説明

表示機能付トレイ

【課題】物品の数値情報を読み取って、その演算結果を表示することができるトレイを提供する。
【解決手段】表示入力トレイ1においては、物品の数値情報(例えば飲食物の料金やカロリー)を、食器に取り付けられたRFタグからRFアンテナ5によって読み取ったり、飲食物の包装紙や容器に取り付けられた2次元コードから読取センサ6によって読み取ったりしてメモリに記憶しておく。これらの数値情報を演算処理(加算処理)して、表示パネル3に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に付された数値情報を読み取って演算した結果表示する機能を備えた表示機能付トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食器に付された情報を読み取って、飲食物に対する課金等を行うシステムが実用化されている。例えば、特許文献1には、ICタグ(RFタグ)の情報をテーブル内に設けられた情報読取部によって読み取ることが開示されている。このようなシステムでは、利用客が飲食物の載る食器をテーブルの上に置くと、ICタグの情報が、上記の情報読取部によって読み取られて、表示部に表示される。これにより、利用客は、飲食物に関する情報(料金やカロリー等)を容易に得ることができる。また、上記のシステムでは、食器の回収路に設けられた他の情報読取部によって、食器を回収するときに、食器から読み取られた価格情報に基づいて飲食物の料金の累計が表示される。
【特許文献1】特開2007−82657号公報(2007年4月5日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のシステムでは、テーブルに飲食物の載る食器を置かなければ、食器に付された情報を読み取ることができない。このため、特に、トレイを用いて自由に飲食物を選ぶ形態の飲食店や食堂などでは、飲食物の情報を得るために、わざわざ食器をテーブルまで運ぶ必要があるという不都合がある。
【0004】
また、上記のシステムでは、飲食後に飲食物の累計金額がわかるものの、飲食前に累計金額の情報を得ることはできない。このため、利用客は予算に応じた飲食物の選択をすることができない。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、食品を含む物品の数値情報を読み取って、その演算結果を表示することができる表示機能付トレイを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示機能付トレイは、物品に付された当該物品の数値情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた前記数値情報に演算処理を施す演算手段と、前記演算手段によって演算された結果を表示する結果表示手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
上記の構成では、表示機能付トレイに物品を取り置くときに、ユーザーが物品の数値情報を読取手段によって読み取らせる。すると、演算手段によって、読み取られた数値情報に対して演算処理が行われる。そして、その演算処理の結果は、表示手段によって表示される。このように、表示機能付トレイによって、物品の数値情報に演算処理を施して表示することにより、飲食物の料金やカロリーといった数値情報の合計を、飲食物を表示機能付トレイに取り置くときに、読み取らせて得ることができる。
【0008】
前記表示機能付トレイは、さらに、駆動電源となる太陽電池を備えていることが好ましい。このような構成では、例えば、周囲光を受けやすい表示機能付トレイの載置部に太陽電池を配置することで、容易に電力得ることができ、バッテリなどの電力供給手段を補助することができる。
【0009】
前記表示機能付トレイにおいて、前記結果表示手段は、前記物品を載置する載置部における右側手前の位置に配置されていることにより、ユーザーが入力手段の操作をしやすくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る表示機能付トレイは、以上のように、物品に付された当該物品の数値情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた前記数値情報に演算処理を施す演算手段と、前記演算手段によって演算された結果を表示する結果表示手段とを備えていることにより、飲食物の料金やカロリーといった数値情報の合計を、飲食物を表示機能付トレイに取り置くときに、読み取らせて得ることができる。したがって、予算に応じた物品の選択を容易にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0012】
なお、本明細書において、左右は図1を基準とし、図1の左を左、右を右というものとする。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態を示す表示入力トレイ1の平面構造を示している。また、図2は、表示入力トレイ1の断面構造を示している。
【0014】
図1に示すように、表示機能付トレイとしての表示入力トレイ1は、トレイ本体11に取り付けられた電子ペーパー2と、表示パネル3と、タッチパネル4と、RFアンテナ5と、読取センサ6とを備えている。
【0015】
静的表示部としての電子ペーパー2は、表示入力トレイ1の左寄りに配置されており、情報を静的に表示する。すなわち、電子ペーパー2は、動きのない画像(静止画)を表示する。電子ペーパー2は、周知のように、メモリ性を有し、書き換え時以外、電力を消費しないことから、情報を固定的に表示するのに適している。
【0016】
RFアンテナ5は、電子ペーパー2の下層側に配置されており、RFタグからの送信データを受信するために設けられている。
【0017】
動的表示部としての表示パネル3は、動きのある画像(動画)を表示したり、外部などの指示に応じて表示画像を切り換えたりするために、液晶パネル、プラズマディスプレイパネルなどの平板型のパネルが用いられる。また、分割された小領域であれば、電子ペーパーを用いても書き換え遅延時間を最小化でき、表示パネル3が配置される動的部分においても、電子ペーパーを利用することもできる。
【0018】
タッチパネル4は、ユーザーによるタッチ入力を受け入れる入力装置であり、表示パネル3の上層側に配置されている。
【0019】
表示パネル3およびタッチパネル4は、ユーザーが操作しやすい右側手前に配置されている。ここで、表示入力トレイ1の手前は、電子ペーパー2および表示パネル3に表示される画像によって特定され、ユーザーが当該画像を正視できる位置に表示入力トレイ1が配された状態でのユーザーに近い側である。
【0020】
読取センサ6は、2次元コードなどの印字コードを光学的に読み取るセンサ素子であり、表示パネル3の上側(表示入力トレイ1の右上寄り)に配置されている。
【0021】
図2に示すように、表示入力トレイ1は、トレイ本体11上に、RFアンテナ5と電子ペーパー2とが積層される一方、表示パネル3とタッチパネル4とが積層される構造を有している。また、トレイ本体11の上面に形成された凹部には回路部12が収容されている。さらに、トレイ本体11の上面には、電子ペーパー2、表示パネル3、タッチパネル4、Fアンテナ5および読取センサ6を覆うように、ラミネートなどの透明な保護層13が形成されている。保護層13の外周端部は、トレイ本体11と融着にて接合されている。このような保護層13を備えることにより、表示入力トレイ1は防水性を確保している。
【0022】
図3は、表示入力トレイ1のシステム構成を示している。
【0023】
図3に示すように、表示入力トレイ1は、RFアンテナ5と、太陽電池7と、バッテリ8と、電力・通信インターフェース部9と、被駆動部21とを備えている。
【0024】
太陽電池7は、周囲光を受けて電力を発生し、表示入力トレイ1の上面における適当な位置に配置されている(図1には図示せず)。バッテリ8の充電量が被駆動部21を駆動するのに十分な電力を確保できないときは、太陽電池7の電力で発生した電力を被駆動部21の駆動に利用することができる。
【0025】
バッテリ8は、被駆動部21に電力を供給する電源であり、太陽電池7から電力および電力・通信インターフェース部9からの電力を蓄える。
【0026】
電力・通信インターフェース9は、表示入力トレイ1がドッキングステーション110に設置された状態で非接触にて電力および信号の伝送を行う。
【0027】
具体的には、電力・通信インターフェース部9は、図4に示すように、充電機構91を含んでいる。充電機構91は、ドッキングステーション110に設けられた充電器10から非接触にて電力の供給を受け、充電器10へ非接触に信号を送信する。このため、充電機構91は、出力整流回路92、補助電源回路93、信号発振回路94、充電制御用マイコン(マイクロコンピュータ)95およびトランス二次側96を有している。
【0028】
出力整流回路92は、充電器10の共振回路からトランス一次側105を経てトランス二次側95に伝送された交流電圧を直流電圧に整流する。信号発振回路94は、充電制御用マイコン96から供給される、充電器10が充電機構を検知するための信号や、充電を制御するための信号を発振(交流化)して二次側トランス96の巻線に出力する。補助電源回路93は、充電器10の間欠発振回路103からトランス一次側105を経てトランス二次側96に伝送された間欠的な交流電圧を基に、出力整流回路92、充電制御用マイコン95および信号発振回路94に与える電源電圧を生成する。充電制御用マイコン95は、信号発振回路94に供給する上記の信号を発生する。
【0029】
一方、充電器10は、整流・平滑回路101、共振回路102、間欠発振回路103および信号受信回路を有している。
【0030】
整流・平滑回路101は、商用交流電源からの交流電圧を整流した後に平滑する回路である。共振回路102は、整流・平滑回路101からの直流電圧を交流化してトランス一次側105に出力する。間欠発振回路103は、共振回路102から出力される交流電圧を基に、間欠的に発振する交流電力を発生する。信号受信回路104は、信号発振回路94からトランス二次側96を経てトランス一次側105に伝送された信号を受信する回路である。
【0031】
上記のように構成される充電機構91および充電器10は、表示入力トレイ1がドッキングステーション110にセットされた状態で、トランス一次側105とトランス二次側96との間で、充電器10から充電機構91への電力の伝送、および充電機構91から充電器10への信号の伝送が行われる。したがって、夜間などの、使用しない状態の表示入力トレイ1をドッキングステーション110にセットすれば、充電器10からバッテリ8への充電が自動的に行われる。
【0032】
また、表示入力トレイ1とドッキングステーション110との間で授受されるデータは、充電機構91と充電器9との間で、トランス二次側96とトランス一次側105とを介して送受信される。または、当該データは、周知の非接触データ伝送方法によって表示入力トレイ1とドッキングステーション110との間で送受信されてもよい。
【0033】
充電機構91から伝送されるデータは、ドッキングステーション110に設けられたデータ送受信部106によって受信されて、ドッキングステーション110に接続されるデータ処理コンピュータ112に送信される。また、データ処理コンピュータ112からドッキングステーション110に送信されたデータは、データ送受信部106から充電機構91に伝送され、データ処理部27に渡される。
【0034】
被駆動部21は、バッテリ8によって電力が供給されることによって駆動される部分である。この被駆動部21は、電子ペーパー2、表示パネル3、タッチパネル4、電子ペーパードライバ22、タッチパネルコントローラ23、表示コントローラ24、RFタグリーダ25、コードリーダ26およびデータ処理部27を有している。
【0035】
電子ペーパードライバ22は、電子ペーパー2に表示データを書き込む駆動装置であり、3極(R,G,B)のインターフェースを備えている。この電子ペーパードライバ22は、データ処理部27から与えられた表示用のデータ(画面データ)を電子ペーパー2に書き込む。
【0036】
タッチパネルコントローラ23は、タッチパネル4からタッチ位置の検出結果として出力される位置検出電圧を座標データに変換してデータ処理部27に出力する。
【0037】
表示コントローラ24は、データ処理部27から与えられる表示データや各種の制御信号に基づいて、表示パネル3の駆動を制御する。具体的には、表示コントローラ24は、表示データを表示パネル3のデータドライバに与え、上記の制御信号に基づいてデータドライバおよび走査ドライバを駆動するための制御信号を生成して出力する。
【0038】
RFアンテナ5は、表示入力トレイ1に載置される物品そのもの、物品を入れる容器、物品の包装など物品などに取り付けられるRFタグからの送信信号を受信する。RFタグリーダ25は、RFアンテナ5から出力されるRFタグからの受信信号(変調信号)に復調処理を施して、RFタグに記憶されているデータを出力する。RFタグには、上記の物品の料金、カロリーやメニュー(物品が食品の場合のみ)、ポイント(商品ポイント)などの数値情報が記録されている。
【0039】
読取センサ6は、CMOSセンサなどからなり、表示入力トレイ1に載置される物品などに貼り付けられた二次元コードなどコードから、光学的にコード配列などを読み取って電気信号に変換して出力する。コードリーダ26は、読取センサ6の出力信号からコードで表されるデータを生成して出力する。読取センサ6には、上記の物品の料金、カロリーやメニュー(物品が食品の場合のみ)、ポイント(商品ポイント)などの数値情報が記録されている。
【0040】
データ処理部27は、表示入力トレイ1における情報処理および制御の中心となり、これらの機能を果たすため、CPUや各種のメモリなどを有している。また、データ処理部27は、表示入力トレイ1における各機能を実現するために、メモリ271、通信処理部272、演算処理部273、入力表示処理部274およびアンケート処理部275を有している。
【0041】
通信処理部272は、RFタグリーダ25およびコードリーダ26からのデータをメモリ271に蓄えるとともに、蓄えたデータをメモリ271から読み出して電力・通信インターフェース部9を介して前述のドッキングステーション110に送信する。
【0042】
演算処理部272は、RFタグリーダ25およびコードリーダ26からのデータに基づいて、プログラムにしたがった演算処理を行う。このプログラムは、例えば、後述する画面データと組み合わせて用意されている。この演算処理部272は、演算処理のためのプログラムを実行することにより、後述するカロリー計算やメニューの課金計算などの各種の数値の演算処理を行う。例えば、演算処理部272は、カロリーや料金を物品毎に加算して合計を演算する処理を行う。
【0043】
入力表示処理部274は、メモリ271に蓄えられたRFタグリーダ25およびコードリーダ26からのデータを必要に応じて読み出して、表示パネル3や当該表示パネル3に表示される後述の画面における所定の位置に表示する。入力表示処理部274は、電子ペーパー2および表示パネル3の表示用のデータ(画面データ)をメモリ271に記憶しておき、必要に応じて表示コントローラ24に出力するとともに、前述のように、表示コントローラ24に表示用の制御信号を出力する。上記の画面データは、例えば、データ処理コンピュータ112から、ドッキングステーション110および電力・通信インターフェース部9を介して供給される。
【0044】
また、入力表示処理部274は、タッチパネルコントローラ23から入力される座標データを用いて、表示パネル3に画面データに基づいて表示されている画面上のその座標データで特定される位置の表示状態を、表示内容を変更するプログラムにしたがって変更する。これによって、表示パネル3の動的表示が実現される。また、データ処理部27は、タッチパネルコントローラ23からの座標データを制御信号として用い、その制御信号が入力されると特定の処理を行う。
【0045】
アンケート処理部275は、アンケート処理のためのプログラムを実行することにより、後述するアンケート入力のための設問画面を表示し、当該設問画面から入力されたデータ(回答)が確定されると、当該データをメモリ271に記憶する。また、アンケート処理部275は、表示入力トレイ1がドッキングステーション110にセットされた状態で、メモリ271から上記のデータを読み出して、ドッキングステーション110に送信する。これにより、上記のデータは、ドッキングステーション110を介してデータ処理コンピュータ112に送信される。
【0046】
データ処理コンピュータ112は、プログラムによって実現されるアンケート処理部112aを有している。このアンケート処理部112aは、表示入力トレイ1から取得したアンケートの回答に関する上記のデータに集計処理を施して、アンケートの集計結果を出力する。
【0047】
ここで、上記のように構成される表示入力トレイ1の利用方法について説明する。
【0048】
RFタグが取り付けられた食器、食品のパッケージなどが表示入力トレイ1に載置されると、RFアンテナ5によって、RFタグから送信された信号が受信され、RFタグリーダ25によって、この受信信号からRFタグのデータを出力する。また、2次元コードが貼り付けられた食器、食品などが、ユーザによって読取センサ6にかざされると、読取センサ6によって2次元コードの情報が読み取られて、検出信号として出力される。すると、コードリーダ26から、検出信号に基づいて生成されたデータが出力される。
【0049】
RFタグリーダ25やコードリーダ26から出力されるデータは、通信処理部272によって、メモリ271に一旦蓄えられる。このようなデータは、例えば、食器に盛られた食品やパッケージに包装された食品のカロリーであったり料金であったりする。演算処理部272は、このようなデータに所定の演算処理を施すことにより、複数の食品の合計カロリーや合計料金を算出する。
【0050】
なお、図5に示す画面201に設けられた取消ボタン41を押せば、メモリ271に蓄えられたデータのうち、最新のデータ、すなわち直前に読み取られたデータは消去されるようになっている。連続して取消ボタン41を押すことで、最新のデータより前のデータを消去するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態の表示入力トレイ1においては、動的表示部としての表示パネル3に、先に選択されたメニューと相性のよいメニューをお勧めメニューとして表示するようにしてもよい。例えば、栄養価から考えた場合に、組み合わせることが好ましい食品を表示パネル3に表示する。表示パネル3にお勧めメニューとして表示する理由は、栄養価に限られるものではなく、組み合わせることで美味しく食べられると提供者側が判断したメニューや、カロリーが低くダイエットに適したメニューであってもよく、お勧めの理由としては様々なものが考えられる。さらには、ダイエットに適し、かつ栄養価にも優れているというように、2つ以上の理由を組み合わせてお勧めメニューを表示するようにしてもよい。
また、表示パネル3に予め金額と食品の品数とを入力するようにし、入力された金額以内で食することのできる食品の組み合わせ、さらには入力された金額以内で食することのできる栄養価等から考えて好ましい組み合わせを表示パネル3に表示するようにしてもよい。金額だけを入力するようにし、その金額で食することのできる食品の組み合わせを表示するようにしてもよい。この組み合わせは、お勧めメニューであってもよい。
【0052】
上記の処理は、以下のようにしてなされる。まず、先に選択されたメニュー、入力された金額および食品の品数は、データ処理部27のメモリ271に記憶される。そして、演算処理部273が、メモリ271に記憶されたメニューや金額等に基づいて演算処理を行い、演算結果を表示パネル3に出力する。すなわち表示パネル3が結果表示手段となる。
【0053】
このような自動認識のための仕組みにおいて、RFタグは、食器など再利用性の高い容器に適し、2次元コードリーダなどは、印刷に適した包装紙などに適する。
【0054】
一方、電子ペーパー2には、データ処理部27からのデータに基づいて電子ペーパードライバ22によって画面データが書き込まれる。電子ペーパー2の書き込み速度は一般に遅いので、夜間などの表示入力トレイ1を使用しない期間に、表示入力トレイ1をドッキングステーションにセットして、電子ペーパー2への画面データの書き込みを行ってもよい。このとき、電力・通信インターフェース部9を介してドッキングステーションから送信された画面データが電子ペーパー2に書き込まれる。これにより、電子ペーパー2への表示内容の更新を、表示入力トレイ1を使用しない期間に行うことができる。併せて、電力・通信インターフェース部9を介してバッテリ8を充電することができる。また、電子ペーパー2の消費電力は極めて小さいので、電子ペーパー2が書き込まれた画面データを表示した状態でも、ほとんど電力消費がない。
【0055】
表示パネル3には、データ処理部27からの画面データが表示コントローラ24を介して入力されることにより、画面データに基づく画面が表示される。また、タッチパネル4の特定の位置がユーザーによってタッチされると、タッチパネルコントローラ24からタッチ位置の座標データが出力される。入力表示処理部274は、その座標データに基づいて、表示パネル3に表示される画面上のタッチ位置の表示状態をプログラムによって予め定められた状態に変更する。このようにして、ユーザーによるタッチパネル4へのタッチ操作によって画面の表示状態が変わる。
【0056】
図5に示すように、表示パネル3に表示される画面201は、例えば、料金表示のためのボタン31と、カロリー表示のためのボタン32と、単品の料金を表示する表示部33と、単品のカロリーを表示する表示部34と、料金の合計を表示する表示部35と、カロリーの合計値を表示する表示部36と、表示部40とを有している。
【0057】
このような画面では、ユーザーによってボタン31がタッチされると、タッチパネルコントローラ23からボタン31の位置を表す座標データが出力される。すると、通信処理部272は、このデータに基づいてRFタグリーダ25またはコードリーダ26によるデータのスキャニングを行い、食品からの料金のデータをメモリ271に読み込む。また、入力表示処理部274は、メモリ271から上記のデータを読み出して、表示部33に表示するように表示コントローラ24を制御する。そして、食品毎にこのような操作が繰り返されると、演算処理部273が食品の料金を加算していき、入力表示処理部274が、その合計を表示部35に表示するように表示コントローラ24を制御する。
【0058】
また、ユーザーによってボタン32がタッチされると、タッチパネル4からボタン32の位置を表す座標データが出力される。すると、通信処理部272は、このデータに基づいてRFタグリーダ25またはコードリーダ26によるデータのスキャニングを行い、食品からのメニューおよびカロリーのデータをメモリ271に読み込む。入力表示処理部273は、メモリ271から上記のカロリーのデータを読み出して、表示部34に表示するように表示コントローラ24を制御する。そして、食品毎にこのような操作が繰り返されると、演算処理部273が食品のカロリーを加算していき、入力表示処理部274が、その合計を表示部36に表示するように表示コントローラ24を制御する。また、入力表示処理部273は、メモリ271から上記のメニューのデータを読み出して、表示部40に表示するように表示コントローラ24を制御する。
【0059】
ついで、後述するアンケートに用いられる表示画面およびそれを用いた入力・表示動作について説明する。
【0060】
図6に示すように、表示パネル3に表示される画面202は、例えば、今日のメニューの評価を入力するための入力表示部37〜39を有している。入力表示部37は、入力部と表示部とを兼ねたチェックボックスのような形態として設けられている。入力表示部37は良い評価を示しており、入力表示部38はふつうの評価を示しており、入力表示部39は悪い評価を示している。
【0061】
このような画面では、ユーザーによって入力表示部37がタッチされると、タッチパネル23から入力表示部37の位置を表す座標データが出力される。すると、入力表示処理部274は、画面上のその位置における表示状態をチェック状態(レ表記)となるように表示コントローラ24を制御する。ユーザーによって入力表示部38,39がタッチされた場合も同様にして、入力表示処理部274は、画面上の入力表示部38,39の位置における表示状態をチェック状態となるように表示コントローラ24を制御する。また、図6に示す画面では、下部に図5に示す画面201と同様にして食品の合計カロリーを表示してもよい。
【0062】
このように、表示入力トレイ1は、電子ペーパー2を備えることにより、従来の電子ペーパーを有するトレイと同様に、表示内容を書き替えることができるので、広告などを紙媒体で提供する必要がなくなる。これにより、トレイ用の紙媒体の消費をなくすことができる。
【0063】
一方、表示入力トレイ1は、RFアンテナ5、読取センサ6、RFタグリーダ25およびコードリーダ26を備えることにより、表示入力トレイ1に載置する食品などから料金やカロリーといった情報を収集することができる。また、表示入力トレイ1は、動的に表示を行う表示パネル3を備えることにより、収集された情報を表示することができる。さらに、表示入力トレイ1は、表示パネル3上で入力を行うタッチパネル4を備えることにより、データ処理部27に対して、表示パネル3に表示される画面の状態を変更することや食品からの情報を収集することを指示したり、収集された情報に対する各種の処理(演算など)を行わせたりすることができる。
【0064】
これにより、表示された料金やカロリーに応じて、ユーザーは所望の食品を選択することができる。また、例えば、図6に示す画面を表示パネル3に表示させることにより、食品の評価などをアンケートとして収集することができる。あるいは、アンケートを表示する画面を電子ペーパー2に表示させて、そのアンケートを記入する画面を表示パネル3に表示させることもできる。収集されたアンケート結果は、電力・通信インターフェース部9を介してドッキングステーションに接続されたサーバ装置などで集計することも可能である。したがって、アンケート用紙を用意したり、回収されたアンケート用紙からアンケート結果を集計したりといった手間を省くことができる。
【0065】
以下に、表示入力トレイ1を用いたアンケートシステムの一例について図7を参照して説明する。以下の各ステップの処理は、アンケート処理部275によって実行される。
【0066】
まず、アンケートに答えるか否かを問う画面(図示せず)が表示パネル3に表示され、回答者の入力に基づいてアンケートを開始するか否かが判定される(ステップS1)。ここで、回答者によって、Noが選択された後にリターンキーが押されると、アンケートは行われない。一方、回答者によって、Yesが選択された後にリターンキーが押されると、アンケートが開始される(ステップS2)。
【0067】
なお、後述する表示画面を含む全画面には、それぞれ終了キー42が設けられており、終了キー42が押されると、アンケートの途中であっても、アンケートを強制的に終了することができるようになっている。
【0068】
アンケートが開始されると、設問画面が表示されるので(ステップS3)、回答者は、この設問画面における該当する回答個所をチェック状態とした後に、リターンキーを押す。リターンキーが押されると、回答が確定したと判定され(ステップS4)、入力された回答がメモリ271に記憶される(ステップS5)。
【0069】
そして、予め設定された設問数のアンケートの回答が確定したか(所定数のアンケートが終了したか)否かが判定される(ステップS6)。ここで、所定数のアンケートが終了していないと判定されると、次のアンケートの設問に移行して(ステップS7)、処理がステップS1に戻る。一方、所定数のアンケートが終了したと判定されると、アンケートの終了を示す画面が表示され、アンケートが終了する。
【0070】
アンケートの設問としては、例えば、前述のようなメニューの評価が挙げられる。この設問が行われる場合、まず、何を注文したかを入力するために、ステップS3において、メニュー一覧が表示されるので、回答者は、このメニュー一覧から、注文したメニューを選択した後に、リターンキーを押す。リターンキーが押されることによりメニューが確定すると、確定したメニューがメモリ271に記憶される。すると、表示パネル3の画面が変わり、図6に示すように、注文したメニューに対する評価を尋ねる画面202が表示される。この処理も、ステップS3で行われる。
【0071】
回答者は、この画面において注文したメニューの評価に相当する場所をチェック状態とした後に、リターンキーを押す。リターンキーが押されると、ステップS4で、回答が確定したと判定され、ステップS5で、当該回答がメモリ271に記憶される。
【0072】
アンケート結果は、メモリ271に保存されており、保存されたアンケート結果は、電力・通信インターフェース部9を介してドッキングステーション110に接続されたデータ処理コンピュータ112のアンケート処理部112aなどで集計される。
【0073】
また、使用終了直後に表示入力トレイ1を一度、ドッキングステーション110にセットしてから再使用すれば、上記のように集計されたアンケート結果を即座に調理に反映することができる。このようにすれば、食堂などの営業時間が終了した際には、その日のメニューに対する評価を知ることができる。したがって、注文の多い、少ないによるメニューの人気だけでなく、実際にそのメニューを食べた客のメニューに対する評価が分かり、翌日のメニュー構成のための非常に有効な資料となる。
【0074】
なお、アンケートの項目はメニューに関するものだけには限られない。店員の接客態度、店の雰囲気、客の性別、年齢など、あらゆるものがアンケートの項目として考えられる。
【0075】
さらには、自店舗に関するアンケートだけでなく、他者から依頼されたアンケートを行うこともできる。
【0076】
また、アンケートにおいて、客の携帯電話のメールアドレスを尋ね、最後までアンケートに答えた客に対しては、携帯電話に割引クーポンとなる電子メールを送るようにしてもよい。このようにすれば、アンケートに対する回答率アップが期待できる。
【0077】
さらに、上述したカロリー計算システムと上記のアンケートシステムとを同一の表示入力トレイ1で行うようにすれば、カロリー計算の際に、注文済のメニューがすでに入力されているので、アンケートの際にメニューを入力する手間を省くことができる。
【0078】
このように、自動的に収集できる、食品などの選択情報や時刻情報などに加えて、任意のアンケートによる、性別、年齢情報、嗜好情報などを重ね合わせることが可能となり、より柔軟で詳細なマーケッティングツールとして表示入力トレイ1を利用することができる。
【0079】
なお、上記の表示入力トレイ1は、表示入力トレイ1へ載置される物品の情報を読み取るために、RFアンテナ5およびRFタグリーダ24と読取センサ6およびコードリーダ25を備えているが、いずれか一方の組み合わせのみを備えていてもよい。
【0080】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の表示機能付トレイは、表示パネルなどの表示手段と、表示手段において入力可能なタッチパネルなどの入力手段、物品に付された情報を読み取る手段と、読み取った情報に演算処理を施す手段とを備えることにより、物品の数値情報の演算結果を表示させるので、物品の購入などのための情報を容易に得ることができ、外食産業などに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の一形態を示す表示入力トレイの構成を示す平面図である。
【図2】上記表示入力トレイの構成を示す断面図である。
【図3】上記表示入力トレイのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】上記表示入力トレイの通信・情報インターフェース部と電力および信号の伝送を行う構成を示すブロック図である。
【図5】上記表示入力トレイの表示パネルに表示される画面の一構成例を示す図である。
【図6】上記表示入力トレイの表示パネルに表示される画面の他の構成例を示す図である。
【図7】上記表示入力トレイによるアンケート入力の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 表示入力トレイ(表示機能付トレイ)
3 表示パネル(表示手段)
5 RFアンテナ(読取手段)
6 読取センサ(読取手段)
7 太陽電池
8 バッテリ
9 電力・通信インターフェース部(通信手段)
25 タグリーダ(読取手段)
26 コードリーダ(読取手段)
27 データ処理部(記憶手段)
273 演算処理部(演算手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付された当該物品の数値情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた前記数値情報に演算処理を施す演算手段と、
前記演算手段によって演算された結果を表示する結果表示手段とを備えていることを特徴とする表示機能付トレイ。
【請求項2】
駆動電源となる太陽電池を備えていることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付トレイ。
【請求項3】
前記結果表示手段は、前記物品を載置する載置部における右側手前の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示機能付トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−30618(P2010−30618A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192578(P2008−192578)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】