説明

表示装置、表示方法、及び表示プログラム

【課題】ユーザにとって必要な情報をディスプレイに表示させつつ、スムーズにスクロールを行うことができる、表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置1は、表示設定されている項目の情報を地図上に表示するディスプレイ20と、ディスプレイ20の前面に設けられたタッチパネル10と、タッチパネル10に接触した利用者の指の位置を検出する検出部31と、利用者の指がタッチパネル10から離れた場合、最後に利用者の指の位置が検出される所定時間前に検出された利用者の指の位置から、最後に検出された利用者の指の位置までの距離に基づき、利用者の指の速度を特定し、当該特定した指の速度に基づく移動速度で、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる表示制御部32とを備える表示装置1において、表示制御部32は、表示設定の対象として選択された項目を特定し、当該特定した項目に基づき、移動速度を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示方法、及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置等において、ディスプレイに表示された地図を上下左右にスクロールさせたり、ディスプレイに表示されたリストを特定の方向にスクロールさせたりすることが行われている。ディスプレイに表示された画像をこのようにスクロールさせるための操作入力として、例えばタッチパネルやジョイスティック等を用いた操作入力が採用されている。例えばタッチパネルを用いた操作入力を採用した場合、タッチパネルを用いた座標入力部による座標入力がある間は、入力座標の変化ベクトルに基づいたベクトルで画像をスクロールさせ、座標入力がなくなると、その座標入力がなくなる直前の入力座標の変化ベクトルに基づいたベクトルで画像をスクロールさせる制御(いわゆるフリック操作制御)等が用いられている。
【0003】
さらに、画像のスクロールをスムーズに行えるようにするため、例えば、スクロールの速度に応じて動的に描画データ量を変更することで、描画処理量を削減する、車載ナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−241176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の装置では、スクロールの速度に応じて道路や名称等の描画量が削減されることに伴い、ユーザにより表示設定の対象として選択された項目の情報まで削除されてしまう可能性があった。その結果、ユーザにとって必要な情報がディスプレイに表示されない等、利便性に向上の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フリック操作が行われた場合において、ユーザにとって必要な情報をディスプレイに表示させつつ、スムーズにスクロールを行うことができる、表示装置、表示方法、及び表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の表示装置は、表示設定されている項目の情報を地図上に表示する表示手段と、前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルと、前記タッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する検出手段と、前記利用者の指が前記タッチパネルから離れた場合、前記検出手段により最後に利用者の指の位置が検出される所定時間前に当該検出手段により検出された利用者の指の位置から、当該検出手段により最後に検出された利用者の指の位置までの距離に基づき、当該利用者の指の速度を特定し、当該特定した指の速度に基づく移動速度で、前記表示手段に表示されている前記地図をスクロールさせる表示制御手段と、を備える表示装置において、前記表示制御手段は、前記表示設定の対象として選択された項目を特定し、当該特定した項目に基づき、前記移動速度を変更すること、を特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の表示装置は、請求項1に記載の表示装置において、前記表示制御手段は、前記表示設定の対象として選択された項目数が多いほど小さくなる係数を、前記指の速度に乗じることにより、前記移動速度を算出する。
【0009】
また、請求項3に記載の表示装置は、請求項2に記載の表示装置において、前記表示設定の対象となる各項目を一意に識別する識別情報と、所定のパラメータを特定するパラメータ情報とを、相互に関連付けて格納するパラメータ情報格納手段を備え、前記表示制御手段は、前記表示設定の対象として選択された各項目に対応するパラメータ情報を前記パラメータ情報格納手段から取得し、当該取得したパラメータ情報に基づき特定される各パラメータを用いて基準値に対する演算を行うことにより、前記係数を算出する。
【0010】
また、請求項4に記載の表示方法は、表示設定されている項目の情報を表示手段により地図上に表示させる表示ステップと、前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する検出ステップと、前記利用者の指が前記タッチパネルから離れた場合、前記検出ステップで最後に利用者の指の位置が検出される所定時間前に当該検出ステップで検出された利用者の指の位置から、当該検出ステップで最後に検出された利用者の指の位置までの距離に基づき、当該利用者の指の速度を特定し、当該特定した指の速度に基づく移動速度で、前記表示手段に表示されている前記地図をスクロールさせる表示制御ステップと、を含む表示方法において、前記表示制御ステップで、前記表示設定の対象として選択された項目を特定し、当該特定した項目に基づき、前記移動速度を変更すること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の表示プログラムは、請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の表示装置、請求項4に記載の表示方法、及び請求項5に記載の表示プログラムによれば、表示制御手段は、表示設定の対象として選択された項目を特定し、当該特定した項目に基づき、表示手段に表示されている地図をスクロールさせる際の移動速度を変更するので、表示設定されている項目に応じた適切な速度で表示手段に表示されている地図をスクロールさせることができ、ユーザにとって必要な情報を表示手段に表示させつつ、スムーズにスクロールを行うことができる。
【0013】
また、請求項2に記載の表示装置によれば、表示制御手段は、表示設定の対象として選択された項目数が多いほど小さくなる係数を、利用者の指の速度に乗じることにより、移動速度を算出するので、表示設定の対象として選択された項目数が多くなり表示手段における描画量が増えるほど、表示手段に表示されている地図をスクロールさせる際の移動速度を遅くすることができ、スムーズにスクロールを行うことができる。
【0014】
また、請求項3に記載の表示装置によれば、表示制御手段は、表示設定の対象として選択された各項目に対応するパラメータ情報をパラメータ情報格納手段から取得し、当該取得したパラメータ情報に基づき特定される各パラメータを用いて基準値に対する演算を行うことにより、係数を算出するので、表示設定されている項目に応じた適切な速度で表示手段に表示されている地図をスクロールさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る表示装置を例示するブロック図である。
【図2】パラメータテーブルに格納されている情報を例示した表である。
【図3】表示制御処理のフローチャートである。
【図4】フリック移動処理のフローチャートである。
【図5】表示制御部がディスプレイに表示されている地図をスクロールさせる状況を例示した図であり、図5(a)は施設情報や交通情報等、表示設定の対象となり得る何れの項目も表示設定の対象として選択されていない場合を示す図、図5(b)は表示設定の対象として項目「施設情報」のみが選択されている場合を示す図、図5(c)は表示設定の対象として項目「施設情報」及び「交通情報」が選択されている場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る表示装置、表示方法、及び表示プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、以下の説明では、カーナビゲーションシステムの一部として表示装置が車両に搭載されているものとする。
【0017】
(構成)
最初に、実施の形態に係る表示装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る表示装置を例示するブロック図である。図1に示すように、表示装置1は、タッチパネル10、ディスプレイ20、制御部30、及びデータ記録部40を備えている。
【0018】
(構成−タッチパネル)
タッチパネル10は、利用者の指等で接触されることにより、ディスプレイ20に表示されている画像をスクロールさせるための操作入力等を含む各種操作を受け付ける入力手段である。このタッチパネル10は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ20の前面において当該ディスプレイ20の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル10としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを使用することができる。
【0019】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ20は、制御部30の制御に基づき、表示設定されている項目の情報を地図上に表示する表示手段である。ここで、「表示設定されている項目」とは、ディスプレイ20に表示させるべき項目として、入力手段を介してユーザにより選択された項目を意味する。この表示設定の対象となる項目には、施設情報(例えばPOI(Point of Interest)の位置や種別を示すアイコン等)や、交通情報(例えば渋滞中の道路を示す渋滞情報等)が含まれる。なお、このディスプレイ20の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0020】
(構成−制御部)
制御部30は、表示装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る表示プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して表示装置1にインストールされることで、制御部30の各部を実質的に構成する。
【0021】
この制御部30は、機能概念的に、検出部31、及び表示制御部32を備えている。検出部31は、タッチパネル10に接触した利用者の指の位置を所定の検出周期で検出する検出手段である。表示制御部32は、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる表示制御手段である。これらの制御部30の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0022】
(構成−データ記録部)
データ記録部40は、表示装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0023】
このデータ記録部40は、地図情報データベース41(以下、データベースをDBと略記する)、及びパラメータテーブル42を備えている。
【0024】
地図情報DB41は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、対象地物データ(交差点、一時停止線、踏切、カーブ、ETC料金所、高速出口等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ20に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0025】
パラメータテーブル42は、表示設定の対象となる各項目を一意に識別する識別情報と、所定のパラメータを特定するパラメータ情報とを、相互に関連付けて格納するパラメータ情報格納手段である。図2は、パラメータテーブル42に格納されている情報を例示した表である。この図2に示すように、パラメータテーブル42には、項目「項目」及び「パラメータ」に対応する情報が、相互に関連付けて格納されている。
【0026】
この内、項目「項目」に対応して格納される情報は、表示設定の対象となる各項目を一意に識別する識別情報である。例えば、表示設定の対象となる各項目の名称が、識別情報として項目「項目」に対応して格納される(図2では「施設情報」等)。
【0027】
また、項目「パラメータ」に対応して格納される情報は、後述する表示制御処理において用いられる所定のパラメータを特定するパラメータ情報である。図2では、パラメータを示す数値がパラメータ情報として項目「パラメータ」に対応して格納される(図2では「0.1」等)。なお、このパラメータ情報に基づき特定されるパラメータを用いた演算の詳細については後述する。
【0028】
(処理−表示制御処理)
次に、このように構成された表示装置1によって実行される表示制御処理について説明する。図3は表示制御処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この表示制御処理は、例えば、表示装置1に電源が投入され、ディスプレイ20に地図やリスト等の情報が表示された場合に起動される。以下では、ディスプレイ20に地図が表示された場合を例として説明する。なお、表示制御処理が開始される前提として、タッチパネル10等の入力手段を介して所定の項目が表示設定の対象として選択され、当該選択された内容がデータ記録部40やRAM(図示省略)等に格納されているものとする。
【0029】
図3に示すように、表示制御処理が開始されると、検出部31は、タッチパネル10からの出力に基づき、利用者の指がタッチパネル10に接触するまで待機し(SA1、No)、利用者の指がタッチパネル10に接触した場合(SA1、Yes)、タッチパネル10に接触した利用者の指の位置(以下、必要に応じて「指位置」)を検出する(SA2)。指位置は、例えばタッチパネル10上の座標として検出される。
【0030】
次に、表示制御部32は、SA2で検出部31により検出された指位置に応じて、ディスプレイ20に表示されている地図の表示位置を更新する(SA3)。但し、表示制御部32は、利用者の指がタッチパネル10に接触した後に初めてSA2で検出部31により指位置が検出された場合には、地図の表示位置の更新を行わない。一方、利用者の指がタッチパネル10に接触した後、既に1回以上SA2で検出部31により指位置が検出されている場合には、表示制御部32は、前回のSA2の処理で検出部31が検出した指位置と、今回のSA2の処理で検出部31が検出した指位置との差分に基づき、指位置の変位ベクトルを特定し、当該特定した変位ベクトルに応じた移動量で地図をスクロールさせる。これにより、タッチパネル10に接触した利用者の指の動きに応じて、ディスプレイ20に表示されている地図がスクロールする。
【0031】
次に、検出部31は、タッチパネル10からの出力に基づき、利用者の指がタッチパネル10から離れたか否かを判定する(SA4)。例えば検出部31は、タッチパネル10に対する接触が検出されなかった場合に、利用者の指がタッチパネル10から離れたと判定する。
【0032】
その結果、利用者の指がタッチパネル10から離れていない場合(SA4、No)、SA2に戻り、利用者の指がタッチパネル10から離れるまでSA2からSA4の処理を所定周期(例えば20ms)で繰り返す。このように、利用者の指がタッチパネル10に接触してから離れるまでの間、検出部31はタッチパネル10に接触した利用者の指の位置を所定の検出周期(例えば20ms)で検出し、表示制御部32は検出部31により検出された利用者の指の位置に応じて、ディスプレイ20に表示されている地図の表示位置を所定の表示周期(例えば20ms)で更新する。
【0033】
一方、利用者の指がタッチパネル10から離れた場合(SA4、Yes)、表示制御部32はフリック移動処理を実行する(SA5)。その後、制御部30はSA1に戻る。
【0034】
(処理−フリック移動処理)
ここで、フリック移動処理について説明する。図4は、フリック移動処理のフローチャートである。
【0035】
フリック移動処理が開始されると、表示制御部32は、検出部31により最後に指位置が検出される所定時間前に検出部31により検出された指位置から、検出部31により最後に検出された指位置までの距離に基づき、利用者の指の速度ベクトルを特定する(SB1)。
【0036】
具体的には、表示制御部32は、図3のSA2で検出部31により最後に指位置が検出される所定時間前に検出部31により検出された指位置(例えば、最後のSA2の処理の更に1回前のSA2の処理で検出部31が検出した指位置)から、検出部31により最後に検出された指位置(例えば、最後のSA2の処理で検出部31が検出した指位置)までの距離及び向きと、図3のSA2からSA4の処理が繰り返される周期(例えば20ms)とに基づいて、利用者の指の速度ベクトル(すなわち、利用者の指が移動する速さと向き)を特定する。
【0037】
次に表示制御部32は、表示設定の対象として選択された項目を特定する(SB2)。例えば表示制御部32は、データ記録部40やRAM(図示省略)等を参照し、タッチパネル10等の入力手段を介して表示設定の対象として選択された項目を特定する。
【0038】
続いて、表示制御部32は、表示設定の対象として選択された各項目に対応するパラメータ情報を、パラメータテーブル42から取得する(SB3)。すなわち表示制御部32は、SB2で特定された項目に対応するパラメータ情報を、パラメータテーブル42から取得する。
【0039】
次に、表示制御部32は、SB3で当該表示制御部32が取得したパラメータ情報に基づき特定される各パラメータを用いて基準値に対する演算を行うことにより、係数を算出する(SB4)。ここで「係数」とは、表示制御部32が、SB1で当該表示制御部32が特定した指の速さに基づき、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる際の速さを算出するために用いる値である。また、「基準値」とは、施設情報や交通情報等、表示設定の対象となり得る何れの項目も表示設定の対象として選択されていない場合における係数の値であり、例えば「0.5」が基準値として用いられる。
【0040】
例えば表示設定の対象として項目「施設情報」のみが選択されている場合、図2のパラメータテーブル42によれば、表示制御部32は、当該項目に対応するパラメータ情報に基づきパラメータ「0.1」を特定し、当該特定したパラメータ「0.1」を基準値「0.5」から減算することにより、係数「0.4」を算出する。
【0041】
また、表示設定の対象として項目「施設情報」及び「交通情報」が選択されている場合、図2のパラメータテーブル42によれば、表示制御部32は、当該各項目に対応するパラメータ情報に基づき項目「施設情報」に対応するパラメータ「0.1」及び項目「交通情報」に対応するパラメータ「0.1」を特定し、当該特定した各パラメータを基準値「0.5」から減算することにより、係数「0.3」を算出する。このように、各項目に対応して正の値として設定されている各パラメータを基準値から減算することにより、表示設定の対象として選択された項目数が多いほど係数が小さくなる。
【0042】
図4に戻り、表示制御部32は、SB4で当該表示制御部32が算出した係数を、SB1で当該表示制御部32が特定した指の速さに乗じることにより、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる際の速さを算出する(SB5)。上述のように、表示設定の対象として選択された項目数が多いほど係数が小さくなることから、表示設定の対象として選択された項目数が多いほど、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる際の速さが遅くなる。
【0043】
続いて表示制御部32は、SB5で当該表示制御部32が算出した速さ、及びSB1で当該表示制御部32が特定した指が移動する向きと同じ向きで、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる(SB6)。
【0044】
図5は表示制御部32がディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる状況を例示した図であり、図5(a)は施設情報や交通情報等、表示設定の対象となり得る何れの項目も表示設定の対象として選択されていない場合を示す図、図5(b)は表示設定の対象として項目「施設情報」のみが選択されている場合を示す図、図5(c)は表示設定の対象として項目「施設情報」及び「交通情報」が選択されている場合を示す図である。なお、図5における矢印は、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる際の移動速度ベクトルを示すものであり、矢印の長さが地図がスクロールする速さを示している。また、図5(b)及び図5(c)における「T」や「24」等の記号は施設情報を示しており、図5(c)における太点線は交通情報(具体的には、当該太点線に沿った道路が渋滞していることを示す渋滞情報)を示している。
【0045】
この図5に示すように、表示設定の対象となり得る何れの項目も表示設定の対象として選択されていない図5(a)の場合と比較して、表示設定の対象として項目「施設情報」が選択されている場合には、図5(b)に示すように、地図がスクロールする速さが遅くなる。さらに、表示設定の対象として項目「施設情報」及び「交通情報」が選択されている場合には、表示設定の対象として項目「施設情報」が選択されている場合(図5(b)の場合)と比較して、地図がスクロールする速さがさらに遅くなっている。このように、表示設定の対象として選択された項目数が多いほど(すなわち、ディスプレイ20の描画量が多いほど)、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる際の速さが遅くなる。これにより、表示設定されている項目に応じた適切な速度でディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせることができ、ユーザにとって必要な情報をディスプレイ20に表示させつつ、スムーズにスクロールを行うことができる。
【0046】
図4に戻り、SB6の処理の後、制御部30はフリック移動処理を終了し、図3の表示制御処理のSA1に戻る。
【0047】
(効果)
このように本実施の形態によれば、フリック操作が行われた場合において、表示制御部32は、表示設定の対象として選択された項目を特定し、当該特定した項目に基づき、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる際の移動速度を変更するので、表示設定されている項目に応じた適切な速度でディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせることができ、ユーザにとって必要な情報をディスプレイ20に表示させつつ、スムーズにスクロールを行うことができる。
【0048】
また、表示制御部32は、表示設定の対象として選択された項目数が多いほど小さくなる係数を、利用者の指の速度に乗じることにより、移動速度を算出するので、表示設定の対象として選択された項目数が多くなりディスプレイ20における描画量が増えるほど、ディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせる際の移動速度を遅くすることができ、スムーズにスクロールを行うことができる。
【0049】
特に、表示制御部32は、表示設定の対象として選択された各項目に対応するパラメータ情報をパラメータテーブル42から取得し、当該取得したパラメータ情報に基づき特定される各パラメータを用いて基準値に対する演算を行うことにより、係数を算出するので、表示設定されている項目に応じた適切な速度でディスプレイ20に表示されている地図をスクロールさせることができる。
【0050】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0051】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0052】
(表示制御処理について)
上述の実施の形態では、図3の表示制御処理において、検出部31が指位置を検出する度に(SA2)、表示制御部32がディスプレイ20に表示されている地図の表示位置を更新する(SA3)場合を例として説明したが、指位置の検出周期と地図の表示位置を更新する表示周期とを異なる値としてもよい。
【0053】
(フリック移動処理について)
上述の実施の形態では、図4のフリック移動処理において、表示制御部32が、当該表示制御部32が特定した各パラメータを基準値から減算することにより係数を算出する場合を例として説明したが、表示設定の対象として選択された項目数が多いほど係数が小さくなることを条件として、パラメータを用いて基準値に対してこれとは異なる他の演算を行うことにより係数を算出するようにしてもよい。例えば、各項目に対応して負の値として設定されたパラメータを基準値に加算するようにしてもよい。あるいは、各項目に対応して0より大きく1より小さい値として設定されたパラメータを基準値に乗算するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 表示装置
10 タッチパネル
20 ディスプレイ
30 制御部
31 検出部
32 表示制御部
40 データ記録部
41 地図情報DB
42 パラメータテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示設定されている項目の情報を地図上に表示する表示手段と、
前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルと、
前記タッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する検出手段と、
前記利用者の指が前記タッチパネルから離れた場合、前記検出手段により最後に利用者の指の位置が検出される所定時間前に当該検出手段により検出された利用者の指の位置から、当該検出手段により最後に検出された利用者の指の位置までの距離に基づき、当該利用者の指の速度を特定し、当該特定した指の速度に基づく移動速度で、前記表示手段に表示されている前記地図をスクロールさせる表示制御手段と、を備える表示装置において、
前記表示制御手段は、前記表示設定の対象として選択された項目を特定し、当該特定した項目に基づき、前記移動速度を変更すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記表示設定の対象として選択された項目数が多いほど小さくなる係数を、前記指の速度に乗じることにより、前記移動速度を算出する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示設定の対象となる各項目を一意に識別する識別情報と、所定のパラメータを特定するパラメータ情報とを、相互に関連付けて格納するパラメータ情報格納手段を備え、
前記表示制御手段は、前記表示設定の対象として選択された各項目に対応するパラメータ情報を前記パラメータ情報格納手段から取得し、当該取得したパラメータ情報に基づき特定される各パラメータを用いて基準値に対する演算を行うことにより、前記係数を算出する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
表示設定されている項目の情報を表示手段により地図上に表示させる表示ステップと、
前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する検出ステップと、
前記利用者の指が前記タッチパネルから離れた場合、前記検出ステップで最後に利用者の指の位置が検出される所定時間前に当該検出ステップで検出された利用者の指の位置から、当該検出ステップで最後に検出された利用者の指の位置までの距離に基づき、当該利用者の指の速度を特定し、当該特定した指の速度に基づく移動速度で、前記表示手段に表示されている前記地図をスクロールさせる表示制御ステップと、を含む表示方法において、
前記表示制御ステップで、前記表示設定の対象として選択された項目を特定し、当該特定した項目に基づき、前記移動速度を変更すること、
を特徴とする表示方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる表示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−215648(P2012−215648A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79509(P2011−79509)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】