説明

表示器、表示器の制御方法、および当該制御方法をコンピュータに実現させるためのプログラム

【課題】アナログタッチパネルに対して行なわれた2点目の押下を正しく検出する。
【解決手段】表示器のCPUが実行する制御方法は、アナログタッチパネルに対する押下が2点押であるか否かを判定するステップ(S1510)と、当該押下が2点押である場合に2点目の押下が有効であるか否かを判定するステップ(S1570)と、2点目が有効である場合に2点目の座標値を出力するステップ(S1580)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示器の制御に関し、特に、アナログ抵抗膜方式タッチパネルを有する表示器の制御に関する。詳しくは、一つのタッチパネルにおいて、いわゆる二点押がなされた場合に、二点押が有効になされているか否かを正しく判定する表示器の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログタッチパネルを有する表示器は、画面への押下に応じて命令を出力し、あるいは表示される画面を切り替える。表示器への押下の態様としては、画面上の1点に対する押下(以下「1点押」という。)に限られず、複数の押下(たとえば、二点押が行なわれる「二点押」など)がある。
【0003】
そこで、たとえば、特開平9−34625号公報(特許文献1)は、抵抗膜方式等の座標検出において、二点が同時に指示された入力(二点押に相当)について各指示位置の座標を検出することを可能とする技術を開示している。
【特許文献1】特開平9−34625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術によると、二点押が行なわれたことは検出できるものの、二点目の座標を正確に認識することができない場合があった。重心座標は二点が同じ力で押されると正しく二点の中点に現れるが、二点を押す力が同じになることは実際にはまれであり、二点を押した際の重心座標は、二点のうち強く押された点寄りに現れてしまう。にもかかわらず、二点を押す力が同じであると仮定して二点目を算出するため、二点目を正しく算出することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一局面に従う表示器は、複数の二点押用の押下領域が設けられたアナログ抵抗膜方式タッチパネルと、タッチパネルに対する第1の押下がされた場合に、第1の押下に基づく第1の座標値を出力するとともに、第1の押下が維持された状態で、タッチパネルに対する第2の押下がされた場合に、第1の押下および第2の押下に基づく重心座標値を出力する座標値出力手段と、第1の座標値および重心座標値から第2の座標値を算出する算出手段と、第1の座標値が二点押用の押下領域に位置し、かつ第2の座標値が、二点押用の押下領域に位置するとともに、第1の座標値および第2の座標値が異なる二点押用の押下領域に位置している場合に、第1の押下および第2の押下による二点押しが有効であると判定する第1判定手段とを備える。
【0006】
好ましくは、表示器は、算出手段によって算出された第2の座標値が、予め定められた時間の間継続して、二点押用の押下領域に位置している場合に、二点押しが有効であると判定する第2判定手段をさらに備える。
【0007】
好ましくは、表示器は、第1の座標値と、第2の座標値とが、予め定められた距離以上離れている押下領域を用いて場合に、二点押しが有効であると判定する第3判定手段をさらに備える。
【0008】
好ましくは、第3判定手段は、二点が押された場合に押されている二点の距離が長くなると電流値が大きくなることに基づいて、第1の座標値と第2の座標値との距離を算出す
る。
【0009】
好ましくは、表示器は、距離と、第1の座標値と第2の座標値とから求められた距離とを比較することにより二点押しが有効になされていると判定する第4判定手段をさらに備える。
【0010】
この発明の他の局面に従うと、複数の二点押用の押下領域が設けられたアナログ抵抗膜式タッチパネルを備えた表示器を制御するための制御方法が提供される。この制御方法は、アナログタッチパネルに対する第1の押下に基づくアナログタッチパネルにおける第1の座標値を出力するステップと、アナログタッチパネルに対する第2の押下および第1の押下に基づく重心座標値を出力するステップと、第1の押下が第1の押下領域に対する押下であるか否か、および、第1の座標値および重心座標値により算出された第2の座標値が、第2の押下領域に対する押下であるか否かに基づいて、第1の押下および第2の押下による二点押しが有効であるか否かを判定するステップとを含む。
【0011】
好ましくは、制御方法は、算出された第2の座標値が、予め定められた時間の間継続して、第2の押下領域に位置している場合に、二点押しが有効であると判定するステップをさらに含む。
【0012】
好ましくは、制御方法は、第1の座標値と、第2の座標値とが、予め定められた距離以上離れている場合に、二点押しが有効であると判定するステップをさらに含む。
【0013】
この発明のさらに他の局面に従うと、表示器の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。表示器は、押下対象として予め規定された第1および第2の押下領域を有するアナログタッチパネルを備えている。このプログラムはコンピュータに、アナログタッチパネルに対する第1の押下に基づくアナログタッチパネルにおける第1の座標値を出力するステップと、アナログタッチパネルに対する第2の押下および第1の押下に基づく重心座標値を出力するステップと、第1の押下が第1の押下領域に対する押下であるか否か、および、第1の座標値および重心座標値に基づいて算出された第2の座標値が、第2の押下領域に対する押下であるか否かに基づいて、第1の押下および第2の押下による二点押しが有効であるか否かを判定するステップと、二点押しが有効であるとの判定結果に応答して、予め規定された処理の実行命令を与える制御信号を出力するステップとを実行させる。
【0014】
好ましくは、プログラムは、算出された第2の座標値が、予め定められた時間の間継続して、第2の押下領域に位置している場合に、二点押しが有効であると判定するステップをコンピュータにさらに実行させる。
【0015】
好ましくは、プログラムは、第1の座標値と、第2の座標値とが、予め定められた距離以上離れている場合に、二点押しが有効であると判定するステップをコンピュータにさらに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、アナログタッチパネルにおいて二点目の座標値を正確に認識することができる。また、二点目の座標値の誤認識に基づく誤動作が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0018】
[アナログタッチパネルの概要]
図1および図2を参照して、アナログタッチパネルの構成について説明する。図1(A)および図1(B)は、アナログタッチパネル100の概略を表わす図である。本実施形態に係るアナログタッチパネル100は、抵抗膜を使用する。アナログタッチパネル100は、ガラス基板(図示しない)の上面に配置された透明な導電膜110,120を備える。導電膜110は、電極112,114を含む。導電膜120は、電極122,124を含む。
【0019】
図1(A)に示される構成により、導電膜110に対する押下に基づき、電極112,114を含む回路の電圧値が計測され、その電圧値に基づいて、導電膜110における位置(たとえばアナログタッチパネル100におけるX座標値)が検出される。図1(B)に示される構成により、電極122,124を含む回路の電圧値が計測され、その電圧値に基づいて、導電膜120における位置(たとえば、アナログタッチパネル100におけるY座標値)が検出される。
【0020】
図2は、アナログタッチパネル100の構成を表わす図である。アナログタッチパネル100は、図1に示されるように、導電膜110,120を備える。導電膜120には、A/D(Analog to Digital)変換器210が接続されている。A/D変換器210,は、導電膜120から出力されるアナログ信号(電圧値)を、デジタル信号に変換する。デジタル信号は、CPU(Central Processing Unit)その他のプロセッサに入力され、位置検出、描画その他の制御に使用される。
【0021】
ついで、図3を参照して、アナログタッチパネル100を備える表示器300について説明する。図3は、表示器300におけるハードウェア構成の一態様の概略を表わす図である。表示器300は、演算制御回路1と、I/O(Input Output)インタフェース2と、A/Dコンバータ3と、パネル出力切替器5と、パネルモード制御部6と、パネル端子切替器7と、電流モニタ8と、アナログタッチパネル100とを備える。演算制御回路1は、CPU10と、ROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)12とを含む。
【0022】
演算制御回路1は、I/Oインタフェース2に電気的に接続されている。I/Oインタフェース2は、さらに、A/Dコンバータ3とパネル出力切替器5とパネルモード制御部6と電流モニタ8とに電気的に接続されている。A/Dコンバータ3は、パネル出力切替器5とパネルモード制御部6とに電気的に接続されている。パネル出力切替器5は、アナログタッチパネル100に電気的に接続されている。パネルモード制御部6は、パネル端子切替器7に電気的に接続されている。電流モニタ8は、アナログタッチパネル100に電気的に接続されている。
【0023】
演算制御回路1は、表示器300の動作を制御する。I/Oインタフェース2は、演算制御回路1によって出力された信号を、A/Dコンバータ3,パネルモード制御部6のいずれかに送出する。A/Dコンバータ3は、パネル出力切替器5によって出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。また、A/Dコンバータ3は、I/Oインタフェース2またはパネルモード制御部6によって出力されたデジタル信号に基づいて作動する。
【0024】
パネル出力切替器5は、アナログタッチパネル100によって出力される複数の信号のいずれかを選択的にA/Dコンバータ3に出力する。たとえば、複数の導電膜のうち1つの導電膜からX座標値の検出のために出力される信号と、他の導電膜からY座標値の検出のために出力される信号とが、パネル出力切替器5によって選択的にA/Dコンバータ3に対して送出される。なお、アナログタッチパネル100から出力される信号を個別にデ
ジタル信号に変換する構成が使用されてもよい。
【0025】
パネルモード制御部6は、I/Oインタフェース2によって出力される信号に基づいて、アナログタッチパネル100の動作モードを切り替える。パネルモード制御部6は、たとえば、アナログタッチパネル100に表示される操作画面を切り替えるための信号を、I/Oインタフェース2から受信すると、その信号に基づいて、アナログタッチパネル100における位置の検出態様(1点押下、二点押など)を切り替える信号を、パネル端子切替器7に送出する。ここで、二点押(「二点押」ともいう)とは、2ヶ所に対する各押下が維持された状態をいう。演算制御回路1は、アナログタッチパネル100に対する表示を切り替えるために、他の画面を表示する信号をディスプレイ装置(図示しない)に送出している。これにより、アナログタッチパネル100に対するタッチ操作に従って、アナログタッチパネル100に表示される画面が切り換わるとともに、切替後の画面に対するアナログタッチパネル100に対するタッチ操作の検出が可能となる。
【0026】
パネル端子切替器7は、パネルモード制御部6によって出力される信号に基づいて、アナログタッチパネル100における位置検出のための電極を切り替える。たとえば、表示器300の動作モードが、アナログタッチパネル100に表示されている画面におけるX座標値およびY座標値を検出するモードである場合には、パネル端子切替器7は、アナログタッチパネル100を構成する2つの導電膜110,120の各電極112,114,122,124からの出力が有効となるように、電極112,114,122,124を含む回路を「閉」とする。
【0027】
電流モニタ8は、アナログタッチパネル100を流れる電流を監視する。電流モニタ8は、電流値をデジタル信号としてI/Oインタフェース2に送出する。あるいは、他の局面において、電流モニタ8は、アナログ信号としての電流値をA/Dコンバータ3に送出してもよい。
【0028】
表示器300のオペレータが、アナログタッチパネル100においてタッチ領域として規定された範囲を押下すると、その押下された場所に対応する電圧値がパネル出力切替器5に送出される。パネル出力切替器5は、パネルモード制御部6によって規定された出力態様(X座標値およびY座標値を出力、いずれかを出力など)にしたがって、その押下に応じたアナログ信号をA/Dコンバータ3に送出する。パネル出力切替器5は、さらに、アナログタッチパネル100に対する押下が行なわれたことを示すタッチ入力検出信号を、デジタル信号として、I/Oインタフェース2に送出する。I/Oインタフェース2は、これらのデジタル信号を、演算制御回路1に送出する。
【0029】
演算制御回路1において、CPU10は、I/Oインタフェース2から入力されたデジタル信号に基づいて、アナログタッチパネル100において押下された位置を検出し、予め規定されている制御を、その検出した位置に基づいて実行する。たとえば、画面を切り替える領域がアナログタッチパネル100において押下された場合には、CPU10は、切り替え後の画面を表示するためのデータに基づいて、描画処理を実行する。これにより、画面が切り換わる。
【0030】
あるいは、表示器300からの出力によって制御されるように構成されている設備(たとえば、ベルトコンベア)を駆動する命令を与えるアイコン画像がアナログタッチパネル100において押下された場合には、CPU10は、そのアイコン画像の押下を検知すると、その命令を当該設備に送出する。
【0031】
[ハードウェア構成]
図4を参照して、本発明の実施形態に係る表示器400の構成について説明する。図4
は、表示器400のハードウェア構成を表わす図である。表示器400は、CPU10と、出力ポート420と、スイッチ431,432,433と、電流検出用の抵抗器440と、電源450と、A/Dコンバータ460と、タッチパネル100とを備える。スイッチ431、432は、それぞれ、4つのポートを含む。
【0032】
CPU10は、出力ポート420とA/Dコンバータ460に電気的に接続されている。出力ポート420は、スイッチ431,432,433に電気的に接続されている。
【0033】
スイッチ431は、スイッチ432、抵抗440、電源450、およびタッチパネル100の電極112、114、122,124に電気的に接続されている。スイッチ433と抵抗440は、接地されている。スイッチ432は、出力ポート420、スイッチ431、A/Dコンバータ460、およびタッチパネル100の電極112、114、122,124に電気的に接続されている。
【0034】
スイッチ431の2つのポートA,Aは、導電膜110の電極114,112に接続されている。他の2つのポートB,Bは、導電膜120の電極124,122に接続されている。スイッチ432の2つのポートA,Bは、導電膜110の電極114,112に接続されている。ポートC,Dは、導電膜124,122に接続されている。
【0035】
CPU10は、スイッチ431,432,433の開閉を切り替えるための信号(PORT_SW_1、PORT_SW_2_0、PORT_SW_2_1、PORT_SW_3)を、出力ポート420に送出する。
【0036】
出力ポート420は、スイッチ431の開閉を切り替える信号(PORT_SW_1)をスイッチ431に送出する。出力ポート420は、スイッチ432の開閉を切り替える信号(PORT_SW_2_1、PORT_SW_2_0)をスイッチ432に送出する。出力ポート420は、スイッチ433の開閉を切り替える信号(PORT_SW_3)をスイッチ433に送出する。各スイッチは、それぞれの信号に従って、開閉を切り替える。
【0037】
本実施形態に係るアナログタッチパネル100のX座標軸およびY座標軸は、図4に示されるように、XL−XR方向に沿う軸をX座標軸として、また、YU−YD方向に沿う軸をY座標軸として規定される。
【0038】
[スイッチの動作態様]
図5を参照して、スイッチ431,432,433の動作態様について説明する。図5は、各スイッチの動作の態様を表わす図である。
【0039】
CPU10がX方向の電圧値をYU側から検出する場合、スイッチ431はポートAを選択し、スイッチ432は、ポートC,Dを選択する。スイッチ433はON(閉)となる。CPU10がX方向の電圧値をYD側から検出する場合、スイッチ431はポートAを選択し、スイッチ432はポートDを選択し、スイッチ433は、ON(閉)となる。
【0040】
CPU10がY方向の電圧位置をXL側から検出する場合、スイッチ431はポートBを選択し、スイッチ432はポートBを選択し、スイッチ433はON(閉)となる。CPU10がY方向の電圧値をXR側から検出する場合、スイッチ431はポートBを選択し、スイッチ432はポートAを選択し、スイッチ433はON(閉)となる。
【0041】
CPU10がX方向の電流値を検出する場合、スイッチ431はポートAを選択し、スイッチ432はポートBを選択し、スイッチ433はOFF(開)となる。CPU10が
Y方向の電流値を検出する場合、スイッチ431はポートBを選択し、スイッチ432はポートDを選択し、スイッチ433はOFF(開)となる。
【0042】
[機能構成]
以下、本発明の実施形態に係る表示器400を実現するための各機能について説明する。たとえば、プロセッサが、当該処理を実現するように構成されたソフトウェアを実行することにより、各機能は実現される。
【0043】
まず、本実施形態における座標値の出力態様について説明する。座標値は、アナログタッチパネル100からの信号に基づいてCPU10によって検出される。
【0044】
CPU10は、1点が押され場場合、以下に述べるように作動する。CPU10は、アナログタッチパネル100において押下された場所の座標値(X,Y)と、状態情報(ON、OFF、MOVE)とを出力する。ここで、状態情報がONであることは、アナログタッチパネル100が押下されたことを表わす。状態情報がOFFであることは、アナログタッチパネル100に対する押下がなくなったこと(押下が「解除」された、ともいう。)を表わす。状態情報がMOVEであることは、アナログタッチパネル100に対する押下が維持されたままで押下の位置が移動したことを表わす。換言すれば、「MOVE」とは、アナログタッチパネル100の画面上を指でなぞった場合等に該当する。
【0045】
アナログタッチパネル100において二点が押下げられた状態を維持し、特定の制御等を行うことがある。二点が押下げられた状態を維持することは二点押とよばれる。たとえば、二点押は、誤操作を防ぐために、あるいは操作権限が与えられた特定のオペレータによる操作のみを可能とするために行われる。このような場合、CPU10は、押下された複数の点における各々の座標値と、状態情報(ON、OFF、MOVE)とを出力する。なお、説明の明確化のため、以下の説明では、二点押の例示を用いて複数の押下を説明する。
【0046】
二点押がされているか否かを判定するには、タッチパネルにおいて二点が押し下げられた状態が維持されているかを判定し、ついで、押し下げられている二点の座標が二点押として有効な座標であるかを判定する必要がある。なお、二点の座標が有効であるとは、その二点が押された場合に特定の制御等を行うように表示器が設定されていることを意味する。
【0047】
二点が押し下げられた状態が維持されているか否かの判定は、電流値(抵抗値)によって行なわれることが一般的である。
【0048】
一点が押された場合の電流値に比して、二点が押された場合の電流値は大きくなる。この電流値の増大に基づいて二点押がされているか否かを判断する。この手段は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0049】
二点が押し下げられた状態が維持されているか否かを判定するのに、以下に述べる座標値の移動の加速度による公知の手段が用いられる場合もある。
【0050】
以下、図6および図7を参照して、座標値の移動の加速度によって二点押がされていることを判定する手段について説明する。図6(A)は、アナログタッチパネル100において、1点目の点Aが押下された状態を表わす図である。図6(B)は、さらに点Bが押下された状態を表わす図である。図7は、二点A,Bが押下された場合における座標値の検出態様を表わす図である。
【0051】
図6(A)を参照して、アナログタッチパネル100を通して表示される画面に、たとえば、押下を受け付けるように構成された画像610、620が表示される。表示器400のオペレータが画像610を押下すると、CPU10は、当該押下を、画像610に対応する点Aの押下として検知する。さらに、図6(B)に示されるように、オペレータが画像610に対する押下を維持した状態で画像620を押下すると、CPU10は、画像610,620についての二点押を、点Cの押下として検知することができる。たとえば、オペレータが、画像610,620を同程度の圧力で押下すると、CPU10は、画像610,620間の距離640における半分の距離630の位置に、点Cを検出する。
【0052】
図7を参照してさらに詳細に説明する。押下された二点A,B間は、導電膜110,120が並列して接続されることになる。その結果、基準電圧(Vo)が印加される抵抗値も減少する。検出電圧(Vx)から演算によって算出されるアナログタッチパネル100における表示画面上の点の座標値は、二点A,Bを結ぶ直線上の略中央に位置する点Cに対応する。したがって点Bは、二点ACを結ぶ線上、かつAC間の距離と同じだけCから離れた点として算出される。
【0053】
さらに、点Aから点Cへの座標値の移動は、アナログタッチパネル100の押下状態を維持したまま、中間座標を経ることなく瞬時に行われる。そこで、CPU410は、検出した座標値の移動を検知すると、アナログタッチパネル100上における二点A,Bが押下されたと判定する。
【0054】
さらに詳細に説明すると、CPU10は、アナログタッチパネル100に対して押下された座標値の単位時間あたりの変化量を算出する。単位時間当たりの変化量が予め規定された基準値を下回る場合には、CPU10は、アナログタッチパネル100に対する押下は1点であると判定する。一方、単位時間あたりの変化量が当該基準値を上回る場合には、CPU10は、アナログタッチパネル100に対して二点押が行なわれたと判定する。
【0055】
また、CPU10は、押下された点Aの座標値(X,Y)と、検出した点Cの座標値(X,Y)との差を算出し、当該差に基づいて、点Aから点Cへの移動方向を検出することもできる。
【0056】
ついで、二点押がされた状態が維持されていると判定された場合に、押されている二点が有効であるか否かを判定する手段について説明する。
【0057】
通常、一点押下が行われたか二点押が行われたかによらず、CPU10は、1点目座標値保持部として、その押下された位置の座標値を最新の座標値、すなわち第1の座標値として、RAM12に格納する。
【0058】
CPU10は、アナログタッチパネル100において上記の判定手段により二点が押し下げられた状態が維持されていると判定すると、RAM12に格納した第1の座標値と、導電膜110,120からの出力として得られる、すなわち、二点押がされた状態における座標値、つまり重心座標値をRAM12に格納する。
【0059】
そして、CPU10によって、第1の座標値および重心座標値から第2の座標値が算出される。
【0060】
本実施形態の表示器においては、二点押がされている場合に、第1および第2の座標値は、二点押が有効となる領域でされているか否かを判定するために、以下に記載する構成を有する。
【0061】
以下、図8を参照して、表示器400による押下された二点の座標の有効性判定について説明する。図8(A)および図8(B)は、それぞれ、アナログタッチパネル100の構成を概念的に表わす図である。
【0062】
図8(A)に記載されているアナログタッチパネル100には、二点押指定領域(二点押が行なわれるべき領域をいう)として予め設定された四つの領域810,812,814,816が設けられている。四つの領域はアナログタッチパネル100の四隅に位置している。四隅に配置するのは、二点押指定領域のX方向最小間隔820、Y方向最小間隔830を充分な値、すなわち多少の誤差があっても正しく二点押しとして判断するのに充分な距離を確保するためである。したがって、二点押指定領域は通常接触する状態では設けられない。さらに、四隅に配置するのは、前記充分な距離を保った上で、一点目が押された後に二点目を選択した際に、選択された二点目と一点目とを結ぶ直線の方向が、二点目によって異なるようにするためである。たとえば、領域812と領域816とを結ぶ直線の方向は、たとえば領域812と領域816とを結ぶ直線の方向とは異なる。
【0063】
なお、一点目が異なる場合、二点を結ぶ直線の方向が同じであっても問題は生じない。一点目の座標は正しく認識されるためである。
【0064】
図8(B)に記載されているアナログタッチパネル100は、二点押指定領域として設定された八つの領域860,861,862,863,864,865,866,867を備えている。八つの領域860〜867が、タッチパネル100の四隅部および周縁部に配置されているのは、隣合う領域で充分な距離を確保するため、また二点を結ぶ直線の方向が異なるようにするためであるのは上記の場合と同様である。なお、X方向最小間隔870は、二点押指定領域の対象となる領域同士の間隔を規定するものであるが、たとえば、領域862,864に対する2つの押下は、二点押として検出され得るようにX方向最小間隔870を設定し、一方、たとえば、領域862,863に対する2つの押下は、二点押として検出されないようにX方向最小間隔870を設定してもよい。Y方向の間隔についても同様である。なお、アナログタッチパネルが充分に大きく、誤差を排除できる場合等は、たとえば、領域862,863の二点押が有効となるように、X方向最小間隔870を設定してもよい。Y方向最小間隔についても同様に設定することができる。
【0065】
上述した複数の二点押指定領域は、アナログタッチパネル100の領域を縦横にそれぞれ奇数分割することにより決定される。たとえば、図8(A)に示される例では、アナログタッチパネル100の領域を9分割(=縦3分割×横3分割)し、奇数番目の位置における領域を、二点押指定領域として規定している。同様に、図8(B)に示される例では、アナログタッチパネル100の領域を25分割(=縦5分割×横5分割)し、奇数番目の位置における領域を、二点押指定領域として規定している。この場合、図8(B)に示される例では、アナログタッチパネル100の中央部(縦3番目、横3番目)の領域は二点押指定領域として規定していないが、必要に応じて二点押指定領域として規定してもよい。なお、分割数は、必ずしも奇数に限られない。
【0066】
なお、分割の態様は、図8(A)または図8(B)に示されるものに限られず、さらに細かく分割されてもよい。また、領域には通常、二点押用ボタン(一点押と兼用)が配置されるのであるが、ボタンの形状は領域に一致していなくてもよく、たとえば、多角形、円形、楕円形、自由曲線で囲まれた領域等であってもよい。そして、上述した第1および第2の座標値が、例えば図8(B)に規定された領域内に位置し、かつ、第1および第2の座標値が異なる領域にある場合に二点押が有効であると判定する。なお、二点押指定領域として設定されたすべてにボタンを配置する必要はなく、使用用途や二点押に対応付けられた命令の数により適宜領域を選択してボタンを配置すればよい。
【0067】
二点押が有効であると判定された場合には、所定の命令が実行される。また、二点が押し下げられた状態が維持されているものの、押し下げられた二点の座標が有効でないと判定された場合には、いかなる命令も実行されない。すなわち、一点押としても有効でなく、二点押としても有効ではないからである。
【0068】
ところで、一点押、二点押に関わらず、オペレータが誤ってタッチパネルに触れてしまう場合がある。このような誤ってタッチパネルに触れてしまった場合も有効な押下であると判断すると誤動作を招くことがある。そこで、オペレータが意識的に押下を行っている場合にのみ、押下が有効であると判定する必要がある。以下に二点押の二点目の場合を参照して、前記判定を行う場合について説明する。
【0069】
図9は、アナログタッチパネル100における二点押の状態を表わす図である。
図9に示される例では、一点目の押下が二点押指定領域1010に対して行なわれた後、二点目の押下が二点押指定領域1030に対して行なわれている。二点目の押下が、予め定められた一定時間連続している場合には、有効な押下として取り扱われる。
【0070】
より詳しくは、CPU10が二点目獲得部として取得した座標値が、予め設定された二点押指定領域内に予め設定された一定時間連続して存在していれば、CPU10は、二点目有効判定部として、当該座標値を与えた二点目の押下(二点押指定領域1030への押下)を有効と判定する。CPU10は、その座標値を他の処理のための入力データとして受け付ける。
【0071】
ここで、一定時間とは、たとえば、100ミリ秒から1秒のように規定されるが、その他の時間間隔が規定されてもよく、あるいは、複数の一定時間が規定されてもよい。
【0072】
このような構成により、偶然に正当な2つの二点押指定領域に対する押下が行なわれた場合であっても、当該押下が一定時間継続しない限り有効なものとして扱われない。したがって、このような押下に起因する表示器400の誤動作を防止することができ、アナログタッチパネル100を使用する表示器400の精度を向上させることができる。
さらに、二点押が有効になされているか否かを判定するために、本実施形態の表示器は以下に示す他の判定手段をも備えている。
【0073】
CPU10は、二点押が行なわれている場合に、一点押が行なわれた場合における抵抗値と、二点押の場合における抵抗値とを比較して抵抗の減少率(電流値の増加率)を算出する。この抵抗の減少率に基づいて、二点間の距離が一定以上離れていることを推定し、二点目の押下の有効性を判断することができる。
【0074】
以下、図10を参照して、抵抗値の減少率、すなわち電流値の増大率による二点間の距離の判定について説明する。図10は、二点間の距離と電流の増加率との関係を表わす図である。なお、図10はたとえばX方向の距離に対する電流値の増加率を示すものであるが、Y方向についても同様の関係となる。
【0075】
二点押がされた場合、一点押に比して多くの電流が流れることが公知であることは上述した。そこで、従来は、電流値の増加率に基づく閾値1210を設定していた。さらに、二点押が行なわれた場合における電流値の大きさについて、二点間の距離が長くなるほど多くの電流が流れる。これは二点押しされた二点間の距離が長くなるほど、並列接続された部分が長くなり、二点間の抵抗値が低下するためである。そこで、この関係を利用して本実施形態の表示器では、さらに以下に述べる判定手段を有する。以下、図10の距離と電流値の増加率との関係について説明する。二点間の距離が最大となるのは、タッチパネルの左隅と右隅とが押された場合である。この場合はたとえば左隅のみが押された場合の
電流値に対して、2倍の電流値が流れる。
【0076】
そこで、本実施形態の表示器400は、二点押が行なわれている場合に、二点押の場合における電流値と、一点目が押されていたときの電流値とにより電流増加率を求める。この増加率を図10に示された二点間の距離と電流増加率との関係に当てはめて二点間の距離を推定する。そして、推定された距離に応じて二点押の有効性を判定する。推定された二点間の距離が閾値Lth以上である場合のみ、CPU10は、二点目の押下が有効であると判定して、その判定結果に基づく処理を続行する。これにより、アナログタッチパネル100に対する誤操作に起因する誤動作を防止できる。図10に示される例では、CPU10は、領域1220に含まれるような距離にある押下を、二点押ではないと判定する。
【0077】
具体的には、たとえば図8(B)に示す領域862を一点目として押したとする。次いで、現実としてはありえないが、仮に同じ領域862を二点目として押したとすると、図10に示すように、電流は増加せず、二点間の距離は0と推定される。
【0078】
領域862に次いで領域863を二点目として押したとすると、電流値はたとえば領域862のみを押していた場合の1.2倍となる。二点間の距離は、電流増加率が1.2となる距離であると推定できる。領域863に代えて領域864を押したとすると、電流値はたとえば領域862のみを押していた場合の1.9倍となり、図10における領域1220外に位置し、二点押が有効であると判定される。
【0079】
なお、図10は、X方向における距離と電流値の増加率との関係を示したものであり、上記説明においてはX方向の距離の推定について説明したが、方向の距離と電流値の増加率との関係も図10と同様であり、Y方向の距離についても同様に推定できる。そして、X,Y方向の距離および第1の座標値により第2の座標値を求めることができる。
【0080】
さらに、上記判定手段を備えていれば、この判定手段により求められる第2の座標値と、上述した、重心座標値から算出された第2の座標値とを比較し、両第2の座標値が著しく異なる場合には二点押が有効でないと判定することもできる。なお、距離の比較により、二点押の有効性を判定してもよい。
【0081】
電流値に基づく閾値は、二点押の対象となる領域の大きさ等に応じて適宜定めればよい。
【0082】
その他、算出によって得られた座標値がアナログタッチパネル100のサイズを超える値である場合には、CPU10は、当該座標値が誤って算出されたものとみなすこともできる。
【0083】
次いで、図11を参照して、二点押の検出の解除について説明する。図11(A)および図11(B)は、二点押指定領域に押下された後に当該押下が解除される場合を表わす図である。
【0084】
CPU10が、領域1110、1130に対する二点押が有効になされていると判定した後、図11(A)に示されるように、二点押指定領域1130に対する押下がなくなると(たとえば、オペレータの指あるいはスタイラスペン等がアナログタッチパネル100から離れると)、電流値が減少し、かつ座標値が変化する。CPU10はこの電流値の減少および座標値の変化を検知すると、二点押指定領域1130における押下がなくなったと判定し、二点押指定領域内安定の状態を取り消す。CPU10は、さらに、二点押指定領域1130における押下が行なわれていた座標値、すなわち押下が解除された座標値と
、二点押指定領域内安定が解除(OFF)されたことを示す信号とを出力する。
【0085】
同様に、図11(B)を参照して、オペレータが二点押指定領域1110から指を離すと、電流値が減少し、かつ座標値が変化する。CPU10は、その変化を検知し、二点押指定領域1110における押下がなくなったと判定し、二点押指定領域内安定の状態を取り消す。CPU10は、二点押指定領域内1110において押下されていた点の座標値をRAM12から読み出して、その座標値と、二点押指定領域内安定が解除されたことを示す信号とを出力する。
【0086】
以下、図12〜図14を参照して、本発明の実施形態に係る表示器400の制御構造について説明する。図12〜図14は、それぞれ、表示器400が備えるCPU10が実行する動作の一部を表わすフローチャートである。
【0087】
図12を参照して、ステップS1510にて、CPU10は、A/Dコンバータ460からの出力に基づいて、二点押判定部として、アナログタッチパネル100に対する押下で二点の押下が維持された状態であるか否かを判定する。CPU10は、当該押下が1点押(1箇所に対する押下)であると判定すると、制御をステップS1520に切り替える。一方、CPU10は、当該押下が二点押であると判定すると、制御をステップS1570に切り替える。
【0088】
ステップS1520にて、CPU10は、二点目有効判定部として、RAM12に格納されているデータに基づいて、当該1点押が二点押安定状態からのものであるか否かを判断する。すなわち、CPU10は、1点押がもともと1点押であったものか、あるいは、二点押の状態が解消された結果1点押になったものかを判定する。CPU10は、当該1点押が二点押安定状態からのものであると判断すると(ステップS1520にてYES)、制御をステップS1530に切り替える。そうでない場合には(ステップS1520にてNO)、CPU10は、処理を終了する。
【0089】
ステップS1530にて、CPU10は、二点押指定領域内安定解除部として、アナログタッチパネル100の状態を示すフラグを、アナログタッチパネル100に対する押下が二点押でないことを示すフラグに設定する。
【0090】
ステップS1540にて、CPU10は、二点目の押下がOFFである(押下がなくなっている)か否かを判定する。このような判断は、たとえば、RAM12における算出された座標値の有無、あるいは当該座標値が算出された時刻等に基づいて行なわれる。CPU10は、二点目の押下がOFFであると判定すると(ステップS1540にてYES)、制御をステップS1550に切り替える。そうでない場合には(ステップS01540にてNO)、CPU10は、制御をステップS1560に切り替える。
【0091】
ステップS1550にて、CPU10は、押下されていた二点のうちアナログタッチパネル100に対する押下がなくなった二点目の座標値と、アナログタッチパネル100に対する押下が二点押でないことを示す信号とを出力する。
【0092】
ステップS1560にて、CPU10は、押下されていた二点のうちアナログタッチパネル100に対する押下がなくなった1点目の座標値と、アナログタッチパネル100に対する押下が二点押でないことを示す信号とを出力する。
【0093】
ステップS1570にて、CPU10は、二点目の押下が有効であるか否かを判定する。CPU10は、二点目の押下が有効であると判定すると(ステップS1570にてYES)、制御をステップS1580に切り替える。そうでない場合には(ステップS157
0にてNO)、CPU10は、制御を終了する。
【0094】
図13を参照して、電流値の増大による二点押有効判定処理について説明する。図15は、二点押判定処理部として機能するCPU10が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0095】
ステップS1630にて、CPU10は、二点目有効判定部として、電流値の増大率に基づいて、二点間の距離が一定以上離れているか否かを判定する。
【0096】
ステップS1640にて、CPU10は、電流値が二点押の判定基準として予め設定された判定値以上であるか否かを判定する。CPU10は、その電流値が当該判定値以上であると判定すると(ステップS1640にてYES)、制御をステップS1660に切り替える。そうでない場合には(ステップS1640にてNO)、CPU10は、制御をステップS1650に切り替える。
【0097】
ステップS1650にて、CPU10は、アナログタッチパネル100に対する二点押が有効でないと判定する。
【0098】
ステップS1660にて、CPU10は、アナログタッチパネル100に対する押下が二点押であると判定する。CPU10は、二点押が行なわれた場合に表示すべき画面として予め規定された他の画面を、表示器400に表示させる。あるいは、CPU10は、二点押が行なわれた場合に実行すべき処理として予め規定されている処理を実行する。たとえば、CPU10は、特定の設備を作動させる命令を、当該設備に送出する。
【0099】
図14を参照して、二点目有効判定処理について説明する。図14は、二点目有効判定処理として機能するCPU10が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0100】
ステップS1710にて、CPU10は、アナログタッチパネル100に対する押下が二点押指定領域に対する押下であるか否かを判定する。CPU10は、当該押下が二点押指定領域に対する押下であると判定すると(ステップS1710にてYES)、制御をステップS1720に切り替える。そうでない場合には(ステップS1710にてNO)、CPU10は、二点押指定領域に対する押下が無効であると判断する。
【0101】
ステップS1720にて、CPU10は、二点押指定領域に対する押下が安定しているか否かを判断する。この判断は、たとえば、CPU10が、二点押指定領域に対する押下が一定時間継続しているか否かに基づいて行なわれる。CPU10は、当該押下が安定していると判断すると(ステップS1720にてYES)、制御をステップS1730に切り替える。そうでない場合には(ステップS1720にてNO)、CPU10は二点押指定領域に対する押下が無効であると判断する。
【0102】
ステップS1730にて、CPU10は、二点の押圧強弱差獲得部として、当該押下が、電流値に基づく二点押安定の基準値を上回っているか否かを判断する。CPU10は、その押下が当該基準値を上回っていると判断すると(ステップS1730にてYES)、二点押指定領域に対する押下が有効であると判断する。そうでない場合には(ステップS1730にてNO)、CPU10は、当該押下を無効であると判断する。
【0103】
上述の処理は、CPU10によって実現される。CPU10は、周知の構成を有するコンピュータに含まれるプロセッサである。したがって、本発明に係る表示器400の制御は、周知の構成を有するコンピュータによっても実現することができる。
【0104】
そこで、図15を参照して、本発明の実施形態に係る表示器400を制御するコンピュータ1900の構成について説明する。図15は、コンピュータシステム1900の構成を表わすブロック図である。
【0105】
コンピュータシステム1900は、主たる構成として、命令を実行するCPU1910と、コンピュータシステム1900に対する信号の入力を受け付ける入力I/F(Interface)1920と、CPU1910によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力I/F1920によって受け付けられたデータを一時的に(揮発的に)格納するRAM1940と、データを不揮発的に格納するハードディスク1950と、CD(Compact Disk)−ROMその他の光ディスクを駆動する光ディスク駆動装置1960と、通信I/F1990とを含む。各構成要素は、データバスによって接続されている。光ディスク駆動装置1960には、CD−ROMその他の光ディスク1962が装着可能である。
【0106】
コンピュータシステム1900における処理は、ハードウェアおよびCPU1910により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク1950に予め格納されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD−ROM1962その他のデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者が運営管理するサーバ装置によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置1960その他の読取装置によりそのデータ記録媒体から読み取られた後、あるいは、通信I/F1980を経由してダウンロードされた後、ハードディスク1950に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1910によってハードディスク1950から読み出され、実行可能なプログラムの形式でRAM1940に格納される。CPU1910は、そのプログラムを実行する。
【0107】
図15に示されるコンピュータシステム1900のハードウェア構成は、一般的なものである。したがって、本発明の最も本質的な部分は、RAM1940、ハードディスク1950、CD−ROM1962その他のデータ記録媒体に格納されたプログラム、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なプログラムであるともいえる。なお、コンピュータシステム1900の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0108】
なお、記録媒体としては、RAM1940、ハードディスク1950、CD−ROM1962に限られず、FD(Flexible Disk)、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable, Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0109】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0110】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】アナログタッチパネル100の概略を表わす図である。
【図2】アナログタッチパネル100の構成の一態様の概要を表わす図である。
【図3】アナログタッチパネルを使用する表示器300の構成の概略を表わす図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示器400のハードウェア構成の一態様を表わす図である。
【図5】スイッチ431,432,433の動作の態様を表わす図である。
【図6】アナログタッチパネル100において、1点目の点Aが押下された状態(A)およびさらに点Bが押下された状態(B)を表わす図である。
【図7】二点A,Bが押下された場合における座標値の検出態様を表わす図である。
【図8】ある局面に従うアナログタッチパネル100の構成を概念的に表わす図である。
【図9】アナログタッチパネル100における二点押の状態を表わす図である。
【図10】二点押指定領域に押下された後に当該押下が解除される場合を表わす図である。
【図11】二点間の距離と電流の増加率との関係を表わす図である。
【図12】表示器400が備えるCPU10が実行する動作の一部を表わすフローチャート(その1)である。
【図13】表示器400が備えるCPU10が実行する動作の一部を表わすフローチャート(その2)である。
【図14】表示器400が備えるCPU10が実行する動作の一部を表わすフローチャート(その3)である。
【図15】コンピュータシステム1900の構成を表わすブロック図である。
【符号の説明】
【0112】
100 アナログタッチパネル、110,120 導電膜、112,114,122,124 電極、210 A/Dコンバータ、300,400 表示器、431,432,433 スイッチ、440 電流検出用の抵抗器、450 電源、610,620 画像、630,640,1340,1350 距離、810,812,814,816,860〜867 領域、820,870 X方向最小間隔、830,880 Y方向最小間隔、910,912,1010,1020,1030,1040,1110,1120,1130,1140,1310,1320 二点押指定領域、1210 閾値、1220 領域、1330 第3の点、1900 コンピュータシステム、1962 CD−ROM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二点押用の押下領域が設けられたアナログ抵抗膜方式タッチパネルと、
前記タッチパネルに対する第1の押下がされた場合に、前記第1の押下に基づく第1の座標値を出力するとともに、前記第1の押下が維持された状態で、前記タッチパネルに対する第2の押下がされた場合に、前記第1の押下および前記第2の押下に基づく重心座標値を出力する座標値出力手段と、
前記第1の座標値および重心座標値から第2の座標値を算出する算出手段と、
前記第1の座標値が前記二点押用の押下領域に位置し、かつ第2の座標値が、前記二点押用の押下領域に位置するとともに、前記第1の座標値および前記第2の座標値が異なる前記二点押用の押下領域に位置している場合に、前記第1の押下および前記第2の押下による二点押しが有効であると判定する第1判定手段とを備える、表示器。
【請求項2】
前記算出手段によって算出された第2の座標値が、予め定められた時間の間継続して、前記二点押用の押下領域に位置している場合に、前記二点押しが有効であると判定する第2判定手段をさらに備える、請求項1に記載の表示器。
【請求項3】
前記第1の座標値と、前記第2の座標値とが、予め定められた距離以上離れている押下領域を用いて場合に、前記二点押しが有効であると判定する第3判定手段をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の表示器。
【請求項4】
前記第3判定手段は、二点が押された場合に押されている二点の距離が長くなると電流値が大きくなることに基づいて、第1の座標値と第2の座標値との距離を算出する、請求項3に記載の表示器。
【請求項5】
前記距離と、第1の座標値と第2の座標値とから求められた距離とを比較することにより二点押しが有効になされていると判定する第4判定手段をさらに備える、請求項4に記載の表示器。
【請求項6】
複数の二点押用の押下領域が設けられたアナログ抵抗膜式タッチパネルを備えた表示器を制御するための方法であって、
前記アナログタッチパネルに対する第1の押下に基づく前記アナログタッチパネルにおける第1の座標値を出力するステップと、
前記アナログタッチパネルに対する第2の押下および前記第1の押下に基づく重心座標値を出力するステップと、
前記第1の押下が前記第1の押下領域に対する押下であるか否か、および、前記第1の座標値および前記重心座標値により算出された第2の座標値が、前記第2の押下領域に対する押下であるか否かに基づいて、前記第1の押下および前記第2の押下による二点押しが有効であるか否かを判定するステップとを含む、表示器の制御方法。
【請求項7】
前記算出された第2の座標値が、予め定められた時間の間継続して、前記第2の押下領域に位置している場合に、前記二点押しが有効であると判定するステップをさらに含む、請求項6に記載の表示器の制御方法。
【請求項8】
前記第1の座標値と、前記第2の座標値とが、予め定められた距離以上離れている場合に、前記二点押しが有効であると判定するステップをさらに含む、請求項6または請求項7に記載の表示器の制御方法。
【請求項9】
表示器の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記表示器は、押下対象として予め規定された第1および第2の押下領域を有するアナログタッチパ
ネルを備えており、前記プログラムは前記コンピュータに、
前記アナログタッチパネルに対する第1の押下に基づく前記アナログタッチパネルにおける第1の座標値を出力するステップと、
前記アナログタッチパネルに対する第2の押下および前記第1の押下に基づく重心座標値を出力するステップと、
前記第1の押下が前記第1の押下領域に対する押下であるか否か、および、前記第1の座標値および前記重心座標値に基づいて算出された第2の座標値が、前記第2の押下領域に対する押下であるか否かに基づいて、前記第1の押下および前記第2の押下による二点押しが有効であるか否かを判定するステップと、
前記二点押しが有効であるとの判定結果に応答して、予め規定された処理の実行命令を与える制御信号を出力するステップとを実行させる、プログラム。
【請求項10】
前記算出された第2の座標値が、予め定められた時間の間継続して、前記第2の押下領域に位置している場合に、前記二点押しが有効であると判定するステップを前記コンピュータにさらに実行させる、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記第1の座標値と、前記第2の座標値とが、予め定められた距離以上離れている場合に、前記二点押しが有効であると判定するステップを前記コンピュータにさらに実行させる、請求項9または請求項10に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−289157(P2009−289157A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142920(P2008−142920)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】