説明

表示装置、および移動体の表示モジュール

【課題】 表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、発光素子の劣化を抑制しつつ各種の情報や画素の表示を可能にした表示装置、および移動体の表示モジュールを提供する。
【解決手段】 移動体の表示モジュール1の画像制御ユニットCUは、画像処理回路110と、温度検出回路300と、アナログ/デジタル変換器310と、コントローラ320と、輝度調整回路330とを備える。コントローラ320は、温度検出回路300で検出した有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、各有機ELパネル2,3による表示態様を変更するための表示態様変更信号uを輝度調整回路330へ出力する。輝度調整回路330は、RGB3種類の有機EL素子全体での輝度を一定に保ったまま、3種類の有機EL素子のうち特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子の輝度を下げるように、3種類の有機EL素子の輝度比を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両、航空機、船舶、電車等の移動体に搭載され、移動体の速度、エンジン回転数、ナビゲーション装置の地図情報等を表示する有機EL表示装置等の表示装置、および移動体の表示モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELという。)素子を用いた有機ELパネルが、低消費比電力、高視野角、高コントラスト比で他の装置より優れているとして注目されている。こうした有機ELパネルを用いた有機EL表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載される車両用情報表示装置として、液晶ディスプレイ装置によって構成される一つの画面(マルチディスプレイ装置)内に、複数の表示をさせるようにしたものが知られている(特許文献2参照)。このような車両用情報表示装置では、一つの液晶パネルを使っている。この液晶パネル内に、速度を表示するスピードメータとしての第1の表示部と、エンジン回転数を表示するタコメータとしての第2の表示部と、カーナビゲーション装置の地図情報等を表示する第3の表示部とにより、3種類の表示を行うようになっている。
【特許文献1】特開2004−127924号公報
【特許文献2】特開2004−291731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されているような従来の有機EL表示装置では、マトリクス状に配置されたRGB3種類の有機EL素子(赤用、緑用および青用の各有機EL素子)ごとに熱に対する劣化、熱安定性が異なる。例えば、赤用と緑用の各有機EL素子の材料は熱に弱い(特性劣化の温度依存性が大きい)が、青用の有機EL素子の材料はかなり温度が高くなっても劣化しない。
【0005】
このような有機EL表示装置を、自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載して、車速やエンジン回転数等の各種の車情報を有機ELパネルで表示させる場合、有機ELパネルの温度が上がると寿命が短くなる。自動車等の車両では、車室内温度或いは有機ELパネルの温度が85℃位でも有機ELパネルの各有機EL素子を正常に発光させる必要がある。そのためには、有機ELパネルが高温度になる場合の各有機EL素子の寿命対策が必要になる。また、移動体の計器盤、例えば自動車等の車両のインストルメントパネルでは、各種メータは、一定の形態でしか表示ができない。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、発光素子の劣化を抑制しつつ各種の情報や画素の表示を可能にした表示装置、および移動体の表示モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における表示装置は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置された複数の画素と、各画素に設けられた複数の発光素子とを有する表示パネルを備え、画像データに基づいて前記表示パネルを駆動する表示装置において、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段で検出された前記表示パネル
の温度が予め設定された閾値より高くなると、前記各画素の前記複数の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の輝度を小さくするように、前記表示パネルによる表示態様を変更する表示態様変更手段と、を備えることを要旨とする。
【0008】
これによれば、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の劣化を抑制することができるとともに、表示パネルの温度によって表示に変化を持たせることができる。特に、本発明に係る表示装置を自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載し、スピードメータやタコメータ等を表示パネルで表示させる場合、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、発光素子の劣化を抑制しつつスピードメータ等の表示を行うことができる。また、スピードメータ等の表示態様を表示パネルの温度によって変えることで、移動体の計器盤、例えば自動車等の車両のインストルメントパネル全体の表示デザインを変更することができる。したがって、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、発光素子の劣化を抑制しつつ各種の情報や画素の表示が可能になる。
【0009】
なお、本明細書中において、「特性劣化」とは、発光素子を点灯することにより、その発光素子の輝度あるいは発光効率等、その他の発光素子の素子特性が低下することを表す。高温環境下で発光素子を点灯させる場合には、特性劣化が加速される。ある温度において点灯させた時に、前記劣化特性が著しいものが、劣化特性の温度依存性の大きな発光素子であると定義される。
【0010】
この表示装置において、前記各画素が赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含むことを要旨とする。これによれば、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の劣化を抑制することができ、表示パネルの長寿命化を図れる。
【0011】
この表示装置において、前記表示態様変更手段は、前記パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記3種類の発光素子全体での輝度を一定に保ったまま、前記3種類の発光素子のうち特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の輝度を下げるように前記3種類の発光素子の輝度比を変える輝度調整手段を備える、ことを要旨とする。
【0012】
これによれば、検出した表示パネルの温度が閾値より高くなると、3種類の発光素子全体での輝度を一定に保ったまま、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子、例えば、赤用発光素子や緑用発光素子の輝度を下げる。赤用発光素子や緑用発光素子の輝度を下げた分だけ、特性劣化の温度依存性の小さな発光素子、例えば青用発光素子の輝度を上げる。これにより、画面全体の輝度を変えずに、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の劣化を抑制することができ、表示パネルの長寿命化を図れる。また、表示パネルの温度が閾値より高くなるときと閾値以下のときとで、3種類の発光素子の輝度比を変えることで、表示に変化を持たせることができる。したがって、本発明に係る表示装置を移動体として自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載し、表示パネルでスピードメータやタコメータ等を表示させる場合、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、表示パネルの長寿命化を図りつつ、インストルメントパネル全体の表示デザインを変更することができる。
【0013】
この表示装置において、前記表示態様変更手段は、前記表示パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記表示パネルで表示される画像の背景色を、前記3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の小さな発光素子の色をベースにした表示に変える輝度調整手段を備える、ことを要旨とする。
【0014】
これによれば、表示パネルの温度が閾値より高くなると、表示パネルで表示される画像の背景色を3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の小さな発光素子の色をベー
スにした表示に変えることで、表示パネルの長寿命化を図りつつ、表示デザインを変更することができる。表示パネルの温度が低いときと高いときとで、表示パネルで表示される画像の背景色が変わるので、ユーザに対し表示デザインが変わったような印象を与えることができる。
【0015】
この表示装置において、前記表示態様変更手段は、前記表示パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記3種類の発光素子の輝度比は変えずに、前記3種類の発光素子の輝度をそれぞれ下げる輝度調整手段を備えることを要旨とする。これによれば、表示パネルの温度が閾値より高くなると、3種類の発光素子の輝度比は変えずに、3種類の発光素子の輝度をそれぞれ下げることで、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の劣化を抑制することができ、表示パネルの長寿命化を図れる。
【0016】
この表示装置において、前記表示態様変更手段は、前記表示パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記表示パネルでの表示をアナログ表示からデジタル表示に変更するとともに、前記デジタル表示を前記3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の小さな発光素子の色をベースにした表示に変える画像処理手段を備えることを要旨とする。これによれば、表示パネルの温度が低い間は表示パネルでの表示、例えば車速やエンジン回転数等の各種移動体情報の表示をメータでアナログ表示し、表示パネルの温度が高くなると各種移動体情報の表示を前記3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の小さな発光素子の色でデジタル表示する。このため、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の劣化を抑制して表示パネルの長寿命化を図りつつ、表示デザインを変更することができる。
【0017】
この表示装置において、前記表示態様変更手段は、前記表示パネルでデジタル表示をしている間、前記デジタル表示は前記表示パネルの温度が下がるまでの一時的な表示であることを知らせるメッセージを前記表示パネルに表示させることを要旨とする。これによれば、デジタル表示と一緒に表示されるメッセージにより、そのデジタル表示は表示パネルの温度が下がるまでの一時的な表示であることを乗員に知らせることができる。
【0018】
本発明における移動体の表示モジュールは、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置された複数の画素と、各画素に設けられた複数の発光素子とをそれぞれ有する複数の表示パネルを備え、画像データに基づいて前記複数の表示パネルで異なる表示をさせる移動体の表示モジュールにおいて、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段で検出された前記表示パネルの温度が予め設定された閾値より高くなると、前記各画素の複数の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の輝度を下げるように、前記複数の表示パネルの一部或いは全部の表示態様を変更する表示態様変更手段と、を備えることを要旨とする。
【0019】
これによれば、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の劣化を抑制することができるとともに、表示パネルの温度によって表示に変化を持たせることができる。特に、本発明に係る表示装置を自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載し、複数の表示パネルによりスピードメータやタコメータ等の異なる表示をさせる場合、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、発光素子の劣化を抑制しつつスピードメータ等の表示を行うことができる。また、スピードメータ等の表示態様を表示パネルの温度によって変えることで、移動体の計器盤、例えば自動車等の車両のインストルメントパネル全体の表示デザインを変更することができる。したがって、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、発光素子の劣化を抑制しつつ各種の情報や画素の表示が可能になる。
【0020】
この移動体の表示モジュールにおいて、前記各画素が赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含む
ことを要旨とする。
【0021】
これによれば、複数の表示パネルにおいて特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の劣化を抑制して、表示パネルの長寿命化を図ることができる。したがって、本発明に係る移動体の表示モジュールを自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載し、複数の表示パネルでスピードメータやタコメータ等を表示させる場合、表示パネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、表示パネルの長寿命化を図りつつ、インストルメントパネル全体の表示デザインを変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した各実施形態を、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る移動体の表示モジュール全体の電気的構成を示している。図2は同表示モジュールで用いるパネルアッセンブリを示し、図3(a)は一つの画素回路を示している。
【0023】
この移動体の表示モジュール1は、図1に示すように、表示パネルとして3つの有機ELパネル2,3,4をそれぞれ有する3つのパネルアッセンブリA,B,Cを備える。
本例では、移動体の表示モジュール1は、3つの有機ELパネル2,3,4をそれぞれ有する3つのパネルアッセンブリA,B,Cを備えたパネルユニットPUと、画像制御ユニットCUとを備える。この画像制御ユニットCUは、移動体情報データとしての車情報データおよび画像データに基づいて複数の表示用画像データを作成し、これらの画像データを出力する複数の出力ポートを備える。移動体の表示モジュール1は、画像制御ユニットCUの複数の出力ポートにパネルアッセンブリA,B,Cがそれぞれ電気的に接続され、各有機ELパネル2,3,4に、複数の出力ポートから出力される複数の表示用画像データに基づき異なる表示をさせるようになっている。
【0024】
(パネルアッセンブリの電気的構成)
次に、各パネルアッセンブリA,B,Cの電気的構成を、図1および図2に基づいて説明する。
【0025】
各パネルアッセンブリA,B,Cは、車情報データおよび画像データに基づいてそれぞれ作成された複数の表示用画像データを使って各有機ELパネル2,3,4に表示をさせるパネル制御回路100が設けられたパネル制御基板101をそれぞれ備える。本例では、一例として、車情報データおよび画像データを画像処理する画像処理回路や電源回路が画像制御ユニットCU側に設けられているので、各パネル制御回路100は画像制御ユニットCUから送られる複数の表示用画像データを使って各有機ELパネル2,3,4に表示をさせる。
【0026】
各パネルアッセンブリA,B,Cのパネル制御回路100は、各有機ELパネル2,3,4の輝度のばらつきを補正するための輝度補正データが格納された記憶手段としてのEEPROM102をそれぞれ備える。移動体の表示モジュール1は、電源投入時に、各EEPROM102に格納された輝度補正データを使って各有機ELパネルの輝度が自動で調整されるようになっている。
【0027】
また、各パネル制御回路100は、画像制御ユニットCUから送られる複数の表示用画像データを使って各有機ELパネル2,3,4に表示をさせるための信号として、制御信号O、ドライブデータP、パネル電源Qをそれぞれ出力する複数の出力端子を有する。これら複数の出力端子(図示省略)は、各有機ELパネル2,3,4を駆動するドライバIC103が実装されたフレキシブル配線基板104上の複数の配線を介して各有機ELパ
ネル2,3,4の複数のデータ線、複数の電源線、複数の制御信号線と電気的に接続されるようになっている。
【0028】
ドライバIC103は、各有機ELパネル2,3,4の後述する複数のデータ線を駆動するデータ線駆動回路として構成されている。制御信号Oは、後述する走査線駆動回路やドライバIC(データ線駆動回路)を制御する信号である。また、ドライブデータPは、後述する各画素(赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含む)の画像データ、例えば8ビットのデジタル階調データである。
【0029】
フレキシブル配線基板104は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)で構成されている。フレキシブル配線基板104上には、各パネル制御回路100の複数の出力端子とドライバIC103の複数の入力側端子とを接続する複数の入力側配線(図示省略)と、ドライバIC103の複数の出力端子と各有機ELパネル2,3,4の複数のデータ線および走査線を接続する出力側配線とが形成されている。また、フレキシブル配線基板104上には、パネル電源Qを各有機ELパネル2,3,4の複数の電源線に供給する電源供給線が形成されている。
【0030】
(有機ELパネルの電気的構成)
次に、各パネルアッセンブリA,B,Cにおける、上記有機ELパネル2,3,4とパネル制御回路100を含む有機EL表示装置の電気的構成を、図1〜図3に基づいて説明する。各パネルアッセンブリA,B,Cの有機EL表示装置は同じ構成の有機ELパネル2,3,4をそれぞれ有するので、パネルアッセンブリAの有機EL表示装置の電気的構成を説明し、他のパネルアッセンブリB,Cの有機ELパネル3,4の説明は省略する。
【0031】
パネルアッセンブリAの有機EL表示装置は、電流引き込み型の電流駆動方式(電流プログラム方式)を採用している。この有機EL表示装置は、有機ELパネル2、このパネル上に形成された左右2つの走査線駆動回路106L,106Rと、データ線駆動回路としてのドライバIC103と、パネル制御回路100とを備えている。
【0032】
有機ELパネル2は、図2に示すように、行方向に延びるn本の第1走査線Y1〜Yn(nは整数)と列方向に延びるm本のデータ線X1〜Xm(mは整数)との交差に対応してn行m列に配列された複数の画素210Aを有している。また、有機ELパネル2は、行方向に延びるn本の第2走査線Y11〜Yn1を有している。複数の画素210Aはそれぞれ、例えば、R,G,Bの順に配置された赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子の3種類の有機EL素子221により一つの画素が構成されている。
【0033】
走査線駆動回路106Lは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルのプログラム期間選択信号Vprg(図3(a),(b)参照)を順に生成して出力することで、第1走査線Y1〜Ynを線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。図3(b)では、第1走査線Y1〜Ynのうち、第1行目の第1走査線Y1にプログラム期間選択信号Vprgが出力されるプログラム期間(t1時点からt2時点までの期間)のみを示してある。
【0034】
走査線駆動回路106Rは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルの発光期間選択信号Vrep(図3(b)参照)を順に生成して出力することで、第2走査線Y11〜Yn1を線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。なお、図3(b)では、第2走査線Y11〜Yn1のうち、第1行目の第2走査線Y11にHレベルの発光期間選択信号Vrepが出力される発光期間(t2時点からt3時点までの期間)のみを示してある。
【0035】
そして、ドライバIC103は、上記プログラム期間に、選択された1本の第1走査線に接続された各画素回路220に、データ線X1〜Xmをそれぞれ介してプログラム信号電流Isig(図3(b)参照)を一斉に供給するようになっている。
【0036】
各プログラム信号電流Isigは、階調表示のためのnビットのデジタル階調データである赤用,緑用および青用の各画素の画像データをドライバIC103内でD−A変換した電流信号である。本例では、各画素210Aの画像データは、各画素の明るさを、8ビットの2進数で表わすデジタル階調データであり、0〜255の256段階の階調値をとる。
【0037】
ドライバIC103は、図3に示すように、プログラム信号電流Isigをデータ線X1〜Xmを介して各画素回路220に書き込むためのデータ書き込み回路(サンプリング回路)、データ書き込み回路の動作タイミングをコントロールするシフトレジスタ、ラッチ回路、およびデジタル/アナログ変換器等を備える。ラッチ回路は、各画素の画像データを各画素ごとに設けたデータメモリに格納して1行分の画像データを保持し、上記プログラム期間に、各データメモリに格納した画像データが一斉に読み出されてドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器(図示省略)へ出力されるようになっている。
【0038】
このように、有機ELパネル2では、R,G,B3種類の有機EL素子221(赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子)により一つの画素210Aが構成され、このような画素が複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置されている。
【0039】
複数の画素210Aはそれぞれ、有機半導体材料で構成された発光層から赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用有機EL素子、緑用有機EL素子および青用有機EL素子を有する赤用、緑用、および青用の3種類の画素回路をそれぞれ有している(図3(a)参照)。一つの画素210Aを構成する3種類の画素回路220は、各々の有機EL素子221から放射される光の色が異なる以外は、同じ回路構成である。
【0040】
画素回路220の構成を図3(a)に基づいて説明する。
画素回路220は、駆動トランジスタTdr、プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsig、発光時選択トランジスタTrepおよび保持容量Cstgを有している。駆動トランジスタTdrはPチャネルTFTで構成されている。プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsigおよび発光時選択トランジスタTrepは、NチャネルTFTでそれぞれ構成されている。
【0041】
駆動トランジスタTdrのドレインは発光時選択トランジスタTrepを介して有機EL素子221の陽極に接続され、有機EL素子221の陰極は接地されている。また、駆動トランジスタTdrのドレインはプログラム時選択トランジスタTsigを介して1つのデータ線(図3(a)ではデータ線X1)に接続されている。また、駆動トランジスタTdrのソースは高電位電源Vddに接続されている。さらに、駆動トランジスタTdrのゲートは保持容量Cstgの第1の電極に接続され、その保持容量Cstgの第2の電極は高電位電源Vddに接続されている。プログラム用トランジスタTprgは、駆動トランジスタTdrのゲート・ドレイン間に接続されている。
【0042】
プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgの各ゲートは、第1走査線の1つ(図3(a)では第1走査線Y1)に接続されている。そして、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgは、第1走査線Y1からのHレベルのプログラム期間選択信号Vprgに応答してオン状態
となり、LレベルのVprgに応答してオフ状態となる。そして、本実施形態では、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgがオン状態となると、データ線X1に上記プログラム信号電流Isigが供給されるようになっている。
【0043】
発光時選択トランジスタTrepのゲートは、第2走査線の1つ(図3(a)ではY11)に接続されている。また、発光時選択トランジスタTrepは、第2走査線Y11からのHレベルの発光期間選択信号Vrepに応答してオン状態となり、LレベルのVrepに応答してオフ状態となる。そして、発光時選択トランジスタTrepがオン状態になると、駆動トランジスタTdrのオン状態に基づく駆動トランジスタ供給電流IdrをOLED供給電流Ioledとして有機EL素子221に供給するようになっている。
【0044】
次に、各画素回路220の動作を、図3(b)に基づいて簡単に説明する。
1.プログラム期間
いま、第1走査線Y1からHレベルのプログラム期間選択信号Vprgが供給されると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigはオン状態に設定される。このとき、第2走査線Y11からLレベルの発光期間選択信号Vrepが供給されていて、発光時選択トランジスタTrepはオフ状態に設定されている。このとき、データ線X1にプログラム信号電流Isigが供給される。そして、プログラム用トランジスタTprgがオン状態になることによって駆動トランジスタTdrはダイオード接続となる。その結果、そのプログラム信号電流Isigが、駆動トランジスタTdr→プログラム時選択トランジスタTsig→データ線X1という経路で流れる。このとき、駆動トランジスタTdrのゲートの電位に対応した電荷が保持容量Cstgに蓄積される。
【0045】
2.発光期間
この状態から、プログラム期間選択信号VprgがLレベルとなり、発光期間選択信号VrepがHレベルとなると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigがオフ状態に設定され、発光時選択トランジスタTrepはオン状態に設定される。このとき、保持容量Cstgの電荷の蓄積状態は変化しないので、駆動トランジスタTdrのゲート電位は、プログラム信号電流Isigが流れたときの電圧に保持されている。従って、駆動トランジスタTdrのソース・ドレイン間には、そのゲート電圧に応じた大きさの駆動トランジスタ供給電流Idr(OLED供給電流Ioled)が流れる。詳しくは、OLED供給電流Ioledは、駆動トランジスタTdr→発光時選択トランジスタTrep→有機EL素子221という経路で流れる。これによって、有機EL素子221は、OLED供給電流Ioled(プログラム信号電流Isig)に応じた輝度で発光する。
【0046】
このような動作が、第1走査線Y2〜Ynにそれぞれ接続された各画素回路220において順に行われて1フレーム分の表示がなされる。
また、パネルアッセンブリAのパネル制御回路100は、上記EEPROM102と、基準電圧生成回路107とを備える。EEPROM102には、各有機ELパネル2,3.4ごとの輝度のばらつきを補正して、同じ階調値の画像データにより同じ輝度で発光するように、各有機ELパネルの輝度を調整するための輝度補正データが格納されている。また、EEPROM102には、ドライバIC103の初期化のためのパラメータ、例えば各有機ELパネル2,3.4でのフレーム周波数を設定するためのデータも格納されている。
【0047】
本例では、各有機ELパネル2,3,4の輝度を調整するために、電源投入時、例えばキー操作に車両の電源がオンになった時、ドライバIC103内のデジタル/アナログ変
換器の基準電圧をEEPROM102に格納された輝度補正データによってR,G,Bごとに補正するようになっている。そのために、基準電圧生成回路107は、電源投入時にデジタル/アナログ変換器の基準電圧を輝度補正データによって補正したR,G,Bごとの基準電圧VrefR,VrefG,VrefBを生成してドライバIC103へ出力するようになっている。
【0048】
上記移動体の表示モジュール1は、図4に示すように、自動車等の車両のインストルメントパネル21に搭載される。真中の有機ELパネルで表示されるスピードメータの上部左右には、方向指示器40の上下方向への操作により2つの発光ダイオードが点滅する方向指示部41,42が設けられている。この方向指示部41,42は、ハザードスイッチ(図示省略)の操作により2つの発光ダイオードが同時に点滅する。
【0049】
また移動体の表示モジュール1は、一例として図5に示すように、真中の有機ELパネル2により、車速をアナログ表示するスピードメータの目盛り91、数字92および指針93を表示する。また、右側の有機ELパネル3によりエンジン回転数をアナログ表示するタコメータの目盛り94、数字95および指針96を表示し、左側の有機ELパネル4でカーナビゲーション装置400の地図情報等の画像97を表示する。また、有機ELパネル4では、テレビの画像やDVD装置の画像も表示できる。なお、図5で符号80はインストルメントパネル21に取り付けられた移動体の表示モジュール1の表面に取り付けられた樹脂製のパネルカバーである。このパネルカバー80には、真中の有機ELパネル2の表示エリア14で表示されるスピードメータ用の円形開口部81と、右側の有機ELパネル3の表示エリア14で表示されるタコメータ用の円形開口部82と、左側の有機ELパネル4で表示される画像用の矩形開口部83とが設けられている。
【0050】
(画像制御ユニットの電気的構成)
次に、上記画像制御ユニットCUの電気的構成を図1に基づいてより詳しく説明する。
本例では、移動体の表示モジュール1は、3つの有機ELパネル2,3,4に対して一つの画像制御ユニットCUを備える。
【0051】
画像制御ユニットCUは、入力される車情報データおよび画像データに基づいて複数の表示用画像データをそれぞれ作成し3つのパネルアッセンブリA,B,Cの各パネル制御回路100へ出力する画像処理回路110が設けられた画像制御基板111を備える。
【0052】
また、画像制御ユニットCUは、複数の出力ポートから各有機ELパネル2,3,4へ電源を供給する電源回路112と、車情報データおよび画像データがそれぞれ入力される複数の入力回路(インターフェースI/F1,I/F2)113,114とを備える。さらに、画像制御ユニットCUは、画像処理回路110、電源回路112、入力回路113,114を統括制御するCPU115と、各種の制御プログラム等が格納されたROM116と、画像処理に用いる各種の画像データが格納されたROM117と画像処理用のRAM118とを備える。
【0053】
ROM117には、スピードメータの目盛り91および数字92を表示させるための背景データ、タコメータの目盛り94および数字95を表示させるための背景データが格納されている。また、ROM117には、スピードメータの目盛り91および数字92に重ねて表示される指針93の画像を作成するための画像データ、タコメータの目盛り94および数字95に重ねて表示される指針96の画像を作成するための画像データ等が格納されている。指針93や指針96をそれぞれ背景画像に重ねて表示する方法として、例えば次の2通りがあり、いずれの方法でも良い。
【0054】
・所定角度ずつ位置が異なる多数の指針データ(指針93用の指針データと指針96用
の指針データの2種類)をROM117に格納しておき、車速やエンジン回転数に応じた指針データを読み出し、読み出した指針データと上記背景データの足し算をして各メータの表示用画像データを作成する。
【0055】
・車速データやエンジン回転数に応じた角度位置の指針93および指針96の画像データをそれぞれ作成し、作成した各指針の画像データと、上記背景データの足し算をして各メータの表示用画像データを作成する。
【0056】
入力回路113には、有機ELパネル2によりスピードメータを表示させるための車速データと、有機ELパネル3によりタコメータを表示させるためのエンジン回転数データとが入力される。車速センサで検出された車速データと、エンジン回転数センサで検出されたエンジン回転数データは、それぞれ車両内のECU(電子制御ユニット)から車載ネットワークを通じて逐次送られる。車載ネットワーク・プロトコルとして、例えば、CAN(Controller Area Network)、Flex Ray等が利用可能である。
【0057】
入力回路114には、自動車等の車両に搭載されるカーナビゲーション装置400から地図情報等の画像データ(RGBごとの画像データ)が入力される。本例では、一例として、それらの画像データと一緒にクロック(同期信号)が入力回路114に入力されるので、その同期信号に基づいて各有機ELパネル2,3,4での走査の同期をとるようになっている。なお、有機ELパネル2,3,4側からのクロック(同期信号)をもらって、画像制御ユニットCUから各パネルアッセンブリA,B,C側への画像データの転送を行い、有機ELパネル2,3,4の走査を行うようにしてもよい。また、入力回路114には、テレビ、ビデオ装置等の他のシステムからの画像データ、HDD,DVD等の記憶装置からの画像データを入力することもできる。
【0058】
図1に示す画像制御ユニットCUにおいて、符号aは車情報データ制御信号、符号bは画像データ制御信号、符号cは画像処理回路制御信号、符号dは電源回路制御信号、符号eはパネルアッセンブリ制御信号、符号fは車情報データ、符号gは画像データである。また、符号hはパネルアッセンブリAへの電源信号、符号iはパネルアッセンブリBへの電源信号、符号jはパネルアッセンブリCへの電源信号、符号kはパネルアッセンブリAへの画像データ、符号lはパネルアッセンブリBへの画像データ、符号mはパネルアッセンブリCへの画像データである。また、符号nは、RAM118の制御信号である。
【0059】
CPU115は、車情報データ制御信号aにより入力回路113に逐次入力される車情報データf(車速データおよびエンジン回転数データ)を画像処理回路110へ転送する制御を行う。また、CPU115は、画像データ制御信号gにより入力回路114に入力される画像データを画像処理回路110へ転送する制御を行う。また、CPU115は、電源回路制御信号dにより、電源回路112の各出力ポートから各パネルアッセンブリA,B,Cへ電源信号h,i,jを出力する制御を行う。また、CPU115は、画像処理回路制御信号cにより、画像処理回路110から輝度調整手段としての輝度調整回路330を介して各パネルアッセンブリA,B,Cへ画像データk,l,mを出力する制御を行う。そして、CPU115は、パネルアッセンブリ制御信号eを各パネルアッセンブリA,B,Cへ出力する制御を行うようになっている。
【0060】
以上の構成を有する移動体の表示モジュール1は、入力回路113に入力される車速データに応じた速度を表わすスピードメータを有機ELパネル2に表示させるとともに、入力回路113に入力されるエンジン回転数データに応じたエンジン回転数を表わすタコメータを有機ELパネル3に表示させる(図5参照)。また、移動体の表示モジュール1は、入力回路114にカーナビゲーション装置400から地図情報等の画像データが入力される場合には、その画像データを有機ELパネル4に表示させる(図5参照)。
【0061】
さらに、移動体の表示モジュール1の画像制御ユニットCUは、図1に示すように、温度検出手段としての温度検出回路300と、アナログ/デジタル変換器310と、コントローラ320と、輝度調整回路330とを備える。
【0062】
温度検出回路300は、3つの有機ELパネル2〜4のいずれか一つの温度を温度センサ(図示省略)で検出し、検出した有機ELパネルの温度(表示パネルの温度)を表わすアナログ信号の温度信号rをアナログ/デジタル変換器310へ出力する。温度センサとしては、例えば、熱電対、半導体の温度センサ等が使用される。
【0063】
アナログ/デジタル変換器310は、有機ELパネルの温度信号rをデジタル信号に変換し、デジタル信号の有機ELパネルの温度信号sをコントローラ320へ出力する。
コントローラ320は、有機ELパネルの温度信号sの値(有機ELパネルの温度)を予め設定された閾値と比較し、その比較結果に基づき各有機ELパネル2〜4による表示態様を変更するための表示態様変更信号uを輝度調整回路330へ出力する。表示態様変更信号uは、有機ELパネルの温度信号sの値が閾値より高くなると、各有機ELパネル2〜4の各画素210Aの有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の大きな有機EL素子221の輝度を下げるように、各有機ELパネル2〜4による表示態様を変更するための信号である。
【0064】
本実施形態では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、R(赤用),G(緑用)およびB(青用)の3種類の有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子221の輝度を下げるように、各有機ELパネル2,3による表示態様を変更する。
【0065】
そのための具体的な態様として、本実施形態では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の有機EL素子221全体での輝度を一定に保つ。この状態のまま、RGB3種類の有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子221の輝度を下げるように、RGB3種類の有機EL素子221の輝度比を変える制御(以下、輝度比変更制御という。)を行う。本例では、一例として、「特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子221」を赤用有機EL素子と緑用有機EL素子とし、「特性劣化の温度依存性の小さな色の有機EL素子221」を青用有機EL素子としている。また、本例では、一例として、3つの有機ELパネル2〜4のうち、有機ELパネル2,3よる表示態様を上述したように変更する。
【0066】
上記輝度比変更制御を行うために、コントローラ320は、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、輝度調整信号として表示態様変更信号uを輝度調整回路330へ出力する。この表示態様変更信号uが入力されると、輝度調整回路330は、RGB3種類の有機EL素子221の輝度比(輝度の配分)を、例えば図7の点Wで示す白の輝度比から点400で示す輝度比へ変えて、各有機ELパネル2,4での表示を、白をベースにした表示から特性劣化の温度依存性の小さな色(本例では青)をベースにした表示に変える。有機ELパネル2での表示を白をベースにした表示から青をベースにした表示に変えるのは、図5に示すスピードメータの目盛り91と数字92を含む背景の表示である。また、有機ELパネル3での表示を白をベースにした表示から青をベースにした表示に変えるのは、図5に示すタコメータの目盛り94と数字95を含む背景の表示である。
【0067】
図7の点Wは図6で示す点Wに対応している。図6の色度図は、RGB3点の色座標で結んだ色三角形の範囲内で色を再現できることを示している。図6の点Wで表わす白は、x=0.33、y=0.33の色座標で特定されるRGBの輝度比(輝度の配分)で決まる。RGBの輝度の輝度比を色三角形の範囲内で変えることで、各有機ELパネル2,3
による表示の色バランスを変えられる。
【0068】
図8(a)は図7の点Wで示す白におけるRGBの輝度比を示しており、図8(b)は図7の点400で示すRGBの輝度比を示している。本例では、輝度比変更制御により、RGBの輝度比を図8(a)に示す白の輝度比から図8(b)に示す輝度比に変更することで、白をベースにした表示から、図7の点400で示す青をベースにした表示に変更する。なお、この輝度比変更制御によりRGBの輝度比を変更する際に、図8(a)に示すRGB3種類の有機EL素子221全体での輝度と、図8(b)に示すRGB3種類の有機EL素子221全体での輝度は一定に保ったままである。
【0069】
このように輝度調整回路330は、有機ELパネルの温度が閾値を超えて表示態様変更信号uが入力されると、図8(a)に示す輝度比から、B(青)の輝度比を上げて、R(赤)とG(緑)の輝度比を下げる。そのために、輝度調整回路330は、有機ELパネル2,3の各一つの画素210Aの中で、RGB3種類の有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子(赤用有機EL素子および緑用有機EL素子)に流す電流値を小さくする。これとともに、特性劣化の温度依存性の小さな色の有機EL素子(青用の有機EL素子)に流す電流値を大きくする。
【0070】
このように、輝度調整回路330により、赤用有機EL素子と緑用有機EL素子に流す電流値を小さくし、青用有機EL素子に流す電流値を大きくして、RGBの輝度比を変更する方法としては次の3つの方法のいずれか一つを行えばよい。
【0071】
(1)一つの画素回路220を構成するRGB3種類の画素回路のうち、R(赤)とG(緑)の各画素回路の電源ライン340(図3(a)参照)に供給する基準電圧を下げるととともに、B(青)の各画素回路の電源ライン340に供給する基準電圧を上げる。
【0072】
(2)RGB3種類の画素回路ごとに、データ線駆動回路としてのドライバIC103内のDAC(デジタル/アナログ変換器)の基準電圧を変える。例えば、その基準電圧を変更するための信号を、図2に示す基準電圧生成回路107へ出力する。
【0073】
(3)画像処理回路110から出力される各画素ごとの画像データ、例えば8ビットの画像データの階調値を、ROM117に予め格納されたマップを参照して変更し、変更した各画素ごとの画像データk,l,mを各有機ELパネル2,3へ出力する。
【0074】
本実施例では、図1にて上記(3)の方式を示したが、上記(1)の方式の場合には、図1のA/D変換器から出力される温度信号sをCPU115に入力して、電源回路制御
信号dにて電源ライン340に供給する基準電圧を変更する。また、上記(2)の方式の場合には、図1のA/D変換器から出力される温度信号sをCPU115に入力して、パ
ネルアッセンブリ制御信号eにて基準電圧を変更する。
【0075】
コントローラ320と輝度調整回路330は、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の発光素子全体での輝度を一定に保ったまま、RGB3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色の発光素子の輝度を下げるように、3種類の発光素子の輝度比を変える表示態様変更手段に相当する。
【0076】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○温度検出回路300で検出した有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の有機EL素子221全体での輝度を一定に保ったまま、有機ELパネル2,3の上記背景の表示を、白をベースにした表示から熱に強い青をベースにした表示に変更するようにしている。これによれり、画面全体の輝度を変えずに、特性劣化の温度依存性の大
きな有機EL素子221の劣化を抑制することができ、有機ELパネル2,3の長寿命化を図れる。
【0077】
また、有機ELパネル2,3の温度が閾値より高いときとその温度が閾値以下のときとで、RGB3種類の有機EL素子221の輝度比、つまり色バランスを、白をベースにした表示を青をベースにした表示に変えることで、表示に変化を持たせることができる。したがって、本実施形態に係る移動体の表示モジュール1を、移動体として自動車等の車両のインストルメントパネル21(図4参照)に搭載する場合、有機ELパネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、有機ELパネルの長寿命化を図りつつ、インストルメントパネル21全体の表示デザインを変更することができる。したがって、有機ELパネルの温度が高温度になる厳しい環境においても、有機EL素子の劣化を抑制しつつ各種の情報や画素の表示が可能になる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る移動体の表示モジュール1を図9に基づいて説明する。本実施形態においても、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、各画素210AのRGB3種類の有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子221の輝度を下げるように、各有機ELパネル2,3による表示態様を変更する。そのための具体的な態様として、本実施形態では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、有機ELパネル2,3で表示される画像の背景色を、RGB3種類の有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の小さな色をベースにした表示に変える制御(以下、背景色変更制御という。)を行う。
【0079】
本例では、一例として、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、有機ELパネル2,3で表示される画像の背景色を、図9に示すように、特性劣化の温度依存性の大きな色(例えば赤)をベースにした表示から、特性劣化の温度依存性の小さな色(例えば青)をベースにした表示に変えるようにしている。ここで、「画像の背景色」とは、有機ELパネル2により表示される図5に示すスピードメータの目盛り91と数字92を含む背景の表示色であり、また、有機ELパネル3により表示される図5に示すタコメータの目盛り94と数字95を含む背景の表示色である。なお、図9では、有機ELパネル2による表示を示しているが、有機ELパネル3による表示についても有機ELパネル2と同様に、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、赤をベースにした表示から、青をベースにした表示に変更する。
【0080】
上記背景色変更制御を行うために、コントローラ320は、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、輝度調整信号として表示態様変更信号uを輝度調整回路330へ出力する。この表示態様変更信号uが入力されると、輝度調整回路330は、RGB3種類の有機EL素子221の輝度の配分を変えて、各有機ELパネル2,4での表示を、赤をベースにした表示から、特性劣化の温度依存性の小さな色(青)をベースにした表示に変える。このような輝度調整回路330により輝度の配分を変更するには、上述したRGBの輝度比を変更する場合と同様に、上述した3つの方法のいずれか一つを行えばよい。
【0081】
以上のように構成された第2実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、各有機ELパネル2,4で表示される画像の背景色を有機EL素子221が特性劣化の温度依存性の大きな有機EL素子221の色(赤)をベースにした表示から、特性劣化の温度依存性の小さな有機EL素子221の色(青)をベースにした表示に変える。これにより、有機ELパネルの長寿命化を図りつつ、表示デザインを変更することができる。
【0082】
○有機ELパネルの温度が低いときと高いときとで、有機ELパネル2,3で表示され
る画像の背景色が変わるので、ユーザに対しインストルメントパネル21(図4参照)の表示デザインが変わったような印象を与えることができる。
【0083】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る移動体の表示モジュール1を図10に基づいて説明する。
上記第2実施形態では、温度検出回路300で検出した有機ELパネルの温度を一つの閾値と比較するようにしている。これに対して、第3実施形態では、有機ELパネルの温度と比較する閾値として、値の小さい第1の閾値と値の大きい第2の閾値の2つ設けて、各有機ELパネル2,4で表示される画像の背景色を3段階に変更するようにしている。
【0084】
すなわち、有機ELパネルの温度が第1の閾値より低いときには、前記背景色を、RGB3種類の有機EL素子221の輝度の配分を図10の領域351内の予め設定された色座標で決まる赤をベースにした表示にする。有機ELパネルの温度が第1の閾値以上でかつ第2の閾値以下のときには、前記背景色を、赤をベースにした表示から、図10の領域352内の予め設定された色座標で決まる白をベースにした表示に変更する。そして、有機ELパネルの温度が第2の閾値より高くなると、前記背景色を、白をベースにした表示から、図10の領域353内の予め設定された色座標で決まる青をベースにした表示に変更する。
【0085】
以上のように構成された第3実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○有機ELパネルの温度と比較する閾値を2つ設けて、各有機ELパネル2,4で表示される画像の背景色を3段階に変更するようにしているので、有機ELパネルの長寿命化を図りつつ、表示デザインが変更された表示態様をさらに増やすことができる。
【0086】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る移動体の表示モジュール1を図11(a),(b)に基づいて説明する。本実施形態においても、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の有機EL素子221のうち特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子221の輝度を下げるように、各有機ELパネル2,3による表示態様を変更する。そのための具体的な態様として、本実施形態では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の有機EL素子221の輝度比は変えずに、RGB3種類の有機EL素子221の輝度をそれぞれ下げる制御(輝度変更制御)を行う。
【0087】
つまり、本例では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、図11(a)の点354で示す色の輝度比(RGB3種類の有機EL素子221の輝度比)は変えずに、図11(b)に示すように3種類の有機EL素子221の各輝度を同じずつ下げるようにする。なお、図5に示すように表示されるスピードメータやタコメータ等の視認性を考慮すると、RGB3種類の有機EL素子221の各輝度を10%程度の範囲内で下げるのが望ましい。
【0088】
上記輝度変更制御を行うために、図1に示すコントローラ320は、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、輝度調整信号として表示態様変更信号uを輝度調整回路330へ出力する。この表示態様変更信号uが入力されると、輝度調整回路330は、RGB3種類の有機EL素子221の各輝度を10%程度の範囲内で同じずつ下げる。このようにRGB3種類の有機EL素子221の各輝度を下げるには、上述したRGBの輝度比を変更する場合と同様に、上述した3つの方法のいずれか一つを行えばよい。
【0089】
以上のように構成された第4実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の有機EL素子221の輝度比は変えずに、3種類の有機EL素子221の各輝度を同じずつ下げることで、特性
劣化の温度依存性の大きな有機EL素子の劣化を抑制することができ、有機ELパネルの長寿命化を図れる。
【0090】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る移動体の表示モジュール1を図12(a),(b)に基づいて説明する。本実施形態では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色の有機EL素子の輝度を下げるように、各有機ELパネル2,3による表示態様を変更する。
【0091】
そのための具体的な態様として、本実施形態では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、各有機ELパネル2,3での表示をアナログ表示(図12(a)参照)からデジタル表示(図12(b)参照)に変更する。これとともに、RGB3種類の有機EL素子221のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色(赤)をベースにした表示から、特性劣化の温度依存性の小さな色(青)をベースにした表示に変える制御(表示領域変更制御)を行う。この表示領域変更制御を行う画像処理手段は、図1に示す画像処理回路110と輝度調整回路330で構成される。
【0092】
上記表示領域変更制御を行うために、図1に示すコントローラ320は、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、アナログ表示からデジタル表示に変更するための表示態様変更信号t(図1参照)を画像処理回路110へ出力するとともに、上記表示態様変更信号uを輝度調整回路330へ出力する。
【0093】
また、画像処理回路110は、表示態様変更信号tが入力されると、各有機ELパネル2,3での表示を図12(a)に示すアナログ表示から図12(b)に示すデジタル表示に変更するための画像データを輝度調整回路330へ出力する。このとき、画像処理回路110は、デジタル表示に変更するための画像データと一緒に、そのデジタル表示は有機ELパネルの温度が閾値以下に下がるまでの一時的な表示であることを知らせるメッセージ「クーリング中」の表示データも輝度調整回路330へ出力するようになっている。また、そのアナログ表示は、一例として赤をベースにした表示である(図12(a)参照)。
【0094】
また、輝度調整回路330は、表示態様変更信号uが入力されると、画像処理回路110から出力される画像データの輝度比を、赤をベースにした表示から青をベースにした表示にするための輝度比に変更し、その画像データを各有機ELパネル2,3へ出力する。これにより、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、図12(a)に示す赤をベースにしたアナログ表示から、図12(b)に示す青をベースにしたデジタル表示に変更される。
【0095】
なお、自動車等の車両では、真夏にエンジンを始動すると、車室内の温度および有機ELパネルの温度はかなり高い温度になっているので、このときは特性劣化の温度依存性の小さな色(青)でデジタル表示するとともに、「クーリング中」のメッセージを表示させる。車両の走行中に空調装置により車室内の温度および有機ELパネルの温度が下がった時点で、そのメッセージを消して有機EL素子が特性劣化の温度依存性の大きな色(例えば赤)でメータ等をアナログ表示する状態に戻すようになっている。
【0096】
以上のように構成された5実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○有機ELパネルの温度が低い間は各有機ELパネル2,3での表示、例えば車速やエンジン回転数等の各種移動体情報の表示をメータでアナログ表示し、有機ELパネルの温度が高くなると各種移動体情報の表示を特性劣化の温度依存性の小さな色(青)でデジタル表示する。このため、有機ELパネルの温度が高温度になる厳しい環境においても特性
劣化の温度依存性の大きな有機EL素子の劣化を抑制して有機ELパネルの長寿命化を図りつつ、表示デザインを変更することができる。
【0097】
○図12(b)に示すようなデジタル表示と一緒に表示されるメッセージ「クーリング中」により、そのデジタル表示は有機ELパネルの温度が下がるまでの一時的な表示であることを乗員に知らせることができる。
【0098】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記各実施形態では、本発明を具体化した移動体の表示モジュールについて説明したが、本発明は移動体の表示モジュールに限定されない。本発明は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置された複数の画素と、各画素がそれぞれ複数の発光素子(例えば、RGB3種類の有機EL素子)で構成される一つの表示パネルを備え、画像データに基づいて表示パネルを駆動する表示装置にも適用される。このような表示装置にも、有機ELパネル等の発光素子の温度が閾値より高くなると、RGB3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の大きな色の発光素子の輝度を下げるように、表示パネル(例えば有機ELパネル)による表示態様を変更するという、本発明が適用される。つまり、その表示態様の変更について上記各実施形態で説明した具体的な態様は、そのような表示装置にも当てはまる。
【0099】
・上記各実施形態では、移動体の表示モジュール1は、図1に示すように、3つの有機ELパネル2,3,4に対して一つの画像制御ユニットCUを備える構成としているが、3つの有機ELパネル2,3,4に個別に画像制御ユニットを設ける構成にも本発明は適用可能である。
【0100】
・上記第1実施形態では、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、RGB3種類の有機EL素子221全体での輝度を一定に保ったまま、有機ELパネル2,3による上記背景の表示を、白をベースにした表示から特性劣化の温度依存性の小さな青をベースにした表示に変更する構成を一例として説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、特性劣化の温度依存性の大きな赤或いは緑をベースにした表示を、特性劣化の温度依存性の小さな青をベースにした表示に変更する構成にも適用可能である。
【0101】
・上記第2実施形態では、一例として、有機ELパネルの温度が閾値より高くなると、有機ELパネル2,3で表示される画像の背景色を、赤をベースにした表示から青をベースにした表示に変えるようにしているが、緑をベースにした表示から青をベースにした表示に変えるようにしても良い。
【0102】
・上記第3実施形態では、有機ELパネルの温度と比較する閾値を2つ設けて、各有機ELパネル2,4で表示される画像の背景色を3段階に変更するようにしているが、その閾値の数は「3」以上であっても良い。閾値の数を増やすことで、各有機ELパネル2,3で表示される画像の背景色を多段階に変更することができる。
【0103】
・上記第5実施形態では、有機ELパネルの温度が高くなると各種移動体情報の表示を一例として青でデジタル表示しているが、本発明はこれに限定されない。要するに、そのデジタル表示を、特性劣化の温度依存性の小さな色で行う場合、その色は青に限らない。
【0104】
・上記第1実施形態では、各有機ELパネル2,3,4の輝度を調整するために、電源投入時、ドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器の基準電圧をEEPROM102に格納された輝度補正データによってR,G,Bごとに補正するようになっている。本発明はこれに限定されない。例えば、各画素210Aの基準電圧(図3(a)に示す画素回路で、駆動トランジスタTdrのソースが接続されている高電位電源Vdd)を、R
GB3種類の有機EL素子221ごとにその輝度補正データによって補正する方法にも本発明は適用可能である。或いは、各画素のRGB3種類の有機EL素子221の各輝度を輝度補正データによって補正し、補正した画像データを使って各各有機ELパネル2,3,4を駆動する方法にも本発明は適用される。
【0105】
・上記第1実施形態では、データ線駆動回路として構成されたドライバIC103がフレキシブル配線基板104に実装されているが、データ線駆動回路を各有機ELパネル2〜4の発光素子基板11上に形成した構成にも本発明は適用される。
【0106】
・上記第1実施形態では、有機ELパネルの数を「3」としているが、その数は一例であって、本発明は「3」以外の複数の有機ELパネルを用いた移動体の表示モジュールに適用可能である。
【0107】
・上記第1実施形態では、表示パネルとして有機EL素子を用いた有機ELパネルを用いているが、表示パネルとして無機EL素子を用いた無機ELパネルを用いた構成にも本発明は適用可能である。
【0108】
・上記第1実施形態では、3つの有機ELパネルの一つで、カーナビゲーション装置400の地図情報等の画像を表示するようにしていが、その有機ELパネルで車両のバックモニタの映像を表示させるようにしてもよい。要するに、複数の有機ELパネルでそれぞれ表示する表示態様を任意に選択することが可能である。
【0109】
・上記第1実施形態において、複数の有機ELパネルの一部を自動車等の車両のインストルメントパネル以外の場所に配置する場合にも本発明は適用可能である。例えば、複数の有機ELパネルの一部を、有機ELパネルで表示される画像を後部席の乗員が見れるような場所に配置した構成にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1実施形態に係る移動体の表示モジュールの電気的構成を示すブロック図。
【図2】同表示モジュールで用いるパネルアッセンブリの電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)は画素回路を示す回路図、(b)は動作を示すタイミングチャート。
【図4】同表示モジュールが搭載された車両のインストルメントパネルを示す斜視図。
【図5】同表示モジュールの表示状態を示す平面図。
【図6】第1実施形態の説明に用いる色度図。
【図7】第1実施形態による表示態様の変更を示す説明図。
【図8】(a)は白表示の輝度比を示すグラフ、(b)は青表示の輝度比を示すグラフ。
【図9】第2実施形態による表示態様の変更を示す説明図。
【図10】第3実施形態による表示態様の変更を示す説明図。
【図11】(a),(b)は第4実施形態による表示態様の変更を示す説明図。
【図12】(a),(b)は第5実施形態による表示態様の変更を示す説明図。
【符号の説明】
【0111】
k,l,m…画像データ、X1〜Xm…データ線、1…移動体の表示モジュール、2〜4…有機ELパネル、97…画像、210A…画素、221…有機EL素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置された複数の画素と、各画素に設けられた複数の発光素子とを有する表示パネルを備え、画像データに基づいて前記表示パネルを駆動する表示装置において、
前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出された前記表示パネルの温度が予め設定された閾値より高くなると、前記各画素の前記複数の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の輝度を小さくするように、前記表示パネルによる表示態様を変更する表示態様変更手段と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記各画素が赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記表示態様変更手段は、前記パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記3種類の発光素子全体での輝度を一定に保ったまま、前記3種類の発光素子のうち特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の輝度を下げるように前記3種類の発光素子の輝度比を変える輝度調整手段を備える、ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の表示装置において、
前記表示態様変更手段は、前記表示パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記表示パネルで表示される画像の背景色を、前記3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の小さな発光素子の色をベースにした表示に変える輝度調整手段を備える、ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の表示装置において、
前記表示態様変更手段は、前記表示パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記3種類の発光素子の輝度比は変えずに、前記3種類の発光素子の輝度をそれぞれ下げる輝度調整手段を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載の表示装置において、
前記表示態様変更手段は、前記表示パネルの温度が前記閾値より高くなると、前記表示パネルでの表示をアナログ表示からデジタル表示に変更するとともに、前記デジタル表示を前記3種類の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の小さな発光素子の色をベースにした表示に変える画像処理手段を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置において、
前記表示態様変更手段は、前記表示パネルでデジタル表示をしている間、前記デジタル表示は前記表示パネルの温度が下がるまでの一時的な表示であることを知らせるメッセージを前記表示パネルに表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置された複数の画素と、各画素に設けられた複数の発光素子とをそれぞれ有する複数の表示パネルを備え、画像データに基づいて前記複数の表示パネルで異なる表示をさせる移動体の表示モジュールにおいて、
前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出された前記表示パネルの温度が予め設定された閾値より高くなると、前記各画素の複数の発光素子のうち、特性劣化の温度依存性の大きな発光素子の輝
度を下げるように、前記複数の表示パネルの一部或いは全部の表示態様を変更する表示態様変更手段と、を備えることを特徴とする移動体の表示モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の移動体の表示モジュールにおいて、
前記各画素が赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含むことを特徴とする移動体の表示モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−250992(P2006−250992A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63480(P2005−63480)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】