説明

表示器を備えた構造物

【課題】 安定して自立させることができ、使用しない場合は折り畳んで保管できる、表示器を備えた構造物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ラック6は、表示器5が、その前面に取り付けられる横材11と、横材11を、その上部で水平に支持する複数の縦支柱12と、各縦支柱12をそれぞれ垂直に支持する、前後方向Xから左右方向Yに折り畳み可能な第1フレーム体13と第2フレーム体14からなる支持体15を備え、第1フレーム体13の下部に設けるキャスター24および第2フレーム体14の下部に設けるキャスター24を、これらキャスター24間にラック6の前後方向Xにおける重心位置Gが位置するように設けている。この構成により、ラック6は第1フレーム体13を折り畳んでも倒れにくくなり、安定して自立させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かご車やドーリー台車、棚あるいはコンベヤ等の複数の荷分別装置に対して、荷を仕分けるなどする際、荷の種類や個数等の仕分け情報などを表示する表示器を備えた構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示器を備えた構造物の一例が、例えば特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示されている表示器を備えた構造物(折り畳み式デジタル表示システム)は、各略逆U字状部材が、略逆U字状部材の上下方向(脚部の方向)を軸として回動可能な第1の結合部材を介してそれぞれ連結されて構成されており、下部に車輪が取り付けられている脚部に、上下方向を軸として回動可能な第2の結合部材を介して仕切り部材が取り付けられている。
【0003】
上記構成により、連結された複数の略逆U字状部材は、広げた状態または折り畳まれた状態で使用可能とされているため、倉庫内のレイアウトを自由に変更することができる。
また、このような表示器を備えた構造物において、上記各略逆U字状部材がそれぞれ単独で走行可能に構成された表示器を備えた構造物がある。すなわち、略逆U字状部材における脚部にそれぞれ第2の結合部材を介して仕切り部材が取り付けられ、構造物を走行させる車輪が、各脚部の下部と、仕切り部材の下部における脚部と反対側の端部に設けられている。
【特許文献1】特開平10−297723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記表示器を備えた構造物によると、構造物を走行させる車輪が、各脚部の下部と、仕切り部材の下部における脚部と反対側の端部に設けられており、略U逆字状部材の短手方向において、脚部における構造物の重心位置と脚部の下部に設けられた車輪位置とが略同一となるため、仕切り部材が折り畳まれた際、構造物の自立が不安定となるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、安定して自立させることができ、使用しない場合は折り畳んで保管できる、表示器を備えた構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の表示器を備えた構造物は、複数の荷分別装置に対応する表示器を備えた構造物であって、前記表示器が、その前面に取り付けられる横材と、前記横材を、その上部で水平に支持する複数の縦支柱と、前記各縦支柱をそれぞれ垂直に支持する支持体を備え、前記各支持体は、前記縦支柱の下部で、かつその後方位置に設けられ、前記横材の短手方向から前記横材の長手方向に折り畳み可能な第1支持体と、前記縦支柱の下部で、かつその前方位置に設けられている第2支持体から構成され、前記構造物を走行させる移動手段を、前記第1支持体の下部の両端および前記第2支持体の下部に設けたことを特徴としたものである。
【0007】
上記構成によれば、構造物は、縦支柱の後方位置に設けられた第1支持体の下部の両端および縦支柱の前方位置に設けられた第2支持体の下部に移動手段が設けられているため、第1支持体を横材の短手方向から横材の長手方向に折り畳んでも、安定した自立が可能とされる。また、構造物は第1支持体を折り畳んでも安定して自立可能となるため、構造物を第1支持体を折り畳んだ状態で保管できる。また構造物を移動手段により移動させることが可能なため、レイアウトが変更自在とされ、さらにフロアへの据え付けや加工が不要となる。
【0008】
また、請求項2に記載の表示器を備えた構造物は、請求項1に記載の発明であって、前記構造物の前記横材の短手方向における重心位置が、前記第1支持体の前記縦支柱側に設けられている移動手段と前記第2支持体に設けられている移動手段との間に位置するよう、前記第1支持体の前記縦支柱側に設けられている移動手段が配置されていることを特徴としたものである。
【0009】
上記構成によれば、横材の短手方向における重心位置は、第1支持体の縦支柱側に設けられている移動手段と第2支持体に設けられている移動手段との間に位置され、第1支持体を折り畳んだ際、構造物の自重は上述のように配置された移動手段により支持されるため、構造物は安定した自立が可能とされる。
【0010】
そして、請求項3に記載の表示器を備えた構造物は、請求項1または請求項2に記載の発明であって、前記横材は、前記縦支柱間における上部において前記第2支持体側に突出した状態で支持されていることを特徴としたものである。
【0011】
上記構成によれば、横材の短手方向に配置された第1支持体を横材の長手方向に折り畳んだ際、突出した状態で設けられている横材は縦支柱に固定されて設けられている第2支持体により支持されるため、構造物は安定した自立が可能とされる。
【0012】
さらに、請求項4に記載の表示器を備えた構造物は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記各縦支柱の第2支持体間に、前記荷分別装置の前面と当接する当て止め部材を設けたことを特徴としたものである。
【0013】
上記構成によれば、構造物に荷分別装置を格納する際、横材の短手方向における荷分別装置の位置が定められ、横材の短手方向において荷分別装置が所定位置に配置される。
しかも、請求項5に記載の表示器を備えた構造物は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明であって、前記第1支持体には、前記第1支持体を折り畳んだ際、前記第1支持体を前記第2支持体に固定する固定部材が設けられていることを特徴としたものである。
【0014】
上記構成によれば、第1支持体を折り畳んだ際、固定部材により第1支持体が第2支持体に固定されるため、横材の長手方向に固定された第1支持体が横材の短手方向に開くことを防止される。
【0015】
また、請求項6に記載の表示器を備えた構造物は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明であって、前記固定部材は手作業で締め付け可能な複数の締付具によって前記第1支持体に固定されており、前記第1支持体を折り畳む際、前記締付具により前記固定部材を前記第2支持体に固定することを特徴としたものである。
【0016】
上記構成によれば、固定部材を第1支持体に固定、または固定部材を第2支持体に固定する際、工具を必要とすることなく手作業による固定が可能となる。
そして、請求項7に記載の表示器を備えた構造物は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明であって、前記各縦支柱には、前記構造物を前記横材の配置方向に複数並べる際、前記各構造物を連結する連結手段が設けられていることを特徴としたものである。
【0017】
上記構成によれば、各構造物が連結手段によって連結されて固定されるため、横材の長手方向に沿って配置された各構造物の配列が乱れることがなくなる。
さらに、請求項8に記載の表示器を備えた構造物は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明であって、前記第1支持体の三角形状のフレームは、側面視で各角度が30°、60°、90°となる直角三角形状に形成されていることを特徴としたものである。
【0018】
上記構成によれば、第1支持体のフレームは30°、60°、90°となる直角三角形状に形成されているため、第1支持体が横材の短手方向に配置された際、構造物は安定した自立が可能とされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の表示器を備えた構造物は、縦支柱の後方位置に設けられた第1支持体の下部の両端および縦支柱の前方位置に設けられた第2支持体の下部に移動手段が設けられているため、第1支持体を横材の短手方向から横材の長手方向に折り畳んでも、安定した自立を可能とすることができる。
【0020】
また、構造物は第1支持体を折り畳んでも安定して自立可能となるため、構造物を第1支持体を折り畳んだ状態で保管することができ、保管スペースを最小限に抑えることができる。また構造物を移動手段により移動させることが可能なため、レイアウトの変更を容易に行うことができ、さらにフロアへの据え付けや加工を不要とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態における表示器を備えた構造物について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における表示器を備えた構造物を使用するピッキング設備の構成図である。
【0022】
このピッキング設備は、仕分け先別に物品mが投入される複数のコンテナ1を上流から下流へ搬送する搬送コンベヤ2と、この搬送コンベヤ2の搬送経路3に面し、且つ搬送経路3に沿って配置されている複数のかご車(荷分別装置の一例)4と、所定数のかご車4毎の複数のラック(構造物の一例)6などにより構成されている。
【0023】
前記ラック6は、3台のかご車4が配置される格納空間6Aを備え、各かご車4に対応した仕分け情報(店舗の番号や出荷便の番号,荷の番号,荷の個数等)を表示する表示器5(図2)を備えて門型に形成されている。
【0024】
そして、作業者(以下、ピッキング作業者と称す)は、各表示器5で表示される仕分け情報に基づいてかご車4から物品mを取り出して搬送コンベヤ2上のコンテナ1に投入している。
【0025】
ここで、上記ラック6において表示器5が設けられている面を前面、その反対面を後面とし、すなわちラック6の短手方向を前後方向X、ラック6の長手方向を左右方向Yとする。
【0026】
図2から図4に示すように、上記ラック6は、上述した表示器5がその前面に3つ取り付けられている矩形板状の横材11と、横材11をその上部で水平に支持する縦支柱12と、第1フレーム体(第1支持体の一例)13(後述する)と第2フレーム体(第2支持体の一例)14(後述する)から構成され、各縦支柱12をそれぞれ垂直に支持する支持体15を備えている。
【0027】
また各表示器5は、その下部に、物品mの投入の終了を知らせる作業完了スイッチ16を備えている。
なお、上記横材11は、縦支柱12間における上部において第2フレーム体14側に突出した状態で設けられている。
【0028】
上記第1フレーム体13は、横材11における両端に設けられた各縦支柱12の下部で、かつ後面(横材11の短手方向における一方面;後方)に設けられ、前後方向X(横材11の短手方向)から左右方向Y(横材11の長手方向)に折り畳み可能に形成されており、L字型フレーム22と、第1キャスターフレーム23とから構成されている。
【0029】
上記L字型フレーム22は、蝶番21により各縦支柱12の後面に取り付けられる取付部22Aと、この取付部22A(縦支柱12)の下端から取付部22Aと直交した方向(ラック組み立て時において後方)に形成されている下位部22Bとから形成されている。
【0030】
上記第1キャスターフレーム23は、一端が取付部22Aの上端部と接続され、他端が下位部22Bにおける縦支柱12と反対側の端部(以下、L字型フレーム22の遊端部という)と接続されている。
【0031】
前記第1フレーム体13のL字型フレーム22と第1キャスターフレーム23とから形成される三角形状のフレームは、側面視で各角度が30°、60°、90°となる直角三角形状に形成されている。これにより、第1フレーム体13が前後方向Xに配置された際、ラック6は安定した自立が可能とされる。
【0032】
また、第1フレーム体13の下位部22Bにおける両端部には、ラック6を走行させるためのストッパー付キャスター24が設けられている。
上記第2フレーム体14は、縦支柱12の下端から前方に形成されている下位フレーム51と、一端が縦支柱12における第1キャスターフレーム23と同じ高さ位置に接続され他端が下位フレーム51における縦支柱12と反対側の端部(以下、下位フレーム51の遊端部という)と接続されている第2キャスターフレーム52から構成されている。
【0033】
また、第2フレーム体14における下位フレーム51の遊端部には、ラック6を走行させるためのストッパー付キャスター24が設けられている。
また、各縦支柱12の第2フレーム体14間には、かご車4の前面と当接する当て止め部材53が設けられている。これにより、ラック6の格納空間6Aにかご車4を格納する際、前後方向Xにおけるかご車4の位置が定められ、前後方向Xにおいてかご車4が所定位置に配置される。
【0034】
ここで、第1フレーム体13の下位部22Bにおいて縦支柱12側に設けられているストッパー付キャスター24は、ラック6の前後方向Xにおける重心位置Gが、第1フレーム体13の縦支柱12側に設けられているストッパー付キャスター24と第2フレーム体14に設けられているストッパー付キャスター24との間に位置するよう、第1フレーム体13の縦支柱12側に設けられているストッパー付キャスター24が配置されている。
【0035】
これにより、ラック6の前後方向Xにおける重心位置Gは、第1フレーム体13の縦支柱12側に設けられているストッパー付キャスター24と第2フレーム体14に設けられているストッパー付キャスター24との間に位置され、第1フレーム体13を折り畳んだ際、ラック6の自重は上述のように配置されたストッパー付キャスター24により支持されるため、ラック6は安定した自立が可能とされる。
【0036】
また、ラック使用時(ラック組み立て時)において第1フレーム体13が前後方向Xに位置する際、第1フレーム体13は各縦支柱12の前面に2つのノブボルト(手作業で締め付け可能な締付具)25により固定されている。
【0037】
また、第1フレーム体13における下位部22Bの上部には、第1フレーム体13を折り畳んだ際、第1フレーム体13を第2フレーム体14に固定する固定部材26が設けられている。固定部材26は、矩形板状の平板部26Aと平板部26Aから上方へ曲げ形成されている鉛直部26Bとから形成されている。
【0038】
この固定部材26は、縦支柱12側に取り付けられている回動用ノブボルト(手作業で締め付け可能な締付具)27AとL字型フレーム23の遊端部側に取り付けられている固定用ノブボルト(手作業で締め付け可能な締付具)27Bによって第1フレーム体13における下位部22Bに固定されており、第1フレーム体13を折り畳んだ際、上記固定用ノブボルト27Bを外して、この固定用ノブボルト27Bにより固定部材26の鉛直部26Bを第2フレーム体14に固定する。
【0039】
また、図5に示すように、各ラック6の一方の縦支柱(ラック6の右側の縦支柱)12の中央部に箱体32が設けられ、また各ラック6の他方の縦支柱(ラック6の左側の縦支柱)12の中央部に箱体35が設けられており、これら箱体32,35には各ラック6を連結する連結手段31が設けられている。この連結手段31は、箱体32にボルト・ナット33が締め付けられている第1連結部34と、箱体35にヒンジ36を介してボルト・ナット37が締め付けられている第2連結部38とから構成されている。
【0040】
また、図1,図2に示すように、各横材11の左右方向Yにおける一方側の上部には支持部材41が設けられており、この支持部材41に2つのノブボルト(手作業で締め付け可能な締付具)42により搬送コンベヤ2を介して対向して設けられている各ラック6を連結する転倒防止バー43が取り付けられている。
【0041】
また、横材11における両側の前部、第1フレーム体13における下位部22Bの両端部、および下位フレーム51の遊端部には、他のラック6や障害物との衝撃を緩和するゴムなどにより形成されている弾性部材54が設けられている。
【0042】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
まず、各ラック6を搬送コンベヤ2の搬送経路3に面し、且つ搬送経路3に沿って複数配置する際の作用を説明する。
【0043】
このとき、各ラック6の第1フレーム体13を前後方向Xに配置し、各縦支柱12の後面と各第1フレーム体13の取付部22Aとをノブボルト25により固定する。
そして、図5に示すように、搬送経路3に沿って配置された各ラック6を連結手段31により連結する。詳述すると、ラック6Aの他方の縦支柱12に取り付けられた箱体35の側面とラック6Bの一方の縦支柱12に取り付けられた箱体32の側面とを当接させ、ラック6Aのヒンジ36をラック6Bのボルト・ナット33に係止させて、各ボルト・ナット33,37を締め付ける。なお、他の隣接しているラック6の連結も同様して行われる。
【0044】
これにより、各ラック6が連結手段31によって連結されて固定されるため、搬送経路3に沿って配置された各ラック6の配列(左右方向Yにおけるラック6の配列)が乱れることがなくなる。
【0045】
続いて、各ラック6のストッパー付キャスター24のストッパーをロックして、ラック6の位置を固定し、さらに搬送コンベヤ2を介して対向して設けられている各ラック6同士を転倒防止バー43により連結する。
【0046】
これにより、搬送コンベヤ2を介して対向して設けられている各ラック6同士は転倒防止バー43により連結されて固定されるため、上記各ラック6の前後方向Xにおける転倒が防止され、また前後方向Xにおけるラック6の配列が乱れることがなくなる。
【0047】
その後、組み立てられた各ラック6の格納空間6Aにかご車4を配置し、表示器5などを作動させるために電源を入れて、ピッキング作業を開始する。
次に、ピッキング作業が終了した後、各ラック6を格納する際の作用を説明する。
【0048】
まず、上述した電源を切って、各ラック6の格納空間6Aからかご車4を撤去する。
そして、上記転倒防止バー43を取り外し、各ラック6のストッパー付キャスター24のストッパーのロックを解除する。
【0049】
続いて、連結手段31により連結されている各ラック6の連結を解除する。詳述すると、各ボルト・ナット33,37を緩めてラック6Aのヒンジ36を回動させることにより、ラック6Aのヒンジ36によるラック6Bのボルト・ナット33の係止を解除する。
【0050】
続いて、図6に示すように、各縦支柱12の後面と各第1フレーム体13の取付部22Aとを固定しているノブボルト25を緩めて、前後方向Xに配置されている各ラック6の第1フレーム体13を左右方向Xに配置するよう折り畳む。なお、ノブボルト25は、ラック6の組み立て時に再度使用されるため、緩めた状態で取付部22Aに取り付けておく。
【0051】
このとき、ストッパー付きキャスター24は第1フレーム体13の下部の両端および第2フレーム体14における下位フレーム51の下部(遊端部)に設けられ、ラック6の前後方向Xにおける重心位置Gが、第1フレーム体13の縦支柱12側に設けられているストッパー付キャスター24と第2フレーム体14に設けられているストッパー付キャスター24との間に位置されていることにより、各第1フレーム体13が折り畳まれても、ラック6は倒れにくくなり、安定して自立する。また、上記構成により、折り畳んだまま走行可能となるため、ラック6の保管や再配置(レイアウト変更)が容易となる。
【0052】
また、左右方向Xに配置されるよう折り畳まれた第1フレーム体13は、固定部材26により第2フレーム体14に固定される。詳述すると、第1フレーム体13を左右方向Xに配置されるよう折り畳んだ後、第1フレーム体13における下位部22Bに固定されている固定部材26を、固定用ノブボルト27Bを外すことにより回動用ノブボルト27Aを中心に回動自在とし、そして固定部材26の鉛直部26Bを第2フレーム体14における下位フレーム51に固定用ノブボルト27Bにより固定することにより、第1フレーム体13は第2フレーム体14に固定される。
【0053】
これにより、第1フレーム体13を折り畳んだ際、固定部材26により第1フレーム体13が第2フレーム体14に固定されるため、左右方向Yに固定された第1フレーム体13が前後方向Xに開くことを防止される。
【0054】
また、前後方向Xに配置された第1フレーム体13を左右方向Yに折り畳んだ際、突出した状態で設けられている横材11は縦支柱12に固定されて設けられている第2フレーム体14により支持されるため、ラック6は安定した状態で自立する。
【0055】
その後、図7に示すように、上述のように折り畳まれた各ラック6は、前後方向Xに順次配列されて収納される。
なお、第1フレーム体13を前後方向Xに配置する際の第1フレーム体13の固定、第1フレーム体13の下位部22Bに対する固定部材26の固定、固定部材26による第1フレーム体13の第2フレーム体14に対する固定、横材11に設けられた支持部材41に対する転倒防止バー43の取り付けは、ノブボルト25、回動用ノブボルト27A、固定用ノブボルト27B、ノブボルト42により行われているため、工具を必要とすることなく手作業による固定または取り付けが可能となる。
【0056】
以上のように実施の形態によれば、ラック6は、縦支柱12の後方位置に設けられた第1フレーム体13の下部の両端および縦支柱12の前方位置に設けられた第2フレーム体14の下部にストッパー付キャスター24が設けられているため、第1フレーム体13を前後方向Xから左右方向Yに折り畳んでも、安定した自立を可能とすることができる。
【0057】
また、ラック6は、第1フレーム体13を折り畳んでも安定して自立可能となるため、第1フレーム体13を折り畳んだ状態で保管することができ、保管スペースを最小限に抑えることができる。またラック6はストッパー付きキャスター24により容易に移動できるため、レイアウトの変更を容易に行うことができ、さらにフロアへの据え付けや加工を不要とすることができる。
【0058】
また、上記実施の形態によれば、キャスター24は第1フレーム体13の下部の両端および第2フレーム体14における下位フレーム51の下部(遊端部)に設けられ、ラック6の前後方向Xにおける重心位置Gが、第1フレーム体13の縦支柱12側に設けられているキャスター24と第2フレーム体14に設けられているキャスター24との間に位置されていることにより、各第1フレーム体13が折り畳まれたとき、ラック6は倒れにくくなり、安定した自立を可能とすることができる。また、上記構成により、ラック6は第1フレーム体13を折り畳んだまま走行可能となるため、ラック6の保管や再配置(レイアウト変更)を容易におこなうことができる。
【0059】
また、上記実施の形態によれば、前後方向Xに配置された第1フレーム体13を左右方向Yに折り畳んだ際、突出した状態で設けられている横材11は縦支柱12に固定されて設けられている第2フレーム体14により支持されるため、ラック6を安定して自立させることができる。また、表示器5を備えた横材11は、縦支柱12間における上部において第2フレーム体14側、すなわち作業者側に突出した状態で指示されているため、作業者は表示器5に表示された数値などが見やすくなる。
【0060】
また、上記実施の形態によれば、第2フレーム体14間に、かご車4の当て止め部材53が設けられていることにより、ラック6の格納空間6Aにかご車4を格納する際、前後方向Xにおけるかご車4の位置を定めることができ、したがって前後方向Xにおいてかご車4を所定位置に配置させることができる。
【0061】
また、上記実施の形態によれば、第1フレーム体13を折り畳んだ際、固定部材26により第1フレーム体13が第2フレーム体14に固定されるため、左右方向Yに固定された第1フレーム体13が前後方向Xに開くことを防止することができる。
【0062】
また、上記実施の形態によれば、第1フレーム体13を前後方向Xに配置する際の第1フレーム体13の固定、第1フレーム体13の下位部22Bに対する固定部材26の固定、固定部材26による第1フレーム体13の第2フレーム体14に対する固定、横材11に設けられた支持部材41に対する転倒防止バー43の取り付けは、ノブボルト25、回動用ノブボルト27A、固定用ノブボルト27B、ノブボルト42により行われているため、工具を必要とすることなく手作業による固定または取り付けを行うことができる。
【0063】
また、上記実施の形態によれば、各ラック6が連結手段31によって連結されて固定されるため、搬送経路3に沿って配置された各ラック6の配列(左右方向Yにおけるラック6の配列)が乱れることを防止することができる。
【0064】
また、上記実施の形態によれば、第1フレーム体13のL字型フレーム22と第1キャスターフレーム23とから形成される三角形状のフレームは、側面視で各角度が30°、60°、90°となる直角三角形状に形成されているため、第1フレーム体13が前後方向Xに配置された際、ラック6を安定して自立させることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態では、ラック6の格納空間6Aにかご車4が格納されていたが、車輪付きのケースやパレットなどであってもよい。
また、上記実施の形態では、図7に示すように、両第1フレーム体13が折り畳まれて前後方向Xに順次配列されて収納されていたが、これに限ることはなく、図8に示すように、一方の第1フレーム体13だけを折り畳んで前後方向Xに順次配列して収納してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、第1フレーム体13を前後方向Xに配置する際の第1フレーム体13の固定、第1フレーム体13の下位部22Bに対する固定部材26の固定、固定部材26による第1フレーム体13の第2フレーム体14に対する固定、横材11に設けられた支持部材41に対する転倒防止バー43の取り付けは、ノブボルト25,27A,27B,42により行われていたが、これに限ることはなく、工具を必要とすることなく手作業によって取り付け・取り外し可能な部材であればよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、各表示器5に設けられ物品mの投入の終了を知らせる作業完了スイッチ16は引っ張り式であったが、これに限ることはなく、プッシュ式のスイッチやフットスイッチにしてもよい。
【0068】
また、他の実施の形態として、図9,図10に示すようなラック61がある。このラック61は、上述したラック6における上部(表示器の配置など)の構成のみが異なるため、この異なる部分についてのみ説明を行い、その他の構成については上記ラック6と同一であるため説明を省略する。なお、ラック6と同一の部材については同一の番号を付す。
【0069】
ラック61には、図2や図3に示す横材11に代えて、ラック61の両縦支柱12の上部前面に設けられ円弧状に形成されている側板部材62と、側板部材62の前端部間に設けられている前部横材63と、縦支柱12の上端部間に設けられている上部横材64と、上部横材62の下方位置且つ前部横材63の後方位置の縦支柱12間に設けられている後部横材65が設けられている。
【0070】
そして、前部横材63の前面に、各かご車66に対応して前記表示器5が設けられ、さらに第2表示器68が設けられている。この第2表示器68には、ラック61における仕分け作業の終了が表示され、この表示を確認したときに操作する作業完了スイッチ70が設けられている。
【0071】
このように、ラック61には表示器5(第2表示器68)が、ラック6の場合と比較して、より前面にかつ低位置に配置されることから、作業者は見やすくなり、また操作が容易となり、よって作業効率を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態におけるラックを使用するピッキング設備の概略配置図である。
【図2】同ピッキング設備のラックの正面図である。
【図3】同ピッキング設備のラックの側面図である。
【図4】同ピッキング設備のラックの平面図である。
【図5】同ピッキング設備のラックの連結手段であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】同ピッキング設備のラックの第1フレーム体が折り畳まれたときの平面図である。
【図7】同ピッキング設備のラックの両方の第1フレーム体を折り畳んで収納する際の平面図である。
【図8】同ピッキング設備のラックの一方の第1フレーム体を折り畳んで収納する際の平面図である。
【図9】他の実施の形態におけるラックの正面図である。
【図10】他の実施の形態におけるラックの側面図である。
【符号の説明】
【0073】
4 かご車(荷分別装置)
5 表示器
6 ラック(構造物)
11 横材
12 縦支柱
13 第1フレーム体(第1支持体)
14 第2フレーム体(第2支持体)
15 支持体
24 キャスター(移動手段)
26 固定部材
53 当て止め部材
25,42 ノブボルト(手作業で締付け可能な締付具)
27A 回動用ノブボルト(手作業で締付け可能な締付具)
27B 固定用ノブボルト(手作業で締付け可能な締付具)
31 連結手段
X 前後方向(横材の短手方向)
Y 左右方向(横材の長手方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷分別装置に対応する表示器を備えた構造物であって、
前記表示器が、その前面に取り付けられる横材と、
前記横材を、その上部で水平に支持する複数の縦支柱と、
前記各縦支柱をそれぞれ垂直に支持する支持体
を備え、
前記各支持体は、
前記縦支柱の下部で、かつその後方位置に設けられ、前記横材の短手方向から前記横材の長手方向に折り畳み可能な第1支持体と、
前記縦支柱の下部で、かつその前方位置に設けられている第2支持体
から構成され、
前記構造物を走行させる移動手段を、前記第1支持体の下部の両端および前記第2支持体の下部に設けたこと
を特徴とする表示器を備えた構造物。
【請求項2】
前記構造物の前記横材の短手方向における重心位置が、前記第1支持体の前記縦支柱側に設けられている移動手段と前記第2支持体に設けられている移動手段との間に位置するよう、前記第1支持体の前記縦支柱側に設けられている移動手段が配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の表示器を備えた構造物。
【請求項3】
前記横材は、前記縦支柱間における上部において前記第2支持体側に突出した状態で支持されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示器を備えた構造物。
【請求項4】
前記各縦支柱の第2支持体間に、前記荷分別装置の前面と当接する当て止め部材を設けたこと
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示器を備えた構造物。
【請求項5】
前記第1支持体には、前記第1支持体を折り畳んだ際、前記第1支持体を前記第2支持体に固定する固定部材が設けられていること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示器を備えた構造物。
【請求項6】
前記固定部材は手作業で締め付け可能な複数の締付具によって前記第1支持体に固定されており、前記第1支持体を折り畳む際、前記締付具により前記固定部材を前記第2支持体に固定すること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示器を備えた構造物。
【請求項7】
前記各縦支柱には、前記構造物を前記横材の配置方向に複数並べる際、前記各構造物を連結する連結手段が設けられていること
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示器を備えた構造物。
【請求項8】
前記第1支持体の三角形状のフレームは、側面視で各角度が30°、60°、90°となる直角三角形状に形成されていること
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示器を備えた構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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