説明

表示装置および電子機器

【課題】立体表示におけるモアレの発生を抑制することができるようにする。
【解決手段】複数の画素を有し、複数の視点画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記複数の視点画像をそれぞれ異なる方向に分離する複数の分離部とを備える。前記各分離部を第1の斜め方向に傾斜配置する。前記各画素の形状を、前記第1の斜め方向と前記第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで異ならせる。例えば、前記各画素が前記第1の斜め方向において少なくとも1つの切り欠き部を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パララックスバリア等を用いて裸眼方式による立体表示を行う表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
立体表示を行う手法としては、立体視用の眼鏡を用いる眼鏡方式と、立体視用の特殊な眼鏡を用いることなく裸眼での立体視を可能にした裸眼方式とがある。裸眼方式の代表的なものとしては、パララックスバリア方式とレンチキュラレンズ方式とがある。パララックスバリア方式やレンチキュラ方式の場合、2次元表示パネルに立体視用の複数の視点画像(2視点の場合には右眼用視点画像と左眼用視点画像)を空間分割して表示し、その視点画像を分離手段によって水平方向に分離することで立体視が行われる。パララックスバリア方式の場合、分離手段としてスリット状の開口部が設けられたパララックスバリアを用いる。レンチキュラ方式の場合、分離手段として、シリンドリカル状の分割レンズを複数並列配置したレンチキュラレンズが用いられる。
【0003】
また、パララックスバリア方式において開口部を斜め方向に傾斜配置させる、またはレンチキュラレンズ方式においてシリンドリカル状の分割レンズを斜め方向に傾斜配置させる構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001−501073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように開口部または分割レンズを斜め方向に傾斜配置させる構成の場合、画素の配列や画素形状などとの関係によっては、モアレが発生し、立体表示の品質が劣化するおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、立体表示におけるモアレの発生を抑制することができる表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による表示装置は、複数の画素を有し、複数の視点画像を表示する表示部と、表示部に表示された複数の視点画像をそれぞれ異なる方向に分離する複数の分離部とを備え、各分離部が第1の斜め方向に傾斜配置され、各画素が、第1の斜め方向と第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで形状が異なっているものである。
なお、本開示による表示装置において、「画素」は、複数のサブピクセルを有していても良い。その場合、複数のサブピクセルのそれぞれの形状を、上記形状とすれば良い。
【0008】
本開示による電子機器は、上記本開示による表示装置を備えたものである。
【0009】
本開示による表示装置または電子機器では、表示部に表示された複数の視点画像が複数の分離部によって、それぞれ異なる方向に分離される。各分離部が第1の斜め方向に傾斜配置されると共に、各画素の形状が、第1の斜め方向と第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで異なっていることで、モアレの発生が抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の表示装置または電子機器によれば、各分離部を第1の斜め方向に傾斜配置すると共に、各画素の形状を、第1の斜め方向と第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで異ならせるようにしたので、立体表示におけるモアレの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の全体構成の一例を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る表示装置における表示部の画素配列とパララックスバリアの構成との第1の例を示す平面図である。
【図3】表示部の画素配列とパララックスバリアの構成との第2の例を示す平面図である。
【図4】表示部の画素配列とパララックスバリアの構成との第3の例を示す平面図である。
【図5】比較例に係る画素構造とパララックスバリアの構成とを示す平面図である。
【図6】図5に示した画素構造の場合において、パララックスバリアの開口部を透過するサブピクセルの透過面積の割合を示した特性図である。
【図7】比較例に係る画素構造とパララックスバリアの構成との具体例を示す平面図である。
【図8】パララックスバリアの開口部を透過するサブピクセルの透過面積の割合の理想的な例を示した特性図である。
【図9】モアレを改善する画素形状の第1の例を示す平面図である。
【図10】図9に示した画素形状を適用した画素配列の例を示す平面図である。
【図11】モアレを改善する画素形状の第2の例を示す平面図である。
【図12】図11に示した画素形状を適用した画素配列の例を示す平面図である。
【図13】モアレを改善する画素形状の第3の例を示す平面図である。
【図14】図13に示した画素形状を適用した画素配列の例を示す平面図である。
【図15】図9に示した画素形状と図13に示した画素形状とを組み合わせた画素配列の例を示す平面図である。
【図16】比較例に係るマルチ画素構造の例を示す平面図である。
【図17】マルチ画素構造においてモアレを改善する画素形状の第1の例を示す平面図である。
【図18】図17(B)に示した画素形状の特徴を説明するための平面図である。
【図19】マルチ画素構造においてモアレを改善する画素形状の第2の例を示す平面図である。
【図20】図19(B)に示した画素形状の特徴を説明するための平面図である。
【図21】表示装置の他の構成例を示す断面図である。
【図22】電子機器の一例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
パララックスバリア方式の表示装置の例。
2.第2の実施の形態
マルチ画素構造を用いる例。
3.第3の実施の形態
レンチキュラレンズ方式の表示装置の例。
4.その他の実施の形態
電子機器の例等。
【0013】
<1.第1の実施の形態>
[表示装置の基本構成]
図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の基本構成を説明する。この表示装置は、パララックスバリア1と、表示部2とを備えている。
【0014】
表示部2は、液晶表示パネル、エレクトリックルミナンス方式の表示パネル、またはプラズマディスプレイ等の2次元表示ディスプレイで構成されている。表示部2の画像表示面には、複数の画素が水平方向および垂直方向に2次元的に配列されている。1つの画素は複数のサブピクセルで構成されている。
【0015】
例えば図2〜図4に示したように、1つの画素がR(赤色)サブピクセル20Rと、G(緑色)サブピクセル20Gと、B(青色)サブピクセル20Bとの第1ないし第3の色のサブピクセルから構成されている。そして、水平方向に3つの色の各サブピクセルが周期的に交互に配列され、垂直方向には同一色のサブピクセルが配列されている。また、各サブピクセルの間にはブラックマトリクス21が設けられている。以下では、第1ないし第3の色のサブピクセルを各色の区別無く総称する場合には、「サブピクセル20」と記す。表示部2には、複数の視点用の視差画像(視点画像)が、所定のパターンに従って各サブピクセル20に割り当てられて合成表示されるようになっている。
【0016】
なお、図2〜図4では、画素の構造に関しては主として画素の配列状態を説明するために、サブピクセル20の形状を長方形状で簡略化して図示しているが、より詳しくは、図9等で後述するようにモアレを改善するために一部に切り欠き部を有する画素形状とされている。
【0017】
パララックスバリア1は、表示部2に表示された視差合成画像に含まれる複数の視点画像を立体視が可能となるように複数の視点方向に分離するものであり、立体視を可能にするように表示部2に対して所定の位置関係で対向配置されている。パララックスバリア1は、光を遮蔽する遮蔽部11と、光を透過する開口部12とを有している。パララックスバリア1は、固定式のバリア素子であっても良いし、可変式のバリア素子であっても良い。固定式のバリア素子の場合、例えば透明な平行平面板(基材)の表面に、薄膜状の金属などで開口部12および遮蔽部11となるパターンを形成したものを用いることができる。可変式のバリア素子とする場合、例えばバックライト方式の液晶表示素子による表示機能(光変調機能)を用いて、開口部12および遮蔽部11のパターンを選択的に形成することができる。なお、図1では、表示部2の表示面側にパララックスバリア1を配置した例を示しているが、表示部2の背面側にパララックスバリア1を配置する構成であっても良い、例えば表示部2としてバックライト方式の液晶表示パネルを用いる場合、液晶表示パネルの背面側で、バックライトと液晶表示パネルとの間にパララックスバリア1を配置すれば良い。
【0018】
パララックスバリア1の開口部12は、特定の視点位置から表示部2を観測したときに特定の視点画像のみが観察されるように、表示部2の画面上の視差合成画像に含まれる複数の視点画像を分離する分離部としての機能を有している。開口部12と、表示部2の各サブピクセル20との位置関係から、表示部2の各サブピクセル20より発せられた光の出射角度が制限される。表示部2における各サブピクセル20は、開口部12との位置関係によって、表示される方向が異なることとなる。図1に示したように、観察者の左右の眼10L,10Rには、異なるサブピクセル20からの光線L3,L2が到達し、互いに視差のある視点画像を観察する状態となることで立体映像として知覚できる。
【0019】
パララックスバリア1の開口部12は、例えば図2〜図4に示したように、垂直方向に対して第1の斜め方向31に延在するように傾斜配置されている。ここで、図2は、開口部12の水平方向からの角度をθとしたとき、tanθ=3/1となるように開口部12を傾斜配置した例を示している。図3は、tanθ=3/2となるように開口部12を傾斜配置した例を示している。図4は、tanθ=6/1となるように開口部12を傾斜配置した例を示している。なお、図2〜図4において、赤色サブピクセル20R、緑色サブピクセル20G、および青色サブピクセル20Bのそれぞれに付した番号は、表示する視点数に対応する画素番号(視点番号)を示している。ここでは視点数が3つである場合を例にしている。また、図2〜図4では、開口部12の配置パターン(バリアパターン)は、第1の視点画像に対応する位置から見た状態を示している。図2〜図4に示したように、赤色サブピクセル20R、緑色サブピクセル20G、および青色サブピクセル20Bには、複数の視点画像が、開口部12の傾斜角度に応じた所定の割り当てパターンで割り当てられる。
【0020】
[モアレの発生の説明]
図1〜図4に示したような構成では、観察者の視点位置や観察者が見る画面位置(中心部と周辺部等)に応じて、見掛け上、開口部12の位置とサブピクセル20の位置との相対関係が変化し、開口部12を介して観察されるサブピクセル20の位置や領域が異なる。このため、画素構造によってはモアレが発生する問題がある。
【0021】
例えば図5に示した比較例に係る画素構造のように、サブピクセル20が長方形状である場合を例に説明する。なお、図5では、サブピクセル20を水平方向に4つのみ代表して図示している。隣接するサブピクセル20の間には、ブラックマトリクス21が存在しているため、開口部12の位置とサブピクセル20の位置との相対関係が変化した場合、開口部12を透過する光の割合が変化する。開口幅W1の違いによっても、開口部12を透過する光の割合は変化する。図6は、図5において画素列の左端の位置を基準位置として開口部12が水平方向に移動した場合に、開口部12を介して観察されるサブピクセル20の透過面積の割合を計算した結果の一例を示している。図6の計算例に示したようにサブピクセル20の透過面積の割合が変化し、透過光の割合が変化するため、これが輝度の変化(モアレ)として観察されてしまう。より具体的に、例えば図7に示したように、1つのサブピクセル20において、ブラックマトリクス21の割合が垂直方向および水平方向に20%、開口幅W1がサブピクセル幅の1.2倍の大きさで、全面白表示とする場合を計算すると、輝度の変調度は3.9%となる。
ここでいう変調度とは、
(輝度の最大値−輝度の最小値)/輝度の平均値
のことをいう。
【0022】
[モアレの発生を抑制する画素構造の例]
図6に示した比較例に対して、モアレの発生を抑制するためには、図8に示したようにサブピクセル20の透過面積の割合が開口部12の水平位置によらず一定となるようにすれば良い。図9〜図15を参照して、モアレの発生を抑制する画素構造の例を説明する。以下の各例では、パララックスバリア1の開口部12は、垂直方向に対して第1の角度α(図9(B)等参照)で第1の斜め方向31に傾斜配置されているものとする。
【0023】
(第1の例)
図9(A),(B)は、モアレを改善する画素形状の第1の例を示している。図10は、図9(A),(B)に示した画素形状を適用した画素配列の例を示している。なお、図10では、サブピクセル20を水平方向に4つのみ代表して図示している。
【0024】
この第1の例では、サブピクセル20の形状が全体として略長方形状で、第1の斜め方向31において1つの切り欠き部22を有した形状となっている。より具体的には、長方形状の左上側の角部を矩形状に切り欠いた形状となっている。これにより、サブピクセル20が、第1の斜め方向31と第1の斜め方向31に対して左右対称的となる第2の斜め方向32とで形状が異なっている。第2の斜め方向32は、図9(B)に示したように、垂直方向に対して第1の角度αとは左右逆方向となるような第2の角度−αで傾斜する方向である。切り欠き部22は、ブラックマトリクス22の構成要素の1つであっても良い。例えば画素駆動用のTFT(Thin Film Transistor)やPS(フォトスペーサ)であっても良い。
【0025】
(第2の例)
図11(A),(B)は、モアレを改善する画素形状の第2の例を示している。図12は、図11(A),(B)に示した画素形状を適用した画素配列の例を示している。なお、図12では、サブピクセル20を水平方向に4つのみ代表して図示している。
【0026】
この第2の例では、サブピクセル20の形状が全体として略長方形状で、第1の斜め方向31において第1の切り欠き部23と第2の切り欠き部24とを有した形状となっている。これにより、サブピクセル20が、第1の斜め方向31と第1の斜め方向31に対して左右対称的となる第2の斜め方向32とで形状が異なっている。より具体的には、長方形状の左上側の角部が部分的に第2の斜め方向32に切り欠いた形状となっている。また、長方形状の右下側の角部が第2の斜め方向32に切り欠いた形状となっている。なお、図では第1の切り欠き部23と第2の切り欠き部24とが斜め方向に段差状に切り欠いた形状となっているが、第2の斜め方向32に直線状に切り欠いた形状となっていても良い。第1の切り欠き部23と第2の切り欠き部24は、ブラックマトリクス22の構成要素の1つであっても良い。
【0027】
(第3の例)
図13(A),(B)は、モアレを改善する画素形状の第3の例を示している。図14は、図13(A),(B)に示した画素形状を適用した画素配列の例を示している。なお、図14では、サブピクセル20を水平方向に4つのみ代表して図示している。
【0028】
この第3の例では、サブピクセル20の形状が全体として略長方形状で、第1の斜め方向31において第1の切り欠き部25と第2の切り欠き部26とを有した形状となっている。これにより、サブピクセル20が、第1の斜め方向31と第1の斜め方向31に対して左右対称的となる第2の斜め方向32とで形状が異なっている。より具体的には、長方形状の左上側の角部と右下側の角部とが第2の斜め方向32に切り欠いた形状となっている。なお、図では第1の切り欠き部25と第2の切り欠き部26とが斜め方向に段差状に切り欠いた形状となっているが、第2の斜め方向32に直線状に切り欠いた形状となっていても良い。なお、上記第2の例では第1の切り欠き部23の割合と第2の切り欠き部24の割合とが異なっているが、この第3の例では第1の切り欠き部25の割合と第2の切り欠き部26の割合とが略同一となっている。第1の切り欠き部25と第2の切り欠き部26は、ブラックマトリクス22の構成要素の1つであっても良い。
【0029】
(第4の例)
図15は、モアレを改善する画素形状の第4の例を示している。なお、図15では、サブピクセル20を水平方向に4つのみ代表して図示している。この第4の例は、図11(A),(B)の第1の例の画素形状と図13(A),(B)の第3の例の画素形状とを組み合わせたものである。2つの異なる形状のサブピクセル20を水平方向に交互に配置している。
【0030】
以上の第1ないし第4の例のような構造にすることで、水平方向の画素列において、開口部12の傾斜方向(第1の斜め方向31)に平行な平行線41に含まれるサブピクセル20の有効領域の割合(平行線41とサブピクセル20の有効領域とが重なり合う長さの割合)が、水平方向の位置によらず一定となる(図10、図12、図14および図15参照)。なお、サブピクセル20の有効領域とは、例えば表示部2が自発光型のディスプレイである場合には、実質的に表示に寄与する有効な発光領域のことをいう。また例えば表示部2が液晶ディスプレイである場合には、実質的に表示に寄与する有効な画素開口または光の透過領域のことをいう。従って、開口部12の開口幅W1が同一であれば、サブピクセル20の透過面積の割合が開口部12の水平位置によらず一定となり、モアレの発生が抑制される。
【0031】
[効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る表示装置によれば、分離部としての開口部12を第1の斜め方向31に傾斜配置すると共に、サブピクセル20の形状を、第1の斜め方向31と第1の斜め方向31に対して左右対称的となる第2の斜め方向32とで異ならせるようにしたので、立体表示におけるモアレの発生を抑制することができる。
【0032】
<2.第2の実施の形態>
次に、本開示の第2の実施の形態に係る表示装置について説明する。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0033】
本実施の形態は、単位画素が階調に応じて個別に制御される複数の画素領域に分割されているような、いわゆるマルチ画素構造である場合の表示装置に関する。
【0034】
[比較例に係るマルチ画素構造の例]
図16は、比較例に係るマルチ画素構造の例を示している。このマルチ画素構造の例では、1つのサブピクセル20が、第1の領域20−1と、第2の領域20−2とに分割されている。第1の領域20−1と第2の領域20−2は、それぞれ輝度を個別に制御できるようになっている。例えば全体として白表示を行う場合には、図16(A)に示したように、第1の領域20−1と第2の領域20−2との双方を高輝度(白表示)となるように駆動する。全体として中間調表示(グレー表示)を行う場合には、例えば図16(B)に示したように、第1の領域20−1を高輝度(白表示)とし、第2の領域20−2を低輝度(黒表示)とするような駆動を行う。
【0035】
図16の比較例に係るマルチ画素構造では、第1の領域20−1と第2の領域20−2とを合わせた全体形状が長方形状となっている。このため、全体として白表示を行う場合には、上記図5〜図7を参照して説明したようにモアレが発生する。また、図16の比較例に係るマルチ画素構造では、第1の領域20−1も長方形状であり、垂直方向のピクセル幅は水平位置によらずH1で一定となっている。このため、中間調表示を行う場合にも、上記した同様の原理でモアレが発生する。
【0036】
[モアレの発生を抑制するマルチ画素構造の例]
図16に示した比較例に対して、白表示を行う場合と中間調表示を行う場合との双方においてモアレの発生を抑制する画素構造の例を、図17〜図20を参照して説明する。以下の各例では、パララックスバリア1の開口部12は、垂直方向に対して第1の角度α(図18等参照)で第1の斜め方向31に傾斜配置されているものとする。
【0037】
(第1の例)
図17および図18は、マルチ画素構造において、モアレを改善する画素形状の第1の例を示している。この第1の例では、図17(A)に示したように、サブピクセル20を構成する第1の領域20−1と第2の領域20−2とを合わせた全体形状が、上記図9(A),(B)で説明した画素形状と同じとなっている。すなわち、第1の斜め方向31において1つの切り欠き部22を有した形状であり、サブピクセル20全体の形状が、第1の斜め方向31と第1の斜め方向31に対して左右対称的となる第2の斜め方向32とで形状が異なっている。これにより、白表示を行う場合のモアレの発生が抑制される。
【0038】
また、図17(B)および図18に示したように、第1の領域20−1の単体での形状も、第1の斜め方向31と第2の斜め方向32とで異なっている。図17(B)に示したように、第1の領域20−1の垂直方向のピクセル幅は水平位置に応じてH1,H2と異なる部分が存在している。また、図18に示したように、第1の領域20−1は、部分的に第2の斜め方向32に延在するような形状を有している。
【0039】
(第2の例)
図19および図20は、マルチ画素構造において、モアレを改善する画素形状の第2の例を示している。この第2の例では、図19(A)に示したように、サブピクセル20を構成する第1の領域20−1と第2の領域20−2とを合わせた全体形状が、上記図13(A),(B)で説明した画素形状と同じとなっている。すなわち、第1の斜め方向31において第1の切り欠き部25と第2の切り欠き部26とを有した形状であり、サブピクセル20全体の形状が、第1の斜め方向31と第1の斜め方向31に対して左右対称的となる第2の斜め方向32とで形状が異なっている。これにより、白表示を行う場合のモアレの発生が抑制される。
【0040】
また、図19(B)および図20に示したように、第1の領域20−1の単体での形状も、第1の斜め方向31と第2の斜め方向32とで異なっている。図19(B)に示したように、第1の領域20−1の垂直方向のピクセル幅は水平位置に応じてH1,H2と異なる部分が存在している。また、図20に示したように、第1の領域20−1は、部分的に第2の斜め方向32に延在するような形状を有している。
【0041】
以上の第1および第2の例のような構造にすることで、白表示を行う場合と中間調表示を行う場合との双方において、水平方向の画素列において、開口部12の傾斜方向(第1の斜め方向31)に平行な平行線に含まれるサブピクセル20の有効領域の割合(平行線とサブピクセル20の有効領域とが重なり合う長さの割合)が水平方向の位置によらず一定となる。従って、開口部12の開口幅W1が同一であれば、サブピクセル20の透過面積の割合が開口部12の水平位置によらず一定となり、モアレの発生が抑制される。
【0042】
なお、以上の説明では、サブピクセル20が2つの領域20−1,20−2に分割されている例を挙げたが、画素の分割数が3つ以上であっても良い。
【0043】
<3.第3の実施の形態>
次に、本開示の第3の実施の形態に係る表示装置について説明する。なお、上記第1または第2の実施の形態に係る表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0044】
上記第1または第2の実施の形態では、パララックスバリア方式の表示装置を例に説明したが、本開示による技術は、レンチキュラレンズ方式の表示装置にも適用可能である。例えば図21に示したように、図1に示したパララックスバリア1に代えて、レンチキュラレンズ1Aを用いるようにしても良い。レンチキュラレンズ1Aは、複数の分離部として機能する複数の分割レンズを有している。分割レンズは、所定の方向に延在する円筒レンズ13である。円筒レンズ13の母線方向を、パララックスバリア1における開口部12と同様に、第1の斜め方向31に傾斜配置した構成にすれば良い。
【0045】
なお、レンチキュラレンズ1Aとして、可変式のレンチキュラレンズを用いてもよい。可変式のレンチキュラレンズとしては、液晶レンズや液体レンズを用いることができる。
【0046】
<4.その他の実施の形態>
本開示による技術は、上記各実施の形態の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。
上記各実施の形態に係る表示装置は、表示機能を有する種々の電子機器に適用可能である。図22は、そのような電子機器の一例としてテレビジョン装置の外観構成を表している。このテレビジョン装置は、フロントパネル210およびフィルターガラス220を含む映像表示画面部200を備えている。テレビジョン装置の他にも、ノート型パーソナルコンピュータ等に適用可能である。
【0047】
また例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
複数の画素を有し、複数の視点画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記複数の視点画像をそれぞれ異なる方向に分離する複数の分離部と
を備え、
前記各分離部が第1の斜め方向に傾斜配置され、
前記各画素が、前記第1の斜め方向と前記第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで形状が異なっている
表示装置。
(2)
前記各画素は、前記第1の斜め方向において少なくとも1つの切り欠き部を有する
上記(1)に記載の表示装置。
(3)
前記切り欠き部は、矩形状である
上記(2)に記載の表示装置。
(4)
前記切り欠き部は、前記第2の斜め方向に傾斜するような形状である
上記(2)に記載の表示装置。
(5)
前記複数の画素は、垂直方向および水平方向に2次元的に配列され、
前記複数の分離部は、垂直方向に対して第1の角度で前記第1の斜め方向に傾斜配置されている
上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(6)
水平方向の各画素列において、前記第1の斜め方向に平行な平行線が前記各画素の有効領域と重なり合う長さが水平方向の位置によらず一定となっている
上記(5)に記載の表示装置。
(7)
前記第2の斜め方向は、垂直方向に対して前記第1の角度とは左右逆方向となるような第2の角度で傾斜する方向である
上記(5)または(6)に記載の表示装置。
(8)
前記各画素は、それぞれが階調に応じて個別に制御される複数の画素領域に分割されており、
前記複数の画素領域を全て含む全体の形状が、前記第1の斜め方向と前記第2の斜め方向とで異なっている
上記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の表示装置。
(9)
前記複数の画素領域のうち、一部の画素領域の形状も、前記第1の斜め方向と前記第2の斜め方向とで異なっている
上記(8)に記載の表示装置。
(10)
前記一部の画素領域は、部分的に前記第2の斜め方向に延在するような形状を有する
上記(9)に記載の表示装置。
(11)
前記表示部において、前記複数の画素の間にブラックマトリクスを有する
上記(1)ないし(9)のいずれか1つに記載の表示装置。
(12)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
複数の画素を有し、複数の視点画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記複数の視点画像をそれぞれ異なる方向に分離する複数の分離部と
を有し、
前記各分離部が、第1の斜め方向に傾斜配置され、
前記各画素は、前記第1の斜め方向と前記第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで形状が異なっている
電子機器。
【符号の説明】
【0048】
1…パララックスバリア、1A…レンチキュラレンズ、2…表示部、10L…左眼、10R…右眼、11…遮蔽部、12…開口部(分離部)、13…円筒レンズ(分離部)、20…サブピクセル、20−1…第1の領域、20−2…第2の領域、20R…赤色サブピクセル、20G…緑色サブピクセル、20B…青色サブピクセル、31…第1の斜め方向(開口部の延在方向、傾斜方向)、32…第2の斜め方向、22…切り欠き部、23…第1の切り欠き部、24…第2の切り欠き部、25…第1の切り欠き部、26…第2の切り欠き部、41…平行線、200…映像表示画面部、210…フロントパネル、220…フィルターガラス、W1…開口幅、H1,H2…垂直方向のピクセル幅、α…第1の角度、−α…第2の角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有し、複数の視点画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記複数の視点画像をそれぞれ異なる方向に分離する複数の分離部と
を備え、
前記各分離部が第1の斜め方向に傾斜配置され、
前記各画素が、前記第1の斜め方向と前記第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで形状が異なっている
表示装置。
【請求項2】
前記各画素は、前記第1の斜め方向において少なくとも1つの切り欠き部を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記切り欠き部は、矩形状である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記切り欠き部は、前記第2の斜め方向に傾斜するような形状である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素は、垂直方向および水平方向に2次元的に配列され、
前記複数の分離部は、垂直方向に対して第1の角度で前記第1の斜め方向に傾斜配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
水平方向の各画素列において、前記第1の斜め方向に平行な平行線が前記各画素の有効領域と重なり合う長さが水平方向の位置によらず一定となっている
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2の斜め方向は、垂直方向に対して前記第1の角度とは左右逆方向となるような第2の角度で傾斜する方向である
請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記各画素は、それぞれが階調に応じて個別に制御される複数の画素領域に分割されており、
前記複数の画素領域を全て含む全体の形状が、前記第1の斜め方向と前記第2の斜め方向とで異なっている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の画素領域のうち、一部の画素領域の形状も、前記第1の斜め方向と前記第2の斜め方向とで異なっている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記一部の画素領域は、部分的に前記第2の斜め方向に延在するような形状を有する
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示部において、前記複数の画素の間にブラックマトリクスを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
複数の画素を有し、複数の視点画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記複数の視点画像をそれぞれ異なる方向に分離する複数の分離部と
を有し、
前記各分離部が、第1の斜め方向に傾斜配置され、
前記各画素は、前記第1の斜め方向と前記第1の斜め方向に対して左右対称的となる第2の斜め方向とで形状が異なっている
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−101171(P2013−101171A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243449(P2011−243449)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】