表示装置、当該表示装置の制御方法および電子機器
【課題】例えば液晶表示パネルにおいて発生するぼやけ感を、装置の複雑化・高コスト化を招くことなく低減する。
【解決手段】キャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、速度指定部40により指定される移動速度Mvに応じて施すフィルター50と、前記フィルター処理が施されたキャラクターを、移動速度Mvで移動させた画像データを1フレーム期間毎に生成しする画像データ出力回路60と、当該画像データにしたがった表示をする表示パネル100とを有する。
【解決手段】キャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、速度指定部40により指定される移動速度Mvに応じて施すフィルター50と、前記フィルター処理が施されたキャラクターを、移動速度Mvで移動させた画像データを1フレーム期間毎に生成しする画像データ出力回路60と、当該画像データにしたがった表示をする表示パネル100とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶素子のようにホールド型の表示素子を用いた表示パネルにおいて、動画像の表示品質を改善させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子や有機EL素子などの表示素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置では、表示素子の輝度状態が1フレーム期間にわたって保持される。このため、次のフレーム期間に移行したとき、前のフレーム期間で視覚した画像の記憶が残存するために、前後のフレームにおいて表示される画像の一部に動き領域(またはオブジェクト)があれば、その動き領域の輪郭がぼやけたように知覚される(ぼやけ感の発生)。
そこで、ぼやけ感を低減するために、フレーム間におけるオブジェクトの動きを予測して、ぶれを補償する技術(特許文献1参照)や、入力した画像データからオブジェクトの動きを算出し、当該動きに応じて当該画像データにフィルター処理を施す技術(特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2006−350334号公報
【特許文献2】特表2005−527163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの技術では、動きを検出するためには、前後フレームの画像を記憶するためのメモリ等の構成が必要となるだけでなく、複雑な処理を要するので、実現するにあたって、装置の複雑化・高コスト化を招く、といった問題が指摘された。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、装置の複雑化・高コスト化を招くことなく、ぼやけ感を低減することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置にあっては、移動速度が指定されたキャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施すフィルターと、前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、を具備することを特徴とする。本発明によれば、キャラクターに指定された移動速度に応じて、当該キャラクターにフィルター処理が施されるので、動きを検出するための処理が不要となり、装置の複雑化・高コスト化を避けることができる。なお、本発明において移動速度とは、速さと方向とを合わせたベクトルの意味である。
本発明において、前記画像データ出力回路は、前記フィルター処理が施されたキャラクターを所定の背景画像に合成した画像を生成しても良い。
【0005】
また、ぼやけを低減させるフィルター処理が、所定の背景画像に対して予め定められた移動速度毎に施されたキャラクターを記憶する記憶回路と、前記フィルター処理が施されたキャラクターを、指定された移動速度に対応して前記記憶回路から読み出すとともに、当該読み出したキャラクターを前記移動速度で移動させて、前記背景画像に合成した画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、を具備する構成としても良い。フィルター処理が移動速度毎に予め施されたキャラクターを記憶しているので、フィルター処理をリアルタイムで施す必要がなくなるだけでなく、そもそも記憶後はフィルターも不要となるので、装置の複雑化・高コスト化を避けることができる。
なお、本発明は、表示装置のみならず、当該表示装置を含む電子機器や、表示装置の制御方法としても概念することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0007】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る表示装置を適用した電子機器について説明する。図1は、表示装置を含む電子機器の構成を示すブロック図である。
この電子機器は、例えばスロットマシンのような遊戯機であり、数字やアルファベットなどのキャラクターを、スクロールしたり、停止させたりして表示するものであるが、表示とは無関係な部分の構成については図示を省略している。
【0008】
この図に示されるように、電子機器1は、表示装置10と、キャラクター出力回路30と、速度指定部40とに大別され、このうち、表示装置10は、さらに表示制御回路20と、フィルター50と、画像データ出力回路60と、表示パネル100とに分けられる。
【0009】
表示パネル100は、例えばアクティブマトリクス型の液晶表示パネルであり、その表示領域100aにおいて、複数行の走査線112が図において横方向に延在し、また、複数列のデータ線114が図において縦方向に延在し、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられるとともに、これらの走査線112とデータ線114との交差のそれぞれに対応して、画素110がそれぞれ配設されている。
【0010】
Yドライバー130は、複数行の走査線112を1フレーム期間にわたってそれぞれ1、2、3、…、行目という順番で選択する走査線駆動回路である。なお、1フレーム期間とは、表示パネル100を駆動することによって、画像の1コマ分を表示させるのに要する期間をいい、垂直走査周波数が60Hzであれば、その逆数である16.7ミリ秒である。
Xドライバー140は、Yドライバー130によって選択された行の画素110の各々に対し、画像データ出力回路60から出力されるデータ信号Vsをそれぞれデータ線114にサンプリングするデータ線駆動回路である。
なお、Yドライバー130およびXドライバー140は、それぞれ表示制御回路20の制御にしたがって動作する。
【0011】
ここで、各画素110は、詳細については省略するが、周知のように薄膜トランジスターおよび液晶容量を画素毎に有するとともに、走査線112が選択されると、薄膜トランジスターがオンして、データ線に供給されたデータ信号の電圧が液晶容量の一端に印加される。走査線が非選択になると、薄膜トランジスターがオフして、データ線と液晶ようようの一端との間が非導通状態になるが、液晶容量の一端に印加された電圧は、その容量性によりに保持される。そして、表示パネル100が透過型であれば、各画素110においては、保持電圧に応じて液晶容量を透過する光量が規定される。
このため、Yドライバー130が走査線112を順番に選択するとともに、Xドライバー140が選択走査線112に対応する画素110に対して、指定された階調値に応じた電圧のデータ信号をデータ線114に供給すると、選択走査線に位置する画素110の液晶容量を当該階調値に応じた透過率に制御することができる。
【0012】
キャラクター出力回路30は、表示パネル100で表示すべきキャラクターの画像データを例えばビットマップ形式で出力するものである。なお、本実施形態において、表示すべきキャラクターとしては、遊戯機(スロットマシン)としての性格上、上述したように数字やアルファベットなどの記号を想定している。
一方、速度指定部40は、遊戯機の制御を司る制御部の一部であって、当該遊戯機の制御に応じてキャラクターの移動速度Mvを指定するものである。
本実施形態では、速度指定部40は、キャラクターを例えば初期状態で停止させるために、移動速度Mvをゼロとし、また、図示省略したレバーが操作されると、キャラクターを画面下方向に大きな速度で移動させるために、移動速度Mvを比較大とし、さらに、所定のボタンが押下されたときにキャラクターを停止させるために、移動速度Mvを再びゼロとする。なお、速度指定部40により指定される移動速度Mvは、1フレーム期間におけるキャラクターの移動量を移動方向とともに規定する。
【0013】
フィルター50は、キャラクター出力回路30から出力されるキャラクターに対し、速度指定部40により指定される移動速度Mvに応じた輪郭強調処理(フィルター処理)を施して出力する輪郭強調フィルターである。
画像データ出力回路60は、輪郭強調処理が施されたキャラクターを、1フレーム期間毎に、移動速度Mvで規定される移動量だけ移動方向に移動させた画像データを生成するとともに、当該画像データを表示パネル100の駆動に適したアナログのデータ信号Vsに変換して出力する。なお、画像データ出力回路60は、表示制御回路20の制御にしたがい、Yドライバー130およびXドライバー140の動作に合わせてデータ信号Vsを出力する。
【0014】
説明の便宜上、フィルタ−40が施す輪郭強調処理の概要について図3を参照して説明する。
キャラクターの輪郭部分について、横軸に空間座標(画素間距離)をとり、縦軸に輝度(明るさ)をとったとき、フィルター適用前では、図3において破線で示されるように、輪郭部分を境にして輝度が変化する特性となる。このような特性に対して輪郭強調処理は、同図において実線で示されるように、輪郭である輝度変化部分を境からみて、輝度変化方向に過剰に輝度変化を与えるオーバーシュート部分と、該オーバーシュート部分よりもキャラクター領域の内側に位置するとともに輝度変化方向とは反対側に戻す方向に輝度変化を与えるアンダーシュート部分とによって、それぞれコントラスト差を与えて、輪郭部分を強調させる、という処理である。
【0015】
このようなオーバーシュート量Osを、同図に示すようにオーバーシュート部における変化前からの輝度変化量として規定し、同様に、アンダーシュート量Usを、アンダーシュート部における変化前からの輝度変化量として規定する。
本実施形態において、動いて表示させるべきキャラクターは、同じ階調値が空間的に連続する領域が大部分であって、使用される階調値が極めて少ない。このため、例えば風景やポートレート(人物像)のように階調値が広く分散した自然画に動きがある場合と同程度のオーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usでキャラクターの輪郭を強調すると、輪郭強調が過剰になされて、輪郭が多重に視認されてしまう現象(擬似輪郭)が発生する可能性がある。
このため、本実施形態において、フィルター50に設定されるオーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usは、それぞれ自然画の値よりも小さく設定される。
【0016】
本実施形態では、輪郭強調処理において、オーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usのほかに、さらに、キャラクターの移動速度Mvに応じて輪郭強調処理に適用するサイズを規定する。
ここでまず、移動速度の大きさに応じて発生する、ぼやけ感について図4を参照して説明する。
液晶表示パネルにおける画素の応答は、周知のように、あるフレームにおいて走査線が選択されたときに書き込まれた電圧状態を次のフレームにおいて再び走査線が選択されるまで維持するホールド型である。このため、図4(a)に示されるように、あるフレーム(nフレーム)において白色を背景とした黒色領域が、次の(n+1)フレームにおいて例えば右方向に移動するような動画を表示させたとき、当該黒色領域の後縁部分よりも左側の部分では、前のnフレームで表示された黒色部分が記憶として残存するために、背景の白色ではなく、当該黒色領域の後縁に近づくにつれて暗くなるように知覚される。同様に、当該黒色領域の前縁部分から右側の部分では、前のnフレームで表示された白色部分が記憶として残存するために、黒色ではなく、当該黒色領域の前縁に近づくにつれて明るくなるように知覚される。
したがって、図に示されるように、移動する黒色領域は、移動方向の前縁および後縁の双方において、nフレームから(n+1)フレームにかけて移動した距離w1だけ、ぼやけたように知覚される。
なお、ぼやけの距離(幅)は、動き領域における1フレーム期間での移動距離であるから、その移動速度が大きいと、図4(b)に示されるように、ぼやけの幅もw2と大きくなる。また、本実施形態におけるキャラクターは下方向に移動するが、図4では、黒色領域が、便宜的に右方向に移動するものとして説明している。
【0017】
このように、動き領域の移動速度(フレーム間の移動距離)が大ききなるにつれてぼやけの幅も大きくなるので、本実施形態では、移動速度Mvに対して例えば比例するように、オーバーシュートとアンダーシュートとの空間的なサイズSzを設定している(図3参照)。これにより、キャラクターの移動速度が小さいときには、輪郭強調が弱くなされる一方、移動速度が大きいときには輪郭強調が強くなされるので、動きによるぼやけ感が適切に低減されることになる。
【0018】
図2は、このような輪郭強調処理を実行するフィルター50の構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、フィルター50は、フィルター適用部52、フィルターデータベース54およびフィルター選定部56を含む。このうち、フィルターデータベース54は、フィルターパラメーターの複数セットを移動速度Mvに応じて記憶するものであり、フィルター選定部56は、フィルターデータベース54に記憶された複数セットのうち、速度指定部40により指定された移動速度Mvに対して最適な1セットを選定するとともに、選定したフィルターパラメーターのセットをフィルター適用部52にセットするものである。
【0019】
本実施形態では、キャラクターの移動方向が、遊戯機(スロットマシン)であるために、下方向に常に一定である。このため、フィルター適用部52は、入力したデータ示されるキャラクターに対し、セットされたパラメーターで規定される輪郭強調処理を、当該キャラクターが下方向に移動すると想定して施す。
なお、表示装置が遊技機以外であれば、フィルター適用部52は、キャラクターが移動速度Mvに含まれる方向および速さで移動すると想定して、輪郭強調処理を当該キャラクターに施せば良い。
【0020】
次に、本実施形態に係る電子機器の動作について説明する。
まず、キャラクター出力回路30が表示すべきキャラクターの画像データを出力すると、フィルター50は、キャラクター出力回路30により出力されたキャラクターに対して移動速度Mvに応じた輪郭強調処理を施して画像データ出力回路60に供給する。
画像データ出力回路60は、輪郭強調処理が施されたキャラクターを1フレーム期間毎に移動速度Mvで規定される移動量だけ下方向に移動させた画像データを、1フレーム期間毎に生成するとともに、当該画像データをデータ信号Vsに変換して、表示制御回路20の制御にしたがいYドライバー130およびXドライバー140の動作に合わせてデータ信号Vsを出力する。
【0021】
詳細には、1フレーム期間の最初において、表示制御回路20が、Yドライバー130に1行目の走査線112を選択させるとき、画像データ出力回路60に対して、1行目の1列目から最終列までの画素110に対応するデータ信号Vsを順番に出力するように指示するとともに、Xドライバー140に対して、当該データ信号Vsを1列目から最終列目までのデータ線114に順番にサンプリングするように制御する。1行目の走査線112が選択されていると、当該1行目の薄膜トランジスターがオン状態になり、データ線114にサンプリングされたデータ信号がオン状態にある薄膜トランジスターを介して液晶素子の一端に印加されるので、1行目の液晶素子はそれぞれデータ信号の電圧に応じた透過率となる。
同様な動作が2行目から最終行目までの走査線112に対応して順番に実行される結果、表示パネル100では、1フレーム期間で画像1コマ分が表示されることになる。
次のフレーム期間では、キャラクターが移動速度Mvで規定される移動量だけ下方向に移動させた画像の1コマ分が表示されるとともに、このような動作が1フレーム毎に実行されるので、表示パネル100では、キャラクターが移動速度Mvで下方向に移動するように表示されることになる。
【0022】
本実施形態では、速度指定部40によって指定された移動速度Mvが大きくなるにつれて、例えば図5、図6および図7に示されるように、キャラクターの輪郭が下方向移動に対応して強く強調される。
詳細には、移動速度Mvが比較的小さいときには、図5に示されるように輪郭強調の度合いが弱いが、移動速度Mvが中程度であるときには、図6に示されるように輪郭強調の度合いが強くなり、移動速度Mvが比較的大きいとき中程度であるときは、図7に示されるように、輪郭強調の度合いがさらに強くなる。
なお、図5、図6および図7は、それぞれ画像データ出力回路により生成される画像の一例を抜き出して示す図であり、実際には、「7」の下に「5」、「7」の上に「8」のようにそれぞれ連続した数字等が3桁独立して表示される。また、これらの図における「7」は、輪郭強調を簡略化して示す概念図であり、実際に輪郭強調処理を施した図ではない。
【0023】
本実施形態では、速度指定部40によって指定された移動速度Mvに応じて、ぼやけを低減させる輪郭強調処理をキャラクターに施すので、動きのある領域を検出するためのフレームメモリーや前後フレーム期間での差分を求める構成などが不要である。このため本実施形態に係る表示装置によれば、装置の複雑化・高コスト化を招くことなく、ぼやけ感を低減することが可能となる。
【0024】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図8は、第2実施形態に係る表示装置を含む電子機器の構成を示すブロック図である。
図8に示す電子機器が図1に示した第1実施形態と相違する部分は、背景画像出力部70を有する点にある。この背景画像出力部70は、例えば図9に示されるような静止画を、動きを与えるキャラクターの背景画像として出力するものである。
第3実施形態において、画像データ出力回路60は、当該静止画を背景として、輪郭強調処理が施されたキャラクターを1フレーム期間毎に移動速度Mvで規定される移動量だけ移動方向に移動させて、合成する。
【0025】
これにより、第2実施形態では、表示パネルにおいて、例えば図10に示されるように、当該静止画を背景として、移動速度Mvに応じて、ぼやけを低減させる輪郭強調処理が施されたキャラクターが合成されて表示される。このため、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、装置の複雑化・高コスト化を招くことなく、ぼやけ感を低減することが可能となる。
【0026】
なお、背景画像出力部70から出力される静止画を背景としてキャラクターが移動する場合に、当該キャラクターの輪郭部分は、当該キャラクターを構成する画素と当該静止画の画素との輝度差で規定されることになる。このため、キャラクターと静止画との合成像に輪郭強調処理を施しても良い。ただし、フィルター処理の負荷が大きくなるので、第2実施形態のように、キャラクターのみに輪郭強調処理を施して静止画と合成した方が好ましい。
【0027】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態に係る表示装置を含む電子機器の構成を示すブロック図である。
図11に示す電子機器が図8に示した第2実施形態と相違する部分は、キャラクター出力回路30に代えて、記憶回路80を有する点にある。この記憶回路80は、表示すべきキャラクターの全種類に対して、想定される移動速度Mvの各々に応じた輪郭強調処理を施したデータを予め記憶するものである。例えば、想定される移動速度Mvが、移動速度小の3ppf(pixel per frame)、移動速度中の7ppf、および、移動速度大の15ppfの3種類であるとき、キャラクターの「7」についていえば、静止状態の輪郭強調を施さないデータに加えて、図12に示されるように、これらの3種類の移動速度Mvに応じて輪郭強調を施したデータが記憶される。「7」以外のキャラクターについても、輪郭強調を施さないデータに加えて、3種類の移動速度Mvに応じて輪郭強調を施したデータがそれぞれ記憶される。
第3実施形態において、画像データ出力回路60は、記憶回路80から、指定された移動速度Mvに応じて輪郭強調を施されたキャラクターのデータを読み出すとともに、背景画像出力部70による静止画を背景として、輪郭強調処理が施されたキャラクターを1フレーム期間毎に移動速度Mvで規定される移動量だけ移動方向に移動させて、合成する。
【0028】
したがって、第3実施形態では、フィルター50が不要であるので、第2実施形態と比較して、構成を簡易化した上で、ぼやけ感を低減することが可能となる。
なお、第3実施形態では、想定される移動速度Mvの各々に応じて輪郭強調処理を施したキャラクターのデータを予め記憶するとしたが、例えば、想定される移動速度Mvの範囲を複数に区分するとともに、各区分に応じて輪郭強調処理を施したキャラクターのデータを予め記憶する構成としても良い。
【0029】
<実施形態の応用・変形>
上述した実施形態では、表示パネルで移動表示させるキャラクターを、数字やアルファベットなどの記号としたが、絵文字や図像などであっても良い。なお、絵文字や図形などを構成する画素の階調値は、記号と比べると多く、また、分散している。このため、絵文字や図形に対する輪郭強調処理にあっては、オーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usを、記号と自然画との間となるように設定すれば良い。
【0030】
また、画像データ出力回路60は、データ信号Vsを出力して、Xドライバー140が1列目から最終列目までのデータ線114に順番にサンプリングする構成としたが、画像データ出力回路60が、選択走査線に位置する画素1行分の画像データを出力し、Xドライバー140が、当該画像データをアナログのデータ信号に変換して、対応するデータ線に、走査線の選択に合わせて出力する構成としても良い。
【0031】
画素110については透過型に限られず、反射型であっても良いし、透過型および反射型の両者を組み合わせた、いわゆる半透過半反射型としても良い。また、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の3画素で1ドットを構成して、カラー表示を行うようにしても良い。
さらに表示パネル100については液晶素子に限られず、例えば有機EL素子などのようにホールド型であれば、いかなる素子も適用可能である。
また、電子機器についても、遊技機に限られず、キャラクターに対して指定された移動速度で動画表示させる装置であれば、いかなる機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態に係る表示装置を適用した電子機器の構成を示す図である。
【図2】同表示装置におけるフィルターの構成を示すブロック図である。
【図3】フィルター処理を示す図である。
【図4】動画表示におけるぼやけを説明するための図である。
【図5】同表示装置における画像データの一例を示す図である。
【図6】同表示装置における画像データの一例を示す図である。
【図7】同表示装置における画像データの一例を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る表示装置を適用した電子機器の構成を示す図である。
【図9】同表示装置における背景画像の一例である。
【図10】同表示装置における画像データ(合成像)の一例を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る表示装置を適用した電子機器の構成を示す図である。
【図12】同表示装置における記憶回路に記憶されるキャラクターの例である。
【符号の説明】
【0033】
1…電子機器、10…表示装置、20…表示制御回路、30…キャラクター出力回路、
40…速度指定部、50…フィルター、60…画像データ出力回路、100…表示パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶素子のようにホールド型の表示素子を用いた表示パネルにおいて、動画像の表示品質を改善させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子や有機EL素子などの表示素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置では、表示素子の輝度状態が1フレーム期間にわたって保持される。このため、次のフレーム期間に移行したとき、前のフレーム期間で視覚した画像の記憶が残存するために、前後のフレームにおいて表示される画像の一部に動き領域(またはオブジェクト)があれば、その動き領域の輪郭がぼやけたように知覚される(ぼやけ感の発生)。
そこで、ぼやけ感を低減するために、フレーム間におけるオブジェクトの動きを予測して、ぶれを補償する技術(特許文献1参照)や、入力した画像データからオブジェクトの動きを算出し、当該動きに応じて当該画像データにフィルター処理を施す技術(特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2006−350334号公報
【特許文献2】特表2005−527163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの技術では、動きを検出するためには、前後フレームの画像を記憶するためのメモリ等の構成が必要となるだけでなく、複雑な処理を要するので、実現するにあたって、装置の複雑化・高コスト化を招く、といった問題が指摘された。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、装置の複雑化・高コスト化を招くことなく、ぼやけ感を低減することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置にあっては、移動速度が指定されたキャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施すフィルターと、前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、を具備することを特徴とする。本発明によれば、キャラクターに指定された移動速度に応じて、当該キャラクターにフィルター処理が施されるので、動きを検出するための処理が不要となり、装置の複雑化・高コスト化を避けることができる。なお、本発明において移動速度とは、速さと方向とを合わせたベクトルの意味である。
本発明において、前記画像データ出力回路は、前記フィルター処理が施されたキャラクターを所定の背景画像に合成した画像を生成しても良い。
【0005】
また、ぼやけを低減させるフィルター処理が、所定の背景画像に対して予め定められた移動速度毎に施されたキャラクターを記憶する記憶回路と、前記フィルター処理が施されたキャラクターを、指定された移動速度に対応して前記記憶回路から読み出すとともに、当該読み出したキャラクターを前記移動速度で移動させて、前記背景画像に合成した画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、を具備する構成としても良い。フィルター処理が移動速度毎に予め施されたキャラクターを記憶しているので、フィルター処理をリアルタイムで施す必要がなくなるだけでなく、そもそも記憶後はフィルターも不要となるので、装置の複雑化・高コスト化を避けることができる。
なお、本発明は、表示装置のみならず、当該表示装置を含む電子機器や、表示装置の制御方法としても概念することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0007】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る表示装置を適用した電子機器について説明する。図1は、表示装置を含む電子機器の構成を示すブロック図である。
この電子機器は、例えばスロットマシンのような遊戯機であり、数字やアルファベットなどのキャラクターを、スクロールしたり、停止させたりして表示するものであるが、表示とは無関係な部分の構成については図示を省略している。
【0008】
この図に示されるように、電子機器1は、表示装置10と、キャラクター出力回路30と、速度指定部40とに大別され、このうち、表示装置10は、さらに表示制御回路20と、フィルター50と、画像データ出力回路60と、表示パネル100とに分けられる。
【0009】
表示パネル100は、例えばアクティブマトリクス型の液晶表示パネルであり、その表示領域100aにおいて、複数行の走査線112が図において横方向に延在し、また、複数列のデータ線114が図において縦方向に延在し、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられるとともに、これらの走査線112とデータ線114との交差のそれぞれに対応して、画素110がそれぞれ配設されている。
【0010】
Yドライバー130は、複数行の走査線112を1フレーム期間にわたってそれぞれ1、2、3、…、行目という順番で選択する走査線駆動回路である。なお、1フレーム期間とは、表示パネル100を駆動することによって、画像の1コマ分を表示させるのに要する期間をいい、垂直走査周波数が60Hzであれば、その逆数である16.7ミリ秒である。
Xドライバー140は、Yドライバー130によって選択された行の画素110の各々に対し、画像データ出力回路60から出力されるデータ信号Vsをそれぞれデータ線114にサンプリングするデータ線駆動回路である。
なお、Yドライバー130およびXドライバー140は、それぞれ表示制御回路20の制御にしたがって動作する。
【0011】
ここで、各画素110は、詳細については省略するが、周知のように薄膜トランジスターおよび液晶容量を画素毎に有するとともに、走査線112が選択されると、薄膜トランジスターがオンして、データ線に供給されたデータ信号の電圧が液晶容量の一端に印加される。走査線が非選択になると、薄膜トランジスターがオフして、データ線と液晶ようようの一端との間が非導通状態になるが、液晶容量の一端に印加された電圧は、その容量性によりに保持される。そして、表示パネル100が透過型であれば、各画素110においては、保持電圧に応じて液晶容量を透過する光量が規定される。
このため、Yドライバー130が走査線112を順番に選択するとともに、Xドライバー140が選択走査線112に対応する画素110に対して、指定された階調値に応じた電圧のデータ信号をデータ線114に供給すると、選択走査線に位置する画素110の液晶容量を当該階調値に応じた透過率に制御することができる。
【0012】
キャラクター出力回路30は、表示パネル100で表示すべきキャラクターの画像データを例えばビットマップ形式で出力するものである。なお、本実施形態において、表示すべきキャラクターとしては、遊戯機(スロットマシン)としての性格上、上述したように数字やアルファベットなどの記号を想定している。
一方、速度指定部40は、遊戯機の制御を司る制御部の一部であって、当該遊戯機の制御に応じてキャラクターの移動速度Mvを指定するものである。
本実施形態では、速度指定部40は、キャラクターを例えば初期状態で停止させるために、移動速度Mvをゼロとし、また、図示省略したレバーが操作されると、キャラクターを画面下方向に大きな速度で移動させるために、移動速度Mvを比較大とし、さらに、所定のボタンが押下されたときにキャラクターを停止させるために、移動速度Mvを再びゼロとする。なお、速度指定部40により指定される移動速度Mvは、1フレーム期間におけるキャラクターの移動量を移動方向とともに規定する。
【0013】
フィルター50は、キャラクター出力回路30から出力されるキャラクターに対し、速度指定部40により指定される移動速度Mvに応じた輪郭強調処理(フィルター処理)を施して出力する輪郭強調フィルターである。
画像データ出力回路60は、輪郭強調処理が施されたキャラクターを、1フレーム期間毎に、移動速度Mvで規定される移動量だけ移動方向に移動させた画像データを生成するとともに、当該画像データを表示パネル100の駆動に適したアナログのデータ信号Vsに変換して出力する。なお、画像データ出力回路60は、表示制御回路20の制御にしたがい、Yドライバー130およびXドライバー140の動作に合わせてデータ信号Vsを出力する。
【0014】
説明の便宜上、フィルタ−40が施す輪郭強調処理の概要について図3を参照して説明する。
キャラクターの輪郭部分について、横軸に空間座標(画素間距離)をとり、縦軸に輝度(明るさ)をとったとき、フィルター適用前では、図3において破線で示されるように、輪郭部分を境にして輝度が変化する特性となる。このような特性に対して輪郭強調処理は、同図において実線で示されるように、輪郭である輝度変化部分を境からみて、輝度変化方向に過剰に輝度変化を与えるオーバーシュート部分と、該オーバーシュート部分よりもキャラクター領域の内側に位置するとともに輝度変化方向とは反対側に戻す方向に輝度変化を与えるアンダーシュート部分とによって、それぞれコントラスト差を与えて、輪郭部分を強調させる、という処理である。
【0015】
このようなオーバーシュート量Osを、同図に示すようにオーバーシュート部における変化前からの輝度変化量として規定し、同様に、アンダーシュート量Usを、アンダーシュート部における変化前からの輝度変化量として規定する。
本実施形態において、動いて表示させるべきキャラクターは、同じ階調値が空間的に連続する領域が大部分であって、使用される階調値が極めて少ない。このため、例えば風景やポートレート(人物像)のように階調値が広く分散した自然画に動きがある場合と同程度のオーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usでキャラクターの輪郭を強調すると、輪郭強調が過剰になされて、輪郭が多重に視認されてしまう現象(擬似輪郭)が発生する可能性がある。
このため、本実施形態において、フィルター50に設定されるオーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usは、それぞれ自然画の値よりも小さく設定される。
【0016】
本実施形態では、輪郭強調処理において、オーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usのほかに、さらに、キャラクターの移動速度Mvに応じて輪郭強調処理に適用するサイズを規定する。
ここでまず、移動速度の大きさに応じて発生する、ぼやけ感について図4を参照して説明する。
液晶表示パネルにおける画素の応答は、周知のように、あるフレームにおいて走査線が選択されたときに書き込まれた電圧状態を次のフレームにおいて再び走査線が選択されるまで維持するホールド型である。このため、図4(a)に示されるように、あるフレーム(nフレーム)において白色を背景とした黒色領域が、次の(n+1)フレームにおいて例えば右方向に移動するような動画を表示させたとき、当該黒色領域の後縁部分よりも左側の部分では、前のnフレームで表示された黒色部分が記憶として残存するために、背景の白色ではなく、当該黒色領域の後縁に近づくにつれて暗くなるように知覚される。同様に、当該黒色領域の前縁部分から右側の部分では、前のnフレームで表示された白色部分が記憶として残存するために、黒色ではなく、当該黒色領域の前縁に近づくにつれて明るくなるように知覚される。
したがって、図に示されるように、移動する黒色領域は、移動方向の前縁および後縁の双方において、nフレームから(n+1)フレームにかけて移動した距離w1だけ、ぼやけたように知覚される。
なお、ぼやけの距離(幅)は、動き領域における1フレーム期間での移動距離であるから、その移動速度が大きいと、図4(b)に示されるように、ぼやけの幅もw2と大きくなる。また、本実施形態におけるキャラクターは下方向に移動するが、図4では、黒色領域が、便宜的に右方向に移動するものとして説明している。
【0017】
このように、動き領域の移動速度(フレーム間の移動距離)が大ききなるにつれてぼやけの幅も大きくなるので、本実施形態では、移動速度Mvに対して例えば比例するように、オーバーシュートとアンダーシュートとの空間的なサイズSzを設定している(図3参照)。これにより、キャラクターの移動速度が小さいときには、輪郭強調が弱くなされる一方、移動速度が大きいときには輪郭強調が強くなされるので、動きによるぼやけ感が適切に低減されることになる。
【0018】
図2は、このような輪郭強調処理を実行するフィルター50の構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、フィルター50は、フィルター適用部52、フィルターデータベース54およびフィルター選定部56を含む。このうち、フィルターデータベース54は、フィルターパラメーターの複数セットを移動速度Mvに応じて記憶するものであり、フィルター選定部56は、フィルターデータベース54に記憶された複数セットのうち、速度指定部40により指定された移動速度Mvに対して最適な1セットを選定するとともに、選定したフィルターパラメーターのセットをフィルター適用部52にセットするものである。
【0019】
本実施形態では、キャラクターの移動方向が、遊戯機(スロットマシン)であるために、下方向に常に一定である。このため、フィルター適用部52は、入力したデータ示されるキャラクターに対し、セットされたパラメーターで規定される輪郭強調処理を、当該キャラクターが下方向に移動すると想定して施す。
なお、表示装置が遊技機以外であれば、フィルター適用部52は、キャラクターが移動速度Mvに含まれる方向および速さで移動すると想定して、輪郭強調処理を当該キャラクターに施せば良い。
【0020】
次に、本実施形態に係る電子機器の動作について説明する。
まず、キャラクター出力回路30が表示すべきキャラクターの画像データを出力すると、フィルター50は、キャラクター出力回路30により出力されたキャラクターに対して移動速度Mvに応じた輪郭強調処理を施して画像データ出力回路60に供給する。
画像データ出力回路60は、輪郭強調処理が施されたキャラクターを1フレーム期間毎に移動速度Mvで規定される移動量だけ下方向に移動させた画像データを、1フレーム期間毎に生成するとともに、当該画像データをデータ信号Vsに変換して、表示制御回路20の制御にしたがいYドライバー130およびXドライバー140の動作に合わせてデータ信号Vsを出力する。
【0021】
詳細には、1フレーム期間の最初において、表示制御回路20が、Yドライバー130に1行目の走査線112を選択させるとき、画像データ出力回路60に対して、1行目の1列目から最終列までの画素110に対応するデータ信号Vsを順番に出力するように指示するとともに、Xドライバー140に対して、当該データ信号Vsを1列目から最終列目までのデータ線114に順番にサンプリングするように制御する。1行目の走査線112が選択されていると、当該1行目の薄膜トランジスターがオン状態になり、データ線114にサンプリングされたデータ信号がオン状態にある薄膜トランジスターを介して液晶素子の一端に印加されるので、1行目の液晶素子はそれぞれデータ信号の電圧に応じた透過率となる。
同様な動作が2行目から最終行目までの走査線112に対応して順番に実行される結果、表示パネル100では、1フレーム期間で画像1コマ分が表示されることになる。
次のフレーム期間では、キャラクターが移動速度Mvで規定される移動量だけ下方向に移動させた画像の1コマ分が表示されるとともに、このような動作が1フレーム毎に実行されるので、表示パネル100では、キャラクターが移動速度Mvで下方向に移動するように表示されることになる。
【0022】
本実施形態では、速度指定部40によって指定された移動速度Mvが大きくなるにつれて、例えば図5、図6および図7に示されるように、キャラクターの輪郭が下方向移動に対応して強く強調される。
詳細には、移動速度Mvが比較的小さいときには、図5に示されるように輪郭強調の度合いが弱いが、移動速度Mvが中程度であるときには、図6に示されるように輪郭強調の度合いが強くなり、移動速度Mvが比較的大きいとき中程度であるときは、図7に示されるように、輪郭強調の度合いがさらに強くなる。
なお、図5、図6および図7は、それぞれ画像データ出力回路により生成される画像の一例を抜き出して示す図であり、実際には、「7」の下に「5」、「7」の上に「8」のようにそれぞれ連続した数字等が3桁独立して表示される。また、これらの図における「7」は、輪郭強調を簡略化して示す概念図であり、実際に輪郭強調処理を施した図ではない。
【0023】
本実施形態では、速度指定部40によって指定された移動速度Mvに応じて、ぼやけを低減させる輪郭強調処理をキャラクターに施すので、動きのある領域を検出するためのフレームメモリーや前後フレーム期間での差分を求める構成などが不要である。このため本実施形態に係る表示装置によれば、装置の複雑化・高コスト化を招くことなく、ぼやけ感を低減することが可能となる。
【0024】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図8は、第2実施形態に係る表示装置を含む電子機器の構成を示すブロック図である。
図8に示す電子機器が図1に示した第1実施形態と相違する部分は、背景画像出力部70を有する点にある。この背景画像出力部70は、例えば図9に示されるような静止画を、動きを与えるキャラクターの背景画像として出力するものである。
第3実施形態において、画像データ出力回路60は、当該静止画を背景として、輪郭強調処理が施されたキャラクターを1フレーム期間毎に移動速度Mvで規定される移動量だけ移動方向に移動させて、合成する。
【0025】
これにより、第2実施形態では、表示パネルにおいて、例えば図10に示されるように、当該静止画を背景として、移動速度Mvに応じて、ぼやけを低減させる輪郭強調処理が施されたキャラクターが合成されて表示される。このため、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、装置の複雑化・高コスト化を招くことなく、ぼやけ感を低減することが可能となる。
【0026】
なお、背景画像出力部70から出力される静止画を背景としてキャラクターが移動する場合に、当該キャラクターの輪郭部分は、当該キャラクターを構成する画素と当該静止画の画素との輝度差で規定されることになる。このため、キャラクターと静止画との合成像に輪郭強調処理を施しても良い。ただし、フィルター処理の負荷が大きくなるので、第2実施形態のように、キャラクターのみに輪郭強調処理を施して静止画と合成した方が好ましい。
【0027】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態に係る表示装置を含む電子機器の構成を示すブロック図である。
図11に示す電子機器が図8に示した第2実施形態と相違する部分は、キャラクター出力回路30に代えて、記憶回路80を有する点にある。この記憶回路80は、表示すべきキャラクターの全種類に対して、想定される移動速度Mvの各々に応じた輪郭強調処理を施したデータを予め記憶するものである。例えば、想定される移動速度Mvが、移動速度小の3ppf(pixel per frame)、移動速度中の7ppf、および、移動速度大の15ppfの3種類であるとき、キャラクターの「7」についていえば、静止状態の輪郭強調を施さないデータに加えて、図12に示されるように、これらの3種類の移動速度Mvに応じて輪郭強調を施したデータが記憶される。「7」以外のキャラクターについても、輪郭強調を施さないデータに加えて、3種類の移動速度Mvに応じて輪郭強調を施したデータがそれぞれ記憶される。
第3実施形態において、画像データ出力回路60は、記憶回路80から、指定された移動速度Mvに応じて輪郭強調を施されたキャラクターのデータを読み出すとともに、背景画像出力部70による静止画を背景として、輪郭強調処理が施されたキャラクターを1フレーム期間毎に移動速度Mvで規定される移動量だけ移動方向に移動させて、合成する。
【0028】
したがって、第3実施形態では、フィルター50が不要であるので、第2実施形態と比較して、構成を簡易化した上で、ぼやけ感を低減することが可能となる。
なお、第3実施形態では、想定される移動速度Mvの各々に応じて輪郭強調処理を施したキャラクターのデータを予め記憶するとしたが、例えば、想定される移動速度Mvの範囲を複数に区分するとともに、各区分に応じて輪郭強調処理を施したキャラクターのデータを予め記憶する構成としても良い。
【0029】
<実施形態の応用・変形>
上述した実施形態では、表示パネルで移動表示させるキャラクターを、数字やアルファベットなどの記号としたが、絵文字や図像などであっても良い。なお、絵文字や図形などを構成する画素の階調値は、記号と比べると多く、また、分散している。このため、絵文字や図形に対する輪郭強調処理にあっては、オーバーシュート量Osおよびアンダーシュート量Usを、記号と自然画との間となるように設定すれば良い。
【0030】
また、画像データ出力回路60は、データ信号Vsを出力して、Xドライバー140が1列目から最終列目までのデータ線114に順番にサンプリングする構成としたが、画像データ出力回路60が、選択走査線に位置する画素1行分の画像データを出力し、Xドライバー140が、当該画像データをアナログのデータ信号に変換して、対応するデータ線に、走査線の選択に合わせて出力する構成としても良い。
【0031】
画素110については透過型に限られず、反射型であっても良いし、透過型および反射型の両者を組み合わせた、いわゆる半透過半反射型としても良い。また、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の3画素で1ドットを構成して、カラー表示を行うようにしても良い。
さらに表示パネル100については液晶素子に限られず、例えば有機EL素子などのようにホールド型であれば、いかなる素子も適用可能である。
また、電子機器についても、遊技機に限られず、キャラクターに対して指定された移動速度で動画表示させる装置であれば、いかなる機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態に係る表示装置を適用した電子機器の構成を示す図である。
【図2】同表示装置におけるフィルターの構成を示すブロック図である。
【図3】フィルター処理を示す図である。
【図4】動画表示におけるぼやけを説明するための図である。
【図5】同表示装置における画像データの一例を示す図である。
【図6】同表示装置における画像データの一例を示す図である。
【図7】同表示装置における画像データの一例を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る表示装置を適用した電子機器の構成を示す図である。
【図9】同表示装置における背景画像の一例である。
【図10】同表示装置における画像データ(合成像)の一例を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る表示装置を適用した電子機器の構成を示す図である。
【図12】同表示装置における記憶回路に記憶されるキャラクターの例である。
【符号の説明】
【0033】
1…電子機器、10…表示装置、20…表示制御回路、30…キャラクター出力回路、
40…速度指定部、50…フィルター、60…画像データ出力回路、100…表示パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動速度が指定されたキャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施すフィルターと、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画像データ出力回路は、前記フィルター処理が施されたキャラクターを所定の背景画像に合成した画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
ぼやけを低減させるフィルター処理が、所定の背景画像に対して予め定められた移動速度毎に施されたキャラクターを記憶する記憶回路と、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを、指定された移動速度に対応して前記記憶回路から読み出すとともに、
当該読み出したキャラクターを前記移動速度で移動させて、前記背景画像に合成した画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
表示すべきキャラクターの移動速度を指定する速度指定部と、
前記キャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施すフィルターと、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
移動速度が指定されたキャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施し、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成し、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する
ことを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項1】
移動速度が指定されたキャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施すフィルターと、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画像データ出力回路は、前記フィルター処理が施されたキャラクターを所定の背景画像に合成した画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
ぼやけを低減させるフィルター処理が、所定の背景画像に対して予め定められた移動速度毎に施されたキャラクターを記憶する記憶回路と、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを、指定された移動速度に対応して前記記憶回路から読み出すとともに、
当該読み出したキャラクターを前記移動速度で移動させて、前記背景画像に合成した画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
表示すべきキャラクターの移動速度を指定する速度指定部と、
前記キャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施すフィルターと、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成する画像データ出力回路と、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する表示パネルと、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
移動速度が指定されたキャラクターに、ぼやけを低減させるフィルター処理を、前記移動速度に応じて施し、
前記フィルター処理が施されたキャラクターを前記移動速度で移動させた画像を、予め定められた期間毎に生成し、
前記画像データ出力回路により生成された画像を、前記期間毎に表示する
ことを特徴とする表示装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−145510(P2010−145510A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319840(P2008−319840)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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