説明

表示装置及びその製造方法

【課題】本発明の課題は、高精細化カラー表示が可能で且つ製造の容易な表示装置及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】基板1上に複数の画素を備え、各画素が波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される表示装置であって、前記副画素は光半透過反射層と光反射層とに狭持された少なくとも光路長調整層、透明電極、及び有機電界発光層を有し、前記2種の副画素は互いにその光路長調整層の厚みが異なり、前記光路長調整層の少なくとも一方は、組成の異なる複数の光透過性無機絶縁材料の積層体を形成した後、該積層構造の少なくとも上層をエッチングにより除去することにより形成されたものであることを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を用いた表示装置及びその製造方法に関する。特にカラー表示表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブラウン管(CRT)に替わって薄型で軽量なフラットパネルディスプレイの広い分野で用いられ、その用途を延ばしてきている。これは、インターネットを核としたサービス網に対する情報機器およびインフラの発展により、パーソナル・コンピュータならびにネットワークアクセス対応型携帯電話などの個人情報端末が加速的に普及したためである。さらに、従来CRTの独壇場であった家庭用テレビへ、フラットパネルディスプレイの市場が拡大してきている。
【0003】
その中で、近年特に注目を浴びているデバイスに、有機電界発光素子(有機EL素子)がある。有機EL素子は、電気信号に応じて発光し、かつ、発光物質として有機化合物を用いて構成される素子である。有機EL素子は、生来的に広視野角および高コントラストならびに高速応答などの優れた表示特性を有している。また、薄型軽量かつ高画質な小型から大型までの表示装置を実現する可能性があることから、CRTやLCDに代わる素子として注目されている。
【0004】
有機EL素子を用いたフルカラー表示装置が種々提案されている。
例えば、フルカラー表現のための赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3基本色を得る手段として3色塗り分け法、白色有機ELにカラーフィルターを組みあわせる方法がある。
【0005】
三色塗り分け法においては、発色材料として3色適正な材料を揃えることと円偏光板のロスを小さくすることで、高効率化できる可能性がある。しかしながら、その塗り分け技術が困難であることから、高精細なディスプレイの実現は難しく、大画面化は困難とされている。
【0006】
白色有機EL素子にカラーフィルタを組みあわせて3色を得る方法では、白色発光材料自体の発光効率が低いこと、さらにカラーフィルターにより約1/3に輝度が低下することが問題として挙げられる。
また、有機EL素子からの発光を色変換膜により色変換して所望の色を得る方法では、様々な改良がなされているが、赤色への変換効率が低いこと等が問題として挙げられる。
【0007】
一方、上部電極に半透明の陰極を採用し、反射膜との間での多重干渉効果によって、特定の波長の光のみを有機EL素子の外部に取り出し、高い色再現性を実現することが検討されている。例えば、光反射材料からなる第1の電極、有機発光層を備えた有機層、光半透明反射層及び透明材料からなる第2の電極が順次積層され、有機層が共振部となるように構成された有機EL素子において、取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとした場合、以下の式を満たすように構成した有機EL素子が知られている。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m
(Lは光学的距離、λは取り出したい光の波長、mは整数、Φは位相シフトであり、光学的距離Lが正の最小値となるように構成)
【0008】
例えば、基板の同一面上に複数の有機EL素子を配置し、光反射導電層及び光反射層の間に有機発光層及びスペーサーとして無機化合物層を有し、第1の有機EL素子部が第1の無機化合物層、第2の有機EL素子部が第1の無機化合物層と第2の無機化合物層よりなる構成の表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、第1の無機化合物層が光反射性電極(例えばCr)を形成し、パターニングされる。第2の無機化合物層は、非晶質の透明導電性金属酸化物(例えばITO)である。第2の無機化合物層は弱酸ウェットエッチング(例えば蓚酸3.5質量%)によりパターニングされるが、第1の無機化合物層はエッチングされず、第2の無機化合物のみが選択的にエッチングされる。
【0009】
また、共振する光学的距離を調整するために導電性スペーサーを透明電極上に形成し、微小共振器構造を備えた表示装置が開示され、該導電性スペーサーとして該透明電極よりもエッチング速度が10倍以上早い層を用いることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、導電性スペーサーとして、多結晶ITO上に非晶質ITOを積層して非晶質ITOを選択的にエッチングし、更にアニール処理することで残存する非晶質ITOを多結晶ITOに改質する。これらの工程を反復することで、共振距離に応じて積層数を変えるとされている。
【0010】
しかしながら、これらの共振器構造を用いた表示装置では以下に示す問題があった。
(1)エッチングストッパの層を形成するため異種膜の形成あるいは結晶性改質のアニール工程を必要とし、工程が多く、生産性に欠ける。
(2)フォトリソグラフィー法と透明導電膜の成膜を交互に繰り返すため、工程が複雑であり、異種工程間でゴミの付着のリスクが高まり、歩留りを低下させる。
【特許文献1】再公表特許WO2005/086539号公報
【特許文献2】特開2005−197011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、発光素子を用いた表示装置及びその製造方法を提供するものである。特に、高精細化カラー表示が可能で且つ製造の容易な表示装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決する事を見出された。
<1> 基板上に複数の画素を備え、各画素が波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される表示装置であって、前記副画素は光半透過反射層と光反射層とに狭持された少なくとも光路長調整層、透明電極、及び有機電界発光層を有し、前記2種の副画素は互いにその光路長調整層の厚みが異なり、前記光路長調整層の少なくとも一方は、組成の異なる複数の光透過性無機絶縁材料の積層体を形成した後、該積層構造の少なくとも上層をエッチングにより除去することにより形成されたものであることを特徴とする表示装置。
<2> 前記少なくとも2種の副画素の最も長い光路長調整層は、前記複数の光透過性無機絶縁材料の全積層であり、最も短い光路長調整層は、前記光透過性無機絶縁材料の単層であることを特徴とする<1>に記載の表示装置。
<3> 前記複数の光透過性無機絶縁材料は互いにエッチング速度が異なり、前記積層構造の上層ほどエッチング速度が速いことを特徴とする<1>又は<2>に記載の表示装置。
<4> 前記複数の光透過性無機絶縁材料は、少なくともケイ素原子(Si)を含み、Si組成比が各層で異なり、前記積層構造の上層ほどSi組成比が小さいことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の表示装置。
<5> 前記少なくとも2種の副画素が青色画素、緑色画素及び赤色画素を有し、該青色画素の光路長調整層の厚みが最も薄く、該赤色画素の光路長調整層の厚みが厚いことを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の表示装置。
<6> さらに白色画素を有し、該白色画素は光路長調整層を有しないことを特徴とする<5>に記載の表示装置。
<7> 前記少なくとも2種の副画素は、前記有機電界発光層の組成が同一で連続していることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の表示装置。
<8> 前記有機電界発光層が白色発光層であることを特徴とする<7>に記載の表示装置。
<9> <1>〜<8>のいずれかに記載の表示装置の製造法であって、前記少なくとも2種の副画素の光路長調整層の製造工程が、少なくとも、
1)互いにエッチング速度の異なる光透過性無機絶縁材料を用いて、上層ほどエッチング速度が速い光透過性無機絶縁材料を積層した積層構造を形成する工程、及び
2)前記積層構造の少なくとも上層をエッチングにより除去する工程を有し、
光半透過反射層と光反射層との間の距離が該副画素の射出する光の波長が共振する光学距離となるように、前記光路長調整層の厚みを調整することを特徴とする表示装置の製造方法。
<10> 前記少なくとも2種の副画素の光路長調整層の光透過性無機絶縁材料の積層構造を共通に形成した後、前記副画素の射出する光の波長に対応して、エッチングにより前記光路長調整層の厚みを調整することを特徴とする<9>に記載の表示装置の製造方法。
<11> 基板上に複数の画素を備え、各画素が波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される表示装置であって、前記副画素は光半透過反射層と光反射層とに狭持された少なくとも光路長調整層、透明電極、及び有機電界発光層を有し、前記少なくとも2種の副画素の内の一方の副画素は、第1の光透過性無機絶縁材料よりなる第1の光路長調整層を有し、他方の副画素は第1の光透過性無機絶縁材料よりなる層とその上に積層された前記第1の光透過性無機絶縁材料とは異なる組成の第2の光透過性無機絶縁材料よりなる第2の光路長調整層を有することを特徴とする表示装置。
<12> 前記第1の光透過性無機絶縁材料及び第2の光透過性無機絶縁材料は、少なくともケイ素原子(Si)を含有し、Si組成比が各層で異なり、前記第2の光透過性無機絶縁材料のSi組成比がより小さいことを特徴とする<11>に記載の表示装置。
<13> 前記少なくとも2種の副画素が青色画素、緑色画素及び赤色画素を有し、該青色画素が前記第1の光路長調整層を有し、該緑色画素が前記第1の光路長調整層と前記第2の光路長調整層の積層を有し、該赤色画素は前記第1の光路長調整層、前記第2の光路長調整層及びその上に積層された前記第1の光透過性無機絶縁材料及び第2の光透過性無機絶縁材料とは異なる組成の第3の光透過性無機絶縁材料よりなる第3の光路長調整層を積層して有することを特徴とする<11>又は<12>に記載の表示装置。
<14> 前記第1の光透過性無機絶縁材料、第2の光透過性無機絶縁材料、及び第3の光透過性無機絶縁材料は、少なくともケイ素原子(Si)を含有し、Si組成比が各層で異なり、前記第1の光透過性無機絶縁材料、前記第2の光透過性無機絶縁材料、及び前記第3の光透過性無機絶縁材料の順にSi組成比がより小さいことを特徴とする<13>に記載の表示装置。
<15> さらに白色画素を有し、該白色画素は光路長調整層を有しないことを特徴とする<13>又は<14>に記載の表示装置。
<16> 前記少なくとも2種の副画素は、前記有機電界発光層の組成が同一で連続していることを特徴とする<11>〜<15>のいずれかに記載の表示装置。
<17> 前記有機電界発光層が白色発光層であることを特徴とする<16>に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高精細化カラー表示が可能で且つ製造の容易な表示装置及びその製造方法が提供される。特に、有機電界発光層を副画素を含めて全画素共通に形成することができるので、射出色によって有機電界発光層部を塗り分ける必要がない。また、光路長調整層についてもその積層体は、全画素を一括して形成し、エッチング工程にだけによって光路長調整層の厚みを調整するので、極めて生産性に優れ、かつ高精細パターンの製造を容易に行うことができる。
【0014】
従来は、透明電極層の厚みまたは有機電界発光層の厚みをR,G,B画素毎に膜厚調整して光学共振器構造を形成する必要があり、製造プロセスが複雑で高精細に形成することが困難であった。透明電極の厚みで光学共振距離を調整する場合、フォトリソグラフィー法と真空成膜を交互に行うため、プロセス時間が長くなり、またそれらの工程間の材料の移動搬送等でゴミなどの異物付着等のトラブルの懸念があった。有機電界発光層の厚みで光学共振距離を調整する場合、有機電界発光層をR,G,B画素毎に塗分けて形成することが必要となり、高精細化が困難であった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明について、より詳細に説明する。
1.表示装置
本発明の表示装置は、基板上に複数の画素を備え、各画素が波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される。
図1に示されるように、本発明の表示装置は基板の上に複数の画素を縦横に配列したマトリクス型画面パネルを有する。各画素は、波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される。好ましくは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素より構成される。さらに好ましくは、白色画素を加えた4色の副画素より構成される(図2)。これらの副画素を独立に制御してそれぞれを独立の輝度で発光することにより、フルカラーを再現することができる。
【0016】
前記少なくとも2種の副画素は、光半透過反射層と光反射層とに狭持された少なくとも光路長調整層、透明電極、及び有機電界発光層を有し、前記少なくとも2種の副画素は互いにその光路長調整層の厚みが異なり、前記光路長調整層の少なくとも一方は、組成の異なる複数の光透過性無機絶縁材料の積層体を形成した後、該積層構造の少なくとも上層をエッチングにより除去することにより形成されたものである
【0017】
本発明の構成を用いた表示装置は、2色カラー、フルカラーの表示装置に好適に用いることが可能である。あるいは、2色又は3色の混合によりB/W表示装置とすることもできる。B/W表示装置の例としてはレントゲン写真表示用のディスプレイ等が挙げられ、フルカラー表示装置の例としては家庭用のテレビ等を挙げることができる。
【0018】
好ましくは、前記画素が電流励起型発光素子であり、より好ましくは、有機電界発光素子である(本発明においては、以後、「有機EL素子」と記載する場合がある。)。本発明に於いては、トップエミッション型有機ELであってもボトムエミッション型有機EL素子であっても良い。
【0019】
次に、本発明の表示装置の構成を図面により具体的に説明する。
図3は、本発明による1画素の構成を示す断面模式図である。
透明基板1上に、各副画素とも共通に光半透過反射膜2を有し、その上に、R副画素部には光透過性無機絶縁材料より成る絶縁層31(絶縁層1),絶縁層32(絶縁層2)及び絶縁層33(絶縁3)を積層して有し、G副画素部には同絶縁層1及び絶縁層2を積層して有し、B副画素部には同絶縁層1を有する。その上に、透明電極4(第1の電極)を各副画素にパターン化されて有する。その上に、各副画素とも共通に有機電界発光層5及び光反射電極6(第2の電極)を有する。通電により有機電界発光層5で発光した光は、光半透過反射膜2と光反射電極6との間で反射を繰り返し、基板1を透過して外部に射出される。
【0020】
有機電界発光層5として可視域全域に発光スペクトルを有する白色発光の有機EL素子を用いると、R副画素部の光半透過反射膜2と光反射電極6との間の光学的距離を赤色の光が共振する距離になるように、(絶縁層1+絶縁層2+絶縁層3)の厚みによって調整することにより、白色光の中の赤色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。R副画素部では、(絶縁層1+絶縁層2+絶縁層3)が光路長調整層である。また、G副画素部では、光半透過反射膜2と光反射電極6との間の光学的距離を緑色の光が共振する距離になるように、(絶縁層1+絶縁層2)の厚みによって調整することにより、白色光の中の緑色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。G副画素部では、(絶縁層1+絶縁層2)が光路長調整層である。さらにまた、B副画素部では、光半透過反射膜2と光反射電極6との間の光学的距離を青色の光が共振する距離になるように、絶縁層1の厚みによって調整することにより、白色光の中の青色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。B副画素部では、絶縁層1が光路長調整層である。以上のように、本発明では共振の光学的距離に影響する有機EL発光層5と透明電極4の厚みと屈折率に加えて、光路長調整層を形成する絶縁層1、絶縁層2、及び絶縁層3のそれぞれの厚みを適切に設定することにより、R副画素部、G副画素部及びB副画素部が共に効率良く共振させることができる。
【0021】
図4は、本発明による別の態様の1画素の構成を示す断面模式図である。
基板11上に、各副画素とも共通に光反射膜12を有し、その上に、透明電極14(第1の電極)を各副画素にパターン化されて有する。その上に、R副画素部には光透過性無機絶縁材料より成る絶縁層131(絶縁層1),絶縁層132(絶縁層2)及び絶縁層133(絶縁層3)を積層して有し、G副画素には同絶縁層1及び絶縁層2を積層して有し、B副画素には同絶縁層1を有する。その上に、各副画素とも共通に有機電界発光層15及び光半透過反射電極16(第2の電極)を有する。通電により有機電界発光層15で発光した光は、光反射膜12と光半透過反射電極16との間で反射を繰り返し、光半透過反射電極16を透過して外部に射出される。
有機電界発光層15として可視域全域に発光スペクトルを有する白色発光の有機EL素子を用いると、R副画素部の光反射膜12と光半透過反射電極16との間の光学的距離を赤色の光が共振する距離になるように、(絶縁層1+絶縁層2+絶縁層3)の厚みによって調整することにより、白色光の中の赤色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。R副画素部では、(絶縁層1+絶縁層2+絶縁層3)が光路長調整層である。また、G副画素部では、光反射膜12と光半透過反射電極16との間の光学的距離を緑色の光が共振する距離になるように、(絶縁層1+絶縁層2)の厚みによって調整することにより、白色光の中の緑色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。G副画素部では、(絶縁層1+絶縁層2)が光路長調整層である。さらにまた、B副画素部では、光反射膜12と光半透過反射電極16との間の光学的距離を青色の光が共振する距離になるように、絶縁層1の厚みによって調整することにより、白色光の中の青色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。B副画素部では、絶縁層1が光路長調整層である。
以上のように、本発明では共振の光学的距離に影響する有機EL発光層15と透明電極14の厚みと屈折率に加えて、光路長調整層を形成する絶縁層1、絶縁層2、及び絶縁層3のそれぞれの厚みを適切に設定することにより、R副画素部、G副画素部及びB副画素部が共に効率良く共振させることができる。
【0022】
従って、本発明によれば、各副画素から射出される光はそれぞれ、高輝度かつスペクトル分布の狭い高彩度の光であり、各副画素から共振波長以外の波長成分の光の射出が抑制されるので、極めて高輝度、高彩度の光が得られる。さらに、これらの副画素からの光成分を混合して得られる1画素の光も、高輝度で高彩度である。
また、R,G,B副画素の光路長調整層の成膜を初めに一貫して形成し、その後G画素及びB副画素についてエッチングにより厚みを調整するだけなので、副画素毎に成膜とエッチングを繰り返す必要がないこと、更に、有機EL発光層として白色発光材料を用いて、R,G,B副画素とも共通に形成できる利点を有する。従って、製造工程が簡易で、高い生産性が得られ、また、高精細化が容易である。
【0023】
2.光路長調整層
本発明の光路長調整層は、複数の組成の異なる光透過性無機絶縁材料の積層体により構成される。
本発明の光路長調整層に用いられる光透過性無機絶縁材料としては、従来知られている種々の金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物などを用いることができる。
金属酸化物の具体例としては、MgO、SiO、Al、Y、TiO等が挙げられ、金属窒化物の具体例としては、SiN、SiO、AlN等が挙げられ、金属フッ化物の具体例としては、MgF、LiF、AlF、CaF、BaF等が挙げられる。また、これらの混合物であっても良い。
【0024】
本発明に於いては、エッチング速度の異なる光透過性無機絶縁材料を積層して光路長調整層が形成される。基板の上に、順にエッチング速度の遅い材料の層から早い材料の層を積層した積層体が形成される。層間でエッチング速度が異なり、下層ほどエッチング速度が遅くなる構成であるため、該積層体を初めに緩和な条件でエッチングすると、上層のエッチング速度が最も早い層がエッチングされ、その下の層はエッチングストッパーとして機能するため、上層のみが選択的にエッチングされる。次に、より強い条件でエッチングするとその下層もエッチングされる。このように、エッチング速度の異なる材料を積層して、順にエッチング条件を強めていくことにより、選択的に上層から一層ずつエッチングすることができる。
【0025】
エッチング速度の異なる材料の組合せ例としては、下記の例が挙げられる。
(1)窒化ケイ素で、ケイ素原子と窒素原子の結合比率の異なる化合物
Si組成比が高いほどエッチング速度が遅い。
(エッチング速度が遅い)Siy(x/y=1.2)<Siy(x/y=1)<Siy(x/y=0.75)(エッチング速度が速い)
(2)酸化窒化ケイ素で、ケイ素原子と酸素原子の結合比率およびケイ素原子と窒素原子の結合比率の異なる化合物
Si組成比が高いほどエッチング速度が遅い。
(エッチング速度が遅い)SiOy(x/y=0.6)<SiOy(x/y=1)<SiOy(x/y=4)(エッチング速度が速い)
(3)窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化ケイ素の各々からなる化合物の組合せ
Si組成比が高いほどエッチング速度が遅い。
(エッチング速度が遅い)SiN<SiO<SiO(エッチング速度が速い)
【0026】
光路長調整層の厚みは、各副画素が所定の波長の光が効率良く共振し得る光学的距離となるように調整される。従って、共振する光学的距離は、反射膜と半透過反射膜との間に挟持される材料の屈折率とその組成、厚みによって決定されるので、光路長調整層によって決定される訳ではない。一般に用いられる有機EL発光層の構成を斟酌すると、R副画素部の光路長調整層の厚みは、物理的厚みで、150nm〜350nmが好ましく、より好ましくは、200nm〜250nmである。G副画素部の光路長調整層の厚みは、物理的厚みで、100nm〜250nmが好ましく、より好ましくは、150nm〜200nmである。B副画素部の光路長調整層の厚みは、物理的厚みで、50nm〜200nmが好ましく、より好ましくは、100nm〜150nmである。
【0027】
光路長調整層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、又は転写法を適用できる。
例えば、CVD法であれば、原料ガスをシラン(SiH)、亜酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)、酸素(O)の組合せおよび混合比によって、SiN、SiO、SiOの組成を生成できる。
【0028】
<エッチング手段>
本発明に於ける光路長調整層のエッチング手段として、従来知られている種々のエッチング方法を利用することができる。
例えば、RIE法(反応性イオンエッチング)であれば、反応ガスとRF出力の選択によって加工面の組成に応じた異方性エッチングができる。反応ガスは、CF、CHF、C、C、SF、NF等を単独、もしくは組みあわせて用いることができる。
【0029】
本発明では、エッチング速度の異なる複数の無機絶縁材料の積層体を上層より選択的にエッチングする。例えば、最上層をエッチングする場合、エッチング条件は最も緩やかで最上層はエッチングされるがその下層はエッチング速度が遅くてエッチングされず、実質的にエッチングストッパーとなるようにエッチング条件および各層の材料が選択される。
【0030】
3.有機電界発光素子
本発明における有機電界発光素子は、発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層、ブロック層、電子注入層、および正孔注入層などの従来知られている有機化合物層を有しても良い。
【0031】
以下、詳細に説明する。
1)層構成
<電極>
本発明における有機電界発光素子の一対の電極は、少なくとも一方は透明電極であり、もう一方は背面電極となる。背面電極は透明であっても、非透明であっても良い。
<有機化合物層の構成>
前記有機化合物層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機化合物層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機化合物層の形状、大きさ、および厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0032】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
【0033】
以下に各層について詳細に説明する。
2)正孔輸送層
本発明に用いられる正孔輸送層は正孔輸送材を含む。前記正孔輸送材としては正孔を輸送する機能、もしくは陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば特に制限されることはなく用いることが出来る。本発明に用いられる正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、および高分子正孔輸送材のいずれも用いることができる。
本発明に用いられる正孔輸送材の具体例として、例えば以下の材料を挙げることができる。
【0034】
カルバゾ−ル誘導体、イミダゾ−ル誘導体、ポリアリ−ルアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリ−ルアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
正孔輸送層の厚みとしては、10nm〜400nmが好ましく、50nm〜200nmがより好ましい。
【0036】
3)正孔注入層
本発明おいては、正孔輸送層と陽極の間に正孔注入層を設けることができる。
正孔注入層とは、陽極から正孔輸送層に正孔を注入しやすくする層であり、具体的には前記正孔輸送材の中でイオン化ポテンシャルの小さな材料が好適用いられる。例えばフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、及びスターバースト型トリアリールアミン化合物等を挙げることができ、好適に用いることができる。
正孔注入層の膜厚は、1nm〜300nmが好ましい。
【0037】
4)発光層
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材料を含み、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでもよい。
本発明に用いられる発光材料としては特に限定されることはなく、蛍光発光材料または燐光発光材料のいずれも用いることができる。発光効率の点から燐光発光材料が好ましい。
また、発光材料は、白色発光であれば1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して白色発光を得てもよい。2種以上を併用する場合、発光材料の発光色の組合せは、特に限定されるものではないが、青色発光材料と黄色発光材料の併用、青色発光材料と緑色発光材料と赤色発光材料の併用などを挙げることができる。
【0038】
蛍光発光材料としては、例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
燐光発光材料としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0040】
上記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁〜232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」、71頁〜77頁、135頁〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を発光材料として発光層に用いることは、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0041】
上記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、及び2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。また、上記オルトメタル化金属錯体は、上記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0042】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は、Inorg Chem.,1991年,30号,1685頁、同1988年,27号,3464頁、同1994年,33号,545頁、Inorg.Chim.Acta,1991年,181号,245頁、J.Organomet.Chem.,1987年,335号,293頁、J.Am.Chem.Soc.1985年,107号,1431頁等、種々の公知の手法で合成することができる。
上記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
【0043】
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
燐光発光材料は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、蛍光発光材料と燐光発光材料を同時に用いてもよい。
【0044】
ホスト材とは、その励起状態から、蛍光発光材料または燐光発光材料へエネルギー移動を起こし、その結果、蛍光発光材料または燐光発光材料を発光させる機能を有する材料のことである。
【0045】
ホスト材としては、励起子エネルギーを発光材料にエネルギー移動させることのできる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホスト材の発光層における含有量としては0質量%〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0質量%〜99.0質量%である。
【0046】
5)ブロック層
本発明においては、発光層と電子輸送層との間にブロック層を設けることができる。ブロック層とは発光層で生成した励起子の拡散抑制する層であり、また正孔が陰極側に突き抜けることを抑制する層である。
【0047】
ブロック層に用いられる材料は、電子輸送層より電子を受け取り、発光層にわたす事のできる材料で有れば特に限定されることはなく、一般的な電子輸送材を用いることができる。例えば以下の材料を挙げることができる。トリアゾ−ル誘導体、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
6)電子輸送層
本発明においては電子輸送材を含む電子輸送層を設けることができる。
電子輸送材としては電子を輸送する機能、もしくは陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく、前記ブロック層の説明時に挙げた電子輸送材を好適に用いることができる。
前記電子輸送層の厚みとしては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜80nmがより好ましい。
【0049】
前記厚みが、1000nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると該発光素子の発光効率が非常に低下する可能性があり好ましくない。
【0050】
7)電子注入層
本発明おいては、電子輸送層と陰極の間に電子注入層を設けることができる。
電子注入層とは、陰極から電子輸送層に電子を注入しやすくする層であり、具体的にはフッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム等のリチウム塩、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属塩、酸化リチウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、又は酸化マグネシウム等の絶縁性金属酸化物等を好適に用いることができる。
電子注入層の膜厚は0.1nm〜5nmが好ましい。
【0051】
8)基板
本発明に用いられる基板の材料としては、水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料が好ましく、また、前記有機化合物層から発せられる光を散乱乃至減衰等のさせることのない材料が好ましい。具体的例として、例えばYSZ(ジルコニア安定化イットリウム)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカ−ボネ−ト、ポリエ−テルスルホン、ポリアリレ−ト、アリルジグリコ−ルカ−ボネ−ト、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料、などが挙げられる。
前記有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、又は低吸湿性等に優れていることが好ましい。これらの材料は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0053】
基板は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であるのが好ましい。
【0054】
基板には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けるのが好ましい。前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
基板には、さらに必要に応じて、ハ−ドコ−ト層、およびアンダ−コ−ト層などを設けてもよい。
【0055】
9)電極
本発明における電極は、第1の電極よび第2の電極のいずれが陽極であっても陰極であっても構わないが、好ましくは第1の電極が陽極であり、第2の電極が陰極である。
【0056】
<陽極>
本発明に用いられる陽極としては、通常、前記有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
【0057】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をド−プした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ルなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0058】
陽極は例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、該陽極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレ−ティング法等に従って行うことができる。また陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
【0059】
陽極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該陽極は、前記基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0060】
なお、前記陽極のパタ−ニングは、フォトリソグラフィ−などによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レ−ザ−などによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0061】
陽極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
陽極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、該陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0062】
陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シ−エムシ−刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した陽極が好ましい。
【0063】
<陰極>
本発明に用いることの出来る陰極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
【0064】
陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、又はCs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0065】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0066】
陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されていて、これらを本発明に適用することができる。
【0067】
陰極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。
例えば、前記陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0068】
陰極のパタ−ニングは、フォトリソグラフィ−などによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レ−ザ−などによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0069】
陰極の有機電界発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該陰極は、前記有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。
【0070】
陰極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、前記陰極の材料を1nm〜10nmの厚みに薄く製膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0071】
10)保護層
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の金属窒化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
【0072】
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、又は転写法を適用できる。
【0073】
11)封止
さらに、本発明における有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、及びシリコーンオイル類が挙げられる。
【0074】
12)素子の製造方法
本発明における素子を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコ−ト法、ディップコ−ト法、キャスト法、ダイコ−ト法、ロ−ルコ−ト法、バ−コ−ト法、グラビアコ−ト法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
中でも発光効率、耐久性の点から乾式法が好ましい。湿式製膜法の場合、残存する塗布溶媒が発光層を損傷させるので好ましくない。
特に好ましくは、抵抗加熱式真空蒸着法である。抵抗加熱式真空蒸着法は、真空下で加熱により蒸散させる物質のみを効率的に加熱できるので、素子が高温に曝されないのでダメージが少なく有利である。
【0075】
真空蒸着とは真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱させ気化もしくは昇華して、少し離れた位置に置かれた被蒸着物の表面に付着させ、薄膜を形成するというものである。蒸着材料、被蒸着物の種類により、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。この中で最も低温で成膜を行うのが抵抗加熱式の真空蒸着法であり、昇華点の高い材料は成膜できないが、低い昇華点の材料であれば、被蒸着材料への熱ダメージがほとんど無い状態で成膜を行うことができる。
【0076】
本発明における封止膜材料は、抵抗加熱式の真空蒸着で成膜し得ることを特徴とする。
従来用いられてきた酸化シリコン等の封止剤は昇華点が高く、抵抗加熱で蒸着することは不可能であった。また、公知例に一般的に記載されているイオンプレーティング式などの真空蒸着法は、蒸着元部が数千℃と超高温となるため、被蒸着材料に熱的な影響を与えて変質させるため、特に熱や紫外線の影響を受けやすい有機EL素子の封止膜の製造方法としては適していない。
【0077】
13)駆動方法
本発明における有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
【0078】
本発明における有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0079】
(応用)
本発明の表示装置は、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明を含む広い分野で幅広い分野で応用される。
【実施例】
【0080】
以下に、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
実施例1
本発明の製造方法について、図面を用いて説明する。図5,6に段階的工程を示す。得られる構成は図3に示される。
<図5>
・工程(1):基板1に光半透過反射膜2(Al、Ag等)を真空成膜製法で形成する。
・工程(2):上記の光半透過反射膜上に無機絶縁層1(Si)を真空成膜製法で形成する。プラズマCVDにより、SiHガスとNHガスをSi原子とN原子が6:5で結合するようにそれぞれの流量を調整した。
・工程(3):上記の無機絶縁層1上に無機絶縁層2(SiN)を真空成膜製法で形成する。工程(2)と同様にして、SiHガスとNHガスをSi原子とN原子が1:1で結合するようにそれぞれの流量を調整した。
・工程(4):上記の無機絶縁層2上に無機絶縁層3(Si)を真空成膜製法で形成する。工程(2)と同様にして、SiHガスとNHガスをSi原子とN原子が3:4で結合するようにそれぞれの流量を調整した。
・工程(5):フォトリソグラフィにより、R画素の位置をレジストで被覆し、G画素とB画素の位置はレジストを開口させる。
・工程(6):フッ素系ドライエッチングにより、レジストが開口しているG画素とB画素の無機絶縁層3を除去する。ここで、無機絶縁層3は無機絶縁層2よりもSiに対するNの組成比が大きいため、エッチング速度が速く、無機絶縁層2の表面でエッチングは停止する。
【0082】
<図6>
・工程(7):フォトリソグラフィにより、R画素の位置とG画素の位置をレジストで被覆し、B画素の位置はレジストを開口させる。
・工程(8):フッ素系ドライエッチングにより、レジストが開口しているB画素の無機絶縁層2を除去する。ここで、無機絶縁層2は無機絶縁層1よりもSiに対するNの組成比が大きいため、エッチング速度が速く、無機絶縁層1の表面でエッチングは停止する。
・工程(9):無機絶縁層1〜3表面のRGB各副画素位置に、第1の電極である透明電極4(ITO、IZO等)を副画素毎にパターニングして真空成膜製法で形成する。
・工程(10):上記の透明電極上に、3画素共通に一貫して有機電界発光層5を形成する。有機電界発光層は白色発光を用いる。
・工程(11):上記の有機電界発光層上に第2の電極である光反射電極6(Al、Ag等)を真空成膜製法で形成する。
【0083】
上記製造方法に拠れば、光学共振器の光路長調整層を形成する工程が従来に比べて極めて簡易で生産性に富み、歩留りを高めることができる。
また、光路長調整層を有機EL層の形成工程とは独立した工程で製造するので、有機EL層を一括して発光層全面に共通に形成でき、有機EL層を副画素毎に塗分けて形成する必要が無くなり、製造工程が簡易になり生産性が高まると共に、高精細化が容易になる。
また、本願に於ける光路長調整層の製造では、アニール工程を不要とすることができる。組成の異なる無機絶縁膜は連続した成膜環境下で形成され、画素毎に光路長を変えるフォトリソグラフィー法によるレジスト形成とエッチング工程(フォトリソ工程と略する)は前記成膜の後にまとめて行うことができる。即ち、成膜とフォトリソ工程を反復する複雑さはなく、光路長調整層内へのゴミ付着等のコンタミを抑制できる。
【0084】
実施例2
次に、図4に示されるトップエミッション型有機EL素子を組み込んだ表記装置の製造方法について、図面を用いて説明する。図7に段階的工程を示す。
・工程(1):基板11に光反射膜12(Al、Ag等)を真空成膜製法で形成する。
・工程(2):実施例1の工程(2)〜(8)を同様に形成する。
・工程(3):RGB各画素位置の無機絶縁膜1〜3表面のRGB各副画素位置に、第1の電極である透明電極14(ITO、IZO等)を副画素毎にパターニングして真空成膜製法で形成する。
・工程(4):上記の透明電極14上に、3画素共通に一貫して有機電界発光層15を形成する。有機電界発光層は白色発光を用いる。
・工程(5):上記の有機電界発光層15上に第2の電極である光半透過反射電極16(Al、Ag等)を真空成膜製法で形成する。
【0085】
上記製造方法に拠れば、実施例1と同様に、光学共振器の光路長調整層を形成する工程が従来に比べて極めて簡易で生産性に富み、歩留りを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】マトリックス型表示装置の画素配列の概念図である。
【図2】1画素の副画素配列を示す概念図である。
【図3】本発明による1画素の概略断面図である。
【図4】本発明による別の態様の1画素の概略断面図である。
【図5】本発明による1画素の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図6】本発明による1画素の製造方法を図5に続く工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明による別の態様の1画素の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1,11:基板
2:光半透過反射膜
31,131:絶縁層1;32,132:絶縁層2;33,133:絶縁層3
4,14:第1の電極(透明電極)
5,15:有機電界発光層
6:第2の電極(光反射電極)
12:光反射膜
16:第2の電極(光半透過反射電極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の画素を備え、各画素が波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される表示装置であって、前記副画素は光半透過反射層と光反射層とに狭持された少なくとも光路長調整層、透明電極、及び有機電界発光層を有し、前記2種の副画素は互いにその光路長調整層の厚みが異なり、前記光路長調整層の少なくとも一方は、組成の異なる複数の光透過性無機絶縁材料の積層体を形成した後、該積層構造の少なくとも上層をエッチングにより除去することにより形成されたものであることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記少なくとも2種の副画素の最も長い光路長調整層は、前記複数の光透過性無機絶縁材料の積層体であり、最も短い光路長調整層は、前記光透過性無機絶縁材料の単層であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の光透過性無機絶縁材料は互いにエッチング速度が異なり、前記積層構造の上層ほどエッチング速度が速いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の光透過性無機絶縁材料は、少なくともケイ素原子(Si)を含み、Si組成比が各層で異なり、前記積層構造の上層ほどSi組成比が小さいことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記少なくとも2種の副画素が青色画素、緑色画素及び赤色画素を有し、該青色画素の光路長調整層の厚みが最も薄く、該赤色画素の光路長調整層の厚みが厚いことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに白色画素を有し、該白色画素は光路長調整層を有しないことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記少なくとも2種の副画素は、前記有機電界発光層の組成が同一で連続していることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記有機電界発光層が白色発光層であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の表示装置の製造法であって、前記少なくとも2種の副画素の光路長調整層の製造工程が、少なくとも、
1)互いにエッチング速度の異なる光透過性無機絶縁材料を用いて、上層ほどエッチング速度が速い光透過性無機絶縁材料を積層した積層構造を形成する工程、及び
2)前記積層構造の少なくとも上層をエッチングにより除去する工程を有し、
光半透過反射層と光反射層との間の距離が該副画素の射出する光の波長が共振する光学距離となるように、前記光路長調整層の厚みを調整することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記少なくとも2種の副画素の光路長調整層の光透過性無機絶縁材料の積層構造を共通に形成した後、前記副画素の射出する光の波長に対応して、エッチングにより前記光路長調整層の厚みを調整することを特徴とする請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
基板上に複数の画素を備え、各画素が波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される表示装置であって、前記副画素は光半透過反射層と光反射層とに狭持された少なくとも光路長調整層、透明電極、及び有機電界発光層を有し、前記少なくとも2種の副画素の内の一方の副画素は、第1の光透過性無機絶縁材料よりなる第1の光路長調整層を有し、他方の副画素は第1の光透過性無機絶縁材料よりなる層とその上に積層された前記第1の光透過性無機絶縁材料とは異なる組成の第2の光透過性無機絶縁材料よりなる第2の光路長調整層を有することを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記第1の光透過性無機絶縁材料及び第2の光透過性無機絶縁材料は、少なくともケイ素原子(Si)を含有し、Si組成比が各層で異なり、前記第2の光透過性無機絶縁材料のSi組成比がより小さいことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記少なくとも2種の副画素が青色画素、緑色画素及び赤色画素を有し、該青色画素が前記第1の光路長調整層を有し、該緑色画素が前記第1の光路長調整層と前記第2の光路長調整層の積層を有し、該赤色画素は前記第1の光路長調整層、前記第2の光路長調整層及びその上に積層された前記第1の光透過性無機絶縁材料及び第2の光透過性無機絶縁材料とは異なる組成の第3の光透過性無機絶縁材料よりなる第3の光路長調整層を積層して有することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1の光透過性無機絶縁材料、第2の光透過性無機絶縁材料、及び第3の光透過性無機絶縁材料は、少なくともケイ素原子(Si)を含有し、Si組成比が各層で異なり、前記第1の光透過性無機絶縁材料、前記第2の光透過性無機絶縁材料、及び前記第3の光透過性無機絶縁材料の順にSi組成比がより小さいことを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
さらに白色画素を有し、該白色画素は光路長調整層を有しないことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記少なくとも2種の副画素は、前記有機電界発光層の組成が同一で連続していることを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記有機電界発光層が白色発光層であることを特徴とする請求項16に記載の表示装置。

【図2】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−56015(P2010−56015A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221878(P2008−221878)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】