説明

表示装置および表示方法

【課題】 ディジタイザシステムの操作性を向上させる表示装置を提供する。
【解決手段】 画面上のポインティング状態を検出する検出手段と、多画面処理を行う画像処理手段と、前記検出手段からのポインティング情報を受信する制御手段とを備え、多画面表示を行っていないとき、前記制御手段は、画面上の全ての前記ポインティング情報の平均を有効なポインティング座標として算出し、多画面表示を行っているとき、前記制御手段は、多画面のうちいづれかの画面上でポインティングを検出したとき、ポインティングを検出した画面上の全ての前記ポインティング情報の平均を有効なポインティング座標として算出し、他の画面上のポインティングを無効とし、前記ポインティングを検出した画面上のポインティングが解除されたとき、他の画面上のポインティングを有効とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示方法に関し、特にディジタイザシステムを備えた表示装置および表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイなどのディスプレイの大型化が進んでいる。これらの大型ディスプレイは例えば駅、空港や病院などさまざまな場所で利用されている。また企業などでも会議室などに設置して、会議やプレゼンテーションで利用するといったことも多くなってきた。
【0003】
これらの大型ディスプレイを会議やプレゼンテーションで利用するときには、例えば会議の司会者やプレゼンテーションを行う発表者などが画面上を指し示すための手段として、従来から指し棒やレーザーポインタなどが使用されてきた。一方で近年では、これまでより高機能なポインティングシステムとして、ディスプレイの画面上を指し示した位置を検出してシステムの処理と連動させるような機構を備えたものが開発されている。このようなポインティングシステムによって、例えば画面上の指示位置にカーソルなどの画像を表示して指示位置をより分かりやすくしたり、画像上に文字や図形等を描画したりすることが可能となり、操作性を向上することができる。
【0004】
画面上の指示位置を検出する方法としては、表示装置の画面の内部に圧力センサーを備えて物体が触れたときの圧力を検出する方式、超音波あるいは赤外線の発信子およびセンサーを表示装置画面の枠部分などに配置して画面上の物体の位置を検出する方式、赤外線を発信するペンを使用してその赤外線を表示装置内部のセンサーにより受信する方式などが発明されており、そのうちいくつかは実用化されている。
【0005】
このようなポインティングシステムにおいては、ポインティングが大きな面積にわたって検出されたときや、あるいはポインティングが複数の位置で検出されたときに、ポインティング座標を算出する必要がある。
【0006】
従来例のひとつとして、ポインティングが複数の位置で行われた場合、画面上でポインティングされている点を全て検出して、全ポイントの重心を算出したものをポインティング座標とする方法がある。この方法では例えば、画面上の2点をポインティングした場合には、ポインティングした2点の中点が有効なポインティング座標として算出されることになる。
【0007】
次に、ディスプレイの使い勝手をより向上させる機能として、多画面と呼ばれる技術が挙げられる。例としてはテレビジョン放送受信機において複数のチューナーを内蔵し、複数チャンネルの放送を受信してその画像を画面上に同時に表示させるという機能があり一般に普及している。他の例では、図面編集などのシステムにおいて、メイン画面の他に図面の一部分の拡大画像あるいは図面の縮小画像を表示するといった機能が一般的に利用されている。例えば特開平10−340075号公報に開示された技術においては、親画面のほかに子画面を表示して、子画面上で編集作業を行うようにして、編集操作の効率を改善している。
【特許文献1】特開平10−340075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
大型ディスプレイの使われ方の一例として、多画面を表示して、複数のオペレーターによって各画面の操作を行うことが考えられる。例えば、親画面とその縮小画面をディスプレイの画面上にそれぞれ表示して、親画面に対しては発表者が注目箇所を指し示したり上書きなどのアノテーション操作を行いながら、子画面は別のオペレーターによって例えば表示資料のページめくりやアプリケーション切り換えなど補助のための操作を行うという使い方が考えられる。
【0009】
このとき、発表者がアノテーションを行っている最中に、オペレーターが誤って子画面上をポインティングしたとする。このとき、ポインティング座標の算出方法として、前述したような全てのポインティングの重心を算出する方法であった場合、発表者のポインティング位置と、オペレーターのポインティング位置の中間の座標が有効なポインティング座標として算出されてしまうため、発表者やオペレーターが意図しない操作が行われてしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、上記問題を解決しより操作性を改善した表示装置および表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の表示装置は、映像機器の出力画像を受信し表示する表示装置において、画面上のポインティング状態を検出する検出手段と、多画面処理を行う画像処理手段と、前記検出手段からのポインティング情報を受信する制御手段とを備え、多画面表示を行っていないとき、前記制御手段は、画面上の全ての前記ポインティング情報の平均を有効なポインティング座標として算出し、多画面表示を行っているとき、前記制御手段は、多画面のうちいづれかの画面上でポインティングを検出したとき、ポインティングを検出した画面上の全ての前記ポインティング情報の平均を有効なポインティング座標として算出し、他の画面上のポインティングを無効とし、前記ポインティングを検出した画面上のポインティングが解除されたとき、他の画面上のポインティングを有効とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の表示方法は、映像機器の出力画像を受信し表示する表示方法であって、多画面表示を行っているかどうかを判断するステップと、多画面表示を行っていない場合、表示画像上でポインティングがあるかどうかを判定するステップと、ポインティングがあるときにはポインティング有効座標を算出し、映像機器の画像上の座標に変換し、映像機器に対して座標を送信するステップと、多画面表示を行っている場合、多画面のうちいづれかの画面の占有フラグが1かどうかを判定するステップと、いづれの占有フラグも0であるとき、各画面でのポインティングの検出を行うステップと、新たなポインティングが検出されたとき、該当する画面の占有フラグを1にセットするステップと、いづれかの占有フラグが1であるとき、該当する画面のポインティングが継続しているかどうかを判断するステップと、ポインティングが解除されていた場合は該当する画面の占有フラグを0にクリアするステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように本発明においては、多画面表示におけるポインティングシステムを備えた表示装置および表示方法において、多画面表示状態で各画面の操作を行うときのポインティング処理を、多画面表示でない通常表示時のポインティング処理から変更するようにした。この処理により、ユーザーが意図しない位置にポインティングが行われてしまうという問題を回避することができる。特に、複数のユーザーでポインティングシステムを使用するような場合により操作性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の遮光型座標入力装置及びその座標入力方法、並びに制御プログラムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態である表示装置について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態のシステム構成の一部を表すブロック図である。1はリアプロジェクションディスプレイ、2はパーソナルコンピュータである。
【0017】
まずリアプロジェクションディスプレイ1はその内部に、光源ランプ、光学レンズ、ミラー、カラーフィルタ、液晶パネルなどからなる光学系が構成されている。光源ランプが発生した光は、カラーフィルタなどによりRGBの3色に分離され、それぞれ液晶パネルに照射される。そして液晶パネルを透過して変調された光は投影光学系によりリアプロジェクションディスプレイ1の画面上に拡大投影されて画像が表示される。
【0018】
リアプロジェクションディスプレイ1とパーソナルコンピュータ2は、画像ケーブル及びUSBケーブルで接続されており、パーソナルコンピュータ2から出力された画像はデジタル画像受信部5に入力される。またUSBラインはシステムコントロール部3の内部に備えられたUSBインタフェース部に接続され、リアプロジェクションディスプレイ1とパーソナルコンピュータ2の間でUSB通信を行うようになっている。
【0019】
パーソナルコンピュータ2は、発表資料やプレゼンテーションスライド等の編集、表示やアノテーションを行うためのアプリケーションを内蔵しており、ここでは予めユーザーが作成した発表資料を表示しているものとする。
【0020】
デジタル画像受信部5で受信された画像は次に画像処理部6に入力される。画像処理部6では、画像とともに入力される同期信号から入力画像の解像度を判定する。そして液晶パネルの画素数と異なる場合には液晶パネル上の表示に合った画素数に変換する。ここでは入力画像の解像度が横方向1024画素、縦方向768画素からなっており、また液晶パネルは横方向1920画素、縦方向1080画素からなるものとする。
【0021】
ここで、ユーザーはリアプロジェクションディスプレイ1が備えるOSD(On Screen Display)メニューなどから表示のパターンを選択するようになっている。例えば、入力画像の解像度を変更せずに画面の中央に表示させるリアルサイズ表示や、入力画像のアスペクト比を保ったまま画面の縦あるいは横方向のいづれかを一致させるように入力画像を変換する通常表示、または入力画像のアスペクト比を保たないで縦方向および横方向をそれぞれ変換して画面全体に表示させる全体表示、そのほか多画面表示、子画面表示などがある。まず初めには、通常表示に設定されているものとする。
【0022】
画像処理部6はまず、横方向および縦方向の変換比率をそれぞれ算出する。
【0023】
1080/768=1.40625
1920/1024=1.875 …(1)
となる。ここで画像処理部6は入力画像のアスペクト比を保持するために、2つの変換比率を比較して低い方の変換比率である1.40625を選択し、横方向および縦方向についてそれぞれ1.40625倍とする拡大処理を行う。
【0024】
1024×1.40625=1440
768×1.40625=1080 …(2)
従って、液晶パネルの縦方向の画素に合わせた形で、横方向1440画素、縦方向1080画素からなる画像を生成する。また画像処理部6においては、後述の画像の縮小表示のために、入力画像の縮小処理も行うようになっている。
【0025】
次に画像処理部6ではコントラスト、ブライトなどの画質調整が行われる。これらの画質調整は、リアプロジェクションディスプレイ1が備えるOSD(On Screen Display)メニューなどからユーザーによって調整が行われる。
【0026】
次にD/A変換部7において、デジタル画像信号をアナログ画像信号に変換する。そして画像信号は、各液晶パネル8(R)、液晶パネル9(G)、および液晶パネル10(B)に入力され、各液晶パネル上に画像が形成される。このときの画面の状態を図3に示す。リアプロジェクションディスプレイ1の画面全体を25として横方向1920画素、縦方向1080画素あるうち、入力画像26はその中央に表示され、左右の領域は黒表示となる。ここで画像の右下部分にあるのはアプリケーション操作のためのアイコンの一例であり、2つの矢印アイコンは次の画像へのページ送りとページ戻し、また×印アイコンはアプリケーション終了のためのアイコンである。
【0027】
次に、ディジタイザ検出部4はリアプロジェクションディスプレイ1の画面右上部および左上部に備えられた赤外線モジュールと、画面の左右端および下端に設置された赤外線反射板からなっており、赤外線モジュールから赤外線を発信し、その反射を検出している。画面上に障害物が存在すると、発信した赤外線がさえぎられ、受信信号のレベルが変化する。従って、例えば指や指示棒などで画面上のある位置をポインティングしたようなときに、受信信号のレベル変化からその位置および大きさを検出することが出来る。さらに、本ディジタイザシステムではペンを備え、ペンによって画面上で押下操作が行われるとペンから押下信号が発信され、その信号を赤外線モジュールで検出することで押下操作を検出するようになっている。
【0028】
システムコントロール部3はディジタイザ検出部4からの検出信号を受信して、ポインティングの位置や押下の判断を行う。
【0029】
ポインティングの状態として、1点のみがポインティングされる場合のほかに、例えば手のひらなど面積が大きいもので画面上を触ったときや、画面上の複数の場所でポインティングが行われることなどが考えられる。このような場合に対応するために、ポインティングを検出した全ポイントの平均を有効なポインティング座標として算出するという処理を行う。すなわち座標(X1、Y1)、・・・(Xn、Yn)のn点でポインティングを検出したときの有効なポインティング座標(Xp、Yp)は、
Xp=(X1+・・・+Xn)/n
Yp=(Y1+・・・+Yn)/n …(3)
と算出する。
【0030】
次にシステムコントロール部3は、(Xp、Yp)が画像表示26の領域にあるか、画像表示領域以外の黒表示領域にあるかの判断を行う。全体画面25の左上座標を(0、0)、右下座標を(1919、1079)とすると、画像表示26は画面の中央に位置しているから、(240、0)から(1679、1079)の範囲となる。画像表示26の領域でポインティングや押下が行われた場合は、システムコントロール部3は算出したポインティング座標(Xp、Yp)をパーソナルコンピュータ2の画像上の座標に変換する。パーソナルコンピュータ2の画像上の座標は、左上座標が(0、0)、右下座標が(65535、65535)であるとする。ポインティング座標(Xp、Yp)に対応するパーソナルコンピュータ2の画像上の座標を(Xc、Yc)とすると、
Xc=(Xp−240)×65535/1439
Yc=Yp×65535/1079 …(4)
となる。
【0031】
システムコントロール部3は(Xc、Yc)を算出し、USBを介してパーソナルコンピュータ2へ座標(Xc、Yc)や押下信号を送信する。パーソナルコンピュータ2では受信した座標に従って各操作の処理を行う。従って、ペンによる画面上へのポインティング操作により、表示している画像1への上書きや編集、またはアイコン押下によるページ送り、ページ戻し、アプリケーション終了などを行うことが出来る。
【0032】
一方で、(Xp、Yp)が画像表示領域以外の黒表示領域、すなわち(0、0)から(239、1079)の範囲かまたは、(1680、0)から(1919、1079)の範囲である場合は、システムコントロール部3はパーソナルコンピュータ2へのポインティング信号の送信を行わない。
【0033】
次に、ユーザーがOSDメニューから表示状態の変更として、子画面表示を選択したとする。このときの画面の状態を図4に示す。まずパーソナルコンピュータ2から入力された画像の親画面26は、リアプロジェクションディスプレイ1の全体画面25の中で、右端を一致させた位置に表示される。従って、親画面26の座標範囲は、(480、0)から(1919、1079)である。さらに、画面左側に空いた表示領域に入力画像を縮小した子画面27を表示する。なお画像の縮小処理は、システムコントロール部3からの指示に従って画像処理部6において行われ、子画面27の座標は、(40、700)から(439、999)の範囲であるものとする。
【0034】
このときシステムコントロール部3は、親画面26の領域におけるポインティング状態と、子画面27の領域におけるポインティング状態とをそれぞれ監視する。ここでまず親画面26の領域内でポインティングを検出したとする。
【0035】
システムコントロール部3は、親画面26の領域において検出したポインティング座標(XA1、YA1)、・・・(XAi、YAi)のi個の点から、親画面26上の有効なポインティング座標(XAp、YAp)を算出する。
【0036】
XAp=(XA1+・・・+XAi)/i
YAp=(YA1+・・・+YAi)/i …(5)
となる。
【0037】
システムコントロール部3は算出したポインティング座標(XAp、YAp)をパーソナルコンピュータ2の画像上の座標に変換する。ポインティング座標(XAp、YAp)に対応するパーソナルコンピュータ2の画像上の座標を(XAc、YAc)とすると、
XAc=(XAp−480)×65535/1439
YAc=YAp×65535/1079 …(6)
となる。
【0038】
そしてシステムコントロール部3はパーソナルコンピュータ2へ座標(XAc、YAc)を送信する。
【0039】
次に、親画面26の領域でのポインティングが継続しているときに、子画面27の領域でポインティングを開始したとする。システムコントロール部3は、親画面26または子画面27におけるポインティングが継続しているときに、その領域以外でのポインティングが発生した場合、そのポインティングを無効と判断して処理を行わない。すなわちこの場合には、親画面26のポインティングはそのまま継続されるが、子画面27でのポインティングは無効となり操作はできない。
【0040】
その状態で親画面26で継続していたポインティングを解除したとする。するとシステムコントロール部3は、子画面27でのポインティングを有効にして受け付ける。
【0041】
システムコントロール部3は、子画面27の領域において検出したポインティング座標(XB1、YB1)、・・・(XBj、YBj)のj個の点から、子画面15上の有効なポインティング座標(XBp、YBp)を算出する。
【0042】
XBp=(XB1+・・・+XAj)/j
YBp=(YB1+・・・+YBj)/j …(7)
となる。
【0043】
システムコントロール部3は算出したポインティング座標(XBp、YBp)をパーソナルコンピュータ2の画像上の座標に変換する。ポインティング座標(XBp、YBp)に対応するパーソナルコンピュータ2の画像上の座標を(XBc、YBc)とすると、
XBc=(XBp−40)×65535/399
YBc=(YBp−700)×65535/299 …(8)
となる。
【0044】
そしてシステムコントロール部3はパーソナルコンピュータ2へ座標(XBc、YBc)を送信する。
【0045】
子画面27の領域でのポインティングが継続しているときには、親画面26の領域でポインティングを開始しても、子画面27のポインティングが継続され、親画面14でのポインティングは無効となり操作はできない。
【0046】
なお本実施の形態においては上述のように、システムコントロール部3は、親画面26または子画面27におけるポインティングが継続しているときにその領域以外でのポインティングが発生した場合、そのポインティングを無効と判断して処理を行わないようにしたが、他の例として、親画面26でのポインティングを常に優先するようにしてもよい。その場合には、子画面27の領域でのポインティングが継続しているとき親画面26の領域でポインティングを開始した場合に、その時点で子画面27のポインティングが無効となり、親画面26でのポインティングが有効となる。また同様にして、子画面27でのポインティングを優先するようにしても良い。
【0047】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態として、リアプロジェクションディスプレイに対してパーソナルコンピュータを3台接続して構成した例について説明する。
【0048】
図2は、本発明の第2の実施の形態のシステム構成の一部を表すブロック図である。11はリアプロジェクションディスプレイ、12、13、および14はパーソナルコンピュータである。
【0049】
リアプロジェクションディスプレイ11とパーソナルコンピュータ12、パーソナルコンピュータ13およびパーソナルコンピュータ14は、USBケーブルによってリアプロジェクションディスプレイ11内部のシステムコントロール部15に備えられたUSBインタフェース部にそれぞれ接続され、リアプロジェクションディスプレイ11と各パーソナルコンピュータの間でUSB通信を行うようになっている。
【0050】
3台のパーソナルコンピュータからはアナログ画像が出力され、それぞれリアプロジェクションディスプレイ11内部のA/D変換部17、18および19に入力される。各画像信号はA/D変換部17、18および19でデジタル信号に変換され、画像処理部20に入力される。
【0051】
ユーザーはリアプロジェクションディスプレイ11が備えるOSD(On Screen Display)メニューなどから表示のパターンを選択するようになっている。図3に示したように入力画像のいづれかひとつを表示する通常の表示のほかに、図5に示したように3つの入力画像を同時に表示する多画面表示などがある。ここでは図5の多画面表示が選択され表示されているとする。
【0052】
画像処理部20においては、各入力画像に対して拡大あるいは縮小処理を行ったのち各画像の出力タイミングを調整して、図5の多画面表示を生成する。画像処理部20により多画面化され出力された画像信号はD/A変換部21においてデジタルからアナログ信号に変換される。そして各液晶パネル22(R)、液晶パネル23(G)、および液晶パネル24(B)に入力され、各液晶パネル上に画像が形成される。
【0053】
システムコントロール部15はディジタイザ検出部16からの検出信号を受信して、ポインティングの位置や押下の判断を行う。
【0054】
多画面状態においては、システムコントロール部15は、各画面28、29および30の領域におけるポインティング状態をそれぞれ監視する。
【0055】
ここで例えば、初めに画面28の領域でのポインティングが継続していたときに、画面29の領域でポインティングを開始したとする。システムコントロール部15は、画面28、29または30のうちいづれかにおいてポインティングが継続しているときには、その領域以外でのポインティングが発生した場合、そのポインティングを無効と判断して処理を行わない。すなわちこの場合には、画面28のポインティングはそのまま継続されるが、画面29で開始したポインティングは無効となり操作はできない。ポインティング検出後はパーソナルコンピュータ画像上の座標への変換、パーソナルコンピュータへの座標信号送信を行うが、処理の手順は第1の実施の形態と同様であり詳細な説明は省く。
【0056】
その後、画面28で継続していたポインティングを解除したら、システムコントロール部3は、画面29でのポインティングを有効にして受け付けるようにする。
【0057】
なお本実施の形態においては上述のように、システムコントロール部15は、いづれかの画面におけるポインティングが継続しているときにその領域以外でのポインティングが発生した場合、そのポインティングを無効と判断して処理を行わないようにしたが、他の例として、特定の画面でのポインティングを常に優先するようにしてもよい。その場合には、非優先の画面でのポインティングが継続しているときに優先画面でポインティングを開始した場合に、その時点で非優先画面のポインティングが無効となり、優先画面でのポインティングが有効となる。
【0058】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態である表示方法について説明する。
【0059】
構成は本発明の第2の実施の形態と同様である。システムコントロール部15は、リアプロジェクションディスプレイ11内部のシステム全体の制御を行っている。その中で、ディジタイザに関わる処理のフローを図6に示し、その処理について説明する。
【0060】
図6のディジタイザ処理は、システムコントロール部15の内部に備えたタイマーなどを使用して定期的に実行されるように設定されている。ここでは10msごとに実行されるように設定されているものとする。
【0061】
ディジタイザ処理が開始されると、まずS602で、多画面表示を行っているかどうかの判断を行う。多画面表示を行っていない場合、すなわち図3に示したような、入力画像のアスペクト比を保ったまま画面の縦あるいは横方向のいづれかを一致させるように入力画像を変換する通常表示やあるいは、入力画像の解像度を変更せずに画面の中央に表示させるリアルサイズ表示、または入力画像のアスペクト比を保たないで縦方向および横方向をそれぞれ変換して画面全体に表示させる全体表示などである場合は、S608で、表示画像上でポインティングがあるかどうかを判定する。ポインティングが無いときにはS612へ進みディジタイザ処理を終了する。ポインティングがあるときにはS605へ進み、ポインティング有効座標を算出する。次にS606で、該当するパーソナルコンピュータの画像上の座標に変換する。なおポインティング有効座標の算出方法、パーソナルコンピュータの画像上の座標への変換の手順は第1の実施の形態において述べた手順と同様であり詳細な説明は省く。S607でパーソナルコンピュータ2に対して座標を送信し、S612でディジタイザ処理を終了する。
【0062】
次に、図5に示した多画面表示を行っている場合について説明する。この場合にはS602において多画面表示を行っていると判断されS603へ進む。S603では、ディジタイザが画面28、29、30のうちいづれかの画面によって占有されているか、すなわち現在ポインティングが継続されているかどうかを示すディジタイザ占有フラグが1かどうかを判定する。画面28、29、30のディジタイザ占有フラグがともに0であるならS609へ進む。S609では、画面28、29、30でのポインティングの検出を行う。
【0063】
ポインティングが無いならばS612に達しディジタイザ処理を終了する。ここでは、画面30において新たなポインティングが検出されたとする。その場合はS610で画面30のディジタイザ占有フラグを1にセットする。次にS605以降へ進み、ポインティング有効座標の算出、パーソナルコンピュータの画像上の座標への変換、パーソナルコンピュータへの座標の送信を行い、S612でディジタイザ処理を終了する。
【0064】
10msが経過して次のディジタイザ処理が開始されるとS603の判断において、上述のように画面30のディジタイザ占有フラグが1となっているから、S604へ進む。S604ではディジタイザの占有が継続しているかどうかを判断する。画面30でのポインティングが継続している場合はS605以降へ進み、ポインティング有効座標の算出、パーソナルコンピュータの画像上の座標への変換、パーソナルコンピュータへの座標の送信を行い、S612でディジタイザ処理を終了する。画面30でのポインティングが解除されていた場合はS611へ進み、画面30のディジタイザ占有フラグを0にクリアしたのちディジタイザ処理を終了する。
【0065】
以上に説明した処理によって、多画面表示などの場合、ある画面でポインティングを継続している場合には、他の画面でのポインティングを無効として、ポインティングが終了した時点で他の画面のポインティングを有効とするという機能が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成の一部を表すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の構成の一部を表すブロック図である。
【図3】画面の表示状態を示す図である。
【図4】子画面表示の例を示す図である。
【図5】多画面表示の例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の表示方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 リアプロジェクションディスプレイ
2 パーソナルコンピュータ
3 システムコントロール部
4 ディジタイザ検出部
5 デジタル画像受信部
6 画像処理部
7 D/A変換部
8 液晶パネル(R)
9 液晶パネル(G)
10 および液晶パネル(B)
11 リアプロジェクションディスプレイ
12 パーソナルコンピュータ
13 パーソナルコンピュータ
14 パーソナルコンピュータ
15 システムコントロール部
16 ディジタイザ検出部
17 A/D変換部
18 A/D変換部
19 A/D変換部
20 画像処理部
21 D/A変換部
22 液晶パネル(R)
23 液晶パネル(G)
24 液晶パネル(B)
25 全体画面
26 画像表示部分
27 子画面
28 画像表示部分
29 画像表示部分
30 画像表示部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像機器の出力画像を受信し表示する表示装置において、
画面上のポインティング状態を検出する検出手段と、
多画面処理を行う画像処理手段と、
前記検出手段からのポインティング情報を受信する制御手段とを備え、
多画面表示を行っていないとき、前記制御手段は、画面上の全ての前記ポインティング情報の平均を有効なポインティング座標として算出し、
多画面表示を行っているとき、前記制御手段は、多画面のうちいづれかの画面上でポインティングを検出したとき、ポインティングを検出した画面上の全ての前記ポインティング情報の平均を有効なポインティング座標として算出し、他の画面上のポインティングを無効とし、
前記ポインティングを検出した画面上のポインティングが解除されたとき、他の画面上のポインティングを有効とすることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、算出した前記有効なポインティング座標を、前記ポインティングを検出した画面内に表示された画像上の座標に変換し、前記映像機器に送信することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記多画面表示は、前記映像機器の出力画像の表示画面とその縮小画面からなる2画面表示であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記多画面表示は、複数の前記映像機器の出力画像を同時に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
映像機器の出力画像を受信し表示する表示方法であって、
多画面表示を行っているかどうかを判断するステップと、
多画面表示を行っていない場合、表示画像上でポインティングがあるかどうかを判定するステップと、
ポインティングがあるときにはポインティング有効座標を算出し、映像機器の画像上の座標に変換し、映像機器に対して座標を送信するステップと、
多画面表示を行っている場合、多画面のうちいづれかの画面の占有フラグが1かどうかを判定するステップと、
いづれの占有フラグも0であるとき、各画面でのポインティングの検出を行うステップと、新たなポインティングが検出されたとき、該当する画面の占有フラグを1にセットするステップと、
いづれかの占有フラグが1であるとき、該当する画面のポインティングが継続しているかどうかを判断するステップと、
ポインティングが解除されていた場合は該当する画面の占有フラグを0にクリアするステップとを有することを特徴とする表示方法。
【請求項6】
前記多画面表示は、前記映像機器の出力画像の表示画面とその縮小画面からなる2画面表示であることを特徴とする請求項5に記載の表示方法。
【請求項7】
前記多画面表示は、複数の前記映像機器の出力画像を同時に表示することを特徴とする請求項5に記載の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−85343(P2006−85343A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268308(P2004−268308)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】