説明

表示装置、表示方法及びプログラム

【課題】ディスプレイ部を透明化して使用する際に、消費電力を抑えること。
【解決手段】携帯端末1は、光分散部に配された第1及び第2の電極を介して電源から供給される電圧がオンされた場合に光を透過し、電圧がオフされた場合に光を分散させる透明ディスプレイ14aを備える。また、携帯端末1は、第1及び第2の電極に加える電圧のオン若しくはオフ、又は電圧がオンされている場合に、電圧のプラスマイナスの切替えタイミングを所定の表示フレームレートで制御する表示制御部14bと、表示制御部14bに対して、透明ディスプレイ14aを透明にするスタンバイモードである場合に、表示フレームレートを所定の値に設定し、透明ディスプレイ14aに情報を表示する情報表示モードである場合に、表示フレームレートを所定の値より高い値に設定する指示を行う制御部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ディスプレイ背面の情景を透過させて画面に表示させつつ、画像、文字等も画面に表示させる場合に適用して好適な表示装置、表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイの画面に図形、文字等の情報を表示しつつ、ディスプレイの背景が透けて見える透明ディスプレイを備える表示装置が開発されている。このような透明ディスプレイの内部には、高分子分散液晶(ポリマーネットワーク液晶ともいう。以下、単に「液晶」と称する場合がある。)が用いられることがある。液晶は、電圧がオフされた場合に入光した光を分散し、電圧がオンされた場合に光をそのまま透過させる特性を有しており、透明ディスプレイの用途に適する。
【0003】
図8は、透明ディスプレイ100の使用例を簡略化して示す。
透明ディスプレイ100は、不図示の表示装置に設けられ、表示エリア102の矩形枠内に背景、図形、文字等を表示させる。透明ディスプレイ100の画面は、複数のドットによって構成されており、ドット毎に対応する液晶に対して電圧のオン・オフを切替えると、電圧がオンされたドットは透明となり、電圧がオフされたドットは不透明となる。そして、透明ディスプレイ100の画面を透明にする「スタンバイモード」が設定されると、表示エリア104に背景101が透過して表示される。一方、透明ディスプレイ100の画面が不透明となる「情報表示モード」が設定されると、不透明となった表示エリア103に図形、文字等が表示される。以下、スタンバイモード又は情報表示モードを単に「モード」と略称する場合がある。
【0004】
スタンバイモードでは、液晶に加える電圧を常にオンしなければ透明にならない。しかし、液晶は、電圧をかけた瞬間は整列するものの、時間経過と共に電圧が低下すると乱雑になる特性があり、画面が不透明になりやすい。このため、所定の表示フレームレート(例えば、60フレーム/秒)でドット毎に対応する液晶に加える電圧のプラスマイナスを切替えて、液晶の整列状態を維持すれば、透明状態を維持して画面に背景を透過させることができる。
【0005】
特許文献1には、スタンバイモードにおいて、電力消費が小さい2値の表示信号を生成して表示部に出力することによって、低消費電力を実現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−188499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、携帯電話端末等に透明ディスプレイ100を取り付けると、スタンバイモードであっても、画面を透明状態で維持しなければならない。このため、透明ディスプレイ100は、常に給電しなければならず、端末に内蔵される電池が消耗しやすい。また、明るい環境下で使用した場合に表示フレームレートが低いと、透明ディスプレイ100の画面上にちらつきが見えやすくなる。ここで、表示フレームレートと画面上のちらつきの関係について、図9を参照して説明する。
【0008】
図9は、透明ディスプレイ100の表示フレームレートの例を示す。
図9Aは、透明ディスプレイ100の表示フレームレートを60Hzとした例を示す。
図9Bは、透明ディスプレイ100の表示フレームレートを30Hzとした例を示す。
図9A、図9Bには、実線で電圧値を示し、破線で透明ディスプレイ100の透過率を示している。ここで透明ディスプレイ100の透過率は、電圧がプラスにおける透過率の方が、電圧がマイナスにおける透過率より高い。このため、電圧のプラスマイナスが切り替わる際に、透過率に差が生じる。
【0009】
人間の視覚について臨界融合周波数(CFF:Critical Fusion Frequency)を計測した実験より、人間は50Hz以上の時間的分解能を持ちづらいことが知られている。従って、50Hz以上の表示フレームレート(例えば、60Hz)であれば画面のちらつき(フリッカー)は見えにくくなる。このとき、人間の眼は、図9Aに示す、電圧のプラスマイナスによる透明ディスプレイ100の透過率の差を認識しにくく、画面のちらつきを感じにくい。
【0010】
しかし、50Hz以下(例えば、30Hz)であると、画面のちらつき(フリッカー)は見えやすくなる。このとき、人間の眼は、図9Bに示す、電圧のプラスマイナスによる透明ディスプレイ100の透過率の差を認識しやすくなり、画面のちらつきを感じやすくなってしまう。
【0011】
上記の理由により、透明ディスプレイ100の画面を透明にするためには、高い表示フレームレートを維持することが求められるものの、電池の消耗が激しくなる。また、特許文献1に記載された技術を用いても、電力消費は抑えることができず、さらに2値変換したことにより、画面に表示される背景の表示色が制限されてしまう。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、ディスプレイ部を透明にして使用する際に、消費電力を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、電源に接続される第1の電極が形成され、光を透過する第1のガラス板と、電源に接続される第2の電極が形成され、光を透過する第2のガラス板と、第1及び第2のガラス板の間に封止され、第1及び第2の電極を介して電源から供給される電圧がオンされた場合に光を透過し、電圧がオフされた場合に光を分散させる光分散部と、を備えるディスプレイ部に対して、第1及び第2の電極に加える電圧のオン若しくはオフ、又は電圧がオンされている場合に、電圧のプラスマイナスの切替えタイミングを所定の表示フレームレートで制御する。
そして、ディスプレイ部を透明にするスタンバイモードである場合に、表示フレームレートを所定の値に設定し、ディスプレイ部に情報を表示する情報表示モードである場合に、表示フレームレートを所定の値より高い値に設定する指示を行う。
【0014】
このようにしたことで、スタンバイモード又は情報表示モードのいずれかのモードに適した表示フレームレートとして透明ディスプレイを用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ディスプレイ部を透明にするスタンバイモードである場合に、表示フレームレートを所定の値に設定し、ディスプレイ部に情報を表示する情報表示モードである場合に、表示フレームレートを所定の値より高く設定する。このため、ユーザが必要な情報をディスプレイ部に表示させるときだけ表示フレームレートを高くすればよく、ディスプレイ部の消費電力を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態における携帯端末の内部構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における断面視した場合における透明ディスプレイの各層の構成例と、電圧オン・オフの切替え時における光線の変化の例を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における透明ディスプレイの使用例を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における携帯端末のスタンバイモードの処理例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態における携帯端末の内部構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における携帯端末のスタンバイモードの処理例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における携帯端末の情報表示時の処理例を示すフローチャートである。
【図8】従来の透明ディスプレイの使用例を示す説明図である。
【図9】従来の透明ディスプレイの表示フレームレートの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(操作部の操作によって情報表示モードとスタンバイモードを切替える例)
2.第2の実施の形態(環境照度によって表示フレームレートを変更する例)
3.変形例
【0018】
<1.第1の実施の形態>
[携帯端末の全体構成例]
【0019】
図1は、本実施の形態に係る携帯端末1の内部構成例を示す。
本実施の形態の例(以下本例と称する。)においては、基地局との間で、CDMA方式(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)などの各種無線通信方式で無線電話回線を設定して無線通信を行う携帯端末1に適用した例としてある。本例の携帯端末1は、画面の透明又は不透明を切替え可能であり、画面が透明時には背景を透過させ、画面が不透明時には図形、文字等を表示させる表示装置としても用いられる。
【0020】
本例の携帯端末1は、携帯電話端末として用いることを想定するものの、カメラ、その他モバイル向けの端末装置に用いてもよい。携帯端末1は、ユーザが常時所持できるように、小型の筐体に内蔵して構成される。この筐体は、例えば、バー型又はスライド型の形状である。また、携帯端末1は、各部に電力を供給する電源17を備える。電源17には、例えば、二次電池(リチウム電池)が用いられる。
【0021】
携帯端末1は、無線電話用の基地局と無線通信を行うための無線通信部であり、所定の通信方式で通信を行う無線電話用通信回路13を備える。無線電話用通信回路13には、アンテナ11が接続してある。図示はしないが、この無線電話用の通信回路の他に、Bluetooth(登録商標)用や無線LAN(Local Area Network)用の比較的近距離の無線通信用の通信回路を備えてもよい。
【0022】
無線電話用通信回路13が行う無線通信は、携帯端末1の制御部12の制御で実行され、制御部12が通信制御部として機能する。基地局との無線接続などの処理も、制御部12が制御する。制御部12は、制御ライン2を介して携帯端末1内の各部と制御データのやりとりを行い、無線通信以外の端末内の各機能の制御を行う。
【0023】
無線電話用通信回路13で受信したパケット内に、音声データが含まれる場合には、その音声データを取出す。受信パケットから取り出した音声データは、データライン3を介して音声処理部20に供給し、アナログ音声信号への復調処理を行い、復調されたアナログ音声信号をスピーカ18に供給して、音声を出力させる。
【0024】
また、携帯端末1は、音声が入力されるマイクロフォン19を備え、マイクロフォン19で拾った音声信号を、音声処理部20で送信用の音声データに変調し、変調された音声データを無線電話用通信回路13に供給する。無線電話用通信回路13では、供給される音声データを、基地局に送信するパケット内に配置して、無線送信する。
【0025】
また、携帯端末1は、液晶表示パネルなどで構成される表示部14を備え、制御部12の制御で、各種情報の表示を行う。ここでの表示としては、電話の発信や着信に関する表示、電話帳やメールアドレスリストなどの登録された情報の表示、受信メールや送信メールの表示、インターネットに接続してダウンロードした画像の表示などがある。
【0026】
本例の表示部14は、電源17から給電される電圧がオンされると透明となり、電圧がオフされると不透明となる透明ディスプレイ14aと、制御部12から指示される表示フレームレートに基づいて、透明ディスプレイ14aに加える電圧のプラスマイナスの切替えタイミングを制御する表示制御部14bと、を備える。また、表示制御部14bは、高分子分散液晶22に加える電圧のオン又はオフを切替えるスイッチ25(後述する図2参照)を備える。
【0027】
制御部12は、表示部14に画像データを転送する。また、制御部12は、表示制御部14bに対して、スタンバイモードである場合に、前記表示フレームレートを所定の値に設定し、情報表示モードである場合に、前記表示フレームレートを前記所定の値より高い値に設定する指示を行う。透明ディスプレイ14aは、高分子分散液晶22(後述する図2参照)を注入した電極付ガラスパネルに液晶を駆動させるドライバICとして機能する。表示制御部14bは、制御部12から指示された表示フレームレートに基づいて、スタンバイモードにおける電圧のプラスマイナスの切替えタイミングを制御する。
【0028】
また、携帯端末1は、操作部15を備え、操作部15での操作に基づいて、制御部12が各種の処理を行う。例えば、無線電話通信による発信や、メールの送受信、インターネットへのアクセスなどのデータ通信の開始や終了などが、操作部15として用意されたキーなどが操作されることで実行される。また、ユーザは、操作部15を用いることによって、モードを切替えることができる。
【0029】
また、携帯端末1は、制御ライン2及びデータライン3に接続される記憶部16を備え、例えば外部から受信したパケット等によって再構成されるデータを、記憶部16に記憶させる。また、制御部12での制御処理に必要なプログラムについても、記憶部16に記憶させる。記憶部16は、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等が用いられる。
【0030】
携帯端末1には、以下の状態分けに基づいて、表示フレームレートを変えるためのモードが設定される。操作部15は、スタンバイモード又は前記情報表示モードのいずれかを設定することが可能であり、いずれのモードにおいても透明ディスプレイ14aには電源17から給電される。
【0031】
・情報表示モード:不透明とした透明ディスプレイ14aの画面上に文字や絵を表示する状態である。
・スタンバイモード:ユーザが携帯端末1を使用していなかったり、透明ディスプレイ14aを透明にして使用したりする状態である。通常、透明ディスプレイ14aの画面上に何も表示させないようにするためには、透明ディスプレイ14aへの給電を停止するが、スタンバイモードでは、透明ディスプレイ14aを全画面で透明の状態を維持しなければならない。このため、透明ディスプレイ14aは、電源17から給電されつつ全画面で透明の状態を維持する。このとき、制御部12は、表示フレームレートを制御することで透明ディスプレイ14aの消費電力を抑制する。
【0032】
制御部12は、操作部15によって選択されたモードに対応する表示フレームレートを表示制御部14bに指示する。ここで、スタンバイモードが設定されると、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aに対して、20Hzの表示フレームレートで電圧のプラスマイナスを切替える。このため、透明ディスプレイ14aの画面は透明となり、携帯端末1の背景が表示される。一方、情報表示モードが設定されると、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aに対して、60Hzの表示フレームレートで電圧のプラスマイナスを切替える。このとき、情報が表示される部分は不透明となって、アイコン、画像、文字等が表示され、情報が表示されない部分は透明となって携帯端末1の背景が表示される。
【0033】
図2は、断面視した場合における透明ディスプレイ14aの各層の構成例と、電圧オン・オフの切替え時における光線の変化の例を示す。
【0034】
図2Aは、電圧オン時における光線の例を示す。
透明ディスプレイ14aは、第1のガラス板21と、高分子分散液晶22と、第2のガラス板23を積層して構成される。第1のガラス板21,第2のガラス板23は、光を透過する特性を有しており、それぞれ第1の電極24aと第2の電極24bが設けられる。第1の電極24aと第2の電極24bは、導線を介して電源17に接続される。高分子分散液晶22は、第1のガラス板21,第2のガラス板23の間に封止され、第1の電極24aと第2の電極24bを介して電源17から供給される電圧がオンされた場合に前記光を透過し、前記電圧がオフされた場合に前記光を分散させる光分散部として用いられる。
【0035】
電源17と第1の電極24aの導線間には、電圧のオン又はオフを切替えるスイッチ25が設けられる。スイッチ25がオンされると、高分子分散液晶22に電圧が加わり、液晶が整列する。このため、外部から入射される光線26は透明ディスプレイ14aを透過する。このとき、ユーザが第2のガラス板23の側から透明ディスプレイ14aを見ると、第1のガラス板21の側の背景が見える。
【0036】
図2Bは、電圧オフ時における光線の例を示す。
スイッチ25がオフされると、高分子分散液晶22に加わる電圧がゼロとなり、液晶が分散する。このため、外部から入射される光線26は高分子分散液晶22において、分散光27として周囲に分散する。このとき、ユーザが第1のガラス板21の側から透明ディスプレイ14aを見ると、第2のガラス板23が不透明となる。
【0037】
上記の第1の電極24aと第2の電極24bに加える電圧のオン又はオフは、制御部12の指示を受けた表示制御部14bが行う。このように、高分子分散液晶22は、液晶に電圧がかかると入光した光を透過させ(図2A)、電圧をかけないと分散させる(図2B)性質を持つ。このため、外部環境から高分子分散液晶22に入射した光が分散すると、透明ディスプレイ14aの画面は白っぽく表示される。
【0038】
図3は、携帯端末1の使用例を示す。
図3Aは、情報表示モードにおける携帯端末1の使用例を示す。
このとき、透明ディスプレイ14aは、一部透明となり、背景が透過されて表示される領域がある。そして、不透明となる部分には、現在時刻等の情報が表示される。
【0039】
図3Bは、スタンバイモードにおける携帯端末1の使用例を示す。
このとき、透明ディスプレイ14aは、全画面が透明となり、背景が透過されて表示されるものの、図形、文字等の情報は表示されなくなる。スタンバイモードにおいては、この状態を維持するため、電力消費を抑えることが求められる。
【0040】
図3Cは、スタンバイモードにおいて、透明ディスプレイ14aにかける電圧をオフした場合における携帯端末1の使用例を示す。
このとき、透明ディスプレイ14a、画面が全て不透明となる。このため、背景が透過されず、情報も表示されない。
【0041】
携帯電話端末のようなモバイル向けの端末では、スタンバイモードの時間が長いため、透明ディスプレイ14aに給電する状態が長くなると、消費する電流が多くなり電池が消耗しやすい。そこで、スタンバイモード時に透明ディスプレイ14aが消費する電力を低く抑えることができれば、例えば、携帯電話端末では待ち受け時間が長くなるため、ユーザの利便性が高まる。
【0042】
図4は、スタンバイモードから情報表示モードに切替える場合における制御部12の処理の例を示す。
【0043】
始めに、制御部12は、スタンバイモードを開始する(ステップS1)。スタンバイモードは、ユーザからの操作が一定時間なかった後に、携帯端末1が省電力状態(待ち受け状態)に移行した場合、又は、ユーザが操作部15を用いてモードの切替え操作が行われた場合に開始される。スタンバイモードの開始を受けて、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aを全画面で透明に表示するように設定する(ステップS2)。次に、制御部12は、表示制御部14bに表示フレームレートを20Hzに変更する指示を行う(ステップS3)。そして、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを20Hzに変更する。
【0044】
次に、制御部12は、スタンバイモードが解除される指示(情報表示モードへの切替え指示)を、操作部15から受けたか否かを判断する(ステップS4)。スタンバイモードが解除される指示を受けていない場合、制御部12は、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを20Hzのまま維持し、スタンバイモードの解除指示を待つ。
【0045】
制御部12は、操作部15からスタンバイモードが解除される指示を受けると、情報表示モードに設定される。そして、制御部12は、表示制御部14bに表示フレームレートを60Hzに変更する指示を行う(ステップS5)。
【0046】
次に、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを60Hzに変更する。その後、制御部12は、情報表示モードを開始する(ステップS6)。なお、情報表示モードからスタンバイモードへは、ユーザの操作部15の操作によって指示すればよい。
【0047】
以上説明した第1の実施の形態によれば、情報表示モードにおける表示フレームレートは、スタンバイモードにおける表示フレームレートより高く設定してある。そして、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートは、ユーザがモードを切替える操作によって任意に変更できる。このため、携帯端末1を用いる周囲の環境が暗ければ、表示フレームレートを落とすことにより、電源17の消費電力を抑えることができるという効果がある。
【0048】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5〜図7を参照して説明する。
本実施の形態では、環境照度によって、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを自動的に変える携帯端末30に適用した例について説明する。以下の説明において、既に第1の実施の形態で説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
図5は、本実施の形態に係る携帯端末30の内部構成例を示す。
携帯端末30は、上述した第1の実施の形態に係る携帯端末1が備える各ブロックに加えて、周辺の環境照度を計測する照度計測部31を備える。本例の照度計測部31は、表示部14に設置される。
【0050】
照度計測部31は、携帯端末30の周囲環境の照度を計測して得られる照度値(以下、「環境照度」という。)に基づくアナログ電圧を出力する。本例の制御部12は、高分子分散液晶22の動作を制御すると共に、またアナログ電圧入力ポートを備えており、環境照度に基づくアナログ電圧の入力信号をデジタルデータに変換して所定の演算処理を行う。そして、制御部12は、照度計測部31から取得した前記環境照度に基づいて設定した前記スタンバイモード又は前記情報表示モードに対応する前記表示フレームレートを、前記表示制御部14bに指示する。
【0051】
また、本例の透明ディスプレイ14aは、以下の性質を持つ。
(1)透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを下げれば電力消費が抑えられる。
(2)主観評価結果によれば、透明ディスプレイ14aは、一般的な液晶表示装置と比較して、環境照度が低くなると、表示フレームレートを落としても、ユーザは画面のちらつきを認識しづらいことが判明している。例えば、環境照度が10000lxである場合、表示フレームレートは60Hz程度に設定する必要があるが、環境照度が500lxである場合、表示フレームレートを20Hz程度まで下げることは可能である。
(3)高分子分散液晶22は、入光が多いほど、白色の表示がはっきり見える特性を持つ。その特性から、暗い環境下では透明ディスプレイ14aの表示は視認しづらくなることが判明している。
【0052】
このため、以下のポイントに留意して、制御部12は、表示制御部14bを介して透明ディスプレイ14aを制御することによって、スタンバイモード時における電源17の消費電力を抑える。
(1)制御部12は、環境照度によって透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを変更する。照度が高い場合は表示フレームレートを高く、照度が低い場合には表示フレームレートを低く設定する。
(2)環境照度が1lx以下の場合は、電源17から透明ディスプレイ14aへの給電を停止し、透明ディスプレイ14aを全画面で白表示させる。ただし、本例では、1lxとしているが、ユーザが暗いと感じる程度の照度で良い。
【0053】
図6は、スタンバイモードから、情報表示モードを開始するまでの処理例を示す。
【0054】
始めに、制御部12は、スタンバイモードを開始する(ステップS11)。スタンバイモードの開始条件は、上述した図4におけるステップS1の場合と同様である。次に、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aの全画面を透明表示する(ステップS12)。このとき、例えば、表示フレームレートが20Hzで設定される。
【0055】
表示制御部14bは、スタンバイモードが解除されたか否かを判断する(ステップS13)。本例において制御部12は、スタンバイモードが解除されたか否かを環境照度によって判断する。ステップS13の判断は、例えば、1分毎に行われるが、操作部15によって情報表示モードに切替え操作がなされたときは、優先的に割込み処理が行われる。
【0056】
スタンバイモードが解除された場合、情報表示モードに移行するため、制御部12は、初期設定された表示フレームレート(例えば、60Hz)を表示制御部14bに指示する。そして、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを、初期設定された表示フレームレートに変更する(ステップS14)。その後、制御部12は、情報表示モードに設定を変更し(ステップS15)、情報表示モードを開始する(ステップS16)。
【0057】
一方、ステップS13において、制御部12は、スタンバイモードが解除されていないと判断した場合、照度計測部31から環境照度を取得する(ステップS17)。取得した環境照度は、記憶部16に一時保存される。
【0058】
次に、制御部12は、記憶部16から読み出した以前の環境照度と、現在の環境照度が大きく異なるか否かを判断する(ステップS18)。以前の環境照度と、現在の環境照度がほぼ同じ値であれば、制御部12は、処理をステップS13に戻す。
【0059】
一方、以前の環境照度と、現在の環境照度が大きく異なる場合、制御部12は、透明ディスプレイ14aへの給電が停止しているか否かを判断する(ステップS19)。制御部12は、透明ディスプレイ14aに給電されていると判断した場合、処理をステップS21に移す。
【0060】
一方、制御部12は、透明ディスプレイ14aへの給電が停止していると判断した場合、表示制御部14bに対して、透明ディスプレイ14aに給電を開始する指示を行う(ステップS20)。電源17から透明ディスプレイ14aに給電され、表示制御部14bが所定の表示フレームレートで透明ディスプレイ14aを駆動すると、透明ディスプレイ14aが全画面で透明表示する状態となる。
【0061】
次に、制御部12は、ステップS17で取得した環境照度が所定の値以上であるか否かを判断する(ステップS21)。本例では、所定の値を1lxとしている。制御部12は、環境照度が1lx以上であると判断した場合、制御部12は、環境照度から最適な表示フレームレートを算出する(ステップS22)。
【0062】
次に、制御部12は、算出した表示フレームレートを表示制御部14bに通知し、表示制御部14bは、この表示フレームレートに変更する(ステップS23)。ステップS22,S23において、制御部12は、環境照度に合わせて、20Hz〜60Hzの範囲内の前記表示フレームレートとする指示を前記表示制御部14bに行う。例えば、明るい環境であることが判明すると、制御部12は、表示フレームレートを60Hzに変更する指示を表示制御部14bに行う。
その後、制御部12は、処理をステップS13に戻す。
【0063】
一方、ステップS21において、制御部12は、環境照度が1lx未満であると判断した場合、表示制御部14bに透明ディスプレイ14aへの給電を停止させ、透明ディスプレイ14aに加える電圧をオフにする(ステップS24)。この結果、透明ディスプレイ14aは、全画面で白く表示する状態となる。そして、制御部12は、処理をステップS13に戻す。なお、情報表示モードからスタンバイモードへは、ユーザの操作部15の操作によって指示すればよい。
【0064】
図7は、制御部12が表示フレームレートを変更する処理の例を示す。
【0065】
始めにスタンバイモードである場合、制御部12は、照度計測部31から環境照度を取得する(ステップS31)。次に、制御部12は、環境照度に基づいて最適な表示フレームレートを求める(ステップS32)。
【0066】
そして、制御部12は、表示制御部14bに対して、算出した表示フレームレートを通知する。この結果、表示制御部14bは、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを、制御部12が算出した表示フレームレートに変更する(ステップS33)。
【0067】
以上説明した第2の実施の形態に係る携帯端末30によれば、制御部12は、スタンバイモード時に照度計測部31が計測した環境照度に基づいて、最適な表示フレームレートの変更を表示制御部14bに指示することによって、透明ディスプレイ14aの表示フレームレートを変更することが可能である。このため、ユーザは明示的な指示を行うことなく、携帯端末30を使用する環境に合った表示フレームレートを設定することが可能であり、利便性が向上するという効果がある。
【0068】
また、スタンバイモードにおいて、ユーザが携帯端末30をカバン等に収納することによって、全く携帯端末30を使用しない状況も想定される。しかし、制御部12は、所定の周期で環境照度を測定するため、環境照度が1lx未満であることを判断すると、透明ディスプレイ14aへの給電を停止する。このため、電源17の電力消費を抑えることができるという効果がある。
【0069】
なお、情報表示モードにおいても、上述した図6に示した表示フレームレートの切替え処理を適用してもよい。ただし、環境照度が低い場所(暗闇等)では、情報表示モードにすると、別途用意した光源によって透明ディスプレイ14aの画面に光を照らさなければならず、電源17は常にライトに給電しなければならず、図6におけるステップS24の処理は不要となる。従って、情報表示モードにおける処理は、環境照度によって表示フレームレートを変更する処理のみ用いることとなる。
【0070】
また、環境照度に依存しないで、スタンバイモードに変更されたときに表示フレームレートを下げる場合にも適用できる。この場合、まず、スタンバイモードに移行すると透明ディスプレイ14aの全画面を透明とする。次に、表示フレームレートを60Hzから20Hzに落とせば、容易に透明ディスプレイ14aの電力を低く抑えることができる。
【0071】
また、制御部12は、所定の時間(例えば、1分)毎にモードの切替えを判断する。これにより、常にモードの切替えを判断する場合に比べて、電源17に充電された電力の消費量を抑えることができるという効果がある。
【0072】
なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る携帯端末では、携帯電話端末に適用した例について説明したが、その他の電子機器にも適用してもよい。また、デジタル時計等に用いられるSTN(Super Twisted Nematic)液晶を備えた表示装置等に適用してもよい。また、照度計測部31を、透明ディスプレイ14aの内部に設けることも可能である。
【0073】
また、上述した第1及び第2の実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、携帯端末に供給してもよい。また、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPU等の制御装置)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、機能が実現されることは言うまでもない。
【0074】
この場合のプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0075】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現される。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)などが実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0076】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
1…携帯端末、2…制御ライン、3…データライン、11…アンテナ、12…制御部、13…無線電話用通信回路、14…表示部、14a…透明ディスプレイ、14b…表示制御部、15…操作部、16…記憶部、17…電源、18…スピーカ、19…マイクロフォン、20…音声処理部、21…第1のガラス板、22…高分子分散液晶、23…第2のガラス板、24a…第1の電極、24b…第2の電極、25…スイッチ、26…光線、27…分散光、30…携帯端末、31…照度計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続される第1の電極が形成され、光を透過する第1のガラス板と、
前記電源に接続される第2の電極が形成され、前記光を透過する第2のガラス板と、
前記第1及び第2のガラス板の間に封止され、前記第1及び第2の電極を介して前記電源から供給される電圧がオンされた場合に前記光を透過し、前記電圧がオフされた場合に前記光を分散させる光分散部と、を有するディスプレイ部と、
前記第1及び第2の電極に加える電圧のオン若しくはオフ、又は前記電圧がオンされている場合に、前記電圧のプラスマイナスの切替えタイミングを所定の表示フレームレートで制御する表示制御部と、
前記表示制御部に対して、前記ディスプレイ部を透明にするスタンバイモードである場合に、前記表示フレームレートを所定の値に設定し、前記ディスプレイ部に情報を表示する情報表示モードである場合に、前記表示フレームレートを前記所定の値より高い値に設定する指示を行う制御部と、を備える
表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記スタンバイモードである場合に、前記表示フレームレートを20Hzとし、前記情報表示モードである場合に、前記表示フレームレートを60Hzとする指示を前記表示制御部に行う
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
更に、周辺の環境照度を計測する照度計測部と、を備え、
前記制御部は、前記照度計測部から取得した前記環境照度に基づいて設定した前記スタンバイモード又は前記情報表示モードに対応する前記表示フレームレートを、前記表示制御部に指示する
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記スタンバイモードであり、前記環境照度が所定の値未満である場合に、前記電圧をオフし、前記スタンバイモードであり、前記環境照度が前記所定の値以上である場合に、前記環境照度に合わせて、20Hz〜60Hzの範囲内の前記表示フレームレートとする指示を前記表示制御部に行う
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
更に、前記スタンバイモード又は前記情報表示モードのいずれかを設定する操作部を備える
請求項2又は4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
電源に接続される第1の電極が形成され、光を透過する第1のガラス板と、前記電源に接続される第2の電極が形成され、前記光を透過する第2のガラス板と、前記第1及び第2のガラス板の間に封止され、前記第1及び第2の電極を介して前記電源から供給される電圧がオンされた場合に前記光を透過し、前記電圧がオフされた場合に前記光を分散させる光分散部と、を備えるディスプレイ部に対して、前記第1及び第2の電極に加える電圧のオン若しくはオフ、又は前記電圧がオンされている場合に、前記電圧のプラスマイナスの切替えタイミングを所定の表示フレームレートで制御するステップと、
前記ディスプレイ部を透明にするスタンバイモードである場合に、前記表示フレームレートを所定の値に設定し、前記ディスプレイ部に情報を表示する情報表示モードである場合に、前記表示フレームレートを前記所定の値より高い値に設定する指示を行うステップと、を含む
表示方法。
【請求項7】
電源に接続される第1の電極が形成され、光を透過する第1のガラス板と、前記電源に接続される第2の電極が形成され、前記光を透過する第2のガラス板と、前記第1及び第2のガラス板の間に封止され、前記第1及び第2の電極を介して前記電源から供給される電圧がオンされた場合に前記光を透過し、前記電圧がオフされた場合に前記光を分散させる光分散部と、を備えるディスプレイ部に対して、前記第1及び第2の電極に加える電圧のオン若しくはオフ、又は前記電圧がオンされている場合に、前記電圧のプラスマイナスの切替えタイミングを所定の表示フレームレートで制御する手順と、
前記ディスプレイ部を透明にするスタンバイモードである場合に、前記表示フレームレートを所定の値に設定し、前記ディスプレイ部に情報を表示する情報表示モードである場合に、前記表示フレームレートを前記所定の値より高い値に設定する指示を行う手順を
コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−256632(P2010−256632A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106854(P2009−106854)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】