説明

表示装置、液晶表示パネルおよび動作プログラム

【課題】通常表示動作モードと秘匿表示動作モード間を切り替え可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】空間光変調により画像を表示する液晶表示パネル100と、液晶表示パネル100を用いて表示される画像が広視野角から視認可能な第1モードによる第1配置と液晶表示パネル100を用いて表示される画像が狭視野角のみから視認可能な第2モードによる第2配置との間で液晶を切り替える回路を配備し、パブリックおよびプライベートモードの面内切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置に用いられる液晶表示パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータと併用されるモニタ、電話および携帯情報機器に内蔵されたスクリーンなどの電子表示装置は、通常、できるだけ多くの位置からディスプレイの表示内容を視認できるように、可能な限り視野角を広くする設計がなされている。
【0003】
しかしながら、ある狭い角度範囲からのみの表示を視認可能とする方が、便利な状況もある。例えば、混雑した場所において、携帯機器に表示された機密文書または個人的分恣意を読んでいる場合、表示された文書が周囲の人に見られる危険性はできるだけ抑えたい。
【0004】
したがって、2つの動作モード間で切り替え可能なディスプレイがあると便利である。「パブリック」モードでは、通常使用のために、ディスプレイは広視野角で動作する。「プライベート」モードでは、公共の場においても個人的な情報を読めるように、ディスプレイは狭視野角で動作する。
【0005】
例えば、特定の安全なウェブページ(例えば銀行のウェブページ)にアクセスしたとき、または特定のPIN(暗証番号)(例えば銀行口座の暗証番号)をキーボードに入力したときに、ディスプレイは自動的にプライベートモードに切り替わる。プライベートモードでは、画面上にインジケータまたはアイコンが表示されて、プライベートモードが有効であることが示される。
【0006】
この構想は、ユーザが秘密情報を視認するために用いるさまざまな装置に適用できるが、視認する人を管理することはできない。この種の装置の例としては、携帯電話、携帯態情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、現金自動預入支払機、および電子販売時点情報管理(EPoS)装置などが挙げられる。
【0007】
表示を視認可能な角度または位置の範囲を制限する数多くの装置が知られている。
【0008】
米国特許第6,552,850号には、現金引出機に個人情報を表示する方法が記載されている。現金引出機のディスプレイが発する光は、一定の偏光状態にある。現金引出機とそのユーザ(user)は、シート偏光子(sheet polariser)の大画面に囲まれる。通行人は、ユーザおよび現金引出機を見ることができるが、画面上に表示された情報を見ることができない。
【0009】
光の方向を制御する方法としては、「ルーバー」フィルムを使用したものがある。このフィルムは、透明な層と不透明な層とが交互に配置されてなり、構造的にベネチアンブラインドと似ている。これらの透明層および不透明層は、フィルムの表面に直交していてもよいし、フィルムの表面に対し、ある角度をなしていてもよい。ベネチアンブラインドと同じく、ルーバーフィルムは、光が層の表面とほぼ平行に進む場合は光を透過させるが、層の表面に広い角度で入射する場合は吸収する。このようなフィルムの生成方法は、USRE27,617、米国特許第4,766,023号、および米国特許第4,764,410号に記載されている。
【0010】
ルーバーフィルムに似た特性をもつフィルムの生成方法は他にもあり、例えば、米国特許第5,147,716号および米国特許第5,528,319号に記載されている。
【0011】
上記の技術は、表示の視認可能な角度の範囲を制限するのに用いられてもよい。換言すれば、表示を「プライベート」にするのに用いられてもよい。しかし、上記のいずれの技術によっても、プライバシー機能から、広角度範囲で視認できる状態に、簡単に切り替える方法が見出されていない。
【0012】
(広視野角による)パブリックモードと、(狭視野角による)プライベートモードとの切り替えを可能とした装置を提供する方法は、いくつか知られている。
【0013】
米国特許出願公開第2002/0158967号には、光制御フィルムの使用が記載されている。この光制御フィルムは、ディスプレイの前面を移動してプライベートモードとしたり、表示の背部または側部のホルダ内に機械的に引き込まれてパブリックモードとしたりできるように、ディスプレイに搭載されている。この構成は、故障するか、あるいは破損のおそれのある可動部品を含んでおり、さらにディスプレイがかさばるという不都合がある。
【0014】
可動部品を使用せず、パブリックモードからプライベートモードに切り替える方法として、光制御フィルムを表示パネルの背部に実装し、光制御フィルムとパネルの間に電子的に切り替え可能な拡散板を配置する方法がある。拡散板がオフ状態のとき、光制御フィルムは視野角の範囲を制限し、ディスプレイはプライベートモードとなる。拡散板がオン状態のとき、光は広い角度にわたって進み、パネルを透過し、ディスプレイはパブリックモードとなる。光制御フィルムをパネルの前面に実装し、切り替え可能な拡散板を光制御フィルムの前面に配置しても、同様の効果が得られる。
【0015】
切り替え可能なこの種のプライバシー装置(privacy device)は、米国特許第5,831,698号、米国特許第6,211,930号、および米国特許第5,877,829号に記載されている。これらの装置に共通にみられる欠点として、表示がパブリックモードまたはプライベートモードのいずれであるに関わらず、光制御フィルムが入射する光の大部分を吸収してしまうことがある。それゆえ、この表示では光の利用効率が悪い。パブリックモード時には、光は拡散板によって広い角度にわたって拡散されるため、バックライトを補正して輝度を上げない限り、プライベートモード時よりもパブリックモード時の方が暗い表示となる。
【0016】
この種の装置には、消費電力に関わる欠点もある。パブリックモードでの動作中、拡散板はオフ状態である。これは、切り替え可能なポリマ散布液晶拡散板に電圧が印加されることを意味していることが多い。したがって、プライベートモード時よりもパブリックモード時の方が、電力消費が多くなる。このことは、ほとんどの時間をパブリックモードで使用するディスプレイには欠点である。
【0017】
パブリック・プライベート切り替え型ディスプレイを提供する方法として、米国特許第5,825,436号には、よく知られた別の方法が開示されている。この光制御装置は、上述のルーバーフィルムと構造的には似ている。しかし、ルーバーフィルムにおける不透明な各素子は、不透明な状態から透明な状態に電子的に切り替わる液晶セルによって置き換えられる。この光制御装置は、表示パネルの前部または背部に配置されており、セルが不透明である場合はプライベートモードの表示に、セルが透明である場合はパブリックモードの表示になる。
【0018】
この方法は、液晶セルを適切な形状に製造する難しさと、その費用に問題がある。また、プライベートモード時においては、光束がまず透明材を通過するようにある角度で入射し、その後液晶セルの一部を通過する。このような光束は液晶セルによって完全には吸収されず、表示のプライバシー保護機能を損なうこともある。
【0019】
パブリック・プライベート切り替え型表示装置の製造方法として、特許第3607272号に別の方法が開示されている。この装置は、液晶パネルとしてさらに、液晶の配向がパターン化されたパネルを付加して使用している。パネルにおいて異なる配向が施された区画によって、それぞれ別の方法で、異なる表示領域の視認特性を変更する。その結果、表示パネル全体が、中心位置からのみ、完全に読み取り可能となる。
【0020】
英国特許出願公開第2405544号および特開2005−078093号公報には、ルーバーの動作に基づいて切り替え可能なプライバシー装置について記載されている。このルーバーは、光の偏光だけに応じて動作する。ルーバーのオン・オフの切り替えは、そのルーバーそのものにおける着色液晶分子、または、別の素子を用いて入射光の偏光面を回転させることによって行われる。
【0021】
視認角度がパブリックモードとプライベートモードとで切り替えが可能な表示装置に用いられるバックライトについて、英国特許出願公開第2410116号(国際公開第2005/071449号)には、さまざまな形態が開示されている。この文献には、さらに、この分野において知られる装置や技術についても記載されている。
【0022】
切り替え可能なプライバシー装置については、英国特許出願公開第2413394号(米国特許出願公開第2005/0243265号)に、表示パネルに1つ以上の液晶層と偏光子をさらに付加した構成が開示されている。これらの付加された素子が内的にもつ視野角依存性は、液晶を電気的に切り替えることによって変化させることができる。
【0023】
米国特許出願公開第2003/0146893号には、偏光修正層(PML)が開示されている。このPMLは、液晶表示パネルの出射側偏光子の背部に配置され、部分的に透明になっている。ある部分では、その部を介して視認される画素の色が反転するように(明るい画素は暗く、暗い画素は明るくなるように)、透過する光の偏光が変わる。この部分のすぐ背部にある画素に送られるデータは反転され、表示を中央の位置から視認する場合に正常な画像の表示を可能にしている。しかし、異なる方角から表示を視認する場合、遅延板を介して異なる画素を視認するため、画像が正常に表示されない。例えば、軸外にいる視聴者は、ランダムドットパターンのような錯乱した画像を視認することになる。このPMLは液晶から作られ、オフ状態でパブリックモードとするものであってもよい。
【0024】
英国特許出願公開第2418518号には、パターン化された電極を備えたゲストホスト(着色)液晶層を、標準的なTFT液晶ディスプレイに付加した装置が開示されている。着色液晶層は、吸収(プライベート)状態と非吸収(パブリック)状態とで切り替えられる。着色分子の吸収は、光の入射角と偏光に依存する。所定の偏光および配向を得るために、この着色の吸収は視野角が大きいほど増大し、その結果、狭角度(狭モード)で低輝度となる。
【0025】
英国特許出願0510422.9号には、プライバシー機能と3次元機能との組み合わせが開示されている。この3次元機能は、1つの切替セルを付加することにより実現される。このディスプレイには、広モード、プライベートモード、および3次元モードの、3つの動作状態がある。この出願には、パターン化された液晶配向およびパターン化されていない液晶配向の両方について、例示がなされている。
【0026】
プライバシー機能を設けるためにホログラムを使用するという概念は、英国特許出願公開第2404991号(米国特許出願公開第2005/0063029号)に初めて記載された。しかし、ディスプレイからの光がホログラムにより不要に散乱するため、視認される画像の色に影響を与えてしまう。さらに、表示装置の前面に実装されたタッチスクリーンを用いたものとしては、ホログラムによる光の照射をユーザの手で遮ることにより、プライベートモードの効率を下げることができる。
【0027】
英国特許出願第0511536.5号には、さらに付加した液晶層の使用が開示されている。この液晶層はLCDパネルの偏光子間に位置し、そのため、付加した切り替えセルによって、軸外の光の階調カーブを修正することが可能となっている。その結果、例えば、英国特許出願公開第2413394号(米国特許出願公開第2005/0243265号)に開示されている技術と比べ、画像のプライバシーをより高い水準で保護することが可能となる。
【0028】
米国特許第5,109,219号には、デジタル視角パラメータを、アナログバイアス電圧に変換して液晶に印加することにより、液晶ディスプレイの視野角を制御する方法が記載されている。しかし、この技術は表示装置の視野角特性を変更するだけで、広角度にわたる画像を隠すことはできない。
【0029】
米国特許第5,936,596号および特開2002−263235号公報(米国特許出願公開第2006/0126156)には、液晶ディスプレイにおいて、画素に印加する電圧の範囲を変えることにより視野角を変えることが記載されている。ルックアップテーブルを使用し、狭視野角モードと広視野角モードとで表示が切り替えられる。しかし、狭モード時において、画像を歪ませるために階調マッピングを変更するだけで、この方法では、表示された情報を隠すことはない。
【0030】
M. Dogruel, “A Method for Concealment of Displayed Data”, Displays, vol. 24, no. 3, October 2003には、人の目によって視認できる速度より速いレートで、画像とその反転画像を連続的に表示することにより、ディスプレイ上の表示データを隠す方法が記載されている。通常、何気ない観察者の目は、画像を平均化してしまうので、一様に灰色の表示画面を見ることになる。ユーザがプライベート画像を見るためには、表示に同期して閉じるシャッター式眼鏡を着用することにより、反転画像を遮らなければならない。この方法には、いくつもの欠点がある。まず、ユーザは、正しい画像を観察するためには、眼鏡を着用しなければならない。第2に、ディスプレイの画面にわたり歯状の物体を動かすことにより、無効にする画像を部分的に隠すため、画像のプライバシー保護が損なわれることになる。第3に、2つの画像を完全に無効にすることは難しいため、ゴースト画像が観察されることになる。この論文には、第3の画像を付加して画像を区別のつかない状態にすることについても述べられている。しかし、このためには、ディスプレイは通常の映像速度の3倍の速度で動作しなければならない。
【0031】
Rocket Software(有)(http://www.rocketsoftware.com)は、液晶表示ディスプレイの固有特性を利用することにより、あるレベルのプライバシーを提供するソフトウェアを開発した。このソフトウェアは、画像全体を特別なターニングを施すことにより、ディスプレイに送信される画像を修正し、画像の階調またはコントラストを低下させるものである。ディスプレイがもつ非線形応答性により、画像は軸上で観察される場合はわずかに乱れるが、軸外で観察される場合はコントラストのパターニングが強調される。しかしながら、この方法では、軸上での表示性能にある程度の影響が及ぶことは避けらず、また、プライベートモードで表示装置を使用する場合、認可されたユーザにも乱れたパターンが視認されることになる。実際、パターニングは、軸外のプライバシーについては十分なレベルを設けることには不足している。
【0032】
国際公開第03/015424号には、受動型複屈折レンズと切り替え可能な偏光子とを備えた光切替装置が開示されている。偏光子の切り替えにより、光はさまざまな方向に出射され、拡散される。しかし、このレンズは、この状態においては、光が結像する角を区別しない。
【0033】
米国特許第6,369,949号には、光学的に異方性のあるマイクロレンズウィンドウが開示されている。この特許に開示された画像形成素子は切り替え可能ではない。このため、この技術を利用した装置は、パブリックモードとプライベートモードとの切り替えを行えない。
【0034】
英国特許出願公開第2410339号には、偏光光学変換システムにおいて、複数列に配列された、偏光高感度レンズの使用が開示されている。
【0035】
特開平09−230377号公報および米国特許第5,844,640号には、1つの層からなるLCDパネルの視野角特性を変更する方法が記載されている。この方法は、垂直配向型ネマティック(VAN)液晶モードにより実現される。表示パネルの面内における電界を利用することにより、画素領域の液晶材料の傾斜が制御される。一画素内で、異なる方向に傾斜するドメインの数は、面内電界によって制御することができる。複数の傾斜ドメインを有する画素は広視野角を備え、1つの傾斜ドメインを有する画素は狭視野角を備える。しかし、VANモードにおいて1つの傾斜ドメインを有する視野角は、一般に、良好なプライベートモードを得るには十分狭くない。
【0036】
特許第3405972号には、パターン化されたLC配向を用いて狭視野角モードのLCDを提供する単一の液晶パネルが開示されている。しかしながら、この狭視野角モードが固定されているので、広視野角モードは存在しない。
【特許文献1】USRE27,617
【特許文献2】米国特許第4,766,023号
【特許文献3】米国特許第4,764,410号
【特許文献4】米国特許第5,147,716号
【特許文献5】米国特許第5,528,319号
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0158967号
【特許文献7】米国特許第5,831,698号
【特許文献8】米国特許第6,211,930号
【特許文献9】米国特許第5,877,829号
【特許文献10】米国特許第5,825,436号
【特許文献11】英国特許出願公開第2405544号
【特許文献12】特開2005−078093号公報
【特許文献13】国際公開第2005/071449号
【特許文献14】米国特許出願公開第2005/0243265号
【特許文献15】米国特許出願公開第2003/0146893号
【特許文献16】英国特許出願公開第2418518号
【特許文献17】英国特許出願0510422.9号
【特許文献18】米国特許出願公開第2005/0063029号
【特許文献19】英国特許出願第0511536.5号
【特許文献20】米国特許第5,109,219号
【特許文献21】米国特許第5,936,596号
【特許文献22】特開2002−263235号公報
【特許文献23】国際公開第03/015424号
【特許文献24】米国特許第6,369,949号
【特許文献25】英国特許出願公開第2410339号
【特許文献26】特開平09−230377号公報
【特許文献27】米国特許第5,844,640号
【特許文献28】特許第3405972号
【特許文献29】欧州特許出願公開第0856164号
【特許文献30】米国特許第6,549,255号
【非特許文献1】M. Dogruel, “A Method for Concealment of Displayed Data”, Displays, vol. 24, no. 3, October 2003
【非特許文献2】Kim et al., “Surface alignment bistability of nematic liquid crystals by orientationally frustrated surface patterns”, Applied Physics Letters, Vol 78, Is 20 (2001) 3055
【非特許文献3】“Controllable alignment of nematic liquid crystals around microscopic posts: Stabilization of multiple states” Applied Physics Letters, Vol 80, Is 19 (2002) 3635
【非特許文献4】“Color and Light in Nature”, D. Lynch & W Livingston, Cambridge University Press, 1995
【非特許文献5】Kitson and Geisow, “Controllable alignment of nematic liquid crystals around microscopic posts: Stabilization of multiple states”Applied Physics Letters, Vol 80, Is 19 (2002) 3635
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の第1の表示装置は、空間光変調により画像を表示する液晶表示パネルと、当該液晶パネルを用いて表示される画像が広視野角から視認可能な第1モードによる第1配置と上記液晶パネルを用いて表示される画像が狭視野角のみから視認可能な第2モードによる第2配置との間で液晶を切り替える回路とを備えている。
【0038】
液晶の上記第2配置によって、狭角度範囲外に位置する観察者が視認する画像上で画像撹乱パターンが見えてもよい。
【0039】
上記第1配置における液晶が表示装置の全体にわたり単一の液晶配列を形成してもよい。
【0040】
上記第1配置における液晶がそれぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列を有する複数の水平方向の領域を形成してもよい。
【0041】
上記第1配置による領域は観察者に解像できないサイズであってもよい。
【0042】
上記第2配置における液晶が、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列を有する複数の水平方向の領域を形成してもよい。
【0043】
上記第2配置による領域は観察者に解像できるサイズであってもよい。
【0044】
上記第2配置による領域は、上記液晶パネルの画素における水平方向の寸法よりも少なくとも2倍の水平方向の寸法を有していてもよい。
【0045】
上記第2配置による領域は、上記液晶パネルの画素における水平方向の寸法よりも少なくとも5倍の水平方向の寸法を有していてもよい。
【0046】
上記第2配置による領域は、上記液晶パネルの画素における水平方向の側面寸法よりも少なくとも10倍の水平方向の寸法を有していてもよい。
【0047】
同じかまたは同様の液晶配列を有する上記第2配置による領域は、所定の状態で空間的に配置されていてもよい。
【0048】
同じかまたは同様の液晶配置を有する上記第2配置による領域は、空間的な格子縞模様、文字パターン、またはロゴを形成するように空間的に配置されていてもよい。
【0049】
上記回路は上記第2配置に液晶を切り替える複数の面内電極を有していてもよい。
【0050】
少なくとも各第2配置による領域における各辺に配置される電極を有していてもよい。
【0051】
各第2配置による領域内に配置された3つ以上の面内電極を有していてもよい。
【0052】
上記第1配置における液晶は、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配置を有する複数の水平方向の領域を有し、上記面内電極は、少なくとも2つの異なる配列を形成するための少なくとも2つの異なる配向を有するようにパターン化されていてもよい。
【0053】
上記電極が、上記液晶パネルの画素を切り替える電極として、上記液晶パネルの同じ辺に配置されていてもよい。
【0054】
隣接する上記領域が異なる液晶配列を有するように配置されていてもよい。
【0055】
上記少なくとも2つの液晶配列はそれぞれ異なる略均一の液晶配向を有する液晶からなっていてもよい。上記少なくとも2つの液晶配列は所定の軸に対して略対称に配置される1組以上の配向を含んでいてもよい。
【0056】
上記所定の軸は狭視野角の範囲内に位置していてもよい。
【0057】
上記少なくとも2つの異なる液晶配列はそれぞれ異なる角度透過関数を有していてもよい。
【0058】
上記角度透過関数が、狭視野角の範囲内に位置する軸に対して非対称であってもよい。
【0059】
上記第2配置における液晶は、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列のうち1つを有する水平方向の領域を含み、上記第2配置用の角度透過関数は、狭視野角の範囲内ではいずれの視野角においても略同等であり、狭視野角の範囲外では視野角毎に異なっていてもよい。
【0060】
上記第1配置による領域は、観察者に解像できないサイズであり、上記第1配置用の角度透過関数は、少なくとも広視野角の一部を滑らかに変化する平均透過関数を得るように、第1モードにおいて観察者により空間平均化されていてもよい。
【0061】
上記第1および第2配置は、垂直配向ネマティック構成であってもよい。
【0062】
上記第1および第2配置は、双安定あるいは多安定液晶状態であり、上記回路はこれらの状態間で液晶を切り替えるのに用いられていてもよい。
【0063】
上記双安定または多安定液晶状態を生成する配向層を有していてもよい。
【0064】
上記第1配置は連続した風車形状に配列された配置であってもよい。
【0065】
画像が複数の画像要素で表現される表示装置であって、観察者に対する第1データ値/輝度応答性を有する表示パネルを用いる第1シナリオにおいて修正後の画像が表示される場合、空間平均化を通じて観察者に知覚される画像が原画像と略同じになるように画像要素における少なくともいくつかの画像要素のデータ値を修正し、第1データ値/輝度応答性とは異なる第2データ値/輝度応答性を有する表示パネルを用いる第2シナリオにおいて修正後の画像が表示される場合、空間平均化を通じて観察者に知覚される画像が原画像と異なるように画像要素における少なくともいくつかの画像要素のデータ値を修正する手段を備え、液晶の上記第1および第2配置が、狭視野角の範囲外の視野角に対してそれぞれ実質的に第1および第2データ値/輝度応答性を表示パネルに与え、狭視野角の範囲内の視野角に対して実質的に第1データ値/輝度応答性を上記表示パネルに与えるように配置されていてもよい。
【0066】
上記第2データ値/輝度応答性は、略非線形データ値/輝度応答性であってもよい。
【0067】
第1データ値/輝度応答性は、略線形データ値/輝度応答性であってもよい。
【0068】
上記第1配置における液晶は、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列のうち1つを有する複数の水平方向の領域を含み、上記第1配置による領域は、狭角度の範囲外の角度で進む光が、異なる液晶配列を有する少なくとも2つの領域を通過して第1データ値/輝度応答性を有するように適応されていてもよい。
【0069】
上記第2配置における液晶は、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列のうち1つを有する複数の水平方向の領域を含み、上記第2配置による領域は、狭角度の範囲外の角度で進む光が、異なる液晶配列を有する少なくとも2つの領域を通過して第2データ値/輝度応答性を有するように適応されていてもよい。
【0070】
上記第1および第2配置はツイステッドネマティック配置であってもよい。
【0071】
上記第1および第2配置を生成する、少なくとも1つのパターン化された配向層を有していてもよい。
【0072】
上記回路は、液晶を上記第1および第2配置に切り替えるように、少なくとも1つのパターン化された配向層の配向特性を変える電界を印加可能であってもよい。
【0073】
上記回路は、液晶を上記第1および第2配置に切り替えるように、液晶の全体および液晶の面内、または液晶の全体もしくは液晶の面内に電界を印加可能であってもよい。
【0074】
上記回路は弱電界を印加可能であってもよい。
【0075】
原画像が上記第2シナリオにおいて知覚される画像に実質的に隠されていてもよい。
【0076】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値がマスキング画像に基づいて修正されていてもよい。
【0077】
各データ値が、マスキング画像の対応する位置におけるデータ値に基づいて修正されていてもよい。
【0078】
上記第2シナリオにおいて知覚される画像は、少なくともある程度マスキング画像に似ていてもよい。
【0079】
原画像が上記第2シナリオにおいて知覚される画像に実質的に隠され、上記マスキング画像は、上記第2シナリオにおいて高度の視認撹乱情報を与えもよい。
【0080】
上記マスキング画像は、格子縞模様、文字パターン、またはロゴを含んでいてもよい。
【0081】
異なるマスキング画像が異なる期間で用いられていてもよい。
【0082】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値がマスキングパラメータに基づいて修正されていてもよい。
【0083】
修正の度合いは、少なくとも一部は、上記マスキングパラメータによって決定されていてもよい。
【0084】
修正しない状態での画像要素の全体輝度と略同じの全体輝度を有するように、空間平均化を通じて上記第1シナリオにおいて知覚される表示画像要素の局在グループが知覚されるように、上記データ値が修正されていてもよい。
【0085】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値が、マスキング画像に基づいて修正され、グループにおける各画像要素に対する修正の度合いは、該画像要素に対応するマスキング画像中の位置におけるデータ値に基づいて決定されていてもよい。
【0086】
上記グループに対して修正がなされる場合、当該グループにおける少なくとも1つの画像要素のデータ値を増加させ、他の画像要素のデータ値を減少させてもよい。
【0087】
上記増加の量は上記減少の量と略同じであってもよい。
【0088】
上記減少の量に比例する上記増加の量は、上記第1データ値/輝度応答性に基づいて決定されていてもよい。
【0089】
増加および減少用に指定された画像要素は異なる期間に交換されていてもよい。
【0090】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値は、マスキング画像に基づいて修正され、グループにおける各画像要素に対する修正の度合いは、上記画像要素に対応するマスキング画像中の位置におけるデータ値に基づいて決定され、少なくとも1つの画像要素に関して、個々の画像要素に対応するマスキング画像データ値に比例する量が、画像要素データ値に加えられ、少なくとも他の1つの画像要素に関して、個々の画像要素に対応するマスキング画像データ値に比例する量が、画像要素データ値から減じられてもよい。
【0091】
上記量が対応するマスキング画像データ値と等しくてもよい。
【0092】
上記量が画像データ値と最大または最小データ値の近い方との差に基づいて決定されてもよい。
【0093】
上記量が対応するマスキング画像データ値で乗算される差に比例してもよい。
【0094】
各グループは2つの画像要素からなっていてもよい。
【0095】
上記画像要素のうち少なくともいくつかの画像要素のデータ値がグループにおいて平均化されてもよい。
【0096】
上記マスキング画像要素のうち少なくともいくつかのマスキング画像要素のデータ値が、グループにおいて平均化されてもよい。
【0097】
対応する修正後の画像要素が画像において行として配置されていてもよい。
【0098】
対応する修正後の画像要素が画像において列として配置されていてもよい。
【0099】
対応する修正後の画像要素が、格子縞模様、文字パターン、またはロゴの状態で配置されていてもよい。
【0100】
修正後のデータ値が許容されるデータ値の通常範囲から外れないことを確実にしてもよい。
【0101】
上記データ値の少なくともいくつかは、マスキング画像に基づいて修正され、グループにおける個々の画像要素に対する修正の度合いは、上記画像要素に対応するマスキング画像中の位置におけるデータ値に基づいて決定され、画像のデータ値の範囲は修正前に圧縮されていてもよい。
【0102】
マスキング画像のデータ値の範囲は修正前に圧縮されてもよい。
【0103】
画像のサブ部分における画像要素のデータ値が修正されてもよい。
【0104】
個々の画像要素は、表示装置の画素に対応する複数の色要素に関係してもよい。
【0105】
個々の画像要素は、表示装置のサブ画素に対応する1つの色要素に関係してもよい。
【0106】
観察者は、表示装置から少なくとも所定の距離に位置していてもよい。
【0107】
上記回路は、上記第1および第2配置をそれぞれ実現するため、上記第1および第2モードにおいて、それぞれ異なる第1および第2形態で電界を印加するように上記表示パネルを動作させてもよい。
【0108】
上記回路は、上記第1および第2モードにおける印加電界強度のそれぞれ異なる範囲を用いて上記表示パネルを動作させてもよい。
【0109】
上記回路は、上記第1および第2モードにおける印加電界強度のそれぞれ異なる方向を用いて上記表示パネルを動作させてもよい。
【0110】
上記回路は、上記第1モードにおいて面内切り替えを行い、上記第2モードにおいて電気制御複屈折切り替えを用いて上記表示パネルを動作させてもよい。
【0111】
上記回路は、上記面内切り替えを行う電極の第1セットと上記電気制御複屈折切り替えを行う第2セットとを有していてもよい。
【0112】
上記第1セットの電極は、実質的に上記表示パネルの面内に電界を印加するために、上記表示パネルの同じ辺に配置されていてもよい。
【0113】
上記第2セットの電極は、上記表示パネルの全体に電界を印加するために、上記表示パネルの互いに対向する辺に配置されていてもよい。
【0114】
上記表示パネルは領域の第1セットと第2セットとを有し、上記回路は領域の第1セットと第2セットに電界をそれぞれ第1形態および第2形態で印加されてもよい。
【0115】
表示装置における各画素は、上記第1セットからの領域と第2セットからの領域とを有していてもよい。
【0116】
上記回路は、狭視野角の範囲外に位置する観察者に対する画像撹乱パターンを生成するために、上記第2モードにおいて、第1形態により画素を動作させ、第2形態により他の画素を動作させてもよい。
【0117】
表示装置の各画素は、それぞれ上記第1および第2配置を有する液晶を含む第1および第2領域からなっていてもよい。
【0118】
上記回路は、狭視野角の範囲外の観察者に対する画像撹乱パターンを生成するために、上記第1領域を用いる画素と上記第2領域を用いる他の画素とを動作させる第2モードで動作可能であってもよい。
【0119】
上記回路は、少なくとも2つの異なる液晶配列を生成するために、異なる駆動電圧範囲を用いる第2モードで動作し、上記液晶配列は、各駆動電圧範囲から選ばれる異なる電圧について、狭視野角の範囲内の観察者に略同じ透過性を示し、上記選ばれた電圧について、狭視野角の範囲外の観察者にそれぞれ異なる透過性を示していてもよい。
【0120】
上記駆動電圧範囲の1つめは、狭視野角の範囲内の観察者に対する画像表示に適した透過性・電圧関数を有し、上記駆動電圧範囲の2つめは、狭視野角の範囲外の観察者に対する画像表示に適さない透過性・電圧関数を有していてもよい。
【0121】
上記駆動電圧範囲の2つめは、当該範囲の少なくともほとんどの部分に印加される電圧について、略一定かつ低透過性を狭視野角の範囲外の観察者に示してもよい。
【0122】
上記駆動電圧範囲の2つめは、当該範囲の少なくともほとんどの部分に印加される電圧について、略一定かつ高透過性を狭視野角の範囲外の観察者に示してもよい。
【0123】
上記回路は、上記表示パネル全体にわたり略均一な液晶配列を生成するために、各水平方向の領域に対する駆動電圧範囲における最初の1つのみを用いる第1モードにおいて動作してもよい。
【0124】
上記回路は、少なくとも2つの異なる液晶配列を生成するために、それぞれ異なる接地電極電圧構成を用いる第2モードにおいて動作し、上記液晶配列は、異なる電圧構成について、狭視野角の範囲内の観察者に略同じ透過性を示し、上記電圧について、狭視野角の範囲外の観察者にそれぞれ異なる透過性を示してもよい。
【0125】
上記回路によって、上記第1および第2液晶配列が互いに傾斜していてもよい。
【0126】
上記回路はパターン化された電極を有していてもよい。
【0127】
本発明の第2の表示装置は、空間光変調によって画像を表示する表示装置において使用される液晶表示パネルにおいて、上記液晶表示パネルが当該液晶表示パネル中の液晶に関して、上記液晶表示パネルを用いて画像を表示する第1モードにおける第1配置と、上記液晶表示パネルを用いて表示された画像を、実質的に狭視野角の範囲のみからしか視認できない第2モードにおける第2配置とを切り替える。
【0128】
本発明の動作プログラムは、装置に搭載されると、第1の表示装置として上記装置を機能させる動作プログラム。
【0129】
上記動作プログラムはキャリア媒体に格納されていてもよい。当該キャリア媒体は透過性媒体であってもよい。上記キャリア媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0130】
図1は、本発明の第1実施形態における、液晶表示パネル100を備える表示装置を示す。液晶表示パネル100は、液晶材料105の層を間に挟む対向電極101,103を用いて、空間光変調で画像を表示する。電極103はセグメント化されており、これにより、一画素中で液晶を2つ以上の配向に切り替えることができる。一画素中において、セグメント化電極103の全ての領域に、同じ電圧が印加される。2つ以上の配向の領域が、一画素中に複数あることが望ましい。配向の切替は、セグメント化電極103の端部で生成される弱電界によって制御される。弱電界は、電極表面の突起などによって生成されてもよい。
【0131】
以下で詳述するように、液晶表示パネル100は、さらに、面内電極として回路107を含み、これによって液晶105を、第1(パブリック,広)モードの第1配置C1と第2(プライベート,狭)モードの第2配置C2との間で切り替える。第1配置C1では、パネル100が表示する画像を、視野角内の広い範囲の観察者が視認できる。一方、第2配置C2では、パネル100が表示する画像を、視野角内の狭い範囲の観察者のみが視認できる。図1に示すように、第1実施形態の表示装置は、1つの液晶表示パネル100のみを有する。本実施形態において、2つの動作モードの切換は、パネル100以外の光学部品や層を設けなくても実現可能である。
【0132】
図1の左部分は、第1(広)動作モードの第1配置C1の好適な一例を示す。この例の第1配置C1は、一画素内において、それぞれ違った液晶配向の2つ以上の領域あるいは範囲(以降領域と称する)を有する。図示されているのは4つのそれぞれ異なる領域R1〜R4である。領域R1とR3とは第1液晶構成を有し、領域R2とR4とは、第1液晶構成とは異なる第2液晶構成を有する。図1において、1つの画素はこれら4つの領域R1〜R4からなる。
【0133】
第1配置では、液晶は略均等な第1液晶配向を有し、一方、第2配置では、液晶は、第1液晶配向とは異なる、略均等な第2液晶構成を有する。第1配向と第2配向とは組になっている。また、第1配向と第2配向とは表示パネル100の法線に関して略対称である。図1の例では、第1液晶配向は、2ドメイン垂直配向ネマチック(VAN)構成である。
【0134】
第1(広)モードにおいて、面内電極107は、液晶層105の略面内に電界を形成するために用いられる。これを実現するために、電圧V2を、隣接する面内電極107を通じて印加する。電圧V2は、通常電圧V1より低い。これらの面内電界が、セグメント化電極103からの弱電界の効果を上回り、図1の右側に示されるように、より大きな面積を持つ領域R5、R6を有する第2配置C2に、液晶層を切り替える。領域R5とR6とはそれぞれ異なる液晶配列を有するが、2種類の、互いに異なっており、それぞれ略一様な液晶配向を有する。2種類の互いに異なった配向は、表示パネル100に関して略対称に配置されている。
【0135】
第2(狭)モードの領域R5,R6は、観察者が解像するのに充分な大きさを持ち、例えば1ミリ角の大きさであって、通常画素よりもずっと大きい。よって、以下でさらに詳しく記述するように、領域R5,R6の効果は、軸外に位置する観察者からもはっきりと視認できる(一方、該領域の効果は軸上の観察者からは視認できない)。第2(狭)モードの領域R5、R6は、第2(狭)モードにおいて、軸外の観察者に対して領域下の画像が不鮮明になるようなパターンを生じさせるべく、設けられている。そのようなパターンの一例は格子縞模様であるが、これ以外に適切なパターンが用いられてもよい。
【0136】
第1実施形態の機能を図2を用いてさらに説明する。図2の曲線1は、パネルに垂直な方向について測定された、単一VAN領域の視野角、つまり、単一液晶配向の視野角の関数としての透過率を示す。斜め透過率は、液晶分子の軸外配向により、軸上方向について非対称となっている。
【0137】
曲線1が、領域R1で示される液晶配向を有する領域での斜め透過率を示し、領域R2の液晶配向を有する領域の斜め透過率も曲線1と同じだが、縦軸において反射が行われているとする。
【0138】
上記のように、第1(広)モードでは、隣接する領域同士、例えば図1の領域R1,R2は、観察者から視認できない。これら領域R1,R2が視認不可であることから、観察者は、全ての視野角において、2つの領域R1,R2の透過率の平均値を見ることになる。図2の曲線2はこの場合の角度透過率関数を示す。該透過率関数は、許容範囲内における視野角の全体にわたって変化する、図2の曲線2で表される。
【0139】
上記のように、第2(狭)モードにおいて、VAN領域R5,R6の大きさは次のようになる。すなわち、2つのドメインの平均ではなく、特定の視野角における2つの領域の透過率の差を、観察者がドメインを区別できるパターンとして視認する。この透過率の差は視野角に対応して増加する。
【0140】
表示パネル100の垂線に関して液晶配向が対称であることにより、軸線方向に見たときに領域R5とR6とが同じ透過率を示すので、軸線方向の観察者には、領域の違いは視認されない。画像は、液晶層105にスイッチング電圧V1を印加する通常の方法によって、表示される。
【0141】
垂直方向からそれると、領域R5,R6は同じ印加電圧に対して異なった透過率を示す。よって、軸外の観察者は、異なった明るさのパターンとしてVAN領域のパターンを見ることになり、該パターンが下にある画像を不明瞭にする。第2(プライベート)モードにおける、2つの領域のコントラストが図2の曲線3で示される。曲線3が示しているのは、各視野角における、隣り合う領域R5,R6の透過率の差である。
【0142】
このように、本発明の第1実施形態では、付加的な層を設けることなく液晶層105自体をスイッチングすることにより、良好なプライバシー保護機能が実現される。
【0143】
上記の液晶層105の電界を用いたスイッチングに代えて、あるいはそれとともに、配向層もスイッチングされることで、広/狭モードを実現してもよい。配向のスイッチングする方法の1つとして、Kim et al., “Surface alignment bistability of nematic liquid crystals by orientationally frustrated surface patterns”, Applied Physics Letters, Vol 78, Is 20 (2001) 3055が記載する、配向層の極細パターニングを用いる方法がある。この他に、微細周期構造からなる配向層を用いる方法が、欧州特許出願公開第0856164号や、“Controllable alignment of nematic liquid crystals around microscopic posts: Stabilization of multiple states” Applied Physics Letters, Vol 80, Is 19 (2002) 3635に記載されている。該微細周期構造により、さらに、双安定または多安定の液晶配向が実現できる。さらに他の方法として、米国特許第6,549,255号は、配向特性が印加される電界によって切り替わる、高分子配向層を用いることを記載している。
【0144】
本発明の第2実施形態も、図3ないし図12を参照して以下に記述するように、パブリックモードとプライベートモードとの切り替えに、面内液晶切換方法を利用する。
【0145】
図3は、本発明の第2実施形態を説明するために用いる、画像表示システム1を示すブロック図である。画像表示システム1は、画像処理装置10と、画像コントローラ20と、表示装置30とを有する。表示装置30は、表示パネル32と非線形部材34とを有する。第2実施形態の液晶表示パネル200は図4に示されており、下記に示すように、図3の表示パネル32と非線形部材34とに代わるものである。図3において、表示装置30の表示パネル32に、原画像Iが表示される。該原画像Iは複数の画像要素によって表現されるが、該画像要素は、表示パネル32の画素あるいは副画素に対応する。原画像Iが表示装置30に直接表示される場合、該画像は、軸上である位置P1の観察者からも、軸外である位置P2の観察者からも、視認可能である。第1位置P1と第2位置P2とは、それぞれ第1観察領域R1と第2観察領域R2の中にある。
【0146】
本発明の第2実施形態では、表示装置30に対して位置P1に位置する第1観察者の見る画像は、原画像Iと略同じであり、一方、表示装置30に対して位置P2に位置する第2観察者の見る画像は、原画像Iと異なっている。このためにマスキング画像Mが用いられるが、このマスキング画像Mについては第2実施形態の第1例で説明する。
【0147】
図5ないし図9を参照して、第2実施形態の第1例の動作を説明する。図5は、第2実施形態の第1例において、画像処理装置10が行う動作を概観するフローチャートである。画像処理装置10が実行する工程の詳細について論じる前に、図6、7を参照して、本発明の実施形態の基礎をなす概念について、より一般的な形で説明する。
【0148】
観察者が、表示装置30の表示パネル32から所定の距離よりも遠く離れている場合、観察者は、表示されている各画素あるいは各画像要素を視認することができない。この場合の適切な観察者と表示装置との距離の見積もりについての指標は、“Color and Light in Nature”, D. Lynch & W Livingston, Cambridge University Press, 1995に記載されており、これによると、目の分解能は1アーク分が限界である。これを本実施形態にあてはめると、2つの画素または画像要素が、1アーク分未満の角度であることが望ましい。これは、あくまで指標であって、状況が違えば分解能も変わってくる。
【0149】
各画素または画像要素それぞれを視認する代わりに、人間の目は、表示された画像要素の局在的な集合を空間的に平均して、単一の総合的輝度を知覚する。画像要素の局在グループは、原画像中の画素要素とは必ずしも対応しない。これは、例えば、画素要素が、表示前に飛び越し走査されるあるいは他の方法で再配置されることによる。本発明の第2実施形態はこのことを、表示装置30のデータ値/輝度応答性(以下で説明)とともに利用する。
【0150】
図6(A)は、同じデータ値を持つ2つの画像要素を有する、上記のような局在グループを図示する。表示の前に、本発明の実施形態の画像処理装置10は、原データ値を互いに等しい新規データ値に分割して、画像要素のうちの一方のデータ値が、原データ値から分割量を引いた値と等しくなるようにし、他方の画像要素のデータ値が、元のデータ値に分割量を足した値と等しくなるようにする。
【0151】
線形のデータ値/輝度応答性を持つ表示装置で表示がなされると、観察者は局在グループの2つの修正後データ値を知覚して、修正なしの場合の画像要素と同じ全体輝度を得る。これは、表示装置の線形応答により、単一の原データ値が、2つの修正された画像要素の平均輝度と同じ輝度を表すからである。これについては図6(B)および図7(A)が図示している。
【0152】
一方、局在化グループの修正後の画像要素が、表示装置に対して所定の位置にいる観察者への非線形データ値/輝度応答性を有する画像装置に表示されるとき、それら画像要素の輝度は、観察者の目で空間的に平均化されることはなく、修正がなされていない画像要素と同じ輝度となる。代わりに、観察者は、単純な平均値から表示装置の非線形性に対応する量の分だけ変化した輝度を知覚する。この点については図7(B)および図6(C)に示されている。
【0153】
通常、液晶表示(LCD)装置の画素に印加されるスイッチング電圧は、軸上で観察する場合に、画素に送られるデータの変化が観察される輝度を比例的に変化させるように、補償される。しかし、パネル32の法線方向以外の角度でパネル32を通過する光は、液晶(LC)内を違う光路長で通過するため、その光に与えられる効果も異なってくる。この光路長の変化によって、画素データと軸外で観察される輝度との関係が非線形になる。
【0154】
このことにより、表示パネル32の略法線方向である第1位置P1に位置する観察者に対する、データ値/輝度応答性は、略線形となり、そのような観察者が知覚する画像は、空間的平均化の後、原画像と略同じになる。
【0155】
一方、表示パネル32に対して軸外の第2位置P2に位置する観察者に対する、データ値/輝度応答性は、非線形となり、そのような観察者が知覚する画像は、空間的平均化の後、原画像とは違うものになる。
【0156】
第1データ値/輝度応答性と第2データ値/輝度応答性との違いとして求められるものは、表示装置そのものの特性に固有である場合がある。しかし、表示装置によっては、液晶の非線形性を除去して、軸上と軸外の応答性を両方線形にすることで、補償を行うものもある。そのような装置に対しては、表示装置の観察特性を修正する図3に示す非線形部材34を用いて、軸外での非線形性を再導入してもよい。非線形部材34は、パターン化されていない単純な液晶層でよい。非線形部材34も切り替え可能であってよいが、これにより、非線形部材34を必要なときにのみ作動させることができる。しかし、軸上と軸外とでもともと異なる輝度応答性を有する表示装置は、性能向上が見込まれるにしても、非線形部材34を必ずしも必要としない。
【0157】
上記とは別の方法であって、本発明の第2実施形態でとられる方法では、液晶パネル自体が2つの動作モードの間で切り替えられるようになっており、一方のモードでは表示装置は一定の輝度応答性を有し、もう1つのモードでは表示装置は観察者P2に対して非線形輝度応答性を有する。このようにして同じ効果が得られるが、非線形部材34をさらに追加する必要はない。本発明の第2実施形態におけるパネル内切換によって、軸外での非線形データ値/輝度応答性を、上記の同時係属出願が開示する方法において用いることができるようにする。さて、以下で第2実施形態の表示パネルを、図4を参照してさらに詳しく説明する。
【0158】
図4において、第1配置C1は4ドメイン(4領域)ツイステッドネマティック(TN)構成であり、4つの領域R11〜R14が図示されている。領域R11〜R14はそれぞれ異なるTN構成を有し、それぞれ他の構成と比較して90度配向が異なっている。
【0159】
第2配置C2は、2ドメイン(2領域)ツイステッドネマティック(TN)構成であり、2つの領域R15,R16が図示されている。領域R15は領域R11,R12と同じ場所を占めており、領域R16は領域R13,R14と同じ場所を占めている。領域R15のTN構成は、領域R16のTN構成と比べて、配向が180度異なっている。
【0160】
4領域液晶配置C1は、液晶配向に、例えばマルチラビングまたは光配向によりパターニングを施すことによって作られる。第1(広)モードにおいて、4領域の平均輝度は、斜めの透過光に対して線形のデータ値/輝度応答性を有する。このモードでは、光が、それぞれ異なった液晶構成を有する4領域全てを通過する。各領域について、傾斜した角度で進む光の透過率が線形のデータ値/輝度応答性を持つ方向と、傾斜した角度で進む光の透過率が非線形のデータ値/輝度応答性を持つ、他の方向とがある、しかし、4領域の透過光が平均化されることで、全体としてのデータ値/輝度応答性は、全ての方向について略線形となる。
【0161】
第2(狭)モードでは、配向は2領域TN配置C2に切り替えられ、各領域は、水平観察平面(紙面に対して法線方向で、紙面の上端と下端とに平行な平面)において、データ値/輝度応答性が斜めの透過光について非線形になるように、配向される。このモードでは、領域R15とR16の両方は、斜めに走行する光の透過率が非線形のデータ値/輝度応答性を持つ方向が、水平観察平面上にあるように構成される。よって、2つの領域の応答性の平均である、全体的なデータ値/輝度応答性は、非線形となる。このモードが上記同時係属出願が開示する画像処理方法と組み合わされると、良好なプライバシー保護機能が実現される。
【0162】
配向のスイッチングする方法の1つとして、Kim et al., “Surface alignment bistability of nematic liquid crystals by orientationally frustrated surface patterns”, Applied Physics Letters, Vol 78, Is 20 (2001) 3055に記載された、配向層の極細パターニングを用いる方法がある。この他に、微細周期構造かなる配向層を用いる方法が、欧州特許出願公開第第0856164号や、Kitson and Geisow, “Controllable alignment of nematic liquid crystals around microscopic posts: Stabilization of multiple states” Applied Physics Letters, Vol 80, Is 19 (2002) 3635に記載されている。該微細周期構造により、さらに、双安定または多安定の液晶配向が実現できる。さらに他の方法として、米国特許第6,549,255号は、配向特性が印加される電界によって切り替わる、高分子配向層を用いることを記載している。
【0163】
上記の実施形態に示す配向層の切換に代わってまたは加えて、液晶層は、電界によって広観察モードと狭観察モードとの間で切り替えられてもよい。例として、電界を液晶層全体にわたり印加する、電界を液晶層の平面に印加する、あるいは弱電界をパターン化された電極から印加する。
【0164】
第2実施形態の第1例の動作を、図5、図8および図9を参照してさらに詳しく説明する。
【0165】
原画像I中の画像要素は、通常0から255の範囲のいずれかの値をとる。これにより、図6を参照して説明した、最小あるいは最大データ値に近いデータ値の分割により、潜在的に、修正されたデータ値が通常のデータ値の許容範囲をはずれてしまう可能性がある。これを阻止するために、第2実施形態の第1例のステップS1では、原画像Iは倍率が変更されてデータ値が中央に移動され、これによって該原画像Iは新規の圧縮されたデータ値を得る。これについては図8の上半分で示している。ステップS2では、マスキング画像Mのデータ値範囲が倍率変更されて、最小データ値が0となり最大データ値が倍率変更された原画像の最小値と等しくなる。これについては、図8の下半分で示している。
【0166】
図9は、倍率変更された原画像Iと倍率変更されたマスキング画像Mの例を示す断面図である。任意の地点におけるマスキング画像のデータ値は、倍率変更された原画像Iの対応する部分における画像要素についての分割のレベルを決定するために用いられる。分割のレベルは、マスキング像Mの倍率変更データ値に比例し、倍率変更原画像Iの隣接する画像要素が、倍率変更マスキング画像Mによって決定される分割レベルによって、それぞれ増加、減少させられる。図9の右半分は、倍率変更された原画像Iとマスキング画像Mとの組を図示し、マスキング画像Mが最大である部分にて分割の度合いが最大になる。
【0167】
第2実施形態の第1例において、分割量は、まず、倍率変更マスキング画像Mのデータ値の半分をステップS3で反転し、次に、ステップS4で、ステップS3で得られたデータ値のパターンを倍率変更原画像Iに加えることで、倍率変更原画像Iに対してそれぞれ加えられ、差し引かれる。こうして生成された画像が、ステップS5にて、観察者に観察される。軸上に位置する観察者は、倍率変更原画像と略同じである、空間的平均化後の画像を知覚することになり、一方、軸外のP2に位置する観察者は、原画像と異なっており、少なくともある程度はマスキング画像Mに似ている画像を知覚する。良好なプライベートモードを実現するためには、マスキング画像は、軸外の観察者に対して視覚的にかなり分かりにくくさせるようなものであればよい。
【0168】
本発明の第2実施形態の第2例について、図10を参照して説明する。第2実施形態の第2例は、第1実施形態の第1例と同じく図3の装置を使用するため、ここでの説明は簡潔なものにとどめる。第2実施形態の第1例と第2例との相違点は、原画像Iとマスキング画像Mとが倍率変更・合成される方法にある。第2実施形態の第1例では、データ値の範囲が狭くなるような原画像Iの倍率変更が、画像のコントラストの低下を招いたが、第2実施形態の第2例で行われる方法では、原画像のコントラストは犠牲にならない。
【0169】
第2実施形態の第2例では、分割の度合いはある程度まで、特定の画像要素のデータ値が、どれくらい許容されるデータ値範囲における最も近い端から離れているかによって、決定される。上記範囲の中心のデータ値を有する画像要素が最も多く分割され、一方0または255に近い画像要素が最も少なく分割される。範囲の両端の値を持つ画像要素は全く分割されない。これにより、修正後のデータ値が、供されたデータ値の範囲から出ることがなくなる。
【0170】
よって、第2実施形態の第2例では、原データ値と最大または最小データ値のいずれか近い方との差が計算され、これによって分割の最大レベルが効果的に設定される。これについては図10の上半分に図示されている。
【0171】
次に、原画像Iと結合される倍率変更後のマスキング画像Mを各画像要素が生成できるような分割の最大レベルに基づいて、マスキング画像Mの倍率変更が行われる。実際の結合は、第2実施形態の第1例に示したものと同様に行われる。
【0172】
このため、第2実施形態の第2例における全体的な過程は、第1実施形態の第1例の過程と類似している。図5を参照すると、第2実施形態の第2例ではステップS1が設けられておらず、ステップS2におけるマスキング画像Mの倍率変更は、上記のように図10にしたがって上記のように行われる。第2実施形態の第1例と比較すると、第2実施形態の第2例では、図形を含む画像に対して強い効果を及ぼすが、一方、飽和した画素はほとんどまたは全く分割されないため、完全に白黒の文字に関しては第2実施形態の第2例はほとんど効果をもたらさない。
【0173】
上にあるいは下に分割されるなど、対応する修正を施された画像要素は、図11(A)に示すように、表示装置30の行に対応するように配置されてもよい。この他に、画像要素は、列に対応するように配置されてもよく、図11(B)にあるように格子縞模様に対応するように配置されてもよい。図11(A)および図11(B)に示す構成によって、各画像要素は3つの別々のRGB色成分を有し、各色成分はデータ値によって表される。画像要素の各データ値も同様にして修正される。
【0174】
上記とは別に、各画像要素が3つの別々のRGB色成分を有するとき、各色成分は独立して扱われて、同じ画像要素の別の色成分データ値が、それぞれ異なって分割されてもよい。この構成の一例が図11(C)に示される。
【0175】
このほかにも、原画像Iとマスキング画像Mとを結合される方法は考えられる。例えば、第2実施形態の第1例のように、原画像Iのコントラストを減少させる一方、圧縮された現画像Iの値を中央に移動させるのではなく、非対称な圧縮と分割を行うようにしてもよい。これにより、明領域または暗領域のコントラストが優先的に保持されることになり、マスキング画像Mは第2実施形態の第1例と同様に圧縮されるが、同時に該画像Mは、修正されたデータ値が許容されたデータ値の範囲を超えないように、原画像に基づいて倍率変更される。これ以外の方法も当業者にとっては自明であり、また、上記方法のいかなる組み合わせも利用可能である。
【0176】
一般的に、表示装置30の軸上輝度応答性は線形だと考えられるが、データ値の均等な分割は、観察者は原画像と略同じ空間的平均化後の画像を見ることになるので、実際の軸上輝度応答性が非線形である場合、これを考慮することによって分割は容易に補償され、軸上の観察者はやはり原画像と略同じ空間的平均化後の画像を見ることになる。
【0177】
マスキング画像Mは、用途によってどんな種類のものでも使用することができる。例えば、マスキング画像は、カラーまたは白黒の格子縞模様であってもよく、あるいは、パブリック/プライベートモード用のランダムなノイズであってもよい。マスキング画像は、特定の種類の表示装置、または特定位置にある観察者に対してのみ表示される、ロゴ、画像、文字、あるいはその他の形態の情報を含んでいてもよい。動画のマスキング画像も用いることができる。
【0178】
1つのグループ内の画像要素、例えば図6(A)ないし図6(C)に示される2つの画像要素は、マスキング画像に追加する前、およびマスキング画像から差し引く前に、平均化することができる。あるいは、同じ値を用いると考えてもよい。表示画像に対して位置合わせをしていないマスキング画像は、マスキング画像Mの対応するデータ値に応じ、異なる量で局在グループ内の画像要素を分割することもある。1つのグループ内の画像要素の両方、あるいはすべてに対し、同じ程度の分割値を加えることにより、マスキング画像データ値を平均化することもできる。また、ともに平均化される画像要素の数は、2つ以上であってもよい。図6を参照して説明した上記例では、画像要素はペアとして考えられているが、画像要素の局在グループに、画像要素はいくつあってもよい。ただ、画像要素の局在グループが、軸上にある観察者によって視認されなければならない。これは、画像要素を修正せず、全体輝度が略同じととなるように空間平均化することによって行われる。空間的に平均化された画素は順次反転される。この結果、ある1フレーム内で、画素にはマスキング画像が追加され、それに続くタイムフレームでは、マスキング画像は差し引かれる(時間的に前後するタイムフレームで反転は同等に行われる)。
【0179】
上記第2の実施形態では、表示された画像要素の局在グループについて述べているものの、この概念は適切な空間平均化を行うことに有用だが、必ずしも画像要素を個別のグループ単位で処理することを意味しない。画像要素に対して、グループ化することなく、修正の適切な大域パターンによって、局在的な空間的平均化がなされてもよい(例えば図11(A)ないし図11(C)参照)。
【0180】
マスキング画像は、滑らかに変化するデータ値を有することが望ましい。これは、急激な変化が、ある状況において軸上で認識された画像に軽微な影響を与えることがあるからである。図12は、マスキング画像の急激な変化が、どのような副作用を知覚された画像にもたらすかを示している。この副作用は、第2実施形態の方法を適切に修正することで相殺できる。例えば、処理前の段階でマスキング画像に変更を加えて上記副作用をなくすまたは減少させる、あるいはマスキング画像を結合するためのアルゴリズムを変更して上記副作用をなくすまたは減少させる、などである。
【0181】
要約すると、第2実施形態の表示装置は、空間光変調によって画像を表示する液晶表示パネルと、パネル内の液晶を、パネルに表示される画像を視野角の広い範囲で観察可能にする第1(パブリック)モードの第1配置と、パネルに表示される画像を視野角のほぼ狭い範囲のみで観察可能にする第2(プライベート)モードの第2配置との間で切り替える、回路とを有する。第2配置の液晶は、上記狭い範囲の外の観察者が視認する画像に画像撹乱パターンが見えるように構成されている。第1配置の液晶は、少なくとも2つの異なる液晶構成のうちの1つをそれぞれ持つ、複数の水平方向の領域を有する。第1配置の領域は、観察者によって解像されない大きさを有する。第2配置の液晶は、少なくとも2つの異なる液晶構成のうちの1つをそれぞれ持つ複数の水平方向の領域か、あるいは1つの領域を有する。第2配置の液晶は、視野角の狭い範囲については線形のデータ値/輝度応答性を有し、視野角の狭い範囲の外については非線形のデータ値/輝度応答性を有する、表示パネルのために設けられている。第1配置の領域は、狭視野角外の角度で走行する光が、異なる構成を有する少なくとも2つの領域を通過して、略線形のデータ値/輝度応答性を有するように、設けられる。第2配置の領域は、狭視野角外の角度で走行する光が、略非線形のデータ値/輝度応答性を有するように、設けられる。
【0182】
上記のように、本発明の第2実施形態の第1例において、隣接するデータ値を修正して、線形に(軸上で)表示装置を見た場合、画像が人間の目によって原画像と同じように見えるように空間的平均化が行われ、非線形に(軸外で)表示装置を見た場合、分割レベルの要素を用いるように、画像を生成する。分割のレベルが画像内で第2画像と比例した割合で変化する場合、軸外では原画像と第2画像とがともに視認できる。第2画像とは、上記のマスキング画像Mである。マスキング画像Mが、格子縞模様や企業のロゴなどの撹乱パターンを有する場合、軸外の観察者に対しては、原画像はほぼ隠される。これによってプライベートモードが実現され、軸上の観察者は覗き見されることなく原画像を見ることができる。
【0183】
本発明の第2実施形態は、視野角制限を可能にする電子的切換方法を提供する。許可されていない観察者をさらにかく乱するための動画など、用途に合ったマスキング画像を使用することができる。第2実施形態では、公知技術のようにシヤッター式眼鏡を使用する必要がなく、表示装置の全体または一部分に利用することができる。両方の平面について非線形性があれば、プライバシー機能が水平方向と垂直方向の両方で達成できる。プライバシー保護のレベルと範囲は、表示されるコンテンツによって異なり、分割のレベルを変更することで、視野角制限の度合いの変更も可能である。本発明の実施形態により、視野角制限の切換を行うための低コストな切換システムが実現できる。
【0184】
第2実施形態の画像処理部は、ハードウェアでもソフトウェアでも、あるいはそれらの組み合わせでも実現できる。第2実施形態を実行するための動作プラグラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録されてもよい。また、本発明を具現する動作プログラムはコンピュータが読取可能な記録媒体に記録される必要はなく、例えば、インターネットからダウンロード可能なデータ信号などの信号に具現化されていてもよい。以下のことを特徴とする請求項は、動作プログラムそのもの、搬送波による記録、信号、その他の形式をも包含するものである。
【0185】
第2実施形態の画像処理技術は、プライベートモードの効果を向上すべく、本発明における他のいかなる実施形態とも組み合わせて利用可能である。この点について、本発明の各実施形態の表示パネルは、少なくともある程度まで、プライベートモードに対して少なくとも多少はプラスになるような画像処理方法において要求される、非線形特性を有している。
【0186】
図13は、本発明の第3実施形態において、液晶表示パネル300を有する表示装置を示す。第3実施形態では、液晶表示の第1(広)モードは、第1組の(面内)電極307,308を用いて、液晶層305を液晶層と平行な電界で切り替えることで実現される。このような面内切換(IPS)は、視野角が広いことで知られている。第1(広)動作モードの配置C1が、図13の上半分の、1つの液晶面内切換セルの平面図に示されている。
【0187】
第2(狭)動作モードは、第2組の電極301,303を用いて液晶の全体にわたり電界を印加して液晶層305を切り替える(電気制御複屈折切換あるいはECB切換)ことで、実現される。面外で液晶層305を切り替えることで、狭視野角が得られる。第2(狭)動作モードの配置C2は、1つの液晶ECB切換セルの側面図である、図13の下半分で示されている。
【0188】
これとは別に、本発明の実施形態における第1(広)観察モードと第2(狭)観察モードとは、液晶パネルの2つの異なる電圧範囲で駆動することによっても実現できる。このような構成に好適な装置が図15に示され、これに関する視野角特性が図17に示される。
【0189】
第4実施形態を、図14(A)ないし図17を参照して説明する。本実施形態では、切換可能なプライバシー設定が、図14(A)と図14(B)で範囲A,Bとして示される2種類の電圧範囲を有する、LCモードを用いて実現される。範囲A,Bは、軸上では類似した階調変化を示すが、図14(A)と図14(B)で範囲Aとして示される単一の電圧範囲は、軸外でも通常の階調変化を示す。パブリックモードでは、軸上(図14(A))でも軸外(図14(B))でも通常の階調変化を示す電圧範囲Aが用いられ、全ての視野角にて質の高い画像が観察できる。プライベートモードでは、第1電圧範囲Aを用いて軸上で(図14(A))所望の階調を実現する画素と、第2電圧範囲Bを用いて軸上で(図14(A))同じ階調を実現する画素とがある。第1電圧範囲Aを用いる画素は、軸上でも軸外でも通常の状態で視認される(例では、図14(A)と図14(B)それぞれの右側に示される画素で、電圧範囲Aと矢印でつながれている)。一方、第2電圧範囲Bを用いる画素は、軸外では通常の状態では視認されない(図14(B)の右側に示される画素で、電圧範囲Bと矢印でつながれている)。第1電圧範囲Aと第2電圧範囲Bとを用いる画素をパターニングすることで、軸外では画像撹乱パターンが見えることになる(図14(B)の右側の画像例参照)。
【0190】
このような階調応答の例を図14(A)と図14(B)が示している。軸上の各階調(図14(A))において、二種類の電圧が使われる。しかし、これら二種類の電圧は、軸外では同じ階調を表さない(図14(B))。第1電圧範囲Aと第2電圧範囲Bとを用いる画素をパターニングすることで、軸外では画像撹乱パターンが見えることになる(図14(B))。軸上の視野角では、電圧範囲A、Bとも同じ階調を示すので、該パターンは視認されない。
【0191】
したがって、第4実施形態において、2つの電圧範囲が軸上における同様の階調を達成するのに用いられ、1つの電圧範囲は軸外における通常階調変化をもたらし、もう1つの電圧範囲は軸外における異常階調をもたらすものである。第1電圧範囲内のみでパネルを駆動すると、全ての角度において良好な視野が実現できる。第2電圧範囲においてパネルを駆動すると、軸外に異常視野が発生する。軸外における異常視野によって軸外の観察者が視認する画像を撹乱するパターンを生成するように第1および第2電圧範囲を用いる画素をパターニングすると、プライバシーの保護がより好適に確保できる。
【0192】
以下に、図18(A)および図18(B)を参照して、本発明の第5実施形態を説明する。第五実施形態において、第2配置(プライベートモード)における液晶配向の数や特徴は、第1配置(パブリックモード)に修正を加えたもので、第2配置(プライベートモード)で表示される画像は、第1配置(パブリックモード)よりも狭い視野角範囲で視認可能である。液晶領域の配向数の切り替えは、面内電界を用いることにより行われる。
【0193】
ここで採用される液晶モードは、連続風車配向(CPA)モードである。当該モードにおいて、電圧無印加時には液晶分子が垂直に配向する。略均一の電界が印加されると、画素の端部における弱電界とともに電極表面のリベット突起によって、突起の対向する辺において対称的に傾き合う液晶配向の組が生成される。これらの配向の組は、液晶層に対して法線方向から観察した時、連続した「風車」構造となるように配置される。連続風車液晶配向の平均によって、全ての方位角方向における本質的に広い視野角を得ることができる。この第1配置を図18(A)に示す。以下に説明するように、電極はセグメント化されるが、略均一な電界を達成するために、略同じ電圧が電極の各セグメントに印加される。図18(B)に示すように、第2(狭)視野角構成は、電極をパターニングし、異なる電極セグメントに異なる電圧を印加することによって生成される。パターン化された電極は、実質的に液晶層の面内においてさらなる電界を生成する。これらの面内電界は、液晶配向における突起の影響を受けず、配向数を減少させる。例えば、図18(B)に示される例において、配向数は2まで減少される。上記2つの液晶配向の平均によって、ある方位角方向に対する広視野角と、他の方位角方向に対する狭視野角が得られる。
【0194】
したがって、第1(広)視野角構成において、パターン化された電極は、所定の画素内で略同じ電圧に設定され、上記突起は、連続風車液晶配向を生成する。第2(狭)視野角構成において、液晶配向の数や特徴を修正するために、隣接する面内電極間に電圧を印加する。
【0195】
面内電極セグメントにおける配向は、観察者に視認可能なほどの充分な倍率で領域ごとに生成することができる。特定の方位角方向については、これらのうちいくつかの領域は広視野角を有し、他の領域は狭視野角を有する。したがって、軸外の観察者は、異なる明度のパターンとしてこれらの異なる領域を認識する。この画像撹乱パターンは、その下にある画像を見えなくする。
【0196】
パターン化された面内電極セグメントが、薄膜トランジスタ(TFT)電極ではなく、画素用接地電極を構成する。この場合、増加電圧マイナスΔVは、面内電極のうち半分に印加することができ、プラスΔVは、面内電極の残り半分に印加することができる。この増加電圧は、面内電界を生成するが、ゼロボルト(接地)での液晶層の1辺における平均電圧はそのまま残す。1つの増加電圧ΔVは、第1(広)視野角構成から第2(狭)視野角構成への切り替えを行うために、パネル全体にわたる全ての面内電極に印加することができる。両構成の切り替えを行うのに、さらにTFTを追加する必要はない。
【0197】
液晶配向の数や特徴を修正するのに必要な面内電極セグメントにおけるピッチは、液晶モードに応じて変化する。上記ピッチは、液晶層の層厚と略等しい状態から、各画素に対して2つの面内電極セグメントしかない状態へと変化する。各画素に対して2つの面内電極が設けられる場合、これらは画素の端部に位置してもよいし、あるいは画素の光透過開口の外側に位置してもよい。一般的に、第1液晶構成を形成する傾向が強いほど、第2液晶構成への適切な切り替えに、1画素あたりにより多くの電極セグメントが必要となる。
【0198】
以下に、図19(A)、図19(B)および図20を参照して、本発明の第6実施形態を説明する。本実施形態において、周期的な微構造からなる配向層は、広視野角範囲を有する第1配置と狭視野角範囲を有する第2配置との切り替えを行うのに用いられる。
【0199】
格子配列ネマティック液晶セルには、周期的な微構造のため、ほぼ垂直配向の連続液晶ディレクタ構造と、ほぼ平面配向の“欠陥”構造とに切り替え可能な表面を有するものがある。これらの状態は双安定性で、両状態の切り替えは、ディレクタ領域における傾斜/屈曲領域に対してフレキソ電気状態で接続するDC電界パルスによって行われる。本実施形態において、連続風車配向(CPA)において用いられる表面によって、印加された高周波電界に基づいて画素中央に対する放射状ディレクタ配分が行われる通常の垂直配向VAN構造と、格子による優先配向方向が上記放射状配分を阻害するハイブリッド配向ネマティック(HAN)状構造との切り替えが行われる。これらはそれぞれ、図19(A)および図19(B)に示される。
【0200】
連続状態から欠陥状態への切り替わりにおいてDCパルスが必要となるので、階調制御を行うのに、ASV画素で用いられる通常のAC印加電界が使用できる。連続状態における放射状ディレクタは、全方位に対して本質的に広視野角を与える。一方、2つの“HAN状”液晶配向は、ある方位角方向に対して広視野角を与え、他の方位角方向に対して狭視野角を与える。周期的微構造の配向は、観察者が視認し得るのに充分な倍率で領域にパターニングできる。特定の方位角方向に関しては、上記領域のうちのいくつかは広視野角を有し、他の領域は狭視野角を有する。それゆえ、軸外の観察者は、異なる明度のパターンとして異なる領域を視認することとなる。
【0201】
中央の“リベット”突起とともに放射状ディレクタ配分を促進する、画素端部における弱電界は、欠陥状態において有効となる。このため、欠陥状態において、より直線的なディレクタ配向への切り替えが阻害されるおそれがある。その結果、上記セルの下方基板における電極領域は、可視領域からこれらの弱電界効果を除去するために、画素における光透過開口を超えて拡大してもよい。これは、視野角の限定をサポートするためにディスプレイが欠陥状態にある時にオンとなる、補助電極領域を設けることによって達成される。当該構成は図20に示す。
【0202】
以下に、図21を参照して、本発明の第7実施形態を説明する。第7実施形態において、ディスプレイは、それぞれが狭視野角LCモードを有する部分と、広視野角LCモードを有する部分に細分化される画素からなる。2つの異なるLCモード部分は、別々の列に配置されていてもよいし(図21を参照)、他の状態でパターニングされていてもよい(例えば、格子縞模様)。LCモードのうち1つは、本質的に広視野角特性を有し、もう一方は、本質的に狭視野角特性を有する。広視野角モードの例としては、面内切り替え(IPS)が挙げられ、狭視野角モードの例としては、電気制御複屈折(ECB)モードが挙げられ、第7実施形態は第3実施形態と同様のものと考えることができる(したがって、第3実施形態と第7実施形態との異なる部分のみを説明する)。広LCモードおよび狭LCモードが、図2に示す交互に並ぶ列に配置される場合、広・狭視野角サブ画素が各画素に対して設けられている。
【0203】
パブリックモードにおいては、広視野角LCモードを有する画素のみが動作するように表示パネルを操作してもよい。あるいは、広狭両視野モードの画素は、同時に操作してもよいので、軸上に位置するユーザーは、空間解像度の2倍の解像度で画像を視認できるという利点を得ることができる。プライベートモードにおいては、狭視野角LCモードを有する画素のみが動作するように表示パネルを操作してもよい。あるいは、ある領域では狭視野角LCモードを操作し、他の領域では広視野角LCモードを操作することによって、プライバシーパターンを生成する。軸外の観察者は、異なる明度のパターンとして異なる領域を視認することとなる。
【0204】
以下に、図22〜図25を参照して、本発明の第8実施形態を説明する。上記第4実施形態と同様の第8実施形態は、軸上における同様の階調と軸外における異なる階調を達成するために、2つの異なる電圧領域を用いる。
【0205】
連続風車配向(CPA)モード液晶ディスプレイ(LCD)について、放射状配分ディレクター構造が、画素中央の上部セル表面における突起“リベット”と、下方基板における正方形の電極領域からの弱電界とによっって誘発される。下方基板は、薄膜トランジスタ(TFT)アレイを有し、上方基板は、接地電極を有する。
【0206】
第8実施形態において、共通接地電極は、図22の平面図で示すように、それぞれが各サブ画素風車領域の1辺を覆う、2つのかみ合い電極に分割される。同等かつ反対のバイアス電圧は、サブ画素の各辺に印加される、すなわち、画像を表示するために各画素に印加される駆動電圧はサブ画素の半分について+ΔV分、残りの半分については−ΔV分で変換される。このように接地電極をパターニングする利点は、1つのバイアス電圧でΔVがパネル全体にわたる全ての電極に印加できるということである。また、画素においてさらなるTFTが必要となることもない。
【0207】
軸上CPA画素から観察した極めて直線的な階調(電圧/輝度)により、駆動電圧の増減はそれぞれ、その平均がゼロボルトのときの共通接地電極で観察される原輝度にほぼ等しい輝度を作り出す。したがって、変化はほとんど起こらず、知覚される画像にも変化は現れない。
【0208】
しかし、軸外の観察者にとっては、結果として現れる輝度は、観察者が増加電界を有するサブ画素側に位置するか、あるいは減少電界を有するサブ画素側に位置するか、ということに大きく依存する。電圧応答性におけるこのような非対称は図23に示されている。この非対称は、観察者に向かって、あるいは離間して傾斜する液晶ディレクタによるものである。
【0209】
それゆえ、印加されたバイアスによって、ディスプレイは一方から他方にかけて明るさを増すように見える。かみ合い電極が互い違いに配置され、ディスプレイのある部分では左側にかけて明るさが増し、右側にかけて暗さが増すように見せることができ、残りの領域ではその逆の効果を有する場合、どちら側の観察者に対しても画像撹乱パターンを生成することができ、ディスプレイ上の情報は、軸上の観察者以外の者には隠すことができる。互い違いの配置は、図24に示すようなものが考えられる。
【0210】
ディスプレイの片側に位置する観察者に対する、左側に偏ったサブ画素と右側に偏ったサブ画素との輝度差は、上記撹乱パターンの強さを決定するものである。これは、+/−バイアス電圧の範囲に関して、携帯電話のLCDと同様に、無色の円偏光子間のCPA型画素用に演算されていたものであり、図25に示す初期(バイアスを加えない)階調電圧に対する依存性を有するものであることが知られてきた。これにより、中間明度を有する画像を表示するので、プライバシーを最も好ましい状態で保護できることが分かる。
【0211】
上記各実施形態が特定の液晶構成を用いる動作に限定されないことは理解できるであろう。本発明の各実施形態は、以下の液晶ディスプレイのいずれにも適用可能である。すなわち、2あるいは4領域ツイステッドネマティック(TN)あるいはスーパーツイステッドネマティック(STN)、2あるいは4領域垂直配向ネマティック(VAN)およびツイステッド垂直配向ネマティック(TVAN)、2あるいは4領域ハイブリッド配向ネマティック(HAN)、マルチドメイン垂直配向(MVA),連続風車配向(CPA)に適用可能である。さらに、双安定ツイステッドネマティック(BTN)、双安定ハイブリッド配向ネマティック(BHAN),Zenthally双安定ネマティック(ZBN)および格子あるいは他の表面構造により実現される方位角双安定モードなど、本質的に双安定である液晶モードに適用可能である。その他の適切な液晶モードも当業者に利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明の表示装置は、例えば携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、電子的PoS(EPoS)キオスク、ノートパソコン、デスクトップモニタなどに搭載されるあらゆるタイプの表示装置に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すものであり、広視野モードおよび狭視野モードの動作時における表示パネルの側面図である。
【図2】第1の実施形態の動作を説明するためのチャートである。
【図3】第2の実施形態の動作を説明するのに用いられる表示装置を示すブロック図である。
【図4】広視野モードおよび狭視野モードの動作を示す、第2の実施形態において用いられる表示パネルの平面図である。
【図5】第2の実施形態の第1例に係る動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態のデータ値の変更を示す概略図である。
【図7】(A)は第2の実施形態におけるデータ値と輝度の直線的な関係を示すチャートであり、(B)は第2の実施形態におけるデータ値と輝度の非直線的な関係を示すチャートである。
【図8】第2の実施形態の第1例における、原画像およびマスキング画像の倍率変更を示すものである。
【図9】第2の実施形態の第1例における、原画像およびマスキング画像の合成を示すものである。
【図10】第2の実施形態の第2例おける、マスキング画像の倍率変更を示すものである。
【図11】(A)ないし(C)は第2の実施形態において用いられる、さまざまな修正データ値の配置を示すものである。
【図12】第2の実施形態における、マスキング画像上での急激な変化によって生じうる効果を示すものである。
【図13】本発明の第3の実施形態を示すものであり、広視野モードおよび狭視野モードの動作時における表示パネルの平面図および側面図である。
【図14】(A)および(B)は本発明の第4の実施形態の表示パネルについて軸上および軸外のそれぞれの階調応答性を示す概略図である。
【図15】第4の実施形態において用いられる表示パネルの構成を示す図である。
【図16】図15の表示パネルについての軸上および軸外の階調応答性を示すグラフである。
【図17】(A)および(B)は第4の実施形態において用いられる2つの電圧値範囲のそれぞれについての視野角依存性を示すものである。
【図18】(A)および(B)は本発明の第5の実施形態を示すものである。
【図19】(A)および(B)は本発明の第6の実施形態を示すものである。
【図20】第6実施形態における補助電極の使用について示すものである。
【図21】本発明の第7の実施形態を示すものである。
【図22】本発明の第8の実施形態を示すものである。
【図23】第8の実施形態の動作を示すものである。
【図24】本発明の第8の実施形態におけるパターン化された電極の千鳥配列を示すものである。
【図25】第8の実施形態における軸外に見られる輝度差を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光変調により画像を表示する液晶表示パネルと、当該液晶パネルを用いて表示される画像が広視野角から視認可能な第1モードによる第1配置と上記液晶パネルを用いて表示される画像が狭視野角のみから視認可能な第2モードによる第2配置との間で液晶を切り替える回路とを備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
液晶の上記第2配置によって、狭角度範囲外に位置する観察者が視認する画像上で画像撹乱パターンが見えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記第1配置における液晶が、表示装置の全体にわたり単一の液晶配列を形成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
上記第1配置における液晶が、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列を有する複数の水平方向の領域を形成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
上記第1配置による領域は観察者に解像できないサイズであることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
上記第2配置における液晶が、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列を有する複数の水平方向の領域を形成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
上記第2配置による領域は観察者に解像できるサイズであることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
上記第2配置による領域は、上記液晶パネルの画素における水平方向の寸法よりも少なくとも2倍の水平方向の寸法を有することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
上記第2配置による領域は、上記液晶パネルの画素における水平方向の寸法よりも少なくとも5倍の水平方向の寸法を有することを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
上記第2配置による領域は、上記液晶パネルの画素における水平方向の側面寸法よりも少なくとも10倍の水平方向の寸法を有することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
同じかまたは同様の液晶配列を有する上記第2配置による領域は、所定の状態で空間的に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項12】
同じかまたは同様の液晶配置を有する上記第2配置による領域は、空間的な格子縞模様、文字パターン、またはロゴを形成するように空間的に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
上記回路は、上記第2配置に液晶を切り替える複数の面内電極を有することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項14】
少なくとも各第2配置による領域における各辺に配置される電極を備えていることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
各第2配置による領域内に配置された3つ以上の面内電極を有することを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項16】
上記第1配置における液晶は、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配置を有する複数の水平方向の領域を有し、上記面内電極は、少なくとも2つの異なる配列を形成するための少なくとも2つの異なる配向を有するようにパターン化されることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項17】
上記電極が、上記液晶パネルの画素を切り替える電極として、上記液晶パネルの同じ辺に配置されることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項18】
隣接する上記領域が異なる液晶配列を有するように配置されることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項19】
上記少なくとも2つの液晶配列はそれぞれ異なる略均一の液晶配向を有する液晶からなることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項20】
上記少なくとも2つの液晶配列は所定の軸に対して略対称に配置される1組以上の配向を含むことを特徴とする請求項19に記載の表示装置。
【請求項21】
上記所定の軸は狭視野角の範囲内に位置することを特徴とする請求項20に記載の表示装置。
【請求項22】
上記少なくとも2つの異なる液晶配列はそれぞれ異なる角度透過関数を有することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項23】
上記角度透過関数が狭視野角の範囲内に位置する軸に対して非対称であることを特徴とする請求項22に記載の表示装置。
【請求項24】
上記第2配置における液晶はそれぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列のうち1つを有する水平方向の領域を含み、上記第2配置用の角度透過関数は、狭視野角の範囲内ではいずれの視野角においても略同等であり、狭視野角の範囲外では視野角毎に異なることを特徴とする請求項22に記載の表示装置。
【請求項25】
上記第1配置による領域は観察者に解像できないサイズであり、上記第1配置用の角度透過関数は、少なくとも広視野角の一部を滑らかに変化する平均透過関数を得るように、第1モードにおいて観察者により空間平均化されることを特徴とする請求項22に記載の表示装置。
【請求項26】
上記第1および第2配置は垂直配向ネマティック構成であることを特徴とする請求項1ないし25のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項27】
上記第1および第2配置は双安定あるいは多安定液晶状態であり、上記回路はこれらの状態間で液晶を切り替えるのに用いられることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項28】
上記双安定または多安定液晶状態を生成する配向層を有することを特徴とする請求項27に記載の表示装置。
【請求項29】
上記第1配置は連続した風車形状に配列された配置であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項30】
画像が複数の画像要素で表現される表示装置であって、観察者に対する第1データ値/輝度応答性を有する表示パネルを用いる第1シナリオにおいて修正後の画像が表示される場合、空間平均化を通じて観察者に知覚される画像が原画像と略同じになるように画像要素における少なくともいくつかの画像要素のデータ値を修正し、第1データ値/輝度応答性とは異なる第2データ値/輝度応答性を有する表示パネルを用いる第2シナリオにおいて修正後の画像が表示される場合、空間平均化を通じて観察者に知覚される画像が原画像と異なるように画像要素における少なくともいくつかの画像要素のデータ値を修正する手段を備え、液晶の上記第1および第2配置が、狭視野角の範囲外の視野角に対してそれぞれ実質的に第1および第2データ値/輝度応答性を表示パネルに与え、狭視野角の範囲内の視野角に対して実質的に第1データ値/輝度応答性を上記表示パネルに与えるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項31】
上記第2データ値/輝度応答性は、略非線形データ値/輝度応答性であることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項32】
第1データ値/輝度応答性は、略線形データ値/輝度応答性であることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項33】
上記第1配置における液晶は、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列のうち1つを有する複数の水平方向の領域を含み、上記第1配置による領域は、狭角度の範囲外の角度で進む光が、異なる液晶配列を有する少なくとも2つの領域を通過して第1データ値/輝度応答性を有するように適応されることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項34】
上記第2配置における液晶は、それぞれ少なくとも2つの異なる液晶配列のうち1つを有する複数の水平方向の領域を含み、上記第2配置による領域は、狭角度の範囲外の角度で進む光が、異なる液晶配列を有する少なくとも2つの領域を通過して第2データ値/輝度応答性を有するように適応されることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項35】
上記第1および第2配置はツイステッドネマティック配置であることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項36】
上記第1および第2配置を生成する、少なくとも1つのパターン化された配向層を有することを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項37】
上記回路は、液晶を上記第1および第2配置に切り替えるように、少なくとも1つのパターン化された配向層の配向特性を変える電界を印加可能であることを特徴とする請求項36に記載の表示装置。
【請求項38】
上記回路は、液晶を上記第1および第2配置に切り替えるように、液晶の全体および液晶の面内、または液晶の全体もしくは液晶の面内に電界を印加可能であることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項39】
上記回路は弱電界を印加可能であることを特徴とする請求項38に記載の表示装置。
【請求項40】
原画像が上記第2シナリオにおいて知覚される画像に実質的に隠されることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項41】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値がマスキング画像に基づいて修正されることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項42】
各データ値が、マスキング画像の対応する位置におけるデータ値に基づいて修正されることを特徴とする請求項41に記載の表示装置。
【請求項43】
上記第2シナリオにおいて知覚される画像は、少なくともある程度マスキング画像に似ていることを特徴とする請求項41に記載の表示装置。
【請求項44】
原画像が上記第2シナリオにおいて知覚される画像に実質的に隠され、上記マスキング画像は、上記第2シナリオにおいて高度の視認撹乱情報を与えることを特徴とする請求項41に記載の表示装置。
【請求項45】
上記マスキング画像は、格子縞模様、文字パターン、またはロゴを含むことを特徴とする請求項44に記載の表示装置。
【請求項46】
異なるマスキング画像が異なる期間で用いられることを特徴とする請求項41に記載の表示装置。
【請求項47】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値がマスキングパラメータに基づいて修正されることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項48】
修正の度合いは、少なくとも一部は、上記マスキングパラメータによって決定されることを特徴とする請求項47に記載の表示装置。
【請求項49】
修正しない状態での画像要素の全体輝度と略同じの全体輝度を有するように、空間平均化を通じて上記第1シナリオにおいて知覚される表示画像要素の局在グループが知覚されるように、上記データ値が修正されることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項50】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値が、マスキング画像に基づいて修正され、グループにおける各画像要素に対する修正の度合いは、該画像要素に対応するマスキング画像中の位置におけるデータ値に基づいて決定されることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項51】
上記グループに対して修正がなされる場合、当該グループにおける少なくとも1つの画像要素のデータ値を増加させ、他の画像要素のデータ値を減少させることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項52】
上記増加の量は上記減少の量と略同じであることを特徴とする請求項51に記載の表示装置。
【請求項53】
上記減少の量に比例する上記増加の量は、上記第1データ値/輝度応答性に基づいて決定されることを特徴とする請求項51に記載の表示装置。
【請求項54】
増加および減少用に指定された画像要素は異なる期間に交換されることを特徴とする請求項51に記載の表示装置。
【請求項55】
上記データ値のうち少なくともいくつかのデータ値は、マスキング画像に基づいて修正され、グループにおける各画像要素に対する修正の度合いは、上記画像要素に対応するマスキング画像中の位置におけるデータ値に基づいて決定され、少なくとも1つの画像要素に関して、個々の画像要素に対応するマスキング画像データ値に比例する量が、画像要素データ値に加えられ、少なくとも他の1つの画像要素に関して、個々の画像要素に対応するマスキング画像データ値に比例する量が、画像要素データ値から減じられることを特徴とする請求項51に記載の表示装置。
【請求項56】
上記量が対応するマスキング画像データ値と等しいことを特徴とする請求項55に記載の表示装置。
【請求項57】
上記量が画像データ値と最大または最小データ値の近い方との差に基づいて決定されることを特徴とする請求項55に記載の表示装置。
【請求項58】
上記量が対応するマスキング画像データ値で乗算される差に比例することを特徴とする請求項57に記載の表示装置。
【請求項59】
各グループは2つの画像要素からなることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項60】
上記画像要素のうち少なくともいくつかの画像要素のデータ値がグループにおいて平均化されることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項61】
上記マスキング画像要素のうち少なくともいくつかのマスキング画像要素のデータ値が、グループにおいて平均化されることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項62】
対応する修正後の画像要素が画像において行として配置されることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項63】
対応する修正後の画像要素が画像において列として配置されることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項64】
対応する修正後の画像要素が、格子縞模様、文字パターン、またはロゴの状態で配置されることを特徴とする請求項49に記載の表示装置。
【請求項65】
修正後のデータ値が許容されるデータ値の通常範囲から外れないことを確実にすることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項66】
上記データ値の少なくともいくつかは、マスキング画像に基づいて修正され、グループにおける個々の画像要素に対する修正の度合いは、上記画像要素に対応するマスキング画像中の位置におけるデータ値に基づいて決定され、画像のデータ値の範囲は修正前に圧縮されることを特徴とする請求項65に記載の表示装置。
【請求項67】
マスキング画像のデータ値の範囲は修正前に圧縮されることを特徴とする請求項65に記載の表示装置。
【請求項68】
画像のサブ部分における画像要素のデータ値が修正されることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項69】
個々の画像要素は、表示装置の画素に対応する複数の色要素に関係することを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項70】
個々の画像要素は、表示装置のサブ画素に対応する1つの色要素に関係することを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項71】
観察者は、表示装置から少なくとも所定の距離に位置していることを特徴とする請求項30に記載の表示装置。
【請求項72】
上記回路は、上記第1および第2配置をそれぞれ実現するため、上記第1および第2モードにおいて、それぞれ異なる第1および第2形態で電界を印加するように上記表示パネルを動作させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項73】
上記回路は、上記第1および第2モードにおける印加電界強度のそれぞれ異なる範囲を用いて上記表示パネルを動作させることを特徴とする請求項72に記載の表示装置。
【請求項74】
上記回路は、上記第1および第2モードにおける印加電界強度のそれぞれ異なる方向を用いて上記表示パネルを動作させることを特徴とする請求項72に記載の表示装置。
【請求項75】
上記回路は、上記第1モードにおいて面内切り替えを行い、上記第2モードにおいて電気制御複屈折切り替えを用いて上記表示パネルを動作させることを特徴とする請求項74に記載の表示装置。
【請求項76】
上記回路は、上記面内切り替えを行う電極の第1セットと上記電気制御複屈折切り替えを行う第2セットとを有することを特徴とする請求項75に記載の表示装置。
【請求項77】
上記第1セットの電極は、実質的に上記表示パネルの面内に電界を印加するために、上記表示パネルの同じ辺に配置されることを特徴とする請求項76に記載の表示装置。
【請求項78】
上記第2セットの電極は、上記表示パネルの全体に電界を印加するために、上記表示パネルの互いに対向する辺に配置されることを特徴とする請求項76に記載の表示装置。
【請求項79】
上記表示パネルは領域の第1セットと第2セットとを有し、上記回路は領域の第1セットと第2セットに電界をそれぞれ第1形態および第2形態で印加することを特徴とする請求項72に記載の表示装置。
【請求項80】
表示装置における各画素は、上記第1セットからの領域と第2セットからの領域とを有することを特徴とする請求項79に記載の表示装置。
【請求項81】
上記回路は、狭視野角の範囲外に位置する観察者に対する画像撹乱パターンを生成するために、上記第2モードにおいて、第1形態により画素を動作させ、第2形態により他の画素を動作させることを特徴とする請求項80に記載の表示装置。
【請求項82】
表示装置の各画素は、それぞれ上記第1および第2配置を有する液晶を含む第1および第2領域からなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項83】
上記回路は、狭視野角の範囲外の観察者に対する画像撹乱パターンを生成するために、上記第1領域を用いる画素と上記第2領域を用いる他の画素とを動作させる第2モードで動作可能であることを特徴とする請求項82に記載の表示装置。
【請求項84】
上記回路は、少なくとも2つの異なる液晶配列を生成するために、異なる駆動電圧範囲を用いる第2モードで動作し、上記液晶配列は、各駆動電圧範囲から選ばれる異なる電圧について、狭視野角の範囲内の観察者に略同じ透過性を示し、上記選ばれた電圧について、狭視野角の範囲外の観察者にそれぞれ異なる透過性を示すことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項85】
上記駆動電圧範囲の1つめは、狭視野角の範囲内の観察者に対する画像表示に適した透過性・電圧関数を有し、上記駆動電圧範囲の2つめは、狭視野角の範囲外の観察者に対する画像表示に適さない透過性・電圧関数を有することを特徴とする請求項84に記載の表示装置。
【請求項86】
上記駆動電圧範囲の2つめは、当該範囲の少なくともほとんどの部分に印加される電圧について、略一定かつ低透過性を狭視野角の範囲外の観察者に示すことを特徴とする請求項85に記載の表示装置。
【請求項87】
上記駆動電圧範囲の2つめは、当該範囲の少なくともほとんどの部分に印加される電圧について、略一定かつ高透過性を狭視野角の範囲外の観察者に示すことを特徴とする請求項85に記載の表示装置。
【請求項88】
上記回路は、上記表示パネルの全体にわたり略均一な液晶配列を生成するために、各水平方向の領域に対する駆動電圧範囲における最初の1つのみを用いる第1モードにおいて動作することを特徴とする請求項85に記載の表示装置。
【請求項89】
上記回路は、少なくとも2つの異なる液晶配列を生成するために、それぞれ異なる接地電極電圧構成を用いる第2モードにおいて動作し、上記液晶配列は、異なる電圧構成について、狭視野角の範囲内の観察者に略同じ透過性を示し、上記電圧について、狭視野角の範囲外の観察者にそれぞれ異なる透過性を示すことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項90】
上記回路によって、上記第1および第2液晶配列が互いに傾斜することを特徴とする請求項89に記載の表示装置。
【請求項91】
上記回路はパターン化された電極を有することを特徴とする請求項90に記載の表示装置。
【請求項92】
空間光変調によって画像を表示する表示装置において使用される液晶表示パネルにおいて、上記液晶表示パネルが当該液晶表示パネル中の液晶に関して、上記液晶表示パネルを用いて画像を表示する第1モードにおける第1配置と、上記液晶表示パネルを用いて表示された画像を、実質的に狭視野角の範囲のみからしか視認できない第2モードにおける第2配置とを切り替える液晶表示パネル。
【請求項93】
装置に搭載されると、請求項1に記載の表示装置として上記装置を機能させる動作プログラム。
【請求項94】
キャリア媒体に格納されることを特徴とする請求項93に記載の動作プログラム。
【請求項95】
上記キャリア媒体は透過性媒体であることを特徴とする請求項94に記載の動作プログラム。
【請求項96】
上記キャリア媒体はコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする請求項94に記載の動作プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図23】
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【図6】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−17988(P2007−17988A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189875(P2006−189875)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】