表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法
【課題】 所望の色を長期間に渡って表示することができる表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法を提供する。
【解決手段】 表示する色についての基準色を規定する色バランス座標(点a、点b)を少なくとも2つ有することを特徴とする。
【解決手段】 表示する色についての基準色を規定する色バランス座標(点a、点b)を少なくとも2つ有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代の表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)が期待されている。有機EL表示装置は、発光層を上下の電極間に挟持した有機EL素子を基板面内に複数配列して構成され、各有機EL素子を独立に駆動制御することで所望の表示を行うようになっている。この有機EL表示装置では、駆動初期には高輝度で発光することが可能であるが、連続的に発光を行うと徐々に効率が低下し、輝度が低下するという問題を有していた。そこで、有機EL素子の長寿命化を図るべく、有機EL素子を交流駆動とした有機EL装置(例えば、特許文献1参照)および正弦波の交流駆動とした有機EL装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
また最近では、カラー表示が可能な有機EL表示装置が開発されている。有機EL表示装置でカラー表示を行うためには、赤、緑、青のそれぞれに対応する発光色を有する3個の有機EL素子(画素)により1ピクセルを構成するのが通常である。そして、上記各色の発光層は、各々異なる発光輝度を有しているため、表示のホワイトバランスを取るために、各有機EL素子の発光面積を異ならせるといった工夫が成されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平8−180972号公報
【特許文献2】特開2000−30862号公報
【特許文献3】特開平10−39791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記各特許文献に記載の技術によれば、上記個別の問題点について一応の解決手段を提供することが可能であると思われる。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、点灯に費やせる期間を長くでき、比較的高輝度の表示が可能であると考えられるものの、その分逆バイアス電圧の波高値が高くなり、逆バイアス電圧による有機EL素子の絶縁破壊を起こし易くなるという問題点を有している。
【0005】
特許文献2に記載の技術では、順方向の電流、ないし逆バイアス電圧についてリミットを設け、有機EL素子の絶縁破壊の防止を図っている。しかし、交流駆動波形として正弦波を用いるため、大容量表示に対応できる駆動波形を印加するのは、駆動にICを用いる以上かなり難しい。また、上記特許文献1,2に記載の技術では、駆動時に完全な交流電界(波高値、電荷総量において順逆で同等となる電界)を印加することができないため、駆動中に素子内部に電荷の偏りが発生し、電極、電荷注入輸送層、発光層の分解を引き起こすおそれがある。そのため、表示装置として充分な寿命を確保することが極めて困難になる。
【0006】
特許文献3に記載の技術では、駆動初期におけるホワイトバランスを取ることはできるものの、有機EL素子では、発光特性のみならず発光寿命も各色で異なっているため、経時的に有機EL素子の輝度バランスが変化し、駆動時間の経過とともにホワイトバランスが崩れてくるという問題がある。そこで、従来の表示装置では、3原色をなす各発光素子の発光寿命が異なる場合、製造時において白色となっていた表示領域が、時間の経過とともに黄緑色などに変化してしまう。したがって、かかる従来の表示装置を用いて車のスピードメータなどが配置されるインストルメントパネル(以下、「インパネ」という)を製造した場合、車購入時は白色のスピードメータが数年後には黄緑色になるという不都合が生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、所望の色を長期間に渡って表示することができる表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、赤、緑、青などの基本色を合成して所望の色を表示する表示装置において、基本色を発光する発光手段の経年劣化特性が各色ごとに異なっていても、所望の色を長期間に渡って表示することができる表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、表示装置の長寿命化を図ることができ、かつ経時的な色バランスの変化を抑えて良好なカラー表示が得られる表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の表示装置は、表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ有することを特徴とする。
本発明は、例えば赤、緑、青などの基本色を合成して所望の色を表示する表示装置において、基本色を発光する発光手段の経年劣化特性が各色ごとに異なっている場合に好適である。このような場合、本発明によれば、複数の色バランス座標における一つを、白色を示す座標からずれた位置に設定することにより、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば、青)の使用量(輝度、発光量又は駆動電流量など)を低減することができる。すなわち、青の発光手段の輝度を、赤及び緑の発光手段の輝度よりも小さくし、これらの合成光がなす色を前記ずれた位置の色バランス座標の色とすることができる。本発明によれば、前記ずれた位置の色バランス座標の色を表示することにより、各色の発光手段の寿命を均一化することができ、所望の色を長期間に渡って表示することが可能となり、表示装置の長寿命化を図ることができる。また、本発明によれば、自然物の表示など特に色表現の多様化を図りたい場合は、複数の色バランス座標における他の一つを、白色を表示する座標としてその座標でホワイトバランスをとることなどにより、高品位なカラー画像を表示することもできる。
【0009】
また、本発明の表示装置は、前記少なくとも2つの色バランス座標における一つが白色を規定するものであることが好ましい。
本発明によれば、例えば、白色を規定する色バランス座標(第1座標)でホワイトバランスをとることにより、高品位なカラー画像を表示することもできる。そして、高品位なカラー画像を表示する必要がない場合は、他の色バランス座標(第1座標以外)を用いてカラー表示することにより、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の表示装置は、前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、(x,y)空間を有する色度図における第1座標(0.33±0.02,0.33±0.02)を示すものであり、他の色バランス座標は、該色度図における該第1座標以外の座標を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、第1座標が白色を示すので、第1座標をホワイトバランスの基準点として用いることなどにより、色表現範囲の広い高品位なカラー画像を表示することができる。また、色度図における第1座標以外の座標を用いて所望の色を表示することにより、表示装置の長寿命化を図ることができる。換言すれば、第1座標を用いて、ホワイトバランスをとりながらその表示装置の色表現能力の全てを用いて高品位なカラー画像を表示することができる。また、第1座標以外の座標を用いて、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば、青)の輝度などを低減して色表示して、各色の発光手段の寿命を均一化でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の表示装置は、前記白色を規定する色バランス座標の使用比率を、他の色バランス座標の使用比率よりも小さくする座標切替制御手段を有することが好ましい。
本発明によれば、座標切替制御手段により、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば青)の使用比率を低減することができる。ここで、使用比率とは、発光時間のみならず、輝度(人の見る光を発する面の明るさ)、光度(点光源の明るさ)又は駆動電流量などの比率を含むものであって、発光の経年劣化特性について影響を与える要因の比率である。
【0012】
また、本発明の表示装置は、光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを有し、前記色バランス座標は、前記ピクセルで表示される色の基準色を規定するものであることが好ましい。
本発明によれば、ピクセルにおいて各種の色を表示することができる。そこで、複数のピクセルを所定領域に配置することにより、その所定領域でカラー画像を表示できる。また、本発明によれば、1つのピクセルをなす各画素の経年劣化特性が異なっていても、経年劣化特性の悪い画素(例えば青の画素)の使用比率を低減でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0013】
また、本発明の表示装置は、前記ピクセルは、第1ピーク波長(R)の光を表示する第1画素と、第2ピーク波長(G)の光を表示する第2画素と、第3ピーク波長(B)の光を表示する第3画素とを有してなり、前記色バランス座標は、第1色バランス座標と第2色バランス座標とを有し、前記第1色バランス座標は、白色を示すものであり、前記第2色バランス座標は、白色以外の色を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、例えば、第1画素が赤を表示し、第2画素が緑を表示し、第3画素が青を表示することにより、カラー画像を表示できる。そして、本発明は、第1色バランス座標を用いることにより、色表現範囲の広い高品位なカラー画像を表示でき、第2色バランス座標を用いることにより、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の表示装置は、前記第2色バランス座標が、前記第1画素、第2画素及び第3画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の小さいものの光について、該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、第2色バランス座標を用いて各種の色を表示できるとともに、第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の大きいものの光の比率を小さくすることができる。そこで、本発明は、第2色バランス座標を用いて、カラー画像を表示しながら、表示特性の経年劣化を抑えることができる。
【0015】
また、本発明の表示装置は、自然画像を表示するときは前記第1色バランス座標を用いて表示色について制御し、計測器の計測結果を示す計器画像を表示するときは前記第2色バランス座標を用いて表示色について制御する表示色制御手段を有することが好ましい。
本発明によれば、例えばビデオカメラで入力された景色又は人物などのような自然画像を表示するときは、白色を示す第1色バランス座標を用いて高品位なカラー画像を表示することができる。また、計測器の計測結果などを示す計器画像を表示するときは、第2色バランス座標を用いて表示特性の経年劣化を抑えることができる。すなわち、第2色バランス座標を用いるときは、第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の大きいものの光の比率を小さくすることができ、表示特性の経年劣化を抑えることができる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の車載用表示装置は、前記表示装置を車に搭載可能な構成としたことを特徴とする。
また、本発明の車載用表示装置は、前記表示装置が車内の運転席周辺に配置されたインストルメントパネルに取り付けられるものであることが好ましい。
本発明によれば、例えば、車のインパネにおいてスピード表示などをするときは、第2色バランス座標を用いて、色表示範囲を狭めながら、表示装置の長寿命化を図ることができる。また、例えば車のバック時に、かかるインパネにおいて、車後方の画像を表示するときは、第1色バランス座標を用いて、色表現範囲の広い高品位なカラー画像を表示することができる。そこで、本発明によれば、ドライバーに対して各種態様の情報を正確にカラー表示することができ、製品寿命が長い車載用表示装置を提供することができる。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、前記表示装置を有してなることを特徴とする。
本発明によれば、カラー画像を表示できるとともに、所望の色を長期間に渡って表示でき、寿命の長い表示装置を備えた電子機器を提供することができる。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の表示方法は、表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ設定することを特徴とする。
本発明によれば、例えば、白色を色バランス座標としたときは、色表現領域を表示装置の能力一杯まで広げて、高品位なカラー画像を表示することができる。また、白色以外の色を色バランス座標としたときは、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば、青)の輝度などを低減することにより、各色の発光手段の寿命を均一化でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の表示方法は、前記少なくとも2つの色バランス座標における一つが白色を規定するものであり、前記白色を規定する色バランス座標は、他の色バランス座標と比べて使用比率を小さくすることが好ましい。
本発明によれば、例えば、白色を規定する色バランス座標でホワイトバランスをとることなどにより、高品位なカラー画像を表示することもできる。また、本発明によれば、他の色バランス座標を用いてカラー表示することにより、各色の発光手段の寿命を均一化でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0020】
また、本発明の表示方法は、光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを用いて、画像を表示し、前記他の色バランス座標は、前記ピクセルを構成する画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該ピクセルを構成する画素のうちで発光輝度についての経年劣化の小さい画素の表示光について該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、ピクセルを構成する画素のうちで発光輝度の経年劣化の大きいものの光の比率を小さくすることができる。そこで、本発明は、経年劣化の大きい画素を低輝度で発光などさせるので、各画素の経年劣化を均一化することができ、表示特性の経年劣化を抑えることができる。
【0021】
また、本発明の表示方法は、計測器の計測結果を表示するときに、前記他の色バランス座標を用いて表示し、前記計測結果以外の表示をするときに、前記白色を規定する色バランス座標を用いて表示することが好ましい。
本発明によれば、計測結果などを示す計器画像を表示するときは、前記他の色バランス座標を用いて色表現領域を狭めることにより、各画素の経年劣化を均一化することができ表示特性の経年劣化を抑えることができる。また、例えばビデオカメラで入力された画像のような自然画像を表示するときは、白色を規定する色バランス座標を用いて色表現領域を広げることにより、高品位なカラー画像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について、図面を参照して説明する。
【0023】
(基本構成)
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の基本構成を説明するための図である。そして、図1はx軸及びy軸により規定された(x,y)空間を有する色度図を示している。本実施形態の表示装置は、第1ピーク波長(R)の光を発光する第1画素と、第2ピーク波長(G)の光を発光する第2画素と、第3ピーク波長(B)の光を発光する第3画素とを1組としてなるピクセルが、複数行列状に配置されたものからなる。
【0024】
第1画素は、色度図における点Rで規定される赤色の光を発する。点Rは、例えば色度図における座標(0.66,0.33)とする。第2画素は、色度図における点Gで規定される緑色の光を発する。点Gは、例えば色度図における座標(0.41,0.58)とする。第3画素は、色度図における点bで規定される青色の光を発する。点bは、例えば色度図における座標(0.15,0.26)とする。下記の表1は、上記第1〜第3画素の発光色の色度図における座標を表として示したものである。
【0025】
【表1】
【0026】
そして、各ピクセルにつき第1〜第3画素それぞれの発光色が合成される。これにより本表示装置は、色度図において点R,点G及び点bを頂点とする三角形の内側領域の色を表示することができる。すなわち、第1〜第3画素の混合比(輝度比)を変えることにより、赤、緑、青などの各種の色を表示できる。例えば、第1画素(R)の輝度を大、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度を小とすることにより赤色を表示でき、第2画素(G)の輝度を大、第1画素(R)及び第3画素(B)の輝度を小とすることにより緑色を表示でき、第3画素(B)の輝度を大、第1画素(R)及び第2画素(G)の輝度を小とすることにより青色を表示できる。
【0027】
また、本表示装置において白色を表示するには、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)それぞれの輝度をほぼ均一にする。正確な白色(純白)を表示するには、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度比を(0.2:0.53:0.27)とする。この純白は、色度図における点aが示す座標(0.33,0.33)で規定される。この点aは、本発明の第1色バランス座標であり、本表示装置で純白(基準色)を表示するための基準点となるものである。
【0028】
さらに、本実施形態の表示装置では、第1色バランス座標とは異なる座標に規定された第2色バランス座標を有している。第2色バランス座標は、第1色バランス座標とは異なる色の本表示装置の基準色を規定するための基準点となるものである。第2色バランス座標は、純白を規定する第1色バランス座標を基準として、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)における寿命の長い色の方向へ移動させる座標とする。本表示装置では、一例として、第3画素(B)の青色の寿命が短いものとしている。そこで、本表示装置は、第1色バランス座標の点aから、第1画素(R)及び第2画素(G)の赤及び緑の方向へシフトした点bを第2色バランス座標としている。
【0029】
本実施形態の第2色バランス座標は、第3画素(B)の青色の寿命が短いということより、白色を示すa点と、赤色を示す第1画素のR点と、緑色を示す第2画素のG点とを頂点とする三角形(点線)の内側に設定する。この三角形の内側であれば、表示装置の使用形態(例えば車載インパネ)に応じた第1画素(R)及び第2画素(G)の使用頻度、又はユーザの好みによって、第2色バランス座標を任意の位置に設定することもできる。また、第2色バランス座標は、1つに限定する必要はなく、複数設定してもよい。
【0030】
本実施形態では、第2色バランス座標の一例として、色度図における点bが示す座標(0.43,0.38)を第2色バランス座標としている。この第2色バランス座標は、黄色又は橙色を示している。下記の表2は、第1色バランス座標(点a)及び第2色バランス座標(点b)について、色度図における座標と、第1から第3画素(R,G,B)の輝度比とで示すものである。
【0031】
【表2】
【0032】
この表2に示すように、点bの第2色バランス座標は、第3画素(B)の輝度比が第1画素(R)及び第2画素(G)の輝度比よりも小さくなっている。そこで、第2色バランス座標の色を表示させ続けることにより、第3画素(B)の使用率が第1画素(R)及び第2画素(G)の使用率よりも小さくなり、第3画素(B)の寿命を点aの第1色バランス座標の第3画素(B)の寿命に比べて伸ばすことができる。
【0033】
図2は、本表示装置の第1〜第3画素(R,G,B)について、点灯時間と輝度低下率との関係(経年劣化特性)の一例を示した図である。すなわち、図2は、第1〜第3画素(R,G,B)のそれぞれについて、一定電流を流し続け、所定時間毎に輝度を測定したときのデータを示している。本表示装置の第1〜第3画素のそれぞれは、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子で構成されているものとする。図2に示すように、本実施形態では、第2画素(G)の寿命が一番長く、その次に第1画素(R)の寿命が長く、第3画素(B)の寿命が一番短くなっている。
【0034】
そこで、本表示装置では、第2色バランス座標の色を表示させ続けることにより、第3画素(B)の使用率が低くなり、第3画素(B)の寿命を長くすることができる。一方、第1画素(R)及び第2画素(G)の寿命は短くなる。したがって、本実施形態の表示装置によれば、第1から第3画素(R,G,B)の寿命の均一化を図ることができ、表示装置の寿命を長くすることができる。
【0035】
また、第1画素(R)及び第2画素(G)のみで各種の色を表示することもできるが、色再現範囲が狭くなる。本表示装置では、第3画素(B)の輝度を点aの第1色バランス座標の第3画素(B)の輝度よりも下げて点灯させることにより、色再現範囲を確保しながら、色ずれを抑制することができる。
【0036】
図3及び図4は、本実施形態の表示装置で構成した車載インパネ(の一部)の一例を示す模式図である。図3及び図4に示す車載インパネ150は、発光エリア全面が自発光するディスプレイである。したがって、電源OFF時は、全面が例えば黒色となる。そして車載インパネ150は、例えば、昼間、明るい場所であっても、夜間やトンネルのような暗い場所でも、発光させた状態で使用する。図3及び図4では、スピードメータの輪郭151及び数字152などの計器類を表示させた状態となっている。そして、車載インパネ150は、通常はメータなど計器類を表示し、このとき第2色バランス座標で表示させている。図4は、スピードメータの輪郭151及び数字152などにおいて色ずれが起きた場合の一例を示している。
【0037】
また、車載インパネ150は、バックモニタとしても機能でき、故障などの車の状態表示、TV電話の自然画像なども表示することもできる。車載インパネ150は、このような高品質な画像表示が必要な場合にのみ、第1色バランス座標を用いる。
【0038】
車載インパネ150では、車を運転中のほとんどの時間が第2色バランス座標での表示となる。したがって、第1色バランス座標での表示時間は、第2色バランス座標での表示時間に対して、短くなり、例えば5%以下になる。また、車載インパネ150では、夜間は昼間の1/10以下の輝度で十分であるので、例えば昼間150[cd/m2]、夜間15[cd/m2]とすると、夜間は第1色バランス座標で表示する。
【0039】
そこで、本実施形態の車載インパネ150では、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度低下率の均一化が図れ、図4に示すような色ずれ(変色)を良好に抑えることができる。
【0040】
第1色バランス座標と第2色バランス座標を切り替えるには、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度比を切り替えればよい。この輝度比を切り替えるためには、本発明の座標切替制御手段がなす次の構成手法が挙げられる。
第1手法は、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)をなす各有機EL素子に流す電流値の比を変える。電流値を小さくするほど、低輝度になるが輝度低下率は小さくなり寿命が長くなる。
第2手法は、各画素をなす各有機EL素子の点灯時間を変える。例えば、各画素を数100Hz以上の周波数の矩形波で駆動し、デューティー比を第1〜第3画素ごとに変えることで見かけ上の輝度比(単位時間での平均輝度の比)を変えることができる。
第3手法は、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)をなす各有機EL素子の点灯面積比を変える。例えば表示装置を複数のピクセルで構成し、各ピクセルを4つ以上の画素で構成する。そして、各ピクセルにおいて、第1〜第3画素の点灯面積比を変えることにより、画面全体又は所定領域の輝度比を変える。
【0041】
(色シフトの具体例)
図5は、本実施形態の表示装置を第1色バランス座標の白色で表示させ続けたとき、各画素の輝度の変化を示す図である。図5に示すように第3画素(B)の輝度の低下率が他の第1画素(R)及び第2画素(G)の低下率に比べて大きくなっている。
【0042】
図6は、図5に示す状態で表示させ続けたとき、その表示光の色の変化を示す図である。すなわち、図6は、本表示装置を白色で表示させ続けようとしたとき、第1から第3画素の合成光の色変化状態を示している。図6に示すように、表示時間が長くなるほど、合成光の色は、色度図におけるx軸座標及びy軸座標が大きくなり、白色(0.33,0.33)の座標から大きく離れた座標の色(黄色)となる。例えば、20000時間経過後の合成光の色は、座標(0.46,0.46)の色となり、白色とは座標dxy(0.13,0.13)だけ離れた色となる。
【0043】
図7は、本実施形態の表示装置を第2色バランス座標の色で表示させ続けたとき、各画素の輝度の変化を示す図である。図7に示すように第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度の低下率がほぼ均一となっている。
【0044】
図8は、図7に示す状態で表示させ続けたとき、その表示光の色の変化を示す図である。すなわち、図8は、本表示装置を第2色バランス座標の黄色(又は橙色)で表示させ続けようとしたとき、第1から第3画素の合成光の色変化状態を示している。図8に示すように、表示時間が長くなっても、合成光の色は、色度図におけるx軸座標及びy軸座標ともに殆ど変化しない。すなわち、合成光の色の変化は、色度図において極めて小さな値dx,dyとなり、肉眼では識別できないほどとなる。
【0045】
(画素の寿命と輝度切替の閾値)
図9は、本実施形態の表示装置における第3画素(B)の初期輝度(2つ)と寿命(輝度の閾値)との関係を示す図である。図9において、横軸は発光時間であり、縦軸は輝度である。
第3画素の輝度が20%劣化する時間をT80として、表示装置に必要な寿命をTLとする。すると、寿命TLにおいて正常に動作する表示装置とするためには、
T80>TL (1)
という関係である必要がある。
【0046】
図9において、本表示装置における第1色バランス座標の白色を表示するときの第3画素(B)の輝度の初期値を、Laとする。そして、初期輝度Laの状態で第3画素(B)を点灯させ続けたときの輝度変化が曲線Baである。図9における輝度L80aは、輝度Laに対して80%の輝度である。また、曲線Baにおいて輝度が20%劣化する時間はT80aであり、
T80a<TL (2)
という関係となる。これより、第1色バランス座標の状態で表示し続けると、表示装置に必要な寿命となる前に表示不良となってしまう。
【0047】
上記式(1)の関係を満足させるための第3画素(B)の輝度の初期値は、図9におけるLbとなる。そして、初期輝度Lbの状態で第3画素(B)を点灯させ続けたときの輝度変化が曲線Bbである。図9における輝度L80bは、輝度Lbに対して80%の輝度である。また、曲線Bbにおいて輝度が20%劣化する時間はT80bであり、
T80b>TL (3)
という関係となる。そして、この第3画素(B)を初期輝度Lbで点灯させる状態を、本実施形態の第2色バランス座標での第3画素(B)の駆動状態とする。このように、第2色バランス座標の状態で表示し続けることにより、所望の寿命TLにおいて正常に動作する表示装置とすることができる。
【0048】
また、本表示装置は、時間T80aに比べて短い時間Tmだけ、第1色バランス座標を用いた色の画像を表示することとしてもよい。すなわち、短い時間Tmだけ、カメラで入力された風景又は人物などの画像(自然画像)を、第1色バランス座標を用いてカラー表示することとしてもよい。例えば、車載インパネに本表示装置を適用した場合、バックモニタとして車後方の画像を短い時間Tmだけ輝度Laで(第1色バランス座標により)高品位なカラー画像として表示し、スピードメータなどの計器表示を輝度Lbで(第2色バランス座標により)長期間の時間T80bだけ表示することができる。
【0049】
本表示装置を偏光板付きの車載インパネに用いた場合、例えば、輝度Laは30〜50[cd/m2]程度として、輝度Lbは3〜20[cd/m2]程度とする。そして、車載インパネで必要とされる寿命TLは約20000時間である。
【0050】
図10は、本実施形態の表示装置における第3画素(B)の初期輝度(3つ)と寿命(輝度の閾値)との関係を示す図である。図10では、図9に示す曲線Ba,Bbの他に、曲線Ba’が表されている。曲線Ba’は、初期輝度La’の状態で第3画素(B)を点灯させ続けたときの輝度変化を示している。初期輝度La’は初期輝度Laの2倍程度の輝度としている。
【0051】
初期輝度La’は、高輝度であり、第1色バランス座標を用いて自然画像を高品位にカラー表示するときの第3画素(B)の輝度である。この初期輝度La’での画素駆動は、第1色バランス座標を用いて自然画像を表示するときに、短い時間Tm1に限って用いる。さらに初期輝度La’は、バックモニタ表示など正確な情報認知が必要な場合であり、特に日中で車内に太陽光が入るような周囲が明るい場合に用いる。
【0052】
初期輝度Laは、図9の輝度Laに対応しており、中輝度であり、第1色バランス座標を用いて自然画像を高品位にカラー表示するときの第3画素(B)の輝度である。この初期輝度La’での画素駆動は、第1色バランス座標を用いて自然画像を表示するときに、短い時間Tm2に限って用いる。輝度Laは、輝度La’よりも低輝度であるので、時間Tm2は時間Tm1よりも長くする。さらに、初期輝度Laは、バックモニタ表示など正確な情報認知が必要な場合であり、周囲がそれほど明るくない場合に用いる。
【0053】
初期輝度Lbは、図9の輝度Lbに対応しており、低輝度であり、第2色バランス座標を用いて計測器の結果などを表示するときの第3画素(B)の輝度である。また、初期輝度Lbは、夜間などにおいて、第2色バランス座標を用いて自然画像を低輝度で表示するときの輝度としてもよい。夜間は周囲が暗いので、設定輝度が低くても比較的良好な自然画像を得ることができるからである。
【0054】
本表示装置では、昼・夜、表示内容などの各種状況に応じて、初期輝度(設定輝度)と色バランス座標とを切り替えることができる。例えば、初期輝度とその初期輝度での点灯を許容する時間との積からなる点灯時間制限積分値を予め決めておく。そして、点灯時間制限積分値の範囲内で、所望の寿命まで点灯可能なように、制御手段が初期輝度及び色バランス座標を切替制御する。図10では、初期輝度La’での点灯時間制限積分値が領域Sa’であり、初期輝度Laでの点灯時間制限積分値が領域Saであり、初期輝度Lbでの点灯時間制限積分値が領域Sbとなっている。
【0055】
このように、本実施形態の表示装置では、輝度だけでなく、色バランス座標を切り替えることができる。すなわち、本表示装置は、第1色バランス座標を用いて高品位なカラー画像を表示することができるとともに、第2色バランス座標を用いてカラー画像を表示可能としながら長寿命化することができる。換言すれば、本実施形態の表示装置は、原色を発光する第1から第3画素の劣化速度が異なる場合、時間経過に伴う色ずれを回避することができる。また、本実施形態の表示装置を車載インパネに適用した場合、カラー画像を規定するデジタルデータの変更なしで、色味の変更が容易にでき、車載インパネのデザインの自由度を広げることができる。
【0056】
(構成の具体例)
図11は、本実施形態の表示装置の具体的構成例を示すブロック図である。本表示装置100は、制御部11、システム制御回路12、色度設定データ保持回路13、基準電圧生成回路14、ドライバ回路15及び有機ELパネル16を有して構成されている。
【0057】
制御部11は、表示装置100全体の動作を制御するものである。また、制御部11は本発明の座標切替制御手段ともなり、上記で図9及び図10に基づいて説明したように、輝度及び色バランス座標を切り替える輝度・色度切替制御信号21を出力する。
【0058】
システム制御回路12は、輝度・色度切替制御信号21を入力し、この信号に基づいて基準電圧指示値23を生成して出力する。基準電圧指示値23は、第1〜第3画素ごとに指示する値(VLR,VLG,VLB)である。例えば、第3画素(B)の基準電圧指示値VLBは、図10における初期輝度La’,La,Lbに比例して設定された3種類の電圧としてもよい。また、基準電圧指示値VLBは、第1色バランス座標と第2色バランス座標とに対応して設定されているものとしてもよい。また、システム制御回路12は、カラー画像を示すビデオデータ信号22を入力し、増幅などして出力する。
【0059】
色度設定データ保持回路13は、システム制御回路12が基準電圧指示値23を生成するときに用いられる色度設定データを格納している記憶手段である。色度設定データは、輝度・色度切替制御信号21に含まれる輝度及び色バランス座標を指定する値をパラメータとして、予め設定されていることとしてもよい。また、色度設定データは、例えば有機ELパネル16をなす各ピクセルの各画素に対応して設定されたデータからなる。ある画素の色度設定データが示す値は、その画素の輝度に対応した値、すなわちその画素に流す電流に対応した値とすることができる。そこで、システム制御回路12は、輝度・色度切替制御信号21に対応した色度設定データを色度設定データ保持回路13から入力することで、基準電圧指示値23を生成することができる。
【0060】
基準電圧生成回路14は、基準電圧指示値23を入力し、その基準電圧指示値23を有機ELパネル16の第1〜第3画素毎に対応させた基準電圧25R,25G,25Bに変換して出力する。この基準電圧25R,25G,25Bはデジタルデータである。
【0061】
ドライバ回路15は、ビデオデータ信号24及び基準電圧25R,25G,25Bを入力し、この入力に対応させて有機ELパネル16の各画素を選択して駆動する選択駆動信号26を出力する。有機ELパネル16は、選択駆動信号26により駆動され、カラー画像を表示する。
【0062】
本実施形態の表示装置100は、制御部11から出力される輝度・色度切替制御信号21により、輝度のみならず、第1色バランス座標と第2色バランス座標とを切り替えるので、第1〜第3画素の劣化速度が異なる場合に、色度設定データなどの変更をすることなく、色味(表示色)を変更でき、時間経過に伴う色ずれを回避して、長寿命化することができる。
【0063】
図12は、図11に示す表示装置100におけるドライバ回路15及び有機ELパネル16の具体例を示す回路である。図12における表示マトリクス部200は、図11の有機ELパネル16に相当する。図12におけるゲートドライバ300及びデータ線ドライバ400は、図11のドライバ回路15に相当する。
【0064】
表示マトリクス部200は、マトリクス状に配列された複数の画素回路210を有しており、各画素回路210は有機EL素子220(第1〜第3画素)をそれぞれ有している。画素回路210のマトリクスには、その列方向に沿って伸びる複数のデータ線Xm(m=1〜M)と、行方向に沿って伸びる複数のゲート線Yn(n=1〜N)とがそれぞれ接続されている。なお、データ線は「ソース線」とも呼ばれ、また、ゲート線は「走査線」とも呼ばれる。また、本実施形態では、画素回路210を「単位回路」あるいは「画素」とも呼ぶ。画素回路210内のトランジスタは、通常はTFTで構成される。
【0065】
ゲートドライバ300は、複数のゲート線Ynの中の1本を選択的に駆動して1行分の画素回路群を選択する。データ線ドライバ400は、各データ線Xmをそれぞれ駆動するための複数の単一ラインドライバ410を有している。これらの単一ラインドライバ410は、各データ線Xmを介して画素回路210にデータ信号を供給する。このデータ信号に応じて画素回路210の内部状態が設定されると、これに応じて有機EL素子220に流れる電流値が制御され、この結果、有機EL素子220の発光の階調(輝度)が制御される。
【0066】
図13は、画素回路210の内部構成を示す回路図である。この画素回路210は、m番目のデータ線とn番目のゲート線Ynとの交点に配置されている回路である。なお、ゲート線Ynは、2本のサブゲート線V1,V2を含んでいる。
【0067】
画素回路210は、データ線Xmに流れる電流値に応じて有機EL素子220の階調(輝度)を調節する電流プログラム回路である。具体的には、この画素回路210は、有機EL素子220の他に、4つのトランジスタ211〜214と、保持キャパシタ230(「保持コンデンサ」あるいは「記憶キャパシタ」とも呼ぶ)とを有している。保持キャパシタ230は、データ線Xmを介して供給されたデータ信号に応じた電荷を保持し、これによって、有機EL素子220の発光の階調を調節するためのものである。すなわち、保持キャパシタ230は、データ線Xmに流れる電流に応じた電圧を保持する電圧保持手段に相当する。第1ないし第3のトランジスタ211〜213はnチャンネル型FETであり、第4のトランジスタ214はpチャンネル型FETである。有機EL素子220は、フォトダイオードと同様の電流注入型(電流駆動型)の発光素子なので、ここではダイオードの記号で描かれている。
【0068】
第1のトランジスタ211のソースは、第2のトランジスタ212のドレインと、第3のトランジスタ213のドレインと、第4のトランジスタ214のドレインと、にそれぞれ接続されている。第1のトランジスタ211のドレインは、第4のトランジスタ214のゲートに接続されている。保持キャパシタ230は、第4のトランジスタ214のソースとゲートとの間に接続されている。また、第4のトランジスタ214のソースは、電源電位Vddにも接続されている。
【0069】
第2のトランジスタ212のソースは、データ線Xmを介して単一ラインドライバ410に接続されている。有機EL素子220は、第3のトランジスタ213のソースと接地電位との間に接続されている。
【0070】
第1と第2のトランジスタ211,212のゲートは、第1のサブゲート線V1に共通に接続されている。また、第3のトランジスタ213のゲートは、第2のサブゲート線V2に接続されている。
【0071】
第1と第2のトランジスタ211,212は、保持キャパシタ230に電荷を蓄積する際に使用されるスイッチングトランジスタである。第3のトランジスタ213は、有機EL素子220の発光期間においてオン状態に保たれるスイッチングトランジスタである。また、第4のトランジスタ214は、有機EL素子220に流れる電流値を制御するための駆動トランジスタである。第4のトランジスタ214の電流値は、保持キャパシタ230に保持される電荷量(蓄積電荷量)によって制御される。
【0072】
図14は、画素回路210の通常の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、第1のサブゲート線V1の電圧値(以下、「第1のゲート信号V1」も呼ぶ)と、第2のサブゲート線V2の電圧値(以下、「第2のゲート信号V2」も呼ぶ)と、データ線Xmの電流値Iout(「データ信号Iout」も呼ぶ)と、有機EL素子220に流れる電流値IELとが示されている。
【0073】
駆動周期Tcは、プログラミング期間Tprと発光期間Telとに分かれている。ここで、「駆動周期Tc」とは、表示マトリクス部200内のすべての有機EL素子220の発光の階調が1回ずつ更新される周期を意味しており、いわゆるフレーム周期と同じものである。階調の更新は、1行分の画素回路群毎に行われ、駆動周期Tcの間にN行分の画素回路群の階調が順次更新される。例えば、30Hzで全画素回路の階調が更新される場合には、駆動周期Tcは約33msである。
【0074】
プログラミング期間Tprは、有機EL素子220の発光の階調を画素回路210内に設定する期間である。本実施形態では、画素回路210への階調の設定を「プログラミング」と呼ぶ。例えば、駆動周期Tcが約33msであり、ゲート線Ynの総数Nが480本である場合には、プログラミング周期Tprは約69μs(=33ms/480)以下になる。
【0075】
プログラミング期間Tprでは、まず、第2のゲート信号V2をLレベルに設定して第3のトランジスタ213をオフ状態(閉状態)に保つ。次に、データ線Xm上に発光階調に応じた電流値Imを流しながら、第1のゲート信号V1をHレベルに設定して第1と第2のトランジスタ211,212をオン状態(開状態)にする。このとき、このデータ線Xmの単一ラインドライバ410は、発光階調に応じた一定の電流値Imを流す定電流源として機能する。図14(c)に示されているように、この電流値Imは、所定の電流値の範囲RI内において、有機EL素子220の発光の階調に応じた値に設定されている。
【0076】
保持キャパシタ230には、第4のトランジスタ214(駆動トランジスタ)を流れる電流値Imに対応した電荷を保持した状態となる。この結果、第4のトランジスタ214のソース/ゲート間には、保持キャパシタ230に記憶された電圧が印加される。なお、本明細書では、プログラミングに用いられるデータ信号の電流値Imを「プログラミング電流値Im」と呼ぶ。
【0077】
プログラミングが終了すると、ゲートドライバ300が第1のゲート信号V1をLレベルに設定して第1と第2のトランジスタ211,212をオフ状態とし、また、データ線ドライバ400はデータ信号Ioutを停止する。
【0078】
発光期間Telでは、第1のゲート信号V1をLレベルに維持して第1と第2のトランジスタ211,212をオフ状態に保ったまま、第2のゲート信号V2をHレベルに設定して第3のトランジスタ213をオン状態に設定する。保持キャパシタ230には、プログラミング電流値Imに対応した電圧が予め記憶されているので、第4のトランジスタ214にはプログラミング電流値Imとほぼ同じ電流が流れる。従って、有機EL素子220にもプログラミング電流値Imとほぼ同じ電流が流れ、この電流値Imに応じた階調で発光する。このように、保持キャパシタ230の電圧(すなわち電荷)が電流値Imによって書き込まれるタイプの画素回路210は、「電流プログラム回路」と呼ぶ。
【0079】
図15は、単一ラインドライバ410の内部構成を示す回路図である。単一ラインドライバ410は、データ信号生成回路420(「制御電流発生部」あるいは「電流生成回路」とも呼ぶ)と、付加電流回路430(「付加電流発生部」とも呼ぶ)とを備えている。データ信号生成回路420と付加電流回路430は、データ線Xmと接地電位との間に並列に接続されている。
【0080】
データ信号生成回路420は、スイッチングトランジスタ41と駆動トランジスタ42との直列接続421が、N組分(Nは2以上の整数)並列に接続された構成を有している。図15の例ではNは6である。6つの駆動トランジスタ42のゲートには、リファレンス電圧Vref1が共通に印加されている。また、6つの駆動トランジスタ42の利得係数βの比は、1:2:4:8:16:32に設定されている。なお、利得係数βは、良く知られているように、β=(μC0 W/L)で定義される。ここで、μはキャリアの移動度、C0 はゲート容量、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長である。6つの駆動トランジスタ42は、定電流源として機能する。トランジスタの電流駆動能力は利得係数βに比例するので、6つの駆動トランジスタ42の電流駆動能力の比は、1:2:4:8:16:32である。
【0081】
6つのスイッチングトランジスタ41のオン/オフは、システム制御回路12から与えられるビデオデータ信号22に含まれる6ビットのデータ線駆動信号Ddata(「入力信号」とも呼ぶ)によって制御される。データ線駆動信号Ddataの最下位ビットは、利得係数βが最も小さな(すなわちβの相対値が1の)直列接続421に供給されており、最上位ビットは利得係数βが最も小大きな(すなわちβの相対値が32の)直列接続421に供給されている。この結果、データ信号生成回路420は、データ線駆動信号Ddataの値に比例した電流値Imを生成する電流源として機能する。データ線駆動信号Ddataの値は、有機EL素子220の発光の階調を示す値に設定されている。従って、データ信号生成回路420からは、有機EL素子220の発光の階調(輝度)に応じた電流値Imを有するデータ信号が出力される。
【0082】
付加電流回路430は、スイッチングトランジスタ43と駆動トランジスタ44との直列接続で構成されている。駆動トランジスタ44のゲート電極には、リファレンス電圧Vref2が印加される。スイッチングトランジスタ43のオン/オフは、システム制御回路12から与えられるビデオデータ信号22に含まれる付加電流制御信号Dpによって制御される。スイッチングトランジスタ43がオン状態のときには、リファレンス電圧Vref2に応じた所定の付加電流Ipが付加電流回路430からデータ線Xm上に出力される。
【0083】
(電子機器)
次に上記実施形態の電気光学装置(表示装置100)を構成要素とする電子機器について説明する。
図16(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図16(a)において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記実施形態の表示装置100を有してなる表示部を示している。図16(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図16(b)において、符号600は時計本体を示し、符号601は上記実施形態の表示装置100を有してなる表示部を示している。図16(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図16(c)において、符号700は情報処理装置、符号701はキーボードなどの入力部、符号702は上記実施形態の表示装置100を有してなる表示部、符号703は情報処理装置本体を示している。
【0084】
図16に示す電子機器は、上記実施形態の表示装置100を有しているので、赤、緑、青などの基本色(原色)を発光する各画素の経年劣化特性が各色ごとに異なっていても、所望の色を長期間に渡って表示することができる。すなわち、本実施形態によれば、カラー画像を表示できるとともに、長期間に渡って色ずれが生じることを回避でき、寿命の長い表示装置を備えた電子機器を提供することができる。本発明に係る表示装置は、自然画像と、CG(Computer Graphics)や文字情報など自然画像でない画像とを切り替えて表示する電子機器に特に好適である。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、RGBの3原色の画素で各ピクセルを構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、4原色又は5原色以上の画素で各ピクセルを構成してもよい。発光色の異なる2つの画素で、各ピクセルを構成してもよい。例えば4原色で各ピクセルを構成する場合は、RGBの画素に、シアン、マゼンダ、イエローのいずれか1つの色を発光する画素を加えることとする。
【0087】
また、上記実施形態では、本発明に係る表示装置について有機EL素子を画素として用いて構成した例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る表示装置は有機EL素子以外の各種電気光学素子などを用いて構成することができる。また、本発明に係る表示装置は、電気光学装置などの表示装置以外の照明装置に適用することができる。ここで、照明装置とは、画像又は情報などを表示する表示装置ではなく、所定の光を被照射体に出射するものである。
【0088】
また、本発明に係る表示装置は、各種家電機器の操作パネル、各種計器類、操作部を有するモニタなどに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置の基本構成を説明するための図である。
【図2】上記表示装置の各画素の経年劣化特性を示す図である。
【図3】車載インパネの一例を示す模式図である。
【図4】車載インパネの一例を示す模式図である。
【図5】白色を表示させ続けたときの各画素の輝度低下率を示す図である。
【図6】白色を表示させ続けたときの表示色の変化を示す図である。
【図7】第2色バランス座標の色の表示状態での各画素の輝度低下率を示す図である。
【図8】第2色バランス座標の色の表示状態での表示色の変化を示す図である。
【図9】輝度が異なる場合の画素(B)の経年劣化特性を示す図である。
【図10】輝度が異なる場合の画素(B)の経年劣化特性を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る表示装置の具体的構成例を示す図である。
【図12】同上表示装置のドライバ回路及び有機ELパネルの具体的な回路図である。
【図13】同上表示装置における画素回路の内部構成を示す回路図である。
【図14】同上の画素回路の通常動作を示すタイミングチャートである。
【図15】同上表示装置における単一ラインドライバの内部構成を示す回路図である。
【図16】本発明の実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
11…制御部、12…システム制御回路、13…色度設定データ保持回路、14…基準電圧生成回路、15…ドライバ回路、16…有機ELパネル、a…点(第1色バランス座標)、b…点(第2色バランス座標)、B…点(第3画素の色)、G…点(第2画素の色)、R…点(第1画素の色)
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代の表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)が期待されている。有機EL表示装置は、発光層を上下の電極間に挟持した有機EL素子を基板面内に複数配列して構成され、各有機EL素子を独立に駆動制御することで所望の表示を行うようになっている。この有機EL表示装置では、駆動初期には高輝度で発光することが可能であるが、連続的に発光を行うと徐々に効率が低下し、輝度が低下するという問題を有していた。そこで、有機EL素子の長寿命化を図るべく、有機EL素子を交流駆動とした有機EL装置(例えば、特許文献1参照)および正弦波の交流駆動とした有機EL装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
また最近では、カラー表示が可能な有機EL表示装置が開発されている。有機EL表示装置でカラー表示を行うためには、赤、緑、青のそれぞれに対応する発光色を有する3個の有機EL素子(画素)により1ピクセルを構成するのが通常である。そして、上記各色の発光層は、各々異なる発光輝度を有しているため、表示のホワイトバランスを取るために、各有機EL素子の発光面積を異ならせるといった工夫が成されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平8−180972号公報
【特許文献2】特開2000−30862号公報
【特許文献3】特開平10−39791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記各特許文献に記載の技術によれば、上記個別の問題点について一応の解決手段を提供することが可能であると思われる。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、点灯に費やせる期間を長くでき、比較的高輝度の表示が可能であると考えられるものの、その分逆バイアス電圧の波高値が高くなり、逆バイアス電圧による有機EL素子の絶縁破壊を起こし易くなるという問題点を有している。
【0005】
特許文献2に記載の技術では、順方向の電流、ないし逆バイアス電圧についてリミットを設け、有機EL素子の絶縁破壊の防止を図っている。しかし、交流駆動波形として正弦波を用いるため、大容量表示に対応できる駆動波形を印加するのは、駆動にICを用いる以上かなり難しい。また、上記特許文献1,2に記載の技術では、駆動時に完全な交流電界(波高値、電荷総量において順逆で同等となる電界)を印加することができないため、駆動中に素子内部に電荷の偏りが発生し、電極、電荷注入輸送層、発光層の分解を引き起こすおそれがある。そのため、表示装置として充分な寿命を確保することが極めて困難になる。
【0006】
特許文献3に記載の技術では、駆動初期におけるホワイトバランスを取ることはできるものの、有機EL素子では、発光特性のみならず発光寿命も各色で異なっているため、経時的に有機EL素子の輝度バランスが変化し、駆動時間の経過とともにホワイトバランスが崩れてくるという問題がある。そこで、従来の表示装置では、3原色をなす各発光素子の発光寿命が異なる場合、製造時において白色となっていた表示領域が、時間の経過とともに黄緑色などに変化してしまう。したがって、かかる従来の表示装置を用いて車のスピードメータなどが配置されるインストルメントパネル(以下、「インパネ」という)を製造した場合、車購入時は白色のスピードメータが数年後には黄緑色になるという不都合が生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、所望の色を長期間に渡って表示することができる表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、赤、緑、青などの基本色を合成して所望の色を表示する表示装置において、基本色を発光する発光手段の経年劣化特性が各色ごとに異なっていても、所望の色を長期間に渡って表示することができる表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、表示装置の長寿命化を図ることができ、かつ経時的な色バランスの変化を抑えて良好なカラー表示が得られる表示装置、車載用表示装置、電子機器および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の表示装置は、表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ有することを特徴とする。
本発明は、例えば赤、緑、青などの基本色を合成して所望の色を表示する表示装置において、基本色を発光する発光手段の経年劣化特性が各色ごとに異なっている場合に好適である。このような場合、本発明によれば、複数の色バランス座標における一つを、白色を示す座標からずれた位置に設定することにより、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば、青)の使用量(輝度、発光量又は駆動電流量など)を低減することができる。すなわち、青の発光手段の輝度を、赤及び緑の発光手段の輝度よりも小さくし、これらの合成光がなす色を前記ずれた位置の色バランス座標の色とすることができる。本発明によれば、前記ずれた位置の色バランス座標の色を表示することにより、各色の発光手段の寿命を均一化することができ、所望の色を長期間に渡って表示することが可能となり、表示装置の長寿命化を図ることができる。また、本発明によれば、自然物の表示など特に色表現の多様化を図りたい場合は、複数の色バランス座標における他の一つを、白色を表示する座標としてその座標でホワイトバランスをとることなどにより、高品位なカラー画像を表示することもできる。
【0009】
また、本発明の表示装置は、前記少なくとも2つの色バランス座標における一つが白色を規定するものであることが好ましい。
本発明によれば、例えば、白色を規定する色バランス座標(第1座標)でホワイトバランスをとることにより、高品位なカラー画像を表示することもできる。そして、高品位なカラー画像を表示する必要がない場合は、他の色バランス座標(第1座標以外)を用いてカラー表示することにより、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の表示装置は、前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、(x,y)空間を有する色度図における第1座標(0.33±0.02,0.33±0.02)を示すものであり、他の色バランス座標は、該色度図における該第1座標以外の座標を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、第1座標が白色を示すので、第1座標をホワイトバランスの基準点として用いることなどにより、色表現範囲の広い高品位なカラー画像を表示することができる。また、色度図における第1座標以外の座標を用いて所望の色を表示することにより、表示装置の長寿命化を図ることができる。換言すれば、第1座標を用いて、ホワイトバランスをとりながらその表示装置の色表現能力の全てを用いて高品位なカラー画像を表示することができる。また、第1座標以外の座標を用いて、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば、青)の輝度などを低減して色表示して、各色の発光手段の寿命を均一化でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の表示装置は、前記白色を規定する色バランス座標の使用比率を、他の色バランス座標の使用比率よりも小さくする座標切替制御手段を有することが好ましい。
本発明によれば、座標切替制御手段により、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば青)の使用比率を低減することができる。ここで、使用比率とは、発光時間のみならず、輝度(人の見る光を発する面の明るさ)、光度(点光源の明るさ)又は駆動電流量などの比率を含むものであって、発光の経年劣化特性について影響を与える要因の比率である。
【0012】
また、本発明の表示装置は、光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを有し、前記色バランス座標は、前記ピクセルで表示される色の基準色を規定するものであることが好ましい。
本発明によれば、ピクセルにおいて各種の色を表示することができる。そこで、複数のピクセルを所定領域に配置することにより、その所定領域でカラー画像を表示できる。また、本発明によれば、1つのピクセルをなす各画素の経年劣化特性が異なっていても、経年劣化特性の悪い画素(例えば青の画素)の使用比率を低減でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0013】
また、本発明の表示装置は、前記ピクセルは、第1ピーク波長(R)の光を表示する第1画素と、第2ピーク波長(G)の光を表示する第2画素と、第3ピーク波長(B)の光を表示する第3画素とを有してなり、前記色バランス座標は、第1色バランス座標と第2色バランス座標とを有し、前記第1色バランス座標は、白色を示すものであり、前記第2色バランス座標は、白色以外の色を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、例えば、第1画素が赤を表示し、第2画素が緑を表示し、第3画素が青を表示することにより、カラー画像を表示できる。そして、本発明は、第1色バランス座標を用いることにより、色表現範囲の広い高品位なカラー画像を表示でき、第2色バランス座標を用いることにより、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の表示装置は、前記第2色バランス座標が、前記第1画素、第2画素及び第3画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の小さいものの光について、該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、第2色バランス座標を用いて各種の色を表示できるとともに、第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の大きいものの光の比率を小さくすることができる。そこで、本発明は、第2色バランス座標を用いて、カラー画像を表示しながら、表示特性の経年劣化を抑えることができる。
【0015】
また、本発明の表示装置は、自然画像を表示するときは前記第1色バランス座標を用いて表示色について制御し、計測器の計測結果を示す計器画像を表示するときは前記第2色バランス座標を用いて表示色について制御する表示色制御手段を有することが好ましい。
本発明によれば、例えばビデオカメラで入力された景色又は人物などのような自然画像を表示するときは、白色を示す第1色バランス座標を用いて高品位なカラー画像を表示することができる。また、計測器の計測結果などを示す計器画像を表示するときは、第2色バランス座標を用いて表示特性の経年劣化を抑えることができる。すなわち、第2色バランス座標を用いるときは、第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の大きいものの光の比率を小さくすることができ、表示特性の経年劣化を抑えることができる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の車載用表示装置は、前記表示装置を車に搭載可能な構成としたことを特徴とする。
また、本発明の車載用表示装置は、前記表示装置が車内の運転席周辺に配置されたインストルメントパネルに取り付けられるものであることが好ましい。
本発明によれば、例えば、車のインパネにおいてスピード表示などをするときは、第2色バランス座標を用いて、色表示範囲を狭めながら、表示装置の長寿命化を図ることができる。また、例えば車のバック時に、かかるインパネにおいて、車後方の画像を表示するときは、第1色バランス座標を用いて、色表現範囲の広い高品位なカラー画像を表示することができる。そこで、本発明によれば、ドライバーに対して各種態様の情報を正確にカラー表示することができ、製品寿命が長い車載用表示装置を提供することができる。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、前記表示装置を有してなることを特徴とする。
本発明によれば、カラー画像を表示できるとともに、所望の色を長期間に渡って表示でき、寿命の長い表示装置を備えた電子機器を提供することができる。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の表示方法は、表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ設定することを特徴とする。
本発明によれば、例えば、白色を色バランス座標としたときは、色表現領域を表示装置の能力一杯まで広げて、高品位なカラー画像を表示することができる。また、白色以外の色を色バランス座標としたときは、経年劣化が比較的大きい発光手段(例えば、青)の輝度などを低減することにより、各色の発光手段の寿命を均一化でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の表示方法は、前記少なくとも2つの色バランス座標における一つが白色を規定するものであり、前記白色を規定する色バランス座標は、他の色バランス座標と比べて使用比率を小さくすることが好ましい。
本発明によれば、例えば、白色を規定する色バランス座標でホワイトバランスをとることなどにより、高品位なカラー画像を表示することもできる。また、本発明によれば、他の色バランス座標を用いてカラー表示することにより、各色の発光手段の寿命を均一化でき、表示装置の長寿命化を図ることができる。
【0020】
また、本発明の表示方法は、光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを用いて、画像を表示し、前記他の色バランス座標は、前記ピクセルを構成する画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該ピクセルを構成する画素のうちで発光輝度についての経年劣化の小さい画素の表示光について該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることが好ましい。
本発明によれば、ピクセルを構成する画素のうちで発光輝度の経年劣化の大きいものの光の比率を小さくすることができる。そこで、本発明は、経年劣化の大きい画素を低輝度で発光などさせるので、各画素の経年劣化を均一化することができ、表示特性の経年劣化を抑えることができる。
【0021】
また、本発明の表示方法は、計測器の計測結果を表示するときに、前記他の色バランス座標を用いて表示し、前記計測結果以外の表示をするときに、前記白色を規定する色バランス座標を用いて表示することが好ましい。
本発明によれば、計測結果などを示す計器画像を表示するときは、前記他の色バランス座標を用いて色表現領域を狭めることにより、各画素の経年劣化を均一化することができ表示特性の経年劣化を抑えることができる。また、例えばビデオカメラで入力された画像のような自然画像を表示するときは、白色を規定する色バランス座標を用いて色表現領域を広げることにより、高品位なカラー画像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について、図面を参照して説明する。
【0023】
(基本構成)
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の基本構成を説明するための図である。そして、図1はx軸及びy軸により規定された(x,y)空間を有する色度図を示している。本実施形態の表示装置は、第1ピーク波長(R)の光を発光する第1画素と、第2ピーク波長(G)の光を発光する第2画素と、第3ピーク波長(B)の光を発光する第3画素とを1組としてなるピクセルが、複数行列状に配置されたものからなる。
【0024】
第1画素は、色度図における点Rで規定される赤色の光を発する。点Rは、例えば色度図における座標(0.66,0.33)とする。第2画素は、色度図における点Gで規定される緑色の光を発する。点Gは、例えば色度図における座標(0.41,0.58)とする。第3画素は、色度図における点bで規定される青色の光を発する。点bは、例えば色度図における座標(0.15,0.26)とする。下記の表1は、上記第1〜第3画素の発光色の色度図における座標を表として示したものである。
【0025】
【表1】
【0026】
そして、各ピクセルにつき第1〜第3画素それぞれの発光色が合成される。これにより本表示装置は、色度図において点R,点G及び点bを頂点とする三角形の内側領域の色を表示することができる。すなわち、第1〜第3画素の混合比(輝度比)を変えることにより、赤、緑、青などの各種の色を表示できる。例えば、第1画素(R)の輝度を大、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度を小とすることにより赤色を表示でき、第2画素(G)の輝度を大、第1画素(R)及び第3画素(B)の輝度を小とすることにより緑色を表示でき、第3画素(B)の輝度を大、第1画素(R)及び第2画素(G)の輝度を小とすることにより青色を表示できる。
【0027】
また、本表示装置において白色を表示するには、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)それぞれの輝度をほぼ均一にする。正確な白色(純白)を表示するには、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度比を(0.2:0.53:0.27)とする。この純白は、色度図における点aが示す座標(0.33,0.33)で規定される。この点aは、本発明の第1色バランス座標であり、本表示装置で純白(基準色)を表示するための基準点となるものである。
【0028】
さらに、本実施形態の表示装置では、第1色バランス座標とは異なる座標に規定された第2色バランス座標を有している。第2色バランス座標は、第1色バランス座標とは異なる色の本表示装置の基準色を規定するための基準点となるものである。第2色バランス座標は、純白を規定する第1色バランス座標を基準として、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)における寿命の長い色の方向へ移動させる座標とする。本表示装置では、一例として、第3画素(B)の青色の寿命が短いものとしている。そこで、本表示装置は、第1色バランス座標の点aから、第1画素(R)及び第2画素(G)の赤及び緑の方向へシフトした点bを第2色バランス座標としている。
【0029】
本実施形態の第2色バランス座標は、第3画素(B)の青色の寿命が短いということより、白色を示すa点と、赤色を示す第1画素のR点と、緑色を示す第2画素のG点とを頂点とする三角形(点線)の内側に設定する。この三角形の内側であれば、表示装置の使用形態(例えば車載インパネ)に応じた第1画素(R)及び第2画素(G)の使用頻度、又はユーザの好みによって、第2色バランス座標を任意の位置に設定することもできる。また、第2色バランス座標は、1つに限定する必要はなく、複数設定してもよい。
【0030】
本実施形態では、第2色バランス座標の一例として、色度図における点bが示す座標(0.43,0.38)を第2色バランス座標としている。この第2色バランス座標は、黄色又は橙色を示している。下記の表2は、第1色バランス座標(点a)及び第2色バランス座標(点b)について、色度図における座標と、第1から第3画素(R,G,B)の輝度比とで示すものである。
【0031】
【表2】
【0032】
この表2に示すように、点bの第2色バランス座標は、第3画素(B)の輝度比が第1画素(R)及び第2画素(G)の輝度比よりも小さくなっている。そこで、第2色バランス座標の色を表示させ続けることにより、第3画素(B)の使用率が第1画素(R)及び第2画素(G)の使用率よりも小さくなり、第3画素(B)の寿命を点aの第1色バランス座標の第3画素(B)の寿命に比べて伸ばすことができる。
【0033】
図2は、本表示装置の第1〜第3画素(R,G,B)について、点灯時間と輝度低下率との関係(経年劣化特性)の一例を示した図である。すなわち、図2は、第1〜第3画素(R,G,B)のそれぞれについて、一定電流を流し続け、所定時間毎に輝度を測定したときのデータを示している。本表示装置の第1〜第3画素のそれぞれは、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子で構成されているものとする。図2に示すように、本実施形態では、第2画素(G)の寿命が一番長く、その次に第1画素(R)の寿命が長く、第3画素(B)の寿命が一番短くなっている。
【0034】
そこで、本表示装置では、第2色バランス座標の色を表示させ続けることにより、第3画素(B)の使用率が低くなり、第3画素(B)の寿命を長くすることができる。一方、第1画素(R)及び第2画素(G)の寿命は短くなる。したがって、本実施形態の表示装置によれば、第1から第3画素(R,G,B)の寿命の均一化を図ることができ、表示装置の寿命を長くすることができる。
【0035】
また、第1画素(R)及び第2画素(G)のみで各種の色を表示することもできるが、色再現範囲が狭くなる。本表示装置では、第3画素(B)の輝度を点aの第1色バランス座標の第3画素(B)の輝度よりも下げて点灯させることにより、色再現範囲を確保しながら、色ずれを抑制することができる。
【0036】
図3及び図4は、本実施形態の表示装置で構成した車載インパネ(の一部)の一例を示す模式図である。図3及び図4に示す車載インパネ150は、発光エリア全面が自発光するディスプレイである。したがって、電源OFF時は、全面が例えば黒色となる。そして車載インパネ150は、例えば、昼間、明るい場所であっても、夜間やトンネルのような暗い場所でも、発光させた状態で使用する。図3及び図4では、スピードメータの輪郭151及び数字152などの計器類を表示させた状態となっている。そして、車載インパネ150は、通常はメータなど計器類を表示し、このとき第2色バランス座標で表示させている。図4は、スピードメータの輪郭151及び数字152などにおいて色ずれが起きた場合の一例を示している。
【0037】
また、車載インパネ150は、バックモニタとしても機能でき、故障などの車の状態表示、TV電話の自然画像なども表示することもできる。車載インパネ150は、このような高品質な画像表示が必要な場合にのみ、第1色バランス座標を用いる。
【0038】
車載インパネ150では、車を運転中のほとんどの時間が第2色バランス座標での表示となる。したがって、第1色バランス座標での表示時間は、第2色バランス座標での表示時間に対して、短くなり、例えば5%以下になる。また、車載インパネ150では、夜間は昼間の1/10以下の輝度で十分であるので、例えば昼間150[cd/m2]、夜間15[cd/m2]とすると、夜間は第1色バランス座標で表示する。
【0039】
そこで、本実施形態の車載インパネ150では、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度低下率の均一化が図れ、図4に示すような色ずれ(変色)を良好に抑えることができる。
【0040】
第1色バランス座標と第2色バランス座標を切り替えるには、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度比を切り替えればよい。この輝度比を切り替えるためには、本発明の座標切替制御手段がなす次の構成手法が挙げられる。
第1手法は、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)をなす各有機EL素子に流す電流値の比を変える。電流値を小さくするほど、低輝度になるが輝度低下率は小さくなり寿命が長くなる。
第2手法は、各画素をなす各有機EL素子の点灯時間を変える。例えば、各画素を数100Hz以上の周波数の矩形波で駆動し、デューティー比を第1〜第3画素ごとに変えることで見かけ上の輝度比(単位時間での平均輝度の比)を変えることができる。
第3手法は、第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)をなす各有機EL素子の点灯面積比を変える。例えば表示装置を複数のピクセルで構成し、各ピクセルを4つ以上の画素で構成する。そして、各ピクセルにおいて、第1〜第3画素の点灯面積比を変えることにより、画面全体又は所定領域の輝度比を変える。
【0041】
(色シフトの具体例)
図5は、本実施形態の表示装置を第1色バランス座標の白色で表示させ続けたとき、各画素の輝度の変化を示す図である。図5に示すように第3画素(B)の輝度の低下率が他の第1画素(R)及び第2画素(G)の低下率に比べて大きくなっている。
【0042】
図6は、図5に示す状態で表示させ続けたとき、その表示光の色の変化を示す図である。すなわち、図6は、本表示装置を白色で表示させ続けようとしたとき、第1から第3画素の合成光の色変化状態を示している。図6に示すように、表示時間が長くなるほど、合成光の色は、色度図におけるx軸座標及びy軸座標が大きくなり、白色(0.33,0.33)の座標から大きく離れた座標の色(黄色)となる。例えば、20000時間経過後の合成光の色は、座標(0.46,0.46)の色となり、白色とは座標dxy(0.13,0.13)だけ離れた色となる。
【0043】
図7は、本実施形態の表示装置を第2色バランス座標の色で表示させ続けたとき、各画素の輝度の変化を示す図である。図7に示すように第1画素(R)、第2画素(G)及び第3画素(B)の輝度の低下率がほぼ均一となっている。
【0044】
図8は、図7に示す状態で表示させ続けたとき、その表示光の色の変化を示す図である。すなわち、図8は、本表示装置を第2色バランス座標の黄色(又は橙色)で表示させ続けようとしたとき、第1から第3画素の合成光の色変化状態を示している。図8に示すように、表示時間が長くなっても、合成光の色は、色度図におけるx軸座標及びy軸座標ともに殆ど変化しない。すなわち、合成光の色の変化は、色度図において極めて小さな値dx,dyとなり、肉眼では識別できないほどとなる。
【0045】
(画素の寿命と輝度切替の閾値)
図9は、本実施形態の表示装置における第3画素(B)の初期輝度(2つ)と寿命(輝度の閾値)との関係を示す図である。図9において、横軸は発光時間であり、縦軸は輝度である。
第3画素の輝度が20%劣化する時間をT80として、表示装置に必要な寿命をTLとする。すると、寿命TLにおいて正常に動作する表示装置とするためには、
T80>TL (1)
という関係である必要がある。
【0046】
図9において、本表示装置における第1色バランス座標の白色を表示するときの第3画素(B)の輝度の初期値を、Laとする。そして、初期輝度Laの状態で第3画素(B)を点灯させ続けたときの輝度変化が曲線Baである。図9における輝度L80aは、輝度Laに対して80%の輝度である。また、曲線Baにおいて輝度が20%劣化する時間はT80aであり、
T80a<TL (2)
という関係となる。これより、第1色バランス座標の状態で表示し続けると、表示装置に必要な寿命となる前に表示不良となってしまう。
【0047】
上記式(1)の関係を満足させるための第3画素(B)の輝度の初期値は、図9におけるLbとなる。そして、初期輝度Lbの状態で第3画素(B)を点灯させ続けたときの輝度変化が曲線Bbである。図9における輝度L80bは、輝度Lbに対して80%の輝度である。また、曲線Bbにおいて輝度が20%劣化する時間はT80bであり、
T80b>TL (3)
という関係となる。そして、この第3画素(B)を初期輝度Lbで点灯させる状態を、本実施形態の第2色バランス座標での第3画素(B)の駆動状態とする。このように、第2色バランス座標の状態で表示し続けることにより、所望の寿命TLにおいて正常に動作する表示装置とすることができる。
【0048】
また、本表示装置は、時間T80aに比べて短い時間Tmだけ、第1色バランス座標を用いた色の画像を表示することとしてもよい。すなわち、短い時間Tmだけ、カメラで入力された風景又は人物などの画像(自然画像)を、第1色バランス座標を用いてカラー表示することとしてもよい。例えば、車載インパネに本表示装置を適用した場合、バックモニタとして車後方の画像を短い時間Tmだけ輝度Laで(第1色バランス座標により)高品位なカラー画像として表示し、スピードメータなどの計器表示を輝度Lbで(第2色バランス座標により)長期間の時間T80bだけ表示することができる。
【0049】
本表示装置を偏光板付きの車載インパネに用いた場合、例えば、輝度Laは30〜50[cd/m2]程度として、輝度Lbは3〜20[cd/m2]程度とする。そして、車載インパネで必要とされる寿命TLは約20000時間である。
【0050】
図10は、本実施形態の表示装置における第3画素(B)の初期輝度(3つ)と寿命(輝度の閾値)との関係を示す図である。図10では、図9に示す曲線Ba,Bbの他に、曲線Ba’が表されている。曲線Ba’は、初期輝度La’の状態で第3画素(B)を点灯させ続けたときの輝度変化を示している。初期輝度La’は初期輝度Laの2倍程度の輝度としている。
【0051】
初期輝度La’は、高輝度であり、第1色バランス座標を用いて自然画像を高品位にカラー表示するときの第3画素(B)の輝度である。この初期輝度La’での画素駆動は、第1色バランス座標を用いて自然画像を表示するときに、短い時間Tm1に限って用いる。さらに初期輝度La’は、バックモニタ表示など正確な情報認知が必要な場合であり、特に日中で車内に太陽光が入るような周囲が明るい場合に用いる。
【0052】
初期輝度Laは、図9の輝度Laに対応しており、中輝度であり、第1色バランス座標を用いて自然画像を高品位にカラー表示するときの第3画素(B)の輝度である。この初期輝度La’での画素駆動は、第1色バランス座標を用いて自然画像を表示するときに、短い時間Tm2に限って用いる。輝度Laは、輝度La’よりも低輝度であるので、時間Tm2は時間Tm1よりも長くする。さらに、初期輝度Laは、バックモニタ表示など正確な情報認知が必要な場合であり、周囲がそれほど明るくない場合に用いる。
【0053】
初期輝度Lbは、図9の輝度Lbに対応しており、低輝度であり、第2色バランス座標を用いて計測器の結果などを表示するときの第3画素(B)の輝度である。また、初期輝度Lbは、夜間などにおいて、第2色バランス座標を用いて自然画像を低輝度で表示するときの輝度としてもよい。夜間は周囲が暗いので、設定輝度が低くても比較的良好な自然画像を得ることができるからである。
【0054】
本表示装置では、昼・夜、表示内容などの各種状況に応じて、初期輝度(設定輝度)と色バランス座標とを切り替えることができる。例えば、初期輝度とその初期輝度での点灯を許容する時間との積からなる点灯時間制限積分値を予め決めておく。そして、点灯時間制限積分値の範囲内で、所望の寿命まで点灯可能なように、制御手段が初期輝度及び色バランス座標を切替制御する。図10では、初期輝度La’での点灯時間制限積分値が領域Sa’であり、初期輝度Laでの点灯時間制限積分値が領域Saであり、初期輝度Lbでの点灯時間制限積分値が領域Sbとなっている。
【0055】
このように、本実施形態の表示装置では、輝度だけでなく、色バランス座標を切り替えることができる。すなわち、本表示装置は、第1色バランス座標を用いて高品位なカラー画像を表示することができるとともに、第2色バランス座標を用いてカラー画像を表示可能としながら長寿命化することができる。換言すれば、本実施形態の表示装置は、原色を発光する第1から第3画素の劣化速度が異なる場合、時間経過に伴う色ずれを回避することができる。また、本実施形態の表示装置を車載インパネに適用した場合、カラー画像を規定するデジタルデータの変更なしで、色味の変更が容易にでき、車載インパネのデザインの自由度を広げることができる。
【0056】
(構成の具体例)
図11は、本実施形態の表示装置の具体的構成例を示すブロック図である。本表示装置100は、制御部11、システム制御回路12、色度設定データ保持回路13、基準電圧生成回路14、ドライバ回路15及び有機ELパネル16を有して構成されている。
【0057】
制御部11は、表示装置100全体の動作を制御するものである。また、制御部11は本発明の座標切替制御手段ともなり、上記で図9及び図10に基づいて説明したように、輝度及び色バランス座標を切り替える輝度・色度切替制御信号21を出力する。
【0058】
システム制御回路12は、輝度・色度切替制御信号21を入力し、この信号に基づいて基準電圧指示値23を生成して出力する。基準電圧指示値23は、第1〜第3画素ごとに指示する値(VLR,VLG,VLB)である。例えば、第3画素(B)の基準電圧指示値VLBは、図10における初期輝度La’,La,Lbに比例して設定された3種類の電圧としてもよい。また、基準電圧指示値VLBは、第1色バランス座標と第2色バランス座標とに対応して設定されているものとしてもよい。また、システム制御回路12は、カラー画像を示すビデオデータ信号22を入力し、増幅などして出力する。
【0059】
色度設定データ保持回路13は、システム制御回路12が基準電圧指示値23を生成するときに用いられる色度設定データを格納している記憶手段である。色度設定データは、輝度・色度切替制御信号21に含まれる輝度及び色バランス座標を指定する値をパラメータとして、予め設定されていることとしてもよい。また、色度設定データは、例えば有機ELパネル16をなす各ピクセルの各画素に対応して設定されたデータからなる。ある画素の色度設定データが示す値は、その画素の輝度に対応した値、すなわちその画素に流す電流に対応した値とすることができる。そこで、システム制御回路12は、輝度・色度切替制御信号21に対応した色度設定データを色度設定データ保持回路13から入力することで、基準電圧指示値23を生成することができる。
【0060】
基準電圧生成回路14は、基準電圧指示値23を入力し、その基準電圧指示値23を有機ELパネル16の第1〜第3画素毎に対応させた基準電圧25R,25G,25Bに変換して出力する。この基準電圧25R,25G,25Bはデジタルデータである。
【0061】
ドライバ回路15は、ビデオデータ信号24及び基準電圧25R,25G,25Bを入力し、この入力に対応させて有機ELパネル16の各画素を選択して駆動する選択駆動信号26を出力する。有機ELパネル16は、選択駆動信号26により駆動され、カラー画像を表示する。
【0062】
本実施形態の表示装置100は、制御部11から出力される輝度・色度切替制御信号21により、輝度のみならず、第1色バランス座標と第2色バランス座標とを切り替えるので、第1〜第3画素の劣化速度が異なる場合に、色度設定データなどの変更をすることなく、色味(表示色)を変更でき、時間経過に伴う色ずれを回避して、長寿命化することができる。
【0063】
図12は、図11に示す表示装置100におけるドライバ回路15及び有機ELパネル16の具体例を示す回路である。図12における表示マトリクス部200は、図11の有機ELパネル16に相当する。図12におけるゲートドライバ300及びデータ線ドライバ400は、図11のドライバ回路15に相当する。
【0064】
表示マトリクス部200は、マトリクス状に配列された複数の画素回路210を有しており、各画素回路210は有機EL素子220(第1〜第3画素)をそれぞれ有している。画素回路210のマトリクスには、その列方向に沿って伸びる複数のデータ線Xm(m=1〜M)と、行方向に沿って伸びる複数のゲート線Yn(n=1〜N)とがそれぞれ接続されている。なお、データ線は「ソース線」とも呼ばれ、また、ゲート線は「走査線」とも呼ばれる。また、本実施形態では、画素回路210を「単位回路」あるいは「画素」とも呼ぶ。画素回路210内のトランジスタは、通常はTFTで構成される。
【0065】
ゲートドライバ300は、複数のゲート線Ynの中の1本を選択的に駆動して1行分の画素回路群を選択する。データ線ドライバ400は、各データ線Xmをそれぞれ駆動するための複数の単一ラインドライバ410を有している。これらの単一ラインドライバ410は、各データ線Xmを介して画素回路210にデータ信号を供給する。このデータ信号に応じて画素回路210の内部状態が設定されると、これに応じて有機EL素子220に流れる電流値が制御され、この結果、有機EL素子220の発光の階調(輝度)が制御される。
【0066】
図13は、画素回路210の内部構成を示す回路図である。この画素回路210は、m番目のデータ線とn番目のゲート線Ynとの交点に配置されている回路である。なお、ゲート線Ynは、2本のサブゲート線V1,V2を含んでいる。
【0067】
画素回路210は、データ線Xmに流れる電流値に応じて有機EL素子220の階調(輝度)を調節する電流プログラム回路である。具体的には、この画素回路210は、有機EL素子220の他に、4つのトランジスタ211〜214と、保持キャパシタ230(「保持コンデンサ」あるいは「記憶キャパシタ」とも呼ぶ)とを有している。保持キャパシタ230は、データ線Xmを介して供給されたデータ信号に応じた電荷を保持し、これによって、有機EL素子220の発光の階調を調節するためのものである。すなわち、保持キャパシタ230は、データ線Xmに流れる電流に応じた電圧を保持する電圧保持手段に相当する。第1ないし第3のトランジスタ211〜213はnチャンネル型FETであり、第4のトランジスタ214はpチャンネル型FETである。有機EL素子220は、フォトダイオードと同様の電流注入型(電流駆動型)の発光素子なので、ここではダイオードの記号で描かれている。
【0068】
第1のトランジスタ211のソースは、第2のトランジスタ212のドレインと、第3のトランジスタ213のドレインと、第4のトランジスタ214のドレインと、にそれぞれ接続されている。第1のトランジスタ211のドレインは、第4のトランジスタ214のゲートに接続されている。保持キャパシタ230は、第4のトランジスタ214のソースとゲートとの間に接続されている。また、第4のトランジスタ214のソースは、電源電位Vddにも接続されている。
【0069】
第2のトランジスタ212のソースは、データ線Xmを介して単一ラインドライバ410に接続されている。有機EL素子220は、第3のトランジスタ213のソースと接地電位との間に接続されている。
【0070】
第1と第2のトランジスタ211,212のゲートは、第1のサブゲート線V1に共通に接続されている。また、第3のトランジスタ213のゲートは、第2のサブゲート線V2に接続されている。
【0071】
第1と第2のトランジスタ211,212は、保持キャパシタ230に電荷を蓄積する際に使用されるスイッチングトランジスタである。第3のトランジスタ213は、有機EL素子220の発光期間においてオン状態に保たれるスイッチングトランジスタである。また、第4のトランジスタ214は、有機EL素子220に流れる電流値を制御するための駆動トランジスタである。第4のトランジスタ214の電流値は、保持キャパシタ230に保持される電荷量(蓄積電荷量)によって制御される。
【0072】
図14は、画素回路210の通常の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、第1のサブゲート線V1の電圧値(以下、「第1のゲート信号V1」も呼ぶ)と、第2のサブゲート線V2の電圧値(以下、「第2のゲート信号V2」も呼ぶ)と、データ線Xmの電流値Iout(「データ信号Iout」も呼ぶ)と、有機EL素子220に流れる電流値IELとが示されている。
【0073】
駆動周期Tcは、プログラミング期間Tprと発光期間Telとに分かれている。ここで、「駆動周期Tc」とは、表示マトリクス部200内のすべての有機EL素子220の発光の階調が1回ずつ更新される周期を意味しており、いわゆるフレーム周期と同じものである。階調の更新は、1行分の画素回路群毎に行われ、駆動周期Tcの間にN行分の画素回路群の階調が順次更新される。例えば、30Hzで全画素回路の階調が更新される場合には、駆動周期Tcは約33msである。
【0074】
プログラミング期間Tprは、有機EL素子220の発光の階調を画素回路210内に設定する期間である。本実施形態では、画素回路210への階調の設定を「プログラミング」と呼ぶ。例えば、駆動周期Tcが約33msであり、ゲート線Ynの総数Nが480本である場合には、プログラミング周期Tprは約69μs(=33ms/480)以下になる。
【0075】
プログラミング期間Tprでは、まず、第2のゲート信号V2をLレベルに設定して第3のトランジスタ213をオフ状態(閉状態)に保つ。次に、データ線Xm上に発光階調に応じた電流値Imを流しながら、第1のゲート信号V1をHレベルに設定して第1と第2のトランジスタ211,212をオン状態(開状態)にする。このとき、このデータ線Xmの単一ラインドライバ410は、発光階調に応じた一定の電流値Imを流す定電流源として機能する。図14(c)に示されているように、この電流値Imは、所定の電流値の範囲RI内において、有機EL素子220の発光の階調に応じた値に設定されている。
【0076】
保持キャパシタ230には、第4のトランジスタ214(駆動トランジスタ)を流れる電流値Imに対応した電荷を保持した状態となる。この結果、第4のトランジスタ214のソース/ゲート間には、保持キャパシタ230に記憶された電圧が印加される。なお、本明細書では、プログラミングに用いられるデータ信号の電流値Imを「プログラミング電流値Im」と呼ぶ。
【0077】
プログラミングが終了すると、ゲートドライバ300が第1のゲート信号V1をLレベルに設定して第1と第2のトランジスタ211,212をオフ状態とし、また、データ線ドライバ400はデータ信号Ioutを停止する。
【0078】
発光期間Telでは、第1のゲート信号V1をLレベルに維持して第1と第2のトランジスタ211,212をオフ状態に保ったまま、第2のゲート信号V2をHレベルに設定して第3のトランジスタ213をオン状態に設定する。保持キャパシタ230には、プログラミング電流値Imに対応した電圧が予め記憶されているので、第4のトランジスタ214にはプログラミング電流値Imとほぼ同じ電流が流れる。従って、有機EL素子220にもプログラミング電流値Imとほぼ同じ電流が流れ、この電流値Imに応じた階調で発光する。このように、保持キャパシタ230の電圧(すなわち電荷)が電流値Imによって書き込まれるタイプの画素回路210は、「電流プログラム回路」と呼ぶ。
【0079】
図15は、単一ラインドライバ410の内部構成を示す回路図である。単一ラインドライバ410は、データ信号生成回路420(「制御電流発生部」あるいは「電流生成回路」とも呼ぶ)と、付加電流回路430(「付加電流発生部」とも呼ぶ)とを備えている。データ信号生成回路420と付加電流回路430は、データ線Xmと接地電位との間に並列に接続されている。
【0080】
データ信号生成回路420は、スイッチングトランジスタ41と駆動トランジスタ42との直列接続421が、N組分(Nは2以上の整数)並列に接続された構成を有している。図15の例ではNは6である。6つの駆動トランジスタ42のゲートには、リファレンス電圧Vref1が共通に印加されている。また、6つの駆動トランジスタ42の利得係数βの比は、1:2:4:8:16:32に設定されている。なお、利得係数βは、良く知られているように、β=(μC0 W/L)で定義される。ここで、μはキャリアの移動度、C0 はゲート容量、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長である。6つの駆動トランジスタ42は、定電流源として機能する。トランジスタの電流駆動能力は利得係数βに比例するので、6つの駆動トランジスタ42の電流駆動能力の比は、1:2:4:8:16:32である。
【0081】
6つのスイッチングトランジスタ41のオン/オフは、システム制御回路12から与えられるビデオデータ信号22に含まれる6ビットのデータ線駆動信号Ddata(「入力信号」とも呼ぶ)によって制御される。データ線駆動信号Ddataの最下位ビットは、利得係数βが最も小さな(すなわちβの相対値が1の)直列接続421に供給されており、最上位ビットは利得係数βが最も小大きな(すなわちβの相対値が32の)直列接続421に供給されている。この結果、データ信号生成回路420は、データ線駆動信号Ddataの値に比例した電流値Imを生成する電流源として機能する。データ線駆動信号Ddataの値は、有機EL素子220の発光の階調を示す値に設定されている。従って、データ信号生成回路420からは、有機EL素子220の発光の階調(輝度)に応じた電流値Imを有するデータ信号が出力される。
【0082】
付加電流回路430は、スイッチングトランジスタ43と駆動トランジスタ44との直列接続で構成されている。駆動トランジスタ44のゲート電極には、リファレンス電圧Vref2が印加される。スイッチングトランジスタ43のオン/オフは、システム制御回路12から与えられるビデオデータ信号22に含まれる付加電流制御信号Dpによって制御される。スイッチングトランジスタ43がオン状態のときには、リファレンス電圧Vref2に応じた所定の付加電流Ipが付加電流回路430からデータ線Xm上に出力される。
【0083】
(電子機器)
次に上記実施形態の電気光学装置(表示装置100)を構成要素とする電子機器について説明する。
図16(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図16(a)において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記実施形態の表示装置100を有してなる表示部を示している。図16(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図16(b)において、符号600は時計本体を示し、符号601は上記実施形態の表示装置100を有してなる表示部を示している。図16(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図16(c)において、符号700は情報処理装置、符号701はキーボードなどの入力部、符号702は上記実施形態の表示装置100を有してなる表示部、符号703は情報処理装置本体を示している。
【0084】
図16に示す電子機器は、上記実施形態の表示装置100を有しているので、赤、緑、青などの基本色(原色)を発光する各画素の経年劣化特性が各色ごとに異なっていても、所望の色を長期間に渡って表示することができる。すなわち、本実施形態によれば、カラー画像を表示できるとともに、長期間に渡って色ずれが生じることを回避でき、寿命の長い表示装置を備えた電子機器を提供することができる。本発明に係る表示装置は、自然画像と、CG(Computer Graphics)や文字情報など自然画像でない画像とを切り替えて表示する電子機器に特に好適である。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、RGBの3原色の画素で各ピクセルを構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、4原色又は5原色以上の画素で各ピクセルを構成してもよい。発光色の異なる2つの画素で、各ピクセルを構成してもよい。例えば4原色で各ピクセルを構成する場合は、RGBの画素に、シアン、マゼンダ、イエローのいずれか1つの色を発光する画素を加えることとする。
【0087】
また、上記実施形態では、本発明に係る表示装置について有機EL素子を画素として用いて構成した例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る表示装置は有機EL素子以外の各種電気光学素子などを用いて構成することができる。また、本発明に係る表示装置は、電気光学装置などの表示装置以外の照明装置に適用することができる。ここで、照明装置とは、画像又は情報などを表示する表示装置ではなく、所定の光を被照射体に出射するものである。
【0088】
また、本発明に係る表示装置は、各種家電機器の操作パネル、各種計器類、操作部を有するモニタなどに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置の基本構成を説明するための図である。
【図2】上記表示装置の各画素の経年劣化特性を示す図である。
【図3】車載インパネの一例を示す模式図である。
【図4】車載インパネの一例を示す模式図である。
【図5】白色を表示させ続けたときの各画素の輝度低下率を示す図である。
【図6】白色を表示させ続けたときの表示色の変化を示す図である。
【図7】第2色バランス座標の色の表示状態での各画素の輝度低下率を示す図である。
【図8】第2色バランス座標の色の表示状態での表示色の変化を示す図である。
【図9】輝度が異なる場合の画素(B)の経年劣化特性を示す図である。
【図10】輝度が異なる場合の画素(B)の経年劣化特性を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る表示装置の具体的構成例を示す図である。
【図12】同上表示装置のドライバ回路及び有機ELパネルの具体的な回路図である。
【図13】同上表示装置における画素回路の内部構成を示す回路図である。
【図14】同上の画素回路の通常動作を示すタイミングチャートである。
【図15】同上表示装置における単一ラインドライバの内部構成を示す回路図である。
【図16】本発明の実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
11…制御部、12…システム制御回路、13…色度設定データ保持回路、14…基準電圧生成回路、15…ドライバ回路、16…有機ELパネル、a…点(第1色バランス座標)、b…点(第2色バランス座標)、B…点(第3画素の色)、G…点(第2画素の色)、R…点(第1画素の色)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、白色を規定するものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、(x,y)空間を有する色度図における第1座標(0.33±0.02,0.33±0.02)を示すものであり、他の色バランス座標は、該色度図における該第1座標以外の座標を示すものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記白色を規定する色バランス座標の使用比率を、他の色バランス座標の使用比率よりも小さくする座標切替制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを有し、
前記色バランス座標は、前記ピクセルで表示される色の基準色を規定するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ピクセルは、第1ピーク波長の光を表示する第1画素と、第2ピーク波長の光を表示する第2画素と、第3ピーク波長の光を表示する第3画素とを有してなり、
前記色バランス座標は、第1色バランス座標と第2色バランス座標とを有し、
前記第1色バランス座標は、白色を示すものであり、
前記第2色バランス座標は、白色以外の色を示すものであることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2色バランス座標は、前記第1画素、第2画素及び第3画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の小さいものの光について、該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
自然画像を表示するときは前記第1色バランス座標を用いて表示色について制御し、計測器の計測結果を示す計器画像を表示するときは前記第2色バランス座標を用いて表示色について制御する表示色制御手段を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の表示装置を車に搭載可能な構成としたことを特徴とする車載用表示装置。
【請求項10】
前記表示装置は、車内の運転席周辺に配置されたインストルメントパネルに取り付けられるものであることを特徴とする請求項9に記載の車載用表示装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の表示装置を有してなることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ設定することを特徴とする表示方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、白色を規定するものであり、
前記白色を規定する色バランス座標は、他の色バランス座標と比べて使用比率を小さくすることを特徴とする請求項12に記載の表示方法。
【請求項14】
光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを用いて、画像を表示し、
前記他の色バランス座標は、前記ピクセルを構成する画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該ピクセルを構成する画素のうちで発光輝度についての経年劣化の小さい画素の表示光について該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることを特徴とする請求項13に記載の表示方法。
【請求項15】
計測器の計測結果を表示するときは、前記他の色バランス座標を用いて表示し、
前記計測結果以外の表示をするときは、前記白色を規定する色バランス座標を用いて表示することを特徴とする請求項13又は14に記載の表示方法。
【請求項1】
表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、白色を規定するものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、(x,y)空間を有する色度図における第1座標(0.33±0.02,0.33±0.02)を示すものであり、他の色バランス座標は、該色度図における該第1座標以外の座標を示すものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記白色を規定する色バランス座標の使用比率を、他の色バランス座標の使用比率よりも小さくする座標切替制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを有し、
前記色バランス座標は、前記ピクセルで表示される色の基準色を規定するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ピクセルは、第1ピーク波長の光を表示する第1画素と、第2ピーク波長の光を表示する第2画素と、第3ピーク波長の光を表示する第3画素とを有してなり、
前記色バランス座標は、第1色バランス座標と第2色バランス座標とを有し、
前記第1色バランス座標は、白色を示すものであり、
前記第2色バランス座標は、白色以外の色を示すものであることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2色バランス座標は、前記第1画素、第2画素及び第3画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該第1画素、第2画素及び第3画素における発光輝度の経年劣化の小さいものの光について、該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
自然画像を表示するときは前記第1色バランス座標を用いて表示色について制御し、計測器の計測結果を示す計器画像を表示するときは前記第2色バランス座標を用いて表示色について制御する表示色制御手段を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の表示装置を車に搭載可能な構成としたことを特徴とする車載用表示装置。
【請求項10】
前記表示装置は、車内の運転席周辺に配置されたインストルメントパネルに取り付けられるものであることを特徴とする請求項9に記載の車載用表示装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の表示装置を有してなることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
表示する色についての基準色を規定する色バランス座標を少なくとも2つ設定することを特徴とする表示方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つの色バランス座標における一つは、白色を規定するものであり、
前記白色を規定する色バランス座標は、他の色バランス座標と比べて使用比率を小さくすることを特徴とする請求項12に記載の表示方法。
【請求項14】
光スペクトル特性の異なる少なくとも2つの画素で構成されるピクセルを用いて、画像を表示し、
前記他の色バランス座標は、前記ピクセルを構成する画素それぞれの表示光を所定の比率で混合してなる色を示すものであるとともに、該ピクセルを構成する画素のうちで発光輝度についての経年劣化の小さい画素の表示光について該比率を大きくして混合してなる色を示すものであることを特徴とする請求項13に記載の表示方法。
【請求項15】
計測器の計測結果を表示するときは、前記他の色バランス座標を用いて表示し、
前記計測結果以外の表示をするときは、前記白色を規定する色バランス座標を用いて表示することを特徴とする請求項13又は14に記載の表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−78978(P2006−78978A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265650(P2004−265650)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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