説明

表示制御装置およびプログラム

【課題】最前面に出したいウィンドウに係る動画再生機能に応じた呼出操作をユーザに判断させる必要のない表示制御装置を提供する。
【解決手段】ウィンドウ管理機能27と、複数の動画再生アプリケーション28a、28b、28cと、を備えるコンピュータであって、リモコン18aに設けられた一発メディアボタン34の押下を検出する検出部21と、検出部21によって一発メディアボタン34の押下が検出されたことを受け、ウィンドウ管理機能27より取得された情報に基づいて、複数の動画再生アプリケーション28a、28b、28cのうちの何れかに関連付けられているウィンドウである動画ウィンドウを抽出する抽出部22と、抽出部22によって抽出された動画ウィンドウがディスプレイ16における最前面に表示されるようウィンドウの前後順を変更する変更部24と、を備える、表示制御装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示装置において前後関係をもって表示される表示領域の前後順を制御する表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送波からの映像と記録媒体からの映像との双方を表示する表示モードから、放送波からの映像のみを表示する表示モードに切り替えた場合に、記録媒体からの映像再生を自動的に一時停止し、双方の映像を表示する表示モードに戻った場合に、記録媒体からの映像再生を自動的に再開する技術がある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、ユーザに情報の取得機会を逃させないための技術として、電子番組ガイド内に表示される映像を、電子番組ガイドが表示される直前に視聴されていたチャンネルの映像とする技術があり(特許文献2を参照)、入力信号を順次記録することで見逃した映像や聞き逃した音声を確認可能とする技術がある(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−221934号公報
【特許文献2】特表2000−507408号公報
【特許文献3】特開2002−271752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、パーソナルコンピュータには、テレビジョン再生機能、DVD(Digital
Versatile Disc)ビデオ再生機能、ネットワーク配信動画再生機能、等の様々な動画再生機能が搭載されている。これらの各機能は、パーソナルコンピュータに備えられた入力装置を介して、各動画再生機能毎に用意された呼出操作を行うことで起動される。
【0006】
ここで、現在のパーソナルコンピュータは所謂ウィンドウ表示機能を含むGUI(Graphical User Interface)を備えるために、動画再生機能以外の機能(文書作成機能や表計算機能等)を主として使用しつつ、この主として使用されている機能に関連付けられているウィンドウ以外のウィンドウに動画再生機能によって再生される映像を表示させることが可能である。即ち、ユーザは、動画再生機能以外の機能をパーソナルコンピュータの主要目的としてパーソナルコンピュータの表示画面の大部分を占める大きさのウィンドウに表示させて使用しつつ、動画再生機能による映像が表示されるウィンドウを表示画面の隅または背面(映像が表示されるウィンドウの上に他のウィンドウが重なって表示されている状態)に配置して、所謂「ながら見」を行うことが可能である。
【0007】
この場合、ユーザは、映像を画面の端で確認しつつ作業をするか、または音声のみを聴きつつ作業をすることとなる。そこで急に映像の内容に興味を惹かれて(例えば、スポーツ中継の音声のみを聴いていたところ、歓声が大きくなった、等)直ちに映像を確認したいと思った場合、従来の動画再生機能付きパーソナルコンピュータでは、リモコン、キーボード、マウス等の入力装置を操作して、目的の動画再生機能に対応する呼出操作を行う必要があった。特に、複数の動画再生機能を備えるパーソナルコンピュータでは、各動画再生機能ごとに操作が異なるため、適切な操作内容を判断し、操作を行うことはユーザに
とって非常に煩雑であり、時間の浪費を感じさせるものである。より具体的には、リモコン操作であれば、複数の動画再生機能に関連付けられた夫々のボタンの中から目的の動画再生機能に関連付けられたボタンを判断して押下する必要があるし、マウス操作であれば、表示画面に表示される、動画再生機能以外の機能も関連付けられている多くのウィンドウの情報の中から、目的の動画再生機能に関連付けられたウィンドウを判断してマウスを動かし、ポインタを合わせて選択操作を行う必要がある。
【0008】
このような操作体系は、特に電子機器類の操作に不慣れなユーザを混乱させ、また、操作に慣れたユーザにとっても、一刻も早く動画にアクセスしたい場合に煩雑さや時間の浪費を感じさせるものである。また、動画再生機能に関連付けられているウィンドウが他のウィンドウに隠れてウィンドウ名等が確認できない場合や、動画再生機能に関連付けられているウィンドウにウィンドウ名自体が表示されていない場合もあり、更にユーザを混乱させ、ユーザに煩雑さや時間の浪費を感じさせる原因となっている。また、操作を誤って他の動画再生機能を起動させてしまった場合には、ユーザが確認したい映像を視聴可能になるまでの時間が更に引き延ばされるという問題も発生する。
【0009】
上記した問題に鑑み、複数の動画再生機能のうち何れかの動画再生機能に関連付けられたウィンドウを最前面に出す場合に、最前面に出したいウィンドウに係る動画再生機能に応じた呼出操作をユーザに判断させる必要のない表示制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本表示制御装置は、上記した課題を解決するために、所定の操作が行われた場合に、複数の動画再生機能のうちの何れかに関連付けられている表示領域を最前面に表示することで、最前面に出したいウィンドウに係る動画再生機能に応じた呼出操作をユーザに判断させる必要のないことを可能にした。
【0011】
詳細には、本装置は、表示装置において前後関係をもって表示される表示領域を管理する表示領域管理機能と、複数の動画再生機能と、を備えるコンピュータであって、入力装置を用いて行われた所定の操作を検出する検出部と、前記検出部によって前記所定の操作が検出されたことを受け、前記表示領域管理機能より取得された情報に基づいて、前記複数の動画再生機能のうちの何れかに関連付けられている前記表示領域である動画表示領域を抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された前記動画表示領域が前記表示装置における最前面に表示されるよう前記表示領域の前後順を変更する変更部と、を備える。
【0012】
ここで、表示領域とは、例えば、GUI機能を備えたOSによって管理されるウィンドウ等である。また、表示装置としては現在一般的に一つの平面上に二次元画像を表示する表示装置が用いられるが、ここでいう「前後」とは、二次元画像を表示する表示装置の場合、表示画面に奥行があると仮定した場合の手前と奥の関係をいう。
【0013】
また、本装置に係るコンピュータには、例えば、テレビジョン再生機能、DVDやHDD等の記録媒体に記録された動画を再生する機能、ネットワーク経由で受信した動画を再生する機能等、複数の動画再生機能が設けられている。従来であればユーザは動画表示領域を最前面に表示させたい場合に、複数の動画再生機能のうち最前面に表示させたい動画再生機能に応じた操作を行う必要があったが、本装置に拠れば、上記所定の操作を行うのみで、最前面に表示させたい動画再生機能が何れの動画再生機能であっても、動画表示領域を最前面に表示することが可能である。即ち、本装置に拠れば、ユーザは操作を迷うことなく即座に視聴したい動画にアクセスすることが可能である。
【0014】
ここで、抽出部は、コンピュータの表示領域管理機能より表示領域に係る情報を取得し
、この情報に基づいて動画表示領域を抽出するが、抽出のための具体的な方法には、表示領域に関連付けられた機能の名称による方法や、表示領域管理機能が有する機能種別情報による方法等、様々な方法があり、何れが採用されてもよい。
【0015】
例えば、前記抽出部は、前記表示領域に関連付けられている機能の名称を前記表示領域管理機能より取得し、取得された名称を、予め用意された複数の動画再生機能の名称と比較することで、前記動画表示領域を抽出してもよい。
【0016】
また、表示領域管理機能が、表示領域に関連付けられた機能の種類(例えば、動画再生、文書作成、表計算、等)を識別可能な情報を有している場合は、この機能種別情報を表示領域管理機能より取得して、動画表示領域を抽出してもよい。
【0017】
また、前記変更部は、前記抽出部によって複数の前記動画表示領域が抽出された場合に、抽出された複数の前記動画表示領域のうち、前後順が最も前面側である前記動画表示領域が、前記表示装置における最前面に表示されるよう前記表示領域の前後順を変更してもよい。
【0018】
即ち、変更部は、複数の動画表示領域がある場合に、最も手前にある動画表示領域を、ユーザにとって優先度が高い動画が表示されている動画表示領域であると判断して、最前面に表示させる。このようにすることで、同時に複数の動画表示領域が開いている場合であっても、ユーザに操作を迷わせることなく、所定の操作を行うのみで、適切な動画にアクセスさせることが可能となる。
【0019】
また、本装置は、前記抽出部によって複数の前記動画表示領域が抽出された場合に、最前面の前記表示領域が前記動画表示領域であるか否かを判定する判定部を更に備え、前記変更部は、前記判定部によって最前面の前記表示領域が前記動画表示領域であると判定された場合に、該最前面の前記動画表示領域を除く前記動画表示領域のうちの何れかが、前記表示装置における最前面に表示されるよう前記表示領域の前後順を変更してもよい。
【0020】
即ち、既に最前面に動画表示領域が表示されているときに所定の操作が行われた場合、後方にある動画表示領域を最前面に表示することで、現在起動されている動画再生機能が何れであるかを問わず、所定の操作を行うのみで最前面に表示されている動画を切り替えることが可能となる。
【0021】
また、本装置は、前記抽出部によって前記動画表示領域が抽出されなかった場合に、前記複数の動画再生機能のうち何れかの動画再生機能を起動させる起動部を更に備えてもよい。
【0022】
これによって、動画再生機能が起動されていない状態であっても、所定の操作を行うのみで、何れかの動画再生機能が起動し、ユーザに操作を迷わせることなく、動画の視聴を開始させることが可能となる。
【0023】
また、前記検出部は、前記入力装置による一の操作を所定の操作として検出するようにしてもよい。
【0024】
そのため、本装置は、前記表示装置の画面における所定の選択領域を定義し、ユーザに該選択領域の選択を促すための画像または文字を、該選択領域に表示する選択領域表示部を更に備え、前記検出部は、前記入力装置を用いて前記所定の選択領域が選択されたことを、前記所定の操作として検出してもよい。
【0025】
ここで、選択領域に表示される画像または文字は、例えば、ボタンを模したアイコン画像や、「一発メディア」等の文字列である。検出部は、ユーザがマウス等を用いてこれらの画像または文字が表示されている領域を選択したことを検出する。
【0026】
また、上記表示制御装置は、以下の入力装置と共に用いられてもよい。即ち、上記表示制御装置が備える検出部によって検出される前記所定の操作が行われる入力装置であって、押下されることで所定の信号を発生し、前記検出部に前記所定の操作を検出させる所定のボタンを備える、入力装置である。
【0027】
この入力装置は、上記所定のボタンの押下により上記所定の信号を無線で上記表示制御装置の無線受信部に送信する送信部を備え、表示制御装置は、入力装置から受信した無線信号を検出部で所定の操作として検出する。
【0028】
例えば、この入力装置は所謂リモコンであり、そのリモコンに上記所定のボタンを備えることで、ユーザは、現在起動されている動画再生機能が、コンピュータにインストールされた複数の動画再生機能の何れであるかを全く気にすることなく、所定のボタンを押下するのみで、即座に動画にアクセスすることが可能となる。
【0029】
更に、上記本装置による処理は、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとしても提供することが可能である。また、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0030】
本装置によって、複数の動画再生機能のうち何れかの動画再生機能に関連付けられたウィンドウを最前面に出す場合に、最前面に出したいウィンドウに係る動画再生機能に応じた呼出操作をユーザに判断させる必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態における表示制御装置を備えるパーソナルコンピュータのハードウェア構成の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係るリモコンを示す図である。
【図3】実施形態における表示制御装置を備えるパーソナルコンピュータの機能構成の概略を示す図である。
【図4】実施形態において、OSから取得されるウィンドウ情報に含まれる情報の内容を示す図である。
【図5】実施形態に係る、ディスプレイに表示された画面のイメージを示す図である。
【図6a】実施形態に係る、表示制御処理の流れを示すフローチャート(a)である。
【図6b】実施形態に係る、表示制御処理の流れを示すフローチャート(b)である。
【図7】実施形態において動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウがない場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図である。
【図8】実施形態において動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウが1つである場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図である。
【図9】実施形態において動画再生アプリケーションに関連付けられているウィンドウが2つ以上であって且つ最前面が動画ウィンドウである場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図(1)である。
【図10】実施形態において動画再生アプリケーションに関連付けられているウィンドウが2つ以上であって且つ最前面が動画ウィンドウである場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図(2)である。
【図11】実施形態において動画再生アプリケーションに関連付けられているウィンドウが2つ以上であって且つ最前面が動画ウィンドウでない場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示に係る表示制御装置、その装置で行われる処理に関する方法およびプログラムの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本実施形態における表示制御装置を備えるパーソナルコンピュータ1のハードウェア構成の概略を示す図である。パーソナルコンピュータ1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12等の主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)13等の補助記憶装置、ROM(Read Only Memory)14、受信装置15、ネットワークデバイス19、DVDドライブ20、リモコン18a、リモコン操作受信部18b、ディスプレイ16等の表示装置、キーボード17a、およびマウス17b等を有する。
【0034】
HDD13には、システムを管理するためのオペレーティングシステム(以下、OS)、パーソナルコンピュータ1が有するかまたはパーソナルコンピュータ1に接続されたデバイスを制御するためのデバイスドライバ、およびパーソナルコンピュータ1において起動されるアプリケーション等がインストールされている。
【0035】
なお、本実施形態におけるOSは、マルチウィンドウシステムであり、ディスプレイ16に表示されるウィンドウを管理するウィンドウ管理機能27を備える。また、HDD13には、テレビジョン再生アプリケーション28aやDVD動画再生アプリケーション28b、ネットワーク配信動画再生アプリケーション28c等の複数の動画再生アプリケーション28a、28b、28cがインストールされており、受信装置15やDVDドライブ20、ネットワークデバイス19等から取得した信号を動画再生アプリケーション28a、28b、28cを実行するCPU11が処理することで、ディスプレイ16に表示されるウィンドウ中に動画を表示させる。
【0036】
リモコン18aは、所謂赤外線方式のリモコン18aであり、対応するリモコン操作受信部18bは、リモコン18aより発信された赤外線を受信することで、リモコン18aにおける操作内容を受け付ける。図2は、本実施形態に係るリモコン18aを示す図である。リモコン18aは、専らテレビジョン再生アプリケーション28aの起動や呼出に用いられるテレビボタン31、DVD動画再生アプリケーション28bの起動や呼出に用いられるDVDボタン32、ネットワーク配信動画再生アプリケーション28cの起動や呼出に用いられるネットTVボタン33、および「一発メディア」ボタン34を有する。ユーザは、これらのボタンを押下することで、各動画再生アプリケーションの起動や、バックグラウンドで起動している各動画再生アプリケーションの呼出、パーソナルコンピュータ1の節電状態からの復帰、ディスプレイ16の節電状態からの復帰等を行うことが出来る。
【0037】
受信装置15は、アンテナ15a、チューナ15b、および復調器15cを有し、デバイスドライバを実行するCPU11によって制御される。受信装置15は、アンテナ15aを用いて放送波を受信し、チューナ15bを用いてチャンネルを選択する。そして、受
信装置15は、復調器15cを用いてチャンネルの放送波に基づいた復調処理および圧縮動画データストリーム(本実施形態では、TS信号)の生成処理を行う。生成されたTS信号は、バスを介して出力される。テレビジョン再生アプリケーション28aを実行するCPU11は、受信装置15より出力されたTS信号に基づいて、動画を構成する各フレームのピクチャを生成する(デコード処理)。そして、生成されたピクチャに基づく映像信号がディスプレイ16へ出力され、ディスプレイ16が映像信号に基づく映像を表示することで、ユーザはテレビジョン放送を視聴することが可能となる。
【0038】
ネットワークデバイス19は、有線または無線で外部と通信を行うための装置であり、デバイスドライバを実行するCPU11によって制御される。ネットワークデバイス19は、インターネット等のネットワークを介してネットワーク上のサーバから送信されたパケットを受信し、受信したパケットをバスを介して出力する。ネットワーク配信動画再生アプリケーション28cを実行するCPU11は、ネットワークデバイス19より出力されたパケットに基づいて、動画を構成する各フレームのピクチャを生成する(デコード処理)。そして、生成されたピクチャに基づく映像信号がディスプレイ16へ出力され、ディスプレイ16が映像信号に基づく映像を表示することで、ユーザはネットワーク配信動画を視聴することが可能となる。
【0039】
DVDドライブ20は、挿入されたDVDに記録された情報を読み出すための装置であり、デバイスドライバを実行するCPU11によって制御される。DVDドライブ20は、DVDから読み出された情報をバスを介して出力する。DVD動画再生アプリケーション28bを実行するCPU11は、DVDドライブ20より出力された情報に基づいて、動画を構成する各フレームのピクチャを生成する(デコード処理)。そして、生成されたピクチャに基づく映像信号がディスプレイ16へ出力され、ディスプレイ16が映像信号に基づく映像を表示することで、ユーザはDVDビデオを視聴することが可能となる。
【0040】
図3は、本実施形態における表示制御装置を備えるパーソナルコンピュータ1の機能構成の概略を示す図である。図1に示したハードウェア構成を有するパーソナルコンピュータ1は、HDD13上にインストールされたOS、デバイスドライバ、および表示制御プログラムをCPU11が読み出してRAM12に展開し、展開されたプログラムを解釈および実行するCPU11によってパーソナルコンピュータ1に備えられた各構成が制御されることで、後述する検出部21と、抽出部22と、判定部23と、変更部24と、起動部25と、選択領域表示部26と、を備える表示制御装置として機能する。但し、上記各機能部は、夫々個別に、または複数の機能部をまとめて、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0041】
検出部21は、動画再生アプリケーションの呼出操作を検出する。本実施形態では、動画再生アプリケーションの呼出操作として、リモコン18aに設けられた一発メディアボタン34の押下が定義されている。但し、動画再生アプリケーションの呼出操作は、リモコン18aにおける一発メディアボタン34の押下に限られず、キーボード17aに設けられた一発メディアボタン(図示は省略する)の押下や、予めアサインされたショートカットをキーボード17aを用いて入力する操作、選択領域表示部26によってディスプレイ16に表示された一発メディア呼出アイコン(図示は省略する)等をマウス17bを用いて選択する操作、等であってもよい。
【0042】
抽出部22は、検出部21によって呼出操作が検出されたことを受けて、ディスプレイ16に現在表示されているウィンドウに関連付けられている機能の名称を取得し、取得された名称を、予めリストアップされた動画再生アプリケーション名称リストと比較することで、複数の動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウ(以下、「動画ウィンドウ」と称する)を抽出する。
【0043】
図4は、本実施形態において、OSから取得されるウィンドウ情報に含まれる情報の内容を示す図である。ウィンドウ情報には、ウィンドウ識別子、ウィンドウ名、およびそのウィンドウが最前面から数えて何番目に表示されているウィンドウであるかを示すウィンドウZ方向表示順位が含まれる。ここで、Z方向表示順位とは、ディスプレイ16の表示画面をXY平面としたときに、ウィンドウがZ軸方向に重ねられていると看做してウィンドウの表示順位を定めたものである。また、本実施形態では、取得されたウィンドウ情報に、抽出部22における抽出の結果に基づいて、各ウィンドウが動画ウィンドウであるか否かを識別するための情報が付加される。
【0044】
判定部23は、抽出部22によって複数の動画ウィンドウが抽出された場合に、最前面のウィンドウが動画ウィンドウであるか否かを判定する。判定部23は、Z方向表示順位が1であるウィンドウのウィンドウ情報中の、動画ウィンドウであるか否かを示す情報を参照することで、最前面のウィンドウが動画ウィンドウであるか否かを判定する
変更部24は、抽出部22によって抽出された動画ウィンドウを表示装置の画面における最前面に表示させるようOSのウィンドウ管理機能27に指示することで、ウィンドウの前後順を変更する。
【0045】
起動部25は、抽出部22によって動画ウィンドウが抽出されなかった場合に、パーソナルコンピュータ1が備える複数の動画再生アプリケーション28a、28b、28cのうち予め設定された何れかの動画再生アプリケーションを起動させる。なお、起動部25によって起動される動画再生アプリケーションは、予めパーソナルコンピュータ1の工場出荷時や初期設定時に設定されたものであってもよいし、ユーザによって設定されたものであってもよい。本実施形態では、工場出荷時に設定されたテレビジョン再生アプリケーション28a「DigitalTVBox」(図7を参照)が起動されるものとする。
【0046】
選択領域表示部26は、ディスプレイ16における所定の選択領域を定義し、ユーザにこの選択領域の選択を促すためのアイコン画像(一発メディア呼出アイコン)を、選択領域に表示する。ここで、検出部21は、マウス17b等を用いてアイコンが表示された領域が選択されたことを、動画再生アプリケーションの呼出操作として検出する。
【0047】
図5は、本実施形態に係る、ディスプレイ16に表示された画面のイメージを示す図である。ユーザは、表計算アプリケーションや文書作成アプリケーションを使用して作業を行いながら、更に動画再生アプリケーションを使用することでパーソナルコンピュータ1に映像を再生させている。ここで、表計算アプリケーションに関連付けられたウィンドウは最前面に表示されており、動画再生アプリケーションに関連付けられたウィンドウは、表計算アプリケーションや文書作成アプリケーションに関連付けられたウィンドウの背面に隠れて、一部のみが表示されている。
【0048】
ここで、例えば、動画再生アプリケーションによってテレビジョン放送のスポーツ中継が再生されており、歓声が大きくなった等、ユーザが急に映像の内容に興味を惹かれて直ちに映像を確認したいと思うような状況が発生したとする。この場合、本実施形態に係る表示制御装置として機能するパーソナルコンピュータ1によれば、ユーザは、リモコン18aの一発メディアボタン34を押下することで、パーソナルコンピュータ1に、表計算ウィンドウの背後にあるウィンドウの動画再生アプリケーションがテレビジョン再生アプリケーション28aであるか、DVD動画再生アプリケーション28bであるか、ネットワーク配信動画再生アプリケーション28cであるかを問わず、動画再生アプリケーションに関連付けられたウィンドウを最前面に表示させることが出来る。
【0049】
図6aおよび図6bは、本実施形態に係る、表示制御処理の流れを示すフローチャート
である。本フローチャートに示された処理は、パーソナルコンピュータ1の起動後に実行され、ユーザによって動画再生アプリケーションの呼出操作が行われるのを待つ。
【0050】
ステップS101では、動画再生アプリケーションの呼出操作が検出される。検出部21は、リモコン操作受信部18bを介して、リモコン18aにおける一発メディアボタン34の押下を検知することで、動画再生アプリケーションの呼出操作を検出する。また、マウス17b等を用いて一発メディア呼出アイコンが選択されたことを検知することで、動画再生アプリケーションの呼出操作を検出してもよい。その後、処理はステップS102へ進む。
【0051】
ステップS102およびステップS103では、ウィンドウ情報が取得され、動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウが抽出される。抽出部22は、OSから現在起動されているウィンドウの情報を取得する(ステップS102)。そして、抽出部22は予めHDD13に記憶されている動画再生アプリケーション名称リストを読み出し、この名称リストとウィンドウ情報に含まれるウィンドウ名とを比較することで、動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウを抽出する(ステップS103)。動画再生アプリケーション名称リストには、出荷状態でプリインストールされている動画再生アプリケーションの名称が予めリストアップされている。その他、プリインストールされていない動画再生アプリケーションの名称についても、予めリストアップされていてよい。また、動画再生アプリケーション名称リストは、ユーザ操作によって動画再生アプリケーションの名称が追加されることが可能なリストであってもよい。
【0052】
本実施形態では、抽出された動画ウィンドウは、前記ウィンドウ情報をRAMに保存して動画ウィンドウであるか否かを示す情報を付加することで保持される(図4を参照)。但し、抽出された動画ウィンドウの識別子で保持されてもよい。また、動画ウィンドウの抽出方法には、動画再生アプリケーション名称リストとの比較以外の方法が採用されてもよい。例えば、OSのウィンドウ管理機能27が、管理する各ウィンドウに係るアプリケーションの種類を認識できるものであれば、OSのウィンドウ管理機能27に問合せることで動画ウィンドウを特定することが可能である。その後、処理はステップS104へ進む。
【0053】
ステップS104では、動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウが1以上あるか否かが判定される。変更部24は、ステップS103で動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウが1つ以上抽出されたか否かを判定する。動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウが1以上あると判定された場合、処理はステップS106へ進む。動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウがないと判定された場合、処理はステップS105へ進む。
【0054】
ステップS105では、動画再生アプリケーションが起動される。図7は、本実施形態において動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウがない場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図である。起動部25は、パーソナルコンピュータ1が備える複数の動画再生アプリケーションのうち、予め設定された何れかの動画再生アプリケーションの起動をOSに指示することでその動画再生アプリケーションを起動させ、その動画再生アプリケーションが関連付けられたウィンドウを最前面に表示させる。即ち、起動部25は、検出部21によって一発メディアボタン34の押下等の呼出操作が検出されたが、起動中の動画再生アプリケーションがない場合、受け付けられた呼出操作は動画再生アプリケーションの起動指示であると解釈して、動画再生アプリケーションを起動させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0055】
ステップS106およびステップS107では、動画再生アプリケーションが関連付け
られているウィンドウが1つであるか否かが判定され、1つであると判定された場合に、該当するウィンドウが最前面に表示される。図8は、本実施形態において動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウが1つである場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図である。変更部24は、ステップS103における抽出結果に基づいて、動画再生アプリケーションが関連付けられている動画ウィンドウが1つであるか否かを判定し(ステップS106)、動画ウィンドウが1つであると判定された場合、そのウィンドウの識別子をOSのウィンドウ管理機能27に通知することで、動画再生アプリケーションが関連付けられているウィンドウを最前面に表示させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。ステップS106で動画ウィンドウが1つでないと判定された場合、処理はステップS108へ進む。
【0056】
ステップS108では、最前面のウィンドウが動画再生アプリケーションに係るウィンドウであるか否かが判定される。判定部23は、ステップS103における抽出結果に基づいて、ステップS102でウィンドウ情報が取得されたウィンドウのうち最前面のウィンドウ(即ち、Z方向表示順位が1であるウィンドウ)が、動画再生アプリケーションに関連付けられたウィンドウであるか否かを判定する。最前面のウィンドウが動画ウィンドウであると判定された場合、処理はステップS109へ進む。最前面のウィンドウが動画ウィンドウでないと判定された場合、処理はステップS110へ進む。
【0057】
ステップS109では、動画ウィンドウのうち上から2番目の動画ウィンドウが最前面に表示される。図9は、本実施形態において動画再生アプリケーションに関連付けられているウィンドウが2つ以上であって且つ最前面が動画ウィンドウである場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図である。変更部24は、ステップS102でウィンドウ情報が取得されたウィンドウのうち最前面のウィンドウ(この場合、最前面は動画ウィンドウである)を除く動画ウィンドウのうち、最も手前にある動画ウィンドウ(即ち、Z方向表示順位が2以上の動画ウィンドウのうち、最もZ方向表示順位が小さいウィンドウ)の識別子をOSのウィンドウ管理機能27に通知することで、動画ウィンドウのうち上から2番目の動画ウィンドウを最前面に表示させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0058】
なお、本フローチャートに示した処理では、上から2番目の動画ウィンドウが最前面に表示されるために、3つ以上の動画ウィンドウが開いている場合、一発メディアボタン34を複数回押下しても、手前の2枚の動画ウィンドウが交互に切り替わるのみである。このため、一発メディアボタン34の操作のみで手前から3番目以降の動画ウィンドウを前面に出すことは出来ない。ここで、他の実施形態として、動画再生アプリケーションに関連付けられているウィンドウが2つ以上であって且つ最前面が動画ウィンドウである場合、上から2番目の動画ウィンドウを最前面に表示した上で、直前まで最前面に表示されていた動画ウィンドウを最下位に移動させることとしてもよい(図10を参照)。このようにすることで、3つ以上の動画ウィンドウが開いている場合であっても、一発メディアボタン34を押下するのみで、押下の度に順番に最前面の動画ウィンドウが切り替わり、現在開いている動画ウィンドウを容易に巡回することが可能となる。なお、最前面が動画ウィンドウである場合に動画再生アプリケーションの呼出が行われても、既に最前面に動画ウィンドウが表示されているために、特段の処理を行わないこととしてもよい。
【0059】
ステップS110では、動画ウィンドウのうち最も手前にある動画ウィンドウが最前面に表示される。図11は、本実施形態において動画再生アプリケーションに関連付けられているウィンドウが2つ以上であって且つ最前面が動画ウィンドウでない場合の、ウィンドウのZ方向表示順位の遷移を示す図である。変更部24は、ステップS103で抽出された動画ウィンドウのうち、最も手前にある動画ウィンドウ(即ち、最もZ方向表示順位が小さい動画ウィンドウ)の識別子をOSのウィンドウ管理機能27に通知することで、
動画ウィンドウのうち最も手前の動画ウィンドウを最前面に表示させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0060】
本実施形態に拠れば、一発メディアボタン34を押下することによって、起動している動画再生アプリケーションに関係なく、動画ウィンドウが最前面に表示されるため、ユーザが起動している動画再生アプリケーションを選択したり、動画再生アプリケーションに対応する操作内容を考える時間が不要となる。即ち、本実施形態に拠れば、操作時間が短縮され、誤操作の可能性が低下し、「ながら見」を快適に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 パーソナルコンピュータ
11 CPU
12 RAM
13 HDD
14 ROM
15 受信装置
16 ディスプレイ
17a キーボード
17b マウス
18a リモコン
18b リモコン操作受信部
19 ネットワークデバイス
20 DVDドライブ
21 検出部
22 抽出部
23 判定部
24 変更部
25 起動部
26 選択領域表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置において前後関係をもって表示される表示領域を管理する表示領域管理機能と、複数の動画再生機能と、を備えるコンピュータにおける表示制御装置であって、
入力装置を用いて行われた所定の操作を検出する検出部と、
前記検出部によって前記所定の操作が検出されたことを受け、前記表示領域管理機能より取得された情報に基づいて、前記複数の動画再生機能のうちの何れかに関連付けられている前記表示領域である動画表示領域を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記動画表示領域が前記表示装置における最前面に表示されるよう前記表示領域の前後順を変更する変更部と、
前記抽出部によって複数の前記動画表示領域が抽出された場合に、最前面の前記表示領域が前記動画表示領域であるか否かを判定する判定部と、を備え、
前記変更部は、前記判定部によって最前面の前記表示領域が前記動画表示領域であると判定された場合に、該最前面の前記動画表示領域を除く前記動画表示領域のうちの何れかが、前記表示装置における最前面に表示されるよう前記表示領域の前後順を変更する、
表示制御装置。
【請求項2】
前記抽出部によって前記動画表示領域が抽出されなかった場合に、前記複数の動画再生機能のうち何れかの動画再生機能を起動させる起動部を更に備える、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記入力装置による一の操作を所定の操作として検出する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示装置の画面における所定の選択領域を定義し、ユーザに該選択領域の選択を促すための画像または文字を、該選択領域に表示する選択領域表示部を更に備え、
前記検出部は、前記入力装置を用いて前記所定の選択領域が選択されたことを、前記所定の操作として検出する、
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
表示装置において前後関係をもって表示される表示領域を管理する表示領域管理機能と、複数の動画再生機能と、を備えるコンピュータを、
入力装置を用いて行われた所定の操作を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記所定の操作が検出されたことを受け、前記表示領域管理機能より取得された情報に基づいて、前記複数の動画再生機能のうちの何れかに関連付けられている前記表示領域である動画表示領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記動画表示領域が前記表示装置における最前面に表示されるよう前記表示領域の前後順を変更する変更手段と、
前記抽出手段によって複数の前記動画表示領域が抽出された場合に、最前面の前記表示領域が前記動画表示領域であるか否かを判定する判定手段と、として機能させ、
前記変更手段は、前記判定手段によって最前面の前記表示領域が前記動画表示領域であると判定された場合に、該最前面の前記動画表示領域を除く前記動画表示領域のうちの何れかが、前記表示装置における最前面に表示されるよう前記表示領域の前後順を変更する、
表示制御プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記抽出部によって前記動画表示領域が抽出されなかった場合に、前記複数の動画再生機能のうち何れかの動画再生機能を起動させる起動手段として更に機能させる、
請求項5に記載の表示制御プログラム。
【請求項7】
前記検出手段は、前記入力手段による1の操作を所定の操作として検出する、
請求項5に記載の表示制御プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記表示装置の画面における所定の選択領域を定義し、ユーザに該選択領域の選択を促すための画像または文字を、該選択領域に表示する選択領域表示手段として更に機能させ、
前記検出手段は、前記入力手段を用いて前記所定の選択領域が選択されたことを、前記所定の操作として検出する、
請求項7に記載の表示制御プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータは無線信号を受信する無線受信手段を備え、
前記入力手段は、押下されることで所定の無線信号を発生する所定のボタンを備え、
前記検出手段は、前記無線受信手段による前記所定の無線信号の受信を前記所定の操作として検出する、
請求項7記載の表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−138094(P2012−138094A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16505(P2012−16505)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2009−529910(P2009−529910)の分割
【原出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】