説明

表示方法および表示装置

【課題】 開口率の向上と額縁の狭小化とを図った表示方法および表示装置を提供する。
【解決手段】 表示方法は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する有機ELパネル2を備え、各画素の有機EL素子を画像データに基づいて駆動し表示エリアに画像を表示する。表示エリア内の複数の画素のうち、この表示方法は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する有機ELパネル2を備え、各画素の有機EL素子を画像データに基づいて駆動し表示エリアに画像を表示する。発光させる複数の画素の面積の総和である表示エリア内の発光面積(表示画素数)が一定値以下になるように、画像を表示する。例えば、複数の画素のうち、30%の画素の有機EL素子だけ発光させて、残りの画素の有機EL素子は全く光らせない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両、航空機、船舶、電車等の移動体に搭載され、移動体の速度、エンジン回転数等を表示する表示方法および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELという。)素子を用いた有機ELパネルが、低消費比電力、高視野角、高コントラスト比で他の装置より優れているとして注目されている。こうした有機ELパネルを用いた有機EL表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−127924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載されているような従来の有機EL表示装置を、自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載し、タコメータ等のメータを画像表示させる場合、表示エリア全体(画面全部)を光らせるテレビとは異なり、その表示エリアの10〜30%程度しか光っていない。その分、表示エリア全体で画素を所定の定格の輝度で光らせると、それなりの幅の太い画素電源線の配線が必要となり、各画素の開口率を上げるのが難しい。また、自動車等の車両のインストルメントパネルの狭いスペースに表示装置を取り付けるには、表示装置の額縁の狭小化が強く要求される。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、開口率の向上と額縁の狭小化とを図った表示方法および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における表示装置は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示方法において、前記表示エリア内の前記複数の画素のうち、前記発光素子を発光させる複数の画素の各発光素子に流す電流の総和である電流の最大値が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設けて前記表示エリアに画像を表示することを要旨とする。
【0006】
これによれば、表示パネルに供給する電源の容量を制限すること(小さくすること)で、各画素の画素電源線の幅を小さくすることができる。各画素の画素電源線の幅を小さくすることができる分だけ、各画素の開口率を上げることができる。各画素の開口率が上がり各画素が大きくなると、輝度は面積で決まるので、同じ輝度を出すための電流値を下げることができる。これにより、長寿命化を図れるとともに、消費電力を抑えることができる。 そして、各画素の画素電源線の幅を小さくできることで、表示パネルに供給するトータルの電源電流値も減るので、表示エリアの外側に配線されるパネル電源線の幅とパネルグランド線の幅を小さくすることができる。その結果、表示エリアの外側の額縁(非表示エリア)を小さくすることができる。額縁の狭小化を図れることで、表示パネルの小型化を図ることができる。
【0007】
ここで、表示デューティとは、画素の最大輝度を所定の値Lmaxとなるように制限した
場合、各画素の輝度Lの総和をΣL、各画素の最大輝度Lmaxの総和をΣLmaxで表わすと、以下の式で定義される値である。
【0008】
(表示デューティ)=ΣL/ΣLmax×100[%]
この表示方法において、前記発光素子を発光させる複数の画素を同じ一定の輝度で発光させるとともに、前記発光させる複数の画素の面積の総和である前記表示エリア内の発光面積が一定値以下になるように、画像を表示することを要旨とする。
【0009】
これによれば、発光素子を発光させる複数の画素を同じ一定の輝度で発光させるとともに、発光させる複数の画素の面積の総和である表示エリア内の発光面積が一定値以下になるように、画像を表示する。つまり、複数の画素のうち、発光面積が一定値以下(例えば30%以下)の画素の発光素子だけ発光させて、残りの画素の発光素子は全く光らせない。このようにして、表示パネルに供給する電源の容量を制限することで、各画素の開口率が上がり、長寿命化を図れ、また、額縁の狭小化を図れる。
【0010】
この表示方法において、前記発光させる複数の画素の画素の各輝度の総和が一定値以下になるように、画像を表示することを要旨とする。
これによれば、発光させる複数の画素の面積だけでなく、各画素の輝度も考慮して表示デューティを制限するので、使用可能な画像データの多様化を図れる。
【0011】
この表示方法において、輝度が異なる複数の表示モードを備え、前記複数の表示モードのうち、輝度の高い表示モードでは輝度の低い表示モードより前記表示デューティを小さくすることを要旨とする。
【0012】
これによれば、視認し易い輝度で表示パネルに画像を表示させることができる。
この表示方法において、前記複数の表示モードを、外光の明るさに応じて切り替えることを要旨とする。
【0013】
これによれば、外光の明るさに応じて視認し易い輝度で表示パネルに画像を表示させることができる。
この表示方法において、前記表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使うことを要旨とする。
【0014】
これによれば、表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使うことで、使用する画像データが表示デューティより小さくて使用可能か否かを判定する回路等が不要になり、構成の簡単な表示装置を実現できる。
【0015】
この表示方法において、前記各画素が赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子をそれぞれ有する赤用画素、緑用画素および青用画素の3つの画素を含み、赤用画素、緑用画素および青用画素の各画素ごとに前記表示デューティに制限を設けることを要旨とする。
【0016】
これによれば、赤用画素、緑用画素および青用画素の各画素ごとに発光面積を制限することで、高品質な表示を実現できる。
本発明における表示装置は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示装置において、前記表示エリア内の前記複数の画素のうち、前記発光させる複数の画素の発光素子全体に流す電流の最大値が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設けて前記表示エリアに画像を表示することを要旨とする。
【0017】
これによれば、表示パネルに供給する電源の容量を制限することで、各画素の画素電源線の幅を小さくすることができる。各画素の画素電源線の幅を小さくすることができる分
だけ、各画素の開口率を上げることができる。各画素の開口率が上がり各画素が大きくなると、輝度は面積で決まるので、同じ輝度を出すための電流値を下げることができる。これにより、長寿命化を図れるとともに、消費電力を抑えることができる。また、各画素の画素電源線の幅を小さくできることで、表示パネルに供給するトータルの電源電流値も減るので、例えば、表示エリアの外側にパネル電源線及びパネルグランド線を形成した表示パネルにおいては、そのパネル電源線の幅とパネルグランド線の幅を小さくすることができる。その結果、表示エリアの外側の額縁を小さくすることができる。額縁の狭小化を図れることで、表示パネルの小型化を図ることができる。
【0018】
この表示装置において、前記各画素に電源を供給するために前記表示エリア内に設けられた複数の画素電源線の幅を、前記表示エリア全体で画像を表示するのに必要な前記画素電源線の幅よりも小さくしたことを要旨とする。
【0019】
これによれば、各画素の開口率が高く、額縁の狭い表示装置を実現できる。
この表示装置において、前記表示パネルは、前記表示エリアの外側に、パネル電源線及びパネルグランド線を形成したことを要旨とする。
【0020】
これによれば、表示パネルに供給するトータルの電源電流値を減らすことができるので、表示エリアの外側に形成されたパネル電源線及びパネルグランド線の線幅を狭くすることができる。この結果、表示エリアの外側にある表示パネルの額縁を狭小化することができるので、表示パネルの小型化を図ることができる。
【0021】
この表示装置において、前記表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データが格納された記憶手段を備え、その記憶手段に格納された前記画像データを使って前記発光面積のデューティに制限を設けることを要旨とする。
【0022】
これによれば、表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使うことで、使用する画像データが表示デューティより小さくて使用可能か否かを判定する回路等が不要になり、構成の簡単な表示装置を実現できる。
【0023】
この表示装置において、外光の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段で検出した照度に応じて、輝度の異なる複数の表示モードの一つを選択する表示モード選択手段とを備え、前記表示モード選択手段は、前記検出した照度が高いとき、高輝度の表示モードを選択し、輝度のより低い表示モードよりも前記発光面積を小さくして、高輝度で画像を表示させることを要旨とする。
【0024】
これによれば、外光の照度に応じて輝度の異なる複数の表示モードの一つを選択して、その選択した表示モードで画像を表示するので、外光の明るさに応じた視認し易い輝度で表示パネルに画像を表示させることができる。
【0025】
この表示装置において、前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であることを要旨とする。
これによれば、エレクトロルミネッセンスパネルを用いた表示装置において、開口率の向上と額縁の狭小化とを図ることができる。
【0026】
この表示装置において、前記表示パネルは、移動体に搭載されて計器類を画像表示することを要旨とする。
これによれば、移動体に搭載されて、タコメータやスピードメータなどの計器類を画像表示する表示装置において、開口率の向上と額縁の狭小化とを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した各実施形態を、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る表示装置全体の電気的構成を示している。図2は同表示装置で用いるパネルアッセンブリの電気的構成を示し、図3は同パネルアッセンブリの表示パネルを示している。また、図4(a)は同表示パネルの一つの画素回路を示している。
【0028】
第1実施形態に係る表示方法および表示装置は、移動体の一例として自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載され、車両の速度、エンジン回転数、各種のインジケータ等を表示する計器用表示装置である。本実施形態に係る表示方法および表示装置は、一例として、車両のエンジン回転数を表わすタコメータを画像表示する。
【0029】
この表示装置1は、図1および図2に示すように、表示パネルとしての有機ELパネル2を有するパネルアッセンブリAと、画像制御ユニットCUとを備える有機EL表示装置である。この画像制御ユニットCUは、移動体情報データとしての車情報データに基づいて表示用画像データを作成し、この画像データを出力する。本例では、画像制御ユニットCUは、車情報データとしてのエンジン回転数を表わす信号に基づいてタコメータの表示用画像データを作成し、この画像データを出力する。
【0030】
表示装置1は、画像制御ユニットCUの出力ポートにパネルアッセンブリAが電気的に接続され、有機ELパネル2に、出力ポートから出力される表示用画像データに基づきタコメータの画像を表示させるようになっている。
【0031】
パネルアッセンブリAは、図1および図2に示すように、車情報データに基づいて作成された表示用画像データを使って有機ELパネル2に表示をさせるパネル制御回路100が設けられたパネル制御基板101をそれぞれ備える。本例では、一例として、車情報データを画像処理する画像処理回路や電源回路が画像制御ユニットCU側に設けられているので、パネル制御回路100は画像制御ユニットCUから送られる表示用画像データを使って有機ELパネル2にタコメータの画像を表示させる。
【0032】
パネル制御回路100は、有機ELパネル2の輝度を設定するための輝度設定データが格納された記憶手段としてのEEPROM102を備える。また、パネル制御回路100は、画像制御ユニットCUから送られる表示用画像データを使って有機ELパネル2にタコメータの画像を表示させるための信号として、制御信号O、ドライブデータP、パネル電源Qをそれぞれ出力する複数の出力端子を有する。これら複数の出力端子(図示省略)は、有機ELパネル2を駆動するドライバIC103が実装されたフレキシブル配線基板104上の複数の配線を介して有機ELパネル2の複数のデータ線、複数の電源線、複数の制御信号線と電気的に接続されるようになっている。
【0033】
ドライバIC103は、有機ELパネル2の後述する複数のデータ線を駆動するデータ線駆動回路として構成されている。制御信号Oは、後述する走査線駆動回路やドライバIC(データ線駆動回路)を制御する信号である。また、ドライブデータPは、後述する各画素(赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含む)の画像データ、例えば8ビットのデジタル階調データである。
【0034】
フレキシブル配線基板104は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)で構成されている。フレキシブル配線基板104上には、パネル制御回路100の複数の出力端子とドライバIC103の複数の入力側端子とを接続する複数の入力側配線(図示省略)と、ドライバIC103の複数の出力端子と有機ELパネル2の複数のデータ線および走査
線を接続する出力側配線とが形成されている。また、フレキシブル配線基板104上には、パネル電源Qを有機ELパネル2の複数の電源線に供給する電源供給線が形成されている。
【0035】
有機ELパネル2は、電流引き込み型の電流駆動方式(電流プログラム方式)を採用している。この有機EL表示装置は、有機ELパネル2、このパネル上に形成された左右2つの走査線駆動回路106L,106Rと、データ線駆動回路としてのドライバIC103と、パネル制御回路100とを備えている。
【0036】
有機ELパネル2は、図2および図3に示すように、自発光型の発光素子としてエレクトロルミネッセンス素子である有機EL素子221をそれぞれ有する複数の画素210Aがマトリクス状に配置された発光素子基板11と、複数の画素210Aを密封するように発光素子基板11に接合された封止基板(図示省略)とを備える。有機ELパネル2は、各画素210Aの画像データに基づいて各画素210Aの有機EL素子221が駆動される。図1で符号14は、複数の画素210Aがマトリクス状に配置された表示エリアであり、この表示エリア14の外側はいわゆる額縁(非表示エリア)である。
【0037】
発光素子基板11には、図3では図示を省略してあるが、陽極として機能する矩形状の画素電極がマトリクス状に形成されており、各画素電極上に、例えば、正孔注入/輸送層と発光層とが順次積層形成され、発光層が形成された基板のほぼ全面に渡って陰極が形成されている。また、各画素電極には、薄膜トランジスタ(TFT)等が電気的に接続されており、各画素電極、その上に形成された正孔注入/輸送層、発光層、および陰極により、各画素210Aの有機EL素子221が構成されている。なお、図2では複数の画素210Aのうちの一つのみを示してある。
【0038】
有機ELパネル2は、図2および図3に示すように、発光素子基板11上にそれぞれ形成され、行方向に延びるn本の第1走査線Y1〜Yn(nは整数)と列方向に延びるm本のデータ線X1〜Xm(mは整数)との交差に対応してn行m列に配列された複数の画素210Aを有している。また、有機ELパネル2は、行方向に延びるn本の第2走査線Y11〜Yn1を有している。複数の画素210Aはそれぞれ、例えば、列方向にR,G,Bの順に配置された赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子の3種類の有機EL素子221により一つの画素が構成されている。つまり、複数の画素210Aはそれぞれ、例えば、赤用画素、緑用画素および青用画素の3種類の画素により一つの画素が構成されている。
【0039】
また、発光素子基板11上には、図3および図7に示すように、各画素210Aの画素回路220に電源を供給する複数の(m本の)画素電源線50が形成されている。本例では、列方向に縦に並ぶn個の画素210Aが縦に延びる1本の画素電源線50に接続されている。各画素電源線50には、列方向にR,G,Bの順にn個ずつ配置された赤用画素、緑用画素および青用画素が個別に接続されている。つまり、n個の赤用画素が接続された赤用の画素電極線(50)と、n個の緑用画素が接続された緑用の画素電極線(50)と、n個の青用画素が接続された青用の画素電極線(50)とが、列方向にR,G,Bの順に形成されている。
【0040】
図3において、符号16は、複数の画素電源線50の各端子と、複数のデータ線X1〜Xmの各端子とが接続された接続端子部である。この接続端子部16には、フレキシブル配線基板104の接続端子部が電気的に接続されている。また、図3において、符号17は、複数の赤用の画素電極線(50)と、複数の緑用の画素電極線(50)と、複数の青用の画素電極線(50)とが接続された1本のパネル電源線である。このパネル電源線17は、発光素子基板11上の、表示エリア14の外側の額縁(非表示エリア)に形成され
ている。そして、符号18は、各画素210Aの上記陰極に接続されたパネルグランド線である。
【0041】
走査線駆動回路106Lは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルのプログラム期間選択信号Vprg(図4(a),(b)参照)を順に生成して出力することで、第1走査線Y1〜Ynを線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。図4(b)では、第1走査線Y1〜Ynのうち、第1行目の第1走査線Y1にプログラム期間選択信号Vprgが出力されるプログラム期間(t1時点からt2時点までの期間)のみを示してある。
【0042】
走査線駆動回路106Rは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルの発光期間選択信号Vrep(図4(b)参照)を順に生成して出力することで、第2走査線Y11〜Yn1を線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。なお、図4(b)では、第2走査線Y11〜Yn1のうち、第1行目の第2走査線Y11にHレベルの発光期間選択信号Vrepが出力される発光期間(t2時点からt3時点までの期間)のみを示してある。
【0043】
そして、ドライバIC103は、上記プログラム期間に、選択された1本の第1走査線に接続された各画素回路220に、データ線X1〜Xmをそれぞれ介してプログラム信号電流Isig(図4(b)参照)を一斉に供給するようになっている。
【0044】
各プログラム信号電流Isigは、階調表示のためのnビットのデジタル階調データである赤用,緑用および青用の各画素の画像データをドライバIC103内でD−A変換した電流信号である。本例では、各画素210Aの画像データは、各画素の明るさを、8ビットの2進数で表わすデジタル階調データであり、0〜255の256段階の階調値をとる。
【0045】
ドライバIC103は、図4に示すように、プログラム信号電流Isigをデータ線X1〜Xmを介して各画素回路220に書き込むためのデータ書き込み回路(サンプリング回路)、データ書き込み回路の動作タイミングをコントロールするシフトレジスタ、ラッチ回路、およびデジタル/アナログ変換器等を備える。ラッチ回路は、各画素の画像データを各画素ごとに設けたデータメモリに格納して1行分の画像データを保持し、上記プログラム期間に、各データメモリに格納した画像データが一斉に読み出されてドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器(図示省略)へ出力されるようになっている。
【0046】
このように、有機ELパネル2では、R,G,B3種類の有機EL素子221(赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子)により一つの画素210Aが構成され、このような画素が複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置されている。
【0047】
複数の画素210Aはそれぞれ、有機半導体材料で構成された発光層から赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用有機EL素子、緑用有機EL素子および青用有機EL素子を有する赤用、緑用、および青用の3種類の画素回路をそれぞれ有している(図4(a)参照)。一つの画素210Aを構成する3種類の画素回路220は、各々の有機EL素子221から放射される光の色が異なる以外は、同じ回路構成である。
【0048】
画素回路220の構成を図4(a)に基づいて説明する。
画素回路220は、駆動トランジスタTdr、プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsig、発光時選択トランジスタTrepおよび保持容量Cstgを有している。駆動トランジスタTdrはPチャネルTFTで構成されている。
プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsigおよび発光時選択トランジスタTrepは、NチャネルTFTでそれぞれ構成されている。
【0049】
駆動トランジスタTdrのドレインは発光時選択トランジスタTrepを介して有機EL素子221の陽極に接続され、有機EL素子221の陰極は接地されている。また、駆動トランジスタTdrのドレインはプログラム時選択トランジスタTsigを介して1つのデータ線(図4(a)ではデータ線X1)に接続されている。また、駆動トランジスタTdrのソースは高電位電源Vddに接続されている。さらに、駆動トランジスタTdrのゲートは保持容量Cstgの第1の電極に接続され、その保持容量Cstgの第2の電極は高電位電源Vddに接続されている。プログラム用トランジスタTprgは、駆動トランジスタTdrのゲート・ドレイン間に接続されている。
【0050】
プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgの各ゲートは、第1走査線の1つ(図4(a)では第1走査線Y1)に接続されている。そして、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgは、第1走査線Y1からのHレベルのプログラム期間選択信号Vprgに応答してオン状態となり、LレベルのVprgに応答してオフ状態となる。そして、本実施形態では、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgがオン状態となると、データ線X1に上記プログラム信号電流Isigが供給されるようになっている。
【0051】
発光時選択トランジスタTrepのゲートは、第2走査線の1つ(図4(a)ではY11)に接続されている。また、発光時選択トランジスタTrepは、第2走査線Y11からのHレベルの発光期間選択信号Vrepに応答してオン状態となり、LレベルのVrepに応答してオフ状態となる。そして、発光時選択トランジスタTrepがオン状態になると、駆動トランジスタTdrのオン状態に基づく駆動トランジスタ供給電流IdrをOLED供給電流Ioledとして有機EL素子221に供給するようになっている。
【0052】
次に、各画素回路220の動作を、図4(b)に基づいて簡単に説明する。
1.プログラム期間
いま、第1走査線Y1からHレベルのプログラム期間選択信号Vprgが供給されると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigはオン状態に設定される。このとき、第2走査線Y11からLレベルの発光期間選択信号Vrepが供給されていて、発光時選択トランジスタTrepはオフ状態に設定されている。このとき、データ線X1にプログラム信号電流Isigが供給される。そして、プログラム用トランジスタTprgがオン状態になることによって駆動トランジスタTdrはダイオード接続となる。その結果、そのプログラム信号電流Isigが、駆動トランジスタTdr→プログラム時選択トランジスタTsig→データ線X1という経路で流れる。このとき、駆動トランジスタTdrのゲートの電位に対応した電荷が保持容量Cstgに蓄積される。
【0053】
2.発光期間
この状態から、プログラム期間選択信号VprgがLレベルとなり、発光期間選択信号VrepがHレベルとなると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigがオフ状態に設定され、発光時選択トランジスタTrepはオン状態に設定される。このとき、保持容量Cstgの電荷の蓄積状態は変化しないので、駆動トランジスタTdrのゲート電位は、プログラム信号電流Isigが流れたときの電圧に保持されている。従って、駆動トランジスタTdrのソース・ドレイン間には、そのゲート電圧に応じた大きさの駆動トランジスタ供給電流Idr(OLED供給電流Ioled)が流れる。詳しくは、OLED供給電流Ioledは、駆動トランジスタTdr→発
光時選択トランジスタTrep→有機EL素子221という経路で流れる。これによって、有機EL素子221は、OLED供給電流Ioled(プログラム信号電流Isig)に応じた輝度で発光する。
【0054】
このような動作が、第1走査線Y2〜Ynにそれぞれ接続された各画素回路220において順に行われて1フレーム分の表示がなされる。
また、パネルアッセンブリAのパネル制御回路100は、上記EEPROM102と、基準電圧生成回路107とを備える。EEPROM102には、有機ELパネル2の輝度を補正するための輝度補正データが格納されている。また、EEPROM102には、ドライバIC103の初期化のためのパラメータ、例えば有機ELパネル2のフレーム周波数を設定するためのデータも格納されている。
【0055】
本例では、有機ELパネル2の輝度を、ドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器の基準電圧をEEPROM102(図2参照)に格納された輝度補正データによってR,G,Bごとに補正できるようになっている。そのために、基準電圧生成回路107は、電源投入時にデジタル/アナログ変換器の基準電圧を輝度補正データによって補正したR,G,Bごとの基準電圧VrefR,VrefG,VrefBを生成してドライバIC103へ出力するようになっている。
【0056】
表示装置1は、図5に示すように、自動車等の車両のインストルメントパネル21に搭載される。この表示装置1は、一例として図5および図6に示すように、有機ELパネル2により、車両20のエンジン回転数をアナログ表示するタコメータの数字95および指針96を表示する。
【0057】
(画像制御ユニットの電気的構成)
次に、上記画像制御ユニットCUの電気的構成を図1に基づいてより詳しく説明する。
画像制御ユニットCUは、入力される車情報データに基づいてタコメータの数字95および指針96を表示するための表示用画像データを作成し、パネルアッセンブリAのパネル制御回路100へ出力する画像処理回路110が設けられた画像制御基板111を備える。
【0058】
また、画像制御ユニットCUは、複数の出力ポートから有機ELパネル2へ電源を供給する電源回路112と、車情報データおよび画像データがそれぞれ入力される入力回路(インターフェースI/F1)113とを備える。さらに、画像制御ユニットCUは、画像処理回路110、電源回路112、入力回路113,114を統括制御するCPU115と、各種の制御プログラム等が格納されたROM116と、画像処理に用いる各種の画像データが格納されたROM117と画像処理用のRAM118とを備える。
【0059】
ROM117には、タコメータの数字95を表示させるための背景データが格納されている。また、ROM117には、タコメータの数字95に重ねて表示される指針96の画像を作成するための画像データ等が格納されている。指針96を数字95を表示させるための背景データに重ねて表示する方法として、例えば次の2通りがあり、いずれの方法でも良い。
【0060】
・所定角度ずつ位置が異なる多数の指針データ(指針96用の指針データ)をROM117に格納しておき、エンジン回転数に応じた指針データを読み出し、読み出した指針データと上記背景データの足し算をして各メータの表示用画像データを作成する。
【0061】
・車速データやエンジン回転数に応じた角度位置の指針93および指針96の画像データをそれぞれ作成し、作成した各指針の画像データと、上記背景データの足し算をして各
メータの表示用画像データを作成する。
【0062】
入力回路113には、有機ELパネル2によりタコメータを画像表示させるためのエンジン回転数データが入力される。エンジン回転数センサで検出されたエンジン回転数データは、車両内のECU(電子制御ユニット)から車載ネットワークを通じて逐次送られる。車載ネットワーク・プロトコルとして、例えば、CAN(Controller Area Network)
、Flex Ray等が利用可能である。
【0063】
図1に示す画像制御ユニットCUにおいて、符号aは車情報データ制御信号、符号cは画像処理回路制御信号、符号dは電源回路制御信号、符号eはパネルアッセンブリ制御信号、符号fは車情報データ、符号gは画像データである。また、符号hはパネルアッセンブリAへの電源信号、符号kはパネルアッセンブリAへの画像データである。また、符号nは、RAM118の制御信号である。
【0064】
CPU115は、車情報データ制御信号aにより入力回路113に逐次入力される車情報データf(エンジン回転数データ)を画像処理回路110へ転送する制御を行う。また、CPU115は、画像処理回路制御信号cにより、画像処理回路110からパネルアッセンブリAへ画像データkを出力する制御を行う。そして、CPU115は、パネルアッセンブリ制御信号eをパネルアッセンブリAへ出力する制御を行うようになっている。
【0065】
以上の構成を有する表示装置1は、入力回路113に入力されるエンジン回転数データに応じたエンジン回転数を表わすタコメータの数字95と指針96を有機ELパネル3に画像表示させる(図6参照)。
【0066】
次に、上記構成の表示装置1を用いて実行される第1実施形態に係る表示方法を説明する。
この表示方法は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリア14を有する有機ELパネル2を備え、各画素210Aの有機EL素子221を画像データに基づいて駆動し表示エリア14に画像を表示する。
【0067】
この表示方法では、表示エリア14内の複数の画素210Aのうち、有機EL素子221を発光させる複数の画素の各有機EL素子221に流す電流の総和である電流の最大値が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設けて表示エリア14にタコメータの数字95および指針96の画像を表示する。
【0068】
そして、第1実施形態に係る表示方法の特徴は、電流の最大値が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設ける一つの態様として、発光させる複数の画素210Aを同じ一定の輝度で発光させるとともに、発光させる複数の画素の面積の総和である表示エリア14内の発光面積(表示画素数)が一定値以下になるように、画像を表示する点にある。ここにいう「電流の最大値」は、1フレームの画像を表示させるのに有機ELパネル2に供給可能な電流の最大値(許容電流値)をいう。
【0069】
例えば、複数の(n×m個の)画素210Aのうち、30%の画素210Aの有機EL素子だけ発光させて、残りの画素210Aの有機EL素子221は全く光らせない。つまり、残りの70%の画素210Aは黒表示にする。有機EL素子221を発光させない画素210Aは、走査し駆動はするが、これらの画素210Aには表示データとして黒表示にする「0」のデータを送る。
【0070】
ここで、表示デューティは、上記電流が最大値である場合の画素の輝度(最大輝度)Lmaxの総和をΣLmax、各画素の輝度Lの総和をΣLとした場合、ΣL/ΣLmax×100
[%]で表わされる値である。
【0071】
また、第1実施形態に係る表示方法の別の特徴は、表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使う点にある。そのために、本例では、予め使用する画像データが所定値以下(例えば、発光面積が30%以下)の表示デューティで発光させる画像データであるか否かをチェックしておき、30%以下の表示デューティで発光させる画像データをROM117に格納しておき、この画像データを使ってタコメータの画像を表示させる。
【0072】
さらに、第1実施形態に係る表示方法の別の特徴は、RGBごとに発光面積を制限する点にある。つまり、赤用画素、緑用画素および青用画素の各画素210Aごとに(RGBごとに)発光面積が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設ける。
【0073】
この特徴は、次の関係式で表わされる。
SR≦SRlim
SG≦SGlim
SB≦SBlim
ここで、SR,SG,SBはそれぞれ発光させる赤用画素、緑用画素および青用画素の面積であり、SRlim,SGlim,SBlimはそれぞれ発光させる赤用画素の面積の閾値(上限値)、発光させる緑用画素の面積の閾値、発光させる青用画素の面積の閾値である。
【0074】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○有機EL素子221を発光させる複数の画素210Aを同じ一定の輝度で発光させるとともに、発光させる複数の画素の面積の総和である表示エリア14内の発光面積が一定値以下(30%以下)になるように、画像を表示する。つまり、複数の(n×m個の)画素210Aのうち、30%の画素210Aの有機EL素子221だけ発光させて、残りの画素210Aの有機EL素子221は全く光らせない。このようにして、有機ELパネル2に供給する電源の容量を制限すること(小さくすること)で、各画素210Aの画素電源線50の幅を小さくすることができる。これにより、各画素210Aを広げることができ、画素の開口率が上がる。
【0075】
図8は、複数の(n×m個の)画素210A全てを発光させる従来の表示装置における一つの画素210A´を示している。この表示装置では、有機ELパネル(図示省略)に供給する電源の容量が本実施形態よりも大きいため、画素210A´の画素電源線50´の幅W2が広い。これに対して、本実施形態では、図7に示すように、各画素210Aの画素電源線50の幅W1を、図8に示す従来の画素210A´の画素電源線50´の幅W1よりも小さくすることはできる。
【0076】
このように、画素電源線50の幅W1を小さくすることができる分だけ、各画素210Aの開口率を上げることができる。
○各画素210Aの開口率が上がり各画素210Aが大きくなると、輝度は面積で決まるので、同じ輝度を出すための電流値を下げることができる。これにより、長寿命化を図れるとともに、消費電力を抑えることができる。
【0077】
○各画素210Aの画素電源線50の幅を小さくできることで、有機ELパネル2に供給するトータルの電源電流値も減るので、表示エリア14の外側に配線されるパネル電源線17とパネルグランド線18とを細くすることができる。その結果、表示エリア14の外側の額縁(非表示エリア)を小さくすることができる。額縁の狭小化を図れることで、有機ELパネル2の小型化を図ることができる。
【0078】
○開口率が上がるので、輝度の高い有機ELパネル2を実現できる。
○表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使うことで、使用する画像データが表示デューティより小さくて使用可能か否かを判定する回路等が不要になり、構成の簡単な表示装置を実現できる。
【0079】
○RGBごとに発光面積を制限する、つまり赤用画素、緑用画素および青用画素の各画素210Aごとに(RGBごとに)発光面積が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設けることで、表示デューティを制限する場合にも、高品質な表示を実現できる。
【0080】
○表示装置1では、各画素210Aに電源を供給するために表示エリア14内に設けられた複数の画素電源線50の幅W1(図7参照)を、表示エリア全体で画像を表示するのに必要な画素電源線50´の幅W2(図8参照)よりも小さくしてある。これにより、各画素210Aの開口率が高く、額縁の狭い表示装置1を実現できる。
【0081】
○表示装置1は、表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データが格納されたROM(記憶手段)117を備え、ROM117に格納された画像データを使って表示デューティに制限を設ける。これにより、表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使うことで、使用する画像データが表示デューティより小さくて使用可能か否かを判定する回路等が不要になり、構成の簡単な表示装置を実現できる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る表示装置1および表示方法を説明する。
第2実施形態に係る表示装置1は、上記第1実施形態に係る表示装置と同様の構成である。この表示装置1を用いて実行される第2実施形態に係る表示方法の特徴は、電流の最大値が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設ける別の態様として、表示エリア14内の複数の画素210Aのうち、発光させる複数の画素210Aの各輝度の総和(ΣL)が一定値以下になるように、画像を表示する点にある。
【0083】
例えば、複数の(n×m個の)画素210Aのうち、発光させる複数の画素の各輝度を足し算して、その値がある一定以下になるようにする。
また、第2実施形態に係る表示方法の別の特徴は、表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使う点にある。そのために、本例では、予め使用する画像データが所定値以下(例えば、前記輝度の総和が所定値以下)の表示デューティで発光させる画像データであるか否かをチェックしておき、輝度の総和が所定値以下の表示デューティで発光させる画像データをROM117に格納しておき、この画像データを使ってタコメータの画像を表示させる。
【0084】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○発光させる複数の画素の面積だけでなく、各画素の輝度も考慮して表示デューティを制限するので、使用可能な画像データの多様化を図れる。
【0085】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る表示装置1および表示方法を、図9および図10に基づいて説明する。図9は、図1に示す上記画像制御ユニットCUの変更箇所のみを示している。本実施形態に係る表示装置1で用いる画像制御ユニットCUのその他の構成は、図1に示す上記第1実施形態と同様である。
【0086】
第3実施形態に係る表示方法の特徴は、輝度が異なる複数の表示モードを備え、複数の表示モードのうち、輝度の高い表示モードでは輝度の低い表示モードより表示デューティを小さくする点にある。本例では、一例として、標準輝度モードと、高輝度モードと、低輝度モードの3種類の輝度モードを備え、外光の照度に応じて3種類の輝度モードのいずれかを選択して、その選択した輝度モードでタコメータの画像を表示する。
【0087】
3種類の輝度モードは、標準輝度モードと、高輝度モードと、低輝度モードとを含む。図10に示すように、標準輝度モードは、昼間の曇天時のように外光の照度が第1の閾値とこの閾値よりも値の大きい第2の閾値の間にある場合の表示モードである。高輝度モードは、昼間で直射日光が当たる場合のように外光の照度が第2の閾値を超える場合の表示モードであり、標準輝度モードよりも高い輝度で、発光面積(発光させる画素の数)が標準輝度モードより小さい。また、低輝度モードは、夜間のように外交の照度が第1の閾値より小さい場合の表示モードであり、標準輝度モードよりも低い輝度で、発光面積が標準輝度モードより大きい。
【0088】
図10は、横軸に赤用画素の発光面積(表示画素数)をとり、縦軸に発光させる赤用画素の輝度の総和をとっている。また、図10で符号55は、上記「電流の最大値」である許容電流値から算出される限界ラインである。この限界ライン55は、各画素210Aの画素電源線50の幅W1やパネル電源線17の幅で決まる。
【0089】
このような表示方法を実現するために、第3実施形態に係る表示装置は、図9に示すように、外光の照度を検出する照度検出手段としての照度センサ119と、照度センサ119で検出した照度に応じて、輝度の異なる3種類の輝度モードのいずれか一つを選択する表示モード選択手段としてのCPU115とを備える。また、図1に示す画像制御ユニットCUのROM117には、3種類の輝度モードにそれぞれ対応して発光面積(発光させる画素の数)を3段階に異ならせた3種類の背景データ(タコメータの数字95を表示させるための背景データ)が格納されている。
【0090】
CPU115は、照度センサ119で検出した照度に応じて3種類の輝度モード選択信号jをパネル制御回路100へ出力するとともに、3種類の背景データ選択信号(画像処理回路制御信号)を画像処理回路110(図1参照)へ出力するようになっている。
【0091】
CPU115は、照度センサ119で検出した照度が第2の閾値より高いとき、高輝度モードで画像を表示させるための高輝度モード選択信号と、高輝度モード用の背景データ選択信号を出力する。また、検出した照度が第1の閾値以上でかつ第2の閾値以下のとき、標準輝度モードで画像を表示させるための標準輝度モード選択信号と、標準輝度モード用の背景データ選択信号を出力する。また、検出した照度が第1の閾値より低いとき、低輝度モードで画像を表示させるための低輝度モード選択信号と、低輝度モード用の背景データ選択信号を出力する。
【0092】
画像処理回路110は、CPU115から高輝度モード用の背景データ選択信号が出力されると、発光面積(表示画素数)の最も小さい高輝度モード用の背景データをROM117から読み出して、その背景データを含む画像データkをパネルアッセンブリAへ送る。また、CPU115から標準輝度モード用の背景データ選択信号が出力されると、発光面積(表示画素数)が中間の値をとる標準輝度モード用の背景データをROM117から読み出して、その背景データを含む画像データkをパネルアッセンブリAへ送る。そして、CPU115から低輝度モード用の背景データ選択信号が出力されると、発光面積(表示画素数)の最も大きい低輝度モード用の背景データをROM117から読み出して、その背景データを含む画像データkをパネルアッセンブリAへ送る。
【0093】
一方、パネル制御回路100のEEPROM102には、CPU115から出力される3種類の輝度モード選択信号jに応じて有機ELパネル2の輝度を3段階に設定するための3種類の輝度設定データが格納されている。3種類の輝度設定データは、高輝度設定データと、標準輝度設定データと、低輝度設定データとを含む。
【0094】
パネル制御回路100は、CPU115から高輝度モード選択信号が出力されると、高輝度設定データをEEPROM102から読み出す。また、CPU115から標準輝度モード選択信号が出力されると、標準輝度設定データをEEPROM102から読み出す。そして、CPU115から低輝度モード選択信号が出力されると、低輝度設定データをEEPROM102から読み出す。
【0095】
基準電圧生成回路107は、標準輝度設定データがEEPROM102から読み出されると、そのデータによってドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器の基準電圧をR,G,Bごとに補正した標準の基準電圧VrefR,VrefG,VrefBを生成してドライバIC103へ出力する。また、高輝度設定データがEEPROM102から読み出されると、そのデータによってドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器の基準電圧をR,G,Bごとに補正した高輝度の基準電圧VrefR,VrefG,VrefBを生成してドライバIC103へ出力する。そして、低輝度設定データがEEPROM102から読み出されると、そのデータによってドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器の基準電圧をR,G,Bごとに補正した低輝度の基準電圧VrefR,VrefG,VrefBを生成してドライバIC103へ出力するようになっている。
【0096】
以上のように構成された第3実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
○標準輝度モードと、高輝度モードと、低輝度モードの3種類の輝度モードを備え、外光の照度に応じて3種類の輝度モードのいずれかを選択して、その選択した輝度モードでタコメータの画像を表示する。昼間の曇天時のように外光の照度がそれほど高くないときには、輝度と発光面積を中間の値にした標準輝度モードでタコメータの画像を表示させる。また、昼間で直射日光が当たる場合のように外光の照度が高いときには、高輝度でかつ発光面積を少なくした高輝度モードでタコメータの画像を表示させる。そして、夜間のように外交の照度が低いときには、低輝度でかつ発光面積を多くした低輝度モードでタコメータの画像を表示させる。これにより、外光の明るさに応じた視認し易い輝度で有機ELパネル2に画像を表示させることができる。
【0097】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記各実施形態では、タコメータを画像表示する表示装置および表示方法を一例として説明したが、タコメータ以外のスピードメータや、計器類(インジケータやワーニング)等を表示する場合にも本発明は適用可能である。
【0098】
・本発明は、フルに表示させるテレビ等の画像を表示するのではなく、表示エリアの一部しか使わないような表示をさせる表示装置に広く適用可能である。つまり、表示エリア全体のうち、制限された面積しか発光させないようにした計器用表示装置に広く適用可能である。
【0099】
・上記各実施形態では、予め使用する画像データが所定値以下(例えば、発光面積が30%以下)の表示デューティで発光させる画像データであるか否かをチェックしておき、30%以下の表示デューティで発光させる画像データを使ってタコメータの画像を表示させるようにしているが、本発明はこのような構成に限定されない。制限された表示デューティより大きい表示デューティで画像を表示する画像データが入力されたとき、該画像デ
ータによる画像の表示を一時停止したり、輝度或いは発光面積を下げて画像を表示させる表示方法や表示装置にも本発明は適用可能である。このような表示方法や表示装置では、入力される画像データが、表示デューティより大きい表示デューティで画像を表示する画像データであるか否かを判定する画像判定手段を備える。この画像判定手段は、入力される画像データが表示デューティより大きい表示デューティで画像を表示する画像データであるとき、該画像データによる画像の表示を一時停止させたり、輝度或いは発光面積を下げて画像を表示させる。
【0100】
上記各実施形態では、図3に示すように、複数の赤用の画素電極線(50)と、複数の緑用の画素電極線(50)と、複数の青用の画素電極線(50)とが接続された1本のパネル電源線17を備えた表示装置を一例として説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。複数の赤用の画素電極線(50)と、複数の緑用の画素電極線(50)と、複数の青用の画素電極線(50)とが個別に接続された赤用、緑用および青用の3本のパネル電源線を備えた表示装置にも本発明は適用可能である。
【0101】
・上記各実施形態において、図10に示す限界ライン55を超える画像データ、つまり上記電流の最大値(許容電流値)以上の表示が必要な画像データに対して、表示をさせないガード回路(電流リミッタ)を備える表示装置にも本発明は適用可能である。このような構成では、例えば、送られる表示データの輝度や面積を足し算して、判定回路で閾値と比較し、閾値を超える場合にはガードをかけて、表示を一時停止させたり、輝度を下げたり、一定時間(例えば0.1msの間)光らせないようにする。
【0102】
・上記各実施形態では、データ線駆動回路として構成されたドライバIC103がフレキシブル配線基板104に実装されているが、データ線駆動回路を各有機ELパネル2〜4の発光素子基板11上に形成した構成にも本発明は適用される。
【0103】
・上記各実施形態では、有機EL素子を用いた有機ELパネルを用いているが、表示パネルとして無機EL素子を用いた無機ELパネルを用いた構成にも本発明は適用可能である。
【0104】
・上記各実施形態では、列方向に縦に並ぶn個の画素210Aが縦に延びる1本の画素電源線50に接続されている構成の表示装置を一例として説明したが、画素電源線が縦横にメッシュ状に配線されており、各画素には一つの電源線から電源が供給される構成の表示装置にも本発明は適用可能である。開口率を上げるために、各電源線はベタの電極ではなくて、メッシュ状のアルミ線とか銅線であって、各画素に回り込んで電源が供給されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1実施形態に係る表示装置全体の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同表示モジュールで用いるパネルアッセンブリの電気的構成を示すブロック図。
【図3】同表示モジュールの有機ELパネルを示す平面図。
【図4】(a)は画素回路を示す回路図、(b)は動作を示すタイミングチャート。
【図5】同表示装置が搭載された車両のインストルメントパネルを示す斜視図。
【図6】同表示装置の表示状態を示す平面図。
【図7】同表示装置における一つの画素を示す模式図。
【図8】従来の表示装置における一つの画素を示す模式図。
【図9】第3実施形態に係る表示装置の一部を示すブロック図。
【図10】同表示装置に動作を示すグラフ。
【符号の説明】
【0106】
k…画像データ、X1〜Xm…データ線、1…表示装置、2…有機ELパネル、210A…画素、221…有機EL素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示方法において、
前記表示エリア内の前記複数の画素のうち、前記発光素子を発光させる複数の画素の各発光素子に流す電流の総和である電流の最大値が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設けて前記表示エリアに画像を表示することを特徴とする表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示方法において、
前記発光素子を発光させる複数の画素を同じ一定の輝度で発光させるとともに、前記発光させる複数の画素の面積の総和である前記表示エリア内の発光面積が一定値以下になるように、画像を表示することを特徴とする表示方法。
【請求項3】
請求項1に記載の表示方法において、
前記発光させる複数の画素の画素の各輝度の総和が一定値以下になるように、画像を表示することを特徴とする表示方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の表示方法において、
輝度が異なる複数の表示モードを備え、前記複数の表示モードのうち、輝度の高い表示モードでは輝度の低い表示モードより前記表示デューティを小さくすることを特徴とする表示方法。
【請求項5】
請求項4に記載の表示方法において、
前記複数の表示モードを、外光の明るさに応じて切り替えることを特徴とする表示方法。
【請求項6】
請求項1に記載の表示方法において、
前記表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データを使うことを特徴とする表示方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の表示方法において、
前記各画素が赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子をそれぞれ有する赤用画素、緑用画素および青用画素の3つの画素を含み、赤用画素、緑用画素および青用画素の各画素ごとに前記表示デューティに制限を設けることを特徴とする表示方法。
【請求項8】
複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示装置において、
前記表示エリア内の前記複数の画素のうち、発光させる複数の画素の発光素子全体に流す電流の最大値が一定値以下になるように、表示デューティに制限を設けて前記表示エリアに画像を表示することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置において、
前記各画素に電源を供給するために前記表示エリア内に設けられた複数の画素電源線の幅を、前記表示エリア全体で画像を表示するのに必要な前記画素電源線の幅よりも小さくしたことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の表示装置において、
前記表示パネルは、前記表示エリアの外側に、パネル電源線及びパネルグランド線を形成したことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一つに記載の表示装置において、
前記表示デューティより小さい表示デューティで画像表示が可能な画像データが格納された記憶手段を備え、その記憶手段に格納された前記画像データを使って発光面積のデューティに制限を設けることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示装置において、
外光の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段で検出した照度に応じて、輝度の異なる複数の表示モードの一つを選択する表示モード選択手段とを備え、前記表示モード選択手段は、前記検出した照度が高いとき、高輝度の表示モードを選択し、輝度のより低い表示モードよりも前記発光面積を小さくして、高輝度で画像を表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一つに記載の表示装置において、
前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか一つに記載の表示装置において、
前記表示パネルは、移動体に搭載されて計器類を画像表示することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−337714(P2006−337714A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162222(P2005−162222)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】