic conductive film;異方性導電膜)を介在して基板の端子に接着されていることが多い。従って、交換時には、電子部品はACFから引き剥がして除去される。
【0004】
ところが、電子部品を除去した後の基板にはACFの残渣が残る。このACFの残渣は基板に強固に付着しているため、除去するのは容易でない。しかし、表示モジュールを効率よく再利用するためには、このACFの残渣を基板から全て除去する必要がある。
【0005】
そのため、現状では、手作業により、竹べら等を用いてACFの残渣を基板から擦り取る作業が行われている。
【0006】
また、ACFの残渣を除去し易くするために、そのような物理的な除去作業に化学的な処理を併用することが提案されている(特許文献1)。詳しくは、基板に付着したACFの残渣に、有機溶媒を主成分とするACF除去材料(剥離液)を供給する。剥離液が完全に蒸発しないように調整しながら、ACFの残渣を加熱する。そうして、ACFの主成分であるエポキシ樹脂を膨潤させる。膨潤して剥がれ易くなったACFの残渣を基板から擦り取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−317173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の除去作業の場合、全てのACFの残渣を擦り取ろうとして基板に竹べら等を強く擦り付けると、基板や端子に損傷を与えるおそれがある。
【0009】
更に、近年、表示モジュールの薄型化が進み、それに合わせて基板も薄くなる傾向にある。基板が薄くなると、従来の除去作業のままでは、基板が割れる確率が高くなる。その結果、表示モジュールの再生効率が低下するおそれがある。
【0010】
その点、特許文献1のように、化学的処理を併用すれば、ACFの残渣を強く擦る必要が無くなるため効果的ではある。しかし、剥離液が蒸発しないように、剥離液をACFの残渣に適切に供給する必要があり、作業に手間がかかる。剥離液には有機溶媒が含まれているため、作業者が蒸発する有機溶媒を吸い込んで健康を害するおそれもある。
【0011】
特に、剥離液が基板に少しでも残留すると、交換した新しいACFが剥がれ易くなるため、接続不良を招くおそれがある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、基板へ悪影響を及ぼすことなく、簡単な作業で効果的にACFの残渣等の接着部材を除去することができる表示モジュールの再利用方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明では、熱変性し易い部材の品質劣化を防ぎながら接着部材を十分に加熱し、付着力が弱まった接着部材を擦り取るようにした。
【0014】
具体的には、本発明は、例えば、表示部と端子部とを有する基板と、前記端子部に熱硬化性樹脂を含む接着部材を介して固着される少なくとも1つの電子部品と、を備える表示モジュールの再利用方法であって、前記基板から、前記電子部品を取り外す第1ステップと、前記基板から、前記電子部品が固着されていた接着領域に残る前記接着部材を除去する第2ステップと、を含み、前記第2ステップが、前記表示部を所定温度以下に保持しながら前記接着領域を加熱する第1処理と、加熱された状態の前記接着部材を擦り取る第2処理とを含むように構成されている。
【0015】
このような構成の再利用方法によれば、端子部の接着領域を加熱する時には、表示部は所定温度以下に保持されるため、表示部の過度な温度上昇を抑制できる。従って、表示部の耐熱性に劣る部材の品質を損なうことなく、接着領域を高温度に加熱することができる。
【0016】
接着領域を高温度に加熱することで、そこに残る接着部材を十二分に軟化させることができる。従って、弱い力で擦るだけで接着部材を効果的に除去できる。
【0017】
より具体的には、前記第1処理において、前記接着領域が140℃を超える所定温度に加熱されるようにするとよい。
【0018】
そうすれば、加熱するだけで接着部材を十二分に軟化させることができる。従って、化学的処理を併用する必要も無くなり、作業性が向上する。剥離液も不要で安全性に優れるし、剥離液が残留するおそれもない。従って、交換した新しいACFが剥がれ易くなることもない。
【0019】
例えば、前記接着部材に異方性導電膜が用いられる場合には、前記第1処理において、前記接着領域が160℃〜300℃の範囲内の所定温度に加熱するとよい。
【0020】
そうすれば、異方性導電膜を安定的かつ効率的に除去することができる。
【0021】
更には、前記第2ステップが、前記接着領域を加熱するのと同時に、前記表示部を冷却する第3処理を含むようにするのが好ましい。
【0022】
そうすれば、表示部の温度上昇を安定して抑制することができる。
【0023】
特に、前記表示部に液晶を含む液晶層が設けられている場合には、前記第1処理において、前記表示部が150℃を超えない範囲内の所定温度に保持するとよい。
【0024】
そうすれば、液晶層の品質を保持することができる。
【0025】
更に、前記表示部に偏光板が設けられている場合には、前記第1処理において、前記表示部が90℃を超えない範囲内の所定温度に保持するとよい。
【0026】
そうすることで、偏光板の品質を保持することができる。
【0027】
また、前記電子部品は複数であり、前記第1ステップにおいて、前記複数の電子部品のうち、少なくとも1つの電子部品が前記基板に残される場合には、前記第2ステップが、更に、前記基板に残る前記電子部品を前記基板に押し付けた状態で保持する第4処理を含むものとすることができる。
【0028】
そうすれば、残された電子部品の接続不良の発生を防止することができる。すなわち、第1処理で接着領域を加熱する時、その電子部品が固着されている接着領域も温度が上昇する。そうすると、その電子部品を固着している接着部材の接着力が低下する。接着力が低下すると電子部品は接続部から浮き上がり易くなる。その結果、電子部品と接続部との接触状態が悪くなり、電気的な接続不良が発生するおそれがある。
【0029】
そこで、第2ステップの間、電子部品を上から押えて保持することで、接着部材の接着力が低下しても電子部品の浮き上がりを阻止することができる。
【0030】
また、前記第2処理は、少なくとも擦り位置及び擦り方向の制御が可能な除去装置によって自動的に行われるようにしてもよい。
【0031】
そうすれば、人手を介さず、安定した条件で擦り取ることができる。従って、作業性が向上し、再利用処理を高精度に行うことができる。
【0032】
このような再利用方法は、専用の装置を用いて行うのが好ましい。例えば、表示部と端子部とを有する基板と、前記端子部に熱硬化性樹脂を含む接着部材を介して固着される少なくとも1つの電子部品と、を備える表示モジュールを対象とし、前記電子部品の交換に用いられる表示モジュールの再利用装置であって、前記基板を支持する支持部と、前記表示部を所定温度以下に保持する昇温抑制部と、前記端子部を加熱する加熱部と、前記加熱部の温度を制御する制御部と、を含む再利用装置が好適である。
【0033】
このような構成の再利用装置であれば、支持部に表示モジュールの基板を支持した状態で、表示部を所定温度以下に保持しながら、端子部を高精度に加熱することができる。従って、再利用処理の作業性が向上し、再利用処理の品質が向上する。
【0034】
具体的には、前記支持部が、前記表示部を支持する第1支持部と、前記第1支持部に隣接して配置され、前記端子部を支持する第2支持部と、を含み、前記第1支持部が、前記表示部が載置される第1支持台を有し、前記第2支持部が、前記端子部が載置される第2支持台を有し、前記支持部が、前記第1支持台及び第2支持台の少なくともいずれか一方の高さ調整が可能な昇降機構を有しているようにするとよい。
【0035】
そうすれば、例えば、基板の表示部における厚みが異なる場合であっても、高さを調整することにより、表示部を第1支持台に密着した状態で載置し、端子部を第2支持台に密着した状態で載置することができる。従って、多様な基板に対応でき、汎用性に優れる。基板を常に安定して支持でき、再利用処理の品質も向上する。
【0036】
より具体的には、前記昇温抑制部が、冷却プレートと、前記冷却プレートを冷却する冷却機構と、を有し、前記加熱部が、加熱プレートと、前記制御部との協働により、前記加熱プレートを加熱して所定温度に保持可能な加熱機構と、を有し、前記冷却プレートが前記第1支持台の上面に設置され、前記加熱プレートが前記第2支持台の上面に設置されているようにするとよい。
【0037】
そうすれば、端子部を効果的かつ高精度に加熱することができる。表示部も安定して効果的に冷却することができる。
【0038】
また、前記温度抑制部と前記加熱部との間には、断熱構造を設けるのが好ましい。
【0039】
そうすれば、温度抑制部と加熱部との間における温度の影響を軽減することができ、より安定して加熱や冷却ができる。
【0040】
また、前記基板が前記支持部に支持された状態において、前記基板に残る前記電子部品を支持する部品支持部を更に含むように構成することができる。
【0041】
そうすれば、残された電子部品の接続不良の発生を防止することができる。
【0042】
例えば、前記部品支持部が、前記第2支持台の上方に配置されて昇降可能な押圧部材を有し、前記押圧部材が下降して前記電子部品を前記第2支持台に押し付けることにより、前記電子部品が前記部品支持部に支持されるように構成することができる。
【0043】
そうすれば、比較的簡素な構造で部品支持部を設けることができる。
【0044】
また、前記基板が前記支持部に支持された状態において、前記基板の前記端子部における所定領域を摺る除去部を更に含むように構成することもできる。
【0045】
そうすれば、人手を介さず機械的に擦り取ることができる。従って、作業性が向上し、再利用処理を高精度に行うことができる。
【0046】
具体的には、前記除去部が、前記端子部に押し付けられる圧着部材と、前記圧着部材を支持する支持腕部と、予め設定された条件に基づいて、少なくとも垂直方向と水平方向とにおける任意の位置に前記支持腕部を変位制御可能な変位制御機構と、を有しているようにすることができる。
【0047】
そうすれば、従来、人手を介して行われている作業と同様の処理を機械的に行うことができるので、最適な条件を選定し易い。そして、最適な条件の下で繰り返し同じ処理を行わせることができるので、再利用処理を高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0048】
以上説明したように、本発明を適用すれば、基板へ悪影響を及ぼすことなく、簡単な作業で効果的にACFの残渣などの接着部材を除去することができる。その結果、表示モジュールの再生効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、再利用の対象とする表示モジュールの一例を示す概略平面図である。
【図2】図2は、図1におけるI−I線での概略断面図である。
【図3】図3は、再利用装置を側方から見た概略断面図である。内部構造は模式的に表してある。
【図4】図4は、再利用装置を上方から見た概略図である。
【図5】図5は、冷却プレートの概略断面図である。
【図6】図6は、冷却プレートの概略平面図である。
【図7】図7は、再利用装置に表示モジュールを設置した状態を示す概略側面図である。
【図8】図8は、図7における要部を示す概略図である。
【図9】図9は、第2処理の説明図である。
【図10】図10は、第1変形例における再利用装置を側方から見た概略図である。
【図11】図11は、第1変形例における再利用装置を上方から見た概略図である。
【図12】図12は、図10の要部を示す概略断面図である。
【図13】図13は、第2変形例における再利用装置を側方から見た概略図である。
【図14】図14は、第2変形例における再利用装置を上方から見た概略図である。
【図15】図15は、第2変形例における第2処理を説明するための図である。
【図16】図16は、第3変形例における再利用装置を側方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0051】
(表示モジュール)
図1及び図2に、本発明に係る再利用方法及び再利用装置1が処理対象とする表示モジュール2の一例を示す。この表示モジュール2は、例えば、携帯電話や電子辞書、電子ブック等のモバイル機器、あるいは薄型テレビなどに用いられる液晶モジュールである。液晶パネル3や、液晶パネル3に実装されるICチップ4やFPC5などの電子部品等でこの表示モジュール2は構成されている。
【0052】
液晶パネル3は、それぞれが矩形の第1基板31及び第2基板32からなる一対のガラス製の基板と、これら基板31,32の間に設けられる液晶層33と、これら基板31,32のそれぞれの外面に設けられる偏光板34,34とを有している。僅かな隙間を隔てて対向する第1基板31と第2基板32との間には、周囲がシール材35で区画された密閉空間が形成されている。液晶層33は、この密閉空間に液晶材料を封入することにより形成されている。図示はしないが、この密閉空間には、配向膜や電極、カラーフィルタなども設けられている。
【0053】
第1基板31は、面積の大きな矩形の表示部31aと、表示部31aの一方の端縁に連続する帯状の端子部31bとを有している。第2基板32は、第1基板31よりも面積が小さく、第1基板31の表示部31aと略同面積に形成されている。そして、第2基板32は第1基板31の表示部31aと対向するように配置されている。液晶層33や偏光板34は、各基板の表示部31aにそれぞれ設けられている。端子部31bは、第2基板32の端縁より外方に突出し、その第2基板32側の面(以下、上面という)は開放されている。
【0054】
端子部31bの上面には、複数の配線36,36,…で接続された複数の接続端子37が設けられている。本実施形態では、第1接続端子37aと第2接続端子37bとが端子部31bの上面に設けられている。第1接続端子37aは、端子部31bの長さ方向に沿って延びるように、端子部31bの幅方向の略中央部分に設けられている。第2接続端子37bは、端子部31bの突端部分に、その縁に沿って延びるように設けられている。第1接続端子37aは、複数の配線36を介して表示部31aの電極等と接続されている。第2接続端子37bは、複数の配線36を介して第1接続端子37aや表示部31aの電極等と接続されている。
【0055】
第1接続端子37aが設けられている部分には、ACF6を介してICチップ4が接着されている。第2接続端子37bが設けられている部分には、ACF6を介してFPC5が接着されている。すなわち、本実施形態では、端子部31bにおける第1接続端子37aや第2接続端子37bが設けられている部分がそれぞれ接着領域に相当する。
【0056】
ACF6は、絶縁性を有するエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に導電性を有する微粒子を分散させてフィルム状に形成した接着部材であり、電気的接続が可能である。例えば、ICチップ4の場合、第1接続端子37aにACF6を貼り付けた後、加熱しながらICチップ4をACF6に押し付けて圧着する。そうすることで、ICチップ4を第1接続端子37aに固着させ、ICチップ4と第1接続端子37aとを電気的に接続することができる。
【0057】
このような構造の表示モジュール2では、製造過程や製品化後に、実装されているICチップ4やFPC5が原因で不良品として扱われる場合がある。その場合、不具合の認められたICチップ4等以外の部分は正常であるため、ICチップ4等を交換して表示モジュール2を再利用することが行われる。
【0058】
交換作業の際、ICチップ4等はACF6から引き剥がして除去されるが、ICチップ4等を除去した後の第1基板31にはACF6の残渣が残る。ところが、このACF6の残渣は第1基板31に強固に付着しているため、除去するのは容易でない。そこで、本実施形態では、方法や装置を工夫してACF6の残渣が効果的に除去できるようにしている。
(再利用装置)
図3、図4に本実施形態の再利用装置1を示す。この再利用装置1には、支持部11や温度抑制部12、加熱部13、制御部14などが備えられている。なお、以下の説明では、上下(垂直方向)や縦横(水平方向)等の方向は、図3に矢印で示すZ方向が上方向を、図4に矢印で示すX方向が縦方向における左側をそれぞれ示すものとする。
【0059】
支持部11は、表示モジュール2を支持する機能を有している。詳しくは、第1基板31の表示部31aが設けられている部分(表示領域ともいう)を支持する第1支持部21と、第1基板31の端子部31bが設けられている部分(端子領域ともいう)を支持する第2支持部22とを有している。第2支持部22は、第1基板31の構造に合わせて、第1支持部21の縦方向の右端部に隣接して配置されている。
【0060】
第1支持部21は、その上部に、表示部31aよりも一回り大きく形成された第1支持台21aを有している。第1支持台21aの上面には表示領域が載置される。第2支持部22は、その上部に、端子部31bよりも一回り大きく形成された第2支持台22aを有している。第2支持台22aの上面には端子領域が載置される。第1支持台21a及び第2支持台22aの上面は、表示モジュール2の下面と密着するように平滑に形成されている。
【0061】
本実施形態では、第1支持台21aの高さ調整ができるように、第1支持部21に昇降機構15が設けられている。昇降機構15には、例えば、第1支持台21aを支持する伸縮可能な4本の支持脚15aや、これら支持脚15aを伸縮制御する伸縮制御装置15bなどが備えられている。伸縮制御装置15bには、微調整が可能なように、油圧シリンダなどで構成されたアクチュエータが用いられている。従って、所定の入力装置(図示せず)に数値を入力するだけで、第1支持台21aを精度高く高さ調整できる。
【0062】
支持部11に載置される表示モジュール2をその長手方向に位置決めするために、第1支持部21には位置決め装置16が設けられている。本実施形態の位置決め装置16は、細長い板状の部材で構成されている。位置決め装置16は、その長手方向を横方向に向けた状態で、第1支持台21aの上面に配置されている。位置決め装置16は、縦方向にスライドさせることができ、第1支持台21aの上面の所定位置で固定することができる。なお、表示モジュール2の幅方向の位置決めは、例えば、第1支持台21aの上に、L字状のマグネットストッパを表示モジュール2の隅部に合わせてくっつけるなどして位置決めすればよい。
【0063】
制御部14は、第1支持部21に設けられ、第1支持台21aの下側の空間に収容されている。制御部14は制御装置や演算装置、記憶装置などのハードウエアを有し、そのハードウエアに各種プログラムからなるソフトウエアが実装されている。制御部14は、後述するように、昇温抑制部12のオンオフや加熱部13の加熱温度を制御する機能を有している。なお、本実施形態では制御部14を1つとしたが、昇温抑制部12と加熱部13のそれぞれに制御部14を1つずつ設けてもよい。また、昇温抑制部12については高度な温度制御は必ずしも必要は無いため、加熱部13にのみ制御部14を設けてもよい。
【0064】
昇温抑制部12は第1支持部21に設けられている。昇温抑制部12には、冷却プレート12aや冷却機構12bなどが備えられている。本実施形態の昇温抑制部12は冷媒に水を用いた水冷式である。冷却プレート12aは、第1支持台21aの上面と略同じ大きさ、形状を有する矩形板状の部材である。冷却プレート12aは第1支持台21aの上面に設置され、冷却プレート12aの上面が第1支持台21aの上面を構成している。
【0065】
図5、図6に冷却プレート12aの一例を示す。冷却プレート12aは、熱伝導率に優れた一対の金属板41a,41bを貼り合わせて形成されている。冷却プレート12aの内部には、冷却水が流れる冷媒流路42が形成されている。冷却プレート12aの全面に行き渡るように、冷媒流路42は蛇行して形成されている。冷媒流路42の第2支持部22側に冷却水の流入口43が設けられ、第2支持部22から離れた位置に冷却水の流出口44が設けられている。従って、冷却プレート12aは第2支持部22側が相対的に冷却され易いように形成されている。冷却プレート12aには、その表面温度を測る第1温度センサ17が設置されている(図8参照)。第1温度センサ17は、警報装置に接続されていて、所定温度に達すると警報が発せられる。
【0066】
冷却機構12bは、冷却プレート12aが所定の温度を超えないように保持する機能を有している。具体的には、冷却機構12bは、貯水タンクと、貯水タンク内の水を冷却プレート12aに循環供給するポンプなどを有している。
【0067】
なお、冷却機構12bは、冷却プレート12aから返水される水を冷却して冷却プレート12aに供給し、制御部14との協働により、冷却プレート12aを所定の温度に保持するようにしてあってもよい。その場合、第1温度センサ17を利用して、後述する加熱部13と同様に制御すれば、冷却プレート12aの表面温度を所望する所定の温度に安定して保持することができる。
【0068】
加熱部13は第2支持部22に設けられている。本実施形態の加熱部13は電気で加熱する電熱式である。加熱部13には、加熱プレート13aや加熱機構13bなどが備えられている。加熱プレート13aは、第2支持台22aの上面と略同じ大きさ、形状を有する矩形板状の部材である。加熱プレート13aは第2支持台22aの上面に設置され、加熱プレート13aの上面が第2支持台22aの上面となっている。加熱プレート13aは、例えば、熱伝導率に優れた金属板に抵抗発熱体を組み合わせて構成されている。加熱プレート13aには、その表面温度を測る第2温度センサ18が設置されている(図8参照)。
【0069】
加熱機構13bは、加熱プレート13aに電流を供給し、制御部14との協働により、加熱プレート13aを所定の温度に保持する機能を有している。具体的には、所定の入力装置(図示せず)に所望する所定の温度値を入力する。そうすると、制御部14は、その温度値と第2温度センサ18から入力される測定値とを比較し、加熱機構13bに所定の指示を行う。加熱機構13bは、制御部14の指示に従って、所定量の電流を加熱プレート13aに供給する。そうすることで、加熱プレート13aの表面温度を所望する所定の温度に安定して保持することができる。
【0070】
冷却プレート12aと加熱プレート13aとの間には、断熱構造19が設けられている(図8参照)。具体的には、互いに隣接する冷却プレート12aの端縁と加熱プレート13aの端縁とを離して、その間に断熱空間を形成している。なお、断熱空間には、発泡樹脂等の断熱材を設けるのが好ましい。そうすることで、冷却プレート12aと加熱プレート13aとは、それぞれ他方の温度の影響を受け難くなるため、温度制御が容易になる。
【0071】
(再利用方法)
次に、上述した再利用装置1を用いて、表示モジュール2を再利用する方法について説明する。
【0072】
(第1ステップ)
最初に、表示モジュール2から不具合の認められたICチップ4等を取り外す。ここでは、ICチップ4とFPC5を表示モジュール2から取り外す場合を想定する。具体的には、ICチップ4とFPC5をACF6から引き剥がすことにより、ICチップ4等を第1基板31から取り外す。その際、ACF6が軟化する温度、例えば、200℃程度の温度に、第1接続端子37a及び第2接続端子37bの部分を加熱すれば、ICチップ4等を容易に引き剥がすことができる。
【0073】
(第2ステップ)
ICチップ4等を取り外した後、これらが接着されていた第1接続端子37a及び第2接続端子37bには、ACF6の残渣が残っている。表示モジュール2を効率よく再利用するためには、このACF6の残渣を漏れなく除去する必要がある。そこで、本実施形態では、再利用装置1を使用してACF6の残渣を除去する。
【0074】
具体的には、図7、図8に示すように、第2基板32側を上に向けた状態で、ICチップ4等を取り外した表示モジュール2を再利用装置1に設置する。まず、表示領域が第1支持台21aの上面に載置され、端子領域が第2支持台22aの上面に載置されるように、第1支持台21aの高さを設定する。本実施形態の表示モジュール2では、表示領域に偏光板34が設けられている。従って、偏光板34の厚み分だけ、第1支持台21aの上面の高さが第2支持台22aの上面の高さより低くなるように、再利用装置1の昇降機構15を設定する。
【0075】
このように、再利用装置1は、表示モジュール2の表示領域と端子領域との間の相対的な高さ調節が可能である。従って、偏光板34の厚みが異なる場合や偏光板34が無い場合であっても、表示領域を第1支持台21aの上面に密着させ、端子領域を第2支持台22aの上面に密着させることができる。例えば、表示領域に偏光板34が設けられていない場合には、第1支持台21aの上面と第2支持台22aの上面とが正確に同じ高さとなるように設定できる。
【0076】
続いて、位置決め装置16をスライド操作し、所定位置で位置決め装置16を固定等して表示モジュール2を再利用装置1の適正位置に位置決めする。
【0077】
表示モジュール2を再利用装置1にセットした後、加熱プレート13aを加熱する(第1処理)。その際、例えば、これと同時に冷却プレート12aを冷却し(第3処理)、表示領域が所定温度を超えないように保持する。加熱プレート13aを加熱するのは、第1接続端子37aや第2接続端子37bに付着したACF6の残渣を弱い力で擦り取れるようにするためである。表示領域が所定温度を超えないように保持するのは、液晶層33や偏光板34が熱変性しないようにするためである。
【0078】
詳しくは、端子部31bにおける第1接続端子37aや第2接続端子37bが設けられている部分(接着領域)の温度を140℃を超える所定温度に加熱する。すなわち、ACF6に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移点(Tg)を超えるように、加熱プレート13aで端子部31bを加熱する。
【0079】
具体的には、接着領域の温度が160℃〜300℃、好ましくは180℃〜250℃の範囲内の所定温度となるように加熱する。所定温度は、ACF6の素材に応じて設定する。160℃を下回ると、ACF6の素材によっては十分に軟化できないおそれがある。300℃を上回ると、第1接続端子37aや第2接続端子37b、配線36など、端子部31bの品質に影響を与えるおそれがあり、かつ高温で加熱されることにより表示部の冷却が追いつかなくなり冷却効果が得られなくなる恐れがある。180℃〜250℃の温度範囲であれば、そのようなおそれが少なく、素材の異なる多くのACF6に適用でき、汎用性に優れる。
【0080】
端子部31bを140℃を超える高温に加熱すると、熱伝導によってその熱が伝わり、表示領域の温度が上昇する。表示領域には、熱に弱い液晶層33や偏光板34が設けられているため、そのままでは液晶層33等が熱変性し、品質を損なうおそれがある。そこで、加熱プレート13aを加熱しても、液晶層33等の品質が損なわれないように表示領域の温度を所定温度以下に保持する。
【0081】
例えば、冷却プレート12aの放熱によって所定温度以下に保持できる場合は、表示領域を冷却プレート12aに載置するだけでもよい。そして、放熱だけでは追いつかなくなった場合に、加熱プレート13aの加熱と同時に冷却プレート12aを冷却すればよい。
【0082】
具体的には、表示領域の温度が90℃を超えない範囲内の所定温度に保持する。90℃を超えない温度であれば、偏光板34の品質が損なわれずに済む。なお、偏光板34が設けられていない場合であれば、表示領域の温度が150℃を超えない範囲内の所定温度に保持してもよい。150℃を超えない温度であれば、液晶層33の品質が損なわれずに済む。温度の管理には、第1温度センサ17や警報装置、制御部14を利用することができる。
【0083】
加熱プレート13aを所定温度に加熱して保持し、冷却プレート12aを所定温度以下に保持した状態で、ACF6の残渣を擦り取る(第2処理)。第2処理が行われている間は、加熱プレート13aの温度は制御部14によって自動的に精度高く制御される。
【0084】
具体的には、図9に示すように、端子部31bの上面の第1接続端子37aや第2接続端子37bが設けられている部分(接着領域)を竹べら等の剥離具で擦り、そこに付着しているACF6の残渣を取り除く。加熱により、ACF6の残渣の付着力はほとんど失われているので、弱い力で擦るだけで簡単にACF6の残渣を取り除くことができる。従って、作業が容易になり、表示モジュール2の品質を損なわずに済む。
【0085】
しかも、剥離液を使う必要が無い。剥離液を使用すると、剥離液が基板に少しでも残留すれば交換した新しいACFが剥がれ易くなって接続不良を招くおそれがあるが、そのようなおそれが全く無く、再利用性に優れる。また、作業者が蒸発する有機溶媒を吸い込んで健康を害するおそれも無く、安全性にも優れる。
【0086】
ACF6の残渣を全て除去した後は、加熱プレート13aの温度を下げる。これら一連の操作は制御部14で自動的に制御することができる。
【0087】
その後、適宜、表示モジュール2を再利用装置1から取り外す。最後に、アセトン等の有機溶媒を含ませた布で端子部31bの上面の汚れを拭き取る。そうすることで、端子部31bからACF6の残渣を残らず除去することができる。そうして処理した表示モジュール2に正常なICチップ4等を実装すれば、表示モジュール2を再利用することが可能になる。
【0088】
(第1変形例)
図10〜図12に、本実施形態の第1変形例を示す。本変形例は、一部の電子部品だけを取り除く場合に有効なものとなっている。なお、本変形例の基本構成は、上述した実施形態と同様である。従って、以下では、異なる点について詳しく説明し、上述した実施形態と同様の部材等については同じ符号を付してその説明は省略する。
【0089】
(再利用装置)
本変形例の再利用装置1には、部品支持部51が更に備えられている。部品支持部51は、表示モジュール2が支持部11に支持された状態において、表示モジュール2に残る電子部品を支持する機能を有している。部品支持部51は、例えば、本体部52やコイルバネ53、押圧部材54などで構成されている。
【0090】
詳しくは、本体部52は、支持部11における第2支持台22aの近傍の部分に設けられている。本体部52は、昇降可能であり、任意の高さで固定することができる。また、本体部52は縦方向にも変位可能であり、任意の位置で位置決めできる。本体部52の上端部分には、第2支持台22aの上方に向けて張り出すフランジ部52aが設けられている。本実施形態のフランジ部52aは、第2支持台22aの上面の長手方向に沿って延びるように形成されている。フランジ部52aの下面には、下方に突出する細長い矩形筒状のガイド壁52bが形成されている。
【0091】
ガイド壁52bの内側には、複数のコイルバネ53が設けられている。これらコイルバネ53の一端は、フランジ部52aの下面に固定されている。これらコイルバネ53の他端には、押圧部材54が固定されている。押圧部材54は、細長い矩形の部材である。押圧部材54は、上下方向にスライド可能な状態でガイド壁52bの内側に設けられている。ガイド壁52bの先端には、押圧部材54の抜け落ちを規制する爪部52cが形成されている。そして、押圧部材54は、コイルバネ53によって下方に押し出し付勢された状態でガイド壁52bに出退可能に支持されている。なお、コイルバネ53は板バネやその他の弾性部材であってもよい。
【0092】
(再利用方法)
図12に示すように、本変形例では、FPC5を取り除き、ICチップ4は残す場合を想定する。上述した実施形態と同様に、表示モジュール2からFPC5だけを取り除き、ICチップ4を残した状態で表示モジュール2を再利用装置1にセットする。そして、第1処理を行う前に、部品支持部51を操作してICチップ4が動かないように、押圧部材54でICチップ4を支持する。
【0093】
具体的には、押圧部材54がICチップ4の上方に位置するように、本体部52を位置決めする。そして、本体部52を下降させ、押圧部材54でICチップ4を第2支持台22aに押し付けた状態で保持する(第4処理)。押し付ける圧力は、本体部52の高さを調整することで適宜設定できる。押し付ける圧力としては、例えば、10MPaに設定することができる。
【0094】
そして、その状態で、上述した実施形態と同様に第1処理等を行う。こうすることで、ICチップ4の接続不良の発生を防止することができる。すなわち、第1処理では端子部31bが加熱されるため、ICチップ4を接着しているACF6も加熱され、接着力が低下する。接着力が低下するとICチップ4は浮き上がり易くなる。その結果、ICチップ4が第1接続端子37aから離れて、電気的な接続不良を発生するおそれがある。そこで、第1処理や第2処理が行われている間、押圧部材54でICチップ4を支持することにより、ICチップ4を接着しているACF6の接着力が低下してもICチップ4が浮かないようにしている。
【0095】
(第2変形例)
図13〜図14に、本実施形態の第2変形例を示す。本変形例は、第2処理を人手を介さず自動的に行うことができ、作業効率が向上する点で有効なものとなっている。なお、本変形例の基本構成は、上述した実施形態と同様である。従って、以下では、異なる点について詳しく説明し、上述した実施形態と同様の部材等については同じ符号を付してその説明は省略する。
【0096】
(再利用装置)
本変形例の再利用装置1には、除去部61が更に備えられている。除去部61は、表示モジュール2が支持部11に支持された状態において、表示モジュール2の端子部31bにおける所定領域を擦る機能を有している。除去部61は、例えば、圧着部材62や支持腕部63、変位制御機構64などで構成されている。
【0097】
詳しくは、変位制御機構64は、支持部11における第2支持台22aの近傍の部分に設けられている。変位制御機構64は、例えば、横方向に延びるように立設される壁状のスライドベース64aと、スライドベース64aに支持される操作装置64bと、操作装置64bを制御する変位制御装置64cとを有している。操作装置64bは、第2支持台22aの上方に位置し、図14に矢印で示すように、縦方向及び横方向に変位自在となっている。
【0098】
支持腕部63は、操作装置64bに設けられた軸状の部材であり、操作装置64bの下部から下方に突出している。支持腕部63の先端には、圧着部材62を着脱自在に支持するチャック63aが設けられている。支持腕部63は、図15に矢印で示すように、回転可能であり、上下方向に変位可能である。すなわち、操作装置64bとの組み合わせにより、支持腕部63は、垂直方向及び水平方向に自在に変位せることができ、自在に回転させることができる。
【0099】
圧着部材62は、例えば、弾性を有する帯板状の部材である。圧着部材62は、その一方の端部をチャック63aに取り付けて使用される。
【0100】
変位制御装置64cは、制御装置や演算装置、記憶装置などのハードウエアを有し、そのハードウエアに各種プログラムからなるソフトウエアが実装されている。支持腕部63を含め、操作装置64bは、変位制御装置64cによって制御可能に構成されている。すなわち、変位制御装置64cに予め条件を設定することで、支持腕部63に取り付けた圧着部材62を自在に変位、回転操作することができる。
【0101】
(再利用方法)
図15に示すように、本変形例では、第2処理の際に、人手を介さず自動的に処理することができる。擦り範囲や擦り方向、擦り速度、擦り回数、擦り角度など、最適な条件を変位制御装置64cに設定しておくことで、常に最適な状態でACF6の残渣を擦り取ることができる。従って、作業効率が向上し、再利用処理を高精度に行うことができる。
【0102】
(第3変形例)
図16に、本実施形態の第3変形例を示す。本変形例では、再利用装置1の加熱部13の変形例を示している。すなわち、本変形例では、第2支持部22を設けずに、加熱プレート13aを第1基板31の端子部31bの下面に貼り付けて使用できるように構成されている。本変形例によれば、高さ調節が不要になるため、作業を簡略化できる。
【0103】
なお、本発明の再利用方法等は、前記の実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0104】
例えば、対象とする表示モジュール2は液晶モジュールに限られない。同様の構造を有するものであれば、有機ELモジュール等、表示機構が異なるものにも適用できる。
【0105】
接着部材は、ACF6に限らない。熱硬化性樹脂を含む接着部材であれば適用できる。
【0106】
剥離具は、竹べらに限らない。例えば、布や弾性を有する板片等、状況に応じて適宜選択できる。圧着部材62も同様である。
【0107】
前記実施形態では、端子部の全体を加熱したが、対象とする電子部品が固着されている接着領域だけを加熱してもよい。例えば、加熱プレートがそれぞれ個別に加熱可能な複数の要素領域を備えるように構成し、適宜、要素領域を選択して加熱すればよい。
【0108】
前記実施形態では、昇降機構15は第1支持部21に設けられている。しかし、昇降機構15は、第2支持部22に設けてもよく、第1支持部21と第2支持部22の両方に設けてもよい。
【0109】
また、昇降機構15は、例えば、ハンドル操作で昇降できる手動式であってもよい。
【0110】
昇温抑制部12は、例えば、放熱し易い放熱プレートであってもよい。
【0111】
第1変形例と第2変形例とを組み合わせ、部品支持部51と除去部61の両方を再利用装置1に設けてもよい。もちろん、これらに第3変形例を組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0112】
1 再利用装置
2 表示モジュール
3 液晶パネル
4 ICチップ(電子部品)
5 FPC(電子部品)
6 ACF
11 支持部
12 昇温抑制部
12a 冷却プレート
12b 冷却機構
13 加熱部
13a 加熱プレート
13b 加熱機構
14 制御部
15 昇降機構
15a 支持脚
15b 伸縮制御装置
16 位置決め装置
17 第1温度センサ
18 第2温度センサ
19 断熱構造
21 第1支持部
21a 第1支持台
22 第2支持部
22a 第2支持台
31 第1基板
31a 表示部
31b 端子部
32 第2基板
33 液層層
34 偏光板
35 シール材
36 配線
37a 第1接続端子
37b 第2接続端子
42 冷媒流路
43 流入口
44 流出口
51 部品支持部
52 本体部
52a フランジ部
52b ガイド壁
52c 爪部
53 コイルバネ
54 押圧部材
61 除去部
62 圧着部材
63 支持腕部
63a チャック
64 変位制御機構
64a スライドベース
64b 操作装置
64c 変位制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と端子部とを有する基板と、
前記端子部に熱硬化性樹脂を含む接着部材を介して固着される少なくとも1つの電子部品と、
を備える表示モジュールの再利用方法であって、
前記基板から、前記電子部品を取り外す第1ステップと、
前記基板から、前記電子部品が固着されていた接着領域に残る前記接着部材を除去する第2ステップと、
を含み、
前記第2ステップが、
前記表示部を所定温度以下に保持しながら前記接着領域を加熱する第1処理と、
加熱された状態の前記接着部材を擦り取る第2処理と、
を含む表示モジュールの再利用方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示モジュールの再利用方法において、
前記第1処理において、前記接着領域が140℃を超える所定温度に加熱される表示モジュールの再利用方法。
【請求項3】
請求項2に記載の表示モジュールの再利用方法において、
前記接着部材には、異方性導電膜が用いられ、
前記第1処理において、前記接着領域が160℃〜300℃の範囲内の所定温度に加熱される表示モジュールの再利用方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の表示モジュールの再利用方法において、
前記第2ステップが、前記接着領域を加熱するのと同時に、前記表示部を冷却する第3処理を含む表示モジュールの再利用方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の表示モジュールの再利用方法において、
前記表示部には、液晶を含む液晶層が設けられ、
前記第1処理において、前記表示部が150℃を超えない範囲内の所定温度に保持される表示モジュールの再利用方法。
【請求項6】
請求項5に記載の表示モジュールの再利用方法において、
前記表示部には、更に、偏光板が設けられ、
前記第1処理において、前記表示部が90℃を超えない範囲内の所定温度に保持される表示モジュールの再利用方法。
【請求項7】
請求項1に記載の表示モジュールの再利用方法において、
前記電子部品は複数であり、
前記第1ステップにおいて、前記複数の電子部品のうち、少なくとも1つの電子部品が前記基板に残され、
前記第2ステップが、更に、
前記基板に残る前記電子部品を前記基板に押し付けた状態で保持する第4処理を含む表示モジュールの再利用方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項7に記載の表示モジュールの再利用方法において、
前記第2処理が、少なくとも擦り位置及び擦り方向の制御が可能な除去装置によって自動的に行われる表示モジュールの再利用方法。
【請求項9】
表示部と端子部とを有する基板と、
前記端子部に熱硬化性樹脂を含む接着部材を介して固着される少なくとも1つの電子部品と、
を備える表示モジュールを対象とし、前記電子部品の交換に用いられる表示モジュールの再利用装置であって、
前記基板を支持する支持部と、
前記表示部を所定温度以下に保持する昇温抑制部と、
前記基板の前記端子部を加熱する加熱部と、
前記加熱部の温度を制御する制御部と、
を含む再利用装置。
【請求項10】
請求項9に記載の再利用装置において、
前記支持部が、
前記表示部を支持する第1支持部と、
前記第1支持部に隣接して配置され、前記端子部を支持する第2支持部と、
を含み、
前記第1支持部が、前記表示部が載置される第1支持台を有し、
前記第2支持部が、前記端子部が載置される第2支持台を有し、
前記支持部が、前記第1支持台及び第2支持台の少なくともいずれか一方の高さ調整が可能な昇降機構を有している再利用装置。
【請求項11】
請求項10に記載の再利用装置において、
前記昇温抑制部が、
冷却プレートと、
前記冷却プレートを冷却する冷却機構と、
を有し、
前記加熱部が、
加熱プレートと、
前記制御部との協働により、前記加熱プレートを加熱して所定温度に保持可能な加熱機構と、
を有し、
前記冷却プレートが前記第1支持台の上面に設置され、
前記加熱プレートが前記第2支持台の上面に設置されている再利用装置。
【請求項12】
請求項9〜請求項11のいずれか1つに記載の再利用装置において、
前記昇温抑制部と前記加熱部との間に断熱構造が設けられている再利用装置。
【請求項13】
請求項9に記載の再利用装置において、
前記基板が前記支持部に支持された状態において、前記基板に残る前記電子部品を支持する部品支持部を更に含む再利用装置。
【請求項14】
請求項10に記載の再利用装置において、
前記基板が前記支持部に支持された状態において、前記基板に残る前記電子部品を支持する部品支持部を更に含み、
前記部品支持部が、前記第2支持台の上方に配置されて昇降可能な押圧部材を有し、
前記押圧部材が下降して前記電子部品を前記第2支持台に押し付けることにより、前記電子部品が前記部品支持部に支持される再利用装置。
【請求項15】
請求項9に記載の再利用装置において、
前記基板が前記支持部に支持された状態において、前記基板の前記端子部における所定領域を摺る除去部を更に含む再利用装置。
【請求項16】
請求項15に記載の再利用装置において、
前記除去部が、
前記端子部に押し付けられる圧着部材と、
前記圧着部材を支持する支持腕部と、
予め設定された条件に基づいて、少なくとも垂直方向と水平方向とにおける任意の位置に前記支持腕部を変位制御可能な変位制御機構と、
を有している再利用装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−108888(P2011−108888A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263162(P2009−263162)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】